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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】トレーニング器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/00 20060101AFI20220215BHJP
   A63B 21/05 20060101ALI20220215BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20220215BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20220215BHJP
   A47C 9/00 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A63B23/00 F
A63B21/05
A63B23/04 Z
A61H1/02 N
A47C9/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020108614
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006408
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 洋明
(72)【発明者】
【氏名】浅野 麻美
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0330502(KR,Y1)
【文献】登録実用新案第3220461(JP,U)
【文献】特開2019-083994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
A63B67/00-71/16
A47C 1/00-16/04
JSTPlus(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
前記座部と対向するように配置された脚部と、
ボタンを有し、前記ボタンが押下された状態で前記座部と前記脚部とが対向する対向方向に伸縮可能に構成され、前記ボタンが押下されていない状態で前記対向方向に伸縮しないように構成されたガススプリングと、
前記ガススプリングの前記ボタンを押下可能に構成された操作レバーと、
前記操作レバーによって前記ボタンが押下された状態で前記操作レバーを保持するように構成され、前記操作レバーによって前記ボタンが押下されていない状態で前記操作レバーを保持するように構成された保持部とを備え
前記保持部は、
前記操作レバーの先端部を回動可能に支持するように構成された支持部と、
前記操作レバーによって前記ボタンが押下された状態と前記操作レバーによって前記ボタンが押下されていない状態とに切り替えて前記操作レバーを保持するように構成された切り替え部とを含み、
前記操作レバーは、軸部と、前記軸部の径方向に前記軸部よりも張り出した板状部とを含み、
前記板状部は、前記軸部の軸方向に前記支持部と前記切り替え部との間に配置され、前記ボタンを覆うように構成されている、トレーニング器具。
【請求項2】
前記切り替え部には前記操作レバーが挿入された溝が設けられており、
前記溝は、第1溝部と、前記第1溝部に連通する第2溝部とを含み、
前記第1溝部および前記第2溝部は前記操作レバーが互いを移動可能に構成されており、
前記第2溝部は、前記第1溝部よりも前記座部の近くに配置されており、
前記第1溝部は、前記操作レバーによって前記ボタンが押下された状態で前記操作レバーを保持するように構成されており、
前記第2溝部は、前記操作レバーによって前記ボタンが押下されていない状態で前記操作レバーを保持するように構成されている、請求項に記載のトレーニング器具。
【請求項3】
前記溝は凹部を含み、
前記第1溝部は、前記座部側に位置する第1頂部を有し、
前記第2溝部は、前記座部側に位置する第2頂部を有し、
前記凹部は、前記第1溝部と前記第2溝部との境に配置されており、前記第1頂部および前記第2頂部から前記脚部に向けて凹むように構成されている、請求項に記載のトレーニング器具。
【請求項4】
前記対向方向に沿って前記座部を前記脚部と反対側から見たときに、前記操作レバーは前記座部から外側に突き出すように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載のトレーニング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーニング器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者、怪我人等の筋力が弱い人は、特に大腿直筋が弱い傾向がある。そのため、高齢者、怪我人等の筋力が弱い人が大腿直筋を重点的に鍛えることができるトレーニング器具が求められる。
