(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】包装材料料をシールするための誘導加熱回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 6/06 20060101AFI20220215BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20220215BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
H05B6/06 391
H05B6/06 381
H05B6/10 331
B65B51/22 200
(21)【出願番号】P 2019560461
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017083470
(87)【国際公開番号】W WO2018137857
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ・ランセロッティ
(72)【発明者】
【氏名】ロッサーノ・グエッリ
(72)【発明者】
【氏名】アレサンドロ・ボシ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-521248(JP,A)
【文献】特表2010-535677(JP,A)
【文献】特開平07-022167(JP,A)
【文献】特開2012-221673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/06
H05B 6/10
B65B 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料(107)をシールするための、可変負荷を有する誘導加熱回路(100)を制御するための方法(400)において、前記誘導加熱回路は、前記可変負荷に連結された誘導発電装置(101)を有し、前記方法は、
前記誘導加熱回路内の少なくとも1つのインダクタ(106)上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させるステップ(401)と、
前記少なくとも2つの周波数で発生した電流の結果として前記誘導加熱回路内に生じた位相シフト(φ)を特定するステップ(402)と、
前記少なくとも2つの周波数の各々に関する前記誘導加熱回路のインピーダンス(z)を特定するステップ(403)と、
前記特定されたインピーダンスと前記特定された位相シフトとの関係に基づいて、前記誘導加熱回路の負荷特性を特定するステップ(404)と、
インピーダンス動作範囲(zmin、zmax)を特定するステップ(405)と、
前記負荷特性に基づいて、設定理想値からの位相シフト量が最小となり、前記インピーダンス動作範囲内にあるインピーダンスに関連付けられる、前記誘導発電装置のためのAC出力周波数を選択するステップ(406)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記選択された周波数及び関連するインピーダンスについて、前記少なくとも1つのインダクタでの電力出力セットポイントを特定するステップ(407)と、
前記少なくとも1つのインダクタで前記特定されたセットポイントでの電力を出力するように、前記発電装置の電圧を変化させるステップ(408)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのインダクタで電力を出力する間に、前記選択された周波数に関連する前記誘導加熱回路における前記位相シフトからの位相偏差を特定するステップ(409)と、
前記位相偏差を最小にするために、前記選択された周波数を変化させるステップ(410)と、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記位相偏差を最小化するために前記選択された周波数を変化させるステップは、前記誘導加熱回路内の前記インピーダンスが前記インピーダンス動作範囲内に保たれている間に継続され、前記方法はさらに、
前記誘導加熱回路内の前記インピーダンス動作範囲からのインピーダンス偏差を特定するステップ(411)と、
前記インピーダンス偏差を最小化するために、前記選択された周波数を変化させるステップ(412)と、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記位相シフト及び前記インピーダンスの前記特定を、発電が開始された開始時間(t0)から所定のオフセット時間(tt)遅延させるステップ(413)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記誘導加熱回路内の少なくとも1つのインダクタ上で少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させるステップは、
開始周波数(fs)から終了周波数(fe)の周波数範囲にわたる周波数掃引を発生させるステップ(414)と、
前記周波数範囲にわたる前記それぞれの周波数について、前記誘導加熱回路に結果として生じた前記位相シフトとインピーダンスに基づいて、負荷特性範囲を特定するステップ(415)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記誘導加熱回路は複数のインダクタを含み、前記複数のインダクタの各々について、前記方法は、
