(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】強化された高分子物品の生産における組み合わされた一次繊維及び炭素繊維構成要素
(51)【国際特許分類】
B29C 70/10 20060101AFI20220215BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20220215BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20220215BHJP
B62D 29/04 20060101ALI20220215BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
B29C70/10
B29C70/42
B32B27/20 Z
B62D29/04 A
B29K105:08
(21)【出願番号】P 2019534889
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(86)【国際出願番号】 US2017066939
(87)【国際公開番号】W WO2018125626
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2016-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518153036
【氏名又は名称】テイジン オートモーティブ テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ボワバン,ゲタン
(72)【発明者】
【氏名】グハ,プロビル,クマール
(72)【発明者】
【氏名】トイトガンズ,マルク―フィリップ
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/210310(WO,A1)
【文献】特開2001-064406(JP,A)
【文献】特開2003-080607(JP,A)
【文献】国際公開第2016/057733(WO,A1)
【文献】特開2013-176984(JP,A)
【文献】特開2009-113369(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1697924(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B32B 5/00
B62D 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層硬化複合材料物品であって:
外側部分であって、外側部分の厚みを有し、かつ、外側部分混合繊維ソースからの外側部分混合繊維フィラーになっている前記外側部分の50から70の間の総重量パーセントを有する第1のマトリックス樹脂から構成され、前記外側部分混合繊維フィラーは0.05-20:1の外側部分一次繊維および炭素繊維比を有する、外側部分:
内側部分であって、前記外側部分に対して補足的であり、内側部分の厚みを有し、かつ内側部分混合繊維ソースからの内側混合繊維フィラーになっている前記内側部分の40から60の間の総重量パーセントを有する第2のマトリックス樹脂から構成され、前記内側混合繊維フィラーは前記外側部分一次繊維及び炭素繊維比より小さい内側部分一次繊維および炭素繊維比を有する、内側部分;および、
前記外側部分と前記内側部分との間の接合、を含み、
前記外側部分混合繊維フィラーは、一次繊維及び炭素繊維の組み合わせの混合繊維トウ(Tow)、あるいは、一次繊維及び炭素繊維の組み合わせの織布または不織布から選択される外側部分混合繊維ソースの形態であり、および、
内側部分混合繊維フィラーは、一次繊維及び炭素繊維の組み合わせの混合繊維トウ(Tow)、あるいは、一次繊維及び炭素繊維の組み合わせの織布または不織布から選択される内側部分混合繊維ソースの形態である、ことを特徴とする、
2層硬化複合材料物品。
【請求項2】
前記外側一次繊維はガラスである、請求項1に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項3】
前記外側部分混合繊維フィラーは、一次繊維と炭素繊維の組み合わされたトウから切断された繊維であり
、10mmから100mmの間の長さを有する、請求項1に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項4】
予備成形を画定する熱可塑性プラスチックオーバーモールドをさらに含む、請求項3に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項5】
前記内側部分混合繊維フィラーは切断された繊維である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項6】
前記外側部分の一次繊維及び炭素繊維の比率は0.6-1.3:1である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項7】
前記外側部分の厚みは0.9
から3.5mmである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項8】
前記外側部分は
0.9から1.3までの密度を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項9】
