(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】多層延伸フィルムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20220215BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20220215BHJP
B29C 48/16 20190101ALI20220215BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B29C48/08
B29C48/16
(21)【出願番号】P 2019515853
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(86)【国際出願番号】 US2017049251
(87)【国際公開番号】W WO2018063694
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-18
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】516370305
【氏名又は名称】ピービービー ポリシャー エス.アール.エル.
(73)【特許権者】
【識別番号】517222199
【氏名又は名称】ダウ キミカ デ コロンビア ソシエダ・アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【氏名又は名称】田村 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マルロス・ジュンティーニ・デ・オリヴェイラ
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ピー・カージャラ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・ビルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・カミネロ・ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】マキシミリアーノ・ザネッティ
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル・エイ・モラーノ・ニアンピラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・マリオ・ロドリゲス・カメロ
(72)【発明者】
【氏名】カミラ・ドゥ・ヴァレ
(72)【発明者】
【氏名】ギレルモ・エイ・ライモンディ
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/9985231(US,A1)
【文献】国際公開第2015/200742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B29C 48/08
B29C 48/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外層、コア層、および第2の外層を含む多層キャストフィルムであって、
前記第1の外層が、
(A)第1のポリエチレン組成物
であって、エチレンと任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含み、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、
(d)2.5~3.6の分子量分布(Mw/Mn)、および
(e)200,000~275,000g/モルのMz
の特性を持つことを特徴とする、前記第1のポリエチレン組成物、および
(B)0.5~10重量%(前記第1の外層中に存在するポリマーの総重量に基づく)のポリイソブチレン
を含み、
前記コア層が、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、前記コア層ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、
(d)
2.5~3.6の分子量分布(Mw/Mn)
、および
(e)200,000~275,000g/モルのMz
の特性を持つことを特徴とする、多層キャストフィルム。
【請求項2】
前記第2の外層が
、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーと
の反応生成物を含む第2のポリエチレン組成物を含み、前記ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比、I
10
/I
2
、
(d)
2.5~3.6の分子量分布(Mw/Mn)
、および
(e)200,000~275,000g/モルのMz
の特性を持つことを特徴とする、請求項
1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記第2の外層がポリイソブチレンをさらに含む、請求項
2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記第2の外層が、前記第2の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5~10重量パーセントのポリイソブチレンを含む、請求項
3に記載のフィルム。
【請求項5】
前記コア層ポリエチレン組成物が、溶液重合を介して多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される、請求項1~
4のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記コア層ポリエチレン組成物が、60%未満、または52.5%~60%の
コモノマー分布幅指数(CDBI
)を有する、請求項1~
5のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記コア層ポリエチレン組成物が、2~6、または2.0~2.9の粘度比(0.1rad/sでの粘度 / 100rad/sでの粘度で、両方とも動的機械分光法を使用して、190℃で測定)を有する、請求項1~
6のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記コア層ポリエチレン組成物が、6.0~7.4、または6.4~7.4のメルトフロー比I
10
/I
2
を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載のフィルム。
【請求項9】
多層キャストフィルムの製造方法であって、前記方法が、
多層キャストフィルムを形成するために、第1の外層組成物、コア層組成物、および第2の外層組成物を共押出す
ることを含み、
前記第1の外層組成物が、
(
A)第1のポリエチレン組成物
であって、エチレンと任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含み、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、
(d)2.5~3.6の分子量分布(Mw/Mn)、および
(e)200,000~275,000g/モルのMz
の特性を持つことを特徴とする、前記第1のポリエチレン組成物、および
(
B)
0.5~10重量%(前記第1の外層中に存在するポリマーの総重量に基づく)のポリイソブチレン
を含み、
前記コア層組成物が、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、前記ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、
(d)
2.5~3.6の分子量分布(Mw/Mn)
、および
(e)200,000~275,000g/モルのMz
の特性を持つことを特徴と
する、製造方法。
【請求項10】
前記第2の外層組成物が、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む第2のポリエチレン組成物を含み、前記第2のポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、
(d)2.5~3.6の分子量分布(Mw/Mn)、および
(e)200,000~275,000g/モルのMz
の特性を持つことを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第2の外層組成物がポリイソブチレンをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の外層組成物が、前記第2の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5~10重量パーセントのポリイソブチレンを含む、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、多層延伸フィルムに関し、より具体的には、高い粘着力を有する多層延伸フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
多層フィルムは多くの場合、包装に使用され、草および干し草等の大量の農場資材から、肉および野菜等の小さい食料品店の品物等の様々な品物を包装し得る。これらの品物のすべてについて、一般に、フィルムがフィルム自体および/またはそのフィルムで包まれる物品に接着することができるように、十分なレベルのタックまたは粘着性を有する、頑丈で伸縮性があるフィルムを有することが望ましい。
【0003】
粘着性は、延伸フィルムの重要な性能要件のうちの1つである。所望の粘着性レベルを達成するために、添加剤を第1の外層に組み込んで、第1の外層のタックを改善することができる。しかしながら、そのような添加剤を含むフィルムは、ベース樹脂と比較してより高いコストを有する可能性があり、また、延伸フィルムの全体的なコストに大きな影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
したがって、代替の多層フィルムは、例えば高粘着性等の改善された特性を有する一方で、費用対効果が高く、かつ/またはキャストフィルム技術を使用して製作するのが比較的容易であることも所望され得る。
【発明の概要】
【0005】
本明細書の実施形態において開示されるのは、多層キャストフィルムである。多層キャストフィルムは、第1の外層、コア層、および第2の外層を含み、第1の外層は、(a)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、第1のポリエチレン組成物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、および(b)ポリイソブチレン、を含み、コア層は、エチレンと、任意で1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、コア層ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックス(I2)、(b)0.910~0.925g/ccの密度、(c)6.0~7.6のメルトフロー比(I10/I2)、(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする。
【0006】
