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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】巾着袋の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/81 20170101AFI20220216BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B31B70/81
B65D30/10 W
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017194070
(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2019064212
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】宝性 彰
(72)【発明者】
【氏名】寺井 亮
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-192043(JP,A)
【文献】米国特許第3738567(US,A)
【文献】特開平6-55673(JP,A)
【文献】特開昭62-156935(JP,A)
【文献】実開平4-118341(JP,U)
【文献】国際公開第2017/037759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/81
B65D 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反シートを原反ロールから引き出して搬送する搬送手段と、
前記原反シートを折込んで紐通路を構成する折込み部を形成する折込み手段と、
前記原反シートの前記折込み部において、切断線に沿って切り取り可能なタブを形成するタブ形成手段と、
紐供給部に保持される絞り紐を案内して前記紐通路内に導入する導入手段と、
前記絞り紐を前記タブに接着する第1接着手段と、
前記絞り紐が接着されたタブを保持しつつ前記原反シートの搬送方向に交差する方向に移動することにより、前記原反シートから前記タブを分離しつつ前記紐供給部から所定の長さの絞り紐を引出すタブ分離手段と、
前記原反シートのタブが形成された部分より上流側部分において前記原反シートと絞り紐を接着する第2接着手段とを備え
前記絞り紐が前記タブに接着された状態で前記原反シートが搬送されることにより、当該絞り紐が前記紐供給部から繰り出され、前記導入手段を介して前記紐通路内に導入されることを特徴とする巾着袋の製造装置。
【請求項2】
原反シートを原反ロールから引き出して搬送する搬送工程と、
前記原反シートを折込んで紐通路を構成する折込み部を形成する折込み工程と、
前記原反シートの前記折込み部において、切断線に沿って切り取り可能なタブを形成するタブ形成工程と、
紐供給部に保持される絞り紐を案内して前記紐通路内に導入する導入工程と、
前記紐通路内に導入された前記絞り紐を前記タブに接着する第1接着工程と、
前記絞り紐が接着されたタブを保持しつつ前記原反シートの搬送方向に交差する方向に移動することにより、前記原反シートから前記タブを分離しつつ前記紐供給部から所定の長さの絞り紐を引出すタブ分離工程と、
前記原反シートのタブが形成された部分より上流側部分において前記原反シートと絞り紐を接着する第2接着工程とを備え
前記搬送工程において、前記絞り紐が前記タブに接着された状態で前記原反シートが搬送されることにより、当該絞り紐が前記紐供給部から繰り出され、前記導入手段を介して前記紐通路内に導入されることを特徴とする巾着袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り紐により開口部を絞ることができるように構成された、巾着袋の製造装置および巾着袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巾着袋として特許文献1に開示された構成が知られている。この巾着袋は、袋状容器本体の開口部の縁部に形成された筒状の挿通部に、上側帯状閉鎖具(紐)と下側帯状閉鎖具(紐)を挿通して構成されている。