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特許7023975P型PERC両面太陽電池及びそのモジュール、システムと製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】P型PERC両面太陽電池及びそのモジュール、システムと製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/068 20120101AFI20220215BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
H01L31/06 300
H01L31/04 262
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019547982
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2018077585
(87)【国際公開番号】W WO2018157821
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】201710122418.3
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517309423
【氏名又は名称】広東愛旭科技有限公司
【住所又は居所原語表記】No.3, South Qili Avenue, Leping Town, Sanshui District, Foshan, Guangdong, 528000, China
(73)【特許権者】
【識別番号】517358085
【氏名又は名称】浙江愛旭太陽能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG AIKO SOLAR ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.655, Haopai Road, Suxi Town, Yiwu City, Zhejiang Province, 322009, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林 綱正
(72)【発明者】
【氏名】方 結彬
(72)【発明者】
【氏名】陳 剛
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523452(JP,A)
【文献】特開2014-216652(JP,A)
【文献】特開2011-134999(JP,A)
【文献】特開2016-005003(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068237(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106098839(CN,A)
【文献】中国実用新案第203883015(CN,U)
【文献】中国実用新案第203983300(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型PERC両面太陽電池であって、
裏面銀電極と、裏面アルミニウムグリッド線と、裏面パッシベーション層と、P型シリコンと、N型エミッタと、表面窒化シリコン膜と、表面銀電極とを含み、
前記裏面パッシベーション層には、第1のレーザグルービング領域が形成されており、前記P型PERC両面太陽電池は裏面が上に表面が下に且つ水平面と平行に配置された場合において、前記第1のレーザグルービング領域は、前記裏面アルミニウムグリッド線の下方に設置され、前記裏面アルミニウムグリッド線は、前記第1のレーザグルービング領域を介して前記P型シリコンに接続され、前記裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠が設置され、前記アルミニウムグリッド外枠は、前記裏面アルミニウムグリッド線および前記裏面銀電極に接続され、
前記P型PERC両面太陽電池は裏面が上に表面が下に且つ水平面と平行に配置された場合において、前記第1のレーザグルービング領域は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の前記第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記裏面アルミニウムグリッド線は、前記第1のレーザグルービング体と垂直であり、
前記裏面アルミニウムグリッド線の数は、30~500本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線は、前記第1のレーザグルービング領域を介して前記P型シリコンと局所的に接触するように、平行に設置された前記第1のレーザグルービング領域に印刷され、
前記P型PERC両面太陽電池は裏面が上に表面が下に且つ水平面と平行に配置された場合において、前記アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域が設置され、前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直方向または水平方向に設置された複数組の第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の前記第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み
記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、30~500μmであり、前記第1のレーザグルービング体の長さよりも小さい
ことを特徴とするP型PERC両面太陽電池。
【請求項2】
前記第1のレーザグルービングユニット同士は、平行に設置され、
各第1のレーザグルービングユニットにおいて、前記第1のレーザグルービング体は、並列に設置され、且つ、前記P型PERC両面太陽電池は裏面が上に表面が下に且つ水平面と平行に配置された場合において、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面に位置するか、または、上下にずらして位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のP型PERC両面太陽電池。