また、本明細書の実施形態において開示されるのは、多層キャストフィルムを作製する方法である。この方法は、多層キャストフィルムを形成するために、第1の外層組成物、コア層組成物、および第2の外層組成物を共押出すること共押出することを含み、第1の外層組成物は、(a)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、第1のポリエチレン組成物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、および(b)ポリイソブチレン、を含み、コア層組成物は、エチレンと、任意で1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物、を含み、ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックス(I2)、(b)0.910~0.925g/ccの密度、(c)6.0~7.6のメルトフロー比(I10/I2)、(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする。また、第2の外層組成物は、直鎖状低密度ポリエチレン、またはエチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む第2のポリエチレン組成物を含み、このポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックス(I2)、(b)0.910~0.925g/ccの密度、(c)6.0~7.6のメルトフロー比(I10/I2)、(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする。
【0007】
実施形態の追加の特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態に記載され、一部はその説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の発明を実施するための形態、特許請求の範囲を含む本明細書に記載の実施形態を実践することによって認識される。上記および以下の説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求された主題の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。この説明は、特許請求される主題の原理および動作を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0008】
かかるフィルムを作製するために使用される多層キャストフィルムおよび材料の実施形態を詳細に説明する。「多層キャストフィルム」および「多層フィルム」は、本明細書に記載の多層キャストフィルムを指すために本明細書では同義的に使用され得る。本多層フィルムは、延伸粘着用途で使用され得る。しかしながら、これは、本明細書に開示された実施形態の例示的な実行に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上述したものと同様の問題の影響を受けやすい他の技術にも適用可能である。例えば、本明細書に記載される多層キャストフィルムは、表面保護フィルム、サイレージラップ等の農業用フィルムとして、またはシュリンクフィルム、丈夫な輸送袋、ライナー、袋、スタンドアップパウチ、洗剤パウチ、小袋等の他の可撓性包装用途で使用され得、これらのすべては、本実施形態の範囲内である。
【0009】
本明細書に記載の実施形態では、多層キャストフィルムは、第1の外層、コア層、および第2の外層を含む。任意で、1つ以上の中間層を第1の外層とコア層との間、および/またはコア層と第2の外層との間に位置付けられ得る。第1の外層は、多層キャストフィルムの第1の外層が、いくつかの状況においては、物品の表面または第2の外層の表面等の表面と接触したとき剥離可能な結合である、結合を形成し得るような、十分な接着タックレベルを有する多層キャストフィルムの外層である。第2の外層は、いくつかの状況において、第1の外層に対して低い接着性を呈するか、または他の状況において、第1の外層との結合を形成するのに十分な接着タックレベルを有する多層キャストフィルムの外層である。
【0010】
第1の外層、コア層、および第2の外層の厚さは、広範囲にわたって変わり得る。いくつかの実施形態において、第1の外層は、フィルムの全厚の5~50パーセント、フィルムの全厚の5~30パーセント、またはさらにはフィルムの全厚の5~20パーセントでさえある厚さを有し得る。コア層は、フィルムの全厚の20~90パーセント、フィルムの全厚の30~90パーセント、フィルムの全厚の50~90パーセント、または、フィルムの全厚の60~90パーセントである厚さを有し得る。第2の外層は、フィルムの全厚の5~50パーセント、フィルムの全厚の5~30パーセント、またはさらにはフィルムの全厚の5~20パーセントである厚さを有し得る。第1の外層、第2の外層、およびコア層の間の厚さの比率は、粘着性、剥離等の所望の特性を提供する任意の比率であり得る。いくつかの実施形態において、多層キャストフィルムは、1:8:1~3:4:3の範囲の比率の第1の外層厚さ、コア層厚さ、および第2の外層厚さを有し得る。
【0011】
第1の外層
第1の外層は、(a)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、第1のポリエチレン組成物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、および(b)ポリイソブチレンを含む。本明細書の実施形態では、第1の外層は、第1の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%のポリイソブチレンを含む。0.5重量%~10重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態において、第1の外層は、第1の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~9重量%、1重量%~9重量%、2重量%~9重量%、または3重量%~8重量%のポリイソブチレンを含む。第1の外層は、50重量%~99.5重量%の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、第1のポリエチレン組成物、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0012】
任意で、第1の外層は、顔料、無機充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤等の1つ以上の添加剤、および/または1つ以上の追加のポリマーを含むことができる。第1の外層中の樹脂は、樹脂をドライブレンドする方法によりドライブレンドするか、または溶融ブレンドすることができる。樹脂をドライブレンドする方法は、米国特許第3,318,538号(Needham)に見出すことができ、その特許の全体が参照により本明細書に組み込まれる。樹脂を溶融ブレンドする方法は、米国特許第6,111,019号(Arjunanら)に見出すことができ、その特許の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
直鎖状低密度ポリエチレンは、均一分岐もしくは不均一分岐および/またはユニモーダルもしくはマルチモーダル(例えばバイモーダル)ポリエチレンであり得る。本明細書中で使用される場合、「ユニモーダル」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)曲線における分子量分布(MWD)が実質的に多構成成分ポリマーを示さない(すなわち、こぶ、肩、または尾が存在しない、または実質的にGPC曲線に認識されない)ことを指す。言い換えれば、分離度は、ゼロ、または実質的にゼロに近い。本明細書中で使用される場合、「マルチモーダル」は、1つの構成成分ポリマーが他の構成成分ポリマーのMWDに対してこぶ、肩、または尾としてさえ存在し得る、2つ以上の構成成分ポリマーを示すGPC曲線におけるMWDを指す。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンホモポリマー、エチレンと少なくとも1つのコモノマーとのインターポリマー、およびそれらのブレンドを含む。好適なコモノマーの例としては、アルファ-オレフィンを挙げることができる。好適なアルファ-オレフィンとしては、3~20個の炭素原子(C3-C20)を含むものが挙げられる。例えば、アルファ-オレフィンは、C4-C20アルファ-オレフィン、C4-C12アルファ-オレフィン、C3-C10アルファ-オレフィン、C3-C8アルファ-オレフィン、またはC6-C8アルファ-オレフィンであり得る。いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。他の実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、70重量%超のエチレンから誘導される単位を含み得る、例えば、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、70重量%超~99.5重量%、80重量%~99.5重量%、90重量%~99.5重量%、92重量%~99.5重量%、95重量%~99.5重量%のエチレンから誘導される単位、および30重量%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位、例えば20重量%未満、10重量%未満、8重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5~30重量%、0.5~20重量%、0.5~10重量%、0.5~8重量%、または0.5~5重量%の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含み得るエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術等の任意の好適な技術を使用して、および例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,498,282号で記載される13C NMR分析により測定され得る。
【0015】
好適な直鎖状低密度ポリエチレンの他の例としては、参照により組み込まれる米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、米国特許第5,733,155号、およびEP2653392にさらに定義されている実質的に直鎖状のエチレンポリマー、参照により組み込まれる米国特許第3,645,992号に記載されているもの等の均一分岐鎖状直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたもの等の不均一分岐鎖エチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(米国特許第3,914,342号または米国特許第5,854,045号に開示されるもの等)が挙げられ、これらのすべては参照により組み込まれる。いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンとしては、ELITE(商標)、ELITE(商標)AT、ATTANE(商標)、AFFINITY(商標)、FLEXOMER(商標)、またはDOWLEX(商標)樹脂(The Dow Chemical Companyより販売)例えば、ELITE(商標)5230Gまたは5220B樹脂、ELITE(商標)AT 6111、ATTANE(商標)44404Gまたは4607G樹脂、AFFINITY(商標)PL1845G、およびDOWLEX(商標)2247G、2047G、または2107B樹脂等;EXCEED(商標)またはENABLE(商標)樹脂(Exxon Mobil Corporationより販売、例えば、EXCEED(商標)3518CB、または4518CB樹脂、およびENABLE(商標)20-10樹脂;直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(Westlake Chemical Corporationより販売)、例えば、HIFOR LF1040AAまたはHIFOR Xtreme(商標)SC74871樹脂;直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LyondellBasell Industriesより販売)、例えば、PETROTHENE(商標)GA502024およびGA502129樹脂等;直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(Nova Chemicals Corp.,より販売)、例えば、SCLAIR(商標)FG220-AおよびNOVAPOL(商標)TF-0219-E等;直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(Chevron Phillips Chemical Company,LLCより販売)、例えば、MARLEX D173樹脂またはD174樹脂等;直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(Braskem Petroquimicaより販売)、例えば、LL4801NまたはLF0320樹脂およびFLEXUS 7200XP樹脂等を挙げることができる。
