(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】ヒトIL-23抗原結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 16/24 20060101AFI20220215BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220215BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220215BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220215BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220215BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
C07K16/24
A61K39/395 U
A61P1/04
A61P37/02
C12N15/13 ZNA
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2019166277
(22)【出願日】2019-09-12
(62)【分割の表示】P 2018045121の分割
【原出願日】2010-10-26
【審査請求日】2019-10-10
(32)【優先日】2009-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】タウン,ジェニファー・イー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジャネット・ディー
(72)【発明者】
【氏名】オニール,ジェイソン・シー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユー
(72)【発明者】
【氏名】スン,ユー
(72)【発明者】
【氏名】サーン,ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】パイパー,デレク・イー
(72)【発明者】
【氏名】ケッチェム,ランダル・アール
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523012(JP,A)
【文献】国際公開第99/47170(WO,A1)
【文献】Inflamm Bowel Dis,2006年,12,1,9-15
【文献】N Engl J Med.,2009年,361(21),2066-2078
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 16/00-16/46
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、
配列番号31と少なくとも90%同一であり、そして、配列番号31のアミノ酸残基31~35のCDR1、配列番号31のアミノ酸残基50~65のCDR2および配列番号31のアミノ酸残基99~113のCDR3を含む重鎖可変領域;ならびに、配列番号1と少なくとも90%同一であり、そして、配列番号1のアミノ酸残基23~36のCDR1、配列番号1のアミノ酸残基52~58のCDR2および配列番号1のアミノ酸残基91~101のCDR3を含む軽鎖可変領域
を含み、そして、
a)ヒトIL-23活性を減少させる特性;
b)炎症促進性サイトカインの産生を減少させる特性;
c)≦5x10
-8
MのK
D
でヒトIL-23に結合する特性;
d)≦5x10
-6
1/sのK
off
速度を有する特性;および
e)STAT-ルシフェラーゼ・アッセイ、NK細胞アッセイ、ヒト全血アッセイまたはIL-22アッセイにおいて、≦400pMのIC
50
を有する特性;
からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、
前記単離抗原結合タンパク質。
【請求項2】
請求項1に記載の少なくとも1つの抗原結合タンパク質および薬学的に許容されうる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項3】
クローン病又は潰瘍性大腸炎を治療するための
請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
患者においてIL-23活性を減少させるための、
請求項2に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、35U.S.C.119(e)に基づいて、2009年10月26日出願の米国特許出願第61/254,982号、および2010年9月9日出願の米国特許出願第61/381,287号の優先権を主張し、これらの出願は、その全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
ヘテロ二量体サイトカインであるインターロイキン23(IL-23)は、炎症促進性サイトカインの強力な誘導因子である。IL-23は、ヘテロ二量体サイトカイン・インターロイキン12(IL-12)に関連し、これらはどちらも共通のp40サブユニットを共有する。IL-23において、ユニークなp19サブユニットはp40サブユニットに共有結合している。IL-12において、ユニークなサブユニットはp35である(Oppmannら, Immunity, 2000, 13:713-715)。IL-23ヘテロ二量体タンパク質は分泌される。IL-12同様、IL-23は、CD40連結、Toll様受容体アゴニストおよび病原体などの活性化刺激に反応して、抗原提示細胞(例えば樹状細胞およびマクロファージ)によって発現される。IL-23は、IL-12Rβ1サブユニット(IL-12受容体と共有される)およびユニークな受容体サブユニット、IL-23Rを含むヘテロ二量体受容体に結合する。IL-12受容体は、IL-12Rβ1およびIL-12Rβ2からなる。IL-23は、そのヘテロ二量体受容体に結合し、そしてJAK2およびTyk2を通じてシグナル伝達して、STAT1、3、4および5を活性化する(Parhamら, J. Immunol. 2002, 168:5699-708)。受容体のサブユニットは、主に、活性化またはメモリーT細胞およびナチュラルキラー細胞上で、そしてまた、より低いレベルで、樹状細胞、単球、マクロファージ、ミクログリア、ケラチノサイトおよび滑膜線維芽細胞でも、共発現される。IL-23およびIL-12は、異なるT細胞サブセットに対して作用し、そしてin vivoでは、実質的に異なる役割を果たす。
【0003】
IL-23は、活性化およびメモリーT細胞に作用し、そしてT細胞サブセット、Th17の生存および拡大を促進する。Th17細胞は、IL-6、IL-17、TNFα、IL-22およびGM-CSFを含む炎症促進性サイトカインを産生する。IL-23はまた、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞およびマクロファージに対して作用して、炎症促進性サイトカイン発現を誘導する。IL-23とは異なり、IL-12は、未刺激(naive)CD4+ T細胞の成熟Th1 IFNγ産生エフェクター細胞への分化を誘導し、そしてIFNγ産生を刺激することによって、NKおよび細胞傷害性T細胞機能を誘導する。IL-12によって駆動されるTh1細胞は、以前、多くの自己免疫疾患における病原性T細胞サブセットであると考えられていたが、より最近、IL-12対IL-23の個々の寄与を評価する、炎症性腸疾患、乾癬、炎症性関節炎および多発性硬化症モデルにおける動物実験によって、IL-12ではなくIL-23が自己免疫/炎症性疾患の
重要な駆動因子であることが確実に確立されてきている(Ahernら, Immun.
Rev. 2008 226:147-159; Cuaら, Nature 2003 421:744-748; Yagoら, Arthritis Res and Ther. 2007 9(5):R96)。IL-12は、多くの細胞内病原体およびウイルスに対する防御性の自然および獲得免疫反応の発展に、そして腫瘍免疫監視において、重要な役割を果たす。Kasteleinら, Annual Review of
Immunology, 2007, 25:221-42; Liuら, Rheumatology, 2007, 46(8):1266-73; Bowmanら,
Current Opinion in Infectious Diseases, 2006 19:245-52; FieschiおよびCasanova, Eur.
J. Immunol. 2003 33:1461-4; Meeranら, Mol. Cancer Ther. 2006 5:825-32; Langowskiら, Nature 2006 442:461-5を参照されたい。こうしたものとして、IL-23特異的阻害(IL-12または共有されるp40サブユニットを残す)は、IL-12およびIL-23の二重阻害に比較して、潜在的に優れた安全プロファイルを有するはずである。
【0004】
したがって、IL-12を残し、ヒトIL-23を阻害するIL-23特異的アンタゴニスト(例えば、IL-23の少なくともユニークなp19サブユニットに結合するか、またはp19およびp40サブユニットの両方に結合する抗体)の使用は、IL-12阻害に関連する潜在的なリスクを伴わずに、IL-12アンタゴニストまたはp40アンタゴニストと等しいかまたはそれより大きい有効性を提供するはずである。組換えIL-23の阻害に関して選択されるネズミ、ヒト化およびファージディスプレイ抗体が記載されてきている;例えば米国特許7,491,391、WIPO公報、WO1999/05280、WO2007/0244846、WO2007/027714、WO2007/076524、WO2007/147019、WO2008/103473、WO 2008/103432、WO2009/043933およびWO2009/082624を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許7,491,391
【文献】WO1999/05280
【文献】WO2007/0244846
【文献】WO2007/027714
【文献】WO2007/076524
【文献】WO2007/147019
【文献】WO2008/103473
【文献】WO 2008/103432
【文献】WO2009/043933
【文献】WO2009/082624
【非特許文献】
【0006】
【文献】Oppmannら, Immunity, 2000, 13:713-715
【文献】Parhamら, J. Immunol. 2002, 168:5699-708
【文献】Ahernら, Immun. Rev. 2008 226:147-159
【文献】Cuaら, Nature 2003 421:744-748
【文献】Yagoら, Arthritis Res and Ther. 2007 9(5):R96
【文献】Kasteleinら, Annual Review of Immunology, 2007, 25:221-42
【文献】Liuら, Rheumatology, 2007, 46(8):1266-73
【文献】Bowmanら, Current Opinion in Infectious Diseases, 2006 19:245-52
【文献】FieschiおよびCasanova, Eur. J. Immunol. 2003 33:1461-4
【文献】Meeranら, Mol. Cancer Ther. 2006 5:825-32
【文献】Langowskiら, Nature 2006 442:461-5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、天然ヒトIL-23を阻害可能な完全ヒト療法剤に関する必要性がある。こうした療法は、特にin vivoで非常にターゲット特異的である。in vivoターゲットの完全阻害の結果、配合物がより低用量に、投薬がより低頻度で、そして/またはより有効になる可能性もあり、これは次に、コスト減少および効率増加を生じる。本発明はこうしたIL-23アンタゴニストを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
IL-23、特に天然ヒトIL-23に結合する抗原結合タンパク質を提供する。ヒトIL-23抗原結合タンパク質は、IL-23に関連する生物学的反応の少なくとも1つを減少させ、阻害し、これに干渉し、そして/またはこれを調節することも可能であり、そしてこうしたものとして、IL-23関連疾患または障害の影響を軽減するのに有用である。IL-23抗原結合タンパク質を用いて、例えばIL-23シグナル伝達、Th17細胞のIL-23活性化、NK細胞のIL-23活性化、または炎症促進性サイトカインの産生誘導を減少させ、阻害し、これらに干渉し、そして/またはこれらを調節することも可能である。
【0009】
IL-23抗原結合タンパク質を産生するための、細胞株を含む発現系、およびヒトIL-23に関連する疾患の診断法および治療法もまた提供する。
IL-23に結合する抗原結合タンパク質のいくつかは:表3に示すようなCDRH1から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRH1;表3に示すようなCDRH2から3、2または1のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRH2;表3に示すようなCDRH3から3、2または1のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRH3からなる群より選択されるCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み;そして:表3に示すようなCDRL1から3、2または1のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRL1;表3に示すようなCDRL2から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL2;表3に示すようなCDRL3から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL3からなる群より選択されるCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む。1つの態様において、配列番号91、94、97、100、および103からなる群より選択されるCDRH1;配列番号92、95、98、101、104、107、および110からなる群より選択されるCDRH2;配列番号93、96、99、102、および105からなる群より選択されるCDRH3;配列番号62、65、68、71、および74からなる群より選択されるCDRL1;配列番号63、66、69、72、75、および78からなる群より選択されるCDRL2;ならびに配列番号64、67、70および73からなる群より選択されるCDRL3を含む、単離抗原結合タンパク質を提供する。別の態様において:配列番号91、106、109、112、および115からなる群より選択されるCDRH1;配列番号113、116、118、120、121、および122からなる群より選択されるCDRH2;配列番号108、111、114、117、および119からなる群より選択されるCDRH3;配列番号77、80、83、85、86、87、88、89および90からなる群より選択されるCDRL1;配列番号81
であるCDRL2;ならびに配列番号76、79、82および84からなる群より選択されるCDRL3を含む、単離抗原結合タンパク質を提供する。別の態様において、少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む、単離抗原結合タンパク質を提供する。さらに別の態様において、少なくとも2つの重鎖可変領域および少なくとも2つの軽鎖可変領域を含む、上述のような単離抗原結合タンパク質を提供する。さらに別の態様において、抗原結合タンパク質が標識基にカップリングしている、単離抗原結合タンパク質を提供する。
【0010】
a)配列番号129のCDRH1、配列番号132のCDRH2、配列番号136のCDRH3、ならびに配列番号123のCDRL1、配列番号81のCDRL2、および配列番号76のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;b)配列番号131のCDRH1、配列番号134のCDRH2、配列番号137のCDRH3、ならびに配列番号124のCDRL1、配列番号126のCDRL2および配列番号128のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;c)a)配列番号130のCDRH1、配列番号133のCDRH2、配列番号99のCDRH3、ならびに配列番号68のCDRL1、配列番号69のCDRL2、および配列番号67のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;ならびにd)配列番号91のCDRH1、配列番号135のCDRH2、配列番号138のCDRH3、ならびに配列番号125のCDRL1、配列番号127のCDRL2、および配列番号64のCDRL3を有する抗原結合タンパク質からなる群より選択される、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質もまた提供する。
【0011】
IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって:配列番号31のアミノ酸残基31~35、50~65および99~113を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号1のアミノ酸残基23~36、52~58および91~101を含む軽鎖可変領域;配列番号34のアミノ酸残基31~35、50~65および99~110を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号36のアミノ酸残基31~35、50~66および99~110を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号4のアミノ酸残基23~36、52~62および97~105を含む軽鎖可変領域;配列番号38のアミノ酸残基31~35、50~66および99~114を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号7のアミノ酸残基23~34、50~61および94~106を含む軽鎖可変領域;配列番号40のアミノ酸残基31~35、50~66および99~114を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号9のアミノ酸残基24~34、50~56および94~106を含む軽鎖可変領域;配列番号42のアミノ酸残基31~35、50~66および99~114を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号11のアミノ酸残基23~34、50~61および94~106を含む軽鎖可変領域;配列番号44のアミノ酸残基31~35、50~65および98~107を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号13のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;配列番号46または配列番号153のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号15のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;配列番号48のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号17のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;配列番号50のアミノ酸残基31~37、52~67および101~109を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号19のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;配列番号52のアミノ酸残基31~35、50~65および98~107を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号21のアミノ酸残基24~34、50~56および98~107を含む軽鎖可変領域;配列番号54のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号23のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;配列番号56のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号25のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;な
らびに配列番号58のアミノ酸残基31~37、52~57および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号27のアミノ酸残基24~34、500~56および89~97を含む軽鎖可変領域からなる群より選択される、少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。
【0012】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、重鎖可変領域配列が、表2に示すような重鎖可変領域配列から13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1のアミノ酸置換、付加および/または欠失より多く異ならず;そして軽鎖可変領域配列が、表1に示すような軽鎖可変領域配列から13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1のアミノ酸置換、付加および/または欠失より多く異ならない、前記単離抗原結合タンパク質を、本明細書に提供する。
【0013】
a)配列番号140の重鎖可変領域および配列番号30の軽鎖可変領域;b)配列番号141の重鎖可変領域および配列番号61の軽鎖可変領域;c)配列番号142の重鎖可変領域および配列番号4の軽鎖可変領域;ならびにd)配列番号143の重鎖可変領域および配列番号139の軽鎖可変領域からなる群より選択される、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質もまた提供する。
【0014】
配列番号31、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56および58に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域;ならびに配列番号1、4、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25および27に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を含む、単離抗原結合タンパク質もまた提供する。別の態様において、配列番号44、46、48、50、52、54、56、58および153からなる群より選択される、重鎖可変領域、ならびに配列番号13、15、17、19、21、23、25および27からなる群より選択される、軽鎖可変領域を含む、単離抗原結合タンパク質がある。さらに別の態様において、配列番号31、34、36、38、40および42からなる群より選択される、重鎖可変領域、ならびに配列番号1、4、7、9および11からなる群より選択される、軽鎖可変領域を含む、単離抗原結合タンパク質がある。
【0015】
a)配列番号31の重鎖可変領域および配列番号1の軽鎖可変領域;b)配列番号34または36の重鎖可変領域および配列番号4の軽鎖可変領域;c)配列番号38の重鎖可変領域および配列番号7の軽鎖可変領域;d)配列番号40の重鎖可変領域および配列番号9の軽鎖可変領域;e)配列番号42の重鎖可変領域および配列番号11の軽鎖可変領域;f)配列番号44の重鎖可変領域および配列番号13の軽鎖可変領域;g)配列番号46または配列番号153の重鎖可変領域および配列番号15の軽鎖可変領域;h)配列番号48の重鎖可変領域および配列番号17の軽鎖可変領域;i)配列番号50の重鎖可変領域および配列番号19の軽鎖可変領域;j)配列番号52の重鎖可変領域および配列番号21の軽鎖可変領域;k)配列番号54の重鎖可変領域および配列番号23の軽鎖可変領域;l)配列番号56の重鎖可変領域および配列番号25の軽鎖可変領域;ならびにm)配列番号58の重鎖可変領域および配列番号27の軽鎖可変領域からなる群より選択される重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質もまた提供する。
【0016】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチ(covered patch)が、配列番号15の残基接触30、31、32、49、50、52、53、56、92
および94を含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様内で、残基接触は、配列番号46の残基31~35、54、58~60、66、および101~105を含む。
【0017】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号1の残基接触31~34、51、52、55、68、93および98を含み、該残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様内で、残基接触は、配列番号31の残基1、26、28、31、32、52、53、59、76、101、102および104~108を含む。
【0018】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、該抗原結合タンパク質が、配列番号46の残基32~35、54、58~60、66、および101~105から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号46の残基31~35、54、56、58~60、66、および101~105から5Åまたはそれ未満である。
【0019】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、該抗原結合タンパク質が、配列番号15の残基30~32、49、52、53、91~94および96から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号15の残基30~32、49、50、52、53、56、91~94および96から5Åまたはそれ未満である。
【0020】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、該抗原結合タンパク質が、配列番号31の残基26~28、31、53、59、102および104~108から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号31の残基1、26~28、30~32、52、53、59、100および102~108から5Åまたはそれ未満である。
【0021】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号1の残基31~34、51、52、55、68および93から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質は、配列番号1の残基29、31~34、51、52、55、68、93および100から5Åまたはそれ未満である。
【0022】
抗体である、上述のような単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様において、抗体が、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、またはその抗体断片である、単離抗原結合タンパク質を提供する。別の態様において、抗体断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ディアボディ、または一本鎖抗体分子である、単離抗原結合タンパク質を提供する。さらに別の態様において、ヒト抗体である、単離抗原結合タンパク質を提供する。さらに別の態様において、モノクローナル抗体である、単離抗原結合タンパク質を提供する。別の態様において、IgG1型、IgG2型、IgG3型またはIgG4型のものである、単離抗原結合タンパク質を提供する。さらに別の態様において、IgG1型またはIgG2型
のものである、単離抗原結合タンパク質を提供する。
【0023】
上述のような抗原結合タンパク質をコードする単離核酸分子もまた提供する。1つの態様において、少なくとも1つの重鎖可変領域が、配列番号32、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および152からなる群より選択される単離核酸分子によってコードされ、そして少なくとも1つの軽鎖可変領域が、配列番号2、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28からなる群より選択される単離核酸分子によってコードされる、単離核酸分子を提供する。別の態様において、核酸分子が調節配列に機能可能であるように連結されている、核酸分子を提供する。別の態様において、上述のような核酸分子を含むベクターを提供する。さらに別の態様において、上述のような核酸分子を含む宿主細胞を提供する。別の態様において、上述のようなベクターを含む宿主細胞を提供する。さらに別の態様において、上述のような核酸分子断片またはその相補体である、ハイブリダイゼーション・プローブ、PCRプライマーまたは配列決定プライマーとして使用するのに十分な単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
上述のような抗原結合タンパク質を作製する方法であって、前記抗原結合タンパク質を分泌する宿主細胞から、前記抗原結合タンパク質を調製する工程を含む、前記方法もまた提供する。
【0025】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、該抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号145に記載するようなヒトIL-23p19サブユニットの残基46~58内の残基接触、残基112~120内の残基接触、および残基155~163内の残基接触を含み、該残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号145に記載するようなヒトIL-23p19サブユニットの残基46~58内の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の残基接触、残基112~120内の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の残基接触、および残基155~163内の1、2、3、4、5、6、7、8または9の残基接触を含む、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。別の態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基121~125内の残基接触を含む、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。関連態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基121~125内の1、2、3、4または5の残基接触を含む、前記単離抗原結合タンパク質がある。別の態様内に、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号145の残基接触46、47、49、50、53、112~116、118、120、155、156、159、160、および163を含む、前記抗原結合タンパク質を提供する。別の態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号145の残基接触46、47、49、50、53、112~118、120、155、156、159、160、および163を含む、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。別の態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号145の残基46、47、49、50、53~55、57、58、112~116、118~120、155、156、159、160、162および163を含む、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。関連態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基接触122を含む、前記単離抗
原結合タンパク質を提供する。別の関連態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基接触122および124を含む、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。さらに別の関連態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基接触121~123、および125を含む、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。さらなる関連態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基接触121~123、125および283を含む、前記単離抗原結合タンパク質を提供する。
【0026】
