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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】熱電性堆積物モニタ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/14 20060101AFI20220215BHJP
   G01N 25/18 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G01N27/14
G01N25/18 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019545789
(86)(22)【出願日】2017-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2017019439
(87)【国際公開番号】W WO2018156149
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2019-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャトラジ ミタ
(72)【発明者】
【氏名】ムルシア マイケル ジェイ
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0020580(US,A1)
【文献】特開平07-229865(JP,A)
【文献】特開2013-231692(JP,A)
【文献】特表2002-521661(JP,A)
【文献】米国特許第04138878(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0283780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00-G01N 27/24
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を使用装置に向かって方向付けるための流体流れシステムであって、
複数の熱電装置と、
前記複数の熱電装置と電気通信し、かつ前記熱電装置に電力を印加することができる温度制御回路と、
前記複数の熱電装置の各々の温度を表す信号を測定するように構成された測定回路と、
前記温度制御回路および前記測定回路と通信し、かつ前記温度制御回路を介して前記複数の熱電装置の各々に電力を印加し、前記測定回路を介して前記熱電装置の各々の温度を判定することができるコントローラと、を備え、
前記コントローラが、
前記1つ以上の熱電装置のうちの少なくとも1つの上に形成するようにプロセス流体からの堆積物を誘導するために、前記1つ以上の熱電装置の各々を特性温度に維持するために、前記温度制御回路を介して前記複数の熱電装置のうちの1つ以上に電力を印加することであって、前記特性温度のうちの少なくとも1つが、前記使用装置の典型的な動作温度よりも低い、印加することを行うように構成され、ここで、前記複数の熱電装置のうちの第1熱電装置に電力を印加することは、前記第1熱電装置の温度を下げて前記第1熱電装置の表面上に冷堆積物を誘導するために、前記第1熱電装置に第1の極性で電力を印加することを含み、
また、前記コントローラが、
前記1つ以上の熱電装置の各々に対して、
前記測定回路を介して前記熱電装置の前記温度を定期的に測定すること、
温度制御モードおよび測定モードの一方または両方において、前記熱電装置の熱挙動の変化を観察すること、ならびに
観測された変化に基づいて、前記プロセス流体から前記熱電装置への堆積物のレベルを特性化すること、を行うことと、
前記使用装置の典型的な動作温度よりも低い少なくとも1つの前記熱電装置に誘導した前記堆積物に基づいて前記使用装置が望ましくない堆積物のリスクにある状況になっているか否かを判定することと、
を行うように構成され
ここで、前記堆積物のリスクにある状況とは、前記堆積物が形成される可能性がある状況であり、
また、前記コントローラが、
前記第1熱電装置の温度を上げて前記第1熱電装置の前記表面上から前記冷堆積物を取り除くために、前記第1熱電装置に前記第1の極性と反対の極性である第2の極性で電力を印加することを行うように構成される、システム。
【請求項2】
前記測定回路が、複数の抵抗温度検出器(RTD)を備え、前記複数のRTDの各々が、前記複数の熱電装置のうちの対応するものに関連付けられており、前記複数の熱電装置の各々の前記温度を表す信号を測定することが、前記RTDの各々の抵抗を測定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、前記熱電装置の温度を判定するために、前記測定回路を介して測定モードで前記熱電装置の各々を動作させることができ、前記1つ以上の熱電装置の各々に対して、前記熱電装置の前記温度を測定するために、前記温度制御モードと前記測定モードとの間で前記熱電装置を定期的に切り替えることと、前記温度制御モードおよび前記測定モードの一方または両方において、前記熱電装置の前記熱挙動の変化を観察することと、前記観察された変化に基づいて、前記プロセス流体から前記熱電装置への堆積物のレベルを特性化することと、を行うようにさらに構成されている、請求項1~2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
コントローラが、ゼーベック効果を介して前記熱電装置の温度を判定するように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記使用装置において堆積状態が存在すると判定された場合、前記流体に化学物質を導入することと、前記流体に添加される化学物質の量を変更することと、からなる群から選択される、1つ以上の是正措置を実行するようにさらに構成されている、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの熱電装置と、前記測定回路を介して前記流体流れシステムを通って流れる前記流体との間の熱の熱伝導による経時的な前記少なくとも1つの熱電装置の温度変化を特性化することを行い、
前記経時的な少なくとも1つの熱電装置の前記温度変化を特性化することが、経時的な温度のデータを関数に当てはめることを含み、
当てはめられた前記関数が、第1の部分および第2の部分を有する二重指数関数を含み、
前記二重指数関数の前記第1の部分が、前記少なくとも1つの熱電装置と流体サンプルとの間に伝導される熱を表し、
前記二重指数関数の前記第2の部分が、前記少なくとも1つの熱電装置から他のシステム構成要素に伝導される熱を表し、
前記堆積物の程度を表す当てはめパラメータが、前記二重指数関数の前記第1の部分に存在し、前記二重指数関数の前記第2の部分には存在しない、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
堆積物分析システムであって、
前記少なくとも1つの熱電装置の表面が、前記流体流れシステムを通って流れる前記流体と熱的連通するように、流体流れシステム内に位置決めされている少なくとも1つの熱電装置と、
前記少なくとも1つの熱電装置と通信し、前記熱電装置の温度に影響を及ぼすために、前記熱電装置に可変量の電力を印加するように構成されている、温度制御回路と、
前記少なくとも1つの熱電装置の前記温度を表す信号を出力するように構成されている、測定回路と、前記温度制御回路および前記測定回路と通信しているコントローラであって、
前記温度制御回路を介して、少なくとも1つの熱電装置を前記流体が向かうように方向づけられている使用装置の動作温度よりも低い温度まで冷却するために前記少なくとも1つの熱電装置に第1の極性で電力を印加することと、
前記少なくとも1つの熱電装置の冷却を停止することと、
前記少なくとも1つの熱電装置と前記流体流れシステムを通って流れる前記流体との間の熱の熱伝導による経時的な前記少なくとも1つの熱電装置の前記温度変化を前記測定回路により特性化することと、
前記使用装置の典型的な前記動作温度よりも低い温度まで冷却した少なくとも1つの前記熱電装置に誘導した前記堆積物に基づいて前記使用装置が望ましくない堆積物のリスクにある状況になっているか否かを判定することと、
前記特性化された温度変化に基づいて、前記流体から前記少なくとも1つの熱電装置の前記表面上に形成された堆積物のレベルを判定することと、
前記少なくとも1つの熱電装置に前記第1の極性と反対の極性である第2の極性で電力を印加することと、
を行うように構成されているコントローラと、を備え
前記堆積物のリスクにある状況とは、前記堆積物が形成される可能性がある状況である、システム。
【請求項8】
経時的な前記少なくとも1つの熱電装置の前記温度変化を特性化することが、経時的な前記温度のデータを関数に当てはめることを含み、前記関数の当てはめパラメータが、前記少なくとも1つの熱電装置の前記表面上の堆積物の程度を表す、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
関数が、指数関数を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
当てはめ関数が、第1の部分および第2の部分を有する二重指数関数を含み、
前記二重指数関数の前記第1の部分が、前記少なくとも1つの熱電装置と前記流体サンプルとの間に伝導される熱を表し、
前記二重指数関数の前記第2の部分が、前記少なくとも1つの熱電装置から他のシステム構成要素に伝導される熱を表し、
前記堆積物の程度を表す当てはめパラメータが、前記二重指数関数の前記第1の部分に存在し、前記二重指数関数の前記第2の部分には存在しない、請求項8~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラおよび前記測定回路が、ゼーベック効果を介して前記1つ以上の熱電装置の前記温度を測定するために動作するように構成されている、請求項7~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記測定回路が、1つ以上の温度測定装置を備え、各々が、前記1つ以上の熱電装置のうちの対応するものの前記温度を測定するように構成されている、請求項7~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上の温度測定装置が、1つ以上の抵抗温度検出器(RTD)を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの熱電装置が、ペルチェ素子を含む、請求項7~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの熱電装置が、複数の熱電装置を備え、前記コントローラが、前記流体流れシステム内を流れる前記流体から堆積物を誘導するために、前記複数の熱電装置のうちの少なくとも1つを特性温度まで冷却するように構成されている、請求項7~14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
流体流れシステム内の流体からの堆積物のレベルを特性化するための方法であって、
熱電装置の温度を調整し、前記流体と流体連通する前記熱電装置の表面上に形成するように前記流体からの堆積物を誘導するために、前記熱電装置を温度制御動作モードで動作させることであって、前記温度制御動作モードが、前記熱電装置の前記温度を調整するために前記熱電装置に電力を印加することを含む、動作させることを含み、ここで、前記熱電装置の温度を調整するために、前記温度制御動作モードで前記熱電装置を動作させることは、前記熱電装置の温度を低下させ、前記熱電装置の前記表面上に冷堆積物を誘導するために、前記熱電装置に第1の極性で電力を印加することを含み、
更に、前記熱電装置の前記温度を定期的に判定することと、
前記熱電装置の熱挙動の変化を観察することと、
前記観測された変化に基づいて、プロセス流体から前記熱電装置への堆積物のレベルを特性化することと、
前記熱電装置を前記流体が向かうように方向づけられている使用装置の動作温度よりも低い温度まで冷却することと、
前記使用装置の典型的な前記動作温度よりも低い温度まで冷却した前記熱電装置に誘導した前記堆積物に基づいて前記使用装置が望ましくない堆積物のリスクにある状況になっているか否かを判定することと、
前記熱電装置に第2の極性で電力を印加することであって、前記第2の極性が、前記熱電装置の前記温度を上昇させて前記冷堆積物を前記熱電装置の前記表面から除去するために、前記第1の極性とは反対である、印加することと、
を含み、
前記堆積物のリスクにある状況とは、前記堆積物が形成される可能性がある状況である、方法。
【請求項17】
前記熱電装置の前記温度を定期的に判定することが、ゼーベック効果を介して前記熱電装置の前記温度を判定するために、前記温度制御動作モードと測定動作モードとの間を定期的に切り替えることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記熱電装置の前記温度を定期的に判定することが、1つ以上の測定装置を介して前記熱電装置の前記温度を測定することを含む、請求項16~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記温度制御モードで前記熱電装置を動作させることが、前記熱電装置に固定量の電力を印加することを含み、
前記熱電装置の前記熱挙動の変化を観察することが、固定動作電力で前記熱電装置を動作させている間に経時的な前記熱電装置の温度変化を観察することを含み、
前記プロセス流体からの堆積物のレベルを特性化することが、前記固定動作電力における前記熱電装置の温度変化率を前記プロセス流体からの堆積物のレベルと関連付けることを含む、請求項16~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
温度制御動作モードで前記熱電装置を動作させることが、固定温度で前記熱電装置を動作させるために前記熱電装置に電力を印加することを含み、
前記熱電装置の前記温度を定期的に判定することにより、前記熱電装置が前記固定温度で動作していることを確認するためのフィードバックを提供し、
前記熱電装置の前記熱挙動の変化を観察することが、前記固定温度で前記熱電装置を動作させるのに必要な前記電力の変化を観察することを含み、
