(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】ガラス繊維注入製品の成形型用ジッパーストリップ
(51)【国際特許分類】
B29C 43/32 20060101AFI20220215BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20220215BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20220215BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20220215BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20220215BHJP
B29L 31/08 20060101ALN20220215BHJP
【FI】
B29C43/32
B29C43/12
B29C70/44
F03D1/06 A
B29K105:08
B29L31:08
(21)【出願番号】P 2020561808
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050679
(87)【国際公開番号】W WO2019212588
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,カーク エム.
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0051076(US,A1)
【文献】米国特許第03301687(US,A)
【文献】米国特許第05316462(US,A)
【文献】米国特許第03469766(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンブレードの成形型から真空バッグを取り外す方法であって、
成形型内で風力タービンブレードのコンポーネントを形成する工程と、
風力タービンブレードコンポーネントの外周の少なくとも一部分の周りに配置される少なくとも1つの脱着可能なストリップを提供する工程と、
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップの上に少なくとも1つの消耗品の層を配置する工程と、
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップの上に真空バッグの一部分を配置する工程と、
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップを引っ張り、前記引っ張り力によって前記少なくとも1つの消耗品の層および前記真空バッグを破断する工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップは、所定の経路で前記少なくとも1つの消耗品の層を破断する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップは
、0.028インチの厚さと
、0.5インチの幅と
、820ポンドの破断強度と、華
氏490度の融点とを有している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップは、ガラスの上に直接的に配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
全ての前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが一旦取り外されると、前記少なくとも1つの消耗品の層および前記真空バッグは、前記少なくとも1つの脱着可能なストリップにより縛られる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップは、取り外し後、前記風力タービンブレードコンポーネントに窪みを与える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記窪みに粘着テープを貼付する工程をさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが、前記成形型の周囲であって、上部クランプ端部と底部クランプ端部との間のクランプ端部上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが、前記風力タービンブレードコンポーネントの根元末端から1.5mの位置に配置され、前記成形型の前縁側および後縁側の両方の先端に伸長する第1の末端を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが、前記少なくとも1つの脱着可能なストリップの端部にハンドルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが根元末端か
