(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】電極組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20220216BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20220216BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20220216BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20220216BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20220216BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20220216BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20220216BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01G11/86
H01G11/12
H01G11/78
H01M50/474
H01M50/54
H01M10/0585
(21)【出願番号】P 2017029268
(22)【出願日】2017-02-20
【審査請求日】2019-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】片山 和雄
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-053220(JP,A)
【文献】特開2015-146252(JP,A)
【文献】特開2000-251882(JP,A)
【文献】特開2016-031907(JP,A)
【文献】特開2015-122266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/531-50/54
H01M 50/10-50/171
H01M 50/471-50/477
H01G 11/86
H01G 11/12
H01G 11/78
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を積層方向に沿って積層して積層体を形成する第1工程と、
前記積層方向に前記積層体を圧縮した後、前記積層体の前記積層方向の一方面及び他方面に張り出すように、前記複数の電極の積層によって形成される前記積層体の側面に第1テープを設ける第2工程と、
前記第1テープによって前記複数の電極の積層状態が固定された前記積層体の前記一方面側に厚さ調整フィルムを積層する第3工程と、
前記厚さ調整フィルムの前記積層方向の一方面及び前記積層体の前記他方面に張り出し、かつ、前記積層体の前記側面の縁を覆うように、前記積層体の前記側面と、前記厚さ調整フィルムの側面とに第2テープを設ける第4工程と、
前記第1テープ及び前記第2テープを介して前記積層体の前記側面を
、前記積層体の位置決め用のガイド部材によって支持する第5工程と、
前記ガイド部材によって前記積層体が支持された状態にて、前記複数の電極のそれぞれに含まれるタブ同士を溶接する第6工程と、
を備える電極組立体の製造方法。
【請求項2】
複数の電極を積層方向に沿って積層して積層体を形成する第1工程と、
前記積層方向に前記積層体を圧縮した後、前記積層体の前記積層方向の一方面及び他方面に張り出すように、前記複数の電極の積層によって形成される前記積層体の側面に第1テープを設ける第2工程と、
前記第1テープによって前記複数の電極の積層状態が固定された前記積層体の前記一方面側に厚さ調整フィルムを積層する第3工程と、
前記厚さ調整フィルムの前記積層方向の一方面及び前記積層体の前記他方面に張り出し、かつ、前記積層体の前記側面の縁を覆うように、前記積層体の前記側面と、前記厚さ調整フィルムの側面とに第2テープを設ける第4工程と、
前記第1テープ及び前記第2テープを介して前記積層体の前記側面を、前記積層体の位置決め用のガイド部材によって支持する第5工程と、
前記ガイド部材が前記積層体を支持した状態にて、前記積層体を搬送する第6工程と、
を備える電極組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極組立体、蓄電装置及び電極組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置の電極組立体には、シート状の正極及び負極を各々複数積層した積層型と、帯状の正極及び負極を捲き掛けて形成された捲回型との2つの形式が知られている。積層型の電極組立体の製造工程として、電極タブを溶接して一体化する工程(タブ溶接工程)がある。このタブ溶接工程を実施する際には、例えば特許文献1に記載されている治具が用いられる。特許得文献1に記載の治具は、平面視にて略矩形状を呈する積層体を載置するプレートと、プレート上に設けられると共に積層体を位置決めする位置決めガイドと、積層体の上面を押圧する上面押圧体とを備えている。プレート上に載置される積層体においては、タブが突出する側面以外の側面が、位置決めガイドに接触している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、積層体を位置決めガイドに直接接触させることにより、電極のタブ同士の位置ずれの抑制が図られている。しかしながら、上記治具を用いた場合には以下に記載する課題がある。上記従来技術に積層体を治具にて位置決めすることが記載されているが、積層体は、その前工程である積層工程で形成された後、搬送され、治具にて位置決めされる。