IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 広東愛旭科技股▲フン▼有限公司の特許一覧 ▶ 浙江愛旭太陽能科技有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-P型PERC両面太陽電池の製造方法 図1
  • 特許-P型PERC両面太陽電池の製造方法 図2
  • 特許-P型PERC両面太陽電池の製造方法 図3
  • 特許-P型PERC両面太陽電池の製造方法 図4
  • 特許-P型PERC両面太陽電池の製造方法 図5
  • 特許-P型PERC両面太陽電池の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】P型PERC両面太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20220215BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20220215BHJP
【FI】
H01L31/04 262
H01L31/06 300
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019548014
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2018077593
(87)【国際公開番号】W WO2018157826
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201710122960.9
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517309423
【氏名又は名称】広東愛旭科技有限公司
【住所又は居所原語表記】No.3, South Qili Avenue, Leping Town, Sanshui District, Foshan, Guangdong, 528000, China
(73)【特許権者】
【識別番号】517358085
【氏名又は名称】浙江愛旭太陽能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG AIKO SOLAR ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.655, Haopai Road, Suxi Town, Yiwu City, Zhejiang Province, 322009, China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】林 綱正
(72)【発明者】
【氏名】方 結彬
(72)【発明者】
【氏名】陳 剛
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523452(JP,A)
【文献】特開2014-232775(JP,A)
【文献】特開2016-171353(JP,A)
【文献】特開2013-123009(JP,A)
【文献】特表2015-531582(JP,A)
【文献】特開2016-028418(JP,A)
【文献】特開2016-042569(JP,A)
【文献】特開2014-216652(JP,A)
【文献】特開2011-134999(JP,A)
【文献】特開2016-006869(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068237(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104201214(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104576773(CN,A)
【文献】中国実用新案第203983300(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P型シリコンであるシリコンウエハの表面と裏面に、テクスチャ構造を形成するステップ(1)と、
前記シリコンウエハに対して拡散処理を施して、N型エミッタを形成するステップ(2)と、
前記拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と前記表面のりんけい酸ガラスとを除去するステップ(3)と、
前記シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム膜を堆積するステップ(4)と、
前記シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積するステップ(5)と、
前記シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積するステップ(6)と、
複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の前記第1のレーザグルービングユニットが一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含む、第1のレーザグルービング領域を形成するように、前記シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするステップ(7)と、
前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷するステップ(8)と、
前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、前記第1のレーザグルービング領域を介して前記P型シリコンに接続し、前記裏面銀バスバー電極と第1の所定角度で交差し、ただし、10°<前記第1の所定角度<90°を満たすように、前記第1のレーザグルービング体と10°より大きく90°より小さい角度で前記第1のレーザグルービン領域に印刷される、裏面アルミニウムグリッド線を得るステップ(9)と、
前記シリコンウエハの裏面上に、前記裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得るステップ(10)と、
前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷するステップ(11)と、
前記シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成するステップ(12)と、
