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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】電極製造装置及び電極製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20220216BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20220216BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20220216BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20220216BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20220216BHJP
   B26D 5/32 20060101ALI20220216BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20220216BHJP
   H01M 4/26 20060101ALN20220216BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01G13/00 381
H01G13/00 331A
H01G13/00 361Z
H01G11/86
B26D7/06 E
B26D7/22 A
B26D5/32
B26D5/34 Z
H01M4/26 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018012446
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019133757
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】合田 泰之
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-180735(JP,A)
【文献】特開2001-338693(JP,A)
【文献】特開平09-306481(JP,A)
【文献】特開2016-186866(JP,A)
【文献】特開2003-323886(JP,A)
【文献】特開2018-195551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01G 13/00
H01G 11/86
B26D 7/06
B26D 7/22
B26D 5/32
B26D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された個数の電極を製造したことに応じて自動停止する電極製造装置であって、
帯状の導電性シートと、前記導電性シートに前記導電性シートの長手方向に沿って間欠的に配列された複数の活物質層と、を有する電極母材を供給するとともに、前記長手方向に前記電極母材を搬送する供給機構と、
前記電極母材において前記複数の活物質層のそれぞれの前記長手方向におけるエッジを検出する検出部と、
前記電極母材を前記長手方向と交差する方向に切断することにより電極を形成する切断機構と、
前記電極製造装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記長手方向に沿った所定距離を前記電極母材が搬送される間に前記検出部が前記エッジを検出しなかったことに応じて、前記供給機構に前記電極母材の供給を停止させる、電極製造装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部が前記エッジを検出したことに応じて、前記電極母材を切断するように前記切断機構を制御する、請求項1に記載の電極製造装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記複数の活物質層のそれぞれが有するエッジのうち、搬送方向の下流に位置するエッジを検出する、請求項1又は請求項2に記載の電極製造装置。
【請求項4】
前記複数の活物質層は、前記長手方向に沿って所定のピッチで配列されており、
前記所定距離は、前記ピッチよりも大きい、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電極製造装置。
【請求項5】
前記導電性シートは、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、
前記複数の活物質層は、複数の正極活物質層と、複数の負極活物質層と、を含み、
前記複数の正極活物質層は、前記第1面において、前記長手方向に沿って間欠的に配列され、
前記複数の負極活物質層は、前記第2面において、前記長手方向に沿って間欠的に配列されるとともに、前記複数の正極活物質層と対応する位置に設けられている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電極製造装置。
【請求項6】
予め設定された個数の電極を製造したことに応じて自動停止する電極製造装置を用いた電極製造方法であって、
帯状の導電性シートと、前記導電性シートに前記導電性シートの長手方向に沿って間欠的に配列された複数の活物質層と、を有する電極母材を供給するとともに、前記長手方向に前記電極母材を搬送する工程と、
前記電極母材において前記複数の活物質層のそれぞれの前記長手方向におけるエッジが検出されたことに応じて、前記電極母材を前記長手方向と交差する方向に切断することにより電極を形成する工程と、