前記プロセス流体からの前記堆積物のレベルを特性化することが、前記固定温度で前記熱電装置を動作させるのに必要な前記印加された電力の変化率を前記プロセス流体からの堆積物のレベルと関連付けることを含む、請求項16~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記熱電装置の前記熱挙動の変化を観察することが、前記温度制御モードで前記熱電装置を前記動作させることにより前記熱電装置の前記温度が変化する速度を測定することを含み、
前記プロセス流体から前記熱電装置への前記堆積物のレベルを特性化することが、前記熱電装置の前記温度が変化する前記速度を前記プロセス流体からの堆積物のレベルと関連付けることを含む、請求項16~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
経時的な前記熱電装置の前記温度変化を特性化することを行い、
前記経時的な前記熱電装置の温度変化を特性化することが、経時的な温度のデータを関数に当てはめることを含み、
当てはめられた前記関数が、第1の部分および第2の部分を有する二重指数関数を含み、
前記二重指数関数の前記第1の部分が、前記少なくとも1つの熱電装置と前記流体サンプルとの間に伝導される熱を表し、
前記二重指数関数の前記第2の部分が、前記少なくとも1つの熱電装置から他のシステム構成要素に伝導される熱を表し、
前記堆積物の程度を表す当てはめパラメータが、前記二重指数関数の前記第1の部分に存在し、前記二重指数関数の前記第2の部分には存在しない、請求項16~2のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
1つ以上の入力流体源から使用装置に向かってプロセス流体を流すために様々な流体流れシステムが配置されている。例えば、熱交換器表面に向かって流れる流体を使用して、熱交換表面に熱を伝達し、またはそこから熱を奪い、表面を動作温度に維持することができる。
【0002】
いくつかの例では、流体の構成、流体または使用装置の動作温度などの変化のような流体流れシステムの動作状態の変化は、プロセス流体からシステム構成要素への堆積物が形成される可能性に影響を与える可能性がある。使用装置上に形成される堆積物は、装置の性能および/またはその意図された目的に対する流体の効力に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、熱交換表面上に形成される堆積物は、熱交換表面を流体から絶縁するように作用し、流体が熱交換器と熱的に相互作用する能力を低下させる可能性がある。別の例では、流体輸送中に容器(例えば、パイプ)に堆積する流体からの沈殿物は、沈殿物が意図した目的地に到達せず、流体の流れを制限する可能性のある容器内の蓄積を引き起こす可能性がある。
【0003】
多くの場合、そのような沈殿物は、使用装置またはシステムの性能が注意を要する点まで低下したときにのみ検出される。例えば、熱交換器表面は、その熱交換表面上に形成される十分に大きな堆積物のために所望の温度を維持することができなくなる可能性がある。システムを正常な状態に復元するために、システムは、多くの場合、シャットダウン、分解、および清浄されなければならず、これは、費用および時間がかかるプロセスであり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示のある態様は、概して、堆積物のレベルを特性化するため、および/または流体流れシステム内に存在する堆積状態を検出するためのシステムおよび方法を対象とする。そのようなシステムの中には、システムを通って流れる流体と熱的連通をしている1つ以上の熱電装置を含めることができる。熱電装置(複数可)は、その温度を調整するために熱電装置(複数可)に電気エネルギーを提供し得る温度制御回路と連通することができる。測定回路は、各熱電装置(複数可)の温度を表す信号を測定するように構成され得る。例えば、いくつかの例では、熱電装置(複数可)の温度は、測定回路が熱電装置(複数可)の両端の電圧を検出し得るゼーベック効果を使用して判定され得る。他の例では、抵抗温度検出器(RTD)などの追加の構成要素を、熱電装置の温度測定を容易にするために、熱電装置(複数可)と熱平衡状態またはほぼ熱平衡状態に配設することができる。
【0005】
システムには、温度制御回路および測定回路の両方と通信するコントローラを含むことができる。コントローラは、各熱電装置(複数可)に電力を印加してその温度を制御し、測定回路を介して各熱電装置(複数可)の温度を判定するように配置され得る。いくつかのそのようなシステムでは、コントローラは、1つ以上の熱電装置に電力を印加して、各熱電装置を特性温度に維持するように構成されている。いくつかの例では、少なくとも1つの熱電装置は、システムで使用するための使用装置の動作温度よりも低い特性温度に維持されている。
【0006】
いくつかのシステムでは、コントローラは、1つ以上の各熱電装置について、定期的に熱電装置の温度を測定し、熱電装置の熱挙動の変化を観察し、観察された変化に基づいて、熱電装置への堆積物のレベルを特性化することができる。そのような特性評価は、例えば、堆積物が熱電装置に蓄積する可能性があるため、経時的な熱挙動の変化に基づいて実行され得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、熱電装置(複数可)における堆積物の特性化されたレベル(複数可)に基づいて、使用装置に関して堆積状態が存在するか否かを判定するように構成され得る。
【0007】
様々な実施形態では、熱電装置の挙動における変化を観察することは、様々な観察を含み得る。例示的な観察結果は、一定の電力が印加されたときに熱電装置によって達成される温度変化、熱電装置の温度変化率の変化、特定の温度を達成するために温度制御動作モードで印加される電力量などを含み得る。そのような特性は、流体から熱電装置上に形成する堆積物の影響を受ける可能性があり、熱電装置上の堆積物のレベルを特性化するために使用され得る。
【0008】
いくつかの例では、コントローラは、検出された堆積物および/または堆積状態に対処するために1つ以上の是正措置を開始することができる。例えば、システムを通って流れる流体に対する変化は、堆積物の形成を最小限に抑えるように調整することができる。このような変化には、堆積物形成を減少させるための分散剤または界面活性剤などの1つ以上の化学物質を添加すること、または堆積物形成に寄与する可能性がある特定の流体のシステムへの流入を停止することを含み得る。他の是正措置は、流体または使用装置動作温度などのシステムパラメータを変化させることを含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、そのような修正措置はシステムオペレータによって手動で実行され得る。例えば、いくつかのそのような例では、コントローラは、1つ以上の熱電装置の熱挙動の分析に基づいて、1つ以上の手動タスクを実行して堆積状態に対処するユーザに堆積状態の可能性を示すことができる。追加的または代替的に、そのような動作は、例えば、コントローラおよび他の機器、例えば1つ以上のポンプ、弁などを介して自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】流体流れシステム内の1つ以上の熱電装置の例示的な配設の実例である。
【0011】
図2】例示的な実施形態での熱電装置を動作させるためのシステムの概略図である。
【0012】
図3A】複数の熱電装置を動作させるための簡略化した電気回路図を示す。
図3B】複数の熱電装置を動作させるための簡略化した電気回路図を示す。
【0013】
図4A】測定動作モードでの単一の熱電装置の動作を示す概略図である。
図4B】測定動作モードでの単一の熱電装置の動作を示す概略図である。
【0014】
図5A】システム内の複数の熱電装置の動作の例示的な構成を示す。
図5B】システム内の複数の熱電装置の動作の例示的な構成を示す。
【0015】
図6A】熱電装置における堆積物のレベルを特性化するために使用され得る熱電装置の例示的な熱挙動を示す。
図6B】熱電装置における堆積物のレベルを特性化するために使用され得る熱電装置の例示的な熱挙動を示す。
図6C】熱電装置における堆積物のレベルを特性化するために使用され得る熱電装置の例示的な熱挙動を示す。
図6D】熱電装置における堆積物のレベルを特性化するために使用され得る熱電装置の例示的な熱挙動を示す。
図6E】熱電装置における堆積物のレベルを特性化するために使用され得る熱電装置の例示的な熱挙動を示す。
【0016】
図7】流体流れシステム内の使用装置上へのプロセス流体からの堆積物を軽減するための例示的なプロセスを示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
熱電装置は、電気信号に応答して温度を変化させることができる装置、および/または装置の温度に基づいて電気信号を生成する。このような装置は、装置自体または装置にごく近接した物体の温度を測定および/または変化させるために使用され得る。例えば、場合によっては、熱電装置からの電圧出力は、例えばゼーベック効果を介して、熱電装置の温度を示すことができる。したがって、熱電装置の温度を判定するために、熱電装置の両端の電圧を測定することができる。
【0018】
熱電装置を通って流れる電流は、熱電装置の温度に影響を与えるために使用され得る。例えば、いくつかの熱電装置では、装置を通って流れる電流は、電流の流れる方向に基づいて装置の温度を増減させる。すなわち、電流が装置を通って第1の方向に流れるときに装置を加熱し、電流が装置を通って逆方向に流れるときに装置を冷却することができる。したがって、異なる動作モードを介して、いくつかの熱電装置の温度は、それを通して電流を流すために装置に電力を印加することによって調整され得、また装置全体の電圧降下を測定することによって測定され得る。例示的な熱電装置には、ペルチェ素子、熱電冷却器などを含めるが、これらに限定されない。いくつかの例では、複数の熱電装置は、熱電装置によって達成可能な温度差を増加させるために直列に配置され得る。例えば、特定の熱電装置が2つの表面間で10℃の温度差を達成できる場合、直列に配置されたこのような2つの熱電装置は、表面間で20℃の温度差を達成し得る。一般に、本明細書で言及される熱電装置は、装置によって達成可能な温度差を増加させるために積層配置で動作する単一の熱電装置または複数の熱電装置を含めることができる。
【0019】
図1は、流体流れシステム内の1つ以上の熱電装置の例示的な配設の実例である。図示のように、熱電装置102a~102dは、プロセス流体を使用装置105に方向付けるように構成された流体流れシステム100内のプロセス流体の流路106内に位置決めされている。矢印108は、流体源から使用装置105に向かう流体の例示的な流路を示す。本明細書に記載されているように、プロセス流体は一般に、冷却水、ボイラー給水、復水、ブローダウン水、廃水、放流水、油、および油水混合物などのユーティリティ流体を含むがこれらに限定されない流体流れシステムを通って流れる任意の流体に関する。そのような例示的なプロセス流体は、様々な供給源(例えば、プロセスからの流出流、ボイラーブローダウン水、処理済み廃水、生産された水、淡水供給源など)から流体流れシステム100内に方向付けられ得る。いくつかの例では、単一の流体流れシステム100が様々な供給源から投入プロセス流体を受け取ることができる。いくつかのそのような例では、手動および/または自動弁または一連の弁を介するなどして、プロセス流体の供給源を選択することができる。いくつかの実施形態では、単一の流体供給源は、1つ以上の可能な入力供給源から選択され得る。代替の実施形態では、選択された複数の供給源からの流体が混合されて入力流体を形成するように、複数の流体供給源を選択することができる。いくつかの実装形態では、デフォルトの入力流体は、複数の利用可能な入力源のそれぞれからの流体の混合物で構成され、入力流体の構成は、1つ以上のそのような入力源のシステムへの流れをブロックすることによって調整できる。
【0020】
図1の例では、熱電装置102a~102dは、サンプルホルダ104に取り付けられた熱電装置のアレイとして示されている。いくつかの例では、サンプルホルダ104は、例えば熱電装置102a~102dの清掃、交換、または他のメンテナンスを容易にするために、流体流れシステム100の流路106から取り外し可能である。追加的または代替的に、1つ以上の熱電装置(例えば、サンプルホルダ上に位置決めされている)は、流体流れシステム100を通って使用装置105に流れる流体の構成に寄与する1つ以上の流体入力の流路内に位置決めされ得る。流体流れシステムは、例えば洗浄システム(例えば、食器洗浄、洗濯など)、食品および飲料システム、採鉱、エネルギーシステム(例えば、油井、精製所、パイプラインー上流および下流の両方、生産された水冷却器、冷却装置など)、エンジンの空気取入口を通る空気流、冷却塔またはボイラーなどの熱交換システム、パルプおよび製紙プロセスなどを含むプロセス流体が流れる任意のシステムであってもよい。矢印108は、熱電装置102を通過する流体の流れの方向を示しており、これは(例えば、ゼーベック効果を介して)使用装置105に向かう流体の温度をモニタするために使用され得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、流体流れシステムは、システムを通って流れる流体の1つ以上のパラメータを判定することができる1つ以上の追加のセンサ111(想像線で示される)を備える。様々な実施形態では、1つ以上の追加のセンサ111は、流速、温度、pH、アルカリ度、導電率、および/またはプロセス流体の1つ以上の成分の濃度などの他の流体パラメータを判定するように構成され得る。熱電装置102a~102dの下流に位置決めされた単一要素として示されているが、1つ以上の追加のセンサ111は、任意の数の個々の構成要素を含むことができ、熱電装置102a~102dと同じ流体をサンプリングしながら流体流れシステム100のどこにでも位置決めされ得る。
【0022】
図2は、例示的な実施形態での熱電装置を動作させるためのシステムの概略図である。図2の実施形態では、熱電装置202は、熱電装置202の温度を測定するように構成された測定回路210と通信している。いくつかの例では、測定回路210は、熱電装置の温度を判定するために熱電装置の両端の電圧の測定を容易にすることができる。例示的な一実施形態では、測定回路は、基準電圧(例えば、接地電位、精密電圧源、検出抵抗器を通じて電流を提供する精密電流源など)および差動増幅器を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、熱電装置の両端の電圧および基準電圧を増幅器に入力することができ、熱電装置の両端の電圧降下を判定するために増幅器の出力を使用することができる。いくつかの例では、測定回路210は、電圧計などのような電圧検知技術を含むことができる。