積層体が位置決めガイドに接触する際の衝撃に起因して、積層体の側面を構成する電極端部、特に当該側面の縁及びその周辺(すなわち、積層体の角部)における活物質の脱落(粉落ち)が発生してしまうおそれがある。これにより、電極の品質にばらつきが発生してしまう。また、上記粉落ちは、上記タブ溶接工程だけではなく、積層体の治具上への搬送を自動化した場合等に発生しやすい。作業者の手作業と異なり、自動化された搬送速度を状況に応じて細かく制御することは極めて困難だからである。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、電極端部の粉落ちを良好に抑制できる電極組立体、蓄電装置及び電極組立体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電極組立体は、複数の電極が積層方向に沿って積層された積層体と、積層体の積層方向の一方面側に積層された厚さ調整フィルムと、積層体の複数の電極の積層状態を固定する第1テープと、積層体及び厚さ調整フィルムの積層状態を固定する第2テープと、を備え、第1テープは、積層体の一方面及び他方面に張り出すように、複数の電極の積層によって形成される積層体の側面に設けられており、第2テープは、厚さ調整フィルムの積層方向の一方面及び積層体の他方面に張り出し、かつ、積層体の側面の縁を覆うように、積層体の側面と、厚さ調整フィルムの側面とに設けられている。
【0007】
この電極組立体では、第1テープは、積層体の一方面及び他方面に張り出すように、複数の電極の積層によって形成される積層体の側面に設けられており、第2テープは、厚さ調整フィルムの積層方向の一方面及び積層体の他方面に張り出し、かつ、積層体の側面の縁を覆うように、積層体の側面と、厚さ調整フィルムの側面とに設けられている。このため、複数の電極の積層によって形成される積層体の側面の少なくとも一部は、第1テープ及び第2テープによって覆われて保護されている。すなわち、第1テープ及び第2テープによって、電極端部によって構成される積層体の側面の一部が覆われる。これにより、積層体において第1テープ及び第2テープに保護された部分にガイド部材等を接触させることによって、積層体の側面とガイド部材等とが直接接触することを防止できる。これにより、積層体が当該ガイド部材等に接触する際の衝撃を和らげ、積層体の各側面を構成する電極端部における粉落ちの発生を抑制できる。さらには、積層体において上記ガイド部材等に衝突しやすい積層体の側面の縁が第2テープで覆われていることにより、当該縁を構成する電極端部の上記粉落ちの発生も良好に抑制できる。したがって上記電極組立体においては、電極端部の粉落ちを良好に抑制できる。
【0008】
また、第1テープと第2テープとは、互いに分離して設けられてもよい。この場合、積層体が膨張したとき、積層方向において外部から積層体へ加わる圧力が良好に分散されるので、上記膨張に起因した電極組立体の急激な劣化を抑制できる。
【0009】
また、積層体の側面において、第1テープが設けられる積層体の側面と、第2テープが設けられる積層体の側面とは、互いに異なってもよい。この場合、外部から積層体へ加わる圧力が特定の側面側に集中することを防止できる。
【0010】
また、積層体は、側面から突出するタブを有し、第2テープの少なくとも一部は、側面と、タブに取り付けられる集電板との間に位置してもよい。この場合、タブが変形して集電板が上記側面に向かって移動したとき、当該集電板は第2テープに接触する。これにより、集電板と積層体との接触に起因する電極端部の粉落ちの発生、及び集電板と積層体との短絡を抑制できる。
【0011】
本発明の他の一側面に係る蓄電装置は、上記電極組立体と、電極組立体を収容するケースとを備えてもよい。このような蓄電装置においては、粉落ちの発生が抑制された電極組立体がケースに収容される。このため、安定した品質を備える蓄電装置を提供できる。
【0012】
本発明の他の一側面に係る電極組立体の製造方法は、複数の電極を積層方向に沿って積層して積層体を形成する第1工程と、積層方向に積層体を圧縮した後、積層体の積層方向の一方面及び他方面に張り出すように、複数の電極の積層によって形成される積層体の側面に第1テープを設ける第2工程と、第1テープによって複数の電極の積層状態が固定された積層体の一方面側に厚さ調整フィルムを積層する第3工程と、厚さ調整フィルムの積層方向の一方面及び積層体の他方面に張り出し、かつ、積層体の側面の縁を覆うように、積層体の側面と、厚さ調整フィルムの側面とに第2テープを設ける第4工程と、第1テープ及び第2テープを介して積層体の側面をガイド部材によって支持する第5工程と、を備える。
【0013】
この製造方法では、第2~第4工程を実施することによって、複数の電極の積層によって形成される積層体の側面の少なくとも一部は、第1テープ第2テープによって覆われて保護される。すなわち、第1テープ及び第2テープによって、電極端部によって構成される積層体の側面の一部が覆われる。これにより、第5工程において積層体の側面がガイド部材に接触する際に、第1テープ及び第2テープが積層体の側面における電極端部を保護できる。このため、積層体が当該ガイド部材等に接触する際の衝撃を和らげ、電極端部における粉落ちの発生を抑制できる。特に、第4工程にて積層体において上記ガイド部材等に衝突しやすい積層体の側面の縁が第2テープで覆われていることにより、当該縁を構成する電極端部の上記粉落ちの発生も良好に抑制できる。したがって上記電極組立体においては、電極端部の粉落ちを良好に抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極端部の粉落ちを良好に抑制できる電極組立体、蓄電装置及び電極組立体の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電極組立体を備える蓄電装置の略分解図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿った蓄電装置の断面図である。
