IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サーヴォセンス (エスエムシー) リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-位置エンコーダ 図1
  • 特許-位置エンコーダ 図2
  • 特許-位置エンコーダ 図3
  • 特許-位置エンコーダ 図4
  • 特許-位置エンコーダ 図5
  • 特許-位置エンコーダ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】位置エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20220215BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20220215BHJP
   G01D 5/249 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G01D5/244 G
G01D5/245 110J
G01D5/249 K
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2018566661
(86)(22)【出願日】2017-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 IL2017050318
(87)【国際公開番号】W WO2017158595
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】62/307,516
(32)【優先日】2016-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514151487
【氏名又は名称】サーヴォセンス (エスエムシー) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アーリック、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラレ、イヴ
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-168656(JP,A)
【文献】特開平05-340426(JP,A)
【文献】特開平06-235608(JP,A)
【文献】特表2010-528313(JP,A)
【文献】特開2003-070225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部分および可動部分を有する線形位置測定装置用のリニアエンコーダであって、前記リニアエンコーダは、第1の移動端位置と第2の移動端位置との間の線形移動範囲に沿って、前記固定部分と前記可動部分との間の相対変位を測定および符号化するように設計され、前記リニアエンコーダは、
知の形状の所定のパターンで前記固定部分および前記可動部分の一方に配列される複数の機械検知可能素子であって、前記所定のパターンは複数の連続する割り当てられたセグメントの長さを規定し、その長さの少なくとも幾つかは互いに異なり、各セグメントは、各長さと、各特性と、各長さ及び各特性を有する機械検知可能素子の一つが固定されるセグメントの位置とを有し、前記形状は符号を生成し、前記符号はその長さに沿って変化する特性を表している、複数の機械検知可能素子と、
前記第1の移動端位置と前記第2の移動端位置との間の前記線形移動範囲の全体に亘り、前記固定部分および前記可動部分の他方に沿って均一に配列された複数のセンサであって、前記長さは、均一に配列された複数のセンサに亘り延びており、均一に配列された各センサは、前記複数の機械検知可能素子の一つに各センサが近接したときにビットを生成し、均一に配列された複数のセンサと前記所定のパターンとの組み合わせにより前記ビットからデジタルコードを生成し、前記所定のパターンを使用して前記相対変位を測定および符号化する、複数のセンサと
を備え、
前記リニアエンコーダは、
アクティブなセンサとして機械検知可能素子に現在近接している均一に配列された複数のセンサの一つを検出し、
前記アクティブなセンサの位置に基づいて第1の絶対低分解能位置を算出し、
NビットのそれぞれをN個の前記アクティブなセンサのブール出力値に設定することによって、ビット数Nのコードを算出し、前記コードは前記アクティブなセンサのうちの一つに対する中間分解能位置を規定し、
前記第1の絶対低分解能位置を第2の相対中間分解能位置と組み合わせて、絶対中間分解能位置を算出するように構成されている、リニアエンコーダ。
【請求項2】
前記固定部分および前記可動部分の一方は前記可動部分であり、前記固定部分および前記可動部分の他方は前記固定部分である、請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項3】
前記所定のパターンの長さは前記線形移動範囲よりも短い、請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項4】
均一に配置された複数のセンサは、固有のアドレスをそれぞれ有する、請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項5】
均一に配置された複数のセンサは、光学式センサ、磁気式センサ、誘導式センサ、容量式センサ、光電式センサおよび渦電流センサからなるセンサ群のうちの1つの部材を含む、請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項6】
前記機械検知可能素子は、光学素子、磁気素子、誘導素子、容量素子、および金属フィールド摂動素子からなる群のうちの1つの部材である、請求項5に記載のリニアエンコーダ。
【請求項7】
前記所定のパターンは、複数の繰り返されるセグメントを規定し、各セグメントは、前記特性の1サイクルの変化を含む、請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項8】
前記複数の繰り返されるセグメントは、均一に離間した所定数のセンサに等しい長さに亘って広がっている、請求項7に記載のリニアエンコーダ。
【請求項9】
前記複数の繰り返されるセグメントは、前記相対変位の複数の読み取り値を提供するように選択された長さに亘って広がっている、請求項7に記載のリニアエンコーダ。
【請求項10】
前記機械検知可能素子は前記長さに沿って変化する第2の変化特性を有する、請求項1に記載のリニアエンコーダ。
【請求項11】
前記所定のパターンの外側に配置され、前記センサに前記長さの開始を示す付加的な機械検知可能素子をさらに備える、請求項7に記載のリニアエンコーダ。
【請求項12】
前記固定部分および前記可動部分の一方は前記固定部分であり、前記固定部分および前記可動部分の他方は前記可動部分である、請求項1および請求項3~10のいずれか一項に記載のリニアエンコーダ。
【請求項13】
全線形変位長に亘って2つの部分間の相対変位を絶対線形符号化する方法であって、前記方法は、
前記全線形変位長に亘って離間した複数のセンサを提供することと、
所定のパターンからなる複数の機械検知可能素子を提供することであって、前記所定のパターンは既知の形状であり、前記形状はコードを生成し、前記コードは、前記所定のパターンに沿った距離に亘って変化する特性を表していることと、
前記全線形変位長に亘って前記複数のセンサに対して前記所定のパターンを線形に変位させることであって、前記所定のパターンは複数のセンサに亘って延在することと、
前記センサが複数の機械検知可能素子の一つに近接したときに前記複数のセンサの一つからビットを生成することであって、前記センサと前記所定のパターンとの組み合わせにより前記ビットからデジタルコードを生成することと、
前記デジタルコード、複数のセンサ、所定のパターンを使用して変位を測定することと
を含み、
前記ビット及び前記コードを生成することは、
アクティブなセンサとして機械検知可能素子に現在近接しているセンサを検出することと、
前記アクティブなセンサの位置に基づいて第1の絶対低分解能位置を算出することと、
