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特許7024243印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム
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  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図1
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図2
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図3
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図4
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  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図7
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図8
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図9
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図10
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図11
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図12
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図13
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図14
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図15
  • 特許-印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム 図16
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】印刷システム、経路決定装置、経路決定装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20220216BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G06F3/12 337
G06F3/12 303
G06F3/12 339
B41J29/38 201
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2017153256
(22)【出願日】2017-08-08
(65)【公開番号】P2019032701
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-07-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117673
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 了
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公治
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-048449(JP,A)
【文献】特開2000-267831(JP,A)
【文献】特開2015-170003(JP,A)
【文献】特開平11-154065(JP,A)
【文献】特開2012-190372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける印刷指示受付装置とを備える印刷システムであって、
複数のユーザのそれぞれによる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって、前記複数のユーザのそれぞれについて予め定められた許否情報を格納する格納手段と、
前記印刷指示受付装置にて一のユーザからの前記印刷指示が受け付けられた場合、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、前記一のユーザからの前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路を、前記複数のユーザのうち前記一のユーザについて定められた前記許否情報に基づいて決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムにおいて、
前記印刷システムは、前記印刷指示受付装置を含む複数の印刷指示受付装置をさらに備え、
前記格納手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのいずれかに設けられていることを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷システムにおいて、
前記格納手段は、前記印刷出力装置に設けられており、
前記決定手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのうち少なくとも前記印刷出力装置に設けられていることを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の印刷システムにおいて、
前記決定手段は、前記サーバ装置と前記印刷出力装置との双方に設けられていることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷システムにおいて、
前記印刷指示受付装置は、前記印刷指示を受け付けた場合、前記利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記直行経路と前記サーバ経由経路との両経路のうちの一方の経路を利用して、前記印刷出力装置と前記サーバ装置との両装置のうちの一方の装置に送信し、
前記一方の装置の前記決定手段は、前記印刷指示受付装置からの前記利用経路決定要求の受信に応答して、前記利用経路を決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷システムにおいて、
前記印刷指示受付装置は、前記両経路のうち前記一方の経路とは異なる他の経路を前記利用経路として決定する旨の決定結果を前記一方の装置から受信する場合、前記利用経路決定要求を前記両装置のうちの他方の装置にも送信することを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷システムにおいて、
前記印刷指示受付装置は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路である前記一方の経路を利用して、前記利用経路決定要求を前記一方の装置に送信し、
前記一方の装置の前記決定手段は、前記前回の印刷ジョブの実行時点から前記許否情報に変更が無い場合、前記前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路であって、前記一方の装置に対応する前記一方の経路を、今回の印刷ジョブでの前記利用経路として決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の印刷システムにおいて、
前記決定手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのうち少なくとも前記印刷出力装置に設けられており、
前記印刷出力装置は、
前記印刷指示受付装置との通信動作を実行する第1の通信手段、
をさらに有し、
前記第1の通信手段は、
前記印刷出力装置の前記決定手段によって前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信し、
前記印刷出力装置の前記決定手段によって前記サーバ経由経路が前記利用経路として決定される場合は、前記直行経路ではなく前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の印刷システムにおいて、
前記決定手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのうち少なくとも前記サーバ装置に設けられており、
前記サーバ装置は、
前記印刷指示受付装置との通信動作を実行する第2の通信手段、
をさらに有し、
前記第2の通信手段は、
前記サーバ装置の前記決定手段によって前記サーバ経由経路が前記利用経路として決定される場合は、前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信し、
前記サーバ装置の前記決定手段によって前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記サーバ経由経路ではなく前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷システムにおいて、
前記第2の通信手段は、前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記印刷出力装置のネットワークアドレスであって前記サーバ装置に格納されているネットワークアドレスをも前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
請求項1に記載の印刷システムにおいて、
前記決定手段は、前記一のユーザからの前記印刷指示が受け付けられた場合において、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されているときには、前記直行経路を前記利用経路として決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
請求項1に記載の印刷システムにおいて、
前記決定手段は、
前記サーバ装置の通信負荷状況を取得するとともに、
前記一のユーザからの前記印刷指示が受け付けられた場合において、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が所定程度よりも大きいときには、前記直行経路を前記利用経路として決定し、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が前記所定程度よりも小さいときには、前記直行経路ではなく前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項13】
印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける複数の印刷指示受付装置とを備える印刷システムであって、
前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれにて受け付けられる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって、前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれについて予め定められた許否情報を格納する格納手段と、
前記複数の印刷指示受付装置のうち或る印刷指示受付装置にて前記印刷指示が受け付けられた場合、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、前記印刷指示受付装置での前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路を、前記複数の印刷指示受付装置のうち前記印刷指示受付装置について定められた前記許否情報に基づいて決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段は、前記サーバ装置と前記印刷出力装置との双方に設けられており、
前記印刷指示受付装置は、前記印刷指示を受け付けた場合、前記利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記直行経路と前記サーバ経由経路との両経路のうちの一方の経路を利用して、前記印刷出力装置と前記サーバ装置との両装置のうちの一方の装置に送信し、
前記一方の装置の前記決定手段は、前記印刷指示受付装置からの前記利用経路決定要求の受信に応答して、前記利用経路を決定し、
前記印刷指示受付装置は、前記両経路のうち前記一方の経路とは異なる他の経路を前記利用経路として決定する旨の決定結果を前記一方の装置から受信する場合、前記利用経路決定要求を前記両装置のうちの他方の装置にも送信し、
前記印刷指示受付装置は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路である前記一方の経路を利用して、前記利用経路決定要求を前記一方の装置に送信し、
前記一方の装置の前記決定手段は、前記前回の印刷ジョブの実行時点から前記許否情報に変更が無い場合、前記前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路であって、前記一方の装置に対応する前記一方の経路を、今回の印刷ジョブでの前記利用経路として決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項14】
印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける複数の印刷指示受付装置とを備える印刷システムであって、
前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれにて受け付けられる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって、前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれについて予め定められた許否情報を格納する格納手段と、