上側帯状閉鎖具と下側帯状閉鎖具は挿通部から、相互に反対方向に引出され、これにより開口部が絞られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-192043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の構成によると、開口部を絞る動作において、上側帯状閉鎖具と下側帯状閉鎖具が反対方向に引出されることにより、巾着袋に回転モーメントが作用するので、開口部をスムーズに絞れず、また開口部を固く閉鎖することが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、開口部をスムーズに絞ることができ、かつ強固に閉鎖することができる巾着袋を製造する装置および製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る巾着袋の製造装置は、原反シートを原反ロールから引き出して搬送する搬送手段と、原反シートを折込んで紐通路を構成する折込み部を形成する折込み手段と、原反シートの折込み部において、切断線に沿って切り取り可能なタブを形成するタブ形成手段と、紐供給部に保持される絞り紐を案内して紐通路内に導入する導入手段と、絞り紐をタブに接着する第1接着手段と、絞り紐が接着されたタブを保持しつつ原反シートの搬送方向に交差する方向に移動することにより、原反シートからタブを分離しつつ紐供給部から所定の長さの絞り紐を引出すタブ分離手段と、原反シートのタブが形成された部分より上流側部分において原反シートと絞り紐を接着する第2接着手段とを備え、絞り紐がタブに接着された状態で原反シートが搬送されることにより、絞り紐が紐供給部から繰り出され、導入手段を介して紐通路内に導入されることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る巾着袋の製造方法は、原反シートを原反ロールから引き出して搬送する搬送工程と、原反シートを折込んで紐通路を構成する折込み部を形成する折込み工程と、原反シートの折込み部において、切断線に沿って切り取り可能なタブを形成するタブ形成工程と、紐供給部に保持される絞り紐を案内して紐通路内に導入する導入工程と、紐通路内に導入された絞り紐をタブに接着する第1接着工程と、絞り紐が接着されたタブを保持しつつ原反シートの搬送方向に交差する方向に移動することにより、原反シートからタブを分離しつつ紐供給部から所定の長さの絞り紐を引出すタブ分離工程と、原反シートのタブが形成された部分より上流側部分において原反シートと絞り紐を接着する第2接着工程とを備え、搬送工程において、絞り紐がタブに接着された状態で原反シートが搬送されることにより、絞り紐が紐供給部から繰り出され、導入手段を介して紐通路内に導入されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開口部をスムーズに絞ることができ、かつ強固に閉鎖することができる巾着袋を製造する装置および製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態である巾着袋の製造装置に設けられ、原反シートに紐通路を形成する折込み機構を示す斜視図である。
図2】折込み機構を示す正面図である。
図3】折込み機構を示す側面図である。
図4】折込み機構により原反シートを折込む作用を示す図である。
図5】巾着袋の製造装置の概略的な構成を示す斜視図である。
図6】タブカッタによりタブを切断する作用を説明するための図である。
図7】巾着袋を示す平面図である。
図8】絞り紐が挿入された紐通路を示す断面図である。
図9】タブカッタと分離タブチャックと残留タブチャックを駆動するための構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。本実施形態の製造装置および製造方法により製造される巾着袋は半完成品であり、一端がM字状に折込まれて紐通路が形成されるとともに、紐通路に絞り紐が挿通され、他端が開放状態のまま次工程へ搬送され、次工程において他端の開口から物品が収容される。
【0011】
図1~3は、原反シートSの一端をM字状に折込んで紐通路を形成する折込み機構(折込み手段)10を示している。原反シートSは樹脂製シートであり、原反ロールRから水平方向に引き出され、支持ローラ11において斜め下方に方向転換されて折込み機構10に送り込まれる。折込み機構10の下方には、原反シートSを下方へ引出す一対の送りローラ12が設けられ、送りローラ12はモータ15により回転駆動される。原反ロールRの巻き芯13はモータ14の出力軸に連結される。支持ローラ11と巻き芯13との間には、モータ14とモータ15の速度差が生じた場合でも原反シートSが緩むことがないように、原反シートSに張力を付与するためのテンションローラが配置されている。
【0012】