NビットのそれぞれをN個の前記アクティブなセンサのブール出力値に設定することによって、ビット数Nのコードを算出することであって、前記コードは前記アクティブなセンサのうちの一つに対する中間分解能位置を規定することと
を含み、
相対変位を測定することは、前記第1の絶対低分解能位置を第2の相対中間分解能位置と組み合わせて、絶対中間分解能位置を算出することを含む、方法。
【請求項14】
前記複数のセンサは、前記全線形変位長に亘って均一に分布している、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
均一に分布した所定数の複数のセンサに等しい長さに亘って前記所定のパターンを延在させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
均一に分布した複数のセンサへパターンの開始または終了を示すために、前記所定のパターンの第1の端部に付加的な検知可能素子を設けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記所定のパターンはリニアモータの可動部分にあり、前記複数のセンサは前記リニアモータの固定部分にある、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のセンサのそれぞれに個々にアドレスを指定することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記所定のパターンの長さは前記全線形変位長よりも短い、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
付加的な機械検知可能素子は、前記所定のパターンの機械検知可能素子の反復である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記複数のセンサは、磁気式センサ、光学式センサ、誘導式センサ、および容量式センサからなる群のうちの1つの部材を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記センサは、アナログ値を出力し、前記方法は、
ンサアナログ出力値が前記特性を有する機械検知可能素子の所定の近接範囲にあることを示す範囲内にある場合、各アナログ出力を第1のブール値に設定し、そうでない場合には第2のブール値に設定することと、
前記センサの前記アナログ出力から高分解能位置を算出することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
固定部分および可動部分を有する線形位置測定フィードバック装置用のリニアエンコーダであって、前記リニアエンコーダは、第1の移動端位置と第2の移動端位置との間の線形移動範囲に沿って、前記固定部分と前記可動部分との間の相対変位を測定および符号化するように設計され、前記リニアエンコーダは、
前記固定部分および前記可動部分の一方に所定のパターンで配列された複数の機械検知可能素子と、
前記固定部分および前記可動部分の他方に沿って均一に配列された複数のセンサであって、任意の所与の時間のときに均一に配列された複数のセンサのサブセットのみが機械検知可能素子に近傍検知状態である複数のセンサであって、均一に配列された複数のセンサのサブセットがビットを生じ、前記ビットが線形位置測定を示すコードを生成する、複数のセンサ
を備え、
前記所定のパターンは、複数の繰り返されるセグメントを規定し、
各セグメントは、その長さに沿って変化する特性の1サイクルの変化を含み、
前記リニアエンコーダは、前記所定のパターンの外側に配置されて均一に配列された複数のセンサに前記長さの開始を示す付加的な機械検知可能素子をさらに備え、
前記リニアエンコーダは、
アクティブなセンサとして機械検知可能素子に現在近接している均一に配列された複数のセンサのうちの一つを検出し、
前記アクティブなセンサの位置に基づいて第1の絶対低分解能位置を算出し、
NビットのそれぞれをN個の前記アクティブなセンサのブール出力値に設定することによって、ビット数Nのコードを算出し、前記コードは前記アクティブなセンサのうちの一つに対する中間分解能位置を規定し、
前記第1の絶対低分解能位置を第2の相対中間分解能位置と組み合わせて、絶対中間分解能位置を算出するように構成されている、リニアエンコーダ。
【請求項24】
前記固定部分および前記可動部分の他方は前記固定部分である、請求項2に記載のリニアエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、位置エンコーダに関し、より具体的には、限定するものではないが、リニアモータなどのモータおよび磁気アブソリュートリニアエンコーダへの適用に関連して使用されるエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械および産業用ロボットのリニアサーボモータなどの装置では、位置決め精度は、加工精度を上回るように要求される。半導体チップの製造などの用途の加工技術において、ますます高い加工精度が要求され、その結果として、要求される位置決め精度もまた高まっている。高精度な位置決めを行うために、正確な位置測定装置が必要であり、位置決め要件を満たすためにリニアエンコーダが提供されている。
【0003】
リニアエンコーダは、センサ、トランスデューサ、または位置を符号化するスケールもしくはパターンと対になる読取ヘッドである。センサは、符号化された位置を、後でデジタル読み出しヘッド(DRO:digital readout)、ドライブまたはモーションコントローラによって位置に復号されることが可能であるアナログまたはデジタル信号に変換するためにスケールを読み取る。従来、スケールは、測定される軌跡の全長に亘って延在し、センサは、位置を測定するスケールの上を移動する。ほとんどの利用可能なリニアエンコーダは、可動素子に固定されるDROヘッドに、電気ケーブルによってドライブまたはモーションコントローラに送信されるデジタルまたはアナログ信号を提供する。同じ電気ケーブルはまた、DRO処理用電子機器の電気エネルギーを供給するために使用される。このようにして、電気ケーブルは、一方の端部においてドライブに固定され、他方の端部において可動素子と共に移動可能である。可動素子は、多くの場合、高速運動サイクルを実行するので、可動ケーブルは、システム不良の主な要因である。
【0004】
エンコーダは、インクリメンタルまたはアブソリュートのいずれか一方であり得る。インクリメンタルエンコーダは、電源投入時の初期位置に対する動きを検知できる一方、アブソリュートエンコーダは、実際の位置を測定できる。リニアエンコーダ技術は、例えば、光学式検知、磁気式検知、誘導式検知、容量式検知および渦電流検知に基づくことができる。検知される素子は、光学式スケール、磁気式スケール、誘導式スケール、容量式スケール、および検知コイル内に渦電流を誘起することができるスケールを含む、検知素子によって検知されることができる任意のものからなるスケールとして構成される。特許文献1および特許文献2は、容量式リニアエンコーダを論じている。前者において、図32は、固定スケールを示し、図33Bは、形状を示している。引用技術の容量式エンコーダは、アナログ信号パターンを付与する。リニアエンコーダは、デジタルノギスおよびステージに対する座標測定機、CNCミルおよび産業用ロボット、ならびに製造用ガントリテーブルから高精度の半導体ステッパの範囲に及ぶ、例えば、計測器、モーションシステム、高精度加工ツールおよび製造装置において使用される。
【0005】
磁気式エンコーダは、インクリメンタル原理に基づくことができるが、典型的には、分解能と精度に関して不利な点がある。磁界は、距離と共に減少するので、磁気式センサは、パターンの周期よりも短い距離または少なくとも同じ範囲に配置されなければならない。磁気式センサを静的な磁気素子に非常に近接して配置するには、精密で高価な機械設計が必要である。したがって、周期長および周期数は、達成可能な機械的精度によって制限される。
【0006】
回転式と線形式の両方の位置決めエンコーダ装置が利用可能である。