【0003】
例えば特開2019-83994号公報(特許文献1)には大腿直筋を重点的に鍛えることができるトレーニング器具が記載されている。この公報に記載されたトレーニング器具は、スクワット運動時に、座部と脚部とが対向する対向方向に伸縮可能に構成された弾性部材を備えている。弾性部材は、対向方向に伸縮することによって脚部に対して最も遠い位置と最も近い位置との間で座部を移動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-83994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載されたトレーニング器具では、脚部に対して最も遠い位置と最も近い位置との間で座部は移動する。そのため、脚部に対して最も遠い位置と最も近い位置との間で座部の高さ位置は保持されない。したがって、このトレーニング器具を椅子として使用することは困難である。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大腿直筋を重点的に鍛えることができ、かつ高さ調整が可能な椅子として使用することができるトレーニング器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトレーニング器具は、座部と、脚部と、ガススプリングと、操作レバーと、保持部とを備えている。脚部は、座部と対向するように配置されている。ガススプリングは、ボタンを有し、ボタンが押下された状態で座部と脚部とが対向する対向方向に伸縮可能に構成され、ボタンが押下されていない状態で対向方向に伸縮しないように構成されている。操作レバーは、ガススプリングのボタンを押下可能に構成されている。保持部は、操作レバーによってボタンが押下された状態で操作レバーを保持するように構成され、操作レバーによってボタンが押下されていない状態で操作レバーを保持するように構成されている。保持部は、操作レバーの先端部を回動可能に支持するように構成された支持部と、操作レバーによってボタンが押下された状態と操作レバーによってボタンが押下されていない状態とに切り替えて操作レバーを保持するように構成された切り替え部とを含んでいる。操作レバーは、軸部と、軸部の径方向に軸部よりも張り出した板状部とを含んでいる。板状部は、軸部の軸方向に支持部と切り替え部との間に配置され、ボタンを覆うように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のトレーニング器具によれば、大腿直筋を重点的に鍛えることができ、かつ高さ調整が可能な椅子として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の構成を概略的に示す側面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の構成を概略的に示す上面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の構成を概略的に示す正面図である。
図5図4のV-V線に沿う断面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具のガススプリング、操作レバーおよび保持部の構成を概略的に示す拡大背面図である。
図7】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具のガススプリング、操作レバーおよび保持部を切り替え部側から見た構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具のガススプリング、操作レバーおよび保持部を支持部側から見た構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図9】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具のガススプリング、操作レバーおよび保持部の構成を概略的に示す拡大上面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の切り替え部および操作レバーの構成を概略的に示す拡大断面図である。
図11】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の操作レバーによってボタンが押下された状態を概略的に示す側面図である。
図12】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の操作レバーによってボタンが押下された状態を概略的に示す断面図である。
