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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】自動二輪車のフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/30 20060101AFI20220216BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20220216BHJP
   B62J 1/12 20060101ALN20220216BHJP
   B62J 45/00 20200101ALN20220216BHJP
【FI】
B62K19/30
B62J23/00 E
B62J1/12 B
B62J45/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018020814
(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公開番号】P2019137153
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】西口 正記
(72)【発明者】
【氏名】▲くわ▼野 敬太
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107795(JP,A)
【文献】特開2016-193647(JP,A)
【文献】特開2014-031125(JP,A)
【文献】特開2012-171549(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159264(JP,U)
【文献】国際公開第2016/170688(WO,A1)
【文献】特開2006-182146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 19/30
B62J 23/00
B62J 1/12
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車のシートの下方を前後に延びる左右一対のシートフレームと、
前記左右一対のシートフレーム間を繋ぎ、上側に凸形状に形成され、前記シートの背面に沿って傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の後端に連なって水平に延びる水平部と、を有するフレームブリッジと、
前記フレームブリッジの下方空間に配置される車両構成部品を保持するブラケットと、を備え、
前記フレームブリッジの前記傾斜部に切欠き又は穴が形成されており、
前記ブラケットは、車幅方向に延びる長尺部と、前記長尺部の後縁から延びて前記長尺部に対して略直角に折り曲げられる屈曲部と、を有し、前記屈曲部の後端部分に前記車両構成部品が取り付けられ、
前記ブラケットは、前記フレームブリッジに対して着脱可能であり、前記長尺部が前記切欠き又は穴の少なくとも一部を跨ぐように前記フレームブリッジに取り付けられ
側面視において、前記屈曲部に取り付けられた前記車両構成部品が、前記フレームブリッジの前記傾斜部と前記水平部の下方空間に配置されることを特徴とする自動二輪車のフレーム構造。
【請求項2】
前記フレームブリッジは、前記シートの背面に対向することを特徴とする請求項に記載の自動二輪車のフレーム構造。
【請求項3】
前記フレームブリッジは、前記シートフレームとの接続部分を構成する複数の脚部を有し、
前記複数の脚部間には所定の隙間が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動二輪車のフレーム構造。
【請求項4】
前記シートフレームの外側を覆うフレームカバーを更に備え、
前記フレームカバーは、前記ブラケットと共に前記フレームブリッジに取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の自動二輪車のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車においては、前後に延びる一対のフレームの下方空間に所定の機能部品が配置されるものがある。例えば、特許文献1に記載の自動二輪車は、燃料電池車両であり、一対のフレームの下方空間に燃料タンク等を含む燃料供給システムが配置されている。一対のフレーム間にはクロスメンバ(フレームブリッジ)が架け渡されており、クロスメンバの下方には、燃料タンクに接続される弁装置としてのタンクバルブが配置される。クロスメンバは、例えば溶接により一対のフレームに固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-114213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、クロスメンバが一対のフレームに対して固着されていることで、クロスメンバの下方におけるタンクバルブの組付け性及び当該タンクバルブに対するアクセス性に影響を与えるという問題がある。