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号145に記載するようなヒトIL-23p19サブユニットの残基46~58内の残基、残基112~123内の残基、および残基155~163内の残基から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質もまた提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号145に記載するようなヒトIL-23p19サブユニットの残基46~58内の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13残基、残基112~123内の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10残基、および残基155~163内の1、2、3、4、5、6、7、8または9残基から5Åまたはそれ未満である。別の態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号145の残基46~50、113~116、120、156、159、160および163から5Åまたはそれ未満である。別の態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号145の残基46~50、112~120、156、159、160および163から5Åまたはそれ未満である。関連態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号145の残基46~50、53、112~120、156、159、160および163から5Åまたはそれ未満である。別の態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号145の残基46~50、53~55、58、113~116、120、121、156、159、160、162および163から5Åまたはそれ未満である。関連態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号145の残基46~51、53~55、57、58、112~116、118~121、123、155、156、159、160、162および163から5Åまたはそれ未満である。さらなる態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、抗原結合タンパク質は、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基121~125内の残基から5Åまたはそれ未満である。関連態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、前記抗原結合タンパク質は、配列番号147の残基122および124から5Åまたはそれ未満である。別の態様内で、抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、抗原結合タンパク質は、配列番号147の残基121~123および125から5Åまたはそれ未満である。
【0027】
a)ヒトIL-23活性を減少させる特性;b)炎症促進性サイトカインの産生を減少させる特性;c)≦5x10-8MのKDでヒトIL-23に結合する特性;d)≦5x10-6 1/sのKoff速度を有する特性;およびd)≦400pMのIC50を有
する特性からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、上述のような単離抗原結合タンパク質もまた提供する。
【0028】
上述のような少なくとも1つの抗原結合タンパク質および薬学的に許容されうる賦形剤
を含む、薬学的組成物を提供する。1つの態様において、標識基またはエフェクター基をさらに含む、薬学的組成物を提供する。さらに別の態様において、標識基が、同位体標識、磁気標識、レドックス活性部分、光学色素、ビオチン化基および二次レポーターによって認識されることがあらかじめ決定されたポリペプチド・エピトープからなる群より選択される、薬学的組成物を提供する。さらに別の態様において、エフェクター基が、放射性同位体、放射性核種、毒素、療法基および化学療法基からなる群より選択される、薬学的組成物を提供する。
【0029】
患者において、IL-23に関連する状態を治療するかまたは防止するための方法であって、こうした方法を必要とする患者に、上述のような少なくとも1つの単離抗原結合タンパク質の有効量を投与する工程を含む、前記方法もまた提供する。1つの態様において、状態が、炎症性障害、リウマチ性障害、自己免疫障害、腫瘍学的障害および胃腸障害からなる群より選択される方法を提供する。さらに別の態様において、状態が、多発性硬化症、関節リウマチ、癌、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎、自己免疫心筋炎;1型糖尿病および強直性脊椎炎からなる群より選択される方法を提供する。さらに別の態様において、単離抗原結合タンパク質が、単独で、または併用療法として投与される方法を提供する。
【0030】
上述のような少なくとも1つの抗原結合タンパク質の有効量を投与する工程を含む、患者においてIL-23活性を減少させる方法もまた提供する。1つの態様において、IL-23活性が炎症促進性サイトカインの産生を誘導することである、IL-23活性を減少させる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】
図1A:組換えヒトIL-23を用いたSTAT-ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイの結果。すべての抗体は、組換えヒトIL-23を完全に阻害した。
【
図1B】
図1B:天然ヒトIL-23を用いたSTAT-ルシフェラーゼ・レポーター・アッセイの結果。組換えヒトIL-23を完全に阻害した抗体のうち、半分のみが、天然ヒトIL-23を完全に阻害可能であった。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、IL-23をアンタゴナイズする分子、例えば抗IL-23抗体、抗体断片、および抗体誘導体、例えばアンタゴニスト性抗IL-23抗体、抗体断片、または抗体誘導体を含む、IL-23抗原結合タンパク質に関する組成物、キット、および方法を提供する。IL-23に結合するポリペプチドのすべてまたは一部をコードする核酸の配列を含む、ポリヌクレオチド、ならびにその誘導体および断片、例えば、抗IL-23抗体、抗体断片、または抗体誘導体のすべてまたは一部をコードするポリヌクレオチド、こうした核酸を含むプラスミドおよびベクター、ならびにこうしたポリヌクレオチドおよび/またはベクターおよびプラスミドを含む細胞または細胞株もまた提供する。提供する方法には、例えば、IL-23抗原結合タンパク質、例えば抗IL-23抗体を作製するか、同定するか、または単離する方法、分子がIL-23に結合するかどうか決定する方法、分子がIL-23をアンタゴナイズするかどうか決定する方法、IL-23抗原結合タンパク質を含む組成物、例えば薬学的組成物を作製する方法、および被験体にIL-23抗原結合タンパク質を投与するための方法、例えばIL-23によって仲介される状態を治療するための、およびIL-23の生物学的活性をin vivoまたはin vitroでアンタゴナイズするための方法が含まれる。
【0033】
本明細書において、別に定義しない限り、本発明と関連して用いられる科学的および技術的用語は、一般の当業者に一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって別に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含み、そして複数形の用語は
単数形を含むものとする。一般的に、本明細書に記載する、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションと関連して用いられる術語、ならびにそれらの技術は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に用いられるものである。本発明の方法および技術は、別に示さない限り、一般的に、当該技術分野に周知の慣用法にしたがって、そして本明細書全体で引用され、そして論じられる、多様な一般的な参考文献およびより特異的な参考文献に記載されるように、行われる。例えば、本明細書に援用される、Sambrookら Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(2001)、ならびにAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates(1992)、ならびにHarlowおよびLane Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1990)を参照されたい。酵素反応および精製技術は、当該技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載するように、製造者の指定にしたがって行われる。本明細書記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医学的および薬学的化学と関連して用いられる専門用語、ならびにこうした化学の実験法および技術は、当該技術分野に周知であり、そして一般的に知られるものである。化学合成、化学分析、薬学的調製、配合、および送達、ならびに患者の治療には、標準的技術を用いてもよい。
【0034】
同定するすべての特許および他の刊行物は、例えば、本明細書に記載する情報と関連して使用可能なこうした刊行物において記載される方法論を記載し、そして開示する目的のため、その全体が本明細書に明確に援用される。
非限定的に本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、以下:
a)表3に示すようなCDRH1から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRH1;
b)表3に示すようなCDRH2から3のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRH2;
c)表3に示すようなCDRH3から3のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRH3;
からなる群より選択されるCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み;そして、以下:
d)表3に示すようなCDRL1から3のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRL1;
e)表3に示すようなCDRL2から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL2;
f)表3に示すようなCDRL3から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL3;
からなる群より選択されるCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様2]
態様1の単離抗原結合タンパク質であって、以下:
a)表3に示すようなCDRH1から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRH1;
b)表3に示すようなCDRH2から2のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRH2;
c)表3に示すようなCDRH3から2のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRH3;
からなる群より選択されるCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み;そして、以下:
d)表3に示すようなCDRL1から2のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならないCDRL1;
e)表3に示すようなCDRL2から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL2;
f)表3に示すようなCDRL3から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL3;
からなる群より選択されるCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域もまた含む、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様3]
態様1の単離抗原結合タンパク質であって、以下:
a)表3に示すようなCDRH1から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRH1;
b)表3に示すようなCDRH2から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRH2;
c)表3に示すようなCDRH3から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRH3;
からなる群より選択されるCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み;そして、以下:
d)表3に示すようなCDRL1から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL1;
e)表3に示すようなCDRL2から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL2;
f)表3に示すようなCDRL3から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならないCDRL3;
からなる群より選択されるCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域もまた含む、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様4]
a)配列番号129のCDRH1、配列番号132のCDRH2、配列番号136のCDRH3、ならびに配列番号123のCDRL1、配列番号81のCDRL2、および配列番号76のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;
b)配列番号131のCDRH1、配列番号134のCDRH2、配列番号137のCDRH3、ならびに配列番号124のCDRL1、配列番号126のCDRL2および配列番号128のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;
c)a)配列番号130のCDRH1、配列番号133のCDRH2、配列番号99のCDRH3、ならびに配列番号68のCDRL1、配列番号69のCDRL2、および配列番号67のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;ならびに
d)配列番号91のCDRH1、配列番号135のCDRH2、配列番号138のCDRH3、ならびに配列番号125のCDRL1、配列番号127のCDRL2、および配列番号64のCDRL3を有する抗原結合タンパク質;
からなる群より選択される、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質。
[態様5]
配列番号91、94、97、100、および103からなる群より選択されるCDRH1;
配列番号92、95、98、101、104、107、および110からなる群より選択されるCDRH2;
配列番号93、96、99、102、および105からなる群より選択されるCDRH3;
配列番号62、65、68、71、および74からなる群より選択されるCDRL1;
配列番号63、66、69、72、75、および78からなる群より選択されるCDRL2;ならびに
配列番号64、67、70および73からなる群より選択されるCDRL3;
を含む、態様1の単離抗原結合タンパク質。
[態様6]
配列番号91、106、109、112、および115からなる群より選択されるCDRH1;
配列番号113、116、118、120、121、および122からなる群より選択されるCDRH2;
配列番号108、111、114、117、および119からなる群より選択されるCDRH3;
配列番号77、80、83、85、86、87、88、89および90からなる群より選択されるCDRL1;
配列番号81であるCDRL2;ならびに
配列番号76、79、82および84からなる群より選択されるCDRL3;
を含む、態様1の単離抗原結合タンパク質。
[態様7]
IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって:
a)配列番号31のアミノ酸残基31~35、50~65および99~113を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号1のアミノ酸残基23~36、52~58および91~101を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号34のアミノ酸残基31~35、50~65および99~110を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号36のアミノ酸残基31~35、50~66および99~110を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号4のアミノ酸残基23~36、52~62および97~105を含む軽鎖可変領域;
c)配列番号38のアミノ酸残基31~35、50~66および99~114を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号7のアミノ酸残基23~34、50~61および94~106を含む軽鎖可変領域;
d)配列番号40のアミノ酸残基31~35、50~66および99~114を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号9のアミノ酸残基24~34、50~56および94~106を含む軽鎖可変領域;
e)配列番号42のアミノ酸残基31~35、50~66および99~114を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号11のアミノ酸残基23~34、50~61および94~106を含む軽鎖可変領域;
f)配列番号44のアミノ酸残基31~35、50~65および98~107を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号13のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;
g)配列番号46または153のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号15のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;
h)配列番号48のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号17のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;
i)配列番号50のアミノ酸残基31~37、52~67および101~109を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号19のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;
j)配列番号52のアミノ酸残基31~35、50~65および98~107を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号21のアミノ酸残基24~34、50~56および98~107を含む軽鎖可変領域;
k)配列番号54のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号23のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;
l)配列番号56のアミノ酸残基31~37、52~67および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号25のアミノ酸残基24~34、50~56および89~97を含む軽鎖可変領域;ならびに
m)配列番号58のアミノ酸残基31~37、52~57および100~109を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号27のアミノ酸残基24~34、500~56および89~97を含む軽鎖可変領域
からなる群より選択される、少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様8]
少なくとも1つの重鎖可変領域および少なくとも1つの軽鎖可変領域を含む、態様1の単離抗原結合タンパク質。
[態様9]
少なくとも2つの重鎖可変領域および少なくとも2つの軽鎖可変領域を含む、態様1の単離抗原結合タンパク質。
[態様10]
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、重鎖可変領域配列が、表2に示すような重鎖可変領域配列から13のアミノ酸置換、付加および/または欠失より多く異ならず;そして軽鎖可変領域配列が、表1に示すような軽鎖可変領域配列から13のアミノ酸置換、付加および/または欠失より多く異ならない、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様11]
重鎖可変領域配列が、表2に示すような重鎖可変領域配列から11のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様12]
重鎖可変領域配列が、表2に示すような重鎖可変領域配列から5のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様13]
重鎖可変領域配列が、表2に示すような重鎖可変領域配列から2のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様14]
重鎖可変領域配列が、表2に示すような重鎖可変領域配列から1のアミノ酸置換、挿入または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様15]
軽鎖可変領域配列が、表1に示すような軽鎖可変領域配列から7のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様16]
軽鎖可変領域配列が、表1に示すような軽鎖可変領域配列から4のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様17]
軽鎖可変領域配列が、表1に示すような軽鎖可変領域配列から2のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様18]
軽鎖可変領域配列が、表1に示すような軽鎖可変領域配列から1のアミノ酸置換、挿入および/または欠失より多く異ならない、態様10の単離抗原結合タンパク質。
[態様19]
a)配列番号140の重鎖可変領域および配列番号30の軽鎖可変領域;
b)配列番号141の重鎖可変領域および配列番号61の軽鎖可変領域;
c)配列番号142の重鎖可変領域および配列番号4の軽鎖可変領域;ならびに
d)配列番号143の重鎖可変領域および配列番号139の軽鎖可変領域;
からなる群より選択される、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質。
[態様20]
配列番号31、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56および58に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域;ならびに
配列番号1、4、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25および27に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域;
を含む、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質。
[態様21]
配列番号31、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56および58に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域;ならびに
配列番号1、4、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25および27に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域;
を含む、態様20の単離抗原結合タンパク質。
[態様22]
配列番号31、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56および58に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域;ならびに
配列番号1、4、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25および27に対して少なくとも97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域;
を含む、態様20の単離抗原結合タンパク質。
[態様23]
配列番号31、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56および58に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域;ならびに
配列番号1、4、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25および27に対して少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域;
を含む、態様20の単離抗原結合タンパク質。
[態様24]
配列番号44、46、48、50、52、54、56、58および153からなる群より選択される、重鎖可変領域;ならびに
配列番号13、15、17、19、21、23、25および27からなる群より選択される、軽鎖可変領域;
を含む、態様20の単離抗原結合タンパク質。
[態様25]
配列番号31、34、36、38、40および42からなる群より選択される、重鎖可変領域;ならびに
配列番号1、4、7、9および11からなる群より選択される、軽鎖可変領域;
を含む、態様20の単離抗原結合タンパク質。
[態様26]
a)配列番号31の重鎖可変領域および配列番号1の軽鎖可変領域;
b)配列番号34または36の重鎖可変領域および配列番号4の軽鎖可変領域;
c)配列番号38の重鎖可変領域および配列番号7の軽鎖可変領域;
d)配列番号40の重鎖可変領域および配列番号9の軽鎖可変領域;
e)配列番号42の重鎖可変領域および配列番号11の軽鎖可変領域;
f)配列番号44の重鎖可変領域および配列番号13の軽鎖可変領域;
g)配列番号46または153の重鎖可変領域および配列番号15の軽鎖可変領域;
h)配列番号48の重鎖可変領域および配列番号17の軽鎖可変領域;
i)配列番号50の重鎖可変領域および配列番号19の軽鎖可変領域;
j)配列番号52の重鎖可変領域および配列番号21の軽鎖可変領域;
k)配列番号54の重鎖可変領域および配列番号23の軽鎖可変領域;
l)配列番号56の重鎖可変領域および配列番号25の軽鎖可変領域;
m)配列番号58の重鎖可変領域および配列番号27の軽鎖可変領域;
からなる群より選択される重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、IL-23に結合する単離抗原結合タンパク質。
[態様27]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチ(covered patch)が、配列番号15の残基接触30、31、32、49、50、52、53、56、92および94を含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様28]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号46の残基接触31~35、54、58~60、66、および101~105を含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様29]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号1の残基接触31~34、51、52、55、68、93および98を含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様30]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号31の残基接触1、26、28、31、32、52、53、59、76、101、102および104~108を含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様31]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号46の残基32~35、54、58~60、66、および101~105から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様32]
態様31記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、前記抗原結合タンパク質が、配列番号46の残基31~35、54、56、58~60、66、および101~105から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様33]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号15の残基30~32、49、52、53、91~94および96から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様34]
態様33記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、前記抗原結合タンパク質が、配列番号15の残基30~32、49、50、52、53、56、91~94および96から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様35]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号31の残基26~28、31、53、59、102および104~108から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様36]
態様35記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、前記抗原結合タンパク質が、配列番号31の残基1、26~28、30~32、52、53、59、100および102~108から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様37]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号1の残基31~34、51、52、55、68および93から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様38]
態様37記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、前記抗原結合タンパク質が、配列番号1の残基29、31~34、51、52、55、68、93および100から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様39]
抗体である、態様1、4、7、10、19、20、26~31、33、35または37の単離抗原結合タンパク質。
[態様40]
前記抗体が、モノクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異性抗体、またはその抗体断片である、態様39の単離抗原結合タンパク質。
[態様41]
前記抗体断片が、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ディアボディ、または一本鎖抗体分子である、態様40の単離抗原結合タンパク質。
[態様42]
ヒト抗体である、態様40の単離抗原結合タンパク質。
[態様43]
モノクローナル抗体である、態様40の単離抗原結合タンパク質。
[態様44]
IgG1型、IgG2型、IgG3型またはIgG4型のものである、態様39の単離抗原結合タンパク質。
[態様45]
IgG1型またはIgG2型のものである、態様44の単離抗原結合タンパク質。
[態様46]
態様1、4、7、10、19、20または26の抗原結合タンパク質をコードする、単離核酸分子。
[態様47]
少なくとも1つの重鎖可変領域が、配列番号32、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59および152からなる群より選択される単離核酸分子によってコードされ、そして少なくとも1つの軽鎖可変領域が、配列番号2、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、および28からなる群より選択される単離核酸分子によってコードされる、態様46の単離核酸分子。
[態様48]
前記核酸分子が制御配列に調節可能であるように連結されている、態様47記載の核酸分子。
[態様49]
態様46記載の核酸分子を含むベクター。
[態様50]
態様46記載の核酸分子を含む宿主細胞。
[態様51]
態様49記載のベクターを含む宿主細胞。
[態様52]
態様47の核酸分子断片またはその相補体である、ハイブリダイゼーション・プローブ、PCRプライマーまたは配列決定プライマーとして使用するのに十分な単離ポリヌクレオチド。
[態様53]
前記抗原結合タンパク質を分泌する宿主細胞から、前記抗原結合タンパク質を調製する工程を含む、態様1、4、7、10、19、20または26の抗原結合タンパク質を作製する方法。
[態様54]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号145に記載するようなヒトIL-23p19サブユニットの残基46~58内の残基接触、残基112~120内の残基接触、および残基155~163内の残基接触を含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様55]
態様54記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際に形成されるカバードパッチが、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基121~125内の残基接触をさらに含み、前記残基接触が、溶媒曝露表面積によって決定されるように10Å2より大きいかまたは10Å2に等しい差分値を有する、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様56]
ヒトIL-23に結合する単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号145に記載するようなヒトIL-23p19サブユニットの残基46~58内の残基、残基112~123内の残基、および残基155~163内の残基から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様57]
態様56記載の単離抗原結合タンパク質であって、前記抗原結合タンパク質がヒトIL-23に結合した際、X線結晶学によって決定されるように、前記抗原結合タンパク質が、配列番号147に記載するようなヒトIL-23p40サブユニットの残基121~125内の残基から5Åまたはそれ未満である、前記単離抗原結合タンパク質。
[態様58]
a)ヒトIL-23活性を減少させる特性;
b)炎症促進性サイトカインの産生を減少させる特性;
c)≦5x10-8MのKDでヒトIL-23に結合する特性;
d)≦5x10-6 1/sのKoff速度を有する特性;および
e)≦400pMのIC50を有する特性;
からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、態様1、4、7、10、19、20、26~31、33、35、37、54または56の単離抗原結合タンパク質。