前記内側部分の厚みは0.9
から2.4mmである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項10】
前記
外側部分は
0.9から1.6までの密度を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項11】
前記外側部分混合繊維フィラーは、一次繊維及び炭素繊維の組み合わせの織布または不織布である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項12】
前記外側部分は、自動車の車体パネルの表面光沢を施されるのに適している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項13】
前記接合はコンタクト接着剤である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項14】
車両のデッキリッド、車両のドア、車両のルーフ、車両のフェンダー、車両のフロアの形状を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【請求項15】
内部における炭素繊維は再利用される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の2層硬化複合材料物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2016年12月26日に出願された米国仮特許出願第62/439,090号の優先権の利益を主張し;その内容は、本明細書の参照によって組み入れられる。
【0002】
本発明は概して、繊維充填物品、とりわけ、炭素繊維及びガラス繊維トウ、混合繊維織布ロービングまたは混合繊維不織布マットの無方向性混合を用いる成形の工程に関する。
【背景技術】
【0003】
車両性能及び効率を高めるために続行される運転がある。車両のパネルを軽くするための一連の工程で、鋼の厚みは軽減され、後にアルミニウム及び樹脂ベースの材料等、低密度の材料に取って代わられた。アルミニウムが樹脂ベースの車両の物品で有利な、いくつかの制限を有するというエビデンスが証明されてきている。ここで、原料コストと、成形コストと、車両のパネルを今までよりも更に軽くするために必要な厚みのアルミニウムの引張強度とによって全体的な制限がもたらされるように思われる。これに対して樹脂ベースの物品は、要求の範囲を満たすように樹脂化学および添加剤の変動によって調整可能である。加えて、複雑な形状の金属成形はいくつかの工程を必要する一方、優れた設計のモールド型は1つの工程で複雑な形状を付与することができる。
【0004】
ガラス繊維がシート成形組成物(SMC)などの樹脂物品を強化するために数十年間使用されている一方、比較的高密度のガラス、および得られる引張弾性率における制限が、ガラス充填樹脂が単独で、かつてないほど軽く強い車両のパネル物品のための必要性を満たすことを不可能にしているように思われる。炭素繊維充填樹脂が、密度の低いおよびガラス充填のような樹脂と比べて高い引張弾性率の達成を可能にする一方で、結果として生じる物品には、原料コストの高騰およびガラス繊維フィラーで形成された類似の物品の表面光沢の不足が現れる。
【0005】
ガラス及びカーボンの両方の混合繊維を用いる物品を作り出す試みがなされた。これらの試みは実験室スケールで実証され、そのような物品、特に2層の物品が生産される場合、単繊維強化樹脂と比較するといくつかの魅力的な特性を有する。WO2014/210310はこれらの努力の典型である。
【0006】
混合繊維マトリックス樹脂物品を生産する際、任意に配向され混ぜ合わされたガラス繊維と炭素繊維の均一層の形成を形成するという困難に直面する。同様に、混合繊維ロービング及び不織布に接する機会が限られていることは、車両のパネルの重さを減少する努力の邪魔をする。繊維強化樹脂成形用繊維は典型的に、長い繊維長のバンドルで形成されたトウをあらかじめ選択された長さに切断することで生産される。ガラス繊維は通常、数百の繊維のトウで生産され、個々の繊維を生産するために綺麗に切られ、炭素繊維は約5から10マイクロメーターの直径を有しており、10から25マイクロメーターの直径のガラス繊維より更に小さく、かつ何万もの繊維を含んでいるトウで製造される。物理的かつ科学的な違いゆえに、炭素繊維は、ガラス繊維で一般的に見受けられるランダムに配向された個々の繊維ではなく、繊維の塊を形成しがちである。
【0007】
したがって、そのような繊維がランダムに配向された短い長さなのか、織布繊維ロービングなのか、或いは不織繊維マットなのかどうかにかかわらず、樹脂成形で使用される混合一次繊維と炭素繊維の制御された分散を提供する方法の必要性がある。そのような混合繊維から生産された物品に対しての必要性も、さらに存在する。依然としてさらに、RTM、湿式成形、圧縮成形および射出成形の方法を用いてそのような物品を大量生産する必要性もある。
【発明の概要】
【0008】
2層硬化複合材料物品は、外側部分混合繊維フィラーになっている外側部分の50から70の間の総重量パーセントを有する第1のマトリックス樹脂から構成される外側部分の厚みを有する外側部分を有して提供され、前記外側部分混合繊維フィラーは0.05-20:1の外側部分一次繊維および炭素繊維比を有する。外側部分に対して補足的な内側部分が提供され、内側混合繊維フィラーの内側部分の40から60の間の総重量パーセントを有する第2のマトリックス樹脂から構成される内側部分の厚みを有し、前記内側混合繊維フィラーは前記外側部分一次繊維及び炭素繊維比より小さい内側部分一次繊維および炭素繊維比を有する。外側部分と内側部分との間の接合が提供される。
