(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/20 20060101AFI20220216BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20220216BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G15/20 510
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2018071629
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並木 隆明
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-287564(JP,A)
【文献】特開2010-249994(JP,A)
【文献】特開2013-190627(JP,A)
【文献】特開2006-267426(JP,A)
【文献】特開2014-224886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/20
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上のトナー像を加熱する加熱回転体と、
前記加熱回転体に向けて送風する第一送風装置と、
前記第一送風装置から送られる空気が流入し前記空気が前記加熱回転体に向けて排出されるダクトと、
前記ダクト内を移動可能であり、前記ダクトから排出される空気の流路の断面積を変更する第一開口変更部と、を備え、
前記加熱回転体は、前記記録媒体の搬送方向に直交する前記加熱回転体の幅方向において、前記記録媒体のうち最もサイズが小さい記録媒体が通過する中央領域と、前記幅方向における前記中央領域の両端に設けられる一対の端部領域とを含み、
前記第一送風装置から送られる前記空気は、前記ダクトを通って前記端部領域に向かって排出され、
前記第一開口変更部の移動と連動して移動可能であり、前記第一開口変更部とともに前記断面積を変更する第二開口変更部が設けられており、
前記第二開口変更部は、前記第一開口変更部が移動する方向と同じ方向に移動可能であ
り、
前記第一開口変更部は、前記第二開口変更部に向かって移動し、
前記第二開口変更部は、前記第一開口変更部と当接することにより、回転移動または平行移動する、画像形成装置。
【請求項2】
前記第一開口変更部が前記第二開口変更部と当接するまでの間、前記第一開口変更部の移動量に応じて前記断面積が変更される、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第二開口変更部は、複数設けられており、
複数の前記第二開口変更部は、互いに連結されている、請求項1
または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第二開口変更部は、前記ダクトに設けられている、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第二開口変更部は、前記第一開口変更部に設けられている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ダクト内に配置された当接部をさらに備え、
前記第二開口変更部は、前記第一開口変更部とともに移動し、前記当接部と当接することにより回転移動する、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録媒体のサイズを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記第一開口変更部の移動量を制御する制御部と、をさらに備える、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第一開口変更部および前記第二開口変更部は、前記端部領域に向かって排出される空気の流路を遮断できる、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第二開口変更部は、前記中央領域から離れる方向に回転移動可能である、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置の内部にアクセス可能となる扉部をさらに備え、