【0016】
直鎖状低密度ポリエチレンは、当技術分野で知られている任意の種類の反応器または反応器構成、例えば、並列、直列、および/またはそれらの任意の組み合わせでの流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌槽反応器、バッチ式反応器等を使用して、気相、液相もしくはスラリー重合プロセス、またはそれらの任意の組み合わせにより作製され得る。いくつかの実施形態では、気相またはスラリー相反応器が使用される。好適な直鎖状低密度ポリエチレンは、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2005/111291(A1)の15~17ページおよび20~22ページに記載されているプロセスに従って製造され得る。本明細書に記載の直鎖状低密度ポリエチレンを製造するために使用される触媒は、例えば、チーグラー・ナッタ、クロム、メタロセン、拘束幾何、またはシングルサイト触媒を含み得る。いくつかの実施形態では、LLDPEは、チーグラー・ナッタ触媒を使用して製造された直鎖状ポリエチレンを指すznLLDPE、チーグラー・ナッタ触媒を使用して製造された直鎖状ポリエチレンを含み得るuLLDPEもしくは「超直鎖状低密度ポリエチレン」、またはメタロセンもしくは拘束幾何触媒ポリエチレンを使用して製造されたLLDPEであるmLLDPEであってもよい。いくつかの実施形態では、ユニモーダルLLDPEは、単段重合、例えば、スラリー重合、溶液重合、または気相重合を使用して調製され得る。いくつかの実施形態では、ユニモーダルLLDPEは、溶液重合によって調製され得る。他の実施形態では、ユニモーダルLLDPEは、スラリータンク内でのスラリー重合によって調製され得る。別の実施形態では、ユニモーダルLLDPEは、ループ反応器内で、例えば単段ループ重合プロセスで調製され得る。ループ反応器プロセスは、例えば、WO2006/045501またはWO2008/104371にさらに記載されている。マルチモーダル(例えば、バイモーダル)ポリマーは、2つ以上の別々に調製されたポリマー構成成分の機械的ブレンドによって製造され得るか、または多段階重合プロセスにおいてその場で調製され得る。その場での機械的混合および調製の両方いくつかの実施形態では、マルチモーダルLLDPEは、多段階、すなわち2段階以上の重合、または1段階重合においてシングルサイト、マルチサイトもしくはデュアルサイト触媒を含む1つ以上の異なる重合触媒の使用によってその場で調製され得る。例えば、マルチモーダルLLDPEは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,372,931号に記載されているように、同一触媒、例えば、シングルサイト触媒またはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、少なくとも2段階重合で製造される。したがって、米国特許第4,352,915号(2つのスラリー反応器)、第5,925,448号(2つの流動床反応器)、および第6,445,642号(ループ反応器とそれに続く気相反応器)に開示されているように、例えば2つの溶液反応器、2つのスラリー反応器、2つの気相反応器、またはそれらの任意の組み合わせは、任意の順序で用いられ得る。しかしながら、他の実施形態では、マルチモーダルポリマー、例えばLLDPEは、例えば、参照により本明細書に組み込まれるEP2653392(A1)に開示されているように、ループ反応器内でのスラリー重合、およびそれに続く気相反応器内での気相重合を使用して作製され得る。
【0017】
本明細書の実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、0.900~0.965g/ccの密度を有する。0.900~0.965g/ccのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、0.910~0.935g/cc、0.910~0.930g/cc、0.910~0.927g/cc、0.910~0.925g/cc、または0.910~0.920g/ccの密度を有する。他の実施形態では、低密度ポリエチレンは、0.930~0.965g/cc、0.932~0.950g/cc、0.932~0.940g/cc、または0.932~0.938g/cc、の密度を有する。本明細書に開示されている密度は、ASTM D-792に従って決定される。
【0018】
本明細書の実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、2.5g/10分~15.0g/10分のメルトインデックス、すなわちI2を有する。2.5g/10分~15.0g/10分のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、2.5g/10分~12.0g/10分、2.5g/10分~10.0g/10分、2.5g/10分~8.0g/10分、または2.5g/10分~5.0g/10分のメルトインデックスを有する。メルトインデックス、すなわちI2は、190℃、2.16kgでASTM D 1238に従って決定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、6~20のメルトインデックス比、I10/I2を有し得る。すべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、直鎖状低密度ポリエチレンは、約7~20、9~20、10~20、12~20、または15~20のメルトインデックス比、I10/I2を有し得る。他の実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、6~18、6~16、6~15、6~12、6~10、または6~8のメルトインデックス比、I10/I2を有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、10.0未満のMw/Mn比を有し得る。すべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、直鎖状低密度ポリエチレンは、9.0未満、7.0未満、6.0未満、5.5未満、5.0未満、4.5未満、4.0未満、または3.8未満のMw/Mn比を有し得る。他の実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0~10.0、2.0~8.0、2.0~6.0、2.0~5.5、2.0~5.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.2~6.0、2.2~5.5、2.2~5.0、2.2~4.5、2.2~4.0、2.5~6.0、2.5~5.5、2.5~5.0、2.5~4.5、または2.5~4.0のMw/Mn比を有し得る。Mw/Mn比は、以下に概説するようにゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは1.5~6.0のMz/Mw比を有し得る。すべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。直鎖状低密度ポリエチレンは、1.5、1.75、2.0、2.5、2.75、3.0、3.5の下限から1.65、1.85、2.0、2.55、2.90、3.34、3.79、4.0、4.3、4.5、5.0、5.25、5.5、5.8、6.0の上限までの範囲であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、直鎖状低密度ポリエチレンは、1.5~5.5、1.5~5.0、1.5~4.0、1.5~3.5、1.5~3.0、または1.5~2.5のMz/Mw比を有し得る。
【0022】
超低密度ポリエチレン(ULDPE)
超低密度ポリエチレンは、エチレンと少なくとも1つのコモノマーとの不均一分岐鎖インターポリマーを含む。好適なコモノマーの例としては、3~20個の炭素原子を含むアルファ-オレフィン(C3-C20)が挙げられる。例えば、アルファ-オレフィンは、C4-C20アルファ-オレフィン、C4-C12アルファ-オレフィン、C4-C10アルファ-オレフィン、またはC4-C8アルファ-オレフィンであり得る。いくつかの実施形態では、超低密度ポリエチレンは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、アルファ-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択される。本明細書で使用されるとき、ULDPEはまた、多くの場合、エチレン-ブテンコポリマーを指すために使用される超低密度ポリエチレン(VLDPE)を含み、それと同義的に使用される。
【0023】
いくつかの実施形態では、超低密度ポリエチレンは、70mol%超のエチレンから誘導される単位、例えば、少なくとも80mol%、少なくとも85mol%、少なくとも90mol%、少なくとも92mol%、少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、少なくとも99mol%、70mol%超~99.5mol%、80mol%~99.5mol%、85mol%~99.5mol%、90mol%~99.5mol%、92mol%~99.5mol%、または95mol%~99.5mol%のエチレンから誘導される単位、および30mol%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位、例えば、20mol%未満、10mol%未満、8mol%未満、5mol%未満、2mol%未満、1mol%未満、0.5~30mol%、0.5~20mol%、0.5~10mol%、0.5~8mol%、または0.5~5mol%の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含み得るエチレン/アルファ-オレフィンコモノマーである。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術等の任意の好適な技術を使用して、および例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,498,282号で記載される13C NMR分析により測定され得る。
【0024】
好適な超低密度ポリエチレンの他の例としては、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/120401にさらに定義されているポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、超低密度ポリエチレンとしては、ATTANE(商標)4203、4210G、4404G、または4607G等のATTANE(商標)樹脂、ENGAGE(商標)HM-7289またはHM-7280等のENGAGE(商標)樹脂、DFDA-1086、およびDFDB-9042(これらはすべて、The Dow Chemical Companyから入手可能である)、CV77519、CV77523、CV77526、CV77516、またはCV77518等のMXSTEN(商標)樹脂(Westlake Chemical Companyから入手可能である)、LUMITAC(商標)超低密度ポリエチレン樹脂(Tosoh Corporationから入手可能である)を挙げることができる。