【0023】
追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、測定回路は、熱電装置202の温度を観察するための追加の構成要素を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、測定回路210は、熱電装置202に近接してまたは熱接触して位置決めされた抵抗温度検出器(RTD)などの温度センサを含むことができる。RTDの抵抗は、その温度と共に変化する。したがって、いくつかのそのような例では、測定回路210は、1つ以上のRTD、およびその温度を判定するためにRTDの抵抗を判定するための回路を含む。
【0024】
システムは、測定回路210と通信するコントローラ212を含み得る。コントローラ212は、マイクロコントローラ、プロセッサ、動作/実行命令を含むメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはシステム構成要素とインターフェースで接続するおよび相互作用することができる任意の他の装置を含み得る。例えば、コントローラ212は、1つ以上の入力を受信し、受信した1つ以上の入力に基づいて1つ以上の出力を生成することができ得る。様々な例では、出力は、(例えば、1つ以上のプロセッサで実行可能な)メモリにプログラムされた、(例えば、ASICなどで)構成要素の配置に従って事前にプログラムされた命令に従って実装された一組のルールに基づいて生成され得る。
【0025】
いくつかのそのような例では、システムは、熱電装置202の温度を判定するために、コントローラ212が測定回路210とインターフェースで接続することができる測定モードで動作することができる。いくつかの例では、コントローラは、測定回路210を介して熱電装置の両端の電圧の測定を開始し、熱電装置202の両端の電圧を表す測定回路210から信号を受信し、そして(例えば、ゼーベック効果を介して)測定された電圧に基づいて熱電装置の温度を判定することができる。追加的または代替的に、コントローラ212は、基準信号に対する電圧信号を受信することができる入力を含むことができる。いくつかのそのような例では、コントローラ212は、その間の電圧を判定するために熱電装置202と直接インターフェースで接続することができる。すなわち、いくつかの例では、測定回路210の機能をコントローラ212に統合することができる。したがって、様々な実施形態では、コントローラ212は、熱電装置202の温度を判定するために測定回路210および/または熱電装置202とインターフェースで接続することができる。
【0026】
図2のシステムは、コントローラ212および熱電装置202と通信する温度制御回路214をさらに備える。いくつかの例では、システムは、熱電装置202の温度を調整するために、コントローラ212が、温度制御回路214を介して熱電装置202に電力を印加することができる温度制御モードで動作することができる。例えば、温度制御回路214は、熱電装置202の温度を上昇させるために、電流を装置202を通って第1の方向に流すように電力を熱電装置202に印加することができる。同様に、温度制御回路214は、熱電装置の温度を下降させるために、電流を装置202を通って第1の方向とは反対の第2の方向に流すように電力を熱電装置202に印加することができる。したがって、いくつかの実施形態では、温度制御モードは、加熱モードおよび冷却モードを含むことができ、加熱モードと冷却モードとの違いは、熱電装置202を通って流れる電流の方向である。いくつかの実施形態では、温度制御回路214は、基準電位に対していずれかの極性で電力を提供するように構成されており、それにより、熱電装置202の加熱および冷却動作の両方を可能にする。追加的または代替的に、温度制御回路214は、加熱動作モードと冷却動作モードとの間の切り替えを容易にするために、熱電装置202の極性を切り替えるように構成されたスイッチを含むことができる。
【0027】
いくつかのそのような実施形態では、コントローラ212は、熱電装置202を通って流れる電流、したがって熱電装置202の温度を調整するために、熱電装置202に印加される電力量を調整またはそうでなければ制御することができる。様々な例では、印加電力を調整することは、電流、電圧、パルス幅変調(PWM)信号のデューティサイクルを調整すること、または熱電装置202に印加された電力を調整するための他の既知の方法を含み得る。
【0028】
いくつかの例では、コントローラ212は、温度制御回路214および測定回路210を介して熱電装置202と同時にインターフェースで接続することができる。いくつかのそのような例では、システムは、温度制御モードおよび測定モードで同時に動作することができる。同様に、そのようなシステムは、温度制御モードおよび測定モードで独立して動作することができ、熱電装置は、温度制御モード、測定モード、またはその両方で同時に動作することができる。他の例では、コントローラ212は、温度制御モードと測定動作モードとの間で切り替えることができる。追加的または代替的に、1つ以上の測定回路210および1つ以上の温度制御回路214を介して複数の熱電装置202と通信するコントローラは、そのような熱電装置を異なる動作モードで動作させることができる。様々なそのような例では、コントローラ212は、同じ動作モードまたは別々の動作モードで各熱電装置を動作させることができ、および/または、例えばシーケンスで各熱電装置を個別に動作させることができる。多くの実施形態が可能であり、そして本開示の範囲内である。
【0029】
図1に関して説明されたように、システムは、流体流れシステムを通って流れる流体の1つ以上のパラメータを判定するための1つ以上の追加のセンサ211を含み得る。そのような追加のセンサ211は、コントローラ212と有線または無線通信することができる。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ212は、流体流れシステム内に位置決めされた熱電装置202および追加のセンサ211の両方とインターフェースで接続するように構成され得る。
【0030】
図3Aおよび3Bは、複数の熱電装置を動作させるための簡略化された電気回路図を示す。図3Aは、電源314aおよび314bとそれぞれ通信している一対の熱電装置302aおよび302bを示す。電源314aおよび314bは、熱電装置302aおよび302bの温度をそれぞれ制御するための温度制御回路に含まれ得る。場合によっては、各電源314a、314bは、その対応する熱電装置302a、302bに電力を印加するように構成され得る。本明細書の他の場所で説明するように、いくつかの例では、電源(例えば、314a)は、電流を熱電装置を通っていずれかの方向に流すために、熱電装置(例えば、302a)にいずれかの極性で電力を提供することができる。電源314aおよび314bは、その温度を変化させるために、熱電装置302aおよび302bに電力を提供するようにそれぞれ構成され得る。いくつかの実施形態では、電源314aおよび314bは別個の電源である。他の例では、電源314aおよび314bは、例えば、熱電装置302aおよび302bに別々に電力を提供するための異なる出力チャネルを含む同じ電源であり得る。
【0031】
図3Aに示す例では、熱電装置302aおよび302bは、計器310aおよび310bとそれぞれ通信している。各計器は、コントローラ312aなどを介して、その対応する熱電装置302a、302bの両端の電圧の測定を容易にするように構成され得る。図示の例では、コントローラ312aは、計器310aおよび310bの両方と通信している。いくつかの例では、コントローラ312aは、計器310aおよび310bを介して熱電装置302aおよび302bの両端の電圧降下を判定することができる。いくつかのそのような例では、コントローラは、ゼーベック効果を介して、その間の電圧に基づいて、熱電装置302a、302bの各々の温度を判定することができる。
【0032】
図3Aの概略図によれば、コントローラ312aは、電源314aおよび314bと通信している。コントローラ312aは、熱電装置302aおよび302bの判定された温度に基づいて、電源314aおよび314bの動作を制御するようにそれぞれ構成され得る。いくつかの例では、コントローラ312aは、熱電装置の温度を測定し、熱電装置に関連する電源を制御することの両方を同時にできる。他の例では、コントローラ312aは、例えば、計器310a、310bを使用するゼーベック効果を介して、その温度を測定するために、電源314a、314bがそれぞれの熱電装置302a、302bに電力を印加するのを停止する。そのようなフィードバック制御を使用して、複数の熱電装置(例えば、302aおよび302b)の温度を、コントローラ312aを介して測定および制御の両方をすることができる。
【0033】
同様に、図3Bは、電源314aおよび314bとそれぞれ通信する一対の熱電装置302cおよび302dを示す。電源314cおよび314dは、図3Aに関して説明されるように、熱電装置302cおよび302dとインターフェースで接続するように構成され得る。図3Bの概略図は、熱電装置302cおよび302dに近接してそれぞれ位置決めされたRTD303cおよび303dを含む。各RTD303c、303dは、熱電装置の温度が変化しても、各RTDが、その対応する熱電装置とほぼ熱平衡状態にあるように、その対応する熱電装置に十分近くに位置決めされ得る。
【0034】
計器310cおよび310dは、コントローラ312bによるRTD303aおよび303bの抵抗の測定を容易にするようにそれぞれ構成され得る。RTD303c、303dの抵抗値は、RTD303c、303dの温度を判定するために使用され得、RTD303c、303dは熱電装置302c、302dと熱平衡状態にあるので、熱電装置302cおよび302dの温度を判定するために使用され得る。図3Aの実施形態と同様に、図3Bのコントローラ312bは、熱電装置302c、302dに印加される電力、したがって熱電装置302c、302dの温度を調整するために、電源314c、314dを制御するように使用され得る。
【0035】
図4Aおよび図4Bは、測定動作モードでの単一の熱電装置の動作を示す概略図である。図4Aに示す実施形態では、熱電装置402aは、接地440aと増幅器434aの第1の入力との間に結合されている。したがって、熱電装置402aの両端の電圧降下(例えば、ゼーベック効果に基づく熱電装置402aの温度に対応する)は、増幅器434aの第1の入力に印加される。
【0036】
電流源432aは、基準抵抗器416aを通って接地440aに流れる定電流を提供するように構成されている。電流源432aは、既知の電流を電流源432aから基準抵抗器416aを通って接地に提供するように構成され得る。電流源432aからの電流および基準抵抗器416aの抵抗が既知であるため、これらの値は、増幅器434aの第2の入力に印加される基準抵抗器416aの両端の電圧降下を判定するために使用され得る。この電圧降下は既知の値(すなわち、電流源432aからの電流および基準抵抗器416aの抵抗)に依存するため、増幅器434aの第2の入力に印加される電圧は、第1の入力(熱電装置402aの両端の電圧降下)が比較される基準電圧として機能する。いくつかの例では、基準抵抗器416aおよび/または電流源432aは、増幅器434aの第2の入力が接地440aであるように、省略されてもよい。
【0037】
増幅器434aの出力450aは、基準抵抗器416aの両端の既知の電圧降下と熱電装置402aの両端の電圧降下との間の差に関する情報を提供することができ、それは熱電装置402aの両端の電圧降下を判定するために使用され得る。したがって、いくつかの例では、図4Aに示す構成は、熱電装置の両端の電圧を測定するために図3Aの計器310aまたは310bとして機能するために使用され得る。
【0038】
本明細書の他の場所で説明するように、熱電装置402aの両端の判定された電圧降下は、例えばゼーベック効果を使用して、熱電装置402aの温度を判定するために使用され得る。図4Aの実施形態には示されていないが、いくつかの例では、熱電装置402aは、例えば、熱電装置を熱電装置のアレイから選択的に結合するスイッチの動作を介して、熱電装置のアレイから選択された単一の熱電装置である。
【0039】
図4Bの例示的な構成では、熱電装置402bは、その温度に影響を与えるために、熱電装置402bに電力を提供するように構成され得る温度制御回路414bと通信している。本明細書の他の場所で説明するように、いくつかの例では、温度制御回路414bは、熱電装置402bの温度変化をいずれかの方向にもたらすために、いずれかの極性の電力を熱電装置402bに提供するように構成され得る。
【0040】
図示の例では、RTD403bは、熱電装置402bの温度変化がRTD403bによって検出されるように、熱電装置402bに近接して位置決めされている。電流源430bは、RTD403bを通って接地440bに既知の電流を提供するように構成されている。電流源430bからの既知の電流は、電流が流れるRTD403bの温度に有意な影響を与えないように十分に小さくすることができる。電流源430bからの電流により、RTD403bの両端に電圧降下が生じ、これが増幅器434bの第1の入力に印加される。
【0041】
電流源432aは、基準抵抗器416aを通って接地440aに流れる定電流を提供するように構成されている。本明細書の他の場所に記載されるように、電流源432bからの既知の電流および基準抵抗器416bの既知の抵抗は、増幅器434bの第2の入力に印加される基準抵抗器416bの両端の電圧降下を判定するために使用され得る。図4Aを参照して説明したように、既知の値から計算されるため、増幅器434bの第2の入力に印加された電圧降下は、RTD403bの両端の電圧降下が比較され得る基準電圧として機能することができる。いくつかの例では、電流源432bおよび/または基準抵抗器416bは、増幅器434bへの第2の入力が効果的に接地されるように、削除されてもよい。
【0042】
増幅器434bの出力450bは、基準抵抗器416bの両端の既知の電圧降下とRTD403bの両端の電圧降下との間の差に関する情報を提供することができ、それはRTD403bの両端の電圧降下を判定するために使用され得る。RTD403bの両端の電圧降下は、電流源430bからの既知の電流に基づいてRTD403bの抵抗を判定するために使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、図4Bに示す構成は、図3Bの抵抗計器310cまたは310dとして使用され得る。RTD403bの判定された抵抗は、RTD403bの温度、したがってRTD403bに近接した熱電装置402bの温度を判定するために使用され得る。