前記第一送風装置は、前記扉部に設けられている、請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記加熱回転体に対して前記第一送風装置から送られる前記空気が流れる方向の下流側に配置された第二送風装置をさらに備える、請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第二開口変更部に対して前記第一送風装置から送られる前記空気が流れる方向の下流側に配置された仕切部をさらに備えている、請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上のトナー像を加熱する加熱回転体を冷却する技術が、特開2016-114655号公報(特許文献1)、および特許第5832134号公報(特許文献2)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-114655号公報
【文献】特許第5832134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、加熱回転体を冷却する送風部の送風量を調整することにより、回動可能な偏向手段(シャッター)を開閉させ、これにより、加熱回転体のうち温度が上昇しやすい領域(以下、端部領域)に向けて送風することが可能な構成を採用している。上記構成において、送風量およびばね等の部品のバラつき等がシャッターの開閉に大きく寄与するため、端部領域のうちの意図した部分に確実に送風することが困難である。
【0005】
上記特許文献2では、スライド移動が可能なシャッターを稼働させることにより、加熱回転体に向く複数の風路を開閉させ、これにより、端部領域のうちの意図した部分に向けて送風することが可能な構成を採用している。しかし、上記構成を採用すると、シャッターの可動域が大きくなり、装置全体が大型化する。
【0006】
本発明の目的は、装置の大型化を抑制した上で端部領域のうちの意図した部分を確実に冷却できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る画像形成装置は、加熱回転体と、第一送風装置と、ダクトと、第一開口変更部とを備えている。上記加熱回転体は、記録媒体上のトナー像を加熱する。上記第一送風装置は、上記加熱回転体に向けて送風する。上記ダクトは、上記第一送風装置から送られる空気が流入し上記空気が上記加熱回転体に向けて排出される。上記第一開口変更部は、上記ダクト内を移動可能であり、上記ダクトから排出される空気の流路の断面積を変更する。上記加熱回転体は、上記記録媒体の搬送方向に直交する上記加熱回転体の幅方向において、上記記録媒体のうち最もサイズが小さい記録媒体が通過する中央領域と、上記幅方向における上記中央領域の両端に設けられる一対の端部領域とを含んでいる。上記第一送風装置から送られる上記空気は、上記ダクトを通って上記端部領域に向かって排出される。上記第一開口変更部の移動と連動して移動可能であり、上記第一開口変更部とともに上記断面積を変更する第二開口変更部が、設けられている。上記第二開口変更部は、上記第一開口変更部が移動する方向と同じ方向に移動可能である。
【0008】
上記画像形成装置において、上記第一開口変更部は、上記第二開口変更部に向かって移動する。上記第二開口変更部は、上記第一開口変更部と当接することにより、回転移動または平行移動する。
【0009】
上記画像形成装置において、上記第一開口変更部が上記第二開口変更部と当接するまでの間、上記第一開口変更部の移動量に応じて上記断面積が変更される。
【0010】
上記画像形成装置において、上記第二開口変更部は、複数設けられている。複数の上記第二開口変更部は、互いに連結されている。
【0011】
上記画像形成装置において、上記第二開口変更部は、上記ダクトに設けられている。
上記画像形成装置において、上記第二開口変更部は、上記第一開口変更部に設けられている。
【0012】
上記画像形成装置は、上記ダクト内に配置された当接部をさらに備えている。上記第二開口変更部は、上記第一開口変更部とともに移動し、上記当接部と当接することにより回転移動する。
【0013】
上記画像形成装置は、上記記録媒体のサイズを検出する検出部と、上記検出部の検出結果に応じて、上記第一開口変更部の移動量を制御する制御部と、をさらに備える。
【0014】
上記画像形成装置において、上記第一開口変更部および上記第二開口変更部は、上記端部領域に向かって排出される空気の流路を遮断できる。
【0015】
上記画像形成装置において、上記第二開口変更部は、上記中央領域から離れる方向に回転移動可能である。
【0016】
