(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】車両用押しボタンスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
H01H 21/00 20060101AFI20220215BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
H01H21/00 320F
B60R16/02 630Z
(21)【出願番号】P 2019022264
(22)【出願日】2019-02-12
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬原 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】谷山 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】高妻 宏行
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-179263(JP,A)
【文献】特開2002-188328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 21/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(B)もしくは当該車体(B)に開閉可能に取付けられるリッド(15)に固定されるケース(23)と、押圧操作を可能として前記ケース(23)に支持される押しボタン(44)と、当該押しボタン(44)の押圧操作に応じてスイッチング態様を変化させるようにして前記ケース(23)内の収容室(40)に収容されるとともに当該ケース(23)に支持されるスイッチ(24)とを備える車両用押しボタンスイッチ装置において、前記スイッチ(24)が、そのスイッチング作動方向(46)を前記押しボタン(44)の押圧操作方向(45)とは異ならせて前記ケース(23)に支持され、前記押しボタン(44)および前記スイッチ(24)間に、前記押しボタン(44)の押圧操作に応じて作動して前記スイッチ(24)を前記スイッチング作動方向(46)に押圧する押圧方向変換部材(47)が介設されることを特徴とする車両用押しボタンスイッチ装置。
【請求項2】
前記押圧方向変換部材(47)が、前記スイッチング作動方向(46)と直交する方向での前記スイッチ(24)に対する当該押圧方向変換部材(47)の相対位置を一定に定めつつ前記スイッチング作動方向(46)に摺動することを可能として前記ケース(23)に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の車両用押しボタンスイッチ装置。
【請求項3】
前記押圧方向変換部材(47)を前記スイッチング作動方向(46)とは反対側に付勢するコイルばね(62)が、当該コイルばね(62)の中心軸線が前記スイッチ(24)の中心軸線(C1)と同軸になるようにして、前記押圧方向変換部材(47)および前記ケース(23)間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用押しボタンスイッチ装置。
【請求項4】
前記押圧方向変換部材(47)の前記押しボタン(44)側の端部に、前記押しボタン(44)からの押圧力を受ける受圧部(47a)が設けられ、当該受圧部(47a)が前記押しボタン(44)側に膨らんだ円弧状の縦断面形状を有するように形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用押しボタンスイッチ装置。
【請求項5】
前記押しボタン(44)が
、前記ケース(23)に形成され
て前記収容室(40)に連通する開口部(32)を閉じるようにして前記ケース(23)に支持される弾性材料製のカバー部材(39)と、前記コイルばね(62)で付勢された前記押圧方向変換部材(47)とで挟持されることを特徴とする請求項3に記載の車両用押しボタンスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体もしくは当該車体に開閉可能に取付けられるリッドに固定されるケースと、押圧操作を可能として前記ケースに支持される押しボタンと、当該押しボタンの押圧操作に応じてスイッチング作動するようにしつつ前記ケース内の収容室に収容されるとともに当該ケースに支持されるスイッチとを備える車両用押しボタンスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テールゲート等の車両用ドアのラッチ解除のための車両用押しボタンスイッチ装置が、特許文献1で知られており、このものでは、ユーザーが押しボタンの押圧操作後にそのままテールゲートをスムーズに開放できるようにするために、押しボタンの押圧操作方向と、