(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-14
(45)【発行日】2022-02-22
(54)【発明の名称】風力タービンブレード回転機器のための一時的なウェブ支持体
(51)【国際特許分類】
F03D 1/06 20060101AFI20220215BHJP
F03D 3/06 20060101ALI20220215BHJP
F01D 5/14 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
F03D1/06
F03D3/06
F01D5/14
(21)【出願番号】P 2021513317
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050680
(87)【国際公開番号】W WO2020055398
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-21
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワルコール,ニコラス
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-096074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/06
F03D 3/06
F01D 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードを含む装置であって、
前記ブレードが
、
第1及び第2のスパーキャップと、
前記第1のスパーキャップに結合される第1の壁と、
前記第2のスパーキャップに結合される第2の壁と、
少なくとも前記第1のスパーキャップに結合される剪断ウェブと、
前記剪断ウェブ及び前記第1の壁に結合され、
前記ブレード内での前記剪断ウェブの位置を維持するように機能する脆弱支持体と、
を含み、
前記脆弱支持体は、予め定義された条件の下で
、前記剪断ウェブの位置の維持が機能しなくなるように構成される
、装置。
【請求項2】
前記脆弱支持体が第1の脚及び第2の脚を含み、脆弱な接続がそれらの間に配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記予め定義された条件が応力閾値である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記予め定義された条件が荷重ベクトルである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記荷重ベクトルが、前記支持体の長手軸に対して直角に向けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
脆弱部分が、前記支持体の中間点に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
脆弱部分が、弱体化セクションを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
脆弱部分が、引っ張りコードを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記脆弱支持体が、前記剪断ウェブに対して約45度に向きを定められる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
複数の脆弱支持部材をさらに含み、少なくとも二つの脆弱支持部材が約12.5メートル離隔される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
風力タービンブレードを組み立てる方法であって、
第1のブレードハーフを用意することと、
第2のブレードハーフを用意することと、
剪断ウェブを用意することであり、前記剪断ウェブが前記第1のブレードハーフに結合される、用意することと、
脆弱支持体が前記ブレード内での前記剪断ウェブの位置を維持するように機能するよう、前記脆弱支持体を前記剪断ウェブ及び前記第1のブレードハーフに結合させることと
、
前記脆弱支持体
において前記剪断ウェブの位置の維持が機能しなくなることを引き起こすことと
を含む、方法。
【請求項12】
前記脆弱支持体
において前記剪断ウェブの位置の維持が機能しなくなることを引き起こすことが、脆弱な接続部分を前記支持体の残りの部分から外すためにコードを引っ張ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記脆弱支持体
において前記剪断ウェブの位置の維持が機能しなくなることを引き起こすことが、閾値を超えた応力を加えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記脆弱支持体
において前記剪断ウェブの位置の維持が機能しなくなることを引き起こすことが、前記支持体の長手軸に対してある角度に向けられたベクトルに沿って荷重を加えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記脆弱支持体