【
図5】
図5(a)は正極を示す図であり、
図5(b)は負極を示す図である。
【
図6】
図6は、蓄電装置1の製造方法を説明するための工程図である。
【
図7】
図7は、工程S6にて電極組立体がガイド部材にて支持された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一側面に係る蓄電装置及び蓄電装置に含まれる電極組立体の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、実施形態に係る電極組立体を備える蓄電装置の略分解図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った蓄電装置の断面図である。
図3は、電気組立体の平面図であり、
図4は、電気組立体の斜視図である。
図5(a)は正極を示す図であり、
図5(b)は負極を示す図である。
【0018】
本実施形態において、
図1及び
図2に示される蓄電装置1は、リチウムイオン二次電池である。なお、蓄電装置は、その他の非水電解質二次電池または電気二重層キャパシタであってもよい。蓄電装置1は、例えば略直方体形状を呈する中空のケース2と、ケース2内に収容される電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウムなどの金属又は合金によって形成されている。ケース2は、一方側において開口した本体部2aと、本体部2aの開口を塞ぐ蓋部2bとを有している。ケース2の内壁と電極組立体3との間には、絶縁フィルムFが配置される。ケース2の内部には、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。本体部2aは、略直方体形状を呈している。蓋部2bは、本体部2aの開口部分を覆うように本体部2aに固定される。蓋部2bは、例えば本体部2aに溶接されることによって、本体部2aに固定される。ケース2の蓋部2bには、正極端子5と負極端子6とが互いに離間して配置されている。正極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定され、負極端子6は、絶縁リング8を介してケース2に固定されている。
【0019】
図1~
図4に示されるように、電極組立体3は、積層体21と、第1テープ22と、厚さ調整フィルム23と、第2テープ24とを備えている。
【0020】
積層体21は、セパレータ13を介して複数の電極を積層方向Dに積層してなる部材である。積層体21は、積層方向Dから見て略矩形状を呈しており、積層方向Dの第1端面21a(一方面)と、第1端面21aの反対側に位置する第2端面21b(他方面)と、第1端面21a及び第2端面21bをつなぐ側面21c~21fとを有している。積層体21には、複数の正極11(電極)、複数の負極12(電極)、及び正極11と負極12との間に配置された袋状のセパレータ13が含まれている。このため、第1端面21a及び第2端面21bは、正極11又は負極12のいずれかの主面から形成され、側面21c~21fは、正極11、負極12、及びセパレータ13の積層によって形成される。なお、積層方向Dとは、電極の主面に対する鉛直方向に相当する。
【0021】
図2に加えて
図5(a)に示されるように、正極11は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。正極11の金属箔14は、矩形状の本体14aと、本体14aの一端から突出する矩形状のタブ14bとを含む。
【0022】
タブ14bは、本体14aと正極端子5とをつなぐ部分である。
図5においては、タブ14bは、本体14aの上縁部から上方に延びている。
図1においては、各正極11のタブ14bは、積層体21の側面21c上にて一つに束ねられている。また、タブ14bには集電板16が取り付けられている。集電板16は、タブ14bと正極端子5との間に配置される部材である。集電板16は、例えば、正極11の金属箔14と同一の材料から構成され、矩形平板形状を呈している。積層された複数のタブ14bは、例えば、集電板16と、タブ14bの形状に沿った保護板(図示せず)との間に配置される。
【0023】
正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含む多孔質層である。このため、正極活物質層15内の空孔に電解液が含浸する。正極活物質層15は、本体14aの両面において、少なくとも本体14aの中央部分に正極活物質が担持されて形成されている。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、及び硫黄等が挙げられる。複合酸化物の組成には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト、及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。
【0024】
図2に加えて
