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特許7024080エラストマー性クッション要素およびポケットコイル層を備えたマットレス、および関連した方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】エラストマー性クッション要素およびポケットコイル層を備えたマットレス、および関連した方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/05 20060101AFI20220215BHJP
   A47C 23/04 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A47C27/05
A47C23/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020527078
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 US2018060680
(87)【国際公開番号】W WO2019099359
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】15/816,983
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521542889
【氏名又は名称】パープル イノベーション,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,トニー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン,ラーズ・クリステン
(72)【発明者】
【氏名】ウェドン,タナー・リック
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/072022(WO,A1)
【文献】実開昭57-201261(JP,U)
【文献】特表2010-530764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0261518(US,A1)
【文献】米国特許第07640611(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0174344(US,A1)
【文献】米国特許第06397418(US,B1)
【文献】特表2008-515604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 23/04-23/057,27/04-27/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と、
前記ベース層の上のコイル層であって、複数のポケットコイルを備えたコイル層と、
前記コイル層の上上層と、
スクリム布地を備えた安定化層と、
前記安定化層の上エラストマー性クッション要素であって、前記エラストマー性クッション要素のエラストマー材が、前記安定化層を通じて染み出し、前記安定化層を前記エラストマー性クッション要素の底部に固定し、前記安定化層および前記エラストマー材が、前記上層の上面に接触して位置決めされている、エラストマー性クッション要素と
前記ベース層、前記コイル層、前記上層、前記安定化層、および前記エラストマー性クッション要素を、同じ受容部内に包む外側覆いと、
を備える、マットレス組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のマットレス組立体において、前記エラストマー性クッション要素は、5.08cm(2.0インチ)から11.43cm(4.5インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマットレス組立体において、前記コイル層は、15.24cm(6.00インチ)から20.32cm(8.00インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【請求項4】
請求項に記載のマットレス組立体において、前記コイル層は、19.05cm(7.50インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【請求項5】
請求項1に記載のマットレス組立体において、
前記ベース層および前記上層の外周のまわりに延びる1つまたは複数のサイドパネルと、
前記1つまたは複数のサイドパネルの少なくとも部分的なまわりで前記上層の上に配設された外側覆いとをさらに備える、マットレス組立体。
【請求項6】
請求項1に記載のマットレス組立体において、前記ベース層と前記上層の両方は、ポリウレタンフォームで構成される、マットレス組立体。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載のマットレス組立体において、前記エラストマー性クッション要素は、10.16cm(4.0インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のマットレス組立体において、前記安定化層と前記上層の間に配設された接着剤をさらに備える、マットレス組立体。
【請求項9】
請求項に記載のマットレス組立体において、前記接着剤は、ラテックス水系接着剤を含む、マットレス組立体。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のマットレス組立体において、前記ベース層は、1.905cm(0.75インチ)から3.81cm(1.50インチ)の厚さを有し、前記上層は、0.635cm(0.25インチ)から1.905cm(0.75インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【請求項11】
請求項1からのいずれか一項に記載のマットレス組立体において、前記複数のポケットコイルの各ポケットコイルは、
複数のケーシングと、
前記複数のケーシング内に配設されたコイルとを備える、マットレス組立体。
【請求項12】
請求項11に記載のマットレス組立体において、各ポケットコイルの前記複数のケーシングは、
第1のケーシングと、
前記第1のケーシング内に配設された第2のケーシングとを備え、前記コイルは、前記第2のケーシング内に配設されている、マットレス組立体。
【請求項13】
請求項11に記載のマットレス組立体において、少なくとも1つの前記エラストマー性クッション要素は、前記上層の上で異なる位置に配設された複数の別個のエラストマー性クッション要素を備える、マットレス組立体。
【請求項14】
マットレス組立体を形成する方法であって、
ベース層の上にコイル層を配設する工程と、
前記コイル層の上に上層を配設する工程と、
前記上層の上にエラストマー性クッション要素を配設する工程であって、安定化層および、前記安定化層を通じて前記安定化層の下面に染み出している前記エラストマー性クッション要素のエラストマー材を、前記上層に接触させて位置決めすることを含み、前記安定化層は、前記エラストマー性クッション要素の底部に位置し、前記エラストマー材が、前記安定化層を前記エラストマー性クッション要素の前記底部に固定する、工程と、
前記ベース層、前記コイル層、前記上層、前記安定化層および前記エラストマー性クッション要素を一緒に包むために、前記ベース層、前記コイル層、前記上層、前記安定化層および前記エラストマー性クッション要素の上に外側覆いを配設する工程と
