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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】基板容器システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020119518
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2021015979
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】108124813
(32)【優先日】2019-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】16/872,392
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520256488
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ミン-チェン チウ
(72)【発明者】
【氏名】チー-ミン リン
(72)【発明者】
【氏名】チェン-エン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ニェン-ユン ユウ
(72)【発明者】
【氏名】ポー-チン リー
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-514014(JP,A)
【文献】特開2016-012662(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203524(WO,A1)
【文献】特開2019-102497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前記前面開口部と対向しかつその幅が前記前面開口部の幅よりも狭い背面開口部を有する容器本体と、
前記背面開口部を覆い、前記容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、
を備え、
前記背面カバーが、組み立て時に前記容器本体の底面の下方に屈曲して延在する第1のガス取入構造を備え、
前記第1のガス取入構造が、前記容器本体の前記底面に対向する下向きの吸気口を備え、
前記容器本体は、前記背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成され、
前記第1のガス取入構造は、前記背面カバーの高さ方向に沿って延在するガス案内流路に接続され、
前記ガス案内流路は、前記背面カバーの高さにおける実質的に中央部分に配置された取出口を有する、
基板容器システム。
【請求項2】
前記背面カバーが、第2のガス取入構造をさらに備え、
前記第1のガス取入構造及び前記第2のガス取入構造が、前記背面カバーの幅方向に沿って対称に配置され、
前記第2のガス取入構造は、前記背面カバーの高さ方向に沿って延在するガス案内流路に接続される、
請求項1に記載の基板容器システム。
【請求項3】
前記背面カバー及び前記フィルタ部材が協働して、前記取出口を介して前記ガス案内流路に接続された緩衝区画を画定する、請求項1または請求項2に記載の基板容器システム。
【請求項4】
前記背面カバーが、各々が、前記背面カバーの幅方向において前記背面開口部に隣接し、前記背面カバーの高さ方向に沿って延在する一対の仕切り構造を備え、
前記ガス案内流路の前記取出口が、前記仕切り構造内に形成されている、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【請求項5】
前記容器本体は、各々が、前記前面開口部に対向して配置され、前記幅方向に沿って前記背面開口部に隣接して配置された一対のフランジ部をさらに備え、
前記背面カバーが前記一対のフランジ部と少なくとも部分的に重なり合い、前記背面カバーと前記容器本体の前記フランジ部とが重なり合った領域に、前記ガス案内流路が形成されている、
請求項4に記載の基板容器システム。
【請求項6】
前記背面開口部を通って前記容器本体に向かって延在するガス分配面を有するフィルタ部材をさらに備える、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【請求項7】
前記背面カバーと前記容器本体との間に配置された第1の封止リング部を有する封止部材をさらに備え、
前記第1の封止リング部が、前記容器本体の前記底面と前記ガス取入構造との間に屈曲して延在する部分を備える、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【請求項8】
前記封止部材が、前記フィルタ部材と前記容器本体との間に配置された第2の封止リング部をさらに備える、請求項7に記載の基板容器システム。
【請求項9】
底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前記前面開口部と対向する背面開口部を有し、前記背面開口の幅が前記前面開口の幅よりも狭く、前記背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成された容器本体と、
前記フィルタ部材と協働して緩衝区画を画定し、前記容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、
前記背面カバーの高さ方向に沿って延在し、前記緩衝区画に接続された取出口を有する第1のガス案内流路と、
を備え、
前記背面カバーが、組み立て時に前記容器本体の前記底面の下方に屈曲して延在する第1のガス取入構造をさらに備え、
前記第1のガス取入構造が、前記第1のガス案内流路を接続し、前記容器本体の前記底面に対向する下向きの吸気口を備える、
基板容器システム。
【請求項10】
底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前記前面開口部と対向する背面開口部を有し、前記背面開口の幅が前記前面開口の幅よりも狭く、前記背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成された容器本体と、
前記フィルタ部材と協働して緩衝区画を画定し、前記容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、
前記背面カバーの高さ方向に沿って延在し、前記緩衝区画に接続された取出口を有する第1のガス案内流路と、
を備え、
前記背面カバーが、組み立て時に前記容器本体の前記底面の下方に屈曲して延在する第1のガス取入構造をさらに備え、
前記第1のガス取入構造が、前記第1のガス案内流路を接続し、前記容器本体の前記底面に対向する下向きの吸気口を備え、
前記背面カバーと前記容器本体との間に配置された第1の封止リング部を有する封止部材をさらに備え、
前記第1の封止リング部が、前記容器本体の前記底面と前記第1のガス取入構造との間に屈曲して延在する部分を備える、
基板容器システム。
【請求項11】
底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前記前面開口部と対向する背面開口部を有し、前記背面開口の幅が前記前面開口の幅よりも狭く、前記背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成された容器本体と、