【0009】
そのような物品を生産する工程がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下の図面に関してさらに詳述する。これらの図面は、添付された請求項の範囲を制限するのではなく、それについて特定の実施形態を図示するように意図される。
【
図1】本発明に関する物品の形成の工程について、切断された場合の混合繊維束トウの斜視図であり、ランダムに配向された一次および炭素繊維を提供する;
【
図2】本発明に関する物品の形成の工程について、切断され、かつランダムに配向された一次繊維および炭素繊維のシートまたはソースのいずれかとして本発明において実施される混合繊維織布ロービングの上からの斜視図である;
【
図3】本発明に関する物品の形成の工程について、切断され、かつランダムに配向された一次繊維および炭素繊維のシートまたはソースのいずれかとして本発明において実施される混合繊維不織布マットの上からの斜視図である;
【
図4A】本発明の予備形成を使用する湿式成形工程の連続する概略図である;
【
図4B】本発明の予備形成を使用する湿式成形工程の連続する概略図である;
【
図4C】本発明の予備形成を使用する湿式成形工程の連続する概略図である;
【
図4D】本発明の予備形成を使用する湿式成形工程の連続する概略図である;
【
図4E】本発明の予備形成を使用する湿式成形工程の連続する概略図である;
【
図4F】本発明の予備形成を使用する湿式成形工程の連続する概略図である;
【
図5】2層成形の進歩性のある物品を形成するために類似のモールド型で入れ子にされた、
図4A-4Gごとに生産される成形された部品の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、適切に分布した一次繊維及び炭素繊維の分布のまわりのマトリックス樹脂を成形するための工程として有用性を有する。特に、物品は、自動車の車体パネルに共通の高度な表面平滑度と比較的高い引張強度のそこへの接合とを有する外側パネルを伴って、多層構造に基づいた成形加工によって大量生産される。混合繊維は、物品の単一のパネル、または多層物品の全てのそのようなパネルにおいて存在する。混合繊維は、次の形状の物品において存在すると理解される:混ぜ合わせられ、かつ配向が異なる切断された繊維、そこを介して分散した炭素繊維を有するガラス繊維を優位に含んでいる織布ロービング、または不織繊維マット。
【0012】
値範囲が提供される実例において、明示的に範囲内に含まれ範囲の最後の有効数字によって変化するように、範囲が範囲の終点値のみならず範囲の中間値も含むということが理解される。例によって、1から4までの列挙された範囲は、1-2、1-3、2-4、3-4および1-4を含むように意図される。
【0013】
本明細書で使用されるように、「圧縮成形」は、スタンピング、引抜き成形およびオーバーモールド処理を含むように規定される。
【0014】
スタンピングは、有機シート、テープ剤またはその組み合わせのスタックが加熱され、その後押し型でプレスされて、冷却される工程である。有機シートまたはテープは混合繊維で容易に作られ、テープは典型的に一方向に連続的であり、一方で有機シートは典型的に織り網において連続的である。
【0015】
連続的な長さの一定の断面を持つ強化ポリマー構造形状を、引抜き成形は主に生産するための工程である。原料は、樹脂、賦形剤、特定の添加剤、および織布またはベール/マットあるいは補強繊維としてトウ/ロービング、を含んでいる液体状樹脂混合物である。引抜き成形は、プロフィル及びビーム等の車両の物品を形成するためにしばしば使用される。
【0016】
オーバーモールドは、インサートをコーティングする繊維フィラーで多くの場合は満たされる熱可塑性プラスチックポリマーでモールド型の窪みに配置されるインサート/予備形成を形成するために、熱可塑性プラスチックマトリックスを染み込ませた繊維(ガラスまたは炭素、あるいは繊維の混合)のシートの型押しによる形成を含む。ガラス/炭素繊維及び熱可塑性プラスチック繊維の混合の予備成形も、この工程において適切であることが認識される。
【0017】
樹脂トランスファー成形法(RTM)は、混合フィラー繊維と、およそ1から10総重量パーセントの小さなパーセントの熱可塑性プラスチック繊維とで作られる予備成形による工程である。熱可塑性プラスチック繊維はバインダとして働く。エポキシ粉体もバインダとして使用してもよい。
【0018】
本明細書で使用されるように、「絡み合った繊維」は、所与の繊維が少なくとも1つの追加の繊維で平均少なくとも2つの接点を有している繊維、として規定される。
【0019】
例示的にガラスを含む進歩性のある物品を形成するために、炭素繊維との混合に適する繊維は;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、前述のもののうちのいずれかのコポリマー、および前述の個々のポリマーまたはコポリマーのうちのいずれかの混合の、熱可塑性プラスチック;綿、羊毛、麻、杖、竹、ジュート、麦藁、絹、麦藁、ヤシの葉、ヤシ殻、ヤシ繊維の、天然繊維;およびその任意の組み合わせ;またはそれらの組み合わせを含む。フィラー繊維の典型的な長さは、本発明において使用される切断された形状で使用された場合、典型的に0.5から6センチメートル(cm)までの範囲である。フィラー繊維の直径は、典型的な直径が0.03から0.5ミリメートル(mm)のガラス充填材繊維を備えた商業上のソースを基に、広く異なることが理解される;炭素充填物繊維は典型的に0.005から0.1mmの直径を有する;天然充填物繊維は典型的に0.01から0.3mmの直径を有する;前述の典型的な範囲の外側の繊維寸法は存在し、本発明の範囲内になるように意図されることが理解されるだろう。