【0005】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、フレームブリッジの下方における車両構成部品の組付け性、及びフレームブリッジの下方へのアクセス性を向上することができる自動二輪車のフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の自動二輪車のフレーム構造は、自動二輪車のシートの下方を前後に延びる左右一対のシートフレームと、前記左右一対のシートフレーム間を繋ぎ、上側に凸形状に形成され、前記シートの背面に沿って傾斜する傾斜部と、前記傾斜部の後端に連なって水平に延びる水平部と、を有するフレームブリッジと、前記フレームブリッジの下方空間に配置される車両構成部品を保持するブラケットと、を備え、前記フレームブリッジの前記傾斜部に切欠き又は穴が形成されており、前記ブラケットは、車幅方向に延びる長尺部と、前記長尺部の後縁から延びて前記長尺部に対して略直角に折り曲げられる屈曲部と、を有し、前記屈曲部の後端部分に前記車両構成部品が取り付けられ、前記ブラケットは、前記フレームブリッジに対して着脱可能であり、前記長尺部が前記切欠き又は穴の少なくとも一部を跨ぐように前記フレームブリッジに取り付けられ、側面視において、前記屈曲部に取り付けられた前記車両構成部品が、前記フレームブリッジの前記傾斜部と前記水平部の下方空間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フレームブリッジの下方における車両構成部品の組付け性、及びフレームブリッジの下方へのアクセス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る自動二輪車のフレーム構造の概略構成を示す左側面図である。
図2】シートフレーム周辺の縦断面図である。
図3】シートフレームの周辺構成を拡大した斜視図である。
図4図3からシートフレームカバーを省略した図である。
図5】車両構成部品を保持するブラケットの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明をスポーツタイプの自動二輪車に適用した例について説明するが、適用対象はこれに限定されることなく変更可能である。例えば、本発明に係る自動二輪車のフレーム構造を、他のタイプの自動二輪車や、バギータイプの自動三輪車等に適用してもよい。また、方向について、車両前方を矢印FR、車両後方を矢印REでそれぞれ示す。また、以下の各図では、説明の便宜上、一部の構成を省略している。
【0010】
図1を参照して、本実施の形態に係る自動二輪車のフレーム構造の概略構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る自動二輪車のフレーム構造の概略構成を示す左側面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態に係る自動二輪車は、エンジンやトランスミッションを含んで構成されるパワーユニット(共に不図示)を車体フレーム1に懸架して構成される。車体フレーム1は、例えば、鋼製又はアルミ合金製のダイヤモンドフレームであり、上記のようにパワーユニットを懸架する。車体フレーム1は、複数のパイプを溶接等により結合して形成される。
【0012】
具体的に車体フレーム1は、ヘッドパイプ10と、ヘッドパイプ10の上端から後方へ延びるメインフレーム11と、ヘッドパイプ10の軸方向略中央から下方に延びるダウンフレーム12とを含んで構成される。
【0013】
メインフレーム11は、後方に向かうに従って僅かに下方に傾斜しており、その途中で左右に分岐する。そして、左右に分岐したメインフレーム11のそれぞれが下方に向かって屈曲し、エンジンの後下方まで延びている。エンジンの後部は、メインフレーム11に支持される。ダウンフレーム12は、エンジンの前方部分を懸架する懸架部を含む。
【0014】
また、左右に分岐したメインフレーム11の各屈曲部分には、後方に向かって延びる左右一対のシートフレーム13が溶接されている。シートフレーム13は、後方に向かうに従って僅かに上方に傾斜している。シートフレーム13の上方には、前側からフロントシート14及びリヤシート15が設けられる。リヤシート15の左右には、同乗者用のリヤハンドル16が取り付けられる。
【0015】
また、左右一対のメインフレーム11において、下方に向かって延びる部分の途中には、後上方に向かって延びる一対のリヤフレーム17が溶接されている。リヤフレーム17の後端は、シートフレーム13の後部に下方から連結される。リヤフレーム17の途中には、後下方に向かって側面視V字状に延びる同乗者用のフートレストブラケット18が連結されている。また、左右一対のリヤフレーム17の後半部分には、当該フレーム間を下方から覆うように第1リヤフェンダ19が設けられている。第1リヤフェンダ19の後端には、後方に向かって延び、後輪(不図示)の上方を覆う第2リヤフェンダ20が設けられている。
【0016】
また、詳細は後述するが、左右一対のシートフレーム13及びリヤフレーム17によって囲まれる空間には、所定の車両構成部品が配置される。
【0017】
