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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20220216BHJP
   B62D 5/07 20060101ALI20220216BHJP
   B62D 5/10 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D5/07
B62D5/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018133324
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020011544
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 力
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051563(JP,A)
【文献】特開2000-247251(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097423(WO,A1)
【文献】特開2010-111344(JP,A)
【文献】特開2007-307959(JP,A)
【文献】実開昭56-172470(JP,U)
【文献】特開2015-137474(JP,A)
【文献】米国特許第04300650(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00 - 6/10
B62D 5/065 - 5/07
B62D 5/04
B62D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングに連結されるステアリング軸と、
前記ステアリング軸に回動力を付与するモータユニットと、
作動油を供給する油圧ポンプと、
操舵輪の向きを操舵するパワーステアリングシリンダへの作動油の供給を切り替えるパワーステアリングバルブと、
前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量を制御する制御弁と、
制御手段と、を備え、
前記油圧ポンプは固定容量型のポンプであり、
前記制御弁は電磁比例制御によって開度調整が行われる弁であり、
前記制御手段は、目標タイヤ角と実際のタイヤ角との差分に応じた設定圧となるように前記制御弁の開度を調整することで、前記油圧ポンプからの作動油を前記パワーステアリングバルブへ供給することを特徴とした産業車両。
【請求項2】
前記制御手段は、前記目標タイヤ角と前記実際のタイヤ角との差分が大きいほど前記制御弁の開度を大きく調整することで、前記パワーステアリングバルブへ供給する前記作動油の流量を多くする請求項1に記載の産業車両。
【請求項3】
荷役装置を作動させる荷役シリンダへの作動油の供給を切り替えるコントロールバルブ備え、
前記制御弁は、前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量と前記コントロールバルブへ流れる前記作動油の流量とを制御する請求項1又は請求項2に記載の産業車両。
【請求項4】
ステアリングに連結されるステアリング軸と、
前記ステアリング軸に回動力を付与するモータユニットと、
作動油を供給する油圧ポンプと、
操舵輪の向きを操舵するパワーステアリングシリンダへの作動油の供給を切り替えるパワーステアリングバルブと、
前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量を制御する制御弁と、
荷役装置を作動させる荷役シリンダへの作動油の供給を切り替えるコントロールバルブと、
制御手段と、を備え、
前記油圧ポンプは可変容量型のポンプであり、
前記制御手段は、目標タイヤ角と実際のタイヤ角との差分に応じて前記油圧ポンプの容量を調整することで、前記油圧ポンプからの作動油を前記パワーステアリングバルブへ供給し、
前記制御弁は、前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量と前記コントロールバルブへ流れる前記作動油の流量とを制御することを特徴とした産業車両。
【請求項5】
前記制御手段は、前記目標タイヤ角と前記実際のタイヤ角との差分が大きいほど前記油圧ポンプの容量を大きく調整することで、前記パワーステアリングバルブへ供給する前記作動油の流量を多くする請求項に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリング軸に回動力を付与するモータを備え、タイヤ角センサの検出値が目標タイヤ角となるようにモータを駆動させることによって操舵輪を操舵する操舵制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-51563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操舵輪は、油圧式のパワーシリンダへ作動油を供給することによって操舵されるが、単にモータの回転量のみの制御ではパワーシリンダへ供給される作動油の流量を調整するのは困難である。その結果、操舵の応答遅れに繋がる可能性がある。
【0005】
