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特許7024511文書変換装置、文書変換プログラム及び文書変換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】文書変換装置、文書変換プログラム及び文書変換方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/154 20200101AFI20220216BHJP
   G06F 40/12 20200101ALI20220216BHJP
【FI】
G06F40/154
G06F40/12
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018042605
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019159519
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】早坂 光晴
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0235161(US,A1)
【文献】特開2016-218698(JP,A)
【文献】特表2013-527505(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/103777(JP,A1)
【文献】特開2006-146312(JP,A)
【文献】特開2017-207847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0106822(US,A1)
【文献】特開2009-271780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/154
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフィススイートアプリケーションを用いて作成された第1のフォーマットの第1の文書を、ウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書に変換すると共に、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換する文書変換装置であって、
前記第1の文書を取得して解析し、前記第1の文書に含まれる前記第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、前記第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析部と、
前記編集制限の設定に従って、前記第1のフォーマットのオブジェクトを変換して前記第2の文書を生成し、生成した前記第2の文書を出力する変換部と、
編集済みの前記第2の文書を取得して解析し、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて前記第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して前記第1の文書に再変換する再変換部と、を備え、
前記変換部は、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用される前記編集制限を記述した属性データを付加し、
前記再変換部は、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された前記属性データに対する編集内容を、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに反映させる、
ことを特徴とする文書変換装置。
【請求項2】
前記変換部は、前記第1の文書に編集制限が設定されている場合、前記編集制限が適用されない前記第1のフォーマットのオブジェクトは前記第2のフォーマットのオブジェクトに変換し、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトは画像化したイメージオブジェクトに変換する、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書変換装置。
【請求項3】
前記変換部は、表示部に、前記第1の文書に設定された編集制限を反映して変換する第1の変換モードと、前記編集制限を反映しないで変換する第2の変換モードと、を選択可能に表示させ、前記第1の変換モードが選択された場合は、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトを前記イメージオブジェクトに変換する、
ことを特徴とする請求項2に記載の文書変換装置。
【請求項4】
前記再変換部は、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトに対しては、対応する前記イメージオブジェクトの有無、及び、前記イメージオブジェクトに付加された前記属性データの変更の有無に応じて、当該第1のフォーマットのオブジェクトを再構成する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の文書変換装置。
【請求項5】
前記再変換部は、前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用された編集制限と、対応する前記第2のフォーマットのオブジェクト又は前記イメージオブジェクトに付加された前記属性データに記述された編集制限とを比較し、前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用された編集制限よりも前記属性データに記述された編集制限の方が厳しい場合、前記第1のフォーマットのオブジェクトに前記属性データに記述された編集制限を反映させる、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一に記載の文書変換装置。
【請求項6】
前記再変換部は、表示部に、前記属性データに記述された前記編集制限の反映を許可する第1モードと、前記編集制限のレベルを上げる時のみ前記編集制限の反映を許可する第2モードと、前記編集制限の反映を許可しない第3モードと、を選択可能に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の文書変換装置。
【請求項7】
前記再変換部は、前記第1の文書を前記第2の文書に変換したユーザと、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換するユーザと、が一致する場合は、前記第1モードに設定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の文書変換装置。
【請求項8】
前記第1のフォーマットは、OOXML(Office Open XML)又はODF(OpenDocument Format)であり、前記第2フォーマットは、HTML(Hyper Text Markup Language)であり、前記属性データは、class属性である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の文書変換装置。
【請求項9】
オフィススイートアプリケーションを用いて作成された第1のフォーマットの第1の文書を、ウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書に変換すると共に、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換する装置で動作する文書変換プログラムであって、
前記装置に、
前記第1の文書を取得して解析し、前記第1の文書に含まれる前記第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、前記第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析処理、
前記編集制限の設定に従って、前記第1のフォーマットのオブジェクトを変換して前記第2の文書を生成し、生成した前記第2の文書を出力する変換処理、
編集済みの前記第2の文書を取得して解析し、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて前記第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して前記第1の文書に再変換する再変換処理、を実行させ、
前記変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用される前記編集制限を記述した属性データを付加し、
前記再変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された前記属性データに対する編集内容を、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに反映させる、
ことを特徴とする文書変換プログラム。
【請求項10】
前記変換処理では、前記第1の文書に編集制限が設定されている場合、前記編集制限が適用されない前記第1のフォーマットのオブジェクトは前記第2のフォーマットのオブジェクトに変換し、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトは画像化したイメージオブジェクトに変換する、