このように構成される車体フレーム1の各部には、各種外装カバーが設けられる。具体的にメインフレーム11の側面視上半部分がアッパサイドカバー21によって覆われ、メインフレーム11の側面視下半部分がロアサイドカバー22によって覆われる。シートフレーム13の側方(外側)は、シートフレームカバー23によって覆われ、リヤフレーム17の側方は、リヤフレームカバー24によって覆われる。
【0018】
次に、図2から図5を参照して、自動二輪車のフレーム構造について詳細に説明する。図2は、シートフレーム周辺の縦断面図である。図3は、シートフレームの周辺構成を拡大した斜視図である。図4は、図3からシートフレームカバーを省略した図である。図5は、車両構成部品を保持するブラケットの拡大図である。
【0019】
図2から図4に示すように、フロントシート14とリヤシート15の境界近傍における左右一対のシートフレーム13には、それぞれの間を繋ぐフレームブリッジ4が溶接されている。フレームブリッジ4により、シートフレーム13のねじり剛性が高められている。また、フレームブリッジ4は、フロントシート14及びリヤシート15の一部を支える支持部材としての役割も果たす。
【0020】
フロントシート14は、シートフレーム13に対向する下面14aと、当該下面14aの後端部分から上方に立ち上がる背面14bとを有する。フロントシート14の背面14bは、後方に向かうに従って上方に傾斜している。フロントシート14は、下面14aが左右一対のシートフレーム13によって支えられ、背面14bがフレームブリッジ4によって支えられる。リヤシート15の下面は、前半部分が水平面15aとなっており、後半部分が後方に向かうに従って上方へ緩やかに傾斜する傾斜面15bとなっている。リヤシート15の水平面15aは、フレームブリッジ4によって支えられる。
【0021】
また、左右一対のシートフレーム13の後端にも、それぞれの間を繋ぐシート側ブリッジ25及びフェンダ側ブリッジ26が溶接されている。シート側ブリッジ25及びフェンダ側ブリッジ26によっても、シートフレーム13のねじり剛性が高められている。
【0022】
シートフレーム13の上側に位置するシート側ブリッジ25は、リヤシート15の一部を支える支持部材としての役割も果たす。シート側ブリッジ25は、左右一対のシートフレーム13の後端部分を繋ぐ。シート側ブリッジ25の上面でリヤシート15の後端部分を支える。また、シートフレーム13の下側に位置するフェンダ側ブリッジ26は、第1リヤフェンダ19の一部を支える支持部材としての役割も果たす。フェンダ側ブリッジ26は、左右一対のリヤフレーム17の後端部分を繋ぐ。フェンダ側ブリッジ26の下面で第1リヤフェンダ19の後端部分を支持する。
【0023】
ここで、フレームブリッジ4の詳細構成について説明する。フレームブリッジ4は、上側に向かって膨出する凸形状の板状体で形成され、左右一対のシートフレーム13の対向間隔に対応した左右幅と所定の前後幅とを有する。より具体的にフレームブリッジ4は、側面視においてフロントシート14の背面14bに沿って傾斜する傾斜部40と、傾斜部40の後端に連なって水平に延びる水平部41と、前後左右の四隅に形成される複数(本実施の形態では4つ)の脚部42と、を有する。
【0024】
傾斜部40は、フロントシート14の背面14bと同様に後方に向かうに従って上方に傾斜している。また、傾斜部40は、車幅方向の中央部分に切欠き43が形成されている。これにより、フレームブリッジ4が全体として、前方が開放された上面視コの字形状を有する。傾斜部40は、フロントシート14の背面14bに対向しており、フロントシート14との間に設けられるシートクッション(不図示)を介してフロントシート14の背面14bを支える。水平部41は、リヤシート15の水平面15aに対向しており、上面に設けられるシートストライカー28を介してリヤシート15の水平面15aを支える。
【0025】
4つの脚部42は、左右一対のシートフレーム13との接続部分を構成し、1つのシートフレーム13につき前後に並ぶ2つの脚部42が溶接される。左右に並ぶ2つの脚部42の間には、左右一対のシートフレーム13の対向間隔に対応した隙間が形成されている。また、フレームブリッジ4の左右両側面には、開口44が形成されており、前後に並ぶ2つの脚部42の間には、所定の隙間が形成されている。なお、脚部42の個数は4つに限らず、適宜変更が可能である。
【0026】
また、フロントシート14、リヤシート15、第1リヤフェンダ19、左右一対のシートフレーム13及びリヤフレーム17によって囲まれる空間には、車両構成部品として、リレー29、フューエルカットセンサ30、ECU31(Electronic Control Unit)等の電装部品が配置される。特にリレー29は、上方に膨出するフレームブリッジ4によって形成される下方空間に配置される。より具体的にリレー29は、左右一対のシートフレーム13の間で、側面視において傾斜部40及び水平部41の下方であってシートフレーム13の軸中心よりも上方に位置している。詳細は後述するが、リレー29は、予め板状のブラケット5に固定された状態で、当該ブラケット5を介してフレームブリッジ4に取り付けられる。
【0027】