前記フィルタ部材と協働して緩衝区画を画定し、前記容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、
前記背面カバーの高さ方向に沿って延在し、前記緩衝区画に接続された取出口を有する第1のガス案内流路と、
を備え、
前記背面カバーが、組み立て時に前記容器本体の前記底面の下方に屈曲して延在する第1のガス取入構造をさらに備え、
前記第1のガス取入構造が、前記第1のガス案内流路を接続し、前記容器本体の前記底面に対向する下向きの吸気口を備え、
前記背面カバーと前記容器本体との間に配置された第1の封止リング部を有する封止部材をさらに備え、
前記第1の封止リング部が、前記容器本体の前記底面と前記第1のガス取入構造との間に屈曲して延在する部分を備え、
前記封止部材は、前記フィルタ部材と前記容器本体との間に配置された第2の封止リング部をさらに備える、
基板容器システム。
【請求項12】
前記取出口は、前記背面カバーの高さにおける中央部分に配置される、請求項9から請求項11までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【請求項13】
前記背面カバーが、各々が、前記背面カバーの幅方向において前記背面開口部に隣接し、前記背面カバーの高さ方向に沿って延在する一対の仕切り構造を備え、
前記第1のガス案内流路の前記取出口が、前記仕切り構造内に形成されている、
請求項9から請求項11までのいずれか1項2記載の基板容器システム。
【請求項14】
前記容器本体が、各々が、前記前面開口部に対向して配置され、前記背面カバーの幅方向に沿って前記背面開口部に隣接する一対のフランジ部をさらに備え、
前記背面カバーが、前記一対のフランジ部に少なくとも部分的に重なり合い、前記第1のガス案内流路が、前記背面カバーと前記容器本体の前記フランジ部とが重なり合った領域に形成される、
請求項9から請求項13までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【請求項15】
第2のガス案内流路をさらに備え、
前記第1のガス案内流路及び前記第2のガス案内流路が、前記背面カバーの幅方向に沿って対称に配置される、
請求項9から請求項14までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【請求項16】
ガス分配面を有するフィルタ部材をさらに備え、
前記ガス分配面の表面積が、前記背面開口部の表面積よりも大きい、
請求項9から請求項15までのいずれか1項に記載の基板容器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年7月13日に出願された台湾特許出願第108124813号の利益を主張し、これは参照により本明細書に取り込まれ、本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、保管、輸送、及び出荷中に、壊れやすい物体(例えば、ウエハ)を環境汚染から保護するのに適した、搬送可能な基板容器システムに関する。
【背景技術】
【0003】
壊れやすいワークピース(例えば、ウエハ、フォトマスク/レチクル)は、集積回路が製造されるまでに、現代の半導体製造プロセスでは、複数の処理装置を用いた多数の製造ステップに供される。ウエハは、多くの場合、ウエハ製造設備から別の場所に搬送又は出荷され、そこで更に処理される。このような壊れやすいデバイスの移送は、FOUP(Front Opening Unified Pod:前面開口式一体型ポッド)などの専用の基板容器を用いて行われることが多い。
【0004】
前面開口式一体型ポッド(FOUP)は、処理ステーション間において300mm又は450mmのウエハを収容するために使用されることが多い。FOUPは、通常、開口した内部を画定するシェルと、このシェル内に設けられたウエハを離間させて積層保持するための棚部とを備えている。更に、このシェルは、前面開口部を画定する。前面開口部は、ドアとシェルとの間の気密係合を確立するために封止部材とラッチ機構とが組み込まれた前面ドア部材によって覆うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の挿入又は除去の間に(例えば、前面ドアが取り外され、内部が露出されるときに)、周囲の汚染物質(例えば、空気/塵/湿気)が基板容器内に侵入するのを抑制することが望ましい。周囲の汚染物質がポッド内に侵入すると、周囲環境がクリーンルームの環境である場合でも、収容された基板の歩留まりに悪影響を及ぼす虞がある。このため、ポッドに収容された基板(payload)がロード/アンロードされる間のパージプロセスに対応するために、パージ装置が運搬用ポッドシステムに組み込まれている。
【0006】
本開示の技術は、基板を環境汚染から保護すると共に、容器システム内にパージガスを均等に供給することができる、基板容器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前面開口部と対向しかつその幅が前面開口部の幅よりも狭い背面開口部を有する容器本体と、背面開口部を覆い、容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、を備え、背面カバーが、組み立て時に容器本体の底面の下に屈曲して延在する第1のガス取入構造を備え、第1のガス取入構造が、容器本体の底面に対向する下向きの吸気口を備える、基板容器システムを提供する。
【0008】
本開示の他の一態様は、底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前面開口部と対向する背面開口部を有し、背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成された容器本体と、フィルタ部材と協働して緩衝区画を画定し、容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、背面カバーの高さ方向に沿って延在し、緩衝区画に接続された取出口を有する第1のガス案内流路と、を備える基板容器システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの等角図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの等角図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの断面図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの等角図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの等角図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの等角図である。
図7a】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの容器本体の等角図である。
図7b図7aの部分拡大図である。
図7c】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システム上に配置されたフィルタ部材の等角図である。
図7d図7cの部分拡大図である。
図7e】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの等角図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの封止部材の等角図である。