[態様59]
態様1、4、7、10、19、20または26の少なくとも1つの抗原結合タンパク質および薬学的に許容されうる賦形剤を含む、薬学的組成物。
[態様60]
標識基またはエフェクター基をさらに含む、態様59の薬学的組成物。
[態様61]
前記標識基が、同位体標識、磁気標識、レドックス活性部分、光学色素、ビオチン化基および二次レポーターによって認識されることがあらかじめ決定されたポリペプチド・エピトープからなる群より選択される、態様60の薬学的組成物。
[態様62]
前記エフェクター基が、放射性同位体、放射性核種、毒素、療法基および化学療法基からなる群より選択される、態様60の薬学的組成物。
[態様63]
前記抗原結合タンパク質が、標識基にカップリングしている、態様60の単離抗原結合タンパク質。
[態様64]
患者において、IL-23に関連する状態を治療するかまたは防止するための方法であって、こうした方法を必要とする患者に、態様1、4、7、10、19、20または26の少なくとも1つの単離抗原結合タンパク質の有効量を投与する工程を含む、前記方法。
[態様65]
状態が、炎症性障害、リウマチ性障害、自己免疫障害、腫瘍学的障害および胃腸障害からなる群より選択される、態様64の方法。
[態様66]
状態が、多発性硬化症、関節リウマチ、癌、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、乾癬性関節炎、自己免疫心筋炎;1型糖尿病および強直性脊椎炎からなる群より選択される、態様65の方法。
[態様67]
単離抗原結合タンパク質が、単独で、または併用療法として投与される、態様64の方法。
[態様68]
態様1、4、7、10、19、20または26の少なくとも1つの抗原結合タンパク質の有効量を投与する工程を含む、患者においてIL-23活性を減少させる方法。
[態様69]
前記IL-23活性が炎症促進性サイトカインの産生を誘導することである、態様68のIL-23活性を減少させる方法。
【0035】
ヒトIL-23のp19サブユニット(配列番号144および145)、共有されるp40サブユニット(配列番号146および147)、ヒトIL-23受容体ヘテロ二量体サブユニットIL-12Rβ1(配列番号150および151)およびIL-23R(配列番号148および149)のポリヌクレオチドおよびタンパク質配列が当該技術分野に知られ、例えば、GenBank寄託番号AB030000; M65272、NM 005535、NM 144701、また他の哺乳動物種由来のものも参照されたい。一本鎖およびFcタンパク質を含む組換えIL-23およびIL-23受容体タンパク質、ならびにIL-23受容体を発現している細胞が記載されているか、または商業的供給源から入手可能である(例えば、Oppmannら, Immunity, 2000, 13:713-715; R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス; United States Biological、マサチューセッツ州スワンプスコット; WIPO公報第WO 2007/076524号を参照されたい)。天然ヒトIL-23は、本明細書に記載するものを含む、当該技術分野に知られる方法を用いて、樹状細胞などのヒト細胞から得られうる。
【0036】
IL-23は、共有されるp40サブユニットに共有結合したユニークなp19サブユニットで構成されるヘテロ二量体サイトカインである。p19サブユニットは、4つのαらせん、「A」、「B」、「C」および「D」を、AおよびBらせん間、BおよびCらせん間、ならびにCおよびDらせん間の3つのらせん内ループによって連結されたアップ-アップ-ダウン-ダウン・モチーフ形式で含む。Oppmannら, Immunity, 2000, 13:713-715およびBeyerら, J Mol Biol,
2008. 382(4):942-55を参照されたい。4らせん束サイトカインのAおよびDらせんは、受容体結合に関与すると考えられる。p40サブユニットは、3つのベータシート・サンドイッチドメイン、D1、D2およびD3を含む(Lupardu
sおよびGarcia, J. Mol. Biol., 2008, 382:931-941)。
【0037】
用語「ポリヌクレオチド」には、一本鎖および二本鎖核酸両方が含まれ、そしてゲノムDNA、RNA、mRNA、cDNA、あるいは合成起源または天然に通常見られる配列とは関連していないそのいくつかの組み合わせが含まれる。明記する配列を含む単離ポリヌクレオチドには、明記する配列に加えて、最大10またはさらに最大20の他のタンパク質またはその部分のコード配列が含まれてもよく、あるいは、列挙する核酸配列のコード領域の発現を調節する、機能可能であるように連結された制御配列が含まれてもよく、そして/あるいはベクター配列が含まれてもよい。ポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、あるいはヌクレオチドのいずれかのタイプの修飾型であってもよい。該修飾には、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体などの塩基修飾、2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース修飾、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデートおよびホスホロアミデートなどのヌクレオチド間連結修飾が含まれる。
【0038】
用語「オリゴヌクレオチド」は、100またはそれより少ないヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは長さ10~60塩基である。他の態様において、オリゴヌクレオチドは、長さ12、13、14、15、16、17、18、19、または20~40ヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドは、例えば突然変異体遺伝子の構築に使用するため、一本鎖であってもまたは二本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドには、検出アッセイのため、放射標識、蛍光標識、ハプテンまたは抗原性標識などの検出可能標識が含まれてもよい。オリゴヌクレオチドを、例えばPCRプライマー、クローニングプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして用いてもよい。
【0039】
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、天然タンパク質、すなわち天然に存在し、そして非組換え体である細胞によって産生されるタンパク質のアミノ酸配列を有する巨大分子を意味する;またはこれは、遺伝子操作された細胞または組換え細胞によって産生され、そして天然タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、あるいは天然配列のアミノ酸残基からの欠失、該残基への挿入、および/または該残基の置換の1またはそれより多くを有する分子を含む。該用語にはまた、1またはそれより多いアミノ酸が、対応する天然存在アミノ酸およびポリマーの化学的類似体であるアミノ酸ポリマーも含まれる。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、IL-23抗原結合タンパク質(例えば抗体)、ならびに抗原結合タンパク質配列のアミノ酸残基からの欠失、該残基への挿入、および/または該残基の置換の1またはそれより多くを有する配列を含む。用語「ポリペプチド断片」は、全長天然タンパク質と比較した際に、アミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、および/または内部欠失を有するポリペプチドを指す。こうした断片はまた、天然タンパク質と比較した際に修飾アミノ酸も含有してもよい。特定の態様において、断片は、長さ約5~500アミノ酸である。例えば、断片は、長さ少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、または450アミノ酸であってもよい。有用なポリペプチド断片には、結合ドメインを含む、抗体の免疫学的に機能する断片が含まれる。抗体などのIL-23結合タンパク質の場合、有用な断片には、限定されるわけではないが、1またはそれより多いCDR領域、重鎖または軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の部分、3未満のCDRを含む可変領域部分等が含まれる。
【0040】
「アミノ酸」には、当該技術分野における通常の意味が含まれる。20の天然存在アミ
ノ酸およびその略語は、慣用的用法にしたがう。Immunology- A Synthesis, 第2版(E.S. GolubおよびD.R. Gren監修), Sinauer Associates: マサチューセッツ州サンダーランド(1991)を参照されたい。20の慣用的アミノ酸の立体異性体(例えばD-アミノ酸)、[アルファ]-,[アルファ]-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸などの非天然アミノ酸、および他の非慣用的アミノ酸もまた、ポリペプチドの適切な構成要素でありうる。非慣用的アミノ酸の例には:4-ヒドロキシプロリン、[ガンマ]-カルボキシグルタメート、[イプシロン]-N,N,N-トリメチルリジン、[イプシロン]-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、[シグマ]-N-メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば4-ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書に用いるポリペプチド表記法において、標準的用法および慣用にしたがって、左側がアミノ末端方向であり、そして右側がカルボキシ末端方向である。
【0041】
用語「単離タンパク質」は、療法的、診断的、予防的、研究上のまたは他の使用と干渉するであろう、タンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物質から精製されたタンパク質、例えば抗原結合タンパク質(その例は抗体であってもよい)を指す。本明細書において、「実質的に純粋な」は、分子の記載する種が、存在する主な種である、すなわちモル濃度に基づいて、同じ混合物中のいかなる他の個々の種よりも豊富であることを意味する。特定の態様において、実質的に純粋な分子は、対象の種が、存在するすべての巨大分子種の少なくとも50%(モル濃度に基づく)を構成する組成物である。他の態様において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての巨大分子種の少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%を構成するであろう。特定の態様において、本質的に均一な物質は、混入種が慣用的な検出法によって組成物中に検出不能であり、そしてしたがって組成物が単一の検出可能な巨大分子種からなるような度合いまで精製されてきている。
【0042】
ポリペプチド(例えば抗原結合タンパク質、または抗体)の「変異体」は、1またはそれより多いアミノ酸残基が、別のポリペプチド配列に比較して、アミノ酸配列内に挿入され、該配列から欠失し、そして/または該配列内に置換されている、アミノ酸配列を含む。変異体には融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドの「誘導体」は、挿入、欠失、または置換変異体とは別個の何らかの方式で、例えば別の化学部分へのコンジュゲート化を介して、化学的に修飾されているポリペプチドである。
【0043】
用語「天然存在」または「天然」は、ポリペプチド、核酸、宿主細胞等の生物学的物質と関連して、本明細書全体で用いた際、天然に見られる物質、例えば天然ヒトIL-23を指す。特定の側面において、天然IL-23に結合する組換え抗原結合タンパク質を提供する。この関連において、「組換えタンパク質」は、組み換え技術を用いて、すなわち本明細書に記載するような組換え核酸の発現を通じて作製されるタンパク質である。組換えタンパク質の産生のための方法および技術は、当該技術分野に周知である。
【0044】
用語「抗体」は、任意のアイソタイプの損なわれていない(intact)免疫グロブリン、またはターゲット抗原への特異的結合に関して、損なわれていない抗体と競合可能なその断片であり、そしてこれには、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、および二重特異性抗体が含まれる。こうしたものとして、抗体は、抗原結合タンパク質の一種である。別に示さない限り、用語「抗体」には、2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、変異体、断片、および突然変異タンパク質が含まれ、その例を以下に記載する。損なわれていない抗体は、一般的に、少なくとも2つの全長重鎖および2つの全長軽鎖を含むであろうが、いくつかの場合、重鎖のみを含みうる、ラクダ科(camelid)において天然に存在する抗体のように、より少ない鎖が含まれる可能性もあ
る。抗体は、単一の供給源のみに由来してもよいし、または「キメラ」であってもよく、すなわち、以下にさらに記載するように、抗体の異なる部分が2つの異なる抗体に由来してもよい。抗原結合タンパク質、抗体、または結合断片を、ハイブリドーマ中で、組換えDNA技術によって、あるいは損なわれていない抗体の酵素的または化学的切断によって産生してもよい。
【0045】
用語、抗体または免疫グロブリン鎖(重鎖または軽鎖)の「機能性断片」(または単に「断片」)は、本明細書において、全長鎖に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠くが、抗原に特異的に結合可能な抗体の部分(その部分がどのように得られたかまたは合成されたかに関わらず)を含む抗原結合タンパク質である。こうした断片は、これらがターゲット抗原に特異的に結合し、そして損なわれていない抗体を含む他の抗原結合タンパク質と、所定のエピトープへの特異的結合に関して競合しうる点で生物学的に活性である。1つの側面において、こうした断片は、全長軽鎖または重鎖に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、そしていくつかの態様において、単一の重鎖および/または軽鎖またはその部分を含むであろう。これらの生物学的活性断片は、組換えDNA技術によって産生可能であるか、あるいは損なわれていない抗体を含む抗原結合タンパク質の酵素的または化学的切断によって産生可能である。断片には、限定されるわけではないが、免疫学的に機能する断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ドメイン抗体および一本鎖抗体が含まれ、そしてこれらは、限定されるわけではないが、ヒト、マウス、ラット、ラクダ科またはウサギを含む、任意の哺乳動物供給源に由来してもよい。本明細書に開示する抗原結合タンパク質の機能性部分、例えば1またはそれより多いCDRが、第二のタンパク質または小分子に共有結合して、体の特定のターゲットに対して向けられるか、二重機能性療法特性を所持するか、または延長された血清半減期を有する療法剤を生成可能であることがさらに意図される。
【0046】
用語「競合する」は、抗原結合タンパク質(例えば中和性抗原結合タンパク質または中和抗体)に関連して用いた場合、共通の抗原(例えばIL-23タンパク質またはその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えばリガンド、または参照抗体)の特異的結合を、試験下の抗原結合タンパク質(例えば抗体またはその免疫学的に機能する断片)が防止するかまたは阻害するアッセイによって決定されるような、抗原結合タンパク質間の競合を意味する。多くのタイプの競合的結合アッセイが使用可能であり、例えば:固相直接または間接的ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接的酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliら, 1983, Methods in Enzymology 9:242-253を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirklandら, 1986, J. Immunol. 137:3614-3619を参照されたい)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、HarlowおよびLane, 1988, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);I-125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morelら, 1988, Molec. Immunol. 25:7-15を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheungら, 1990, Virology 176:546-552を参照されたい);および直接標識RIA(Moldenhauerら, 1990, Scand. J. Immunol. 32:77-82)を用いてもよい。典型的には、こうしたアッセイには、固相表面に結合した精製抗原またはこれらのいずれかを所持する細胞、非標識試験抗原結合タンパク質および標識参照抗原結合タンパク質の使用が伴う。
【0047】
試験抗原結合タンパク質の存在下で固相表面または細胞に結合した標識の量を決定することによって、競合的阻害を測定する。通常、試験抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合的抗原結合タンパク質)に
は、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質、および参照抗原結合タンパク質が結合するエピトープと十分に近接した隣接エピトープに結合して、立体障害を生じる抗原結合タンパク質が含まれる。通常、競合的抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、これは共通の抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合を、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%または75%阻害するであろう。いくつかの場合、結合は、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより多く阻害される。
【0048】
用語「エピトープ」または「抗原決定基」は、抗原結合タンパク質が結合する、抗原上の部位を指す。エピトープは、隣接アミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並列する非隣接アミノ酸の両方から形成可能である。隣接アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒に対する曝露に際して保持されるが、三次フォールディングによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒での処理に際して失われる。エピトープ決定基には、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基などの分子の化学的活性表面基が含まれてもよく、そしてエピトープ決定基は、特定の三次元構造特性、および/または特定の電荷特性を有してもよい。エピトープには、典型的には、ユニークな空間コンホメーションにある少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35アミノ酸が含まれる。当該技術分野に知られる方法を用いて、エピトープを決定してもよい。
【0049】
IL-23抗原結合タンパク質
「抗原結合タンパク質」は、本明細書において、明記するターゲット抗原に特異的に結合するタンパク質を意味し;本明細書に提供するような抗原は、IL-23、特に天然ヒトIL-23を含むヒトIL-23である。本明細書に提供するような抗原結合タンパク質は、IL-23のユニークなp19サブユニットの少なくとも一部と相互作用して、IL-23に検出可能に結合する;が、IL-12(例えばIL-12のp40および/またはp35サブユニット)にはいかなる有意性を持っても結合せず、したがって「IL-12を残す」。その結果、本明細書に提供する抗原結合タンパク質は、IL-12または共有されるp40サブユニットの阻害を生じうる潜在的なリスクを伴わずに、IL-23活性に影響を及ぼすことが可能である。抗原結合タンパク質は、例えば受容体への結合に影響を及ぼすことによって、例えば受容体会合に干渉することによって、IL-23がその受容体と相互作用する能力に影響を及ぼしうる。特に、こうした抗原結合タンパク質が、完全にまたは部分的に、IL-23の1またはそれより多い生物学的活性を減少させるか、阻害するか、これに干渉するかまたはこれを調節する。こうした阻害または中和は、抗原結合タンパク質の非存在下での反応に比較して、抗原結合タンパク質の存在下で、生物学的反応を乱し、そしてこれは、当該技術分野に知られ、そして本明細書に記載するアッセイを用いて決定可能である。本明細書に提供する抗原結合タンパク質は、IL-23が誘導する炎症促進性サイトカイン産生、例えば全血球におけるIL-23が誘導するIL-22産生、ならびにNKおよび全血球におけるIL-23が誘導するIFNγ発現を阻害する。生物学的活性の減少は、約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより多くであってもよい。
【0050】
抗原結合タンパク質は、抗原に結合する部分、および場合によって、抗原結合部分が、抗原への抗原結合タンパク質の結合を促進するコンホメーションを採用するのを可能にする足場またはフレームワーク部分を含んでもよい。抗原結合タンパク質の例には、抗体、抗体断片(例えば抗体の抗原結合部分)、抗体誘導体、および抗体類似体が含まれる。抗原結合タンパク質は、移植されたCDRまたはCDR誘導体を含む別のタンパク質足場ま
たは人工的足場を含むことも可能である。こうした足場には、限定されるわけではないが、例えば抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化させるために導入された突然変異を含む抗体由来足場、ならびに例えば生体適合性ポリマーを含む完全に合成の足場が含まれる。例えばKorndorferら, Proteins: Structure, Function, and Bioinformatics, (2003)第53巻, 第1号:121-129; Roqueら, Biotechnol. Prog., 2004, 20:639-654を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣体(「PAM」)、ならびにフィブロネクチン構成要素を足場として利用する抗体模倣体に基づく足場を使用してもよい。
【0051】
本明細書に記載する特定の抗原結合タンパク質は抗体であるかまたは抗体に由来する。こうした抗原結合タンパク質には、限定されるわけではないが、それぞれ、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体、抗体模倣体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合体、抗体コンジュゲート、一本鎖抗体、およびその断片が含まれる。いくつかの例において、抗原結合タンパク質は、抗体の免疫学的断片(例えばFab、Fab’、F(ab’)2、またはscFv)である。本明細書において、多様な構造をさらに記載し、そして定義する。
【0052】
提供する特定の抗原結合タンパク質は、本明細書に記載するような1またはそれより多いCDR(例えば1、2、3、4、5、6またはそれより多いCDR)を含んでもよい。いくつかの例で、抗原結合タンパク質は、(a)ポリペプチド構造および(b)ポリペプチド構造内に挿入され、そして/または該構造に連結された1またはそれより多いCDRを含む。ポリペプチド構造は、多様な異なる型を取りうる。例えば、該構造は、天然存在抗体のフレームワーク、またはその断片もしくは変異体であるか、またはそれを含むか、あるいは事実上、完全に合成であってもよい。多様なポリペプチド構造の例を以下にさらに記載する。
【0053】
本発明の抗原結合タンパク質は、解離平衡定数(KD)が≦10-8Mである場合、ターゲット抗原に「特異的に結合する」と言われる。KDが≦5x10-9Mである場合、抗原結合タンパク質は、抗原に「高アフィニティ」で結合し、そしてKDが≦5x10-10Mである場合、「非常に高いアフィニティ」で結合する。1つの態様において、抗原結合タンパク質は、≦5x10-12MのKDでヒトIL-23に結合し、そしてさらに別の態様において、≦5x10-13MのKDで結合するであろう。本発明の別の態様において、抗原結合タンパク質は、≦5x10-12MのKDおよび約≦5x10-6 1/sのKoffを有する。別の態様において、Koffは≦5x10-7 1/sである。
【0054】
別の側面は、in vitroまたはin vivoで(例えばヒト被験体に投与した際)、少なくとも1日の半減期を有する抗原結合タンパク質を提供する。1つの態様において、抗原結合タンパク質は、少なくとも3日の半減期を有する。別の態様において、抗体またはその部分は、4日またはそれより長い半減期を有する。別の態様において、抗体またはその部分は、8日またはそれより長い半減期を有する。別の態様において、非誘導体化または非修飾抗体に比較した際、抗体またはその抗原結合部分が、より長い半減期を有するように、これらを誘導体化するかまたは修飾する。別の態様において、抗原結合タンパク質は、WIPO公報第WO 00/09560号に記載されるような、血清半減期を増加させる点突然変異を含有する。
【0055】
抗原結合タンパク質を療法適用のために用いる態様において、抗原結合タンパク質は、IL-23の1またはそれより多い生物学的活性、例えば炎症促進性サイトカイン産生の誘導を減少させるか、阻害するか、これに干渉するかまたはこれを調節することも可能で
ある。IL-23は、多くの別個の生物学的影響を有し、これは、異なる細胞タイプにおける多くの異なるアッセイで測定可能であり;こうしたアッセイの例が知られ、そして本明細書にこれを提供する。
【0056】
提供する抗原結合タンパク質のいくつかは、天然存在抗体と典型的に関連する構造を有する。これらの抗体の構造単位は、典型的には、各々、ポリペプチド鎖の2つの同一のカプレットで構成される、1またはそれより多い四量体を含むが、いくつかの種の哺乳動物はまた、単一の重鎖しか持たない抗体も産生する。典型的な抗体において、各対またはカプレットには、1つの全長「軽」鎖(特定の態様において、約25kDa)および1つの全長「重」鎖(特定の態様において、約50~70kDa)が含まれる。各個々の免疫グロブリン鎖は、いくつかの「免疫グロブリンドメイン」で構成され、各ドメインは、およそ90~110アミノ酸からなり、そして特徴的なフォールディングパターンを示す。これらのドメインは、抗体ポリペプチドが構成される基本的な単位である。各鎖のアミノ末端部分には、典型的には、抗原認識に関与する可変領域が含まれる。カルボキシ末端部分は、鎖のもう一方の末端よりも進化的により保存されており、そして「定常領域」または「C領域」と称される。ヒト軽鎖は、一般的に、カッパおよびラムダ軽鎖と分類され、そしてこれらの各々は、1つの可変領域および1つの定常ドメイン(CL1).zを含有する。重鎖は、典型的には、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロン鎖と分類され、そしてこれらは、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと定義する。IgGは、限定されるわけではないが、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む、いくつかのサブタイプを有する。IgMサブタイプには、IgM、およびIgM2が含まれる。IgAサブタイプには、IgA1およびIgA2が含まれる。ヒトにおいて、IgAおよびIgDアイソタイプは4つの重鎖および4つの軽鎖を含有し;IgGおよびIgEアイソタイプは2つの重鎖および2つの軽鎖を含有し;そしてIgMアイソタイプは5つの重鎖および5つの軽鎖を含有する。重鎖定常領域(CH)は、典型的には、エフェクター機能に関与しうる1またはそれより多いドメインを含む。重鎖定常領域ドメインの数は、アイソタイプに応じるであろう。IgG重鎖は、例えば、各々、CH1、CH2およびCH3として知られる3つのCH領域ドメインを含有する。提供する抗体は、これらのアイソタイプおよびサブタイプのいずれを有してもよく、例えば、IL-23抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、またはIgG4サブタイプのものである。IgG4が望ましい場合、Bloomら, 1997,
Protein Science 6:407に記載されるようなヒンジ領域中の点突然変異(CPSCP→CPPCP)を導入して、IgG4抗体における不均一性を導きうる、H鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減することが望ましい可能性もまたある。サブクラス・スイッチング法を用いて、1つのタイプである本明細書に提供する抗体を、異なるタイプに変化させてもよい。例えば、Lanttoら, 2002, Methods Mol. Biol. 178:303-316を参照されたい。
【0057】
全長軽鎖および重鎖において、可変および定常領域は、約12またはそれより多いアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖はまた、約10またはそれより多いアミノ酸の「D」領域もまた含む。例えば、Fundamental Immunology, 第2版, 第7章(Paul, W.監修) 1989, ニューヨーク: Raven Pressを参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。
【0058】
可変領域
本明細書に提供する多様な重鎖および軽鎖可変領域(またはドメイン)を表1および2に示す。これらの可変領域は各々、上記重鎖および軽鎖定常領域に付着可能である。さらに、こうして生成された重鎖および軽鎖配列の各々を組み合わせて、完全抗原結合タンパク質構造を形成することも可能である。
【0059】
以下の表1および2に示すように、VH1、VH2、VH3、VH4、VH5、VH6、VH7、VH8、VH9、VH10、VH11、VH12、VH13、VH14、VH15およびVH16からなる群より選択される少なくとも1つの重鎖可変領域(VH)、ならびに/あるいはVL1、VL2、VL3、VL4、VL5、VL6、VL7、VL8、VL9、VL10、VL11、VL12、VL13、VL14、VL15およびVL16からなる群より選択される少なくとも1つの軽鎖可変領域(VL)を含有する抗原結合タンパク質を提供する。
【0060】
表2に列挙する重鎖可変領域各々を、表1に示す軽鎖可変領域いずれかと組み合わせて、抗原結合タンパク質を形成することも可能である。いくつかの場合、抗原結合タンパク質には、表1および2に列挙するもの由来の少なくとも1つの重鎖可変領域および/または1つの軽鎖可変領域が含まれる。いくつかの場合、抗原結合タンパク質には、表1および2に列挙するもの由来の少なくとも2つの重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域が含まれる。重鎖可変領域の多様な組み合わせを、軽鎖可変領域の多様な組み合わせのいずれと組み合わせてもよい。
【0061】
他の例において、抗原結合タンパク質は、2つの同一の軽鎖可変領域および/または2つの同一の重鎖可変領域を含有する。例として、抗原結合タンパク質は、表1および2に列挙するような、軽鎖可変領域対および重鎖可変領域対の組み合わせの、2つの軽鎖可変領域および2つの重鎖可変領域を含む、抗体または免疫学的に機能性である断片であってもよい。2つの同一の重鎖および軽鎖可変領域を含むこうした抗原結合タンパク質の例には:抗体A VH14/VL14; 抗体B VH9/VL9; 抗体C VH10/VL10; 抗体D VH15/VL15; 抗体E VH1/VL1, 抗体F VH11/VL11; 抗体G VH12/VL12; 抗体H VH13/VL13; 抗体I VH8/VL8; 抗体J VH3/VL3; 抗体K VH7/VL7; 抗体L
VH4/VL4; 抗体M VH5/VL5および抗体N VH6/VL6が含まれる。
【0062】
提供するいくつかの抗原結合タンパク質は、表1および2より選択される重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域の配列から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸残基だけ異なるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域を含み、こうした配列相違は各々、独立に、1つのアミノ酸の欠失、挿入または置換である。いくつかの抗原結合タンパク質における軽鎖および重鎖可変領域は、表1および2に提供するアミノ酸配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらに他の抗原結合タンパク質、例えば抗体または免疫学的に機能性である断片にはまた、本明細書に記載するような可変重鎖領域型および/または可変軽鎖領域型も含まれる。
【0063】
用語「同一性」は、配列を整列させ、そして比較することによって決定されるような、2またはそれより多いポリペプチド分子あるいは2またはそれより多いポリヌクレオチドの配列の間の関連を指す。「同一性パーセント」は、比較する分子中のアミノ酸またはヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、そして比較中の分子の最小のサイズに基づいて、計算される。
【0064】
【0065】
【0066】
これらの計算のため、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって(存在するならば)整列中のギャップに取り組まなければなら
ない。整列核酸またはポリペプチドの同一性を計算するのに使用可能な方法には、Computational Molecular Biology(Lesk, A.M.監修), 1988, ニューヨーク: Oxford University Press; Biocomputing Informatics and Genome Projects(Smith, D.W.監修), 1993, ニューヨーク: Academic Press; Computer Analysis of Sequence Data, Part I(Griffin, A.M.およびGriffin, H.G.監修), 1994, ニュージャージー: Humana Press;
von Heinje, G., 1987, Sequence Analysis
in Molecular Biology, ニューヨーク: Academic Press; Sequence Analysis Primer(Gribskov, M.およびDevereux, J.監修), 1991, ニューヨーク: M.