2008年5月28日に出願されたヴィラレ(Villaret)らの特許文献3は、第1の部材の単一のトラック上に担持された機械検知可能素子のパターンを利用することによって、第2の部材に対する第1の部材の位置を正確に示すためのエンコーダおよび方法を開示し、機械検知可能素子は、第1の部材のトラック上の連続的な漸進的回転に位置していて、それぞれがバイナリ値「0」および「1」のうちの一方を表し、「n」は「3」よりも大きい、複数の「n」個のセンサは、第1の部材のトラックに近接した複数の離間した位置で第2の部材によって搬送され、第1の部材の機械検知可能素子と整列可能である。したがって、それぞれのセンサは、整列するそれぞれの機械検知可能素子のバイナリ値を検知して、整列する機械検知可能素子のバイナリ値に対応する出力を生成し、これにより、全てのセンサの出力は、第2の部材に対する第1の部材の位置を特定する「n」ビットのバイナリコード、好ましくはグレイコードを構成する。同文献の図3は、リニアエンコーダに関する。グレイコードを形成する機械検知可能素子は、静的であり、均一に離間したセンサは、可動部分上にある。機械検知可能部は、実際には、真っ直ぐにされたロータ上の検出可能素子であり、ロータのバージョンと同じ精度であるが、ロータの円周によって作られた360度の円に限定される距離に対して絶対位置測定を行う。
【0007】
符号化長は、測定可能な全距離に亘って、微分可能な信号をセンサに提示する必要性によって制限される。信号は、特定の用途によって要求される分解能のレベルに微分可能であることが要求される。同じ精度で長さを増やすと、コストの大幅な増加を伴う。検出可能なパターンの第2のトラックまたはパターンの繰り返し周期が必要であってもよく、あるいは接続は、はるかに大きいビット数を有する測定信号を伴ってもよい。
【0008】
既知の技術は、センサが可動部分に位置するので、センサに電流を供給し、センサから信号を得るための可動ケーブルを必要とする。高価な部品であり、故障率が比較的高いかまたは破損の可能性がある、特別に設計された可動ケーブルが必要とされる。ケーブルはまた、振動、および速度の他の摂動の原因ともなり得る。ケーブルチェーンは、動きの平滑性に影響を与える場合があり、平滑性は、インク層を均一に堆積する必要がある印刷などの用途にとって特に重要である。
【0009】
従来技術の多くは、低分解能の絶対位置を提供する第1のトラックと、高分解能トラックの周期内の高分解能位置を提供する第2のトラックとの2つのスケーリング用のトラックを有する。回転式システムを教示する上記の特許文献3は、単一のトラックを有するが、回転式の場合、全周の限られた長さにより、周期的な間隔で位置決めを繰り返すことを可能にする。しかしながら、線形の場合のように自然な周期がない場合、絶対位置も同様に必要である。
【0010】
チタヤット(Chitayat)による特許文献4は、移動経路に沿って分布したアドレス指定可能なホールセンサと、ホールセンサに近接した経路に沿って摺動する、可動素子に固定された、等距離磁石のセットとを開示している。次に、それぞれのホールセンサ信号は、可動素子の位置の範囲内の第1の値から第2の値に遷移する。絶対位置は、センサのアドレスと、センサのアナログ値またはデジタル値とから算出される。センサの対ごとに、1つの位置遷移範囲が存在する。1つの遷移範囲は、2つのホールセンサ間の距離によって規定される。このように、高分解能位置値の算出は、ホールセンサ測定の精度によって規定される。したがって、例えば、ホールセンサ信号が10ビットのアナログ‐デジタル装置で評価される場合、最大分解能は2つの磁石間の距離の1/1024に等しくてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6492911号明細書
【文献】米国特許第7126495号明細書
【文献】米国特許第8492704号明細書
【文献】米国特許第5907200号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、固定素子上に位置する検知素子の数を大幅に減らして、高分解能位置情報を生成することができるケーブルレスアブソリュートエンコーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、限定するものではないが、全般的には、全線形経路に沿って検出器を提供することによって、実施形態が可動ケーブルの必要性を回避するリニアエンコーダに関する。受動素子、すなわちパターンは、検出器によってカバーされた経路の全長に沿って検出器に対して移動する。検出器は、個々のまたはグループのアドレス指定によって区別することができ、全軌跡に沿う任意の点で、パターンの変位、ひいては可動部分の変位を復号することができる。
【0014】
一実施形態では、経路は、線形であるが、本発明は、より大略的には、任意の経路形状に適用可能である。例えば、ロータリーエンコーダに対して円形経路を使用することができるであろう。その場合、本実施形態は、具体的には、ダイレクトドライブモータによく見られるような大径の場合に適用可能である。
【0015】
本実施形態の構成では、センサの配列が経路に沿って設けられる。可動素子の所与の位置について、第1の数のセンサは、機械検知可能素子に近接することで、アクティブとなる。残りのセンサは、機械検知可能素子に近接せず、非アクティブである。したがって、可動素子の任意の所与の位置において、一部のセンサはアクティブであり、一部のセンサは非アクティブである。これは、機械検知可能素子が経路に沿って配置され、センサが常に1つの素子または他の素子に近接しているために全てのセンサが常にアクティブである、ヴィラレ(Villaret)の特許文献3の従来技術とは対照的である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、固定部分および可動部分を有する、線形位置測定装置用のリニアエンコーダが提供される。エンコーダは、第1の移動端位置と第2の移動端位置との間の線形移動範囲に沿って、前記固定部分と前記可動部分との間の相対変位を測定および符号化するように設計されている。エンコーダは、
前記部分のうちの第1に所定のパターンで配列された複数の機械検知可能素子であって、パターンは、パターンの長さに沿って変化する特性を含む、機械検知可能素子と、
前記第1の移動端位置と前記第2の移動端位置との間の前記線形移動範囲の全体に沿う前記部分のうちの第2に沿って配列された複数の均一に配置されたセンサであって、これにより前記変位を測定および符号化する、センサと、を備える。
【0017】
一実施形態では、前記第1の部分は、前記可動部分であり、前記第2の部分は、前記固定部分である。
一実施形態では、前記所定のパターンの長さは、前記全範囲よりも短い。
【0018】
一実施形態では、均一に配置されたセンサはそれぞれ、固有のアドレスを有する。
一実施形態では、均一に配置されたセンサは、光学式センサ、磁気式センサ、誘導式センサ、容量式センサ、光電式センサおよび渦電流センサからなるセンサ群のうちの1つの部材を含む。
【0019】
一実施形態では、前記機械検知可能素子は、光学素子、磁気素子、誘導素子、容量素子、および金属フィールド摂動素子からなる群のうちの1つの部材である。
一実施形態では、前記所定のパターンは、繰り返しセグメントのシーケンスを規定し、それぞれのセグメントは、前記特性の1サイクルの変化を含む。
【0020】
一実施形態では、前記セグメントは、均一に離間した所定数のセンサに等しい長さに亘って広がる。
一実施形態では、前記機械検知可能素子は、第2の変化特性を有する。
【0021】
例示的な実施形態は、前記長さの開始を前記センサに示すために、前記パターンの外側に配置された付加的な機械検知可能素子を含んでもよい。
本発明の第2の態様によれば、全線形変位長に亘って、2つの部分間の相対変位を絶対線形符号化する方法が提供される。方法は、
前記全変位長に亘って離間した複数のセンサを提供することと、
機械検知可能素子の所定のパターンを提供することであって、前記パターンは、前記パターンに沿う距離に亘って変化する特性を含む、提供することと、
前記変位長に亘って前記複数のセンサに対して前記パターンを線形に変位させることと、
前記複数のセンサを使用して、前記変位を測定することと、を含む。
【0022】
一実施形態では、前記センサは、前記変位長に亘って均一に分布している。
