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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】対物光学系及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20220215BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220215BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G02B13/04 D
A61B1/00 731
G02B23/26 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020540976
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2018033232
(87)【国際公開番号】W WO2020049725
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】高頭 英泰
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-260305(JP,A)
【文献】特開平10-104505(JP,A)
【文献】特開2013-104956(JP,A)
【文献】特開昭59-116709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の第1群、負の第2群、負の第3群、正の第4群からなり、
前記第2群と前記第3群が共に像側へ移動し、前記第1群と前記第2群の間隔、前記第2群と前記第3群の間隔、前記第3群と前記第4群の間隔をそれぞれ変化させることで遠距離物点から近距離物点へのフォーカシングを行い、
以下の条件式(1)、(2’’’)、(4)、(5)を満足することを特徴とする対物光学系。
0.1 < (t12n-t12f)/F < 1.2 (1)
0.307 < (t34f-t34n)/F < 2 (2’’’)
-2 < fG1-1/F < -1 (4)
1.8 <fG1-2/F < 3.5 (5)
ここで、
t12nは、近距離物点合焦時での前記第1群と前記第2群の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での前記第1群と前記第2群の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の前記対物光学系の全系の焦点距離、
t34fは、遠距離物点合焦時での前記第3群と前記第4群の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での前記第3群と前記第4群の間隔、
fG1-1は、前記第1群の最も物体側にあるレンズの焦点距離、
fG1-2は、前記第1群の最も物体側にあるレンズの後続の正のサブレンズ群の焦点距離、
である。
【請求項2】
請求項1の前記対物光学系を有する内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合焦機能を有する対物光学系に関する。特に、近接観察可能な内視鏡対物光学系、その他民生用の小型カメラ等の撮影レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な内視鏡対物光学系は、物体側におおよそ5mm~100mmの広い範囲の被写界深度を有する。このような対物光学系を搭載した内視鏡では、主にCCDやCMOSなどの固体撮像素子を用いて画像を提供する。近年、診断の精度を向上させることを目的に、内視鏡画像の高画質化が求められている。内視鏡画像の高画質化のために、撮像素子の高画素化が進んでいる。
【0003】
しかしながら、高精細の撮像素子を使用した場合、回折に起因して画質が劣化する。画質の劣化を避けるために、対物光学系のFナンバー(Fno)を小さくする必要がある。また、画素数増加の影響で撮像素子のサイズが大きくなる。撮像素子のサイズが大きくなると、対物光学系の焦点距離も大きくする必要がある。Fnoを小さくすることと、対物光学系の焦点距離を大きくすることを理由に、被写界深度が狭くなる。そのため、従来並みの被写界深度を確保するためにフォーカシング機能を有する対物光学系の必要性が増している。
【0004】
また、近年、医療用内視鏡の分野では、病変の質的診断を行なうために拡大観察(近接観察)が可能な光学系の要求が強まっている。拡大観察が可能な内視鏡対物光学系は、1mm~3mm程度の被写体距離にフォーカシングして拡大観察を行う。
【0005】
近距離物点へのフォーカシングが可能である拡大内視鏡用の対物光学系において、可動群が1群であるタイプの光学系は多数開示されている。また、拡大内視鏡用の対物光学系において、可動群の数が2群である拡大内視鏡用の対物光学系が特許文献1から9に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4723628号公報
【文献】特許第3722458号公報
【文献】特開2009-300489号公報
【文献】特許第4834799号公報
【文献】特開2015-22161号公報
【文献】特許第5567224号公報
【文献】特許第5567225号公報
【文献】特開平6-289291号公報
【文献】特開2002-72089号公報
【0007】
特許文献1は、負・正・負の3群構成の対物光学系を開示する。特許文献2、3、5、6、7は、負・正・負・正の4群構成の対物光学系を開示する。特許文献8、9は、正・負・正・正の4群構成の対物光学系を開示する。特許文献4は、負・正・負・正や正・負・正・正をはじめ様々な屈折力タイプの対物光学系を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、拡大観察が可能な内視鏡に搭載されている高画素化された撮像素子は、年々小型化している。そのため、対物光学系に関して、高画素の撮像素子に対応して高性能化が求められている。
【0009】
また、撮像素子の小型化、高精細化に対しては、従来技術の光学系をそのまま小型化した対物光学系では対応できない。撮像素子の小型化、高精細化に対しては、十分に明るい光学系が必要である。
【0010】
しかしながら、上記特許文献1から9に開示されている従来のいずれの対物光学系は、Fnoが大きい。このため、従来の上記対物光学系は、小型、高精細の撮像素子に対応した光学性能を有するとは言い難い。
【0011】
さらに、これら従来の対物光学系のFnoを小さくした場合でも、所望の収差性能を得ることは難しいことは容易に予測される。このため、従来の対物光学系は、高精細な撮像素子に対応した対物光学系とは言い難い。
【0012】
また、撮像素子を小型化していくと誤差感度が高くなる。特に、拡大観察が可能な内視鏡用の対物光学系では、可動群の屈折力が強くなる傾向にある。高精細な撮像素子に対応して、対物光学系のFnoを小さくすると、誤差感度を低減させる必要性が増す。
【0013】
本発明は上記の点を鑑みてなされたものであり、物点距離の変化に応じて拡大観察するためにフォーカシングできる対物光学系において、製造誤差感度を低減し、高画素かつ小型の撮像素子に対応した、高性能でFnoが明るい対物光学系及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る対物光学系は、物体側から順に、正の第1群、負の第2群、負の第3群、正の第4群からなり、第2群と第3群がともに像側へ移動し、第1群と第2群の間隔、第2群と第3群の間隔、第3群と第4群の間隔をそれぞれ変化させることで遠距離物点から近距離物点へのフォーカシングを行い、
条件式(1)、(2’’’)、(4)、(5)を満足することを特徴とする。
0.1 < (t12n-t12f)/F < 1.2 (1)
0.307 < (t34f-t34n)/F < 2 (2’’’)
-2 < fG1-1/F < -1 (4)
1.8 <fG1-2/F < 3.5 (5)
t12nは、近距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
t34fは、遠距離物点合焦時での前記第3群と前記第4群の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での前記第3群と前記第4群の間隔、
fG1-1は、第1群の最も物体側にあるレンズの焦点距離、
fG1-2は、第1群の最も物体側にあるレンズの後続の正のサブレンズ群の焦点距離、
である。
なお、以下、「通常観察状態」を適宜、遠距離物点合焦時という。また、「拡大観察状態」を、適宜、近接観察状態、近距離物点合焦時という。
本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係る内視鏡は、上述の対物光学系を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、物点距離の変化に応じて拡大観察(近接観察)するためにフォーカシングできる対物光学系において、製造誤差感度を低減し、高画素かつ小型の撮像素子に対応した、高性能でFnoが明るい対物光学系及び内視鏡を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は対物光学系の通常観察状態における断面図、(b)は対物光学系の近接観察状態における断面図である。
図2】本発明の実施例1に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は対物光学系の通常観察状態における断面図、(b)は対物光学系の近接観察状態における断面図である。
図3】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例1に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例1に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図4】(a)、(b)は、本発明の実施例2に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は対物光学系の通常観察状態における断面図、(b)は対物光学系の近接観察状態における断面図である。
