(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】エレベータの群管理制御装置および群管理制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20220215BHJP
【FI】
B66B1/18 K
(21)【出願番号】P 2020206675
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】槇岡 良祐
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 弘太
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特許第6972259(JP,B1)
【文献】特開2016-141558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータを群管理し、所定階床の乗場に設置された、行先階の方向を指定して前記エレベータの乗りかごを呼ぶ上下呼びを登録する上下呼び登録装置と、行先階を指定してエレベータの乗りかごを呼ぶ行先階呼びを登録する行先階呼び登録装置とに接続され、
乗場呼び登録方式を、前記上下呼びによる登録方式と、前記行先階呼びによる登録方式とで切り替える乗場呼び登録方式切替部と、
前記乗場呼び登録方式切替部により、乗場呼び登録方式が前記上下呼びによる登録方式に切り替えられているときには、呼びが割り当てられていない乗りかごを前記所定階床に帰着させて自動戸開させる自動戸開制御を実行し、
乗場呼び登録方式が前記行先階呼びによる登録方式に切り替えられているときには、前記自動戸開制御を実行せず、
乗場呼び登録方式が前記行先階呼びによる登録方式から前記上下呼びによる登録方式に切り替えられた後、前記所定階床で登録された未応答の行先階呼びがあるときには、前記自動戸開制御を実行しない自動戸開制御部と
を備えることを特徴とするエレベータの群管理制御装置。
【請求項2】
前記行先階呼び登録装置で行先階呼び登録操作を行った利用者について、当該行先階呼び登録操作後の移動経路を追跡した情報を取得する追跡情報取得部と、
前記追跡情報取得部で取得した情報に基づいて、前記利用者が、前記行先階呼びに割り当てられた乗りかご以外の乗りかごに乗り込んだことを検知すると、乗り込んだ乗りかご内に、誤乗車を報知する情報を出力させる報知情報出力部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの群管理制御装置。
【請求項3】
前記報知情報出力部は、前記行先階呼びに割り当てられた乗りかごが前記所定階床で戸開したことを検知すると、前記所定階床の乗場に、割り当てられた乗りかごが戸開したことを報知する情報を出力させる
ことを特徴とする請求項2に記載のエレベータの群管理制御装置。
【請求項4】
前記報知情報出力部は、前記行先階呼びに割り当てられた乗りかごが前記所定階床で戸開したことを検知すると、該当する行先階の情報を戸開した乗りかご内に出力させる
ことを特徴とする請求項2または3項に記載のエレベータの群管理制御装置。
【請求項5】
前記自動戸開制御部は、前記乗場呼び登録方式切替部により乗場呼び登録方式が前記上下呼びによる登録方式に切り替えられたときに、前記所定階床で登録された未応答の行先階呼びがあるときには、所定期間、呼びが割り当てられていない乗りかごを前記所定階床で自動戸開させないように制御する
ことを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載のエレベータの群管理制御装置。
【請求項6】
複数のエレベータを群管理し、所定階床の乗場に設置された、行先階の方向を指定して前記エレベータの乗りかごを呼ぶ上下呼びを登録する上下呼び登録装置と、行先階を指定してエレベータの乗りかごを呼ぶ行先階呼びを登録する行先階呼び登録装置とに接続された群管理制御装置が、
乗場呼び登録方式を、前記上下呼びによる登録方式と、前記行先階呼びによる登録方式とで切り替える乗場呼び登録方式切替ステップと、
前記乗場呼び登録方式切替ステップにより、乗場呼び登録方式が前記上下呼びによる登録方式に切り替えられているときには、呼びが割り当てられていない乗りかごを前記所定階床に帰着させて自動戸開させる自動戸開制御を実行し、
乗場呼び登録方式が前記行先階呼びによる登録方式に切り替えられているときには、前記自動戸開制御を実行せず、