【0020】
本明細書で使用されるように、炭素繊維との混合に適する繊維は一次繊維と名付けられる。一次繊維は、総繊維重量の大部分が一次繊維であることを、そうでない限り示唆しないと理解される。
【0021】
混合繊維トウは、分離形成の後に各トウを広げること、または最初の混合繊維トウを形成するための同時の接合のどちらかを介して、単一の炭素繊維または炭素繊維のバンドルを一次繊維のトウに埋め込むことによることを含む、様々な方法で形成される。混合繊維トウにおける炭素繊維に対する一次繊維の重量比は、一次繊維及び炭素繊維の0.05-20:1の範囲である:切断することに先立ったそのようなトウの斜視図が
図1に示され、ここで充填繊維が炭素繊維を表わし、無充填繊維は一次繊維である。
【0022】
混合繊維織布ロービングは少なくともひと巻の、一次繊維から或いは炭素繊維の1つの糸または多数の繊維炭素繊バンドルをそのようなロービングの中で連続的に縫うことで形成されるロービング、が織り込まれた炭素繊維を有する。混合繊維織布ロービングにおける炭素繊維に対する一次繊維の重量比は、一次繊維及び炭素繊維の0.05-20:1の範囲である:切断することに先立ったそのような織布の斜視図が
図2に示され、ここで充填繊維が炭素繊維を表わし、無充填繊維は一次繊維である。本発明で使用した炭素繊維は新しい、または再利用された炭素繊維である。
【0023】
混合繊維不織布マットは、ニードルパンチ法とスパンレース法(水流交絡)を熱可塑性プラスチックと炭素繊維に絡み合わせる従来のスパンレース技術によって形成される。スパンレース法は、繊維が互いのまわりで結びあうように、織布に衝突すべく水の高速ジェットを使用する。代替の実施形態において、デフレクターを備えた熱可塑性プラスチック繊維およびスパンボンドへ炭素繊維を流入する工程のスパンボンド法は、不織布マットがあらかじめ選ばれた量の炭素繊維を含んで形成されることを可能にする。混合繊維ロービングにおける炭素繊維に対する一次熱可塑性プラスチック繊維の重量比は、一次熱可塑性プラスチック繊維の1-50:1の範囲である:切断することに先立ったそのようなランダムな繊維の配向を有するマットの斜視図が
図3Aに示され、ここで充填繊維が炭素繊維を表わし、無充填繊維は一次繊維である。
図3Bは配向された炭素繊維を有するマットの斜視図である。
【0024】
本発明に従って生産された混合繊維は、シート成形、オーバーモールド、樹脂トランスファー成形法(RTM)、または湿式成形の工程を通じて物品を形成することに十分に適している。
【0025】
様々なベース樹脂形成は、切断されたトウ、断片化されたロービング、あるいはマットとして、進歩性のある混合繊維の取り込みから利点を得る。基礎SMCに混合繊維を組込むのに適切なベースの形成は、次の米国の特許に述べられていたものを含む。米国特許出願第4,260,538号;第4,643,126号;第5,100,935号;第5,268,400号;5854317および6780923。
【0026】
ベース樹脂形成の主成分は、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂などの架橋性ポリマーレジンである。プレポリマー高分子樹脂は典型的に200から50,000ドルトンの間の平均で分子量を有する。ポリエステルプレポリマー樹脂は典型的に、ポリオールを伴った不飽和二塩基酸および/または無水物類の凝縮に由来する縮合物を表わす。飽和したジ酸または重合酸はまた、反応性エチレンの不飽和点とは異なるポリエステルプレポリマーを形成するための凝縮工程の一部であると認識される。
【0027】
ビニルエステル樹脂も、高分子樹脂としてベース樹脂形成において典型的に用いられる。ビニルエステル・プレポリマー樹脂は典型的に、単一のエチレンの不飽和を有するカルボン酸を備えたエポキシ樹脂の反応生成物である。一般に使用される特定のビニルエステル樹脂は、アクリル酸を備えたエポキシ機能化ビスフェノールAの反応生成物である。プレポリマー合成における相違の結果、ビニルエステル樹脂プレポリマーは典型的にターミナルのエチレンの不飽和に関連し、ポリエステル樹脂プレポリマーは主にプレポリマー主鎖の内部にエチレン性不飽和を有する。
【0028】
エチレン性熱硬化性工程中に樹脂と共重合するエチレン性不飽和モノマーにおいて、高分子樹脂プレポリマーを懸濁し、かつ好ましくは溶解する。代表的なモノマーは例示的に、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、アクリル酸エチル、n-アクリル酸ブチル、2-エチルヘキシルアクリル酸、メタクリル酸メチル、ペンタエリトリトールトリアクリレート 、エチレングリコール、ジメタクリラート、ジアリル・マレイン酸塩、ジアリル・フマル酸塩、シアヌル酸トリアリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、アクリロニトリル等のアクリル酸メチルである。成形組成物においてモノマーの1つ以上のタイプが使用可能であることが認識される。モノマーは、揮発性の副産物の形成なしに、低いプレポリマー粘度と熱硬化性とを含む利点をもたらす。