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記エラストマー性クッション要素の厚さは、前記マットレス組立体の厚さ全体の15.0%から32.0%を占める、方法。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の方法において、ベース層の上にコイル層を配設する工程は、
複数のケーシング内に複数のコイルを配設する工程であって、前記複数のコイルの各コイルは、少なくとも2つのそれぞれのケーシング内に配設される、工程と、
前記ベース層の上に前記複数のコイルを配設する工程とを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、複数のケーシング内に複数のコイルを配設する工程は、ポリプロピレンバッグ内に前記複数のコイルを配設する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、「エラストマー性クッション要素およびポケットコイル層を備えたマットレス、および関連した方法」についての2017年11月17日に出願した米国特許出願第15/816,983号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、ポケットコイル層を備えたマットレスなどのクッション要素、およびそのようなマットレスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
クッション材は、マットレス、座面、靴の中敷き、包装、医療デバイス等などの様々な用途を有する。クッション材は、クッション付き本体に対するピーク圧力を減少させるように構築および/または構成することができ、これにより人間または動物にとっての快適さを高めることができ、物体を損傷から保護することができる。クッション材は、負荷を受けて偏向または変位する材料、例えば、ポリエチレンフォームまたはポリウレタンフォーム(例えば、コンボルーティッドフォーム)、ビニル、ゴム、ばね、天然または合成繊維、流体が充填されたフレキシブルコンテナなどの形態であり得る。異なるクッション材は、所与の圧力に対して様々な応答を有することができ、一部の材料は、異なる用途によく適し得る。クッション材は、選択された特性を実現するように互いに組み合わされて使用され得る。例えば、マットレスは、クッション材に所望の結果を実現するために、フォーム、エラストマーゲルなどの層で組み合わされているポケットコイルを含むことができる。
【0004】
マットレスでは、ばね(例えば、コイルばね)は、その耐久性および圧縮に耐える能力のためにフォームより好ましい可能性がある。ばねは、フォームの感触より使用者に望ましい可能性がある感触を与えることもできる。これらの利点にもかかわらず、ばねは、肯定的な美的体験および/または触覚体験がマットレスのサイドパネルを通じて見られるまたは感じられる場合、それらを与えることができず、マットレスの側でばねの感触を隠すように製造者を促す。解決策の1つは、マットレスのカバーに構造を与えるマットレスの縁のまわりのワイヤフレームを含む。しかしながら、ワイヤフレームの金属は、マットレスのカバーを通じて感じられ得る。加えて、そのようなワイヤフレームは、使用中に圧縮を処理したり、発送および/または収納のために、ログ、箱などで発送される消費者に直販するマットレスなどのマットレスを梱包したりするのに特に適していないものであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、マットレス組立体は、ベース層と、ベース層の上に配設され、複数のポケットコイルを備えたコイル層と、コイル層の上に配設された上層と、上層の上に配設されたエラストマー性クッション要素であって、約5.08cm(2.0インチ)から約11.43cm(4.5インチ)の範囲内の厚さを有するエラストマー性クッション要素とを備えることができる。
【0006】
他の実施形態では、マットレス組立体は、ベース層と、ベース層の上に配設されたコイル層と、コイル層の上に配設された上層と、上層の上に配設された少なくとも1つのエラストマー性クッション要素とを備えることができる。コイル層は、複数のポケットコイルを備えることができ、複数のポケットコイルの各ポケットコイルは、複数のケーシングと、複数のケーシング内に配設されたコイルとを備えることができる。少なくとも1つのエラストマー性クッション要素は、約5.08cm(2.0インチ)から約11.43cm(4.5インチ)の範囲内の厚さを有することができる。
【0007】
さらなる実施形態では、マットレス組立体を形成する方法は、ベース層の上にコイル層を配設する工程と、コイル層の上に上層を配設する工程と、上層の上にエラストマー性クッション要素を配設する工程であって、エラストマー性クッション要素の厚さは、マットレス組立体の厚さ全体の約15.0%と約32.0%の間を含む工程と、少なくとも上層の上に外側覆いを配設する工程とを含むことができる。
【0008】
本明細書は、本開示の各実施形態とみなされるものを特に指摘し、別々に主張する権利主張を終えるが、本開示の実施形態の様々な特徴および利点は、以下の添付図面を参照して読むとき、本開示の例示の実施形態に係る以下の説明からより容易に確かめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示によるマットレス組立体の斜視図である。
図2図1のマットレス組立体の簡略化された斜視図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態によるエラストマー性クッション要素の斜視図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体の横断面図である。
図5】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体の横断面図である。
図6】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体の横断面図である。
図7】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体の横断面図である。
図8】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体の上概略図である。
図9】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体の上概略図である。
図10】本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体を形成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、本開示の実施形態の徹底的な説明を与えるために、材料の種類、製造プロセス、用途、および構造などの特定の詳細を与える。しかしながら、当業者は、本開示の実施形態は、これらの特定の詳細を用いることなく実施できることを理解するであろう。実際には、本開示の実施形態は、当業界で用いられる従来の製造技法および材料とともに実施され得る。
【0011】