上記画像形成装置は、上記画像形成装置の内部にアクセス可能となる扉部をさらに備えている。上記第一送風装置は、上記扉部に設けられている。
【0017】
上記画像形成装置は、上記加熱回転体に対して上記第一送風装置から送られる上記空気が流れる方向の下流側に配置された第二送風装置をさらに備えている。
【0018】
上記画像形成装置は、上記第二開口変更部に対して上記第一送風装置から送られる上記空気が流れる方向の下流側に配置された仕切部をさらに備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の適用により、装置の大型化を抑制した上で端部領域のうちの意図した部分を確実に冷却できる画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概略図である。
【
図4】冷却ユニットおよび加圧ローラーの概略断面図である。
【
図6】シャッター部がダクト内に侵入した際の概略図である。
【
図7】シャッター部がフィンに当接した直後の状態を示す図である。
【
図8】
図7の状態からさらにシャッター部が進んだ状態を示す図である。
【
図9】実施の形態2の第二開口変更部を示す概略断面図である。
【
図10】実施の形態2のシャッター部がフィンに当接した状態を示す図である。
【
図11】実施の形態3の第二開口変更部を示す概略断面図である。
【
図12】実施の形態3のシャッター部がフィンに当接した状態を示す図である。
【
図13】実施の形態4の第二開口変更部を示す概略断面図である。
【
図14】実施の形態4のシャッター部がフィンに当接した状態を示す図である。
【
図15】実施の形態5の第二開口変更部を示す概略断面図である。
【
図16】実施の形態5のシャッター部が壁部に当接した状態を示す図である。
【
図17】実施の形態6の第二開口変更部を示す概略断面図である。
【
図18】実施の形態6の第二シャッター部が稼働した状態を示す図である。
【
図19】実施の形態7の第二開口変更部を示す概略断面図である。
【
図20】実施の形態7のシャッター部が当接部に当接した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、画像形成装置として、電子写真方式を採用したいわゆるタンデム型のカラープリンターおよびこれに具備された画像形成装置を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
[実施の形態1]
<構成>
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置100の概略図である。
図1中に示された両矢印は、高さ方向DR3を示している。高さ方向DR3は、画像形成装置100の高さ方向であり、
図1の上下方向である。
図1を参照して、実施の形態の画像形成装置100の概略的な構成および動作について説明する。
【0023】
画像形成装置100は、装置本体2と、収容部9とを主として備えている。装置本体2は、記録媒体としての用紙Sに画像を形成するための部位である画像形成部2Aと、画像形成部2Aに用紙Sを供給するための部位である給紙部2Bとを含んでいる。収容部9は、画像形成部2Aに供給するための用紙Sを収納するものであり、給紙部2Bに着脱自在に設けられている。
【0024】
画像形成装置100の内部には、複数のローラー3が設置されており、これにより用紙Sが所定の方向に沿って搬送される搬送経路4が、上述した画像形成部2Aおよび給紙部2Bに跨って構築されている。
図1中に示すように、装置本体2には、画像形成部2Aに用紙Sを供給するための手差しトレイ9aが別途設けられていてもよい。
【0025】
画像形成部2Aは、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー像を形成可能な作像ユニット5と、当該作像ユニット5に含まれる感光体を露光するための露光ユニット6と、作像ユニット5に張架された中間転写ベルト7aと、搬送経路4上であってかつ中間転写ベルト7aの走路上に設けられた転写部7と、クリーニング部8と、転写部7よりも下流側の部分の搬送経路4上に設けられた、定着装置1とを主として備えている。
【0026】
作像ユニット5は、露光ユニット6からの露光を受けてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー像あるいはブラック(K)のみからなるトナー像を感光体の表面に形成し、これを中間転写ベルト7aに転写する(いわゆる一次転写)。これにより、中間転写ベルト7aには、カラートナー像あるいはモノクロトナー像が形成されることになる。