前記シリコンウエハに対して、抗LIDアニーリング処理を施すステップ(13)と、を含む、
ことを特徴とするP型PERC両面太陽電池の製造方法。
【請求項2】
さらに、前記ステップ(3)と(4)の間に、前記シリコンウエハの裏面を研磨するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のP型PERC両面太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(7)は、さらに、複数組の第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の前記第2のレーザグルービングユニットが一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含む、第2のレーザグルービング領域を形成するように、前記シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするステップを含み、
前記アルミニウムグリッド外枠と前記第2のレーザグルービング体は、第3の所定角度で交差し、ただし、10°<前記第3の所定角度≦90°を満たす、
ことを特徴とする請求項2に記載のP型PERC両面太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池分野に関し、特に、P型PERC両面太陽電池、上記P型PERC両面太陽電池の製造方法、上記P型PERC両面太陽電池を使用した太陽電池モジュール、及び上記P型PERC両面太陽電池を使用した太陽システム(solar system)に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶シリコン系太陽電池は、太陽放射エネルギーを効率的に吸収し、光起電力効果によって光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスであり、太陽光が半導体のp-n接合に照射されると、新たな正孔‐電子対が形成され、p-n接合の電界の作用により、正孔がN型領域からP型領域へ移動し、電子がP型領域からN型領域へ移動することになり、回路のスイッチを入れると電流が発生する。
【0003】
従来の結晶シリコン系太陽電池では、基本的に、表面パッシベーション技術は表面でのみ採用される。即ち、PECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマ促進化学気相堆積)法によって、シリコンウエハの表面上に窒化シリコンを1層堆積することで、少数キャリアの表面での再結合速度を下げて、結晶シリコン系電池の開放電圧と短絡電流を大幅に増加させることができ、このようにして結晶シリコン系太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。しかし、シリコンウエハの裏面(rear surface)がパッシベーションされていないため、光電変換効率の向上には限界がある。
【0004】
従来の両面太陽電池は、以下の構造を有する。基板にN型シリコンウエハを使用し、太陽からの光子が電池の裏面に到達すると、N型シリコンウエハで発生したキャリアが、約200μmの厚さを有するシリコンウエハを通る。N型シリコンウエハのように、少数キャリアは寿命が長く、キャリアの再結合率が低いため、一部のキャリアが表面のp-n接合に到達することができる。また、太陽電池の表面は、主要受光面となり、その変換効率が、電池全体の変換効率で占める割合が非常に高い。更に、太陽電池の表面と裏面の両方が総合的に機能することによって、電池の変換効率が大幅に向上する。しかし、N型シリコンウエハの価格は高く、N型両面電池の製造プロセスは複雑であるため、高効率かつ低コストの両面太陽電池をどのように開発するかは、企業や研究者から注目が集められている問題(hotspot)となる。
【0005】
一方、結晶シリコン系電池の光電変換効率に対する要求の高まりに対応するために、産業界は、PERC(Passivated Emitter and Rear Cell)太陽電池の裏面パッシベーション技術を研究してきた。本業界の主流メーカーは、主に、片面PERC太陽電池を開発している。本発明は、高効率なPERC電池と両面電池とを組み合わせて、総合的により高い光電変換効率を有するPERC両面太陽電池を開発する。
【0006】
PERC両面太陽電池は、光電変換効率が高く、両面で太陽エネルギーを吸収してより多くの電力を生成するため、実際の用途での使用価値が高い。従って、本発明は、製造が容易で、低コストで、普及が容易な、光電変換効率の高いP型PERC両面太陽電池を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、構造が簡単で、低コストで、普及が容易な、光電変換効率の高いP型PERC両面太陽電池を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、プロセスが簡単で、低コストで、普及が容易な、光電変換効率の高いP型PERC両面太陽電池の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、構造が簡単で、低コストで、普及が容易な、光電変換効率の高いP型PERC両面太陽電池モジュールを提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、構造が簡単で、低コストで、普及が容易な、光電変換効率の高いP型PERC両面太陽システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は、P型PERC両面太陽電池を提供し、当該P型PERC両面太陽電池は、裏面(rear)銀電極と、裏面アルミニウムグリッド線と、裏面パッシベーション層と、P型シリコンと、N型エミッタと、表面(front)窒化シリコン膜と、表面銀電極とをこの順に(consecutively)含み、前記裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、ただし、10°<第1の所定角度<90°を満たし、
裏面パッシベーション層には、レーザグルービングによって第1のレーザグルービング領域が形成され、前記第1のレーザグルービング領域は、裏面アルミニウムグリッド線の下方に設置され、前記裏面アルミニウムグリッド線は、第1のレーザグルービング領域を介してP型シリコンに接続され、前記裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠が設置され、前記アルミニウムグリッド外枠は、裏面アルミニウムグリッド線および裏面銀電極に接続され、