スイッチのスイッチング作動方向とは、テールゲートの開き方向と同じ方向に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、車体への組み付けレイアウト等によっては、押しボタンの押圧操作方向と、スイッチのスイッチング作動方向とを異ならせる必要がある場合があり、押しボタンでスイッチを直接押圧操作する構造では、スイッチのスイッチング作動が不良となる可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、押しボタンの押圧操作方向と、スイッチのスイッチング作動方向とが異なる場合でも、スイッチのスイッチング動作を確実なものとすることができるようにした車両用押しボタンスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車体もしくは当該車体に開閉可能に取付けられるリッドに固定されるケースと、押圧操作を可能として前記ケースに支持される押しボタンと、当該押しボタンの押圧操作に応じてスイッチング作動するようにしつつ前記ケース内の収容室に収容されるとともに当該ケースに支持されるスイッチとを備える車両用押しボタンスイッチ装置において、前記スイッチが、そのスイッチング作動方向を前記押しボタンの押圧操作方向とは異ならせて前記ケースに支持され、前記押しボタンおよび前記スイッチ間に、前記押しボタンの押圧操作に応じて作動して前記スイッチを前記スイッチング作動方向に押圧する押圧方向変換部材が介設されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記押圧方向変換部材が、前記スイッチング作動方向と直交する方向での前記スイッチに対する当該押圧方向変換部材の相対位置を一定に定めつつ前記スイッチング作動方向に摺動することを可能として前記ケースに嵌合されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記押圧方向変換部材を前記スイッチング作動方向とは反対側に付勢するコイルばねが、当該コイルばねの中心軸線が前記スイッチの中心軸線と同軸になるようにして、前記押圧方向変換部材および前記ケース間に設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記押圧方向変換部材の前記押しボタン側の端部に、前記押しボタンからの押圧力を受ける受圧部が設けられ、当該受圧部が前記押しボタン側に膨らんだ円弧状の縦断面形状を有するように形成されることを第4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第3の特徴の構成に加えて、前記押しボタンが、前記ケースに形成されて前記収容室に連通する開口部を閉じるようにして前記ケースに支持される弾性材料製のカバー部材と、前記コイルばねで付勢された前記押圧方向変換部材とで挟持されることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、押しボタンおよびスイッチ間に、押しボタンの押圧操作に応じて作動してスイッチをスイッチング作動方向に押圧する押圧方向変換部材が介設されるので、押しボタンの押圧操作方向と、スイッチのスイッチング作動方向とが異なっていてもスイッチを確実に押圧操作することができる。
【0012】
また本発明の第2の特徴によれば、押圧方向変換部材が、スイッチング作動方向と直交する方向でのスイッチに対する相対位置を一定に定めつつケースに摺動可能に嵌合されるので、押圧方向変換部材およびスイッチのスイッチング作動方向と直交する方向での相対位置を確実に一定に保持してスイッチを確実に押すことができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば、押圧方向変換部材をスイッチング作動方向とは反対側に付勢するコイルばねの中心軸線が、スイッチの中心軸線と同軸であるので、スイッチの中心軸線に対してコイルばねの中心軸線がオフセットしている場合に比べると、押圧操作時にスイッチに作用する荷重のばらつきが少なくなり、荷重管理が容易となる。またオフセットしている場合には、荷重のばらつきを少なくするために複数のコイルばねが配設されることがあるが、1つのコイルばねで済むので部品点数の低減を図ることができる。
【0014】
本発明の第4の特徴によれば、押圧方向変換部材の押しボタン側の端部に設けられる受圧部が、円弧状の縦断面形状を有するように形成され、その受圧部に押しボタンからの押圧力が作用するので、押しボタンからの押圧力が押圧方向変換部材に効率よく伝達され、スイッチに押圧力を確実に伝達することができる。
【0015】