前記複数の印刷指示受付装置のうち或る印刷指示受付装置にて前記印刷指示が受け付けられた場合、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、前記印刷指示受付装置での前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路を、前記複数の印刷指示受付装置のうち前記印刷指示受付装置について定められた前記許否情報に基づいて決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段は、
前記サーバ装置の通信負荷状況を取得するとともに、
前記印刷指示受付装置にて前記印刷指示が受け付けられた場合において、
前記印刷指示受付装置による前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、
前記印刷指示受付装置による前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が所定程度よりも高いときには、前記直行経路を前記利用経路として決定し、
前記印刷指示受付装置による前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が前記所定程度よりも低いときには、前記直行経路ではなく前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項15】
印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける印刷指示受付装置とを備える印刷システムにおいて、印刷ジョブにて利用されるべき送信経路を決定する経路決定装置であって、
前記印刷指示受付装置から印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、一のユーザからの前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記印刷指示受付装置から受信する通信手段と、
前記利用経路決定要求が前記印刷指示受付装置から受信された場合、複数のユーザのそれぞれによる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって前記複数のユーザのそれぞれについて予め定められた許否情報のうち、前記一のユーザについて定められた許否情報に基づいて、前記利用経路を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする経路決定装置。
【請求項16】
請求項15に記載の経路決定装置において、
前記決定手段は、前記利用経路決定要求が前記印刷指示受付装置から受信された場合において、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、
前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されているときには、前記直行経路を前記利用経路として決定することを特徴とする経路決定装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の経路決定装置において、
前記通信手段は、
前記決定手段によって前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信し、
前記決定手段によって前記サーバ経由経路が前記利用経路として決定される場合は、前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする経路決定装置。
【請求項18】
請求項17に記載の経路決定装置において、
前記経路決定装置は、前記印刷出力装置であり、
前記通信手段は、前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知に応答して前記印刷指示受付装置から前記直行経路を用いて送信されてきた前記印刷ジョブを受信し、
前記印刷出力装置は、
受信された前記印刷ジョブを印刷出力する印刷出力手段、
をさらに備えることを特徴とする経路決定装置。
【請求項19】
請求項17に記載の経路決定装置において、
前記経路決定装置は、前記サーバ装置であり、
前記通信手段は、前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知に応答して前記印刷指示受付装置から前記サーバ経由経路を用いて送信されてきた前記印刷ジョブを受信するとともに、受信した前記印刷ジョブを前記印刷出力装置に送信することを特徴とする経路決定装置。
【請求項20】
印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける印刷指示受付装置とを備える印刷システムにおいて、印刷ジョブにて利用されるべき送信経路を決定する経路決定装置の制御方法であって、
前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、一のユーザからの前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記印刷指示受付装置から受信するステップと、
前記利用経路決定要求が前記印刷指示受付装置から受信された場合、複数のユーザのそれぞれによる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって前記複数のユーザのそれぞれについて予め定められた許否情報のうち、前記一のユーザについて定められた許否情報に基づいて、前記利用経路を決定するステップと、
を備える、経路決定装置の制御方法。
【請求項21】
請求項20に記載の制御方法を、前記経路決定装置を制御するコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの外部端末(パーソナルコンピュータ等)から印刷出力装置へ向けて、サーバ装置を介した送信経路(「サーバ経由経路」とも称する)を用いて、印刷ジョブを送信する技術が存在する(特許文献1参照)。
【0003】
また、ユーザの外部端末から印刷出力装置へ向けて、サーバ装置を介さない直接的な送信経路(「直行経路」とも称する)を用いて、印刷ジョブを送信する技術も存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-164273号公報
【文献】特開2010-262373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、種々の事情により、管理者が、複数のユーザのそれぞれ(あるいは複数の外部端末のそれぞれ)について、直行経路とサーバ経由経路との2つの経路を使い分けて利用させたい、と考えることがある。たとえば、管理者が、社内の部署毎のルール等に基づいて、或る部署に属するユーザによる印刷ジョブについては直行経路を利用させ、別の部署に属するユーザによる印刷ジョブについてはサーバ経由経路を利用させたい、と考えることがある。
【0006】
このような要請を実現するにあたっては、次のような技術(比較例に係る技術)が考えられる。
【0007】
具体的には、管理者が、経路毎に別個の(各経路専用の)プリンタドライバを準備するとともに、各ユーザによる印刷ジョブにて利用させる送信経路を指定して、指定した送信経路に対応するプリンタドライバのインストール内容を電子メール等を用いて当該各ユーザに指示する。そして、各ユーザは、管理者による指示に基づいて、指定された送信経路のプリンタドライバを自身の外部端末にインストールする。上述のような管理者の要請を実現するにあたっては、このような技術が考えられる。
【0008】
しかしながら、上記比較例に係る技術では、管理者の手間が大きく、直行経路とサーバ経由経路との2つの経路を使い分けることは容易ではない。
【0009】
そこで、この発明は、直行経路とサーバ経由経路との2つの経路を比較的容易に使い分けることが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける印刷指示受付装置とを備える印刷システムであって、複数のユーザのそれぞれによる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって、前記複数のユーザのそれぞれについて予め定められた許否情報を格納する格納手段と、前記印刷指示受付装置にて一のユーザからの前記印刷指示が受け付けられた場合、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、前記一のユーザからの前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路を、前記複数のユーザのうち前記一のユーザについて定められた前記許否情報に基づいて決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、前記印刷システムは、前記印刷指示受付装置を含む複数の印刷指示受付装置をさらに備え、前記格納手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのいずれかに設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、前記格納手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのいずれかに設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、前記格納手段は、前記印刷出力装置に設けられており、前記決定手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのうち少なくとも前記印刷出力装置に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る印刷システムにおいて、前記決定手段は、前記サーバ装置と前記印刷出力装置との双方に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る印刷システムにおいて、前記印刷指示受付装置は、前記印刷指示を受け付けた場合、前記利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記直行経路と前記サーバ経由経路との両経路のうちの一方の経路を利用して、前記印刷出力装置と前記サーバ装置との両装置のうちの一方の装置に送信し、前記一方の装置の前記決定手段は、前記印刷指示受付装置からの前記利用経路決定要求の受信に応答して、前記利用経路を決定することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の発明に係る印刷システムにおいて、前記印刷指示受付装置は、前記両経路のうち前記一方の経路とは異なる他の経路を前記利用経路として決定する旨の決定結果を前記一方の装置から受信する場合、前記利用経路決定要求を前記両装置のうちの他方の装置にも送信することを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6の発明に係る印刷システムにおいて、前記印刷指示受付装置は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路である前記一方の経路を利用して、前記利用経路決定要求を前記一方の装置に送信し、前記一方の装置の前記決定手段は、前記前回の印刷ジョブの実行時点から前記許否情報に変更が無い場合、前記前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路であって、前記一方の装置に対応する前記一方の経路を、今回の印刷ジョブでの前記利用経路として決定することを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれかの発明に係る印刷システムにおいて、前記決定手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのうち少なくとも前記印刷出力装置に設けられており、前記印刷出力装置は、前記印刷指示受付装置との通信動作を実行する第1の通信手段、をさらに有し、前記第1の通信手段は、前記印刷出力装置の前記決定手段によって前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信し、前記印刷出力装置の前記決定手段によって前記サーバ経由経路が前記利用経路として決定される場合は、前記直行経路ではなく前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8のいずれかの発明に係る印刷システムにおいて、前記決定手段は、前記印刷出力装置と前記サーバ装置とのうち少なくとも前記サーバ装置に設けられており、前記サーバ装置は、前記印刷指示受付装置との通信動作を実行する第2の通信手段、をさらに有し、前記第2の通信手段は、前記サーバ装置の前記決定手段によって前記サーバ経由経路が前記利用経路として決定される場合は、前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信し、前記サーバ装置の前記決定手段によって前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記サーバ経由経路ではなく前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項9の発明に係る印刷システムにおいて、前記第2の通信手段は、前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記印刷出力装置のネットワークアドレスであって前記サーバ装置に格納されているネットワークアドレスをも前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする。
【0022】
請求項11の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、前記決定手段は、前記一のユーザからの前記印刷指示が受け付けられた場合において、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されているときには、前記直行経路を前記利用経路として決定することを特徴とする。
【0023】