方法は、均一に分布した所定数のセンサに等しい長さに亘って延在する前記パターンを延在させることを含んでもよい。
【0023】
方法は、前記複数の均一に分布したセンサへパターンの開始または終了を示すために、前記パターンの第1の端部に付加的な検知可能素子を設けることを含んでもよい。
一実施形態では、前記パターンは、リニアモータの可動部分にあり、前記複数のセンサは、前記リニアモータの固定部分にある。
【0024】
方法は、前記複数のセンサのそれぞれに個々にアドレスを指定することを含んでもよい。
一実施形態では、前記パターンの長さは、前記変位長よりも短い。
【0025】
一実施形態では、前記付加的な機械検知可能素子は、前記所定のパターンの第1の機械検知素子の反復である。
方法の複数のセンサは、磁気式センサ、ホールセンサ、光学式センサ、誘導式センサ、および容量式センサのうちのいずれかであってもよく、また、利用可能であり得る任意の他の好適なセンサであってもよい。
【0026】
方法は、
アクティブなセンサとして機械検知可能素子に現在近接しているセンサを検出することと、
アクティブなセンサの位置に基づいて第1の絶対低分解能位置を算出することと、
Nビットのそれぞれを、N個の前記アクティブなセンサのブール出力値に設定することによって前記ビット数Nのコードを算出することであって、これにより、前記コードは、アクティブなセンサのうちの1つに対する中間分解能位置を定義する、算出することと、
前記第1の絶対低分解能位置値を前記第2の相対中間分解能位置値と組み合わせて、絶対中間分解能位置を算出することと、を含んでもよい。
【0027】
前記センサがアナログ値を出力する場合、方法は、
各センサアナログ出力値が、前記第1の特性を有する機械検知可能素子の所定の近接範囲にあることを示す範囲内にある場合、それぞれのアナログ出力を第1のブール値に設定し、そうでない場合には第2の値に設定することと、
前記センサのアナログ出力から高分解能位置を算出することと、をさらに含んでもよい。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、固定部分および可動部分を有する、線形位置測定フィードバック装置用のリニアエンコーダが提供される。エンコーダは、第1の移動端位置と第2の移動端位置との間の線形移動範囲に沿って、前記固定部分と前記可動部分との間の相対変位を測定および符号化するように設計されている。エンコーダは、
前記部分の第1に所定のパターンで配列された複数の機械検知可能素子と、
前記部分のうちの第2に沿って配列された複数の均一に配置されたセンサであって、前記センサは、任意の所与の時間において、前記複数のセンサのサブセットのみが機械検知可能素子に近傍検知状態であるように配置されている、センサと、を備える。
【0029】
他に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語または技術用語もしくは科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および材料と類似または同等の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および材料または例示的な方法もしくは材料を以下に記載する。紛争の場合、定義を含む特許明細書が支配することとなる。さらに、材料、方法、および実施例は、単なる例示に過ぎず、必ずしも限定的であることを意図していない。
【0030】
本発明の実施形態の方法およびシステムの両方または一方の実施は、選択されたタスクを手動で、自動で、またはこれらの組合せで行うことまたは完了することを伴うことができる。さらに、本発明の方法およびシステムの両方または一方の実施形態の実際の計装および機器によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、またはファームウェアによって、またはオペレーティングシステムを用いるこれらの組合せによって、実施することができるであろう。
【0031】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを行うためのハードウェアは、チップまたは回路として実施することができるであろう。ソフトウェアとして、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用するコンピュータによって実行される複数のソフトウェアの命令として実施することができるであろう。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明されるような方法およびシステムの両方または一方の例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって行われる。任意選択的に、データプロセッサは、命令およびデータの両方または一方を格納するための揮発性メモリ、ならびに/または、命令およびデータの両方または一方を格納するための不揮発性ストレージ(例えば、磁気ハードディスクおよびリムーバブルメディアの両方または一方など)を含む。任意選択的に、ネットワーク接続も同様に提供される。ディスプレイおよびユーザ入力装置(キーボードもしくはマウスなど)の両方または一方もまた任意選択的に設けられる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書で説明される。ここで図面を詳細に参照すると、示された詳細は、単なる例示であり、本発明の実施形態の説明を目的としていることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明により、本発明の実施形態がどのように実施され得るかが当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】負荷を有するリニアモータに適用されたリニアエンコーダを示す簡易図である。
図2】従来技術のリニアエンコーダを示す簡易図である。
図3】本発明の第1の実施形態によるリニアエンコーダを示す簡易図である。
図4】本発明の実施形態による、異なるレベルの分解能を使用して位置を算出するプロセスを示す簡易フローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による処理方法を示す簡易概略図である。
図6】本発明の一実施形態による、誘導検出に基づくリニアエンコーダを示す簡易概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、本発明のいくつかの実施形態において、位置エンコーダおよびフィードバック装置に関し、より具体的には、限定するものではないが、リニアモータなどのモータ、磁気アブソリュートリニアエンコーダへの特定の適用に関連して使用されるエンコーダに関する。エンコーダは、リニアモータ、ステッパモータ、アクチュエータ、または線形位置を測定する必要があり、典型的にはコントローラに送信する必要がある任意の他の使用に関する位置測定または転流切り替え用であってもよい。
【0035】
本実施形態は、可動素子の線形移動(ここではさらに移動経路と称される)の全範囲に亘って固定素子上に配列された一連のセンサと、単一トラック上の、例えば磁気素子である、可動素子に固定された検知可能素子のパターンと、を提供し、パターンの位置は、可動素子と固定素子との間の相対位置を測定するためにセンサによって検出することができる。
【0036】
検知可能素子およびセンサは、検知可能素子が少なくとも2つの特性を有することができ、近接する検知可能素子の特性に依存する値をセンサの出力が提供する、任意のタイプのものであり得る。
【0037】
例えば、以下は、可能な検知可能素子およびセンサの非網羅的なリストである。
・磁気式センサによって検知される永久磁石および空気
・磁気式センサによって検知される2つの極性の永久磁石
・誘導式センサによって検知される金属歯
・渦電流センサによって検知される導電性の歯
・光学装置によって検知される反射および非反射の光学的表面
本明細書において、好ましい実施形態は、第1の固定素子および第2の可動素子を参照して説明される。本発明はまた、第1の素子が可動であり、第2の素子が静的であるときはいつでも適用可能であることを理解されたい。