周波数掃引を生じさせるステップ(414)と、
前記負荷特性を特定するステップ(415)と、
出力周波数を選択するステップ(406)と、
前記複数のインダクタのうちの対応するインダクタに送達されたAC電源の次のパルスについて、前記対応するインダクタに関する、以前に記憶された出力周波数の値を入力として読み出し(416)、AC電源の前記次のパルスのための出力周波数を選択するステップ(416)と、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のインダクタの各々のための周波数掃引を生じさせるステップは、
前記複数のインダクタの各々において前記パルスの持続時間にわたり前記開始周波数から前記終了周波数まで変化する周波数のAC電源のパルスを発生させるステップ(417)と、
各々が、前記複数のインダクタの各々において、前記開始周波数から前記終了周波数の前記範囲の間の固定周波数を有するAC電源のパルスを発生させるステップ(418)と、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのインダクタは、前記誘導加熱回路の前記負荷に貢献する導電性材料(107)に磁気により連結され、前記方法は、
少なくとも2つの連続するAC電源パルスに応答して、前記少なくとも1つのインダクタと前記導電性材料を含む前記誘導加熱回路の前記インピーダンスを特定するステップ(419)を含み、関連するインピーダンスの各々は、前記対応するパルスの前記開始から遷移期間(tt)後に特定され、前記遷移期間は、前記導電性材料が前記誘導加熱に応答して所定の加熱状態に到達するまでの期間に対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性材料から前記負荷への前記貢献を特定するステップ(420)と、
前記貢献の負荷値の範囲を特定して、前記導電性材料のための負荷閾値を設定するステップ(421)と、
前記負荷閾値からの偏差を検出して、前記導電性材料の材料特性の変化を通知するステップ(422)と、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラム製品において、前記プログラムがコンピュータにより実行されると、前記コンピュータに請求項1~10の何れか1項に記載の前記方法の前記ステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
包装材料をシールするための、可変負荷を有する誘導加熱回路(100)を制御する制御装置(200)において、前記誘導加熱回路は、前記可変負荷に連結された誘導発電装置(101)を有し、前記制御装置は、
前記発電装置を制御して、前記誘導加熱回路内の少なくとも1つのインダクタ(106)上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させる電源制御ユニット(201)と、
前記少なくとも2つの周波数で発生された電流の結果として前記誘導加熱回路内に生じた位相シフトを特定する位相検出ユニット(202)と、
前記少なくとも2つの周波数の各々に関する前記誘導加熱回路
のインピーダンスを特定するインピーダンス検出ユニット(203)と、
処理ユニット(204)であって、
前記特定されたインピーダンスと前記特定された位相シフトとの関係に基づいて、前記誘導加熱回路の負荷特性を特定し(404)、
インピーダンス動作範囲を特定し(405)、
前記負荷特性に基づいて、設定理想値からの位相シフト量が最小となり、前記インピーダンス動作範囲内にあるインピーダンスに関連付けられる、前記誘導発電装置のためのAC出力周波数を選択する(406)
処理ユニット(204)と、
を含む制御装置(200)。
【請求項13】
前記誘導加熱回路は複数のインダクタを含み、
前記電力制御ユニットは、前記インダクタの各々において、開始周波数(fs)から終了周波数(fe)の周波数範囲にわたる周波数掃引を生じさせ、
前記処理ユニットは、前記周波数範囲にわたる前記それぞれの周波数について、結果として生じた前記位相シフトとインピーダンスに基づいて、前記インダクタの各々の負荷特性範囲を特定する、
請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
シーリングエッジに沿って導電性材料の部分を含む包装材料(107)をシールするための、請求項1~10の何れか1項に記載の方法の使用。
【請求項15】
前記包装材料の前記負荷特性に基づいて、化学的又は機械的特性等の包装材料の材料特性を特定するための、請求項1~10の何れか1項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、誘導加熱の分野に関する。より詳しくは、本発明は、包装材料をシールするための、可変負荷を有する誘導加熱回路を制御する方法と、誘導加熱回路を制御するための回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱によるラミネート包装材料料の溶接は、包装業界で採用されている。このようなラミネート材料の一例は、紙のキャリア層、アルミニウム箔、及び積層体の内面及び外面に沿った熱可塑性コーティングである。