において前記剪断ウェブの位置の維持が機能しなくなることを引き起こすことが、前記第2のブレードハーフを前記第1のブレードハーフの上に位置付けることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記組み立てられたブレードから前記脆弱支持体を取り除くことをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記脆弱支持体が、前記剪断ウェブに対して約45度に向きを定められる、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記脆弱支持体が、前記剪断ウェブのほぼ中間点で前記剪断ウェブに結合される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
複数の脆弱支持部材を用意することをさらに含み、少なくとも二つの脆弱支持部材が約12.5メートル離隔される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
第2の脆弱支持部材を用意することと、前記第2の脆弱支持体を前記剪断ウェブ及び前記第2のブレードハーフに結合させることとをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月11日に出願された米国特許仮出願第62/729,502号の優先権の35 USC 119の下での利益を主張するものであり、その内容全体が、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示の主題は、大規模な複合構造体、例えば、風力タービンブレードを製造するシステム及び対応する方法に関する。これらの大規模な複合構造体は、一般に、ツーピース型(two-piece mold)から形成され、ツーピース型は、ブレードハーフが成型された後、製作を完了するために複雑な型閉プロセスを必要とする。
【0003】
特に、本開示は、支持要素を利用してウェブを型ハーフ内で実質的に自立するように維持ことによって、ワンステップの型閉技法を容易にする構造要素を提供する。
【背景技術】
【0004】
風力タービンブレードは、一般に、主として、ガラス繊維強化プラスチックなどの複合材料で製作された中空ブレードシェルを含む。ブレードシェルは、一般に、二つの半シェル、すなわち、下部圧力側シェル及び上部負圧側シェルから構成され、それらは、それぞれのメスの半型で別々に成型され、その後、ブレードの前縁部及び後縁部でフランジに沿って一緒に接合される。ブレードを製造するこの方法が、
図1Aに概略的に示される。
【0005】
図1Aを参照すると、これは、二つの半型、すなわち、上部負圧側型10b及び下部圧力側型10aに分割された風力タービンブレードの型10を示し、それらが、型が開けられた形態で並べて配列されている。圧力側ブレードシェル12aは下型10aの型面14aで支持され、負圧側ブレードシェル12bは上型10bの型面14bで支持される。シェル12a、12bは、各々、複数のガラス繊維織物層から構成され、それらは硬化樹脂によって一緒に接合される。
【0006】
それぞれの型ハーフ10a、10bでシェル12a、12bを形成した後、剪断ウェブ16が、風上ブレードシェル12aの内面17に接合される。剪断ウェブ16は、長手方向に延びる構造体であり、それは、ブレードの二つの半シェル12a、12bを橋渡しし、使用中に、剪断荷重をブレードから風力タービンハブまで伝達するのに役立つ。断面図において、
図1Aに示されるように、剪断ウェブ16は、各々、第1の長手方向に延びる取付フランジ20を含む下縁部19と第2の長手方向に延びる取付フランジ22を含む上縁部21とを有するウェブ18を備える。エポキシなどの接着剤が、剪断ウェブ16をそれぞれの半シェル12a、12bに接合するためにこれらの取付フランジ22に沿って塗布される。
【0007】
図1Bに示すように、剪断ウェブ16が下部ブレードシェル12aに接合された後、剪断ウェブ16の第2の(上部)取付フランジ22に沿って及びブレードシェル12a、12bの前縁部24及び後縁部26に沿って接着剤が塗布される。次いで、上部ブレードシェル12bを含む上型10bは、二つのブレード半シェル12a、12bを前縁部24及び後縁部26に沿って一緒に接合するために及び剪断ウェブ16を上部ブレードシェル12bの内面28に接合するために、持ち上げられ、回転され、下部ブレード型10aの上に置かれる。一方の型ハーフを他方の型ハーフの上に置くステップは、型を閉じると呼ばれる。
【0008】
次に、
図1Cを参照すると、型10が閉じられ、それによって、剪断ウェブ16が上部シェル12bに対してわずかに移動することがある場合に、問題が生じることがある。例えば、剪断ウェブ16は、型閉め中に自重でわずかに移動することがあり、又は上部シェル12bとの接触によって押しのけられることがある。上部シェル12bの凹形の湾曲はまた、