【0027】
中間転写ベルト7aは、その表面に形成されたカラートナー像あるいはモノクロトナー像を転写部7へと移送し、給紙部2Bから転写部7へと搬送されてきた用紙Sとともに転写部7において圧接される。これにより、中間転写ベルト7aの表面に形成されたカラートナー像あるいはモノクロトナー像が用紙Sへと転写される(いわゆる二次転写)。
【0028】
転写部7により用紙Sにカラートナー像あるいはモノクロトナー像を転写した後、用紙Sを曲率分離した中間転写ベルト7aは、クリーニング部8により残留トナーが除去される。
【0029】
カラートナー像あるいはモノクロトナー像が転写された用紙Sは、その後、定着装置1によって加圧および加熱され、用紙S上のトナー像を定着される。これにより、用紙Sにカラー画像あるいはモノクロ画像が形成されることになり、当該カラー画像あるいはモノクロ画像が形成された用紙Sは、その後、装置本体2から排出される。
【0030】
画像形成装置100は、検出部12と、制御部13とをさらに備えている。検出部12は、収容部9から搬送経路4に沿って搬送される用紙Sのサイズを検出する。制御部13については後述する。
【0031】
画像形成装置100は、冷却ユニット30をさらに備えている。冷却ユニット30は、定着装置1を冷却する。冷却ユニット30は、定着装置1よりも下方向に配置されている。冷却ユニット30の詳細については後述する。
【0032】
図2は、冷却ユニット30周辺の拡大概略図である。
図2中に示された実線矢印は、搬送方向DR1を示している。搬送方向DR1は、用紙Sが搬送される方向である。転写部7を通って搬送される用紙Sは、定着装置1を通過する。
【0033】
定着装置1は、加熱回転体と、熱源23と、無端状の定着ベルト24とを含んでいる。熱源23は、たとえばヒーターである。熱源23は、定着ベルト24を加熱する。熱源23から熱が伝わった定着ベルト24は、加熱回転体を加熱する。
【0034】
実施の形態において、加熱回転体は、加圧ローラー20である。加圧ローラー20は、定着ベルト24の外周面に対向している。加圧ローラー20は、定着ベルト24を押圧する。加圧ローラー20は、定着ベルト24とともに用紙S上のトナー像を加熱および加圧する。加圧ローラー20の軸方向における中央に熱源23が配置されている。
【0035】
冷却ユニット30は、第一送風装置10と、第二送風装置11とを含んでいる。第一送風装置10は、加圧ローラー20に向けて送風する。第一送風装置10は、加圧ローラー20に対して下方に配置されている。
【0036】
第一送風装置10から送風された空気は、加圧ローラー20の外周面に沿って流れる過程で、加圧ローラー20を冷却する。第一送風装置10から送風された空気は、加圧ローラー20を通過して、第二送風装置11に向かって流れる(
図2中の点線矢印A)。
【0037】
第二送風装置11は、加圧ローラー20に対して第一送風装置10から送られる空気が流れる方向の下流側に配置されている。第二送風装置11は、加圧ローラー20に対して上方に配置されている。第二送風装置11を通過した空気は、超微粒子(UFP)フィルタへ続く流路に流れ込む。
【0038】
図3は、
図2に示す領域IIIの概略斜視図である。画像形成装置100は、扉部60をさらに含んでいる。
図3では、説明の簡略化のため、扉部60および第一送風装置10のみを記載している。実施の形態において、扉部60には、2つの第一送風装置10が設けられている。扉部60は、基点部61を有している。基点部61を軸に扉部60が開閉する(
図2中の白抜き両矢印B)。これにより、画像形成装置100の内部にアクセス可能となる。扉部60には、用紙Sの搬送経路の一部が設けられている。
【0039】
図4は、冷却ユニット30および加圧ローラー20の概略断面図である。
図4中に示された両矢印は、幅方向DR2を示している。幅方向DR2は、加圧ローラー20の軸方向であり、搬送方向DR1および高さ方向DR3に直交する方向である。
【0040】
加圧ローラー20は、幅方向DR2において、中央領域22と、一対の端部領域21とを含んでいる。中央領域22は、画像形成に係る用紙Sのうち最もサイズが小さい用紙S(たとえばA5サイズ用紙)が通過する領域である。中央領域22は、画像形成に係るどんなサイズの用紙Sでも通過する領域である。
【0041】
一対の端部領域21は、幅方向DR2における中央領域22の両端に設けられている。端部領域21は、小サイズの用紙S(たとえばA5サイズ用紙)を連続して通紙し続けると、温度が過剰に上昇する領域である。端部領域21の温度が過剰に上昇すると加圧ローラー20が劣化する。