誘導溶接の技術は、交流電流により生成された導体周囲の磁場が隣接する導電材料内に電流を誘導し、これによって材料の抵抗に応じて材料を加熱することに基づいている。それゆえ、誘導溶接においては、アルミニウム箔を含む積層体の上にインダクタループ又はコイルが提供され、積層体はそれを結合させる相手となる材料と一体に圧迫される。アルミニウム箔は、適当に選択された電流と処理時間で加熱される。材料は、熱可塑性材料の隣接する層をシールし、結合された熱可塑性材料の層が相互に融合し、密着した耐久性のあるシールが得られるのに十分な高さの温度まで加熱される。現代の液体用パッケージの製造方法は、充填機により内容物が充填されたチューブ状の包装材料料を提供することを含み、それがチューブの長さ方向に対して直角に配置された別々の狭い領域に沿ってシールされて閉じられる。これに関連して、誘導溶接が包装材料チューブを個別の包装に分離する横シール溶接のために使用されることは慣例的である。スループットを高めるために、シーリングアプリケーションは典型的に、アプリケーションチェーンの中で直列に配置された複数のインダクタを有し、それによって対応する数のシールを同時に溶接することができる。それゆえ、発電装置は誘導加熱回路内のインダクタの各々にパルス電源を供給する。以前の解決策において生じる問題は、発電装置とインダクタとの間の中間トランス整合ネットワークが、アプリケーションチェーン内に幾つかの異なるインダクタが存在する場合に、高い電力効率が得られるほど十分に正確ではない、という点である。包装材料のシールを目的とする誘導加熱には、材料が初期状態から加熱され、溶接又はシールされた状態へと変形することが誘導加熱回路内の負荷に影響を与えるという別の問題もあり、これは、包装材料がラミネートの導電性成分を介してインダクタに磁気により連結されるからである。各々がアプリケーションプロセス中に固有の特性と状態を示す複数のインダクタがあることで、さらに複雑となるため、誘導加熱回路のダイナミクスに追従できる電力供給を得ることは難しい。一部に誘導加熱回路内の負荷の可変性に起因する正確さと効率の欠如により、スループットが制限され、これは高速アプリケーションにとって不利である。さらに、これらの効果を制限するために、誘導加熱回路の欠点を補償しなければならず、それによって設計がより複雑となり、これはコストの増大のほか、スループットの制限と効率の低下につながる可能性がある。誘導加熱回路内の電力供給の効率低下に関係のあるその他の結果は、構成要素の寿命の短縮である。
【0003】
そのため、包装材料をシールする誘導加熱回路を制御するための、改良された方法は有利であり、特に上記の問題と妥協の大部分を回避できるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の実施形態は好ましくは、付属の特許請求の範囲に記載の装置を提供することにより、前述のような技術分野の1つ又は複数の欠陥、欠点、又は問題を、単独で、又は何れかの組合せで緩和、軽減、又は排除できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様によれば、包装材料をシールするための、可変負荷を有する誘導加熱回路を制御するための方法が提供される。誘導加熱回路は、可変負荷に連結された誘導発電装置を有する。方法は、誘導加熱回路内の少なくとも1つのインダクタ上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させるステップと、少なくとも2つの周波数で発生した電流の結果として誘導加熱回路内に生じた位相シフトを特定するステップと、少なくとも2つの周波数の各々に関する誘導加熱回路のインピーダンスを特定するステップと、特定されたインピーダンスと特定された位相シフトとの関係に基づいて、誘導加熱回路の負荷特性を特定するステップと、インピーダンス動作範囲を特定するステップと、負荷特性に基づいて、設定理想値からの位相シフト量が最小となり、インピーダンス動作範囲内にあるインピーダンスに関連付けられる、誘導発電装置のためのAC出力周波数を選択するステップと、を含む。
【0006】
第二の態様によれば、包装材料をシールするための、可変負荷を有する誘導加熱回路を制御するための制御装置が提供される。誘導加熱回路は、可変負荷に連結された誘導発電装置を有する。制御装置は、発電装置を制御して、誘導加熱回路内の少なくとも1つのインダクタ上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させる電源制御ユニットと、少なくとも2つの周波数で発生した電流の結果として誘導加熱回路内に生じた位相シフトを特定する位相検出ユニットと、少なくとも2つの周波数の各々に関する誘導加熱回路のインピーダンスを特定するインピーダンス検出ユニットと、を含む。制御装置は、特定されたインピーダンスと特定された位相シフトとの関係に基づいて、誘導加熱回路の負荷特性を特定し、インピーダンス動作範囲を特定し、負荷特性に基づいて、設定理想値からの位相シフト量が最小となり、インピーダンス動作範囲内にあるインピーダンスに関連付けられる、誘導発電装置のためのAC出力周波数を選択する処理ユニットを含む。
【0007】
第三の態様によれば、コンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータにより実行されると、コンピュータに第一の態様による方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータブログラム製品が提供される。
