(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/12 20060101AFI20220215BHJP
F16H 55/36 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
F16H7/12 A
F16H55/36 Z
(21)【出願番号】P 2020570785
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 US2019032561
(87)【国際公開番号】W WO2019245678
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-01-05
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】デミル,エルマン
(72)【発明者】
【氏名】カンクル,サープ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,デイビット ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】グクル,アフメット
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-537015(JP,A)
【文献】特表2019-535971(JP,A)
【文献】実開平7-12648(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/12
F16H 55/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有するベースと、
前記シャフト内に回転自在に係合する調節部材と、
シャフトの外側に揺動自在に係合するピボットアームと、
前記ベースと前記ピボットアームの間に係合するトーションスプリングと、
前記ピボットアームに軸支され、回転軸B-Bがピボットアームの回転軸A-Aから横方向にずれているプーリとを備え、
前記調節部材が軸C-Cを有する固定具の周りに回転するように構成され、前記軸C-Cが前記軸A-Aから横方向にずれ、
前記ピボットアームに回転自在に係合する回動部材を備え、第1位置にある前記回動部材が前記固定具の周りにおける前記調節部材の回転を許容し、前記回動部材の第2位置への回転により、前記回動部材が、前記調節部材に対する所定範囲内における前記ピボットアームの動きを制限する
テンショナ。
【請求項2】
前記回動部材が前記調節部材に協働的に係合する切欠きを備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記調節部材が工具受容部を備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
軸C-Cを有し、前記調節部材が前記軸C-Cの周りに回転可能である固定具をさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関し、より詳しくは、ピボットアームに回転自在に係合する回動部材を有し、第1位置にある回動部材が固定具の周りにおける調節部材の回転を許容し、回動部材の第2位置への回転により、回動部材が、調節部材に対して所定範囲内においてピボットアームの回転を制限するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトテンショナは、種々のベルト駆動システムにおいて用いられる、一般的によく知られた装置である。テンショナは一定のベルト張力を付与し、これは摩耗や他の要因によるベルト長さの増加を補償する。一般的なベルトテンショナは、ベースと、ベースに偏心して取付けられたピボット構造とを備える。ピボット構造は、これに枢支されたベルト係合プーリを有する。トーションスプリングはベースとピボットアームの間に連結されて、ピボットアームを付勢し、これによりベルトに負荷を与える。
【0003】
種々の技術が、タイミングベルトテンショナをエンジンに取付けるために用いられている。もっとも一般的に用いられる技術の1つは、ベースの一部を構成する偏心調節部材を用いることである。偏心調節部材は取付けボルトの周りに回転して、ピボットアームをベルトに向かって、あるいはベルトから離れる方向に動かす。公知の取付け工程は、テンショナを、ベルトから所定範囲離れた端部に偏心部材とともにエンジンに取付け、ベルトを駆動システムに掛け回し、テンショナが公称作動位置に達するまでベルトに向かって偏心部材を回転させ、取付けボルトによりテンショナをロックすることを含む。
【0004】
この技術の代表は、ベルト駆動システムのベルトに張力を付与するためのテンショナを開示する米国特許第7285065号明細書であり、これは、偏心調節部材と、調節部材の周りに揺動するために調節部材に偏心して取付けられたピボット構造と、ピボット構造において回転するように取付けられたベルトテンショニングプーリと、ピボット構造をベルト張力付与方向に弾性的に付勢する付勢部材と、接続構造とを含む。接続構造は、ベルト取付け工程の間、ピボット構造を調節部材に一時的に接続して揺動させ、この構成は、接続構造が容易に取付けられ、かつ取外されるように、取付け工程の間の限定的な所定期間を除いて、接続構造を無負荷状態に維持する。テンショナは、ピボット構造が調節部材から取外された後、作動可能状態にもたらされ、ピボット構造が調節部材に対して揺動することを許容する。