ことを特徴とする請求項9に記載の文書変換プログラム。
【請求項11】
前記変換処理では、表示部に、前記第1の文書に設定された編集制限を反映して変換する第1の変換モードと、前記編集制限を反映しないで変換する第2の変換モードと、を選択可能に表示させ、前記第1の変換モードが選択された場合は、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトを前記イメージオブジェクトに変換する、
ことを特徴とする請求項10に記載の文書変換プログラム。
【請求項12】
前記再変換処理では、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトに対しては、対応する前記イメージオブジェクトの有無、及び、前記イメージオブジェクトに付加された前記属性データの変更の有無に応じて、当該第1のフォーマットのオブジェクトを再構成する、
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の文書変換プログラム。
【請求項13】
前記再変換処理では、前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用された編集制限と、対応する前記第2のフォーマットのオブジェクト又は前記イメージオブジェクトに付加された前記属性データに記述された編集制限とを比較し、前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用された編集制限よりも前記属性データに記述された編集制限の方が厳しい場合、前記第1のフォーマットのオブジェクトに前記属性データに記述された編集制限を反映させる、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一に記載の文書変換プログラム。
【請求項14】
前記再変換処理では、表示部に、前記属性データに記述された前記編集制限の反映を許可する第1モードと、前記編集制限のレベルを上げる時のみ前記編集制限の反映を許可する第2モードと、前記編集制限の反映を許可しない第3モードと、を選択可能に表示させる、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一に記載の文書変換プログラム。
【請求項15】
前記再変換処理では、前記第1の文書を前記第2の文書に変換したユーザと、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換するユーザと、が一致する場合は、前記第1モードに設定する、
ことを特徴とする請求項14に記載の文書変換プログラム。
【請求項16】
前記第1のフォーマットは、OOXML(Office Open XML)又はODF(OpenDocument Format)であり、前記第2フォーマットは、HTML(Hyper Text Markup Language)であり、前記属性データは、class属性である、
ことを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一に記載の文書変換プログラム。
【請求項17】
オフィススイートアプリケーションを用いて作成された第1のフォーマットの第1の文書を、ウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書に変換すると共に、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換する文書変換装置を含むシステムにおける文書変換方法であって、
前記文書変換装置は、
前記第1の文書を取得して解析し、前記第1の文書に含まれる前記第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、前記第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析処理と、
前記編集制限の設定に従って、前記第1のフォーマットのオブジェクトを変換して前記第2の文書を生成する変換処理と、
生成した前記第2の文書を出力する出力処理と、
編集済みの前記第2の文書を取得して解析し、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて前記第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して前記第1の文書に再変換する再変換処理と、を実行し、
前記変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用される前記編集制限を記述した属性データを付加し、
前記再変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された前記属性データに対する編集内容を、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに反映させる、
ことを特徴とする文書変換方法。
【請求項18】
前記システムは閲覧装置を含み、
前記閲覧装置は、
前記第2の文書を受信して閲覧可能に表示し、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は前記属性データの編集を受け付ける編集処理と、
前記編集済みの前記第2の文書を送信する送信処理と、実行する、
ことを特徴とする請求項17に記載の文書変換方法。
【請求項19】
前記変換処理では、前記第1の文書に編集制限が設定されている場合、前記編集制限が適用されない前記第1のフォーマットのオブジェクトは前記第2のフォーマットのオブジェクトに変換し、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトは画像化したイメージオブジェクトに変換する、
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の文書変換方法。
【請求項20】
前記変換処理では、表示部に、前記第1の文書に設定された編集制限を反映して変換する第1の変換モードと、前記編集制限を反映しないで変換する第2の変換モードと、を選択可能に表示させ、前記第1の変換モードが選択された場合は、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトを前記イメージオブジェクトに変換する、
ことを特徴とする請求項19に記載の文書変換方法。
【請求項21】
前記再変換処理では、前記編集制限が適用される前記第1のフォーマットのオブジェクトに対しては、対応する前記イメージオブジェクトの有無、及び、前記イメージオブジェクトに付加された前記属性データの変更の有無に応じて、当該第1のフォーマットのオブジェクトを再構成する、
ことを特徴とする請求項19又は20に記載の文書変換方法。
【請求項22】
前記再変換処理では、前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用された編集制限と、対応する前記第2のフォーマットのオブジェクト又は前記イメージオブジェクトに付加された前記属性データに記述された編集制限とを比較し、前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用された編集制限よりも前記属性データに記述された編集制限の方が厳しい場合、前記第1のフォーマットのオブジェクトに前記属性データに記述された編集制限を反映させる、
ことを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一に記載の文書変換方法。
【請求項23】
前記再変換処理では、表示部に、前記属性データに記述された前記編集制限の反映を許可する第1モードと、前記編集制限のレベルを上げる時のみ前記編集制限の反映を許可する第2モードと、前記編集制限の反映を許可しない第3モードと、を選択可能に表示させる、
ことを特徴とする請求項17乃至22のいずれか一に記載の文書変換方法。
【請求項24】
前記再変換処理では、前記第1の文書を前記第2の文書に変換したユーザと、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換するユーザと、が一致する場合は、前記第1モードに設定する、
ことを特徴とする請求項23に記載の文書変換方法。
【請求項25】
前記第1のフォーマットは、OOXML(Office Open XML)又はODF(OpenDocument Format)であり、前記第2フォーマットは、HTML(Hyper Text Markup Language)であり、前記属性データは、class属性である、