前記裏面アルミニウムグリッド線が、曲線形状、アーク形状、波状形状等であってもよい。
【0012】
前記第1のレーザグルービング領域は、複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記裏面アルミニウムグリッド線と第1のレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、10°<第2の所定角度≦90°を満たす。
【0013】
上記実施形態の好ましい例として、前記アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域が設置され、前記第2のレーザグルービング領域は、複数組の第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記アルミニウムグリッド外枠と第2のレーザグルービング体は、第3の所定角度で交差し、ただし、10°<第3の所定角度≦90°を満たす。
【0014】
上記実施形態の好ましい例として、前記裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、ただし、30°<第1の所定角度<90°を満たし、
前記裏面アルミニウムグリッド線と第1のレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、第2の所定角度=90°を満たし、
前記アルミニウムグリッド外枠と第2のレーザグルービング体は、第3の所定角度で交差し、ただし、第3の所定角度=90°を満たす。
【0015】
上記実施形態の好ましい例として、前記第1のレーザグルービングユニット同士は、平行に配置され、
各第1のレーザグルービングユニットにおいて、前記第1のレーザグルービング体は、並列に配置され、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面に位置するか、または、上下にずらして位置し、
前記第1のレーザグルービングユニット同士の間隔は、0.5~50mmであり、
各第1のレーザグルービングユニットにおいて、前記第1のレーザグルービング体同士の間隔は、0.5~50mmであり、
前記第1のレーザグルービング体は、それぞれ、50~5000μmの長さと、10~500μmの幅を有し、
前記裏面アルミニウムグリッド線の数は、30~500本であり、
前記裏面アルミニウムグリッド線は、それぞれ、30~500μmの幅を有し、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、前記第1のレーザグルービング体の長さよりも小さい。
【0016】
上記実施形態の好ましい例として、前記裏面パッシベーション層は、酸化アルミニウム層と、窒化シリコン層とを含み、前記酸化アルミニウム層は、P型シリコンに接続され、前記窒化シリコン層は、酸化アルミニウム層に接続され、
前記窒化シリコン層の厚さは、20~500nmであり、
前記酸化アルミニウム層の厚さは、2~50nmである。
【0017】
これに対応して、本発明は、P型PERC両面太陽電池の製造方法をさらに開示し、当該P型PERC両面太陽電池の製造方法は、
P型シリコンであるシリコンウエハの表面と裏面に、テクスチャ構造を形成するステップ(1)と、
シリコンウエハに対して拡散処理を施して、N型エミッタを形成するステップ(2)と、
拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と表面のりんけい酸ガラスとを除去するステップ(3)と、
シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム膜を堆積するステップ(4)と、
シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積するステップ(5)と、
シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積するステップ(6)と、
複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットが一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含む、第1のレーザグルービング領域を形成するように、シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするステップ(7)と、
前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷するステップ(8)と、
前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、裏面銀電極と第1の所定角度で交差し、第1のレーザグルービング体と第2の所定角度で交差し、ただし、10°<第1の所定角度<90°、10°<第2の所定角度≦90°を満たす、裏面アルミニウムグリッド線を得るステップ(9)と、
前記シリコンウエハの裏面上に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得るステップ(10)と、
前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷するステップ(11)と、
シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成するステップ(12)と、
シリコンウエハに対して、LIDを抑制するためのアニーリング処理(anti-LID annealing)を施すステップ(13)と、を含む。
【0018】
上記実施形態の好ましい例として、ステップ(3)と(4)の間に、シリコンウエハの裏面を研磨するステップをさらに含む。
【0019】
上記実施形態の好ましい例として、ステップ(7)は、複数組の第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットが一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含む、第2のレーザグルービング領域を形成するように、シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするステップをさらに含み、
前記アルミニウムグリッド外枠と第2のレーザグルービング体は、第3の所定角度で交差し、ただし、10°<第3の所定角度≦90°を満たす。