【0008】
第四の態様によれば、第一の態様による方法は、シーリングエッジに沿って導電性材料の部分を含む包装材料をシールするために使用される。
【0009】
第五の態様によれば、第一の態様による方法は、化学的又は機械的特性等の包装材料の材料特性を、その包装材料の負荷特性に基づいて特定するために使用される。
【0010】
本発明の他の実施形態は特許請求の範囲の従属項の中で定義されており、本発明の第二及びそれ以降の態様に関する特徴は、必要な変更を加えた上で第一の態様と同様である。
【0011】
本開示の幾つかの例は、誘導加熱回路内の電力供給の効率を向上させる。
【0012】
本開示の幾つかの例は、誘導加熱回路内の発電装置とインダクタとの間の整合を改善させる。
【0013】
本開示の幾つかの例は、誘導加熱回路内の構成要素の寿命を延ばす。
【0014】
本開示の幾つかの例は、誘導加熱回路内の負荷変化の補償を改善する。
【0015】
本開示の幾つかの例は、複数のインダクタを有する誘導加熱回路の複雑さを軽減させる。
【0016】
本開示の幾つかの例は、複数のインダクタを有する誘導加熱回路内のトランスの数を減らす。
【0017】
本開示の幾つかの例は、包装材料が誘導加熱により溶接されるときの負荷の変化をよりよく補償する。
【0018】
本開示の幾つかの例は、複数のインダクタを有する誘導加熱回路内のより正確な電力供給を提供する。
【0019】
本開示の幾つかの例は、包装材料の欠陥を検出する。
【0020】
本開示の幾つかの例は、ある時間にわたる誘導加熱回路内の構成要素の特性の予測を提供する。
【0021】
本開示の幾つかの例は、誘導加熱回路内の保守を予測する。
【0022】
本開示の幾つかの例は、包装材料を溶接するための誘導加熱回路のコストを下げる。
【0023】
本開示の幾つかの例は、よりロバストな誘導加熱回路を提供する。
【0024】
本開示の幾つかの例は、誘導溶接ラインを有する高速充填機のスループットを増大させる。
【0025】
本開示の幾つかの例は、より短時間で包装材料のシールを完了させる。
【0026】
本開示の幾つかの例は、同時溶接アプリケーションの数がより多い、充填機内の誘導加熱回路のスケーラビリティを向上させる。
【0027】
強調すべき点として、本明細書で使用される「~を含む(comprises/comprising)」という用語は、明記された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を明示するものと解釈されるが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。
【0028】
本発明の実施形態が持ち得る上記及びその他の態様、特徴、及び利点は、本発明の実施形態の以下の説明から明瞭、明確となり、下記のような添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】包装材料をシールするための誘導加熱回路の概略図である。
【
図2】包装材料をシールするための複数のインダクタを有する誘導加熱回路と、誘導加熱回路を制御するための制御装置の概略図である。
【
図3a】誘導加熱回路内のインピーダンス、位相、及び周波数間の関係を示す概略的グラフである。
【
図3b】誘導加熱回路内のインピーダンス、位相、及び周波数間の関係を示す概略的グラフである。
【
図4a-c】誘導加熱回路内のインピーダンス、位相、及び周波数間の関係を示す別の概略的グラフである。
【
図5】誘導加熱回路内のある時間にわたるインピーダンスを示す概略的グラフである。
【
図6】誘導加熱回路内のある時間にわたるインピーダンスを示す別の概略的グラフである。
【
図7a】誘導加熱回路を制御して、包装材料をシールする制御装置の概略図である。
【
図7b】誘導加熱回路を制御して、包装材料をシールする制御装置の詳細部の概略図である。
【
図8】包装材料をシールするための誘導加熱回路を制御するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の具体的な実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明は様々な形態で実施することが可能であり、本明細書において示されている実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が漏れのない完全なものとなるように、また当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えるために提供されている。添付の図面に示される実施形態の詳細な説明の中で使用されている用語は本発明を限定しようとするものでない。図中、同様の番号は同様の要素を示す。
【0031】
以下の説明は、包装用容器をシールするための誘導加熱に適用可能な例に焦点を当てている。しかしながら、これらの例はこの用途に限定されず、他の多くの用途における誘導加熱を制御するためにも適用されてもよい。
【0032】