図5】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例2に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例2に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図6】(a)、(b)は、本発明の実施例3に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図7】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例3に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例3に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図8】(a)、(b)は、本発明の実施例4に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図9】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例4に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例4に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図10】(a)、(b)は、本発明の実施例5に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図11】(a)、(b)、(c)、(d)は、実施例5に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例5に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図12】(a)、(b)は、本発明の実施例6に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図13】(a)、(b)、(c)、(d)は、実施例6に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例6に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図14】(a)、(b)は、本発明の実施例7に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図15】(a)、(b)、(c)、(d)は、実施例7に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例7に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
図16】(a)、(b)は、本発明の実施例8に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図17】(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例8に係る対物光学系の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。(e)、(f)、(g)、(f)は、それぞれ実施例8に係る対物光学系の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT),及び倍率色収差(CC)を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、実施形態に係る対物光学系及び内視鏡を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0018】
図1(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る対物光学系の断面構成を示す図である。(a)は対物光学系の通常観察状態における断面図、(b)は対物光学系の近接観察状態における断面図である。
【0019】
本実施形態に係る対物光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1群G1、負の屈折力を有する第2群G2、明るさ絞りS、負の屈折力を有する第3群G3、正の屈折力を有する第4群G4を有する。
【0020】
正の第1群G1は、物体側から順に、負の第1レンズL1と、正の第2レンズL2と、負の第3レンズL3と、正の第4レンズL4と、を有する。正の第2レンズL2と負の第3レンズL3は接合され、接合レンズCL1を構成する。
【0021】
負の第2群G2は、負の第5レンズL5を有する。
【0022】
負の第3群G3は、物体側から順に、負の第6レンズL6と、正の第7レンズL7と、を有する。負の第6レンズL6と正の第7レンズL7は接合され、接合レンズCL2を構成する。
【0023】
第2群G2は像側に移動し、共に第3群G3は像側に移動する。これにより、遠距離物点から近距離物点へフォーカシングする。
【0024】
正の第4群G4は、物体側から順に、正の第8レンズL8と、正の第9レンズL9と、負の第10レンズL10と、を有する。正の第9レンズL9と負の第10レンズL10は接合され、接合レンズCL3を構成する。
【0025】
明るさ絞りSは、第2群G2と第3群G3との間に配置されている。
【0026】
負の第1レンズL1と正の第2レンズL2の間に、第1の平行平板F1が配置されている。第1の平行平板F1は、対物光学系中の任意の位置に配置できる。また、対物光学系の像面Iには、撮像素子(不図示)の撮像面(像面I)が配置されている。撮像面には、平行平板であるカバーガラスCGが貼り付けられている。
【0027】
本実施形態の対物光学系の構成を、以下に説明する。
【0028】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、可動群を有する光学系は、小型化、高性能化を達成するためには、各レンズ群の移動量が重要となる。そのため、本実施形態に係る対物光学系は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
0.1 < (t12n-t12f)/F < 1.2 (1)
ここで、
t12nは、近距離物点合焦時での第1群G1と第2群G2の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での第1群G1と第2群G2の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系全系の焦点距離、
である。ここで、第1群G1と第2群G2の間隔とは、第1群G1の最も像面側に近いレンズ面と、第2レンズ群G2の最も物体側に近いレンズ面との距離である。
【0029】
さらに、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
0.2 < (t34f-t34n)/F < 2 (2)
ここで、
t34fは、遠距離物点合焦時での第3群G3と第4群G4の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での第3群G3と第4群G4の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。ここで、第3群G3と第4群G4の間隔とは、第3群G3の最も像面側に近いレンズ面と、第4レンズ群G4の最も物体側に近いレンズ面との距離である。
【0030】
条件式(1)及び条件式(2)は、第2群G2と第3群G3それぞれのレンズの移動量に関するものである。
【0031】
条件式(1)の下限値を下回ると、第2群G2の移動量の確保が困難となる。また、条件式(1)の上限値を上回ると、第1群G1と第2群G2の間隔が大きくなり過ぎる。このため、第2群G2の移動量を確保できる。しかし、光学系の全長が長くなり過ぎるため光学系が大型化するおそれがある。
【0032】
条件式(1)に代えて、以下の条件式(1’)を満足することが好ましい。
0.1 < (t12n-t12f)/F < 0.7 (1’)
これにより、対物光学系を一層小型化できる。
【0033】
条件式(2)は、条件式(1)と同様に、可動群の移動量を確保することと小型化に寄与する。条件式(2)の下限値を下回ると、第3群G3の移動量の確保が困難となる。また、条件式(2)の上限値を上回ると、第3群G3と第4群G4の間隔が大きくなり過ぎる。このため、第3群G3の移動量を確保できる。しかし、対物光学系の全長が長くなり過ぎるため光学系が大型化するおそれがある。
【0034】
さらに、対物光学系の全長の小型化のために、条件式(2)の上限値は以下の範囲に限定することが望ましい。
【0035】
条件式(2)に代えて、以下の条件式(2’)を満足することが好ましい。
0.2 < (t34f-t34n)/F < 1.6 (2’)
これにより、対物光学系をさらに小型化できる。
【0036】
条件式(2)に代えて、以下の条件式(2”)を満足することがより好ましい。
0.2 < (t34f-t34n)/F < 1.2 (2”)
これにより、対物光学系をより一層小型化できる。
【0037】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、可動群の移動量に関して、条件式(1)、条件式(2)と共に以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.1 < (t12n-t12f)/(t34f-t34n) < 2.2 (3)
ここで、
t12nは、近距離物点合焦時での第1群G1と第2群G2の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での第1群G1と第2群G2の間隔、
t34fは、遠距離物点合焦時での第3群G3と第4群G4の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での第3群G3と第4群G4の間隔、
である。
【0038】
条件式(3)は、可動群の移動量の適切な範囲に関する。条件式(3)の下限値を下回ると、第1群G1と第2群G2の間隔が小さくなる。この場合、第2群G2を移動する空間の確保が困難となる。
【0039】
本実施形態の対物光学系の特徴の一つは、最至近の物点距離が3mm前後までフォーカシングできることである。フォーカシングの際、レンズの移動量が確保できない場合、近距離の物点にフォーカシングできない。このため、近距離物点に関して十分な倍率での観察が困難となる。
【0040】
さらに、所定のスペースに収まるように第2群G2の移動量を小さくした場合、第2群G2の光軸上の位置精度による像面位置感度が高くなる。この場合、製造誤差による第2群G2の位置ずれに対する像面位置ずれが大きくなるという不具合が生じやすくなる。