ら1500mm、12,000mm、27,500mmの位置に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが根元末端から先端まで供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップを横方向から前記成形型の中に供給する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが下向きに前記成形型の中に供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
桁キャップおよび前記成形型の分割線には、少なくとも1つの脱着可能なストリップがないままである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップの一部分が前記成形型の根元に近接して配置され、前記成形型
の先端まで伸長している、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップが、前記成形型のフランジ上に設置され、前記成形型の根元から1.5mマークにおいて切断される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップの端部にアクセスするために前記真空バッグに開口部が形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
樹脂分散用の予め定められた流路を形成するためのガイドをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの脱着可能なストリップは、取り外し時、前記ガイドを破断しない、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条に基づき、2018年5月4日付出願米国仮出願第62/667,068に対する優先権の利益を主張し、その全体の内容が参照することによって本願に組み込まれている。
【0002】
本開示の主題は、繊維強化高分子複合材料製造業の製品、例えば、風力タービンブレードのためのシステムおよび対応する方法に関する。具体的には、本開示の主題は、例えば複合材料製品の製造時に用いられる真空バッグといった装置を分解するための新規な技術を提供する。
【背景技術】
【0003】
風力タービンブレードの製造に関して様々な方法およびシステムが知られている。通常、オートクレービングと比較して低コストであるため、風力タービンブレードの製造において真空補助樹脂トランスファ成形(VARTM)プロセスが広く利用されている。成形型に充填する工程中において真空出口を介して、低圧または負圧の真空が成形型キャビティに生成され、それによって、その成形型キャビティを充填するために入り口チャネルを介して液体高分子がその成形型キャビティに引き込まれる。流頭が真空チャネルに向かって移動するので、負圧により高分子がその入り口チャネルから成形型キャビティ中であらゆる方向に分散する。真空注入技術では、通常、真空バッグの形態において剛性のある成形型部分と弾性のある成形型部分とが用いられる。
【0004】
樹脂トランスファ成形(RTM)は、VARTMに類似した製造方法である。RTMにおいて、成形型キャビティで生成される真空によって液体樹脂はその成形型キャビティに引き込まれない。代わりに、液体樹脂は、入り口側における超過圧力によって成形型キャビティの中に強制的に注入される。
【0005】
プレプレグ成形は、強化繊維が予め触媒された樹脂を用いて事前に含侵される方法である。その樹脂は、通常、常温で固体またはほぼ固体である。プレプレグは、成形型表面上に手動または機械によって配置され、真空袋詰めされ、次に、その樹脂は、再流動が可能となる温度まで加熱され、最終的に硬化する。この方法の主な利点は、繊維材料中の樹脂含有量が前もって正確に設定されることである。プレプレグは、作業が簡便で汚れがなくきれいであり、自動化および省力化を実現可能にする。プレプレグの不利な点は、事前に含侵されていない繊維よりも材料費が高いことである。さらに、コア材料が、樹脂を再流動させるために必要なプロセス温度に耐えることができる材料で作られる必要があることである。プレプレグ成形は、RIMプロセスおよびVARTMプロセスの両方と関連して用いてもよい。
【0006】
いくつかの例示的な注入技術が米国特許第9,599,094号および第8,123,883号に開示されており、それぞれの全体が本願に参照により組み込まれている。このような従来の技術では、樹脂の硬化が終了し次第、真空バッグを実質的に切断して成形型からそのバッグを取り外す必要がある。これは、その切断作業が、通常、手動で行われるために、従業員が負傷のリスクにさらされることになるので好ましくない。さらに、従来の切断技術では、製造された部品に対する損傷を防止するために多大な設備と補完的な成形型構造(例えば、米国特許第8,123,883号に開示されているような周辺切断チャネル26)とが必要となる。
【0007】