支持ローラ11の上方にはミシン目カッタ20が設けられる。ミシン目カッタ20は図示しないモータにより回転駆動され、送りローラ12と連動して回転する。ミシン目カッタ20は原反シートSの長手方向の中心線である内側折込み線Lに当接し、原反シートSが支持ローラ11に沿って移動することにより、内側折込み線Lにミシン目を形成する。原反シートSは、内側折込み線Lが折込み機構10の中心位置、すなわち後述する一対の棒状部材17の間に合致するように定められ、折込み機構10に送り込まれる。
【0013】
折込み機構10は支持ローラ11の下方に位置し、支持ローラ11に直交する水平方向に延びる一対の棒状部材17と2つ折りガイド18を有する。一対の棒状部材17は折込まれた原反シートSが通過可能な隙間を空けて設けられ、回転しない。2つ折りガイド18は、棒状部材17の直上に位置する中央ガイド18aと、下端が中央ガイド18aに近接し、支持ローラ11の端部に向かって延びる板状の一対の側部ガイド18bとを有する。図2に示すように、正面から見て一対の側部ガイド18bと中央ガイド18aの外縁部は下方に窄まり、中央ガイド18aの下縁部18cは水平である。
【0014】
2つ折りガイド18の下側にはM字折りガイド16(図1では不図示)が設けられる。図3に示すように、2つ折りガイド18は傾斜しており、M字折りガイド16は中央ガイド18aの下縁部18cの近傍に設けられる。M字折りガイド16は2つ折りガイド18に対して略垂直方向に延び、M字折りガイド16の下端は2つ折りガイド18の下側に位置する。M字折りガイド16の先端16aは鋭角を成し、原反シートSの内側折込み線Lに係合する。原反シートSは2つ折りガイド18の上面に摺接して搬送され、M字折りガイド16の先端によって内側折込み線Lが内側に折込まれた状態で、一対の棒状部材17の間を通ることにより、2つに折り畳まれる。
【0015】
図4は、折込み機構10により原反シートSを折込む作用を示し、図1において折込み機構10を上方から見た図である。図4に示すように、原反シートSは内側折込み線Lにおいて内側に折込まれるとともに、内側折込み線Lの両側で平行に延びる外側折込み線M1、M2において山折りされ、原反シートSの内側には一対の紐通路P1、P2が形成される。なお以下の説明において、原反シートSの内側折込み線Lと外側折込み線M1、M2の間の領域を折込み部Nと呼ぶ。
【0016】
図5は、原反シートSの紐通路P1、P2(図4参照)内にそれぞれ絞り紐Hを導入するとともに、原反シートSを切断して巾着袋を成形する製造装置の概略的な構成を示している。原反シートSの搬送方向は送りローラ12(図1参照)において水平方向に変換され、後述するシート送りチャック(搬送手段)42により原反シートSは矢印X方向に1ピッチずつ間欠的に搬送される。1ピッチの長さは、図5において、横シールヒートシーラ43とカッタ44の間の距離に等しい。
【0017】
タブ形成機構(タブ形成手段)30は送りローラ12(図1参照)の下流側に設けられ、折込み部N(図1参照)にミシン目(切断線)を入れて4つのタブTA1、TA2、TB1、TB2を形成する。これらのタブTA1、TA2、TB1、TB2は同じ大きさの矩形であり、原反シートSの搬送方向に直交する第1区画線T1(ミシン目)と、搬送方向(X方向)に平行な第2区画線T2(ミシン目)により相互に区画される。原反シートSの外縁側に位置する2つのタブTA1、TB1の各矩形の一辺は外側折込み線M1、M2に一致する。すなわち各タブの輪郭は、外側折込み線M1、M2を除き、ミシン目により形成される。
【0018】
4つのタブのうちタブTA1、TA2とタブTB1、TB2とは、後述するタブカッタ51(図6参照)により、第1区画線T1において切断され、タブTA1、TA2は下流側に隣接する巾着袋Gの一部となり、タブTB1、TB2は上流側に隣接する巾着袋Gの一部となる。すなわちタブ形成機構30は、上流側の巾着袋GのタブTA1、TA2と下流側の巾着袋GのタブTB1、TB2とを同時に形成する。
【0019】
タブ形成機構30の下流側には第1および第2ガイドバー(導入手段)31、32が設けられる。ガイドバー31、32は、タブ形成機構30から1ピッチ下流側に位置するタブTA1、TA2、タブTB1、TB2の直ぐ上流側に位置する。ガイドバー31、32は原反シートSの幅方向に延び、各ガイドバー31、32の先端には、絞り紐Hを案内するための貫通孔(案内部)33、34が設けられる。
【0020】
ガイドバー31、32はガイドバー支持機構35に支持されて水平方向に延び、ガイドバー支持機構35の側方には一対のボビン(紐供給部)36、37が設けられる。ボビン36、37にはそれぞれ絞り紐Hが巻回されて保持されており、絞り紐Hはボビン36、37から繰り出され、第1および第2ガイドバー31、32の貫通孔33、34を通される。絞り紐Hは、紐通路P1、P2(図4参照)内において相互に平行に延びる。