【請求項3】
前記第1のレーザグルービングユニット同士の間隔は、0.5~50mmであり、
各第1のレーザグルービングユニットにおいて、前記第1のレーザグルービング体同士の間隔は、0.5~50mmであり、
前記第1のレーザグルービング体の長さは、50~5000μmであり、前記第1のレーザグルービング体の幅は、10~500μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のP型PERC両面太陽電池。
【請求項4】
前記裏面パッシベーション層は、酸化アルミニウム層と、窒化シリコン層とを含み、前記酸化アルミニウム層は、前記P型シリコンに接続され、前記窒化シリコン層は、前記酸化アルミニウム層に接続され、
前記窒化シリコン層の厚さは、20~500nmであり、
前記酸化アルミニウム層の厚さは、2~50nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載のP型PERC両面太陽電池。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のP型PERC両面太陽電池の製造方法であって、
前記P型シリコンであるシリコンウエハの表面と裏面に、テクスチャ構造を形成するステップ(1)と、
前記シリコンウエハに対して拡散処理を施して、前記N型エミッタを形成するステップ(2)と、
前記拡散処理時に形成された前記表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去するステップ(3)と、
前記シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積するステップ(4)と、
前記シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積するステップ(5)と、
前記シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積するステップ(6)と、
前記P型PERC両面太陽電池は裏面が上に表面が下に且つ水平面と平行に配置された場合において、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の前記第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の前記第1のレーザグルービング体を含む前記第1のレーザグルービング領域を前記シリコンウエハの裏面に形成するステップ(7)と、
前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷するステップ(8)と、
前記シリコンウエハの裏面に、前記第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、前記第1のレーザグルービング体と垂直である前記裏面アルミニウムグリッド線を得るステップ(9)と、
前記シリコンウエハの裏面に、前記裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、前記アルミニウムグリッド外枠を得るステップ(10)と、
前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷するステップ(11)と、
前記シリコンウエハを高温で焼結して、前記裏面銀電極と前記表面銀電極とを形成するステップ(12)と、
前記シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理を施すステップ(13)と、を含む、
ことを特徴とするP型PERC両面太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(3)と(4)の間に、前記シリコンウエハの裏面を研磨するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のP型PERC両面太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(7)は、鉛直方向または水平方向に設置された複数組の第2のレーザグルービングユニットを含み、前記P型PERC両面太陽電池は裏面が上に表面が下に且つ水平面と平行に配置された場合において、各組の前記第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含む第2のレーザグルービング領域を形成するように、前記シリコンウエハの裏面にレーザグルービングすることをさらに含む、
とを特徴とする請求項6に記載のP型PERC両面太陽電池の製造方法。
【請求項8】
PERC太陽電池と封止材とを含むPERC太陽電池モジュールであって、
前記PERC太陽電池は、請求項1~4のいずれか1項に記載のP型PERC両面太陽電池である、
ことを特徴とするPERC太陽電池モジュール。
【請求項9】
PERC太陽電池を含むPERC太陽エネルギーシステムであって、
前記PERC太陽電池は、請求項1~4のいずれか1項に記載のP型PERC両面太陽電池である、
ことを特徴とするPERC太陽エネルギーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池分野に関し、特に、P型PERC両面太陽電池、上記P型PERC両面太陽電池の製造方法、上記P型PERC両面太陽電池を使用した太陽電池モジュール、及び上記P型PERC両面太陽電池を使用した太陽エネルギーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコン系太陽電池は、太陽放射エネルギーを効率的に吸収し、光起電力効果によって光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子であり、太陽光が半導体のPN接合に照射すると、新たな正孔‐電子対が形成され、PN接合の電界により、正孔がN型領域からP型領域へ移動し、電子がP型領域からN型領域へ移動することになり、回路を連通すると電流が形成されることになる。
【0003】