図5(b)に示されるように、負極12は、例えば銅箔からなる金属箔17と、金属箔17の両面に形成された負極活物質層18とを有している。負極12の金属箔17は、正極11の金属箔14と同様に、矩形状の本体17aと、本体17aの一端から突出する矩形状のタブ17bとを含む。蓄電装置1におけるリチウムの析出を抑制する観点から、積層方向Dから見て、負極活物質層18の全体は、正極活物質層15を覆っている。また、前述の関係を満たし、且つ、出来るだけ容量を大きくする為に、負極活物質層18は、金属箔17の本体17a全体を覆っている。このため、本実施形態では、積層体21の側面21c~21fには、負極12の本体17aの端辺(すなわち、負極12の端部)と共に、負極活物質層18が露出している。
【0025】
タブ17bは、本体17aと負極端子6とをつなぐ部分である。
図5においては、タブ17bは、本体17aの上縁部から上方に延びている。
図1においては、各負極12のタブ17bは、積層体21の側面21c上にて一つに束ねられている。また、タブ17bには集電板19が取り付けられている。集電板19は、タブ17bと負極端子6との間に配置される部材である。集電板19は、例えば、負極12の金属箔17と同一の材料から構成され、矩形平板形状を呈している。積層された複数のタブ17bは、例えば、集電板19と、タブ17bの形状に沿った保護板(図示せず)との間に配置される。
【0026】
負極活物質層18は、負極活物質とバインダとを含む多孔質層である。このため、負極活物質層18内の空孔に電解液が含浸する。負極活物質層18は、本体17aの両面において、少なくとも本体17aの中央部分に負極活物質が担持されて形成されている。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素などが挙げられる。ここでは、一例として、タブ17bには、負極活物質が担持されていない。ただし、タブ17bにおける本体17a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。
【0027】
セパレータ13は、正極11を収容している。このため本実施形態では、正極11を収容したセパレータ13と複数の負極12とが交互に積層されることによって、積層体21が形成される。セパレータ13は、正極11および負極12の積層方向から見て、矩形状を呈している。セパレータ13は、例えば、一対の矩形のシート状のセパレータ部材が、その三辺で互いに溶着されることによって、袋状に形成される。セパレータ13の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロースなどからなる織布または不織布などが例示される。本実施形態のセパレータ13は多孔質フィルムであり、セパレータ13内の空孔に電解液が含浸する。
【0028】
第1テープ22は、積層体21内の複数の電極(正極11及び負極12)及びセパレータ13の積層状態を固定する部材であり、積層体21に一又は複数貼り付けられている。第1テープ22は、例えば、帯状の基材層と、基材層の一面上に設けられる接着剤層とを有する。第1テープ22は、積層体21の第1端面21a及び第2端面21bに張り出すように、21積層体の側面21c~21fの少なくともいずれかに設けられている。すなわち、第1テープ22は、第1端面21aと、側面21c~21fの少なくともいずれかと、第2端面21bとに貼り付けられている。
【0029】
本実施形態では、第1テープ22は、積層体21に対して2つ貼り付けられている。一方の第1テープ22は、第1端面21aと、側面21cに接する側面21dと、第2端面21bとに貼り付けられている。すなわち、側面21dを構成する各電極の端部の一部には、一方の第1テープ22が貼り付けられている。他方の第1テープ22は、第1端面21aと、側面21cに接すると共に側面21dの反対側に位置する側面21eと、第2端面21bとに貼り付けられている。すなわち、側面21eを構成する各電極の端部の一部には、他方の第1テープ22が貼り付けられている。一方の第1テープ22は、側面21dの中央部を覆うように貼り付けられており、他方の第1テープ22は、側面21eの中央部を覆うように貼り付けられている。
【0030】
積層方向Dから見て、各第1テープ22の幅は、特に限定されない。例えば、各第1テープ22の幅は、側面21d,21eの一部を露出しつつ、第1テープ22によって積層体21の各電極を良好に固定できる幅であればよい。第1テープ22から露出した側面21d,21eからガス抜けが良好に発生し、且つ、電極同士の位置ずれを抑制できる。加えて、第1テープ22によって積層体21の側面21d,21eを良好に保護できると共に、第1テープ22の使用によるコストを低減できる。なお、ガス抜けとは、正極11と負極12との間の化学反応によって積層体21内で発生したガスが、積層体21外へ排出されることである。ガス抜けの一例としては、初期充放電及びエージング工程で発生するガスの排出が相当する。初期充放電及びエージング工程は、リチウムイオン二次電池の製造工程において、周知技術である為、詳細な説明は省略する。
【0031】
厚さ調整フィルム23は、積層方向Dに沿った電極組立体3の厚さを調整する絶縁性フィルムであり、積層体21の第1端面21a側に積層される。厚さ調整フィルム23によって電極組立体3の厚さが調整されることによって、電極組立体3がケース2の内面に良好に固定される。これにより、振動等に起因した電極組立体3とケース2との衝突による破損等の発生が抑制される。厚さ調整フィルム23は、多段階に厚みの異なるフィルムを複数準備し、積層体21の厚さに合わせ、その内の一枚のフィルムを選択して用いてもよい。もしくは、厚さ調整フィルム23として均等の厚みのフィルムを準備し、積層体21の厚さに合わせ、フィルムの枚数で調整してもよい。本実施形態では、後者の方式を用い、厚さ調整フィルム23を構成するフィルムの構成材料は、例えばPP(ポリプロピレン)である。
【0032】
本実施形態では
