(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法
(51)【国際特許分類】
H01C 13/00 20060101AFI20220215BHJP
C23C 18/08 20060101ALI20220215BHJP
C23C 18/31 20060101ALI20220215BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20220215BHJP
H01C 17/00 20060101ALI20220215BHJP
H01C 17/065 20060101ALI20220215BHJP
H01C 17/242 20060101ALI20220215BHJP
H01C 17/28 20060101ALI20220215BHJP
C22C 9/06 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
H01C13/00 J
C23C18/08
C23C18/31 A
C23C28/00 A
H01C17/00 100
H01C17/065 310
H01C17/065 700
H01C17/242
H01C17/28
C22C9/06
(21)【出願番号】P 2019095948
(22)【出願日】2019-05-22
(62)【分割の表示】P 2017142584の分割
【原出願日】2017-07-24
【審査請求日】2019-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521563219
【氏名又は名称】成電智慧材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェン‐シ
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-051054(JP,A)
【文献】国際公開第2009/084593(WO,A1)
【文献】特開平08-138902(JP,A)
【文献】特開昭57-088716(JP,A)
【文献】特開2016-092127(JP,A)
【文献】特開平02-017612(JP,A)
【文献】特開2008-169447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/00
C23C 18/08
C23C 18/31
C23C 28/00
H01C 17/00
H01C 17/065
H01C 17/242
H01C 17/28
C22C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
(A)まず、基板の裏面に、印刷により、二つの連接しないで隔離された低い電位の裏面アルミやすず端電極が形成され、
また、前記基板の正面に、低い電位の正面アルミ端電極及び抵抗層全体が含まれるように、全面的に、低い電位の厚膜アルミゲルが印刷され、
前記厚膜アルミゲルは固形成分としてはアルミニウムとガラスのみを含有するものであり、
これにより、前記低い電位の正面アルミ端電極及び抵抗層が、両者の間にインターフェース無し、同一材料から一体形成されて、
その後、前記基板を、焼結炉において、200~900°Cの高温で、焼結作業を行って、
前記低い電位の裏面アルミやすず端電極と、前記低い電位の正面アルミ端電極及び抵抗層が含まれた低い電位の厚膜アルミゲルとが、前記基板に結合される、低い電位のアルミやすず端電極と抵抗層の印刷と焼結のステップと、
(B)印刷されて焼結された低い電位の厚膜アルミゲルを、犧牲層として、還元電位がやや高い金属溶液に浸漬させ、湿式化学置換反応を行って、やや高い還元電位の卑金属電極や卑金属合金電極及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層が得られる、浸漬めっきのステップと、
(C)浸漬めっきされた卑金属電極や卑金属合金電極及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層を、大気下において、乾燥させる、低温大気下において乾燥する処理のステップと、
(D)乾燥された卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層の上に、印刷によって、下塗り層が形成され、
前記下塗り層のサイズが、前記卑金属電極や卑金属合金電極に接触せずに、前記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に一致し、
その後、前記基板を、焼結炉で、150~700°Cの高温焼結作業を行って、前記下塗り層が、前記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に、フリッティングされる、下塗り層印刷と焼結のステップと、