【0020】
これに対応して、本発明は、PERC太陽電池と封止材(packaging material)とを含むPERC太陽電池モジュールをさらに開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つに記載のP型PERC両面太陽電池である。
【0021】
これに対応して、本発明は、PERC太陽電池を含むPERC太陽システムをさらに開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つに記載のP型PERC両面太陽電池である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0023】
本発明では、シリコンウエハの裏面に裏面パッシベーション層を形成した後、裏面パッシベーション層にレーザグルービングによって第1のレーザグルービング領域を形成し、その後、アルミニウムペーストがグルービング領域を介してP型シリコンに接続されるように、レーザスクライビング方向に対して、角度をなす方向又は垂直な方向にアルミニウムペーストを印刷し、このようにして、裏面アルミニウムグリッド線を得る。裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、ただし、10°<第1の所定角度<90°を満たすので、裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線による電子の収集能力を向上し、光電変換効率を向上することができる。
【0024】
前記裏面アルミニウムグリッド線と第1のレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、10°<第2の所定角度≦90°を満たす。当該PERC両面太陽電池は、電池のグリッド線の構造を作製する際に、アルミニウムペーストを印刷する通常の方式とは異なる方式を使用してもよい。アルミニウムグリッドの幅がレーザグルービング領域の長さよりもはるかに小さいため、アルミニウムペーストとレーザグルービング領域を精密に位置合わせする必要がなく、レーザプロセスと印刷プロセスが簡素化され、印刷装置のデバッグの難易度が低減され、工業生産のためのスケールアップが容易となる。また、アルミニウムペーストで被覆されていないレーザグルービング領域は、電池の裏面における太陽光の吸収を増加させ、電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0025】
また、印刷時には、アルミニウムペーストの粘度が高く、印刷スクリーンの線幅が狭いため、アルミニウムグリッド線が断線することがある。アルミニウムグリッド線の断線は、EL検査による画像において、黒い断線グリッド線になる。一方、アルミニウムグリッド線の断線は、電池の光電変換効率に影響を与える。このため、本発明では、裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠を配置し、前記アルミニウムグリッド外枠は、裏面アルミニウムグリッド線および裏面銀電極に接続するため、電子のための付加的な伝送経路を提供し、アルミニウムグリッド線の断線によるEL検査のグリッド線の断線、および、光電変換効率の低下の問題を防止する。
【0026】
アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域が設置されてもよいし、設置されなくてもよいが、第2のレーザグルービング領域が設置されている場合、アルミニウムペーストと第2のレーザグルービング領域とを精密に位置合わせする必要がなく、レーザプロセスと印刷プロセスを簡素化し、印刷装置のデバッグの難易度が低くなる。また、アルミニウムペーストで被覆されていない第2のレーザグルービング領域は、電池の裏面における太陽光の吸収を増加させ、電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0027】
従って、本発明は、構造が簡単で、プロセスが簡単で、コストが低く、普及が容易で、光電変換効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のP型PERC両面太陽電池の断面図である。
図2】本発明のP型PERC両面太陽電池の裏面構造の第1の実施形態を示す概略図である。
図3】本発明のP型PERC両面太陽電池の裏面構造の第2の実施形態を示す概略図である。
図4】本発明のP型PERC両面太陽電池の第1のレーザグルービング領域の1つの実施形態を示す概略図である。
図5】本発明のP型PERC両面太陽電池の第1のレーザグルービング領域の更なる実施形態を示す概略図である。
図6】本発明のP型PERC両面太陽電池の第2のレーザグルービング領域を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の目的、技術的解決方法及び利点をより明確に示すために、添付の図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0030】
従来の片面太陽電池は、電池の裏面に、シリコンウエハの裏面全体を覆う全面アルミニウム裏面電界(Back Surface Field)が設けられている。全面アルミニウム裏面電界は、開放電圧Voc及び短絡電流Jscを増加させ、少数キャリアを当該面から離れさせ、少数キャリアの再結合率を低減させることで、電池全体の効率を高めるように機能する。しかしながら、光が全面アルミニウム裏面電界を透過しないため、全面アルミニウム裏面電界を有する太陽電池の裏面は、光エネルギーを吸収することができず、表面のみで光エネルギーを吸収し、電池の総合的な光電変換効率を大幅に向上させることは困難である。
【0031】
上記技術的課題を考慮して、図1に示すように、本発明は、P型PERC両面太陽電池を提供する。当該P型PERC両面太陽電池は、裏面銀電極1、裏面アルミニウムグリッド線2、裏面パッシベーション層3、P型シリコン4、N型エミッタ5、表面窒化シリコン膜6、及び表面銀電極7をこの順に含み、裏面パッシベーション層3には、レーザグルービングによって第1のレーザグルービング領域8が形成され、前記裏面アルミニウムグリッド線2は、第1のレーザグルービング領域8を介してP型シリコン4に接続される。表面銀電極7は、表面銀電極バスバー7Aと表面銀電極フィンガー7Bとを含む。前記裏面パッシベーション層3は、酸化アルミニウム層31と窒化シリコン層32とを含む。
【0032】