従来の結晶シリコン系太陽電池に、基本的に、表面パッシベーション技術のみが採用される。即ち、PECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ促進化学気相堆積)法によって、シリコンウエハの表面に窒化シリコンを1層堆積することで、少数キャリアの表面での再結合速度を下げて、結晶シリコン系電池の開放電圧と短絡電流を大幅に向上させることができ、このようにして結晶シリコン系太陽電池の光電変換効率が向上する。しかし、シリコンウエハの裏面がパッシベーションされていないため、光電変換効率の向上には制限がある。
【0004】
従来技術の両面太陽電池は、以下の構成を有する。基板にN型シリコンウエハを使用し、太陽光の光子が電池の裏面に照射されると、N型シリコンウエハで生成されたキャリアが、約200μmの厚さを有するシリコンウエハを通る。N型シリコンウエハの少数キャリアの寿命が長く、キャリアの再結合速度が低いため、一部のキャリアが表面のPN接合に到着することができる。また、太陽電池の表面は、主要受光面となり、その変換効率が、電池全体の変換効率で占める割合が非常に高い。更に、太陽電池の表面と裏面が総合的に機能することによって、電池の変換効率が大幅に向上する。しかし、N型シリコンウエハの価格が高く、N型両面電池のプロセスが複雑であるため、高効率かつ低コストの両面太陽電池をどのように開発するかは、企業や研究者から注目が集まっている問題である。
【0005】
一方、結晶シリコン系電池の光電変換効率に対する要求が高まるにつれて、裏面パッシベーション型(Passivated Emitter and Rear Cell、PERCという)太陽電池が研究されつつあるが、本分野の主流メーカーは、主に、片面PERC太陽電池を開発している。これに対して、本発明は、PERC高効率電池と両面電池とを組み合わせ、総合的な光電変換効率が一層高まるPERC両面太陽電池を開発することを目的とする。
【0006】
PERC両面太陽電池において、光電変換効率が高く、かつ、両面で太陽光を吸収するため、発電量が一層高くなり、実際の応用で更に大きな使用価値がある。従って、本発明は、プロセスが簡単で、コストが低く、広く普及しやすく、光電変換効率が高いP型PERC両面太陽電池を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、構成が簡単で、コストが低く、広く普及しやすく、光電変換効率が高いP型PERC両面太陽電池を提供することである。
【0008】
また、本発明が解決しようとする課題は、プロセスが簡単で、コストが低く、広く普及しやすく、光電変換効率が高いP型PERC両面太陽電池の製造方法を提供することである。
【0009】
また、本発明が解決しようとする課題は、構成が簡単で、コストが低く、広く普及しやすく、光電変換効率が高いP型PERC両面太陽電池モジュールを提供することである。
【0010】
また、本発明が解決しようとする課題は、構成が簡単で、コストが低く、広く普及しやすく、光電変換効率が高いP型PERC両面太陽エネルギーシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、P型PERC両面太陽電池を提供し、当該P型PERC両面太陽電池は、裏面銀電極と、裏面アルミニウムグリッド線と、裏面パッシベーション層と、P型シリコンと、N型エミッタと、表面窒化シリコン膜と、表面銀電極とをこの順に含み、
前記裏面パッシベーション層には、レーザグルービングによって第1のレーザグルービング領域が形成され、前記第1のレーザグルービング領域は、前記裏面アルミニウムグリッド線の下方に設置され、前記裏面アルミニウムグリッド線は、前記第1のレーザグルービング領域を介してP型シリコンに接続され、前記裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠が設置され、前記アルミニウムグリッド外枠は、前記裏面アルミニウムグリッド線および前記裏面銀電極に接続され、
前記第1のレーザグルービング領域は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記裏面アルミニウムグリッド線は、前記第1のレーザグルービング体と垂直である。
【0012】
上記技術案の好ましい形態として、前記アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域が設置され、前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直方向または水平方向に設置された第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記アルミニウムグリッド外枠は、前記第2のレーザグルービング体と垂直である。
【0013】
上記技術案の好ましい形態として、前記第1のレーザグルービングユニット同士は、平行に設置され、
各第1のレーザグルービングユニットにおいて、前記第1のレーザグルービング体は、並列に設置され、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面に位置するか、または、上下にずらして位置する。
【0014】
上記技術案の好ましい形態として、前記第1のレーザグルービングユニット同士の間隔は、0.5~50mmであり、
各第1のレーザグルービングユニットにおいて、前記第1のレーザグルービング体同士の間隔は、0.5~50mmであり、
前記第1のレーザグルービング体の長さは、50~5000μmであり、前記第1のレーザグルービング体の幅は、10~500μmであり、
前記裏面アルミニウムグリッド線の数は、30~500本であり、
前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、30~500μmであり、前記第1のレーザグルービング体の長さよりも小さい。
【0015】
上記技術案の好ましい形態として、前記裏面パッシベーション層は、酸化アルミニウム層と、窒化シリコン層とを含み、前記酸化アルミニウム層は、P型シリコンに接続され、前記窒化シリコン層は、酸化アルミニウム層に接続され、
前記窒化シリコン層の厚さは、20~500nmであり、
前記酸化アルミニウム層の厚さは、2~50nmである。
【0016】
これに対応して、本発明は、P型PERC両面太陽電池の製造方法をさらに開示し、当該P型PERC両面太陽電池の製造方法は、
P型シリコンであるシリコンウエハの表面と裏面に、テクスチャ構造を形成するステップ(1)と、
前記シリコンウエハに対して拡散処理を施して、前記N型エミッタを形成するステップ(2)と、