(E)前記基板を、レーザカット装置において、レーザー光で、前記下塗り層上の前記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に対して、裁断作業を行って、前記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層の上に、必要とされる形状の調整槽が形成されて、前記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層の抵抗値が修正される、レーザカットのステップと、
(F)前記下塗り層表面の上に、更に、印刷によって、外塗り層が形成され、
前記外塗り層のサイズが、前記下塗り層より大きくて、一部の卑金属電極や卑金属合金電極に接触し、残り部分の卑金属電極や卑金属合金電極が露出され、
その後、前記基板を、焼結炉において、150~250°Cの焼結を行って、前記外塗り層が、前記下塗り層と一部の卑金属電極や卑金属合金電極にフリッティングされ、前記外塗り層により保護層が構成される、外塗り層印刷と焼結のステップと、
(G)前記保護層の上に
、チップ抵抗を表示する識別符号文字を印刷する、符号文字層印刷のステップと、
(H)板状の基板を、カレンダロールで、長尺状に裁断する、長尺状裁断のステップと、
(I)長尺状になった基板の両側面に、導電材質を印刷して、前記外塗り層の両端部の上方に、二つの側面端電極が形成され、前記側面端電極によって、前記卑金属電極や卑金属合金電極及び前記低い電位の裏面アルミやすずの低い電位端電極が覆われ、
その後、端電極側面導通印刷が終了された長尺状の基板を、焼結炉において、150~250°Cの焼結を行い、これにより、前記側面導通印刷された後の側面端電極が、前記卑金属電極や卑金属合金電極及び前記低い電位の裏面アルミやすず端電極にフリッティングされて、前記基板と同一側の前記低い電位の裏面アルミやすず端電極と、前記卑金属電極や卑金属合金電極とが、互いに導通され、前記側面端電極が、前記卑金属電極や卑金属合金電極に接触するため、前記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に導通される、端電極側面導通印刷のステップと、
(J)側面端電極焼結が終了された長尺状基板を、更に、カレンダロールで分割し、長尺状の基板から、連結したチップ抵抗を、複数の、卑金属電極や卑金属合金電極と、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層と、二つの低い電位の裏面アルミやすず端電極と、二つの側面端電極と、下塗り層と外塗り層からなる保護層と、を有する、独自の粒状体に形成する、造粒のステップと、
(K)粒状に形成されたチップ抵抗を、電気めっき槽において、ニッケルやすず鍍金作業を行って、チップ抵抗の導電材質からなる側面端電極の外部に、電気めっき層が形成され、その中、ニッケル鍍金が、前記卑金属電極や卑金属合金電極を保護するもので、すず鍍金が、チップ抵抗をPCBに溶接するものである、電気めっきのステップと、が含有され、
さらに、
前記ステップ(B)は、印刷焼結された低い電位のアルミゲルを、硫酸銅溶液と硫酸ニッケル溶液に浸漬し、銅イオンとニッケルイオンで、同時に、低い電位のアルミを、合金銅ニッケル電極と銅ニッケル抵抗層に還元させる、
ことを特徴とする高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法。
【請求項2】
請求項1に記載される高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法において、
前記チップ抵抗の抵抗値が、10mΩ~100Ωの範囲内にある、
ことを特徴とする高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法に関し、特に、高温還元雰囲気での熱処理で、卑金属電極や卑金属合金を形成することを必要としなく、厚膜印刷を利用して、低温や大気下において、焼結することにより、卑金属電極や合金電極及び抵抗を作製でき、大幅にコストダウンできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の厚膜印刷電極は、例えば、銀やパラジウムゲルの高い貴金属であれば、大気下において、高温焼結により高伝導電極を形成できるが、例えば、銅やニッケルゲル等の安い卑金属を厚膜印刷する場合、卑金属の高温下においての酸化反応を防止するために、還元雰囲気下において、焼結することが必要となる。
【0003】
また、いままで、合金電極や抵抗を作製する場合、高温や適当な焼結雰囲気下で、それぞれの金属材料を合金材料に合成してから、後工程で、必要とする素子を作製する。合金工程は、高温や格別の雰囲気下で行わなければならないため、合金材料のコストが高くなっている。