乗場呼び登録方式が前記行先階呼びによる登録方式から前記上下呼びによる登録方式に切り替えられた後、前記所定階床で登録された未応答の行先階呼びがあるときには、前記自動戸開制御を実行しない自動戸開制御ステップと
を有することを特徴とするエレベータの群管理制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの群管理制御装置および群管理制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のエレベータを群管理するエレベータシステムには、利用者が乗場呼び登録を行う装置として、行先階呼び登録装置と上下呼び登録装置との双方を有するシステムがある。行先階呼び登録装置は、各利用者が、乗場で行先階を指定してエレベータの乗りかごを呼ぶ行先階呼びを登録する装置であり、上下呼び登録装置は、乗場で行先階の方向を指定してエレベータの乗りかごを呼ぶ上下呼びを登録する装置である。
【0003】
このエレベータシステムでは、時間帯や利用者数によって、乗場呼び登録方式が呼び行先階呼びによる登録方式と上下呼びによる登録方式とで切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、複数台のエレベータを群管理するエレベータシステムでは、出勤時間帯の建物入口がある基準階(例えば1階)など、エレベータの需要が高くなることが予測される階床に、呼びが割り当てられていないエレベータの乗りかごを帰着させて自動戸開させる制御を行う場合がある。このような制御を行うことで、混雑する乗場で、利用者の待ち時間を低減させることができる。
【0006】
この自動戸開の制御を行うと、当該制御により基準階に帰着した乗りかごと、乗場呼びに割り当てられて基準階に移動した乗りかごとの双方が、当該基準階の乗場で同時に戸開することがある。
【0007】
そのため、行先階呼びによる登録方式に切り替えられているエレベータシステムで、当該自動戸開制御により帰着した乗りかごと乗場呼びに割り当てられた乗りかごとが同時に戸開すると、利用者が、呼びに割り当てられた乗りかごとは異なる乗りかごに乗車してしまう可能性がある。このような事態が起こると、エレベータシステムの運転効率が低下してしまう。
【0008】
そこで、乗場呼び登録方式を切り替え可能に構成されたエレベータシステムでは、乗場呼び登録方式が上下呼びによる登録方式に切り替えられているときにのみ自動戸開制御を有効として、行先階呼び登録方式に切り替えられているときには当該制御を無効にしている。
【0009】
しかし、このように自動戸開制御の有効/無効を設定すると、乗場呼び登録方式が行先階呼びによる登録方式から上下呼びによる登録方式に切り替えられた直後に、自動戸開制御対象の階床で登録された未応答の行先階呼びが残っていても、自動戸開制御が実行されてしまうことがある。この場合、当該階床にいる利用者が、呼びに割り当てられた乗りかごとは異なる乗りかごに乗車してしまい、エレベータシステムの運転効率が低下することがあるという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、行先階呼び登録装置と上下呼び登録装置との双方が設置されたエレベータシステムで、乗りかごを自動で所定階に帰着および戸開させる制御を行う際に、当該階の行先階呼び登録装置で乗場呼びを登録した利用者が、当該呼びに割り当てられた乗りかご以外の乗りかごに誤乗車することを防止するためのエレベータの群管理制御装置および群管理制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータの群管理制御装置は、複数のエレベータを群管理し、上下呼び登録装置と行先階呼び登録装置とに接続され、上下呼びによる登録方式に切り替えられているときには、呼びが割り当てられていない乗りかごを所定階床に帰着させて自動戸開させる自動戸開制御を実行し、行先階呼びによる登録方式に切り替えられているときには自動戸開制御を実行せず、上下呼びによる登録方式に切り替えられた後、所定階床で登録された未応答の行先階呼びがあるときには自動戸開制御を実行しない自動戸開制御部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態による群管理制御装置を利用したエレベータの全体図である。
【
図2】第1実施形態による群管理制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態による群管理制御装置を利用したエレベータの全体図である。
