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特許7024000毛細血管再充満時間を測るためのアプローチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】毛細血管再充満時間を測るためのアプローチ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/026 20060101AFI20220215BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A61B5/026 120
A61B5/00 101A
A61B5/026 140
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020040430
(22)【出願日】2020-03-10
(62)【分割の表示】P 2017530014の分割
【原出願日】2015-12-14
(65)【公開番号】P2020110616
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】62/091,654
(32)【優先日】2014-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ベゼマー リック
(72)【発明者】
【氏名】フラワー アビゲイル アクトン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ゾン コルネリス コンラドゥス アドリアヌス マリア
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0143655(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0018647(US,A1)
【文献】国際公開第2014/163584(WO,A1)
【文献】特開2013-192651(JP,A)
【文献】特表2003-505133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指に加えられる圧力の解除の際に前記指に対して毛細血管再充満時間を測定するように動作する毛細血管再充満時間測定装置であって、前記毛細血管再充満時間測定装置は、
カメラと、前記カメラから横方向にオフセットされるカメラ光源と、表示コンポーネントと、環境光から前記指をシールドするために前記カメラにクリップされるカフと、
前記毛細血管再充満時間を含む時間間隔に渡って前記指からの光信号を測定するように前記カメラを操作し、
前記測定される光信号の解析に基づいて毛細血管再充満時間値を決定し、
前記決定される毛細血管再充満時間値を前記表示コンポーネント上に表示する
ことを含む操作によって毛細血管再充満時間測定を実行するようにプログラムされる電子プロセッサとを含む、モバイルデバイス
を有し、
前記指が前記カメラ及び前記カメラ光源の上に配置される、
毛細血管再充満時間測定装置。
【請求項2】
前記カメラを操作することは、前記毛細血管再充満時間を含む少なくとも前記時間間隔の間に前記指を照光するように前記カメラ光源を操作することを含む、請求項に記載の毛細血管再充満時間測定装置。
【請求項3】
前記カメラを操作することは、前記指のビデオ又は静止画像の時間シーケンスを収集するように前記カメラ光源を操作することを含み、前記決定は、前記収集されるビデオ又は静止画像の時間シーケンスに基づいて前記毛細血管再充満時間値を決定することを含む、請求項1又は2に記載の毛細血管再充満時間測定装置。
【請求項4】
前記電子プロセッサは、前記毛細血管再充満時間測定を実行するように、一体型毛細血管再充満時間アプリケーションによってプログラムされる、請求項1乃至の何れか一項に記載の毛細血管再充満時間測定装置。
【請求項5】
前記測定される光信号の解析に基づいて前記毛細血管再充満時間値を決定する前記操作は、臨床医によって提供される指示の1つによって前記毛細血管再充満時間間隔の始めを特定することを含む、請求項1乃至の何れか一項に記載の毛細血管再充満時間測定装置。
【請求項6】