【0042】
加圧ローラー20は、中央領域22の他にも、用紙Sのサイズごとに区切られた領域X、領域Y、領域Zを含んでいる。領域Xは、中央領域22をそっくり含む領域であり、たとえばB5サイズの用紙Sが通過する領域である。領域Yは、領域Xをそっくり含む領域であり、たとえばA4サイズの用紙Sが通過する領域である。領域Zは、領域Yをそっくり含む領域であり、たとえばB4サイズの用紙Sが通過する領域である。
【0043】
冷却ユニット30は、筒状の形状を有するダクト50と、第二開口変更部47と、仕切部42とをさらに含んでいる。ダクト50は、第一送風装置10と連結している。第一送風装置10から送られる空気は、ダクト50に流入し、上記空気は、加圧ローラー20に向けて排出される。上記空気は、ダクト50を通って端部領域21に向かって排出される。
【0044】
ダクト50内には、第二開口変更部47が配置されている。第二開口変更部47は、第一送風装置10に対して、第一送風装置10から送られる空気が流れる方向の下流側に配置されている。実施の形態1の第二開口変更部47は、回転可能に構成されているフィン41を有している。フィン41は、紙面奥行方向に延びる、短冊状の形状を有している。
【0045】
ダクト50内には、複数の仕切部42が配置されている。仕切部42は、ダクト50の出口付近に配置されている。仕切部42は、固定されている。仕切部42は、第二開口変更部47に対して第一送風装置10から送られる空気が流れる方向の下流側に配置されている。ダクト50の内壁と第二開口変更部47と仕切部42とによってダクト50から排出される空気の流路が規定される。
図4の状態において、1つのダクト50内に3つの流路(流路C、流路D、流路E)が規定されている。
【0046】
幅方向DR2において最も中央領域22に近い流路Cを流れる空気は、領域Xのうち中央領域22ではない部分に向けて排出される。幅方向DR2において最も中央領域22から離れた流路Eを流れる空気は、領域Zのうち領域Yではない部分に向けて排出される。流路Cおよび流路Eの間に設けられた流路Dは、領域Yのうち領域Xではない部分に向けて排出される。
【0047】
冷却ユニット30は、第一開口変更部40をさらに備えている。第一開口変更部40は、一対のシャッター部43と、一対のラック部45と、ピニオン部44とを有している。ラック部45およびシャッター部43は、一体に構成されている。ピニオン部44は、一対のラック部45と噛合っている。ピニオン部44が駆動回転することにより、一対のシャッター部43が、互いに離れる方向または互いに近づく方向に移動する(
図4中の白抜き両矢印F)。シャッター部43は、ダクト50内を幅方向DR2(ダクト50の径方向)に直線移動が可能な構成である。シャッター部43は、制御部13からの指令により、用紙Sのサイズに対応して移動可能な構成となっている。
【0048】
図5は、
図4に示す領域Vの拡大概略図である。
図5以降に示す図面において、特段の指示のない黒矢印は、第一送風装置10から送風される空気の流れを示すものとする。第二開口変更部47は、ねじりばね48をさらに有している。フィン41は、ねじりばね48によってシャッター部43に向かって回転するように(
図5中のG方向、
図5中の反時計回り)付勢されている。シャッター部43がフィン41に当接する前の状態において、フィン41は、ダクト50が延びる方向(高さ方向DR3)に対して傾斜していない。
【0049】
最もサイズが小さい用紙S(たとえばA5用紙)に画像形成する場合、シャッター部43は、ダクト50内に侵入していない。このとき、シャッター部43が直線移動する延長上における、ダクト50から排出される空気の流路の断面積(以下、流路断面積W)は最大となっている。シャッター部43がダクト50内に侵入していない場合(流路断面積Wが最大の場合)、第一送風装置10から送られる空気は、端部領域21のほぼ全域に向かって排出されることになる。
【0050】
図6は、シャッター部43がダクト50内に侵入した際の概略図である。
図6では、シャッター部43がフィン41と当接するまでの間の状態を示している。シャッター部43は、フィン41に向かって幅方向DR2に沿って直線移動する(
図6中の白抜き矢印H)。シャッター部43は、幅方向DR2における加圧ローラー20の端部20aのうちの近い方に向かって移動する。シャッター部43は、幅方向DR2において、中央領域22から離れる方向に移動する。シャッター部43がフィン41に向かって移動することにより、流路断面積Wが小さくなる。シャッター部43は、移動することにより、流路断面積Wを変更することができる。シャッター部43がフィン41と当接するまでの間において、シャッター部43の移動量(移動距離)に応じて流路断面積Wが変更される。