図2に示されるように、厚さ調整フィルム23は、4枚のフィルム23aから構成されており、積層方向Dの第1主面23b(一方面)及び第2主面23cを有する。第1主面23b及び第2主面23cは、積層体21の第1端面21aよりも大きいことが好ましい。この場合、積層体21の第1端面21aとケース2との接触を良好に防止できる。なお、積層体21の厚さが、電極組立体3の所望の厚さに相当する場合、厚さ調整フィルム23は設けられなくてもよい。換言すると、厚さ調整フィルム23は、電極組立体3に含まれなくてもよい。
【0033】
第2テープ24は、積層体21及び厚さ調整フィルム23の積層状態を固定する部材であり、積層体21及び厚さ調整フィルム23に一又は複数貼り付けられている。第2テープ24は、第1テープ22と同様に、例えば、帯状の基材層と、基材層の一面上に設けられる接着剤層とを有する。第2テープ24と第1テープ22とは、互いに分離して設けられている。すなわち、第2テープ24と第1テープ22とは、互いに接触せず、且つ、互いに重ならないように設けられている。これにより、電極組立体3をケース2に収容した場合、積層体21において圧力が加えられやすい箇所を低減できる。当該箇所を低減することにより、正極11と負極12との化学反応が不均等になる箇所を低減できる。
【0034】
第2テープ24は、厚さ調整フィルム23の第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出し、かつ、積層体21の側面21c~21fの縁E1~E4の少なくとも何れかを覆うように、積層体21の側面21c~21fの少なくともいずれかと、厚さ調整フィルム23の側面とに設けられている。本実施形態では、第2テープ24は、積層体21に対して4つ貼り付けられており、各第2テープ24は、積層方向Dから見た場合、積層体21及び厚さ調整フィルム23の角部C1~C4を覆うように設けられている。より具体的には、各第2テープ24は、積層方向Dに延びる積層体21の側面21c~21fの縁E1~E4のいずれかを覆うように設けられている。本実施形態では、積層体21において、第1テープ22が設けられる側面と、第2テープ24が設けられる側面とは、互いに異なっている(詳細は後述する)。
【0035】
一つ目の第2テープ24は、厚さ調整フィルム23の第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出している。また、一つ目の第2テープ24は、側面21c,21dが交わる箇所に位置する角部C1に含まれる積層体21の縁E1を覆うように、積層体21の側面21cと、厚さ調整フィルム23において側面21cに重なる側面とに貼り付けられている。すなわち、側面21cを構成する各電極の端部のうちの縁E1を構成する部分には、一つ目の第2テープ24が貼り付けられている。このとき、一つ目の第2テープ24は、側面21cと集電板16との間に位置することが好ましい。積層方向Dから見て、一つ目の第2テープ24の幅は、第1テープ22と同様に特に限定されないが、例えば、側面21cの一部を露出しつつ、積層体21の各電極を良好に固定できる幅であればよい。加えて、一つ目の第2テープ24の幅は、タブ14bと接しないように調整される。この場合、角部C1においては、一つ目の第2テープ24によって、積層体21の各電極がしっかりと固定されることに加えて、積層体21と厚さ調整フィルム23とがしっかりと固定される。ここで、角部C1を構成する側面21dには、一つ目の第2テープ24は貼り付けられていない。このため、角部C1においては、ガス抜けが良好に発生する。したがって、角部C1に起因した各電極の位置ずれの発生、積層体21と厚さ調整フィルム23との位置ずれの発生、及び角部C1における過剰な膨張を抑制できる。
【0036】
二つ目の第2テープ24は、厚さ調整フィルム23の第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出している。また、二つ目の第2テープ24は、側面21c,21eが交わる箇所に位置する角部C2に含まれる積層体21の縁E2を覆うように、積層体21の側面21cと、厚さ調整フィルム23において側面21cに重なる側面とに貼り付けられている。すなわち、側面21cを構成する各電極の端部のうちの縁E2を構成する部分には、二つ目の第2テープ24が貼り付けられている。このとき、二つ目の第2テープ24は、側面21cと集電板19との間に位置することが好ましい。積層方向Dから見た二つ目の第2テープ24の幅は、例えば、一つ目の第2テープ24の幅と略同一であり、且つ、タブ17bと接しないように調整される。また、角部C1を構成する側面21eには、二つ目の第2テープ24は貼り付けられていない。このため、角部C2においても、角部C1と同様に、積層体21の各電極がしっかりと固定されると共に、積層体21と厚さ調整フィルム23とがしっかりと固定され、ガス抜けが良好に発生する。
【0037】
三つ目の第2テープ24は、厚さ調整フィルム23の第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出している。また、三つ目の第2テープ24は、側面21d,21fが交わる箇所に位置する角部C3に含まれる積層体21の縁E3を覆うように、積層体21の側面21cの反対側に位置する側面21fと、厚さ調整フィルム23において側面21fに重なる側面とに貼り付けられている。すなわち、側面21fを構成する各電極の端部のうちの縁E3を構成する部分には、三つ目の第2テープ24が貼り付けられている。積層方向Dから見て、三つ目の第2テープ24の幅は、一つ目の第2テープ24と同様に特に限定されないが、例えば、側面21fの一部を露出しつつ、積層体21の各電極を良好に固定できる幅であればよい。また、角部C3を構成する側面21dには、三つ目の第2テープ24は貼り付けられていない。このため、角部C3においても、角部C1,C2と同様に、積層体21の各電極がしっかりと固定されると共に、積層体21と厚さ調整フィルム23とがしっかりと固定され、ガス抜けが良好に発生する。