Stockton Press;ならびにCarilloら, 1988, SIAM
J. Applied Math. 48:1073に記載されるものが含まれる。
【0067】
同一性パーセントを計算する際、比較中の配列を、配列間の最大マッチが生じる方式で整列させる。同一性パーセントを決定するのに用いられるコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージであり、該パッケージには、GAP(Devereuxら, 1984, Nucl. Acid Res. 12:387; Genetics Computer Group, University of Wisconsin, ウィスコンシン州マディソン)が含まれる。コンピュータアルゴリズムGAPを用いて、配列同一性パーセントを決定しようとする2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを整列させる。それぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適マッチングのために、配列を整列させる(アルゴリズムによって決定されるような「マッチしたスパン」)。ギャップオープニングペナルティ(平均対角の3xとして計算される、ここで「平均対角」は、使用中の比較マトリックスの対角の平均であり;「対角」は、特定の比較マトリックスによって、完全アミノ酸マッチ各々に割り当てられたスコアまたは数字である)およびギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10倍)、ならびにPAM250またはBLOSUM62などの比較マトリックスがアルゴリズムと組み合わせて用いられる。特定の態様において、標準的比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスに関しては、Dayhoffら, 1978, Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352; BLOSUM 62比較マトリックスに関しては、Henikoffら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:10915-10919を参照されたい)もまた、アルゴリズムによって用いられる。
【0068】
GAPプログラムを用いたポリペプチドまたはヌクレオチド配列に関する同一性パーセントを決定するために推奨されるパラメータは、以下の通りである:アルゴリズム: Needlemanら, 1970, J. Mol. Biol. 48:443-453;比較マトリックス: Henikoffら、1992、上記由来のBLOSUM 62;ギャップペナルティ: 12(しかし末端ギャップに関するペナルティなし)、ギャップ長ペナルティ: 4、類似性の閾値: 0。2つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームは、2つの配列の短い領域のみのマッチングを生じる可能性もあり、そして2つの全長配列間に有意な関係がない場合であってさえ、この小さい整列領域が非常に高い配列同一性を有する可能性もある。したがって、望ましい場合、選択された整列法(GAPプログラム)を調整して、ターゲットポリペプチドの少なくとも50の隣接アミノ酸に渡る整列を生じてもよい。
【0069】
本明細書に開示する重鎖および軽鎖可変領域には、関連抗原結合タンパク質群に由来するコンセンサス配列が含まれる。重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を類似性に関し
て分析した。カッパ軽鎖可変領域を有する1群(VH9/VL9、VH10/VL10、VH11/VL11、VH13/VL13、VH14/VL14およびVH15/VL15)、およびラムダ軽鎖可変領域を有する3群:ラムダ1群(VH5/VL5、VH6/VL6およびVH7/VL7)、ラムダ2群(VH3/VL3およびVH4/VL4)、およびラムダ3群(VH1/VL1およびVH2/VL2)の4群が生じた。相当する軽鎖生殖系列には、VK1/A30およびVK1/L19が含まれる。相当する軽鎖ラムダ生殖系列には、VL1/1e、VL3/3p、VL5/5cおよびVL9/9aが含まれる。相当する重鎖生殖系列には、VH3/3-30、VH3/3-30.3、VH3/3-33、VH3/3-48、VH4/4-31およびVH4/4-59が含まれる。本明細書において、「コンセンサス配列」は、所定のアミノ酸配列内で多様である、いくつかの配列および可変アミノ酸の間で共通の保存されるアミノ酸を有するアミノ酸配列を指す。本明細書に開示するIL-23抗原結合タンパク質に対応する軽鎖および重鎖可変領域の標準的系統学的分析を用いて、コンセンサス配列を決定してもよい。
【0070】
カッパ群の軽鎖可変領域コンセンサス配列は、DX1QX2TQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGX3X4SX5WX6AWYQQKPGX7APX8LLIYAASSLQSGVPSRFS GSX9SGTX10FTLTISSLQPX11DFATYX12CQQANSFPFTFGPGTKVDX13K(配列番号30)であり、式中、X1はIまたはSより選択され;X2はMまたはLより選択され;X3はGまたはVより選択され、そしてX4はS、FまたはIより選択され;X5はSまたはGより選択され;X6はFまたはLより選択され;X7はKまたはQより選択され;X8はK、NまたはSより選択され;X9はGまたはVより選択され;X10はDまたはEより選択され、X11はEまたはAより選択され;X12はYまたはFより選択され;そしてX13はI、VまたはFより選択される。
【0071】
ラムダ群1の軽鎖可変領域コンセンサス配列は、QPX1LTQPPSASASLGASVTLTCTLX2SGYSDYKVDWYQX3RPGKGPRFVMRVGTGGX4VGSKGX5GIPDRFSVLGSGLNRX6LTIKNIQEEDESDYHCGADHGSGX7NFVYVFGTGTKVTVL(配列番号61)であり、式中、X1はVまたはEより選択され;X2はNまたはSより選択され;X3はQまたはLより選択され、そしてX4はIまたはTより選択され;X5はDまたはEより選択され;X6はYまたはSより選択され;そしてX7はSまたはNより選択される。
【0072】
ラムダ群3の軽鎖可変領域コンセンサス配列は、QSVLTQPPSVSGAPGQRVTISCTGSSSNX1GAGYDVHWYQQX2PGTAPKLLIYGSX3NRPSGVPDRFSG SKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQSYDSSLSGWVFGGGTX4RLTVL(配列番号139)であり、式中、X1はTまたはIより選択され;X2はVまたはLより選択され;X3はGまたはNより選択され、そしてX4はRまたはKより選択される。
【0073】
カッパ群の重鎖可変領域コンセンサス配列は、QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSIX1SGGYYWX2WIRQHPGKGLEWIGX3IX4YSGX5X6YYNPSLK SRX7TX8SVDTSX9NQFSLX10LSSVTAADTAVYYCAX11X12RGX13YYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号140)であり、式中、X1はNまたはSより選択され;X2はSまたはTより選択され;X3はYまたはHより選択され、そしてX4はYまたはHより選択され;X5はSまたはNより選択され;X6はSまたはTより選択され;X7はVまたはIより選択され;X8はIまたはMより選択され;X9はKまたはQより選択され;X10はKまたはSより選択され、X11はRまたはKより選択され;X12はDまたはNより選択され;そしてX13はH、FまたはYより選択される。
【0074】
ラムダ群1の重鎖可変領域コンセンサス配列は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCX1X2SGFTFSX3X4SMNWVRQAPGKGLEWVSYISSX5SSTX6YX7ADSV KGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRDEDTAVYYCARRIAAAGX8X9X10YYYAX11DVWGQGTTVTVSS(配列番号141)であり、式中、X1はAまたはVより選択され;X2はAまたはVより選択され;X3はTまたはSより選択され、そしてX4はYまたはFより選択され;X5はSまたはRより選択され;X6はRまたはIより選択され;X7はH、YまたはIより選択され;X8はPまたはGより選択され;X9はWまたはFより選択され;X10はGまたはHより選択され、そしてX11はMまたはLより選択される。
【0075】
ラムダ群2の重鎖可変領域コンセンサス配列は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYX1MHWVRQAPGKGLEWX2X3VISX4DGSX5KYYADSV KGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARERTTLSGSYFDYWGQGTLVTVSS(配列番号142)であり、式中、X1はGまたはAより選択され;X2はVまたはLより選択され;X3はAまたはSより選択され、そしてX4はFまたはHより選択され、そしてX5はLまたはIより選択される。
【0076】
ラムダ群3の重鎖可変領域コンセンサス配列は、QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWYDGSNX1YYADSVKG RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDRGYX2SSWYPDAFDIWGQGTMVTVSS(配列番号143)であり、X1はEまたはKより選択され、そしてX2はTまたはSより選択される。
【0077】
相補性決定領域
相補性決定領域または「CDR」は、重鎖および軽鎖可変領域中のフレームワーク内に包埋されており、ここでCDRは抗原結合および認識に関与する領域を構成する。同じ種の免疫グロブリン鎖の可変ドメインは、例えば、一般的に、類似の全体構造を示し;超可変性のCDR領域によって連結される、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を含む。抗原結合タンパク質は、1、2、3、4、5、6またはそれより多いCDRを有してもよい。上に論じる可変領域は、例えば、典型的には、3つのCDRを含む。重鎖可変領域および軽鎖可変領域由来のCDRは、典型的には、フレームワーク領域によって整列されて、ターゲット抗原(例えばIL-23)と特異的に結合する構造を形成する。N末端からC末端まで、天然存在軽鎖および重鎖可変領域は、どちらも、典型的には、これらの要素を以下の順序で合わせる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4。例示的な軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインのCDRおよびFR領域を、表1および2に強調する。CDRおよびFR領域の境界は、強調されたものとは異なりうることが認識される。これらのドメイン各々において位置を占めるアミノ酸に番号を割り当てるため、番号付け系が考案されてきている。これらの系を用いて、所定の抗原結合タンパク質の相補性決定領域およびフレームワーク領域を同定してもよい。この番号付け系は、Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版, US Dept. of Health and Human Services, PHS, NIH, NIH
Publication No. 91-3242, 1991、またはChothiaおよびLesk, 1987, J. Mol. Biol. 196:901-917; Chothiaら, 1989, Nature 342:878-883に定義されている。免疫グロブリン鎖中のアミノ酸に関する他の番号付け系には、IMGT(登録商標)(国際ImMunoGeneTics情報系; Lefrancら, Dev.
Comp. Immunol. 2005, 29:185-203);およびAHo
(HoneggerおよびPluckthun, J. Mol. Biol. 2001, 309(3):657-670)が含まれる。本明細書に提供するCDRを、伝統的な抗体構造の抗原結合ドメインを定義するのに用いてもよいだけでなく、本明細書に記載するように、多様な他のポリペプチド構造中に包埋してもよい。
【0078】
本明細書に開示する抗原結合タンパク質は、その中に、1またはそれより多いCDRが移植され、挿入され、包埋され、そして/または連結されていてもよいポリペプチドである。抗原結合タンパク質は、例えば、1つの重鎖CDR1(「CDRH1」)、および/または1つの重鎖CDR2(「CDRH2」)、および/または1つの重鎖CDR3(「CDRH3」)、および/または1つの軽鎖CDR1(「CDRL1」)、および/または1つの軽鎖CDR2(「CDRL2」)、および/または軽鎖CDR3(「CDRL3」)を有してもよい。いくつかの抗原結合タンパク質には、CDRH3およびCDRL3両方が含まれる。特定の態様は、一般的に、反復しないCDRの組み合わせを利用し、例えば抗原結合タンパク質は、一般的に、1つの可変重鎖領域中に2つのCDRH2領域を用いては作製されないなどである。抗原結合タンパク質は、表3に提示する1またはそれより多いCDRのアミノ酸配列と同一であるか、あるいは該配列から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸残基だけ異なるアミノ酸配列を含む、1またはそれより多いアミノ酸配列を含み、こうした各配列相違は各々、独立に、1つのアミノ酸の欠失、挿入または置換のいずれかである。いくつかの抗原結合タンパク質におけるCDRは、表3に列挙するCDR配列に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの抗原結合タンパク質において、CDRは、「フレームワーク」領域内に包埋され、該領域は、CDR(単数または複数)の適切な抗原結合特性が達成されるように、CDR(単数または複数)を方向付ける。
【0079】
【0080】
【0081】
本明細書において、配列番号7および11のアミノ酸残基23~34;配列番号9、13、15、17、19 21、23、25、27および29のアミノ酸残基24~34;配列番号1、3および4のアミノ酸残基23~36;配列番号31、33、34、38、40、44、52および60のアミノ酸残基31~35、ならびに配列番号46、48、50、54、56および58のアミノ酸残基31~37を含む、CDR1領域を提供する。
【0082】
配列番号9、13、15、17、19、21、23、25、27および29のアミノ酸残基50~56;配列番号7および11のアミノ酸残基50~61;配列番号4のアミノ酸残基52~62;配列番号31、33、44および52のアミノ酸残基50~65;配列番号36、38、40、42および60のアミノ酸残基50~66;配列番号1および3のアミノ酸残基52~58、ならびに配列番号46、48、50、54、56および58のアミノ酸残基52~67を含むCDR2領域を提供する。
【0083】
配列番号13、15、17、19、21、23、25、27および29のアミノ酸残基89~97;配列番号1および3のアミノ酸残基91~101;配列番号7、9および11のアミノ酸残基94~106;配列番号44および52のアミノ酸残基98~107;配列番号4のアミノ酸残基97~105;配列番号34および36のアミノ酸残基99~110;配列番号112のアミノ酸残基99~112;配列番号31および33のアミノ酸残基99~113;配列番号38、40および42のアミノ酸残基99~114;配列
番号46、48、54、56および58のアミノ酸残基100~109;ならびに配列番号50のアミノ酸残基101~019を含むCDR3領域もまた提供する。
【0084】
本明細書に開示するCDRには、関連配列群に由来するコンセンサス配列が含まれる。先に記載するように、可変領域配列の4群、1つのカッパ群および3つのラムダ群が同定された。カッパ群由来のCDRL1コンセンサス配列は、RASQX1X2SX3WX4A(配列番号123)からなり、式中、X1はGまたはVより選択され;X2はI、FまたはSより選択され;X3はSまたはGより選択され、そしてX4はFまたはLより選択される。ラムダ群1由来のCDRL1コンセンサス配列は、TLX1SGYSDYKVD(配列番号124)からなり、式中、X1はNまたはSより選択される。ラムダ群3由来のCDRL1コンセンサス配列は、TGSSSNX1GAGYDVH(配列番号125)からなり、式中、X1はIまたはTより選択される。
【0085】
ラムダ群1由来のCDRL2コンセンサス配列は、VGTGGX1VGSKGX2(配列番号126)からなり、式中、X1はIまたはTより選択され、そしてX2はDまたはEより選択される。ラムダ群3由来のCDRL2コンセンサス配列は、GSX1NRPS(配列番号127)からなり、式中、X1はNまたはGより選択される。
【0086】
CDRL3コンセンサス配列には、GADHGSGX1NFVYV(配列番号128)が含まれ、式中、X1はSまたはNである。
カッパ群由来のCDRH1コンセンサス配列は、SGGYYWX1(配列番号129)からなり、式中、X1はSまたはTより選択される。ラムダ群1由来のCDRH1コンセンサス配列は、X1X2SMN(配列番号131)からなり、式中、X1はSまたはTより選択され、そしてX2はYまたはFより選択される。ラムダ群2由来のCDRH1コンセンサス配列は、SYX1MH(配列番号130)からなり、式中、X1はGまたはAより選択される。
【0087】
カッパ群由来のCDRH2コンセンサス配列は、X1IX2YSGX3X4YYNPSLKS(配列番号132)からなり、式中、X1はYまたはHより選択され;X2はYまたはHより選択され;X3はSまたはNより選択され、そしてX4はTまたはSより選択される。ラムダ群1由来のコンセンサス配列はYISSX1SSTX2YX3ADSVKG(配列番号134)からなり、式中、X1はRまたはSより選択され、X2はIまたはRより選択され、X3はI、HまたはYより選択される。ラムダ群2由来のコンセンサス配列は、VISX1DGSX2KYYADSVKG(配列番号133)からなり、式中、X1はFまたはHであり、そしてX2はLまたはTである。ラムダ群3由来のCDRH2コンセンサス配列はVIWYDGSNX1YYADSVKG(配列番号135)からなり、式中、X1はKまたはEより選択される。
【0088】
カッパ群由来のCDRH3コンセンサス配列は、X1RGX2YYGMDV(配列番号136)からなり、式中、X1はNまたはDより選択され、そしてX2はH、YまたはFより選択される。ラムダ群1由来のCDRH3コンセンサス配列は、RIAAAGX1X2X3YYYAX4DV(配列番号137)からなり、式中、X1はGまたはPより選択され;X2はFまたはWより選択され;X3はHまたはGより選択され、そしてX4はLおよびMより選択される。ラムダ群3由来のCDRH3コンセンサス配列は、DRGYX1SSWYPDAFDI(配列番号138)からなり、式中、X1はSまたはTより選択される。
【0089】
モノクローナル抗体
提供する抗原結合タンパク質には、IL-23に結合するモノクローナル抗体が含まれる。当該技術分野に知られる技術いずれかを用いて、例えば、免疫スケジュールの完了後
に、トランスジェニック動物から採取した脾臓細胞を不死化することによって、モノクローナル抗体を産生してもよい。当該技術分野に知られる任意の技術を用いて、例えば、骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生することによって、脾臓細胞を不死化してもよい。ハイブリドーマを産生する融合法で使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体産生性であり、高い融合効率を有し、そして所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの増殖を支持する特定の選択培地中で増殖することが不可能であるようにする酵素不全を有する。マウス融合体で使用するのに適した細胞株の例には、Sp-20、P3-X63/Ag8、P3-X63-Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210-Ag14、FO、NSO/U、MPC-11、MPC11-X45-GTG 1.7およびS194/5XXO Bulが含まれ;ラット融合体で使用する細胞株の例には、R210.RCY3、Y3-Ag 1.2.3、IR983Fおよび4B210が含まれる。細胞融合に有用な他の細胞株は、U-266、GM1500-GRG2、LICR-LON-HMy2およびUC729-6である。
【0090】
いくつかの例において、動物(例えばヒト免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物)をIL-23免疫原で免疫し;免疫動物から脾臓細胞を採取し;採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株と融合させ、それによってハイブリドーマ細胞を生成し;ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を樹立し、そしてIL-23ポリペプチドに結合する一方、IL-12を残す抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することによって、ハイブリドーマ細胞株を産生する。こうしたハイブリドーマ細胞株、およびこれらに産生される抗IL-23モノクローナル抗体が、本出願の側面である。
【0091】
当該技術分野に知られるいかなる技術を用いて、ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体を精製してもよい。ハイブリドーマまたはmAbをさらにスクリーニングして、IL-23が誘導する活性を阻害する能力などの、特定の特性を持つmAbを同定してもよい。
【0092】
キメラ抗体およびヒト化抗体
前述の配列に基づくキメラ抗体およびヒト化抗体もまた提供する。療法剤として使用するためのモノクローナル抗体を、使用前に多様な方式で修飾してもよい。1つの例はキメラ抗体であり、機能する免疫グロブリン軽鎖または重鎖あるいは免疫学的に機能するその部分を産生するように共有結合された、異なる抗体由来のタンパク質セグメントで構成される抗体である。一般的に、重鎖および/または軽鎖の部分は、特定の種に由来するか、あるいは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列に同一または相同である一方、鎖(単数または複数)の残りは、別の種に由来するか、あるいは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応する配列に同一または相同である。キメラ抗体に関連する方法に関しては、例えば米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855を参照されたい。CDR移植は例えば、米国特許第6,180,370号、第5,693,762号、第5,693,761号、第5,585,089号、および第5,530,101号に記載される。
【0093】
キメラ抗体の1つの有用なタイプは、「ヒト化」抗体である。一般的に、ヒト化抗体は、最初に非ヒト動物で作製されたモノクローナル抗体から産生される。このモノクローナル抗体中の、典型的には抗体の非抗原認識部分に由来する特定のアミノ酸残基を、対応するアイソタイプのヒト抗体中の対応する残基に相同であるように修飾する。例えば、多様な方法を用いて、ヒト抗体の対応する領域に関して、げっ歯類可変領域の少なくとも部分を置換することによって、ヒト化を実行してもよい(例えば、米国特許第5,585,089号、および第5,693,762号; Jonesら, 1986, Nature
321:522-525; Riechmannら, 1988, Nature 3
32:323-27; Verhoeyenら, 1988, Science 239:1534-1536を参照されたい)。
【0094】
特定の態様において、ヒト以外の種由来の定常領域をヒト可変領域(単数または複数)と一緒に用いて、ハイブリッド抗体を産生してもよい。
完全ヒト抗体
完全ヒト抗体もまた提供する。ヒトを抗原に曝露することなく、所定の抗原に特異的な完全ヒト抗体を作製するための方法が利用可能である(「完全ヒト抗体」)。完全ヒト抗体の産生を実行するために提供される1つの特定の手段は、マウス体液性免疫系の「ヒト化」である。内因性免疫グロブリン(Ig)遺伝子が不活性化されているマウス内にヒトIg遺伝子座を導入することが、任意の所望の抗原で免疫可能な動物であるマウスにおいて、完全ヒト・モノクローナル抗体(mAb)を産生する1つの手段である。完全ヒト抗体を用いると、療法剤としてヒトにマウスまたはマウス誘導体化mAbを投与することによって、ときに引き起こされうる免疫原性およびアレルギー性反応が最小限になりうる。
【0095】
内因性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体のレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(通常はマウス)を免疫することによって、完全ヒト抗体を産生してもよい。この目的のための抗原は、典型的には、6またはそれより多い隣接アミノ酸を有し、そして場合によってキャリアー、例えばハプテンとコンジュゲート化される。例えば、Jakobovitsら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551-2555; Jakobovitsら, 1993, Nature 362:255-258;およびBruggermannら, 1993,
Year in Immunol. 7:33を参照されたい。こうした方法の1つの例において、マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン鎖をコードする内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座を無能力化し、そしてマウスゲノム内に、ヒト重鎖および軽鎖タンパク質をコードする遺伝子座を含有するヒトゲノムDNAの巨大断片を挿入することによって、トランスジェニック動物を産生する。次いで、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の完全補完物未満を有する、部分的に修飾された動物を交差育種して、すべての所望の免疫系修飾を有する動物を得る。免疫原を投与した際、これらのトランスジェニック動物は、免疫原に免疫特異的であるが、可変領域を含めてネズミアミノ酸配列ではなくヒト配列を有する抗体を産生する。こうした方法のさらなる詳細に関しては、例えば、WIPO特許公報WO96/33735およびWO94/02602を参照されたい。ヒト抗体を作製するためのトランスジェニックマウスに関するさらなる方法は、米国特許第5,545,807号:第6,713,610号;第6,673,986号;第6,162,963号;第5,545,807号;第6,300,129号;第6,255,458号;第5,877,397号;第5,874,299号および第5,545,806号; WIPO特許公報WO91/10741、WO90/04036、ならびにEP 546073B1およびEP 546073A1に記載される。
【0096】
上述のトランスジェニックマウスは、内因性[ミュー]および[カッパ]鎖遺伝子座を不活性化させるターゲティング突然変異とともに、再配置されていないヒト重鎖([ミュー]および[ガンマ])および[カッパ]軽鎖免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含有する(Lonbergら, 1994, Nature 368:856-859)。したがって、マウスは、マウスIgMまたは[カッパ]の発現減少を示し、そして免疫に応答して、そして導入されたヒト重鎖および軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を経て、高アフィニティ・ヒトIgG[カッパ]モノクローナル抗体を生成する(Lonbergら、上記; LonbergおよびHuszar, 1995, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93; HardingおよびLonberg, 1995, Ann. N.Y Acad. Sci. 764:536-546)。こうしたマウスの調製は、
Taylorら, 1992, Nucleic Acids Research 20:6287-6295; Chenら, 1993, International Immunology 5:647-656; Tuaillonら, 1994, J.
Immunol. 152:2912-2920; Lonbergら, 1994,
Nature 368:856-859; Lonberg, 1994, Handbook of Exp. Pharmacology 113:49-101; Taylorら, 1994, International Immunology 6:579-591; LonbergおよびHuszar, 1995, Intern.