【0004】
銅やニッケル等の卑金属電極材料は、銀やパラジウム等の貴金属電極材料と異なり、熱処理の時、容易に酸化現象が発生するため、従来の厚膜卑金属電極や卑金属合金を作製する時、シルクスクリーンで厚膜成形してから、高温還元雰囲気下で熱処理を行うことにより、卑金属電極や卑金属合金が形成され、これにより、卑金属の酸化減少を防止できるが、工程のコストが高くなり、そのため、一般の従来のものは、実用的ではない。
【0005】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、従来の上記問題を解消でき、厚膜印刷で、低温と大気下においての焼結により、卑金属電極や合金電極及び抵抗を作製できる、高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法を提供する。
【0007】
本発明の他の目的は、安くて低い電位金属を、厚膜ゲル(例えば、アルミやすず等である)に作製して、シルクスクリーン成形焼結で、低い電位金属層を犧牲層として、やや高い還元電位の金属溶液に浸漬して湿式化学置換反応を行わせて、やや高い還元電位の金属電極が得られるか、異なる、複数のやや高い還元電位の金属溶液を混合した溶液に浸漬して湿式化学置換反応を行わせて、異なる組合せである合金が得られる、高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法を提供する。
【0008】
本発明の更に他の目的は、従来の高温還元雰囲気における熱処理により、卑金属電極や卑金属合金の特性を得ることを必要とせず、大幅に卑金属や合金の作製コストを低下でき、また、国内の厚膜印刷産業の作製方式に合わせて、大幅に技術効率を向上できる高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するため、高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法であり、少なくとも、(A)まず、基板の裏面に、印刷により、二つの連接しないで隔離された低い電位の裏面アルミやすず端電極が形成され、また、上記基板の正面に、低い電位の正面アルミやすず端電極及び抵抗層全体が含まれるように、全面的に、低い電位の厚膜アルミやすずゲルが印刷され、これにより、上記低い電位の正面アルミやすず端電極及び抵抗層が、両者の間にインターフェース無し、同一材料から一体形成されて、その後、上記基板を、焼結炉において、200~900°Cの高温で、焼結作業を行って、上記低い電位の裏面アルミやすず端電極と、上記低い電位の正面アルミやすず端電極及び抵抗層が含まれた低い電位の厚膜アルミやすずゲルとが上記基板に結合され、低い電位のアルミやすず端電極と抵抗層印刷との焼結のステップと、(B)印刷されて焼結された低い電位の厚膜アルミやすずゲルを犧牲層として、還元電位がやや高い金属溶液に浸漬させ、湿式化学置換反応を行って、やや高い還元電位の卑金属電極や卑金属合金電極及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層が得られる、浸漬めっきや電気めっきのステップと、(C)浸漬めっきや電気めっきされた卑金属電極や卑金属合金電極及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層を、大気下において乾燥させるか、更に、低温還元雰囲気において焼結させる、低温大気下において乾燥するか還元雰囲気において焼結する、熱処理のステップと、(D)乾燥された還元雰囲気において焼結された卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層の上に、印刷によって下塗り層が形成され、上記下塗り層のサイズが、上記卑金属電極や卑金属合金電極に接触ぜずに、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に一致し、その後、上記基板を、焼結炉で150~700°Cの高温焼結作業を行って、上記下塗り層が、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に、フリッティングされる、下塗り層印刷と焼結のステップと、(E)上記基板を、レーザカット装置において、レーザー光で、上記下塗り層上の上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に対して、裁断作業を行って、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層の上に、必要とされる形状の調整槽が形成されて、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層の抵抗値が修正される、レーザカットのステップと、(F)上記下塗り層表面