【0038】
四つ目の第2テープ24は、厚さ調整フィルム23の第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出している。また、四つ目の第2テープ24は、側面21e,21fが交わる箇所に位置する角部C4に含まれる積層体21の縁E4を覆うように、積層体21の側面21fと、厚さ調整フィルム23において側面21fに重なる側面とに貼り付けられている。すなわち、側面21fを構成する各電極の端部のうちの縁E4を構成する部分には、四つ目の第2テープ24が貼り付けられている。積層方向Dから見た四つ目の第2テープ24の幅は、例えば、三つ目の第2テープ24の幅と略同一である。また、角部C4を構成する側面21eには、四つ目の第2テープ24は貼り付けられていない。このため、角部C4においても、角部C1~C3と同様に、積層体21の各電極がしっかりと固定されると共に、積層体21と厚さ調整フィルム23とがしっかりと固定され、且つ、ガス抜けが良好に発生する。
【0039】
上述したように積層体21及び厚さ調整フィルム23に第2テープ24が貼り付けられることによって、側面21dにおいて角部C1,C3を構成する部分と、側面21eにおいて角部C2,C4を構成する部分とを露出しつつ、積層体21及び厚さ調整フィルム23を良好に固定できる。したがって、第2テープ24から露出した側面21d,21eからガス抜けが良好に発生すると共に、積層体21と厚さ調整フィルム23との位置ずれを良好に抑制できる。加えて、第2テープ24によって積層体21の縁E1~E4を良好に保護できると共に、第2テープ24の使用によるコストを低減できる。
【0040】
以下では、
図6及び
図7を参照しながら、上述した電極組立体3を備える蓄電装置1の製造方法の一例について説明する。
図6は、蓄電装置1の製造方法を説明するための工程図である。
図7は、工程S6にて電極組立体がガイド部材にて支持された状態を示す図である。
【0041】
まず、複数の電極を積層方向Dに沿って積層して積層体21を形成する(工程S1、第1工程)。工程S1は、いわゆる積層工程である。工程S1では、セパレータ13に収容された正極11と、負極12とを交互に積層し、積層体21を形成する。積層体は、例えば、公知のP&P(ピック・アンド・プレース)方式で形成される。具体的には、正極11と負極12とは異なる製造ラインで製造された後、搬送機械によって積層装置に自動搬送される。積層装置に搬送された正極11及び負極12は、吸着パッドを備えたロボットアームにより交互に積層され、積層体21が形成される。P&P方式による積層は周知の為、これ以上の詳細の説明は省略する。
【0042】
次に、積層体21の厚さを調整した後、第1テープ22を積層体21に貼り付ける(工程S2、第2工程)。工程S1で形成された積層体21は、工程S2を行う為の装置に搬送される。工程S2では、まず、搬送された積層体21の位置決めがなされる。そして、押圧装置等を用いて、正極11及び負極12の積層方向Dに沿って積層体21をプレス圧縮する。このとき、上記装置内にて、積層体21の全体を均一に圧縮する。これにより、積層方向Dにおける積層体21内の隙間を埋める。続いて、積層体21の積層方向Dの第1端面21a及び第2端面21bに張り出すように、複数の電極(正極11及び負極12)の積層によって形成される積層体21の側面21d,21fに第1テープ22を設ける。これにより、積層体21内の正極11及び負極12の積層状態を固定すると共に、積層体21が圧縮された状態を維持する。すなわち、第1テープ22によって、圧縮された積層体21の厚さを維持する。工程S2では、上記装置に設けられた切欠部等を介して、積層体21に第1テープ22を貼り付けることが好ましい。これにより、積層体21の正極11及び負極12の積層状態が良好に固定するように、第1テープ22を積層体21に貼り付けることができる。加えて、積層体21において上記装置から露出した部分を保護できる。
【0043】
次に、積層体21の厚さを測定する(工程S3)。工程S3では、第1テープ22によって固定された積層体21の厚さを測定し、厚み調整の為のフィルム23aの要否及び枚数を決定すると共に、フィルム23aにより調整可能な範囲内に収まっているかを確認する。積層体21の厚さが調整可能な範囲内に収まっていない場合、不良品として製造ライン状より除外される(図示省略)。測定結果が、調整可能な範囲内に収まっているが、フィルム23aによる調整を必要とする場合(工程S3:YES)、第1テープ22が貼り付けられた積層体21の第1端面21a側に厚さ調整フィルム23を積層する(工程S4、第3工程)。工程S4では、積層体21の厚さとケースの内寸との誤差に応じた枚数(例えば、1~6枚のいずれか)のフィルム23aを、積層体21上に自動搬送する。例えば、上記誤差に応じて、1~6枚のフィルム23aを積層体21上に積層する。適正値は、所定の値ではなく、所定の範囲内の値であればよい。なお、上記工程S3にて測定結果がフィルム23aによる調整を不要とする場合(工程S3:NO)、工程S4を省略し、後述する工程S5を行う。
【0044】