前記測定される光信号の解析に基づいて前記毛細血管再充満時間値を決定する前記操作は、前記毛細血管再充満時間を計算するために信号歪を検出するように前記カメラを操作する前記操作によって生成されるカメラ画像ストリームの赤及び/又は緑及び/又は青のコンポーネントを使用する、請求項1乃至の何れか一項に記載の毛細血管再充満時間測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して毛細血管再充満時間の測定に関する。それは、脱水又は大量急性低血圧をテストし、診断する際に小児被験体及び大人被験体の両方のために正確な被験体特定毛細血管再充満時間を提供することとともに特定のアプリケーションを検出する。それはまた、標準化された入力に基づいてこれらの被験体特定計算を臨床医に提供することとともに特定のアプリケーションを検出する。しかしながら、以下もアプリケーションを他の使用シナリオで発見し、前記アプリケーションに必ずしも限られているというわけではないことを理解すべきである。
【背景技術】
【0002】
被験体の毛細血管再充満時間(CRT)は、心血管系健康を評価するのに役に立つ測定基準である。微小循環(例えば毛細管の)の速い再拡散は心血管系が体を通じて効率的に血を分配することができるという良いインジケーションであるが、遅い再拡散は調査を必要としている心血管問題を示す。CRTを評価する現行手法は、「フィンガブランチテスト」と称される、担当臨床医によって作られる主観的な測定値を使用する。このテストにおいて、臨床医が被験体の指を圧搾し、解放し、指がそのピンクがかった色を回復するために必要な秒数を数える(主観的でまれに記録される測定)。臨床医が他の臨床医より激しく被験体の指を圧迫し得るので、フィンガブランチテストは相対的でもある。
【0003】
フィンガブランチテストを受ける指がその始めの色に戻る正確な時間を決定することは主観的であり、一様に適用するのが難しい仕事であることがわかった。いつ組織色が正確にベースライン色に戻ったかを正確に決定し、2又は3秒の閾値のために時間を正確に数えることは、テストの臨床的な値を制限する難しい仕事である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下は、上記の問題及びその他を克服する、新しくて改善された方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様によれば、CRTを測定するための方法が開示される。本方法は、光源から光を放出するステップと、患者の指を特定するために光源の近くに位置されるカメラをスイッチオンするステップとを有する。それから、患者の指は、所定の量の時間の間、圧迫される。モバイルデバイスの一体型アプリケーションが開始され、一体型アプリケーションは光源をつけて、患者の指の色の変化を検出するために、光源の近くに位置されるカメラを使い、この情報を使用し、本方法は患者の指の色の変化の間で経過する時間からCRTを計算する。
【0006】
本アプリケーションの他の態様によれば、光を放出するための光源及び患者の指を特定するように構成される光源の近くのカメラを有する、CRTを測定するための装置が開示される。光源及びカメラをスイッチオンするように構成される少なくとも一つのプロセッサ及び少なくとも一つの患者の指を使って、プロセッサは、さらに、患者の指の色の変化の間で経過した時間からCRTを計算するため、患者の指の色変化を検出するためにカメラを使うように構成される。
【0007】
本出願の他の態様によれば、CRTを測って、計算するためのシステムは開示される。本システムは、開始位置及び終了位置からの患者の指の色の変化の間で経過した時間を決定するためにカメラ及び光源を使って患者のためにCRTを計算するように構成される一つ又はそれより多くのプロセッサを有する。本システムは、患者データを記憶するように構成されるメモリ、臨床情報を送ったり受けたりするように構成される通信ネットワーク、及び少なくとも一つのプロセッサ及びメモリから入力を受信するように構成されるユーザインタフェースを含み、ユーザインタフェースは計算結果を表示するように構成される。
【0008】
1つの利点は、客観的なテスト基準に基づいて被験体のCRTの改善された決定及び計算にある。
【0009】
他の利点は、改善された臨床ワークフローにある。
【0010】
他の利点は、改善された患者の看護にある。
【0011】
本発明の更なる利点は、以下の詳細な説明を読んで、理解すると、当業者に評価されるであろう。
【0012】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの構成、並びに様々なステップ及びステップの構成の形を取り得る。図面は好ましい実施形態を例示するためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】毛細血管再充満時間を計算する方法及び装置を実現する典型的なシステムを例示する。