図9a】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの等角図である。
図9b】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの切断図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの斜視図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの断面図である。
図12】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの斜視図である。
図13】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの断面図である。
図14】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの斜視図である。
図15】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの断面図である。
図16】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの断面図である。
図17】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの部分断面図である。
図18】本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムを用いた実験のデータである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の例示的な実施形態のみを示し、したがって、本開示は他の同等に有効な実施形態を許容し得るので、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【0011】
これらの図は、特定の例示的な実施形態において利用される方法、構造、及び/又は材料の一般的な特徴を示すこと、及び以下に提供される書面による説明を補足することを意図していることに留意されたい。しかしながら、これらの図面は、一定の縮尺ではなく、所与の実施形態の正確な構造又は性能特性を正確に反映していない可能性があり、例示的な実施形態によって包含される値又は特性の範囲を定義又は限定するものと解釈されるべきではない。例えば、層、領域、及び/又は構造要素の相対的な厚さ及び配置は、明確にするために低減または誇張され得る。様々な図面における類似又は同一の参照番号の使用は、類似若しくは同一の要素、又は類似若しくは同一の特徴の存在を示すことを意図している。
【0012】
以下、本開示の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示をより十分に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ十分であり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0013】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図される。さらに、本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」及び/又は「備える(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含む(including)」、又は「有する(has)」及び/又は「有する(having)」という用語は、述べられた特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を妨げるものではないことが理解されよう。
【0014】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術及び本開示の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書中で明示的にそのように定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0015】
例示的な実施形態について、図1図18の添付図面と併せて説明する。図面を参照して本開示を詳細に説明するが、図示された要素は、必ずしも一定の縮尺で示されておらず、同様又は類似の要素は、複数の図を通して同一又は類似の参照番号と、同一又は類似の用語とにより示されている。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システム100の等角図を示す。単純かつ明瞭に図示するために、例示的なシステムのいくつかの詳細/サブ構成要素は、本図において明示的に符号付け/図示されていない。いくつかの実施形態では、基板容器システムは、前面開口式一体型ポッド(FOUP)を備えている。例示的な基板容器システム100は、基板(例えば、ウエハ、レチクル、又は他の半導体製造関連のワークピース)の通過を可能にする前面開口部111(現在の視点から隠されている)を画定する。いくつかの実施形態では、前面開口部は基板よりも幅広であってもよい。図示された実施形態では、基板容器システム100は、基板を収容するのに適した容器本体110と、容器本体110の背面を覆うように構成された背面カバー120とを含む。いくつかの実施形態では、容器本体は、例えば、射出成形などの技術によって完全な一体型構造として形成された単一部材である。さらに容器本体110は、前面開口部に対向する背面開口部113を画定する。背面開口部113は、背面カバー120によって覆うことができる(そして最終的には封止される)。背面開口部は、パージされたガスが容器本体の内部に流れ込むのを可能にするために設けられている。例示的な実施形態に示されるように、背面開口部113の幅(例えば、x軸方向における)は、前面開口部111の幅よりも小さい。例えば、図示された実施形態の容器本体110は、その前面(前面開口部111が形成されている)に近接する前面フランジ115を含む。これにより、容器本体110に対し、その前面の開口(例えば、前面開口部111)に向かって徐々に広がる一般的な外形を与える。例示的な図では、容器本体110の幅広の前面は、対向する幅が狭い背面開口部113と比較してより幅広の前面開口部111を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、容器本体110は、背面開口部113を覆うように構成されたフィルタ要素(例えば、フィルタ部材130)を、その背面で受け入れるように構成されている。例えば、容器本体110は、フィルタ部材130を受け入れることができる一対のフランジ部112を更に備えている。例示的な実施形態では、フランジ部112の各々は、背面カバー120の幅方向(例えば、図1に示されるx方向)に沿って、背面開口部113にそれぞれ隣接して配置されている(例えば、容器本体110の2つの側壁117から背面開口部113の中心に向かって延在する)。具体的には、フランジ部112の内側周縁領域112aは、協働して背面開口部113を画定すると共に、フィルタ部材130が均等に保持され得るように、受け入れたフィルタ部材130を物理的に支持するように構成されている。一方、図示された実施形態におけるフィルタ部材130は、フィルタプレート131と、フィルタプレート131を取り囲む環状フレーム132とを備え、環状フレーム132は背面開口部113を覆うのに十分な平面寸法を備えている。