次に、第2テープ24の貼り付けを実施する(工程S5、第4工程)。工程S5では、積層体21上に厚さ調整フィルム23が積層される場合、第2テープ24によって積層体21と厚さ調整フィルム23との積層状態を固定する。具体的には、厚さ調整フィルム23の積層方向Dの第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出し、かつ、積層体21の側面21c~21fの縁E1~E4を覆うように、積層体の側面21c,21fと、厚さ調整フィルム23の対応する側面とに第2テープ24を設ける。一方、工程S3にて積層体21上に厚さ調整フィルム23が積層されない場合、積層体21の第1端面21a及び第2端面21bに張り出し、かつ、上記縁E1~E4を保護するように、積層体の側面21c,21fに第2テープ24を設ける。なお、工程S5では、工程S2と同様に、工程S2にて用いられる上記装置に設けられた別の切欠部等を介して、第2テープ24が積層体21及び厚さ調整フィルム23に貼り付けられることが好ましい。
【0045】
次に、支持装置50によって積層体21を支持し(第5工程)、その後、積層体21に設けられるタブ14b,17bをそれぞれ溶接する(工程S6)。工程S6では、
図7に示されるように、第2テープ24によって一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を支持装置50の台座51上に載置し、支持装置50のガイド部材52によって一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を支持する。このとき、ガイド部材52は、第1テープ22及び第2テープ24を介して積層体21及び厚さ調整フィルム23を支持する。これにより、ガイド部材52が積層体21に直接接することを防止できる。続いて、ガイド部材52にて一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を支持した状態にて、タブ14b,17bをそれぞれ溶接する。これにより、電極組立体3を形成する。
【0046】
なお、上記工程S6を実施するため、一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を、支持装置50の台座51上に移し替えるとき、一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23をロボットアーム又はコンベア等の搬送装置によって自動搬送してもよい。このとき、搬送装置のガイド部材が、第1テープ22及び第2テープ24を介して、一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を支持しつつ搬送してもよい。これにより、搬送装置が積層体21に直接接することを防止できる。すなわち、一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を自動搬送するときに、上記搬送装置に起因した電極の粉落ちの発生を抑制できる。
【0047】
次に、タブ14bに正極端子5を取り付けると共に、タブ17bに負極端子6を取り付ける(工程S7)。工程S7では、正極端子5が設けられる集電板16をタブ14bに取り付けると共に、負極端子6が設けられる集電板19をタブ17bに取り付ける。工程S7においても、電極組立体3は、ガイド装置によって支持されてもよい。この場合、ガイド装置は、第1テープ22及び第2テープ24を介して電極組立体3を支持する。
【0048】
次に、電極組立体3をケース2に収容する(工程S8)。続いて、絶縁リング7を介して正極端子5を蓋部2bに固定すると共に、絶縁リング8を介して負極端子6を蓋部2bに固定した後、ケース2の開口を蓋部2bによって塞ぐ。また、ケース2内に電解液を注液することによって、蓄電装置1を形成する。工程S8においても、工程S6と同様に、電極組立体3を搬送装置にて自動搬送してもよい。このとき、工程S6と同様に、搬送装置のガイド部材が、第1テープ22及び第2テープ24を介して、電極組立体3を支持しつつ搬送することが好ましい。
【0049】
以上説明した本実施形態に係る製造方法によって製造される電極組立体3によれば、第1テープ22は、積層体21の第1端面21a及び第2端面21bに張り出すように積層体21の側面21d,21eに設けられており、第2テープ24は、厚さ調整フィルム23の第1主面23b及び積層体21の第2端面21bに張り出し、かつ、積層体21の側面21c~21fの縁E1~E4を覆うように、積層体21の側面21c,21fと、厚さ調整フィルム23の対応する側面とに設けられている。このため、正極11及び負極12の積層によって形成される積層体21の側面21c~21fの少なくとも一部は、第1テープ22及び第2テープ24によって覆われて保護されている。すなわち、第1テープ22及び第2テープ24によって、電極端部(より具体的には、負極12の端部)によって構成される積層体21の側面21c~21fの一部が覆われる。これにより、積層体21の側面21c~21fにおいて第1テープ22及び第2テープ24に保護された部分にガイド部材52等を接触させることによって、積層体21の側面21c~21fとガイド部材52等とが直接接触することを防止できる。これにより、積層体21がガイド部材52等に接触する際の衝撃を和らげ、側面21c~21fを構成する電極端部における粉落ちの発生を抑制できる。さらには、積層体21においてガイド部材52に衝突しやすい側面21c~21fの縁E1~E4が第2テープ24で覆われていることにより、縁E1~E4を構成する電極端部の上記粉落ちの発生も良好に抑制できる。したがって電極組立体3においては、電極端部の粉落ちを良好に抑制できる。
【0050】