図2a】被験体の毛細血管再充満時間を捕えて、計算するためにカメラレンズからオフセットされる一体型光源及びカメラレンズを備える毛細血管再充満テスト(CRT)装置を例示する。
図2b】毛細血管再充満時間を計算するために、被験体の指による図1のCRT装置の典型的な使用を例示する。
図2c】アンビエントライトが被験体の指に達することをブロックし、随意にテストの間に均一な圧力を被験体の指にもたらすためのカフで被験体の毛細血管再充満時間を捕えて、計算するためのCRT装置を例示する。
図3】毛細血管再充満時間を計算する使用のための他のCRT装置を例示する。
図4】毛細血管再充満時間を計算する方法を例示する。
図5】血流が正常であり、それからふさがれて、最後に正常に戻るCRTを計算する図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
客観的な技術を使用して患者の毛細血管再充満時間(CRT)を決定する装置及び方法がここに開示される。(より一般的には、開示されるCRT測定技術は、患者又はルーチンの身体検査若しくは臨床スクリーニング等を受けている被験体(簡略化のために、「患者」という語がここに使われる)である被験体に適用されることができる。)1つのアプローチにおいて、すぐに利用できるカメラ、搭載される光源(カメラフラッシュ)、及び一体型アプリケーション(すなわち、電子データ処理装置)を用いて、患者の指は圧搾又は圧迫され、カメラ色スケールのLED波長スケールを用いて、圧迫される前に、患者の指が開始色に戻るにはどれくらいかかるかが決定される。CRTは、色回復の自動評価を使って評価される。 自動アプローチにおいて、標準化された、所定の力を使って患者の指を圧搾する柔軟な不透明カフが提供される。解放時に、カメラは、患者の指がその開始色に戻るまでどれくらいかかるかを決定する。それから、この情報は、モバイルデバイス又は別個の医療装置の何れかの上のユーザインタフェースに送られる。
【0015】
患者のCRTを計算するためのアプローチは、ここに開示される。計算終了時、CRTは、いくつかの実施例において、分類カテゴリーに分類され、結果及び分類はレビューのために臨床医に提出される。成人の患者の場合、CRTは通常、脱水又は急性高血圧に対するテストに使われる。CRTは通常、幼児及び子供における脱水をチェックするために、小児科スペースで使われる。
【0016】
図1に関して、毛細血管再充満時間(CRT)を計算し、臨床医がレビューするためのユーザインタフェースにそれを送るための表現システムを例示するブロック図は示される。システム100は、毛細血管再充満時間間隔にわたって指に対する画像又は光学データを収集するカメラ103と、収集される画像又は光学データから毛細血管再充満時間(CRT)を計算する少なくとも一つの電子プロセッサ104(たとえば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等)と、モバイル又はウエラブルデバイス102から計算された患者情報を送るためのオプションの送信器106と、計算された患者データを記憶する記憶108とを備えるモバイル又はウエラブルデバイス102を好適に含む。いくつかの実施例において、ユーザインタフェース112(たとえば、多機能患者モニタ、ナースステーションコンピュータ等)は、モバイルデバイス102から送られるCRT値を受信するために、通信ネットワーク110を介して相互接続される。更に、又は代わりに、装置102は、それを送ることなく(電子コンポーネント104、106、108は通常、モバイル又はウエラブルデバイス102の内側に配置されるので、それらは表示スクリーン114によってふさがれることは注意される)、CRT値を装置102の表示スクリーン114に表示し、値は、医師、看護師又はCRTを収集する他の医療プロフェッショナルによって適切に読まれて、手動で患者記録に入力される。通信ネットワーク110は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラネットワーク、データバス、ブルートゥース、赤外線又は他の短距離無線接続などの一つ又はそれより多くを含むと考えられる。システムのコンポーネントが中央位置又は複数の遠隔位置に位置されることも評価されるべきである。