前記長手方向に沿った所定距離を前記電極母材が搬送される間に前記エッジが検出されなかったことに応じて、前記電極母材の供給を停止する工程と、を備える電極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、電極製造装置及び電極製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺の電極母材を切断することにより電極を製造する装置が知られている。例えば、特許文献1には、巻取ロールから供給された電極材料(電極母材)を長手方向に沿って等間隔に切断することで短冊体を形成し、短冊体から電極を打ち抜く製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-2149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電極製造装置は、予め設定された個数の電極を製造したことに応じて、自動停止するように構成されていることがある。しかしながら、例えば、電極母材の長さが短い場合、及び設定個数が大きすぎる場合には、供給されている電極母材から、設定された個数の電極を製造することができないことがある。このような場合、電極製造装置は、さらに電極を製造するために電極母材を供給し続けようとし、電極製造装置の故障を引き起こすおそれがある。このような状況を回避するために、作業者が電極母材に含まれている活物質層の個数を把握した上で、その個数を製造する電極の個数に設定する等の煩雑な設定作業が必要となる。
【0005】
本発明の一側面は、設定作業を煩雑化することなく、故障を回避可能な電極製造装置及び電極製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電極製造装置は、帯状の導電性シートと、導電性シートに導電性シートの長手方向に沿って間欠的に配列された複数の活物質層と、を有する電極母材を供給するとともに、長手方向に電極母材を搬送する供給機構と、電極母材において複数の活物質層のそれぞれの長手方向におけるエッジを検出する検出部と、電極母材を長手方向と交差する方向に切断することにより電極を形成する切断機構と、電極製造装置の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、長手方向に沿った所定距離を電極母材が搬送される間に検出部がエッジを検出しなかったことに応じて、供給機構に電極母材の供給を停止させる。
【0007】
この電極製造装置では、長手方向に沿った所定距離を電極母材が搬送される間に活物質層のエッジが検出されなかったことに応じて、電極母材の供給が停止される。例えば、電極母材の後端部分に達した場合には、活物質層のエッジが検出されないので、電極母材の供給が停止される。このため、予め設定された個数の電極を製造し終える前であっても、電極母材を供給し続けることなく、電極母材の供給が停止されるので、製造する電極の個数を正確に設定する必要が無い。その結果、設定作業を煩雑化することなく、電極製造装置の故障を回避することが可能となる。
【0008】
制御部は、検出部がエッジを検出したことに応じて、電極母材を切断するように切断機構を制御してもよい。この場合、検出されたエッジを有する活物質を含む電極を製造することができる。
【0009】
検出部は、複数の活物質層のそれぞれが有するエッジのうち、搬送方向の下流に位置するエッジを検出してもよい。活物質層は、搬送方向の下流に位置するエッジを基準として形成されることがある。活物質層の大きさには製造公差が含まれ得るので、活物質層の形成工程で基準として用いられたエッジを用いることにより、活物質層の検出精度を向上させることが可能となる。
【0010】
複数の活物質層は、長手方向に沿って所定のピッチで配列されてもよく、所定距離は、ピッチよりも大きくてもよい。長手方向において互いに隣り合う活物質層間のピッチよりも大きい距離だけ電極母材が搬送される間にエッジが検出されなかった場合には、前回検出されたエッジを有する活物質層の上流には、活物質層が存在しないと考えることができる。このため、活物質層間のピッチよりも大きい距離だけ電極母材が搬送される間にエッジが検出されなかったことに応じて、電極母材の供給を停止することで、電極母材の供給の停止を精度良く行うことができる。
【0011】
導電性シートは、第1面と、第1面とは反対側の第2面と、を有してもよい。複数の活物質層は、複数の正極活物質層と、複数の負極活物質層と、を含んでもよい。複数の正極活物質層は、第1面において、長手方向に沿って間欠的に配列されてもよく、複数の負極活物質層は、第2面において、長手方向に沿って間欠的に配列されるとともに、複数の正極活物質層と対応する位置に設けられてもよい。この場合、バイポーラ電極の製造において、設定作業を煩雑化することなく、電極製造装置の故障を回避することが可能となる。
【0012】
本発明の一側面に係る電極製造方法は、電極製造装置を用いた製造方法である。この電極製造方法は、帯状の導電性シートと、導電性シートに導電性シートの長手方向に沿って間欠的に配列された複数の活物質層と、を有する電極母材を供給するとともに、長手方向に電極母材を搬送する工程と、電極母材において複数の活物質層のそれぞれの長手方向におけるエッジが検出されたことに応じて、電極母材を長手方向と交差する方向に切断することにより電極を形成する工程と、長手方向に沿った所定距離を電極母材が搬送される間にエッジが検出されなかったことに応じて、電極母材の供給を停止する工程と、を備える。
【0013】
この電極製造方法では、長手方向に沿った所定距離を電極母材が搬送される間に活物質層のエッジが検出されなかったことに応じて、電極母材の供給が停止される。例えば、電極母材の後端部分に達した場合には、活物質層のエッジが検出されないので、電極母材の供給が停止される。このため、予め設定された個数の電極を製造し終える前であっても、電極母材を供給し続けることなく、電極母材の供給が停止されるので、製造する電極の個数を正確に設定する必要が無い。その結果、設定作業を煩雑化することなく、電極製造装置の故障を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、設定作業を煩雑化することなく、電極製造装置の故障を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の実施形態を示す概略断面図である。