従って、従来の切断技術およびバッグの取り外し技術に伴う上記の不都合な点を防止する真空バッグの取り外しのための効率的で経済的な方法とシステムの必要性が残されたままである。大きなコンポーネントである風力タービンブレードの製造において、消耗品を取り外すために扱い易い大きさの破片に切断するために必要な、相当な量のナイフ作業がある。本プロセスを用いることによって、99%のナイフ作業が削減される。これに加えて、それは、外周バッグが、その成形型において部品を保持するための粘着テープの貼付に対して、好適な表面仕上げを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の主題の目的および利点は、以下の記述で説明され、その記述で明らかとなるであろうし、また、本開示の主題の実施によって習得されるであろう。本開示の主題のさらなる利点は、その明細書と特許請求の範囲において、および添付の図面から具体的に示された方法とシステムにより実現、達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらおよび他の利点および本発明の目的を達成するため、開示された主題の目的によれば、具体化されかつ広範囲に説明したように、開示された主題は、風力タービンブレードの成形型から真空バッグを取り外す方法を提供する。本方法は、成形型内で風力タービンブレードのコンポーネントを形成する工程と、コンポーネント部品の外周の少なくとも一部分の周りに配置される少なくとも1つの脱着可能なストリップを提供する工程と、脱着可能なストリップの上に少なくとも1つの消耗品の層を配置する工程と、脱着可能なストリップの上に真空バッグの一部分を配置する工程と、前記脱着可能なストリップを引っ張り、前記引っ張り力によって前記消耗品の層および前記真空バッグを破断する工程とを備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記脱着可能なストリップは、所定の経路で前記消耗品の層を破断し、前記脱着可能なストリップは、約0.028インチの厚さと、約0.5インチの幅と、約820ポンドの破断強度と、華氏約490度の融点とを有している。
【0011】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの脱着可能なストリップは、ガラスの上に直接的に配置されている。全ての前記脱着可能なストリップが一旦取り外されると、前記消耗品の層および前記真空バッグは前記脱着可能なストリップにより縛られる。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記脱着可能なストリップは、取り外し後、前記コンポーネント部品に窪みを与え、前記窪み(またはその内部)に粘着テープを貼付する工程をさらに備える。
【0013】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの脱着可能なストリップが、前記成形型の周囲であって、上部クランプ端部と底部クランプ端部との間のクランプ端部上に配置される。
【0014】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの脱着可能なストリップが、前記風力タービンブレードの根元末端から1.5mの位置に配置され、前記成形型の前縁側および後縁側の両方の先端に伸長する第1の末端を有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記脱着可能なストリップが、前記脱着可能なストリップの端部にハンドルを有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、脱着可能なストリップが根元末端から約1500mm、12,000mm、27,500mmの位置に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記脱着可能なストリップが供給カートから供給され、前記供給カートは、前記ブレードの成形型の外部にあって、ブレードのスパンに沿って移動する。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記供給カートは、前記成形型の上方に配置され、前記脱着可能なストリップが下向きに前記成形型の中に供給される。いくつかの実施形態において、脱着可能なストリップの一部分が前記根元に近接して配置され、成形型の前記先端まで伸長している付加的または代替的に、前記脱着可能なストリップが、前記成形型のフランジ上に設置され、前記根元から1.5mマークにおいて切断される。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記桁キャップおよび成形型分割線には脱着可能なストリップがないままである。さらに、前記脱着可能なストリップの端部にアクセスするために前記真空バッグに開口部が形成されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、樹脂分散用の予め定められた流路を形成するためのガイドをさらに備え、前記脱着可能なストリップは、取り外し時、前記ガイドを破断しない。