図1Cに示されるように、剪断ウェブ16をわずかに互いに近寄らせる傾向がある。型閉め中の剪断ウェブ16のそのような動きは、剪断ウェブ16が次善の位置で上部シェル12bに接合されることになる可能性がある。
【0009】
さらに、型閉中に剪断ウェブをガイドするために恒久的な固定具の利用を必要とする様々な技法がある。その一例が、米国特許出願公開第2017/0151711号に提供されており、その内容は、ウェブガイド構造を含めて、その全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、そのような恒久的な固定具の使用は、ブレード重量に悪影響を与え、並びに設計の複雑さ及びコストを増加させ、使用中のブレード構造に寄生することによってブレードの設計構造に影響を与える。その上、以前の方法は、初期のブレード設計の一部である必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、製品の構造に影響を与えることなしに、剪断ウェブの適切な配置を保証し、ワンステップの型閉を容易にする、風力タービン機器の組立てフェーズの間ウェブ/構造要素に支持体を提供するための効率的で経済的な方法及びシステムが依然として必要とされている。
【0011】
したがって、ワンステップのプロセスでブレードを閉じるために、ブレードは、ワンステップの型閉(one-step close)を支援する自立した構造要素を用いて構築されるように設計されなければならない、又は追加の構造要素が、支持を行うために加えられなければならない。本開示によれば、支持体は、脆弱である、すなわち、ある特定の条件の下で機能しなくなるように設計される。これらの支持体は、風力ブレードの組立てを容易にするために多数の材料又は材料の組合せで製作することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の主題の目的及び利点は、以下の説明に記載され、以下の説明から明らかになり、並びに本開示の主題を実践することによって学習されるであろう。本開示の主題の追加の利点は、本明細書及びその特許請求の範囲において、並びに添付の図面により特に指摘される方法及びシステムによって実現され達成されるであろう。
【0013】
これらの及び他の利点を達成するために、本開示の主題の目的に従って、具現化され広く記載されるように、本開示の主題は、第1及び第2のスパーキャップと、第1のスパーキャップに結合される第1の壁と、第2のスパーキャップに結合される第2の壁と、少なくとも第1のスパーキャップに結合される剪断ウェブと、剪断ウェブ及び第1の壁に結合され、予め定義された条件の下で機能しなくなるように構成される脆弱支持体とを含むブレードを備える装置を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、脆弱支持体は第1の脚及び第2の脚を含み、脆弱な接続がそれらの間に配設される。いくつかの実施形態では、予め定義された条件は応力閾値である。いくつかの実施形態では、予め定義された条件は荷重ベクトルであり、例えば、荷重ベクトルは、支持体の長手軸に対して直角に向けられる。いくつかの実施形態では、脆弱部分は、支持体の中間点に配置され、弱体化セクションを含み、引っ張りコードを含み、及び/又は剪断ウェブに対して約45度に向きを定められる。いくつかの実施形態では、複数の脆弱支持部材が設けられ、少なくとも二つの脆弱支持部材が約12.5メートル離隔される。
【0015】
本開示の別の態様によれば、風力タービンブレードを組み立てる方法が提供され、その方法は、第1のブレードハーフ(blade half)を用意することと、第2のブレードハーフを用意することと、第1のブレードハーフに結合される剪断ウェブを用意することと、脆弱支持体を剪断ウェブ及び第1のブレードハーフに結合させることと、脆弱支持体が機能しなくなることを引き起こすこととを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、脆弱支持体が機能しなくなることを引き起こすことが、脆弱な接続部分を支持体の残りの部分から外すためにコードを引っ張ることを含む。いくつかの実施形態では、脆弱支持体が機能しなくなることを引き起こすことが、閾値を超えた応力を加えることを含む。いくつかの実施形態では、脆弱支持体が機能しなくなることを引き起こすことが、支持体の長手軸に対してある角度に向けられたベクトルに沿って荷重を加えることを含む。いくつかの実施形態では、脆弱支持体が機能しなくなることを引き起こすことが、第2のブレードハーフを第1のブレードハーフの上に位置付けることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、組み立てられたブレードから脆弱支持体を取り除くことをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、脆弱支持体が、剪断ウェブに対して約45度に向きを定められる。いくつかの実施形態では、脆弱支持体が、剪断ウェブのほぼ中間点で剪断ウェブに結合される。いくつかの実施形態では、この方法は、複数の脆弱支持部材を用意することをさらに含み、少なくとも二つの脆弱支持部材が約12.5メートル離隔される。いくつかの実施形態では、この方法は、第2の脆弱支持部材を用意することと、第2の脆弱支持体を剪断ウェブ及び第2のブレードハーフに結合させることとをさらに含む。