以下の詳細な説明において、添付図面の参照がなされる。この添付図面は、本明細書の一部であり、添付図面には、例示によって、本開示を実施することができる特定の実施形態が示されている。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施することを可能にするように十分詳細に説明される。しかしながら、他の実施形態が、利用されてもよく、構造上、手順上、およびその他の変更が、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書中に示される図示は、任意の特定のシステム、装置、構造、またはプロセスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を説明するために用いられる理想化された図である。本明細書中に示される図面は、必ずしも原寸に比例しない。様々な図面における同様の構造または構成要素は、読者の便宜のために同一または類似の番号付けを保持し得るが、番号付けの類似性は、構造または構成要素が必然的にサイズ、組成、構成、または他の特性が同一であることを意味しない。
【0012】
本明細書に使用されるとき、「第1の」、「第2の」、「上」、「下」、「上側」、「ベース」等などの任意の関係を示す用語は、本開示および添付図面の理解における明確化および便宜のために使用され、文脈上別段明確に示す場合を除いて、何ら特定の選択または順序を暗示するものでも、またはそれに依存するものでもない。例えば、これらの用語は、従来のやり方で眠るために向けられるときのマットレスの要素の向きに言及する場合がある。さらに、これらの用語は、図面に示されるようなマットレス組立体の要素の向きに言及する場合がある。
【0013】
本明細書に使用されるとき、所与のパラメータ、特性、または状態に関する用語「実質的に」は、当業者が所与のパラメータ、特性、または状態が許容可能な製造公差内など多少のばらつきで満たされると理解する程度までを意味するおよび含む。例えば、実質的に満たされるパラメータは、少なくとも約90%満たされてもよく、少なくとも約95%満たされてもよく、またはさらには少なくとも約99%満たされてもよい。
【0014】
本明細書に使用されるとき、用語「エラストマー性ポリマー」は、変形後にその元のサイズおよび形状に戻ることができるポリマーを意味するおよび含む。言い換えれば、エラストマー性ポリマーは、弾性または粘弾性を有するポリマーである。エラストマー性ポリマーは、当業界で「エラストマー」とも呼ばれ得る。エラストマー性ポリマーは、限定するものではないが、ホモポリマー(単一の化学的単位が繰り返されるポリマー)、およびコポリマー(2つ以上の化学的単位を有するポリマー)を含む。
【0015】
本明細書に使用されるとき、用語「エラストマー性ブロックコポリマー」は、A-BジブロックコポリマーおよびA-B-Aトリブロックコポリマーなどの共に結合されたホモポリマーの群またはブロックを有するエラストマー性ポリマーを意味するおよび含む。A-Bジブロックコポリマーは、ホモポリマーの2つの別個のブロックを有する。A-B-Aトリブロックコポリマーは、単一のホモポリマー(A)の2つのブロックを有し、それぞれが異なるホモポリマー(B)の単一ブロックに結合されている。
【0016】
本明細書に使用されるとき、用語「可塑剤」は、材料の加工性(workability)を増大させるために、別の材料(例えば、エラストマー性ポリマー)に加えられる物質を意味し、これを含む。例えば、可塑剤は、材料の可撓性、柔軟性、または伸び性を増大させることができる。塑剤は、限定することなく、鉱油などの炭化水素流体を含む。炭化水素可塑剤は、芳香族または脂肪族であり得る。
【0017】
本明細書に使用されるとき、用語「エラストマー材料」は、エラストマー性ポリマー、ならびにエラストマー性ポリマーと可塑剤および/または他の材料の混合物を意味し、これらを含む。ラストマー材料は、弾性である(すなわち、変形後にサイズおよび形状を戻すことができる)。エラストマー材料は、限定することなく、当業界で「エラストマーゲル」、「ゼラチン状エラストマー」、または単に「ゲル」と呼ばれる材料を含む。
【0018】
本開示実施形態は、マットレス組立体の厚さ全体の約15.0%と約32.0%の間で備えるエラストマー性クッション要素を有するマットレス組立体を含む。例えば、エラストマー性クッション要素は、マットレス組立体の厚さ全体の約30.8%を含み得る。
【0019】
本開示の追加の実施形態は、複数のコイルを備えたコイル層を有し、この複数のコイルの各コイルが複数のケーシング(例えば、バッグ)に配設されている、マットレス組立体を含む。例えば、各コイルは、2つ以上のポリプロピレンバッグ内に配設され得る。
【0020】
本開示のさらなる実施形態は、マットレス組立体の1つまたは複数の層間に配設されるラテックス水系接着剤を有するマットレス組立体を含む。
【0021】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるマットレス組立体100を示す。図2は、図1のマットレス組立体100の簡略化された上面斜視図を示す。図2では、マットレス組立体100の様々な部分が破断図を与えるとともに、マットレス組立体100の内部構成要素をより良く示すように取り除かれている。図1および図2を共に参照すると、1つまたは複数の実施形態では、マットレス組立体100は、ベース層102と、コイル層104と、上層106と、エラストマー性クッション要素108と、縁部119と、1つまたは複数のサイドパネル114と、外側覆い112とを備えることができる。
【0022】
ベース層102は、ほぼ平坦な上面と下面を有することができる。コイル層104は、ベース層102の上面およびベース層102と上層106の間に配設することができる。特に、上層106は、コイル層104の上に配設することができ、コイル層104の上で少なくとも実質的に延びることができる。エラストマー性クッション要素108は、上層106の上面の上に配設することができ、上層106の少なくとも一部の上で延びることができる。縁部119は、エラストマー性クッション要素108の外周縁のまわりに延びることができる。1つまたは複数のサイドパネル114は、ベース層102および上層106の外周に沿って延びることができ、上層106とベース層102の間に配設することができる。さらに、1つまたは複数のサイドパネル114は、ベース層102の上面によって定められる平面に直交する平面内で延びることができる。外側覆い112は、ベース層102から延びることができ、コイル層104、上層106、およびエラストマー性クッション要素108を少なくとも実質的に包むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、マットレス組立体100は、エラストマー性クッション要素108と上層106の間に安定化材116を備えることができる。いくつかの例では、安定化材116は、比較的薄い材料(例えば、コットンスパンデックスブレンド「スクリム」)で構成することができ、エラストマー性クッション要素108を別のエラストマー性クッション要素108および/または上層106の上面などの周囲材料に接着(例えば、膠で接合)する表面を用意するために使用され得る。いくつかの実施形態では、安定化材116は、スクリム布地(例えば、織物材料または不織物材料)で構成することができ、エラストマー性クッション要素108の一部は、安定化材116のスクリム布地を通じて染み出る(例えば、中に溶融融合する、通じてにじみ出る、通じて押す、通じて漏れる、通過するなど)ことができる。例えば、エラストマー性クッション要素108が(以下に説明されるような)ゲル材料を含むとき、ゲル材料の一部は、安定化材116を通じて熱融合することができる。安定化材116のスクリム布地を通じて延びるエラストマー性クッション要素108の一部は、安定化材116の下側面(例えば、上層106の上面に接触する表面)上の滑らない面または滑りが減少した面を作り出すことができる。エラストマー性クッション要素108によって作り出された滑らない面または滑りが減少した面は、クッション材が互いに対して所定の場所に留まるのを助けることができる。