図2図2は、図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。
図3図3は、実施形態に係る電極製造装置を模式的に示す側面図である。
図4図4は、図3の電極製造装置の一部を示す平面図である。
図5図5は、図3の電極製造装置の一部を示す平面図である。
図6図6は、図3の電極製造装置の一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には必要に応じてXYZ直交座標系が示される。例えば、X軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z軸方向が鉛直方向である。
【0017】
図1を参照して、蓄電装置の実施形態について説明する。図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は、例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、及びリチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0018】
複数の蓄電モジュール12は、例えば金属板等の導電板14を介して積層され得る。積層方向から見て、蓄電モジュール12及び導電板14は例えば矩形形状を有する。各蓄電モジュール12の詳細については後述する。導電板14は、蓄電モジュール12の積層方向(Z軸方向)において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。導電板14は、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向に直列に接続される。積層方向において、一端に位置する導電板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する導電板14には負極端子26が接続されている。正極端子24は、正極端子24が接続される導電板14と一体であってもよい。負極端子26は、負極端子26が接続される導電板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向に交差する方向(X軸方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
【0019】
導電板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板14の内部に設けられた複数の空隙14aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール12からの熱を効率的に外部に放出できる。各空隙14aは例えば積層方向に交差する方向(Y軸方向)に延在する。積層方向から見て、導電板14の面積は、蓄電モジュール12の面積よりも小さいが、蓄電モジュール12の面積と同じかそれより大きくてもよい。また、積層方向から見て、導電板14は蓄電モジュール12を覆っていてもよい。
【0020】
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び導電板14を積層方向に拘束する拘束部材16を備え得る。拘束部材16は、一対の拘束プレート16A,16Bと、拘束プレート16A,16B同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)と、を備える。各拘束プレート16A,16Bと導電板14との間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16A,16Bは、例えば鉄等の金属によって構成されている。積層方向から見て、各拘束プレート16A,16B及び絶縁フィルム22は例えば矩形形状を有する。積層方向から見て、絶縁フィルム22の面積は導電板14の面積よりも大きく、絶縁フィルム22は導電板14を覆っていてもよい。また、積層方向から見て、各拘束プレート16A,16Bの面積は、蓄電モジュール12の面積よりも大きく、各拘束プレート16A,16Bは蓄電モジュール12を覆っていてもよい。積層方向から見て、拘束プレート16Aの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向から見て、拘束プレート16Bの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H2が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向から見て各拘束プレート16A,16Bが矩形形状を有している場合、挿通孔H1及び挿通孔H2は、拘束プレート16A,16Bの角部に位置する。
【0021】
一方の拘束プレート16Aは、負極端子26に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート16Bは、正極端子24に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば一方の拘束プレート16Aから他方の拘束プレート16Bに向かって挿通孔H1及び挿通孔H2に通される。他方の拘束プレート16Bから突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、導電板14及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向に拘束荷重が付加される。