図示された実施形態では、環状フレーム132は、組み立て時にフランジ部112の内側周縁領域112aとの封止係合を確立するように構成されている。いくつかの実施形態では、フィルタ部材(例えば、フィルタ部材130)は、多孔質材料を含む。いくつかの実施形態では、フィルタ部材は、多孔質焼結材料から一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、多孔質焼結材料は、粒状材料を焼結することによって製造されてもよい。好適な材料は、セラミック材料と、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW)、ナイロン6(N6)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、及びそれらの組み合わせなどのポリマーベースの材料とを含んでいてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、容器本体(例えば、容器本体110)は、背面カバーと係合して、背面開口部及びフィルタ部材を封入するように構成されている。例示的な実施形態では、背面カバー120は、容器本体110の背面においてフランジ部112上に取り付けられるように構成された略平面状の本体を備えている。例えば、横方向に対称なフランジ部112は、複数の締結片124(例えば、ねじ)に対応する複数の締結部材116(例えば、ねじ穴)を備えていてもよい。そのように、背面カバー120は、フランジ部112上の留め具(例えば、締結片124)によって容器本体110に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態(図17に示されるものなど)では、締結機構(例えば、締結部材116)は容器本体110の他の位置(例えば、側壁)(例えば、フランジ部に近接する位置)に配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、締結機構は、容器本体110の裏面上ではなく、側壁117上に配置されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、背面カバー120は、外部パージ装置と係合するように構成された少なくとも1つのガス取入構造121を備えており、それによってパージガスを容器システムの内部に受け入れることができる。いくつかの実施態様において、ガス取入構造121は、背面カバー120の延長部分(例えば、フィルタ部材を覆う背面カバー120の平面部分から延在する)として一体的に構成されてもよい。図示された実施形態では、ガス取入構造121は、パージ装置を接続するためのガス取込口(例えば、下向きの吸気口121a)を備えている。
【0020】
システム100はさらに、背面カバー120と容器本体110との間で所定レベルの気密性を維持するように構成された封止部材(例えば、封止部材140)を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、封止部材(例えば、封止部材140)は、二重ループ構成を組み込み、背面カバー120と容器本体110との間に配置されている。例えば、例示的な封止部材140は、背面カバー120と容器本体110との間に配置されるように構成された第1の(外側)封止リング部141を含むように図示されている。図示された実施形態では、第1の封止リング部141の形状は、フランジ部112の外側周縁領域112bに対応するように図示されており、フランジ部112の外側周縁領域112bに沿って封止係合を確立するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の封止リング部141は、ガス取入構造(例えば、取入構造121)と容器本体(例えば、本体110)との間の封止係合を強化するように構成された部分をさらに備えていてもよい。例えば、第1の封止リング部141は、組み立て時に容器本体110の底面とガス取入構造121との間に延在して、吸気口(例えば、吸気口121a)の周りの気密性を維持する曲げループ部分(例えば、背面カバー120によって画定される平面から実質的に90度折れ曲がる)を備えていてもよい。図示された実施形態では、第1の封止リング部141は、主要部141aと、主要部141aから(例えば、下向きの吸気口121aの対に対応して)折れ曲がる2つの屈曲部141bとを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、封止部材(例えば、封止部材140)は、フィルタ部材(例えば、フィルタ部材130)と容器本体(例えば、容器本体110)との間の封止を可能にするように構成されてもよい。例えば、この図に示す封止部材140は、フィルタ部材130と容器本体110との間に着座するように構成された第2の(内側)封止リング部142をさらに備える。いくつかの実施形態において、第1の封止リング部141と第2の封止リング部142とは、一体的に接続される(例えば、同じ成形プロセスを介して単一のガスケット部材として一体的に形成される)。図示された実施形態では、第1の封止リング部141と第2の封止リング部142とは、同じ共有部144を共有する。いくつかの実施形態では、第2の封止リング部は、第1の封止リング部に一体的に接続されていない別個の構成要素であってもよい。図示された実施形態では、封止部材140は、締結部材(例えば、締結部材116、締結片124)の周りに着座するように構成された複数の第3の封止リング部143をさらに備えることで、本体(例えば、容器本体110)と背面プレート(例えば、背面カバー120)との間の接合領域での封止係合を確実にする。いくつかの実施形態では、第1の封止リング部と第3の封止リング部とは、一体的に接続される。
【0022】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの背面カバーの等角図を示す。図示された実施形態では、背面カバー220は、一対のガス取入構造を含む。例として、例示的な背面カバー220には、第1のガス取入構造221と第2のガス取入構造222とが設けられ、それぞれが下向きの吸気口221a、吸気口222aを有する。第1のガス取入構造221と第2のガス取入構造222とは、背面カバー220の幅方向(例えば、図2に示すx方向)に沿って実質的に対称に配置されている。
【0023】
背面カバー220は、組み立て時に容器本体(例えば、図1の容器本体110)の方を向く内面223を備えている。いくつかの実施態様において、背面カバー220は、容器本体の背面開口部を覆い、組み立て時に容器本体との封止係合を確立する。例えば、図示された実施形態では、封止リップ224は、組み立て時に封止部材の外側封止リング(例えば、図1の第1の封止リング部141)に直接接触するように、内面223の周囲に形成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、ガス取入構造は、容器本体(例えば、図1の本体110)の底面上の正しい位置/向きに吸気口を案内するように構成された少なくとも1つの案内部をさらに備えることができ、それによって、外部パージ装置とのドッキング中に、容器に備え付けの吸気口(例えば、吸気口221a、222a)と外部パージ装置のガス取出口との間の位置合わせを確実にする。例えば、図示されたガス取入構造221は、吸気口221aに隣接して配置された一対の案内部221b(例えば、環状/リング状の形状を有する)を備えている。