【
図4】第2実施形態による群管理制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《第1実施形態》
〈第1実施形態による群管理制御装置を用いたエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1は、建物内に設置された複数台のエレベータ(A号機エレベータ10A、B号機エレベータ10B、およびC号機エレベータ10C)と、乗場に設置された上下呼び登録装置20、30、および行先階呼び登録装置40と、群管理制御装置50-1とを備える。本実施形態において上下呼び登録装置20、30は各階の乗場に設置され、行先階呼び登録装置40は、建物入口がある基準階(1階)に設置されている。
図1においては、エレベータ乗場として1階のみを示している。
【0014】
A号機エレベータ10Aは、乗りかご11Aと、A号機制御装置12Aとを有する。A号機制御装置12Aは、乗りかご11Aの位置情報、走行状況情報、戸開閉状況情報、荷重状態情報等を、エレベータ情報として群管理制御装置50-1に出力する。またA号機制御装置12Aは、群管理制御装置50-1からの割り当て指令によりA号機エレベータ10Aを行先階呼び又は上下呼びの登録階へ応答させ、戸開させる。
【0015】
B号機エレベータ10BおよびC号機エレベータ10Cは、A号機エレベータ10Aと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0016】
上下呼び登録装置20、30は、乗場の利用者が、行先階の方向を指定して乗りかご11A~11Cのいずれかを呼ぶ上下呼びを登録するための装置である。行先階呼び登録装置40は、乗場の利用者が、行先階を指定してエレベータの乗りかごを呼ぶ行先階呼びを登録するための装置である。
【0017】
群管理制御装置50-1は、A号機エレベータ10A、B号機エレベータ10B、およびC号機エレベータ10Cを群管理する。群管理制御装置50-1は、乗場呼び登録部51と、呼び登録方式切替部52と、割り当て制御部53と、割り当て指令出力部54と、自動戸開制御部55とを有する。
【0018】
乗場呼び登録部51は、上下呼び登録装置20、30から取得した上下呼びの情報を受け付けて登録するとともに、行先階呼び登録装置40から取得した行先階呼びの情報を受け付けて登録する。
【0019】
呼び登録方式切替部52は、コンピュータのソフトウェア機能として、外部装置からの切替え操作又はエレベータ10A~10Cの需要に基づき、1階の乗場呼び登録方式の切替え指令を出力する。
【0020】
割り当て制御部53は、乗場呼び登録方式が行先階呼びに切り替えられているときに、乗場呼び登録部51に登録された行先階呼びの情報と、各エレベータ10A~10Cの制御装置12A~12Cから取得したエレベータ情報とから各エレベータを評価し、最適な行先階呼び割り当て号機を決定する。また割り当て制御部53は、乗場呼び登録方式が上下呼びに切り替えられているときに、乗場呼び登録部51に登録された上下呼びの情報と、各エレベータ10A~10Cの制御装置12A~12Cから取得したエレベータ情報とから各エレベータを評価し、最適な上下呼び割り当て号機を決定する。
【0021】
割り当て指令出力部54は、呼び割り当て制御部53で決定された割り当て号機情報に基づいて、該当するエレベータへ割り当て指令を出力する。
【0022】
自動戸開制御部55は、呼び登録方式切替部52により、乗場呼び登録方式が上下呼びによる登録方式に切り替えられているときには、呼びが割り当てられていない乗りかごを基準階である1階に帰着させて自動戸開させる自動戸開制御を実行する。また自動戸開制御部55は、乗場呼び登録方式が行先階呼びによる登録方式に切り替えられているときには、自動戸開制御を実行しない。また、自動戸開制御部55は、乗場呼び登録方式が行先階呼びによる登録方式から上下呼びによる登録方式に切り替えられた後、1階で登録された未応答の行先階呼びがあるときには、自動戸開制御を実行しない。
【0023】
〈第1実施形態による群管理制御装置を用いたエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1の動作について、
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