【0022】
図2を参照して、蓄電装置を構成する蓄電モジュールについて説明する。図2は、図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。図2に示される蓄電モジュール12は、複数のバイポーラ電極32が積層された積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向から見て、積層体30は、例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32間にはセパレータ40が配置され得る。
【0023】
各バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の面34cに設けられた正極36と、電極板34の面34dに設けられた負極38とを含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。
【0024】
積層方向において、積層体30の一端には、内側面(図示下側の面)に負極38が配置された電極板34が配置される。この電極板34は負極側終端電極に相当する。積層方向において、積層体30の他端には、内側面(図示上側の面)に正極36が配置された電極板34が配置される。この電極板34は正極側終端電極に相当する。負極側終端電極の負極38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極36と対向している。正極側終端電極の正極36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う導電板14(図1参照)に接続される。
【0025】
蓄電モジュール12は、バイポーラ電極32の積層方向に延在し、積層体30を収容する筒状の樹脂部50を備える。樹脂部50は、複数の電極板34の周縁部34aを保持する。樹脂部50は、積層体30を取り囲むように構成されている。樹脂部50は、バイポーラ電極32の積層方向から見て例えば矩形形状を有している。すなわち、樹脂部50は例えば矩形枠状である。
【0026】
樹脂部50は、電極板34の周縁部34aを保持する第1シール部52と、積層方向に交差する方向(X軸方向及びY軸方向)において第1シール部52の外側に設けられた第2シール部54とを有する。
【0027】
樹脂部50の内壁を構成する第1シール部52は、複数のバイポーラ電極32(すなわち積層体30)における電極板34の周縁部34aの全周にわたって設けられている。第1シール部52は、電極板34の周縁部34aに例えば溶着されており、その周縁部34aをシールする。すなわち、第1シール部52は、電極板34の周縁部34aに接合されている。各バイポーラ電極32の電極板34の周縁部34aは、第1シール部52に保持されている。積層体30の両端に配置された電極板34の周縁部34aも、第1シール部52に保持されている。これにより、積層方向に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1シール部52とによって液密に仕切られた内部空間が形成されている。当該内部空間には、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
【0028】
樹脂部50の外壁を構成する第2シール部54は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する第1シール部52の外周面52aを覆っている。第2シール部54の内周面54aは、第1シール部52の外周面52aに例えば溶着されており、その外周面52aをシールする。すなわち、第2シール部54は、第1シール部52の外周面52aに接合されている。第1シール部52に対する第2シール部54の溶着面(接合面)は、例えば4つの矩形平面をなす。
【0029】
電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の周縁部34aは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。未塗工領域では、電極板34が露出している。その未塗工領域が、樹脂部50の内壁を構成する第1シール部52に保持されている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。積層方向から見て、電極板34の面34dにおける負極38の形成領域は、電極板34の面34cにおける正極36の形成領域に対して一回り大きくてもよい。
【0030】
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40は、例えば矩形形状を有する。セパレータ40を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されてもよい。
【0031】
樹脂部50(第1シール部52及び第2シール部54)は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている。樹脂部50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
【0032】
次に、図3を参照して、蓄電モジュール12のバイポーラ電極32の製造装置について説明する。図3は、実施形態に係る電極製造装置を模式的に示す側面図である。
【0033】
図3に示される電極製造装置100は、バイポーラ電極32の製造装置である。電極製造装置100は、帯状の長尺な電極母材60を切断することにより、バイポーラ電極32を製造する。電極母材60は、バイポーラ電極32のもととなる電極材料であり、帯状の長尺な導電性シート61と、導電性シート61に設けられた複数の活物質層(正極36及び負極38)と、を有する。導電性シート61は、電極板34のもととなる部材であり、面61a(第1面)と、面61aとは反対側の面61b(第2面)と、を有する。複数の活物質層は、導電性シート61の長手方向(以下、単に「長手方向」という。)に沿って間欠的に配列されている。複数の活物質層は、複数の正極活物質層(正極36)と、複数の負極活物質層(負極38)と、を含む。