さらに本発明の第5の特徴によれば、押しボタンが、ケースに形成される開口部を閉じてケースに支持される弾性材料製のカバー部材と、コイルばねで付勢された押圧方向変換部材とで挟持されるので、押しボタンおよび押圧方向変換部材間でがたつきが生じるのを抑制し、商品性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】テールゲートおよび装飾カバーを省略した状態での
図2の3矢視方向から見た斜視図である。
【
図6】第1の押しボタンの押圧操作状態での車両用押しボタン装置の
図2に対応した縦断面図である。
【
図7】第1ケース部材および第1の押しボタンの下方から見た分解斜視図である。
【
図11】ケースへの押しボタンの回動支持部を拡大して示す斜視図である。
【
図12】第1の押しボタンへの圧力作用状態を示す簡略図である。
【
図14】第2ケース部材およびカバー部材を省略した状態での
図13の14矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について添付の
図1~
図15を参照しながら説明すると、先ず
図1において、乗用車両の車体Bの後部には、リッドであるテールゲート15が、上方に開放することを可能として開閉可能に取付けられており、このテールゲート15の上部にリヤガラス17が設けられる。前記テールゲート15におけるアウターパネル16の幅方向中央部には、前記リヤガラス17の下方に配置されるようにして装飾カバー19が固定され、この装飾カバー19の下方に配置されるライセンスプレート18が前記アウターパネル16の幅方向中央部に固定される。
【0018】
図2において、前記装飾カバー19は、前記テールゲート15側に開放しつつ前記テールゲート15から車両の後方に膨出するように形成されて前記テールゲート15の前記アウターパネル16に固定されており、当該装飾カバー19の前記テールゲート15側の開口縁部と、前記アウターパネル16との間には無端状に連なる第1のシール部材20が介装される。
【0019】
本発明に従う車両用押しボタンスイッチ装置21は、前記装飾カバー19内に収容されるようにして前記テールゲート15に取付けられる。この車両用押しボタンスイッチ装置21は、この実施の形態にあっては、前記テールゲート15以外の全ドアのロック状態およびアンロック状態を切換え可能とするとともに、前記テールゲート15をラッチ状態からアンラッチ状態へと切換えることができるものであり、前記装飾カバー19の底部には、前記車両用押しボタンスイッチ装置21を操作するための操作用開口部22が設けられる。
【0020】
図3~
図5を併せて参照して、前記車両用押しボタンスイッチ装置21は、前記アウターパネル16に固定されるケース23と、該ケース23に固定される第1および第2のスイッチ24,25とを備え、それらのスイッチ24,25は、この実施の形態ではタクトスイッチである。
【0021】
第1のスイッチ24は、前記テールゲート15以外の全ドアをアンロック状態とするとともに前記テールゲート15をアンラッチ状態とするためのものであり、押圧操作によって第1のスイッチ24のスイッチング態様が変化した状態で車両ユーザーが携帯した携帯器および車両間での双方向通信によって正規のユーザーであることが確認されると、前記テールゲート15以外の全ドアがアンロック状態となるとともに前記テールゲート15だけが電動駆動によって自動的にアンラッチ状態となり、開放状態となる。なお正規のユーザーであることが事前確認された後で第1のスイッチ24のスイッチング態様が変化することで前記テールゲート15以外の全ドアがアンロック状態となり、前記テールゲート15だけがアンラッチ状態となるようにしてもよい。
【0022】
また第2のスイッチ25は、前記テールゲート15以外の全ドアをロック状態とするためのものであり、押圧操作によって第2のスイッチ25のスイッチング態様が変化した状態で車両ユーザーが携帯した携帯器および車両間での双方向通信によって正規のユーザーであることが確認されると、前記テールゲート15以外の全ドアがロック状態となる。なお正規のユーザーであることが事前確認された後で第2のスイッチ25のスイッチング態様が変化することで前記テールゲート15以外の全ドアがロック状態となるようにしてもよい。このようにテールゲート15に設けられる車両用押しボタンスイッチ装置21が、前記テールゲート15以外の全ドアをロック状態とするための第2のスイッチ25を備えるのは、前記テールゲート15を閉じた後に他のドアをロックするために、運転席側のドアに設けられているロックスイッチをわざわざ押しに行くという面倒さをなくすためである。
【0023】
前記ケース23は、合成樹脂によってそれぞれ形成される第1および第2ケース部材29,30が結合されて成り、第1ケース部材29に形成される平坦な取付け板部29aが前記アウターパネル16に取付けられる。しかも前記第1ケース部材29は、前記ケース23が取付けられた前記テールゲート15が閉じ状態にあるときに、下方に向かって開放した碗状となるように形成される。一方、前記第2ケース部材30は、前記第1ケース部材29の下部開放端の一部を塞ぐようにして第1ケース部材29の下部開放縁部に結合される。この第2ケース部材30は、前記装飾カバー19の前記操作用開口部22からユーザーの手を挿入することを可能としつつ前記第1ケース部材29内に突入するようにして凹んだ第1の凹部31を有し、この第1の凹部31のうち前記テールゲート15の閉じ状態で後方位置となる部分に開口部32が形成される。