【0025】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システム300の断面図を示す。例えば、図示された断面は、例えば、図1に示すy-z平面で切り取られた切断図を反映することができる。
【0026】
図3に示すように、容器本体310は底面314を有する。組み立て時に、背面カバー320(認識を容易にするために暗い陰影トーンで示されている)のガス取入構造(例えば、ガス取入構造321)は、底面314の下方に屈曲して延在する。吸気口321aは、容器本体310の底面314と対向するように構成されている。
【0027】
容器本体310はさらに、前面開口部311と、前面開口部311に対向する背面開口部(例えば、図1の背面開口部113)とを画定する。前面開口部311は、容器に収容される物(例えば、基板)が通過できるように、形状や大きさが決められる。いくつかの実施形態では、組み立てられたフィルタ部材330は、湾曲した輪郭(例えば、図9b及び図13により明確に図示されている)を備えたガス分配面331を有する。いくつかの実施形態では、湾曲したガス分配面(例えば、ガス分配面331)は、背面開口部(例えば、図1の背面開口部113)を通り容器本体310に向かって延在するように構成されている。
【0028】
いくつかの動作シナリオでは、パージガスは、吸気口321aを介してシステム300の内部に供給され、次いでフィルタ部材330を通過し、次いで底面314に形成された排気口(例えば、図7に図示された排気口714a)を通してシステム300から排出されてもよい。
【0029】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの例示的な背面カバーを等角図法で示す。例示的な背面カバー420は、高さ方向(例えば、z方向)に沿って延在する一対の仕切り構造425をさらに備える。
【0030】
仕切り構造425は、背面カバー420の高さ方向(例えば、z方向)に沿って延在し、下向きのガス取入構造(例えば、図2のガス取入構造221/222)と流体連通するガス案内流路を形成してもよい。例えば、組み立て時に、背面カバー420の仕切り構造425は、背面カバー420の幅方向(例えば、x方向)において、それぞれ背面開口部(例えば、図1の背面開口部113)の方を向いて背面開口部に隣接すると共に、さらにフィルタ部材と接触して(例えば、図1の環状フレーム132に沿って、かつフランジ部112の内側周縁領域112aの上に)配置される。一方、背面カバー420は、容器本体の一対のフランジ部(例えば、図1のフランジ部112)に少なくとも部分的に重なる。
【0031】
例示的な背面カバー420と容器本体(例えば、図1の容器本体110)との間の封止係合は、フランジ部の外側周縁領域(例えば、図1の外側周縁領域112b)に沿って確立されてもよい。いくつかの実施形態では、ガス取入構造(例えば、ガス取入構造221/222)からの一対のガス案内流路は、背面カバー420と容器本体のフランジ部(例えば、フランジ部112)とが重なり合う領域に形成されてもよい。こうして、フランジ部(例えば、フランジ部112)は、背面カバー420によって完全に覆われ、それによって、ガス案内流路は、フランジ部(例えば、フランジ部112)の幅と実質的に等しい幅を有することができる。
【0032】
背面カバー420とフィルタ部材(例えば、図1のフィルタ部材130)とが協働して、取出口(例えば、取出口425c、これについては以下でさらに詳細に説明する)を介してガス案内流路に接続された緩衝区画を形成することができる。例えば、一対の仕切り構造425は、横方向において背面カバー420を3つの領域に分離する。背面カバー420の仕切り構造425とフィルタ部材(例えば、フィルタ部材130)の背面との間の領域が、協働して緩衝区画を形成してもよい。
【0033】
この実施形態では、パージガスが、吸気口(例えば、図2の吸気口221a)から、ガス案内流路の中央部分に配置された取出口425cを通って(例えば、高さ方向/z軸方向に沿って)、緩衝区画内に供給されてもよい。フィルタ部材(例えば、図1のフィルタ部材130)内の焼結多孔質構造は、そこを通るガス流を調節するのに役立ち、したがってパージ操作中に緩衝区画内の圧力を安定した値に維持する。例えば、フィルタ部材は、(例えば、図2の吸気口221a/222aから)取り込んだガスの圧力が特定の閾値に達すると、ガス流がフィルタ部材を通過できるようにする。緩衝区画内(例えば、図1の背面カバー120とフィルタ部材130との間に形成されたチャンバ)に充分な内圧が蓄積されると、フィルタ部材は、調節された方法で、パージガスを容器本体の内部に均一に供給する。
【0034】
例示的な実施形態では、仕切り構造425の各々には、背面カバー420の高さの実質的に中央に取出口425cが設けられている。例示的な実施形態では、取出口425cは、(取出口425cの中心を基準として)仕切り構造425の上端425tと下端425bとの間の実質的に中間に配置される。
【0035】
図5及び図6は、それぞれ本開示のいくつかの実施形態に係る、等角図法による基板容器システムの例示的な背面カバーの等角図を示す。
【0036】
図5を参照すると、例示的な背面カバー520の仕切り構造525の各々は、そこに設けられた3つの取出口525cを有する。互いに対向する仕切り構造525における取出口525cは、実質的に横方向に対称に(例えば、x軸方向に沿って)形成されている。
【0037】
図6を参照すると、例示的な背面カバー620の仕切り構造625の各々は、1つの取出口625cを備えている。しかしながら、2つの取出口625cは、実質的に非対称な横方向の配置で(例えば、x軸方向に沿って)設計されている。例えば、取出口625cは、背面カバー620の高さにおける(例えば、z軸における)上部及び下部の位置にそれぞれ形成されている。
【0038】
取出口の構成(例えば、位置と個数)は、容器本体(例えば、図1の容器本体110)内のガス流分布に影響を及ぼし得ることが分かっている。さらに、取出口の適切な配置により、パージされた状態でのロード/アンロードの作業中における周囲の空気の容器本体内部への侵入を容易に低減することができる。いくつかの動作シナリオでは、パージガスは、図4の2つの取出口425c(例えば、背面カバー420の高さの略中央に配置される)を介して、背面カバー420の幾何学的中央に対して対称に緩衝区画内に導入されてもよい。このような構成は、収容される物体の容器内部へのロード/アンロードの際の前面ドア取り外しプロセスにおいて、周囲の空気の侵入を低減するのに役立つことが分かっている。
【0039】
図7aは、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの封止部材の着座配置(例えば、図1に示す封止部材140、図8に示す封止部材840について)の等角図を示す。図7bは、図7aの部分拡大図を示す。
【0040】
図示された実施形態では、第1の溝構造(例えば、第1の(外側)環状溝構造717)は、容器本体の一対のフランジ部(例えば、フランジ部712)の外周(例えば、外側周縁領域712b)に沿って配置されており、一方、第2の溝構造(例えば、第2の(内側)環状溝構造718)は、フランジ部(複数可)712の内側周縁領域712aに沿って配置されている。例えば、例示的な容器本体710は、外側封止リング(例えば、図1の第1の封止リング部141)を収容する、環状ループを形成する第1の環状溝構造717を含む。
【0041】