図1は誘導加熱回路100を示し、その中で誘導発電装置101は同軸ケーブル102を介してトランス又はトランス整合ネットワーク103に接続されている。トランス103は、電磁エネルギーをバスバー105に無接触分配するためのブラシレールシステム又は誘導電力伝送ユニット105、例えばIPTシステムに接続される。バスバー105は、比較的短い距離で電流をインダクタ106に分配し、誘導加熱プロセスで必要とされる電流を搬送するのに適した断面を有する。包装材料107は、インダクタ106と可動ジョー構成要素108との間に位置付けられ、その後、インダクタ106と可動ジョー構成要素108との間で圧迫される。包装材料107は、少なくとも部分的に導電性の材料、例えば包装材料の積層体中のアルミニウムシートを含み、磁気によりインダクタ106に連結され、それによって電流がアルミニウムシート内に誘導され、その結果、それを加熱して、包装材料107の溶接とシールを完了させる。同軸ケーブル102は典型的に50オームの抵抗を有するが、発電装置101が連結される構成要素110はまとめて、時間と共に変化する負荷と、同軸ケーブル102を含むこれらの構成要素の電気特性を示す。
図2は、誘導加熱回路100が複数のインダクタ106とそれに伴うバスバー105及びジョー構成要素108を含むケースを示しており、これらは
図2の中では提示を明瞭にするために、まとめてインダクタ構成要素109’、109’’、109’’’、...、109nとして示されている。それゆえ、発電装置101から見ると、それが接続される、複数のインダクタ106又はインダクタ構成要素109’、109’’、109’’’、...、109nを含む構成要素110の抵抗又は負荷がある。複数のインダクタ構成要素109’、109’’、109’’’、...、109nは以下、説明を容易にするために、複数のインダクタ109と呼ぶ。
【0033】
図2は、可変負荷を有する誘導加熱回路100を制御するための制御装置200を示す。前述のように、誘導加熱回路100は、可変負荷に連結された誘導発電装置101を有する。制御装置200は、発電装置101に接続されるか、又は接続可能である。
図7aは、制御装置200の概略図を示す。制御装置200は、発電装置101を制御して、誘導加熱回路100内の少なくとも1つのインダクタ106、109上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させる電力制御ユニット201を含む。制御装置200は、少なくとも2つの周波数で発生された電流の結果としての誘導加熱回路100内の位相シフト(φ)を特定する位相検出ユニット202と、少なくとも2つの周波数の各々に関する誘導加熱回路100のインピーダンス(Z)を特定するインピーダンス検出ユニット203を含む。位相シフト(φ)は、AC電源発生装置による供給電圧と誘導加熱回路100に送達された電流との間の位相シフトと解釈することができる。制御装置200は、特定されたインピーダンスと特定された位相シフトとの間の関係に基づいて、誘導加熱回路100の負荷特性を特定する404(事実上、方法400に関する方法ステップ404を表す)処理ユニット204をさらに含む。処理ユニット204はまた、インピーダンス動作範囲を特定し405、負荷特性に基づいて、設定理想値からの位相シフトの量が最小となり、インピーダンス動作範囲内のインピーダンスに関連付けられる、誘導発電装置101のためのAC出力周波数を選択する406。
【0034】
出力周波数を上述のように選択することは、事実上、トランス整合ネットワーク103の電気特性を変化させることに対応し、それによって、誘導加熱回路100内のどのような負荷変化も補償できる。それゆえ、例えば立ち上げもしくはチューニングプロセス中、又はオンライン動作中にリアルタイムで、少なくとも1つのインダクタ109上に少なくとも2つの周波数のAC電源を出力したことに応答して、結果として生じた位相シフトとインピーダンスを特徴付けることにより、誘導加熱回路100の負荷特性を特定することによって、出力周波数を調節して、理想の電源効率基準からの偏差の量が最小となるように最適化できる。このような基準は例えば、実質的にゼロであるか、ゼロに近い位相シフト及び、例えば50オームの同軸ケーブル102のインピータンスに対応するか、又は特定された容認可能なインピーダンス動作範囲内のインピーダンスとすることができる。効率を向上させることにより、誘導加熱回路100内の構成要素、例えば発電装置101の寿命を延ばすことができる。制御装置200により提供される電力制御により、誘導加熱回路100における位相を整合させ、その一方で回路のインピーダンスを最適な値に保つことができる。これは、包装材料107の誘導溶接にとって非常に重要であり、効率又は電力制御の喪失によりプロセスのスループットが制限され、又は積層体もしくはシールそのものが損傷を受ける可能性がある。得られた負荷特性は、誘導加熱回路100の電気特性の長期的予測又は、シーリングプロセス中に急速に変化する負荷変化の短期的もしくはリアルタイムの調整に役立つモデルとしての役割を果たす。短期的又はリアルタイムの変化もまた、包装材料107のシーリングに関係が深く、積層体の材料にはシーリングパルス中にダイナミックな化学的及び/又は機械的変化が生じる可能性がある。
【0035】
図3a~b及び4a~cは、誘導加熱回路100内の異なる周波数(f)に対するインピーダンス(Z)と位相シフト(φ)の例を示す。
図3aは、540kHz付近の周波数(f0)でゼロ位相シフトが起こる例と、それに対応するインピーダンス(z0)を示す。前述のように、誘導加熱回路内に生じた位相シフト(φ)は、少なくとも2つの周波数で発生された電流から特定されている。