図13】本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0011】
まず、本発明の一実施の形態に係るトレーニング器具1の構成について説明する。本実施の形態に係るトレーニング器具1は、高齢者、怪我人等の筋力が弱い人が大腿直筋を重点的に鍛えるために好適に用いられるものである。
【0012】
図1を参照して、本実施の形態に係るトレーニング器具1は、座部2と、脚部3と、ガススプリング4と、操作レバー5と、保持部6とを備えている。
【0013】
図2を参照して、座部2は、使用者の臀部を載せるためのものである。座部2は、座面2aと、高部2bと、低部2cとを有している。座面2aは、座部2の上面に設けられている。高部2bは、座面2aの高さ位置が最も高くなる部分である。高部2bは、座部2の後側に設けられている。低部2cは、座面2aの高さ位置が最も低くなる部分である。低部2cは、座部2の前側に設けられている。座面2aは、全体として高部2bから低部2cに向かって高さ位置が低くなるように構成されている。高部2bの高さ位置と低部2cの高さ位置との差は、例えば5mm以上50mm以下である。座面2aは、全体として後方から前方に向かって高さ位置が低くなるように小さく傾斜している。このため、使用者が座部2に座ったときに、使用者の骨盤が前傾することによって使用者の背筋を伸ばすことができる。なお、座面2aは傾斜していなくてもよい。すなわち、座面2aは水平に設けられていてもよい。
【0014】
図3を参照して、座部2は、上面視において円形状を有している。座部2は、上面視において円形状の外周端を有している。上面視において、座部2の外周端は、脚部3の外周端よりも内側に配置されている。
【0015】
図4を参照して、脚部3は、座部2と対向するように配置されている。すなわち、座部2と脚部3とが対向する対向方向D1において、脚部3は、座部2と向かい合うように配置されている。脚部3は、座部2の底面に対して座面2aと反対側に配置されている。
【0016】
脚部3は、全体として裾広がり形状を有している。脚部3は、ガススプリング4に接続されたテーパ部3aを含んでいる。テーパ部3aは、座部2から離れるにつれてテーパ部3aの直径が大きくなるように構成されている。脚部3が地面に置かれた状態において、地面に対するテーパ部3aの角度は、テーパ部3aが座部2から離れるにつれて小さくなっている。テーパ部3aは、脚部3の中央に配置されている。
【0017】
図3および図4を参照して、脚部3は、上面視において円形状を有している。脚部3は、上面視において円形状の外周端を有している。上面視において、脚部3の外周端は、座部2の外周端よりも外側に配置されている。座部2と脚部3とが対向する対向方向D1に沿って座部2を脚部3と反対側から見て、脚部3の外周端は、座部2の外周端よりも外側に位置する。具体的には、脚部3の外周端は、円形状の全周にわたって、座部2の外周端よりも外側に位置する。脚部3の外周端は、上面視における脚部3の中心から、好ましくは、例えば、100mm以上250mm以下の範囲に配置されている。
【0018】
図4および図5を参照して、ガススプリング4は、座部2と脚部3との間に配置されている。ガススプリング4は、座部2の底面に取り付けられた保持部6と脚部3とを接続している。
【0019】
ガススプリング4は、ロッド4aと、本体部4bとを有している。ガススプリング4は、ガススプリング4の軸方向にロッド4aが本体部4bに対して移動することによって伸縮するように構成されている。ロッド4aは、保持部6に接続されている。本体部4bは、脚部3に接続されている。
【0020】
なお、図5では、説明の便宜のため、ガススプリング4のロッド4aおよび本体部4bの詳細な構造は図示されていない。なお、ガススプリング4のロッド4aおよび本体部4bは、一般的なガススプリングと同様の構造を有していればよい。
【0021】
図5および図6を参照して、ガススプリング4は、ボタンBUを有している。ボタンBUは、ロッド4aの座部2側の先端に設けられている。ボタンBUは、操作レバー5によって押下されるように構成されている。ボタンBUは、操作レバー5によって押下されていない状態ではガススプリング4の内部に封入されたガスによって付勢されている。
【0022】
ガススプリング4は、ボタンBUが押下された状態で座部2と脚部3とが対向する対向方向D1に伸縮可能に構成され、ボタンBUが押下されていない状態で対向方向D1に伸縮しないように構成されている。
【0023】
ガススプリング4は、ボタンBUが押下された状態で対向方向D1に伸縮することによって、対向方向D1において脚部3に対して最も遠い位置と最も近い位置との間で座部2を移動させるように構成されている。対向方向D1において座部2の脚部3に対して最も遠い位置は座部2の上端位置である。対向方向D1において座部2の脚部3に対して最も近い位置は座部2の下端位置である。ガススプリング4は、対向方向D1に沿って直線状に座部2を移動させるように構成されている。