本発明は、従来の片面型PERC太陽電池を改良したものであり、全面アルミニウム裏面電界の代わりに、多数の裏面アルミニウムグリッド線2を設け、レーザグルービング技術によって裏面パッシベーション層3にレーザグルービング領域8を設置し、裏面アルミニウムグリッド線2は、P型シリコン4と局所的に接触するように、平行に配置されたこれらのレーザグルービング領域8に印刷される。密集して平行に配置された裏面アルミニウムグリッド線2は、開放電圧Vocと短絡電流Jscを増加させ、少数キャリアの再結合率を低減し、電池の光電変換効率を向上させる役割を果たし、従来の片面電池の構造における全面アルミニウム裏面電界に置き換えることができる。また、裏面アルミニウムグリッド線2は、シリコンウエハの裏面を完全に覆っていないので、太陽光を裏面アルミニウムグリッド線2間のシリコンウエハに照射することができる。これにより、シリコンウエハの裏面による光エネルギーの吸収が可能となり、電池の光電変換効率を大幅に向上することが可能となる。
【0033】
図2図3に示すように、裏面銀電極1と裏面アルミニウムグリッド線2は、第1の所定角度で交差し、ただし、10°<第1の所定角度<90°を満たす。これにより、裏面銀電極1と裏面アルミニウムグリッド線2による電子の収集能力を向上させ、光電変換効率を向上させることができる。好ましくは、30°<第1の所定角度<90°を満たす。
【0034】
前記第1のレーザグルービング領域8は、複数組の第1のレーザグルービングユニット81を含む。各組の第1のレーザグルービングユニット81は、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体82を含み、前記裏面アルミニウムグリッド線2と第1のレーザグルービング体81は、第2の所定角度で交差し、ただし、10°<第2の所定角度≦90°を満たす。好ましくは、前記裏面アルミニウムグリッド線2と第1のレーザグルービング体81は垂直に交差し、即ち、第2の所定角度=90°を満たす。
【0035】
詳細については、図2及び図3に示す裏面電極構造の概略図を参照されたい。裏面銀電極1と裏面アルミニウムグリッド線2は、斜めに交差し、裏面アルミニウムグリッド線2と第1のレーザグルービング体82も斜めに交差する(図2参照)。また、裏面銀電極1と裏面アルミニウムグリッド線2は、斜めに交差し、裏面アルミニウムグリッド線2と第1のレーザグルービング体82は垂直に交差する(図3参照)。図3は、好ましい実施形態である。
【0036】
また、印刷時には、アルミニウムペーストの粘度が高く、印刷スクリーンの線幅が狭いため、アルミニウムグリッド線が断線することある。アルミニウムグリッド線の断線は、EL検査による画像において、黒い断線グリッド線となる。一方、アルミニウム線の断線は、また、電池の光電変換効率に影響を与える。このため、本発明では、裏面アルミニウムグリッド線の周りに、アルミニウムグリッド外枠9を配置し、前記アルミニウムグリッド外枠9を、裏面アルミニウムグリッド線2および裏面銀電極1に接続する。アルミニウムグリッド外枠9は、電子の付加的な伝送経路を提供し、アルミニウム線の断線によるEL検査にけるグリッド線の断線、および、光電変換効率の低下の問題を防止する。
【0037】
更に、図4図5を参照して、水平方向に配置されたレーザグルービングユニットを例として、本発明をさらに詳細に説明する。図4図5に示す破線枠に囲まれたのは、第1のレーザグルービングユニット81であり、各組の第1のレーザグルービングユニット81は、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体82を含む。第1のレーザグルービングユニット81は以下の実施形態を含む様々な実施形態を有する。
【0038】
(1)各組の第1のレーザグルービングユニット81は、一つの第1のレーザグルービング体82を含み、この場合、第1のレーザグルービングユニット81は、連続的な直線型グルービング領域である(具体的に図5参照)。
【0039】
(2)各組の第1のレーザグルービングユニット81は、複数の第1のレーザグルービング体82を含み、この場合、第1のレーザグルービングユニット81は、線分を呈する(line-segment-type)非連続な直線型グルービング領域である(具体的に図4参照)。当該複数の第1のレーザグルービング体82は、二つ、三つ、四つ、または、それ以上の第1のレーザグルービング体82を含んでいてもよいが、第1のレーザグルービング体82の数はこれらに限定されない。
【0040】
各組の第1のレーザグルービングユニット81が、複数の第1のレーザグルービング体82を含む場合、以下のような幾つかの可能性がある。
【0041】
A、複数の第1のレーザグルービング体82は、同じ幅、長さ、及び形状を有し、それらの寸法の単位は、μmオーダーであり、長さは、50~5000μmであってもよいが、これに限定されない。なお、前記第1のレーザグルービング体82は、同一の水平面内に位置してもよいし、上下にずらして位置してもよく(すなわち、同一の水平面に位置しない)、その千鳥配置のトポグラフィーは、生産の必要性に応じて決定する。
【0042】
B、複数の第1のレーザグルービング体82は、同じ幅、長さ、及び形状を有し、それらの寸法の単位は、mmオーダーであり、長さは、5~600mmであってもよいが、これに限定されない。なお、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面内に位置してもよいし、上下にずらして位置してもよく(すなわち、同一の水平面に位置しない)、その千鳥配置のトポグラフィーは、生産の必要性に応じて決定する。
【0043】
C、複数の第1のレーザグルービング体82は、異なる幅、長さ、及び/又は形状を有し、生産の必要性に応じて組み合わせて設計することができる。なお、前記第1のレーザグルービング体は、同一の水平面内に位置してもよいし、上下にずらして位置してもよく(すなわち、同一の水平面に位置しない)、その千鳥配置のトポグラフィーは、生産の必要性に応じて決定する。
【0044】
本発明の好ましい実施形態として、前記第1のレーザグルービング体は、直線型であり、これにより、加工が便利で、プロセスが簡単で、生産コストが低減される。前記第1のレーザグルービング体は、曲線形状、アーク形状、波状形状など他の形状で構成することもでき、その実施形態は、本発明に挙げられた実施形態に限定されない。
【0045】
前記第1のレーザグルービングユニット81同士は、平行に配置され、各第1のレーザグルービングユニット81において、前記第1のレーザグルービング体82は、並列に配置されているため、製造プロセスを簡素化することができ、量産に適している。