この発明は、操舵の応答遅れを抑制し得る産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する産業車両は、ステアリングに連結されるステアリング軸と、前記ステアリング軸に回動力を付与するモータユニットと、作動油を供給する油圧ポンプと、操舵輪の向きを操舵するパワーステアリングシリンダへの作動油の供給を切り替えるパワーステアリングバルブと、前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量を制御する制御弁と、制御手段と、を備え、前記油圧ポンプは固定容量型のポンプであり、前記制御弁は電磁比例制御によって開度調整が行われる弁であり、前記制御手段は、目標タイヤ角と実際のタイヤ角との差分に応じた設定圧となるように前記制御弁の開度を調整することで、前記油圧ポンプからの作動油を前記パワーステアリングバルブへ供給することを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、パワーステアリングシリンダへ供給する作動油の流量は制御弁の設定圧を制御することによって調整される。これにより、作動油の流量を直接的に制御することによってパワーステアリングシリンダに対して適切な流量の作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制し得る。
【0008】
上記産業車両において、前記制御手段は、前記目標タイヤ角と前記実際のタイヤ角との差分が大きいほど前記制御弁の開度を大きく調整することで、前記パワーステアリングバルブへ供給する前記作動油の流量を多くする。この構成によれば、差分が大きいほどパワーステアリングシリンダに対して多くの作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制し得る。
【0009】
上記課題を解決する産業車両は、ステアリングに連結されるステアリング軸と、前記ステアリング軸に回動力を付与するモータユニットと、作動油を供給する油圧ポンプと、操舵輪の向きを操舵するパワーステアリングシリンダへの作動油の供給を切り替えるパワーステアリングバルブと、前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量を制御する制御弁と、制御手段と、を備え、前記油圧ポンプは可変容量型のポンプであり、前記制御手段は、目標タイヤ角と実際のタイヤ角との差分に応じて前記油圧ポンプの容量を調整することで、前記油圧ポンプからの作動油を前記パワーステアリングバルブへ供給することを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、パワーステアリングシリンダへ供給する作動油の流量は油圧ポンプから供給される流量を制御することによって調整される。これにより、作動油の流量を直接的に制御することによってパワーステアリングシリンダに対して適切な流量の作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制し得る。
【0011】
上記産業車両において、前記制御手段は、前記目標タイヤ角と前記実際のタイヤ角との差分が大きいほど前記油圧ポンプの容量を大きく調整することで、前記パワーステアリングバルブへ供給する前記作動油の流量を多くする。この構成によれば、差分が大きいほどパワーステアリングシリンダに対して多くの作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制し得る。
【0012】
上記産業車両において、荷役装置を作動させる荷役シリンダへの作動油の供給を切り替えるコントロールバルブと、を備え、前記制御弁は、前記パワーステアリングバルブへ流れる前記作動油の流量と前記コントロールバルブへ流れる前記作動油の流量とを制御する。この構成によれば、荷役時と操舵時のそれぞれにおいて適切な流量の作動油を供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操舵の遅れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フォークリフトを示す側面図。
図2】第1実施形態におけるフォークリフトのブロック図。
図3】第2実施形態におけるフォークリフトのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、フォークリフトに具体化した第1実施形態を図1にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、産業車両としてのフォークリフト10には、車体11の前部に荷役装置12が設けられている。車体11の中央には、運転席13が設けられている。車体11の前下部には駆動輪(前輪)14が設けられている。車体11の後下部には操舵輪(後輪)15が設けられている。駆動輪14には、車体11に収容されるとともに、駆動輪14に対して駆動力を付与する駆動源が連結されている。
【0016】
荷役装置12は、車体11の前部に立設されたマスト16を有している。マスト16は、左右一対のアウタマスト17とインナマスト18からなる多段式(本実施形態では2段式)とされている。アウタマスト17には、荷役用シリンダとしての油圧式のティルトシリンダ19が連結されており、ティルトシリンダ19の作動により車体11に対して前後に傾動可能とされている。インナマスト18には、荷役用シリンダとしての油圧式のリフトシリンダ20が連結されており、リフトシリンダ20の作動によりアウタマスト17内をスライドし、昇降可能とされている。また、マスト16には、左右一対のフォーク21がリフトブラケット22を介して設けられている。リフトブラケット22は、インナマスト18に昇降可能に設けられている。荷役作業(荷取り作業及び荷置き作業)は、荷が積載されたパレット(図示しない)をフォーク21で掬い上げて所定の位置に置くことによって行われる。そして、フォーク21は、リフトシリンダ20の駆動によってインナマスト18がアウタマスト17に沿って昇降動作することにより、リフトブラケット22とともに昇降される。また、フォーク21は、ティルトシリンダ19の駆動によってマスト16とともに傾動(前傾及び後傾)するようになっている。
【0017】
運転席13には、ハンドルコラム24が設けられている。ハンドルコラム24には、操舵輪15のタイヤ角を変更して、フォークリフト10の進行方向を変更するためのステアリング25が装着されている。また、運転席13には、荷役装置12を操作する操作部材が配設されている。