【0005】
必要なものは、ピボットアームに回転自在に係合する回動部材を有し、第1位置にある回動部材が調節部材の固定具周りの回転を許容し、回動部材の第2位置への回転により、回動部材が調節部材に対する所定範囲内におけるピボットアームの運動を制限するテンショナである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の主な特徴は、ピボットアームに回転自在に係合する回動部材を有し、第1位置にある回動部材が調節部材の固定具周りの回転を許容し、回動部材の第2位置への回転により、回動部材が調節部材に対する所定範囲内におけるピボットアームの動きを制限するテンショナである。
【0007】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記述と添付した図面により説明され、明らかになる。
【0008】
本発明は、シャフトを有するベースと、シャフト内に回転自在に係合する調節部材と、シャフトの外側に揺動自在に係合するピボットアームと、ベースとピボットアームの間に係合するトーションスプリングと、ピボットアームに軸支され、回転軸B-Bがピボットアームの回転軸A-Aから横方向にずれているプーリとを備え、調節部材が軸C-Cを有する固定具の周りに回転するように構成され、軸C-Cが軸A-Aから横方向にずれており、ピボットアームに回転自在に係合する回動部材を備え、第1位置にある回動部材が固定具の周りにおける調節部材の回転を許容し、回動部材の第2位置への回転により、回動部材が、調節部材に対する所定範囲内におけるピボットアームの動きを制限するテンショナである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【
図1】解放位置にあるテンショナの上方斜視図である。
【
図2】ロック位置にあるテンショナの上方斜視図である。
【
図3】
図2におけるテンショナのA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は解放位置にあるテンショナの上方斜視図である。テンショナ1000はベース10とシャフト20とピボットアーム30とベアリング50とプーリ60とを備える。シャフト20はベース10の中に圧入される。ピボットアーム30はシャフト20の外側に揺動自在に係合する。ブッシュ90は、シャフトとピボットアームの間においてシャフトの外側に配置され、ピボットアームの揺動を促進する。
【0011】
テンショナは3つの軸、ピボットアーム回転軸A-Aと、プーリ回転軸B-Bと、固定軸C-Cとを有する。調節部材は軸A-AとC-Cの周りに回転する。3つの回転軸はテンショナの動作に寄与し、これはベルトに負荷を付与するためである。
【0012】
プーリ60はベアリング50によりピボットアーム30に軸支される。同様な効果を有するブッシュがベアリング50に変えて使用されてもよい。トーションスプリング40の端部41がピボットアーム30に係合する。トーションスプリング40の端部42がベース10に係合する。トーションスプリング40はピボットアーム30にトルクを付与し、これは延いてはベルト(図示せず)に力を付与する。ベース10は固定具120により取付け面に固定される。トーションスプリング40はブッシュ80にもたれかかり、これはトーションスプリング40がベース10に当接することを防止する。調節部材70はシャフト20の中に配置される。
【0013】
テンショナ1000はエンジン組立て状態または作動状態にある。
図1において、テンショナ1000はエンジン組立て状態にある。停止指示器33はタブ11に整列している。タブ11はベース10から延びる。停止指示器33はピボットアーム30から延びる。ピボットアーム30はトーションスプリング40によって、この位置に付勢される。回動部材100は解放位置に示されている。
【0014】
回動部材100はピボットアーム30内の孔32に係合する。回動部材100は、スクリュードライバのような工具を用いて、孔32内において回転可能である。回動部材100は切欠き101を有する。切欠き101は円筒形部材100の直径の約半分であるが、この大きさには限定されず、これは一例に過ぎない。調節部材70は受容スロット71を有し、これは部材100と協働する。
【0015】