請求項12の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、前記決定手段は、前記サーバ装置の通信負荷状況を取得するとともに、前記一のユーザからの前記印刷指示が受け付けられた場合において、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が所定程度よりも大きいときには、前記直行経路を前記利用経路として決定し、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が前記所定程度よりも小さいときには、前記直行経路ではなく前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定することを特徴とする。
【0024】
請求項13の発明は、印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける複数の印刷指示受付装置とを備える印刷システムであって、前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれにて受け付けられる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって、前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれについて予め定められた許否情報を格納する格納手段と、前記複数の印刷指示受付装置のうち或る印刷指示受付装置にて前記印刷指示が受け付けられた場合、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、前記印刷指示受付装置での前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路を、前記複数の印刷指示受付装置のうち前記印刷指示受付装置について定められた前記許否情報に基づいて決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記サーバ装置と前記印刷出力装置との双方に設けられており、前記印刷指示受付装置は、前記印刷指示を受け付けた場合、前記利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記直行経路と前記サーバ経由経路との両経路のうちの一方の経路を利用して、前記印刷出力装置と前記サーバ装置との両装置のうちの一方の装置に送信し、前記一方の装置の前記決定手段は、前記印刷指示受付装置からの前記利用経路決定要求の受信に応答して、前記利用経路を決定し、前記印刷指示受付装置は、前記両経路のうち前記一方の経路とは異なる他の経路を前記利用経路として決定する旨の決定結果を前記一方の装置から受信する場合、前記利用経路決定要求を前記両装置のうちの他方の装置にも送信し、前記印刷指示受付装置は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路である前記一方の経路を利用して、前記利用経路決定要求を前記一方の装置に送信し、前記一方の装置の前記決定手段は、前記前回の印刷ジョブの実行時点から前記許否情報に変更が無い場合、前記前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路であって、前記一方の装置に対応する前記一方の経路を、今回の印刷ジョブでの前記利用経路として決定することを特徴とする。
【0025】
請求項14の発明は、印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける複数の印刷指示受付装置とを備える印刷システムであって、前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれにて受け付けられる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって、前記複数の印刷指示受付装置のそれぞれについて予め定められた許否情報を格納する格納手段と、前記複数の印刷指示受付装置のうち或る印刷指示受付装置にて前記印刷指示が受け付けられた場合、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、前記印刷指示受付装置での前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路を、前記複数の印刷指示受付装置のうち前記印刷指示受付装置について定められた前記許否情報に基づいて決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記サーバ装置の通信負荷状況を取得するとともに、前記印刷指示受付装置にて前記印刷指示が受け付けられた場合において、前記印刷指示受付装置による前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、前記印刷指示受付装置による前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が所定程度よりも高いときには、前記直行経路を前記利用経路として決定し、前記印刷指示受付装置による前記直行経路の利用が許容されており且つ前記サーバ装置における通信負荷が前記所定程度よりも低いときには、前記直行経路ではなく前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定することを特徴とする。
【0026】
請求項15の発明は、印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける印刷指示受付装置とを備える印刷システムにおいて、印刷ジョブにて利用されるべき送信経路を決定する経路決定装置であって、前記印刷指示受付装置から印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、一のユーザからの前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記印刷指示受付装置から受信する通信手段と、前記利用経路決定要求が前記印刷指示受付装置から受信された場合、複数のユーザのそれぞれによる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって前記複数のユーザのそれぞれについて予め定められた許否情報のうち、前記一のユーザについて定められた許否情報に基づいて、前記利用経路を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項16の発明は、請求項15の発明に係る経路決定装置において、前記決定手段は、前記利用経路決定要求が前記印刷指示受付装置から受信された場合において、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されていないときには、前記サーバ経由経路を前記利用経路として決定し、前記一のユーザによる前記直行経路の利用が許容されているときには、前記直行経路を前記利用経路として決定することを特徴とする。
【0030】
請求項17の発明は、請求項15または請求項16の発明に係る経路決定装置において、前記通信手段は、前記決定手段によって前記直行経路が前記利用経路として決定される場合は、前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信し、前記決定手段によって前記サーバ経由経路が前記利用経路として決定される場合は、前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知を前記印刷指示受付装置に送信することを特徴とする。
【0031】
請求項18の発明は、請求項17の発明に係る経路決定装置において、前記経路決定装置は、前記印刷出力装置であり、前記通信手段は、前記直行経路を利用すべき旨の利用経路決定通知に応答して前記印刷指示受付装置から前記直行経路を用いて送信されてきた前記印刷ジョブを受信し、前記印刷出力装置は、受信された前記印刷ジョブを印刷出力する印刷出力手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0032】
請求項19の発明は、請求項17の発明に係る経路決定装置において、前記経路決定装置は、前記サーバ装置であり、前記通信手段は、前記サーバ経由経路を利用すべき旨の利用経路決定通知に応答して前記印刷指示受付装置から前記サーバ経由経路を用いて送信されてきた前記印刷ジョブを受信するとともに、受信した前記印刷ジョブを前記印刷出力装置に送信することを特徴とする。
【0033】
請求項20の発明は、印刷出力装置とサーバ装置とユーザからの印刷指示を受け付ける印刷指示受付装置とを備える印刷システムにおいて、印刷ジョブにて利用されるべき送信経路を決定する経路決定装置の制御方法であって、前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて直接的に情報が送信される送信経路である直行経路と前記印刷指示受付装置から前記印刷出力装置へ向けて前記サーバ装置を介して情報が送信される送信経路であるサーバ経由経路とのうち、一のユーザからの前記印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路である利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を、前記印刷指示受付装置から受信するステップと、前記利用経路決定要求が前記印刷指示受付装置から受信された場合、複数のユーザのそれぞれによる各印刷ジョブについて前記サーバ装置を介さずに前記印刷出力装置に対して直接的に送信される印刷指令に基づく前記印刷出力装置での印刷出力を許容するか否かを規定した許否情報であって前記複数のユーザのそれぞれについて予め定められた許否情報のうち、前記一のユーザについて定められた許否情報に基づいて、前記利用経路を決定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0035】
請求項21の発明は、請求項20の発明に係る制御方法を、前記経路決定装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
請求項1から請求項21に記載の発明によれば、直行経路とサーバ経由経路との2つの経路を比較的容易に使い分けることが可能である。
【0037】
特に、請求項2に記載の発明によれば、許否情報を格納する格納手段が、印刷出力装置とサーバ装置とのいずれか一方の装置に設けられている。そのため、管理者は、当該許否情報を複数の印刷指示受付装置のそれぞれに格納することを要さず、単一の装置において許否情報を管理することが可能である。したがって、管理者は、許否情報を容易に管理することが可能である。
【0038】
また特に、請求項3に記載の発明によれば、許否情報を格納する格納手段が印刷出力装置に設けられているとともに、利用経路を決定する決定手段が少なくとも印刷出力装置に設けられている。そのため、印刷出力装置は、許否情報を他の装置に問い合わせることなく、自装置内の許否情報に基づいて利用経路を決定することが可能である。したがって、印刷出力装置と他の装置との間の通信を抑制することが可能である。
【0039】
また特に、請求項7,13に記載の発明によれば、許否情報が前回の印刷ジョブの実行時点から変更されていない場合、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路であって一方の装置に対応する一方の経路が、今回の印刷ジョブでの利用経路として当該一方の装置にて決定される。そのため、利用経路決定要求を他方の装置へも送信することを要しない。したがって、当該他方の装置と印刷指示受付装置との間の通信を抑制することが可能である。
【0040】
また特に、請求項10に記載の発明によれば、直行経路が利用経路として決定される場合は、印刷出力装置のネットワークアドレスであってサーバ装置に格納されているネットワークアドレスもがサーバ装置から印刷指示受付装置に送信される。したがって、印刷指示受付装置において印刷出力装置のネットワークアドレスが予め格納されていなくとも、当該印刷指示受付装置は直行経路を利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】印刷システムを示す図である。
図2】MFPの機能ブロックを示す図である。
図3】プリントサーバの機能ブロックを示す図である。
図4】直行経路とサーバ経由経路との2つの経路を示す概念図である。
図5】プリントサーバにおける経路決定処理を示す概念図である。
図6】プリントサーバにおける経路決定処理後における動作を示す概念図である。
図7】プリントサーバにおける経路決定処理後における動作を示す概念図である。
図8】MFPにおける経路決定処理を示す概念図である。
図9】MFPにおける経路決定処理後における動作を示す概念図である。
図10】MFPにおける経路決定処理後における動作を示す概念図である。
図11】外部端末の動作を示すフローチャートである。
図12】プリントサーバの動作を示すフローチャートである。
図13】MFPの動作を示すフローチャートである。
図14】変形例に係るプリントサーバの動作を示すフローチャートである。
図15】変形例に係るMFPの動作を示すフローチャートである。
図16】ユーザ毎の許否情報の管理テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
<1-1.構成概要>
図1は、本発明に係る印刷システム1を示す図である。図1に示すように、印刷システム1は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))10とプリントサーバ90と複数の外部端末50(50a,50b,...)とを備える。
【0044】
本システム1における各要素10,50,90は、それぞれ、ネットワーク108を介して互いに通信可能に接続される。ネットワーク108は、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどによって構成される。また、当該ネットワーク108に対する接続態様は、有線接続であってもよく、あるいは無線接続であってもよい。
【0045】