【0021】
図5では、原反シートSの上側に位置する紐通路P1(図4参照)に絞り紐Hを挿通するためのガイドバー31、32とガイドバー移動機構35とボビン36、37を示しているが、原反シートSの下側に位置する紐通路P2(図4参照)に絞り紐Hを挿通するために、ガイドバー31、32等の下方にも、同様な構成が設けられる。
【0022】
ガイドバー31、32の下流側には、タブTA1、TA2、TB1、TB2およびその近傍を熱溶着して絞り紐Hを原反シートSに固定する接着機構41が設けられる。接着機構41は、タブ形成機構30から1ピッチ下流側に位置する。接着機構41において、絞り紐HをタブTB1、TB2に接着する部分は第1接着手段に相当する。また絞り紐HをタブTA1、TA2に接着する部分は、後述する分離タブチャック52の作用により原反シートSからタブTB1、TB2を分離することによって引き出される絞り紐Hを、原反シートSに接着する第2接着手段に相当する。
【0023】
接着機構41の直ぐ下流側には、縦シールヒートシーラ40が設けられる。縦シールヒートシーラ40は原反シートSの搬送方向に延び、折込み部Nにおいて、内側折込み線L(図1参照)と外側折込み線M1、M2の間を熱溶着し、これにより紐通路P1、P2(図4参照)は、原反シートSにおいて外側折込み線M1、M2側に形成される。
【0024】
縦シールヒートシーラ40の下流側には、タブカッタ51(図6参照)と分離タブチャック52と残留タブチャック53を有するタブ分離手段が設けられる。分離タブチャック52と残留タブチャック53は、タブカッタ51が通過可能な隙間を空けて、原反シートSの搬送方向に沿って設けられ、分離タブチャック52は相対的に上流側に位置する。分離タブチャック52と残留タブチャック53はタブTA1、TA2、TB1、TB2を上下方向から挟持し、分離タブチャック52は4つのタブのうち上流側に位置する2つのタブTB1、TB2を、残留タブチャック53は下流側の2つのタブTA1、TA2を挟持する。
【0025】
図6を参照してタブカッタ51と分離タブチャック52と残留タブチャック53の作用を説明する。タブカッタ51は非作動時、分離タブチャック52と残留タブチャック53の間の上方に位置しており(図6(a))、下降して、第1区画線T1(図5参照)において原反シートSを切断する(図6(b))。この切断動作は、接着機構41(図5参照)による接着動作の前、すなわち絞り紐Hが原反シートSに固定されていない状態で行われる。
【0026】
次いで分離タブチャック52が上流側の2つのタブTB1、TB2を保持しつつ下方(すなわち原反シートSの搬送方向に交差する方向)に移動する。これにより、原反シートSからタブを分離しつつボビン36、37から所定の長さの2本の絞り紐Hが引き出され、原反シートSには切欠きCが形成される(図6(c))。
【0027】
その後、接着機構41(図5参照)が作動し、タブカッタ51により切断されたタブTA1、TA2、TB1、TB2より1ピッチ分上流側に位置するタブTA1、TA2、TB1、TB2およびその近傍が熱溶着され、原反シートSから引き出された絞り紐Hの上流側の部分が紐通路P1の端部に固定される。そして分離タブチャック52が開放し、原反シートSから離れる方向に後退する(図6(d))。これにより、原反シートSから引き出されたタブTB1、TB2と絞り紐Hは、原反シートSの切欠きCから垂下する。
【0028】
再び図5を参照すると、タブカッタ51、分離タブチャック52、分離タブチャック53が設けられた部位の下流側には横シールヒートシーラ43が設けられる。横シールヒートシーラ43はタブTA1、TA2、TB1、TB2が停止する位置に設けられ、原反シートSの全幅にわたって延びる。横シールヒートシーラ43は原反シートSを上下に挟んで原反シートSを加熱し、第1区画線T1を通る直線に沿って原反シートSを熱溶着する。
【0029】
横シールヒートシーラ43の下流側にはシート送りチャック(搬送手段)42が設けられる。シート送りチャック42は原反シートSの幅方向に延び、原反シートSを上下に挟んで原反シートSを矢印X方向に1ピッチ搬送し、開放して矢印Xとは反対方向に後退する。この動作を繰り返すことにより、シート送りチャック42は原反シートSを原反ロールR(図1参照)から引き出して搬送する。
【0030】