加えて、電極組立体3では、第1テープ22によって正極11、負極12、及びセパレータ13が固定された積層体21と、厚さ調整フィルム23との積層状態が、第2テープ24によって固定されている。このため、複数の電極の積層状態が固定された積層体21に対して厚さ調整フィルム23を積層できる。すなわち、積層体21の取り扱いを容易にした上で、積層体21上に厚さ調整フィルム23を積層できる。これにより、積層体21を構成する正極11及び負極12の積層状態、及び積層体21と厚さ調整フィルム23との積層状態の両方を良好に固定でき、積層体21と厚さ調整フィルム23とを容易に一体化できる。
【0051】
第1テープ22と第2テープ24とは、互いに分離して設けられている。このため、積層体21が膨張したとき、積層方向Dにおいて外部から積層体21へ加わる圧力が良好に分散される。例えば、積層体21が膨張した蓄電装置1においては、ケース2から積層体21へ加わる力が良好に分散される。このため、上記膨張に起因した電極組立体3の急激な劣化を抑制できる。積層体21において、過剰な圧力が加えられた領域と当該領域以外の領域とでは、正極11と負極12との間の化学反応が不均等になることがある。この場合、過剰な圧力が加えられた領域に金属(例えば、リチウム)が析出しやすくなり、蓄電装置1の寿命が縮まるおそれがある。このため、第1テープ22と第2テープ24とを互いに重ならないように設けることにより、蓄電装置1の寿命低下を抑制できる。
【0052】
上記積層体21では、側面21c~21fにおいて、第1テープ22が設けられる積層体21の側面21d,21eと、第2テープ24が設けられる積層体21の側面21c,21fとは、互いに異なっている。このため、外部から積層体21へ加わる圧力が特定の側面側に集中することを防止できる。
【0053】
積層体21は、その側面21cから突出するタブ14bを有し、第2テープ24の少なくとも一部は、側面21cと、タブ14bに取り付けられる集電板16との間に位置している。このため、タブ14bが変形して集電板16が側面21cに向かって移動したとき、集電板16は第2テープ24に接触する。これにより、集電板16と積層体21との接触に起因する電極端部の粉落ちの発生、及び集電板16と積層体21との短絡を抑制できる。また、積層体21は、その側面21cから突出するタブ17bを有し、第2テープ24の少なくとも一部は、側面21cと、タブ17bに取り付けられる集電板19との間に位置している。これにより、集電板19と積層体21との接触に起因する電極端部の粉落ちの発生、及び集電板19と積層体21との短絡も抑制できる。
【0054】
蓄電装置1は、本実施形態に係る電極組立体3と、電極組立体3を収容するケース2とを備えている。このような蓄電装置1においては、粉落ちの発生が抑制された電極組立体3がケース2に収容される。このため、良好な性能を有する蓄電装置1を提供できる。
【0055】
なお、本発明に係る電極組立体及びその製造方法と、蓄電装置とは上記実施形態に限定されない。例えば、第1テープ22の数は、上記実施形態に限られない。例えば、第1テープ22は、4つ設けられ、積層体21の各側面21c~21fに貼り付けられてもよい。この場合、側面21c,21fのそれぞれには、第1テープ22及び第2テープ24の両方が設けられる。また、積層体21の一つの側面に対して複数の第1テープ22が設けられてもよい。換言すると、各第1テープ22が貼り付けられる側面は、上記実施形態と異なり、一つの側面のみであってもよい。
【0056】
上記実施形態において、第2テープ24の数は、上記実施形態に限られない。例えば、第2テープ24の数は、3つ以下でもよい。積層方向Dから見て、第2テープ24は、積層体21の角部C1~C4のうち、少なくとも一つを覆えばよい。また、第2テープ24は、角部C1と集電板16との間、もしくは角部C2と集電板19との間に設けられなくてもよい。また、複数の第2テープ24は、上記実施形態と異なり、それぞれ異なる側面を介して積層体21の第2端面21b及び厚さ調整フィルム23の第1主面23bに張り出してもよい。
【0057】
上記実施形態において、第1テープ22と第2テープ24とは、互いに重なるように設けられてもよい。この場合、積層体21の側面21c~21fにおいて露出する領域を増加することができ、積層体21のガス抜けが良好に発生する。
【0058】
上記実施形態において、正極11の本体11aと、負極12の本体12aとのそれぞれは、矩形状に限られず、多角形状でもよい。すなわち、正極11及び負極12のそれぞれが、多角形状を呈してもよい。この場合であっても、積層体の角部を構成すると共に積層方向Dに沿った縁が、第2テープによって覆われることが好ましい。
【0059】
上記実施形態において、セパレータ13は、袋状に限られず、シート状であってもよい。例えば、セパレータ付き正極として、正極11の両面にシート状のセパレータが接合され、ユニット化された正極が用いられてもよい。
【0060】
上記実施形態において、上記工程S6では、必ずしもタブが溶接されなくてもよい。例えば、上記工程S6,S7が同時に実施されてもよい。この場合、まず、一体化された積層体21及び厚さ調整フィルム23を、搬送装置等によって支持装置50の台座51上に自動搬送することが実施される。
【符号の説明】
【0061】
1…蓄電装置、2…ケース、3…電極組立体、5…正極端子、6…負極端子、11…正極、12…負極、13…セパレータ、14…金属箔、14a…本体、14b…タブ、16…集電板、17…金属箔、17a…本体、17b…タブ、19…集電板、21…積層体、21a…第1端面(一方面)、21b…第2端面(他方面)、21c~21f…側面、22…第1テープ、23…厚さ調整フィルム、23a…フィルム、23b…第1主面(一方面)、23c…第2主面、24…第2テープ、51…台座、52…ガイド部材、C1~C4…角部、D…積層方向、E1~E4…縁。