【0018】
前述の概略の説明と以下の詳細な説明の両方は、例示であり、請求される本開示の主題のさらなる説明を提供するように意図されていることを理解されたい。
【0019】
本明細書の一部に組み込まれ、それを構成する添付の図面は、本開示の主題の方法及びシステムを例示し、それらのさらなる理解を提供するために含まれる。説明とともに、図面は、本開示の主題の原理を説明するのに役立つ。
【0020】
本明細書に記載される主題の様々な態様、特徴、及び実施形態の詳細な説明が、以下に簡単に記載される添付の図面を参照して提供される。図面は、例示であり、必ずしも原寸に比例して描かれておらず、いくつかの構成要素及び特徴は、明瞭にするために誇張されている。図面は、本主題の様々な態様及び特徴を例示しており、本主題の一つ以上の実施形態又は例を全体的に又は部分的に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】従来の風力タービンブレードの型及び製造方法の断面図。
【
図1B】従来の風力タービンブレードの型及び製造方法の断面図。
【
図1C】従来の風力タービンブレードの型及び製造方法の断面図。
【
図2】本開示の一実施形態による脆弱支持体を有するブレードの断面図。
【
図3】本開示の一実施形態による第2の状態の脆弱支持体を有するブレードの断面図。
【
図4】本開示の一実施形態による所定の位置に多数の脆弱支持体を有するブレードの断面図。
【
図5】本開示の一実施形態による、脆弱な接続の機能停止/解除を引き起こすための引っ張りコード/ケーブルをもつ脆弱支持体を有するブレードの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本開示の主題の例示的な実施形態を詳細に参照し、その一例が、添付の図面に示される。本開示の主題の方法及び対応するステップが、システムの詳細な説明とともに説明される。
【0023】
本明細書に提示される方法及びシステムは、大型構造物の構築に使用することができる。本開示の主題は、特に、風力タービンブレードの構築に適する。限定ではなく、説明及び例示の目的で、本開示の主題によるシステムの例示的な実施形態が、
図2に示され、全体的に、参照文字100によって示される。同様の参照番号(先頭の数字によって区別される)は、本明細書で提示される様々な表示及び図の中で、機能的に対応するが、必ずしも同一でない構造を示すために提供される場合がある。
【0024】
図2に示されるように、剪断ウェブ115は、上端(又は負圧側)でスパーキャップ105に接合される。図示の実施形態では、ブレードスキン130は、スパーキャップ105の内面/下面がブレードスキンに接合されるか又はそれと一体化するように、ウェブ115とスパーキャップ105との間を延びることができる。ウェブ115の上面は、ブレードスキン130の内面に接合することができる。同様に、剪断ウェブ115の反対端は、スパーキャップ125の内面/上面がブレードスキン135に接合されるか又はそれと一体化するように下端(又は圧力側)でスパーキャップ125に接合され、ウェブ115の下面は、ブレードスキン135の内面に接合することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、スパーキャップは、ブレードスキン130、135に結合される別個の要素として形成することができる。他の実施形態では、スパーキャップは、一体化結合を形成するようにブレードスキンに織り込まれるか又はブレンドされる構成要素として形成される。例えば、スパーキャップ105は、スキン層(skin ply)がスパーキャップを横切って(シェルの内側とシェルの外面の両方で)延びるように、成型プロセス中にブレードシェルに組み込むことができる。剪断ウェブ115及び対応するスパーキャップ105、125は、ブレードスパンに沿って長手方向に延びる。
【0026】
単一の剪断ウェブ115のみが例示的な実施形態では示されているが、追加の剪断ウェブが、本開示の範囲内で利用されてもよい。さらに、剪断ウェブ115はIビーム構造として示されているが、代替の剪断ウェブ構成、例えば、必要に応じて、通常U字形又はV字形構造を有するスプリットビームが利用されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、剪断ウェブ115は、マウント110を使用して内壁130に装着される。マウント110は、構造用接着剤を使用して内壁130に取り付けられる。同様に、ウェブ115は、マウント120を使用して内壁135に装着することができる。マウント120は、構造用接着剤を使用して内壁135に取り付けられる。様々な実施形態において、構造用接着剤は、構造に完全に接着するために硬化させる必要がある場合がある。
【0028】