【0024】
前記第1ケース部材29には、車幅方向に間隔をあけた位置で前記取付け板部29aから突出する一対の第1の位置決めピン33が設けられるとともに、それらの第1の位置決めピン33の車幅方向外側に配置されるようにして前記取付け板部29aから突出する一対のボルト34がモールド結合される。また前記ケース23には、一対の前記第1の位置決めピン33間の中間部で前記取付け板部29aから突出するコネクタ部29bが一体に形成される。
【0025】
前記第1の位置決めピン33、前記ボルト34および前記コネクタ部29bは前記アウターパネル16を貫通するものであり、前記アウターパネル16を貫通した前記ボルト34に前記アウターパネル16の内側からナット35(
図2参照)を螺合して締め付けることで前記第1ケース部材29すなわち前記ケース23が前記アウターパネル16に取付けられる。
【0026】
しかも一対の前記第1の位置決めピン33の一方、一対の前記ボルト34の一方および前記コネクタ部29bを囲んで無端状に連なる第2のシール部材36と、一対の前記第1の位置決めピン33の他方および一対の前記ボルト34の他方を囲んで無端状に連なる第3のシール部材37とが、前記取付け板部29aおよび前記アウターパネル16間に介装される。
【0027】
前記第2ケース部材30には、当該第2ケース部材30が有する第1の凹部31に対応した形状を有して前記第1の凹部31内に配置される第2の凹部38を有しつつ、弾性材料たとえばゴムによって形成されるカバー部材39の外周縁部が取付けられており、このカバー部材39によって、前記開口部32が閉じられる。
【0028】
図6,図7を併せて参照して、前記ケース23は、前記開口部32に
連通する収容室40を内部に有するものであり、前記第1のスイッチ24および前記第2のスイッチ25は、前記収容室40に収容されつつ前記ケース23に支持される。すなわち前記ケース23の前記第1ケース部材29には、略水平にして車幅方向に長く延びる回路基板41が、前記第1ケース部材29に一体に突設された一対の第2の位置決めピン43で位置決めされた状態で複数たとえば一対のねじ部材42で締結され、この回路基板41の下面に前記第1のスイッチ24および前記第2のスイッチ25が配設される。
【0029】
前記第1のスイッチ24は、車幅方向で前記回路基板41の略中央部に配設され、前記第2のスイッチ25は、車幅方向で前記回路基板41の右側端部に配設される。
【0030】
ところで前記ケース23には、前記第1のスイッチ24をスイッチング作動させるための押圧操作を可能とする押しボタン44が支持されており、この押しボタン44の押圧操作方向は
図6の矢印45で示すように後方斜め上向きである。それに対して前記第1のスイッチ24は、ほぼ水平な回路基板41の下面に配設されているものであるので、前記第1のスイッチ24のスイッチング作動方向は、
図6の矢印46で示すようにほぼ上向きである。すなわち前記第1のスイッチ24は、そのスイッチング作動方向46を前記押しボタン44の押圧操作方向45とは異ならせつつ前記回路基板41を介して前記ケース23に支持されている。
【0031】
前記押しボタン44および前記第1のスイッチ24間には、前記押しボタン44の押圧操作に応じて作動して前記第1のスイッチ24を前記スイッチング作動方向46に押圧する押圧方向変換部材47が介設される。
【0032】
図8および
図9を併せて参照して、前記押圧方向変換部材47は、車幅方向に延びるとともに前記回路基板41とは反対側から前記第1のスイッチ24を跨ぐ受圧部47aと、当該受圧部47aの長手方向両端近傍に直角に連設されて前記回路基板41を貫通しつつ上方に延びる一対の第1の脚部47bと、前記回路基板41の上方で一対の前記第1の脚部47b間を結ぶ架橋部47cとを一体に有して、合成樹脂によって形成される。
【0033】
前記押圧方向変換部材47の前記押しボタン44側の端部に在る前記受圧部47aは、前記押しボタン44からの押圧力を受けるものであり、前記押しボタン44側に円弧状の縦断面形状を有するように形成される。しかも当該受圧部47aの前記第1のスイッチ24側に臨む面には、前記第1のスイッチ24に当接する平坦な当接面48を形成しつつ当該第1のスイッチ24の一部を収容する第2の凹部49が設けられる。
【0034】
前記回路基板41には、前記第1のスイッチ24の車幅方向両側に配置される一対の切欠き部50が形成され、前記押圧方向変換部材47が有する一対の前記第1の脚部47bはそれらの切欠き部50を貫通するように配置される。