【0041】
また、条件式(3)の上限値を上回ると、第3群G3と第4群G4の間隔が小さくなる。この場合、第3群G3の移動スペースの確保が困難となる。フォーカシングの際、レンズの移動量が確保できない場合、近距離の物点にフォーカシングできない。このため、近距離物点に関して十分な倍率での観察が困難となる。
【0042】
さらに、不十分なスペースに収まるように第3群G3の移動量を小さくした場合、第3群G3の光軸上の位置精度による像面位置感度が高くなる。この場合、製造誤差による第3群G3の位置ずれに対する像面位置ずれが大きくなるという不具合が生じやすくなる。
【0043】
条件式(3)に代えて、以下の条件式(3’)を満足することが好ましい。
0.1 < (t12n-t12f)/(t34f-t34n) < 1.6
(3’)
これにより、第3群G3の移動スペース確保がさらに容易となる。
【0044】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、第1群G1は、物体側から順に、負の第1レンズL1と後続の正のサブレンズ群で構成する。後続の正のサブレンズ群とは、第1群G1の像面側へ後続するレンズをいう。具体的には、後続の正のサブレンズ群とは、第2レンズL2から後方(像面側)のレンズである。従って、後続の正のサブレンズ群は、第2レンズL2から第1群G1の最終第4レンズL4までをいう。なお、平行平板F1は、屈折力を有していない。このため、平行平板F1は、第1群G1に含まれる場合と、含まれない場合のいずれの場合でも良い。本実施形態では、第1群G1の最も物体側に近いレンズには、平行平板F1が含まれる。
【0045】
負の第1レンズL1は像側に凹面を向けた平凹レンズであることが望ましい。内視鏡の先端部は、送水する機構を有する。この機構は、ノズルからレンズ面を洗浄するために送水する。対物光学系の先端が平面の場合、ノズルの送水部から反対側の、ノズルの送水部から遠い位置まで送水し、洗浄することが容易となる。
【0046】
後続に正のサブレンズ群は、少なくとも正の第4レンズL4と、接合レンズCL1を有することが好ましい。このように第1群G1は、負、正の屈折力構成とする。さらに、第1群G1の第1レンズL1の負の屈折力と後続の正のサブレンズ群の屈折力をそれぞれ適切に配置する。これにより、第2群G2と第3群G3の移動スペースを確保することが容易となる。さらに、軸上色収差と倍率色収差補正のバランスをとることができる。加えて、像面湾曲を良好に補正できる。
【0047】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
-2 < fG1-1/F < -1 (4)
ここで、
fG1-1は、第1群G1の最も物体側に近いレンズの焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0048】
条件式(4)は物点距離の変化による像面湾曲の変動を補正することに関する。条件式(4)の下限値を下回ると、近距離物点合焦時での像面湾曲が大きくオーバーに傾くため好ましくない。また、条件式(4)の上限値を上回ると、遠距離物点合焦時での像面湾曲が大きくアンダーに傾き、さらにはコマ収差補正が困難となる。さらに、第1群G1におけるバックフォーカスを確保がしづらくなるため、後方の可動群のスペースの確保が困難となる。
【0049】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
1.8 < fG1-2/F < 3.5 (5)
ここで、
fG1-2は、第1群G1の最も物体側に近いレンズの後続の正のサブレンズ群の焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0050】
条件式(5)は、fG1-2とFの適切な比に関する。条件式(5)の下限値を下回ると、後続の正のサブレンズ群での屈折力が強すぎるため第2群G2以降の可動スペースの確保が困難になる。さらに近距離物点を観察した場合の像面がアンダーに傾く。このため、像面弯曲が大きくなってしまう。
【0051】
条件式(5)の上限値を上回ると、軸上色収差、倍率色収差ともに、C線(656.3nm)の収差曲線がアンダーに倒れ、F線(486.1nm)の収差曲線がオーバーに傾く。このため、色収差を補正することが難しくなる。
【0052】
条件式(5)に代えて、以下の条件式(5’)を満足することが好ましい。
2 < fG1-2/F < 3 (5’)
条件式(5’)を満足する範囲内であれば、像面湾曲補正が容易となり、さらに色収差もより良好に補正することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、正の第1群G1の屈折力を適切に配することが望ましい。第1群G1で発生する色収差を良好に補正する。この場合、後続の群で色収差が発生したとしても、以下の条件式(6)の範囲内であれば十分に収差補正されている。このため、対物光学系の全系の収差への寄与は少ない。さらには、対物光学系を小型化できる。
【0054】
そのため、本実施形態の好ましい態様によれば、条件式(4)、条件式(5)を満たすと同時に、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
0.6 < fG1/F < 2.2 (6)
ここで、
fG1は、第1群G1の焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0055】
条件式(6)は、fG1とFの適切な比に関する。条件式(6)の下限値を下回ると、C線とF線の倍率色収差が補正過剰となるため好ましくない。
【0056】
また、条件式(6)の上限値を上回ると、軸上色収差のバランスが崩れるため好ましくない。また、倍率色収差が補正不足となるため好ましくない。いずれの場合も画面周辺での色にじみを伴うコントラストの低下を招いてしまう。
【0057】
さらに、条件式(6)は、対物光学系全系の小型化にも寄与している。条件式(6)の上限値を上回ると正の屈折力が弱くなる。このため、対物光学系の全長の短縮が困難となる。さらには第1レンズL1に入射する光線高が高くなるため、光学系も大型化してしまう。
【0058】
条件式(6)に代えて、以下の条件式(6’)を満足することが好ましい。
1.0 <fG1/F < 1.8 (6’)
条件式(6’)の下限の範囲内では、像面湾曲をさらに良好に補正できる。また、条件式(6’)の上限の範囲では、対物光学系をさらに小型化できる。
【0059】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
-18 < fG2/F < -4.5 (7)
ここで、
fG2は、第2群G2の焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0060】
条件式(7)は、第2群G2の焦点距離に関するものである。第2群G2は第3群G3と共に屈折力を分散させている。第2群G2は、物点距離の変化に応じて像面を合わせるためのフォーカシング機能を担っている。
【0061】
このような可動レンズ群を構成する場合、レンズを保持する枠の構造上、移動枠と固定枠のクリアランスが生ずる。このため、可動枠が存在すると、固定枠のみのレンズ群に比べて、レンズの偏心量が大きくなる。
【0062】
レンズ群の屈折力が強いと、枠同士のクリアランスを小さくした場合でも、レンズの駆動時の偏心量を極力小さく抑える必要がある。そのため、駆動レンズである第2群G2の屈折力は、条件式(7)を満足する範囲であることが望ましい。
【0063】
条件式(7)の下限値を下回ると、第2群G2の屈折力は弱くなり偏心による誤差感度は低減できる。しかし、第2群G2の移動量が大きくなるため好ましくない。
【0064】
条件式(7)の上限値を上回ると、第2群G2の屈折力が強くなり過ぎ、枠同士が偏心した場合、光学性能の劣化が著しくなる。
【0065】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
-10 < fG3/F < -3 (8)
ここで、
fG3は、第3群G3の焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
【0066】
条件式(8)は、第3群G3の焦点距離に関するものである。第3群G3は第2群G2と共に屈折力を分散させている。第3群G3は、物点距離の変化に応じて像面を合わせるためのフォーカシング機能を担っている。
【0067】
このような可動レンズ群を構成する場合、レンズを保持する枠の構造上、移動枠と固定枠との間にクリアランスが生ずる。このため、光学系が可動枠を有する場合、固定枠のみのレンズ群に比べてレンズの偏心量が大きくなる。
【0068】
レンズ群の屈折力が強いと、枠同士のクリアランスを小さくした場合でも、レンズの駆動時の偏心量を極力小さく抑える必要がある。そのため、駆動レンズである第3群G3の屈折力は、条件式(8)を満足する範囲であることが望ましい。
【0069】
条件式(8)の下限値を下回ると、第3群G3の屈折力が強くなり過ぎ、枠同士の偏心が偏心した場合、光学性能劣化が著しくなる。また、条件式(8)の上限値を上回ると、屈折力は弱くなり偏心による誤差感度は低減できる。しかし、第3群G3の移動量が大きくなるため好ましくない。
【0070】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
1 < fG4/F < 5 (9)
ここで、
fG4は、第4群G4の焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0071】
条件式(9)は、像面湾曲の補正に寄与するものである。条件式(9)の下限値を下回ると、像面がアンダーに傾く。条件式(9)の上限値を上回ると、像面がオーバーに傾く。このため、画面の中心部分と周辺部でピントの合わない画像となってしまうため好ましくない。
【0072】
条件式(9)に代えて、以下の条件式(9’)を満足することが好ましい。
2 < fG4/F < 4 (9’)
条件式(9’)を満足する範囲では、像面湾曲補正がより良好となる。
【0073】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
1 < fG1S/F < 8 (10)
ここで、
fG1Sは、遠距離物点合焦時の第1群G1から明るさ絞りSまでの合成焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0074】