【0024】
ガススプリング4は、ボタンBUが押下された状態で対向方向D1に座部2を付勢するように構成されている。ガススプリング4は、ボタンBUが押下された状態では、座部2に脚部3に向けて力が加えられない限り、座部2を上端に位置させるように構成されている。すなわち、ガススプリング4は、ボタンBUが押下された状態では、座部2に力が加えられない限り、上端位置と下端位置との間で止まらないように構成されている。
【0025】
対向方向D1において座部2が移動するときに、対向方向D1に対する座面2aの角度は維持されている。対向方向D1に対する座面2aの角度が維持されているため、座面2aが前方に倒れ込むことはない。
【0026】
ガススプリング4は、ボタンBUが押下されていない状態で対向方向D1において座部2を移動させないように構成されている。すなわち、ガススプリング4は、ボタンBUが押下されていない状態で対向方向D1において座部2の位置を維持するように構成されている。
【0027】
ガススプリング4は、ボタンBUが押下された状態で対向方向D1において座部2を移動させてからボタンBUが押下されていない状態にされることで、座部2の位置を調整可能に構成されている。
【0028】
ガススプリング4の反力は、好ましくは、200N以上500N以下である。ガススプリング4の反力が200N未満だとガススプリング4の反力による補助力(サポート力)が感じられず、スクワット運動の補助効果が得られない。また、ガススプリング4の反力が500Nを超えるとサポート力が強すぎて体重が軽い使用者はスクワット運動できない。
【0029】
座部2を移動させるときのガススプリング4の反力の最小値に対する最大値の増加率は、好ましくは、500mm/min(分)の条件で圧縮試験した場合、10%/1cm以内である。このため、座部2を移動させるときのガススプリング4の反力の変動が抑えられる。
【0030】
操作レバー5は、ガススプリング4を操作するためのものである。操作レバー5は、ガススプリング4が伸縮する状態または伸縮しない状態に、ガススプリング4を切り替えるように構成されている。操作レバー5は、ガススプリング4のボタンBUを押下可能に構成されている。操作レバー5は、保持部6に取り付けられている。
【0031】
図3および図4を参照して、操作レバー5は、上面視において、座部2よりも外側に張り出している。対向方向D1に沿って座部2を脚部3と反対側から見たときに、操作レバー5は座部2から外側に突き出すように構成されている。操作レバー5は、上面視において、脚部3よりも外側に張り出している。対向方向D1に沿って座部2を脚部3と反対側から見たときに、操作レバー5は座部2から外側に突き出しつつ脚部3よりも外側まで延在している。
【0032】
図5図7を参照して、保持部6は、操作レバー5を保持するように構成されている。保持部6は、座部2の底面に取り付けられている。保持部6は、ガススプリング4の上側先端部に取り付けられている。保持部6は、座部2とガススプリング4とを接続している。
【0033】
保持部6は、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態で操作レバー5を保持するように構成され、操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態で操作レバー5を保持するように構成されている。
【0034】
保持部6は、カバー部61と、筒状部62と、フランジ部63とを有している。カバー部61は、座部2の底面に取り付けられている。カバー部61は、筒状部62の外周面に取り付けられている。筒状部62の内周面にガススプリング4の先端部が取り付けられている。カバー部61の内部には内部空間が設けられている。カバー部61の内部空間において、フランジ部63は筒状部62の外周面に取り付けられている。
【0035】
保持部6は、支持部6aと、切り替え部6bとを含んでいる。支持部6aおよび切り替え部6bは、フランジ部63に取り付けられている。支持部6aおよび切り替え部6bは、フランジ部63から座部2に向けて起立するように構成されている。支持部6aおよび切り替え部6bは、ボタンBUを挟んで向かい合うように配置されている。
【0036】
図8を参照して、カバー部61の側壁には開口OPが設けられている。開口OPを通じて操作レバー5の先端部TPがカバー部61の内部空間に挿入されている。支持部6aは、操作レバー5の先端部TPを回動可能に支持するように構成されている。支持部6aは、操作レバー5の先端部TPを支点として操作レバー5が回動するように、操作レバー5の先端部TPを支持している。支持部6aには貫通孔HLが設けられている。貫通孔HLは、支持部6aおよび切り替え部6bが向かい合う方向に支持部6aを貫通している。貫通孔HLは、例えば正方形状に構成されている。支持部6aの貫通孔HLに操作レバー5の先端部TPが挿入されている。操作レバー5の先端部TPは、例えば円柱形状に構成されている。
