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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20220216BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K5/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019502519
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2018002867
(87)【国際公開番号】W WO2018159188
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2017036365
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 敬史
(72)【発明者】
【氏名】村上 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】新子 剛央
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195504(JP,A)
【文献】特開2014-138499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30-3/52
H02K 5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を中心として回転するロータと、
コイル線を有し、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記コイル線が接続されるバスバーと、
前記ステータの上側に位置し前記バスバーを支持するバスバーホルダと、
前記ステータおよび前記バスバーホルダを径方向外側から囲む筒状のハウジングと、
を備え、
前記バスバーホルダは、
樹脂材料からなる本体部と、
前記本体部に固定され下側を向く接触面が設けられた金属片と、を有し、
前記ハウジングの内周部には、上側を向いて前記接触面と接触する支持面が設けられる、
モータ。
【請求項2】
前記バスバーホルダは、インサート成型品である、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
上下方向に沿って延び外部機器に電気的に接続される接続端子を備え、
前記バスバーホルダは、前記接続端子を下側から支持し、
前記金属片は、上下方向から見て前記接続端子と重なる、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記金属片は、前記接触面の上側の面の少なくとも一部が前記本体部により覆われる、
請求項1~3の何れか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記金属片が前記本体部と上下方向に面する部分の面積は、前記接触面が前記支持面と上下方向に面する部分の面積より大きい、
請求項1~4の何れか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記バスバーホルダは、上下方向に沿って延びて前記ハウジングの内周部と径方向に対向し、3点以上で接触する延伸部を有する、
請求項1~5の何れか一項に記載のモータ。
【請求項7】
前記バスバーホルダは、前記ステータと間隙を介して上下方向に対向する、
請求項1~6の何れか一項に記載のモータ。
【請求項8】
前記バスバーホルダの上側に位置し、上下方向に間隙を介して積層された2枚の基板を有し、
前記2枚の基板は、前記2枚の基板それぞれに設けられた開口部に圧入された圧入端子により互いに接続される、
請求項1~7の何れか一項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータのハウジングにバスバーを支持するバスバーホルダを固定する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-219334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にバスバーホルダは、バスバー同士の絶縁性を確保する為に樹脂などの絶縁性の材料から構成される。一方で、近年、部品点数の削減や製造工程の簡略化を目的として、挿入工程により電気的な接続を確保する構造を採用する場面が増えてきた。例えば、バスバーに接続端子を設けて外部機器のソケットに挿入することで接続を確保する場合には、挿入時の反力がバスバーホルダに加わる。このため、バスバーホルダの耐荷重を高めることが望まれていた。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記課題に鑑みて、バスバーホルダの耐荷重を高めることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、上下方向に延びる中心軸を中心として回転するロータと、コイル線を有し、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、前記コイル線が接続されるバスバーと、前記ステータの上側に位置し前記バスバーを支持するバスバーホルダと、前記ステータおよび前記バスバーホルダを径方向外側から囲む筒状のハウジングと、を備え、前記バスバーホルダは、樹脂材料からなる本体部と、前記本体部に固定され下側を向く接触面が設けられた金属片と、を有し、前記ハウジングの内周部には、上側を向いて前記接触面と接触する支持面が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、バスバーホルダの耐荷重を高めたモータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のモータの斜視図である。