【0038】
一実施形態では、機械検知可能素子は、受動的であり、可動素子に固定されてもよく、したがって、可動ケーブルは不要であり、コスト節約と信頼性の改善の両方がもたらされる。本実施形態では、センサは、プリント回路基板上に直接取り付けられてもよく、電力供給および信号伝達のための静的接続部を備えてもよい。
【0039】
センサは、個々にアドレス指定可能であってもよく、あるいはアドレス指定可能な多数のグループに分割されてもよい。電子処理ユニットは、多数のセンサの出力値を読み出すことができ、また多数のセンサのアクティブ状態または非アクティブ状態を検出することもできる。
【0040】
本実施形態は、エンコーダに可動ケーブルまたはケーブルチェーンが不要であるので、より簡易かつより経済的なリニアモータを可能にする。
上記の特許文献3に記載されているような、回転式の場合に関する既知の利点は、線形式の場合に拡張することができる。回転式の場合は、絶対位置を与えるが、1回転のみであり、本実施形態は、回転式の場合から線形式の場合へアンラップするだけでなく、回転式の場合の1周期回転よりも長い長さスケールを可能にする。本実施形態は、従来技術の光学スケールシステムとほぼ同じ結果を有する磁気システムを、はるかに低コストで使用することができる。磁気システムを使用する従来のシステムは、それ自体が高価な部品であり、故障しやすい、ケーブルチェーンを含む。
【0041】
機械検知可能素子は、移動経路に沿う多数の連続した機械検知可能ユニットとして可動素子に固定されたエンコーダヘッド上に配列される。それぞれの機械検知可能ユニットは、所定のパターンに従って配設された多数の機械検知可能素子を含む。パターンは、上で参照された、2008年5月28日に出願されたヴィラレ(Villaret)らの特許文献3に記載されているように設計することができる。該文献に開示されているように、パターン設計は、N個のセンサを規定することができる。数Nは、2つのセンサ間の距離のN倍であるとして、検知可能ユニットの長さを規定する。
【0042】
所定のパターンは、所与の数の連続するセグメント長を規定し、それぞれのセグメントは、長さおよび特性を有する。それぞれのセグメント位置において、割り当てられた長さおよび特性の1つの機械検知可能素子を固定してもよい。典型的には、いくつかの機械検知可能ユニットは、それぞれのセグメントに固定された1つの機械検知可能素子を有するが、他の機械検知可能ユニットは、セグメントに固定された、より少ない数の検知可能素子を有してもよい。典型的には、センサのタイプに応じて、2つのセグメント特性を規定することができる。例として、以下が挙げられる。
【0043】
・S極の極性磁石またはN極の極性磁石
・磁石ありまたは磁石なし
・反射光学面または吸収光学面
・歯ありまたは歯なし
機械検知可能ユニットは、機械検知可能素子の構成を定義する仮想物体であってもよい。機械検知可能素子が検知可能ユニットのセグメントに設置されていないときはいつでも、そのセグメント位置に物理的な支持材料を要しない。
【0044】
センサ間隔は、検知可能ユニット長の1/Nに等しくなるように設定することができる。
エンコーダヘッドは、常に機械検知可能素子に近接して少なくともN個のセンサが常に存在することを保証するのに十分な数の検知可能ユニットを含むことができる。それぞれのセンサには、経路の方向に配置順序に従ってアドレスを割り当てることができる。エンコーダヘッド、および機械検知可能素子の配置のさらなる要件は、それぞれの位置において、アクティブなセンサの、Nをモジュロとする全てのアドレスが、範囲0~N-1の全てをカバーすること、すなわち、任意の位置において、かつ0~N-1の範囲内の任意の数nに対して、modulo(A,N)=nを満たすアドレスAを有するアクティブなセンサが存在することである。
【0045】
機械検知可能ユニットの全てのセグメントに機械検知可能素子が装着される場合、機械検知可能ユニットの最小数は1である。
エンコーダヘッドが経路に沿って移動するにつれて、検知可能素子に近接するセンサは、近接する機械検知可能素子の特性に関するアナログ値を出力する。可動素子の移動の間、所与のセンサに近接する機械検知可能素子の特性は、このように、第1の特性と第2の特性との間で変化し得る。次いで、センサのアナログ値出力は、第1の値の範囲から第2の値の範囲に遷移することができる。
【0046】
好ましくは、任意の検知可能素子に近接していない(ここではさらに「非アクティブ」と命名される)センサは、所定の値を出力することができる。
第1のステップでは、センサごとの電子処理ユニットによって、センサ出力値が第1の値の範囲または第2の値の範囲にあることを示すバイナリ値が推測される。アクティブなセンサのバイナリ値を組み合わせて、1組のN個のアクティブなセンサの範囲内の第1の大まかな位置値のグレイコード特性を付与する。
【0047】
上記の特許文献3は、図3に線形の実施形態を有することに留意されたい。同文献に開示されているように、センサは、好ましくは可動素子上にあり、機械検知可能素子のパターンは、移動経路の全長をカバーするように数回複製される。別の態様では、特許文献3の実施形態は、絶対位置ではなく増分位置を提供し、得られる位置は、パターンの1つの未知の周期だけに関連する。
【0048】
対照的に、本実施形態は、測定すべき全長に亘って延在するセンサを有してもよく、機械検知可能素子に対向するセンサのみが任意の所与の時間にアクティブである。
絶対位置は、3つのステップで算出することができる。すなわち、
(1)多数のセンサのアクティブ状態または非アクティブ状態をチェックし、これにより第1の低分解能位置を算出する。アクティブなセンサを検出する方法については、以下で説明する。位置の低分解能は、およそN個のセンサ間隔の長さであり、位置データは、アクティブなセンサ位置を表す高精度値である。
【0049】
(2)N個のアクティブなセンサのバイナリ値から得られたコードを読み取ることによって、第2の中間分解能位置を判定する。第2の中間分解能は、特定のパターンの可能なコード数で割ったN個のセンサ間隔の長さによって規定される。
【0050】
(3)センサ出力アナログ値を読み取ることによって、高分解能位置を算出する。
パターン全体の形状が分かっているので、センサ信号は、キャリッジの正確な長さがどこにあるかを明らかにすることができ、キャリッジの領域外の他のセンサは、非アクティブのままである。センサは、動作可能であることを意味するアクティブであってもよく、または、動作しないことを意味する非アクティブであってもよいことに留意されたい。
【0051】
一実施形態では、センサはアナログ値を出力する。しかし、デジタルホールセンサのようなデジタル値を出力するセンサもまた適用可能である。その場合、上記のステップ1および2のみが適用可能であり、位置データは、中間分解能のみであってもよい。
【0052】
一実施形態では、センサは、1つまたは複数のプリント回路基板上の経路に沿って等しく分布される。第1の選択肢では、プリント回路導電ストリップは、センサ信号を電子処理ユニットに直接伝達する。第2の選択肢では、多数のセンサは、グループで相互接続される。グループごとに、中間処理ユニットは、センサからの出力を収集し、通信回線手段によってこれらを送出する。グループは、所与の長さに亘って延在するとして規定することができ、より小さいPCBモジュールの並置によって経路全体にセンサを配設することができ、それぞれのモジュールは、多数のセンサを収集する。このようなモジュールの概念により、多様な経路長に対して単一のモジュール設計を使用することができる。
【0053】
本実施形態を使用して、3つの異なる精度レベル、すなわち、粗い精度、中程度の精度および高分解能精度を使用して、位置を判定することができる。
エンコーダは、固定素子を含む経路に沿って移動する第1の素子の位置を測定することができる。センサは、経路に沿って、典型的には等距離の間隔で固定素子に固定される。エンコーダヘッドは、第1の可動素子に固定され、パターンは、機械検知可能ユニットのセグメントを画定する。多数のこれらの機械検知可能素子は、パターンを提供するために変化する1つまたは複数の特性の可変長または固定長のセグメントを提供することができる。機械検知可能素子は、センサに対して検知可能であるように、経路に近接してエンコーダヘッド上に固定されてもよい。センサおよび機械検知可能素子の位置、長さおよび特性は、経路に沿って規定される。