外部端末50は、他の装置(プリントサーバ90、MFP10等)との間でのネットワーク通信が可能な情報入出力端末装置(情報端末)である。外部端末50は、ユーザからの印刷指示(印刷ジョブの実行指示等)を受け付ける「印刷指示受付装置」である、とも称される。なお、ここでは、外部端末50として、いわゆるパーソナルコンピュータを例示する。ただし、これに限定されず、外部端末50は、タブレット型端末などであってもよい。また、ここでは、印刷システム1における複数のユーザは、それぞれ、1台の外部端末50(自身専用の外部端末50)を有するものとする。たとえば、ユーザU1は、外部端末50aを有し、ユーザU2は、外部端末50bを有するものとする。
【0046】
この印刷システム1には、外部端末50からMFP10へ向けて情報(印刷ジョブ等)が送信される際に利用される送信経路(情報伝送経路とも称される)として、「直行経路R1」と「サーバ経由経路R2」との2つの経路が存在する(図4参照)。当該送信経路は、印刷ジョブ(印刷指令)の送信に用いられる経路でもあることから、印刷指令経路あるいはジョブ送信経路などとも称される。
【0047】
直行経路R1は、外部端末50からMFP10への直接的な送信経路(プリントサーバ90を介さない送信経路)である。当該直行経路R1は、「直接的経路」などとも称される。たとえば、印刷ジョブにて直行経路R1が利用される場合、当該印刷ジョブは、外部端末50から直接的に(プリントサーバ90を介さずに)MFP10へと送信される。
【0048】
これに対して、サーバ経由経路R2は、外部端末50からMFP10へのプリントサーバ90を介した送信経路である。当該サーバ経由経路R2は、「間接的経路」などとも称される。たとえば、印刷ジョブにてサーバ経由経路R2が利用される場合、当該印刷ジョブは、外部端末50からプリントサーバ90を介して(間接的に)MFP10に送信される。具体的には、外部端末50は、印刷ジョブをプリントサーバ90に送信し、プリントサーバ90は、外部端末50から受信した当該印刷ジョブをMFP10に送信(転送)する。なお、プリントサーバ90には、MFP10のネットワークアドレスが予め登録されており、プリントサーバ90は、当該ネットワークアドレスに基づいて印刷ジョブ(外部端末50からの印刷ジョブ)をMFP10に送信する。
【0049】
また、この印刷システム1では、各外部端末50(複数のユーザのそれぞれの外部端末50)において、当該2つの送信経路を利用することが可能なアプリケーションソフトウエア(詳細にはプリンタドライバ)がインストールされている。当該プリンタドライバは、直行経路R1とサーバ経由経路R2との2つの経路のうちプリントサーバ90あるいは(および)MFP10にて決定された送信経路を用いて、印刷ジョブをMFP10に送信する。
【0050】
或るユーザからの印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路は、後述するように、複数のユーザのうち当該或るユーザ(当該印刷ジョブの実行指示ユーザ)について定められた許否情報(次述)(図16)に基づいて決定される。
【0051】
許否情報(直行許否情報とも称する)は、複数のユーザ(U1,U2,...)のそれぞれによる各印刷ジョブについてプリントサーバ90を介さずに(複数の外部端末50のいずれかから)MFP10に対して直接的に送信される印刷指令に基づくMFP10での印刷出力を許容するか否か、を規定した情報である。換言すれば、直行許否情報は、各ユーザによる直行経路R1の利用許否を規定した情報である。当該直行許否情報は、印刷システム1における複数のユーザのそれぞれについて、印刷システム1の管理者によって予め定められている。また、当該直行許否情報は、MFP10内の管理テーブル200に登録される。図16は、ユーザ毎に定められた直行許否情報の管理テーブル200を示す図である。
【0052】
具体的には、管理者は、複数のユーザ(U1,U2,...)のそれぞれについて、直行経路R1の利用を許容するか否か、を当該管理テーブル200に予め登録する。換言すれば、管理者は、複数のユーザのそれぞれについて、直行経路R1の利用を制限するか否か、を予め登録する。そして、各ユーザについて定められた直行許否情報(ユーザ毎に異なる直行許否情報)が、当該各ユーザのユーザ識別情報(たとえばユーザID)と関連付けられてMFP10(詳細には管理テーブル200)に格納される。たとえば、ユーザU1については、直行経路R1の利用を許容しない(禁止する)旨(「禁止」)が、当該ユーザU1のユーザ識別情報(「userU1」)と関連付けられて管理テーブル200に登録されている。また、ユーザU2については、直行経路R1の利用を許容する旨(「許容」)が、当該ユーザU2のユーザ識別情報(「userU2」)と関連付けられて管理テーブル200に登録されている。同様に、他のユーザについても、直行経路R1の利用許否が、各ユーザのユーザ識別情報と関連付けられて管理テーブル200に登録されている。
【0053】
<1-2.MFP10の構成>
図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。
【0054】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ(制御部)9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、印刷出力装置あるいは画像形成装置とも称される。また、MFP10は、印刷システム1において、印刷ジョブにて利用されるべき送信経路を決定する「経路決定装置」である、とも称される。
【0055】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像データあるいはスキャンデータとも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
【0056】
印刷出力部3は、印刷対象データに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0057】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワーク108を介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先(プリントサーバ90等)との間で各種のデータを授受することが可能である。通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
【0058】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)および半導体メモリ等の記憶装置で構成される。たとえば、当該格納部5には、ユーザ毎の直行許否情報の管理テーブル200(図16)が格納されている。
【0059】
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
【0060】
このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられている。また、操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。タッチパネル25は、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。
【0061】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPU(Central Processing Unit)(マイクロプロセッサあるいはコンピュータプロセッサなどとも称される)および各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM(登録商標))内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP10にインストールされるようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク108等を経由してダウンロードされてMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0062】
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13とジョブ制御部14と決定部15とを含む各種の処理部を実現する。
【0063】
通信制御部11は、他の装置(プリントサーバ90、外部端末50等)との間の通信動作を通信部4等と協働して制御する処理部である。たとえば、通信制御部11は、ユーザからの印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路(利用経路)の決定を要求する利用経路決定要求を外部端末50から受信する。また、通信制御部11は、決定部15によって直行経路R1が利用経路として決定される場合は、直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50に送信する。さらに、通信制御部11は、決定部15によってサーバ経由経路R2が利用経路として決定される場合は、直行経路R1ではなくサーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50に送信する。
【0064】
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル25等)に対するユーザからの操作入力の受付動作等を制御する制御部である。
【0065】
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25等)における表示動作を制御する処理部である。表示制御部13は、MFP10を操作するための操作画面等をタッチパネル25に表示する。
【0066】
ジョブ制御部14は、MFP10における各種ジョブ(印刷ジョブ等)の実行動作を制御する処理部である。
【0067】
決定部15は、直行経路R1とサーバ経由経路R2とのうち、ユーザ(或る外部端末50の所持ユーザ)からの印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路(利用経路)を決定する処理(経路決定処理P10(図5))等を実行する処理部である。具体的には、決定部15は、複数のユーザのうち当該所持ユーザ(印刷ジョブの実行指示ユーザ)について定められた直行許否情報(MFP10内の管理テーブル200内の直行許否情報)に基づいて、当該利用経路を決定する。
【0068】
なお、ここでは、主にコントローラ9のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行される態様が例示されているが、これに限定されず、MFP10(詳細には、コントローラ9の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部11、入力制御部12、表示制御部13、ジョブ制御部14および決定部15(図2)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0069】
<1-3.プリントサーバ90の構成>
次に、プリントサーバ90の構成について説明する。
【0070】
プリントサーバ90は、MFP10とも外部端末50とも異なるサーバ装置(外部サーバ装置)である。当該プリントサーバ90は、外部端末50からMFP10へのデータ送信(詳細には、印刷ジョブの送信)を中継(媒介)する中継装置である、とも称される。また、プリントサーバ90は、印刷システム1において、印刷ジョブにて利用されるべき送信経路を決定する「経路決定装置」である、とも称される。
【0071】
図3は、プリントサーバ90の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0072】
プリントサーバ90は、図3の機能ブロック図に示すように、通信部94、格納部95およびコントローラ99(制御部)等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
【0073】
通信部94は、ネットワーク108を介したネットワーク通信を行うことが可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、プリントサーバ90は、所望の相手先(外部端末50、MFP10等)との間で各種のデータを授受することが可能である。通信部94は、各種データを送信する送信部94aと各種データを受信する受信部94bとを有する。
【0074】
格納部95は、各種の記憶装置((揮発性および/または不揮発性の)半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブ(HDD)等)で構成される。
【0075】
コントローラ99は、プリントサーバ90に内蔵され、プリントサーバ90を統括的に制御する制御装置である。コントローラ99は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ99は、CPUにおいて、格納部95内に格納されている所定のプログラムを実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてプリントサーバ90にインストールされてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク108等を経由してダウンロードされてプリントサーバ90にインストールされるようにしてもよい。
【0076】
具体的には、図3に示すように、コントローラ99は、当該プログラム等の実行により、通信制御部81と決定部82とを含む各種の処理部を実現する。
【0077】
通信制御部81は、通信部94と協働して、他の装置(MFP10、外部端末50等)との間の通信動作を制御する処理部である。たとえば、通信制御部81は、利用経路の決定を要求する利用経路決定要求を外部端末50から受信する。また、通信制御部81は、複数のユーザのうち印刷ジョブの実行指示ユーザについて定められた直行許否情報をMFP10に問い合わせて取得する。さらに、通信制御部81は、決定部82によってサーバ経由経路R2が利用経路として決定される場合は、サーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50に送信する。また、通信制御部81は、決定部82によって直行経路R1が利用経路として決定される場合は、サーバ経由経路R2ではなく直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50に送信する。