の上に、更に、印刷によって、外塗り層が形成され、上記外塗り層のサイズが、上記下塗り層より大きくて、一部の卑金属電極や卑金属合金電極に接触し、残り部分の卑金属電極や卑金属合金電極が露出され、その後、上記基板を、焼結炉において、150~250°Cの焼結を行って、上記外塗り層が、上記下塗り層と一部の卑金属電極や卑金属合金電極にフリッティングされ、上記の内、外塗り層により保護層が構成される、外塗り層印刷と焼結のステップと、(G)上記保護層の上に、上記チップ抵抗を表示する識別符号文字を印刷する、符号文字層印刷のステップと、(H)板状の基板を、カレンダロールで、長尺状に裁断する、長尺状裁断のステップと、(I)長尺状になった基板の両側面に、導電材質を印刷して、上記外塗り層の両端部の上方に、二つの側面端電極が形成され、上記らの側面端電極によって、上記卑金属電極や卑金属合金電極及び上記らの裏面アルミやすずの低い電位端電極が覆われ、その後、端電極側面導通印刷が終了された長尺状の基板を、焼結炉において、150~250°Cの焼結を行い、これにより、上記側面導通印刷された後の側面端電極が、上記卑金属電極や卑金属合金電極及び上記低い電位の裏面アルミやすず端電極にフリッティングされて、上記基板と同一側の上記らの低い電位の裏面アルミやすず端電極と、上記卑金属電極や卑金属合金電極とが、互いに導通され、上記らの側面端電極が、上記卑金属電極や卑金属合金電極に接触するため、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層に導通される、端電極側面導通印刷のステップと、(J)側面端電極焼結が終了された長尺状基板を、更に、カレンダロールで分割し、長尺状の基板から、連結したチップ抵抗を、複数の、卑金属電極や卑金属合金電極と、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層と、二つの低い電位の裏面アルミやすず端電極と、二つの側面端電極と、下塗り層と外塗り層からなる保護層と、を有する、独自の粒状体に形成する、造粒のステップと、(K)粒状に形成されたチップ抵抗を、電気めっき槽において、ニッケルやすず鍍金作業を行って、チップ抵抗の導電材質からなる側面端電極の外部に、電気めっき層が形成され、その中、ニッケル鍍金が、上記卑金属電極や卑金属合金電極を保護するもので、すず鍍金が、チップ抵抗をPCBに溶接するものである、電気めっきのステップと、が含有され、このように作製されたチップ抵抗の卑金属電極や卑金属合金電極が、例えば、自動車用や基地局及びLED灯のような耐硫化性チップ抵抗に応用できる。
【0010】
本発明の実施例によれば、上記ステップ(B)は、印刷焼結された低い電位のアルミやすずゲルを、硫酸銅溶液や硫酸ニッケル溶液、或いは硫酸銅溶液と硫酸ニッケル溶液に浸漬し、銅イオンで、低い電位のアルミやすずを、銅電極や銅抵抗層に還元させ、ニッケルイオンで、低い電位のアルミやすずを、ニッケル電極やニッケル抵抗層に還元させ、或いは、銅イオンとニッケルイオンで、同時に、低い電位のアルミやすずを、合金銅ニッケル電極と銅ニッケル抵抗層に還元させる。
【0011】
本発明の実施例によれば、上記チップ抵抗の抵抗値が、10mΩ~100Ωの範囲内にある。
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明のチップ抵抗と従来のチップ抵抗との構成断面概念図である。
【
図3】本発明の厚膜アルミゲルの浸漬めっきや電気めっき置換反応された後のサンプル写真である。
【
図4】本発明の厚膜アルミゲルの浸漬めっきや電気めっき置換反応された後の微構成写真である。
【
図5】本発明のチップ抵抗の湿式工程の素子電気特性概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図5は、それぞれ、本発明の作製流れ概念図や、本発明のチップ抵抗と従来のチップ抵抗の構成断面概念図、本発明の厚膜アルミゲルの浸漬めっきや電気めっき置換反応後のサンプル写真、本発明の厚膜アルミゲルの浸漬めっきや電気めっき置換反応後の微構成写真及び、本発明のチップ抵抗の湿式工程の素子電気特性 概念図である。図のように、本発明は、大気下において、焼結して、高伝導率卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗を作製できる方法であり、厚膜印刷湿式工程に合わせて、アルミナセラミック基板を利用して、順に、低い電位のアルミやすず端電極と抵抗層印刷及び焼結や、浸漬めっきや電
気めっき、低温大気下においての乾燥や還元雰囲気においての焼結による熱処理、下塗り層印刷と焼結、レーザカット、外塗り層印刷と焼結、符号文字層印刷、長尺状裁断、端電極側面導通印刷、造粒及び、電気めっき等のステップを経て、高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗が得られる。