拡散処理時に形成された表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去するステップ(3)と、
前記シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積するステップ(4)と、
前記シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積するステップ(5)と、
前記シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積するステップ(6)と、
水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の前記第1のレーザグルービング体を含む前記第1のレーザグルービング領域を形成するように、前記シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするステップ(7)と、
前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷するステップ(8)と、
前記シリコンウエハの裏面に、前記第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、前記第1のレーザグルービング体と垂直である前記裏面アルミニウムグリッド線を得るステップ(9)と、
前記シリコンウエハの裏面に、前記裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、前記アルミニウムグリッド外枠を得るステップ(10)と、
前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷するステップ(11)と、
前記シリコンウエハを高温で焼結して、前記裏面銀電極と前記表面銀電極とを形成するステップ(12)と、
前記シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理を施すステップ(13)と、を含む。
【0017】
上記技術案の好ましい形態として、ステップ(3)と(4)の間に、前記シリコンウエハの裏面を研磨するステップをさらに含む。
【0018】
上記技術案の好ましい形態として、ステップ(7)は、鉛直方向または水平方向に設置された第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含む第2のレーザグルービング領域を形成するように、前記シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするステップをさらに含む。
前記第2のレーザグルービング体は、前記アルミニウムグリッド外枠と垂直である。
【0019】
これに対応して、本発明は、PERC太陽電池と封止材とを含むPERC太陽電池モジュールをさらに開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つに記載のP型PERC両面太陽電池である。
【0020】
これに対応して、本発明は、PERC太陽電池を含むPERC太陽エネルギーシステムをさらに開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つに記載のP型PERC両面太陽電池である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施は、以下の有益な効果が得られる。
本発明において、シリコンウエハの裏面に裏面パッシベーション層を形成してから、裏面パッシベーション層にレーザグルービングによって第1のレーザグルービング領域を形成し、その後、アルミニウムペーストがグルービング領域を介してP型シリコンに接続するように、レーザスクライビング方向と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷し、このようにして、裏面アルミニウムグリッド線を得る。当該PERC両面太陽電池は、アルミニウムペーストを印刷する通常の方式とは異なる方式を使用して、シリコンウエハの表面と裏面に電池のグリッド線の構成を製造することによって、アルミニウムグリッドの幅が第1のレーザグルービング領域の長さよりもはるかに小さいため、アルミニウムペーストと第1のレーザグルービング領域を精密に位置合わせする必要がなく、レーザプロセスと印刷プロセスを簡素化し、印刷装置の試運転の難易度を低減し、容易に産業化して大規模に生産する。また、アルミニウムペースト被覆領域以外の第1のレーザグルービング領域によって、電池の裏面と表面による太陽光の吸収が増加し、電池の光電変換効率を向上することができる。
【0022】
また、印刷工程において、アルミニウムペーストの粘度が高く、スクリーンの線幅が比較的に狭いため、アルミニウムグリッドが切れることが偶に発生する。アルミニウムグリッドの切れは、EL検査による画像において、黒いグリッド切れが出現してしまう。それと同時に、アルミニウムグリッドの切れは、電池の光電変換効率に影響を与える。そこで、本発明は、裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠を設置し、前記アルミニウムグリッド外枠は、裏面アルミニウムグリッド線および裏面銀電極に接続するため、電子のためもう一本の伝送経路を提供し、アルミニウムグリッドの切れによるEL検査のグリッド切れ、および、光電変換効率の低下問題を防止する。
【0023】
アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域が設置されてもよいし、設置されなくてもよいが、第2のレーザグルービング領域が設置されている場合、アルミニウムペーストと第2のレーザグルービング領域とを精密に位置合わせする必要がなく、レーザプロセスと印刷プロセスを簡素化し、印刷装置の試運転の難易度が低くなる。また、アルミニウムペースト被覆領域以外の第2のレーザグルービング領域によって、電池の裏面と表面による太陽光の吸収が増加し、電池の光電変換効率を向上することができる。
【0024】
従って、本発明によれば、構成が簡単で、プロセスが簡単で、コストが低く、広く普及しやすく、光電変換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のP型PERC両面太陽電池の断面図である。
図2】本発明のP型PERC両面太陽電池の裏面構成の第1の実施例を示す模式図である。