【0029】
存在する場合、典型的な成形組成物は、高分子プレポリマー樹脂とそれ自体、もしくはエチレン性不飽和モノマーとの間で架橋を起こすためのフリーラジカル開始剤を含む。フリーラジカル開始剤は典型的に、熱硬化性の条件を制御するように、低温での著しい架橋することを防ぐべく選択される。従来のフリーラジカル重合開始剤は過酸化物またはアゾ基のいずれかを含む。本明細書で施行する過酸化物は例示的に、過酸化ベンゾイル、シクロヘキサノン過酸化物、ジターシャリ・ブチル過酸化物、ジクミル過酸化物、第三級ブチル・ペルベンゾアートおよび1,1-ビス(t-ブチル・ペルオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサンを含む。本明細書で施行するアゾ種は例示的に、アゾビスイソブチロニトリル及びt-ブチルアゾイソブチロニトリルを含む。存在するフリーラジカル重合開始剤の量は、所望の熱硬化性の温度及び分解熱力学などの要素に応じて変化する一方、イニシエーターは典型的に、0から3の総重量パーセントまでで存在する。
【0030】
所望の熱硬化性の温度より低い温度で架橋を減少させるために、重合防止剤は、ベース成形の形成(base molding formulations)に多くの場合は含まれる。ヒドロキノン及びt-ブチル・カテコールは従来の阻害剤である。阻害剤は典型的に、0および2の総重量パーセントの間で存在する。
【0031】
切断された混合繊を、5から40までの総重量パーセントの量で未硬化のベース樹脂形成混合物に加える。さらに他の実施形態において、混合繊維は7から35までの総重量パーセントで存在する。他の従来の添加剤は例示的に、低収縮剤、着色剤、10から70ミクロンまでの中空微小球体または無機炭酸塩等の粒子フィラーを含み、かつ酸化防止剤も、容易に加えられる。中空微小球体は容易に、共有結合でマトリックス樹脂に接合し、かつそれによって生じた硬化物品の引張強度を高めるために、誘導体化される。そのような小球体の使用は米国特許出願第2006/0258781および同時係属中の米国仮特許出願第62/018,377に詳述される。米国特許出願第7655297のB2において詳述されるような微粒子の追加を用いて依然として高品質な表面仕上げを有しながら生じた硬化物品を電気的に伝導性のある状態にすることが認識される。
【0032】
オーバーモールドにおいて、無方向性熱可塑性プラスチック繊維を備えたインサートまたは基質は、混合一次繊維および炭素繊維の無方向性フィラーの存在下においてそれらが熱により接合することを可能にする量で、存在する。一次繊維は熱可塑性プラスチック繊維と同じか、あるいはそれと異なる。熱可塑性プラスチック繊維融合は、冷却の際にインサート内の混合フィラー繊維を保持する。フィラー繊維は、インサート、およびそのインサートで形成されたオーバーモールドした物品の特性を修正するために選択される。ガラス及び炭素繊維の混合繊維は特に、高引張弾性率の車体のパネルを生産することに十分適している。
【0033】
オーバーモールドで典型的に使用される溶融加工性材料はエラストマー及び熱可塑性プラスチックを含む。結果として生じるランダムに配向された繊維、織布ロービングまたは不織布マットとして組み込まれた混合繊維との形が保持された縮合されたエラストマー或いは熱可塑性プラスチックのドライ予備成形は、RTM及び湿式成形等の工程によってオーバーモールドすることに適している。
【0034】
そのように生産された予備成形は、RTMまたは湿式成形の工程を経て樹脂の射出のためのモールド型盤上に配置することに適用可能である。予備成形を被覆するように塗布された樹脂は、ガラス繊維、炭素繊維または本発明の混合繊維のいずれかを含むことが認識される;あるいは、追加の繊維含有率量が欠けている。繊維を流入する樹脂の流れは、結果として生じる物品、特に端部及び湾曲の周囲等の変則的な流れの物品の領域において部分的に配向され、かつ不均質な繊維フィルをもたらす。湿式成形または予備成形に対する繊維フィラーが欠けている樹脂の塗布は、結果として生じる物品において、部分的に配向され、かつ不均質な繊維フィルを阻止するように見える。局所的な繊維濃度及び繊維配向の不均質性における相違を制限することは、物品のデザインにおいて安全裕度のより小さな要求に明白である。その結果、湿式成形は特定の進歩性のある実施形態において選択された工程であり、最小限の厚み及び、したがって重量を伴う高い引張強度の物品を形成する。
【0035】
本発明に関して生産された物品は、例示的には車両のデッキリッド、車両のドア、車両のルーフ、車両のフェンダー、車両のフロア、バンパー、フロア、ホワイトコンポーネント(AまたはBピラー)の車体等の車両の構成を含む、様々な用途で使用される。進歩性のある工程で形成された物品は、優れた引張強度を送達しながら、従来のアルミニウム及びSMC成形と比較して重さの減少を引き起こす。高い引張強度は、2層以上にすることで最もその性質が与えられ、ここで層の間に接合が接触する際に物品に対して引張強度を与えるために、一次繊維に対して高い割合の炭素繊維を有する内層に対して表面的な外観を重視して、炭素繊維に対して一次繊維の高い比率を含む比較的高密度の外層が生産される。物品の中間層対する外層の相対的な厚みを調節することにより、物品の性質に関して依然としてさらなる制御をかけることができることが認識される。2層または多層の物品のための接合は、メカニカルファスナー及び中間の粘着層の両方を含む。適切な例示的な接着剤はウレタン、エポキシドを含む。特に好ましい樹脂は、RTM用エポキシド及びスタンピング、引抜き成形、あるいはオーバーモールド用ポリアミドである。驚くべきことに、優れた物品が混合繊維トウまたは混合繊維布から形成されることが発見されている。特定の理論に束縛されるものではないが、混合繊維ソースは、切断の工程中に混合されるモノタイプ繊維ソースから得られたものよりも繊維の更に均質な分布を提供すると考えられる。更なる繊維の均質な分布が、従来の切断されたモノタイプソース繊維の混合と比較して優れた物品の性質に関連する。