図1のように、本発明に係る高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の工程は、主として、下記のステップが含有される。
【0015】
低い電位のアルミやすず端電極と抵抗層の印刷と焼結のステップs100は、まず、基板10の裏面において、適当な箇所に、印刷により、二つの連接しないで隔離された低い電位の裏面アルミやすず端電極12が形成され、また、上記基板10の正面に、低い電位の正面アルミやすず端電極11a及び抵抗層11b全体が含まれるように、全面的に、低い電位の厚膜アルミやすずゲル11が印刷され、これにより、上記低い電位の正面アルミやすず端電極11a及び抵抗層11bが、両者の間にインターフェースなし、同一材料から一体形成されて、その後、上記基板10を、焼結炉において、200~900°Cの高温で、焼結作業を行って、上記低い電位の裏面アルミやすず端電極12と、上記低い電位の正面アルミやすず端電極11a及び抵抗層11bが含まれた低い電位の厚膜アルミやすずゲル11とが、上記基板10に結合され、その中、上記低い電位の正面アルミ端電極11aは、高固形分(高金属アルミ含有量と高ガラス含有量を有する)のアルミ電や低固形分の多孔性アルミ電極である。
【0016】
浸漬めっきや電気めっきのステップs101は、印刷されて焼結された低い電位の厚膜アルミやすずゲル11を、犧牲層として、還元電位がやや高い金属溶液に浸漬させ、浸漬めっきや電気めっき方式で湿式化学置換反応を行って、やや高い還元電位の卑金属電極や卑金属合金電極11c及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dが得られる。
【0017】
低温大気下において乾燥するか、還元雰囲気において焼結する、熱処理のステップs102は、浸漬めっきや電気めっきされた卑金属電極や卑金属合金電極11c及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dを、大気下において、乾燥させるか、更に、低温還元雰囲気において、焼結させる。
【0018】
下塗り層印刷と焼結のステップs103は、乾燥された還元雰囲気において焼結された卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dの上に、印刷によって、下塗り層131が形成され、上記下塗り層131のサイズが、上記卑金属電極や卑金属合金電極11cに接触せずに、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dに一致し、その後、上記基板10を、焼結炉で、150~700°Cの高温焼結作業を行って、上記下塗り層131が、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dに、フリッティングされ、その中、上記下塗り層131が、ガラスを主成分とする絶縁体である。
【0019】
レーザカットのステップs104は、上記基板10を、レーザカット装置において、レーザー光で、上記下塗り層131上の上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dに対して、裁断作業を行って、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dの適当な箇所に、適当な形状(「I」や「L」或いは「一」等の形状)を有する調整槽が形成されて、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dの抵抗値が修正される。
【0020】
外塗り層印刷と焼結のステップs105は、上記下塗り層131表面の上に、更に、印刷によって、外塗り層132が形成され、上記外塗り層132のサイズが、上記下塗り層131より大きくて、一部の卑金属電極や卑金属合金電極11cに接触し、残り部分の卑金属電極や卑金属合金電極11cが露出され、その後、上記基板10を、焼結炉において、150~250°Cの焼結を行って、上記外塗り層132が、上記下塗り層131と一部の卑金属電極や卑金属合金電極11cにフリッティングされ、上記の内、外塗り層131、132により保護層13が構成され、その中、上記外塗り層132が、エポキシド樹脂を主成分とする絶縁材質である。
【0021】
符号文字層印刷のステップs106は、上記保護層13の上に、例えば、品番や抵抗値等の、上記チップ抵抗を表示する識別符号文字を印刷する。
【0022】
長尺状裁断のステップs107は、板状の基板10を、カレンダロールで、長尺状に裁断する。
【0023】