図3】本発明のP型PERC両面太陽電池の裏面構成の第2の実施例を示す模式図である。
図4】本発明のP型PERC両面太陽電池の第1のレーザグルービング領域の1つの実施例を示す模式図である。
図5】本発明のP型PERC両面太陽電池の第1のレーザグルービング領域のもう1つの実施例を示す模式図である。
図6】本発明のP型PERC両面太陽電池の第2のレーザグルービング領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【0027】
従来の片面太陽電池は、電池の裏面に、シリコンウエハの裏面全体を覆う全面アルミニウム裏面電界(Back Surface Field)が設けられている。全面アルミニウム裏面電界は、開放電圧Voc及び短絡電流Jscを向上させ、少数キャリアを面から離れさせ、少数キャリアの再結合率を低減させることで、電池全体の効率を高めるように機能する。しかしながら、光が全面アルミニウム裏面電界を透過しないため、全面アルミニウム裏面電界を有する太陽電池の裏面は光エネルギーを吸収することができず、表面のみで光エネルギーを吸収し、電池の総合的な光電変換効率を大幅に向上させることは困難である。
【0028】
上記課題に対して、図1に示すように、本発明は、P型PERC両面太陽電池を提供する。当該P型PERC両面太陽電池は、裏面銀電極1、裏面アルミニウムグリッド線2、裏面パッシベーション層3、P型シリコン4、N型エミッタ5、表面窒化シリコン膜6、表面銀電極7をこの順に含み、裏面パッシベーション層3には、レーザグルービングによって第1のレーザグルービング領域8が形成され、前記裏面アルミニウムグリッド線2は、第1のレーザグルービング領域8を介してP型シリコン4に接続される。表面銀電極7は、表面銀電極バスバー7Aと表面銀電極フィンガー7Bとを含む。前記裏面パッシベーション層3は、酸化アルミニウム層31と窒化シリコン層32とを含む。
【0029】
本発明は、従来の片面型PERC太陽電池を改良したものであり、全面アルミニウム裏面電界を設置しなくなり、その代わりに、複数の裏面アルミニウムグリッド線2を設け、レーザグルービング技術によって裏面パッシベーション層3にレーザグルービング領域8を開設し、裏面アルミニウムグリッド線2は、P型シリコン4と局所的に接触するように、平行に設置されたこれらのレーザグルービング領域8に印刷される。密集して平行に配置された裏面アルミニウムグリッド線2は、開放電圧Vocと短絡電流Jscを向上させ、少数キャリアの再結合率を低減し、電池の光電変換効率を向上させる役割を果たし、従来の片面電池の構成における全面アルミニウム裏面電界の代わりに使用されるだけではなく、裏面アルミニウムグリッド線2は、シリコンウエハの裏面を完全に覆わず、太陽光が裏面アルミニウムグリッド線2同士の間を介してシリコンウエハに投射することができるため、シリコンウエハの裏面による光エネルギーの吸収が可能となり、電池の光電変換効率を大幅に向上することが可能となる。
【0030】
図2図3に示すように、前記第1のレーザグルービング領域8は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニット81を含む。複数のレーザグルービングユニット81は、鉛直方向に沿って配列配置され、各組の第1のレーザグルービングユニット81は、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体82を含み、前記裏面アルミニウムグリッド線2は、第1のレーザグルービング体82と垂直である。図4図5をさらに参照すると、図4図5に示す破線枠に囲まれたのは、第1のレーザグルービングユニット81であり、各組の第1のレーザグルービングユニット81は、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体82を含む。
【0031】
印刷工程において、アルミニウムペーストの粘度が高く、スクリーンの線幅が比較的狭いため、アルミニウムグリッドが切れることが偶に発生する。アルミニウムグリッドの切れは、EL検査による画像において、黒いグリッド切れが出現してしまう。それと同時に、アルミニウムグリッドの切れは、電池の光電変換効率に影響を与える。そこで、本発明は、裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠9が設置され、前記アルミニウムグリッド外枠9は、裏面アルミニウムグリッド線2および裏面銀電極1に接続される。アルミニウムグリッド外枠9は、電子のためもう一本の伝送経路を提供し、アルミニウムグリッドの切れによるEL検査のグリッド切れ、および、光電変換効率の低下問題を防止する。
【0032】
図3に示す裏面構成の第1の実施例を参照して、アルミニウムグリッド外枠9の下方に、第2のレーザグルービング領域90が設置されてもよい。図2に示す裏面構成の第2の実施例を参照して、アルミニウムグリッド外枠9の下方に、第2のレーザグルービング領域90が設置されなくてもよい。
【0033】
第2のレーザグルービング領域90が設置されている場合、前記第2のレーザグルービング領域90は、鉛直方向または水平方向に設置された第2のレーザグルービングユニット91を含み、各組の第2のレーザグルービングユニット91は、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体92を含み、前記アルミニウムグリッド外枠9は、第2のレーザグルービング体92と垂直である。具体的に、図6を参照して、前記第2のレーザグルービング領域90は、鉛直方向に設置された二つの第2のレーザグルービングユニット91Aと、水平方向に設置された二つの第2のレーザグルービングユニット91Bとを含み、鉛直方向に設置された第2のレーザグルービングユニット91Aは、水平方向に設置された複数の第2のレーザグルービング体92を含み、水平方向に設置された第2のレーザグルービングユニット91Bは、鉛直方向に設置された複数の第2のレーザグルービング体92を含む。
【0034】
第2のレーザグルービング領域90が設置されている場合、アルミニウムペーストと第2のレーザグルービング領域とを精密に位置合わせする必要がなく、レーザプロセスと印刷プロセスを簡素化し、印刷装置の試運転の難易度が低くなる。また、アルミニウムペースト被覆領域以外の第2のレーザグルービング領域によって、電池の裏面と表面による太陽光の吸収が増加し、電池の光電変換効率を向上することができる。