【0018】
図2に示すように、フォークリフト10の車体11には、車両制御装置30が搭載されている。車両制御装置30は、各種の制御を行うCPU31と、制御プログラムなどの各種情報を記憶するメモリ32と、を有する。また、車両制御装置30には、操舵輪15の実際のタイヤ角を検出するタイヤ角センサ33が接続されている。
【0019】
車両制御装置30は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。車両制御装置30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。
【0020】
フォークリフト10の車体11には、油タンク35に貯油されている作動油を汲み上げる油圧ポンプ36が設けられている。また、車体11には、油圧ポンプ36を駆動する荷役モータ37が設けられている。この実施形態における油圧ポンプ36は、固定容量型である。フォークリフト10の車体11には、荷役装置12を構成するティルトシリンダ19やリフトシリンダ20への作動油の供給を切り替えるコントロールバルブ38が設けられている。また、フォークリフト10の車体11には、パワーステアリングシリンダ39への作動油の供給を切り替えるパワーステアリングバルブ40が設けられている。また、コントロールバルブ38とパワーステアリングバルブ40のそれぞれは制御弁としての優先弁41を介して油圧ポンプ36と繋がっている。この実施形態の優先弁41は、電磁比例制御弁である。
【0021】
ステアリング25とパワーステアリングバルブ40は、ステアリング軸42を介して連結されている。この実施形態のフォークリフト10では、ステアリング軸42にモータ、及びギアユニットからなるモータユニット43が介在されている。モータユニット43は車両制御装置30に接続されており、車両制御装置30から入力される電気信号によって作動する。車両制御装置30は、目標タイヤ角となるようにモータユニット43を制御する。これにより、操舵輪15のタイヤ角は、モータユニット43がステアリング軸42に回動力を付与して所定量、回動させることで制御される。目標タイヤ角は、操舵輪15が直線を向く方向を示す中立角度に対して操舵輪15を傾ける角度、及び傾ける方向によって規定される。なお、操舵輪15が向く方向は右向き及び左向きである。
【0022】
また、ステアリング軸42には、パワーステアリングバルブ40とモータユニット43との間に操舵用ポンプ40aが連結されている。操舵用ポンプ40aは、ステアリング軸42の操作と連動して作動する。パワーステアリングシリンダ39へは、操舵用ポンプ40aが作動することで供給される作動油がパワーステアリングバルブ40を通じて供給される。パワーステアリングシリンダ39は、一対の油室39a,39bを備えており、これらの油室39a,39bに対する作動油の給排によって操舵輪15に連結されているロッド39cが駆動する。これにより、操舵輪15は、ロッド39cの駆動によって左右いずれか一方を向くように操舵される。ロッド39cの駆動方向は、車両制御装置30が目標タイヤ角に応じて制御する。
【0023】
以下、この実施形態のフォークリフト10による操舵輪15の制御をその作用とともに説明する。なお、以下の説明においてフォークリフト10は車両制御装置30による自動制御によって自動操舵を行うものとする。また、自動運転によるフォークリフト10では、車両制御装置30の制御によってアクセル操作、及びブレーキ操作も自動制御される。
【0024】
車両制御装置30は、目標タイヤ角にしたがってモータユニット43を制御することでステアリング軸42を回動させる。このとき、車両制御装置30は、タイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角が目標タイヤ角となるようにステアリング軸42を回動させる。なお、目標タイヤ角は、外部指令装置からの指示によって車両制御装置30へ送信されてもよいし、走行経路を予めメモリ32に記憶しておき、その記憶された走行経路と現在位置から算出されてもよい。
【0025】
また、車両制御装置30は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角との差分をもとに優先弁41の開度を制御する。このとき、車両制御装置30は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角との差分が大きいほど優先弁41の開度を大きく調整する。つまり、車両制御装置30は、差分が大きいほどパワーステアリングバルブ40へ流れる作動油の流量を多くし、差分に応じた設定圧となるように優先弁41の開度を調整する。このような優先弁41の制御により、油圧ポンプ36から供給される作動油は、コントロールバルブ38よりも優先してパワーステアリングバルブ40へ供給される。そして、車両制御装置30は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角とが一致すると、油圧ポンプ36から供給される作動油をコントロールバルブ38へ流れるように優先弁41の流路を制御する。優先弁41は、パワーステアリングバルブ40への供給圧力Pと、ロードセンシング圧力LSの差圧とを一定とする。
【0026】
したがって、この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1-1)パワーステアリングシリンダ39へ供給する作動油の流量は優先弁41の設定圧を制御することによって調整する。これにより、作動油の流量を直接的に制御することによってパワーステアリングシリンダ39に対して適切な流量の作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制できる。
【0027】