リレー29の下方には、別の車両構成部品として、フューエルカットセンサ30及びECU31が配置される。また、フューエルカットセンサ30及びECU31は、側面視においてシートフレーム13の下方に配置され、第2リヤフェンダ20の上面側に保持される。より具体的にフューエルカットセンサ30は、リレー29の直下に配置され、ECU31は、リレー29の後下方に配置される。
【0028】
ところで、自動二輪車において、フレームによって囲まれる限られた空間内に電装部品等の車両構成部品が配置される場合、車両構成部品の組付け性や当該空間へのアクセス性が課題となっていた。例えば、左右一対のシートフレーム間を繋ぐフレームブリッジが障害となって、フレームブリッジの下方に車両構成部品を配置する際の組付けや、フレームブリッジの下方へのアクセスが困難になる場合が想定される。
【0029】
そこで、本件発明者等は、フレームブリッジの形状に着目し、本発明に想到した。具体的に本実施の形態では、フレームブリッジ4の一部(傾斜部40)に車両構成部品(リレー29)の大きさに対応した切欠き43を形成し、当該切欠き43の一部を跨ぐように板状のブラケット5を取り付ける構成とした。ブラケット5は、フレームブリッジ4の下方空間に配置されるリレー29を保持するものであり、フレームブリッジ4に対して着脱可能に構成されている。
【0030】
この構成によれば、予めブラケット5にリレー29を固定しておき、当該ブラケット5をフレームブリッジ4に取り付けることで、容易にフレームブリッジ4の下方空間にリレー29を配置することが可能である。また、ブラケット5をフレームブリッジ4に対して着脱可能としたことで、ブラケット5をリレー29ごとフレームブリッジ4から取り外すことができる。これにより、フレームブリッジ4の切欠き43が開放され、当該切欠き43を通じてフレームブリッジ4の下方空間へアクセスすることが可能となる。すなわち、フレームブリッジ4の下方におけるリレー29の組付け性、及び当該リレー29(フレームブリッジ4の下方)へのアクセス性が向上されている。
【0031】
次に、ブラケット5の周辺構成について詳細に説明する。図3から図5に示すように、ブラケット5は、所定厚みの金属板を折り曲げて形成される。具体的にブラケット5は、車幅方向(左右方向)に延びる長尺部50と、長尺部50の後縁部分から延びて長尺部50に対して略直角に折り曲げられる一対の屈曲部51と、を有する。
【0032】
長尺部50は、切欠き43を左右で跨ぐように、傾斜部40の左右幅に対応した長さを有している。長尺部50の両端には、固定用のネジBを挿通するための貫通穴52が形成されている。なお、傾斜部40の両端には、貫通穴52に対応して不図示のネジ穴が形成されている。
【0033】
一対の屈曲部51は、切欠き43の幅内で左右に並んで配置されている。各屈曲部51の左右幅は、切欠き43の幅に対して十分に小さく設定されている。屈曲部51の後端部分には、リレー29が取り付けられる。
【0034】
リレー29は、概して直方体形状を有し、外側が相補形状の弾性体29aによって覆われている。弾性体29aは、例えば、ゴム等で形成される。弾性体29aの上面は、屈曲部51に対して一段上方に突出しており、突出した部分には、屈曲部51を挿通するためのスリット(不図示)が形成されている。当該スリットに屈曲部51を挿通することでリレー29を浮動支持することが可能であり、リレー29に対する振動伝達が抑制されている。なお、図3及び図4においては、各屈曲部51にリレー29が取り付けられた状態を示しており、図5においては、一方(右側)にのみリレー29が取り付けられた状態を示している。
【0035】
リレー29がブラケット5に取り付けられた状態においては、図2に示すように、長尺部50の背面とリレー29(弾性体29a)の前面とが対向している。また、図4に示すように、2つのリレー29が左右に並んで配置されている状態において、2つのリレー29(弾性体29aを含む)の左右幅は、切欠き43の左右幅よりも小さくなっている。よって、リレー29がフレームブリッジ4に干渉することなく、リレー29をブラケット5に取り付けたまま、ブラケット5をフレームブリッジ4に対して着脱することが可能である。このように、ブラケット5及びリレー29の着脱作業性が向上されている。
【0036】
また、フレームブリッジ4を上側に凸形状とし、当該凸形状によって形成されるフレームブリッジ4の下方空間にリレー29を配置したことで、左右一対のシートフレーム13間の限られたスペースを有効に活用することが可能である。また、リレー29の下方、すなわち、シートフレーム13よりも下方に、第1リヤフェンダ19上に保持されたフューエルカットセンサ30及びECU31が配置したことで、左右一対のシートフレーム13間の限られたスペースを高さ方向にも活用することが可能になっている。
【0037】
また、シートフレーム13との接続部分を構成する複数の脚部42の間に所定の隙間を形成したことで、電装部品周辺の空気の逃げ道を確保することができ、放熱性が向上されている。
【0038】
また、図3に示すように、ブラケット5をフレームブリッジ4に取り付ける際には、シートフレームカバー23も一緒に取り付けられる。すなわち、左右一対のシートフレームカバー23は、ブラケット5と共にフレームブリッジ4に取り付けられる。具体的にシートフレームカバー23は、シートフレーム13の外側を覆う側壁部23aと、側壁部23aの一部から車幅方向内側に突出する突出部23bと、を有する。