なお図5では、シート送りチャック42は1つだけ示されているが、実際には、このシート送りチャック42の上流側と下流側にも同じ構造のシート送りチャックが設けられる。これらのシート送りチャックは同期して駆動され、原反シートSに所定のテンションが付与される。
【0031】
シート送りチャック42の下流側にはカッタ(切断手段)44が設けられる。カッタ44は横シールヒートシーラ43から1ピッチ分だけ下流側に位置する。すなわちカッタ44はタブTA1、TA2、TB1、TB2が停止する位置に設けられ、原反シートSの全幅にわたって延びる。カッタ44は、タブTA1、TA2とタブTB1、TB2の間の第1区画線T1を通る直線に沿って原反シートSを切断し、これにより巾着袋Gが得られる。
【0032】
なお原反シートSの下側には、支持部材(図示せず)が適宜配置され、原反シートSが大きく撓まないように考慮されている。
【0033】
図7は本実施形態の製造装置および製造方法により製造される巾着袋Gを示している。図7は巾着袋Gの平面図であり、一対の紐通路P1、P2のうち、表側に位置する紐通路P1のみが示されている。裏側に位置する紐通路P2については、同様の構成であるので、説明を省略する。図7において、紐通路P1は巾着袋Gの上方に位置し、巾着袋Gの下側縁部Fは開口である。縦シールヒートシーラ40により熱溶着される縦シール部Vは、紐通路P1の縁部であり、巾着袋Gを紐通路P1と収容部Qとに区画する。横シールヒートシーラ43により熱溶着される横シール部Wは紐通路P1の下端から巾着袋Gの下縁の開口まで延びる。
【0034】
紐通路P1には、一対の絞り紐Hが相互に平行な状態で挿通される。各絞り紐Hの一方の端部は、残留タブチャック53により挟持された残留タブTA1、TA2に固定され、他方の端部は、分離タブチャック52により引き出された分離タブTB1、TB2に固定される。残留タブTA1、TA2の外周縁はミシン目である。残留タブTA1、TA2は第2区画線T2のミシン目により区画され、また分離タブTB1、TB2も第2区画線T2のミシン目により区画されている。したがって巾着袋Gの使用時、例えば分離タブTB1と分離タブTB2とを第2区画線T2において分離することにより、絞り紐Hによって巾着袋Gの端部を絞ることができる。
【0035】
図8を参照して、絞り紐Hを案内して紐通路P1、P2内に導入する構成を説明する。図8(a)に示すように、紐通路P1、P2内には第1ガイドバー31の先端が挿入され、ボビン36から繰り出された絞り紐Hは第1ガイドバー31の貫通孔33を通って紐通路P1、P2内に挿通される。一方、第2ガイドバー32(図示せず)についても同様に、ボビン37(図示せず)から繰り出された絞り紐Hが紐通路P1、P2内に挿通される。第1および第2ガイドバー31、32により紐通路P1、P2内に導入された絞り紐Hは、図8(b)に示すように、平行状態を保ったまま紐通路P1、P2の全長にわたって延びる。
【0036】
図9を参照して、タブカッタ51と分離タブチャック52と残留タブチャック53を駆動するための構成を説明する。タブカッタ51は、カッタ昇降エアシリンダ54のピストンロッドに取付けられたカッタベース55に固定される。カッタ昇降エアシリンダ54は基台56から垂直上方に延びる支持枠57にブラケット58を介して連結される。残留タブチャック53はタブカッタ51の下方に位置し、残留タブチャック53を開閉駆動するチャック開閉エアシリンダ59はブラケット60を介して支持枠57に連結される。
【0037】
分離タブチャック52は残留タブチャック53に隣接して設けられる。分離タブチャック52を開閉駆動するチャック開閉エアシリンダ61はブラケット62に取付けられ、ブラケット62は、分離タブチャック昇降エアシリンダ63により駆動され、コラム64に沿って昇降自在である。コラム64は移動台65に固定され、移動台65は基台56に設けられた案内部材66に沿って水平方向に移動自在である。移動台65は、基台56に設けられた分離タブ水平移動エアシリンダ67により駆動される。
【0038】
タブカッタ51はカッタ昇降エアシリンダ54により昇降駆動され、タブの第1区画線T1(図5参照)において原反シートSを切断する。この切断動作は、チャック開閉エアシリンダ59、61により残留タブチャック53と分離タブチャック52がそれぞれ原反シートSを挟持した状態で行われる(図6(b)参照)。切断動作の後、分離タブチャック52は分離タブチャック昇降エアシリンダ63の作用により下降し(図6(c)参照)、分離タブTB1、TB2(図7参照)が下降する。これにより絞り紐Hが原反シートSから引き出される。次いで分離タブチャック52はチャック開閉エアシリンダ61によって開放されるとともに、分離タブ水平移動エアシリンダ67によって水平方向に後退する(図6(d)参照)。一方分離タブチャック52は、原反シートSが搬送されるとき、チャック開閉エアシリンダ59の作用によりに開放し、その他の状態では閉鎖して原反シートSを保持する。