【0051】
図6の状態では、領域Xに向かう空気の流れが遮断されている(
図6中のI)。そのため、端部領域21のうち領域Xではない部分(
図6中の領域J)に第一送風装置10から送風された空気が流れることになる。
【0052】
図7は、シャッター部43がフィン41に当接した直後の状態を示す図である。フィン41は、シャッター部43の移動と連動して移動可能である。フィン41は、シャッター部43と当接することにより、シャッター部43から離れる方向に回転移動可能である。フィン41は、中央領域22から離れる方向に回転移動可能である。フィン41は、シャッター部43がフィン41に向かう方向(シャッター部43が移動する方向)と同じ方向に移動すること(変位すること)が可能である。フィン41は、ダクト50が延びる方向(高さ方向DR3)に対して、シャッター部43から離れる方向に傾斜することができる。
【0053】
シャッター部43がフィン41に当接した後、フィン41は、シャッター部43とともに流路断面積Wを変更する。シャッター部43がフィン41に当接し、フィン41が傾斜することにより、流路断面積Wは小さくなる。
【0054】
図7の状態では、領域Xに加えて領域Yに向かう空気の流れが遮断されている(
図7中のK)。そのため、端部領域21のうち領域Xおよび領域Yではない部分(
図7中の領域L)に第一送風装置10から送風された空気が流れることになる。
【0055】
図8は、
図7の状態からさらにシャッター部43が進んだ状態を示す図である。シャッター部43およびフィン41は、端部領域21に向かって排出される空気の流路を遮断できる。
図8の状態において、流路断面積Wはゼロとなる。
【0056】
比較的大きいサイズの用紙Sを通紙する場合、連続通紙しても端部領域21の過剰な温度上昇は発生しない。上記のような場合や通紙していない場合(非画像形成時)において、シャッター部43およびフィン41は、端部領域21に向かって排出される空気の流路を遮断する。
【0057】
(作用効果)
図7に示すように、ダクト50内を移動可能なシャッター部43を設けているため、流路断面積Wの調整を容易にすることができる。これにより、ダクト50から排出される空気の流路を規定することができる。したがって、端部領域21のうちの意図した部分(たとえば
図7では領域L)を確実に冷却することができる。
【0058】
フィン41(第二開口変更部47)がシャッター部43(第一開口変更部40)の移動に連動して、シャッター部43の移動する方向と同じ方向に移動可能であり、フィン41がシャッター部43とともに流路断面積Wを変更する構成とすることにより、シャッター部43の移動量が少なくても、フィン41がシャッター部43の移動量を加算する役割を果たすことができる。
【0059】
これにより、シャッター部43の移動量が少なくても、流路断面積Wを大きく変更することができる。したがって、シャッター部43の移動領域を小さく構成することができる。そのため、冷却ユニット30をコンパクトにすることができる。
【0060】
上記の構成により、画像形成装置100全体の大型化を抑制した上で端部領域21のうちの意図した部分を確実に冷却できる画像形成装置100を実現することができる。
【0061】
フィン41は、シャッター部43と当接することにより回転移動する構成である。これにより、第二開口変更部47を簡素に構成することができる。さらに、斜めに傾斜することができるフィン41を設けることにより、ダクト50から排出される空気の流路を規定することができる。これにより、端部領域21のうちの意図した部分を効率的に冷却することができる。
【0062】
上記部分を効率的に冷却することができるため、第一送風装置10から端部領域21に向かって送風する空気の量を少なくすることができる。したがって、第一送風装置10の騒音を小さくすることができる。さらに、少ないヒーターの使用電力で効率良く冷却することができるため、ヒーターを小型化することができる。
【0063】
フィン41は、中央領域22から離れる方向に回転移動可能である。これにより、ダクト50から排出される空気を確実に端部領域21のうちの意図した部分に導くことができる。
【0064】
シャッター部43およびラック部45を一体に構成(同一部品に)することにより、製造コストを抑制することができる。さらに、フィン41およびシャッター部43を同一駆動とすることにより、製造コストを抑制することができる。