【0039】
突出部23bは、傾斜部40の上面に対向する位置に設けられており、ネジ穴(不図示)に対応する位置に不図示の貫通穴が形成されている。傾斜部40の上には、長尺部50、突出部23bがこの順番に設けられ、突出部23bの上方からネジBを締め付けることにより、シートフレームカバー23とブラケット5がフレームブリッジ4に共締めされる。よって、シートフレームカバー23の固定用に別途ブラケットを設ける必要がなく、部品点数の削減、及び取付作業工数の削減が図られている。
【0040】
以上説明したように、本実施の形態では、左右一対のシートフレーム13間を繋ぐフレームブリッジ4の一部に切欠き43を形成し、当該切欠き43の一部を跨ぐようにブラケット5を取り付ける構成とした。また、ブラケット5には、車両構成部品としてリレー29を取り付け、ブラケット5をフレームブリッジ4に対して着脱可能とした。これにより、フレームブリッジ4の下方における車両構成部品の組付け性、及びフレームブリッジ4の下方へのアクセス性を向上することが可能である。また、シートフレーム13のねじり剛性を確保することが可能である。
【0041】
なお、上記実施の形態では、車体フレーム1としてダイヤモンドタイプのフレームを例にして説明したが、この構成に限定されない。例えば、車体フレーム1は、ツインスパータイプやクレードルタイプのフレームで構成されてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、左右一対のシートフレーム13間を繋ぐフレームブリッジ4を例にして説明したが、この構成に限定されない。例えば、フレームブリッジ4は、一対のメインフレーム11間や、一対のリヤフレーム17間を繋ぐように構成されてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態では、車両構成部品として、リレー29、フューエルカットセンサ30、ECU31を例にして説明したが、この構成に限定されない。車両構成部品として、他に、バッテリ、ABSユニット、吸気系部品等を採用してもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、リレー29が弾性体29aを介してブラケット5に浮動支持される場合について説明したが、この構成に限定されない。リレー29の取付方法は適宜変更が可能であり、例えば、ネジによる締結、金属同士の溶接、樹脂同士の溶着又は接着、スナップフィット等の係合による他の方法が採用可能である。
【0045】
また、上記実施の形態では、フレームブリッジ4(傾斜部40)に切欠き43が形成される構成としたが、この構成に限定されない。フレームブリッジ4には、切欠き43の代わりに穴が形成されてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、ブラケット5が金属板で形成される場合について説明したが、この構成に限定されない。ブラケット5は、例えば樹脂材料で形成されてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、ブラケット5が、切欠き43の一部を跨ぐように取り付けられる場合について説明したが、この構成に限定されない。ブラケット5は、切欠き43の全てを跨ぐように形成されてもよい。
【0048】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0049】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。更には、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように、本発明は、フレームブリッジの下方における車両構成部品の組付け性、及びフレームブリッジの下方へのアクセス性を向上することができるという効果を有し、特に、自動二輪車のフレーム構造に有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 :車体フレーム
4 :フレームブリッジ
5 :ブラケット
10 :ヘッドパイプ
11 :メインフレーム
12 :ダウンフレーム
13 :シートフレーム
14 :フロントシート(シート)
14a :下面
14b :背面
15 :リヤシート(シート)
15a :水平面
15b :傾斜面
16 :リヤハンドル
17 :リヤフレーム
18 :フートレストブラケット
19 :第1リヤフェンダ
20 :第2リヤフェンダ
21 :アッパサイドカバー
22 :ロアサイドカバー
23 :シートフレームカバー(フレームカバー)
23a :側壁部
23b :突出部
24 :リヤフレームカバー
25 :シート側ブリッジ
26 :フェンダ側ブリッジ
28 :シートストライカー
29 :リレー(車両構成部品)
29a :弾性体
30 :フューエルカットセンサ
31 :ECU
40 :傾斜部
41 :水平部
42 :脚部
43 :切欠き
44 :開口
50 :長尺部
51 :屈曲部
52 :貫通穴
B :ネジ
図1
図2
図3
図4
図5