【0039】
本実施形態の作用を説明する。以下の各工程は原反シートSが搬送される間、あるいは停止している間に実行される。
【0040】
原反ロールRから引き出された原反シートSは、折込み機構10により実行される折込み工程において折込まれ、紐通路P1、P2が形成される。タブ形成工程では、タブ形成機構30により原反シートSの折込み部N(図1参照)にミシン目(切断線)が設けられ、タブTA1、TA2、TB1、TB2が形成される。導入工程では、第1および第2ガイドバー31、32を介して、一対の絞り紐Hが案内されて紐通路P1、P2内に導入される。
【0041】
接着工程では、接着機構41により、紐通路P1、P2内に導入された一対の絞り紐Hが紐通路P1、P2の端部(タブTA1、TA2、TB1、TB2に対応した部分)に接着される。本実施形態では、絞り紐Hが上流側に隣接する巾着袋GのタブTB1、TB2に対応した部分に接着される第1接着工程と、下流側に隣接する巾着袋GのタブTA1、TA2に対応した部分に接着される第2接着工程とが同時に実施されるが、接着機構41を2つに分けて、第1接着工程と第2接着工程を個別に実施してもよい。接着工程の後、ヒートシール工程では、縦シールヒートシーラ40により、内側折込み線Lと外側折込み線M1、M2の間が熱溶着され、縦シール部Vが形成される。
【0042】
タブ分離工程では、タブカッタ51が下降して、タブの第1区画線T1において原反シートSを切断する。その後、分離タブチャック52が下降し、これにより分離タブTB1、TB2が原反シートSから分離し、また2本の絞り紐Hが平行状態を保ったまま紐通路P1から引き出される。そして接着機構41が作動し、原反シートSから引き出された絞り紐Hの上流側の部分が原反シートSに固定される。次いで分離タブチャック52が開放するとともに原反シートSから後退し、原反シートSから引き出された分離タブTB1、TB2と絞り紐Hは、原反シートSの切欠きCから垂下する。
【0043】
原反シートSは分離タブTB1、TB2が垂下した状態で下流側へ搬送され、横シールヒートシーラ43により熱溶着され、横シール部Wが形成される。この後、原反シートSがさらに1ピッチ下流側へ搬送され、カッタ44により切断工程が実行される。すなわち紐通路P1、P2の端部において、原反シートSと絞り紐Hが切断され、巾着袋Gが得られる。
【0044】
巾着袋Gは図8(b)に示されるように、紐通路P1、P2とは反対側の縁部Fが開口しており、次の工程では、縁部Fから物品が収容部Qに収容され、縁部Fがシールされる。
【0045】
本実施形態の製造装置または製造方法により得られた巾着袋Gは、図7に示されるように、紐通路P1から一対の絞り紐Hが外部に引出されている。したがって、収容部Qに物品が収容され、縁部Fがシールされた状態で巾着袋Gの開口部(紐通路P1、P2の部分)を絞る作業では、分離タブTB1、TB2を第2区画線T2において切り離して、2本の絞り紐Hにより巾着袋Gの開口部を縛ればよい。あるいは、残留タブTA1、TA2をミシン目において巾着袋Gから切り取るとともに第2区画線T2において切り離し、巾着袋Gの開口部を縛ってもよい。
【0046】
以上のように巾着袋Gの開口部を絞る作業において、一対の絞り紐Hは巾着袋Gから突出しているので、巾着袋Gの開口部をスムーズに絞ることができ、また開口部を固く閉鎖することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、縦シールヒートシーラ40、接着機構41、横シールヒートシーラ43はそれぞれ、熱溶着により原反シートSを接着するように構成されていたが、熱溶着に代えて、超音波シールを採用することも可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 折込み機構(折込み手段)
30 タブ形成機構(タブ形成手段)
31 第1ガイドバー(導入手段)
32 第2ガイドバー(導入手段)
36、37 ボビン(紐供給部)
41 接着機構(接着手段)
44 カッタ(切断手段)
51 タブカッタ(タブ分離手段)
52 分離タブチャック(タブ分離手段)
53 残留タブチャック(タブ分離手段)
H 絞り紐
P1、P2 紐通路
S 原反シート


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9