【0037】
操作レバー5の先端部TPにはピンPIが取り付けられている。ピンPIは、例えば操作レバー5の先端部TPに設けられ、先端部TPの円筒形状の径方向に先端部TPを貫通する孔に挿入されている。ピンPIは支持部6aに対して切り替え部6bと反対側に配置されている。ピンPIは、貫通孔HLの最大寸法よりも大きな長さを有している。ピンPIは、操作レバー5の先端部TPが貫通孔HLを通って切り替え部6b側に移動しないように構成されている。
【0038】
図8および図9を参照して、操作レバー5は、軸部5aと、板状部5bとを含んでいる。軸部5aは、円柱形状に構成されている。板状部5bは、軸部5aの径方向に軸部5aよりも張り出している。板状部5bは、平板形状に構成されている。板状部5bの幅は、例えば、溝GPの幅以上の大きさを有している。
【0039】
板状部5bは、軸部5aの軸方向に支持部6aと切り替え部6bとの間に配置されている。板状部5bは、ボタンBUを覆うように構成されている。板状部5bは、操作レバー5が第1溝部G1に保持された状態または操作レバー5が第2溝部G2に保持された状態の両方においてボタンBUを覆うように構成されている。板状部5bは、ボタンBUの上面の全体を覆うように構成されている。板状部5bは、操作レバー5が第1溝部G1と第2溝部G2との間を移動するためにスライドするときに、ボタンBUを覆うように構成されている。
【0040】
図7および図10を参照して、切り替え部6bは、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態と操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態とに切り替えて操作レバー5を保持するように構成されている。切り替え部6bは、操作レバー5がボタンBUを押下した状態で操作レバー5を保持可能に構成されている。また、切り替え部6bは、操作レバー5がボタンBUを押下していない状態で操作レバー5を保持可能に構成されている。そして、切り替え部6bは、操作レバー5がボタンBUを押下した状態と、操作レバー5がボタンBUを押下していない状態とを切り替え可能に構成されている。
【0041】
切り替え部6bには溝GPが設けられている。溝GPは支持部6aおよび切り替え部6bが向かい合う方向に切り替え部6bを貫通している。切り替え部6bの溝GPには操作レバー5が挿入されている。溝GPは、第1溝部G1と、第2溝部G2とを含んでいる。第2溝部G2は、第1溝部G1に連通する。第1溝部G1および第2溝部G2は互いに連通した状態で隣り合うように配置されている。第1溝部G1および第2溝部G2は操作レバー5が互いを移動可能に構成されている。
【0042】
第1溝部G1は、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態で操作レバー5を保持するように構成されている。第1溝部G1は、操作レバー5によってガススプリング4の内部に封入されたガスの付勢力に抗してボタンBUが押し下げられた状態で、操作レバー5を保持するように構成されている。
【0043】
第2溝部G2は、操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態で操作レバー5を保持するように構成されている。第2溝部G2は、ガススプリング4の内部に封入されたガスによってボタンBUが付勢された状態で操作レバー5を保持するように構成されている。
【0044】
第1溝部G1は、座部2側に位置する第1頂部A1と、脚部3側に位置する第1底部B1とを有している。第2溝部G2は、座部2側に位置する第2頂部A2と、脚部3側に位置する第2底部B2とを有している。第1溝部G1の第1底部B1と第2溝部G2の第2底部B2とは同じ高さ位置に配置されている。つまり、第1溝部G1の第1底部B1と第2溝部G2の第2底部B2とは面一に構成されている。
【0045】
第2溝部G2の第2頂部A2は、第1溝部G1の第1頂部A1よりも座部2側の高い位置に配置されている。第2溝部G2は、第1溝部G1よりも座部2の近くに配置されている。第2溝部G2は、第1溝部G1よりも長い形状を有している。第1溝部G1および第2溝部G2は全体として略L字状に構成されている。
【0046】
溝GPは凹部DPを含んでいる。凹部DPは、第1溝部G1と第2溝部G2との境に配置されている。凹部DPは、第1溝部G1の第1頂部A1および第2溝部G2の第2頂部A2から脚部3に向けて凹むように構成されている。
【0047】