【0021】
前述の全般的な説明および以下の詳細な説明は、共に、例示であり、特許請求された本開示の主題のさらなる説明を提供することを意図するものであることを理解されたい。
【0022】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している添付の図面は、本開示の主題の方法およびシステムを図で示し、さらなる理解を提供するために含まれている。説明と共に、図面は、本開示の主題の原理を説明するのに役立つ。
【0023】
本明細書中に記載された本主題の様々な態様、機構、および実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照して提供されており、以下に簡潔に説明されている。図面は、例示的であり、必ずしも原寸に比例して描かれてなく、一部のコンポーネントおよび機構は明確さのために誇張されている。図面は、本主題の様々な態様および機構を例示しており、本主題の1つ以上の実施形態または事例を全体的にまたは部分的に説明する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】風力タービンブレードの成形型に対する真空バッグ取り外しの例示の実施形態を示す。
【
図2】ガラス繊維レイアップ部分を有する風力タービンブレードの成形型に対する真空バッグ取り外しの例示の実施形態を示す。
【
図3】ボンドキャップフランジを有する風力タービンブレードの成形型に対する真空バッグ取り外しの例示の実施形態を示す。
【
図4】ブレードの成形型内の真空バッグ取り外しストリップの装着に対する例示的な配置を示す。
【
図5】ブレードの成形型内の真空バッグ取り外しストリップの装着に対する例示的な配置を示す。
【
図6】ブレードの成形型内の真空バッグ取り外しストリップの装着に対する例示的な配置を示す。
【
図7】ブレードの成形型内の真空バッグ取り外しストリップの装着に対する例示的な配置を示す。
【
図8】ブレードの成形型内の真空バッグ取り外しストリップの装着に対する例示的な配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本開示の主題の例示の実施形態を詳細に参照し、その一例を添付の図面に示す。本開示の主題の方法および対応する工程をシステムの詳細な説明と併せて説明する。
【0026】
本開示の態様に従って、複合成形型から真空バッグを取り外す方法が提供されている。脱着可能なストリップがコンポーネント部品の外周の周りおよび部品の全体に渡って配置され、複合材料製品、例えば、風力タービンブレードの製造時に使用される消耗材に自然な破断点を形成している。真空バッグおよびその他の消耗品の層は脱着可能なストリップの上に配置され、ストリップが引っ張られたとき、ストリップが、管理された完全な方法で、消耗品の各層を破断する。これにより、完成品を取り出すためにナイフ/ハサミを使用する必要がなくなるので、負傷のリスクが回避される。
【0027】
実施形態によっては、脱着可能なストリップは、袋地および消耗材を硬化部分から迅速に取り外す手段として、ジッパーストリップとして構成されている。脱着可能なストリップのストラッピング寸法は、それ(脱着可能なストリップ)が適用されるプロセスおよび使い勝手の良さに従って変動する。限定せずに説明することを目的として、ストラッピングの一実施形態において、厚さは0.028インチ、破断強度は820ポンド,融点は華氏490度、幅は0.5インチである。しかしながら、脱着可能なストリップの特定の構造的特性は、用途および製造される特定のコンポーネントに従って変動する場合があることを理解されたい。
【0028】
稼働時において、脱着可能なジッパーストリップは、非研磨テープ上に配置され、また、非研磨テープが存在しないガラス(ガラス繊維)上に直接配置される。有孔リリースフィルム、「Release Ease Teflon」、「Omega」、「Green Flow Media」、および真空バッグが全てこれらの材料の最上部の上に配置される。タービンブレード部分に樹脂が注入され、硬化した後、脱着可能なジッパーストリップの端部は、消耗品から切り離され、次に、製造された部品から(例えば、手動で)引き出される。注入された部品からジッパーストリップを引き出す行為により、全ての消耗品が破断される。さらに、ジッパーストリップは、予測可能で管理可能な破断線を提供するので、隣接するコンポーネントまたは材料に対する好ましくない逸脱および損傷が防止される。
【0029】
本開示の態様に従って、脱着可能なジッパーストリップは、製造された部品から容易に取り外され、製造時に使用された消耗品を切断し、ナイフまたはその他のツールによって切断する必要をなくす。これにより、負傷のリスクが大幅に低減される。さらに、一旦、全ての脱着可能なジッパーストリップが取り外されると、消耗品は、部品から取り外されて、一緒に消耗品を縛るためのストラッピングとして使用される脱着可能なジッパーストリップによって束ねられる。ブレード外皮(風力ブレードの半分)の外周に沿った消耗品の取り外しに加えて、脱着可能なジッパーストリップは、取り外された場所に滑らかな窪みを残し(シェルを成形型の中に保持するために)、外周バッグの設置のために粘着テープが貼付される好適な場所を形成する。