【0035】
なお、第1のレーザグルービングユニット81は以下の実施形態を含む様々な実施形態を有する。
【0036】
(1)各組の第1のレーザグルービングユニット81は、水平方向に設置された一つの第1のレーザグルービング体82を含み、この場合、第1のレーザグルービングユニット81は、連続的な直線型グルービング領域である(具体的には図5参照)。
【0037】
(2)各組の第1のレーザグルービングユニット81は、水平方向に設置された複数の第1のレーザグルービング体82を含み、この場合、第1のレーザグルービングユニット81は、線分を呈する非連続な直線型グルービング領域である(具体的には図4参照)。当該複数の第1のレーザグルービング体82は、二つ、三つ、四つ、または、それ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0038】
各組の第1のレーザグルービングユニット81が、水平方向に設置された複数の第1のレーザグルービング体82を含む場合、以下の幾つかの状況に分けられる。
【0039】
A、水平方向に設置された複数の第1のレーザグルービング体82は、幅、長さ、及び形状が、いずれも同一であり、サイズの単位は、μmレベルであり、長さが、50~5000μmであってもよいが、これに限定されない。なお、前記第1のレーザグルービング体82は、同一の水平面に位置していてもよいし、上下にずらして位置していてもよく(すなわち、同一の水平面に位置しない)、そのずらして分布するパターンは、生産の必要に応じて決定する。
【0040】
B、水平方向に設置された複数の第1のレーザグルービング体82は、幅、長さ、及び形状が、いずれも同一であり、サイズの単位は、mmレベルであり、長さは、5~600mmであってもよいが、これに限定されない。なお、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面に位置していてもよいし、上下にずらして位置していてもよく(すなわち、同一の水平面に位置しない)、そのずらして分布するパターンは、生産の必要に応じて決定する。
【0041】
C、水平方向に設置された複数の第1のレーザグルービング体82は、幅、長さ、及び/又は形状が、異なり、生産の必要に応じて組み合わせて設計することができる。なお、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面に位置していてもよいし、上下にずらして位置していてもよく(すなわち、同一の水平面に位置しない)、そのずらして分布するパターンは、生産の必要に応じて決定する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態として、前記第1のレーザグルービング体は、直線型であり、これにより、加工が便利で、プロセスが簡単で、生産コストが低減される。前記第1のレーザグルービング体は、例えば、曲線状、アーク状、波状など他の形状に設置されてもよく、その実施される形態は、本発明に挙げられた実施例に限定されない。
【0043】
前記第1のレーザグルービングユニット81同士は、平行に設置され、各第1のレーザグルービングユニット81において、前記第1のレーザグルービング体82は、並列に設置され、これにより、生産プロセスを簡素化することができ、大規模に普及して応用されることに適する。
【0044】
前記第1のレーザグルービングユニット81同士の間隔は、0.5~50mmである。各第1のレーザグルービングユニット81において、前記第1のレーザグルービング体82同士の間隔は、0.5~50mmである。
【0045】
前記第1のレーザグルービング体82の長さは、50~5000μmであり、幅は、10~500μmである。好ましくは、前記第1のレーザグルービング体82の長さは、250~1200μmであり、幅は、30~80μmである。
【0046】
第1のレーザグルービングユニット81の長さ、幅、及び間隔、アルミニウムグリッドの数及び幅は、アルミニウムグリッドとP型シリコンとの接触面積、アルミニウムグリッドの遮光面積、および、十分な電子の収集を総合的に考慮した上で最適化されたものであり、その目的は、裏面アルミニウムグリッドの遮光面積をできるだけ低減するとともに、良好な電流出力を確保し、さらに、電池全体の光電変換効率を向上することである。
【0047】
前記裏面アルミニウムグリッド線2の数は、30~500本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線2の幅は、30~500μmであり、前記裏面アルミニウムグリッド線2の幅は、前記第1のレーザグルービング体82の長さよりもはるかに小さい。好ましくは、前記裏面アルミニウムグリッド線2の数は、80~220本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線2の幅は、50~300μmである。
【0048】
前記裏面アルミニウムグリッド線の幅が前記第1のレーザグルービング体の長さよりもはるかに小さく、アルミニウムグリッドが第1のレーザグルービング体と垂直である場合、裏面アルミニウムグリッド線の印刷を極めて便利にすることができる。精密な位置合わせが必要なく、アルミニウムグリッドがすべて第1のレーザグルービング領域内に位置することができ、レーザプロセスと印刷プロセスを簡素化し、印刷装置の試運転の難易度を低減し、容易に産業化して大規模に生産する。
【0049】
本発明は、レーザグルービングによって、裏面パッシベーション層に第1のレーザグルービング領域を形成し、その後、アルミニウムペーストがグルービング領域を介してP型シリコンに接続するように、レーザスクライビング方向と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷し、このようにして、裏面アルミニウムグリッド線を得る。当該PERC両面太陽電池において、アルミニウムペーストを印刷する通常の方式とは異なる方式を使用して、シリコンウエハの表面と裏面に電池のグリッド線の構成を製造することによって、アルミニウムペーストと第1のレーザグルービング領域を精密に位置合わせする必要がなく、プロセスが簡単で、容易に産業化して大規模に生産する。アルミニウムグリッドが第1のレーザグルービング体に平行する場合、アルミニウムペーストと第1のレーザグルービング領域を精密に位置合わせする必要があり、印刷装置の精度と重複性への要求が非常に高く、歩留まりを制御し難く、不良品が多く、平均として光電変換効率が低下してしまう。本発明によれば、歩留まりを99.5%まで向上することができる。