【0017】
一つ又はそれより多くのプロセッサ104は前述の機能を具現化し、画像又は光学データを得るためにカメラ103を制御するコンピュータ実行可能な命令を好適に実行し、コンピュータ実行可能な命令はプロセッサ104と関連するメモリ108に記憶される。しかしながら、前述の機能の少なくとも一部は、プロセッサの使用なしに、ハードウェアで実施されることが考えられる。たとえば、アナログ回路は、カメラ103の操作/制御機能のいくつかを実施するために使用されることができる。さらに、システム100のコンポーネントは、プロセッサ104に、通信ネットワーク110にわたって通信し、ユーザインタフェース112にわたって情報を医師に提供するインターフェースを提供する送信器ユニット106を随意に含む。
【0018】
図2(a)に関して、1つの実施例において、図1のモバイルデバイス102は、一体型光源(例えば、LED)202を備えるカメラ搭載モバイルデバイス200(たとえば、カメラ搭載移動電話、カメラ搭載タブレットコンピュータ等)を有し、一体型光源は従来、スチル写真撮影のためのフラッシュ光又は、例えば、ビデオ及びカメラ204をとるための持続照明のためのトーチ光として使われている。概し、カメラ204は、電荷結合素子(CCD)、CMOS又は(一般的に複合レンズのような屈折レンズ要素が提供されるが、ピンホールレンズになり得る)レンズに光学的に結合される他の画像センサアレイを含む。いくつかの実施例において、カメラ204は調節可能なフォーカスを提供するように構成される。カメラ搭載モバイルデバイス200は、適切なファームウェア又はソフトウェアによって、人々、場所、対象物等の写真を収集するために、光源202及びカメラ204を動作させるように構成される。例えば、カメラは「自動露出」カメラであってもよい。ここに開示されるように、カメラは、たとえばモバイルデバイス102上で実行される(概略的に図2(a)において示される)適切なアプリケーションプログラム(「アプリ」)206によって、カメラ204及び光源202を用いて毛細血管再充満時間(CRT)測定を実行するようにさらに構成される。例えば、モバイルデバイス200は(アップル社クパチーノ、CA、USAから入手可能な)iOSモバイルオペレーティングシステムを実行しており、CRTアプリ206はiOSアプリになる。他の実施例において、モバイルデバイス200はAndroidモバイルオペレーティングシステムを実行し、CRTアプリ206はAndroidアプリになる。
【0019】
図2(b)に関して、毛細血管再充満時間を測るために、臨床医は、たとえばモバイルデバイス200のディスプレイ上に示されるCRTアプリ206を表すアイコンに触れることによって、CRTアプリ206を開始する。(ディスプレイはモバイルデバイス200の反対側にあり、それゆえに、図2(a)及び2(b)のビューで見えない。)それから、CRTアプリ206は、ユーザに(たとえば、ディスプレイ上に示されるテキストを介し、及び/又はシミュレーションされた音声メッセージを介して)カメラ204及び一体型光源202の両方に患者の指210の一つを置かせ、圧迫することなく数秒間それをそこで保つことを促す。数秒後、臨床医は、数秒間患者の指210をカメラ204上に圧迫又は圧搾し、それから患者の指上の圧力を解除するが、更に数秒間そこに患者の指210を保持するようにCRTアプリ206によって促される。(他の代わりの実施例において、CRTアプリ206は臨床医に、指を圧迫又は圧搾するように促さないが、代わりに、光学的に検出される指のブランチングに基づいて自動的にこの動作を検出するためにカメラ204の出力をモニタする。)テストとの関連において、CRTアプリ206は、光源202に、指がカメラ204に対して圧迫している点の少なくともすぐ近くにおいて指210を照光する光を生成させるように、一体型光源202を操作する。光源202がカメラ204から横方向にオフセットされるので、光源202は、指がカメラ204に対して圧迫している点を直接照らさないことは注意される。しかしながら、本発明者は通常の人間の指が十分に半透明なので、照明をCRT測定に提供するために、十分な量の光が光源202からカメラ204の視野に「漏れる」ことを発見した。CRTアプリ206は、カメラ204によって生成されるカメラ画像ストリームを解析することによって、患者のCRTを計算する。1つのアプローチにおいて、CRT解析は、画像ストリームの赤及び/又は緑及び/又は青のコンポーネントを利用し、圧搾の始まりを特定する信号歪(例えば色変化)、解除を特定する第二の歪、及び最後に、それらの圧搾前特徴への信号の戻りを探す。CRTは、後の2つのイベントの間で経過した時間から導出されることができる。