【0046】
前記第1のレーザグルービングユニット81同士の間隔は、0.5~50mmである。各第1のレーザグルービングユニット81において、前記第1のレーザグルービング体82同士の間隔は、0.5~50mmである。
【0047】
前記第1のレーザグルービング体82の長さは、50~5000μmであり、幅は、10~500μmである。好ましくは、前記第1のレーザグルービング体82の長さは、250~1200μmであり、幅は、30~80μmである。
【0048】
第1のレーザグルービングユニット81の長さ、幅、及び間隔、アルミニウムグリッドの数及び幅は、アルミニウムグリッドとP型シリコンとの接触面積、アルミニウムグリッドの遮光面積、および、十分な電子の収集を総合的に考慮した上で最適化されたものであり、その目的は、裏面アルミニウムグリッドの遮光面積をできるだけ低減するとともに、良好な電流出力を確保し、さらに、電池全体の光電変換効率を向上することである。
【0049】
図3に示す裏面構造の第1の実施形態を参照すると、アルミニウムグリッド外枠9の下方に、第2のレーザグルービング領域90が設置されてもよい。図2に示す裏面構造の第2の実施形態を参照すると、アルミニウムグリッド外枠9の下方に、第2のレーザグルービング領域90が設置されなくてもよい。
【0050】
第2のレーザグルービング領域90が設置されている場合、前記第2のレーザグルービング領域90は、複数組の第2のレーザグルービングユニット91を含み、各組の第2のレーザグルービングユニット91は一つまたは複数の第2のレーザグルービング体92を含み、前記アルミニウムグリッド外枠9と第2のレーザグルービング体92は第3の所定角度で交差し、ただし、10°<第3の所定角度≦90°を満たす。好ましくは、前記アルミニウムグリッド外枠9と第2のレーザグルービング体92は垂直に交差し、つまり、第3の所定角度=90°を満たす。具体的に、図6を参照すると、前記第2のレーザグルービング領域90は、鉛直方向に配置された二つの第2のレーザグルービングユニット91Aと、二つの第2のレーザグルービングユニット91Bとを含み、鉛直方向に配置された第2のレーザグルービングユニット91Aは、複数の第2のレーザグルービング体92を含み、第2のレーザグルービングユニット91Bは、鉛直方向に配置された複数の第2のレーザグルービング体92を含む。
【0051】
第2のレーザグルービング領域90が設置されている場合、アルミニウムペーストと第2のレーザグルービング領域とを精密に位置合わせする必要がなく、レーザプロセスと印刷プロセスを簡素化し、印刷装置のデバッグの難易度が低くなる。また、アルミニウムペースト被覆領域以外の第2のレーザグルービング領域は、電池の裏面における太陽光の吸収を増加させ、電池の光電変換効率を向上させることができる。
【0052】
前記裏面アルミニウムグリッド線2の数は、30~500本であり、各裏面アルミニウムグリッド線2は、30~500μmの幅を有し、前記裏面アルミニウムグリッド線2の幅は、前記第1のレーザグルービング体82の長さよりもはるかに小さい。好ましくは、前記裏面アルミニウムグリッド線2の数は、80~220本であり、各裏面アルミニウムグリッド線2の幅は、50~300μmである。
【0053】
前記裏面アルミニウムグリッド線の幅が前記第1のレーザグルービング体の長さよりもはるかに小さく、アルミニウムグリッドが第1のレーザグルービング体に対して垂直である場合、裏面アルミニウムグリッド線の印刷を極めて容易にすることができる。アルミニウムグリッドは、精密な位置合わせなしに、第1のレーザグルービング領域内に設置することができ、これにより、レーザプロセスと印刷プロセスが簡素化され、印刷装置のデバッグの難易度が低減し、工業生産のためのスケールアップが容易になる。
【0054】
本発明では、レーザグルービングによって、裏面パッシベーション層にレーザグルービング領域を形成した後、アルミニウムペーストがグルービング領域を介してP型シリコンに接続するように、レーザスクライビング方向に対して角度をなす方向または垂直な方向にアルミニウムペーストを印刷することによって、裏面アルミニウムグリッド線を得る。シリコンウエハの表面及び裏面上に電池のグリッド線構造を製造することによって、前記PERC両面太陽電池は、アルミニウムペーストと第1のレーザグルービング領域を精密に位置合わせする必要がなく、アルミニウムペーストを印刷する通常の方式とは異なる方式を採用することができる。このようなプロセスは簡単で、工業生産のためのスケールアップが容易である。アルミニウムグリッドが第1のレーザグルービング体に平行である場合、アルミニウムペーストと第1のレーザグルービング領域を精密に位置合わせする必要があり、印刷装置の精度と再現性に高い要求をもたらす。その結果、歩留まりを制御するのが難しくなり、多くの不良品が生成され、平均光電変換効率が低下する。本発明によれば、歩留まりを99.5%まで向上させることができる。
【0055】
さらに、前記裏面パッシベーション層3は、酸化アルミニウム層31と窒化シリコン層32とを含み、前記酸化アルミニウム層31は、P型シリコン4に接続され、前記窒化シリコン層32は、酸化アルミニウム層31に接続され、
前記窒化シリコン層32の厚さは、20~500nmであり、
前記酸化アルミニウム層31の厚さは、2~50nmである。
【0056】
好ましくは、前記窒化シリコン層32の厚さは、100~200nmであり、
前記酸化アルミニウム層31の厚さは、5~30nmである。
【0057】
これに対応して、本発明は、また、P型PERC両面太陽電池の製造方法を開示し、当該P型PERC両面太陽電池の製造方法は、
P型シリコンであるシリコンウエハの表面と裏面に、テクスチャ構造を形成するS101と、
シリコンウエハに対して拡散処理を施して、N型エミッタを形成するS102と、
拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と表面のりんけい酸ガラスとを除去するS103と、
シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム(Al)膜を堆積するS104と、
シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積するS105と、
シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積するS106と、