【0036】
本発明の1つの実施形態において、物品の外側部分を同義的指す外層は、50と70の間の総重量パーセントの外層における一次繊維および炭素繊維の総繊維充填で、0.05-20:1の間の一次繊維および炭素繊維比を有して形成される。外層の特定の進歩性のある実施形態における一次繊維は、ガラス繊維である。外層の比重は0.9と1.3の間である。外層とは対照的に接合された中間層は外側部分よりも小さな一次繊維及び炭素繊維比を有する。内層の特定の進歩性のある実施形態における一次繊維は、ガラス繊維である。外層の比重は0.9と1.6の間である。中間層厚みに対する外層の比は1-2:1の間である。例によって、外層は典型的に0.9から3.5mmの厚みを有し;かつ、中間層は典型的に0.9から2.4mmの厚みを有する。特定の実施形態において、外層は一次繊維及び炭素繊維のより高い比率、並びに接合された中間層より大きな厚みを有する。さらに他の実施形態において、ASTM D523によって測定されるように、外層は、従来の新しい自動車の表面光沢の仕上げが可能な表面を有する。
【0037】
混合フィラー繊維は、モールド型盤上に直接塗布されるか、あるいは予備成形単独として形成されるか、未硬化樹脂と前もって混合されるか、熱可塑性プラスチック繊維と前もって混合される。そのような混合した切断された繊維は、乾燥した塊、或いは懸濁液のどちらか一方としてモールド型の表面に塗布される。熱可塑性プラスチック繊維及び様々なフィラー繊維は、モールド型の表面に連続して塗布されるか、或いは繊維混合物を形成するために前もって混合されることが認識される。懸濁液がもし存在する場合は、懸濁液は所定長さまたは様々な長さに切られた所与の直径の繊維のソースを含んで形成される;繊維は添加剤と共に溶媒中にある。添加剤は、分散剤、乾燥を促進する微粒子のフィラー、バインダ、またはその組み合わせを含む。進歩性のある懸濁液は、従来の予備成形システムを使用することに適用され、或いは進歩性のある遠心の予備成形システムと共に使用される。
【0038】
進歩性のある懸濁液用の溶媒は、取扱適性及び、モールド型枠材料、繊維、および懸濁液の添加物との適合性によってのみ、主に決定される。本明細書で施行する溶媒は例示的に、水、C1-C12アルコール、トルエン、(C1-C6アルキル)-C1-C6エステル、(C1-C6)2C=Oケトン、および混合可能なその組み合わせを含む。特定の進歩性のある実施形態において、揮発性有機成分(VOC)及び廃棄物処理の限界に準拠するために、懸濁液は水である。今後詳述されるように、自給の懸濁液に溶媒リサイクルが提供され、それによって溶解力のあるVOC含有量及び取扱いに対する懸念を回避する。
【0039】
本発明の特定の実施形態において、熱可塑性プラスチック繊維は、繊維の重量パーセントによって繊維含有量の少なくとも25の総重量パーセントを占めるようにオーバーモールドされる。連続的なそのような熱可塑性プラスチック繊維の方向の使用もまた、本発明において施行可能であると認識される。熱可塑性プラスチック繊維の典型的な長さは0.5と10cmの間である。熱可塑性プラスチック繊維の典型的な直径は0.01と0.7mmの間である。いくつかの実施形態において、10:1より小さな熱可塑性プラスチックフィラーの最長の寸法と最短の寸法との間のアスペクト比を伴う熱可塑性プラスチックフィラーは更に、熱可塑性プラスチックフィラーと組み合わせて本明細書で使用される。熱可塑性プラスチック繊維は、統計平均に基づき、少なくとも1.3の他の個々の熱可塑性プラスチック繊維を備えた融合結合を形成するに違いないことが認識される。さらに他の実施形態では、各熱可塑性プラスチック繊維は他の熱可塑性プラスチック繊維に対し1.5と8.4間の結合を形成する。小さな直径及び長い長さの熱可塑性プラスチック繊維は、熱可塑性プラスチック繊維の所与の重量パーセントのためのより厚くより短い繊維に関する融合結合を増加しているということが理解されるだろう。
【0040】
本発明は、混合繊維フィラーの介在物を介して、再利用された含有量、強さ、密度またはそのような性質の組み合わせの点から、特定の利点を与える。特定の実施形態において、炭素フィラー繊維(carbon filler fiber)は、予備形成の5から60の総繊維重量パーセントを示す。特定の実施形態において、ガラスフィラー繊維は、予備形成の20から60の総繊維重量パーセントを示す。特定の実施形態において、セルロース系フィラー繊維は、予備形成の0から10の総繊維重量パーセントを示す。
【0041】