次に、本実施の形態に係るトレーニング器具1の使用状態について説明する。
図2および図5を参照して、操作レバー5によってガススプリング4のボタンBUが押下されていない状態について説明する。この状態では、ガススプリング4は対向方向D1に伸縮しないため、座部2の高さ位置が維持される。また、ガススプリング4のボタンBUが押下され対向方向D1に座部2が移動されてから、ボタンBUが押下されていない状態とされることで、座部2の高さ位置が調整される。したがって、座部2の高さ位置が希望する高さ位置に調整されることによって、トレーニング器具1が高さ調整が可能な椅子として使用される。
【0048】
図10を参照して、操作レバー5によってガススプリング4のボタンBUが押下されていない状態では、操作レバー5は第2溝部G2に保持されている。この状態から図10中矢印Xで示されるように操作レバー5が第2溝部G2から第1溝部G1に移動されることで操作レバー5によってガススプリング4のボタンBUが押下された状態に切り替えられる。
【0049】
図11および図12を参照して、操作レバー5によってガススプリング4のボタンBUが押下された状態について説明する。この状態では、ガススプリング4は対向方向D1に伸縮可能であるため、対向方向D1において座部2は移動可能である。したがって、スクワット運動時に、ガススプリング4を伸縮させて座部2を対向方向D1に移動させることによって大腿直筋を重点的に鍛えることができる。また、対向方向D1において座部2の高さ位置を調整することができる。
【0050】
図13を参照して、トレーニング器具1が地面20に置かれた状態で使用者10がトレーニング器具1を用いてスクワット運動を行う様子について説明する。図13において、対向方向D1は上下方向に一致している。
【0051】
図13において、上端位置まで上昇した座部2は実線で示されており、下端位置まで下降した座部2は一点鎖線で示している。座部2が上端位置まで上昇した状態でガススプリング4は最も伸びている。座部2が下端位置まで下降した状態でガススプリング4は最も縮んでいる。
【0052】
座部2が上端位置まで上昇した状態において、座面2aの上端から脚部3の下端までの距離は、好ましくは、例えば、450mm以上800mm以下である。また、座部2が下端位置まで下降した状態において、座面2aの上端から脚部3の下端までの距離は、好ましくは、例えば、300mm以上700mm以下である。
【0053】
使用者10が膝12を曲げて腰を落とすことによって座部2に下方へ向かって力が加えられた場合、座部2は下方向に移動する。座部2が下方向に移動する際には、ガススプリング4の反力によって使用者10の臀部の下方向への移動が補助される。このため、使用者10はガススプリング4の反力によって体重を支えられる。したがって、座部2が下方向に移動する際には、使用者10の筋肉にエキセントリック(筋肉が伸ばされながら負荷がかかる)な負荷が加わることが抑制される。
【0054】
使用者10がトレーニング器具1で補助された状態で立ち上がる場合には、座部2は上方向に移動する。座部2が上方向に移動する際には、ガススプリング4の反力によって使用者10の臀部の上方向への移動が補助される。対向方向D1に対する座面2aの角度が維持された状態で、対向方向D1において脚部3に対して最も遠い位置と最も近い位置との間で座部2が移動する。したがって、座面2aの角度がそのままの状態で座部2が上下に移動するため、水平方向(左右方向)において使用者10の重心と使用者10の足11の地面20との接地点とが近づかない。そのため、大腿直筋が効果的に鍛えられる。
【0055】
上述のように、使用者10が立ち上がって座部2が上昇する局面(上昇フェーズ)では、大きく筋活動することができる。他方、使用者10が腰を落として座部2が下降する局面(下降フェーズ)では、使用者10は休息することができる。
【0056】
ガススプリング4の反力によって使用者10の臀部が支えられているため、使用者10の膝12を曲げた状態において足11の接地点の上方に膝12を位置させることができる。このため、使用者10の重心が後方に維持される。したがって、上昇フェーズにおいて大腿直筋の筋活量が高くなる。
【0057】
また、対向方向D1に沿って座部2を脚部3と反対側から見て、脚部3の外周端は、座部2の外周端よりも外側に位置する。このため、使用者10の膝12を曲げた状態において足11の接地点の上方に膝12を位置させることが促進される。また、使用者10の足11が座部2の真下に置かれることが抑制される。したがって、使用者10の膝12は屈曲しすぎない。すなわち、使用者10の膝関節が過剰に曲がることが抑制される。
【0058】
次に、本実施の形態に係るトレーニング器具1の作用効果について説明する。