【0054】
位置を見つける方法は、アクティブなセンサとして機械検知可能素子に現在近接しているセンサを検出することを伴う。ここでは、簡易に、アクティブなセンサの位置に基づいて、第1の絶対低分解能位置を算出することができる。
【0055】
パターンを繰り返す繰り返しセグメントが提供されてもよく、セグメント間の好適な距離が選択されていれば、セグメントのそれぞれから所与の変位を別個に推定することができる。
【0056】
アナログセンサの場合、各センサアナログ出力値が、前記第1の特性を有する機械検知可能素子の所定の近接範囲にあることを示す範囲内にある場合、それぞれのアナログ出力を第1のブール値に設定し、そうでない場合には第2の値に設定する。
【0057】
次いで、Nビットのそれぞれを、N個のアクティブなセンサのうちのそれぞれのブール出力値に設定することによって、ビット数Nを使用してコードを算出することが可能である。これにより、コードは、アクティブなセンサのうちの1つに対する中間分解能位置を規定する。
【0058】
次に、第1の絶対低分解能位置値を第2の相対中間分解能位置値と組み合わせて、絶対中間分解能位置を算出することができる。
最後に、センサのアナログ出力から高分解能位置を算出することができる。
【0059】
本実施形態では、センサまたは機械検知可能素子が取り付けられたプリント回路基板が加熱されて、その結果、これらの膨張を回避または補償しなければならないことが既知である。
【0060】
多数の解決策が本明細書において提示され、例えば、熱膨張に対する感度がより低い材料にセンサを固定すること、または第2の例では、PCB自体を温度非感受性支持体に固定もしくは接着すること、または第3の例では、少なくとも一部がセンサ検知領域に近接しているPCBに小さな穴を設け、これらの穴を通る支持体材料に固定ピンを設け、PCBを支持体材料と同程度拡張させることが挙げられる。
【0061】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その応用において、以下の説明に記載され、ならびに/または図面および/もしくは実施例に例示される、構造の詳細および構成要素の配列および/もしくは方法に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施もしくは実行されることが可能である。
【0062】
ここで図面を参照すると、図1は、読取りヘッド15aとスケール15bとを含む従来技術のリニアエンコーダを有するリニアシステム10を示す概略図である。リニアシステムは、固定部分12および可動キャリッジ11を有する。可動キャリッジ11は、2つのリニアベアリング13aおよび13bによって固定部分12の上を摺動する。読取りヘッドは、上部が可動キャリッジ11に固定される一方、下部は、スケール15bに沿いかつ近接して移動する。読取りヘッドの下部には、リニアエンコーダがスケールパターンを検知するために使用されるセンサが含まれている。スケールは、読取りヘッドの下部の経路に沿いかつ近接して固定部分に接着されている。ケーブルチェーン16は、読取りヘッドに電力を提供し、位置データまたは信号をシステムコントローラ(図示せず)に送信するために使用される。ケーブルチェーンは、クランプ16aによってベース14に固定され、その端部は、可動読取りヘッド15aに固定されている。
【0063】
このようなシステムでは、ケーブルチェーンが、コストと故障の主な要因である。したがって、ケーブルチェーンを必要としないリニアエンコーダを提供することが所望されている。特に、例えば、チタヤット(Chitayat)による特許第5925943号明細書に示されているように、電気巻線が静的部分にあり、モータのケーブルチェーンを必要としないリニアモータの実施態様が存在する。同文献に開示されているように、ケーブルレスエンコーダは、完全にケーブルレスの解決策を提供することができる。
【0064】
図2は、2008年5月28日に出願されたヴィラレ(Villaret)らの特許文献3の図3から取ったリニアエンコーダを示す。リニアエンコーダ30は、図示のような機械検知可能素子31、すなわち、この場合、可動部材32上の単一の線形トラック上に担持される光学素子を利用する。光学式センサであるセンサ36.1~36.5は、固定部材34上に線形アレイ状に固定されている。
【0065】
図2において、可動部材32上の機械検知可能素子31はまた、光透過素子または光非透過素子などの光学素子でもあり、直線状に整列されている。これらは、それぞれ38a、38bおよび38cで示される3つの同様の周期に分割され、各周期は、20の増分位置すなわちセクタ41を含む。
【0066】
固定部材34は、同じく一直線状に整列し、互いに等間隔に離間している5つのセンサ36.1~36.5を担持する。固定部材34に対する可動部材32の初期位置において、5つのセンサ36.1~36.5のアレイは、光学素子の1周期の長さ、すなわち38a、38bまたは38cで示される1周期のパターンの長さに亘って延在している。
【0067】
図2に示すパターンは、線形かつ周期的である。周期38a~38cのそれぞれは、ロータリーエンコーダの真っ直ぐにされたバージョンと見なすことができる。
等しく分布されたセンサの例では、1周期をモジュロとして位置を想定する。この場合、n個のセンサについて「等しく分布される」という用語は、センサiにより検知された位置x(i)は、
1からnまでの全てのiについて、[(x(i+l)-x(i))modulo L]=±L/n
(式中、Lは1周期のパターンの長さである)の関係を検証するということを意味する。パターンは、読み出されたときにグレイコードを作り出すように配列されてもよい。グレイコードは、2つの連続する値が1桁だけ変化するバイナリコードであり、エラー修正の要素を提供するので、エンコーダで有用である。
【0068】
図2で説明した構成は、検知可能素子の単一のトラックに基づくグレイコード出力を提供するが、他のシステムは、典型的には、複数のトラックおよびいくつかのセンサのアレイを使用する。さらに、センサが均一に分布しているので、標準サイズの簡単な市販のセンサを提供することができる。
【0069】
図2に記載された構成では、測定された位置は、1パターン周期に関連している。したがって、位置情報は、1周期の長さのモジュロであり、絶対位置は、初期位置からの増分によって算出することができる。したがって、この構成は、アブソリュートエンコーダを提供しない。
【0070】
さらなる態様では、この構成は、可動ケーブルチェーンを必要としないが、可動素子は、移動経路よりも長く、したがって、大きなスペースおよび多数の検知可能素子を占有するので、コストが高く、ほぼ非実用的な大規模なシステムがもたらされる。
【0071】
ここで、本発明の第1の好ましい実施形態によるエンコーダが図示されている図3を参照する。図3において、線形装置50は、ここでも固定素子53および可動素子54を有する。可動素子は、固定部分53上の線形経路上をまたは固定部分53に近接して摺動することができる。可動部分54は、単一のトラック上に所定のパターンで配列された一連の機械検知可能素子56aおよび56bを有する。検知可能素子56aは、第1の特性、例えばN極の磁極性を有し、検知可能素子56bは、第2の特性、例えばS極の磁極性を有する。等間隔に配置されたセンサ58(58.1~58.12)は、PCB52上に配列され、固定部分に固定され、線形経路全体に沿って延在し、その結果、2つの部分の全ての相対運動をカバーするセンサが存在する。
【0072】
上述したように、本実施形態は、固定素子および可動素子に関連して説明され、したがって、ケーブルレスエンコーダを有利に提供する。可動ワイヤは、高価であり、機械的振動の原因であり、機械的故障を被る可能性がある。しかしながら、機械検知可能素子が固定素子上にあり、センサが可動素子上にある実施形態もまた可能である。
【0073】
センサ58は、信号伝達および電力供給のために内蔵された接続を有するプリント回路基板上に簡易に取り付けられている。