条件式(10)は、色収差の補正と像面湾曲の補正に寄与するものである。条件式(10)の下限値を下回ると、像面がオーバーに傾く。さらには倍率色収差のF線の収差曲線がアンダーに大きく傾く。
【0075】
条件式(10)の上限値を上回ると像面がアンダーに傾く。そして、遠距離物点合焦時のF線の収差曲線と、近距離物点合焦時のC線の収差曲線がそれぞれオーバー側に傾くため好ましくない。
【0076】
さらに、明るさ絞りSよりも前群での焦点距離が大きくなる。このため、明るさ絞りSよりも前群での焦点位置が物体側からより遠くに位置する。このことにより、対物光学系の全系での大型化を招いてしまい好ましくない。さらに、画角への影響も著しく、広角化が難しくなる。このため、内視鏡の観察に必要な観察画角を維持できなくなる。
【0077】
条件式(10)に代えて、以下の条件式(10’)を満足することが好ましい。条件式(10)の上限値を限定することでさらに小型化に寄与することが可能となる。
1 < fG1S/F < 5.5 (10’)
条件式(10’)を満足する範囲では、像面湾曲補正がより良好となる。
【0078】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
2 < fGS4/F < 7 (11)
ここで、
fGS4は、遠距離物点合焦時の明るさ絞りSから第4群G4までの合成焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0079】
条件式(11)は、色収差補正と像面湾曲補正に寄与するものである。条件式(11)の下限値を下回ると、像面がアンダーに傾く。さらには軸上倍率色収差のF線の収差曲線がオーバーに大きく傾く。
【0080】
条件式(11)の上限値を上回ると、像面がオーバーに傾く。特に遠距離物点合焦時の倍率色収差が悪化する。F線の収差曲線がアンダーに大きく傾く。C線の収差曲線がオーバーに大きく傾く。この場合、周辺画像の劣化が著しくなり好ましくない。
【0081】
条件式(11)に代えて、以下の条件式(11’)を満足することが好ましい。条件式(11)は下記の様に限定することで、像面湾曲と倍率色収差の補正がさらに良好となる。
2.4 < fGS4/F < 6.2 (11’)
【0082】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
0.5 < fG2/fG3 < 3.5 (12)
ここで、
fG2は、第2群G2の焦点距離、
fG3は、第3群G3の焦点距離、
である。
【0083】
条件式(12)は、第2群G2と第3群G3の屈折力を適切にする比に関する。この場合、フォーカシング時における像面変動を抑えることができる。また、対物光学系の小型化へ寄与できる。
【0084】
条件式(12)の下限値を下回ると、第2群G2の屈折力が強くなり過ぎる。そして、フォーカシングに伴う像面湾曲の変動が大きくなる。これにより、通常観察時(遠距離物点合焦時)における像面位置と近距離物点合焦時における像面位置に著しい差が出てくる。さらには第3群G3の屈折力が弱くなるため第3群G3の移動量が大きくなる。このため、対物光学系の全系の大型化を招くため好ましくない。
【0085】
また、条件式(12)の上限値を上回ると第3群G3の屈折力が強くなり過ぎる。この場合、倍率色収差が大きくなる。また、フォーカシング時の像面の変動も大きくなるため好ましくない。
【0086】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
1.5 < fG4/fG1 < 3.5 (13)
ここで、
fG4は、第4群G4の焦点距離、
fG1は、第1群G1の焦点距離、
である。
【0087】
条件式(13)は、第1群G1と第4群G4の屈折力を適切にする比に関する。対物光学系の全系の小型化に寄与する条件式である。
【0088】
条件式(13)の下限値を下回ると、第1群G1の屈折力が弱くなり過ぎる。そして、第1レンズL1へ入射する光線高が多くなってしまう。このため、第1群G1内のレンズ径が大型化する。
【0089】
条件式(13)の上限値を上回ると、第1群G1の屈折力が弱くなり過ぎる。このため、第1群G1による焦点位置が像面側にシフトする。この結果として、全長が長くなりレンズ系全体が大型化してしまう。
【0090】
条件式(13)に代えて、以下の条件式(13’)を満足することが好ましい。条件式(13)の上限は以下の様に限定するとよい。
1.5 < fG4/fG1 < 3 (13’)
これにより、条件式(13’)の上限の範囲内では、さらなる小型化が可能となる。
【0091】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
-4 < fG3/fG4 < -1 (14)
ここで、
fG3は、第3群G3の焦点距離、
fG4は、第4群G4の焦点距離、
である。
【0092】
条件式(14)は、遠距離物点合焦時における収差補正に関するものである。第1群G1内の負屈折力の第1レンズL1で発生した収差を後方のレンズ群である第3群G3と第4群G4で補正する。
【0093】
そのため、第3群G3と第4群G4の屈折力を適切にすることが必要となる。条件式(14)の下限値を下回ると、特に、軸上色収差が大きくなり好ましくない。条件式(14)の上限値を上回ると、倍率色収差が大きくなり好ましくない。
【0094】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
2.5 < Fno < 5.2 (15)
ここで、
Fnoは、遠距離物点合焦時の対物光学系のF値、
である。
【0095】
条件式(15)は、対物光学系のFnoに関する。条件式(15)の下限値を下回ると、明るい光学系が実現できる。しかし、被写界深度が浅くなるため好ましくない。
【0096】
条件式(15)の上限値を上回ると、回折限界の影響に起因して、高精細な撮像素子に対応した空間周波数における光学性能が得られなくなる。
【0097】
また、本実施形態の好ましい態様によれば、以下の条件式(16)を満足することが望ましい。
0.8 < Fno/Fno_N < 1.2 (16)
ここで、
Fnoは、遠距離物点合焦時の対物光学系のF値、
Fno_Nは、近距離物点合焦時の対物光学系のF値、
である。
【0098】
条件式(16)は、遠距離物点合焦時のFnoと近距離物点合焦時のFnoの比に関する。遠距離物点合焦時のFnoと近距離物点合焦時のFnoの差は少ない方が好ましく、条件式の範囲であることが望ましい。
【0099】
Fnoにより像面における最小錯乱円径が次式(A)で決まる。
(像面における最小錯乱円径)= 1.22×(Fno)×(波長) (A)
【0100】
上記式(A)から、Fnoが大きいと最小錯乱円径が大きくなる。そして、高画素化した撮像素子に対応できず画質劣化を招いてしまう。このため、近距離物点合焦時のFnoと遠距離物点合焦時のFnoの差が大きくない方が好ましい。Fnoの差が条件式(16)の範囲を超えるとフォーカシングした際の画質の差が大きくなってしまい好ましくない。
【0101】
条件式(16)の下限値を下回ると近距離物点合焦時の画質劣化が大きくなるため好ましくない。また、条件式(16)の上限値を上回ると遠距離物点合焦時の画質劣化が大きくなるので好ましくない。
【0102】
(実施例1)
実施例1に係る対物光学系について説明する。
図2(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点合焦時)における断面図、図2(b)は近接観察状態(近距離物点合焦時)における断面図である。
【0103】
図2(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0104】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、両凹の負の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、両凸の正の第5レンズL5と、を有する。負の第3レンズL3と正の第4レンズL4は接合レンズCL1を構成する。
【0105】
負の第2群G2は、像側に凸面を向けた負の第6メニスカスレンズL6を有する。負の第6メニスカスレンズL6は、通常観察状態(図2(a))から近接観察状態(図2(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0106】
負の第3群G3は、物体側に凸面を向けた負の第7メニスカスレンズL7を有する。負の第7メニスカスレンズL7は、通常観察状態(図2(a))から近接観察状態(図2(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0107】
第3群G3の前方(物体側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0108】
正の第4群G4は、物体側から順に、両凸の正の第8レンズL8と、両凸の正の第9レンズL9と、像側に凸面を向けた負の第10メニスカスレンズL10と、を有する。正の第9レンズL9と負の第10メニスカスレンズL10は接合レンズCL2を構成する。
【0109】
第4群G4の後ろ(像面I側)には、物体側から順に、平行平板F1と、平行平板F2とが配置されている。平行平板F2は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0110】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0111】
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図3(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0112】
これら、諸収差図は、656.3nm(C線)、486.1nm(F線)及び546.1nm(e線)の各波長について示す。また、各図中、”ω”は半画角を示す。以下、収差図に関しては、同様の符号を用いる。
【0113】
(実施例2)
実施例2に係る対物光学系について説明する。図4(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図4(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0114】