ことを特徴とする請求項17乃至24のいずれか一に記載の文書変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書変換装置、文書変換プログラム及び文書変換方法に関し、特に、OOXML(Office Open XML)形式やODF(OpenDocument Format)などの第1の文書をHTML(Hyper Text Markup Language)形式などの第2の文書に変換し、編集後の第2の文書を第1の文書に再変換する文書変換装置、当該文書変換装置で動作する文書変換プログラム及び当該文書変換装置を含むシステムにおける文書変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文書作成や表計算などの処理が可能なオフィススイートアプリケーションは、オフィスワーク、教育、家庭など、あらゆる場面で一般的に使用されている。代表的なオフィススイートアプリケーションとして、Microsoft(登録商標、以下省略)のWord(登録商標、以下省略)、Excel(登録商標、以下省略)、PowerPoint(登録商標、以下省略)などのOfficeが挙げられる。また、Apache OpenOfficeなど、同様の機能を有するアプリケーションも複数流通している。上記MicrosoftのOfficeやオープンソースのApache OpenOfficeは標準化団体で標準化が行われており、それらのファイルフォーマット(OOXMLやODF)をサポートした多数の互換アプリケーションも提供されている。
【0003】
このようなオフィススイートアプリケーションを用いて作成した文書を、例えばモバイル端末で閲覧できるようにするために、標準的なウェブブラウザで閲覧可能なHTML形式に変換するニーズが存在する。それ以外にも、オフィススイートアプリケーションを用いてウェブページの下書きを作成するために、HTML形式に変換・保存するニーズも存在する。
【0004】
このようなフォーマットの変換に関する技術として、例えば、下記特許文献1には、少なくとも1つのセキュリティポリシーが仕様としてサポートされた第1の電子文書フォーマットの電子文書を、前記第1の電子文書フォーマットとは異なる第2の電子文書フォーマットの電子文書にフォーマット変換する電子文書変換装置であって、前記第1の電子文書フォーマットの電子文書に設定されているセキュリティポリシーが、前記第2の電子文書フォーマットが仕様としてサポートしている同様のセキュリティポリシーで継承可能か否かを判断する継承判断手段と、前記継承判断手段で継承不可能と判断した場合、当該設定されているセキュリティポリシーを代替処理で継承可能か否かを判断する代替判断手段と、前記継承判断手段で継承可能と判断した場合は当該設定されているセキュリティポリシーを前記同様のセキュリティポリシーで継承するように設定し、前記代替判断手段で継承可能と判断した場合は当該設定されているセキュリティポリシーを前記代替処理で継承するように設定して、前記電子文書を前記第2の電子文書フォーマットへ変換する変換手段と、前記代替判断手段で継承不可能と判断した場合、前記電子文書の前記第2の電子文書フォーマットへの変換を中止する中止手段と、を備える構成が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、第1形式の文書データを第2形式の文書データに変換する手段と、前記第2形式の文書データを編集して更新済み文書データを生成する手段と、前記第1形式の文書データを第2形式に変換した更新前文書データと前記更新済み文書データとから差分情報を生成する差分情報生成手段と、前記第1形式の文書データと前記差分情報とから第1形式の更新済み文書データを生成する手段とを備える文書データ編集システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-271780号公報
【文献】特開2005-010841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したオフィススイートアプリケーションでは、文書の再利用に関する制限をいくつかの方法で設定することができる。例えば、文書の全体あるいは一部を読み取り専用に設定するなどして、配布先のユーザによる編集を制限することが可能である。また、書式(文字のフォントやサイズ、行間等)の編集を制限することも可能であり、この場合、制限されたユーザからは内容の編集(修正や削除)は可能であるが、書式変更ができなくなる。
【0008】
一方、HTMLでは、このような制限を扱うための機能が仕様上存在しない。そのため、例えば、HTML形式の文書を読み取り専用のコンテンツにしたい場合は、画像やFlashコンテンツといったオブジェクトに変換して挿入する方法などが用いられる。しかしながら、このような方法では、変換したオブジェクトの内容を編集することができず、書式編集制限が適用された部分について内容の編集を可能にするといった設定ができないという問題があった。
【0009】
この問題に対して、オフィススイートアプリケーションを用いて作成した文書のオブジェクトをHTML形式のオブジェクトに変換する際に、編集制限が適用されるオブジェクトがテキストオブジェクトであった場合には、テキストの内容をイメージオブジェクトの属性(ALT属性)として挿入し、ユーザによる編集を可能にする方法が考えられる。しかしながら、これらの従来技術では、元文書の編集制限設定を反映したHTML形式の文書を生成することはできるが、当該編集制限設定を持つオブジェクトを変換後のHTML形式の文書上で追加して元文書に反映させることはできない。同様に、これらの従来技術では、当該編集制限設定をHTML形式の文書上で変更し、この編集制限設定の変更を元文書に反映させることはできない。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、OOXMLやODF等のオフィススイートアプリケーションを用いて作成した第1の文書をHTML等のウェブブラウザで利用可能な第2の文書に変換する際に、第1の文書に設定された編集制限を第2の文書に反映しつつ、第2の文書の編集を可能にし、かつ、編集後の第2の文書を第1の文書に再変換する際に、第2の文書で行われた編集制限が設定されたオブジェクトの追加や編集制限の変更を第1の文書に反映可能にする文書変換装置、文書変換プログラム及び文書変換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、オフィススイートアプリケーションを用いて作成された第1のフォーマットの第1の文書を、ウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書に変換すると共に、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換する文書変換装置であって、前記第1の文書を取得して解析し、前記第1の文書に含まれる前記第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、前記第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析部と、前記編集制限の設定に従って、前記第1のフォーマットのオブジェクトを変換して前記第2の文書を生成し、生成した前記第2の文書を出力する変換部と、編集済みの前記第2の文書を取得して解析し、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて前記第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して前記第1の文書に再変換する再変換部と、を備え、前記変換部は、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用される前記編集制限を記述した属性データを付加し、前記再変換部は、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された前記属性データに対する編集内容を、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに反映させることを特徴とする。
【0012】
本発明の一側面は、オフィススイートアプリケーションを用いて作成された第1のフォーマットの第1の文書を、ウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書に変換すると共に、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換する装置で動作する文書変換プログラムであって、前記装置に、前記第1の文書を取得して解析し、前記第1の文書に含まれる前記第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、前記第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析処理、前記編集制限の設定に従って、前記第1のフォーマットのオブジェクトを変換して前記第2の文書を生成し、生成した前記第2の文書を出力する変換処理、編集済みの前記第2の文書を取得して解析し、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて前記第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して前記第1の文書に再変換する再変換処理、を実行させ、前記変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用される前記編集制限を記述した属性データを付加し、前記再変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された前記属性データに対する編集内容を、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに反映させることを特徴とする。
【0013】