図3に示すように、センサは、図3のライン57によって概略的に示されるPCB上の導電ストリップによって、電子処理ユニット55に接続される。
【0074】
均一に配置されたセンサは、PCBの導電ストリップに配線で接続することができるそれぞれ固有のアドレスを有してもよい。
均一に配置されたセンサ58は、磁気式センサであってもよく、この場合、機械検知可能素子56は、磁石であってもよい。均一に配置された磁気式センサは、好都合には、ホールセンサであってもよい。一般に、磁気式リニアエンコーダは、能動的に磁化されたスケールかまたは受動的な(可変抵抗の)スケールかのいずれか一方を用いることができ、位置は、検知コイルまたはホール効果読取ヘッドもしくは磁気抵抗読取ヘッドを使用して検知することができる。
【0075】
比較的粗いものから比較的細かいものまでの範囲に及ぶ様々な分解能レベルが利用可能である。センサが光学式センサでない場合、典型的には数百マイクロメートル~数ミリメートルの範囲のスケール周期または測定間隔により、マイクロメートルのオーダーでの分解能が可能になり得る。
【0076】
あるいは、センサは、上記の図2のような光学式センサであってもよく、例えば、シャッタリング/モアレ原理、回折原理またはホログラフィック原理を用いてもよい。典型的な増分スケール周期または測定間隔は、数百ミリメートルからサブマイクロメートルの範囲まで変化してもよく、以下の補間により、ナノメートルほどの微細な分解能を提供することができる。
【0077】
本実施形態は、測定間隔の大きさにより分解能に課される任意の依存性を除去することができる。
さらなる代替例として、検知に、誘導式センサを使用することができる。誘導式手法は、汚染物質に対して堅牢であることが知られている。機械検知可能素子は、金属の穴によって、または延在する歯によって形成されてもよく、センサは、高周波数で動作する一連のインダクタであってもよい。
【0078】
容量式センサは、別の代替例である。容量式リニアエンコーダは、リーダとスケールとの間の静電容量を検知することで作動する。典型的な用途は、デジタルノギスである。欠点の1つは、局所的に比誘電率を変化させる場合がある不均一な汚れに対する感度である。
【0079】
さらなる代替例として、センサは、例えば、米国特許第3820110号明細書に開示されているような渦電流センサであってもよい。
再び図3を参照すると、エンコーダヘッド51は、可動素子54に固定されている。図3の特定の例では、2つの検知可能ユニット59aおよび59bが画定されている。検知可能ユニット59aには、8つの機械検知可能素子56aまたは56bが全体に取り付けられている。検知可能ユニット59bには、1つの機械検知可能素子56aだけが取り付けられている。
【0080】
キャリッジの長さが機械検知可能ユニットの長さの倍数であるときはいつでも、エンコーダヘッドは、複数の機械検知可能ユニットを含むことができる。アクティブなセンサの数は、特定のパターンに対して画定された最小N値よりも大きくてもよく、位置の複数の読み取り値が得られてもよい。複数の読み取り値は、位置読み取り値の不正確さの検出を要求する安全規則および安全基準に準拠するために有利に使用することができる。
【0081】
図3を参照すると、例えば、アドレス1~12がセンサ58に割り当てられている。検知可能ユニットの長さは、2つのセンサ間の距離のN=4倍である。
第1のステップでは、処理ユニットは、アクティブなセンサを検出する。好ましい実施形態では、機械検知可能素子は、N極の極性磁石またはS極の極性磁石である。その場合、センサは、ホールセンサであり、N極性磁石の正面にあるときに正の値を出力し、S極性磁石の正面にあるときに負の値を出力し、いずれの磁石の正面にもないとき、すなわちアクティブでないときに、ゼロに近い値を出力する。
【0082】
処理ユニットは、N=4個のアクティブなセンサを選択してもよい。図4では、例えば、アクティブなセンサ58.2、58.3、58.4および58.5が、アドレス2、3、4および5から選択されてもよい。
【0083】
それぞれの選択されたセンサには、出力が正の場合、ブール値V1が返され、出力が負の場合、ブール値V1は、0である。次に、デジタルコードが以下のとおり算出される。
【0084】
【数1】
2008年5月28日に出願されたヴィラレ(Villaret)らの上記特許文献3から、エンコーダのパターンは、前処理されたテーブルによって、アクティブなセンサのうちの1つに対して中程度の精度の位置を提供できることが知られている。それぞれのセンサの正確な位置はまた、処理ユニットに予めロードされていてもよい。したがって、中程度の絶対位置を算出することができる。
【0085】
高分解能位置を求めるために、センサ出力のアナログ値を使用することができる。特許文献3のように、センサの感度は、異なる特性を有する機械検知可能素子の正面にあるときに、2つの値の範囲の中間値でセンサ出力の少なくとも2つのアナログ値が存在することを保証するように設計される。次に、開示された補間アルゴリズムを使用して、絶対高分解能位置を算出することができる。
【0086】
一実施形態では、検知可能ユニットは、均一に離間したセンサのN=7に等しい長さに亘って延在する。このような構成は、7ビットの可能なコード(127)の効率的な使用を表す1つの検知可能素子の長さの範囲内の98個の位置の中程度の分解能を提供する。他の任意の数を使用することができ、センサによるビット使用の導出については、国際公開第2013/098803号を参照する。
【0087】
特許文献3とは対照的に、アクティブなセンサのセットは、位置によって変化する。
別の態様では、アクティブなセンサの数がNよりも大きい場合、すなわち、N+pである場合、N個のアクティブなセンサのセットを選択するために多数の組合せが利用可能であり、したがって、絶対位置の同数の読み取り値が算出され得る。同じ位置のこのような冗長な複数の読み取り値は、エンコーダを安全基準に準拠させるために使用することができる。
【0088】
線形トラック上のそれぞれのセンサの位置の固有の不正確さのために、トラックの初期較正が必要となる場合がある。較正は、初期セットアップ後または製造中に行われてもよく、または、それぞれの個々の機械のスタートアップ時にエンドユーザによって要求されるとおりに、または、それぞれの個々の機械のスタートアップ時かもしくはエンドユーザによって要求されるとおりに、プログラムされてもよい。
【0089】
センサのタイプに応じて、アクティブなセンサを検出するために様々な異なる構成および方法を使用することができる。
所与のパターンに対して、固定数N個のアクティブなセンサを使用して、コードを算出することができる。
【0090】
アクティブなセンサは、その移動長に沿って、エンコーダヘッドに近接しているものとして定義される。移動長は、2つの最端の機械検知可能素子間の経路の長さである。
1つの構成では、エンコーダヘッドは、複数P個(PはN以上である)のセンサ間隔である長さに亘って延在するように設計されている。エンコーダヘッドの端部がセンサと正確に位置合わせされている特定の場合には、アクティブなセンサの数は、P~P+1まで変化してもよい。
【0091】
処理ユニットは、ヌル読み取り値Vを有し、したがって非アクティブである、機械検知可能素子に近接していないセンサを検出する。アクティブなセンサは、所与の側から始まって全てのセンサを走査し、Vとは異なるアナログ値を有する第1のセンサを見つけることによって発見される。範囲は、第1のセンサから、Vから離れる値を有する最後のセンサまで延在する。特定の位置では、左または右のアクティブなセンサのアナログ値は、同じV値を有する場合があり、これは、センサが非アクティブであるからではなく、センサが遷移範囲にあるためである。
【0092】
しかしながら、検出されたアクティブなセンサの数が所定の値Pよりも小さいので、このような状況を検出することができる。PがNに等しい場合、検出されたアクティブな信号の数はN-1である。その結果は、処理ユニットが右側または左側の付加的なホールセンサを選択するかどうかとは無関係である。これは、2つのセンサは同じV0値を出力し、機械検知可能ユニットの長さだけ離れていることで、両方ともアクティブであれば、通常は同じ出力値を有するためである。PがNよりも大きい場合、処理ユニットは、N個のアクティブなセンサを選択することができる。