本開示の一態様によれば、剪断ウェブ115は、支持体165によって支持される。支持体165は、マウント140、マウント160、第1の補強脚145、第2の補強脚155、及び接続部分150を含む。
【0029】
接続部分150は、
図3に示されるように、特定の条件の下で、「機能しなくなる」ように構成された脆弱セクションである。すなわち、支持体165は、脆弱要素/セクションを含み、脆弱要素/セクションは、接着剤(ボンドペースト)硬化の期間中にブレード内の剪断ウェブ115の位置を維持する機能を実行するときに支持体が支えるように意図されている荷重と異なる荷重の下で「機能しなくなる」(例えば、切断する、破裂する、取り外す、変形するなど)ように設計される。
【0030】
いくつかの実施形態では、接続部分150が機能しなくなることを引き起こすトリガイベントは、所定の荷重閾値である(それは、支持体165に示される応力/歪みに関して定量化することができる)。追加として又は代替として、接続部分150が機能しなくなることを引き起こすトリガイベントは、荷重ベクトル(例えば、不適当な方向/ベクトルに沿って加えられる荷重)とすることができる。追加として又は代替として、接続部分150が機能しなくなることを引き起こすトリガイベントは、支持体165を通る荷重伝達経路を破壊する解除機構とすることができる。例えば、解除機構は、脚145、155に対して接続部分150を変位させる解除レバーとすることができる。いくつかの実施形態では、解除機構はコード/ケーブルとすることができ、コード/ケーブルは、接続部分150に接続し(例えば、解除可能なピンを介して)、ブレード型の外に延び(上ハーフと下ハーフの両方が組み立てられるときを含めて)、オペレータが引っ張る(例えば、横方向に)ことを可能にし、それは、支持体165を「破壊する」ことができる(支持体165が、脚145及び155の軸に沿って荷重をかけられたときに所定の位置に剪断ウェブを支持するのに十分な強度を有しているにしても)。
【0031】
支持体165は、それぞれ、マウント140及びマウント160を使用して、ウェブ115及び下部スキン135に装着される。マウント140は、速硬性接着剤を使用してウェブ115に取り付けられる。マウント160は、速硬性接着剤を使用して内壁135に取り付けられる。いくつかの実施形態では、マウント140、160は、脚145、155に堅く取り付けることができる。他の実施形態では、マウント140、160は、脚/マウント間の相対移動を可能にするように脚145、155に結合することができる。例えば、マウント140、160は、旋回可能に取り付けることができ(例えば、ヒンジ、玉継手などを介して)、その結果、マウントは、ブレードスキンの内面にあり得る輪郭に一致するように回転することができる。図示の例示的な実施形態では、支持体165は、マウント160がスパーキャップ125から離隔する(すなわち、スパーキャップ125に隣接する位置でスキンに取り付けられる)ように構成されている。いくつかの実施形態では、マウント160は、スパーキャップ125の上に部分的に又は全体的に配置されてもよい。
【0032】
支持体165は、広い範囲の角度で(ウェブ115の長手方向/垂直軸に対して)剪断ウェブ115に結合することができる。図示された例示的な実施形態では、角度は、ほぼ45度である。しかしながら、この角度は、所望に応じて調節することができ、その結果、いくつかの実施形態(例えば、より重い剪断ウェブ115を組み込んでいるもの)では、ウェブ115と支持体165との間の角度はより小さく、それによって、支持体165を通してウェブ115の重量のより大きい成分が伝達される。逆に、ウェブ115と支持体165との間の角度を増大させることができ、その結果、ウェブ115の望ましくない横方向シフトを防止又は抑制するようにより多くの横方向支持及び安定性を提供する(しかし、ウェブ115から受ける垂直荷重がより少ない)支持体165がもたらされる。
【0033】
追加として、マウント140、160の接続点は、ウェブ115に対する支持体165の角度に影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態では、剪断ウェブの高さに対して最小の高さを定めることができる。例えば、いくつかの実施形態では、支持体165の角度は、マウント位置に関して要求/規定することができ、マウント140は、剪断ウェブ115の高さの約25%以上及び剪断ウェブ115の高さの約75%以下の位置にある。いくつかの実施形態では、支持体165の角度は、30度以上及び60度以下とすることができる。
【0034】
追加として又は代替として、複数の支持体165が、ブレードスパンに沿った選択位置で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、支持体165は、互いに等距離にある。他の実施形態では、支持体165は、特定の領域(例えば、根元)に、他の領域(例えば、先端)よりも大きい支持体を備えるように、ブレードスパンに沿って様々な密度/集中状態で配列されてもよい。さらに、図示のように、支持体は、剪断ウェブ115の単一の側にのみ備えられてもよく、又は代替としてウェブ115の両側に配置されてもよい。