端電極側面導通印刷のステップs108は、長尺状になった基板10の両側面に、導電材質を印刷して、上記外塗り層132の両端部の上方に、二つの側面端電極14が形成され、上記らの側面端電極14によって、上記卑金属電極や卑金属合金電極11c及び上記らの裏面アルミ端電極12が覆われ、その後、端電極側面導通印刷が終了された長尺状の基板10を、焼結炉において、150~250°Cの焼結を行い、これにより、上記側面導通印刷された後の側面端電極14が、上記卑金属電極や卑金属合金電極11c及び上記低い電位の裏面アルミやすず端電極12にフリッティングされて、上記基板10と同一側の上記らの低い電位の裏面アルミやすず端電極12と、上記卑金属電極や卑金属合金電極11cとが、互いに導通され、上記らの側面端電極14が、上記卑金属電極や卑金属合金電極11cに接触するため、上記卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11dに導通され、その中、上記らの側面端電極14が、銅やニッケル、すず或いはその組合せから選ばれる何れかの金属電極である。
【0024】
造粒のステップs109は、側面端電極14が焼結された長尺状基板10を、更に、カレンダロールで分割し、長尺状の基板10から、連結したチップ抵抗を、複数の、卑金属電極や卑金属合金電極11cと、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層11d、二つの低い電位の裏面アルミやすず端電極12と、二つの側面端電極14と、下塗り層131と外塗り層132からなる保護層13と、を有する、独自の粒状体に形成する。
【0025】
電気めっきのステップs110は、粒状に形成されたチップ抵抗を、電気めっき槽において、電気めっき作業を行って、チップ抵抗の導電材質からなる側面端電極14の外部に、一層のニッケル鍍金と一層のすず鍍金を有する、電気めっき層15が形成され、その中、ニッケル鍍金が、上記卑金属電極や卑金属合金電極11cを保護するもので、すず鍍金が、チップ抵抗をPCBに溶接するものであり、以上のように作製されたチップ抵抗の卑金属電極や卑金属合金電極が、例えば、自動車用や基地局及びLED灯のような耐硫化性チップ抵抗に応用できる。上記のような流れによって、新規な高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法が構成される。
【0026】
本発明は、チップ抵抗端電極の元の構成と工程方式を変化することにより、実現され、
図2(a)のように、元の構成は、基板20上下両側に、正面導体21と裏面導体22が印刷されて、高温焼結され、そして、抵抗層23を印刷して更に高温焼結を行い、その後、順に、保護層24や側面導体25及び電気めっき層26が形成される。
【0027】
上記の構成によれば、両側正面導体21と中間抵抗層23がはっきり識別できるため、正面導体21と抵抗層23とにインターフェースが存在し、そのため、ローオーム(<10Ω)チップ抵抗を作製するには、インターフェース抵抗が存在するため、ローオームチップ抵抗の抵抗特性が影響される。
【0028】
本発明に係る新規のチップ抵抗の構成と工程は、
図1と
図2(b)のようであり、低い電位の正面アルミやすず端電極及び抵抗層が、同一材料から一体成形され、低い電位の正面アルミやすず端電極及び抵抗層の間に、インターフェース抵抗が存在しないため、ローオーム(<10Ω)のチップ抵抗を作製する時、抵抗特性安定性に極めて有利である。
【0029】
本発明に係る新規な厚膜湿式工程によるチップ抵抗の作製流れは、
図1のように、主として、従来のチップ抵抗の工程と、三つの主要工程が異なり、その一は、低い電位の正面アルミやすず端電極及び抵抗層全体を含むように、低い電位のアルミやすずゲルを印刷してから、高温焼結され、その二は、浸漬めっき置換反応であり、印刷焼結された低い電位の厚膜アルミやすずゲルと、犧牲層として、例えば、低い電位の厚膜アルミやすずゲルを、硫酸銅溶液や硫酸ニッケル溶液に浸漬するように、還元電位がやや高い金属溶液に浸漬させ、銅イオンで、低い電位のアルミやすずを、銅電極や銅抵抗層に還元させ、ニッケルイオンで、低い電位のアルミやすずを、ニッケル電極やニッケル抵抗層に還元させ、或いは、低い電位の厚膜アルミやすずゲルを、硫酸銅溶液や硫酸ニッケル溶液に浸漬させ、銅イオンやニッケルイオンで、同時に、低い電位のアルミやすずを還元させ、合金銅ニッケル電極と銅ニッケル抵抗層が形成されるローオーム抵抗になり、この工程の場合、電気めっき工程で、銅電極と銅抵抗層や、ニッケル電極とニッケル抵抗層、或いは銅ニッケル合金抵抗層のローオーム抵抗が形成されても良い。その三は、浸漬めっきや電気めっきされた卑金属電極や卑金属合金電極及び、卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層を、大気下で乾燥させるか、更に、還元雰囲気下において焼結する。その他の工程は、原先の従来のチップ抵抗と同じである。
【0030】