【0030】
本開示の例示の実施形態において、開示されたプロセスは、複合材料製品の製造時において、例えば、外皮成形型の取り外し時に用いられる設備と消耗品の分解および取り外しに役立つ。
図1乃至
図3における注釈が付けられた拡大図に示されるように、脱着可能なジッパーストリップ(10、20)は、成形型の周りの上部クランプ端部(100)と底部クランプ端部(200)との間のクランプ端部上に配置される。図示のように、脱着可能なジッパーストリップは、ブレードの根元末端から1.5mの位置から開始し、成形型の前縁(LE)側と後縁(TE)側の両方の先端まで延びている。しかしながら、実施形態によっては、脱着可能なストリップは、脱着可能なストリップが、成形型の外周を完全に包含するかまたは取り囲むように、成形型の根元に、および成形型の根元全体に渡って配置されてもよい。脱着可能なストリップをガラス繊維および非研磨テープ(NST)に貼付するために接着剤、または、粘着付与剤を使用してしてもよい。その接着剤は、ガラス繊維部品の部分の二次接合面としての役割を果たすように生地素材を含んでもよい。脱着可能なジッパーストリップの端部は、材料、例えば、簡単な視覚による識別および手で握ることの両方を可能にするダクトテープで巻かれてもよい。さらに、ハンドルまたはプルタブを脱着可能なストリップの端部に含めて、破断/取り外しを促進することもできる。実施形態によっては、脱着可能なストリップの全体が真空バッグの下に全面的に置かれ、樹脂を硬化させて真空バッグを切り分けた後にのみアクセスすることができる。
【0031】
実施形態によっては、
図2に示すように、付加的な脱着可能なストリップ(10、20、30)を以下の1500mm、12,000mm、および/または27,500mmの位置(根元末端を基準に計測)に配置してもよい。図示の実施形態に示すように、脱着可能なジッパーストリップを、成形型分割線から成形型分割線までブレード全体に渡って伸長するように配置してもよい。実施形態によっては、成形型分割線を越えて伸長することがないように脱着可能なジッパーストリップを配置してもよい(
図4乃至
図6に示すように)。同様に、脱着可能なストリップは、ボンドキャップフランジの上に伸長しないようにかつ成形型フランジの上に伸長しないように配置される。この手法は、十分注意された手法として用いることができ、鋭利な湾曲部を有するこれらの領域において、バッグに好ましくない穴あけ/穿孔が発生しないようする。しかしながら、本開示がそのような構成に限定されず、脱着可能なストリップを成形型の任意の部分に沿って伸長可能であることが、当業者において理解されるべきである。例示の
図2に示すように、脱着可能なストリップは、必要に応じて、成形型の端部/境界まで伸長可能である。
【0032】
脱着可能なジッパーストリップの装着時において、脱着可能なジッパーストリップを供給する供給カートを、成形型の外部の成形型の根元近くに配置してもよい。ジッパーストリップの部分が成形型の先端まで供給され、引き出され、または搬送されて、確実に十分な長さが配分される。一旦、供給カートから適切な長さが供給されると、ジッパーストリップは、成形型のフランジに装着されて、根元末端から1.5mのマークにおいて切断される。これが、ブレードの成形型の前縁と後縁の両方に対して繰り返される。翼弦方向に延びる脱着可能なストリップは、同様にして供給カートから供給される。好ましい長さは、翼弦長を測定することによって(および成形型輪郭の非線形な形状を考慮することによって)決定することができる。一旦、好ましい長さが得られると、はさみを用いて、ジッパーストリップを供給ストックから切断または分断することができる。ジッパーストリップの供給カートは、移動可能で、製造現場のブレードの成形型のそばに配置してもよい。代わりに、ジッパーストリップの供給カートは、ジッパーストリップが供給され、ディスペンサの一部のステアリング機構のガイドに基づいて、または手動による配置によって、所定の位置に降下できるように(上方から吊り下げるか、あるいは足場または脚柱のような機構を設けて製造現場の床から引き上げるかして)上昇させてもよい。前述のように、脱着可能なジッパーストリップの供給および配置中、ジッパーストリップが、決して補助桁キャップを越えて伸張しないかまたは橋をかけないように、そして、ブレードの外側の成形型分割線を越えて伸張しないように注意すべきである。
【0033】
本開示の態様に従って、目的は、ジッパーストリップを破断することにより生成された自然な破断部を有する消耗品を迅速に取り外すことである。次に、ジッパーストリップは、消耗品を集約し収容する手段として作用する二次機能を果たすことができる。これにより、異物や破片が成形型または製造されたコンポーネント内に偶発的に残留する可能性が低減される。さらに、ジッパーストリップが袋詰めを解除するときバッグの中のプリーツの下を移動する場合、作業者はバッグを切断してあらゆる好ましくないプリーツを再調整し取り外すことができる。