本発明の一側面は、オフィススイートアプリケーションを用いて作成された第1のフォーマットの第1の文書を、ウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書に変換すると共に、前記第2の文書を前記第1の文書に再変換する文書変換装置を含むシステムにおける文書変換方法であって、前記文書変換装置は、前記第1の文書を取得して解析し、前記第1の文書に含まれる前記第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、前記第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析処理と、前記編集制限の設定に従って、前記第1のフォーマットのオブジェクトを変換して前記第2の文書を生成する変換処理と、生成した前記第2の文書を出力する出力処理と、編集済みの前記第2の文書を取得して解析し、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて前記第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して前記第1の文書に再変換する再変換処理と、を実行し、前記変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに適用される前記編集制限を記述した属性データを付加し、前記再変換処理では、前記第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された前記属性データに対する編集内容を、対応する前記第1のフォーマットのオブジェクトに反映させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の文書変換装置、文書変換プログラム及び文書変換方法によれば、OOXMLやODF等のオフィススイートアプリケーションを用いて作成した第1の文書をHTML等のウェブブラウザで利用可能な第2の文書に変換する際に、第1の文書に設定された編集制限を第2の文書に反映しつつ、第2の文書の編集を可能にし、かつ、編集後の第2の文書を第1の文書に再変換する際に、第2の文書で行われた編集制限が設定されたオブジェクトの追加や編集制限の変更を第1の文書に反映可能にすることができる。
【0015】
その理由は、第1の文書を第2の文書に変換すると共に、第2の文書を第1の文書に再変換する文書変換装置に、第1の文書を取得して解析し、第1の文書に含まれる第1のフォーマットのオブジェクトを特定すると共に、第1の文書に設定された編集制限を読み取る解析部と、編集制限の設定に従って、第1のフォーマットのオブジェクトを変換して第2の文書を生成し、生成した第2の文書を出力する変換部と、編集済みの第2の文書を取得して解析し、第2の文書に含まれるオブジェクトに基づいて第1のフォーマットのオブジェクトを再構成して第1の文書に再変換する再変換部と、を設け、変換部では、第2の文書に含まれるオブジェクトに、対応する第1のフォーマットのオブジェクトに適用される編集制限を記述した属性データを付加し、再変換部は、第2の文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された属性データに対する編集内容を、対応する第1のフォーマットのオブジェクトに反映させる制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例に係るシステムの構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施例に係る文書変換装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施例に係る閲覧装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施例に係るシステムの全体処理を示すフローチャート図である。
図5】本発明の一実施例に係る文書変換装置の処理(HTML変換処理)を示すフローチャート図である。
図6】本発明の一実施例に係る文書変換装置に表示される画面(変換モード選択画面)の一例である。
図7】本発明の一実施例に係る文書変換装置の処理(HTML変換処理における編集制限反映処理)を示すフローチャート図である。
図8】本発明の一実施例に係る閲覧装置の処理(HTML文書ファイルの編集処理)を示すフローチャート図である。
図9】本発明の一実施例に係る文書変換装置の処理(OOXML文書ファイルへの再変換処理)を示すフローチャート図である。
図10】本発明の一実施例に係る文書変換装置の処理(再変換処理における編集制限反映処理)を示すフローチャート図である。
図11】本発明の一実施例に係る文書変換装置に表示される画面(編集制限反映モード選択画面)の一例である。
図12】OOXML文書ファイルのフォルダ構造を示す図である。
図13】本発明の一実施例に係る変更不可の編集制限が適用されたOOXML文書の一例である。
図14】本発明の一実施例に係る書式の編集制限が適用されたOOXML文書の一例である。
図15】本発明の一実施例に係るHTML変換の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術で示したように、オフィススイートアプリケーションを用いて作成した文書を、モバイル端末で閲覧するために標準的なウェブブラウザで閲覧可能なHTML形式に変換するニーズや、オフィススイートアプリケーションを用いてウェブページの下書きを作成するためにHTML形式へ変換・保存するニーズが存在する。
【0018】
ここで、オフィススイートアプリケーションでは、文書の再利用に関する制限を設定することができ、例えば、文書の全体あるいは一部を読み取り専用に設定するなどして、配布先のユーザによる編集を制限したり、書式(文字のフォントやサイズ、行間等)の編集を制限しつつ、内容の編集(修正や削除)を可能にしたりすることができる。
【0019】
一方、HTMLではこのような制限を扱うための機能が仕様上存在しないため、例えば、読み取り専用のコンテンツにしたい場合は、画像やFlashコンテンツといったオブジェクトに変換して挿入する方法などが用いられる。しかしながら、この方法では、変換した後は内容の編集もできなくなり、オフィススイートアプリケーションのように、書式編集は制限しつつ、内容編集は可能にするといった設定ができないという問題があった。
【0020】
この問題に対して、オフィススイートアプリケーションを用いて作成した文書のオブジェクトをHTML形式のオブジェクトに変換する際に、編集制限が適用されるオブジェクトがテキストオブジェクトであった場合には、テキストの内容をイメージオブジェクトの属性(ALT属性)として挿入し、ユーザによる編集を可能にする方法が考えられる。しかしながら、これらの従来技術では、編集制限設定を持つオブジェクトを変換後のHTML形式の文書上で追加して元文書に反映させたり、当該編集制限設定をHTML形式の文書上で変更し、この編集制限設定の変更を元文書に反映させたりすることはできない。
【0021】
そこで、本発明の一実施の形態では、OOXMLやODF等のオフィススイートアプリケーションを用いて作成した第1のフォーマットの第1の文書(オフィス文書と呼ぶ。)を解析し、HTML等のウェブブラウザで利用可能な第2のフォーマットの第2の文書(HTML文書と呼ぶ。)に変換する装置に、オフィス文書を取得して解析し、オフィス文書に含まれる第1のフォーマットのオブジェクト(OOXMLオブジェクトと呼ぶ。)を特定すると共に、オフィス文書に設定された編集制限を読み取る解析部と、編集制限の設定に従って、OOXMLオブジェクトを変換してHTML文書を生成し、生成したHTML文書を出力する変換部と、編集済みのHTML文書を取得して解析し、HTML文書に含まれるオブジェクトに基づいてOOXMLオブジェクトを再構成してオフィス文書に再変換する再変換部と、を設け、変換部では、HTML文書に含まれるオブジェクトに、対応するOOXMLオブジェクトに適用される編集制限を記述した属性(class属性)と、必要に応じて、対応するOOXMLオブジェクトを特定する情報を記述した属性(id属性)と、を含む属性データを付加し、再変換部は、HTML文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された属性データに対する編集内容を、対応するOOXMLオブジェクトに反映させる。
【0022】
すなわち、オブジェクトの関連付けはid属性を用いて行い、編集制限の関連付けはclass属性を用いて行う。そして、変換後のHTML文書上で新規にオブジェクトを追加する場合は、当該オブジェクトのclass属性を指定することで編集制限を設定する。また、変換後のHTML文書上でオブジェクトの編集制限を変更する場合は、同様に当該オブジェクトのclass属性を変更することで編集制限を変更する。
【0023】
上記制御により、オフィス文書をHTML文書に変換する際に、オフィス文書に設定された編集制限をHTML文書に反映しつつ、HTML文書の編集を可能にし、かつ、編集後のHTML文書をオフィス文書に再変換する際に、HTML文書で行われた編集制限が設定されたオブジェクトの追加や編集制限の変更をオフィス文書に反映させることができる。
【実施例