図4(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、明るさ絞りSと、負の第2群G2と、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0115】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、像側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、を有する。正の第2メニスカスレンズL2と負の第3メニスカスレンズL3は接合レンズCL1を構成する。
【0116】
第1群G1の後方(像面I側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0117】
負の第2群G2は、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5を有する。負の第5メニスカスレンズL5は、通常観察状態(図4(a))から近接観察状態(図4(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0118】
負の第3群G3は、物体側に凸面を向けた負の第6メニスカスレンズL6と、物体側に凸面を向けた正の第7メニスカスレンズL7と、を有する。負の第6メニスカスレンズL6と正の第7メニスカスレンズL7は接合レンズCL2を構成する。接合レンズCL2は、通常観察状態(図4(a))から近接観察状態(図4(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0119】
正の第4群G4は、物体側から順に、両凸の正の第8レンズL8と、像側に凸面を向けた正の第9メニスカスレンズL9と、像側に凸面を向けた負の第10メニスカスレンズL10と、を有する。正の第9メニスカスレンズL9と負の第10メニスカスレンズL10は接合レンズCL3を構成する。
【0120】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F2と、平行平板F3とが配置されている。平行平板F3は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0121】
平行平板F1、平行平板F2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0122】
図5(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図5(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0123】
(実施例3)
実施例3に係る対物光学系について説明する。図6(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図6(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0124】
図6(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0125】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、像側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズL3、両凸の正の第4レンズL4と、を有する。正の第2メニスカスレンズL2と負の第3メニスカスレンズL3は接合レンズCL1を構成する。
【0126】
負の第2群G2は、像側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5を有する。負の第5メニスカスレンズL5は、通常観察状態(図6(a))から近接観察状態(図6(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0127】
第2群G2の後方(像面I側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0128】
負の第3群G3は、物体側に凸面を向けた負の第6メニスカスレンズL6を有する。負の第6レンズL6は、通常観察状態(図6(a))から近接観察状態(図6(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0129】
正の第4群G4は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の第7メニスカスレンズL7と、両凸の正の第8レンズL8と、像側に凸面を向けた負の第9メニスカスレンズL9と、を有する。正の第8レンズL8と負の第9メニスカスレンズL9は接合レンズCL2を構成する。
【0130】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F2と、平行平板F3とが配置されている。平行平板F3は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0131】
平行平板F1、平行平板F2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0132】
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図7(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0133】
(実施例4)
実施例4に係る対物光学系について説明する。図8(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図8(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0134】
図8(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0135】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、両凹の負の第3レンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、両凸の正の第5レンズL5と、を有する。負の第3レンズL3と正の第4レンズL4は接合レンズCL1を構成する。
【0136】
負の第2群G2は、像側に凸面を向けた負の第6メニスカスレンズL6を有する。負の第6メニスカスレンズL6は、通常観察状態(図8(a))から近接観察状態(図8(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0137】
負の第3群G3は、物体側に凸面を向けた負の第7メニスカスレンズL7を有する。負の第7メニスカスレンズL7は、通常観察状態(図8(a))から近接観察状態(図8(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0138】
第3群G3の前方(物体側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0139】
正の第4群G4は、物体側から順に、両凸の正の第8レンズL8と、両凸の正の第9レンズL9と、像側に凸面を向けた負の第10メニスカスレンズL10と、を有する。正の第9レンズL9と負の第10メニスカスレンズL10は接合されたCL2を構成する。
【0140】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F1と、平行平板F2とが配置されている。平行平板F2は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0141】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0142】
図9(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図9(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0143】
(実施例5)
実施例5に係る対物光学系について説明する。図10(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図10(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0144】
図10(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0145】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、像側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、を有する。正の第2メニスカスレンズL2と負の第3メニスカスレンズL3は接合レンズCL1を構成する。
【0146】
負の第2群G2は、物体側から順に、像側に凸面を向けた正の第5メニスカスレンズL5と、像側に凸面を向けた負の第6メニスカスレンズL6と、を有する。正の第5メニスカスレンズL5と負の第6メニスカスレンズL6は接合された接合レンズCL2を構成する。接合レンズCL2は、通常観察状態(図10(a))から近接観察状態(図10(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I側)に移動する。
【0147】
第2群G2の後方(像面I側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0148】
負の第3群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の第7メニスカスレンズL7と、物体側に凸面を向けた正の第8メニスカスレンズL8と、を有する。負の第7メニスカスレンズL7と正の第8メニスカスレンズL8は接合されてCL3を構成する。接合レンズCL3は、通常観察状態(図10(a))から近接観察状態(図10(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I側)に移動する。
【0149】
正の第4群G4は、物体側から順に、両凸の正の第9レンズL9と、両凸の正の第10レンズL10と、像側に凸面を向けた負の第11メニスカスレンズL11と、を有する。正の第10レンズL10と負の第11メニスカスレンズL11は接合レンズCL4を構成する。
【0150】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F2と、平行平板F3が配置されている。平行平板F3は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0151】