【0078】
決定部82は、直行経路R1とサーバ経由経路R2とのうち、ユーザ(或る外部端末50の所持ユーザ)からの印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路(利用経路)を決定する処理(経路決定処理P40(図8))等を実行する処理部である。具体的には、決定部82は、複数のユーザのうち当該所持ユーザ(印刷ジョブの実行指示ユーザ)について定められた直行許否情報(MFP10内の管理テーブル200内の直行許否情報)に基づいて、当該利用経路を決定する。
【0079】
なお、ここでは、主にコントローラ99のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行される態様が例示されているが、これに限定されず、プリントサーバ90(詳細には、コントローラ99の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部81および決定部82(図3)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0080】
<1-4.動作>
複数の外部端末50のうちの或る外部端末50は、自装置50の所持ユーザからの印刷指示を受け付けた場合、利用経路(当該印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路)の決定を要求する利用経路決定要求を、まず、MFP10とプリントサーバ90とのいずれか一方の装置に送信する。そして、当該或る外部端末50から利用経路決定要求を受信した装置(プリントサーバ90あるいはMFP10)は、当該利用経路を決定する。なお、当該一方の装置における決定結果によっては、後述するように、当該利用経路決定要求が他方の装置にも送信されることもある。その後、当該或る外部端末50は、決定された利用経路を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する。
【0081】
以下では、まず、プリントサーバ90における利用経路の決定処理(経路決定処理P10(図5))とMFP10における利用経路の決定処理(経路決定処理P40(図8))とについてそれぞれ説明する。その後、種々の状況における動作について説明する。
【0082】
<プリントサーバ90における経路決定処理等>
まず、プリントサーバ90における利用経路の決定処理(経路決定処理P10(図5))等について説明する。
【0083】
図11は、外部端末50の動作を示すフローチャートであり、図12は、プリントサーバ90の動作(詳細には、利用経路決定要求の受信時の動作)を示すフローチャートである。また、図5は、プリントサーバ90における経路決定処理P10を示す概念図であり、図6および図7は、当該経路決定処理P10後における動作(経路決定後処理P20,P30)を示す概念図である。
【0084】
具体的には、図11のフローチャートに先立って、ユーザは、自身の外部端末50において、印刷対象ファイルを或るアプリケーションにて開いた状態でプリンタドライバを起動させる。そして、ユーザは、当該プリンタドライバの操作画面(不図示)を用いて当該印刷対象ファイルの出力先装置(MFP10)を指定するとともに、印刷ジョブに関する各種設定を行う。その後、ユーザは、当該操作画面内の印刷開始ボタン等を押下することによって、当該印刷ジョブの実行指示を付与する。
【0085】
このようにして外部端末50にてユーザからの印刷指示が付与されると、図11のフローチャートが開始される。
【0086】
詳細には、ステップS11~S14では、後述するように、外部端末50は、利用経路決定要求を、直行経路R1とサーバ経由経路R2との両経路のうちの一方の経路を利用して、プリントサーバ90とMFP10との両装置のうちの一方の装置に送信する(ステップS13あるいはステップS14)。利用経路決定要求は、当該印刷指示に対応する印刷ジョブでの利用経路の決定要求である。当該利用経路決定要求には、当該印刷ジョブの実行指示ユーザ(当該外部端末50の所持ユーザ)のユーザ識別情報(ユーザID等)と当該印刷ジョブのジョブ識別情報(ジョブID等)とが含まれる。
【0087】
そして、当該利用経路決定要求を受信した装置(プリントサーバ90あるいはMFP10)において、利用経路の決定処理(経路決定処理)等(図12あるいは図13)が実行される。
【0088】
以下では、利用経路決定要求がサーバ経由経路R2を用いてプリントサーバ90に送信された場合(ステップS14および図5参照)と利用経路決定要求が直行経路R1を用いてMFP10に送信された場合(ステップS13および図8参照)とのうちの前者の場合におけるプリントサーバ90の動作について、図12を主に参照しつつ説明する。
【0089】
プリントサーバ90は、外部端末50からの利用経路決定要求の受信(ステップS21(図12))に応答して、処理をステップS21からステップS22へと進める。
【0090】
ステップS22~S25においては、利用経路(直行経路R1とサーバ経由経路R2とのうち当該外部端末50の所持ユーザからの印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路)を決定する経路決定処理P10(図5参照)がプリントサーバ90にて実行される。そして、利用経路が決定されると、当該経路決定処理P10後の動作(経路決定後処理P20(図6)あるいはP30(図7))がプリントサーバ90にて実行される(ステップS26あるいはS27)。
【0091】
具体的には、まず、ステップS22においては、プリントサーバ90は、複数のユーザのうち利用経路決定要求の要求元の外部端末50の所持ユーザ(印刷ジョブの実行指示ユーザ)について定められた直行許否情報を、MFP10に問い合わせて取得する(図5参照)。
【0092】
より具体的には、プリントサーバ90は、当該実行指示ユーザの直行許否情報の送信要求と当該実行指示ユーザのユーザ識別情報とをMFP10に送信する。そして、MFP10は、当該ユーザ識別情報に基づいて、ユーザ毎に定められた直行許否情報の管理テーブル200(図16)の中から当該実行指示ユーザの直行許否情報を特定する。その後、MFP10は、特定された直行許否情報(実行指示ユーザについて定められた直行許否情報)をプリントサーバ90に送信し、プリントサーバ90は、当該実行指示ユーザの直行許否情報をMFP10から取得する。
【0093】
そして、処理はステップS22からステップS23へと進む。
【0094】
ステップS23においては、プリントサーバ90は、複数のユーザのうち印刷ジョブの実行指示ユーザについて定められた直行許否情報に基づいて、当該実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されているか否か、を判定する。
【0095】
たとえば、印刷ジョブの実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されていない(禁止されている)場合、処理はステップS23からステップS24へと進み、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2を利用経路として決定する。そして、処理はステップS24からステップS26へと進む。
【0096】
ステップS26においては、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50(利用経路決定要求の要求元の外部端末50)に送信する。具体的には、プリントサーバ90は、直行経路R1とサーバ経由経路R2とのうちサーバ経由経路R2の利用を当該利用経路決定要求に係る印刷ジョブにて許可(許容)する旨の経路利用許可通知を、サーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知として当該外部端末50に送信する(図6参照)。換言すれば、プリントサーバ90は、当該利用経路決定要求に係る印刷ジョブのプリントサーバ90への送信を要求するジョブ送信要求を、外部端末50に送信する。また、プリントサーバ90は、当該利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報を、当該ジョブ識別情報を有する印刷ジョブの受信を許可すべき旨の受信許可情報として自装置90に格納する。
【0097】
外部端末50は、経路利用許可通知(換言すれば、ジョブ送信要求)を受信する(ステップS15(図11))と、決定された利用経路を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)。
【0098】
ここでは、外部端末50は、プリントサーバ90からの経路利用許可通知(サーバ経由経路R2の利用を許可する旨の通知)に応答して、サーバ経由経路R2を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図6参照)。
【0099】
具体的には、外部端末50は、実行指示ユーザからの印刷ジョブをプリントサーバ90に送信する。プリントサーバ90は、当該外部端末50からの印刷ジョブのジョブ識別情報と利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報とが合致し且つ当該利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報が受信許可情報としてプリントサーバ90に格納されていることを条件に、当該印刷ジョブの受信を許可する。そして、プリントサーバ90は、当該印刷ジョブを受信するとともにMFP10に送信(転送)する。MFP10は、プリントサーバ90から送信されてきた印刷ジョブ(すなわち、サーバ経由経路R2を用いて(プリントサーバ90を介して)外部端末50から送信されてきた印刷ジョブ)を実行する。なお、プリントサーバ90における印刷ジョブの受信処理および当該印刷ジョブのMFP10への転送処理等は、図12のフローチャートで示されるサブルーチンとは別のサブルーチン(不図示)にて実行される。
【0100】
そして、外部端末50は、今回の印刷ジョブにて利用した送信経路(ここではサーバ経由経路R2)を記憶する(ステップS17)。
【0101】
再び図12のステップS23の説明に戻る。
【0102】
印刷ジョブの実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されている場合、処理はステップS23からステップS25へと進み、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2ではなく直行経路R1を利用経路として決定する(ステップS25)。そして、処理はステップS25からステップS27へと進む。
【0103】
ステップS27においては、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2ではなく直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50に送信する。換言すれば、プリントサーバ90は、直行経路R1とサーバ経由経路R2との両経路のうちサーバ経由経路R2とは異なる他方の経路(ここでは直行経路R1)を利用経路として決定する旨の決定結果を外部端末50に送信する。具体的には、プリントサーバ90は、当該両経路のうちサーバ経由経路R2の利用を許可(許容)しない旨の経路利用不許可通知を、直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知として外部端末50に送信する(図7参照)。また、プリントサーバ90は、当該経路利用許可通知とともに、MFP10のネットワークアドレス(プリントサーバ90内に格納されているネットワークアドレス)をも外部端末50に送信する。
【0104】
外部端末50は、経路利用不許可通知を受信する(ステップS18(図11))と、利用経路決定要求を当該両装置のうちの他方の装置(ステップS13あるいはステップS14にて利用経路決定要求を送信した装置とは異なる装置)にも送信する(ステップS19)。
【0105】
ここでは、外部端末50は、プリントサーバ90からの経路利用不許可通知(両経路のうちサーバ経由経路R2の利用を許可しない旨の通知)に基づいて、利用経路決定要求をMFP10(他方の装置)にも送信する(ステップS19)。具体的には、外部端末50は、プリントサーバ90から取得されたネットワークアドレス(MFP10のネットワークアドレス)に基づいて、当該利用経路決定要求をMFP10に送信する。
【0106】
そして、後述するように、今度は、MFP10において、利用経路の決定処理(経路決定処理P40(図8))および当該経路決定処理P40後の処理P60(図10)が実行される。その結果、MFP10において直行経路R1が利用経路として決定され、印刷ジョブが当該直行経路R1を用いて外部端末50からMFP10に送信される。
【0107】
このように、利用経路決定要求が外部端末50からプリントサーバ90に送信された場合には、プリントサーバ90において経路決定処理P10(図5)が実行されるとともに、当該経路決定処理P10での決定結果に応じた処理(処理P20(図6)あるいは処理P30(図7))が実行される。
【0108】
<MFP10における経路決定処理P40>
つぎに、MFP10における利用経路の決定処理(経路決定処理P40)等について説明する。
【0109】
図13は、MFP10の動作(詳細には、利用経路決定要求の受信時の動作)を示すフローチャートである。また、図8は、MFP10における経路決定処理P40を示す概念図であり、図9および図10は、当該経路決定処理P40後における動作(経路決定後処理P50,P60)を示す概念図である。
【0110】
具体的には、MFP10は、外部端末50からの利用経路決定要求の受信(ステップS31)に応答して、処理をステップS31からステップS33へと進める。
【0111】