【0043】
本明細書の他の場所で説明するように、いくつかの例では、システムは、温度制御モードで選択的に加熱および/または冷却され得る複数の熱電装置を含むことができる。複数の熱電装置の各々の温度は、例えば、測定動作モードで測定することができる。いくつかの例では、複数の熱電装置の各々は、同時におよび/または個別に加熱および/または冷却され得る。同様に、様々な例では、各熱電装置の温度は、同時におよび/または個別に測定され得る。図5Aおよび5Bは、システム内の複数の熱電装置の動作のための例示的な構成を示す。
【0044】
図5Aは、熱電装置のアレイの動作構成を示す例示的な概略図である。図示の実施形態では、熱電装置502aおよび502bは、測定回路510aおよび温度制御回路514a、例えば電源515aを介してコントローラ512aと通信している。いくつかの例では、電源515aは、熱電装置502aおよび502bに電力を提供することができる。いくつかのそのような例では、電源515aは、いずれの極性でも電力を提供することができる。追加的または代替的に、温度制御回路514aは、電源515aから熱電装置502a、502bに提供された電力の極性の変化を容易にするスイッチ(図示せず)を含むことができる。
【0045】
温度制御動作モード中、コントローラ512aは、温度制御回路514aに、熱電装置の温度を調整するために1つ以上の熱電装置502a、502bに電力を提供させることができる。図5Aの例では、電源515aは、一対のチャネルAおよびBを含み、各チャネルは、一対の熱電装置内のそれぞれの熱電装置502aおよび502bに対応している。電源515aの各チャネルは、その対応する熱電装置502a、502bと通信している。いくつかの例では、増幅段(図示せず)は、それぞれの熱電装置502a、502bに印加される信号を生成するために電源515aからの信号を修正するように構成され得る。例えば、いくつかの例では、増幅段は、熱電装置502aに安定した電力を提供するために、例えばLRCフィルタを介して電源515aからのPWM信号をフィルタリングするように構成されている。追加的または代替的に、増幅段は、熱電装置502aの温度を望ましく変化させるために、電源515aからの信号を効果的に増幅することができる。
【0046】
本明細書の他の場所で説明するように、いくつかの実施形態では、温度制御回路514aは、加熱および冷却動作モードで動作することができる。いくつかの例では、温度制御回路514aは、接地540aに対していずれかの極性で電力を提供することができる。いくつかのそのような例では、電流は、印加電力の極性に応じて、熱電装置502a、502bのうちの1つ以上を通って温度制御回路514aから接地540aまたは接地から温度制御回路514aに流れることができる。追加的または代替的に、温度制御回路は、熱電装置502a、502bのうちの1つ以上に印加された電力の極性を反転させるように構成された1つ以上のスイッチング素子(図示せず)を含み得る。例えば、いくつかのそのような実施形態では、電源515aは、1つ以上の熱電装置502a、502bに印加する電力の大きさ(例えば、電流の大きさ)を確立するために使用され得る。1つ以上のスイッチング素子は、熱電装置502a、502bに電力が印加される極性(例えば、そこを流れる電流の方向)を調整するために使用され得る。
【0047】
例示的な温度制御動作では、コントローラは、電源515aに信号を送り、熱電装置502aの温度を調整(例えば、低下)する。コントローラ512aは、電源515aに、チャネルAから熱電装置502aに向かって電気信号を出力させることができる。デューティサイクル、大きさなどのような電気信号の態様は、所望の温度調整(例えば、冷却)効果を満たすために、コントローラ512aによって調整され得る。同様の温度調整(例えば、冷却)動作は、熱電装置502a、502bのいずれかまたはすべてに対して同時に実行され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ512aは、各熱電装置が異なる動作温度に設定(例えば、冷却)されるように、複数の熱電装置502a、502bの各々の温度調整(例えば、冷却)動作を制御することができる。
【0048】
本明細書の他の場所に記載されるように、コントローラ512aは、測定回路510aを介して1つ以上の熱電装置502a、502bとインターフェースで接続することが可能であり得る。いくつかのそのような例では、コントローラ512aは、測定回路510aを介して、熱電装置502a、502bの温度の測定値を判定することができる。熱電装置の両端の電圧はその温度に依存しているため、いくつかの例では、コントローラ512aは、例えばゼーベック効果を介して、熱電装置502a、502bの両端の電圧を判定し、そこから温度を判定するように構成され得る。
【0049】
複数の熱電装置502a、502bのうちの所望の1つの両端の電圧降下を測定するために、測定回路510aは、熱電装置502aおよび502bにそれぞれ対応するチャネルAおよびBを有するスイッチ522を含む。コントローラ512aは、所望の熱電装置に応じて、それぞれのチャネルAおよびBのいずれかから信号を送信するようにスイッチ522に指示することができる。スイッチ522の出力は、所望の熱電装置の両端の電圧、したがってその温度を示す信号を受信するためにコントローラ512aに方向付けられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、スイッチ522の出力は、接地に接続しないか、そうでなければ高インピーダンスを有する。したがって、熱電装置(例えば、502a)を通って流れる電流は、熱電装置を通って接地540aに流れるだけであり、スイッチ522を通ることはない。
【0050】
熱電装置(例えば、502a)の両端の電圧は、接地540aに関してスイッチ522のそれぞれの入力チャネル(例えば、チャネルA)に存在し、コントローラ512aによる受信のためにそこから出力され得る。いくつかの例では、コントローラ512aに直接印加される代わりに、スイッチ522の出力における熱電装置(例えば、502a)の両端の電圧は、電圧を測定するために差動増幅器534aの第1の入力に印加され得る。増幅器534aは、例えば、結果として得られる増幅信号をコントローラ512aに出力する前に、スイッチ522の出力における電圧を基準電圧(例えば、接地540a)と比較するために使用され得る。したがって、本明細書で説明されるように、コントローラ512aによって受信するためにスイッチ522から出力された信号は、コントローラ512aによって直接受信されることができるが、そうである必要はない。むしろ、いくつかの実施形態では、コントローラ512aは、接地540aに応答して、スイッチ522からの出力信号に基づいて増幅器534aからの出力信号など、スイッチ522の出力における信号に基づく信号を受信することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、コントローラ512aは、所望の熱電装置が分析されているようにスイッチ522を動作させることができる。例えば、図5Aの例示的な例に関して、コントローラ512aは、差動増幅器534aに存在する電圧がスイッチ522を介して熱電装置502aの両端の電圧であるように、チャネルA上のスイッチ522を動作させることができる。
【0052】
複数の熱電装置502a、502bがスイッチ522の異なるチャネルと通信している図5Aに示すような例示的な構成では、コントローラ512aは、熱電装置502a、502bの各々の温度測定を実行するために、スイッチ522の動作チャネルを切り替えるように作用することができる。例えば、例示的な実施形態では、コントローラは、それぞれの熱電装置502a、502bの各々の温度測定を実行するために、それぞれのスイッチ522チャネルを通じて循環することができる。
【0053】
本明細書の他の場所で説明されるように、いくつかの例では、コントローラ512aは、1つ以上の熱電装置の温度調整動作を制御することができる。いくつかのそのような実施形態では、コントローラ512aは、スイッチ522を介して熱電装置の温度を測定する前に、熱電装置の温度の調整を停止する。同様に、温度制御回路514aを介して熱電装置の温度を調整するときに、コントローラ512aは、スイッチ522内のその熱電装置に関連するチャネル(複数可)をオフにすることができる。いくつかの実施形態では、個々の各熱電装置に対して、コントローラ512aは、温度調整モードと測定動作モードとの間を切り替えるために温度制御回路514aおよび測定回路510a(スイッチ522を含む)を使用することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、コントローラ512aは、複数の熱電装置(例えば、502a、502b)に関連する信号を同時に受信するために複数の入力を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スイッチ522は、1つ以上の熱電装置(例えば、502a、502b)をコントローラ512aに選択的に結合するために複数の出力(例えば、双極、単投スイッチまたは双極、双投スイッチ)を含むことができる。いくつかのそのようなシステムでは、複数の差動増幅器(例えば、534)は、コントローラ512aに通信するために、接地に関してスイッチ522からの各出力信号を増幅するために使用され得る。他の例では、コントローラ512aは、複数の入力を介して同時に複数の熱電装置(例えば、502a、502b)と直接インターフェースで接続することができる。いくつかのそのような例では、スイッチ522および/または増幅器534aはなくてもよい。
【0055】
本明細書の他の場所で述べたように、いくつかの実施形態では、測定回路(例えば、510)は、熱電装置502c、502dの温度を測定するために追加の構成用を含むことができる。図5Bは、追加の温度測定装置を含む熱電装置のアレイの動作構成を示す例示的な概略図である。図5Bの例示的な実施形態は、図5Bに示すように、熱電装置502c、502d、および関連するRTD503c、503dをそれぞれ含む。熱電装置502c、502dの動作(例えば、加熱および/または冷却)は、図5Aの温度制御回路514aおよび電源515aに関して上述したものと同様の温度制御回路514b(例えば、電源515bを含む)を介して実行され得る。
【0056】
測定回路510bは、熱電装置502cおよび502dにそれぞれ関連付けられたRTD503c、503dを含むことができる。いくつかのそのような例では、RTD503c、503dは、各503c、503dが、その対応する熱電装置502c、502dと熱平衡状態にある、または熱平衡状態に近いように、それらの対応する熱電装置502c、502dの十分近くに位置決めされている。したがって、RTD503c、503dの抵抗値は、例えば、各RTD503c、503dの抵抗を判定することによって、熱電装置502c、502dの温度を判定するために使用され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、コントローラ512bは、測定回路510b内の他の構成要素を介して1つ以上のRTD503c、503dとインターフェースで接続することができ得る。いくつかのそのような例では、コントローラ512bは、測定回路510b内の構成要素を介して、RTD503c、503dの温度(したがって、熱電装置502c、502dの温度)の測定値を判定することができる。RTDの抵抗はその温度に依存するため、いくつかの例では、コントローラ512bは、RTD503c、503dの抵抗を判定し、そこからRTD503c、503dの温度を判定するように構成され得る。図示の実施形態では、測定回路510bは、1つ以上のRTD503c、503dを通って接地540bに所望の電流を提供することができる電流源530b(例えば、精密電流源)を含む。そのような一実施形態では、RTD503c、503dの両端の電圧の測定値は、RTD503c、503dの抵抗、したがって温度を計算するためにそこを通って流れる既知の精密電流と組み合わせることができる。いくつかの例では、電流源530bからRTDに提供される電流は、RTDを通って流れる電流が、RTDの温度または関連する熱電装置の温度を実質的に変化させないように、(例えば、マイクロアンペア範囲で)十分に小さい。
【0058】
RTD503cおよび503dなどの複数のRTDを含む構成では、コントローラ512bは、様々な方法で各RTD503c、503dとインターフェースで接続することができる。図5Bの例示的な実施形態では、測定回路510bは、コントローラ512b、電流源530b、およびRTD503c、503dと通信しているマルチプレクサ524を含む。コントローラ512bは、RTDのうちの1つ(例えば、503c)の両端の電圧の測定が望まれるときに、マルチプレクサ524が電流源530bからの電流を所望のRTD(例えば503c)に方向付けるようにマルチプレクサ524を動作させることができる。図示のように、図5Bの例示的なマルチプレクサ524は、RTD503cおよび503dとそれぞれ通信しているチャネルAおよびBを含む。したがって、RTD503c、503dのうちの特定の1つの温度を測定するとき、コントローラ512bは、その間で電圧降下を引き起こすために、電流を電流源530bからマルチプレクサ524の適切なチャネルを通って、そして所望のRTD503c、503dを通って接地540bに供給することができる。
【0059】