平行平板F1、平行平板F2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0152】
図11(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図11(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0153】
(実施例6)
実施例6に係る対物光学系について説明する。図12(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図12(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0154】
図12(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0155】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、物体側に凸面を向けた負の第2メニスカスレンズL2と、両凸の正の第3レンズL3と、像側に凸面を向けた負の第4メニスカスレンズL4と、両凸の正の第5レンズL5と、を有する。正の第3レンズL3と負の第4メニスカスレンズL4は接合レンズCL1を構成する。
【0156】
負の第2群G2は、両凹の負の第6レンズL6を有する。負の第6レンズL6は、通常観察状態(図12(a))から近接観察状態(図12(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0157】
第2群G2の後方(像面I側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0158】
負の第3群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の第7メニスカスレンズL7と、物体側に凸面を向けた正の第8メニスカスレンズL8と、を有する。負の第7メニスカスレンズL7と正の第8メニスカスレンズL8は接合レンズCL2を構成する。接合レンズCL2は、通常観察状態(図12(a))から近接観察状態(図12(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I)に移動する。
【0159】
正の第4群G4は、両凸の正の第9レンズL9と、両凸の正の第10レンズL10と、像側に凸面を向けた負の第11メニスカスレンズL11と、を有する。正の第10レンズL10と負の第11メニスカスレンズL11は接合レンズCL3を構成する。
【0160】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F1と、平行平板F2が配置されている。平行平板F2は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCG貼り付けられている。
【0161】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0162】
図13(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図13(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0163】
(実施例7)
実施例7に係る対物光学系について説明する。図14(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図14(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0164】
図14(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0165】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、像側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズL3と、両凸の正の第4レンズL4と、を有する。正の第2メニスカスレンズL2と負の第3メニスカスレンズL3は接合レンズCL1を構成する。
【0166】
負の第2群G2は、両凹の第5レンズL5を有する。負の第5レンズL5は、通常観察状態(図14(a))から近接観察状態(図14(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I側)に移動する。
【0167】
第2群G2の後方(像面I側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0168】
負の第3群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負の第6メニスカスレンズL6と、物体側に凸面を向けた正の第7メニスカスレンズL7と、を有する。負の第6メニスカスレンズL6と正の第7メニスカスレンズL7は接合レンズCL2を構成する。接合レンズCL2は、通常観察状態(図14(a))から近接観察状態(図14(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I側)に移動する。
【0169】
正の第4群G4は、物体側から順に、両凸の正の第8レンズL8と、両凸の正の第9レンズL9と、像側に凸面を向けた負の第10メニスカスレンズL10と、を有する。正の第9レンズL9と負の第10メニスカスレンズL10は接合CL3を構成する。
【0170】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F2と、平行平板F3が配置されている。平行平板F3は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0171】
平行平板F1、平行平板F2は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0172】
図15(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図15(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0173】
(実施例8)
実施例8に係る対物光学系について説明する。図16(a)は、本実施例に係る対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、図16(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0174】
図16(a)、(b)に示すように、対物光学系は、物体側から順に、正の第1群G1と、負の第2群G2と、明るさ絞りSと、負の第3群G3と、正の第4群G4と、を有する。
【0175】
正の第1群G1は、物体側から順に、物体側に平面を向けた平凹の負の第1レンズL1と、平行平板F1と、像側に凸面を向けた正の第2メニスカスレンズL2と、像側に凸面を向けた負の第3メニスカスレンズL3と、物体側に凸面を向けた正の第4メニスカスレンズL4と、を有する。正の第2メニスカスレンズL2と負の第3メニスカスレンズL3は接合レンズCL1を構成する。
【0176】
負の第2群G2は、物体側に凸面を向けた負の第5メニスカスレンズL5を有する。負の第5メニスカスレンズL5は、通常観察状態(図16(a))から近接観察状態(図16(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I側)に移動する。
【0177】
第2群G2の後方(像面I側)には、明るさ絞りSが配置されている。
【0178】
負の第3群G3は、物体側から順に、両凹の負の第6レンズL6と、両凸の正の第7レンズL7と、を有する。負の第6レンズL6と正の第7レンズL7は接合レンズCL2を構成する。接合レンズCL2は、通常観察状態(図16(a))から近接観察状態(図16(b))へフォーカシングするに際して、光軸AXに沿って像側(像面I側)に移動する。
【0179】
正の第4群G4は、物体側から順に、両凸の正の第8レンズL8と、両凸の正の第9レンズL9と、像側に凸面を向けた負の第10メニスカスレンズL10と、を有する。正の第9レンズL9と負の第10メニスカスレンズL10は接合CL3を構成する。
【0180】
第4群G4の後方(像面I側)には、平行平板F2が配置されている。
【0181】
平行平板F2は、図示しない撮像素子の前面にカバーガラスCGとして貼り付けられている。
【0182】
平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのフィルターである。
【0183】
図17(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。図17(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
【0184】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。記号は、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、neは各レンズのe線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数、FnoはFナンバー、2ωは全画角、IHは像高である。絞りは、明るさ絞りである。
【0185】
数値実施例1
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.380 1.88815 40.76
2 1.2815 1.335
3 -2.7347 0.797 1.51825 64.14
4 -1.6935 0.231
5 -2.1424 0.542 1.72733 29.23
6 15.3785 0.695 1.77621 49.60
7 -2.5873 0.020
8 2.9604 0.718 1.59667 35.31
9 -14.2460 可変
10 -4.4554 0.286 1.75453 35.33
11 -13.9667 可変
12(絞り)∞ 0.020
13 2.2922 0.285 1.73429 28.46
14 1.5748 可変
15 8.8855 0.760 1.77621 49.60
16 -2.8180 0.032
17 5.0609 1.054 1.69979 55.53