【0065】
図6に示すように、シャッター部43がフィン41に当接するまでの間、シャッター部43の移動のみによって、流路断面積Wを変更することができる。さらに、シャッター部43のみで、ダクト50から排出される空気の流路を規定することができる。
【0066】
制御部13(
図1参照)は、検出部12の検出結果(検出した用紙Sのサイズ)に応じて、シャッター部43の移動量を制御する。たとえば、A5サイズ用紙Sに画像形成する際、制御部13は、シャッター部43がダクト50内に侵入しない状態(
図5の状態)にするようにシャッター部43の移動量を制御する。これにより、A5サイズの用紙Sが通過しない領域である端部領域21を確実に冷却することができる。
【0067】
B5サイズ用紙Sに画像形成する際、制御部13は、シャッター部43がダクト50内に少し侵入した
図6のような状態になるようにシャッター部43の移動量を制御する。これにより、B5サイズの用紙Sが通過しない領域である領域Jを確実に冷却することができる。
【0068】
このように、用紙Sのサイズに合わせて、端部領域21のうちの意図した部分に第一送風装置10から送風される空気当てることができ、上記意図した部分を確実に冷却することができる。これにより、より効率良く端部領域21を冷却することができる。
【0069】
図8に示すように、シャッター部43およびフィン41は、ダクト50内部の空間を閉じることができる(流路断面積Wをゼロにすることができる)。これにより、ゴミ(紙粉、埃、およびトナー噴煙等)、結露時の水滴、定着の排熱、並びに、メンテナンス時のねじおよびクリップ落下等による第一送風装置10の損傷を抑制することができる。
【0070】
図2に示すように、冷却ユニット30は、第二送風装置11をさらに含んでいる。これにより、第一送風装置10から加圧ローラー20を通過する空気の流れがスムーズになる。さらに、第二送風装置11を介して、上記空気を超微粒子(UFP)フィルタへ向けて送風することによって、温度上昇によって加圧ローラー20から発生する有害物質を回収することができる。
【0071】
図3に示すように、第一送風装置10は扉部60に設けられている。これにより、第一送風装置10のメンテナンスが容易になる。
【0072】
図4に示すように、ダクト50内には仕切部42が配置されている。これにより、ダクト50から排出される空気の流路をより確実に規定することができる。したがって、より確実に端部領域21のうちの意図した部分を冷却することができる。
【0073】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2の第二開口変更部47を示す概略断面図である。実施の形態1と異なり、フィン41(第二開口変更部47)は、ダクト50に2つ設けられている。フィン41は、3つ以上配置されていてもよい。2つのフィン41は、幅方向DR2(シャッター部43が直線移動する方向)に並んで配置されている。
【0074】
図10は、実施の形態2のシャッター部43がフィン41に当接した状態を示す図である。シャッター部43が一方のフィン41と当接することにより、一方のフィン41が他方のフィン41に向かって傾斜する(
図10中の白抜き矢印M)。一方のフィン41に当接された他方のフィン41は、シャッター部43から離れる方向に傾斜する(
図10中の白抜き矢印N)。
【0075】
複数のフィン41を配置することにより、シャッター部43の移動量が少なくても、複数のフィン41がシャッター部43の移動量を大きく加算することができる。これにより、流路断面積Wをより大きく変更することができる。したがって、シャッター部43の可動領域をより小さく構成することができる。
【0076】
[実施の形態3]
図11は、実施の形態3の第二開口変更部47を示す概略断面図である。複数のフィン41(第二開口変更部47)は、連結部材46により、互いに連結されている。第一送風装置10から送られる空気は、フィン41同士の間も通過する構成となっている。
【0077】
図12は、実施の形態3のシャッター部43がフィン41に当接した状態を示す図である。シャッター部43が一方のフィン41に当接することにより、2つのフィン41は連動してシャッター部43から離れる方向に傾く。
【0078】
これにより、シャッター部43の可動領域をより小さく構成することができる。さらに、2つのフィン41の間を空気が流れることができるため、ダクト50から排出される空気の流路を規定しやすくなる。