図示の例では、複数のRTD503c、503dのうちの所望の1つの両端の電圧降下を測定するために、測定回路510bは、RTD503c、503dにそれぞれ対応するチャネルAおよびBを有するデマルチプレクサ526を含む。コントローラ512bは、所望のRTDに応じてチャネルAまたはBのいずれかから信号を送信するようにデマルチプレクサ526に指示することができる。デマルチプレクサ526の出力は、RTD503c、503dのうちの1つの両端の電圧降下を表し、抵抗、したがってRTDの温度を示す信号を受信するために、コントローラ512bに方向付けられ得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、デマルチプレクサ526の出力は、接地に接続しないか、そうでなければ高インピーダンスを有する。したがって、それぞれのマルチプレクサ524のチャネル(例えばチャネルA)を介してRTD(例えば503c)に流れる電流は、RTDを通って流れるだけである。RTD(例えば503c)の両端に生じる電圧は、デマルチプレクサ526のそれぞれの入力チャネル(例えばチャネルA)に同様に存在し、コントローラ512bによる受信のためにそこから出力することができる。いくつかの例では、コントローラ512bに直接印加される代わりに、デマルチプレクサ526の出力におけるRTD(例えば503c)の両端の電圧は、電圧を測定するために差動増幅器534bの第1の入力に印加され得る。増幅器534bは、例えば、結果として得られる増幅をコントローラ512bに出力する前に、デマルチプレクサ526の出力における電圧を基準電圧と比較するために使用され得る。したがって、本明細書で説明されるように、コントローラ512bによって受信するためにデマルチプレクサ526から出力された信号は、コントローラ512bによって直接受信されることができるが、そうである必要はない。むしろ、いくつかの実施形態では、コントローラ512bは、デマルチプレクサ526からの出力信号に基づく増幅器534bからの出力信号のような、デマルチプレクサ526の出力における信号に基づく信号を受信することができる。図5Aに関して説明した例と同様に、いくつかの実施形態では、コントローラ512bは、複数の入力を含むことができ、複数のRTD(例えば、503c、503d)の各々の両端の電圧降下および/または抵抗を表す信号を同時に受信することができる。
【0061】
いくつかの例では、測定回路510bは、第2の電流源532bと接地540bとの間に位置決めされた基準抵抗器516を含むことができる。電流源532bは、基準抵抗器516を介して既知の抵抗値の一定の既知の電流を接地に提供することができ、基準抵抗器516の両端に一定の電圧降下を生じさせる。定電圧は、電流源532bからの既知の電流および基準抵抗器516の既知の抵抗に基づいて計算することができる。いくつかの例では、基準抵抗器516は、RTD503c、503dに近接したセンサヘッド内に位置付けられ、RTD503c、503dと同様に配線されている。いくつかのそのような実施形態では、ワイヤの未知の抵抗による未知の電圧降下はすべて基準抵抗器516に対するものであり、任意のRTD503c、503dはほぼ等しい。図示の例では、基準抵抗器516は一方で接地540bに結合され、他方で差動増幅器534bの第2の入力に結合されている。したがって、基準抵抗器516と組み合わせた電流源532bは、差動増幅器534bの第2の入力に(例えば、基準抵抗器516に起因して、配線に起因する可変電圧に)既知の電圧および定電圧を提供するように作用することができる。したがって、いくつかのそのような例では、差動増幅器534bの出力は配線抵抗の影響を受けず、コントローラ512bに供給することができる。
【0062】
図示の実施形態に示し、本明細書で説明するように、差動増幅器534bは、一方の入力でデマルチプレクサ526の出力からRTD(例えば、503c)の両端の電圧と、他方の入力で基準抵抗516の両端の基準電圧とを受け取ることができる。したがって、差動増幅器534bの出力は、RTDの両端の電圧降下と基準抵抗器516の両端の既知の電圧降下との間の電圧差を示す。差動増幅器534bの出力は、最終的にRTD(例えば、503c)の温度を判定するためにコントローラ512bによって受信され得る。例示的な測定回路が図5Bに示されているが、RTDの温度を測定することは、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の様々な方法で実行され得ることが理解されるであろう。例えば、RTDの両端の電圧降下は、アナログ入力信号としてコントローラ512bによって直接受信され得る。追加的または代替的に、既知のキャパシタンスC、およびRTDの抵抗である抵抗Rを有するRC回路の緩和時間は、RTDの抵抗を判定するために使用され得る。いくつかのそのような例では、そのような測定は、基準(例えば、基準抵抗器516)を使用せずに任意のワイヤの任意の抵抗効果を排除することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、コントローラ512bは、どのRTDが分析されているかが分かるように、マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526を協調して動作させることができる。例えば、図5Bの例示的な例に関して、コントローラ512bは、電流源530bからの電流が、デマルチプレクサ526を介して差動増幅器534bと通信している同じRTD503cを通って流れるように、チャネルA上でマルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526を動作させることができる。
【0064】
複数のRTD503c、503dが、マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526の異なるチャネルと通信している図5Bに示すような例示的な構成では、コントローラ512bは、RTD503c、503dの各々の温度測定を実行するために、マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526の動作チャネルを切り替えるように作用することができる。例えば、例示的な実施形態では、コントローラは、それぞれのRTD503c、503dの各々の温度測定を実行するために、それぞれのマルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526のチャネルを通じて循環することができる。
【0065】
本明細書の他の場所で説明するように、いくつかの例では、コントローラ512bは、1つ以上の熱電装置(例えば502c、502d)の温度調整動作を制御することができる。様々な実施形態では、コントローラ512bは、マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526を介して、対応するRTDの温度を測定する前に、熱電装置への電力の印加を継続または停止することができる。同様に、温度制御回路514bを介して熱電装置に電力を印加すると、コントローラ512bは、マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526内のその熱電装置に関連するチャネル(複数可)をオフにすることができる。いくつかの実施形態では、個々の各熱電装置に対して、コントローラ512bは、別個の温度制御と測定動作モード間を切り替えるために、温度制御回路514bおよび測定回路510b(マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526を含む)を使用することができる。
【0066】
図5Aおよび5Bの例示的な例では、2つの熱電装置(502c、502d)を含むが、他の実施形態では、任意の数の熱電装置を使用できることが理解されよう。いくつかの例では、デマルチプレクサ526および/またはマルチプレクサ524は、熱電装置のアレイで動作する熱電装置(およびいくつかの例ではRTDなどの対応する温度感知素子)と少なくとも同じ数の動作チャネルを含むことができる。コントローラ512bは、熱電装置の各々を所望の温度に個別に加熱または冷却するために熱電装置に電力を印加するように構成され得る。いくつかの例では、コントローラは、熱電装置の温度をモニタするために、熱電装置または対応するRTDとインターフェースで接続することができる。
【0067】
図1に戻って参照すると、複数の熱電装置102a~102dは、流体流れシステム内のプロセス流体の流路に配置され得る。場合によっては、プロセス流体は、流路106の壁などの様々な流体流れシステム構成要素の堆積物(例えばスケール、バイオフィルム、アスファルテン、ワックス堆積物など)を形成する成分、センサ、プロセス機器(例えば、プロセス流体が流れる使用装置105)などを含むことができる。いくつかの例では、流体流路内の熱電装置102a~102d上に形成される堆積物は、熱電装置とプロセス流体との間の絶縁層として作用する可能性があり、これは熱電装置の熱挙動に影響を及ぼす可能性がある。
【0068】
したがって、いくつかの例では、流体流路内の1つ以上の熱電装置の熱挙動を観察することによって、熱電装置(例えば、102a~102d)に存在する堆積物のレベルに関する情報を提供することができる。図6A図6Eは、熱電装置における堆積物のレベルを特性化するために使用され得る熱電装置の例示的な熱挙動を示す。
【0069】
図6Aは、熱電装置とプロセス流体との間の温度差(ΔT)の大きさ、および熱電装置に印加される電流対時間の大きさのプロットを示す。図示の例では、電流は、熱電装置に印加される(例えば、図5Aの温度制御回路514aのチャネルAを介して熱電装置502aに印加された平滑化されたDC電流)。様々な例では、電流の方向によって、熱電装置の温度がプロセス流体の温度から逸脱する可能性がある(ΔTの大きさを増大させる)。例えば、場合によっては、負の電流が原因で熱電装置の温度がプロセス流体の温度に対して低下する可能性がある。
【0070】
図示の実施形態では、大きさIを有する電流は熱電装置に印加され、その結果、プロセス流体の温度からΔT0の温度差が生じる。時間tにおいて、電流は除去(または大きさが減少)され、熱電装置の温度はバルク流体温度に向かって傾斜し始める(ΔT=0)。つまり、熱電装置とプロセス流体との温度差はゼロに向かって減衰する。図示の例では、清浄な(実線)および汚れた(破線)の両方の熱電装置の温度プロファイルが示されている。各熱電装置は、プロセス流体の温度から離れた温度ΔTになるが(必ずしも同じ温度になるとは限らない)、汚れた熱電装置上の堆積物は、熱電装置とプロセス流体との間の熱絶縁を提供するため、清浄な熱電装置の温度は、汚れた(コーティングされた)熱電装置よりも速くプロセス流体の温度に向かって傾斜する。すなわち、清浄な熱電装置の温度差ΔTは、汚れた熱電装置よりも速くゼロに向かって減衰する。いくつかの実施形態では、温度差の減衰プロファイルは、熱電装置上に存在する堆積物の量を判断するために分析され得る。
【0071】
例えば、図2を参照すると、コントローラ212は、温度制御回路214を介して熱電装置202の温度を調整することができる。いくつかの例では、コントローラ212は、測定回路210を介して熱電装置202の温度を測定するために測定モードに定期的に切り替えることができる。時間tにおいて、コントローラ212は、温度制御回路214を介して熱電装置202への電力の印加を中止し、熱電装置とプロセス流体との間の温度差ΔTが、プロセス流体によりゼロに向かって減衰するにつれて測定回路210を介して熱電装置202の温度をモニタするために測定モードに切り替わる。熱電装置202とプロセス流体との間の温度差ΔTの減衰プロファイルは、測定回路210を介してコントローラ212によってモニタされ得る。いくつかの例では、コントローラ212は、熱電装置202上の堆積物のレベルを判定するために温度変化プロファイル(例えば、ゼロに向かうΔTの減衰)を分析するように構成されている。例えば、コントローラ212は、減衰プロファイルを時定数を有する指数関数のような関数に当てはめることができる。いくつかのそのような例では、当てはめパラメータは、堆積物のレベルを判定するために使用され得る。
【0072】
例示的な実施形態では、経時的な温度減衰プロファイルは二重指数関数に当てはめることができる。例えば、場合によっては、二重指数関数的減衰モデルの第1の部分は、流れシステムを通って流れるプロセス流体による温度変化を表すことができる。二重指数関数的減衰モデルの第2の部分は、加熱された熱電装置からワイヤ、サンプルホルダ(例えば、図1の104)または他の構成要素などの他の構成要素への温度伝導度を表すことができる。いくつかのそのような実施形態では、二重指数関数当てはめ関数は、同じ関数内で両方の熱伝導源を独立して表すことができ、そのような温度変化の相対量およびタイミングを反映するように重み付けすることができる。いくつかのそのような例では、二重指数関数的減衰モデルの第1の部分における当てはめパラメータは、流体とインターフェースで接続する熱電装置の表面上の堆積物のレベルを表す。したがって、いくつかのそのような実施形態では、指数関数の第2の部分は、特性化されたレベルの堆積物に寄与しない。そのような二重指数関数に加えてまたはその代わりに他の当てはめ関数を使用することができることが理解されよう。
【0073】
場合によっては、熱電装置がプロセス流体と平衡状態に達することができ、その後温度変化が止まると、堆積物を特性化する際に特定の当てはめ関数を使用することが歪められる可能性がある。したがって、様々な実施形態では、コントローラ212は、熱電装置が熱平衡状態に達する前に熱電装置の加熱または冷却を再開し、および/または熱電装置がプロセス流体と平衡状態に達する前に、収集された温度データを熱電装置の熱プロファイルと関連付けることを停止する。そうすることで、定常状態のデータが熱電装置の熱プロファイルの分析を不必要に変更することを防止する。他の実施形態では、当てはめ関数は、当てはめ関数を歪めることなく、熱電装置の温度とプロセス流体の温度との平衡状態を考慮することができる。いくつかのそのような実施形態では、そのような温度平衡状態を考慮するために、当てはめ関数の種類および/または当てはめ関数における重み付け係数を使用することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、清浄な熱電装置と汚れた熱電装置との間のΔT減衰プロファイルの差は、汚れた熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。清浄な熱電装置のΔT減衰プロファイルは、メモリから呼び戻され得るか、堆積物がないことが分かっている熱電装置から判定され得る。いくつかの例では、時定数などの当てはめパラメータは温度に依存しないことがある。したがって、いくつかのそのような実施形態では、清浄かつ汚れた熱電装置は、それらのΔT減衰プロファイルの態様を比較するためにプロセス流体に対して同じ温度にする必要はない。
【0075】
図6Bは、熱電装置の温度と熱電装置に印加された電流対時間のプロットを示している。図示の例では、負の電流が熱電装置に印加され(例えば、図5Aの温度制御回路514aのチャネルAを介して熱電装置502aに印加される平滑DC電流)、熱電装置をプロセス流体の温度Tよりも低い温度Tで動作させる。
【0076】