【0020】
いくつかのモバイルオペレーティングシステムにおいて、カメラへの低レベルアクセスは、利用できない。そのような場合、指圧迫の始まり、指圧迫の解除、及び色回復の測定の検出は、十分なことに、カメラで得られる「画像」の時系列に基づく。たとえば、ビデオモードにおいて、カメラは、通常1秒につき30フレーム(画像)のレートで画像(フレーム)の時系列を収集し、それは良好なCRT時間分解能のために十分に速い。指10がカメラ204に圧迫されるため、収集される「画像」は実際、焦点が合っていないが、(たとえば、フレーム毎の平均ピクセル強度として計算される)フレーム毎の積分強度は、皮膚色の適切な測定基準になり、色回復を特徴づけるために用いられることができる。
【0021】
図2(c)に関して、変形実施例において、患者のCRTは、図2(a)に関して記述されるハードウェアを使って計算され、CRT測定の前に光源202及びモバイルデバイス200のカメラ204にクリップされる(図2(c)に破線輪郭形式で示される)カフ212を更に含む。患者はカフ212に彼又は彼女の指をすべり込ませ、測定の間、環境光からそれをシールドする。1つの実施例において、カフ212は、不透明で柔軟であるパッシブカフであり、後者はカフ内にある間、臨床医が指を圧搾することを可能にするためである。パッシブカフは指アランメントを提供し、指に加えられる圧力を吸収し、分散させるために、柔らかい材料を含む。
【0022】
他の実施例において、カフ212は、圧力を指に加えるための機械装置としても役立つ、リジッド又は膨張式のカフである。このアプローチにおいて、患者のCRTは、CRT測定の間、環境光から指を保護するためにリジッド又は膨張式のカフ212を使って計算される。リジッドカフの実施例において、標準化された圧力を考慮して、カフは圧搾及び解除動作を実行する一つ又はそれより多くのビルトインサーボモータ(図示略)を含む。膨張式のカフの実施例において、カフは、膨張状態で指に圧力を加えるために、たとえば、カフに組み込まれるダイアフラムポンプを使って膨張され得る。リジッド又は膨張式の実施例において、圧力センサ(図示略)は、加えられる圧力に関して正のフィードバックを提供するために随意に含まれる。有利なことに、堅いカフ212(又は膨張式のカフの膨張ユニット)のサーボモータは、アプリ206が正確な解除時間を知ることを可能にするCRTアプリ206によって制御される。
【0023】
カフ212は不透明又は不明瞭として記載されるが、このことは必ずしも必要とされるというわけではない。アンビエントライトは、それが毛細血管再充満モニタリングを妨害することができる過渡現象を含む限り、問題を含んでおり、毛細血管再充満モニタリングの感度を減らすくらい非常に明るくなる。通常アンビエントライト強度はCRT測定の時間フレームに渡って診療室又は病院において基本的に一定になるので、カフ不透明度は重要でなく、又は半透明カフで十分である。たとえカフ212がアンビエントライトを遮断するように設計されていなくても、CRT測定のための適切な位置に患者の指を導くことは有用であり、すでにいくつかの実施例で記述されるように、カフ212はアクティブな圧力をCRT測定に提供する。
【0024】
図3に関して、他の実施例において、図1の装置102は、アイグラス(すなわち眼鏡)の形態を有する例示の光学ヘッドマウントディスプレイ(OHMD)300のようなウエアラブルデバイスである。OHMD300はカメラ302を含み、OHMD300のディスプレイはフィードバックのためのモニタとしての役割を果たす。装置300は、毛細血管再充満時間(CRT)測定を実行するために、アプリケーションプログラム(「アプリ」)306を実行するマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを更に含む。1つの考えられた実施例において、OHMD300は、AndroidモバイルオペレーティングシステムのGoogleグラス特定バージョン下でアプリケーションプログラム(「アプリ」)306を実行する(Google、マウンテンビュー、CA、USAから入手可能な)Googleグラスユニットである。CRT測定を実行するため、臨床医はOHMD300を着て、患者の手304を見て、それによってカメラ302が手304にフォーカスされる。