(1-2)また、優先弁41の制御により、ステアリング25やパワーステアリングバルブ40などの機械的な遊びによる影響を受けることなく、目標タイヤ角に追従するように適切な流量の作動油をパワーステアリングシリンダ39へ供給することができる。
【0028】
(1-3)目標タイヤ角と実際のタイヤ角との差分が大きいほどパワーステアリングシリンダ39に対して多くの作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制できる。
【0029】
(1-4)優先弁41により、荷役時にはコントロールバルブ38に対して適切な流量の作動油を供給することができるとともに操舵時にはパワーステアリングバルブ40に対して適切な流量の作動油を供給することができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、フォークリフトに具体化した第2実施形態を図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態は、既に説明した実施形態と同一構成については同一符号を付すなどしてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0031】
この実施形態のフォークリフト10は、油タンク35に貯油されている作動油を汲み上げる油圧ポンプ45として、可変容量型の油圧ポンプを備えている。また、フォークリフト10は、油圧ポンプ45の容量を制御する容量制御弁46を備えている。容量制御弁46は、車両制御装置30によって制御される。なお、この実施形態における優先弁41は、ロードセンシング圧力LSを入力してばね力によって開度が調整される弁であり、第1実施形態のように開度を電磁比例制御によって制御しない。
【0032】
以下、この実施形態のフォークリフト10による操舵輪15の制御をその作用とともに説明する。
車両制御装置30は、目標タイヤ角にしたがってモータユニット43を制御することでステアリング軸42を回動させる。このとき、車両制御装置30は、タイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角が目標タイヤ角となるようにステアリング軸42を回動させる。
【0033】
また、車両制御装置30は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角との差分をもとに容量制御弁46の開度を制御する。このとき、車両制御装置30は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角との差分が大きいほど容量制御弁46の開度を大きく制御する。つまり、車両制御装置30は、差分が大きいほど容量制御弁46の開度を大きく制御することによってパワーステアリングバルブ40へ流れる作動油の流量を多くする。油圧ポンプ45は、容量制御弁46の制御によって容量を可変することができ、作動油の流量が可変される。
【0034】
また、優先弁41は、ロードセンシング圧力LSとばね力によって開度が調整されている。優先弁41は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角との差分が大きいときには油圧ポンプ45から供給される作動油をコントロールバルブ38よりも優先してパワーステアリングバルブ40へ供給するように作動する。そして、優先弁41は、パワーステアリングバルブ40への供給圧力Pと、ロードセンシング圧力LSの差圧とが一定になることで油圧ポンプ45から供給される作動油をコントロールバルブ38へ流れるように流路が制御される。つまり、優先弁41は、目標タイヤ角とタイヤ角センサ33で検出されるタイヤ角とが一致すると、油圧ポンプ45から供給される作動油をコントロールバルブ38へ流れるように流路が制御される。なお、荷役制御において油圧ポンプ45から供給される作動油をコントロールバルブ38へ流す場合、容量制御弁46の開度は最大開度に制御される。
【0035】
したがって、この実施形態によれば、第1実施形態の効果(1-3)、(1-4)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(2-1)パワーステアリングシリンダ39へ供給する作動油の流量は油圧ポンプ45から供給される流量を制御することによって調整する。これにより、作動油の流量を直接的に制御することによってパワーステアリングシリンダ39に対して適切な流量の作動油を供給することが可能であり、操舵の応答遅れを抑制できる。
【0036】
(2-2)また、油圧ポンプ45の制御により、ステアリング25やパワーステアリングバルブ40などの機械的な遊びによる影響を受けることなく、目標タイヤ角に追従するように適切な流量の作動油をパワーステアリングシリンダ39へ供給することができる。
【0037】
なお、実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○各実施形態のフォークリフト10は、自動運転専用の車両であってもよいし、自動運転及び手動運転兼用の車両であってもよい。
【0038】
○各実施形態における操舵輪の制御は、フォークリフトに限らず、例えばトーイングトラクタなどの他の産業車両に適用してもよい。
○各実施形態のフォークリフトは、走行モータによって走行する電動式のフォークリフトに適用してもよいし、エンジンによって走行するエンジン式のフォークリフトに適用してもよい。エンジン式のフォークリフトの場合、油圧ポンプ36,45はエンジンによって駆動が制御される。
【符号の説明】
【0039】
10…フォークリフト、12…荷役装置、15…操舵輪、25…ステアリング、30…車両制御装置、36,45…油圧ポンプ、38…コントロールバルブ、39…パワーステアリングシリンダ、40…パワーステアリングバルブ、40a…操舵用ポンプ、41…優先弁、42…ステアリング軸、43…モータユニット。
図1
図2
図3