時間tにおいて、電流は除去(または大きさが減少)され、熱電装置の温度はバルク流体温度T0に向かって上昇し始める。図示の例では、清浄な(実線)および汚れた(破線)の両方の熱電装置の温度プロファイルが示されている。清浄なおよび汚れた熱電装置は、T未満の温度に各々冷却されるが、汚れた熱電装置上の堆積物は、熱電装置とプロセス流体との間の熱絶縁を提供するため、清浄な熱電装置は、汚れた(コーティングされた)熱電装置よりも速くT0に温まる。本明細書の他の場所で述べたように、いくつかの実施形態では、温度プロファイル(例えば、温度上昇プロファイル)は、熱電装置上に存在する堆積物の量を判定するために分析され得る。図示された例は、同じ温度Tに冷却された清浄なおよび汚れた熱電装置を示しているが、熱電装置は一般に、温度プロファイルを分析する、または堆積物の量を判定するたびに、同じ温度(例えば、T)に冷却される必要はないことが理解されるであろう。
【0077】
図6Cは、熱電装置の温度T対時間のプロットを示している。図示の例では、熱電装置は、温度をモニタしながら、定常状態条件(例えば、プロセス流体との熱平衡状態)から冷却される。温度が加熱または冷却状態から平衡状態温度に戻っている図6Aおよび図6Bの温度モニタリングとは対照的に、熱電装置の温度は、冷却プロセス中にモニタされる。すなわち、熱電装置の温度をモニタリングすることは、熱電装置の温度を下降させるときに実質的に同時に実行される。したがって、いくつかの実施形態では、図6Cに示すようなプロットを達成するために、熱電装置は、温度制御モードから測定モードに素早く切り替えられ、プロセス流体による測定中に熱電装置の温度が大幅に変化しない間、ほぼ瞬時の温度測定を実現するために温度制御モードに戻ることができる。そのような手順では、熱電装置の温度は、温度制御回路を介して下降され得、経時的な熱電装置の冷却プロファイルを判定するために測定回路を介して定期的にサンプリングされ得る。他の例では、図5Bに示すような構成を用いることができ、例えば、熱電装置(例えば、502c)が、熱電装置(例えば、502c)の温度が別個の構成要素(例えば、RTD503c)によって同時にモニタされている間に冷却され得る。
【0078】
温度対時間のプロットとして示されているが、図6Cは、熱電装置とプロセス流体の温度間の温度差(またはその絶対値)対時間のプロットとして同様に表すことができることが理解されよう。例えば、熱電装置とプロセス流体間の温度差の絶対値(|ΔT|)対時間のプロットは、データが0から始まることを除いて、図6Cのプロットと同様の形状になり(すなわち、熱電装置はプロセス流体と熱平衡状態にあり)、温度がプロセス流体の温度から逸脱すると上昇する。次に、このプロット(|ΔT|対時間)は、熱電装置がプロセス流体に対して加熱または冷却されているか否かに関係なく、同様の形状を有する。
【0079】
上記の図6Aおよび図6Bと同様に、図6Cのプロットには、2つの曲線が含まれており、1つは清浄な熱電装置(実線)を表し、もう1つは汚れた熱電装置(破線)を表している。図示のように、汚れた熱電装置上の堆積物は熱電装置をプロセス流体の平衡効果から絶縁するため、汚れた熱電装置は清浄な熱電装置よりもはるかに速く温度を変化させる。したがって、いくつかの例では、熱電装置の温度変化プロファイルは、例えば、温度プロファイルを関数に当てはめることにより、熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、熱電装置の温度変化に関する特性を観察するのではなく、必要な量の電力を熱電装置に印加することにより、熱電装置を固定動作温度に上昇させることができる。図6Dは、経時的に熱電装置を一定温度に維持するのに必要な電力のプロットを示す。図示のように、熱電装置およびプロセス流体が平衡状態に達するときに、清浄な熱電装置(実線)を一定温度に維持するために必要とされる電力は、経時的に比較的一定のままである。しかしながら、(汚れた熱電装置を表す破線で示すように)熱電装置上に堆積物が形成されると、堆積物の断熱特性が熱電装置をプロセス流体の平衡効果を遮蔽する。したがって、経時的に堆積物が形成されるにつれて、プロセス流体の温度とは異なる一定温度を維持するために熱電装置に印加されるのに必要な電力は少なくなる。
【0081】
図5Aを参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ512aは、温度制御回路514aを介して熱電装置(例えば、502a)の温度を調整するように構成されている。コントローラ512aは、温度制御回路動作514aにフィードバックを提供する方法として、測定回路510aを介して熱電装置(例えば、502a)の温度を定期的に測定することができる。すなわち、コントローラ512aは、測定回路を介して熱電装置(例えば、502a)の温度を判定し、それに応じて熱電装置における所望の温度を達成し、かつ維持するために、温度制御回路514aを介して熱電装置(例えば、502a)に印加された電力を調整することができる。いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、温度測定中に熱電装置の温度が著しく変化しないように、温度制御モードと測定モードとの間を行ったり来たりして素早く切り替える。様々な例では、コントローラ512aは、例えば、コントローラ512aによって制御された温度制御回路514aの1つ以上の構成要素から印加される大きさ、デューティサイクル、または他のパラメータを介して、熱電装置(例えば、502a)に印加される電力量を判定することができる。
【0082】
他の例では、図5Bを参照すると、熱電装置の温度が別個の構成要素(例えば、RTD503cおよび測定回路510b)を介して測定されている間に、温度制御回路514bを介して熱電装置(例えば、502d)に電力を絶えず印加することができる。コントローラ512bは、熱電装置502cの温度を維持するために必要な電力を調整するためのフィードバック信号として測定回路510bから受信したデータを使用することができる。
【0083】
いくつかの例では、熱電装置を固定温度に維持するのに必要な電力量は、清浄な熱電装置を固定温度に維持するのに必要とされる電力と比較される。比較は、熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。追加的または代替的に、経時的に熱電装置を固定温度に維持するのに必要な電力のプロファイルは、熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。例えば、熱電装置を固定温度に維持するのに必要な電力の変化率は、堆積物の堆積速度を示すことができ、それは一定時間後の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。
【0084】
別の実施形態では、温度制御回路を介して熱電装置に一定量の電力を印加し、熱電装置の結果として生じる温度を観察することにより、熱電装置を温度制御モードで動作させることができる。例えば、例示的な動作中に、コントローラは、温度制御回路を介して熱電装置に一定電力を提供し、測定回路を介して熱電装置の温度を定期的に測定することができる。温度制御モード(一定電力を印加する)から測定モード(温度を測定する)への切り替え、および温度制御モード(一定電力を印加する)への戻りは、熱電装置の温度が温度測定中に著しく変化しないように素早く行われ得る。あるいは、図5Bに関して上述した動作構成と同様に、一定電力は、熱電装置の温度が、例えばRTDを介して連続的にモニタされている間に、熱電装置に印加され得る。
【0085】
図6Eは、温度制御回路を介して一定電力が印加される熱電装置の温度対時間のプロットである。清浄な熱電装置(実線)の場合、印加された一定電力から結果として得られる温度は経時的にほぼ一定である。しかしながら、汚れた熱電装置(破線)の温度は経時的に変化する。いくつかの熱電装置の温度変化の方向は、装置に印加される電力の極性に依存する。図示の例では、例えば、熱電装置の温度を低下させる方向に熱電装置に電力を印加することにより、汚れた熱電装置の温度は経時的に低下する。本明細書の他の場所に記載されているように、熱電装置上に堆積物が形成されると、堆積物は熱電装置をプロセス流体の冷却効果から絶縁する。一般に、より厚い堆積物はより大きな絶縁特性をもたらし、したがって熱電装置に同じ電力を印加することによって、プロセス流体の温度からのより大きな温度偏差が達成される。本明細書の他の場所で説明されている例と同様に、バルクプロセス流体の温度との温度差(ΔT)またはその絶対値(|ΔT|)の同様の分析は、経時的に同様に分析され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、一定電力が各々に印加されたときの清浄な熱電装置と試験中の熱電装置との間の温度差は、試験中の熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。追加的または代替的に、一定印加電力に基づく温度上昇速度は、熱電装置上の堆積物の堆積速度に関する情報を提供することができ、それは熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。
【0087】
図6A図6Eを参照すると、熱電装置上の堆積物を特性化するための様々なプロセスが記載されている。そのようなプロセスは、一般に、温度制御回路を介して熱電装置の温度を変化させ、測定回路を介して熱電装置の温度を測定することを含む。本明細書の他の場所で説明するように、熱電装置の温度は、直接測定され得、またはいくつかの実施形態では、RTDなどの別の装置を介して測定され得る。熱電装置の熱挙動の変化(例えば、温度上昇または減衰プロファイル、所定の温度に達するために必要な印加電力、所定の印加電力で達成される温度)は、熱電装置上に堆積物が形成される証拠を提供する。いくつかの例では、そのような変化は、熱電装置上の堆積物のレベルを判定するために使用され得る。
【0088】
様々な実施形態では、コントローラは、そのようなプロセスのうちの1つ以上を実行してプロセス流体から熱電装置への任意の堆積物を観察または検出するために、温度制御回路および測定回路とインターフェースで接続するように構成され得る。
【0089】
図1および図2を参照した例示的な実装では、熱電装置(例えば102a)は、温度制御回路(例えば、214)を介して、使用装置105の動作温度に一致またはほぼ一致するように調整され得る。プロセス流体の成分の堆積は温度に依存することが多いので、熱電装置の温度を使用装置の動作温度まで上昇させることは、熱電装置における使用装置の表面をモデル化することができる。したがって、熱電装置で検出された堆積物は、使用装置における堆積物を推定するために使用され得る。
【0090】
いくつかの例では、堆積物が存在すると使用装置の機能が低下する。例えば、使用装置が熱交換表面を含む熱交換器システムでは、熱交換表面に形成された堆積物は、熱交換表面が熱を伝達する能力に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、熱電装置で検出された十分な堆積物は、システムオペレータに熱交換表面に堆積する可能性があることを警告することができ、是正措置を講じることができる(例えば、熱交換表面を清掃する)。しかしながら、たとえ使用装置をモデル化する熱電装置が、使用装置における堆積物の存在をシステムオペレータが検出することを可能にしたとしても、検出された堆積物に対処すること(例えば、清掃など)は、堆積物がすでに発生しているため、システムの停止時間およびメンテナンスにコストがかかる可能性がある。追加的または代替的に、いくつかの例では、清浄プロセスのために除去されたとしても、様々な堆積物がうまく清浄されない可能性があり、おそらく使用装置をあまり効果的ではなくする。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態では、複数の熱電装置(例えば102a~102d)は、単一の流体流路(例えば、106)に配置され得、プロセス流体および/または流体流れシステム(例えば、100)の状態を特性化するために使用され得る。図1を参照すると、例示的な実施形態において、流体流れシステム100の使用装置105は、典型的には、動作温度Tで動作する。熱電装置102a~102dは、Tよりもプロセス流体からの堆積物の堆積を促進する可能性が高い温度に一致またはほぼ一致するように調整され得る。様々なプロセス流体には、プロセス流体から堆積され得る成分を含むことができる。例えば、場合によっては、プロセス流体は、上昇した温度で表面上に堆積物を形成する可能性が高い、カルシウムおよび/または硫酸マグネシウム、炭酸塩、および/またはケイ酸塩を含むことができる。他の例では、例えば、アスファルテン、ワックス、または高温では溶解するが低温では沈殿する有機材料を含むプロセス流体は、より低温の表面上に堆積物を形成する可能性が高くなる。
【0092】
いくつかのそのようなプロセス流体は、堆積物に応じて高温または低温の表面上に堆積物を生成しやすいものがある。いくつかのそのような例では、複数の熱電装置102a~102dのうちの1つ以上は、堆積物を熱電装置上に誘導し、熱電装置上に形成される堆積物を特性化するために、使用装置105の典型的な動作温度よりも高いまたは低い温度まで調整される。これは、1つ以上の熱電装置上に形成されるアスファルテンおよび/またはワックス堆積物に繋がる可能性のある通常よりも低い温度など、堆積物形成が通常よりも起こりやすいときに、使用装置105の動作について「最悪の場合」を表すこともできる。
【0093】
例えば、図5Aを参照すると、例示的な一実施形態では、熱電装置502a、502bの各々は、温度制御回路514のチャネルAおよびBをそれぞれ介して異なる特性温度まで冷却される。例示的な実施形態では、熱電装置502a、502bの各々の特性評価温度は、流体流れシステムの使用装置の典型的な動作温度以下である。いくつかのそのような例では、コントローラ512aは、熱電装置502a、502bをそれらのそれぞれの特性温度に維持するために、温度制御回路514aを制御する。コントローラ512aは、測定回路510aを介して(例えば、図5Aのスイッチ522を使用して)測定モードで熱電装置502a、502bを動作させるように定期的に切り替えることができる。
【0094】
他の例では、例えば、図5Bに関して、コントローラ512aは、熱電装置502c、502dが所望の特性温度で動作することを保証するために、(例えば、RTD503cおよび503d、マルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526、ならびに電流源530b、532bを介して)熱電装置502c、502dの温度をモニタリングしながら、温度制御回路514bを介して熱電装置502c、502dを同時に冷却するように構成され得る。