【0035】
本開示の一態様によれば、剪断ウェブの位置公差を硬化時間中確実に維持するとともに、できるだけ少ない支持体165を使用することが望ましい。いくつかの実施形態では、少なくとも三つの支持体165が設けられ、根元端部、中間スパン、及び先端端部から12.5m以内に配置される。いくつかの実施形態では、必要とされる支持体165の最小数は、支持体が剪断ウェブの根元端部と剪断ウェブの先端端部から12.5m以内とに配置された状態で、12.5mの最大間隔で剪断ウェブの長さにわたる数である。
【0036】
図3に示されるように、矢印205によって示された位置で、設計されたように、脆弱な接続部分150が機能しなくなった。その結果、剪断ウェブ115に加えられた荷重は、ウェブを通して完全に吸収/伝達される。支持体165の設計された機能停止により、構造支持体が取り除かれ、それゆえに、剪断ウェブ115の移動への障害が取り除かれている。言い換えれば、支持体165は、脆弱な接続部分150が機能しなくなり、その結果、自立した剪断ウェブ115がもたらされるまで、剪断ウェブの変位を防止又は抑制するための強化された剛性及び支持を提供する。図示の実施形態では、脆弱部分150は、支持体165の中間点に配置されている。しかしながら、脆弱部分は、マウント140、160の一方若しくは両方の接続点、又はマウント140とマウント160との間の任意の位置に配置することができる。
【0037】
図4は、本開示の一実施形態による、システム内の脆弱支持体の代替の実施形態の簡単化された図である。システム300は、スパー305、マウント310、ウェブ315、マウント320、スパー325、内部スキン330、335を含む。この実施形態では、システム300は、二つの脆弱支持体、すなわち、脆弱支持体340及び脆弱支持体345を含む。図示のように、脆弱部分は、支持体の残りの部分とは別の又は異なる形状を含まない。これは、以下で説明するように、例えば、材料組成の違いによって、支持体の残りの部分よりも本質的に弱い脆弱部分を設けることにより達成することができる、指定した量の応力がシステム300にかけられると、脆弱支持体340、345は、設計されたように、機能しなくなり、それにより、支持体を最終ブレード構造から容易に取り除くことができるべきである。
【0038】
脆弱セクションは、様々な方法で形成することができる。例えば、支持体は、ひとたび加えられる力が所定の閾値に達すると降伏する弱体化セクション(例えば、ノッチ、スコーリング、又はパーホレーション)により形成することができる。いくつかの実施形態では、脆弱セクションには、剛性を失う、例えば、触媒の適用に際して溶融する相変化材料(例えば、パラフィン又は共晶)が含まれ得る。
【0039】
追加として又は代替として、支持体は、ひとたび所定の条件が達成されると脆弱セクションが降伏するように、様々な材料特性、例えば、支持体長さに沿った非均質組成を用いて形成することができる。所定の条件は、荷重量、局所温度、又は脆弱部分の構造的完全性を低下させる材料(例えば、酸/酵素)の適用によるものとすることができる。いくつかの実施形態では、脆弱性閾値は、支持体340、345によって伝えられる主荷重方位に対して直交する方向(又は面)に加えられる荷重の結果とすることができる。そのような実施形態では、脆弱要素の強度は、剪断ウェブが所定の位置に接合された後、支持体340、345を破壊するのに必要とされる(直交面に加えられる)負荷よりも大きくすることができる。限定ではなく、説明の目的で、脆弱要素を破砕するのに必要とされる例示的な荷重は25kg未満とすることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、支持体(脆弱部分を含む)は、組立てプロセス中に加えられるすべての力に耐え、その後、現場でのブレードの動作によって伝えられる荷重の結果として機能しなくなる/破砕するように、十分な構造的完全性及び強度を伴って形成され得る。可変風荷重は、ブレードのたわみを引き起こし、それによって、支持体の脆弱要素に荷重を与え、それにより、破砕を引き起こす。支持体を機能しなくするのに必要とされる力は、剪断ウェブを支持する機能を実行するのに必要とされる荷重よりも大きくすることができるが、脆弱要素が機能しなくなる前に、ブレードの性能が支持体の内部剛性によって影響を受けるほど大きくない。
【0041】
いくつかの実施形態では、脆弱セクションは、発泡体(例えば、ポリウレタン)で製作され、支持体の残りの部分145、155は、より剛性でより恒久的な材料、例えば、金属又は木材から形成される。追加として又は代替として、支持体はガラス繊維で製作することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、脆弱部分は、「壊れ」ないか、又は支持体165の残りの部分から取り外されない。例えば、脆弱部分は、支持体の残りの部分から切り離すように作動させることができるヒンジ又はラッチを含むことができる。そのような実施形態では、脆弱部分は、支持体内の力の伝達を単に切り離すか又は切断するが、実際には支持体の残りの部分から物理的に引き離されない。