【0024】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る文書変換装置、文書変換プログラム及び文書変換方法について、図1乃至図15を参照して説明する。図1は、本実施例のシステムの構成を示す模式図であり、図2は、本実施例の文書変換装置の構成を示すブロック図、図3は、本実施例の閲覧装置の構成を示すブロック図である。また、図4は、本実施例のシステムの全体動作を示すフローチャート図であり、図5、7、9、10は、本実施例の文書変換装置の処理を示すフローチャート図、図8は、本実施例の閲覧装置の処理を示すフローチャート図である。また、図6図11は、本実施例の文書変換装置に表示される画面の一例であり、図12は、OOXML文書ファイルのフォルダ構造を示す図、図13及び図14は、編集制限が適用されたOOXML文書の一例、図15は、本発明の一実施例に係るHTML変換の一例である。
【0025】
図1に示すように、本実施例のシステムは、OOXMLやODF等のオフィススイートアプリケーションを用いて作成したオフィス文書を解析し、HTML等のウェブブラウザで利用可能なHTML文書に変換すると共に、編集後のHTML文書をオフィス文書に再変換する文書変換装置10と、変換されたHTML文書の閲覧や編集を行う閲覧装置20と、で構成される。これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク30を介して接続されている。以下、各装置について詳細に説明する。
【0026】
[文書変換装置]
文書変換装置10は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末、通信ネットワーク30上に配置されたサーバなどであり、図2(a)に示すように、制御部11、ネットワークI/F部16、入力部17、表示部18などで構成される。
【0027】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12とROM(Read Only Memory)13やRAM(Random Access Memory)14などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶部15とで構成され、CPU12は、ROM13や記憶部15に記憶した制御プログラムをRAM14に展開して実行することにより、文書変換装置10全体の動作を制御する。
【0028】
また、図2(b)に示すように、上記制御部11により、OS(Operating System)11a、オフィススイートアプリケーション11b、文書変換プログラム11cなどが実行される。
【0029】
OS11aは、Windows(登録商標)やMac OS(登録商標)、Android(登録商標)などであり、文書変換装置10でオフィススイートアプリケーション11bや文書変換プログラム11cを動作可能にする。
【0030】
オフィススイートアプリケーション11bは、文章作成や表計算、画像加工などを行うソフトウェアであり、OOXMLやODF等のオフィス文書を作成する。なお、本実施例では、オフィススイートアプリケーション11bとして、MicrosoftのWordを例にして説明する。
【0031】
文書変換プログラム11cは、オフィス文書とHTML文書間の変換を制御するプログラムであり、解析部、変換部、再変換部などとして機能する。
【0032】
解析部は、OOXMLやODF等(第1のフォーマット)のオフィス文書を取得して解析し、第1のフォーマットに従って所定の書式で記述されたオブジェクト(OOXMLオブジェクト)を特定する。また、解析部は、オフィス文書を構成する所定のファイルの記述から、オフィス文書に設定された編集制限を読み取る。
【0033】
変換部は、オフィス文書をHTML形式(第2のフォーマット)のHTML文書に変換する際の変換モード(編集制限反映オブジェクト変換モード又はHTML通常オブジェクト変換モード)をユーザに選択させるモード選択画面を表示部18に表示させ、入力部17のユーザ操作に従って変換モードを切り替える。そして、選択された変換モードに従ってOOXMLオブジェクトを変換してHTML文書を生成し、生成したHTML文書を閲覧装置20に送信するなどして出力する。
【0034】
具体的には、HTML通常オブジェクト変換モードが選択された場合は、オフィス文書に設定された編集制限の有無に係わらず、全てのOOXMLオブジェクトを第2のフォーマットのオブジェクト(HTMLオブジェクトと呼ぶ。)に変換する。また、編集制限反映オブジェクト変換モードが選択された場合において、オフィス文書に編集制限が設定されていない場合は、全てのOOXMLオブジェクトをHTMLオブジェクトに変換し、オフィス文書に編集制限が設定されている場合は、編集制限が適用されないOOXMLオブジェクトはHTMLオブジェクトに変換し、編集制限が適用されるOOXMLオブジェクトは、編集制限を反映した状態で画像化してイメージオブジェクトに変換する。
【0035】
その際に、当該編集制限が適用されるOOXMLオブジェクトがテキストオブジェクトである場合には、イメージオブジェクトに変換する際に、テキストの内容を、例えばビューワ上では視覚化されないがファイル上で編集可能な形式で、画像化に付随する属性(ALT属性:HTMLのイメージ要素の中に記述される画像の代替となるテキスト情報)として挿入する。なお、本実施例では、編集制限が適用されるOOXMLオブジェクトに対して、画像化及び画像化に付随する属性へのテキストの挿入を実施する構成とするが、この画像化及びテキストの挿入は、編集制限が適用されないOOXMLオブジェクトに対しても実施してもよい。
【0036】
また、変換部は、HTML文書に含まれるオブジェクト(HTMLオブジェクト及びイメージオブジェクト)に、対応するOOXMLフォーマットのオブジェクトに適用される編集制限を記述した属性(class属性)と、必要に応じて、対応するOOXMLオブジェクトを特定する情報を記述した属性(id属性)と、を含む属性データを付加する。すなわち、OOXMLオブジェクトとHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトとの関連付けはid属性を用いて行い、編集制限の関連付けはclass属性を用いて行う。
【0037】
再変換部は、閲覧装置20から、オブジェクト及び/又は属性データが編集されたHTML文書を取得したら、当該HTML文書を解析し、HTML文書に含まれるオブジェクト(HTMLオブジェクト及びイメージオブジェクト)に基づいてOOXMLオブジェクトを再構成してオフィス文書に再変換する。その際、HTML文書に含まれるオブジェクト及び/又は当該オブジェクトに付加された属性データ(class属性)に対する編集内容を、対応するOOXMLオブジェクト(id属性によって対応付けられるOOXMLオブジェクト)に反映させる。
【0038】
例えば、編集制限が適用されるOOXMLオブジェクトに対しては、対応するイメージオブジェクトの有無、及び、イメージオブジェクトに付加された属性データ(class属性)の変更の有無に応じて、OOXMLオブジェクトを再構成する。また、OOXMLオブジェクトに適用された編集制限と、対応するHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトに付加された属性データ(class属性)に記述された編集制限とを比較し、OOXMLオブジェクトに適用された編集制限よりもclass属性に記述された編集制限の方が厳しい場合、OOXMLオブジェクトにclass属性に記述された編集制限を反映させる。
【0039】
また、再変換部は、表示部18に、属性データ(class属性)に記述された編集制限の反映を許可する第1モードと、編集制限のレベルを上げる時のみ編集制限の反映を許可する第2モードと、編集制限の反映を許可しない第3モードと、を選択可能に表示させ、第2モードが選択された場合に、上記の編集制限の比較を行う。また、文書変換装置10を使用する際にユーザIDやパスワードを入力させてユーザ認証を行い、オフィス文書をHTML文書に変換したユーザと、HTML文書をオフィス文書に再変換するユーザと、が一致する場合は、ユーザにモード選択をさせることなく、編集制限の反映を許可する第1モードに設定する。
【0040】
ネットワークI/F部16は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、文書変換装置10を通信ネットワーク30に接続し、閲覧装置20との通信を可能にする。
【0041】
入力部17は、マウスやキーボード、タッチパネルなどで構成され、オフィススイートアプリケーション11bを用いた文書の作成、後述する変換モードの選択や編集制限反映モードの選択などの操作を可能にする。
【0042】
表示部18は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、オフィススイートアプリケーション11bの文書作成画面、変換モードの選択画面、編集制限反映モードの選択画面などを表示する。
【0043】
[閲覧装置]
閲覧装置20は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末などであり、図3(a)に示すように、制御部21、ネットワークI/F部26、入力部27、表示部28などで構成される。
【0044】
制御部21は、CPU22とROM23やRAM24などのメモリと、HDDやSSDなどの記憶部25とで構成され、CPU22は、ROM23や記憶部25に記憶した制御プログラムをRAM24に展開して実行することにより、閲覧装置20全体の動作を制御する。