図3bもまた、結果として生じた位相シフト(φ)が少なくとも2つの周波数について特定されている例を示している。すなわち、3つ以上の周波数で誘導加熱回路内に生じた位相シフト(φ)を特定することが可能であるものの、2つの周波数だけを使用して、
図3bに示されているように、結果として得られたインピーダンスと位相シフトにリニアカーブをフィットさせれば十分である。したがって、線形負荷特性は、ゼロ度の理想位相シフトからの偏差の量が最小となり、その一方で結果としてのインピーダンス(z0)をzmin~zmaxの間の動作範囲内に保つ入力周波数を選択するために利用される。
図4aもまた、得られた負荷特性が、ゼロ度の理想位相シフトからの偏差の量が最小となり、その一方でこのインピーダンスをzmin~zmaxの間の動作範囲内に保つ入力周波数を選択するためにどのように利用されるかを示す。第一の周波数(f1)は、ゼロと等しい位相シフト(φ1)を提供する。しかしながら、関連するインピーダンス(z1)はzmin~zmaxの間の動作範囲の外にある。それゆえ、たとえ位相φ2が理想設定値よりさらにずれても、出力周波数をf2に高めて、インピーダンスがz2でその範囲内に含まれるようにしなければならない。
【0036】
図4bは他の例を示しており、2つの異なるインピーダンス曲線(za、zb)は誘導加熱回路100の2つの異なる負荷特性を表す。位相シフトはこの場合、どちらの負荷についても同じである。第一の出力周波数(fa)は、
図4aに関して述べた方法にしたがって第一のインピーダンス曲線(za)について特定される。すなわち、理想値(φ=0)からの位相シフト偏差の量を最小にしながら、インピーダンスを動作範囲内(zmin、zmax)に保つために。負荷が変化すると、すなわち
図4bにおいて曲線zbが右にずれると、ゼロ度の位相シフト(φb)を得るためにより低い出力周波数(fb)を選択でき、これはzb-曲線の動作範囲(zmin、zmax)内にあるインピーダンスに関連付けられる。
【0037】
図4cは、インピーダンス(z)と位相シフト(φ)により表される負荷特性が、第一の時間に値faをとる出力周波数の調整を特定するモデルとしての役割を果たす例を示す。この周波数(fa)は正の位相シフトに対応し、位相シフトをゼロに近付けるために、出力周波数を上昇させる必要がある。しかしながら、関連付けられるインピーダンス(za)は動作範囲の最小値(zmin)より低いため、周波数を今度はfbで示される周波数まで下げて、インピーダンスをzbで動作範囲に含まれるようにし、関連する位相シフト(φb)にしなければならない。
【0038】
それゆえ、包装材料107をシールするための、可変負荷を有する誘導加熱回路100を制御する方法400が提供される。方法400は、
図8に概略的に示されている。方法400のステップが記載され、図示されている順序は、限定的と解釈されるべきではなく、ステップは異なる順序で実行できることが理解される。方法400は、誘導加熱回路内の少なくとも1つのインダクタ106上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させるステップ401と、少なくとも2つの周波数で発生された電流の結果として誘導加熱回路内に生じた位相シフト(φ)を特定するステップ402と、少なくとも2つの周波数の各々についての誘導加熱回路のインピーダンス(z)を特定するステップ403と、特定されたインピーダンスと特定された位相シフトとの間の関係に基づいて、誘導加熱回路の負荷特性を特定するステップ404と、を含む。方法400は、インピーダンス動作範囲(zmin、zmax)を特定するステップ405と、負荷特性に基づいて、設定理想値からの位相シフト量が最小となり、インピーダンス動作範囲内のインピーダンスに関連付けられる、誘導発電装置のためのAC出力周波数を選択するステップ406と、を含む。方法400は、前述のような利点を提供する。
【0039】
方法400は、選択された周波数及び関連するインピーダンスのための、少なくとも1つのインダクタ109における電力出力設定点を特定するステップ407を含んでいてもよい。それゆえ、最適な出力周波数が発電装置101から見た電流負荷について特定されると、所望の電力出力を設定できる。すると、発電装置101の電圧は、少なくとも1つのインダクタ109において、特定された設定点での電力を出力するために変化させられる408。制御装置200は、現在選択されている出力周波数のための所望の電力出力を保つように制御装置にフィードバックを提供するための検出ユニット206、例えば電圧化及び電流検出ユニットをさらに有していてもよい。
【0040】
方法400は、少なくとも1つのインダクタ109で電力を出力しながら、選択された出力周波数に関連付けられた誘導加熱回路100内の位相シフトから位相偏差を特定するステップ409と、位相偏差を最小化するように、選択された周波数を変化させるステップ410を含んでいてもよい。負荷特性は、偏差を最小化するために位相シフト内に必要な変化を提供するために、出力周波数をどれだけ変化させるべきかを特定するためのモデルとして使用されてよい。これは、インダクタ109のパルス電源供給中にリアルタイムで行われてよい。特に、包装材料107の各種の積層構成要素の加熱と溶融によって1パルス中に負荷が変化すると、出力周波数を連続的に適応されてもよい。以前特定された負荷特性のデータセットは、おそらくは、モデルデータの外挿を含む履歴平均又は予測解析と共に、必要な周波数補正を概算するためのモデルとして使用されてよい。