【0034】
複数の正極36は、導電性シート61の面61aにおいて、長手方向に沿って所定のピッチDpで間欠的に配列されている。ピッチDpは、長手方向に互いに隣り合う2つの正極36の前縁36aの間隔である。複数の負極38は、導電性シート61の面61bにおいて、長手方向に沿って所定のピッチDnで間欠的に配列されている。ピッチDnは、長手方向に互いに隣り合う2つの負極38の前縁38aの間隔である。ピッチDpとピッチDnとは互いに等しく、複数の正極36と複数の負極38とは互いに対応する位置に設けられている。つまり、正極36と負極38とが導電性シート61を介して互いに重なるように、正極36及び負極38は配置されている。正極36及び負極38は、導電性シート61の厚み方向から見て例えば矩形形状を有する。長手方向に互いに隣り合う2つの正極36の間には、導電性シート61の面61aが露出している未塗工領域が設けられている。長手方向に互いに隣り合う2つの負極38の間には、導電性シート61の面61bが露出している未塗工領域が設けられている。面61aは、導電性シート61の短手方向(以下、単に「短手方向」という。)における正極36の両側においても露出している。面61bは、短手方向における負極38の両側においても露出している。
【0035】
電極製造装置100は、供給機構110と、切断機構120と、搬送機構130と、検出部140と、検出部150と、コントローラ160(制御部)と、を備える。
【0036】
供給機構110は、電極母材60を供給するとともに、電極母材60(導電性シート61)の長手方向に電極母材60を搬送する。供給機構110は、供給ロール111と、一対のニップロール112と、ロール114~117と、を備える。供給ロール111は、回転により電極母材60を連続的に繰り出す。一対のニップロール112は、供給ロール111から繰り出された電極母材60を挟み込んだ状態で回転することにより、電極母材60を引き動かす。これにより、供給ロール111と一対のニップロール112とは、電極母材60を長手方向に搬送する。本実施形態では、ロール117からニップロール112の間では、電極母材60は、面61aが上方を向くように搬送される。
【0037】
ロール114~117は、フリーロールである。電極母材60は、ロール114~117に順に架け渡されている。つまり、ロール114~117は、電極母材60の搬送経路を規定する。ロール116は、不図示の駆動機構により上下に移動可能に構成されている。ロール116は、ダンサーロールとも称される。ロール115~117によって、アキューム機構113が構成される。アキューム機構113は、電極母材60を間欠的に搬出する機構である。アキューム機構113は、供給ロール111から連続的に電極母材60が繰り出されている状態において、ロール116を上下に移動させることにより、ロール115からロール117に至る搬送経路の経路長を変更する。ロール116は、例えば、電極母材60の張力に応じて上下に移動される。これにより、電極母材60は、電極母材60の張力を維持しつつ、ロール117から間欠的に搬出される。なお、供給ロール111がブレーキ機構を有してもよく、ブレーキ機構が電極母材60を引っ張ることで電極母材60に張力が付与されてもよい。
【0038】
切断機構120は、長手方向と交差する方向(本実施形態では、短手方向)に電極母材60を切断することにより、個片化されたバイポーラ電極32を形成する。切断機構120は、下刃121と、上刃122と、駆動機構123と、を備える。下刃121は、固定刃であり、電極母材60の下側に配置されている。上刃122は、可動刃であり、駆動機構123によって上下に移動可能に構成されている。下刃121と上刃122とは、短手方向に延在している。上刃122は、下刃121に対して所定の角度で傾斜していてもよい。つまり、上刃122は、上刃122の幅方向の一端から他端に向けて順に下刃121に接触するように傾斜している。この傾斜角は、シャー角とも称される。下刃121と上刃122との間に電極母材60を挟み込むことで、電極母材60を切断する。下刃121及び上刃122は、せん断力を利用して切断を行うので、シャー刃とも称される。駆動機構123は、例えば、ソレノイド、及びシリンダといったアクチュエータである。駆動機構123は、コントローラ160からの制御信号によって上刃122を上下に移動させる。
【0039】
搬送機構130は、個片化されたバイポーラ電極32を搬送する。搬送機構130は、例えば、ベルトコンベアである。搬送機構130は、バイポーラ電極32を受け取って、バイポーラ電極32を次工程に搬送する。
【0040】
検出部140は、電極母材60において複数の活物質層のそれぞれの長手方向(搬送方向)におけるエッジを検出するセンサである。本実施形態では、検出部140は、正極36のエッジを検出する。検出部140は、正極36が有するエッジのうち、搬送方向の下流に位置する前縁36aを検出する。検出部140は、搬送方向において切断機構120よりも上流に設けられ、電極母材60の上方に配置される。本実施形態では、検出部140は、ロール117と一対のニップロール112との間に設けられている。
【0041】
検出部140は、電極母材60に光を照射し、電極母材60によって反射された反射光の光量(反射光量)を検出する。検出部140は、例えば、短手方向における電極母材60の中央付近に光を照射する。塗工領域では面61aが正極36で覆われているので反射光量が小さく、未塗工領域では面61aが露出しているので反射光量が大きい。このため、検出部140は、反射光量の違いによって前縁36aを検出する。検出部140は、例えば、前縁36aの検出を示すエッジ検出信号をコントローラ160に出力する。