いくつかの実施態様では、第1の環状溝構造717の内周は、締結部材716の位置に対応して配置された複数の間隙717aをさらに備え、それにより追加の封止リング(複数可)(例えば、図1の第3の封止リング部143)が、それぞれの締結部材716を取り囲むように配置されることを可能にする。
【0042】
図示された実施形態では、第1の環状溝構造717は、(図7bに示されるように)底面714の上に部分的に閉じたループパターンを画定する最下部717bをさらに含む。加えて、底面714は、一対の貫通孔(例えば、排気口714a)を備えている。一方、底面714は、(最下部717bの)閉じたループパターン領域の位置には貫通孔を備えていない。したがって、外側封止リング(例えば、第1の封止リング部141)の屈曲部(例えば、図1の屈曲部141b)は、第1の環状溝構造717の最下部717bに配置されてもよく、それにより外側封止リングの屈曲部(例えば、図1の屈曲部141b)は、容器本体710の底面714の下に保持されてもよい。
【0043】
容器本体710はさらに、内側封止リング(例えば、図1の第2の封止リング部142)を収容するように構成された、背面開口部713を取り囲む第2の環状溝構造718を含む。このような構成により、フィルタ部材(例えば、図1のフィルタ部材130)は、組み立て時に、背面開口部713を取り囲む容器本体710との封止係合を確立することができる。
【0044】
いくつかの実施態様において、フィルタ部材(例えば、図1のフィルタ部材130)を配置/保持するために、第2の環状溝構造718は、複数の間隙718aと、各々が間隙718aに配置された複数の柱状部718bとをさらに備えていてもよい。
【0045】
図7cは、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システム上に適合されたフィルタ部材730の等角図を示す。図7dは、図7cの部分拡大図を示す。
【0046】
例示的なフィルタ部材730は、フィルタプレート731と環状フレーム732とを含む。いくつかの実施態様では、フィルタ部材730は、環状フレーム732から外側に延在する複数のアンカーリング733をさらに備えている。アンカーリング733は、フィルタ部材730の幅方向(例えば、x方向)に沿って対称に配置されてもよい。組み立て時に、環状フレーム732は、その下に在る内側封止リング(例えば、図1の第2の封止リング部142)と物理的に接触することができ、一方、アンカーリング733は、第2の環状溝構造718の間隙718aを通して柱状部718bと係合することができる。そのような構成は、組み立て時に、フィルタ部材730の横方向の動きを抑制することができ、それによって環状フレーム732と容器本体710との間の封止係合をさらに確実にすることができる。いくつかの実施態様において、アンカーリング733は、フィルタ部材730の環状フレーム732と一体的に形成される。
【0047】
図7eは、本開示のいくつかの実施形態に係る組み立てられた構成の基板器システム700の等角図を示す。組み立て時に、背面カバー720の第1のガス取入構造721と第2のガス取入構造722とは、容器本体710の底面714の下方に屈曲して延在し、封止部材の屈曲部(例えば、図1の屈曲部141b)を覆い、それにより屈曲部(図1の屈曲部141b)は、底面714とガス取入構造721との間に配置されて、吸気口(複数可)の周囲の気密性を確保する。さらに、一対の吸気口721a、722aは、底面714とは反対側の下方向(例えばz方向)に向かって開口する。
【0048】
図8は、本開示のいくつかの実施態様に係る基板容器システムの封止部材840の等角図を示す。例示的な封止部材840は、第1の(外側)封止リング部841と、第2の(内側)封止リング部842と、複数の第3の(補助)封止リング部843とを含む。しかも、封止部材840は、面外の曲げ構成を備えている。
【0049】
図示の例では、第1の封止リング部841の実質的に対称な一対の主要部841aは、(第1の封止リング部841の共有された小部分である共有部841gと共に)協働して平面P81を画定する。第2の封止リング部842は、実質的に同じ平面P81内に延在するように図示されており、第1の封止リング部841の外周内に概ね含まれている。一方、幅方向に沿って(例えば、x軸方向に沿って)延在する(外側封止リング部の)共有部841gは、内側封止リングと外側封止リングとが(例えば、第1の封止リング部841及び第2の封止リング部842が)互いに一体的に接合する箇所である。さらに、第1の封止リング部841は、平面P81に対して略直交する平面P82に向かって屈曲して延在する一対の略対称な面外部分である屈曲部841bを含む。
【0050】
例示的な実施形態に示されるように、屈曲部841bの各々は、幅方向(例えば、x軸方向)に沿って別々に配置され、各々が主要部841aを実質的に90度の屈曲角度で接合する小部分である2つのネック部841dを含む。一対のネック部841dの間には、共有部841gの反対側にある間隙841cが形成されている。屈曲部841bは、概して平面P82(平面P81に対して実質的に直交する)にあるループを形成し、下向きの吸気口(例えば、既に図2に図示された吸気口221a)を取り囲み、囲い込むように構成されている。
【0051】
主要部841aと略同じ平面内に配置される(すなわち、実質的に平面P81にある)第3の封止リング部843は、第1の封止リング部841の内周に一体的に接続されると共に、第2の封止リング部842に向かって内側に延在する。
【0052】
図9aは、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの例示的な背面カバーの等角図を示す。
【0053】
いくつかの実施態様では、背面カバー920は、背面カバー920の高さ方向(例えば、z軸に沿って)に沿って延在する一対の仕切り構造925を含む。いくつかの実施形態では、取出口(開口)925cは仕切り構造925に形成される。いくつかの実施形態では、取出口925cは、背面カバー920の高さにおける(例えば、z軸における)実質的に中央部分に配置される。図示された実施形態では、2つの仕切り構造925はさらに、上部ブリッジ仕切り構造927aと下部ブリッジ仕切り構造927bとを介して互いに接続されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、仕切り構造(例えば、仕切り構造925又は仕切り構造927a/b)は、複数の略同軸のリブ機構を含むことができる。例えば、図示された仕切り構造925は、一対の略同軸で配置されたリブ機構部925a、925bを含む。
【0055】
加えて、複数のリブ928が、幅方向に沿って(例えば、図9aに示されるx軸に沿って)延在し、背面カバー920の構造的な一体性を強化するように構成された背面カバー920の内面923上にさらに設けられる。いくつかの実施形態では、背面カバー920には、互いに離間して配置され、各々が仕切り構造925のリブ機構部925a及びリブ機構部925bと交差する複数のフィン926がさらに含まれる。
【0056】
図示された実施形態では、取出口925cは、仕切り構造925に対して垂直に(例えば、背面カバーの幅方向に沿って)配置されたフィン926によって分割される。したがって、フィン926は、空気ガイドとして機能し、取出口925cを通過するガスを背面カバー920の中心に導くことができる。
【0057】
図9bは、本開示のいくつかの実施形態に係る、基板容器システムのフィルタ部材に取り付けられている背面カバーの(例えば、図9aに示される切断線L9に沿った)断面図を示す。
【0058】