Rev. Immunol. 13:65-93; HardingおよびLonberg, 1995, Ann. N.Y Acad. Sci. 764:536-546; Fishwildら, 1996, Nature Biotechnology
14:845-85に詳細に記載される。米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号;および第5,770,429号;ならびに米国特許第5,545,807号; WIPO公報第WO 93/1227号;第WO 92/22646号;および第WO 92/03918号をさらに参照されたい。これらのトランスジェニックマウスにおいて、ヒト抗体を産生するのに利用される技術はまた、WIPO公報第WO
98/24893号、およびMendezら, 1997, Nature Genetics 15:146-156にも開示される。例えば、HCo7およびHCo12トランスジェニックマウス系統を用いて、抗IL-23抗体を生成してもよい。
【0097】
ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を持つ抗原特異的ヒトmAbを産生し、そして上述のようなトランスジェニックマウスから選択してもよい。こうした抗体をクローニングし、そして適切なベクターおよび宿主細胞を用いて発現させてもよいし、または培養ハイブリドーマ細胞から抗体を採取してもよい。
【0098】
完全ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーに由来してもよい(Hoogenboomら, 1991, J. Mol. Biol. 227:381;Marksら, 1991, J. Mol. Biol. 222:581; WIPO公報第WO99/10494号に開示されるとおり)。ファージディスプレイ技術は、糸状バクテリオファージの表面上に抗体レパートリーをディスプレイさせ、そして続いて、選択した抗原への結合によってファージを選択することによって、免疫選択を模倣する。
【0099】
二重特異性または二重機能性抗原結合タンパク質
「二重特異性」、「デュアル特異性」、または「二重機能性」抗原結合性タンパク質または抗体は、それぞれ、2つの異なる抗原結合部位、例えば上述のような1またはそれより多いCDRあるいは1またはそれより多い可変領域を有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。いくつかの場合、これらは2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。多重特異性抗原結合タンパク質または「多重特異性抗体」は、1より多い抗原またはエピトープをターゲットとするものである。二重特異性抗原結合タンパク質および抗体は、多重特異性抗原結合タンパク質抗体の一種であり、そして限定されるわけではないが、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む多様な方法によって、産生可能である。例えば、SongsivilaiおよびLachmann, 1990, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321; Kostelnyら, 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照されたい。
【0100】
免疫学的断片
抗原結合タンパク質にはまた、抗体の免疫学的断片(例えばFab、Fab’、F(a
b’)2、またはscFv)も含まれる。「Fab断片」は、1つの軽鎖(軽鎖可変領域(VL)およびその対応する定常ドメイン(CL))および1つの重鎖(重鎖可変領域(VH)および第一の定常ドメイン(CH1))で構成される。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成不能である。「Fab’断片」は、1つの軽鎖および1つの重鎖の一部を含有し、2つのFab’断片の2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合が形成されてF(ab’)2分子が形成可能であるように、該重鎖はまた、CH1およびCH2ドメインの間の領域も含有する。「F(ab’)2断片」は、したがって、2つの重鎖間のジスルフィド結合によってともに保持される2つのFab’断片で構成される。「Fv断片」は、抗体の単一のアームの可変軽鎖領域および可変重鎖領域からなる。単一鎖抗体「scFv」は、重鎖および軽鎖可変領域が柔軟なリンカーによって連結されており、抗原結合領域を形成する単一ポリペプチド鎖が形成されているFv分子である。一本鎖抗体は、WIPO公報第WO 88/01649号、米国特許第4,946,778号および第5,260,203号; Bird, 1988, Science 242:423; Hustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879; Wardら, 1989, Nature 334:544, de Graafら, 2002, Methods Mol Biol. 178:379-387; Korttら, 1997, Prot. Eng. 10:423; Korttら, 2001, Biomol. Eng. 18:95-108およびKriangkumら, 2001, Biomol. Eng. 18:31-40に詳細に論じられる。「Fc」領域は、抗体のCH1およびCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含有する。2つの重鎖断片は、2またはそれより多いジスルフィド結合によって、そしてCH3ドメインの疎水性相互作用によってともに保持される。
【0101】
やはり含まれるのは、重鎖可変領域または軽鎖可変領域のみを含有する免疫学的に機能性である免疫グロブリン断片である、ドメイン抗体である。いくつかの例において、2またはそれより多いVH領域は、ペプチド・リンカーと共有結合されて、二価ドメイン抗体を生成する。二価ドメイン抗体の2つのVH領域は、同じまたは異なる抗原をターゲットとしてもよい。ディアボディは、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体であって、各ポリペプチド鎖は、同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成するのを可能にするにはあまりにも短く、したがって各ドメインが別のポリペプチド鎖上の相補ドメインと対形成するのを可能にするリンカーによって連結されたVHおよびVLドメインを含む(例えば、Holligerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48, 1993、およびPoljakら, Structure 2:1121-23, 1994を参照されたい)。同様に、トリアボディおよびテトラボディは、それぞれ、3つおよび4つのポリペプチド鎖を含み、そして、同じであってもまた異なってもよい、それぞれ、3つおよび4つの抗原結合部位を形成する抗体である。マキシボディは、IgG1のFc領域に共有結合した二価scFvを含む(例えばFredericksら, 2004, Protein Engineering, Design & Selection, 17:95-106; Powersら, 2001, Journal of Immunological Methods, 251:123-135; Shuら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:7995-7999; Haydenら, 1994, Therapeutic Immunology 1:3-15を参照されたい)。
【0102】
多様な他の型
上に開示する抗原結合タンパク質の変異体型もまた提供し、該抗原結合タンパク質のいくつかは、表1および2に列挙する重鎖または軽鎖、可変領域あるいはCDRの1またはそれより多くに、1またはそれより多い保存的アミノ酸置換を有する。
【0103】
天然存在アミノ酸は、共通の側鎖特性に基づいて、クラスに分けることも可能である:疎水性(ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile);中性親水性(Cys、Ser、Thr、Asn、Gln);酸性(Asp、Glu);塩基性(His、Lys、Arg);鎖配向に影響を及ぼす残基(Gly、Pro);および芳香族(Trp、Tyr、Phe)。
【0104】
保存的アミノ酸置換は、これらのクラスの1つのメンバーと、同じクラスの別のメンバーを交換することを伴ってもよい。保存的アミノ酸置換は、非天然存在アミノ酸残基を含むことも可能であり、これは典型的には、生物学的系における合成よりも、化学的ペプチド合成によって取り込まれる。これらには、ペプチド擬似体、およびアミノ酸部分の他の逆転(reversed)型または反転(inverted)型が含まれる。(a)置換領域における分子主鎖の構造、例えばシートまたはらせんコンホメーションとしての構造、(b)ターゲット部位での分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖のかさばり(bulkiness)の維持に対する影響が有意に異なる、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列における置換を生成することによって、本明細書記載の抗原結合タンパク質の機能的および/または生化学的特性における、こうした実質的な修飾を達成してもよい。
【0105】
非保存的置換は、上記クラスの1つのメンバーと別のクラスのメンバーとの交換を伴ってもよい。こうした置換残基を、ヒト抗体と相同である抗体領域内に、または該分子の非相同領域内に導入してもよい。
【0106】
こうした変化を作製する際、特定の態様にしたがって、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮してもよい。タンパク質のヒドロパシー・プロファイルは、各アミノ酸に数値(「ヒドロパシー指数」)を割り当て、そして次いで、これらの値をペプチド鎖に沿って反復して平均することによって計算される。各アミノ酸には、疎水性および電荷特性に基づいて、ヒドロパシー指数が割り当てられている。これらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)である。
【0107】
相互作用性の生物学的機能をタンパク質に与える際に、ヒドロパシー・プロファイルが重要であることが、当該技術分野において理解されている(例えば、Kyteら, 1982, J. Mol. Biol. 157:105-131を参照されたい)。類似のヒドロパシー指数またはスコアを有する他のアミノ酸を、特定のアミノ酸で置換して、そしてなお類似の生物学的活性が保持されうることが知られる。特定の態様において、ヒドロパシー指数に基づいて変化を作製する際、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸置換が含まれる。いくつかの側面において、±1以内であるものが含まれ、そして他の側面において、±0.5以内であるものが含まれる。
【0108】
当該技術分野において、親水性に基づいて、同様のアミノ酸の置換を有効に行うことが可能であることもまた、理解されており、本発明の場合におけるように、それによって生成された生物学的に機能するタンパク質またはペプチドが免疫学的態様における使用を意図される場合には特に当てはまる。特定の態様において、隣接するアミノ酸の親水性によって決定されるような、タンパク質の最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原結合性または免疫原性、すなわちタンパク質の生物学的特性と相関する。
【0109】
以下の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0
);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);およびトリプトファン(-3.4)。類似の親水性値に基づいて変化を作製する際、特定の態様において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、他の態様において、±1以内であるものが含まれ、そしてさらに他の態様において、±0.5以内であるものが含まれる。いくつかの場合、また、親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを同定してもよい。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」とも称される。
【0110】
例示的な保存的アミノ酸置換を以下の表4に示す。
【0111】
【0112】
当業者は、周知の技術を用いて、本明細書に示すようなポリペプチドの適切な変異体を決定可能であろう。当業者は、活性に重要でないと考えられる領域をターゲティングすることによって、活性を破壊することなく変化させうる分子の適切な領域を同定可能である。当業者はまた、類似のポリペプチド中に保存される分子の残基および部分も同定可能である。さらなる態様において、生物学的活性にまたは構造に重要でありうる領域でさえ、生物学的活性を破壊することなく、またポリペプチド構造に不都合に影響を及ぼすことなく、保存的アミノ酸置換に供することも可能である。
【0113】
さらに、当業者は、類似のポリペプチドにおいて、活性または構造に重要な残基を同定するため、構造-機能研究を再検討してもよい。こうした比較を考慮して、類似のタンパク質において、活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応する、タンパク質中のアミノ酸残基の重要性を予測してもよい。当業者は、こうして予測された重要なアミノ酸残基に関して、化学的に類似のアミノ酸置換を選択してもよい。
【0114】
当業者はまた、類似のポリペプチド中の構造に関連して、3次元構造およびアミノ酸配
列も分析してもよい。こうした情報を考慮して、当業者が、三次元構造に関して、抗体のアミノ酸残基の整列を予測することも可能である。タンパク質表面上にあると予測されるアミノ酸残基は、他の分子との重要な相互作用に関与する可能性もあるため、当業者は、こうした残基に根本的な変化を与えないように、選択することも可能である。さらに、当業者は、所望のアミノ酸残基各々の位で、単一のアミノ酸置換を含有する試験変異体を生成することも可能である。次いで、IL-23活性に関するアッセイ(以下の実施例を参照されたい)を用いて、これらの変異体をスクリーニングして、こうして、どのアミノ酸を変化させてもよく、そしてどれを変化させてはならないかに関する情報を得ることも可能である。言い換えると、こうしたルーチンの実験から集めた情報に基づいて、当業者は、単独の、または他の突然変異と組み合わせた、さらなる置換を回避すべきであるアミノ酸位を容易に決定可能である。
【0115】
いくつかの科学的刊行物が二次構造の予測に当てられてきている。Moult, 1996, Curr. Op. in Biotech. 7:422-427; Chouら, 1974, Biochem. 13:222-245; Chouら, 1974, Biochemistry 113:211-222; Chouら, 1978, Adv. Enzymol. Relat. Areas Mol. Biol.
47:45-148; Chouら, 1979, Ann. Rev. Biochem. 47:251-276;およびChouら, 1979, Biophys. J. 26:367-384を参照されたい。さらに、二次構造を予測するのを補助するコンピュータプログラムが現在利用可能である。二次構造を予測する1つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、30%を越える配列同一性または40%を越える類似性を有する、2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば、類似の構造的トポロジーを有する。近年、タンパク質構造データベース(PDB)が大きくなり、ポリペプチドまたはタンパク質構造内でのフォールディングのありうる数を含む、二次構造の予測可能性が増進してきている。Holmら, 1999, Nucl. Acid. Res. 27:244-247を参照されたい。所定のポリペプチドまたはタンパク質には、限定される数のフォールディングしかなく、そして決定的な数の構造が解明されたなら、構造予測は劇的により正確になるであろうことが示唆されている(Brennerら, 1997, Curr. Op. Struct. Biol. 7:369-376)。
【0116】
二次構造を予測するさらなる方法には、「スレッディング(threading)」(Jones, 1997, Curr. Opin. Struct. Biol. 7:377-87; Sipplら, 1996, Structure 4:15-19)、「プロファイル分析」(Bowieら, 1991, Science 253:164-170; Gribskovら, 1990, Meth. Enzym. 183:146-159; Gribskovら, 1987, Proc. Nat. Acad. Sci. 84:4355-4358)、および「進化連関(evolutionary linkage)」(Holm、1990、上記;およびBrenner、1997、上記を参照されたい)が含まれる。
【0117】
いくつかの態様において:(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させ、(2)酸化に対する感受性を減少させ、(3)タンパク質複合体を形成するための結合アフィニティを改変し、(4)リガンドまたは抗原結合アフィニティを改変し、そして/または(4)こうしたポリペプチドに他の物理化学特性または機能特性、例えば置換領域での分子主鎖の構造、例えばシートまたはらせんコンホメーションを維持するか;ターゲット部位の分子の電荷または疎水性を維持するかまたは改変するか、あるいは側鎖のかさばりを維持するかまたは改変する特性を与えるかまたはこうした特性を修正するアミノ酸置換が行われる。
【0118】
例えば、単数または多数のアミノ酸置換(特定の態様において、保存的アミノ酸置換)を天然存在配列において行うことも可能である。分子間接触を形成するドメイン(単数または複数)外の抗体部分において置換を行ってもよい。こうした態様において、親配列の構造特徴を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換を用いてもよい(例えば、親または天然抗原結合タンパク質を特徴付ける二次構造を破壊しない1またはそれより多い置換アミノ酸)。当該技術分野に認識されるポリペプチド二次構造および三次構造の例が、Proteins, Structures and Molecular Principles(Creighton監修), 1984, W.H. ニューヨーク: Freeman and Company; Introduction to Protein Structure(BrandenおよびTooze監修), 1991, ニューヨーク: Garland Publishing ;およびThorntonら, 1991, Nature 354:105に記載される。
【0119】
さらなる変異体には、システイン変異体が含まれ、ここで親または天然アミノ酸配列中の1またはそれより多いシステイン残基が、欠失されているか、または別のアミノ酸(例えばセリン)で置換されている。システイン変異体は、抗体が、生物学的活性コンホメーションになるように再フォールディングされなければならない場合に、とりわけ有用である。システイン変異体は、天然抗体より少ないシステイン残基を有することも可能であり、そして典型的には、対でないシステインから生じる相互作用を最小限にするため、偶数のシステイン残基を有する。
【0120】
開示する重鎖および軽鎖可変領域およびCDRを用いて、IL-23ポリペプチドに特異的に結合可能な抗原結合性領域を含有する抗原結合タンパク質を調製してもよい。「抗原結合領域」は、明記する抗原に特異的に結合するタンパク質またはタンパク質の一部、例えば抗原と相互作用し、そして抗原結合タンパク質にターゲット抗原に対する特異性およびアフィニティを与えるアミノ酸残基を含有する領域を指す。抗原結合領域には、1またはそれより多いCDRが含まれることも可能であり、そして特定の抗原結合領域には、1またはそれより多い「フレームワーク」領域もまた含まれる。例えば表3に列挙する1またはそれより多いCDRを、共有的または非共有的に分子(例えばポリペプチド)内に取り込んで、免疫接着を作製してもよい。免疫接着は、より大きいポリペプチド鎖の一部として、CDR(単数または複数)を取り込んでもよいし、CDR(単数または複数)を別のポリペプチド鎖に共有結合させてもよいし、またはCDR(単数または複数)を非共有的に取り込んでもよい。CDR(単数または複数)は、免疫接着が関心対象の特定の抗原(例えばIL-23ポリペプチド)に特異的に結合するようにしうる。
【0121】
他の抗原結合タンパク質には、本明細書に記載する可変領域およびCDRに基づく模倣体(例えば「ペプチド模倣体(peptide mimeticsまたはpeptidomimetics)」)が含まれる。これらの類似体は、ペプチド、非ペプチド、またはペプチドおよび非ペプチド領域の組み合わせであってもよい。Fauchere, 1986, Adv. Drug Res. 15:29; VeberおよびFreidinger, 1985, TINS p. 392;ならびにEvansら, 1987, J. Med. Chem. 30:1229。療法的に有用なペプチドに構造的に類似であるペプチド模倣体を用いて、類似の療法的または予防的効果を生じることも可能である。こうした化合物はしばしば、コンピュータ化分子モデリングの補助によって発展する。一般的に、ペプチド模倣体は、所望の生物学的活性、例えばIL-23に結合する能力を示す抗原結合タンパク質に構造的に類似であるが、当該技術分野に周知の方法によって、例えば: -CH2NH-、-CH2S-、-CH2-CH2-、-CH-CH-(シスおよびトランス)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、および-CH2SO-より選択される連結によって場合によって置換される1またはそれより多いペプチド連結を有するタンパク質である。同じタイプのD-アミノ酸(例えばL-リジンの代わり
にD-リジン)でのコンセンサス配列の1またはそれより多いアミノ酸の体系的な置換を特定の態様で用いて、より安定なタンパク質を生成してもよい。さらに、当該技術分野に知られる方法(RizoおよびGierasch, 1992, Ann. Rev. Biochem. 61:387)によって、例えばペプチドを環状化する分子内ジスルフィド架橋を形成可能な内部システイン残基を付加することによって、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異を含む拘束されたペプチドを生成してもよい。
【0122】
本明細書記載の抗原結合タンパク質の誘導体もまた提供する。誘導体化抗原結合タンパク質は、特定の使用における半減期増加など、抗原結合タンパク質または断片に望ましい特性を与える分子または物質いずれかを含んでもよい。誘導体化抗原結合タンパク質は、例えば、検出可能(または標識)部分(例えば放射性、比色、抗原性または酵素性分子、検出可能ビーズ(例えば、磁気ビーズまたは電子密度が高い(electrodense)(例えば金)ビーズ)、または別の分子に結合する分子(例えばビオチンまたはストレプトアビジン))、療法または診断部分(例えば放射性、細胞傷害性、または薬学的活性部分)、あるいは特定の使用(例えばヒト被験体などの被験体への投与、あるいは他のin vivoまたはin vitro使用)のための抗原結合タンパク質の適合性を増加させる分子を含むことも可能である。抗原結合タンパク質を誘導体化するのに使用可能な分子の例には、アルブミン(例えばヒト血清アルブミン)およびポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。当該技術分野に周知の技術を用いて、抗原結合タンパク質のアルブミン連結およびPEG化誘導体を調製することも可能である。1つの態様において、抗原結合タンパク質をトランスサイレチン(TTR)またはTTR変異体にコンジュゲート化するかまたは別の方式で連結させる。TTRまたはTTR変異体を、例えば、デキストラン、ポリ(n-ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール・ホモポリマー、酸化ポリプロピレン/酸化エチレン・コポリマー、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される化学薬品で化学的に修飾してもよい。
【0123】
他の誘導体には、IL-23抗原結合タンパク質のN末端またはC末端に融合した異種ポリペプチドを含む組換え融合タンパク質の発現によるなどの、他のタンパク質またはポリペプチドとのIL-23抗原結合タンパク質の共有または凝集コンジュゲートが含まれる。例えば、コンジュゲート化されるペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば酵母アルファ因子リーダー、またはエピトープタグなどのペプチドであってもよい。IL-23抗原結合タンパク質を含有する融合タンパク質は、IL-23抗原結合タンパク質の精製または同定を促進するために付加されるペプチド(例えばポリHis)を含んでもよい。また、IL-23抗原結合タンパク質を、Hoppら, 1998, Bio/Technology 6:1204;および米国特許第5,011,912号に記載されるような、FLAGペプチドに連結してもよい。FLAGペプチドは、非常に抗原性であり、そして特異的モノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現された組換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所定のポリペプチドに融合される融合タンパク質を調製するのに有用な試薬が、商業的に入手可能である(Sigma、ミズーリ州セントルイス)。
【0124】
1またはそれより多いIL-23抗原結合タンパク質を含有するオリゴマーをIL-23アンタゴニストとして使用してもよい。オリゴマーは、共有結合したまたは非共有結合した、二量体、三量体、またはより高次のオリゴマーの形であることも可能である。2またはそれより多いIL-23抗原結合タンパク質を含むオリゴマーが使用のために意図され、一例がホモ二量体である。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体等が含まれる。IL-23抗原結合タンパク質に融合
したペプチド部分間の共有相互作用または非共有相互作用を介して連結された、多数のIL-23結合性タンパク質を含むオリゴマーもまた含まれる。こうしたペプチドは、ペプチド・リンカー(スペーサー)、またはオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってもよい。適切なペプチド・リンカーの中には、米国特許第4,751,180号および第4,935,233号に記載されるものがある。ロイシンジッパーおよび抗体に由来する特定のポリペプチドが、それに付着するIL-23抗原結合タンパク質のオリゴマー化を促進可能なペプチドの中にある。可溶性オリゴマー性タンパク質を産生するのに適したロイシンジッパードメインの例は、WIPO公報第WO 94/10308号;Hoppeら, 1994, FEBS Letters 344:191;およびFanslowら, 1994;Semin. Immunol. 6:267-278に記載される。1つのアプローチにおいて、ロイシンジッパーペプチドに融合したIL-23抗原結合タンパク質断片または誘導体を含む組換え融合タンパク質を、適切な宿主細胞において発現させて、そして形成される可溶性オリゴマー性IL-23抗原結合タンパク質断片または誘導体を、培養上清から回収する。
【0125】
こうしたオリゴマーは、2~4のIL-23抗原結合タンパク質を含んでもよい。オリゴマーのIL-23抗原結合タンパク質部分は、上述の型のいずれか、例えば変異体または断片などの、いかなる型であってもよい。好ましくは、オリゴマーは、IL-23結合活性を有する、IL-23抗原結合タンパク質を含む。免疫グロブリン由来のポリペプチドを用いて、オリゴマーを調製してもよい。抗体由来ポリペプチドの多様な部分(Fcドメインを含む)に融合した特定の異種ポリペプチドを含む、融合タンパク質の調製は、例えばAshkenaziら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535; Byrnら, 1990, Nature 344:677;およびHollenbaughら, 1992 “Construction
of Immunoglobulin Fusion Proteins”, Current Protocols in Immunology中, 補遺4, 10.19.1-10.19.11ページに記載されてきている。
【0126】
IL-23抗原結合タンパク質を抗体のFc領域に融合させることによって生成される2つの融合タンパク質を含む二量体もまた含まれる。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を、適切な発現ベクター内に挿入し、組換え発現ベクターで形質転換した宿主細胞において、遺伝子融合体を発現させ、そして発現された融合タンパク質を抗体分子とそっくりに集合させて、その際、Fc部分間に鎖間ジスルフィド結合が形成されて、二量体を生じることによって、作製可能である。こうしたFcポリペプチドには、抗体のFc領域由来のポリペプチドの天然型および突然変異タンパク質型が含まれる。二量体化を促進するヒンジ領域を含有する、こうしたポリペプチドの一部切除(truncated)型もまた含まれる。Fc部分を含む融合タンパク質(およびそこから形成されるオリゴマー)は、プロテインAまたはプロテインGカラム上のアフィニティクロマトグラフィーによる精製が容易であるという利点を提供する。WIPO公報第WO 93/10151号、ならびに米国特許第5,426,048号および第5,262,522号に記載される、1つの適切なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のFc領域のN末端ヒンジ領域から天然C末端に渡る一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号およびBaumら, 1994, EMBO J. 13:3992-4001に記載されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変化し、アミノ酸20がLeuからGluに変化し、そしてアミノ酸22がGlyからAlaに変化していることを除けば、WIPO公報第WO 93/10151号に示される天然Fc配列のものと同一である。該突然変異タンパク質は、Fc受容体に対し、減少したアフィニティを示す。
【0127】
グリコシル化
抗原結合タンパク質は、天然の種に見られるものとは異なるかまたは改変されたグリコシル化パターンを有しうる。当該技術分野に知られるように、グリコシル化パターンは、タンパク質の配列(例えば、以下に論じる、特定のグリコシル化アミノ酸残基の存在または非存在)、あるいはタンパク質が産生される宿主細胞または生物の両方に応じうる。特定の発現系を以下に論じる。
【0128】
ポリペプチドのグリコシル化は、典型的には、N連結またはO連結のいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付着を指す。トリペプチド配列、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニン、式中、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である、は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的付着のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列いずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を生成する。O連結グリコシル化は、糖、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの付着を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンもまた使用可能である。
【0129】
抗原結合タンパク質へのグリコシル化部位の付加は、上述のトリペプチド配列(N連結グリコシル化部位のため)を1またはそれより多く含有するように、アミノ酸配列を改変することによって、好適に達成される。改変はまた、出発配列に対する1またはそれより多いセリンまたはスレオニン残基(O連結グリコシル化部位のため)の付加または該残基による置換によっても作製可能である。容易にするため、抗原結合タンパク質アミノ酸配列を、DNAレベルでの変化を通じて改変してもよく、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンを生成するように、あらかじめ選択された塩基でターゲットポリペプチドをコードするDNAを突然変異させることによってもよい。
【0130】
抗原結合タンパク質上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、タンパク質に対するグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる。これらの方法は、NおよびO連結グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞におけるタンパク質の産生を必要としない点で、好適である。用いるカップリング様式に応じて、糖(単数または複数)を、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)未結合(free)カルボキシル基、(c)システインのものなどの、未結合スルフィドリル基、(d)セリン、スレオニン、またはヒドロキシプロリンのものなどの、未結合ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのものなどの、芳香族残基、あるいは(f)グルタミンのアミド基に付着させてもよい。これらの方法は、PCT公報第WO 87/05330号、ならびにAplinおよびWriston, 1981, CRC Crit. Rev, Biochem., pp. 259-306に記載される。