18 -1.8002 0.478 1.97189 17.47
19 -26.0438 0.152
20 ∞ 0.320 1.51825 64.14
21 ∞ 0.500
22 ∞ 0.880 1.51825 64.14
23撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.907 1.020
Fno 2.95 3.0
物点距離 15.0 2.66
IH 1.0mm
2ω 158°

d9 0.2504 0.7110
d11 0.0265 0.2767
d14 1.8762 1.1654
【0186】
数値実施例2
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.385 1.88815 40.76
2 1.4871 2.377
3 ∞ 0.500 1.49557 75.00
4 ∞ 0.606
5 -43.4711 2.000 1.77621 49.60
6 -1.9369 0.447 1.59911 39.24
7 -10.2589 0.020
8 2.7843 0.717 1.59667 35.31
9 -27.1989 0.406
10(絞り)∞ 可変
11 -4.6572 0.240 1.51977 52.43
12 -34.2554 可変
13 4.3339 0.180 1.70442 30.13
14 1.4414 0.478 1.48915 70.23
15 2.1269 可変
16 2.6219 0.638 1.77621 49.60
17 -6.8528 0.606
18 -3.6963 0.874 1.69979 55.53
19 -1.7059 0.478 1.93429 18.90
20 -3.3679 0.200
21 ∞ 0.450 1.51825 64.14
22 ∞ 0.821
23 ∞ 0.550 1.88815 40.76
24撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 1.174 1.242
Fno 4.92 5.42
物点距離 26.3 3.35
IH 1.0mm
2ω 120.8°

d10 0.16 0.3448
d12 0.02 0.2955
d15 0.6962 0.2359
【0187】
数値実施例3
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.380 1.88815 40.76
2 1.1477 1.498
3 ∞ 0.500 1.51825 64.14
4 ∞ 0.606
5 -6.4863 2.000 1.77621 49.60
6 -1.5836 0.450 1.59911 39.24
7 -4.0682 0.020
8 5.5995 0.717 1.59667 35.31
9 -7.9918 可変
10 -6.4172 0.240 1.51977 52.43
11 -34.2554 0.020
12(絞り)∞ 可変
13 11.9362 0.300 1.59667 35.31
14 2.3063 可変
15 4.2276 0.638 1.77621 49.60
16 11.0452 0.215
17 3.4879 1.850 1.48915 70.23
18 -1.7623 0.478 1.93429 18.90
19 -3.0209 0.391
20 ∞ 0.500 1.51825 64.14
21 ∞ 2.229
22 ∞ 0.800 1.88815 40.76
23撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 1.064 1.309
Fno 3.92 4.69
物点距離 26.3 2.22
IH 1.0mm
2ω 153.4°

d9 0.115 0.502
d12 0.0333 0.7842
d14 1.5 0.3621
【0188】
数値実施例4
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.380 1.88815 40.76
2 1.2649 1.323
3 -3.4997 0.797 1.51825 64.14
4 -1.6811 0.126
5 -1.9395 0.542 1.72733 29.23
6 19.3591 1.036 1.77621 49.60
7 -2.5749 0.020
8 2.6839 0.718 1.59667 35.31
9 -10.7355 可変
10 -3.7069 0.286 1.75453 35.33
11 -9.7789 可変
12(絞り)∞ 0.020
13 2.9773 0.285 1.73429 28.46
14 1.7166 可変
15 5.7655 0.760 1.77621 49.60
16 -3.1662 0.032
17 6.5961 1.054 1.69979 55.53
18 -1.7956 0.478 1.97189 17.47
19 -35.2137 0.157
20 ∞ 0.320 1.51825 64.14
21 ∞ 0.500
22 ∞ 0.880 1.51825 64.14
23撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 0.937 1.024
Fno 3.15 3.16
物点距離 15 3.66
IH 1.0mm
2ω 155.3°

d9 0.2036 0.3402
d11 0.02 0.526
d14 1.7759 1.1333
【0189】
数値実施例5
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.383 1.88815 40.76
2 1.2260 1.379
3 ∞ 0.350 1.88815 40.76
4 ∞ 0.480
5 -8.7232 1.600 1.77621 49.60
6 -2.5072 0.320 1.58482 40.75
7 -3.5270 0.020
8 5.4575 0.717 1.59667 35.31
9 -4.8801 可変
10 -5.2079 0.300 1.51825 64.14
11 -4.7433 0.240 1.51977 52.43
12 -34.2554 0.100
13(絞り)∞ 可変
14 8.7235 0.300 1.59667 35.31
15 1.1844 0.650 1.49846 81.54
16 4.1376 可変
17 2.9597 0.638 1.77621 49.60
18 -7.5247 0.239
19 10.4640 1.000 1.48915 70.23
20 -2.5938 0.350 1.93429 18.90
21 -21.5658 0.150
22 ∞ 0.550 1.51825 64.14
23 ∞ 0.596
24 ∞ 0.800 1.88815 40.76
25撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 1.089 1.157
Fno 3.56 3.81
物点距離 26.3 3.65
IH 1.0mm
2ω 135°

d9 0.15 0.3633
d13 0.0212 0.618
d16 0.9745 0.1644
【0190】
数値実施例6
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.340 1.88815 40.76
2 1.3383 1.078
3 6.0440 0.450 1.48915 70.23
4 2.0791 0.843
5 14.1820 1.600 1.77621 49.60
6 -1.6879 0.320 1.58482 40.75
7 -4.5957 0.020
8 4.0754 0.717 1.59667 35.31
9 -8.6881 可変
10 -19.9927 0.400 1.85504 23.78
11 6.0323 0.200
12(絞り)∞ 可変
13 7.0194 0.300 1.64268 44.87
14 1.2018 0.650 1.49846 81.54
15 4.6383 可変
16 3.0725 0.800 1.77621 49.60
17 -6.8430 0.241
18 10.9631 1.500 1.53947 74.70
19 -2.0587 0.350 1.97189 17.47
20 -5.0060 0.116
21 ∞ 0.500 1.51825 64.14
22 ∞ 0.800
23 ∞ 0.550 1.88815 40.76
24撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 1.084 1.176
Fno 3.42 3.48
物点距離 26.3 3
IH 1.0mm
2ω 130°

d9 0.15 0.57
d12 0.3435 0.256
d15 0.5685 0.236
【0191】
数値実施例7
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.340 1.88815 40.76
2 1.3136 1.173
3 ∞ 0.450 1.51825 64.14
4 ∞ 1.040
5 -22.0438 1.600 1.77621 49.60
6 -1.9707 0.320 1.58482 40.75
7 -5.4934 0.020
8 3.1357 0.717 1.59667 35.31
9 -11.8675 可変
10 -29.3373 0.400 1.85504 23.78
11 5.4879 0.100
12(絞り)∞ 可変
13 146.8933 0.300 1.67340 47.23
14 1.2019 0.650 1.53947 74.70
15 27.7287 可変
16 3.1252 1.200 1.77621 49.60
17 -11.8652 0.241
18 11.7363 1.500 1.53947 74.70
19 -2.0431 0.350 1.97189 17.47
20 -4.0454 0.124
21 ∞ 0.350 1.51825 64.14
22 ∞ 0.934
23 ∞ 0.800 1.88815 40.76
24撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 1.124 1.248
Fno 3.48 3.56
物点距離 26.3 2.48
IH 1.0mm
2ω 130.8°

d9 0.15 0.6298
d12 0.3002 0.2621
d15 0.7108 0.2691
【0192】
数値実施例8