【0025】
直鎖状超低密度ポリエチレンは、当技術分野で知られている任意の種類の反応器または反応器構成、例えば、並列、直列、および/またはそれらの任意の組み合わせでの流動床気相反応器、ループ反応器、撹拌槽反応器、バッチ式反応器等を使用して、気相、液相もしくはスラリー重合プロセス、またはそれらの任意の組み合わせにより作製され得る。いくつかの実施形態では、気相または溶液反応器が使用される。本明細書に記載の超低密度ポリエチレンを製造するために使用される触媒としては、チーグラー・ナッタ、クロム、メタロセン、拘束幾何、またはシングルサイト触媒を挙げることができる。いくつかの実施形態では、ULDPEは、米国特許出願公開第2008/0038571号(Klitzmillerら)および同第2008/0176981号(Biscoglioら)に記載のチーグラー・ナッタ触媒技術を使用して作製することができる。これらの刊行物は、参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、チーグラー・ナッタ触媒ULDPEとしては、エチレンと、3.5~10.5モルパーセントの少なくとも1つのC3-C20α-オレフィンコモノマーとのコポリマーを挙げることができる。
【0026】
本明細書に記載の実施形態では、ULDPEは、0.885~0.915g/ccの密度を有し得る。0.885~0.915g/ccのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ULDPEは、0.885~0.910g/cc、0.890~0.915g/cc、0.890~0.912g/cc、0.895~0.905g/cc、または0.899~0.905g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定され得る。
【0027】
密度に加えて、ULDPEは、0.1~30g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)を有し得る。0.1~30グラム/10分のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ULDPEは、0.1~25g/10分、0.1~20g/10分、0.1~15g/10分、0.1~10g/10分、または0.5~10g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)を有する。メルトインデックス(I2)は、ASTM D 1238、条件190℃/2.16kgに従って測定することができる。
【0028】
密度およびメルトインデックス(I2)に加えて、ULDPEは、3.0~6.0の分子量分布(Mw/Mn)を有し得る。分子量分布は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比率(すなわち、Mw/Mn)と記載することができ、以下に概説するようにゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することができる。
【0029】
第1のポリエチレン組成物
第1のポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5~12.0g/10分または2.5~8.0g/10分のメルトインデックスI2、(b)0.910~0.925g/ccまたは0.912~0.920g/ccの密度、(c)6.0~7.6、6.0~7.4、または6.4~7.4のメルトフロー比I10/I2、および(d)2.2~3.6または2.5~3.5の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする。さらなる実施形態では、第1のポリエチレン組成物は、60%未満、55%、または52.5%から60%のCDBIを有し得る。第1のポリエチレン組成物は、本明細書にさらに記載されるように、溶液重合を介して多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。
【0030】
コア層
コア層は、エチレンと、任意で1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、コア層ポリエチレン組成物は、以下の特性:(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI2、(b)0.910~0.925g/ccの密度、(c)6.0~7.6のメルトフロー比I10/I2、(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする。
【0031】
コア層ポリエチレン組成物は、50重量%超のエチレンから誘導された単位、および30重量%未満の、1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導された単位を含む。さらなる実施形態において、コア層ポリエチレン組成物は、(a)55%以上、例えば60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、50%超~99%、50%超~97%、50%超~94%、50%超~90%、70%~99.5%、70%~99%、70%~97%、70%~94%、80%~99.5%、80%~99%、80%~97%、80%~94%、80%~90%、85%~99.5%、85%~99%、85%~97%、88%~99.9%、88%~99.7%、88%~99.5%、88%~99%、88%~98%、88%~97%、88%~95%、88%~94%、90%~99.9%、90%~99.5%、90%~99%、90%~97%、90%~95%、93%~99.9%、93%~99.5%、93%~99%、または93%~97%(重量)の、エチレンから誘導される単位;および(b)任意で、30パーセント未満、例えば25パーセント未満、または20パーセント未満、18%未満、15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.1~20%、0.1~15%、0.1~12%、0.1~10%、0.1~8%、0.1~5%、0.1~3%、0.1~2%、0.5~12%、0.5~10%、0.5~8%、0.5~5%、0.5~3%、0.5~2.5%、1~10%、1~8%、1~5%、1~3%、2~10%、2~8%、2~5%、3.5~12%、3.5~10%、3.5~8%、3.5~7%、または4~12%、4~10%、4~8%、または4~7%(重量)の、1つ以上のα-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術等の任意の好適な技術を使用して、および例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,498,282号で記載される13C NMR分析により測定され得る。
【0032】
好適なコモノマーは、典型的には20個以下の炭素原子を有するアルファ-オレフィンコモノマーを含み得る。1つ以上のアルファ-オレフィンは、C3-C20アセチレン性不飽和モノマーおよびC4-C18ジオレフィンからなる群から選択されてもよい。選択されたモノマーは、望ましくは、従来のチーグラー・ナッタ触媒を破壊しないモノマーであることは当業者には理解されよう。例えば、アルファ-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なアルファ-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、それらに限定されない。1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択され得るか、または代替例において1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、0重量%を超え、30重量%未満の1つ以上のオクテン、ヘキセン、またはブテンコモノマーから誘導される単位を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、コア層のコア層ポリエチレン組成物は、溶液重合による多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。反応生成物を製造するのに使用される多元金属プロ触媒は、少なくとも3元金属であるが、4つ以上の遷移金属も含み得るため、一実施形態において、より包括的に多元金属と定義され得る。これら3種以上の遷移金属は、触媒の製造前に選択される。特定の実施形態において、多元金属触媒は、1つの元素としてチタンを含む。
【0034】
触媒組成物は、最初に、調整されたハロゲン化マグネシウム系担体の調製から始めて調製され得る。調整されたハロゲン化マグネシウム系担体の調製は、有機マグネシウム化合物または有機マグネシウム化合物を含む複合体を選択することから始まる。そのような化合物または複合体は、望ましくは不活性炭化水素希釈剤に可溶性である。成分の濃度は、好ましくは、金属ハロゲン化物または非金属ハロゲン化物等の活性ハロゲン化物とマグネシウム複合体とを組み合わせたときに、得られるスラリーがマグネシウムに対して約0.005~約0.25モル(モル/リットル)になるような濃度である。好適な不活性有機希釈剤の例としては、液化エタン、プロパン、イソブタン、n-ブタン、n-ヘキサン、種々の異性体ヘキサン、イソオクタン、5~10個の炭素原子を有するアルカンのパラフィン混合物、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロヘキサン、ドデカン、飽和または芳香族炭化水素で構成される工業用溶媒、例えば灯油、ナフサ、およびそれらの組み合わせ、特にいかなるオレフィン化合物および他の不純物も含まない場合、特に約-50℃~約200℃の範囲内の沸点を有するものが挙げられる。エチルベンゼン、クメン、デカリンおよびそれらの組み合わせもまた、好適な不活性希釈剤として含まれる。
【0035】
好適な有機マグネシウム化合物および複合体は、例えば、マグネシウムC2-C8アルキルおよびアリール、マグネシウムアルコキシドおよびアリールオキシド、カルボキシル化マグネシウムアルコキシド、ならびにカルボキシル化マグネシウムアリールオキシドを含み得る。マグネシウム部分の好ましい源は、マグネシウムC2-C8アルキルおよびC1-C4アルコキシドを含み得る。そのような有機マグネシウム化合物または複合体は、好適な条件下でハロゲン化マグネシウム化合物を作製するために、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはフッ化物等の金属または非金属ハロゲン化物源と反応させることができる。このような条件は、1~12時間、あるいは4~6時間、または両方の範囲の時間で、-25℃~100℃、あるいは0℃~50℃の範囲の温度を含み得る。その結果、ハロゲン化マグネシウム系担体が得られる。
【0036】
次いで、調整されたハロゲン化マグネシウム担体を形成するのに好適な条件下で、ハロゲン化マグネシウム担体を、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびテルルからなる群から選択される元素を含有する選択された調整化合物と反応させる。次いで、この化合物およびハロゲン化マグネシウム担体を、調整されたハロゲン化マグネシウム担体をもたらすのに十分な条件下で接触させる。このような条件は、4~24時間、あるいは6~12時間、または両方の範囲の時間で、0℃~50℃、あるいは25℃~35℃の範囲の温度を含み得る。調整化合物は、特定のモル比構成を有し、これは望ましい触媒性能を確保する上で重要な特徴であると考えられている。具体的には、プロ触媒は、望ましくは、3:1~6:1の範囲のマグネシウム対調整化合物のモル比を示す。いかなる機構の理論にも束縛されることを望むものではないが、この熟成は担体上への追加の金属の吸着を促進または増強するのに役立つことが示唆される。
【0037】