図示された実施形態では、仕切り構造のリブ機構部925aは、フィルタ部材930に物理的に接触し、背面カバー920とフィルタ部材930との間にガス成分の境界(現在の視点から隠されている;破線960によって示される)を画定する。図示された実施形態では、取出口925cは、リブ機構部925aとフィルタ部材930とによって協働して画定される。取出口925cは、フィン926によって分割されている。
【0059】
図10は、本開示のいくつかの実施形態に係る組み立てられた基板容器システム1000の斜視図を示す。図11は、本開示のいくつかの実施形態に係る、組み立てられた基板容器システム1100の断面図を示す。図11は、図10に示す平面P10に平行な平面で切り取られた断面図であってもよい。
【0060】
図示された実施形態では、背面カバー1120と容器本体1110とが協働して、背面カバーの高さ方向に沿って延在するガス案内流路1116を画定する。ガス取入構造1121は、ガス案内流路1116に接続される。ガス案内流路1116は、容器本体1110の底面1114上に(例えば、y方向に沿って)延在する。したがって、パージ装置(図示せず)が吸気口1121aに接続されると、パージ装置から放出されるガスの経路(例えば、図11に図示する矢印で示される)は、ガス案内流路1116の内部で(例えば、容器本体1110の底面1114や背面カバー1120の屈曲して延在するガス取入構造1121の周囲で)その方向を変える。いくつかの実施形態では、同等の配置を有する第2のガス案内流路が、背面カバー1120上に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、複数のガス案内流路は、例えば、図2又は図4に示すように、実質的に鏡面対称となるように、容器システムの背面カバー上に配置されてもよい。
【0061】
図12は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システム1200の斜視図を示す。図13は、本開示のいくつかの実施形態に係る組み立てられた基板容器システムの断面図を示す。いくつかの実施態様において、図13は、図12に示す平面P12に平行な平面で切り取られた断面図であってもよい。
【0062】
図13では、例示的な背面カバー1320は、容器本体1310に係合され、それによって、フィルタ部材1330と容器本体1310との間に封止係合を形成するように図示されている。この実施形態では、背面カバー1320は、その周囲に封止リップ1324を備えている。封止リップ1324は、容器本体1310のフランジ部1312上に配置された外側封止リング(例えば、第1の封止リング部1341)との物理的な接触を確立するように構成される。図示された実施形態では、背面カバー1320の仕切り構造1325(例えば、外側のリブ機構部1325b)は、容器本体1310上(例えば、フランジ部1312上)に埋め込まれた内側封止リング(例えば、第2の封止リング部1342)に対して、(例えば、フィルタ部材1330のフレーム1332に沿って)フィルタ部材1330に押圧力を及ぼすように構成されている。したがって、容器本体1310とフィルタ部材1330との間の封止係合を確実にすることができる。
【0063】
さらに、背面カバー1320の仕切り構造1325(例えば、内側のリブ機構部1325a)は、フィルタ部材1330と物理的に接触しているように図示されており、それによってガス案内流路1351/1352と緩衝区画1360との間の構造的な分離として機能する。緩衝区画1360は、仕切り構造上に形成された取出口(例えば、図9a及び図9bに示す取出口925c)を介して、ガス案内流路1351/1352と流体連通している。ガス案内流路1351/1352の構造プロファイルと配置とは、背面カバー1320の幅方向(例えば、図13に示されるx方向)に沿って実質的に対称である。したがって、パージガスの流れは、容器内部へのロード/アンロード中に、2つの取出口(例えば、図9aの取出口925c)を介して緩衝区画に対称に導かれてもよい。
【0064】
フィルタ部材1330のガス分配面1331は、容器本体1310のフランジ部1312の間に画定される背面開口部1313内に延在するように構成されている。例えば、ガス分配面1331は、容器本体1310の内部に向けて配置され、フランジ部1312によって画定される開口境界を超えたところまで到達する。したがって、ガス分配面1331は、背面開口部1313の平面投影よりも大きい表面積を有する。そのように、パージガス(図13に図示する矢印によって示される)は、より広い分配角度で、ガス分配面1331から放出されてもよい。いくつかの実施形態では、ガス分配面1331は、容器本体1310の内部に向かって延在する湾曲した断面プロファイル(例えば、放物線状)を備えている。
【0065】
図14は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システム1400の斜視図を示す。図15は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの断面図を示す。いくつかの実施態様において、図15は、図14に示される平面P14に平行な平面で切り取られた断面図であってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、容器システムの背面カバーは、容器システム内に収容されたフィルタ部材を保持するように構成された複数のフィンをさらに備えていてもよい。例えば、背面カバー1520は、フィルタ部材1530のフレーム1531の内縁1531aとの付勢接触を確立するように構成されたL字型角部1526aを形成するフィン部材1526(例えば、図9で図示されたフィン926に相当する)をさらに備え、フィルタ部材1530を横方向に拘束する。
【0067】
図16は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの例示的な背面カバーの断面図を示す。いくつかの実施形態では、容器システムの背面カバーは、自給式のガス案内流路を組み込むことができる。例えば、例示的な背面カバー1620は、2つの管状構造1629を備え、その各々はそれぞれ、ガス取入構造1621/1622と流体接続するガス案内流路1651を形成する。
【0068】
図17は、本開示のいくつかの実施形態に係る基板容器システムの部分断面図を示す。例えば、図17は、図15に示す破線ボックス内の領域の拡大断面図であってもよい。
【0069】
図示の実施形態では、背面カバー1720は、背面カバー1720の幅方向(例えば、x方向に沿って)に沿って、背面カバー1720の内面1723から仕切り構造1725まで延在する壁1727をさらに備える。図示された実施形態では、仕切り構造1725、壁1727、及び内面1723は、ガス案内流路1751を形成する管状構造を構成している。いくつかの実施形態では、背面カバー1720は、容器本体1710の側壁1719に取り付けることができ、それにより緩衝区画1760がガス案内流路1751の横に形成される。
【0070】
図18を参照する。図18は、図1に示す基板容器システムにおける時間に対する内部湿度レベルの実験データを示す。
【0071】
具体的には、容器本体は、10単位の図示された期間(例えば、時間軸において0から10まで)の間、連続パージ条件下で25枚の基板を受け取るように設定される。実験の目的のために、オンボードセンサを備えた複数のテスト基板(例えば、この図では3つ、それらの各々はロードされたスロット1/13/25によって示される)が、容器本体にロードされる。テスト基板の各々は、異なる位置に配置された5つのセンサを備えている(例えば、ラベルB/C/F/L/Rによって示されている)。次いで、前面ドアが取り付けられて、容器システムの前面開口部が封止される。