【0042】
検出部150は、搬送方向に沿った電極母材60の搬送量を検出する。本実施形態では、検出部150は、ロータリーエンコーダである。検出部150は、短手方向を軸として回転可能なロール151を含む。ロール151は、ロール117と一対のニップロール112との間に設けられる。本実施形態では、ロール151は、ロール117と検出部140との間に設けられている。ロール151の外周面が電極母材60の面61aと接触を成すように、ロール151は配置されている。具体的には、ロール151の外周面は、正極36を短手方向に挟むように設けられた一対の未塗工領域の一方と接触を成している。これにより、電極母材60が搬送方向に搬送されるにつれて、ロール151が回転する。検出部150は、ロール151の回転に応じてパルスを生成し、複数のパルスを含むパルス信号をコントローラ160に出力する。
【0043】
コントローラ160は、電極製造装置100の動作を制御する。コントローラ160は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等のメモリと、入出力インターフェースと、を備えるコンピュータである。ROMには、各種プログラム及びデータが格納されている。コントローラ160は、エッジ検出信号によって切断機構120に電極母材60を切断させるタイミングを制御する。コントローラ160は、パルス信号によって電極母材60の搬送量を認識する。コントローラ160が実行する処理の詳細については後述する。
【0044】
次に、図3図6を参照して、バイポーラ電極の製造方法(電極製造方法)について説明する。図4図6は、図3の電極製造装置の一部を示す平面図である。なお、図4図6では、説明の便宜上、ニップロール112及びロール151の図示を省略している。バイポーラ電極32は、電極製造装置100を用いて以下のようにして製造され得る。
【0045】
(準備工程)
まず、電極母材60が準備される。例えば、導電性シート61の面61aにおいて長手方向に間欠的に複数の正極36が塗工される。同様に、導電性シート61の面61bにおいて長手方向に間欠的に複数の負極38が塗工される。このようにして得られた電極母材60は、例えば供給ロール111に巻き回される。導電性シート61の面61aには正極36が設けられ、導電性シート61の面61bには負極38が設けられる。長手方向における負極38の大きさは長手方向における正極36の大きさよりも大きい。図4及び図6に示されるように、供給ロール111から供給される電極母材60の、長手方向における先端部分60a及び後端部分60bには、正極36及び負極38が形成されていない。また、準備工程では、作業者は、バイポーラ電極32の製造個数をコントローラ160に設定する。
【0046】
(搬送工程)
続いて、供給機構110によって電極母材60が供給されるとともに、長手方向に搬送される。例えば、供給ロール111から供給された電極母材60は、一対のニップロール112の間に挟み込まれる。そして、一対のニップロール112が電極母材60を挟み込んだ状態で回転することにより、電極母材60が搬送される。ロール117からニップロール112の間では、電極母材60は、面61aが上方を向くように搬送されている。
【0047】
(検出工程)
続いて、電極母材60が長手方向に搬送されている間に、検出部140の下方(検出位置Pd)を正極36の前縁36aが通過すると、検出部140によって正極36の前縁36aが検出される。これにより、検出部140は、エッジ検出信号をコントローラ160に出力する。検出部140は、前縁36aを検出するごとにエッジ検出信号をコントローラ160に出力する。
【0048】
(切断工程)
続いて、コントローラ160は、検出部140が前縁36aを検出したことに応じて、電極母材60を切断するように切断機構120を制御する。図4に示されるように、検出部140が最初に前縁36aを検出した場合には、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32(電極板34)の前縁32aを形成するために、コントローラ160は、検出部140によって前縁36aが検出された時点(位置)から、電極母材60が搬送方向に距離D1だけ搬送されたか否かを判定する。距離D1は、コントローラ160に予め設定されている。距離D1は、検出部140の検出位置Pdと切断機構120の切断位置Pcとの搬送方向に沿った距離D0よりも短い。距離D0と距離D1との差分は、バイポーラ電極32の前縁32aと前縁36aとの距離と等しい。そして、コントローラ160は、電極母材60が搬送方向に距離D1だけ搬送されたと判定すると、切断機構120に電極母材60を切断させる。これにより、前縁32aが形成される。
【0049】
続いて、図5に示されるように、1番目の前縁36aと同様に、2番目以降の前縁36aが検出されたことに応じて、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32(電極板34)の前縁32aを形成するために、コントローラ160は、検出部140によって前縁36aが検出された時点から、電極母材60が搬送方向に距離D1だけ搬送されたか否かを判定する。そして、コントローラ160は、電極母材60が搬送方向に距離D1だけ搬送されたと判定すると、切断機構120に電極母材60を切断させる。これにより、前縁32aが形成される。前縁32aが形成されることで、1つ前に検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32の後縁32bが形成され、1つ前のバイポーラ電極32が個片化される。そして、個片化されたバイポーラ電極32は搬送機構130に受け渡される。