【0034】
装着時、脱着可能なジッパーストリップの上に以下の材料の層、すなわち、「Blue Perf」、「Omega」、「Brown Perl Ply」、「Green Flow」、「Breather」、「Tape」、および真空バッグが配置される。これらは、ブレードの注入時に使用される消耗材であり、樹脂が十分硬化した後で廃棄される。実施形態によっては、例えば、ガラス繊維、コンポーネント上にテクスチャード加工された表面を提供する役割を果たす非研磨材料を、脱着可能なストリップの下に設けてもよい。
図2の例示の実施形態で示すように、脱着可能なジッパーストリップ10は、成形型(80)の上に配置されるガラス繊維(90)の上に配置される。
【0035】
実施形態によっては、繊維、例えば、ガラスが脱着可能なストリップの上に装着されないことを確実にするために付加的な予防措置または品質管理の検査を含めてもよい。同様に、非研磨テープが脱着可能なストリップの上に配置されないことを確実にするために予防措置が講じられてもよい。これらの予防措置により、製造されるコンポーネントへの「脱着可能な」ストリップの偶発的かつ恒久的な接合を防止することができる。本開示の別の態様に従って、脱着可能なストリップは、均一な形状および大きさで提供され、成形型の任意の好ましい位置でのストリップの迅速で汎用性がある適用を可能にする。
【0036】
図7および
図8に示すように、複合材料構造体の硬化後において、コンポーネントの「袋詰め解除」を開始することができる。この例示の実施形態において、脱着可能なジッパーストリップ(10)の端部にアクセスするために切開部が作られる。次に、作業者は、ストリップを上方向に引っ張って材料の上層を介して切断または破断することができる(上述のように)。実施形態によっては、ガイドを使用して樹脂用の予め定めた流路を形成してもよい。このガイドは、オメガすなわち「Ω」の形状を含めて、様々な形状にすることができる。そのような実施形態においては、脱着可能なストリップは、樹脂が供給され硬化したとき、ガイドを破断しない。従って、レバー、ハンマー、切断装置、または「F」バー(すなわち、逆さまのFの形をした2本のプロングが付いた逆さまのバー)を使用してガイドを破断することができ、その結果、作業者は、脱着可能なストリップを消耗品の下から継続して引っ張って破断を伝搬させることができる。
【0037】
本開示の別の態様に従って、翼弦状の脱着可能なジッパーストリップは、個別に一度に1つずつ、または同時に供給することができる。実施形態によっては、供給装置は、(ブレードの根元、または隣接する供給位置に対して)所望の位置に設定することができ、ジッパーストリップの適切な配置を確実にすることができるガントリーまたはガイド機構を含んでもよい。
【0038】
本開示の技術の好適な設定は、エポキシ樹脂部品とポリエステル樹脂部品の製造である。例示の実施形態では、風力タービンブレードの製造に焦点を合わせているが、このプロセスは他の複合材料部品、例えば、船舶、輸送機関、乗り物、彫像、航空機/軍用品、公共インフラ、建築、電化製品/事業製品、民生品、耐腐食設備、および電気部品設備の製造に用いることができる。
【0039】
本開示の主題が、特定の好適な実施形態に関して本明細書中に説明されているが、当業者は、それの範囲から逸脱することなく本開示の主題に対して様々な修正および改善を行うことができることを理解するであろう。さらに、本開示の主題の一実施形態の個別の機能は、その中で説明されるか、または一実施形態の図面に示され、他の実施形態では示されない場合があるが、一実施形態の個別の機能を、別の実施形態の1つ以上の機能または複数の実施形態からの機能と組み合わせることができることは明白である。
【0040】
下記で特許請求されている特定の実施形態に加えて、本開示の主題は、下記で特許請求されている従属的な機能と上記で開示された機能とのあらゆる他の可能性のある組み合わせを有する他の実施形態も対象とする。従って、従属請求項に提示されかつ上記で開示された特定の機能は、本開示の主題の範囲内で他の方法で互いに組み合わせることが可能であり、本開示の主題があらゆる他の可能性のある組み合わせを有する他の実施形態も特に対象としているとして認識されるべきである。従って、本開示の主題の特定の実施形態の上記の説明は、例示と説明のために提示されてきた。網羅的であることまたは開示された実施形態に本開示の主題を限定することを意図するものではない。
【0041】
本開示の主題の主旨および範囲から逸脱することなく、本開示の主題の方法およびシステムにおいて、様々な修正および変形を行うことが可能であることは当業者に明らかであろう。従って、本開示の主題が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内である修正および変形を含むことが意図されている。