特定の進歩性のある実施形態において、混合フィラー繊維は、熱可塑性プラスチック繊維の平均長の80および1000%の間である中央値を有する。概して、繊維フィラーは、本発明に従って生産されたインサートにおいて少なくとも2.2の熱可塑性プラスチック繊維の統計平均との交点を有すべきである。本発明の他の実施形態において、進歩性のあるインサートは、熱可塑性プラスチック繊維間の融合結合の数の相互の平方根に比例する平均のフィラー繊維の長さを有する。特定の理論に束縛されるものではないが、熱可塑性プラスチック繊維結合の数が比較的少ない場合、より長いフィル繊維は融点間に織り込まれ、融合接合および本発明に従って生産された冷却されたインサートに対し追加の機械的安定度を作り出す。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態において、熱可塑性プラスチック繊維は、セルロース系繊維フィラーと共に存在する混合繊維フィラーと共に30-85の総繊維重量パーセントを構成する。他の特定の実施形態において、ガラス、及び、あるいは、炭素繊維フィラーはセルロース系繊維より高い重量パーセントで存在する。
【0043】
水を基にした懸濁液における疎水性繊維の使用は、デバンドル(debundle)そうでなければランダム化され、かつ切断された混合繊維フィルから分散された繊維を作り出す役目をする分散剤の介在物によって、本発明において促進される。分散剤は500未満の原子質量単位の分子量を有し、および一般式を有する小分子またはモノマーは(R1)2C=N-R2またはR3-ピロリジンを有することを含み、ここで各実例のR1は独立してH、C1-C6アルキル、C1-C6アルケニル、および置換基を有するC1-C6アルキルであり、両方の実例において、H、OH、COOH、NH2、NH C1-C6アルキルまたはR1の置換基は5または6員環構造を形成するように含有され;R2は、C1-C6アルキル、OH、および置換基を有するC1-C6アルキルであり、前記置換基はH、OH、COOH、NH2、NH C1-C6アルキルであり;あるいは、R1及びR2は結合して5また6員環構造及びR3を形成し、およびR3はH、C1-C6アルキル、C1-C6カルボキシル、C1-C6水酸基、あるいは(C1-C6)-NH2である。分子の分散剤は典型的に、イミダゾリン、グアニジン、オキシムおよびプロリンを含む。高分子分散剤は典型的に、2-ビニル・イミダゾリン(polymeric imidizolines)に基づいたものを含む、米国特許出願第3,288,707に詳述されたもの等の高分子のイミダゾリンを含む。分散剤は典型的に、0.01から1までの総重量パーセントで完全に調合された懸濁液に存在する。
【0044】
繊維のための分散剤は、従来の界面活性剤、またはコロイド性の微粒子のフィラーを含む。そのような微粒子のフィラーは例示的に、コロイドシリカ、炭酸カルシウム、マイカ、粘土およびそれらの組み合わせを含む。コロイド性のフィラーは典型的に、懸濁液に存在する熱可塑性プラスチック繊維の直径の2と20倍の間の直径を有する。特定の理論に束縛されるものではないが、繊維関するこのサイズの差異を有するコロイド性のフィラーは、繊維の塊で粒子の保持を促進する。
【0045】
粘度における急速な構造を促進するために、溶媒が進歩性のある懸濁液から取り除かれるとともに、高分子バインダが特定の実施形態において提供される。前記バインダは、水または他の溶媒がモールド型の表面上の懸濁液から取り除かれるとともに、乾く力の下で繊維が遊走する能力を制限する。水性に基づいた懸濁液における本明細書で施行する結合剤は例示的に、リグノスルホン酸塩;ゼラチンなどのタンパク質;ポリエチレングリコール並びに600および1000の間の分子量のそれら;ポリビニルアルコール、ペクチンおよびアルキル化セルロース、及びそれらの組み合わせ、を含む。疎水性懸濁液用バインダは例示的に、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、セルロース系フィラー、およびそれらの組み合わせを含む。バインダは典型的に、懸濁液の1までの総重量パーセントの量に存在する。
【0046】
いくつかの実施形態において懸濁液はまた、懸濁液の取扱い及び貯蔵を促進するための付加的な添加剤を含む。そのような付加的な添加剤は、キレート剤、抗菌剤、泡止め剤、帯電防止剤、およびそれらの組み合わせを含む。そのような付加的な添加剤は典型的に、存在する場合、完全に調合された懸濁液の0.00001から0.1までの総重量パーセントの懸濁液において、個々に存在する。
【0047】
進歩性のある混合繊維を有する湿式成形は、最小限の厚みの高い引張強度の物品および、所望の場合、自動車の車体パネル表面品質の仕上げを達成が可能である。申し分ない表面品質はASTM D523によって規定される。
【0048】
本発明による湿式成形の工程は、
図4A-4Fに関して概して(40)で詳述される。この概略は、混合繊維ソースの形状および位置で異なるいくつかの異なる個々の工程の合成を図示する。
図4Aでは、混合繊維予備成形(42)は、モールド型(46)の第1の圧盤(44)との接触内に位置される。モールド型(46)は、成形されたかつ硬化物品または物品の層に関連する寸法を有するモールド型の窪みを画定する補足的な第2の圧盤(47)を有する2つの部分のモールド型として図示される。本発明において使用されるモールド型は、2つ以上の圧盤を含むか、或いは空気の圧力で圧盤の表面と一致するように促された材料を有する単一の圧盤を有すると理解される。予備成形(42)は、上に詳述されるような熱可塑性プラスチック繊維でオーバーモールドすること、あるいは未硬化樹脂を予め染み込ませた予備成形によって、容易に形成される。
【0049】