調整された担体が調製され、適切に熟成が行われたら、それを、個々に、または「第2の金属」との混合物として添加され得るチタン化合物と接触させる。特定の好ましい実施形態において、ハロゲン化チタンもしくはチタンアルコキシド、またはそれらの組み合わせが選択され得る。条件は、3時間~24時間、あるいは6時間~12時間、または両方の時間で、0℃~50℃、あるいは25℃~35℃の範囲内の温度を含み得る。この工程の結果、調整されたハロゲン化マグネシウム担体にチタン化合物の少なくとも一部が吸着する。
【0038】
最後に、本明細書では便宜上「第2の金属」および「第3の金属」と呼ばれる1つまたは2つの追加の金属も、マグネシウム系担体上に吸着されるであろう。「第2の金属」および「第3の金属」」は、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、およびタングステン(W)から独立して選択される。これらの金属は、当業者に知られている様々な方法のいずれかで組み込むことができるが、ここで多元金属プロ触媒である「プロ触媒」と呼ばれ得るものを形成するために、一般には、例えば適切な炭化水素溶液等の液相中での、チタンを含む調整されたマグネシウム系ハロゲン化物担体と、選択された第2および第3の金属との間の接触が、追加の金属の堆積を確実にするのに好適であろう。
【0039】
多元金属プロ触媒は、特定のモル比構成を有し、これは、プロ触媒から作製された触媒に起因し得る望ましいポリマー特性を確実にする上で重要な特徴であると考えられる。具体的には、プロ触媒は、望ましくは、多元金属プロ触媒を形成するのに十分な条件下で、30:1~5:1の範囲のマグネシウム対チタンと第2および第3の金属との組み合わせのモル比を示す。したがって、マグネシウム対チタンの全モル比は、8:1~80:1の範囲である。
【0040】
プロ触媒が形成されると、それをアルミニウムのアルキルまたはハロアルキル、ハロゲン化アルキルアルミニウム、グリニャール試薬、アルカリ金属アルミニウム水素化物、アルカリ金属水素化ホウ素、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物等の少なくとも1つの有機金属化合物からなる共触媒と組み合わせることによって、最終触媒を形成するために使用することができる。プロ触媒と有機金属共触媒との反応からの最終触媒の形成は、in situで、または重合反応器に入る直前に行うことができる。したがって、共触媒とプロ触媒との組み合わせは、多種多様な条件下で生じ得る。このような条件は、例えば、0℃~250℃、好ましくは15℃~200℃の範囲の温度で、窒素、アルゴンまたは他の不活性ガス等の不活性雰囲気下でそれらを接触させることを含み得る。触媒反応生成物の調製において、炭化水素可溶性成分を炭化水素不溶性成分から分離する必要はない。プロ触媒と共触媒との間の接触時間は、望ましくは、例えば0~240秒、好ましくは5~120秒の範囲であってもよい。これらの条件の様々な組み合わせを採用することができる。
【0041】
本明細書に記載の実施形態において、コア層ポリエチレン組成物は、少なくとも3つの金属残渣の合計重量でポリエチレンポリマー100万部当たり1部以上の金属触媒残留物を有してもよく、少なくとも3つの金属残渣は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、少なくとも3つの金属残渣のそれぞれは、0.2ppm以上、例えば0.2~5ppmの範囲内で存在する。0.2ppm以上のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、多元金属重合触媒から残存する少なくとも3つの金属残渣の合計重量で、コア層ポリエチレン組成物100万部当たり2部以上をさらに含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、少なくとも0.75ppmのV(バナジウム)を含む。少なくとも0.75ppmのVからのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物中のVの下限は、0.75、1、1.1、1.2、1.3、または1.4ppmであり得、コア層ポリエチレン組成物中のVの上限は、5、4、3、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、または1ppmであり得る。コア層ポリエチレン組成物のバナジウム触媒金属の残留濃度は、以下に記載の金属の中性子放射化法を用いて測定することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、少なくとも0.3ppmのZr(ジルコニウム)を含む。少なくとも0.3ppmのZrのすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物中のZrの下限は、0.3、0.4、0.5、0.6、または0.7ppmであり得る。さらに別の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物中のZrの上限は、5、4、3、2、1、0.9、0.8、または0.7ppmであり得る。コア層ポリエチレン組成物のジルコニウム触媒金属の残留濃度は、以下に記載の金属の中性子放射化法を用いて測定することができる。
【0044】
本明細書に記載の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、0.910g/cc~0.925g/ccの密度を有し得る。少なくとも0.910g/cc~0.925g/ccのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、ポリエチレンは、0.910~0.923g/cc、0.912~0.923g/cc、または0.912~0.920g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定され得る。
【0045】
密度に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、2.5g/10分~12.0g/10分のメルトインデックス、I2を有し得る。2.5g/10分~12.0g/10分のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、2.5g/10分~10.0g/10分、2.5g/10分~8.0g/10分、または2.5g/10分~5.0g/10分のメルトインデックスI2を有してもよい。メルトインデックスI2は、ASTMD 1238(190℃および2.16kg)に従って測定することができる。
【0046】
密度およびメルトインデックスI2に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、6.0~7.6のメルトフロー比I10/I2を有してもよい。6.0~7.6のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、6.0、6.2、6.3、または6.5の下限から7.6、7.5、7.3、7.1、または7.0の上限までの範囲のメルトフロー比I10/I2を有してもよい。他の実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、6.0~7.4、6.4~7.4、または6.5~7.3のメルトフロー比I10/I2を有してもよい。メルトインデックスI10は、ASTM D1238(190℃および10.0kg)に従って測定され得る。
【0047】
密度、メルトインデックスI2、およびメルトフロー比I10/I2に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)を有し得る。2.2~3.6のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、2.25または2.5の下限から3.6、3.5、3.2、または3.0の上限までのMw/Mn比を有し得る。いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、2.5~3.5または2.5~3.2のMw/Mn比を有してもよい。分子量分布は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比率(すなわち、Mw/Mn)と記載することができ、以下に概説するようにゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することができる。
【0048】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、および分子量分布(Mw/Mn)に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、30,000~50,000g/モルの数平均分子量Mn(g/モル)を有してもよい。30,000g/モル~50,000g/モルのすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、30,000~45,000g/モル、30,000~40,000g/モル、32,000~38,000g/モル、32,000~37,000g/モル、または32,000~36,000g/モルのMnを有することができる。
【0049】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、および数平均分子量に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、60,000~110,000g/モルの重量平均分子量Mw(g/モル)を有してもよい。60,000g/モル~110,000g/モルのすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、65,000~105,000g/モル、70,000~100,000g/モル、または80,000~100,000g/モルのMwを有することができる。
【0050】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、および重量平均分子量に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、z平均分子量Mz(g/モル)200,000~325,000g/モルを有してもよい。200,000g/モル~325,000g/モルのすべての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、205,000~315,000g/モル、210,000~300,000g/モル、または225,000~275,000g/モルのMzを有することができる。
【0051】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、2:6の粘度比(0.1rad/sでの粘度/100rad/sでの粘度、両方とも190℃で動的機械的分光法を用いて測定)を有してもよい。2~6のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、2~4、2~3.5、または2.0~2.9の粘度比を有することができる。
【0052】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、および重量平均分子量、z平均分子量、および粘度比に加えて、コア層ポリエチレン組成物は、190℃で測定して0.1rad/sで15~40のタンデルタを有することができる。15~40のすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、コア層ポリエチレン組成物は、190℃で測定して0.1rad/sで20~40、25~40、または25~35のタンデルタを有することができる。
【0053】