【0035】
前記押圧方向変換部材47が有する一対の前記第1の脚部47bは、前記スイッチング作動方向46と直交する方向での前記第1のスイッチ24に対する押圧方向変換部材47の相対位置を一定に定めつつ前記スイッチング作動方向46に摺動することを可能として前記ケース23の前記第1ケース部材29に嵌合される。
【0036】
前記第1ケース部材29には、前記スイッチング作動方向46と直交する方向のうち車幅方向と直交する平面に沿って配置される一対の第1の規制面52を前記車幅方向に沿う両側に有する第1の摺動凹部51が、車両前後方向前方側および前記回路基板41側に開放するようにして設けられ、前記第1の規制面52には、前記スイッチング作動方向46に沿って延びる第1のガイド溝53がそれぞれ形成される。
【0037】
一方、前記第1の脚部47bには、前記第1のガイド溝53に摺動可能に嵌合する一対の第1突部55が当該第1の脚部47bの長手方向に間隔をあけて一体に突設されており、それらの第1突部55は前記第1のガイド溝53の幅に対応した直径を有する円形の横断面形状を有するように形成される。また一対の前記第1突部55間は、第1突部55の直径よりも小さな幅を有して前記第1の脚部47bに一体に突設される第1の連結突条56で相互に連結される。
【0038】
また前記第1の脚部47bには、前記第1突部55の車両前後方向に沿う前後に連なる第2突部57が突設されており、それらの第2突部57の外面は、前記第1の摺動凹部51の前記第1の規制面52に摺接すべく当該第1の規制面52側に向けて膨らんだ円弧状に形成される。
【0039】
すなわち前記第1の脚部47bの前記第1突部55が前記第1のガイド溝53に摺動可能に嵌合されることで、前記スイッチング作動方向46と直交する方向のうち車両前後方向での前記押圧方向変換部材47の変位が抑制され、前記第1の脚部47bの前記第2突部57が前記第1の規制面52に摺接することで、前記スイッチング作動方向46と直交する方向のうち車幅方向での前記押圧方向変換部材47の変位が抑制される。
【0040】
前記第1ケース部材29には、前記押圧方向変換部材47が有する一対の前記第1の脚部47b間に配置されるようにして前記第1の摺動凹部51の閉塞端から隆起する第1のばね受け部58と、その第1のばね受け部58の中心部から突出する棒状の第1のスプリングガイド59とが設けられる。一方、前記押圧方向変換部材47が有する前記架橋部47cには、前記第1のばね受け部58側に向かって開放した第3の凹部60と、前記第1のスプリングガイド59を挿通させるようにして前記第3の凹部60の中央部に通じる挿通孔61とが設けられており、前記第1のスプリングガイド59は、前記第3の凹部60および前記挿通孔61に挿通され、前記回路基板41の上面に前記第1のスプリングガイド59の先端部が当接される。
【0041】
前記押圧方向変換部材47の前記架橋部47cと、前記ケース23の第1ケース部材29における前記第1のばね受け部58との間には、前記押圧方向変換部材47を前記スイッチング作動方向46とは反対側に付勢する第1のコイルばね62が設けられる。
【0042】
この第1のコイルばね62は、その一部が前記架橋部47cの前記第3の凹部60に収容されるとともに前記第1のスプリングガイド59を同軸に囲繞するようにして前記架橋部47cおよび前記第1のばね受け部58間に縮設されており、前記第1のスプリングガイド59は前記第1のスイッチ24の中心軸線C1と同軸となるように配置される。すなわち前記第1のスプリングガイド59および前記第1のコイルばね62の中心軸線は前記第1のスイッチ24の中心軸線C1と同軸になる。
【0043】
前記第1のスイッチ24の車両前後方向後方で前記回路基板41上にはLED63が取付けられており、そのLED63を覆うインナーレンズ64が前記回路基板41に取付けられる。また前記ケース23の前記第2ケース部材30のうち前記インナーレンズ64に対応する部分の相互に隣接した2箇所は、前記ライセンスプレート18に向けて光を照射するためのアウターレンズ65として形成される。
【0044】
図10を併せて参照して、前記押しボタン44は、前記ケース23における前記開口部32に配置されるようにして略矩形状に形成される押しボタン主部44aと、その押しボタン主部44aの上部の車幅方向左側端部から突出する第1の軸部44bと、前記押しボタン主部44の上部の車幅方向右側端部から突出する第2の軸部44cと、前記押しボタン主部44の上部の車幅方向中央部に配設される第3の軸部44dとを一体に有するように形成される。
【0045】
また前記押しボタン主部44aの前記収容室40側に臨む面には、当該押しボタン主部44aの下端部寄りの車幅方向中央部に配置されるようにして平坦な押圧面66が形成されるとともに、複数の補強リブ44eが相互に交差するようにして一体に形成される。
【0046】