ステップS33~S35においては、MFP10は、利用経路(直行経路R1とサーバ経由経路R2とのうち実行指示ユーザからの印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路)を決定する経路決定処理P40(図8参照)を実行する。そして、利用経路が決定されると、当該経路決定処理P40後の動作(経路決定後処理P50(図9)あるいはP60(図10))がMFP10にて実行される(ステップS36あるいはS37)。
【0112】
具体的には、MFP10は、複数のユーザのうち利用経路決定要求の要求元の外部端末50の所持ユーザ(印刷ジョブの実行指示ユーザ)について定められた直行許否情報に基づいて、当該実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されているか否か、を判定する(ステップS33)。より具体的には、MFP10は、実行指示ユーザのユーザ識別情報(利用経路決定要求に含まれるユーザ識別情報)に基づいて、ユーザ毎に予め定められた直行許否情報の管理テーブル200(図16)の中から当該実行指示ユーザの直行許否情報を特定する。そして、MFP10は、特定された直行許否情報(実行指示ユーザについて定められた直行許否情報)に基づいて、当該実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されているか否か、を判定する。
【0113】
たとえば、印刷ジョブの実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されている場合、処理はステップS33からステップS35へと進み、MFP10は、直行経路R1を利用経路として決定する(ステップS35)。そして、処理はステップS35からステップS37へと進む。
【0114】
ステップS37においては、MFP10は、直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50(利用経路決定要求の要求元の外部端末50)に送信する。具体的には、MFP10は、直行経路R1とサーバ経由経路R2とのうち直行経路R1の利用を当該利用経路決定要求に係る印刷ジョブにて許可(許容)する旨の経路利用許可通知を、直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知として当該外部端末50に送信する(図10参照)。換言すれば、MFP10は、当該利用経路決定要求に係る印刷ジョブのMFP10への送信(直接的な送信)を要求するジョブ送信要求を、外部端末50に送信する。また、MFP10は、当該利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報を、当該ジョブ識別情報を有する印刷ジョブの受信を許可すべき旨の受信許可情報として自装置10に格納する。
【0115】
外部端末50は、経路利用許可通知(換言すれば、ジョブ送信要求)を受信する(ステップS15(図11))と、上述したように、決定された利用経路を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)。
【0116】
ただし、ここでは、外部端末50は、MFP10からの経路利用許可通知(直行経路R1の利用を許可する旨の通知)に応答して、直行経路R1を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図10参照)。具体的には、外部端末50は、当該印刷ジョブを直接的に(プリントサーバ90を介さずに)MFP10に送信する。そして、外部端末50は、今回の印刷ジョブにて利用した送信経路(ここでは直行経路R1)を記憶する(ステップS17)。
【0117】
MFP10は、直行経路R1を用いて外部端末50から送信されてきた印刷ジョブのジョブ識別情報と利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報とが合致し且つ当該利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報が受信許可情報としてMFP10に格納されていることを条件に、当該印刷ジョブの受信を許可する。そして、MFP10は、当該印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブを実行する。なお、MFP10における印刷ジョブの受信処理および当該印刷ジョブの実行処理等は、図13のフローチャートで示されるサブルーチンとは別のサブルーチン(不図示)にて実行される。
【0118】
再び図13のステップS33の説明に戻る。
【0119】
印刷ジョブの実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されていない(禁止されている)場合、処理はステップS33からステップS34へと進み、MFP10は、直行経路R1ではなくサーバ経由経路R2を利用経路として決定する(ステップS34)。そして、処理はステップS34からステップS36へと進む。
【0120】
ステップS36においては、MFP10は、直行経路R1ではなくサーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知を外部端末50に送信する。換言すれば、MFP10は、直行経路R1とサーバ経由経路R2との両経路のうち直行経路R1とは異なる他方の経路(ここではサーバ経由経路R2)を利用経路として決定する旨の決定結果を外部端末50に送信する。具体的には、MFP10は、当該両経路のうち直行経路R1の利用を許可(許容)しない旨の経路利用不許可通知を、サーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知として外部端末50に送信する(図9参照)。
【0121】
外部端末50は、経路利用不許可通知を受信する(ステップS18(図11))と、上述したように、利用経路決定要求(第2の利用経路決定要求)を当該両装置のうちの他方の装置(ステップS13あるいはステップS14にて利用経路決定要求を送信した装置とは異なる装置))にも送信する(ステップS19)。ここでは、外部端末50は、MFP10からの経路利用不許可通知(両経路のうち直行経路R1の利用を許可しない旨の通知)に基づいて、利用経路決定要求をプリントサーバ90にも送信する。
【0122】
そして、プリントサーバ90は、当該利用経路決定要求に応答して、上述したような利用経路の決定処理(経路決定処理P10(図5))を実行する。その結果、プリントサーバ90においてサーバ経由経路R2が利用経路として決定され、印刷ジョブが当該サーバ経由経路R2を用いて外部端末50からMFP10に送信される。
【0123】
このように、利用経路決定要求が外部端末50からMFP10に送信された場合には、MFP10において経路決定処理P40(図8)が実行されるとともに、当該経路決定処理P40での決定結果に応じた処理(処理P50(図9)あるいは処理P60(図10))が実行される。
【0124】
以上のように、この印刷システム1では、複数のユーザのうちの或るユーザからの印刷指示が受け付けられた場合、当該印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路が、当該複数のユーザのうち当該或るユーザについて定められた直行許否情報に基づいて自動的に決定される。そのため、管理者は、経路毎に別個のプリンタドライバ(各経路専用のプリンタドライバ)を準備することを要さず、各ユーザに利用させる送信経路のプリンタドライバのインストールを当該各ユーザに指示することをも要しない。その結果、管理者の手間が軽減される。したがって、直行経路R1とサーバ経由経路R2との2つの経路を比較的容易に使い分けることが可能である。
【0125】
また、この印刷システム1では、プリントサーバ90において、サーバ経由経路R2ではなく直行経路R1が利用経路として決定された場合、MFP10のネットワークアドレス(プリントサーバ90に格納されているネットワークアドレス)がプリントサーバ90から外部端末50に送信される。したがって、外部端末50においてMFP10のネットワークアドレスが予め格納(設定)されていなくとも、当該外部端末50は、MFP10のネットワークアドレスを知得することによって、MFP10への直接的なアクセスを伴う直行経路R1を利用することが可能である。
【0126】
さて、以下では、上述のようにして印刷ジョブにおける利用経路がプリントサーバ90および/またはMFP10にて決定されることを前提に、種々の状況における動作について説明する。
【0127】
<プリンタドライバのインストール後における初回印刷時の動作>
たとえば、外部端末50にプリンタドライバがインストールされた後において、最初の印刷指示が受け付けられた場合には、次のような動作が実行される。
【0128】
具体的には、図11のステップS11においては、外部端末50は、プリンタドライバのインストール後における印刷実績(印刷経験)の有無を判定する。
【0129】
たとえば、プリンタドライバのインストール後において最初の印刷指示が受け付けられた場合、当該印刷実績が無い旨がステップS11にて判定される。そして、処理はステップS11からステップS14へと進み、外部端末50は、サーバ経由経路R2を用いて利用経路決定要求をプリントサーバ90に送信する(図5も参照)。なお、これに限定されず、印刷実績が無い場合、直行経路R1を用いて利用経路決定要求がMFP10に送信されてもよい。
【0130】
プリントサーバ90は、上述の経路決定処理P10(ステップS22~S25)を実行する(図5参照)とともに、利用経路の決定結果に応じた動作(図6あるいは図7)を実行する。
【0131】
たとえば、外部端末50aにてユーザU1からの印刷指示(最初の印刷指示)が受け付けられた場合、プリントサーバ90は、複数のユーザのうち当該ユーザU1の直行許否情報(「禁止」)(図16参照)に基づいて、実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されていない旨をステップS23にて判定する。そして、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2を利用経路として決定し(ステップS24)、サーバ経由経路R2の利用を許可する旨の経路利用許可通知を外部端末50aに送信する(ステップS26)(図6参照)。その後、外部端末50aは、プリントサーバ90からの経路利用許可通知に応答して、サーバ経由経路R2を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図6参照)。
【0132】
一方、たとえば外部端末50bにてユーザU2からの印刷指示(最初の印刷指示)が受け付けられた場合、プリントサーバ90は、複数のユーザのうち当該ユーザU2の直行許否情報(「許容」)(図16参照)に基づいて、実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されている旨をステップS23にて判定する。そして、プリントサーバ90は、直行経路R1を利用経路として決定し(ステップS25)、サーバ経由経路R2の利用を許可しない旨の経路利用不許可通知を外部端末50bに送信する(ステップS27)(図7参照)。その後、外部端末50bは、プリントサーバ90からの経路利用不許可通知に応答して、他方の装置(ここではMFP10)にも利用経路決定要求(第2の利用経路決定要求)を送信する(ステップS19)。
【0133】
そして、MFP10は、経路決定処理P40を実行する(図8参照)。
【0134】
具体的には、MFP10は、実行指示ユーザU2の直行許否情報(「許容」)に基づいて、当該実行指示ユーザU2による直行経路R1の利用が許容されている旨をステップS33(図13)にて判定する。そして、MFP10は、直行経路R1を利用経路として決定し(ステップS35)、直行経路R1の利用を許可する旨の経路利用許可通知を外部端末50bに送信する(ステップS37)(図10参照)。その後、外部端末50bは、MFP10からの経路利用許可通知に応答して、直行経路R1を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図10参照)。
【0135】
<次回以降の印刷時の動作>
その後、外部端末50においてユーザからの2回目以降の印刷指示が受け付けられた場合には、次のような動作が実行される。なお、ここでは、直行許否情報(詳細には、印刷ジョブの実行指示ユーザの直行許否情報)は変更されていないものとする。
【0136】
具体的には、プリンタドライバのインストール後において2回目以降の印刷指示が受け付けられた場合、外部端末50は、印刷実績が有る旨をステップS11(図11)にて判定する。そして、処理はステップS11からステップS12へと進む。
【0137】
ステップS12~S14においては、外部端末50は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路(直行経路R1とサーバ経由経路R2との両経路のうちの一方の経路)を用いて利用経路決定要求を送信する。
【0138】
具体的には、ステップS12においては、外部端末50は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路は直行経路R1であるか否か、を判定する。
【0139】
たとえば、外部端末50aにおいてユーザU1からの2回目の印刷ジョブが受け付けられた場合には、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路は直行経路R1でない(サーバ経由経路R2である)旨がステップS12にて判定される。
【0140】
詳細には、上述したように、外部端末50aにてユーザU1からの最初の印刷指示が受け付けられた場合、当該最初の印刷指示に対応する印刷ジョブにおいては、サーバ経由経路R2が利用されている。その後、当該外部端末50aにてユーザU1からの2回目の印刷ジョブが受け付けられた場合には、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路は直行経路R1でない(サーバ経由経路R2である)旨がステップS12にて判定される。
【0141】
そして、処理はステップS12からステップS14へと進み、外部端末50aは、サーバ経由経路R2を用いて利用経路決定要求をプリントサーバ90に送信する(図5参照)。
【0142】
その後、プリントサーバ90は、上述と同様にして、経路決定処理P10(図5)を実行する。
【0143】