CRT測定はいろいろな方向で始められ、例えばOHMD300のディスプレイを介して、若しくはOHMDユニット300によって生成されるシミュレーション音声を介して臨床医に提供される命令によって、又は臨床医によって話され、若しくはOHMD300の音声認識コンポーネントによって検出されるバーバルコマンドによって、又は適切な画像セグメンテーション技術を使用して特定されるカメラ304の視野における手304の自動検出によって始められる。カメラ302は関心指爪を検出し(又は代わりに、指の指パッド側を見て)、ベースライン色評価を実行し、ベースライン色インデックス(例えばピーク強度又は赤いチャネルの指爪強度ヒストグラムのAUC)を提供する。それから、臨床医は数秒間、圧力を関心指爪に加える。医師が指を解放するとき、カメラ302は指を再検出し、たとえば、30フレーム/秒で10秒より長く、各々のビデオフレームにおいてその色を記録する。カメラ302は解析されるべきビデオ録画又は静止画像(すなわち写真)の時間シーケンスを用いて患者の指における色変化を捕えることができる。記録の完了の後、CRTは、指爪がそのベースライン色を回復したビデオフレーム又はスチル写真を決定することによって、又は毛細血管再充満時間のより再生可能な決定のために連続ビデオフレームにおける測定色に数学関数をフィッティングすることによって決定される。
【0025】
類似点がカメラ光源202にないという点において、図3の実施例が図2(a)、(b)、(c)の実施例と異なることは注意される。図3の実施例は、指爪の画像を得るために、アンビエントライトに依拠する。更に、又は代わりに、OHMD300の上で光源又は他の光源を含むことが考えられる。
【0026】
図4に関して、患者の毛細血管再充満時間を測るための例示の方法400を図解するプロセスフローチャートが示される。方法400は、単一の指幅をカバーするのに十分近いカメラ及び光源を有する、図2(a)、2(b)、2(c)のカメラ搭載装置200のような装置に適している。操作402において、CRTアプリ206は、モバイルデバイス200上で開始される。CRTアプリ206は操作404において光源202をつけて、操作406においてカメラ204を作動させる。操作408において、患者の指はカメラに押しつけられ、カメラは操作410において患者の指のベースライン色を計算する。ベースライン色は、カメラが患者の毛細血管再充満時間を検出する開始点である。ベースラインの測定操作410の後、臨床医(又は同上を含む実施例の自動カフ212)は、操作412において所定の時間の間、患者の指を圧搾又は圧迫する(すなわち、圧力を加える)。たとえば、患者の指は、いくつかの適切な実施例において、3秒間圧迫される。操作412の終了後、臨床医又は自動カフはそれから、患者の指を解放する。操作414において、カメラは、患者の指のビデオ画像(フレーム)又は静止画像の時系列をとり、CRTアプリ206は、患者の指が圧搾された後にそのベースライン色に戻るまで経過した時間として、患者のCRTを計算する。随意に、操作416において、CRTアプリ206は、データを臨床医のための分類グループに分類する。たとえば、分類グループは、「非常に低い」(例えばCRT<1秒)、「低い」(例えばCRT=1-2秒)、「普通」(例えばCRT=2-3秒)、「高い」(例えばCRT=3-4秒)、「非常に高い」(例えばCRT>4秒)と分類されることができる。操作418において、CRT値及び/又はオプションのCRT分類情報は、臨床医がレビューするためにユーザインタフェースに送られる。
【0027】
図3のOHMD300を使うCRT測定は、同じように実行されることができる。ここにおいて、類似点が操作404になく、操作408は、たとえばOHMD300を着る臨床医に指爪を見させることによってカメラ302を指爪にフォーカスすることに対応する。画像セグメンテーションアルゴリズムは、特に画像における指爪領域を特定するために随意に適用される。
【0028】