前記カバー部材39における前記第2の凹部38には、前記押しボタン主部44aの一部を前記収容室40側から嵌合させるようにして外方に膨らんだ第1の押圧操作部39aが形成される。また前記押しボタン44の前記押圧面66は、前記押圧方向変換部材47の前記受圧部47aに当接されるものであり、前記押しボタン44の前記押しボタン主部44aは、前記カバー部材39と、前記第1のコイルばね62で付勢された前記押圧方向変換部材47とで挟持されることになる。
【0047】
前記第1の軸部44b、前記第2の軸部44cおよび前記第3の軸部44dは、同軸の円形断面を有するように形成され、前記第3の軸部44dの下部を臨ませる透孔68が前記押しボタン主部44aに形成される。
【0048】
図11を併せて参照して、前記ケース23における前記第1ケース部材29の上部には、前記押しボタン44の前記第1~第3の軸部44b,44c,44dを回動可能に支持する第1、第2および第3の軸支持部69,70,71が設けられ、それらの軸支持部69~71は、車両前後方向後方に側に向かって開いた略C字状の横断面形状を有するように形成される。
【0049】
また前記押しボタン44と、前記ケース23の前記第1ケース部材29との間には、前記押しボタン44の押圧操作時に前記第1ケース部材29に対する前記第1~第3の軸部44b,44c,44dの位置ずれを規制する規制手段72が設けられる。
【0050】
この規制手段72は、前記押しボタン44に一体に設けられる複数の被規制部と、それらの被規制部に当接することを可能として前記ケース23の前記第1ケース部材29に一体に設けられる複数の規制部とで構成される。
【0051】
この実施の形態で前記被規制部は、前記押しボタン44の前記第1~第3の軸部44b,44c,44d、ならびに前記押しボタン44における前記押しボタン主部44aの上部から車両前後方向後方に向けて一体に突設される第1、第2および第3の被規制突部44f,44g,44hであり、また前記規制部は、前記ケース23の前記第1ケース部材29に一体に設けられる第1、第2および第3の軸支持部69,70,71、ならびに前記第1、第2および第3の被規制突部44f,44g,44hに当接するようにして前記ケース23の前記第1ケース部材29に一体に設けられる第1、第2および第3の規制部73,74,75である。
【0052】
前記第1の被規制突部44fは、前記第1の軸部44bに車幅方向内側から隣接する位置で前記押しボタン主部44aの上部から車両前後方向後方に向けて突出され、前記第2の被規制突部44gは、前記第2の軸部44cに車幅方向内側から隣接する位置で前記押しボタン主部44aの上部から車両前後方向後方に向けて突出され、前記第3の被規制突部44hは、前記第3の軸部44dを車幅方向両側から挟む2箇所で前記押しボタン主部44aの上部から車両前後方向後方に向けて突出される。
【0053】
また前記第1、第2および第3の規制部73,74,75は、車幅方向で前記第1、第2および第3の被規制突部44f,44g,44hに対応する位置で前記第1ケース部材29に一体に突設されるものであり、第3の規制突部75は、前記第3の軸部44dの両側の前記第3の被規制突部44hを共通に当接させるようにして車幅方向に長く形成される。
【0054】
図12において、前記押しボタン44の下端部に押圧操作力Fが作用する場合を想定すると、当該押しボタン44の前記押圧方向変換部材47との当接部が支点78となって前記押しボタン44の上部の第1~第3の軸部44b,44c,44dには矢印98で示す方向の力が作用することになり、その矢印98で示す方向への前記第1~第3の軸部44b,44c,44dの位置ずれは前記第1ケース部材29が一体に有する第1~第3の軸部69,70,71の内周に前記第1~第3の軸部44b,44c,44dが当接することで規制される。また前記押しボタン44への前記押圧操作力Fの作用に応じて前記押しボタン44には矢印99で示す方向すなわち車両前後方向後方への分力が作用するが、その矢印99で示す方向への前記第1~第3の軸部44b,44c,44dの位置ずれは前記第1ケース部材29が一体に有する第1~第3規制部73,74,75への前記第1~第3の被規制突部44f,44g,44hの当接によって規制される。
【0055】
しかも前記第1~第3の軸部44b,44c,44dの前記第1~第3の軸支持部69,70,71への当接部76が、前記第1~第3の軸部44b,44c,44dの中心軸線C2を中心とした半径Raの仮想円上に配置されるのに対して、前記第1~第3の被規制突部44f,44g,44hの前記第1~第3の規制部73,74,75への当接部77は、前記半径Raとは異なる半径Rb(この実施の形態ではRb>Ra)の仮想円上に在るように設定される。
【0056】