具体的には、プリントサーバ90は、印刷ジョブの実行指示ユーザU1の直行許否情報(「禁止」)に基づいて、サーバ経由経路R2を利用経路として決定する(ステップS24)。より具体的には、前回の印刷ジョブの実行時点から印刷ジョブの実行指示ユーザU1の直行許否情報(「禁止」)に変更が無い場合、プリントサーバ90は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路(プリントサーバ90に対応する送信経路)を、今回の印刷ジョブでの利用経路として決定する。そして、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2の利用を許可する旨の経路利用許可通知を外部端末50aに送信する(ステップS26)。
【0144】
外部端末50aは、プリントサーバ90からの経路利用許可通知に応答して、サーバ経由経路R2(前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路)を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図6参照)。
【0145】
なお、外部端末50aにおいてユーザU1からの3回目以降の印刷ジョブが受け付けられた場合も、同様に、サーバ経由経路R2を用いて利用経路決定要求がプリントサーバ90に送信されるとともに、サーバ経由経路R2が利用経路として決定される。
【0146】
このように、或る外部端末50(ここでは外部端末50a)における前回の印刷ジョブにてサーバ経由経路R2が利用された場合は、今回の印刷ジョブにおいて、直行経路R1が利用されることがなく、サーバ経由経路R2が引き続き利用される。
【0147】
これによれば、直行許否情報(実行指示ユーザの直行許否情報)が前回の印刷ジョブの実行時点から変更されていない場合、プリントサーバ90において、前回の印刷ジョブでの利用経路と同じ経路であり且つ当該プリントサーバ90に対応する経路であるサーバ経由経路R2が、今回の印刷ジョブでの利用経路として決定される。そのため、外部端末50は、利用経路決定要求(第2の利用経路決定要求)を他方の装置(ここではMFP10)へも送信すること(ステップS19(図11))を要しない。したがって、当該他方の装置(MFP10)と外部端末50との間の通信を抑制することが可能である。
【0148】
また、たとえば外部端末50bにおいてユーザU2からの2回目の印刷ジョブが受け付けられた場合には、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路は直行経路R1である旨がステップS12(図11)にて判定される。
【0149】
詳細には、上述したように、外部端末50bにてユーザU2からの最初の印刷指示が受け付けられた場合、当該最初の印刷指示に対応する印刷ジョブにおいては、直行経路R1が利用されている。その後、当該外部端末50bにてユーザU2からの2回目の印刷ジョブが受け付けられた場合には、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路は直行経路R1である旨がステップS12にて判定される。
【0150】
そして、処理はステップS12からステップS13へと進み、外部端末50bは、当該直行経路R1を用いて利用経路決定要求をMFP10に送信する(図8も参照)。
【0151】
その後、MFP10は、上述と同様にして、経路決定処理P40(図8)を実行する。
【0152】
具体的には、MFP10は、印刷ジョブの実行指示ユーザU2の直行許否情報(「許容」)に基づいて、直行経路R1を利用経路として決定する(ステップS35)。より具体的には、前回の印刷ジョブの実行時点から印刷ジョブの実行指示ユーザU2の直行許否情報(「許容」)に変更が無い場合、MFP10は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路(MFP10に対応する送信経路)を、今回の印刷ジョブでの利用経路として決定する。そして、MFP10は、直行経路R1の利用を許可する旨の経路利用許可通知を外部端末50bに送信する(ステップS37)。
【0153】
外部端末50bは、MFP10からの経路利用許可通知に応答して、直行経路R1(前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路)を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図10参照)。
【0154】
なお、外部端末50bにおいてユーザU2からの3回目以降の印刷ジョブが受け付けられた場合も、同様に、直行経路R1を用いて利用経路決定要求がMFP10に送信されるとともに、直行経路R1が利用経路として決定される。
【0155】
このように、或る外部端末50(ここでは外部端末50b)における前回の印刷ジョブにて直行経路R1が利用された場合は、今回の印刷ジョブにおいて、サーバ経由経路R2が利用されることがなく、直行経路R1が引き続き利用される。
【0156】
これによれば、直行許否情報(実行指示ユーザの直行許否情報)が前回の印刷ジョブの実行時点から変更されていない場合、MFP10において、前回の印刷ジョブでの利用経路と同じ経路であり且つ当該MFP10に対応する経路である直行経路R1が、今回の印刷ジョブでの利用経路として決定される。そのため、外部端末50は、利用経路決定要求(第2の利用経路決定要求)を他方の装置(ここではプリントサーバ90)へも送信すること(ステップS19(図11))を要しない。したがって、当該他方の装置(プリントサーバ90)と外部端末50との間の通信を抑制することが可能である。
【0157】
<直行許否情報の設定が変更された場合の動作>
さて、種々の事情(たとえば、或るユーザの所属部署のルール変更)により、管理者が、或るユーザによる印刷ジョブにて利用される送信経路を変更したいと考えることがある。或るユーザによる前回の印刷指示(前回の印刷ジョブの実行時点)から今回の印刷指示(印刷指示の付与時点)までの間に、当該或るユーザによる直行経路R1の利用許否の設定が変更された場合は、次のような動作が行われる。
【0158】
たとえば、ユーザU1の直行許否情報が「禁止」(図16参照)から「許容」に変更された場合には、次のような動作が行われる。
【0159】
具体的には、ユーザU1の外部端末50aにおいて新たな印刷指示が受け付けられた場合、当該外部端末50aは、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路を用いて利用経路決定要求を送信する。ここでは、前回の印刷ジョブでは実行指示ユーザU1の直行許否情報(「禁止」)に基づいてサーバ経由経路R2が利用されており、外部端末50aは、当該サーバ経由経路R2を用いて利用経路決定要求をプリントサーバ90に送信する(ステップS14)(図5参照)。
【0160】
そして、プリントサーバ90は、経路決定処理P10(ステップS22~S25)を実行する(図5参照)。
【0161】
ただし、ここでは、ユーザU1による前回の印刷ジョブの実行時点から今回の印刷指示の付与時点までの間に、当該ユーザU1の直行許否情報が「禁止」から「許容」に変更されている。そのため、プリントサーバ90は、ユーザU1の新たな直行許否情報(「許容」)に基づいて、(サーバ経由経路R2ではなく)直行経路R1を、利用経路(今回の印刷ジョブでの利用経路)として決定する(ステップS25)。そして、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2の利用を許可しない旨の経路利用不許可通知を、ユーザU1の外部端末50aに送信する(ステップS27)(図7参照)。
【0162】
その後、外部端末50aは、プリントサーバ90からの経路利用不許可通知に応答して、他方の送信経路(ここでは直行経路R1)を用いて利用経路決定要求をMFP10にも送信する(ステップS19)(図8も参照)。
【0163】
そして、MFP10は、経路決定処理P40(ステップS33~S35)を実行する(図8参照)。ここでは、MFP10は、実行指示ユーザU1の新たな直行許否情報(「許容」)に基づいて、直行経路R1を利用経路として決定する(ステップS35)。そして、MFP10は、直行経路R1の利用を許可する旨の経路利用許可通知を外部端末50aに送信し(ステップS37)、外部端末50aは、直行経路R1を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図10参照)。
【0164】
なお、ユーザU1の直行許否情報が「許容」に変更された後において、当該ユーザU1からの次回以降の印刷指示が受け付けられた場合には、利用経路決定要求はプリントサーバ90ではなくMFP10に送信されるとともに、直行経路R1が利用経路として決定される(図8および図10)。
【0165】
また、たとえばユーザU2の直行許否情報が「許容」(図16)から「禁止」に変更された場合には、次のような動作が行われる。
【0166】
具体的には、ユーザU2の外部端末50bにおいて、新たな印刷指示が受け付けられた場合、当該外部端末50bは、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路を用いて利用経路決定要求を送信する。ここでは、前回の印刷ジョブでは実行指示ユーザU2の直行許否情報(「許容」)に基づいて直行経路R1が利用されており、外部端末50bは、当該直行経路R1を用いて利用経路決定要求をMFP10に送信する(ステップS13)(図8参照)。
【0167】
そして、MFP10は、経路決定処理P40(ステップS33~S35)を実行する(図8参照)。
【0168】
ただし、ここでは、ユーザU2による前回の印刷ジョブの実行時点から今回の印刷指示の付与時点までの間に、当該ユーザU2の直行許否情報が「許容」から「禁止」に変更されている。そのため、MFP10は、ユーザU2の新たな直行許否情報(「禁止」)に基づいて、(直行経路R1ではなく)サーバ経由経路R2を、利用経路として決定する(ステップS34)。そして、MFP10は、直行経路R1の利用を許可しない旨の経路利用不許可通知を、ユーザU2の外部端末50bに送信する(ステップS36)(図9参照)。
【0169】
その後、外部端末50bは、MFP10からの経路利用不許可通知に応答して、他方の送信経路(ここではサーバ経由経路R2)を用いて利用経路決定要求をプリントサーバ90にも送信する(ステップS19)(図5参照)。
【0170】
そして、プリントサーバ90は、経路決定処理P10(ステップS22~S25)を実行する(図5参照)。ここでは、プリントサーバ90は、実行指示ユーザU2の新たな直行許否情報(「禁止」)に基づいて、サーバ経由経路R2を利用経路として決定する(ステップS24)。そして、プリントサーバ90は、サーバ経由経路R2の利用を許可する旨の経路利用許可通知を外部端末50bに送信し(ステップS26)、外部端末50bは、サーバ経由経路R2を用いて印刷ジョブをMFP10に送信する(ステップS16)(図6参照)。
【0171】
なお、ユーザU2の直行許否情報が「禁止」に変更された後において、当該ユーザU2からの次回以降の印刷指示が受け付けられた場合には、利用経路決定要求はMFP10ではなくプリントサーバ90に送信されるとともに、サーバ経由経路R2が利用経路として決定される(図5および図6)。
【0172】
ここにおいて、上記課題欄で述べた比較例に係る技術では、管理者は、ユーザによる印刷ジョブにて利用させる経路の変更にあたって、電子メール等を用いて、当該ユーザの外部端末50にインストールされているプリンタドライバのアンインストールと新たに利用させる経路のプリンタドライバのインストールとの指示を当該ユーザに通知する。そして、当該ユーザは、管理者による指示に基づいて、自身の外部端末50に現在インストールされているプリンタドライバ(変更前のプリンタドライバ)をアンインストールするとともに、新たに指定された送信経路のプリンタドライバを自身の外部端末50にインストールする。
【0173】
しかしながら、このような比較例に係る技術では、ユーザによる印刷ジョブにて利用させる送信経路の変更に際して、管理者およびユーザの手間が大きい。
【0174】
これに対して、この印刷システム1では、直行許否情報(詳細には、印刷ジョブの実行指示ユーザの直行許否情報)が変更された場合であっても、変更後の直行許否情報に基づいて、当該実行指示ユーザからの印刷ジョブにて利用されるべき送信経路が自動的に決定される。
【0175】
そのため、管理者は、当該ユーザに対する指示通知作業を要さず、MFP10において当該実行指示ユーザの直行許否情報を変更するだけで済む。したがって、直行許否情報の変更時における管理者の手間を軽減することが可能である。
【0176】
また、当該実行指示ユーザは、自身の外部端末50において、変更前の送信経路のプリンタドライバのアンインストール作業と変更後の送信経路のプリンタドライバのインストール作業とを行うことを要しない。したがって、直行許否情報が変更された場合における外部端末50のユーザの手間を省くことが可能である。
【0177】
<1-5.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0178】
<利用経路の決定条件に関する変形例>
たとえば、上記実施形態において、さらに、プリントサーバ90における通信負荷状況を考慮して利用経路が決定されてもよい。
【0179】
図14は、この改変例に係るプリントサーバ90の動作(利用経路決定要求の受信時の動作)を示すフローチャートである。この改変例では、図14に示されるように、ステップS23とステップS25との間において、ステップS41の処理(後述)が実行される。なお、図14のステップS41以外の処理内容(ステップS21~S27の処理内容)は、図12のステップS21~S27の処理内容と同様である。
【0180】
また、図15は、この改変例に係るMFP10の動作(利用経路決定要求の受信時の動作)を示すフローチャートである。この改変例では、図15に示されるように、ステップS33とステップS35との間において、ステップS51の処理(後述)が実行される。なお、図15のステップS51以外の処理内容(ステップS31~S37の処理内容)は、図13のステップS31~S37の処理内容と同様である。
【0181】