【0095】
動作中に、熱電装置をそれらのそれぞれの特性温度に維持した後、コントローラは、図6A図6Eのいずれかに関して上述したものなどの堆積物特性化プロセスを実行するように構成され得る。例えば、コントローラは、温度制御モードで熱電装置の温度を同時におよび/または交互に制御し、測定モードで熱電装置の温度をモニタするように構成され得る。例えば、いくつかの例では、コントローラは、熱電装置の熱挙動を観察するために熱電装置の温度を定期的に観察するように構成されている。いくつかの例では、熱電装置の温度を定期的に観察することは、温度制御モードと測定モードとを定期的に切り替えることと、熱電装置の熱挙動の変化を観察することと、を含む。他の例では、温度を定期的に観察することは、熱電装置の温度を同時に制御および測定することを含むことができる。図6A図6Eに関して説明したように、熱電装置の温度を定期的に観察すること(例えば、温度制御モードと測定モードとを切り替えること、または熱電装置の温度を同時に調整および測定すること)は、様々な方法で実行され得る。
【0096】
例えば、熱電装置の温度を定期的に観察することは、温度を再び制御する前に熱電装置の温度変化プロファイルを観察するために(例えば、図6Aのように)、一時期測定モードに切り替える前に、温度制御モードで熱電装置を非平衡状態温度にした後を含むことができる。同様に、熱電装置の温度は、熱電装置に電力を印加することによって、非平衡状態温度(例えば、プロセス流体に対する冷却温度)にすることができる。この間、熱電装置の温度は、対応するRTDなどの近接装置を介して測定され得る。電力は、熱電装置への印加を停止することができ、熱電装置の温度変化プロファイルは、近接装置(例えば、RTD)によって測定された温度をモニタし続けることで観察され得る。熱電装置の熱挙動で観察される変化は、経時的な温度プロファイルによって示される時定数の変化を含むことができる(例えば、図6Aに示すような|ΔT|の減衰)。
【0097】
他の例では、熱電装置の温度を定期的に観察することは、温度制御モードと測定モードとを定期的に切り替えることを含むことができ、熱電装置の温度をサンプリングし、温度制御モードに戻して温度を調整し続けるために、測定モードを素早く切り替えながら、熱電装置の温度を調整することを含むことができる(例えば、図6Cように)。他の例では、熱電装置の温度を定期的に観察することは、温度制御モードで熱電装置の温度を調整すると同時に、測定モードでRTDなどの近接装置を介して熱電装置の温度を観察することを含むことができる。同様に、熱電装置の熱挙動の変化は、温度プロファイルに示される時定数の変化を含み得る。
【0098】
さらに別の例では、熱電装置の温度を定期的に観察することは、温度制御モードと測定モードとを定期的に切り替えることを含むことができ、一定温度が維持されていることを確認するために定期的に測定モードに切り替えている間に、熱電装置を一定温度に維持するために、熱電装置に電力を印加することを含むことができる(例えば、図6Cに示すように)。他の例では、熱電装置の温度を定期的に観察することは、熱電装置に電力を印加しながら、近接装置(例えば、RTD)を介して熱電装置の温度を同時に観察することを含む。そのような実施形態では、熱電装置の熱挙動の変化は、熱電装置の温度を一定温度に維持するために温度制御回路によって印加される電力量の変化を含むことができる。
【0099】
あるいは、熱電装置の温度を定期的に観察することは、温度制御モードと測定モードとを定期的に切り替えることを含むことができ、熱電装置の温度を測定モードで定期的にサンプリングしながら、熱電装置に一定印加電力を印加することを含むことができる(例えば、図6Dに示すように)。他の例では、熱電装置の温度を定期的に観察することは、一定電力を熱電装置に印加しながら、RTDなどの近接装置を介して熱電装置の温度を観察することを含むことができる。そのような実施形態では、熱電装置の熱挙動の変化は、一定印加電力量に起因して熱電装置によって達成される温度変化を含むことができる。
【0100】
本明細書の他の場所で論じられるように、熱電装置の熱挙動におけるそのような変化を観察することは、熱電装置上の堆積物のレベルを示し、それを判定するために使用され得る。したがって、いくつかの例では、コントローラは、熱電装置の各々上の堆積物のレベルを特性化するために、(アスファルテン、ワックス、または他のプロセス流体成分の堆積を誘導する温度まで冷却された)異なる温度になった複数の熱電装置でこのようなプロセスのいずれかを実行することができる。いくつかのそのような例では、コントローラは、対応するチャネル(例えば、図5Bのマルチプレクサ524およびデマルチプレクサ526のチャネルAおよびB)を介して、熱電装置の各々における堆積物レベルを個別に特性化する。
【0101】
コントローラは、各熱電装置の堆積物のレベルをその対応する特性温度と関連付けるように構成され得る。すなわち、コントローラは、熱電装置の各々における堆積物のレベルを判定し、堆積物のレベルをそれぞれの熱電装置の各々の初期特性温度と関連付けることができる。関連する堆積物のレベルおよび動作温度は、流体流れシステム内の表面への堆積の温度依存性を特性化するために使用され得る。例えば、例示的な実施形態では、使用装置(例えば、熱交換器表面、チラー、または生産された水冷却器)の典型的な動作温度が熱電装置の特性温度よりも高く、堆積物が温度低下によって駆動される場合、使用装置は熱電装置よりも堆積物が少ない傾向がある。さらに、熱電装置の動作によって特性化された堆積物の温度依存性は、堆積物が使用装置または流体流れシステムの他の部分上に形成される可能性を推測するために使用され得る。
【0102】
追加的または代替的に、異なる特性温度で動作する様々な熱電装置上の堆積物を定期的に観察することは、堆積物の発生における全体的な増減に関する情報を提供することができる。プロセス流体の堆積特性のそのような変化は、プロセス流体中の成分の温度または濃度の変化など、流体流れシステムに影響を及ぼす様々な要因に起因し得る。
【0103】
例示的な一動作では、特性化熱電装置から検出された堆積および/または堆積速度の増加は、使用装置に関する堆積状態を示すことができ、正常な動作中に使用装置上に堆積物が形成される可能性が高くなる。堆積状態の検出は、その後の分析を開始して、プロセス流体の1つ以上のパラメータを測定するなど、堆積増加の原因を特定することができる。いくつかの例では、これは例えばコントローラによって自動的に実行され得る。
【0104】
追加的または代替的に、プロセス流体から流体流れシステム内に堆積する堆積物を低減するために、および/または既に堆積した堆積物を除去するために、プロセス流体の1つ以上のパラメータを調整することができる。例えば、堆積の増加が検出されると、堆積物を除去しようと試みるために酸または他の清浄化学物質が放出される可能性がある。同様に、いくつかの例では、酸、スケール防止剤、スケール分散剤、殺生物剤(例えば、漂白剤)などの化学物質をプロセス流体に添加して、さらなる堆積の可能性を減らすことができる。いくつかの例では、プロセス温度の上昇(例えば、蒸気またはヒータを介して)および/または分散剤および/または界面活性剤などの堆積物防止剤などの化学物質の導入により、低温堆積(例えば、ワックス堆積)に対処することができる。アスファルテンとワックスの堆積物防止剤のいくつかの例には、ノニルフェノール樹脂、DDBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸)、カルダノール、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレン-ブテン、ポリ(エチレン-プロピレン)を含むが、これらに限定されない。
【0105】
いくつかの例では、経時的な堆積(例えば、ワックスの蓄積)の増加は、そのような堆積を防止する1つ以上の典型的なプロセス流体成分(例えば、溶媒)の不在または減少によるものである。そのような成分の不在または減少は、例えば、機器の誤動作、またはリザーバまたは化学物質源からの化学物質の枯渇が原因である可能性がある。成分をプロセス流体に再導入することは、プロセス流体から流体流れシステムへの堆積量を減少させるように作用し得る。追加的または代替的に、堆積物形成の可能性に影響を及ぼし得る様々な流体特性は、流体動作温度、pH、アルカリ度など、流体流れシステム内の1つ以上のセンサ(例えば、111)を介して測定され得る。そのような要因を調整することは、堆積の量および/または可能性を低減するのを支援することができる。
【0106】
様々な実施形態では、検出された堆積または他の観察された堆積傾向の増加に対処することに応答して、任意の数のステップを取ることができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、堆積物の変化または傾向についてユーザに警告するように構成されている。例えば、様々な実施形態では、コントローラは、堆積物速度、レベル、および/またはその変化が特定の基準を満たす場合、ユーザに警告することができる。いくつかのそのような例では、基準は温度依存性(例えば、特定の特性温度を有する熱電装置で生じる堆積物レベルまたは速度)または温度非依存性であってもよい。追加的または代替的に、コントローラは、プロセス流体の判定された特性が、(例えば、堆積の可能性を増加または減少させる)流体成分および/または堆積の量および/または可能性に影響を与える可能性がある様々な流体特性の濃度が低すぎるまたは高すぎるなどの特定の基準を満たす場合、ユーザに警告することができる。
【0107】
いくつかのそのような例では、ユーザに警告することは、システムが、使用装置上に重大な堆積物が形成される前に是正措置および/または予防措置が取られ得るように、使用装置上に堆積物が形成される可能性がある環境に向かって潜在的に傾斜しているときに実行される。いくつかの例では、ユーザへの警告は、ユーザが適切な措置を取るのをより良好に支援するために、システムを通って流れるプロセス流体の特性に関する情報などの追加の情報を含むことができる。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、コントローラは、そのような措置を自動的に実行するために、他の機器(例えば、ポンプ、弁など)とインターフェースで接続するように構成され得る。
【0108】
いくつかのシステムでは、堆積物表面温度が上昇するにつれて特定の堆積物が起こりやすくなる。したがって、いくつかの実施形態では、熱電装置(例えば、502a、502b)は、プロセス流体から意図的に堆積物を誘導およびモニタするために、使用装置の典型的な動作温度よりも低い温度まで冷却して、使用装置が、望ましくない堆積物のリスクにある状況を判定するのを支援することができる。いくつかのそのような実施形態では、使用装置の典型的な温度よりも低い温度で動作している1つ以上の熱電装置の堆積特性を観察することで、使用装置での実際の堆積のリスクを最小限に抑えながら、特定の表面温度での堆積の傾向または現象を判定するために使用され得る。いくつかの例では、異なる熱電装置を異なる温度に下降させることは、流体流れシステム内の堆積物形成の温度依存性に関する情報をコントローラに提供し、流体流れシステム内の堆積物形成を特性化するためにさらに使用され得る。
【0109】
熱電装置が冷却されて堆積物を誘導する、繰り返しまたは長期間の特性化の後、熱電装置は、最終的には効果的な特性化のためにはコーティングされ過ぎることになる可能性がある。いくつかのそのような実施形態では、複数の熱電装置(例えば、102a~102d)は、システムから取り外され、システムまたは使用装置の動作を妨げることなく清浄または交換され得る。例えば、図1を参照すると、熱電装置102a~102dは、熱電装置102a~102dを保守するためにシステム100から容易に取り外すことができるサンプルホルダ104に取り付けられ得る。したがって、いくつかの実施形態では、特性熱電装置を清浄または交換することは、使用装置自体を保守する必要があるよりもはるかに低いコストおよび少ない停止時間で実行され得る。
【0110】
他の例では、ワックスなどの一部の堆積物は、熱電装置を加熱することによって除去され得る。したがって、いくつかの実施形態では、熱電装置(複数可)の温度が十分に上昇して形成された堆積物を追い払うような極性で、1つ以上の熱電装置に電力を(例えば、温度制御回路514を介して)印加することができる。したがって、例示的な一プロセスでは、熱電装置の温度を低下させ、その上に堆積物を誘導するために、第1の極性で電力を熱電装置に印加することができる。システム内の堆積物(例えば、ワックス堆積物)を特性化するために、本明細書の他の場所で説明するように、熱電装置の熱挙動を分析することができる。熱電装置の清浄が望まれる場合、熱電装置の温度を上昇させ、そのような堆積物を追い払うために、第1の極性と反対の第2の極性で電力を熱電装置に印加することができる。
【0111】
いくつかの例では、流体流れシステム内に堆積物が形成される可能性は、システムの堆積電位と見なすことができる。様々な実施形態では、堆積電位は、流体流れシステム内の物体の表面温度の関数であり得る。他の例では、堆積電位はシステム内の特定の使用装置に関連していてもよい。いくつかのシステムでは、システム内に堆積物が形成される絶対的な可能性を観察するための測定基準として、堆積電位が使用され得る。追加的または代替的に、堆積電位は、流体流れシステム内の堆積状態の変化を観察するための測定基準として使用され得る。いくつかのそのような例では、絶対的な堆積電位は、必ずしも堆積状態に対応する必要はないが、堆積電位の変化は、例えば、堆積状態の可能性の増加を示し得る。
【0112】
図7は、流体流れシステム内の使用装置上へのプロセス流体の堆積電位を評価するための例示的なプロセスを示すプロセスフロー図である。本方法は、1つ以上の熱電装置(複数可)を固有の特性温度にする(760)ことと、プロセス流体からの堆積物を熱電装置(複数可)上に追いやるために、熱電装置(複数可)を特性温度に維持する(762)ことと、を含む。これは、例えば、本明細書の他の場所で説明されている温度制御回路を使用して、温度制御モードで熱電装置(複数可)を動作させることにより実行され得る。いくつかの例では、特性温度のうちの少なくとも1つは、使用装置の動作温度よりも低い。1つ以上の熱電装置(複数可)を特性温度にすることは、流体流れシステムを通って流れるプロセス流体と熱平衡状態にある1つ以上の熱電装置(複数可)を動作させることを含み得ることが理解されよう。すなわち、1つ以上の熱電装置の特性温度は、流体流れシステムを通って流れるプロセス流体とほぼ同じ温度であり得る。