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
1 ∞ 0.340 1.88815 40.76
2 1.2866 1.200
3 ∞ 0.450 1.51825 64.14
4 ∞ 0.930
5 -9.2138 1.600 1.77621 49.60
6 -2.1791 0.320 1.79192 25.68
7 -3.2640 0.020
8 3.0261 0.717 1.65222 33.79
9 201.4069 可変
10 2.9154 0.400 1.93429 18.90
11 1.7853 0.200
12(絞り)∞ 可変
13 -8.4150 0.300 1.67340 47.23
14 1.4007 0.650 1.53947 74.70
15 -12.4275 可変
16 2.9859 1.200 1.77621 49.60
17 -14.1885 0.240
18 12.7780 1.500 1.53947 74.70
19 -1.9349 0.350 1.97189 17.47
20 -3.8880 1.120
21 ∞ 0.700 1.88815 40.76
22撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
焦点距離 1.109 1.219
Fno 3.02 3.03
物点距離 26.3 2.18
IH 1.0mm
2ω 133.9°

d9 0.15 0.7358
d12 0.2444 0.1052
d15 0.6918 0.2452
【0193】
以下の表1に、各実施例の構成における条件式(1)から(16)の条件式対応値を示す。

(表1)
条件式 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
(1) 0.508 0.157 0.364 0.146
(2) 0.783 0.392 1.07 0.686
(3) 0.648 0.401 0.34 0.213
(4) -1.59 -1.426 -1.215 -1.52
(5) 2.498 2.328 2.549 2.138
(6) 1.657 1.062 1.252 1.234
(7) -9.681 -8.855 -14.326 -8.62
(8) -9.079 -4.072 -4.557 -6.517
(9) 2.712 2.569 3.45 2.792
(10) 3.422 1.062 1.942 2.231
(11) 3.012 5.617 4.656 3.331
(12) 1.066 2.175 3.143 1.323
(13) 1.637 2.42 2.756 2.262
(14) -3.348 -1.585 -1.321 -2.334
(15) 2.981 4.92 3.921 3.15
(16) 0.993 0.907 0.836 0.997

条件式 実施例5 実施例6 実施例7 実施例8
(1) 0.196 0.387 0.427 0.528
(2) 0.744 0.307 0.393 0.403
(3) 0.263 1.263 1.086 1.312
(4) -1.268 -1.39 -1.316 -1.306
(5) 2.26 2.124 2.173 2.228
(6) 1.361 1.221 1.181 1.237
(7) -10.918 -4.964 -4.785 -5.361
(8) -6.902 -6.918 -7.001 -6.949
(9) 2.867 2.457 2.621 2.674
(10) 2.31 4.813 4.419 3.426
(11) 4.26 3.269 3.149 3.094
(12) 1.582 0.718 0.683 0.771
(13) 2.107 2.013 2.218 2.161
(14) -2.407 -2.815 -2.672 -2.599
(15) 3.557 3.42 3.483 3.019
(16) 0.934 0.982 0.978 0.997
【0194】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態のみに限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、これら実施形態の構成を適宜組合せて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【0195】
(付記)
なお、これらの実施例から以下の構成の発明が導かれる。
(付記項1)
物体側から順に、正の第1群、負の第2群、負の第3群、正の第4群を有し、
第2群と第3群が共に像側へ移動することで遠距離物点から近距離物点へのフォーカシングを行い、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする対物光学系。
0.1 < (t12n-t12f)/F < 1.2 (1)
ここで、
t12nは、近距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
(付記項2)
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする付記項1に記載の対物光学系。
0.2 < (t34f-t34n)/F < 2 (2)
ここで、
t34fは、遠距離物点合焦時での第3群と第4群の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での第3群と第4群の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
(付記項3)
以下の条件式(3)、(4)、(5)の少なくともいずれか一つの条件式を満足することを特徴とする付記項1に記載の対物光学系
0.1 < (t12n-t12f)/(t34f-t34n) < 2.2 (3)
-2 < fG1-1/F < -1 (4)
1.8 < fG1-2/F < 3.5 (5)
ここで、
t12nは、近距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
t34fは、遠距離物点合焦時での第3群と第4群の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での第3群と第4群の間隔、
fG1-1は、第1群の最も物体側にあるレンズの焦点距離、
fG1-2は、第1群の最も物体側にあるレンズの後続の正のサブレンズ群の焦点距離、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
である。
(付記項4)
以下の条件式(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)のうちの少なくともいずれか一つの条件式を満足することを特徴とする付記項1から3の何れか1項に記載の対物光学系。
0.6 < fG1/F < 2.2 (6)
-18 < fG2/F < -4.5 (7)
-10 < fG3/F < -3 (8)
1 < fG4/F < 5 (9)
1 < fG1S/F < 8 (10)
2 < fGS4/F < 7 (11)
0.5 < fG2/fG3 < 3.5 (12)
1.5 < fG4/fG1 < 3.5 (13)
-4 < fG3/fG4 < -1 (14)
2.5 < Fno < 5.2 (15)
0.8 < Fno/Fno_N < 1.2 (16)
ここで、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
fG1は、第1群の焦点距離、
fG2は、第2群の焦点距離、
fG3は、第3群の焦点距離、
fG4は、第4群の焦点距離、
fG1Sは、遠距離物点合焦時の第1群から明るさ絞りまでの合成焦点距離、
fGS4は、遠距離物点合焦時の明るさ絞りから第4群までの合成焦点距離、
Fnoは、遠距離物点合焦時の対物光学系のF値、
Fno_Nは、近距離物点合焦時の対物光学系のF値、
である。
(付記項5)
以下の条件式(1’)、(2’)、(2”)、(3’)、(5’)、(6’)、(9’)、(10’)、(11’)、(13’)のうちの少なくともいずれか一つの条件式を満足することを特徴とする付記項1から4の何れか1項に記載の対物光学系。
0.1 < (t12n-t12f)/F < 0.7 (1’)
0.2 < (t34f-t34n)/F < 1.6 (2’)
0.2 < (t34f-t34n)/F < 1.2 (2”)
0.1 < (t12n-t12f)/(t34f-t34n) < 1.6 (3’)
2 < fG1-2/F < 3 (5’)
1 < fG1/F < 1.8 (6’)
2 < fG4/F < 4 (9’)
1 < fG1S/F < 5.5 (10’)
2.4 < fGS4/F < 6.2 (11’)
1.5 < fG4/fG1 < 3 (13’)
ここで、
t12nは、近距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
t12fは、遠距離物点合焦時での第1群と第2群の間隔、
t34fは、遠距離物点合焦時での第3群と第4群の間隔、
t34nは、近距離物点合焦時での第3群と第4群の間隔、
Fは、遠距離物点合焦時の対物光学系の全系の焦点距離、
fG1は、第1群の焦点距離、
fG4は、第4群の焦点距離、
fG1-2は、第1群の最も物体側に近いレンズの後続の正のサブレンズ群の焦点距離、
fG1Sは、遠距離物点合焦時の第1群から明るさ絞りまでの合成焦点距離、
fGS4は、遠距離物点合焦時の明るさ絞りから第4群までの合成焦点距離、
である。
【0196】
なお、各条件式は、いずれの条件式を単独で用いても、自由に組み合わせて用いてもよく、本発明の効果を奏する。また、条件式の上限値、下限値をそれぞれ単独に変更した条件式であってもよく、同様に本発明の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0197】
以上のように、物点距離の変化に応じて拡大観察するためにフォーカシングできる対物光学系及び内視鏡において、製造誤差感度を低減し、高画素かつ小型の撮像素子に対応した、高性能でFnoが明るい対物光学系及び内視鏡に有用である。

【符号の説明】
【0198】
G1 第1群
G2 第2群
G3 第3群
G4 第4群
S 明るさ絞り
L1~L11 レンズ
CL1~CL4 接合レンズ
AX 光軸
I 像面(撮像面)
CG カバーガラス
F1、F2、F3 平行平板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17