【0024】
さらに、いくつかの実施形態では、接着剤は、安定化材116と上層106の上面の間に配設することができる。しかしながら、接着剤は、縁部119と上層106の間に配設されなくてもよい。さらに、接着剤は、ベース層102とコイル層104の間に配設することができる。また、接着剤は、コイル層104と上層106の間に配設することができる。さらに、接着剤は、1つまたは複数のサイドパネル114とコイル層104の間に配設することができる。いくつかの実施形態では、接着剤は、ラテックス水系接着剤で構成することができる。例えば、1つまたは複数の実施形態では、接着剤は、シマルファ(SIMALFA)(登録商標)338およびシマルファ(SIMALFA)(登録商標)310のうちの1つまたは複数で構成することができる。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、マットレス組立体100は、マットレス組立体100のコイル層104と上層106の間に安定化材116を備えなくてもよい。しかしながら、いくつかの例では、接着剤は、安定化材116と上層106の上面の間に配設することができる。例えば、接着剤は、上述した接着剤のうちの任意のものを含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、外側覆い112は、エラストマー性クッション要素108に固定するまたは一体とすることができる伸縮可能な材料で構成することができる。そのような伸縮可能な材料は、2016年3月7日に出願したピアース(Pearce)の米国特許出願第15/062,621号に説明されており、その開示全体は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、ベース層102および上層106は、ポリウレタンフォームで構成することができる。さらなる実施形態では、ベース層102および上層106は、記憶ポリウレタンフォーム、ラテックス気泡ゴム、または任意の他の適切な気泡のうちの1つまたは複数で構成することができる。いくつかの実施形態では、ベース層102は、公称密度が約32kg/m(約2.0lb/ft)であり、押し込み荷重(ILD)が55(すなわち、55ILD)であるポリウレタンフォームで構成することができる。さらに、上層106は、公称密度が約32kg/m(約2.0lb/ft)であり、18ILDであるポリウレタンフォームで構成することができる。1つまたは複数のサイドパネル114は、ポリウレタンフォーム、または当業界で知られている任意の他のスペーサーファブリックで構成することもできる。例えば、1つまたは複数のサイドパネル114は、2017年7月28日に出願したムーン(Moon)らの米国特許出願第15/662,934号に記載されたサイドパネルのいずれかを含むこともでき、その本開示は、この参考により全体として本明細書に組み込まれる。
【0028】
コイル層104は、複数のコイル118(例えば、スチールコイル)を含むことができ、複数のコイル118の各コイル118は、少なくとも1つのそれぞれのケーシング120(例えば、ポリプロピレンのソックスまたはバッグ)に入れられ得る。例えば、各ケーシング120は、それぞれのコイル118のためのポケットを形成することができる。言い換えれば、複数のコイル118は、複数のポケットコイル118を備えることができる。いくつかの実施形態では、各コイル118は、比較的薄い-ゲージ、たる形(例えば、螺旋形)、ノットレスコイルを含むことができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、各コイル118は、複数のケーシング120に入れられ得る。例えば、各コイル118は、二重バッグまたは三重バッグであり得る。1つまたは複数の実施形態では、ケーシング120は、ポリプロピレン材料で構成することができる。
【0029】
ケーシング120は、2プライのポリプロピレン不織材料で構成することができる。1つまたは複数の実施形態では、ポリプロピレン不織材料は、ベリー(BERRY)(登録商標)製品1430408、1430379、および1430538のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、ケーシング120の各プライは、約0.10mmおとび約0.40mmの範囲内の厚さを有することができる。非限定の例として、ケーシング120の各プライは、約0.15mmと約0.30mmの範囲内の厚さを有することができる。しかしながら、任意の適切な材料が、使用されてもよい。ケーシング120は、消音効果をもたらすことができる。
【0030】
例えば、マットレス組立体100は、マットレス組立体100から音響レベルを測定するために、Galaxy S6アクティブフォンに対し、グーグルプレイストア(Google Play Store)からAbe Appsによるアプリケーションサウンドメーター(SOUND METER)を利用する試験方法に従って試験された。試験方法の最中、上述したケーシング120によって覆われる各コイル118を有する3×3コイル構造は、15秒の持続期間にわたって複数回圧縮され、3×3コイル構造は、約35デシベルと約45デシベルの範囲内の平均音響レベルを示した。例えば、3×3コイル構造は、約40デシベルの平均音響レベルを示した。比較では、従来のマットレスは、上記試験方法に従って試験されるとき、約50デシベルの平均音響レベルを示した。したがって、各コイル118を複数のケーシング120(例えば、第1のケーシング120および第2のケーシング120)で包むことによって、本開示のマットレス組立体100は、従来のマットレス組立体を上回って有利であり得る。例えば、マットレス組立体100は、従来のマットレスよりも静かであり得る(例えば、従来のマットレスよりも約20%少ない音響を示し得る)。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数のコイル118の各コイル118の各ケーシング120は、個々および別個であり得る。さらなる実施形態では、複数のコイル118のケーシング120は、接続(すなわち、接合)することができ、単一体を形成することができる。さらに、複数のコイル118の各コイル118は、ベース層102の上面に少なくとも実質的に垂直(すなわち、直角)な方向に縦に延びることができる。さらに、複数のコイル118は、アレイ(例えば、行列、またはグリッドパターン)で互いに隣に向けることができ、コイル層104を形成するようになっている。
【0032】
図3は、エラストマー性クッション要素108の簡略化された斜視図である。エラストマー性クッション要素108は、1つずつ成形されたエラストマー性クッション要素108を含み得る。例えば、エラストマー性クッション要素108の全体は、単一の成形プロセスによって形成され得る。いくつかの実施形態では、エラストマー性クッション要素108は、バックリング壁122を備えることができる。エラストマー性クッション要素108のバックリング壁122は、互いに相互接続することができ、拡張された形態で中空のコラム124または空所を画定することができる。本明細書に使用されるとき、用語「拡張された形態」は、エラストマー性クッション要素108がその元のサイズおよび形状を有する状態を意味し、これを含み、バックリング壁122は、別個であり、中央コラム124を画定する。