密度、メルトインデックスI2、メルトフロー比I10/I2、分子量分布(Mw/Mn)、数平均分子量、重量平均分子量、z平均分子量、粘度比、およびタンデルタに加えて、コア層ポリエチレン組成物は、60%未満の組成分布幅指数CDBIを有することができる。60%未満のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書で開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層ポリエチレン組成物は、58%または55%未満のCDBIを有し得る。他の実施形態では、CDBIは、30%~60%、40%~60%、または52.5%~60%であり得る。
【0054】
CDBIは、平均総モル当たりのコモノマー含有量の50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントと定義され得る。コモノマーを含有しない直鎖ポリエチレンのCDBIは、100%になるように規定される。コポリマーのCDBIは、下記のように結晶化溶出分別(「CEF」)から得られたデータから容易に計算される。特に断らない限り、「コモノマー含有量」、「平均コモノマー含有量」等の用語は、示されたインターポリマーブレンド、ブレンド成分、またはモル基準の画分のバルクコモノマー含有量を指す。
【0055】
本明細書の実施形態では、コア層組成物は、60重量%~100重量%のコア層ポリエチレン組成物を含む。60重量%~100重量%のすべての個々の値および部分範囲が含まれ、本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、コア層は、コア層中に存在するポリマーの70重量%~100重量%、80重量%~100重量%、90重量%~100重量%、または95重量%~100重量%のコア層ポリエチレン組成物を含む。
【0056】
本明細書に記載の実施形態では、コア層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、またはこれらのブレンドをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、コア層は、コア層の1重量%~40重量%、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、5重量%~25重量%、または5重量%~20重量%の範囲の量のLLDPE、LDPE、またはそれらのブレンドをさらに含み得る。LLDPEは、0.912~0.940グラム/cm3の範囲の密度および0.5~30グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有することができる。LDPEは、0.910~0.935g/cm3の範囲の密度および0.2~20g/10分の範囲のメルトインデックスを有することができる。コア層は、顔料、無機充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤等の1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0057】
第2の外層
第2の外層は、LDPE、LLDPE、または以下の特性:(a)2.5~12.0g/10分または2.5~8.0のメルトインデックスI2、(b)0.910~0.925g/ccまたは0.912~0.920g/ccの密度、(c)6.0~7.6、6.0~7.4、または6.4~7.4のメルトフロー比I10/I2、および(d)2.2~3.6または2.5~3.5の分子量分布(Mw/Mn)を特徴とする第2のポリエチレン組成物のうちの1つ以上を含む。さらなる実施形態では、第2のポリエチレン組成物は、60%未満、55%、または52.5%~60%のCDBIを有し得る。第2のポリエチレン組成物は、溶液重合を介して多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される。LLDPEは、0.912~0.940グラム/cm3の範囲内の範囲内の密度および0.5~30グラム/10分の範囲のメルトインデックスを有することができる。多層フィルムの第2の外層に使用するための例示的なLLDPEは、Dow Chemical CompanyからELITE(商標)、TUFLIN(商標)、およびDOWLEX(商標)の商品名で市販されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2の外層は、第2の外層中に存在するポリマーの0~100重量%、50~100重量%、75~100重量%、85~100重量%、または95~100重量%の量のLLDPEを含む。他の実施形態では、第2の外層は、第2の外層中に存在するポリマーの0~100重量%、50~100重量%、75~100重量%、85~100重量%、または95~100重量%の量の第2のポリエチレン組成物を含む。さらなる実施形態では、第2の外層は、1:4から4:1または1:3から2:3の範囲の重量比でLLDPEおよび第2のポリエチレン組成物を含み得る。第2の外層は、顔料、無機充填剤、紫外線安定剤、酸化防止剤等の1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0059】
本明細書に記載の多層フィルムは、当該技術分野において一般的に知られているように、一軸および二軸配向を含むキャストフィルム技術等の様々な技術によって製造することができる。本明細書に記載の多層フィルムはまた、機械方向および/または幅方向に少なくとも50%、好ましくは100%延伸するのが有利であり得る。いくつかの実施形態では、多層キャストフィルムは、第1の外層組成物、コア層組成物、および第2の外層組成物を共押出して多層キャストフィルムを形成することによって作製することができる。第1の外層組成物は、ポリイソブチレンおよび本明細書中で前述したような他の樹脂を含み、コア層組成物は、本明細書において前述のコア層ポリエチレン組成物を含み、第2の外層組成物は、本明細書に記載の追加の成分を含む、本明細書に前述の直鎖状低密度ポリエチレンまたは第2のポリエチレン組成物を含む。例えば、第2の外層組成物は、ポリイソブチレンをさらに含んでもよく、いくつかの実施形態では、第2の外層組成物は、本明細書において前述の第2の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて0.5~10重量%のポリイソブチレンを含んでもよい。多層キャストフィルムに用いられるコア層ポリエチレン組成物、第1のポリエチレン組成物、および第2のポリエチレン組成物は、同一であっても、互いに独立して異なっていてもよい。
【0060】
多層キャストフィルムの実施形態は、以下の例示的実施例においてさらに説明される。
【0061】
試験方法
密度
密度は、ASTM D-792に従って測定することができ、グラム/立方センチメートル(g/ccまたはg/cm3)で報告される。
【0062】
メルトインデックス/メルトフロー比
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)は、ASTM D1238-10、条件、190℃/2.16kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラム単位で報告される。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I10)は、ASTM D1238-10、条件、190℃/10kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラム単位で報告される。
【0063】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
Mw、Mn、Mz、およびMWD(Mw/Mn)の決定には、赤外線濃度検出器(IR-5)からなるPolymerChar(Valencia、スペイン)の高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステムを使用する。溶媒供給ポンプ、オンライン溶媒脱気装置、オートサンプラー、およびカラムオーブンは、Agilent製である。カラムコンパートメントおよび検出器コンパートメントは、150℃で操作する。カラムは、3つのPLゲル10μm Mixed-Bカラム(Agilent)である。担体溶媒は、1.0mL/分の流速を有する1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。クロマトグラフィー用および試料調製用の両方の溶媒源は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含み、窒素を散布する。ポリエチレン試料は、注射の直前にオートサンプラー上で3時間160℃のTCBに溶解することにより、2mg/mLの目標ポリマー濃度で調製する。注入量は、200μLである。
【0064】
GPCカラムセットの較正は、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行われる。標準物質の分子量は、580~8,400,000g/モルの範囲であり、個々の分子量の間に少なくとも10の分離があり、6つの「カクテル」混合物に並べられる。以下の方程式を用いて、ポリスチレン物質ピーク分子量をポリエチレン分子量に変換する(Williams and Ward、J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)):
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B (1)
【0065】
ここで、Bは1.0の値を有し、実験的に決定されたAの値は、約0.42である。
【0066】
式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン当量較正点をそれらの観察された溶出容量に適合させるために3次多項式が使用される。実際の多項式フィットは、ポリエチレン当量分子量の対数を各ポリスチレン標準物質の観察された溶出量(および関連するべき乗)に関連付けるために得られる。
【0067】
数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量は、以下の等式に従って計算される。
【0068】
【0069】
式中、Wfiが、i番目の構成成分の重量分率であり、Miが、i番目の構成成分の分子量である。MWDは、重量平均分子量(Mw)対数平均分子量(Mn)の比として表される。
【0070】
正確なA値は、等式(1)のA値を、等式(3)を用いて算出した重量平均分子量および対応する保持容量多項式が、既知の重量平均分子量が120,000g/モルである線形ホモポリマー参照物に従って得られたMwの独立して決定された値と一致するまで調整することによって決定した。
【0071】
金属の中性子放射化法
2組の複製試料を、約3.5グラムのペレットを予め洗浄した2ドラムポリエチレンバイアルに移すことによって調製する。NISTトレーサブル標準溶液(SPEXからの純正証明書)から2ドラムポリエチレンバイアルに、試験された各金属の標準溶液を調製する。ミリQ純水を用いてそれらを6mlに希釈し、バイアルをヒートシールする。次いで、Mark I TRIGA原子炉を使用して、これらの元素について試料および標準を分析する。これらの元素に使用された反応および実験条件を、以下の表に要約する。試料は、ガンマ線分光法を行う前に、照射されていないバイアルに移す。元素濃度は、CANBERRAソフトウェアおよび標準比較技術を使用して計算する。表1は、金属決定のための測定パラメータを示す。
【0072】
【0073】
【0074】
動的機械分光法(DMS)
樹脂は、空気中、1500psiの圧力下で5分間、350°Fで「厚さ3mm×1インチ」の円形プラークに圧縮成形する。次いで、試料を圧縮機から取り出し、カウンターに配置して、冷却する。
【0075】