【0045】
また、図3(b)に示すように、上記制御部21により、OS21a、ウェブブラウザ21b、文書編集プログラム21cなどが実行される。
【0046】
OS21aは、Windows(登録商標)やMac OS(登録商標)、Android(登録商標)などであり、閲覧装置20でウェブブラウザ21bや文書編集プログラム21cを動作可能にする。
【0047】
ウェブブラウザ21bは、MicrosoftのInternet Explorer(登録商標)、Microsoft Edge(登録商標)、Safari(登録商標)、Firefox(登録商標)、Google Chrome(登録商標)、Opera(登録商標)などであり、文書変換装置10から受信したHTML文書を表示部28に表示させる。
【0048】
文書編集プログラム21cは、HTML文書の編集を制御するプログラムであり、編集部として機能する。
【0049】
編集部は、HTML文書に含まれるオブジェクト(HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクト)に対する編集操作を監視し、オブジェクトに対する編集が行われた場合は、編集操作に従ってオブジェクトを編集する。その際、HTMLオブジェクトに対する編集が行われた場合は、編集操作に従って当該オブジェクトの内容を編集する。また、イメージオブジェクトに対する編集が行われた場合は、編集操作に従ってALT属性の内容を編集する。また、HTML文書上で新規にオブジェクトを追加する場合は、当該オブジェクトのclass属性の指定を受け付けて編集制限を設定する。また、HTML文書上でオブジェクトの編集制限を変更する場合は、同様に当該オブジェクトのclass属性の指定を受け付けて編集制限を変更する。
【0050】
ネットワークI/F部26は、NICやモデムなどで構成され、閲覧装置20を通信ネットワーク30に接続し、文書変換装置10との通信を可能にする。
【0051】
入力部27は、マウスやキーボード、タッチパネルなどで構成され、ウェブブラウザ21bによって表示されたHTML文書に対する編集操作(ALT属性の内容の編集やclass属性の指定)などを可能にする。
【0052】
表示部28は、液晶表示装置や有機EL表示装置などで構成され、ウェブブラウザ21bの画面などを表示する。
【0053】
なお、図1乃至図3は、本実施例のシステムの一例であり、その構成や制御は適宜変更可能である。例えば、図1では、文書変換装置10をコンピュータ装置として説明したが、例えば、MFP(Multi-Functional Peripherals)などの画像形成装置としてもよい。また、図1では、文書変換装置10でオフィス文書を作成する構成としているが、通信ネットワークに接続された他のコンピュータ装置で作成したOOXMLやODF等のオフィス文書を受信してHTML文書に変換する構成としてもよいし、文書変換装置10でHTML文書の編集を実施する構成としてもよい。すなわち、本実施例の文書変換装置10は、少なくとも文書変換プログラムが動作する構成であればよい。
【0054】
以下、本実施例のシステムの動作について、図面を参照して説明する。まず、本実施例のシステムの全体動作について、図4のフローチャート図を参照して説明する。なお、以下の説明では、オフィス文書をOOXML文書とする。
【0055】
[全体処理]
文書変換装置10は、オフィススイートアプリケーション11bを用いてOOXML文書ファイルを作成する。そして、文書変換プログラム11c(変換部)は、OOXML文書ファイルをHTML文書ファイルに変換して閲覧装置20に送信する。その際、後述する変換モード選択画面で編集制限反映オブジェクト変換モードが選択された場合は、編集制限が適用されるOOXMLオブジェクトは画像化してイメージオブジェクトに変換し、更に、OOXMLオブジェクトがテキストオブジェクトの場合は、テキストの内容をイメージオブジェクトの属性(ALT属性)として挿入する。また、書式に対する編集制限が適用されないOOXMLオブジェクトはHTMLオブジェクトに変換する。また、HTMLオブジェクトにid属性とclass属性とを含む属性データを付加し、id属性を用いてOOXMLオブジェクトとHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトとの関連付けを行い、class属性を用いて編集制限設定の関連付けを行う。
【0056】
閲覧装置20は、文書変換装置10からHTML文書ファイルを受信すると、ウェブブラウザ21bは、表示部28にHTML文書を閲覧可能に表示し、入力部27によりHTML文書の編集操作が行われた場合は、文書編集プログラム21c(編集部)は、編集操作に従ってHTML文書ファイルを編集して文書変換装置10に送信する。その際、HTMLオブジェクトに対する編集操作が行われた場合は、編集操作に従ってHTMLオブジェクトを編集し、イメージオブジェクトに対する編集操作が行われた場合は、編集操作に従って属性(ALT属性)を編集する。また、HTML文書上で新規にオブジェクトを追加する場合は、当該オブジェクトのclass属性を指定することで編集制限の設定を行い、オブジェクトの編集制限を変更する場合は、当該オブジェクトのclass属性を指定することで編集制限の変更を行う。
【0057】
文書変換装置10は、閲覧装置20から編集後のHTML文書ファイルを受信すると、文書変換プログラム11c(再変換部)は、HTML文書ファイルを解析してオブジェクトを読み込み、読み込んだオブジェクトに基づいてOOXMLオブジェクトを再構成してオフィス文書に再変換する。その際、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトに付加されたid属性に基づいてOOXMLオブジェクトを特定し、特定したOOXMLオブジェクトに対して、オブジェクトの編集内容を反映させる(例えば、ALT属性の内容に基づいてOOXMLオブジェクトの内容を編集する)と共に、class属性に記述された編集制限を反映させる。
【0058】
以下、文書変換装置10におけるHTML変換処理と、閲覧装置20におけるHTML文書ファイルの編集処理と、文書変換装置10におけるOOXML文書ファイルへの再変換処理と、について説明する。CPU12は、ROM13や記憶部15に記憶した文書変換プログラムをRAM14に展開して実行することにより、図5及び図7(HTML変換処理)、図9及び図10(OOXML文書ファイルへの再変換処理)のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。また、CPU22は、ROM23や記憶部25に記憶した文書編集プログラムをRAM24に展開して実行することにより、図8(HTML文書ファイルの編集処理)のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。
【0059】
[HTML変換処理]
図5に示すように、文書変換プログラム11c(解析部)は、文書変換装置10内部のオフィススイートアプリケーション11bや外部のコンピュータ装置などからOOXML文書ファイルを取得すると(S101)、文書変換プログラム11c(変換部)は、HTML変換モードを特定する(S102)。このHTML変換モードとして、OOXMLオブジェクトの編集制限を反映させたHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトに変換する第1モード(編集制限反映オブジェクト変換モード)と、OOXML文書の表現に従ってHTMLオブジェクトに変換する(OOXMLオブジェクトと同一又は類似の書式のHTMLオブジェクトに変換する)第2モード(HTML通常オブジェクト変換モード)の2つのモードが存在する。
【0060】
これらの変換モードの切り替えは、文書変換プログラム11cにGUI(Graphical User Interface)が搭載されている場合は、そのGUI経由で設定することができる。図6は、GUIで変換モードを設定する場合のダイアログ(変換モード選択画面40)の一例であり、ユーザが変換モード選択画面40で変換モードを選択すると、文書変換プログラム11c(変換部)は、HTML変換モードを選択された変換モードに切り替える。
【0061】
そして、文書変換プログラム11c(変換部)は、HTML変換モードが編集制限反映オブジェクト変換モードに設定された場合は(S103のYes)、後述する編集制限反映変換処理を行い(S104)、HTML変換モードがHTML通常オブジェクト変換モードに設定された場合は(S103のNo)、OOXML表現に従ったHTMLオブジェクト変換処理を行う(S105)。
【0062】
そして、文書変換プログラム11c(変換部)は、OOXMLオブジェクトを変換して生成したHTML文書ファイルを閲覧装置20に送信する(S106)。
【0063】
図7は、上記S104の編集制限反映変換処理の詳細を示している。まず、文書変換プログラム11c(解析部)は、OOXML文書ファイルを解析し(S201)、OOXML文書からOOXMLオブジェクトを読み込む(S202)。
【0064】