【0033】
バックリング壁122は、2つの方向に延びることができ、直角に交差し、正方形の空所126を画定する。しかしながら、いくつかの実施形態では、バックリング壁122は、他の角度で交差し、他の形状、例えば、三角形、平行四辺形、六角形などの空所126を画定することができる。エラストマー性クッション要素108は、追加の構造および構成を備えることができ、例えば、2013年5月7日に発行された「ゲルばねを備えるクッション(Cushions Comprising Gel Springs)」という名称の米国特許第8,434,748号、2014年1月14日に発行された「コア構造を備えたクッション、および関連した方法(Cushions Comprising Core Structures and Related Methods)」という名称の米国特許第8,628,067号、2014年12月30日に発行された「バックリング壁を備えたクッション要素、およびそのようなクッション要素を形成する方法(Cushioning Elements Comprising Buckling Walls and Methods of Fonning Such Cushioning Elements)」という名称の米国特許第8,919,750号、2015年1月13日に発行した「変形可能な膜を備えたクッション、および関連した方法(Cushions Comprising Deformable Members and Related Methods)」という名称の米国特許第8,932,692号に記載されている構造および構成であり、これらの各々の開示全体は、この参照による本明細書に組み込まれている。
【0034】
バックリング壁122は、エラストマー材料で形成することができる。エラストマー材料は、例えば、1999年11月30日に発行された「ゼラチン状エラストマー、およびそれを作製および使用する方法、およびそこから作製される物品(Gelatinous Elastomer and Methods of Making and Using the Same and Articles Made Therefrom)」という名称の米国特許第5,994,450号(以下、「’450特許」とする)、2011年6月21日に発行された「中間ブロックでMWの広い分布を有するゲル(Gel with Wide Distribution of MW in Mid-Block)」という名称の米国特許第7,964,664号、1983年1月18日に発行された「熱可塑性のエラストマーゼラチン状組成物(Thermoplastic Elastomer Gelatinous Compositions)」という名称の米国特許第4,369,284号、2014年12月30日に発行された「バックリング壁を備えたクッション要素、およびそのようなクッション要素を形成する方法(Cushioning Elements Comprising Buckling Walls and Methods of Forming Such Cushioning Elements)」という名称の米国特許第8,919,750号(以下、「’750特許」とする)に記載されており、その各々の開示は、この参照により全体として本明細書に組み込まれる。エラストマー材料は、エラストマー性ポリマーおよび可塑剤を含み得る。エラストマー材料は、(ゲル、エラストマーゲル、またはエラストマーゲルとも当業界で呼ばれる)ゼラチン状エラストマー、熱可塑性のエラストマー、天然ゴム、合成エラストマー、天然エラストマーと合成エラストマーのブレンドなどであり得る。
【0035】
エラストマー性ポリマーは、A-B-Aトリブロックコポリマー、例えば、スチレンエチレンプロピレンスチレン(SEPS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、およびスチレンエチレンエチレンプロピレンスチレン(SEEPS)であり得る。例えば、A-B-Aトリブロックコポリマーは、商品名セプトン(SEPTON)(登録商標)4055という名でテキサス州ヒューストンのクラレアメリカ社(Kuraray America,Inc.)から、および商品名クレイトン(KRATON)(登録商標)E1830、クレイトン(KRATON)(登録商標)G1650、およびクレイトン(KRATON)(登録商標)G1651という名でテキサス州ヒューストンのクレイトンポリマー社(Kraton Polymers,LLC)から現在市販されている。これらの例では、「A」ブロックは、スチレンである。「B」ブロックは、鉱油または他の炭化水素流体で可塑性を持たせることができるゴム(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)、または水素添加されたゴム(例えば、エチレン/プロピレン、またはエチレン/ブチレン、またはエチレン/エチレン/プロピレン)であり得る。エラストマー材料は、性質が熱可塑性である、または可塑剤によって溶媒和され得る、またはマルチコンポーネント熱硬化性エラストマーである非スチレン系エラストマー性ポリマーなどのスチレン系コポリマー以外のエラストマー性ポリマーを含み得る。
【0036】
エラストマー材料は、炭化水素流体などの1つまたは複数の可塑剤を含むことができる。例えば、エラストマー材料は、無香料食品グレードの白色パラフィン系鉱油を含むことができ、例えば、商品名ブランドル(BLANDOL)(登録商標)、およびカーネーション(CARNATION)(登録商標)という名で、ニュージャージー州マーワーのソナボーン社(Sonnebom,Inc.)によって販売されるものがある。
【0037】
いくつかの実施形態では、エラストマー材料は、重量で約0.1:1から約50:1の可塑剤対ポリマー比を有し得る。例えば、エラストマー材料は、重量で約1:1から約30:1、またはさらには重量で約1.5:1から約10:1の可塑剤対ポリマー比を有し得る。さらなる実施形態では、エラストマー材料は、重量で約4:1の可塑剤対ポリマー比を有することができる。
【0038】
エラストマー材料は、1つまたは複数の充填剤(例えば、軽量マイクロスフェア)を有することができる。充填剤は、エラストマー材料の熱特性、密度、加工などに悪影響を及ぼし得る。例えば、中空のマイクロスフェア(例えば、中空のガラスマイクロスフェア、または中空のアクリル製マイクロスフェア)は、そのような中空のマイクロスフェア(例えば、中空のガラスマイクロスフェア、または中空のアクリル製マイクロスフェア)が、可塑剤またはポリマーよりも低い熱伝導性を有することができるので、断熱材として作用することによってエラストマー材料の熱伝導性を減少させ得る。別の例として、金属粒子(例えば、アルミニウム、銅など)は、そのような粒子が可塑剤またはポリマーよりも大きい熱伝導性を有し得るので、結果として得られるエラストマー材料の熱伝導性を増大させ得る。ワックスまたは別の相変化材料(すなわち、クッション要素が使用され得る温度近くで相変化を受けるように構築された材料)で満たされたマイクロスフェアは、マイクロスフェア内のワックスまたは他の相変化材料の相変化温度でまたはその近くで(すなわち、相変化の融解の熱により)温度安定性を与えることができる。相変化材料は、約20℃から約45℃までの融点を有することができる。
【0039】