作動状態において回動部材100は、部材100がピボットアーム30の動きを制限するためのストッパとして作用するように、スロット71に係合する。切欠き101は、調節部材の係合する部位の厚さよりも僅かに大きい幅を有する。切欠き101はさらに調節部材70の部分72と協働し、適切に配置されたときに、部分72が切欠き101によって回動部材100を通過することを許容することにより、調節部材70が回転することを許容する。表面72aの軸A-Aからの半径は、軸A-Aから部材100の中心までの半径より大きく、これにより、部材100が一旦回転すると、ストッパとしてのスロット71に係合することを許容する。部分75は部分72から径方向に凹陥しており、これは部材100が最初、孔32内に配置されることを許容する。取付け時にロックピンが除去されて無駄を生じる従来技術とは異なり、回動部材が作動されると、回動部材100は本装置の機能的部分として存続する。
【0016】
固定具120は、テンショナをエンジン(図示せず)のような取付け面に取付けるために、調節部材70とシャフト20を通って延びる。固定具120は、取付け面に固定されると、調節部材70をその位置にクランプする。
【0017】
テンショナの取付けの間、調節部材70は固定具120の周りに回転され、これによりプーリ60はベルト(図示せず)に係合する状態になる。これは、固定部120の軸C-Cが軸A-Aからずれているからである。軸A-Aは孔31内において調節部材70に整列する。調節部材70はシャフト20内において軸A-Aの周りに回転する。ピボットアーム30は軸A-Aの周りに揺動する。
【0018】
加えて、ピボットアーム30のシャフト20の周りの回転運動は、プーリの回転軸B-Bを軸A-A周りの円弧において移動させ、これは回転軸B-Bを軸A-Aに対して横方向または径方向に変位させる効果を与える。したがってピボットアーム30は、部材70の周りに回転するとき、調節部材70に対して偏心的に揺動する。軸B-Bとシャフト20および調節部材70の長手軸A-Aの間の距離はテンショナの作動的偏心度をもたらす。取付けにおいて、ピボットアーム30を偏心調節部材70に結合させることにより、ピボットアーム30の作動的偏心度は偏心調節部材70の調節偏心度に組み合わされ、これによりテンショナのストロークを増加させる。
【0019】
軸A-Aに対する軸B-Bの移動は、プーリ60がベルトに係合するとき、トーションスプリング40が負荷をかけられる。プーリ60がベルトに係合するとき、トーションスプリング40は延いてはベルトに負荷をかける。ピボットアーム30が回転するとき、停止指示器33はタブ11から離間するように見える。これは、ピボットアーム30とトーションスプリングの負荷状態、すなわちベルトの負荷状態を示す。このようにしてベルトに負荷をかけることは、ベルトが、掛け回されたスプロケット(図示せず)に対して、歯飛び、あるいは滑ることを防止する。
【0020】
図2はロック位置にあるテンショナの上斜視図である。取付けの間、調節部材70、すなわち部分72とスロット71は、回動部材100の切欠き101に対して回転して入り込み、協働的に整列する。取付けの間における軸C-C周りの調節部材70の回転の結果、軸A-Aは軸C-C周りの円弧に沿って移動する。ピボットアーム30は、停止指示器33の位置により示されるように取付け位置まで移動する。そして回動部材100は、スクリュードライバのような工具を用いて約90度回転される。スロット71内における回動部材100の係合は、ピボットアーム30を取付け位置にロックさせ、これにより部材100はストッパとして作用し、ピボットアーム30の動きを制限する。そしてピボットアーム30は、スロット71の長さにより抑制される移動範囲を有する。取付けの間、例えばラチェットのような調節部材70を回転させるために、適当な工具が受容部74に係合可能である。
【0021】
調節が完了すると、固定具120は最終位置にトルクダウンされ、これにより調節部材70とシャフト20とベース10が取付け面にクランプされる。
【0022】
部分12は軸方向に延び、受容部を取付け面に係合させるように構成される。部分12は、取付けの間、すなわち固定具120の回転の間、ベース10が回転することを防止する。
【0023】
図3は
図2におけるテンショナのA-A断面図である。ベアリング50はピボットアーム30に圧入される。プーリ60はベアリング50に圧入される。プーリ60は、内燃機関(図示せず)に用いられるタイミングベルトに係合してもよい。
【0024】
ピボットアーム30は軸A-A周りに揺動する。プーリ60は軸B-B周りに回転する。固定具120は軸C-Cに整列する。
図4参照。軸A-A、B-B、C-Cのいずれも他と同一直線上にはなく、全てが相互に横方向にずれている。
【0025】
図4はテンショナの分解図である。トーションスプリング40の端部41はスロット34に係合する。トーションスプリング40の端部42は部分13に係合する。トーションスプリング40はブッシュ80に対して入れ子状に重なる。ブッシュ80はベース10に当接する。トーションスプリング40はブッシュ80にもたれかかる。
【0026】
低摩擦ブッシュ110が偏心アーム30と調節部材70の間に配設され、これにより取付け時における調節部材70の回転が促進される。またブッシュ110は、テンショナの作動において、偏心アーム30の変位を促進する。
【0027】
本発明の1つの形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。