図5に関して、CRT測定の間、モバイルデバイス200のカメラ204によって、又はOHMD300のカメラ302によって収集される光信号の実施例が示される。この図はCRTアプリ206、306によって生成され、いくつかの実施例においてユーザインタフェース上に臨床医のために表示される。図の領域502は、何れかの圧力が加えられる前のベースライン光信号502を示す。(矢印504で示される)圧力が加えられるとき、光信号は急速な過渡現象504を経る。この過渡現象の性質は、カメラ、照明及び圧力の源の特定の構成に依存する。図5は、圧力を加える臨床医の手が指爪のビューをふさぐために起こる、信号の激減として過渡現象504を示す。他方、図2(a)、2(b)、2(c)の実施例の場合、カメラ204のビューがふさがれないため、過渡現象は異なる。臨床医又は圧力カフの何れかからの圧力が解除されるとき、更なる過渡現象508は観察される。その後、血液の毛細血管再充満として、カメラは対応する色変化を捕え、時間は一体型アプリケーション410に記録される。色がベースライン色に戻るとき、一体型アプリケーションは記録を止めて、CRTを計算する。
【0029】
毛細血管再充満時間(CRT)がさまざまな方法で定量化されることは評価される。1つのアプローチにおいて、CRTは、領域510における立上がり信号が領域502において観測されるベースライン信号レベルに戻る時間とみなされる。しかしながら、このアプローチは、いくつかのエラーになる傾向がある。たとえば、ある場合において、信号はベースラインを少しオーバシュート又はアンダシュートすることが観測された。改善された精度は、領域510における回復カーブの形状を特徴づけることによって、たとえば回復領域510で指数形を仮定する時定数を決定することによって得られることができる。他のアプローチは、CRTを90%の回復時間(又はいくつかの他の指定点)とみなすことにあり、つまり、光信号がベースライン値の90%に達する時間とみなわれることにあり、CRT測定の精度に関するオーバシュート又はアンダシュートの影響を減らされることができる。
【0030】
CRT測定プロセスは、「開始」時間、つまり、指に加えられる圧力が除去される時間を決定することも含む。これは、さまざまな方法でなされることができる。予測されるアプローチにおいて、制御信号は、圧力の除去を示すために、リアルタイムに提供される。たとえば、作動されたカフ212を含む図2(c)による実施例において、制御信号は、カフ212による、加えられた圧力の除去に好適に対応する。手動圧力アプローチにおいて、予測される開始時間は、医師が圧力を解除するように命じられる時間とみなされることができるが、これは医師がすぐにそうすることを仮定する。遡及的なアプローチにおいて、画像/フレームの時系列又は時間の関数として測定されるカメラチャネル(例えば赤、緑、又は青チャネル)信号が、毛細血管再充満時間間隔を含むのに十分な時間間隔に渡って収集される。たとえば、ビデオストリームの取得の開始は、CRTテストを開始するために臨床医に信号によってトリガされ、ビデオストリームは、数秒乃至数十秒の一定の時間間隔後に、又は測定される画像/フレーム/信号に適用される停止基準によって停止される。これらの遡及的なアプローチにおいて、信号処理は、「開始」時間に対応する圧力の解除を検出するために適用される。例示のために、図5の例において、「開始」時間は、閉塞が取り除かれるとき、(ほとんど瞬間的な)信号ジャンプによって後続される閉塞506の間の信号ロスを検出することによって検出されることができる。(後者は「開始」時間の適切な規定である。)
【0031】
毛細血管再充満プロセスを評価するためにモニタされる光信号は、さまざまに選ばれることもできる。いくつかの実施例として、光信号は、(例えば、CIE座標空間又は他の色空間における適切な色座標を使用して測定される)色値、色合い又は陰影値、(特定の色チャネルのための、又は何れのスペクトル分解なしの測定光のための)強度値等になる。
【0032】
実施例において、CRTは、指のために測られ、従来、CRTは指のために測られる。しかしながら、耳たぶ又は前腕のような、他の解剖学的領域における皮膚に対して毛細血管回復時間を測るために、開示されるCRT測定装置を使用することも考えられる。概してCRT測定は、圧力の点における皮膚をブランチするために指(又は耳たぶ、前腕等)の皮膚に圧力を加えることを必要とし、それから随意に、その圧力の除去時に圧力の点における皮膚に対して毛細血管回復時間を測ることを必要とする。
【0033】
本発明が好ましい実施形態に関して説明されてきた。上記の詳細な説明を読んで理解するとき、他者は修正形態及び改変形態に気付くことがある。添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内に含まれる限り、本発明はそのような全ての修正形態及び改変形態を含むものとして構成されることを意図する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5