エラストマー材料は、酸化防止剤を含むこともできる。酸化防止剤は、加工中に熱的劣化の影響を減少させることができ、または長期安定性を改善することができる。酸化防止剤は、例えば、ニュージャージー州イズリンのBASFコーポレーションからのイルガノックス(IRGANOX)(登録商標)1010として市販の、またはカルフォルニア州ロサンゼルスのエバースプリングコーポレーション(Everspring Corp)米国からのエバーノックス(EVERNOX)(登録商標)-10として市販のペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩)、BASFコーポレーションからのイルガノックス(IRGANOX)(登録商標)1076として、またはエバースプリングケミカル社からのエバーノックス(EVERNOX)(登録商標)76として市販のオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩、ならびにBASFコーポレーションからのイルガフォス(IRGAFOS)(登録商標)168、またはエバースプリングケミカル社からのエバーフォス(EVERFOS)(登録商標)168として市販のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)亜リン酸塩を含むことができる。1つまたは複数の酸化防止剤は、エラストマー材料の単一の調合物に組み合わされ得る。可塑剤とポリマーの混合物中に酸化防止剤を使用することは、’450特許のコラム25および26に説明されている。エラストマー材料は、約5重量%までの酸化防止剤を含むことができる。例えば、エラストマー材料は、約0.10重量%から約1.0重量%の酸化防止剤を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、エラストマー材料は、樹脂で構成することができる。樹脂は、変形後にエラストマー性クッション要素108の反発を遅くするようにエラストマー材料を改良するよう選択することができる。存在する場合、樹脂は、水素化された純粋なモノマー炭化水素樹脂を含むことができ、例えば、商品名レガレス(REGALREZ)(登録商標)という名でテネシー州キングスポートのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company)から市販のものである。存在する場合、樹脂は、エラストマー材料の表面の粘着度を増大させる粘着剤として機能することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、エラストマー材料は、顔料、または顔料の組み合わせを含むことができる。顔料は、美的および/または機能的であり得る。すなわち、顔料は、消費者にアピールする外観を有するエラストマー性クッション要素108をもたらすことができる。加えて、暗い色を有するエラストマー性クッション要素108は、明るい色を有するエラストマー性クッション要素108とは異なって放射を吸収することができる。
【0042】
エラストマー材料は、任意のタイプのゼラチン状エラストマーを含み得る。例えば、エラストマー材料は、スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン(SEEPS)エラストマートリブロックコポリマー(例えば、セプトン(SEPTON)(登録商標)4055)の1重量部と、70ウェイトストレートカット白色パラフィン系鉱油(例えば、カーネーション(CARNATION)(登録商標)白色鉱油)の4重量部との溶融ブレンドと、任意選択で、顔料、酸化防止剤、および/または他の接着剤とを含むことができる。
【0043】
エラストマー材料は、変形後にその元の形状に戻ることができるとともに、弾力的に伸びることができる材料で構成することができる。エラストマー材料は、感触がゴムのようであり得るが、従来のゴム材料よりもよく変形圧力を加える物体の形状に変形することができ、従来のゴム材料よりも低いデュロメータ硬さを有し得る。例えば、エラストマー材料は、約ショアAスケール上の硬度が50未満、約0.1から約50、または約5未満であり得る。
【0044】
図2をまた再び参照すると、コイル層104を有する構成であって、このコイル層104の上面に上層106があり、この上層106の上面にエラストマー性クッション要素108がある構成は、従来のマットレス組立体を上回る利点をもたらし得る。例えば、従来のマットレス組立体との比較において、コイル層104の複数のコイル118は、マットレス組立体100の上面により良く適合することができる。例えば、重量(例えば、マットレス組立体100上の人)、および結果として生じる変形を受けるとき、コイル層104の複数のコイル118は、この変形により良く適合することができる。さらに、構成は、従来のマットレス組立体との比較において横の安定性の増加をもたらし得る。さらに、前述の構成は、コイル層104をエラストマー性クッション要素108に積層/膠で接合する必要をなくすので、マットレスを製造する従来の方法と比較してマットレス組立体100を製造する方法をより簡単にさせることができる。コイル層104とエラストマー性クッション要素108の間に上層106を有することは、コイル層104とエラストマー性クッション要素108の両方に接着するための多孔性表面をもたらす。さらに、上層106は、コイル層104からの音を減衰させる。
【0045】
図4図7は、本開示の実施形態によるマットレス組立体の概略横断面図を示す。図4に示されるように、いくつかの実施形態では、エラストマー性クッション要素108は、マットレス組立体100の上層106の上面の全体を覆わなくてもよい。そのような実施形態では、マットレス組立体100は、エラストマー性クッション要素108の所定の位置にフォーム(例えば、ポリウレタンフォーム)の1つまたは複数のセグメント128をさらに備えることができ、それによってマットレス組立体100の少なくとも実質的に平坦な上面を実現する。例えば、フォームの1つまたは複数のセグメント128は、マットレス組立体100の上層106上のエラストマー性クッション要素108に隣接して配設することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、エラストマー性クッション要素108は、マットレス組立体100の上層106の中央部の上だけに配設され得る。例えば、エラストマー性クッション要素108は、マットレス組立体100の上層106の周辺のまわりに延びる上層106の一部を覆わなくてもよい。そのような実施形態では、フォーム128のセグメントは、上層106の周辺のまわりに延びる上層106の一部の上に配設することができる。前述の構成は、たった一人の睡眠者が予期されるマットレスのサイズで利用されてもよい(すなわち、ツインおよびフルサイズのマットレス)。
【0047】
さらなる実施形態では、エラストマー性クッション要素108は睡眠者の有力な睡眠エリアとして予想されるエリア内だけに配設され得る。例えば、エラストマー性クッション要素108は、マットレス組立体100の対向した縦方向半分に中心が位置する2つの別個のセクションを備えることができる。前述の構成は、2人の睡眠者に予想されるマットレスのサイズ(すなわち、キング、クイーン、およびフルサイズのマットレス)で利用され得る。さらに、前述の実施形態は、図8を参照してさらに詳細に説明される。
【0048】