窒素パージ下で、25mm(直径)の平行プレートを備えたTA Instrumentsの「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を使用して、定温周波数掃引を実施する。試料をプレート上に置き、190℃で5分間溶融させる。次いでプレートを「2mm」の間隙まで閉じ、試料をトリミングし(「直径25mm」プレートの外周を越えて延びている余分な試料を除去する)、次いで試験を開始する。この方法は、温度平衡を可能にするために、さらに5分間の遅延を組み込んでいた。実験は、190℃で、0.1~100rad/sの周波数範囲で行われる。ひずみ振幅は、10%で一定である。これらのデータから、複素粘度η*、tan(δ)すなわちタンデルタ、0.1rad/sでの粘度(V0.1)、100rad/sでの粘度(V100)、および粘度比(V0.1/V100)を計算する。
【0076】
結晶化溶出分別(CEF)法
結晶化溶出分別(CEF)技術は、Monrabal et al,Macromol.Symp.257,71-79(2007)に従って行う。CEF機は、IR-4またはIR-5検出器(例えば、PolymerChar、スペインから市販されているもの)および2角度光散乱検出器モデル2040(例えば、Precision Detectorsから市販されているもの)を備える。50mm×4.6mmの10マイクロメートルガードカラム(例えば、PolymerLabsから市販されているもの)を、IR-4またはIR-5検出器の前に検出器オーブン中に取り付ける。オルトジクロロベンゼン(ODCB、99%の無水等級)および2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)(例えば、Sigma-Aldrichから市販されているもの)を入手する。シリカゲル40(粒径0.2~0.5mm)(例えば、EMD Chemicalsから市販されているもの)も入手する。シリカゲルを、使用前に真空オーブンで、160℃で少なくとも2時間乾燥させる。使用前に、ODBCを乾燥窒素(N2)で1時間散布する。乾燥窒素は、窒素を<90psigでCaCO3および5Åの分子ふるいに通過させることによって得られるものである。ODCBを、5グラムの乾燥シリカを2リットルのODCBに添加することによって、または0.1ml/分~1.0ml/分で、乾燥シリカを充填したカラム(単数または複数)を通してポンピングすることによって、さらに乾燥させる。N2等の不活性ガスを、試料バイアルをパージするのに使用しない場合、800ミリグラムのBHTを、2リットルのODCBに添加する。BHTの有無にかかわらず乾燥ODCBを、以下「ODCB-m」と称する。試料溶液を、オートサンプラーを使用して、160℃で2時間、振盪下で、4mg/mlで、ODCB-m中にポリマー試料を溶解することによって調製する。300μLの試料溶液を、カラムに注入する。CEFの温度プロファイルは、次のとおりである:110℃から30℃に3℃/分で結晶化、30℃で5分間の熱平衡(2分に設定した可溶性画分溶出時間を含む)、および30℃から140℃に3℃/分で溶出。結晶化中の流速は、0.052ml/分である。溶出中の流速は、0.50ml/分である。IR-4またはIR-5信号データは、1データポイント/秒で収集する。
【0077】
CEFカラムに米国特許第8,372,931号に従って1/8インチのステンレス管で、125μm±6%でガラスビーズ(例えば、酸洗浄剤と共にMO-SCI Specialty Productsから市販されているもの)を充填する。CEFカラムの内部液体容積は、2.1ml~2.3mlである。温度較正を、ODCB-m中のNIST標準物質直鎖ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(Eicosane(2mg/ml))との混合物を使用することによって行う。較正は、4つの工程、(1)エイコサンの測定されたピーク溶出温度間の温度オフセットから30.00℃を差し引いたものとして定義される遅延体積を計算すること、(2)溶出温度の温度オフセットをCEF生温度データから減算すること(この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量等の実験条件の関数であることに留意されたい)、(3)NIST直鎖状ポリエチレン1475aが101.00℃のピーク温度を有し、エイコサンが30.00℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲にわたって溶出温度を変換する、較正直線を作製すること、(4)30℃の等温で測定された可溶性画分について、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって溶出温度を直線的に外挿することからなる。報告される溶出ピーク温度を、観察されるコモノマー含有量較正曲線が、米国特許第8,372,931号において以前に報告されたものと一致するように得る。
【0078】
コモノマー分布幅指数(CDBI)
CDBIを、CEFから得たデータからWO/93/03093に記載される方法を使用して算出する。CDBIは、平均総モル当たりのコモノマー含有量の50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントと定義される。これは、ベルヌーイ分布を除いたコモノマー分布と、ポリマー中のコモノマー分布との比較を表す。
【0079】
CEFを使用して、ポリオレフィンの短鎖分岐分布(SCBD)を測定する。CEFモル濃度コモノマー含有量較正を、0~0.108の範囲のコモノマーモル画分および28,400~174,000g/モルのMwを有する、狭SCBDを有する24個の参照物質(例えば、ポリエチレンオクテンランダムコポリマーおよびエチレンブテンコポリマー)を使用して行う。1/T(K)に対するln(コモノマーのモル分率)であるln(エチレンのモル分率)が得られ、式中、Tは各参照物質のケルビンでの溶出温度である。参照物質のコモノマー分布は、例えば、米国特許第5,292,845号(Kawasakiら)およびJ.C.Randall in Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29,201-317に記載されている技術に従って、13C NMR分析を使用して測定する。
【0080】
極限延伸
極限延伸は、Highlight Film Test System(Highlight Industries)で試験される。フィルムロールは、機械の巻出し部分に置き、フィルムを一組のローラに通す。次いで、フィルムは、フィルムがその極限延伸点に達するまで、力を増しながら巻出す。ロードセルは加えられた力の量を測定し、フィルムに存在する延伸量をパーセントで測定するために計算が行われる。3つの測定値を取り、まとめて平均して平均極限延伸値を得る。フィルム幅は、20インチである。
【0081】
パレット引裂試験
この試験は、ブルーストン階段法を用いて、フィルムを3回巻付けるために、破損なく試験プローブを通過させることができる最大負荷力を決定する。試験プローブを所望の突出距離で試験台に挿入する。試験プローブがフィルムの中心と整列するようにフィルムを位置付ける。フィルムを試験台に取り付け、包装機を起動させる。包装機が250%の予備延伸に達すると、フィルムは最大3回の巻付けのためにプローブを通過させ得る。巻付けのいずれかの間でのフィルムのいかなる破断も、その力では負荷を設定できないものと見なされる。負荷設定(すなわち合格または不合格)でのフィルムの性能に応じて、負荷力を上下に調整し、新しい負荷設定で試験を繰り返し行う。これは、破損が発生しない最大の力が見つかるまで継続する。以下の表は、この方法で使用される機器および設定を示す。
【0082】
【0083】
延伸力、巻出し力、騒音レベル:
延伸力、巻出し力、騒音レベルは、Highlight Film Test System(Highlight Industries)で試験を行う。フィルムロールを機械の巻出し部分に置き、フィルムを一組のローラに通す。次いで、フィルムは、フィルムがその極限延伸点に達するまで、力を増しながら巻出す。ロードセルでは、延伸にかかる力の量(延伸力)および巻出しに必要な力(巻出し力)を測定する。騒音レベルは、この試験の間に内蔵型騒音計で測定する(デシベル単位)。各試験について3回の測定を行い、延伸力、巻出し力および騒音レベルの値を平均する。これらの試験のフィルム幅は、20インチである。
【0084】
パレット上の穿刺:
この試験は、ブルーストン階段法を用いて、フィルムを3回巻付けるために、破損なく試験プローブを通過させることができる最大負荷力を決定する。試験プローブを所望の突出距離で試験台に挿入する。試験プローブがフィルムの中心と整列するようにフィルムを位置付ける。フィルムを試験台に取り付け、包装機を起動させる。包装機が250%の予備延伸に達すると、フィルムは最大3回の巻付けのためにプローブを通過させ得る。巻付けのいずれかの間でのフィルムのいかなる破断も、その力では負荷を設定できないものと見なされる。負荷設定(すなわち合格または不合格)でのフィルムの性能に応じて、負荷力を上下に調整し、新しい負荷設定で試験を繰り返し行う。これは、破損が発生しない最大の力が見つかるまで継続する。以下の表は、この方法で使用される機器および設定を示す。
【0085】
【0086】
粘着性
(延伸粘着性能の)パレット上での延伸粘着性は、Lantech SHS試験機器によって測定され得る。試験は、ターンテーブルを10rpmの速度で回転させながら、5ラップの間、12ポンドの一定の力F2によってフィルムを250%延伸することからなる。次いで、フィルムの終端を、ドラムからもぎ取るのに必要なグラムでの力量を測定するロードセルに取り付ける。
【実施例】
【0087】
多層キャストフィルムに使用した樹脂を表2および5に示す。PE樹脂1は、以下の方法で製造される。PE樹脂1および比較ポリエチレン組成物の追加の特性は、表5に概説する。
【0088】
【0089】
PE樹脂1
PE樹脂1を以下のように調製する:多元金属触媒を調製する(触媒1)。次いで、触媒1を用いて、溶液重合でPE樹脂1を調製する。
【0090】
触媒1の調製
約109kgの0.20M MgCl2スラリーに7.76kgのEADC溶液(ヘプタン中15重量%)を添加し、続いて8時間撹拌した。次いで、TiCl4/VOCl3の混合物(それぞれ85mLおよび146mL)の混合物を添加し、続いてZr(TMHD)4(0.320kgの0.30M Isopar E溶液)の溶液を添加した。これら2回の添加は、互いに1時間以内に順次行った。得られた触媒プレミックスを、使用前にさらに8時間撹拌しながら熟成を行った。
【0091】
PE樹脂1の製造
PE樹脂1は以下の手順に従って製造される:すべての原料(エチレン、1-ヘキセン)およびプロセス溶媒(商品名ISOPAR Eのイソパラフィン系溶媒(ExxonMobil Corporationから市販されている))は、反応環境に導入前に分子ふるいで精製する。水素は高純度グレードとして加圧シリンダー内に供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給(エチレン)流は、機械的圧縮機を介して反応圧力より高い圧力、例えば750psigまで加圧される。溶媒およびコモノマー(1-ヘキセン)供給物は、機械的容積式ポンプを介して反応圧力より高い圧力、例えば750psigまで加圧される。個々の触媒成分は、精製溶媒(ISOPAR E)で特定の成分濃度に手動でバッチ希釈し、反応圧力より高い圧力、例えば750psigまで加圧される。すべての反応供給流を質量流量計で測定し、コンピュータ自動弁制御システムで独立して制御する。
【0092】