【0131】
出発抗原結合タンパク質上に存在する炭水化物部分の除去を化学的または酵素的に達成してもよい。化学的脱グリコシル化は、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物へのタンパク質の曝露を必要とする。この処理は、連結糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除く、大部分のまたはすべての糖の切断を生じる一方、ポリペプチドを損なわれないままにする。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら, 1987, Arch. Biochem. Biophys. 259:52およびEdgeら, 1981, Anal. Biochem. 118:131によって記載される。Thotakuraら, 1987, Meth. Enzymol. 138:350に記載されるように、多様なエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用によって、ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断を達成してもよい。潜在的なグリコシル化部位でのグリコシル化は、Duskinら, 1982, J. Biol. Chem. 257:3105に記載されるように、化合物ツニカマイシン
の使用によって防止されうる。ツニカマイシンは、タンパク質-N-グリコシド連結の形成を遮断する。
【0132】
したがって、側面には、親ポリペプチドのアミノ酸配列に比較して、グリコシル化部位(単数または複数)の数および/またはタイプが改変されている抗原結合タンパク質のグリコシル化変異体が含まれる。特定の態様において、抗原結合タンパク質変異体は、親ポリペプチドよりも、より多数またはより少数のN-連結グリコシル化部位を含む。この配列を除去するかまたは改変する置換は、親ポリペプチド中に存在するN連結炭水化物鎖の付加を防止するであろう。例えば、Asnの欠失によって、またはAsnを異なるアミノ酸で置換することによって、グリコシル化を減少させてもよい。抗体は、典型的には、Fc領域中にN連結グリコシル化部位を有する。
【0133】
標識およびエフェクター基
抗原結合タンパク質は1またはそれより多い標識を含んでもよい。用語「標識」または「標識基」は、任意の検出可能標識を指す。一般的に、標識は、検出されるべきアッセイに応じて、多様なクラスに属する:a)放射性であってもまたは重同位体であってもよい、同位体標識;b)磁気標識(例えば磁気粒子);c)レドックス活性部分;d)光学的色素;酵素基(例えば西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);e)ビオチン化基;およびf)二次レポーターによって認識される、あらかじめ決定されたポリペプチドエピトープ(例えばロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ等)。いくつかの態様において、多様な長さのスペーサー・アームを介して、抗原結合タンパク質に標識基をカップリングさせて、潜在的な立体障害を減少させる。タンパク質を標識するための多様な方法が当該技術分野に知られる。適切な標識基の例には、限定されるわけではないが、以下:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えばFITC、ローダミン、ランタニド・リン光体(lanthanide phosphors))、酵素基(例えば西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または二次レポーターに認識されることがあらかじめ決定されているポリペプチド・エピトープ(例えばロイシンジッパー対配列、二次抗体結合部位、金属結合ドメイン、エピトープ・タグ)が含まれる。いくつかの態様において、多様な長さのスペーサー・アームを介して抗原結合タンパク質に標識基をカップリングさせて、潜在的な立体障害を減少させる。タンパク質を標識するための多様な方法が当該技術分野に知られ、そして適切に思われるように、こうした方法を用いてもよい。
【0134】
用語「エフェクター基」は、細胞傷害性剤として作用する、抗原結合タンパク質にカップリングした任意の基を意味する。適切なエフェクター基の例は、放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)である。他の適切な基には、毒素、療法的基または化学療法的基が含まれる。適切な基の例には、カリケアマイシン、アウリスタチン、ゲルダナマイシンおよびメイタンシンが含まれる。いくつかの態様において、多様な長さのスペーサー・アームを介して抗原結合タンパク質にエフェクター基をカップリングさせて、潜在的な立体障害を減少させる。
【0135】
IL-23抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド
本明細書に記載する抗原結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、またはその部分もまた提供し、こうしたポリヌクレオチドには、抗体の一方または両方の鎖、あるいはその断片、誘導体、突然変異タンパク質、または変異体をコードするポリヌクレオチド、重鎖可変領域またはCDRのみをコードするポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドを同定するか、分析するか、突然変異させるかまたは増幅するための、ハイブリダイゼーション・プローブ、PCRプライマーまたは配列決定プライマーとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、および前述のものの相補配列が含まれる。ポリヌクレオチドはいかなる長さであってもよい。これらは、間のすべての値を含めて、例えば、長さ5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、85、95、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000またはそれより長い核酸であってもよく、そして/または1またはそれより多いさらなる配列、例えば制御配列を含んでもよく、そして/またはより大きいポリヌクレオチド、例えばベクターの一部であってもよい。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってもよく、そしてRNAおよび/またはDNA核酸、ならびにその人工的変異体(例えばペプチド核酸)を含んでもよい。
【0136】
特定の抗原結合タンパク質またはその部分(例えば、全長抗体、重鎖または軽鎖、可変ドメイン、あるいはCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、またはCDRL3)をコードするポリヌクレオチドを、IL-23またはその免疫原性断片で免疫されているマウスのB細胞から単離してもよい。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの慣用法によって、ポリヌクレオチドを単離してもよい。抗体および他の抗原結合タンパク質の誘導体を調製可能なファージディスプレイが、既知の技術の別の例である。1つのアプローチにおいて、関心対象の抗原結合タンパク質の構成要素であるポリペプチドが、任意の適切な組換え発現系で発現され、そして発現されるポリペプチドは、抗原結合タンパク質分子を形成するように組み立てられる。また、ファージ・ディスプレイを用い、鎖シャッフリングを通じて、異なる特性(すなわち、結合する抗原に対する多様なアフィニティ)を有する抗原結合タンパク質を得る。Marksら, 1992, BioTechnology 10:779を参照されたい。
【0137】
遺伝暗号の縮重のため、本明細書に示すポリペプチド配列は、各々、提供するものに加えて、多数の他のポリヌクレオチド配列によってもまたコードされる。例えば、本明細書に提供する重鎖可変ドメインは、配列番号32、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、または59によってコードされうる。軽鎖可変ドメインは、ポリヌクレオチド配列、配列番号2、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、または28によってコードされうる。一般の当業者は、本出願が、したがって、各抗原結合タンパク質をコードする各縮重ヌクレオチド配列に関する、適切な文書の説明および使用可能性を提供することを認識するであろう。
【0138】
側面は、特定のハイブリダイゼーション条件下で、他のポリヌクレオチド分子にハイブリダイズするポリヌクレオチドをさらに提供する。核酸をハイブリダイズさせるための方法、ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本的パラメータ、および適切な条件を考案するための指針は当該技術分野に周知である。例えば、Sambrook, Fritsch, およびManiatis(2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバーおよびCurrent Protocols in Molecular Biology, 1995, Ausubelら監修, John Wiley & Sonsを参照されたい。本明細書に定義するように、中程度にストリンジェントなハイブリダーゼション条件は、5x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する前洗浄溶液、約50%ホルムアミド、6xSSCのハイブリダイゼーション緩衝液、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または42℃のハイブリダイゼーション温度を伴う、約50%ホルムアミドを含有するものなどの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)、ならびに60℃、0.5x
SSC、0.1%SDS中の洗浄条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6xSSC、45℃でハイブリダイズさせ、その後、0.1xSSC、0.2%SDS中、68℃での1またはそれより多い洗浄が続く。さらに、当業者は、間のすべての値を含めて、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%互いに同一である核酸配列を含むポリヌクレオチドが、典型的には互いにハイブリダイズしたままであるように、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作して、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増加させるかまたは減少させることも可能である。
【0139】
突然変異によってポリヌクレオチド内に変化を導入し、それによってコードするポリペプチド(例えば抗原結合タンパク質または抗原結合タンパク質誘導体)のアミノ酸配列の変化を導くことも可能である。部位特異的突然変異誘発およびランダム突然変異誘発などの当該技術分野に知られるいかなる技術を用いて、突然変異を導入してもよい。突然変異体ポリペプチドを発現させ、そして所望の特性に関してスクリーニングしてもよい。コードするポリペプチドの生物学的活性を有意に改変することなく、ポリヌクレオチド内に突然変異を導入することも可能である。例えば、非必須アミノ酸残基での置換。あるいは、コードするポリペプチドの生物学的活性を選択的に変化させる1またはそれより多い突然変異をポリヌクレオチド内に導入してもよい。例えば、突然変異は、定量的にまたは定性的に、生物学的活性を変化させることも可能であり、例えば、活性の増加、減少、または排除、および抗原結合タンパク質の抗原特異性の変化が含まれる。
【0140】
別の側面は、核酸配列の検出のため、プライマーまたはハイブリダイゼーション・プローブとして使用するのに適したポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、全長ポリペプチドをコードする核酸配列の部分のみを含んでもよく、例えば、プローブまたはプライマーとして使用可能な断片、あるいはポリペプチドの活性部分(例えばIL-23結合性部分)をコードする断片を含んでもよい。核酸の配列に基づくプローブを用いて、核酸または類似の核酸、例えばポリペプチドをコードする転写物を検出してもよい。プローブは、標識基、例えば放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含んでもよい。こうしたプローブを用いて、ポリペプチドを発現する細胞を同定してもよい。
【0141】
抗原結合タンパク質を発現する方法
多くの慣用的技術のいずれによって、本明細書に提供する抗原結合タンパク質を調製してもよい。例えば、当該技術分野に知られる任意の技術を用いて、組換え発現系によって、IL-23抗原結合タンパク質を産生してもよい。例えば、Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses, Kennetら(監修), Plenum Press, ニューヨーク(1980);ならびにAntibodies: A
Laboratory Manual, HarlowおよびLane(監修), Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1988)を参照されたい。
【0142】
上述のような少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むプラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形の発現系および構築物もまた、本明細書に提供する。本明細書において、「ベクター」は、タンパク質コード情報を宿主細胞内に移動させるために用いるのに適した、任意の分子または実体(例えば核酸、プラスミド、バクテリオファージまたはウイルス)を意味する。ベクターの例には、限定されるわけではないが、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクターおよび発現ベクター、例えば組換え発現ベクターが含まれる。発現ベクター、例えば組換え発現ベクターは、宿主細胞の形質転換に有用であり、そして機能可能であるように連結されている1またはそれより多い異種コード領域の発現を(宿主細胞と組み合わされて)導きそして/または調節する核酸配
列を含有する。発現構築物には、限定されるわけではないが、転写、翻訳に影響を及ぼすかまたはこれらを調節し、そしてイントロンが存在する場合、機能可能であるように連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列が含まれてもよい。「機能可能であるように連結された」は、この用語が適用されている構成要素が、その生得的な機能を実行することを可能にする関係にあることを意味する。例えば、タンパク質コード配列に「機能可能であるように連結された」ベクター中の調節配列、例えばプロモーターは、調節配列の正常な活性が、タンパク質コード配列の転写を導き、コードされるタンパク質の組換え発現を生じるように配置されている。
【0143】
別の側面は、発現ベクター、例えば組換え発現ベクターが導入されている宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核細胞(例えば大腸菌)または真核細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳動物細胞(例えばCHO細胞))であってもよい。慣用的な形質転換またはトランスフェクション技術を介して、原核または真核細胞内にベクターDNAを導入してもよい。哺乳動物細胞の安定トランスフェクションのため、用いる発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、少ない割合の細胞のみが、ゲノム内に外来DNAを組み込みうることが知られる。これらの組込み体を同定し、そして選択するため、一般的に、選択可能マーカー(例えば抗生物質に対する耐性に関するもの)をコードする遺伝子を、関心対象の遺伝子とともに、宿主細胞内に導入する。好ましい選択可能マーカーには、G418、ハイグロマイシンおよびメトトレキセートなどの薬剤に対する耐性を与えるものが含まれる。導入されたポリヌクレオチドで安定にトランスフェクションされた細胞を、他の方法の中でも、薬剤選択によって、同定してもよい(例えば選択可能マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生き残り、一方、他の細胞は死ぬであろう)。
【0144】
抗原結合タンパク質を、ハイブリドーマ細胞株中(例えば特に抗体をハイブリドーマ中で発現させてもよい)またはハイブリドーマ以外の細胞株中で、発現させてもよい。抗原結合タンパク質をコードする発現構築物を用いて、哺乳動物、昆虫または微生物宿主細胞を形質転換してもよい。例えば、米国特許第4,399,216号;第4,912,040号;第4,740,461号;第4,959,455号によって例示されるように、当該技術分野に知られるトランスフェクション法によって、ウイルスまたはバクテリオファージ中にポリヌクレオチドをパッケージングし、そして宿主細胞に構築物を形質導入する工程を含めて、宿主細胞内にポリヌクレオチドを導入するための任意の既知の方法を用いて、形質転換を行ってもよい。用いる最適な形質転換法は、形質転換しようとする宿主細胞のタイプ次第であろう。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入するための方法は、当該技術分野に周知であり、そしてこれには、限定されるわけではないが、デキストラン仲介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中のポリヌクレオチド(単数または複数)の被包、正荷電脂質と核酸の混合、および核内へのDNAの直接マイクロインジェクションが含まれる。
【0145】
組換え発現構築物は、典型的には、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。該ポリペプチドは、1またはそれより多い以下:本明細書に提供するような1またはそれより多いCDR;軽鎖可変領域;重鎖可変領域;軽鎖定常領域;重鎖定常領域(例えば、CH1、CH2および/またはCH3);および/またはIL-23抗原結合タンパク質の別の足場部分を含んでもよい。標準的連結技術を用いて、これらの核酸配列を適切な発現ベクター内に挿入する。1つの態様において、重鎖または軽鎖定常領域を、本明細書に提供する重鎖または軽鎖可変領域のC末端に付加して、そして発現ベクター内に連結する。ベクターは、典型的には、使用する特定の宿主細胞において機能するように選択される(すなわちベクターは、宿主細胞機構と適合し、遺伝子の増幅および/または発現が起こるのを可能にする)。いくつかの態様において、ジヒドロ葉酸レダクターゼなどのタンパク質レポーターを用いて、タンパク質断片補完アッセイを使用するベクターを用いる(
例えば、米国特許第6,270,964号を参照されたい)。例えば、Invitrogen Life Technologies(カリフォルニア州カールスバッド)またはBD Biosciences(カリフォルニア州サンノゼ)から、適切な発現ベクターを購入してもよい。抗体および断片をクローニングしそして発現するのに有用な他のベクターには、BianchiおよびMcGrew, 2003, Biotech. Biotechnol. Bioeng. 84:439-44に記載されるものが含まれる。さらなる適切な発現ベクターが、例えば、Methods Enzymol., vol. 185(D. V. Goeddel監修), 1990, New York:
Academic Pressに論じられる。
【0146】
典型的には、任意の宿主細胞で用いる発現ベクターは、プラスミド維持のための配列、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含有するであろう。こうした配列は、特定の態様において、集合的に「隣接配列」と呼ばれ、典型的には1またはそれより多い以下のヌクレオチド配列を含む:プロモーター、1またはそれより多いエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプター・スプライシング部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現させようとするポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを挿入するためのポリリンカー領域、および選択可能マーカー要素。商業的に入手可能なベクターなどの出発ベクターから、提供する発現ベクターを構築してもよい。こうしたベクターは、所望の隣接配列をすべて含有していてもまたはしていなくてもよい。本明細書記載の1またはそれより多い隣接配列がベクター中にすでに存在している場合、これらを個々に得て、そしてベクター内に連結してもよい。隣接配列各々を得るために用いられる方法は、当業者に周知である。
【0147】
場合によって、ベクターは、「タグ」コード配列、すなわちIL-23抗原結合タンパク質コード配列の5’または3’端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有してもよく;該オリゴヌクレオチド配列は、商業的に入手可能な抗体が存在するポリHis(ヘキサHisなど)、あるいはFLAG(登録商標)、HA(インフルエンザウイルス赤血球凝集素)、またはmycなどの別の「タグ」をコードする。このタグは、典型的には、ポリペプチドの発現の際、ポリペプチドに融合され、そして宿主細胞からのIL-23抗原結合タンパク質のアフィニティ精製または検出のための手段として働きうる。例えば、アフィニティマトリックスとしてタグに対する抗体を用いるカラムクロマトグラフィーによって、アフィニティ精製を達成してもよい。場合によって、続いて、切断のために特定のペプチダーゼを用いるなどの多様な手段によって、精製IL-23抗原結合タンパク質からタグを取り除いてもよい。
【0148】
隣接配列は、合成または天然の同種(すなわち宿主細胞と同じ種および/または株由来)、異種(すなわち宿主細胞種または株以外の種)、ハイブリッド(すなわち1より多い供給源由来の隣接配列の組み合わせ)であってもよい。こうしたものとして、隣接配列が宿主細胞機構で機能し、そして該機構によって活性化可能であるならば、隣接配列の供給源は、任意の原核または真核生物、任意の脊椎または無脊椎生物、あるいは任意の植物であってもよい。
【0149】
当該技術分野に周知の任意のいくつかの方法によって、ベクターで有用な隣接配列を得てもよい。典型的には、本明細書で有用な隣接配列は、マッピングによって、そして/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって、先に同定されているであろうし、そしてしたがって、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて、適切な組織供給源から単離可能である。いくつかの場合、隣接配列の全長ヌクレオチド配列が知られていてもよい。ここで、核酸合成またはクローニングのため、本明細書記載の方法を用いて、隣接配列を合成してもよい。
【0150】
隣接配列のすべてまたは部分のみが知られているかにかかわらず、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、そして/またはオリゴヌクレオチドおよび/または同じまたは別の種由来の隣接配列断片などの適切なプローブでゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、隣接配列を得てもよい。隣接配列が知られていない場合、例えばコード配列あるいは別の単数または複数の遺伝子さえも含有してもよいDNAの巨大片から、隣接配列を含有するDNAの断片を単離してもよい。制限エンドヌクレアーゼ消化して、適切なDNA断片を産生した後、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Qiagen、カリフォルニア州チャツワース)を用いて単離することによって、または当業者に知られる他の方法によって、単離を達成してもよい。この目的を達成するのに適した酵素の選択は、一般の当業者に容易に明らかであろう。
【0151】
複製起点は、典型的には、商業的に購入される原核発現ベクターの一部であり、そして起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を補助する。選択するベクターが複製起点部位を含有しない場合、既知の配列に基づいて化学的に合成して、そしてベクター内に連結してもよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs、マサチューセッツ州ビバリー)由来の複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に適しており、そして多様なウイルス起点(例えばSV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、あるいはHPVまたはBPVなどのパピローマウイルス)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般的に、複製起点構成要素は哺乳動物発現ベクターには必要ない(例えば、SV40起点がしばしば用いられるが、これはただ該起点がウイルス初期プロモーターもまた含有するからである)。
【0152】
転写終結配列は、典型的にはポリペプチドコード領域の端より3’側に位置し、そして転写を終結させるように働く。通常、原核細胞中の転写終結配列は、G-Cリッチ断片に続くポリT配列である。該配列はライブラリーから容易にクローニングされるか、またはベクターの一部として商業的に購入されさえするが、本明細書記載のものなどの核酸合成法を用いて、容易に合成することもまた可能である。
【0153】
選択可能マーカー遺伝子は、選択培地中で増殖する宿主細胞の生存および増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は(a)抗生物質または他の毒素、例えば原核宿主細胞ではアンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシンに対する耐性を与えるタンパク質;(b)細胞の栄養要求不全を補足するタンパク質;あるいは(c)複合培地または定義される培地から入手可能でない決定的に重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。特定の選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。都合よくは、原核宿主細胞および真核宿主細胞両方において、ネオマイシン耐性遺伝子もまた選択に使用可能である。
【0154】
他の選択可能遺伝子を用いて、発現しようとする遺伝子を増幅することも可能である。増幅は、増殖または細胞の生存に決定的に重要なタンパク質の産生に必要な遺伝子が、組換え細胞の代々の世代の染色体内で、タンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に適した選択可能マーカーの例には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およびプロモーター不含チミジンキナーゼ遺伝子が含まれる。ベクター中に存在する選択可能遺伝子のため形質転換体のみがユニークに適応して生存する選択圧下に、哺乳動物細胞形質転換体を置く。培地中の選択剤の濃度を連続的に増加させて、それによって選択可能遺伝子および別の遺伝子、例えば、IL-23に結合する抗原結合タンパク質をコードするDNA両方の増幅が導かれる条件下で、形質転換細胞を培養することによって、選択圧を課す。その結果、増幅されたDNAから、増加した量の抗原結合タンパク質などのポリペプチドが合成される。
【0155】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、そしてシャイン・ダルガノ配列(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。この要素は、典型的には、発現しようとするポリペプチドのプロモーターの3’に、そしてコード配列の5’に位置する。
【0156】
真核宿主細胞発現系におけるグリコシル化が望ましいなどのいくつかの場合、グリコシル化または収率を改善するため、多様なプレまたはプロ配列を操作することも可能である。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を改変することも可能であるし、またはグリコシル化に影響を及ぼすことも可能なプロ配列を付加することも可能である。最終タンパク質産物は、-1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に比較して)に、完全には除去されなかった可能性もある、発現によって生じる1またはそれより多いさらなるアミノ酸を有することも可能である。例えば、最終タンパク質産物は、アミノ末端に付着して、ペプチダーゼ切断部位に見られる1つまたは2つのアミノ酸残基を有することも可能である。あるいは、いくつかの酵素切断部位を用いることによって、所望のポリペプチドのわずかに一部切除された型を生じることも可能であり、これは酵素が成熟ポリペプチド内のこうした領域を切断する場合である。
【0157】
発現およびクローニングは、典型的には、宿主生物に認識され、そしてIL-23抗原結合タンパク質をコードする分子に機能可能であるように連結されているプロモーターを含有するであろう。プロモーターは、構造遺伝子の転写を調節する、構造遺伝子の開始コドンの上流(すなわち5’)(一般的には約100~1000bp以内)に位置する転写されない配列である。プロモーターは、慣用的に、2つの種類:誘導性プロモーターおよび恒常的プロモーターの一方にグループ分けされる。誘導性プロモーターは、栄養素の存在または非存在、あるいは温度変化などの培養条件の何らかの変化に反応して、調節下にあるDNAからの転写レベル増加を開始する。他方、恒常的プロモーターは、機能可能であるように連結された遺伝子を均一に、すなわちほとんどまたはまったく遺伝子発現を調節せずに、転写する。多様な潜在的な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが周知である。制限酵素消化によって供給源DNAからプロモーターを除去し、そしてベクター内に所望のプロモーター配列を挿入することによって、IL-23抗原結合タンパク質の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードするDNAに、適切なプロモーターを機能可能であるように連結する。
【0158】
酵母宿主で用いるのに適したプロモーターもまた、当該技術分野に周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターとともに、好適に用いられる。哺乳動物宿主細胞で用いるのに適したプロモーターが周知であり、そしてこれには、限定されるわけではないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシ・パピローマウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびサル・ウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるものが含まれる。他の適切な哺乳動物プロモーターには、異種哺乳動物プロモーター、例えば熱ショックプロモーターおよびアクチン・プロモーターが含まれる。
【0159】
関心対象となりうるさらなるプロモーターには、限定されるわけではないが:SV40初期プロモーター(BenoistおよびChambon, 1981, Nature
290:304-310);CMVプロモーター(Thornsenら, 1984,
Proc. Natl. Acad. U.S.A. 81:659-663);ラウス肉腫ウイルスの3’末端反復配列(long terminal repeat)に含有されるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797);ヘルペス・チミジンキナーゼ・プロモーター(Wagnerら, 1981,
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:144-14
45);メタロチオネイン遺伝子由来のプロモーターおよび制御配列(Prinsterら, 1982, Nature 296:39-42);およびベータ-ラクタマーゼ・プロモーターなどの原核生物プロモーター(Villa-Kamaroffら, 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731);またはtacプロモーター(DeBoerら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25)が含まれる。やはり関心対象であるのは、組織特異性を示し、そしてトランスジェニック動物において利用されてきている、以下の動物転写調節領域である:膵臓腺房細胞で活性であるエラスターゼI遺伝子調節領域(Swiftら, 1984, Cell 38:639-646; Ornitzら,1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409; MacDonald, 1987, Hepatology 7:425-515);膵臓ベータ細胞で活性であるインスリン遺伝子調節領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122);リンパ球で活性である免疫グロブリン遺伝子調節領域(Grosschedlら, 1984, Cell 38:647-658; Adamesら, 1985, Nature 318:533-538; Alexanderら, 1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436-1444);精巣細胞、乳房細胞、リンパ球およびマスト細胞で活性であるマウス乳腺腫瘍ウイルス調節領域(Lederら, 1986, Cell 45:485-495);肝臓で活性であるアルブミン遺伝子調節領域(Pinkertら, 1987, Genes and Devel.