本実施の形態に係るトレーニング器具1よれば、保持部6は、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態で操作レバー5を保持するように構成され、操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態で操作レバー5を保持するように構成されている。このため、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態で、ガススプリング4が伸縮することで座部2を移動させることによって大腿直筋を重点的に鍛えることができる。また、操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態で、ガススプリング4が伸縮しないことで、座部2の高さ位置を維持することができる。したがって、トレーニング器具1を高さ調整が可能な椅子として使用することができる。
【0059】
また、本実施の形態に係るトレーニング器具1によれば、支持部6aは、操作レバー5の先端部TPを回動可能に支持するように構成されている。切り替え部6bは、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態と操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態とに切り替えて操作レバー5を保持するように構成されている。操作レバー5は、軸部5aと、軸部5aの径方向に軸部よりも張り出した板状部5bとを含んでいる。板状部5bは、軸部5aの軸方向に支持部6aと切り替え部6bとの間に配置され、ボタンBUを覆うように構成されている。したがって、支持部6aを支点として操作レバー5が操作されることで、ボタンBUよりも手前に支点がある場合よりも、操作レバー5の移動量を大きくすることができる。したがって、操作レバー5の移動量を確保することができる。また、操作レバー5の移動量が大きくなっても板状部5bによってボタンBUを確実に押下することができる。よって、操作レバー5の移動量を確保しつつボタンBUを確実に押下することができる。このため、操作レバー5の操作性を向上させることができる。
【0060】
また、支持部6aを支点として操作レバー5が操作されるため、ボタンBUよりも手前に支点がある場合よりも、支点から作用点までの距離が大きくなる。このため、操作レバー5が移動量を一定としたときに、ボタンBUよりも手前に支点がある場合よりも、操作レバー5を操作する力を小さくすることができる。
【0061】
また、本実施の形態に係るトレーニング器具1によれば、第1溝部G1は、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態で操作レバー5を保持するように構成されている。第2溝部G2は、操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態で操作レバー5を保持するように構成されている。このため、第1溝部G1は、操作レバー5によってボタンBUが押下された状態で操作レバー5を保持することができる。また、第2溝部G2は、操作レバー5によってボタンBUが押下されていない状態で操作レバー5を保持することができる。
【0062】
また、本実施の形態に係るトレーニング器具1によれば、凹部DPは、第1溝部G1の第1頂部A1および第2溝部G2の第2頂部A2から脚部3に向けて凹むように構成されている。このため、操作レバー5が第1溝部G1および第2溝部G2を互いに移動するときに、操作レバー5は凹部DPを超えないと第1溝部G1および第2溝部G2を互いに移動することができない。したがって、操作レバー5が第1溝部G1および第2溝部G2を互いに移動するときに、凹部DPによって操作レバー5が誤って移動することを抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係るトレーニング器具1によれば、対向方向D1に沿って座部2を脚部3と反対側から見たときに、操作レバー5は座部2から外側に突き出すように構成されている。このため、使用者10が座部2に座った状態で操作レバー5を見つけやすくすることができる。したがって、使用者10が座部2に座った状態で操作レバー5を操作しやすくすることができる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 トレーニング器具、2 座部、3 脚部、4 ガススプリング、5 操作レバー、5a 軸部、5b 板状部、6 保持部、6a 支持部、6b 切り替え部、A1 第1頂部、A2 第2頂部、B1 第1底部、B2 第2底部、BU ボタン、D1 対向方向、DP 凹部、GP 溝、G1 第1溝部、G2 第2溝部、HL 貫通孔、OP 開口、PI ピン、TP 先端部。
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