【0113】
本方法は、熱電装置(複数可)の温度を定期的に観察することをさらに含む(764)。本明細書の他の場所で説明するように、熱電装置(複数可)の温度を定期的に観察することは、熱電装置(複数可)の温度を測定するために熱電装置(複数可)を温度制御モードから測定モードに定期的に切り替えることを含み得る。追加的または代替的に、熱電装置(複数可)の温度を定期的に観察することは、熱電装置を温度制御モードで動作させること、およびRTDなどの近接構成要素を介して熱電装置の温度を定期的に観察することを含み得る。
【0114】
本方法は、熱電装置(複数可)の熱挙動の変化を観察するステップを含む(766)。これは、例えば、図6A図6Eに関して説明したようなプロセスを含むことができる。観察された変化は、プロセス流体から1つ以上の熱電装置(複数可)の各々への堆積物のレベルを特性化するために使用され得る(768)。これは、例えば、測定された温度プロファイルの当てはめ関数の時定数を判定すること、および異なる測定時間における時定数の変化を観察することを含むことができる。時定数の変化は、熱電装置上に形成され、熱電装置の熱挙動を変更する堆積物を表すことができる。いくつかの例では、堆積物のレベルを特性化することは、異なる特性温度で動作する熱電装置(例えば、冷却熱電装置と非冷却熱電装置)の温度変化プロファイルを比較することを含み得る。
【0115】
堆積物の厚さに加えて、堆積物のレベルの追加の特性化は、システム内で堆積する可能性のある材料の判定を含むことができる。冷却および非冷却またはわずかに冷却された熱電装置の熱減衰プロファイルを比較すると、堆積物の性質を判定することができる。例えば、場合によっては、沈降物の堆積物は、一般に表面温度の影響を受けないが、ワックスの堆積物の効果は、低い温度で強化される。したがって、熱プロファイルの特性温度依存性は、熱電装置および流体流れシステム内に存在する堆積物の種類を特性化するために使用され得る。
【0116】
本方法は、使用装置(770)に堆積状態が存在するか否かを判定することをさらに含むことができる。これは、例えば、堆積傾向を観察するために、経時的な複数の熱電装置(複数可)における堆積レベルおよび/または速度をモニタすることを含むことができる。いくつかの例では、一定の堆積速度または堆積速度の増加は、使用装置上に形成される堆積物がより起こりやすくなる堆積状態を示し得る。いくつかのそのような例では、熱電装置における堆積物のレベル、堆積速度、および/またはその中の変化は、堆積状態が存在するか否かを判定するために、それに関連する特性温度と組み合わせて分析され得る。追加的にまたは代替的に、温度(例えば、異なる特性温度を有する熱電装置(複数可)における)に対するそのようなデータ(例えば、堆積物のレベル、堆積速度、および/またはその変化)の関係は、堆積状態を検出するために使用され得る。
【0117】
いくつかの例では、モニタされた堆積物レベル、堆積速度、および/または流体特性(例えば、温度、成分濃度、pHなど)などの他のデータは、使用装置へのプロセス流体の堆積電位を判定するために使用され得る。様々な実施形態では、所定の閾値を満たすおよび/または所定の量だけ変化する堆積電位は、堆積状態の存在を検出するために使用され得る。
【0118】
堆積状態の場合、本方法は、堆積状態に対処するための是正措置を講じることを含むことができる(772)。是正措置は、プロセス流体内の1つ以上の化学物質の投与量を導入するまたは変化させること、プロセス流体の温度を変化させること、ユーザに警告すること、プロセス流体の使用装置を調整すること(例えば、熱交換器の熱負荷)、ブローダウン速度を増加することなど、様々な措置、および/またはプロセス流体の堆積特性に影響を及ぼす可能性のある他の措置を含むことができる。例示的な実施形態では、堆積特性化は、スケール、バイオフィルムなどのような堆積する可能性のある材料を判定することを含むことができる。
【0119】
いくつかのそのような実施形態では、判定された堆積材料に対処するために是正措置(例えば、772)を具体的にとることができる。例えば、スケール防止剤は、検出されたスケーリング現象のために添加または増加され得る。しかしながら、いくつかの例では、堆積特性がスケールではなくバイオフィルムを表す場合、殺生物剤および/または分散剤を追加または増加させることができ、1つ以上のプロセス温度を上げることができ、またはメンテナンスおよび/または清浄を実行することができる。そのような是正措置はシステムによって自動的に実行され得る。追加的または代替的に、システムは、堆積状態に対処するための是正措置を取るようにユーザに知らせることができる。
【0120】
流体流れシステムが複数の流体源(例えば、選択可能な入力源)から流体を受け取ることができるいくつかの実施形態では、是正措置はシステムへの流体入力源を変化させることを含むことができる。例えば、例示的な実施形態では、流体流れシステムは、淡水源からおよび他のプロセスからの流出物流から入力流体を選択的に受け取ることができる。このシステムは最初、流出物流からプロセス流体を受け取ることによって作動することができる。しかしながら、検出されたまたは潜在的な堆積状態の場合には、プロセス流体中に存在する可能性のある堆積材料を減らすために、流体源を淡水源に切り替えることができる。流体の供給源を切り替えることは、1つの供給源からの流体の流れを完全に止めること、および異なる供給源からの流体の流れを開始することを含み得る。追加的または代替的に、供給源を切り替えることは、元の供給源(例えば、流出物流)と新しい供給源(例えば、新鮮な水)との混合物を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、異なる投入供給源からの流体の所望の混合物(例えば、1つの供給源から50%および他の供給源から50%)を選択することができる。
【0121】
同様の実施形態では、いくつかの実施形態では、是正措置は、単一の供給源(例えば、流出物供給源)からの流れを一時的に停止させること、および異なる供給源(例えば、淡水)からプロセス流体を供給することを含み得る。過剰な付着物が生じる可能性がある前に、新しい流体源を一時的に使用して、潜在的な堆積物材料をシステムから洗い流すことができる。いくつかの例では、そのような材料がシステムから(例えば、淡水を介して)洗い流されると、プロセス流体の供給源を元の供給源(例えば、流出流)に戻すことができる。いくつかの例では、システムから流体を洗い流すことは、システム内の使用装置を動作させながら行うことができる。他の例では、特定の堆積状態および/または可能性が検出されたとき(例えば、特定の堆積電位に達したとき)、使用装置への流れを止め、システム内の流体を排水に向けて、そのような流体のシステムを取り除くことができる。次いでシステムは、流体供給源またはそれらの組み合わせのいずれかから流体を使用装置に戻すことができる。
【0122】
さらに別の実施形態では、本明細書の他の箇所に記載されているように、デフォルト入力流体は、複数の利用可能な供給源の各々からの流体の合流であり得る。堆積状態が検出された場合には、流体源のうちの1つからの1つ以上の入力流れは、システムから削減または遮断され得る(例えば、シャットオフ弁を介して)。いくつかの例では、システムは、導電率センサ、濃度センサ、濁度センサなど、各入力源からシステムに流入する流体の1つ以上のパラメータをモニタするように構成された1つ以上の補助センサを含むことができる。そのような補助センサからのデータは、どの入力源が堆積状態に寄与しているかを判定するために使用することができる。そのような流体源は、システムを通って流れる流体に寄与することを防止することができる。
【0123】
プロセス流体入力源の遮断、切り替え、および/または組み合わせは、例えば、源と流体流れシステムとの間に配置された1つ以上の弁を介して実行することができる。様々な実施形態では、弁は手動でおよび/または自動的に制御されて入力流体の供給源を調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、検出された堆積状態は、システムに流入する流体の供給源を調整するために、1つ以上のそのような弁と通信するコントローラにそのような弁を作動させることができる。あるいは、制御装置は、是正処置を実行すべきであることをユーザに示すことができ、ユーザはそのような弁を作動させてシステムへの流体の供給源を調整することができる。
【0124】
本明細書の他の場所に記載されるように、1つ以上の流体入力源は、その中に配置される1つ以上の熱電装置を含み得る。そのような熱電装置(複数可)は、複数の流体供給源の各々について個別に堆積状態を特性化するために使用され得る。したがって、1つの流体供給源が堆積状態を示している場合、1つ以上の是正措置は、その供給源からシステムに流入する流体に影響を及ぼすための措置の実行(例えば、流体のパラメータの調整)および/またはシステムに流れ込む(例えば弁を介して)。いくつかの例では、各入力流体供給源は、各供給源を個別に特性化することができるように、1つ以上のそのような熱電装置を含む。いくつかのそのような実施形態では、各流体源からの流体が組み合わされた後に1つ以上の熱電装置をさらに流体流路内に配置することができ、それによって複合流体も個々の源のそれぞれとは別に特性化することができる。
【0125】
一般に、1つ以上の修正措置を講じること(例えば、ステップ772)は、使用装置における堆積速度を低下させるように作用し得る。したがって、いくつかのそのような実施形態では、是正措置は、使用装置上に望ましくない堆積物が形成するのを防止するための防止作用として作用する。これは、使用装置からの堆積物を清浄するためにシステムをシャットダウンする必要性を最小にするかまたは排除する一方で、使用装置の動作性を延ばすことができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、取られたおよび/または示唆された是正措置は、1つ以上の追加のセンサ(例えば111)から受信したデータに基づくことができる。例えば、いくつかの実施形態では、スケール防止剤の減少(例えば、スケール防止剤導入流量計および/またはスケール防止剤濃度計を介して検出される)は、システム内の堆積状態に寄与する。したがって、是正措置は、スケール防止剤の供給を補充することを含み得る。同様に、いくつかの例では、過剰な堆積材料(例えば、濃度計によって検出されたカルシウム)の存在が堆積状態に寄与する。対応する是正措置は、スケール防止剤の量をシステムに導入または増加させることを含み得る。同様に、ワックスの堆積が可能なシステムでは、分散剤、界面活性剤、および/または清浄剤などの化学物質を抑制するワックス堆積の減少が堆積状態の一因となる。対応する是正措置には、用量を増やすか、そのような堆積物防止化学物質の供給を補充することを含むことができる。
【0127】
追加的または代替的に、是正措置は、流体中のリン酸塩レベルを変化させることを含むことができる。例えば、システム内に蓄積するリン酸塩堆積物は、リン含有化学物質またはリン酸塩堆積触媒の流れを減少させる可能性がある。他の例では、リン酸塩含有流体の添加は他の堆積物が形成するのを防止し得る。いくつかのそのような例では、そのようなリン酸またはリン含有流体を添加または増加させることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、特性化されたレベルの堆積物に基づいて(例えば、ステップ768において)適切な是正措置が判定され得る。例えば、より大きな堆積速度および/または堆積電位は、堆積物が形成されるのを防止するためにシステム内に放出されるより大量の堆積防止剤をもたらし得る。追加的または代替的に、(例えば、異なる温度での熱崩壊プロファイルを比較することによって)形成する堆積物の種類の特性化は、どの是正措置が取られるかに影響を与え得る。例えば、堆積物のレベルの特性化が、堆積物が一般にスケーリングではなく沈降物であることを示す場合、スケール防止剤化学物質を放出することは有用な措置ではない可能性があり、他のより適切な措置が取られ得る。
【0129】
いくつかの例では、システムに存在する堆積電位および/または堆積状態のモニタリングは、システムのコストおよび/または効率を最適化するために使用され得る。例えば、例示的な産業用途、一部の石油化学用途では、希釈溶剤は、油の処理およびポンプ輸送のために油の粘度を低く保つために使用され得る。いくつかの例では、この溶媒は芳香族成分とアルカン成分の両方を含むことができる。いくつかの用途では、ワックスが存在する場合は、希釈溶剤のアルカン画分は、ワックスを可溶性で溶解状態に保つために使用され得る。しかしながら、このようなアルカン(例えば、パラフィン)溶剤の中には高価なものもある。したがって、このような溶媒をできるだけ少なく使用することには利点があり、使用する溶媒が少なすぎるとワックス堆積の問題につながる可能性がある。そのようなアルカン溶媒の使用を最大限にするために、熱電装置は、油へのワックスの適切な溶解性を維持するための最小有効投入速度を見出すために、そのような溶媒の流入量が変化する際の堆積プロファイルをモニタするように本明細書に記載のシステムおよび方法に従って作動され得る。
【0130】
別の例として、一部の用途では、希釈溶媒に十分な芳香族溶媒が含まれていない場合、原油中のアスファルテンが堆積物を形成する可能性がある。例えば、アルカンが多すぎると、アスファルテンが沈殿して堆積し始める可能性がある。いくつかの例では、そのような堆積は温度が低いほど向上する。したがって、熱電装置を他のシステム構成要素の典型的な動作温度よりも低い温度に冷却し、熱電装置での堆積状態をモニタリングすると、有害な堆積が他のシステム表面に発生する前に、アルカンの過剰分による堆積状態を示すことができる。そのような堆積を防ぐために、投入溶剤の組成を調整することができる。例えば、このような堆積状態を検出するコントローラを使用して、弁、ポンプ、またはその他の制御可能な機器を自動的に調整し、システムへの溶媒組成の入力を自動的に調整できる。他の例では、コントローラはユーザに警告を発することができ、ユーザは、溶媒組成を適切に調整することができる。
【0131】
様々な実施形態が説明されてきた。そのような例は非限定的であり、そして決して本発明の範囲を定義または限定しない。むしろ、これらおよび他の例は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7