1:268-276);肝臓で活性であるアルファ・フェトプロテイン遺伝子調節領域(Krumlaufら, 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648; Hammerら, 1987, Science 253:53-58);肝臓で活性であるアルファ1-アンチトリプシン遺伝子調節領域(Kelseyら,
1987, Genes and Devel. 1:161-171);骨髄細胞で活性であるベータ-グロビン遺伝子調節領域(Mogramら, 1985, Nature 315:338-340; Kolliasら, 1986, Cell 46:89-94);脳のオリゴデンドロサイト細胞で活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(Readheadら, 1987, Cell 48:703-712);骨格筋で活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子調節領域(Sani, 1985, Nature 314:283-286);および視床下部で活性である性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(Masonら, 1986, Science 234:1372-1378)。
【0160】
エンハンサー配列をベクター内に挿入して、より高次の真核生物による転写を増加させることも可能である。エンハンサーは、通常、長さ約10~300bpのDNAのシス作用性要素であり、プロモーターに作用して、転写を増加させる。エンハンサーは、比較的配向および位置独立性であり、転写単位の5’および3’両方の位で見出されている。哺乳動物遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサー配列が知られる(例えばグロビン、エラスターゼ、アルブミン、アルファ-フェト-プロテインおよびインスリン)。しかし、典型的には、ウイルス由来のエンハンサーが用いられる。当該技術分野に知られるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーター・エンハンサー、ポリオーマ・エンハンサー、およびアデノウイルス・エンハンサーは、真核プロモーター活性化のための例示的な増進要素である。エンハンサーは、コード配列の5’または3’のいずれで、ベクター中に位置していてもよいが、典型的には、プロモーターの5’の部位に位置する。適切な天然または異種シグナル配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)をコードする配列を発現ベクター内に取り込んで、抗体の細胞外分泌を促進してもよい。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体を産生しようとする宿主細胞のタイプに応じ、そして異種シグナル配列が天然シグナル配列を置換してもよい。哺乳動物宿主細胞で機能するシグナルペプチドの例には、以下が含まれる:米国特許第4,965,195号に記
載されるインターロイキン-7のシグナル配列; Cosmanら,1984, Nature 312:768に記載されるインターロイキン-2受容体のシグナル配列; EP特許第0367 566に記載されるインターロイキン-4受容体シグナルペプチド;
米国特許第4,968,607号に記載されるI型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド; EP特許第0 460 846号に記載されるII型インターロイキン-1受容体シグナルペプチド。
【0161】
ベクターが構築された後、増幅および/またはポリペプチド発現のため、完成したベクターを適切な宿主細胞内に挿入してもよい。トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE-デキストラン仲介トランスフェクション、または他の既知の技術を含む、周知の方法によって、選択した宿主細胞内への抗原結合タンパク質の発現ベクターの形質転換を達成してもよい。選択する方法は、部分的に、用いる宿主細胞の種類に応じるであろう。これらの方法および他の適切な方法が当業者に周知であり、そして例えば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(2001)に示される。
【0162】
宿主細胞は、適切な条件下で培養した際、タンパク質を合成し、該タンパク質を続いて、培地から収集してもよいし(宿主細胞が該タンパク質を培地内に分泌する場合)、または産生している宿主細胞から直接収集してもよい(該タンパク質が分泌されない場合)。適切な宿主細胞の選択は、所望の発現レベル、活性に望ましいかまたは必要なポリペプチド修飾(グリコシル化またはリン酸化など)および生物学的活性分子へのフォールティングの容易さなどの、多様な要因に応じるであろう。
【0163】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株が当該技術分野に周知であり、そしてこれには、限定されるわけではないが、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手可能な不死化細胞株が含まれ、これには限定されるわけではないが、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHepG2)、およびいくつかの他の細胞株が含まれる。特定の態様において、どの細胞株が高発現レベルを有し、そしてIL-23結合特性を持つ抗原結合タンパク質を恒常的に産生するかを決定することによって、細胞株を選択してもよい。別の態様において、それ自体、抗体を作製しないが、異種抗体を作製しそして分泌する能力を有する、B細胞系譜由来の細胞株もまた選択してもよい。
【0164】
診断および療法目的のためのヒトIL-23抗原結合タンパク質の使用
抗原結合タンパク質は、生物学的試料中でIL-23を検出し、そしてIL-23を産生する細胞または組織を同定するのに有用である。必要がある患者において、IL-23に特異的に結合する抗原結合タンパク質を、IL-23に関連する疾患の診断および/または治療に用いてもよい。一例として、IL-23抗原結合タンパク質を、診断アッセイ、例えば結合アッセイに用いて、血液、血清、細胞または組織中で発現されるIL-23を検出し、そして/または定量化してもよい。さらに、IL-23抗原結合タンパク質を用いて、細胞または組織における1またはそれより多いIL-23の生物学的活性を減少させるか、阻害するか、これに干渉するかまたはこれを調節してもよい。したがって、IL-23に結合する抗原結合タンパク質は、IL-23に関連する疾患を改善する際に療法的使用を有しうる。
【0165】
適応症
本発明はまた、本明細書に開示するものなどの医学的障害の防止または療法的治療のた
めの、IL-23抗原結合タンパク質の使用にも関する。IL-23抗原結合タンパク質は、根底にある疾患または障害に寄与する際に、IL-23が関与するかまたは役割を果たすか、あるいは別の方式で負の症状に寄与する、多様な状態を治療するのに有用である。
【0166】
IL-23抗原結合タンパク質によって有効に治療される状態は、炎症性反応において役割を果たす。こうした炎症性障害には、歯周病;喘息などの肺障害;乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎などの皮膚障害;関節リウマチ、進行性全身性硬化症(強皮症)などのリウマチ性障害;全身エリテマトーデス;強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、腸炎性関節炎および反応性関節炎を含む脊椎関節炎が含まれる。やはり意図されるのは、フォークト・小柳・原田病、特発性前部および後部ブドウ膜炎、ならびに脊椎関節炎に関連するブドウ膜炎を含むブドウ膜炎である。多発性硬化症;自己免疫心筋炎;1型糖尿病および自己免疫甲状腺炎を含む自己免疫障害の治療のためのIL-23抗原結合タンパク質の使用もまた意図される。
【0167】
胃腸系の変性性状態は、IL-23抗原結合タンパク質で治療可能または防止可能である。こうした胃腸障害には、炎症性腸疾患;クローン病、潰瘍性大腸炎およびセリアック病が含まれる。
【0168】
やはり含まれるのは、心臓、肝臓、皮膚、腎臓、肺などの、固形臓器移植、または骨髄移植を含む他の移植から生じる、移植片対宿主病および移植拒絶などの合併症の治療における、IL-23抗原結合タンパク質の使用である。
【0169】
やはり本明細書に提供するのは、IL-23抗原結合タンパク質を用いて、結腸、胃、前立腺、腎細胞、子宮頸部および卵巣癌、ならびに肺癌(SCLCおよびNSCLC)を含む多様な型の癌を含む、多様な腫瘍障害を治療するための方法である。やはり含まれるのは、肉腫、骨肉腫、および癌腫を含む固形腫瘍、例えば腺癌および扁平上皮癌、食道癌、胃癌、胆嚢癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、慢性または急性リンパ芽球性白血病および毛様細胞白血病を含む白血病、ならびに多発性骨髄腫である。
【0170】
診断法
記載する抗原結合タンパク質を診断目的で用いて、IL-23に関連する疾患および/または状態を検出するか、診断するか、または監視してもよい。IL-23の存在を検出する際に有用な方法の例には、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが含まれる。
【0171】
診断適用のため、抗原結合タンパク質は、典型的には、検出可能標識基で標識されるであろう。適切な標識基には、限定されるわけではないが、以下:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド・リン光体)、酵素基(例えば、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または二次レポーターに認識されることがあらかじめ決定されているポリペプチド・エピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体結合部位、金属結合ドメイン、エピトープ・タグ)が含まれる。いくつかの態様において、多様な長さのスペーサー・アームを介して標識基を抗原結合タンパク質にカップリングして、潜在的な立体障害を減少させる。タンパク質を標識するための多様な方法が当該技術分野に知られ、そしてこうした方法を用いてもよい。
【0172】
IL-23を発現する単数または複数の細胞を同定するため、他の診断法を提供する。特定の態様において、抗原結合タンパク質を標識基で標識し、そしてIL-23への標識
抗原結合タンパク質の結合を検出する。さらなる特定の態様において、IL-23への抗原結合タンパク質の結合をin vivoで検出する。さらなる特定の態様において、当該技術分野に知られる技術を用いて、IL-23抗原結合タンパク質を単離し、そして測定する。例えば、HarlowおよびLane, 1988, Antibodies:
A Laboratory Manual, ニューヨーク: Cold Spring Harbor(1991年版および定期的な補遺); John E. Coligan監修, 1993, Current Protocols In Immunology ニューヨーク: John Wiley & Sonsを参照されたい。
【0173】
提供する抗原結合タンパク質と、IL-23への結合に関して競合する試験分子の存在を検出するための他の方法を提供する。1つのこうしたアッセイの例は、試験分子の存在下または非存在下で、IL-23のある量を含有する溶液中で、未結合抗原結合タンパク質の量を検出する工程を伴う。未結合抗原結合タンパク質(すなわちIL-23に結合していない抗原結合タンパク質)の量の増加は、試験分子が、抗原結合タンパク質とIL-23の結合に関して競合可能であることを示す。1つの態様において、抗原結合タンパク質を標識基で標識する。あるいは、試験分子を標識し、そして抗原結合タンパク質の存在下および非存在下で、未結合試験分子の量を監視する。
【0174】
治療法:薬学的配合物、投与経路
療法的有効量の1つまたは複数の抗原結合タンパク質および薬学的に許容されうる賦形剤、希釈剤、キャリアー、可溶化剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントを含む薬学的組成物を提供する。さらに、こうした薬学的組成物を投与することによって患者を治療する方法が含まれる。用語「患者」には、ヒト患者が含まれる。用語「治療する」および「治療」は、障害の少なくとも1つの症状または他の側面の軽減または防止、あるいは疾患重症度の減少等を含む。用語「療法的有効量」または「有効量」は、哺乳動物において、任意の療法的反応を生じると決定されたIL-23抗原結合タンパク質の量を指す。こうした療法的有効量は、一般の当業者によって容易に確認される。
【0175】
抗原結合タンパク質は、発展しうる療法剤を構成するために、完全な治癒を達成するか、あるいは疾患のすべての症状または徴候を根絶する必要はない。関連分野で認識されるように、療法剤として使用される薬剤は、所定の疾患状態の重症度を減少させることも可能であるが、有用な療法剤と見なされるために、疾患のすべての徴候を無効にする必要はない。同様に、予防的に投与される治療は、発展しうる予防剤を構成するために、状態の開始を防止する際に完全に有効である必要はない。単に疾患の影響を減少させる(例えば、症状の数または重症度を減少させることによって、あるいは別の治療の有効性を増加させることによって、あるいは別の有益な効果を生じることによって)か、あるいは疾患が被験体で生じるかまたは悪化する可能性を減少させれば十分である。本明細書で提供する特定の方法は、特定の障害の重症度を反映する指標のベースラインを超えた、持続する改善を誘導するのに十分な量および時間、患者にIL-23アンタゴニスト(例えば本明細書に開示する抗原結合タンパク質)を投与する工程を含む。
【0176】
関連分野で理解されるように、本発明の分子を含む薬学的組成物を、適応症に適した方式で、患者に投与する。限定されるわけではないが、非経口、局所、または吸入によるものを含む、いかなる適切な技術によって、薬学的組成物を投与してもよい。注射する場合、薬学的組成物を、例えば、関節内、静脈内、筋内、病巣内、腹腔内または皮下経路を介して、ボーラス注射によって、あるいは連続注入によって、投与してもよい。局在化投与、例えば疾患または傷害部位での投与が意図され、経皮送達および移植物からの持続放出も同様である。吸入による送達には、例えば、鼻または経口吸入、ネブライザーの使用、エアロゾル型でのアンタゴニストの吸入等が含まれる。他の代替物には、点眼剤;丸剤、シロップ、ロゼンジまたはチューインガムを含む経口調製物;ならびにローション、ジェ
ル、スプレー、および軟膏などの局所調製物が含まれる。
【0177】
ex vivo法での抗原結合タンパク質の使用もまた意図される。例えば、患者の血液または他の体液を、ex vivoで、IL-23に結合する抗原結合タンパク質と接触させてもよい。抗原結合タンパク質を適切な不溶性マトリックスまたは固体支持体材料に結合させてもよい。
【0178】
好適には、抗原結合タンパク質を、生理学的に許容されうるキャリアー、賦形剤または希釈剤などの1またはそれより多いさらなる構成要素を含む組成物の形で投与する。場合によって、組成物は、併用療法のため、さらに、1またはそれより多い生理学的活性剤を含む。薬学的組成物は、IL-23抗原結合タンパク質を、緩衝剤、アスコルビン酸などの酸化防止剤、低分子量ポリペプチド(10アミノ酸未満を有するものなど)、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロースまたはデキストリンなどの炭水化物、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、安定化剤、ならびに賦形剤からなる群より選択される1またはそれより多い物質とともに、含む。中性緩衝生理食塩水または同種血清アルブミンと混合された生理食塩水が、適切な希釈剤の例である。適切な産業標準にしたがって、ベンジルアルコールなどの保存剤もまた添加してもよい。組成物は、適切な賦形剤溶液(例えばスクロース)を希釈剤として用いた凍結乾燥物として配合されてもよい。適切な構成要素は、使用する投薬量および濃度でレシピエントに非毒性である。薬学的配合物に使用可能な構成要素のさらなる例が、第21版(2005)を含むいずれかのRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, ペンシルバニア州イーストンに提示される。
【0179】
開業医が使用するためのキットには、本明細書に論じる状態いずれかを治療する際に使用するための、IL-23抗原結合タンパク質およびラベルまたは他の使用説明書が含まれる。1つの態様において、キットには、1またはそれより多いIL-23結合性抗原結合タンパク質の無菌調製物が含まれ、該調製物は、上に開示するような組成物の形であってもよく、そして1またはそれより多いバイアル中にあってもよい。
【0180】
投薬量および投与頻度は、投与経路、使用する特定の抗原結合タンパク質、治療しようとする疾患の性質および重症度、状態が急性または慢性であるか、ならびに被験体のサイズおよび全身状態などの要因に応じて、多様でありうる。関連技術において知られる方法によって、例えば用量の段階的増大研究を伴いうる臨床試験において、適切な投薬量を決定してもよい。
【0181】
典型的な投薬量は、上述の要因に応じて、約0.1μg/kg~約30mg/kgまで、またはそれより多い範囲であることも可能である。特定の態様において、投薬量は、0.1μg/kg~約30mg/kgまで、場合によって1μg/kg~約30mg/kgまで、場合によって10μg/kg~約10mg/kgまで、場合によって約0.1mg/kg~5mg/kg、または場合によって約0.3mg/kg~3mg/kgの範囲であることも可能である。
【0182】
投薬頻度は、用いる配合物中の特定のヒトIL-23抗原結合タンパク質の薬物動態学パラメータに応じるであろう。典型的には、望ましい効果を達成する投薬量に達するまで、臨床医が組成物を投与する。したがって、単回用量として、または長期に渡る2回またはそれより多い用量として(所望の分子の同量を含有してもまたはしなくてもよい)、あるいは移植デバイスまたはカテーテルを介した連続注入として、組成物を投与してもよい。適切な用量-反応データを使用して、適切な投薬量を確定することも可能である。本発明のIL-23抗原結合タンパク質を、例えば1回または1回より多く、例えばある期間に渡って定期的な間隔で、投与してもよい。特定の態様において、IL-23抗原結合タ
ンパク質を、少なくとも1ヶ月またはそれより長く、例えば1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月、あるいは無期限にさえ、投与する。慢性状態を治療するためには、一般的に、長期治療が最も有効である。しかし、急性状態を治療するためには、より短い期間、例えば1~6週間の投与で十分である可能性もある。一般的に、患者が、選択した単数または複数の指標に関して、ベースラインを超えた、医学的に適切な度合いの改善を示すまで、抗原結合タンパク質を投与する。
【0183】
治療中の障害の重症度を反映する少なくとも1つの指標において、改善、好ましくは持続する改善を誘導するのに十分な量および期間、IL-23抗原結合タンパク質を患者に投与することが意図される。治療の量および期間が十分であるかどうかを決定するため、患者の疾病、疾患または状態の度合いを反映する多様な指標を評価してもよい。こうした指標には、例えば疾患重症度、症状、または問題の障害の徴候の臨床的に認識される指標が含まれる。1つの態様において、被験体が、2~4週間離れた少なくとも2回の機会に、改善を示すならば、改善は持続していると見なされる。改善の度合いは、一般的に、医師によって決定され、医師は、徴候、症状、生検、または他の試験結果に基づいて、この決定を行うことも可能であり、そしてまた、所定の疾患に関して開発された、生活の質アンケートなど、被験体に行われるアンケートも使用してもよい。
【0184】
本発明の方法および組成物の特定の態様は、IL-23抗原結合タンパク質および1またはそれより多いさらなるIL-23アンタゴニスト、例えば2またはそれより多い本発明の抗原結合タンパク質、あるいは本発明の抗原結合タンパク質および1またはそれより多い他のIL-23アンタゴニストの使用を伴う。やはり提供するのは、単独で投与されるか、または患者が罹患している状態を治療するのに有用な他の剤と組み合わされて投与される、IL-23抗原結合タンパク質である。こうした剤の例には、タンパク質性および非タンパク質性薬剤の両方が含まれる。こうした剤には、抗炎症特性を有する療法部分(例えば、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド、免疫調節剤および/または他のサイトカイン阻害剤、例えばIFN-γ、GM-CSF、IL-6、IL-8、IL-17、IL-22およびTNF類をアンタゴナイズするものなど)、あるいはIL-23抗原結合タンパク質および1またはそれより多い他の治療(例えば手術、超音波、または炎症を減少させるのに有効な治療)が含まれる。多数の療法剤を同時投与する場合、関連分野において認識されるかまたは知られるように、投薬量は適宜、調整可能である。IL-23抗原結合タンパク質と併用可能な有用な剤には、例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎を治療するために用いられるもの、例えばアミノサリチル酸(例えばメサラミン)、コルチコステロイド(プレジソン(predisone)を含む)、抗生物質、例えばメトロニダゾールまたはシプロフロキサシン(または例えば瘻孔に罹患した患者を治療するために有用な他の抗生物質)、ならびに免疫抑制剤、例えばアザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、タクロリムスおよびシクロスポリンが含まれる。こうした剤(単数または複数)を経口または別の任意の経路によって、例えば座薬または浣腸によって投与してもよい。乾癬の治療において、IL-23結合タンパク質と併用可能な剤には、局所的または全身性に用いられる、コルチコステロイド、カルシポトリエンおよび他のビタミンD誘導体、アシトレチン(acetretin)および他のレチノイン酸誘導体、メトトレキセート、タクロリムス、およびシクロスポリンが含まれる。こうした剤を同時に、連続して、交互に、または療法の全経過が有効であることを可能にする、任意の他の措置にしたがって、投与してもよい。
【0185】
ヒト患者に加えて、IL-23抗原結合タンパク質は、非ヒト動物、例えばペット(イヌ、ネコ、小鳥、霊長類など)、家畜農場動物(ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、家禽など)の治療にも有用である。こうした例において、動物の体重にしたがって、適切な用量を決定してもよい。例えば、0.2~1mg/kgの用量を用いてもよい。あるいは、動物表面積にしたがって用量を決定し、例示的な用量は0.1~20mg/m2の範囲であり、
またはより好ましくは、5~12mg/m2の範囲である。小動物、例えばイヌまたはネコに関しては、適切な用量は0.4mg/kgである。IL-23抗原結合タンパク質(好ましくはレシピエント種に由来する遺伝子から構築される)を、注射または他の適切な経路によって、週あたり1回またはそれより多く、動物の状態が改善されるまで投与するか、あるいは無期限に投与してもよい。
【0186】
行う実験および得られる結果を含む以下の実施例は、例示目的のためにのみ提供され、そして付随する請求項の範囲を限定するとみなしてはならない。
【実施例】
【0187】
実施例1
ヒトIL-23抗体の生成
XenoMouseTM技術(Amgen、カリフォルニア州サウザンドオークス)を用いて、天然ヒトIL-23活性を認識し、そして阻害する一方、ヒトIL-12を残す、ヒトモノクローナル抗体を開発した。抗体はまた、組換えカニクイザル(cynomologous)IL-23も認識し、そして阻害するが、ネズミまたはラットIL-23を認識しない。
【0188】
以下に記載するSTAT-ルシフェラーゼ・レポーターアッセイを用いて、ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)から得た天然ヒトIL-23の認識および完全阻害に関して、抗体を選択した。ネガティブ選択(単球単離キットII、Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン)を用いて、健康なドナー由来の末梢血単核細胞から、ヒト単球を単離した。ヒトGM-CSF(50ng/ml)およびヒトIL-4(100ng/ml)と単球を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640完全培地中で7日間培養することによって、MoDCを生成した。次いで、MoDCをPBSで2回洗浄し、その後、ヒトCD40L(1μg/ml)でさらに48時間刺激した。CD40Lで刺激したMoDC上清は、IL-23、IL-12およびIL-12/23p40を含有する。ELISAを用いて、IL-12p70(R&D System、ミネソタ州ミネアポリス)、IL-23(eBiosciences、カリフォルニア州サンディエゴ)およびIL-12/23p40(R&D Systems)の量を決定した。STAT-ルシフェラーゼ・アッセイは、IL-23に反応し、そしてIL-12または遊離IL-12/23p40には反応せず、したがって該アッセイを用いて、未精製上清でIL-23活性を評価可能であった。以下に記載するNK細胞アッセイにおいて用いるため、IL-23アフィニティカラムの後、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて、天然ヒトIL-23未精製上清を精製した。IL-23特異的ELISA(eBiosciences)を用いて、濃度を決定した。