連続溶液重合反応器は、液体で満たされた、非断熱的な、等温の、循環ループからなる。すべての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒構成成分供給物の独立した制御が可能である。溶媒、モノマー、コモノマーおよび水素供給物を合わせたものは、供給物流を熱交換器に通すことによって5℃~50℃の間のいずれかの温度、典型的には40℃で温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマー供給物は、再循環溶媒にコモノマーを添加するように整列させる。重合反応器への合計新鮮供給物は、各注入場所の間に、ほぼ等しい反応器容量を有する2つの場所で、反応器に注入する。典型的には、新鮮供給物が制御され、各インジェクターが、合計新鮮供給物質量流量の半分を受ける。触媒成分は、特別に設計された注入入口装置を通して重合反応器に注入され、反応器に注入する前に混合されて、1つの混合プロ触媒/共触媒供給流となる。共触媒成分は、プロ触媒成分に対する、計算された特定のモル比に基づいて供給される。各新鮮な注入場所(供給物または触媒のいずれか)の直後に、供給物流を循環重合反応器の内容物と、Kenics静的混合要素を用いて混合する。反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、また特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。反応器ループの周りの循環は、スクリューポンプによって提供される。重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は反応器ループを出て、失活および酸捕捉剤(典型的には、ステアリン酸カルシウムおよび付随する水和水)と接触する区域に入り、その反応を停止させ、塩化水素を除去する。さらに、この時点で酸化防止剤等の様々な添加剤を添加することができる。次いで、流れは、触媒失活剤(catalyst kill)および添加剤を均一に分散させるために別のKenics静的混合要素の組を通過する。
【0093】
添加剤の添加に続いて、溶出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含む)は、他の低沸点反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過させて流れの温度を上昇させる。次いで、流れは、圧力降下制御弁(反応器の圧力を特定の目標値に維持することを担う)を通過させる。その後、流れは、二段分離揮発分除去システムに入り、そこでポリマーが、溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーから除去される。不純物は、反応器に再び入る前に再循環流から除去される。分離され、揮発分除去されたポリマー溶融物は、水中ペレット化のために特別に設計されたダイを通して圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性を確認後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。
【0094】
揮発分除去工程で除去された部分は、再利用するか、または破壊してもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に再循環される。再循環溶媒は、その中に依然として未反応のコモノマーを含んでいる可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。再循環溶媒は、依然として若干の水素を有する可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。表4には、PE樹脂1の重合条件をまとめる。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
実施例1
3層キャストフィルムは、3つの押出機を有するDolci 3層キャストラインを用いて製造した。第1の外層は、16%の層比率を有し、コア層は、64%の層比率を有し、第2の外層は、20%の層比率を有する。押出機の温度プロファイルは、以下のとおりである:押出機A:160/217/220/255/270/270/270、押出機B:150/220/240/260/270/270/270、および押出機C:150/220/235/255/270/270/270。アダプタ温度は、270℃、ダイ温度は270℃である。チルロール温度は、20℃である。ダイギャップは2.5cmである。ライン速度は750m/分である。膜厚は、20ミクロンである。フィルム構造およびフィルム特性は、以下の表6にさらに概説する。
【0099】
【0100】
表6に示すように、比較フィルムよりも本発明のフィルムがより高い粘着値が得られる。
【0101】
実施例2
3層のキャストフィルムは、5つの押出機を有するDolci 5層キャストラインを用いて製造した。第1の外層は、15%の層比率を有し、コア層は、70%の層比率を有し、第2の外層は、15%の層比率を有する。押出機の温度プロファイルは以下のとおりである:押出機A:160/180/190/210/230/250/260、押出機B:160/180/190/210/230/250/260、押出機C:160/180/190/210/230/250/260、押出機D:160/180/190/210/230/250/260、および押出機E:160/180/190/210/230/250/260。アダプタ温度は、260℃である。ダイ温度は、260℃である。チルロール温度は、20℃である。ダイギャップは3cmである。ライン速度は200m/分である。膜厚は、20ミクロンである。フィルム構造およびフィルム特性は、以下の表7にさらに概説する。
【0102】
【0103】
表7に示されるように、たとえそれが比較フィルム2よりも少ない量のPIBマスターバッチを有するとしても、本発明のフィルム3に関してより高い粘着値が得られる。
【0104】
本明細書に開示される寸法および値は、記述された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、他に特定されない限り、そのような各寸法は、記述された値およびその値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図されている。
【0105】
存在する場合、あらゆる相互参照されるか、または関連する特許または出願、および本出願が優先権または利益を主張するあらゆる特許出願または特許を含む、本明細書に挙げられるすべての文献は、明示的に除外されるかまたはさもなければ限定されない限り、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。任意の文書の引用は、本明細書に開示または特許請求された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、もしくは任意の他の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、または開示していることを認めるものではない。さらに、この文書中の用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する範囲で、本明細書中のその用語に割り当てられた意味または定義が優先されるものとする。
【0106】
本出願は、例えば以下の発明も提供する。
[1] 第1の外層、コア層、および第2の外層を含む多層キャストフィルムであって、
前記第1の外層が、(a)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、第1のポリエチレン組成物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、および(b)ポリイソブチレンを含み、
前記コア層が、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、前記コア層ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、および
(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)の特性を持つことを特徴とする、多層キャストフィルム。
[2] 前記第1の外層が、前記第1の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5~10重量パーセントのポリイソブチレンを含む、[1]に記載のフィルム。
[3] 前記第1の外層が、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む第1のポリエチレン組成物をさらに含み、前記第1のポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、および
(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)の特性を持つことを特徴とする、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4] 前記第2の外層が、直鎖状低密度ポリエチレン、またはエチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む第2のポリエチレン組成物を含み、前記ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比、I
10
/I
2
、および
(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)の特性を持つことを特徴とする、[1]~[3]に記載のフィルム。
[5] 前記第2の外層がポリイソブチレンをさらに含む、[4]に記載のフィルム。
[6] 前記第2の外層が、前記第2の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5~10重量パーセントのポリイソブチレンを含む、[5]に記載のフィルム。
[7] 前記コア層ポリエチレン組成物が、溶液重合を介して多元金属プロ触媒を含む触媒組成物の存在下で形成される、[1]~[6]に記載のフィルム。
[8] 前記コア層ポリエチレン組成物が、60%未満、または52.5%~60%のCDBIを有する、[1]~[7]に記載のフィルム。
[9] 前記コア層ポリエチレン組成物が、2~6、または2.0~2.9の粘度比(0.1rad/sでの粘度 / 100rad/sでの粘度で、両方とも動的機械分光法を使用して、190℃で測定)を有する、[1]~[8]に記載のフィルム。
[10] 前記コア層ポリエチレン組成物が、6.0~7.4、または6.4~7.4のメルトフロー比I
10
/I
2
を有する、[1]~[9]に記載のフィルム。
[11] 多層キャストフィルムの製造方法であって、前記方法が、
多層キャストフィルムを形成するために、第1の外層組成物、コア層組成物、および第2の外層組成物を共押出すことを含み、
前記第1の外層組成物が、(a)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、第1のポリエチレン組成物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、および(b)ポリイソブチレンを含み、
前記コア層組成物が、エチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含むコア層ポリエチレン組成物を含み、前記ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、および
(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)の特性を持つことを特徴とし、
前記第2の外層組成物が、直鎖状低密度ポリエチレン、またはエチレンと、任意に1つ以上のアルファオレフィンコモノマーとの反応生成物を含む第2のポリエチレン組成物を含み、前記ポリエチレン組成物が、
(a)2.5~12.0g/10分のメルトインデックスI
2
、
(b)0.910~0.925g/ccの密度、
(c)6.0~7.6のメルトフロー比I
10
/I
2
、および
(d)2.2~3.6の分子量分布(Mw/Mn)の特性を持つことを特徴とする、製造方法。
[12] 前記第2の外層組成物がポリイソブチレンをさらに含む、[11]に記載の方法。
[13] 前記第2の外層組成物が、前記第2の外層中に存在するポリマーの総重量に基づいて、0.5~10重量パーセントのポリイソブチレンを含む、[12]に記載の方法。
本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正をすべて網羅することが意図されている。