複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットが一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含む、第1のレーザグルービング領域を形成するように、シリコンウエハの裏面にレーザグルービングするS107と、
前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷するS108と、
前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、裏面銀電極と第1の所定角度で交差し、レーザグルービング体と第2の所定角度で交差し、ただし、10°<第1の所定角度<90°、10°<第2の所定角度≦90°を満たす、裏面アルミニウムグリッド線を得るS109と、
前記シリコンウエハの裏面上に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得るS110と、
前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷するS111と、
シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成するS112と、
シリコンウエハに対して、LID(Light Induced Degradation)を抑制するためのアニーリング処理(抗LIDアニーリング処理)を施すS113と、を含む。
【0058】
なお、S106、S104及びS105の順序を入れ替えてもよく、S106は、S104とS105より前に行われてもよい。S109とS110は、一つのステップに統合して、1回の印刷で、裏面アルミニウムグリッド線とアルミニウムグリッド外枠を完成してもよい。
【0059】
S103とS104との間に、シリコンウエハの裏面を研磨するステップをさらに含む。本発明は、裏面研磨ステップを有してもよいし、有さなくてもよい。
【0060】
アルミニウムグリッド外枠の下方には、第2のレーザグルービング領域を設置してもよいし、設置しなくてもよいが、第2のレーザグルービング領域を設置する場合、ステップ(7)は、また、シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第2のレーザグルービング領域を形成することを、含む。前記第2のレーザグルービング領域は、複数組の第2のレーザグルービングユニットを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記アルミニウムグリッド外枠と第2のレーザグルービング体は、第3の所定角度で交差し、ただし、10°<第3の所定角度≦90°を満たす。
【0061】
なお、製造方法における、第1のレーザグルービング領域、第2のレーザグルービング領域、裏面アルミニウムグリッド線及びアルミニウムグリッド外枠の具体的なパラメータの設定は、上記と同じであるため、ここで説明を省略する。
【0062】
これに対応して、本発明は、また、PERC太陽電池と封止材とを含むPERC太陽電池モジュールを開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つのP型PERC両面太陽電池である。具体的には、PERC太陽電池モジュールの一つの実施形態として、第1の高透過性強化ガラスと、エチレン―酢酸ビニル(EVA)共重合体の第1の層と、PERC太陽電池と、エチレン―酢酸ビニル(EVA)共重合体の第2の層と、第2の高透過性強化ガラスとを上から下に順次接続して構成されている。
【0063】
これに対応して、本発明は、また、PERC太陽電池を含むPERC太陽システムを開示し、前記PERC太陽電池は、上記いずれか一つのP型PERC両面太陽電池である。PERC太陽システムの一つの好ましい実施形態として、PERC太陽電池、充電式バッテリーパック、充放電コントローラ、インバータ、AC配電キャビネット、および太陽追尾制御システムを含む。その中、PERC太陽システムは、充電式バッテリーパック、充放電コントローラ及びインバータを備えていてもよいし、備えていなくてもよく、当業者は、実際の必要に応じて、異なる設定を採用することができる。
【0064】
なお、PERC太陽電池モジュールとPERC太陽システムにおいて、P型PERC両面太陽電池以外の構成要素は、従来技術を参照して設計すればよい。
【0065】
以下、本発明を実施形態に基づいてさらに説明する。
【0066】
実施形態1
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と表面のりんけい酸ガラスとを除去し、
(4)シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム(Al)膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、1000μmであり、幅は、40μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、裏面アルミニウムグリッド線を得ており、前記裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、前記裏面アルミニウムグリッド線と第1のレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、第1の所定角度は10°であり、第2の所定角度は30°であり、裏面アルミニウムグリッド線の数は、150本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、150μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面上に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、
(11)前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、抗LIDアニーリング処理を施す。
【0067】
実施形態2
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と表面のりんけい酸ガラスとを除去し、シリコンウエハの裏面を研磨し、
(4)シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム(Al)膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域と第2のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、500μmであり、幅は、50μmであり、