具体的には、プリントサーバ90(あるいはMFP10)においては、外部端末50からの利用経路決定要求が受信されると、上記実施形態と同様にして、実行指示ユーザの直行許否情報に基づいて、当該実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されているか否か、が判定される(ステップS23(MFP10の場合はステップS33))。
【0182】
たとえば、当該実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されていない場合は、上記実施形態と同様に、処理はステップS23(S33)からステップS24(S34)へと進み、サーバ経由経路R2が利用経路として決定される。そして、サーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知がプリントサーバ90(あるいはMFP10)から外部端末50に送信され(ステップS26(S36))、外部端末50は、印刷ジョブをサーバ経由経路R2を用いてMFP10に送信する(ステップS16(図11))。
【0183】
一方、当該実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されている場合、処理はステップS23(S33)からステップS41(S51)へと進む。
【0184】
ステップS41(S51)においては、プリントサーバ90の通信負荷(現在(利用経路決定要求を受信した時点)の通信負荷)が所定程度よりも大きいか否か、が判定される。
【0185】
具体的には、ステップS41(図14)においては、プリントサーバ90は、自装置90の通信負荷(現在の通信負荷)が所定程度よりも大きいか否かを示す通信負荷状況を取得する。そして、プリントサーバ90は、取得した通信負荷状況に基づいて、自装置90の通信負荷が所定程度よりも大きいか否か、を判定する。
【0186】
また、ステップS51(図15)においては、MFP10は、プリントサーバ90の当該通信負荷状況をプリントサーバ90に問い合わせて取得する。そして、MFP10は、プリントサーバ90から取得された当該通信負荷状況に基づいて、プリントサーバ90の通信負荷が所定程度よりも大きいか否か、を判定する。
【0187】
たとえば、プリントサーバ90の通信負荷が所定程度よりも大きい場合、処理はステップS41(S51)からステップS25(S35)へと進み、直行経路R1が利用経路として決定される。換言すれば、印刷ジョブの実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されており且つプリントサーバ90における通信負荷が所定程度よりも大きい場合は、直行経路R1が利用経路として決定される。そして、直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知がプリントサーバ90(あるいはMFP10)から外部端末50に送信され(ステップS27(S37))、外部端末50は、印刷ジョブを直行経路R1を用いてMFP10に送信する(ステップS16(図11))。
【0188】
これに対して、プリントサーバ90の通信負荷が所定程度よりも小さい場合、処理はステップS41(S51)からステップS24(S34)へと進み、サーバ経由経路R2が利用経路として決定される。換言すれば、印刷ジョブの実行指示ユーザによる直行経路R1の利用が許容されている場合であっても、プリントサーバ90における通信負荷が所定程度よりも小さいときには、直行経路R1ではなくサーバ経由経路R2が利用経路として決定される。そして、サーバ経由経路R2を利用すべき旨の利用経路決定通知がプリントサーバ90(あるいはMFP10)から外部端末50に送信され(ステップS26(S36))、外部端末50は、印刷ジョブをサーバ経由経路R2を用いてMFP10に送信する(ステップS16(図11))。
【0189】
このように、プリントサーバ90における通信負荷状況を考慮して利用経路が決定されてもよい。
【0190】
<直行許否情報に関する変形例>
また、上記実施形態等では、直行許否情報が、複数のユーザのそれぞれについて(ユーザ毎に)定められているが、これに限定されない。たとえば、直行許否情報が、複数の外部端末50(50a,50b,...)のそれぞれについて(換言すれば、外部端末50毎に)定められてもよい。
【0191】
具体的には、管理者は、複数の外部端末50のそれぞれについて、直行経路R1を許容するか否かをMFP10に予め登録する。そして、各外部端末50について定められた直行許否情報が、当該各外部端末50の端末識別情報(たとえば、IPアドレスおよび/またはMACアドレス)と関連付けてMFP10に格納される。
【0192】
その後、外部端末50にて印刷指示が受け付けられた場合、当該外部端末50は、上記実施形態と同様に、直行経路R1あるいはサーバ経由経路R2を用いて利用経路決定要求を送信する(ステップS13あるいはステップS14(図11))。そして、プリントサーバ90あるいはMFP10において、当該印刷指示に対応する印刷ジョブにおける利用経路が決定される。
【0193】
具体的には、プリントサーバ90は、複数の外部端末50のうち利用経路決定要求の要求元の外部端末50について定められた直行許否情報をMFP10に問い合わせて取得する。そして、プリントサーバ90は、取得された直行許否情報(要求元の外部端末50に関する直行許否情報)に基づいて、利用経路を決定する(ステップS24あるいはステップS25)。たとえば、前回の印刷ジョブの実行時点から当該利用経路決定要求の要求元の外部端末50の直行許否情報に変更が無い場合、プリントサーバ90は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路を、今回の印刷ジョブでの利用経路として決定する。
【0194】
また、MFP10は、複数の外部端末50のうち当該要求元の外部端末50について定められた直行許否情報(MFP10内の直行許否情報)に基づいて、利用経路を決定する(ステップS34あるいはステップS35)。たとえば、前回の印刷ジョブの実行時点から当該利用経路決定要求の要求元の外部端末50の直行許否情報に変更が無い場合、MFP10は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路と同じ経路を、今回の印刷ジョブでの利用経路として決定する。
【0195】
このように、直行許否情報が、複数の外部端末50のそれぞれについて定められてもよい。
【0196】
これによれば、外部端末50にて印刷指示が受け付けられた場合、当該印刷指示に対応する印刷ジョブにて利用されるべき送信経路が、複数の外部端末50のうち当該外部端末50について定められた直行許否情報に基づいて自動的に決定される。そのため、管理者は、経路毎に別個のプリンタドライバ(各経路専用のプリンタドライバ)を準備することを要さず、各外部端末50にて利用させる送信経路のプリンタドライバのインストールを各外部端末50の所持ユーザ等に指示することをも要しない。その結果、管理者の手間が軽減される。したがって、直行経路R1とサーバ経由経路R2との2つの経路を比較的容易に使い分けることが可能である。
【0197】
<直行許否情報の格納先に関する変形例>
さらに、上記実施形態等では、管理テーブル200(ユーザ毎あるいは外部端末50毎の直行許否情報)(図16)がMFP10(のみ)に格納されているが、これに限定されない。
【0198】
たとえば、当該管理テーブル200がプリントサーバ90(のみ)に格納されてもよい。この場合、プリントサーバ90は、自装置90内の管理テーブル200の中から印刷ジョブの実行指示ユーザ(あるいは、利用経路決定要求の要求元の外部端末50)の直行許否情報を特定し、特定した直行許否情報に基づいて当該印刷ジョブにおける利用経路を決定する。また、MFP10は、印刷ジョブの実行指示ユーザ(あるいは、利用経路決定要求の要求元の外部端末50)の直行許否情報をプリントサーバ90に問い合わせて取得し、プリントサーバ90から取得した直行許否情報に基づいて当該印刷ジョブにおける利用経路を決定する。
【0199】
このように、管理テーブル200がプリントサーバ90(のみ)に格納されてもよい。
【0200】
あるいは、管理テーブル200(ユーザ毎あるいは外部端末50毎の直行許否情報)が、(MFP10およびプリントサーバ90には格納されておらず、)複数の外部端末50のそれぞれに格納されるようにしてもよい。
【0201】
ただし、管理テーブル200は、MFP10とプリントサーバ90とのいずれか一方の装置のみに格納されることがより好ましい。換言すれば、管理テーブル200は、単一の装置に格納されることがより好ましい。
【0202】
詳細には、単一の装置(MFP10あるいはプリントサーバ90)に管理テーブル200が格納される場合、管理者は、管理テーブル200を複数の外部端末50のそれぞれに格納することを要さず、単一の装置において管理テーブル200(ユーザ毎(あるいは外部端末50毎)の直行許否情報)を管理することが可能である。したがって、管理者は、直行許否情報を容易に管理することが可能である。
【0203】
また、当該管理テーブル200は、利用経路を決定する決定部を有する装置(MFP10および/またはプリントサーバ90)に格納されていることがより好ましい。
【0204】
具体的には、管理テーブル200がMFP10(決定部15(図2)を有する装置)に格納されている場合、当該MFP10は、自装置10内の直行許否情報に基づいて(端的に言えば、自己完結的に)利用経路を決定することが可能である。換言すれば、MFP10は、利用経路の決定に際して、印刷ジョブの実行指示ユーザ(あるいは、利用経路決定要求の要求元の外部端末50)の直行許否情報を他の装置に問い合わせることを要しない。したがって、利用経路の決定に際して、当該利用経路を決定する決定部を有する装置と他の装置との間の通信を抑制することが可能である。
【0205】
<一方の装置への利用経路決定要求の送信に用いる経路に関する変形例>
さらに、上記実施形態等では、外部端末50において、利用経路決定要求は、前回の印刷ジョブにて利用された送信経路を用いて、プリントサーバ90とMFP10との両装置のうちの一方の装置に送信されている(ステップS12~S14(図11))が、これに限定されない。たとえば、外部端末50において、当該利用経路決定要求が、ランダムに選択された送信経路を用いて送信されてもよい。
【0206】
<他方の装置への利用経路決定要求の送信(ステップS19)に関する変形例>
また、上記実施形態等では、当該両装置のうちの一方の装置(ステップS13あるいはステップS14にて送信された利用経路決定要求を受信した装置)において、他方の装置に対応する送信経路(他方の送信経路)が利用経路として決定される場合、利用経路決定要求が外部端末50から他方の装置へも送信されている(ステップS19)が、これに限定されない。
【0207】
たとえば、当該一方の装置において他方の送信経路が利用経路として決定される場合、利用経路決定要求が当該他方の装置に送信されないようにしてもよい。
【0208】
具体的には、当該一方の装置において他方の送信経路が利用経路として決定される場合、(利用経路決定要求が当該他方の装置に送信される代わりに、)当該他方の送信経路を利用すべき旨の利用経路決定通知が当該他方の装置に送信される動作等が実行されてもよい。
【0209】
より具体的には、たとえばプリントサーバ90において、サーバ経由経路R2ではなく直行経路R1が利用経路として決定された場合、プリントサーバ90は、直行経路R1を利用すべき旨の利用経路決定通知(サーバ経由経路R2の利用を許可しない旨の経路利用不許可通知)を外部端末50のみならず、MFP10にも送信する。また、プリントサーバ90は、利用経路決定要求に係る印刷ジョブのジョブ識別情報(利用経路決定要求に含まれるジョブ識別情報)を、当該ジョブ識別情報を有する印刷ジョブの受信を許可すべき旨の受信許可情報としてMFP10に送信する。そして、外部端末50は、プリントサーバ90からの当該経路利用不許可通知に応答して、直行経路R1を用いて(利用経路決定要求ではなく)印刷ジョブをMFP10に送信する。MFP10は、プリントサーバ90からの当該経路利用不許可通知と当該ジョブ識別情報(受信許可情報)とに基づいて、直行経路R1を用いて外部端末50から送信されてきた印刷ジョブの受信を許可する。そして、MFP10は、受信した印刷ジョブの印刷出力を実行する。
【0210】
このように、両装置のうちの一方の装置において他方の送信経路が印刷ジョブでの利用経路として決定される場合、利用経路決定要求が外部端末50から当該他方の装置に送信されないようにしてもよい。
【0211】
<決定部に関する変形例>
また、上記実施形態等では、利用経路を決定する決定部(決定部15(図2)および決定部82(図3))が、プリントサーバ90とMFP10との双方に設けられているが、これに限定されず、当該決定部が、プリントサーバ90とMFP10とのいずれか一方の装置のみに設けられていてもよい。
【0212】
たとえば、当該決定部が、MFP10には設けられておらず、プリントサーバ90のみに設けられていてもよい。なお、この場合、外部端末50は、利用経路決定要求を常に(前回の印刷ジョブでの利用経路を考慮することなく)サーバ経由経路R2を用いてプリントサーバ90に送信する。
【0213】
逆に、当該決定部が、プリントサーバ90には設けられておらず、MFP10のみに設けられていてもよい。なお、この場合、外部端末50は、利用経路決定要求を常に直行経路R1を用いてMFP10に送信する。
【0214】
このように、利用経路を決定する決定部が、プリントサーバ90とMFP10とのいずれか一方の装置のみに設けられていてもよい。
【0215】
あるいは、利用経路を決定する決定部が、外部端末50(のみ)に設けられていてもよい。具体的には、外部端末50は、印刷指示を受け付けると、MFP10から実行指示ユーザの直行許否情報(あるいは自装置50の直行許否情報)を取得して利用経路を決定するようにしてもよい。そして、外部端末50は、決定された利用経路を用いて印刷ジョブをMFP10に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0216】
10 MFP(印刷出力装置)
50 外部端末(印刷指示受付装置)
90 プリントサーバ(サーバ装置)
R1 直行経路
R2 サーバ経由経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16