図13において、前記第2の凹部38よりも車幅方向右側で前記カバー部材39には、車両前後方向に長い長円形状を有しつつ外方に膨らんだ第2の押圧操作部39bが形成されており、この第2の押圧操作部39bへの押圧操作力の作用に応じてスライドして第2のスイッチ25をスイッチング作動させるスライダ81が前記ケース23の第1ケース部材29にスライド可能に支持される。
【0057】
図14および
図15を併せて参照して、前記スライダ81は、前記第2のスイッチ25を押圧することを可能として当該第2のスイッチ25に下方から対向するスイッチ押圧部81aと、前記回路基板41からはみ出すようにして車幅方向に長く延びるように形成されて前記スイッチ押圧部81aの車両前後方向前部に連設されるばね力作用部81bと、当該ばね力作用部81bの長手方向両端近傍に直角に連設されて前記回路基板41を貫通しつつ上方に延びる一対の第2の脚部81cと、車両前後方向に長い長円形状を有しつつ前記スイッチ押圧部81aおよび前記ばね力作用部81bに連なる受圧部81dと、当該受圧部81dの周方向に間隔をあけた4箇所から側方に突出される当接腕部81eを一体に有するようにして合成樹脂により形成される。
【0058】
前記ケース23の前記第2ケース部材30には、前記第2の押圧操作部39bに対応した貫通孔82が形成される。前記受圧部81dは、その一部が前記貫通孔82に挿通されつつ前記第2の押圧操作部39bに前記収容室40側から嵌合され、前記当接腕部81eは前記貫通孔82の周囲で前記第2ケース部材30に前記収容室40側から当接する。
【0059】
前記スライダ81が有する一対の前記第2の脚部81cは、前記第2のスイッチ25のスイッチング作動方向80と直交する方向での前記第2のスイッチ25に対する前記スライダ81の相対位置を一定に定めつつ前記スイッチング作動方向80に摺動することを可能として前記ケース23の前記第1ケース部材29に嵌合される。
【0060】
前記第1ケース部材29には、前記第2のスイッチ25の前記スイッチング作動方向80と直交する方向のうち車幅方向と直交する平面に沿って配置される一対の第2の規制面85を前記車幅方向に沿う両側に有する第2の摺動凹部84が、前記カバー部材39側に開放するようにして設けられ、前記第2の規制面85には、前記スイッチング作動方向80に沿って延びる第2のガイド溝86がそれぞれ形成される。
【0061】
一方、前記第2の脚部81cには、前記第2のガイド溝86に摺動可能に嵌合する一対の第3突部87が当該第2の脚部81cの長手方向に間隔をあけて一体に突設されており、それらの第3突部87は前記第2のガイド溝86の幅に対応した直径を有する円形の横断面形状を有するように形成される。また一対の前記第3突部87間は、第3突部87の直径よりも小さな幅を有して前記第2の脚部81cに一体に突設される第2の連結突条88で相互に連結される。
【0062】
また一対の前記第2の脚部81cのうち車幅方向右側に配置される第2の脚部81cの先端部には、前記第3突部87から突出する誤組防止リブ89が一体に突設されており、一対の前記第2の規制面85のうち車幅方向右側の第2の規制規制面85に設けられる前記第2のガイド溝86には、その第2のガイド溝86よりも幅の狭い誤組防止溝90が前記誤組防止リブ89を嵌合させるようにして前記第2のガイド溝86の長手方向に長く形成される。
【0063】
さらに前記第2の脚部81cには、前記第3突部87の車両前後方向に沿う前後に連なる第4突部91が突設されており、それらの第4突部91の外面は、前記第2の摺動凹部84の前記第2の規制面85に摺接すべく当該第2の規制面85側に向けて膨らんだ円弧状に形成される。
【0064】
すなわち前記第2の脚部81cの前記第3突部87が前記第2のガイド溝86に摺動可能に嵌合されることで、前記第2のスイッチ25の前記スイッチング作動方向80と直交する方向のうち車両前後方向での前記スライダ81の変位が抑制され、前記第2の脚部81cの前記第4突部91が前記第2の規制面85に摺接することで、前記第2のスイッチ25の前記スイッチング作動方向80と直交する方向のうち車幅方向での前記スライダ81の変位が抑制される。
【0065】
前記第1ケース部材29には、前記スライダ81が有する前記ばね力作用部81bに対応した位置で前記第2の摺動凹部84の閉塞端から隆起する第2のばね受け部93と、その第2のばね受け部93から突出する棒状の第2のスプリングガイド94とが設けられる。一方、前記スライダ81が有する前記ばね力作用部81bには、前記第2のばね受け部93側に向かって開放した第4の凹部95が設けられており、前記第2のばね受け部93と、前記ばね力作用部81bにおける前記第4の凹部95の閉塞端との間には、前記スライダ81を前記第2のスイッチ25の前記スイッチング作動方向80とは反対側に付勢するようにして前記第2のスプリングガイド94を囲繞する第2のコイルばね96が設けられる。