【0093】
第2の構成では、エンコーダヘッドの移動長は、複数P個のセンサ間隔にセンサ間隔のかなり小さい部分を加えたものになるように設計されている。さらに、エンコーダヘッドの移動長の一方の先端は、センサ間隔よりも大きい長さを有するパターンの最も長い機械素子が装着されるように設計され、近位のセンサに対するVとは異なる値を生成する。
【0094】
このような場合、アクティブなセンサの数は、N以上である定数Pである。P=Nの場合、両端のアクティブなセンサは、同じ値を有することができる。また、状況は、第1の構成について上述したような同じ考察によって解決することができる。
【0095】
P>Nの場合、処理ユニットは、第1のアクティブなセンサからN個のセンサをカウントして、N個のアクティブなセンサを常に選択することができる。
第3の構成では、複数X個のセンサ間隔である長さを有するエンコーダヘッド延長部の外側に、所与の特性Aの付加的な機械検知可能素子を配置することができる。ここで、Xは、所与のパターンに対する特性Aの機械センサ素子に近接したアクティブなセンサの最大可能数よりも大きい。付加的な機械素子に近接するX個以上のアクティブなセンサを検出することによって、アクティブなセンサの範囲の限界を見つけることができる。
【0096】
当業者であれば、アクティブなセンサの位置を特定し選択するための様々な他の構成および方法に想到することができる。
センサは固定素子上にあるので、実際には、センサはプリント回路基板に直接取り付けることができ、電力供給および信号伝達のための静的接続を備えることができる。
【0097】
ここで、位置に基づく低中間分解能位置および高分解能位置を算出するプロセスを示す簡易フローチャートである図4を参照する。
好ましい実施形態では、処理ユニットは、エンコーダの様々な算出を行うことができるマイクロコントローラまたはFPGAであってもよい。
【0098】
開始81は、処理ユニットの位置算出プロセスを開始するイベントを表す。このイベントは、例えば、通信回線を介して受信されたホストコンピュータまたはドライブからの要求であってもよい。
【0099】
モジュール82において、処理ユニットは、本明細書において上述した方法のうちの1つを使用して、アクティブなセンサの検索を実行する。
モジュール83において、処理ユニットは、N個のアクティブなセンサを選択し、Nをモジュロとするこれらのアドレスが0~N-1の範囲をカバーする。
【0100】
モジュール84において、処理ユニットは、以下の式を使用してコードを算出する。
【0101】
【数2】
Vは、アクティブなセンサ出力のブール値であり、アクティブなセンサが第1の特性の機械素子に近接している場合は、V=1であり、そうでない場合は、V=0である。次に、処理ユニットは、modulo(address,N)=n(式中、nは、Nより小さい所定の整数、すなわち、0≦n<Nである)を満たすアドレスを有するセンサS0に関連する中間分解能位置を読み取る。この相対位置は、エンコーダの選択されたパターンに対して確立された所定のテーブルによって与えられる。
【0102】
モジュール85において、絶対中間分解能位置は、中間分解能の相対位置にセンサS0の低分解能位置データを加算することによって算出される。このような低分解能位置は、特定のエンコーダ設計のデータを使用して、または較正プロセスの間に、高精度で事前記録されていてもよい。
【0103】
モジュール86において、アクティブなセンサの遷移アナログ出力のアナログ値は、特許文献3に記載されたものと同様のアルゴリズムによって処理される。
ここで、渦電流検出に基づくリニアエンコーダを示す簡易図である図5を参照する。可動部分は、パターン96を形成するように交互に金属素子92および非金属素子94が配列されたストリップが配置されたPCB90を有する。固定部分には、コイル100が取り付けられたPCB98がある。コイルが金属の測定近傍に来ると、渦電流がコイルで生成され、検出することができる。
【0104】
ここで、誘導式検出に基づくリニアエンコーダを示す簡易図である図6を参照する。可動部分は、パターンを形成するように配列された金属が存在しない穴114を有する金属ストリップ112が配置されたPCB110を有する。固定部分には、コイル120が取り付けられたPCB118がある。コイルが穴の測定近傍に来ると、インダクタンスは、コイルの共振を減少させ、検出することができる。
【0105】
上述したように、センサは、PCBに取り付けられてもよい。しかしながら、PCBは、熱に敏感であり、リニアモータが熱くなると、センサは、下にあるPCBの膨張によって位置を変える場合がある。センサの位置が変化し始めると、正確な測定が損なわれる。問題を解決することができる多数の方法がある。例えば、熱に敏感ではない材料の固定下地層にセンサを固定してもよい。あるいは、PCBの膨張がリニアモータ全体の膨張と一致するように、選択された単一の位置にPCBを取り付けてもよい。この代替例の変形例は、PCBに切欠き部分を提供し、この切欠き部分のそれぞれには、温度が安定している材料の下地プレートにセンサが取り付けられ、固定される。当業者は、他の多くの解決策に想到するであろう。
【0106】
一実施形態は、堅牢性、耐久性およびコストに関する改善を行いながら、光学アブソリュートエンコーダと同じかまたはより高いレベルの分解能を提供することができる磁気アブソリュートリニアエンコーダを提供することができる。
【0107】
本出願からの特許の存続期間中、多くの関連するセンサおよびリニアドライブおよびリニアモータが開発され、対応する用語の範囲がこのような新技術を全てアプリオリに含むことが意図されることが期待される。
【0108】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」およびこれらの派生語は、「含むがこれに限定されない」を意味する。
【0109】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み(including)、かつ限定される(limited to)」を意味する。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。
【0110】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよく、上記の説明は、この組合せが明示的に書かれたかのように解釈されるべきであることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の好適なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の記載された実施形態に好適なものとして提供されてもよく、上記の説明は、これらの別個の実施形態が明示的に書かれたかのように解釈されるべきである。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、かかる実施形態がこれらの要素なしで動作不能でない限り、これらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0111】
本発明は、その特定の実施形態と関連して記載されてきたが、当業者には多くの代替例、変更例および変形例が明らかであることが明白である。したがって、本発明は、添付の特許請求の趣旨および広い範囲内にある全てのかかる代替例、変更例および変形例を包含することが意図されている。
【0112】
それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願は、具体的かつ個々に、参照により本明細書に組み込まれると示されているのと同程度に、本明細書で言及された全ての刊行物、特許および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または識別は、かかる参照が本発明に対する従来技術として利用可能であることを認めるものと解釈されてはならない。セクション見出しが使用される限り、これらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6