図4Bにおいて、切断された混合繊維(48)の層は、予備成形(42)の代わりに或いは加えて適用される。
図4Bにおいて、予備成形(42)は存在するものとして図示され、また、層(48)はそれに適用される。切断された混合繊維(48)の層は、モールド型盤(44)上に容易に直接適用されることが認識される。
図1-3にそれぞれ図示されるように、切断された混合繊維(48)の層は、混合繊維トウ、織布または不織布から生産される。切断された混合繊維(48)の層は、各繊維の分離したソースからのそのような繊維に適用するよりも、非常に大きな均質性の度合を有する。
【0050】
図4Cにおいて、任意の織られた或いは不織布のシート(50)は、圧盤(44)によって、および予備成形(42)、切断された混合繊維(48)の層、またはその組み合わせに渡って画定された開放モールド型の窪みの中へ位置される。シート(50)は強度の高い度合が必要な物品に加えられるように意図される。織布(50)は、上述されるような混合繊維織布、従来の熱可塑性プラスチックの織布、織られた金属、ポリアラミド、またはガラス布を含む。
【0051】
図4Dにおいて、硬化性樹脂(52)はシロップ剤として適用され、かつ(42)または(48)、各単独で、組み合わせで、或いは更にシート(50)と共にモールド型の窪みの材料に渡って所望の厚みまで典型的には注がれる。樹脂(52)は、上述された硬化性樹脂の1つ以上である。モールド型の窪みへ樹脂を注ぐことによって。いくつかの進歩性のある実施形態における樹脂(52)に、フィラーを前もって混合し、本発明のいくつかの例におけるフィラーは、本発明の混合した切断された繊維を含む。樹脂(52)が最小限であるかどうかにかかわらず、モールド型の窪みの内容物と接触する際に、横の樹脂の動きが起こり、それによって、RTM及びSMCの工程に関連した部分的に配向された、不均質な繊維フィルを阻止する。それは理解される、樹脂(52)は、空気との接触に反応して(並びに、適時かつ適切な、熱硬化性加熱及び圧縮工程の不在において)下がることが認識される。樹脂の選択、非リアクタンス性のガスの混合に対する手段、急速な型の閉鎖、またはそのような改良の工程の組み合わせを介して、硬化より前の樹脂の劣化の大部分が軽減されることが認識される。
【0052】
図4Eで、適切な熱及び圧縮力は、樹脂(52)の空気劣化より前に、圧盤(44)に対する圧盤(47)の閉鎖を介して適用される。
図4Eにおいて示されるように、圧盤は、射出成形工程についての短繊維を有する熱可塑性プラスチック物質と同様に、例えばバルクモールディングコンパウンド(bulk molding composition)(BMC)工程におけるような、繊維を樹脂に注入するための注入ポート(49)を有している。場合によっては、注入された材料は繊維がなくても良い。
図4Fは、注入ポート(49)に注入され、第1の圧盤(44と及び第2の圧盤(47)との間に形成された窪みに流れ込む材料を図示する。
【0053】
型(46)の中のスループットを促進するために、従来の成形工程は、例示的に次のものを容易に用いる:ガス抜きを促進するために型の窪みに対する真空の適用、モールド型圧盤に対する離型剤の適用、モールド型圧盤の1つ以上の余熱、あるいはその組み合わせ。熱及び圧力の適用をしながら、樹脂はモールド型の中へあらかじめ組み込まれた材料の積み重ねに浸透し、混合繊維を硬化マトリックス樹脂へ硬化する。代替的な実施形態において、成形を達成するために液圧をプラテン圧の代わりに適用する;ガス圧を用いることは特に効果的で、開放成形(open molding)に非常に適している。
【0054】
図4Gでは、成形部品(54)は物品それ自体、あるいはモールド型盤(44)及び(47)との接触から取り除かれた物品の層のどちらかである。いくつかの進歩性のある実施形態において、成形部品(54)はトリミング、研磨、平面化、パウダープライミング(powder priming)、下塗り、塗装、またはその組み合わせ等の仕上げの動作にかけられる。
【0055】
図5に示されるように、成形部品(54)が成形された物品の層である例において、成形部品(54)は、成形部品(54’)を部分(54)及び(54’)の入れ子に適応するような大きさにするという条件で2層の物品を生産するように、類似の成形部品(54’)に接合される。成形部品(54)及び(54’)は例示的に、メカニカルファスナー、コンタクト接着剤、または音の超音波接合に接合される。確実な進歩性のある実施形態において、部品(54)及び(54’)は、一次繊維に相関する炭素繊維の相対量において異なる。
他の進歩性のある実施形態において、一次繊維はガラスである。さらに他の実施形態において、外側部分((54)または(54’))は、内側部分((54)または(54’)の他方)と比較して、炭素繊維に相関するガラス繊維のより高い割合を有し、外側部分を新車の車体用のグロス仕上げにする、あるいはできる。
【0056】
マトリックス樹脂に架橋する部分(54)の中へのガラス粒子の取り込みは、確実な進歩性のある実施形態において存在し、密度を減少させ、かつ結果として生じた物品の強度を高める。そのような粒子は米国特許出願第2006/0258781号;および同時係属中米国仮特許出願第用62/018,377号に記載される。
【0057】
図6は、2層の成形された進歩性のある物品を形成するための、引抜き成形ダイの断面の概略図である。
【0058】
図7は、2層の進歩性のある物品を形成するための、スタンピングダイの断面の概略図である。
図7は、バルク材料を追加する工程を示す