以上のように、本発明に係る新規な卑金属の作製方式は、完全に大気下において焼結し、低い電位の厚膜アルミゲル(すずゲルでもよい)を印刷成形して焼結させ、また、卑金属銅やニッケル等より比較的に低い還元電位(例えば、表1のように)を有する、低い電位の厚膜アルミ電極を利用するため、置換反応が実現され、アルミが、アルミイオンに酸化され、同時に、卑金属の銅イオンやニッケルイオンが、銅やニッケル金属に還元され、
図3のようである。
【0031】
【0032】
言い換えれば、本発明に係る新規な厚膜卑金属作製技術は、大気下において、低い電位の厚膜アルミやすず電極が印刷されて基板に焼結され、また、置換反応を利用して、低い電位のアルミやすずを、銅やニッケルの卑金属電極に還元させ、低い電位の厚膜アルミやすず電極は、この新規な技術において、置換反応の犧牲層とされる。この置換反応の犧牲層は、卑金属電極を作製するだけでなく、例えば、
図4(a)のように、銅置換アルミ電極微構成となり、異なるイオン溶液に浸漬させて、例えば、銅ニッケル(52/48)合金のような、異なる比率の合金を作製することもでき、
図4(b)のような銅ニッケル置換アルミ電極構成である。
【0033】
本発明に係る新規な厚膜印刷湿式工程によって作製された銅ニッケルローオームチップ抵抗を、従来の厚膜印刷による銀パラジウムローオームチップ抵抗と、電気特性や信頼性を比較すると、
図5の(a)と(b)のようである。基本的には、本発明に係る新規な厚膜印刷の湿式工程によって作製された銅ニッケルローオームチップ抵抗は、その特性と信頼性が、従来の厚膜印刷による銀パラジウムローオームチップ抵抗に相当し、本発明に係る銅ニッケルローオームチップ抵抗も、1000時間の長時間寿命テストを満足でき、また、その水準も、従来の銀パラジウムローオームチップ抵抗と同じであり、そして、本発明に係る新
規な厚膜印刷の湿式工程によって作製された銅ニッケルローオームチップ抵抗は、従来の厚膜印刷による銀パラジウムローオームチップ抵抗と比較すると、より良い抵抗温度特性が得られる。
【0034】
表2は、既存の各種類のローオームチップ抵抗の材料と工程の比較であり、従来のチップ抵抗の低抵抗材料は、主として、銀パラジウム合金を利用し、貴金属材料が高いだけでなく、銀パラジウム合金のローオームチップ抵抗の抵抗温度係数が高すぎて、市場のニーズに満足できず、銅ニッケルやキュープロマンガン合金が、利用シルクスクリーン還元雰囲気で焼結するか、薄膜スパッタリングやパッチング工程を利用して、或いは、衝撃工程を利用して、ローオームチップ抵抗を作製することにより、抵抗器の抵抗温度係数が改良されるが、これらの工程の材料コストや工程コストが高いため、素子の作製コストが高く
なって、市場競争力が不足になる問題がある。本発明に係る新規な厚膜印刷湿式工程を利用して、作製した銅ニッケルローオームチップ抵抗は、より良い抵抗温度特性が得られるだけでなく、その作製コストの材料や工程コストが、既存のすべて工程よりも有利的になる。
【0035】
【0036】
本発明によれば、厚膜印刷で、低温と大気下において、焼結することにより、卑金属電極や合金電極及び抵抗を作製でき、低価の低い電位の金属を、厚膜ゲル(例えば、アルミやすず等)に作製して、シルクスクリーンで成形焼結させ、その後、上記の低価の低い電位の金属層を、犧牲層として、やや高い還元電位の金属溶液に浸漬して、湿式化学置換反応を行い、これにより、やや高い還元電位の金属電極が得られる。また、上記犧牲層を、複数の異なるやや高い還元電位の金属溶液を混合した溶液に浸漬して、湿式化学置換反応を行わせて、異なる組合せの合金が得られる。本発明に係る作製方式によれば、従来の、高温還元雰囲気下において熱処理を行うことにより卑金属電極や卑金属合金の特性を生成することなく、大幅に、既存の卑金属や合金の作製コストを節約でき、また、国内の厚膜印刷産業の作製方式に合わせて、大幅に、技術効率を向上できる。
【0037】
以上のように、本発明に係る高伝導卑金属電極と合金ローオームチップ抵抗の作製方法は、有効に、従来の諸欠点を解消でき、大気下において、卑金属電極を作製でき、または、低温下で、合金電極や抵抗を作製でき、大幅に、既存の卑金属や合金の作製コストを節約でき、そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0038】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
s100~s110 ステップ
10 基板
11 厚膜アルミやすずゲル
11a 正面アルミやすず端電極
11b 抵抗層
11c 卑金属電極や卑金属合金電極
11d 卑金属抵抗層や卑金属合金抵抗層
12 裏面アルミやすず端電極
13 保護層
131 下塗り層
132 外塗り層
14 側面端電極
15 電気めっき層
20 基板
21 正面導体
22 裏面導体
23 抵抗層
24 保護層
25 側面導体
26 電気めっき層