【0050】
さらに、前記裏面パッシベーション層3は、酸化アルミニウム層31と窒化シリコン層32とを含み、前記酸化アルミニウム層31は、P型シリコン4に接続され、前記窒化シリコン層32は、酸化アルミニウム層31に接続され、
前記窒化シリコン層32の厚さは、20~500nmであり、
前記酸化アルミニウム層31の厚さは、2~50nmである。
好ましくは、前記窒化シリコン層32の厚さは、100~200nmであり、
前記酸化アルミニウム層31の厚さは、5~30nmである。
【0051】
これに対応して、本発明は、P型PERC両面太陽電池の製造方法をさらに開示し、当該P型PERC両面太陽電池の製造方法は、
P型シリコンであるシリコンウエハの表面と裏面に、テクスチャ構造を形成するS101と、
シリコンウエハに対して拡散処理を施して、N型エミッタを形成するS102と、
拡散処理時に形成された表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去するS103と、
シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積するS104と、
シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積するS105と、
シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積するS106と、
水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含む第1のレーザグルービング領域を形成するように、シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするS107と、
前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷するS108と、
前記シリコンウエハの裏面に、第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、第1のレーザグルービング体と垂直である裏面アルミニウムグリッド線を得るS109と、
前記シリコンウエハの裏面に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得るS110と、
前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷するS111と、
シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成するS112と、
シリコンウエハに対して、LID(Light Induced Degradation)を抑制するためのアニーリング処理を施すS113と、を含む。
【0052】
なお、S106と、S104及びS105との順序を入れ替えてもよく、S106は、S104とS105より前であってもよい。S109とS110は、一つのステップに合併して、1回の印刷で、裏面アルミニウムグリッド線とアルミニウムグリッド外枠を完成してもよい。
【0053】
S103とS104との間に、シリコンウエハの裏面を研磨するステップをさらに含む。本発明において、裏面研磨ステップを有してもよいし、有さなくてもよい。
【0054】
アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域を設置してもよいし、設置しなくてもよいが、第2のレーザグルービング領域を設置する場合、ステップ(7)は、シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第2のレーザグルービング領域を形成することを、さらに含む。前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直方向または水平方向に設置された第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記第2のレーザグルービング体は、アルミニウムグリッド外枠と垂直である。
【0055】
なお、製造方法における第1のレーザグルービング領域と裏面アルミニウムグリッド線の具体的なパラメータの設定は、上記と同じであるため、ここで説明を省略する。
【0056】
これに対応して、本発明は、PERC太陽電池と封止材とを含むPERC太陽電池モジュールをさらに開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つのP型PERC両面太陽電池である。具体的に、PERC太陽電池モジュールの一つの実施例として、上から順に接続された高透過性強化ガラス、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、PERC太陽電池、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、および高透過性強化ガラスから構成される。
【0057】
これに対応して、本発明は、PERC太陽電池を含むPERC太陽エネルギーシステムをさらに開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つのP型PERC両面太陽電池である。PERC太陽エネルギーシステムの一つの好ましい実施例として、PERC太陽電池、蓄電池パック、充放電コントローラインバータ、交流配電キャビネット、および太陽追尾制御システムを含む。その中、PERC太陽エネルギーシステムは、蓄電池パックと充放電コントローラインバータを有してもよいし、有さなくてもよく、当業者は、必要に応じて設置可能である。
【0058】
なお、PERC太陽電池モジュールとPERC太陽エネルギーシステムにおいて、P型PERC両面太陽電池以外の部材は、先行技術を参照して設計すればよい。
【0059】
以下、具体的な実施例によって、本発明をより詳しく説明する。
【0060】
実施例1
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去し、