図5図7に示すように、エラストマー性クッション要素108の厚さは、変化し得る。いくつかの実施形態では、エラストマー性クッション要素108は、約3.81cm(1.5インチ)から約6.35cm(2.5インチ)の範囲内の厚さTを有することができる。さらに、いくつかの例では、エラストマー性クッション要素108の厚さTは、マットレス組立体100の厚さ全体の約15.0%と約20.0%の間を備えることができる。例えば、エラストマー性クッション要素108は、約5.08cm(2.0インチ)厚さTと、マットレス組立体100の厚さ全体の約18.2%を有する厚さTを有することができる。さらなる実施形態では、エラストマー性クッション要素108は、約6.35cm(2.5インチ)から約8.89cm(3.5インチ)の範囲内の厚さTを有することができる。また、いくつかの実施形態では、エラストマー性クッション要素108の厚さTは、マットレス組立体100の厚さ全体の約20.0%と約30.0%の間で構成され得る。例えば、エラストマー性クッション要素108は、約7.62cm(3.0インチ)の厚さTと、マットレス組立体100の厚さ全体の約25.0%を含む厚さTを有することができる。さらなる実施形態では、エラストマー性クッション要素108は、約8.89cm(3.5インチ)から約11.43cm(4.5インチ)の範囲内の厚さTを有することができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、エラストマー性クッション要素108の厚さTは、マットレス組立体100の厚さ全体の約30.0%と約35.0%の間で構成することができる。非限定の例として、エラストマー性クッション要素108は、約10.16cm(4.0インチ)、およびマットレス組立体100の厚さ全体の約30.8%を含む厚さTを有することができる。
【0049】
図5図7をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、マットレス組立体100の上層106は、約0.635cm(0.25インチ)と約1.905cm(0.75インチ)の間の範囲内の厚さを有することができる。例えば、マットレス組立体100の上層106は、約1.27cm(0.50インチ)の厚さを有することができる。さらに、マットレス組立体100のコイル層104は、約15.24cm(6.0インチ)と約22.86cm(9.0インチ)の範囲内で厚さ(例えば、高さ)を有することができる。例えば、マットレス組立体100のコイル層104は、約1.905cm(7.5インチ)の厚さを有することができる。また、マットレス組立体100のベース層102は、約1.27cm(0.50インチ)と約3.81cm(1.50インチ)の範囲内の厚さであり得る。非限定の例として、ベース層102は、約2.54cm(1.00インチ)の厚さを有することができる。
【0050】
図8および図9は、本開示の実施形態によるマットレス組立体の平面図を示す。図8に示されるように、いくつかの実施形態では、マットレス組立体800は1つまたは複数のエラストマー性クッション要素セクション802、804(例えば、複数の別個のエラストマー性クッション要素)を備えることができる。さらに、1つまたは複数のエラストマー性クッション要素セクション802、804は、1人または複数人の睡眠者の予想される睡眠エリアに配設され(例えば、位置し)得る。例えば、2人の睡眠者に予想されるマットレスのサイズ(例えば、クイーンサイズおよび/またはキングサイズのベッド)については、マットレス組立体800は、第1のエラストマー性クッション要素セクション802と、第2のエラストマー性クッション要素セクション804とを備えることができる。第1のエラストマー性クッション要素セクション802は、(縦方向に分割された)マットレス組立800全体の第1の半分806内で縦方向に中心に位置することができ、第2のエラストマー性クッション要素セクション804は、マットレス組立体800全体の第2の半分808内の縦に中心に位置することができる。いくつかの実施形態では、第1のエラストマー性クッション要素セクション802および第2のエラストマー性クッション要素セクション804の各々は、約55.88cm(22.0インチ)から約71.12cm(28.0インチ)の範囲内の幅を有することができる。例えば、第1および第2のエラストマー性クッション要素セクション802、804の各々は、約63.5cm(25.0インチ)の幅を有することができる。さらに、第1および第2のエラストマー性クッション要素セクション802、804の各々は、約127cm(50.0インチ)から約165.1cm(65インチ)の範囲内の長さ(例えば、縦方向の長さ)を有することができる。例えば、第1および第2のエラストマー性クッション要素セクション802、804は、約142.24cm(56.0インチ)の長さを有することができる。さらに、ポリウレタンフォーム810は、第1および第2のエラストマー性クッション要素セクション802、804によってカバーが与えられない場所に配設され得る。いくつかの例では、ポリウレタンフォーム810は、公称密度が約32kg/m(約2.0lb/ft)であるとともに18ILDであるポリウレタンフォームで構成することができる。
【0051】
図9に示されるように、いくつかの実施形態では、エラストマー性クッション要素902は、マットレス組立体900の上の完全なカバーを実現することができる。例えば、エラストマー性クッション要素902は、マットレス組立体900の上層106(図2)の上面を少なくとも実質的に全体で覆うことができる。
【0052】
図10は、マットレス組立体100を形成する方法1000の概略フローチャートを示す。いくつかの実施形態では、方法1000は、ベース層102の上にコイル層104を配設する行為1010を含むことができる。例えば、行為1010は、複数のケーシング120内に複数のコイル118を配設する工程であって、複数のコイル118の各コイル118が少なくとも2つのそれぞれのケーシング120内に配設される工程と、コイル層104の上に複数のコイル118を配設する工程と含むことができる。さらに、行為1010は、ポリプロピレンバッグ内に複数のコイル118を配設する工程を含むことができる。さらに、行為1010は、ベース層102の上でアレイ(例えば、行列)内で複数のコイル118を方向付ける工程を含むことができる。また、行為1010は、図1図2、および図4図7に関して上述した構成のいずれかに従って、ベース層102の上にコイル層104を配設する工程を含むことができる。
【0053】
さらに、方法1000は、コイル層104の上に上層106を配設する行為1020を含むことができる。いくつかの実施形態では、行為1020は、コイル層104と上層106の間に安定化材を配設する工程を含まなくてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、行為1020は、コイル層104と上層106の間に接着剤を配設する工程を含むことができる。例えば、行為1020は、コイル層104と上層106の間に上述した接着剤のいずれかを配設する工程を含むことができる。さらに、行為1020は、図1図2、および図4図7に関して上述した構成のいずれかに従って、コイル層104の上に上層106を配設する工程を含むことができる。
【0054】