前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直に設置された二つの第2のレーザグルービングユニットと水平に設置された二つの第2のレーザグルービングユニットとを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記第2のレーザグルービング体の長さは、500μmであり、幅は、50μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、裏面アルミニウムグリッド線を得ており、前記裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、前記裏面アルミニウムグリッド線とレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、第1の所定角度は30°であり、第2の所定角度は90°であり、裏面アルミニウムグリッド線の数は、200本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、200μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面上に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、前記アルミニウムグリッド外枠と第2のレーザグルービング体とがなす角度は、90°でり、
(11)前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、抗LIDアニーリング処理を施す。
【0068】
実施形態3
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と表面のりんけい酸ガラスとを除去し、
(4)シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム(Al)膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、300μmであり、幅は、30μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、裏面アルミニウムグリッド線を得ており、前記裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、前記裏面アルミニウムグリッド線と第1のレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、第1の所定角度は45°であり、第2の所定角度は60°であり、裏面アルミニウムグリッド線の数は、250本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、250μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面上に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、
(11)前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、抗LIDアニーリング処理を施す。
【0069】
実施形態4
(1)P型シリコンであるシリコンウエハの表面及び裏面にテクスチャ構造を形成し、
(2)シリコンウエハに拡散処理を施して、N型エミッタを形成し、
(3)拡散処理時に形成された周辺のp-n接合と表面のりんけい酸ガラスとを除去し、シリコンウエハの裏面を研磨し、
(4)シリコンウエハの裏面上に酸化アルミニウム(Al)膜を堆積し、
(5)シリコンウエハの裏面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(6)シリコンウエハの表面上に窒化シリコン膜を堆積し、
(7)シリコンウエハの裏面にレーザグルービングして、第1のレーザグルービング領域を形成し、前記第1のレーザグルービング領域は、複数組の第1のレーザグルービングユニットを含み、各組の第1のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第1のレーザグルービング体を含み、前記第1のレーザグルービング体の長さは、1200μmであり、幅は、200μmであり、
前記第2のレーザグルービング領域は、鉛直に配置された二つの第2のレーザグルービングユニットと水平に配置された二つの第2のレーザグルービングユニットとを含み、各組の第2のレーザグルービングユニットは、一つまたは複数の第2のレーザグルービング体を含み、前記第2のレーザグルービング体は、アルミニウムグリッド外枠に対して垂直であり、前記第2のレーザグルービング体の長さは、1200μmであり、幅は、200μmであり、
(8)前記シリコンウエハの裏面上に裏面銀バスバー電極を印刷し、
(9)前記シリコンウエハの裏面上にアルミニウムペーストを印刷して、裏面アルミニウムグリッド線を得ており、前記裏面銀電極と裏面アルミニウムグリッド線は、第1の所定角度で交差し、前記裏面アルミニウムグリッド線とレーザグルービング体は、第2の所定角度で交差し、ただし、第1の所定角度は15°であり、第2の所定角度は90°であり、裏面アルミニウムグリッド線の数は、300本であり、前記裏面アルミニウムグリッド線の幅は、300μmであり、
(10)前記シリコンウエハの裏面上に、裏面アルミニウムグリッド線の周りに沿ってアルミニウムペーストを印刷して、アルミニウムグリッド外枠を得ており、前記アルミニウムグリッド外枠と第2のレーザグルービング体とがなす角度は、90°であり、
(11)前記シリコンウエハの表面上に表面電極ペーストを印刷し、
(12)シリコンウエハを高温で焼結して、裏面銀電極と表面銀電極とを形成し、
(13)シリコンウエハに対して、抗LIDアニーリング処理を施す。
【0070】
最後に、上記実施形態は、本発明の技術的解決策を例示することのみを意図しており、本発明の保護範囲を限定することを意図していないことに留意されたい。本発明を好ましい実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明の技術的解決策は、本発明の技術的解決策の思想および範囲を逸脱しない範囲で、変更または同等な置換が可能であることを、当業者は理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6