次に、文書変換プログラム11c(解析部)は、id属性にオブジェクトIDを設定(idString←ObjectID)し(S203)、読み込んだOOXMLオブジェクトの編集制限種別を判断する(S204)。編集制限種別が「変更不可」の場合(すなわち、書式編集及び内容編集が制限される場合)は、文書変換プログラム11c(変換部)は、OOXMLオブジェクトを画像化してイメージオブジェクトに変換し(S205)、class属性に変更不可を設定(clString←RestrictEditing)する(S206)。また、編集制限種別が「書式編集不可」の場合(すなわち、書式編集は制限されるが内容編集は制限されない場合)は、文書変換プログラム11c(変換部)は、OOXMLオブジェクトを画像化してイメージオブジェクトに変換した後(S207)、テキスト内容をALT属性に挿入し(S208)、class属性に書式編集不可を設定(clString←RestrictFormatting)する(S209)。また、編集制限種別が「編集制限なし」の場合(すなわち、書式編集及び内容編集が制限されない場合)は、文書変換プログラム11c(変換部)は、OOXMLオブジェクトを、通常のOOXML表現に従ってHTMLオブジェクトに変換し(S210)、class属性に編集制限なしを設定(clString←NoRestriction)する(S211)。
【0065】
その後、文書変換プログラム11c(解析部)は、HTMLタグに属性を追加(id="idString"、class="clString")し(S212)、読み込んだOOXMLオブジェクトが、OOXML文書ファイルの終端オブジェクトであるかを判断し(S213)、終端オブジェクトでなければ(S213のNo)、S202に戻って、次のOOXMLオブジェクトに対して同様の処理を繰り返す。
【0066】
[HTML文書ファイル編集処理]
図8に示すように、閲覧装置20の制御部21は、文書変換装置10からHTML文書ファイルを受信すると、ウェブブラウザ21bは、表示部28にHTML文書ファイルを表示してユーザに閲覧させる(S301)。
【0067】
次に、文書編集プログラム21c(編集部)は、HTML文書ファイルに対する編集を監視する(S302)。HTML文書ファイルに対する編集操作を検出しない場合は(S302のNo)、一連の処理を終了し、HTML文書ファイルに対する編集操作を検出したら(S302のYes)、その編集操作がHTMLオブジェクトに対する編集操作であるかを判断する(S303)。編集操作がHTMLオブジェクトに対する編集操作の場合は(S303のYes)、文書編集プログラム21c(編集部)は、編集操作に従ってHTMLオブジェクトを編集し(S304)、HTMLオブジェクトに対する編集操作でない場合は(S303のNo)、属性(class属性又はALT属性)の編集操作であるかを判断する(S305)。編集操作が属性の編集操作の場合は(S305のYes)、文書編集プログラム21c(編集部)は、編集操作に従って属性の編集を行い(S306)、編集操作が属性の編集操作でない場合は(S305のNo)、その他の編集を行う(S307)。
【0068】
その後、文書編集プログラム21c(編集部)は、編集が終了したかを判断し(S308)、編集が終了していない場合は(S308のNo)、S303に戻って同様の処理を繰り返す。一方、編集が終了した場合は(S308のYes)、編集済みのHTML文書ファイルを文書変換装置10に送信する(S309)。
【0069】
[OOXML文書ファイルへの再変換処理]
図9に示すように、文書変換装置10の制御部11は、記憶部15などからオフィス文書を読み取って解析する(S401)。そして、閲覧装置20から編集済みのHTML文書ファイルを受信したらHTML文書ファイルを解析し(S402)、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトを順次読み込む(S403)。次に、文書変換プログラム11c(再変換部)は、OOXMLオブジェクトのObjectIDとHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトのid属性の値とを比較するなどして、読み込んだHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトが新規に追加されたオブジェクトであるかを判断する(S404)。
【0070】
そして、文書変換プログラム11c(再変換部)は、読み込んだHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトが新規に追加されたオブジェクトの場合は(S404のYes)、対応するOOXMLオブジェクトを追加し(S405)、新規に追加されたオブジェクトでない場合は(S404のNo)、オブジェクトの内容を変更(例えば、ALT属性の内容に基づいて、イメージオブジェクトに対応するOOXMLオブジェクトの内容を変更)する(S406)。なお、イメージオブジェクトの内容は、元のOOXML文書ファイルから取得してもよいし、HTML文書ファイルを解析して取得してもよい。そして、文書変換プログラム11c(再変換部)は、後述する編集制限反映処理を行う(S407)。
【0071】
次に、文書変換プログラム11c(再変換部)は、読み込んだオブジェクトが、HTML文書ファイルの終端オブジェクトであるかを判断し(S408)、終端オブジェクトでない場合は(S408のNo)、S403に戻って、次のオブジェクトに対して同様の処理を繰り返し、終端オブジェクトであれば(S408のYes)、オブジェクトの内容や編集制限の設定を変更したOOXML文書ファイルに再変換する(S409)。
【0072】
図10は、上記S407の編集制限反映処理の詳細を示している。文書変換プログラム11c(再変換部)は、編集制限反映モードを特定する(S501)。この編集制限反映モードとして、編集制限の反映を全て許可するモードと、制限レベルを上げる時のみ編集制限の反映を許可するモードと、編集制限の反映を許可しないモードとが存在する。これらのモードの切り替えは、文書変換プログラム11cにGUIが搭載されている場合は、そのGUI経由で設定することができる。図11は、GUIでモードを設定する場合のダイアログ(編集制限反映モード選択画面41)の一例であり、ユーザが編集制限反映モード選択画面41でモードを選択すると、文書変換プログラム11c(再変換部)は、編集制限反映モードを選択されたモードに切り替える。
【0073】
なお、上記では、ユーザが編集制限反映モード選択画面41でモードを選択する構成としたが、例えば、文書変換装置10は、HTML変換処理の際にユーザIDなどのユーザ情報の入力を求めてユーザ認証を行うと共に、OOXML文書ファイルへの再変換処理の際にユーザIDなどのユーザ情報の入力を求めてユーザ認証を行い、双方のユーザ情報が一致しない場合に、編集制限反映モード選択画面41を表示してユーザにモードを選択させ、双方のユーザ情報が一致する場合は、編集制限反映モードを編集制限の反映を全て許可するモードに自動的に設定するようにしてもよい。
【0074】
編集制限反映モードが編集制限の反映を許可しないモードの場合は、このフローの処理を終了し、編集制限反映モードが編集制限の反映を全て許可するモードの場合は、文書変換プログラム11c(再変換部)は、編集後のHTML文書で指定された編集制限をOOXML文書に反映させて(S513)、このフローの処理を終了する。
【0075】
また、編集制限反映モードが制限レベルを上げる時のみ編集制限の反映を許可するモードの場合は、文書変換プログラム11c(再変換部)は、OOXMLオブジェクトを読み込み(S502)、当該OOXMLオブジェクトに対する編集制限を取得し(S503)、編集制限に応じて、OOXMLオブジェクトの編集制限を規定する情報(ここでは、orgRestValとする。)の値を変更する。具体的には、編集制限の設定が編集制限なしの場合はorgRestValに0を設定し(S504)、書式編集不可の場合(例えば、「w:formatting=“true” or “on” or “1”」の場合)はorgRestValに1を設定し(S505)、変更不可の場合(例えば、「w:edit=“readOnly”」かつpermissionが指定されていない場合)はorgRestValに2を設定する(S506)。
【0076】
次に、文書変換プログラム11c(再変換部)は、OOXMLオブジェクトに対応するHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトを読み込み(S507)、当該オブジェクトのclass属性を取得し(S508)、class属性に応じて、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトの編集制限を規定する情報(ここでは、newRestValとする。)の値を変更する。具体的には、class属性が編集制限なし(NoRestriction)の場合はnewRestValに0を設定し(S509)、class属性が書式編集不可(RestrictFormatting)の場合はnewRestValに1を設定し(S510)、class属性が変更不可(RestrictEditing)の場合はnewRestValに2を設定する(S511)。
【0077】