【0189】
また、STAT-ルシフェラーゼ・アッセイにおいて、組換えヒト(rhu)IL-23および組換えカニクイザル(cyno)IL-23に対して、精製抗体上清を試験した。組換えヒトIL-23を完全に阻害した試験抗体のうち、天然ヒトIL-23を認識し、そして完全に阻害したのは半分だけだった。組換えヒトIL-23の認識および完全阻害は、天然ヒトIL-23の認識および完全阻害を予測せず、またはこれらに相関しなかった。
図1Aおよび1Bに示すように、組換えヒトIL-23を完全に阻害した抗体上清のうち、天然ヒトIL-23を完全に阻害したのはこれらの抗体の半分のみだった。天然ヒトIL-23を認識し、そして完全に阻害した抗体を、さらなる性質決定のために選択した。
【0190】
実施例2
機能アッセイ
a)STAT-ルシフェラーゼ・アッセイ
IL-23は、ヘテロ二量体受容体に結合し、そしてJAK2およびTyk2を通じてシグナル伝達して、STAT1、3、4および5を活性化することが知られる。このアッセイにおいて、STAT/ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子でトランスフェクションした細胞を用いて、IL-23抗体がIL-23誘導性生体活性を阻害する能力を評価する。
【0191】
ヒトIL-23受容体を発現しているチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞を、STAT-ルシフェラーゼ・レポーターで一晩、一過性トランスフェクションする。IL-23抗体を、96ウェルプレート内に連続希釈する(37.5μg/mlから始めて、1:4連続希釈12ポイント)。天然ヒトIL-23(調製法を実施例1に記載する)を2ng/mlの濃度で各ウェルに添加し、そして室温で15~20分間インキュベーションする。一過性トランスフェクション細胞を100μl/ウェルの最終体積に添加し(8x103細胞)、そして37℃、10%CO2で5時間インキュベーションする。インキュベーション後、100μL/ウェル Glo溶解緩衝液(1x)(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を用いて、室温で5分間、細胞を溶解する。50μLの細胞溶解物を、50μL Bright-Gloルシフェラーゼ基質(Promega)とともに96ウェルプレートに添加し、そしてルミノメーター上で読み取る。
【0192】
GraphPad PRISMソフトウェア(GraphPad Software、カリフォルニア州ラホヤ)を用いて、統計分析を行ってもよい。結果を平均±標準偏差(SD)で表してもよい。
【0193】
表5でわかるように、すべてのIL-23抗体は、用量依存方式で、強力にそして完全に天然ヒトIL-23誘導STAT/ルシフェラーゼ・レポーターを阻害した。抗体はまた、組換えヒト(rhu)IL-23および組換えカニクイザル(cyno)IL-23も強力にそして完全に阻害した。抗体はすべて、ピコモル範囲のIC50値を有した。
【0194】
【0195】
b)NK細胞アッセイ
IL-23がナチュラルキラー細胞に作用して、炎症促進性サイトカイン、例えばインターフェロンγ(IFNγ)の発現を誘導することが知られる。このアッセイにおいて、ヒト初代ナチュラルキラー(NK)細胞を用いて、ヒトIL-23の天然受容体を発現している細胞において、IL-23抗体がIL-23誘導性IFNγ活性を阻害する能力を評価する。
【0196】
ネガティブ選択(NK細胞単離キット、Miltenyi Biotec、カリフォルニア州オーバーン)を通じて、多数のヒトドナーからNK細胞を単離する。10ml/ウェルの最終体積になるように、組換えヒトIL-2(10ng/ml、R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を補った10%ウシ胎児血清を加えたRPMI1640完全培地に、精製したNK細胞(1x106細胞/ml)を添加する。37℃、5%CO2で7日間、細胞を培養する。次いで、IL-2活性化NK細胞を、IL-23抗体の連続希釈(3μg/mlで始めて1:3連続希釈の11ポイント)の存在下、rhuIL
-23またはcyno IL-23(10ng/ml)および組換えヒトIL-18(20ng/ml、R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)で24時間刺激する。製造者の指示にしたがって、IFNγ ELISA(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)によって、上清中のIFNγレベルを測定する。
【0197】
GraphPad PRISMソフトウェアを用いて、統計分析を行ってもよい。平均±標準偏差(SD)として、結果を表してもよい。
表6でわかるように、すべての抗体は、用量依存方式で、NK細胞におけるrhuIL-23およびcyno IL-23誘導性IFNγ発現を強力に阻害した。抗体はすべて、ピコモル範囲のIC50値を有した。天然ヒトIL-23(30μg/ml、調製法を実施例1に記載する)およびrhuIL-18(40ng/ml、R&D Systems)を用いて、抗体サブセットに対してアッセイを行い、そして表6に示す結果を得た。IL-23特異的抗体に関する選択と一致して、これらの抗IL-23抗体は、上記アッセイを用いたNK細胞におけるIL-12が刺激するIFNγ産生に影響を及ぼさない一方、IL-12p35特異的中和抗体、mAb219(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)は、組換えヒトIL-12を強力に阻害した。
【0198】
【0199】
c)ヒト全血アッセイ
抗凝固剤として、Refludan(登録商標)(Bayer、ペンシルバニア州ピッツバーグ)を用いて、多数の健康なドナーからヒト全血を収集する。全血中のRefludan(登録商標)の最終濃度は10μg/mlである。RPMI1640+10%FBS中のrhuIL-23またはcyno IL-23(最終濃度1ng/ml)+rhuIL-18(最終濃度20ng/ml)+rhuIL-2(最終濃度5ng/ml)の刺激混合物を96ウェルプレートに最終体積20μl/ml添加する。連続希釈IL-23抗体(3μg/mlで始めて1:3連続希釈の11ポイント)を20μl/ウェルで添加して、そして室温で30分間、刺激混合物とインキュベーションする。次いで、全血を添加し(120μl/ウェル)、そしてRPMI1640+10%FBSで最終濃度を200μl/ウェルに調整する。全血の最終濃度は60%である。プレートを37℃、5%CO2で24時間インキュベーションする。細胞不含上清を採取し、そして製造者の指示にしたがって、IFNγ ELISA(R&D Systems)によって、上清由来のIFNγレベルを測定する。
【0200】
GraphPad PRISMソフトウェアを用いて、統計分析を行ってもよい。結果を平均±標準偏差(SD)で表してもよい。
表7でわかるように、すべての抗体は、全血球中のrhuIL-23誘導性およびcyno-IL-23誘導性IFNγ発現を用量依存方式で強力に阻害した。抗体はすべて、ピコモル範囲のIC50値を有した。
【0201】
【0202】
d)IL-22アッセイ
IL-23は、炎症促進性サイトカインの強力な誘導因子であることが知られる。IL-23は、活性化およびメモリーT細胞に作用し、そしてIL-22を含む炎症促進性サイトカインを産生するTh17細胞の生存および拡大を促進する。このアッセイにおいて、ヒト全血を用いて、IL-23抗体がIL-23誘導性IL-22産生を阻害する能力を評価する。
【0203】
IL-22産生を誘導するために、rhuIL-23またはcynoIL-23を1ng/mlで、そしてrhuIL-18を10ng/mlで用いる変更を伴い、上述と同じ方式で、全血アッセイを行う。IL-22 ELISA(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)によってIL-22濃度を決定する。
【0204】
表8でわかるように、抗体は、全血球において、rhuIL-23誘導性およびcyn
o IL-23誘導性IL-22産生を、用量依存方式で、強力に阻害した。抗体はすべて、ピコモル範囲のIC50値を有した。
【0205】
【0206】
実施例3
KinExA技術を用いた、抗IL-23抗体に関する平衡解離定数(K
D
)の決定
動力学的排除アッセイ(KinExAアッセイ、Sapidyne Instruments, Inc.、アイダホ州ボイズ)を用いて、IL-23抗体に対するrhuIL-23の結合アフィニティを評価する。正常ヒト血清(NHS)活性化Sepharose 4迅速流動ビーズ(Amersham Biosciences、GE Healthcareの一部、スウェーデン・ウプサラ)をrhuIL-23であらかじめコーティングし、そして10mg/mL BSAを含む1M Tris緩衝液でブロッキングする。50pMのIL-23抗体を、rhuIL-23(800pMで始めて1:2希釈の12ポイント)と室温で72時間インキュベーションした後、rhuIL-23でコーティングしたSepharoseビーズに通す。蛍光(Cy5)標識ヤギ抗ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch、ペンシルバニア州ウェストグローブ)によって、ビーズに結合した抗体の量を定量化した。結合シグナルは、平衡時の未結合抗体の量に比例する。
【0207】
KinExA Proソフトウェアを用いた曲線適合から、解離平衡定数(KD)および会合速度(Kon)を得る。解離速度(Koff)は:KD=Koff/Konより得られる。
【0208】
表9でわかるように、抗体はヒトIL-23への結合に関して高いアフィニティを有する。すべて、低pMからpM未満の範囲のKD値を有した。
【0209】
【0210】
実施例4
X線結晶学を用いた構造決定
抗体-抗原複合体の構造を決定する1つの方法は、X線結晶学を用いることにより、例
えば、HarlowおよびLane Antibodies: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1990), p.23を参照されたい。IL-23の結晶構造は決定されてきており(LupardusおよびGarcia, J Mol Biol, 2008, 382:931-941を参照されたい)、そしてIL-23/Fab複合体の結晶構造が開示されてきている(Beyerら J Mol Biol, 2008. 382(4):942-55を参照されたい)。本明細書に請求する抗体のFab断片を含むIL-23の構造決定は、X線結晶学を用いて得られた。
【0211】
結晶化のためのタンパク質
組換え的に得られたヒトIL-23ヘテロ二量体を結晶化研究に用いた(Beyerら、上記を参照されたい)。ヒトp19サブユニットの配列は、配列番号145の残基20~189、配列番号154のシグナル配列および配列番号155のC末端6-Hisタグで構成される。配列番号147の222位でのグリコシル化を防止するため、ヒトp40サブユニットの配列をこの位でアスパラギンからグルタミンに突然変異させた(Beyerら、上記)。
【0212】
抗体Bおよび抗体Eから得られるFabを、カスパーゼ切断部位を取り込んだIgG1足場上で発現させた。プロテアーゼ切断によって、Fabをプロセシングした。
複合体形成および結晶化
2Xモル過剰の抗体B Fabと上述のヒト・ヘテロ二量体IL-23を混合することによって、IL-23-抗体B Fab複合体を作製した。サイズ排除クロマトグラフィーによって複合体を精製して、過剰な抗体B Fabを除去し、そして結晶化のため、~12mg/mlに濃縮した。IL-23-抗体B Fab複合体は、0.1M Hepes pH7、8%PEG8000中で結晶化した。
【0213】
2Xモル過剰の抗体E Fabと上述のヒト・ヘテロ二量体IL-23を混合することによって、IL-23-抗体E Fab複合体を作製した。製造者の指示にしたがって(Jena Bioscience、ドイツ・イエナ)、JBSメチル化キットを用いて、複合体をメチル化した。次いで複合体をPNGアーゼで処理して、タンパク質を脱グリコシル化した。これらの処理の後、サイズ排除クロマトグラフィーによって複合体を精製して、過剰な抗体E Fabを除去し、そして結晶化のため、13.5mg/mlに濃縮した。IL-23-抗体E Fab複合体は、0.1M Tris pH8.5、0.2M塩化マグネシウム、15%PEG4000中で結晶化した。
【0214】
データ収集および構造決定
IL-23-抗体B Fab結晶は、P21空間群、単位格子寸法(unit cell dimensions)a=70.93、b=71.27、c=107.37Å、β=104.98°で成長し、そして2.0Å分解能で回折する。出発検索モデルとしてIL-23構造(Beyerら、上記)を用いて、プログラムMOLREP(CCP4、The CCP4 suite: programs for protein crystallography. Acta Crystallogr D Biol Crystallogr, 1994. 50(Pt 5): p.760-3)での分子置換によって、IL-23-抗体B Fab構造を解析した。IL-23溶液を固定して維持しつつ、抗体可変ドメインを検索モデルとして用いた。IL-23抗体可変ドメイン溶液を固定して維持しつつ、抗体定常ドメインを検索モデルとして用いた。Quantaを用いた多数周期のモデル構築およびcnxでの精密化を用いて、完全構造を改善した(Brungerら, Acta Crystallogr D Biol Crystallogr, 1998, 54(Pt 5):p. 905-21)。
【0215】
プログラムPyMOL(DeLano, W.L. The PyMOL Graphics System. Palo Alto, 2002)(Schrodinger, LLC;ニューヨーク州ニューヨーク))を用いて、タンパク質原子間の距離を計算した。少なくとも1つの原子が、パートナータンパク質に対して必要な距離閾値以内に位置する場合、アミノ酸を選択した。
【0216】
抗体B Fabに結合した際のIL-23のp19サブユニットのA、B、CおよびDらせんの境界には、配列番号145のAらせん残基28~47、Bらせん残基86~105、Cらせん残基119~134およびDらせん残基154~187が含まれる。
【0217】
抗体B Fabに結合した際、IL-23p19サブユニット上の相互作用領域には、配列番号145のSer46~Glu58、Glu112~Glu123およびPro155~Phe163内の残基が含まれる。
【0218】
抗体B Fabから4Åまたはそれ未満の原子を含むIL-23p19サブユニット・アミノ酸残基には、配列番号145のSer46、Ala47、His48、Pro49、Leu50、His53、Met54、Asp55、Glu58、Pro113、Ser114、Leu115、Leu116、Pro120、Val121、Trp156、Leu159、Leu160、Arg162およびPhe163が含まれる。抗体B Fabから4Åおよび5Åの間の原子を含むIL-23p19アミノ酸残基には、配列番号145のVal51、Arg57、Glu112、Asp118、Ser119、Gln123、Pro155が含まれる。
【0219】
抗体B Fabから4Åまたはそれ未満の原子を含むIL-23p40サブユニット・アミノ酸残基には、配列番号147のGlu 122およびLys 124が含まれる。
IL-23ヘテロ二量体から4Åまたはそれ未満の原子を含む抗体B Fab重鎖アミノ酸残基には、配列番号46のGly32、Gly33、Tyr34、Tyr35、His54、Asn58、Thr59、Tyr60、Lys66、Arg101、Gly102、Phe103、Tyr104およびTyr105が含まれる。IL-23ヘテロ二量体から≦5Åの原子を含む抗体B Fab重鎖アミノ酸残基には、配列番号46のSer31、Gly32、Gly33、Tyr34、Tyr35、His54、Ser56、Asn58、Thr59、Tyr60、Lys66、Arg101、Gly102、Phe103、Tyr104およびTyr105が含まれる。
【0220】
IL-23ヘテロ二量体から4Åまたはそれ未満の原子を含む抗体B Fab軽鎖アミノ酸残基には、配列番号15のSer30、Ser31、Trp32、Tyr49、Ser52、Ser53、Ala91、Asn92、Ser93、Phe94、およびPhe96が含まれる。IL-23ヘテロ二量体から≦5Åの原子を含む抗体B Fab軽鎖アミノ酸残基には、配列番号15のSer30、Ser31、Trp32、Tyr49、Ala50、Ser52、Ser53、Ser56、Ala91、Asn92、Ser93、Phe94、およびPhe96が含まれる。
【0221】
IL-23-抗体E Fab複合体結晶は、P2221空間群、単位格子寸法a=61.60、b=97.59、c=223.95Åで成長し、そして3.5Å分解能で回折する。上述のように、3つの出発検索モデルとして、IL-23構造、抗体可変ドメイン、および抗体定常ドメインを用いて、プログラムPhaser(CCP4、上記)での分子置換によって、IL-23-抗体E Fab複合体構造を解析した。Quantaを用いた多数周期のモデル構築およびcnxでの精密化を用いて、完全構造を改善した(Brungerら、上記)。抗体E Fab定常ドメインの電子密度が非常に劣っていたため、
タンパク質のこの部分は、最終精密化構造から外した。
【0222】
抗体E Fabに結合した際に同定されるIL-23p19サブユニット上の相互作用領域には、配列番号145のSer46~His53、Glu112~Val120およびTrp156~Phe163内の残基が含まれる。
【0223】
抗体E Fabから4Åまたはそれ未満の原子を含むIL-23p19アミノ酸残基には、配列番号145のSer46、Ala47、His48、Pro49、Leu50、Glu112、Pro113、Ser114、Leu115、Leu116、Pro117、Asp118、Ser119、Pro120、Trp156、Leu159、Leu160およびPhe163が含まれる。抗体E Fabから4Åおよび5Åの間の原子を含むIL-23p19アミノ酸残基には、配列番号145のHis53が含まれる。
【0224】
抗体E Fabから4Åまたはそれ未満の原子を含むIL-23p40アミノ酸残基には、配列番号147のLys121、Glu122、Pro123およびAsn125が含まれる。
【0225】
IL-23ヘテロ二量体から4Åまたはそれ未満の原子を含む抗体E Fab重鎖アミノ酸残基には、配列番号31のGly26、Phe27、Thr28、Ser31、Tyr53、Tyr59、Tyr102、Ser104、Ser105、Trp106、Tyr107、およびPro108が含まれる。IL-23ヘテロ二量体から≦5Åの原子を含む抗体E Fab重鎖アミノ酸残基には、配列番号31のGln1、Gly26、Phe27、Thr28、Ser30、Ser31、Tyr32、Trp52、Tyr53、Tyr59、Arg100、Tyr102、Thr103、Ser104、Ser105、Trp106、Tyr107、およびPro108が含まれる。
【0226】
IL-23ヘテロ二量体から4Åまたはそれ未満の原子を含む抗体E Fab軽鎖アミノ酸残基には、配列番号1のAla31、Gly32、Tyr33、Asp34、Tyr51、Gly52、Asn55、Lys68、およびTyr93が含まれる。IL-23ヘテロ二量体から≦5Åの原子を含む抗体B Fab軽鎖アミノ酸残基には、配列番号1のThr29、Ala31、Gly32、Tyr33、Asp34、Tyr51、Gly52、Asn55、Lys68、Tyr93、およびTrp100が含まれる。
【0227】
実施例5
溶媒アクセス可能表面積相違を通じた、IL-23-抗体複合体接触残基の決定
溶媒アクセス可能表面積相違を用いて、パラトープ(抗原を認識する抗体部分)における残基接触、ならびにヒトIL-23-抗体B Fab複合体において、そしてヒトIL-23-抗体E Fab複合体において、パラトープが結合する抗原の、パラトープによって結合される部分を決定した。Molecular Operating Environment(Chemical Computing Group、ケベック州モントリオール)を用いて、溶媒アクセス可能表面積計算を行った。
【0228】
望ましいセットとして、抗体B Fab残基を設定することによって、IL-23-抗体B Fab複合体におけるパラトープ残基の溶媒アクセス可能表面積相違を計算した。IL-23-抗体B Fab複合体に関して実施例4で得た構造情報を用い、そしてIL-23ヘテロ二量体の存在下で、抗体B Fabのアミノ酸残基の残基溶媒アクセス可能表面積を計算し、そしてこれは該セットに関する「結合面積」に相当する。
【0229】
IL-23抗原の非存在下での抗体B Fab残基の各々の残基溶媒アクセス可能表面積を計算し、そしてこれは該セットに関する「未結合面積」に相当する。
次いで、「結合面積」を「未結合面積」から減じ、セット中の各残基に関する「溶媒曝露表面積相違」を生じた。表面積が変化しない、またはゼロ相違である抗体B Fab残基は、複合体化した際、IL-23抗原の残基と接触しなかった。≧10Å2の相違値を有する抗体B Fab残基は、抗体B FabがヒトIL-23に結合した際に、これらの抗体B Fab残基が少なくとも部分的から完全に塞がれるように、IL-23抗原中の残基との有意な接触にあると見なされた。抗体B Fab残基のこのセットは、抗体B
FabがヒトIL-23に結合した際に界面の構造に関与する残基である「カバードパッチ」を構成する。表10および11を参照されたい。このカバードパッチ中の抗体B Fab残基は、IL-23抗原の残基との結合相互作用に関与していない可能性もあるが、カバードパッチ内の任意の単一残基の突然変異は、ヒトIL-23への抗体B Fabの結合に影響を及ぼすであろうエネルギー相違を導入しうる。Tyr49を例外として、すべての残基は、抗体B Fab軽鎖および重鎖のCDR領域中に位置する。これらの残基はまた、実施例4に記載するように、抗体B Fabに結合した際、IL-23抗原の5Åまたはそれ未満の範囲内であった。
【0230】
【0231】
【0232】
IL-23-抗体E Fab複合体における残基の溶媒アクセス可能表面積相違を上述のように計算した。≧10Å2の相違値を有する抗体E Fab残基を、IL-23抗原中の残基と有意な接触にあると見なし、そしてこれらの抗体E Fab残基は、抗体E FabがヒトIL-23に結合した際に、少なくとも部分的から完全に塞がれた。抗体E
Fab残基のこのセットは、抗体E FabがヒトIL-23に結合した際に、界面構造に関与する残基であるカバードパッチを構成する。表12および13を参照されたい。このカバードパッチ中の抗体E Fab残基は、IL-23抗原残基との結合相互作用に関与していない可能性もあるが、カバードパッチ内の単一残基いずれかの突然変異は、ヒトIL-23への抗体E Fabの結合に影響を及ぼすエネルギー相違を導入しうる。大部分に関して、これらのカバードパッチ残基は、抗体E Fab重鎖および軽鎖のCDR領域内に位置した。これらの残基はまた、実施例4に記載するように、抗体E Fabに結合した際、IL-23抗原の5Åまたはそれ未満内であった。
【0233】
【0234】
【0235】
望ましいセットとして、IL-23ヘテロ二量体残基を設定することによって、抗体B
Fabのパラトープが結合するIL-23ヘテロ二量体部分の溶媒アクセス可能表面積相違を計算した。抗体B Fab-IL-23複合体に関して実施例4で得た構造情報を用い、そして抗体B Fabの存在下で、IL-23ヘテロ二量体のアミノ酸残基の残基溶媒アクセス可能表面積を計算し、そしてこれは該セットに関する結合面積に相当する。
【0236】
抗体B Fabの非存在下でのIL-23ヘテロ二量体残基の各々の残基溶媒アクセス可能表面積を計算し、そしてこれは該セットの未結合面積に相当する。
上述のように、結合面積を未結合面積から減じ、各IL-23残基に関する溶媒曝露表面積相違を生じた。表面積が変化しない、またはゼロ相違であるIL-23ヘテロ二量体残基は、複合体化した際、抗体B Fabの残基と接触しなかった。≧10Å2の相違値を有するIL-23ヘテロ二量体残基は、抗体B Fabの残基と有意な接触にあると見なされ、そしてヒトIL-23ヘテロ二量体が抗体B Fabに結合した際に、これらのIL-23ヘテロ二量体残基は、少なくとも部分的から完全に塞がれた。IL-23ヘテロ二量体残基のこのセットは、ヒトIL-23ヘテロ二量体が抗体E Fabに結合した際に界面の構造に関与する残基である、カバードパッチを構成する。表14を参照されたい。このカバードパッチ中のIL-23ヘテロ二量体残基は、すべてが抗体B Fab上の残基との結合相互作用に関与していない可能性もあるが、カバードパッチ内の任意の単一残基の突然変異は,ヒトIL-23への抗体B Fabの結合に影響を及ぼすであろうエネルギー相違を導入しうる。これらの残基はまた、実施例4に記載するように、抗体B
Fabから4Åまたはそれ未満の範囲内である。
【0237】
【0238】
上述のように、抗体E Fabのパラトープが結合するIL-23ヘテロ二量体部分の溶媒アクセス可能表面積相違を計算した。≧10Å2の相違値を有するIL-23ヘテロ二量体残基は、抗体E Fabの残基と有意な接触にあると見なされ、そしてヒトIL-23ヘテロ二量体が抗体E Fabに結合した際に、これらのIL-23ヘテロ二量体残基は少なくとも部分的から完全に塞がれた。IL-23ヘテロ二量体残基のこのセットは、ヒトIL-23ヘテロ二量体が抗体E Fabに結合した際に界面の構造に関与する残
基であるカバードパッチを構成する。表15を参照されたい。このカバードパッチ中のIL-23ヘテロ二量体残基は、すべてが抗体E Fab上の残基との結合相互作用に関与していない可能性もあるが、カバードパッチ内の任意の単一残基の突然変異は、ヒトIL-23への抗体E Fabの結合に影響を及ぼすであろうエネルギー相違を導入しうる。これらの残基はまた、実施例4に記載するように、抗体E Fabから5Åまたはそれ未満の範囲内である。
【0239】
【配列表】