【0043】
本開示の一態様によれば、現在のシステムは、i)ブレード組立ての間強化された剛性及び構造支持を剪断ウェブに提供する、ii)外部(ブレードに対して)取付具がないシステムにおいて型ハーフをワンステップで閉じるのを容易にする、及びiii)型ハーフを閉じたときに残留した又は不必要なブレード構造がないブレードをもたらすように取り外し可能である剪断ウェブの構造支持要素を備える。
【0044】
実施中、接着剤は、それぞれの半シェルの前縁部及び後縁部に沿って及び剪断ウェブの長手方向に延びるフランジに沿って塗布される。次に、第1の型ハーフ(例えば、上部又は負圧側型ハーフ)が、次いで、持ち上げられ、180度回転され、他の型ハーフの上に置かれる。型が閉じるとき、剪断ウェブに加えられた力は、支持要素165を通して導かれ、支持要素165は、型(及びブレードスキン)の局所表面に実質的に垂直な方位にウェブ115を維持する。その結果、型閉の間、剪断力が剪断ウェブに加えられない。加えられる剪断力がないと、接着剤の押し込みにより、強力な接合を剪断ウェブとブレードスキンとの間に確実に作り出すことが可能になる。上ブレードハーフが剪断ウェブ115の上に置かれるとき、ブレードの重量は、ウェブ115及び支持体165を通して伝えられる荷重が脆弱セクション150の所定の閾値に達して脆弱部分を破裂させるか又は切り離す時点まで、徐々に解除される。追加として又は代替として、脆弱セクションが機能しなくなることは、
図5に示されるように、例えば、引っ張りコード/ケーブル200を介して手動で引き起こされ得る。その後、上ブレードハーフの全荷重がウェブ115を通して伝えられる。
【0045】
本開示の別の態様によれば、支持体165は、ひとたび脆弱部分が破壊又は解体されると、剪断ウェブ115に加えられる力を伝えない。さらに、支持体165は、ブレードの内部から取り除くことができる。したがって、最終ブレード組立ては、望ましくない重量を与えないか又はブレードの構造特性に影響を及ぼさない。その結果、ブレード性能特性は、風力タービンシステムで使用されるとき変化しないままである。例えば、支持体165の構成要素は、脆弱セクションが機能しなくなった後、根元セクション(二つの型ハーフを組み立てた後、開いたままである)を通して支持体165の構成要素を引き出すことによってブレードの内部から取り除くことができる。
【0046】
様々な実施形態において、ウェブ又は構造要素支持体は、脆弱部分を含むことができる。脆弱部分は、ある特定の条件の下で機能しなくなるように設計されて、脆弱部分が設計に従って機能しなくなったとき、最終ブレード構造へのウェブ又は構造要素支持体の構造的影響を取り除くことができる。様々な実施形態において、脆弱な特徴及び/又は部分は、脆弱な特徴及び/又は部分の特定の形状の結果とすることができる。脆弱部分は、所定の条件の下で機能しなくなるか又は状態を変化させるように設計された特定の材料から構築及び/又は構成することができる。本開示の主題の方法及びシステムは、上述で説明され、図面に示されたように、ブレードの構造に影響を与えることなしに、風力タービンブレードの組立てフェーズ、例えば、型閉の間、ウェブ/構造要素を支持するための効率的で経済的なシステムを提供する。
【0047】
本開示の主題が特定の好ましい実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者は、本開示の主題の範囲から逸脱することなく、本開示の主題に対して様々な変形及び改善を行うことができることを認識されよう。その上、本開示の主題の一つの実施形態の個々の特徴が、本明細書で論じられ、又は他の実施形態ではなく一つの実施形態の図面に示されていることがあるが、一つの実施形態の個々の特徴は、別の実施形態の一つ以上の特徴又は複数の実施形態からの特徴と組み合わされてもよいことは明らかである。
【0048】
以下で請求される特定の実施形態に加えて、本開示の主題は、以下で請求される従属の特徴及び上述で開示されたものの他の可能な組合せを有する他の実施形態にも関する。そのため、従属請求項に提示され、上述で開示された特定の特徴は、本開示の主題の範囲内で他の方法で互いに組み合わされてもよく、その結果、本開示の主題は、特に、他の可能な組合せを有する他の実施形態にも関するとして認識されるべきである。したがって、本開示の主題の特定の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。それは、網羅的であること、又は本開示の主題を開示されたそれらの実施形態に限定することを意図するものではない。
【0049】
様々な変形及び変更が、本開示の主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本開示の主題の方法及びシステムになされてもよいことが当業者には明らかであろう。したがって、本開示の主題は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある変形及び変更を含むことが意図される。