【0050】
なお、コントローラ160は、供給機構110を制御することによって、切断機構120に供給されている電極母材60の搬送を、切断機構120に対して相対的に停止させ、停止状態の電極母材60を切断機構120に切断させる。
【0051】
(停止工程)
続いて、コントローラ160は、停止条件が満たされたことに応じて、電極製造装置100を停止する。コントローラ160は、例えば、供給機構110による電極母材60の供給及び搬送を停止する。停止条件としては、電極母材60が長手方向に沿った所定の距離Dth(所定距離)を搬送される間に検出部140が前縁36aを検出しなかったことが挙げられる。図6に示されるように、コントローラ160は、検出部140が前縁36aを検出した位置から長手方向に沿った所定の距離Dthの間に、検出部140が前縁36aを検出しなかったことに応じて、供給機構110に電極母材60の供給及び搬送を停止させる。具体的には、コントローラ160は、供給ロール111及び一対のニップロール112の動作を停止する。つまり、コントローラ160は、前縁36aが検出されてから、電極母材60が距離Dthだけ搬送される間に次の前縁36aが検出されなかった場合に、供給されている電極母材60が電極母材60の後端部分60bに達したと判定し、供給機構110の動作を停止する。
【0052】
距離Dthは、コントローラ160に予め設定されている。距離Dthは、ピッチDpの誤差を考慮して設定され、ピッチDpよりも大きい。距離Dthは、例えば、ピッチDpに5mm程度を加えた値に設定される。コントローラ160は、既に検出されている前縁36aに対応する切断を行ってから、供給機構110に電極母材60の供給を停止させてもよい。コントローラ160は、例えば、最後に検出された前縁36aに応じて前縁32aが形成された時点(位置)から、電極母材60が搬送方向にさらにバイポーラ電極32の長さLだけ搬送されたと判定すると、切断機構120に電極母材60を切断させる。これにより、最後に検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32の後縁32bが形成される。なお、長さLは、前縁32aから後縁32bまでの長さであり、ピッチDpと略等しい。長さLは、コントローラ160に予め設定されている。
【0053】
他の停止条件としては、個片化されたバイポーラ電極32の数が製造個数に達したこと、及び作業者が電極製造装置100の停止操作を行ったことが挙げられる。これらの場合には、既に検出されている前縁36aに対応する切断が行われていなくても、コントローラ160は、電極製造装置100(供給機構110)を停止させる。
【0054】
以上説明した電極製造装置100及びバイポーラ電極32の製造方法では、複数の正極36は、導電性シート61の面61aにおいて、長手方向に沿って間欠的に配列されている。複数の負極38は、導電性シート61の面61bにおいて、長手方向に沿って間欠的に配列されるとともに、複数の正極36と対応する位置に設けられている。そして、長手方向に沿った距離Dthを電極母材60が搬送される間に正極36の前縁36aが検出されなかったことに応じて、電極製造装置100(供給機構110)の動作が停止される。例えば、電極母材60の後端部分60bに達した場合には、正極36の前縁36aが検出されないので、電極製造装置100の動作が停止される。このため、予め設定された個数のバイポーラ電極32を製造し終える前であっても、電極製造装置100(供給機構110)の動作が停止されるので、電極母材60が供給され続けることはない。これにより、作業者は、製造するバイポーラ電極32の個数を正確に設定する必要が無い。その結果、設定作業を煩雑化することなく、電極製造装置100の故障を回避することが可能となる。
【0055】
コントローラ160は、検出部140が前縁36aを検出したことに応じて、電極母材60を切断するように切断機構120を制御する。このため、検出された前縁36aを有する正極36を含むバイポーラ電極32を製造することができる。
【0056】
互いに隣り合う正極36間のピッチDpよりも大きい距離Dthだけ電極母材60が搬送されている間に、前縁36aが検出されなかった場合には、前回検出された前縁36aを有する正極36の上流には、正極36が存在しないと考えることができる。このため、距離Dthだけ電極母材60が搬送される間に前縁36aが検出されなかったことに応じて、電極製造装置100(供給機構110)の動作が停止される。これにより、電極製造装置100(供給機構110)の動作の停止を精度良く行うことができる。
【0057】
正極36は、搬送方向の下流に位置する前縁36aを基準として形成されることがある。正極36の大きさには製造公差が含まれ得るので、長手方向に互いに隣り合う2つの正極36の後縁36bの間隔は、ピッチDpとは異なる場合があり、距離Dthよりも大きいこともあり得る。したがって、検出部140が後縁36bを検出する場合には、後続の正極36が存在するにもかかわらず、電極母材60が距離Dthだけ搬送される間に後縁36bが検出されず、電極製造装置100が停止される可能性がある。一方、長手方向に互いに隣り合う2つの正極36の前縁36aの間隔は、ピッチDpと略等しい。このため、正極36の形成工程で基準として用いられた前縁36aを検出部140が検出することにより、後続の正極36が存在する場合には、電極母材60が距離Dthだけ搬送される間に前縁36aが検出される可能性が高い。その結果、正極36の検出精度を向上させることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0059】
例えば、切断機構120は、レーザ光、電子ビーム又は収束イオンビーム等の高エネルギービームを用いて電極母材60を切断してもよいし、例えばロータリーダイカッター等を用いて電極母材60を機械的に切断してもよい。