本実施形態において、群管理制御装置50-1の呼び登録方式切替部52により、乗場呼び登録方式が行先階呼び登録方式に切り替えられているときには、1階では行先階呼び登録装置40が有効であり、上下呼び登録装置20、30が無効の状態になっている。また、乗場呼び登録装置として上下呼び登録装置のみが設置されている他の階床では、それぞれ上下呼び登録装置が有効の状態になっている。また、乗場呼び登録方式が行先階呼び登録方式に切り替えられているときには、自動戸開制御部55により、自動戸開制御が無効に設定されている。
【0025】
ここで、利用者の操作により1階の行先階呼び登録装置40で行先階呼びが登録され、当該呼び登録に対して乗りかご11A~11Cが未応答の状態のときに、呼び登録方式切替部52により乗場呼び登録方式が上下呼び登録方式に切り替えられたものとする(S1の「YES」)。
【0026】
乗場呼び登録方式が上下呼び登録方式に切り替えられると、乗場呼び登録部51は、行先階呼び登録装置40と上下呼び登録装置20、30とが併設されている1階については、乗場呼びを上下呼び登録装置20、30から受け付けるように切り替える。
【0027】
また、乗場呼び登録方式が上下呼び登録方式に切り替えられると、自動戸開制御部55は、乗場呼び登録部51に登録された情報に基づいて、自動戸開制御対象の1階で登録された未応答の行先階呼びがあるか否かを判断する(S2)。ここでは、自動戸開制御部55は、1階で登録された未応答の行先階呼びがあることを認識し(S2の「YES」)、1階への自動戸開制御が無効の状態を継続する(S3)。
【0028】
そして、1階で登録された行先階呼びに割り当てられた乗りかご(例えば、乗りかご11A)が1階に移動して戸開したことで、当該行先階呼びへの応答が完了すると(S2の「NO」)、自動戸開制御部55は、1階に対する自動戸開制御を有効にする(S4)。自動戸開制御を有効にすると、自動戸開制御部55は、以降呼びが割り当てられていない乗りかごが発生すると、当該乗りかごを1階に帰着させて自動戸開させるように制御する。
【0029】
その後、呼び登録方式切替部52により乗場呼び登録方式が行先階呼び登録に切り替えられると(S5の「YES」)、自動戸開制御部55は、1階への自動戸開制御を無効にして、ステップS1に戻る(S6)。
【0030】
以上の第1実施形態によれば、行先階呼び登録装置40と上下呼び登録装置20、30との双方が設置されたエレベータシステム1で、乗りかごを自動で基準階に帰着および戸開させる制御を行う際に、当該階の行先階呼び登録装置40で乗場呼びを登録した利用者が、当該呼びに割り当てられた乗りかご以外の乗りかごに誤乗車することを防止することができる。
【0031】
《第2実施形態》
〈第2実施形態による群管理制御装置を用いたエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図3を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム2は、乗りかご11A、11B、11C内にそれぞれかご内スピーカ装置111A、111B、111Cが設置され、1階の乗場に乗場スピーカ装置60が設置され、群管理制御装置50-2が、追跡情報取得部56と、報知情報出力部57とを有する他は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1の構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施形態において追跡情報取得部56は、例えば、1階乗場に設置されたカメラ装置(図示せず)やセンサ(図示せず)を利用して、行先階呼び登録装置40で行先階呼び登録操作を行った利用者について、呼び登録操作後の移動経路を追跡した情報を取得する。
【0033】
報知情報出力部57は、追跡情報取得部56で取得した情報に基づいて、当該利用者が、行先階呼びに割り当てられた乗りかご以外の乗りかごに乗り込んだことを検知すると、乗り込んだ乗りかご内に、誤乗車を報知する情報を出力させる。
【0034】
〈第2実施形態による群管理制御装置を用いたエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム2の動作について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