【0072】
パージプロセスが時間ゼロで開始し、その間に1種類以上のパージガスが容器システム内に(例えば、図2の吸気口221aを通して)供給される。結果として、容器システム内部の湿度レベルは、初期に顕著に低下することが観察される(例えば、3番目の時間単位のマーク付近において約40%から実質的に0%に低下する)。
【0073】
その後、前面開口部を封止している装置の前面ドアは、期間の途中で(例えば、時間軸に沿った5番目の段階で)取り外される。ガス案内流路内におけるガス取出口(例えば、図4の取出口425c)の適切な配置は、周囲環境から容器システム内への外部ガスの流入を防止するのに役立ち、それによりロード/アンロードプロセス中であっても、容器システム内の低水分レベルを確保/維持することが観察された。
【0074】
従って、本開示の一態様は、底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前面開口部と対向しかつその幅が前面開口部の幅よりも狭い背面開口部を有する容器本体と、背面開口部を覆い、容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、を備え、背面カバーが、組み立て時に容器本体の底面の下方に屈曲して延在する第1のガス取入構造を備え、第1のガス取入構造が、容器本体の底面に対向する下向きの吸気口を備える、基板容器システムを提供する。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態では、背面カバーが、第2のガス取入構造をさらに備え、第1のガス取入構造及び第2のガス取入構造が、背面カバーの幅方向に沿って実質的に対称に配置される。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態では、容器本体は、背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成される。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態では、第1のガス取入構造及び第2のガス取入構造の各々は、背面カバーの高さ方向に沿って延在するガス案内流路に接続される。
【0078】
本開示のいくつかの実施形態では、ガス案内流路は、背面カバーの高さにおける実質的に中央部分に配置された取出口を有する。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態では、背面カバー及びフィルタ部材が協働して、取出口を介してガス案内流路に接続された緩衝区画を画定する。
【0080】
本開示のいくつかの実施態様では、背面カバーが、各々が、背面カバーの幅方向において背面開口部に隣接し、背面カバーの高さ方向に沿って延在する一対の仕切り構造を備え、ガス案内流路の取出口が、仕切り構造内に形成されている。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態では、容器本体は、各々が、前面開口部に対向して配置され、背面カバーの幅方向に沿って背面開口部に隣接して配置された、一対のフランジ部をさらに備え、背面カバーが一対のフランジ部と少なくとも部分的に重なり合い、背面カバーと容器本体のフランジ部とが重なり合った領域に、ガス案内流路が形成されている。
【0082】
本開示のいくつかの実施形態では、背面開口部を通って容器本体に向かって延在するガス分配面を有するフィルタ部材をさらに備える。
【0083】
本開示のいくつかの実施形態では、背面カバーと容器本体との間に配置された第1の封止リング部を有する封止部材をさらに備え、第1の封止リング部が、容器本体の底面とガス取入構造との間に屈曲して延在する部分を備える。
【0084】
本開示のいくつかの実施形態では、封止部材が、フィルタ部材と前記容器本体との間に配置された第2の封止リング部をさらに備える。
【0085】
従って、本開示の一態様は、底面、基板の通過を可能にする前面開口部、及び前面開口部と対向する背面開口部を有し、背面開口部を覆うフィルタ部材を受け入れるように構成された容器本体と、フィルタ部材と協働して緩衝区画を画定し、容器本体との封止係合を確立する背面カバーと、背面カバーの高さ方向に沿って延在し、緩衝区画に接続された取出口を有する第1のガス案内流路と、を備える基板容器システムを提供する。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態では、取出口は、背面カバーの高さにおける実質的に中央部分に配置される。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態では、背面カバーが、各々が、背面カバーの幅方向において背面開口部に隣接し、背面カバーの高さ方向に沿って延在する一対の仕切り構造を備え、第1のガス案内流路の取出口が、仕切り構造内に形成されている。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態では、容器本体が、各々が、前面開口部に対向して配置され、背面カバーの幅方向に沿って背面開口部に隣接する一対のフランジ部をさらに備え、背面カバーが、一対のフランジ部に少なくとも部分的に重なり合い、第1のガス案内流路が、背面カバーと容器本体のフランジ部とが重なり合った領域に形成される。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態では、第2のガス案内流路をさらに備え、第1のガス案内流路及び第2のガス案内流路が、背面カバーの幅方向に沿って実質的に対称に配置される。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態では、背面カバーが、組み立て時に容器本体の底面の下方に屈曲して延在する第1のガス取入構造をさらに備え、第1のガス取入構造が、第1のガス案内流路を接続し、容器本体の底面に対向する下向きの吸気口を備える。
【0091】
本開示のいくつかの実施形態では、ガス分配面を有するフィルタ部材をさらに備え、ガス分配面の表面積が、背面開口部の表面積よりも大きい。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態では、背面カバーと容器本体との間に配置された第1の封止リング部を有する封止部材をさらに備え、第1の封止リング部が、容器本体の底面と第1のガス取入構造との間に屈曲して延在する部分を備える。
【0093】
本開示のいくつかの実施形態では、封止部材は、フィルタ部材と容器本体との間に配置された第2の封止リング部をさらに備える。
【0094】
上記に図示され、説明された実施形態は単なる例示である。したがって、そのような詳細の多くは、図示も説明もされていない。本技術の多くの特徴及び利点が、構造及び機能の詳細と共に前述の説明で述べられたとしても、開示は例示にすぎず、詳細について、特に、部品の形状、サイズ、及び配置について、原則の範囲内で、即ち、特許請求の範囲で使用されている用語の幅広い一般的な意味によって確立された全範囲にまで及び全範囲を含めて、変更を加えることができる。したがって、上述の実施形態は、特許請求の範囲内で変更され得ることが理解されよう。
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