【0060】
また、検出部140は、カラーセンサであってもよいし、高さセンサであってもよい。カラーセンサは、正極36と導電性シート61との色の違いによって、前縁36aを検出する。高さセンサは、高さセンサから導電性シート61の面61aまでの距離と、高さセンサから正極36の上面までの距離と、の違いによって、前縁36aを検出する。
【0061】
また、検出部140は、正極36の後縁36bを検出してもよい。また、電極母材60は、ロール117からニップロール112の間において面61bが上方を向くように搬送されてもよい。この場合、検出部140は、負極38のエッジを検出する。検出部140は、負極38が有するエッジのうち、搬送方向の下流に位置する前縁38aを検出してもよく、搬送方向の上流に位置する後縁38bを検出してもよい。
【0062】
また、検出部150は、電極母材60の搬送量を検出できればよい。検出部150は、電極母材60の搬送速度と搬送時間とを検出し、搬送速度及び搬送時間から搬送量を演算してもよい。
【0063】
また、コントローラ160は、停止条件が満たされたことに応じて、電極製造装置100の全体を停止してもよく、供給機構110を含む一部を停止してもよい。
【0064】
電極製造装置100は、バイポーラ電極32に代えて、正極側終端電極又は負極側終端電極を製造してもよい。つまり、電極母材60に代えて、導電性シート61の面61aにおいて、複数の正極36が長手方向に沿って所定のピッチDpで間欠的に配列された電極母材が用いられてもよく、導電性シート61の面61bにおいて、複数の負極38が長手方向に沿って所定のピッチDnで間欠的に配列された電極母材が用いられてもよい。
【0065】
また、正極36及び負極38は、長手方向において複数領域に分割されていてもよい。この場合、コントローラ160は、検出部140からエッジ検出信号を受信してから、所定の距離だけ電極母材60が搬送されるまでの間に受信したエッジ検出信号を無視する。所定の距離は、例えば、正極36の前縁36aから後縁36bまでの長さの設計値に設定される。これにより、前縁36aの誤検出を抑制することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、前縁36aが検出されるごとに、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32の前縁32aが形成されるが、切断機構120の切断動作はこれに限られない。例えば、前縁36aが検出されるごとに、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32の後縁32bが形成されてもよい。
【0067】
この場合、検出部140が最初に前縁36aを検出した場合には、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32(電極板34)の前縁32a及び後縁32bを形成する必要がある。このため、上記実施形態と同様に、バイポーラ電極32(電極板34)の前縁32aを形成するために、コントローラ160は、検出部140によって前縁36aが検出された時点から、電極母材60が搬送方向に距離D1だけ搬送されたか否かを判定する。そして、コントローラ160は、電極母材60が搬送方向に距離D1だけ搬送されたと判定すると、切断機構120に電極母材60を切断させる。これにより、前縁32aが形成される。
【0068】
続いて、バイポーラ電極32(電極板34)の後縁32bを形成するために、コントローラ160は、検出部140によって前縁36aが検出された時点から、電極母材60が搬送方向に距離D2だけ搬送されたか否かを判定する。距離D2は、距離D1と長さLとの和である。言い換えると、コントローラ160は、電極母材60を切断した時点から、電極母材60が搬送方向にさらに長さLだけ搬送されたか否かを判定する。そして、コントローラ160は、電極母材60が搬送方向に距離D2だけ搬送されたと判定すると、切断機構120に電極母材60を切断させる。これにより、後縁32bが形成され、バイポーラ電極32が個片化される。そして、個片化されたバイポーラ電極32は搬送機構130に受け渡される。
【0069】
2番目以降のバイポーラ電極32では、1つ前のバイポーラ電極32の後縁32bが形成されると、当該バイポーラ電極32の前縁32aが形成されるので、2番目以降の前縁36aが検出されたことに応じて、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32の後縁32bが形成されればよい。そこで、コントローラ160は、検出部140によって前縁36aが検出された時点から、電極母材60が搬送方向に距離D2だけ搬送されたか否かを判定する。そして、コントローラ160は、電極母材60が搬送方向に距離D2だけ搬送されたと判定すると、切断機構120に電極母材60を切断させる。
【0070】
また、前縁36aが検出されるごとに、検出された前縁36aを有する正極36が含まれるバイポーラ電極32の前縁32a及び後縁32bが形成されてもよい。この場合、搬送方向に隣り合う2つのバイポーラ電極32のうちの上流のバイポーラ電極32の前縁32aは、下流のバイポーラ電極32の後縁32bとは異なる位置で電極母材60を切断することで形成される。
【符号の説明】
【0071】
32…バイポーラ電極、32a…前縁、32b…後縁、34…電極板、34c…面、34d…面、36…正極、36a…前縁、36b…後縁、38…負極、38a…前縁、38b…後縁、60…電極母材、61…導電性シート、61a…面(第1面)、61b…面(第2面)、100…電極製造装置、110…供給機構、120…切断機構、140…検出部、150…検出部、160…コントローラ(制御部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6