【0079】
[実施の形態4]
図13は、実施の形態4の第二開口変更部47を示す概略断面図である。実施の形態4において、第二開口変更部47(フィン41)は、シャッター部43に当接される前の状態において、ダクト50が延びる方向(高さ方向DR3)に対して傾斜して配置されている。
【0080】
図14は、実施の形態4のシャッター部43がフィン41に当接した状態を示す図である。フィン41は、シャッター部43と当接することによりシャッター部43から離れる方向に平行移動する(
図14中の白抜き矢印T)。
【0081】
実施の形態4の第二開口変更部47においても、実施の形態1と同様に、冷却ユニット30をコンパクトにできる効果が得られる。
【0082】
[実施の形態5]
図15は、実施の形態5の第二開口変更部47を示す概略断面図である。実施の形態5において、第二開口変更部47は、ダクト50に設けられている。第二開口変更部47は、ダクト50の一部である壁部52を構成している。
【0083】
図16は、実施の形態5のシャッター部43が壁部52に当接した状態を示す図である。シャッター部43が壁部52に当接することにより、壁部52がシャッター部43から離れる方向に向かって傾斜する。
【0084】
フィン41を配置せず、第二開口変更部47をダクト50の一部として構成できるため、冷却ユニット30を簡素な構成とすることができる。
【0085】
[実施の形態6]
図17は、実施の形態6の第二開口変更部47を示す概略断面図である。実施の形態6において、第二開口変更部47は、第二シャッター部49を有している。第二シャッター部49は、シャッター部43に設けられている。第二シャッター部49は、シャッター部43に対してスライド(直線移動)することが可能である。
【0086】
図18は、実施の形態6の第二シャッター部49が稼働した状態を示す図である。シャッター部43および第二シャッター部49は、一定距離を移動する間、一体となって移動する(
図17中の白抜き矢印P)。シャッター部43および第二シャッター部49が一定距離を移動した後、第二シャッター部49は、シャッター部43が移動する方向と同じ方向にスライドして移動する(
図18中の白抜き矢印Q)。
【0087】
実施の形態6においても、実施の形態1と同様に、シャッター部43の可動領域を小さく構成することができる。
【0088】
[実施の形態7]
図19は、実施の形態7の第二開口変更部47を示す概略断面図である。実施の形態7のフィン41(第二開口変更部47)は、シャッター部43(第一開口変更部40)に設けられている。フィン41は、シャッター部43と直交するように配置されている。フィン41は、シャッター部43と直交する場所に回転軸41cを有している。フィン41は、回転軸41cを中心に回転移動が可能である。実施の形態7の冷却ユニット30は、当接部51をさらに含んでいる。当接部51は、ダクト50内に配置されている。当接部51は、フィン41の移動する方向の延長上に配置されている。
【0089】
図20は、実施の形態7のシャッター部43が当接部51に当接した状態を示す図である。フィン41は、シャッター部43とともに移動し、当接部51と当接することにより回転軸41cを中心に回転移動する(
図20中の白抜き矢印R)。
【0090】
実施の形態7においても、実施の形態1と同様に、シャッター部43の可動領域を小さく構成することができる。
【0091】
(その他)
加熱回転体は、無端状の加熱ベルトであってもよい。無端状の加熱ベルトを冷却する構成においても、実施の形態の冷却ユニット30を適用することができる。
【0092】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 定着装置、2 装置本体、2A 画像形成部、2B 給紙部、3 ローラー、4 搬送経路、5 作像ユニット、6 露光ユニット、7 転写部、7a 中間転写ベルト、8 クリーニング部、9 収容部、9a 手差しトレイ、10 第一送風装置、11 第二送風装置、12 検出部、13 制御部、20 加圧ローラー、20a 端部、21 端部領域、22 中央領域、23 熱源、24 定着ベルト、30 冷却ユニット、40 第一開口変更部、41 フィン、41c 回転軸、42 仕切部、43 シャッター部、44 ピニオン部、45 ラック部、46 連結部材、47 第二開口変更部、48 ばね、49 第二シャッター部、50 ダクト、51 当接部、52 壁部、60 扉部、61 基点部、100 画像形成装置、DR1 搬送方向、DR2 幅方向、DR3 高さ方向、S 用紙。