(4)シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、1000μmであり、幅は、40μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面に、第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、第1のレーザグルービング体と垂直である裏面アルミニウムグリッド線を得ており、裏面アルミニウムグリッド線の数は、150本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、150μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、
(11)前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理を施す。
【0061】
実施例2
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去し、シリコンウエハの裏面を研磨し、
(4)シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域と第2のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、500μmであり、幅は、50μmであり、
前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直に設置された二つの第2のレーザグルービングユニットと水平に設置された二つの第2のレーザグルービングユニットとを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記第2のレーザグルービング体は、アルミニウムグリッド外枠と垂直であり、前記第2のレーザグルービング体の長さは、500μmであり、幅は、50μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面に、第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、第1のレーザグルービング体と垂直である裏面アルミニウムグリッド線を得ており、裏面アルミニウムグリッド線の数は、200本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、200μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、
(11)前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理を施す。
【0062】
実施例3
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去し、
(4)シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、300μmであり、幅は、30μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面に、第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、第1のレーザグルービング体と垂直である裏面アルミニウムグリッド線を得ており、裏面アルミニウムグリッド線の数は、250本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、250μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、
(11)前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理を施す。
【0063】
実施例4
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された表面のリンケイ酸ガラスと周辺のPN接合とを除去し、シリコンウエハの裏面を研磨し、
(4)シリコンウエハの裏面に酸化アルミニウム膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、水平方向に設置された複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、水平方向に設置された一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、1200μmであり、幅は、200μmであり、
前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直に設置された二つの第2のレーザグルービングユニットと水平に設置された二つの第2のレーザグルービングユニットとを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、鉛直方向または水平方向に設置された一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記第2のレーザグルービング体は、アルミニウムグリッド外枠と垂直であり、前記第2のレーザグルービング体の長さは、1200μmであり、幅は、200μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面に、第1のレーザグルービング体と垂直な方向に沿ってアルミニウムペーストを印刷して、第1のレーザグルービング体と垂直である裏面アルミニウムグリッド線を得ており、裏面アルミニウムグリッド線の数は、300本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、300μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、
(11)前記シリコンウエハの表面に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理を施す。
【0064】
なお、上記実施例は、本発明を実施するための形態を説明するのみに用いられ、本発明の範囲を制限するものではない。好ましい実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の要旨および範囲を逸脱しない範囲で様々な変更及び均等な置換が可能であることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6