次に、文書変換プログラム11c(再変換部)は、orgRestValの値とnewRestValの値とを比較し(S512)、orgRestValがnewRestVal以上の場合は(S512のNo)、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトの編集制限をOOXMLオブジェクトに反映させずに、このフローの処理を終了する。一方、orgRestValがnewRestVal未満の場合(すなわち、OOXMLオブジェクトに対する編集制限よりもHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトに対する編集制限の方が厳しい場合)は(S512のYes)、文書変換プログラム11c(再変換部)は、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトの編集制限をOOXMLオブジェクトに反映させて(S513)、このフローの処理を終了する。
【0078】
例えば、OOXMLオブジェクトの編集制限の設定が編集制限なしで、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトの編集制限の設定が書式編集不可(RestrictFormatting)又は変更不可(RestrictEditing)の場合は、OOXMLオブジェクトの編集制限を「w:formatting=“true” or “on” or “1”」又は「w:edit=“readOnly”」に設定する。また、OOXMLオブジェクトの編集制限の設定が書式編集不可(w:formatting=“true” or “on” or “1”)で、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトの編集制限の設定が変更不可(RestrictEditing)の場合は、OOXMLオブジェクトの編集制限を「w:edit=“readOnly”」に設定する。
【0079】
このように、本実施例では、OOXMLやODF等のオフィススイートアプリケーションを用いて作成したオフィス文書をHTML等のウェブブラウザで利用可能なHTML文書に変換する際に、HTML変換モードが編集制限反映オブジェクト変換モードに設定されている場合、編集制限が適用されるOOXMLオブジェクトは画像化してイメージオブジェクトに変換し、更に、OOXMLオブジェクトがテキストオブジェクトの場合はテキスト内容をALT属性として挿入し、編集制限が適用されないOOXMLオブジェクトはHTMLオブジェクトに変換するため、オフィス文書に設定された書式に対する編集制限を反映しつつ、内容の編集を可能にすることができる。
【0080】
また、本実施例では、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトにid属性とclass属性とを付加し、id属性を用いてOOXMLオブジェクトとHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトとの関連付けを行い、class属性を用いて編集制限設定の関連付けを行うと共に、HTML文書上で新規にオブジェクトを追加する場合や、オブジェクトの編集制限を変更する場合は、当該オブジェクトのclass属性を指定することで編集制限の設定や変更を行うことにより、編集後のHTML文書をオフィス文書に再変換する際に、HTML文書で行われたオブジェクトの追加や編集制限の変更をオフィス文書に反映させることができる。
【0081】
以下、本実施例の文書変換方法について、具体例を挙げて説明する。
【0082】
図12は、MicrosoftのWordなどで作成されたOOXML文書ファイルのフォルダ構造を示している。OOXML文書ファイルは、パーツと各パーツへの参照関係を定義したファイルとで構成され、これらのパッケージがZIP圧縮された状態になっている。具体的には、OOXML文書ファイルは、「[Content_Types].xml」ファイル、「_rels」フォルダ、「docProps」フォルダ、「word」フォルダなどで構成される。文書の内容を記述する「word」フォルダは、「document.xml」ファイル、「fontTable.xml」ファイル、「comments.xml」ファイル、「settings.xml」ファイル、「style.xml」ファイル、「webSetting.xml」ファイル、「_rels」フォルダ、「theme」フォルダなどで構成される。なお、OOXMLの仕様の詳細については、「http://www.ecma-international.org/publications/standards/Ecma-376.htm」等に詳細に記載されている。
【0083】
オフィススイートアプリケーション11bで作成したOOXML文書ファイルにおける上記「word」フォルダ内の各ファイルはマークアップ言語で記述され、マークアップ言語では、タグ(トークン)と呼ばれるコードを使用して、データの構造、外観、意味が定義される。図13は、OOXML文書ファイルの「settings.xml」ファイル内の編集制限に関する部分のマークアップ記述例であり、破線で囲んだ「<w:documentProtection…>」は文書の編集制限を設定するエレメントである。具体的には、「w:enforcement=“1”」は、ドキュメント保護の設定を強制することを表す。また、「w:edit」属性は文書の編集制限を表し、「w:edit=“readOnly”」の場合、変更不可を表す。なお、ここでは文書全体を変更不可にする場合を示しているが、permissionなどのタグを用いて変更不可の適用外となるエレメントを設定してもよい。図14(a)は、OOXML文書ファイルの「settings.xml」ファイルのマークアップ記述の他の例であり、破線で囲んだ「w:formatting」属性は書式の編集制限を表す。また、図14(b)は、OOXML文書ファイルの「style.xml」ファイルのマークアップ記述例であり、破線で囲んだ「<w:locked/>」によって書式の編集制限を適用するか否かを設定する。すなわち、「w:formatting」属性が有効の場合(「w:formatting=“true” or “on” or “1”」の場合)、「<w:locked/>」エレメントを持たないスタイルでのみ書式の編集を許可することを表す。従って、文書変換プログラム11c(解析部)は、これらの記載を確認することによって、OOXML文書ファイルの編集制限の設定を判断することができる。
【0084】
図15は、OOXML文書とOOXML文書をHTML変換したHTML文書の具体例である。図15(a)は、編集前のOOXML文書及びdocument.xmlの記述例であり、図15(b)は、編集後のHTML文書及びdocument.htmlの記述例である。図15に示すように、HTML文書では、id=1の「はじめに」のイメージオブジェクトは、class属性が「RestrictFormatting」であるため、書式編集はできないが、document.htmlの記述(ALT属性の内容)を編集することによって、イメージオブジェクトの内容を編集することができる。また、id=2の「色相、明度、彩度…球状の立体として考えることが出来ます。」の部分は、class属性が「NoRestriction」であるため、document.htmlの記述を編集することによって、HTMLオブジェクトの書式及び内容を編集することができる。
【0085】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0086】
例えば、上記実施例では、HTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトにid属性とclass属性とを付加する場合を示したが、例えば、オブジェクトの順番やサイズ、構成などによってOOXMLオブジェクトとHTMLオブジェクト又はイメージオブジェクトとの対応付けが可能な場合は、id属性は付加しなくてもよい。
【0087】
また、上記実施例では、オフィススイートアプリケーション11bで作成された第1のフォーマットの文書としてOOXML文書を例示したが、第1のフォーマットはOOXMLに限定されず、ODFなどに対しても本発明の文書変換方法を同様に適用することができる。
【0088】
また、上記実施例では、ウェブブラウザ21bで利用可能な第2のフォーマットの文書としてHTML文書を例示したが、第2のフォーマットHTMLに限定されず、他のマークアップ言語に対しても本発明の文書変換方法を同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、OOXMLやODFなどの第1の文書をHTML形式の第2の文書に変換し、編集後の第2の文書を第1の文書に再変換する文書変換装置、当該文書変換装置で動作する文書変換プログラム、当該文書変換プログラムを記録した記録媒体及び当該文書変換装置を含むシステムにおける文書変換方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 文書変換装置
11 制御部
11a OS
11b オフィススイートアプリケーション
11c 文書変換プログラム
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 記憶部
16 ネットワークI/F部
17 入力部
18 表示部
20 閲覧装置
21 制御部
21a OS
21b ウェブブラウザ
21c 文書編集プログラム
22 CPU
23 ROM
24 RAM
25 記憶部
26 ネットワークI/F部
27 入力部
28 表示部
30 通信ネットワーク
40 変換モード選択画面
41 編集制限反映モード選択画面
図1
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