【0066】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、第1のスイッチ24が、そのスイッチング作動方向46を押しボタン44の押圧操作方向45とは異ならせてケース23に支持され、前記押しボタン44および前記第1のスイッチ24間に、前記押しボタン44の押圧操作に応じて作動して前記第1のスイッチ24を前記スイッチング作動方向46に押圧する押圧方向変換部材47が介設されるので、前記押しボタン44の押圧操作方向45と、前記第1のスイッチ24の前記スイッチング作動方向46とが異なっていても第1のスイッチ24を確実に押圧操作することができる。
【0067】
また前記押圧方向変換部材47が、前記スイッチング作動方向46と直交する方向での前記第1のスイッチ24に対する当該押圧方向変換部材47の相対位置を一定に定めつつ前記スイッチング作動方向46に摺動することを可能として前記ケース23に嵌合されるので、前記押圧方向変換部材47および前記第1のスイッチ44のスイッチング作動方向46と直交する方向での相対位置を確実に一定に保持して第1のスイッチ24を確実に押すことができる。
【0068】
また前記押圧方向変換部材47を前記スイッチング作動方向46とは反対側に付勢する第1のコイルばね62が、当該第1のコイルばね62の中心軸線が前記第1のスイッチ24の中心軸線C1と同軸になるようにして、前記押圧方向変換部材47および前記ケース23間に設けられるので、第1のスイッチ24の中心軸線C1に対して第1のコイルばね62の中心軸線がオフセットしている場合に比べると、押圧操作時に第1のスイッチ24に作用する荷重のばらつきが少なくなり、荷重管理が容易となる。またオフセットしている場合には、荷重のばらつきを少なくするために複数のコイルばねが配設されることがあるが、単一である第1のコイルばね62を用いれば済むので部品点数の低減を図ることができる。
【0069】
また前記押圧方向変換部材47の前記押しボタン44側の端部に、前記押しボタン44からの押圧力を受ける受圧部47aが設けられ、当該受圧部47aが前記押しボタン44側に膨らんだ円弧状の縦断面形状を有するように形成されるので、円弧状の縦断面形状を有する受圧部47aに前記押しボタン44からの押圧力が作用することにより、前記押しボタン44からの押圧力が前記押圧方向変換部材47に効率よく伝達され、第1のスイッチ24に押圧力を確実に伝達することができる。
【0070】
また前記押しボタン44が、前記ケース23に形成されて前記ケース23内の収容室40に連通する開口部32を閉じるようにして前記ケース23に支持されるゴム製のカバー部材39と、前記第1のコイルばね62で付勢された前記押圧方向変換部材47とで挟持されるので、前記押しボタン44および前記押圧方向変換部材47間でがたつきが生じるのを抑制し、商品性を高めることができる。
【0071】
また前記押しボタン44および前記ケース23間には、前記押しボタン44の押圧操作時に前記押圧変換方向変換部材47が有する第1~第3の軸部44b,44c,44dの前記ケース23に対する位置ずれを規制する規制手段72が設けられるので、第1のスイッチ24に安定した押圧力を付与することができる。
【0072】
また前記規制手段72が、前記押しボタン44に一体に設けられる第1~第3の軸部44b,44c,44dおよび第1~第3の被規制突部44f,44g,44hと、第1~第3の軸部44b,44c,44dおよび第1~第3の被規制突部44f,44g,44hに当接することを可能として前記ケース23の第1ケース部材29に一体に設けられる第1~第3の軸支持部69,70,71および第1~第3の規制部73,74,75とで構成されるので、押しボタン44およびケース23以外の別の部材で位置ずれを防止する必要がなく、部品点数を低減することが可能となる。
【0073】
さらに第1~第3の軸部44b,44c,44dおよび第1~第3の被規制突部44f,44g,44hと、第1~第3の軸支持部69,70,71および第1~第3の規制部73,74,75との当接部76,77が、前記第1~第3の軸部44b,44c,44dの中心軸線C2を中心としつつ半径Ra,Rbの異なる複数の仮想円上に配置されるので、同一の中心軸線C2を基準とした寸法設定が可能であり、前記ケース23への前記押しボタン44の組み付けを可能としつつ位置ずれ防止を図るための最適な寸法設定を容易に行なうことができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0075】
たとえば本発明の車両のトランクリッドに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0076】
15・・・リッドであるテールゲート
23・・・ケース
24・・・スイッチ
32・・・開口部
39・・・カバー部材
40・・・収容室
44・・・押しボタン
45・・・押圧操作方向
46・・・スイッチング作動方向
47・・・押圧方向変換部材
47a・・・受圧部
62・・・コイルばね
B・・・車体
C1・・・中心軸線