本実施形態において、ステップS1、S2で実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。ステップS2において、自動戸開制御部55が1階で登録された未応答の行先階呼びがあることを認識すると(S2の「YES」)、1階への自動戸開制御が無効の状態を継続し(S3)、ステップS7に移行する。
【0036】
ステップS7では、追跡情報取得部56が、現在登録されている行先階呼びの登録操作を行った利用者について、呼び登録操作後の移動経路を追跡した情報を取得する。そして、報知情報出力部57が、追跡情報取得部56で取得した情報に基づいて、当該利用者が、行先階呼びに割り当てられた乗りかご以外の乗りかご、例えば乗りかご11Bに乗り込んだことを検知すると、乗り込んだ乗りかご11Bに対応するB号機制御装置12Bに、誤乗車を報知するためのアナウンス情報を送信する。B号機制御装置12Bは、取得したアナウンス情報を、乗りかご11B内のかご内スピーカ装置111Bから出力させる(S8)。
【0037】
その後、当該行先階呼びへの応答が完了した後(S2の「NO」)に実行されるステップS4~S6の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
以上の第2実施形態によれば、乗場呼び登録方式が上下呼び登録方式に切り替えられたときに、基準階の行先階呼びに対する割り当て号機以外の乗りかご、例えば当該基準階にかご呼びにより着床した乗りかごが戸開し、当該利用者が間違って乗車したときに、当該利用者に誤乗車を報知し、降車を促すことができる。
【0039】
上述した報知情報出力部57は、行先階呼びに割り当てられた乗りかごが1階で戸開したことを検知すると、1階の乗場スピーカ装置60に、割り当てられた乗りかごが戸開したことを報知する情報を出力させるようにしてもよい。またこのときに、該当する行先階の情報を、戸開した乗りかご内のかご内スピーカ装置から出力させるようにしてもよい。これらの処理を行うことにより、さらに利用者の誤乗車を防止することができる。
【0040】
また、上述した実施形態において、自動戸開制御部55は、呼び登録方式切替部52により乗場呼び登録方式が上下呼びによる登録方式に切り替えられたときに、1階で登録された未応答の行先階呼びがあるときには、所定期間、呼びが割り当てられていない乗りかごを所定階床で自動戸開させないように制御するようにしてもよい。登録方式が切り替えられてから自動戸開させない状態を所定期間継続することにより、行先階呼び登録装置40が乗場から離れた場所にあり、利用者が行先階呼びの登録操作を行ってから乗りかごに乗り込むまでに時間がかかって既に割り当て号機の応答が完了している場合であっても、所定時間割り当て号機以外の乗りかごを自動戸開させず、利用者の誤乗車を防止することができる。
【0041】
また、上述した実施形態において、自動戸開制御対象の階床に乗場呼び登録装置として上下呼び登録装置のみが設置されている場合には、他の階床で未応答の行先階呼び登録があっても、自動戸開制御の実行が開始される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1,2…エレベータシステム、10A~10C…エレベータ、12A~12C…制御装置、20,30…上下呼び登録装置、40…行先階呼び登録装置、50-1,50-2…群管理制御装置、51…乗場呼び登録部、52…呼び登録方式切替部、53…割り当て制御部、54…割り当て指令出力部、55…自動戸開制御部、56…追跡情報取得部、57…報知情報出力部、60…乗場スピーカ装置、111A~111C…かご内スピーカ装置
【要約】 (修正有)
【課題】行先階呼び登録装置と上下呼び登録装置との双方が設置されたエレベータシステムで、乗りかごを自動で所定階に帰着および戸開させる制御を行う際に、当該階の行先階呼び登録装置で乗場呼びを登録した利用者が、当該呼びに割り当てられた乗りかご以外の乗りかごに誤乗車することを防止するための群管理制御装置を提供する。
【解決手段】群管理制御装置は、複数のエレベータを群を管理し、上下呼び登録装置20と行先階呼び登録装置40とに接続され、上下呼びによる登録方式に切り替えられているときには、呼びが割り当てられていない乗りかごを所定階床に帰着させて自動戸開させる自動戸開制御を実行し、行先階呼びによる登録方式に切り替えられているときには自動戸開制御を実行せず、上下呼びによる登録方式に切り替えられた後、所定階床で登録された未応答の行先階呼びがあるときには自動戸開制御を実行しない自動戸開制御部55を備える。
【選択図】
図1