また、方法1000は、上層106の上にエラストマー性クッション要素108を配設する行為1030を含むことができる。例えば、行為1030は、マットレス組立体100の厚さ全体の約15.0%と約32.0%の間で構成される上層106の上にエラストマー性クッション要素108を配設する工程を含むことができる。例えば、エラストマー性クッション要素108の厚さは、マットレス組立体100の厚さ全体の約20.0%と約32.0%の間で構成される。さらなる実施形態では、行為1030は、マットレス組立体100の厚さ全体の約25.0%と約32.0%の間で構成される上層106の上にエラストマー性クッション要素108を配設する工程を含むことができる。さらなる実施形態では、行為1030は、マットレス組立体100の厚さ全体の約30.0%と約32.0%の間で構成される上層106の上にエラストマー性クッション要素108を配設する工程を含むことができる。例えば、行為1030は、マットレス組立体100の厚さ全体の約30.8%を含むことができる上層106の上にエラストマー性クッション要素108を配設する工程を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、行為1030は、上層106の上に複数のエラストマー性クッション要素108セグメントを配設する工程を含むことができる。また、行為1030は、図1図9に関して上述した構成のいずれかおよびそれらに関して説明した材料のいずれかに従って、上層106の上にエラストマー性クッション要素108を配設する工程を含むことができる。
【0056】
さらに、方法1000は、少なくとも上層106に上に外側覆い112を配設する行為1040を含むことができる。例えば、行為1040は、マットレス組立体100の上に外側覆い112を配設することを含むことができ、外側覆い112が少なくとも実質的に上層106の全体およびマットレス組立体100のサイドパネル114を覆うようになっている。1つまたは複数の実施形態では、方法600は、マットレス組立体100の層のいずれかの間に接着剤を配設することを含むことができる。
【0057】
以下、本開示のさらなる非限定の例示の実施形態を説明する。
【0058】
実施形態1:ベース層と、ベース層の上に配設され、複数のポケットコイルを備えたコイル層と、コイル層の上に配設された上層と、上層の上に配設されたエラストマー性クッション要素であって、約5.08cm(2.0インチ)から約11.43cm(4.5インチ)の範囲内の厚さを有するエラストマー性クッション要素とを備える、マットレス組立体。
【0059】
実施形態2:実施形態1のマットレス組立体において、コイル層は、約15.24cm(6.00インチ)と約20.32cm(8.00インチ)の範囲内の厚さを有する、マットレス組立体。
【0060】
実施形態3:実施形態2に記載のマットレス組立体において、コイル層は、約19.05cm(7.50インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【0061】
実施形態4:実施形態1のマットレス組立体において、ベース層および上層の外周のまわりに延びる1つまたは複数のサイドパネルと、1つまたは複数のサイドパネルの少なくとも部分的なまわりで上層の上に配設された外側覆いとをさらに備える、マットレス組立体。
【0062】
実施形態5:実施形態1のマットレス組立体において、ベース層と上層の両方は、ポリウレタンフォームで構成される、マットレス組立体。
【0063】
実施形態6:実施形態1のマットレス組立体において、エラストマー性クッション要素は、約10.16cm(4.0インチ)の厚さを有する、マットレス組立体。
【0064】
実施形態7:実施形態1のマットレス組立体において、エラストマー性クッション要素と上層の間に配設された接着剤をさらに備える、マットレス組立体。
【0065】
実施形態8:実施形態7に記載のマットレス組立体において、接着剤は、ラテックス水系接着剤を含む、マットレス組立体。
【0066】
実施形態9:実施形態1のマットレス組立体において、ベース層は、約1.905cm(0.75インチ)と約3.81cm(1.50インチ)の間の範囲内の厚さを有し、上層は、約0.635cm(0.25インチ)と約1.905cm(0.75インチ)の間の範囲内の厚さを有する、マットレス組立体。
【0067】
実施形態10:マットレス組立体であって、ベース層と、ベース層の上に配設され、複数のポケットコイルを備えたコイル層とを備えており、複数のポケットコイルの各ポケットコイルは、複数のケーシングと、複数のケーシング内に配設されたコイルと、コイル層の上に配設された上層と、上層の上に配設された少なくとも1つのエラストマー性クッション要素とを備え、少なくとも1つのエラストマー性クッション要素は、約5.08cm(2.0インチ)から約11.43cm(4.5インチ)の範囲内の厚さを有する、マットレス組立体。
【0068】
実施形態11:実施形態10に記載のマットレス組立体において、複数のポケットコイルは、格子パターンで互いに隣に向けられる、マットレス組立体。
【0069】
実施形態12:実施形態10に記載のマットレス組立体において、各ポケットコイルの複数のケーシングは、第1のケーシングと、第1のケーシング内に配設された第2のケーシングとを備え、コイルは、第2のケーシング内に配設されている、マットレス組立体。
【0070】
実施形態13:実施形態10に記載のマットレス組立体において、少なくとも1つのエラストマー性クッション要素は、上層の上で異なる位置に配設された複数の別個のエラストマー性クッション要素を備える、マットレス組立体。
【0071】
実施形態14:実施形態10に記載のマットレス組立体において、少なくとも1つのエラストマー性クッション要素は、上層の上面の全体を覆わない。
【0072】
実施形態15:実施形態11に記載のマットレス組立体において、少なくとも1つのエラストマー性クッション要素は、相互接続されたバックリング壁を備える、マットレス組立体。
【0073】
実施形態16:マットレス組立体を形成する方法であって、ベース層の上にコイル層を配設する工程と、コイル層の上に上層を配設する工程と、上層の上にエラストマー性クッション要素を配設する工程であって、エラストマー性クッション要素の厚さは、マットレス組立体の厚さ全体の約15.0%と約32.0%の間を含む工程と、少なくとも上層の上に外側覆いを配設する工程とを含む、方法。
【0074】
実施形態17:実施形態16に記載の方法において、ベースコア層の上にコイル層を配設する工程は、複数のケーシング内に複数のコイルを配設する工程であって、複数のコイルの各コイルは、少なくとも2つのそれぞれのケーシング内に配設される、工程と、コイル層の上に複数のコイルを配設する工程とを含む、方法。
【0075】
実施形態18:実施形態17に記載の方法において、複数のケーシング内に複数のコイルを配設する工程は、ポリプロピレンバッグ内に複数のコイルを配設する工程を含む、方法。
【0076】
実施形態19:実施形態16に記載の方法において、エラストマー性クッション要素は、マットレス組立体の厚さ全体の約30.8%を含む、方法。
【0077】
実施形態20:実施形態16に記載の方法において、エラストマー性クッション要素と上層の間に接着剤を配設する工程をさらに含む、方法。
【0078】
本開示は、いくつかの例示的な実施形態に関して本明細書中に説明されたが、当業者は、本開示がそのように限定されないことを認識および理解するであろう。むしろ、例示的な実施形態に対する多くの追加、削除、および修正が、適法な均等物を含む以下に主張されるような本開示の範囲から逸脱することなくなされてもよい。さらに、一実施形態からの特徴は、考えられるように本開示の範囲内になお含まれつつ、別の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。さらに、本開示の実施形態は、異なるかつ様々なマットレスのタイプおよび構成に関する有用性を有する。
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