【0041】
選択された周波数を変化させて、位相偏差を最小化するステップは、誘導加熱回路100内のインピーダンスがインピーダンス動作範囲内に保たれる間、継続されてよい。しかしながら、例えば
図4cに関して上述したように、インピーダンス制御は位相シフト制御に優先されてよく、それによって方法400は誘導加熱回路内のインピーダンス動作範囲からのインピーダンス偏差を特定するステップ411と、インピーダンス偏差を最小化するために、選択された周波数を変化させるステップ412を含んでいてもよい。インピーダンスが再び所望の動作範囲に含まれると、位相シフト制御が再び優先されてよい。
【0042】
方法400は、位相シフト及びインピーダンスの特定を、発電が開始された開始時間(t0)からの所定のオフセット時間(tt)遅延させるステップ413を含んでもよい。これは、誘導加熱が初期特性に影響を与える遷移プロセスに関連付けられるため、有利であり得る。熱を加えたときの積層体内の包装材料の機械的及び化学的状態間の遷移は、例えば、インピーダンスと位相シフトに影響を与える遷移プロセスを含むことができる。
図5は、インピーダンスが遷移時間(tt)後に安定状態に到達する1つの例を示す。それゆえ、オフセット時間を有することにより、誘導加熱制御の精度を向上させることができる。
【0043】
誘導加熱回路100内の少なくとも1つのインダクタ106、109上に少なくとも2つの周波数のAC電源を発生させるステップは、開始周波数(fs)から終了周波数(fe)までの周波数範囲を通じて周波数掃引を生じさせるステップ414を含んでいてもよい。これは、
図3a及び4a~cに示されている。方法400は、周波数範囲内のそれぞれの周波数について、誘導加熱回路に結果として生じた位相シフトとインピーダンスに基づいて、負荷特性範囲を特定するステップ415を含む。周波数範囲にわたる負荷特性を特定することにより、負荷モデルを改善し、短期もしくはリアルタイムの制御、又は構成要素の寿命を最適化するために傾向を特定する等、長期的予測制御の両方における電力制御を容易にすることができる。
【0044】
誘導加熱回路100は、
図7aに示されるように、複数のインダクタ109’、109’’、109’’’、...、109nを含んでもよい。複数のインダクタの各々について、方法400は、周波数掃引を生じさせるステップ414と、負荷特性を特定するステップ415と、関連するインダクタ109のための出力周波数を選択するステップ406を含んでもよい。前述のように、方法400により複数のインダクタ109のための有利な制御が提供され、これは、出力周波数を、インダクタ109により示される負荷に応じて個々のインダクタ109の各々(及び、特定のインダクタ109に伴う構成要素、例えばバスバー105、ジョー構成要素108、及び包装材料107)についてカスタム化でき、電源制御が非常に複雑となり、低速でよりロバストではないインダクタ109の各々のための専用のトランス103の使用が不要となるからである。方法400と制御装置200により、異なり、変化する負荷を整合させるためのハードウェアによる適応を利用する代わりに、上述の制御ロジックを採用することから、充填機の誘導加熱システムのスケーラビリティが向上する。電源制御ユニット200はそれゆえ、インダクタ106、109の各々において開始周波数(fs)から終了周波数(fe)までの周波数範囲にわたる周波数掃引を生じさせる。処理ユニット204は、周波数範囲内のそれぞれの周波数について、インダクタの各々で結果として生じる位相シフトとインピーダンスに基づいて、インダクタの各々の負荷特性範囲を特定する。
【0045】
複数のインダクタ109の中の対応するインダクタに送達されるAC電源の次のパルスについて、方法400は、対応するインダクタに関連する、以前に入力として記憶された出力周波数を読み出して416、ACパワーの次のパルスのための出力周波数を選択するステップ416を含んでいてもよい。これによって、繰返しパルス電源が供給されたときに、特定のインダクタ109のためのより正確な作動又は開始点を提供できる。このような反復的プロセスにより、選択された出力周波数の精度が改善されるかもしれない。
図7bは、制御装置200のメモリ構造205を概略的に示しており、これは時間t1、t2、...、tmにわたる、対応するインダクタ109’、109’’、109’’’、...、109nの出力周波数の値を記憶してもよい。対応するインダクタ109’ 、109’’、109’’’、...、109nについて、周波数f1’、f1’’、f1’’’、...、f1nのパルスの第一のサイクルであるt1から始まると、t2での次の第二のサイクルは、インダクタ109’のための以前記憶された出力周波数f1’を読み出すことにより開始し、t2での出力として適応された周波数f2’を特定してもよい。特定のインダクタ109の負荷特性を表すインピーダンスと位相シフトデータは、以前記憶された周波数値を改善するためのモデルとして使用されてよい。このようにして、電源制御の精度と効率は時間の経過と共にさらに改善されるかもしれない。
【0046】
複数のインダクタ109の各々のための周波数掃引を生じさせるステップは、複数のインダクタ109の各々におけるパルスの持続時間にわたり開始周波数から終了周波数へと変化する周波数でのAC電源のパルスを発生させるステップ417を含んでいてもよい。それゆえ、1パルス中に、周波数はその負荷特性を得るために調整されてよい。これには、特性をシーリングパルス中に、すなわち包装材料がシールされる時の負荷の変化に追従して特定できるという利点があるかもしれない。それと同時に、このプロセスにより、シーリング中の材料特性の変化により、読み出されるデータにより多くの可変値を導入できる。代替的に、この方法は、AC電源のパルスを発生させるステップ418を含み、各々は、複数のインダクタ109の各々において、開始周波数から終了周波数までの範囲にわたる固定周波数を有する。それゆえ、周波数は、特定のインダクタにパルス電源が供給されるたびに一定に保たれる。インピーダンスと位相シフトは、各パルスの遷移時間(tt)の後、例えば50ms後に特定されてよい。
【0047】
前述のように、少なくとも1つのインダクタは磁気により導電性材料107に連結されてよく、誘導加熱回路100の負荷に貢献する。方法400は、少なくとも2つの連続するAC電源パルスに応答して、少なくとも1つのインダクタと導電性材料107を含む誘導加熱回路100のインピーダンスを特定するステップ419を含んでいてもよく、関連するインピーダンスの各々は、対応するパルスの開始から遷移時間の期間(tt)後に特定される。遷移時間の期間(tt)は、誘導加熱に応答して所定の加熱状態に到達するための期間に対応してもよい。これによって、包装材料107からの負荷への貢献を特定でき、それは、第一のパルスではインダクタと包装材料からの貢献がなされ、第二のパルスでは、材料が第一のパルスの後に安定状態に到達しているため、インダクタ106、109のみからの貢献がなされる。方法は、導電性材料107からの負荷への貢献を特定するステップ420と、さらに、前記貢献の負荷値の範囲を画定して、導電性材料のための負荷閾値を設定するステップ421を含んでもよい。方法400は、負荷閾値からの偏差を検出して、導電性材料の材料特性の変化を認識するステップ422をさらに含んでもよい。変化は、包装材料107の欠陥の結果であるかもしれず、それゆえ、このような欠陥を検出することが可能である。
図6は、インピーダンスが下限負荷閾値(z1)を通過する時間tcにおける偏差の検出を示している。上限負荷閾値は図中、z2で示されている。それゆえ、誘導加熱回路100のロバストさはこのような診断能力により改善される。検出された偏差は、材料の欠陥、又は材料が誤った位置にあることの結果である。
【0048】
前述のように特定される包装材料の負荷特性は、包装材料の、化学的又は機械的特性等の材料特性、例えば積層体内の材料の組成又は厚さを特定するためにも使用されてもよい。
【0049】
さらに、前述の偏差の検出に関して、電気特性のベースラインレベルをまず特定することにより、偏差のための特性閾値を正確に画定してもよい。ベースラインが記録され、保存されたら、充填機の動作中にパラメータが読み出されてよく、記録されたデータがリアルタイムで分析されてよい。データベースラインから逸脱した場合、アラームがトリガされてもよい。包装製造中のシーリングパラメータの変化は、i)中期/長期のベースラインからの低速の逸脱によるもの、及び(ii)突然の急変によるものがあり得る。1つ目のケースでは、データに関する分析は予知保全に使用されてよく、2つ目のケースでは、分析は包装の完全性の潜在的問題に関する即時アラームをトリガするために使用されてよい。1つ目のケースでは、充填機の問題を招く可能性のある問題の幾つかの例は、インダクタのゆっくりとした劣化、トランスの特性のゆっくりとした逸脱、RFケーブルのゆっくりとした劣化、又はインダクタチェーン内のジョーのリンクのゆっくりとした逸脱である。2つ目のケースでは、充填機利用中に包装の完全性に影響を与える可能性のある問題は、包装材料がインダクタの前で曲がったり破れたりするかもしれないこと、又はインダクタの破損であり得る。製造中の負荷への2つの考えられる突然の変化は、通常の機械製造イベントによる変化(例えば、包装材料のつなぎ目、機械の再始動、インダクタの移動、又は包装材料もしくは負荷に関する問題によって変化する可能性がある。
【0050】
本開示によれば、コンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータにより実行されると、コンピュータに前述の方法400のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品も提供される。
【0051】
本開示によれば、シーリンクエッジに沿って導電性材料の部分を含む包装材料107をシールするための前述の方法200の使用もまた提供される。
【0052】
以上、本発明を具体的な実施形態に関して説明した。しかしながら、上述のもの以外の実施形態も、本発明の範囲内で同等に可能である。本発明の異なる特徴とステップは、記載されたもの以外の組合せで組み合わされてもよい。本発明の範囲は、付属の特許請求の範囲によってのみ限定される。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載されているパラメータ、寸法、材料、及び構成はすべて例示のためとされており、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される具体的な用途(複数の場合もある)に依存することが容易にわかるであろう。