図2図2は、一実施形態のモータの中心軸に沿う断面図である。
図3図3は、図2の領域IIIの拡大図である。
図4図4は、本体部によるバスバーの支持構造を示す断面図である。
図5図5は、一実施形態の電動パワーステアリング装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。以下の説明において、中心軸Jが延びる方向を上下方向として各構成を説明する。モータ1の姿勢は、以下の説明における姿勢に限定されない。
【0010】
図1は、一実施形態のモータ1の斜視図である。図2は、モータ1の中心軸Jに沿う断面図である。図3は、図2の領域IIIの拡大図である。
【0011】
図2に示すように、モータ1は、上下方向に延びる中心軸Jを中心として回転するロータ30と、複数のコイル43を有するステータ40と、上側ベアリング54と、下側ベアリング55と、ベアリングホルダ50と、ハウジング20と、複数のバスバー70と、バスバーを支持するバスバーホルダ60と、を備える。
【0012】
[ハウジング]
ハウジング20は、ステータ40、ベアリングホルダ50およびバスバーホルダ60を径方向外側から囲む有底の筒状である。ハウジング20は、上側に開口する。ハウジング20の上側の開口は、ベアリングホルダ50に覆われる。
【0013】
ハウジング20は、筒部20aと底部20bとを有する。筒部20aは、中心軸Jに沿って延びる円筒である。筒部20aは、ステータ40を径方向外側から囲む。底部20bは、筒部20aの下側の開口を覆う。底部20bには、ロータ30のシャフト31が通過する第1の保持孔20cが設けられる。ハウジング20は、第1の保持孔20cの内周面において、下側ベアリング55の外輪を保持する。また、第1の保持孔20cの内周面の下端には、径方向内側に突出する第1の庇部20dが設けられる。下側ベアリング55の外輪は、第1の庇部20dの上面に接触する。
【0014】
筒部20aは、ステータ40、ベアリングホルダ50およびバスバーホルダ60を径方向外側から囲む内周部21を有する。ハウジング20は、内周部21において、ステータ40、ベアリングホルダ50およびバスバーホルダ60を保持する。
【0015】
図3に示すように、内周部21は、段差部21aと、段差部21aの上側に位置する大径部21bと、段差部21aの下側に位置する小径部21cと、を有する。
段差部21aは、上側を向く支持面22を有する。支持面22は、周方向に沿って一様に延びる。支持面22の径方向外端は、大径部21bと連なる。また、支持面22の径方向内端は、小径部21cと連なる。
大径部21bは、小径部21cに対して、内径が大きい。大径部21bの内周面は、ベアリングホルダ50の外周面50bと接触する。小径部21cの内周面は、ステータ40の外周面41aと接触する。
【0016】
[ロータ]
図2に示すように、ロータ30は、シャフト31と、ロータコア32と、ロータマグネット33と、を有する。シャフト31は、上下方向に延びる中心軸Jを中心とする。
【0017】
シャフト31は、下側ベアリング55と上側ベアリング54とによって、中心軸Jの軸周りに回転可能に支持される。シャフト31の下側の端部は、底部20bの下側に突出する。シャフト31の下側の端部は、例えば、ギアやカップリング等の伝達部材に接続され、トルクを出力する。
【0018】
ロータコア32は、シャフト31の外周面に固定される。ロータコア32は、シャフト31を周方向に囲んでいる。ロータコア32は、上下方向において、下側ベアリング55と上側ベアリング54との間に位置する。
ロータマグネット33は、永久磁石である。ロータマグネット33は、ロータコア32の周方向に沿った外側面に固定される。
【0019】
[上側ベアリングおよび下側ベアリング]
上側ベアリング54は、シャフト31の上部を回転可能に支持する。上側ベアリング54は、ステータ40の上側に位置する。下側ベアリング55は、シャフト31の下部を回転可能に支持する。下側ベアリング55は、ステータ40の下側に位置する。
本実施形態において、上側ベアリング54および下側ベアリング55は、ボールベアリングである。しかしながら、上側ベアリング54および下側ベアリング55の種類は、特に限定されず、他の種類のベアリングを用いてもよい。
【0020】
[ベアリングホルダ]
ベアリングホルダ50は、ステータ40の上側に位置する。ベアリングホルダ50は、中心軸Jを中心とする円板形状を有する。ベアリングホルダ50の外周面50bは、ハウジング20の内周部21に固定される。
【0021】
ベアリングホルダ50には、上下方向に貫通する第2の保持孔50cと2つの端子挿通孔51と、が設けられる。端子挿通孔51には、3つの接続端子77が挿通される(図1参照)。
【0022】
第2の保持孔50cは、ベアリングホルダ50の平面視中央に位置する。第2の保持孔50cには、シャフト31が挿通される。ベアリングホルダ50は、第2の保持孔50cの内周面において、上側ベアリング54の外輪を保持する。また、第2の保持孔50cの内周面の上端には、径方向内側に突出する第2の庇部50dが設けられる。上側ベアリング54の外輪は、第2の庇部50dの上面に接触する。
【0023】
[ステータ]
ステータ40は、ロータ30の径方向外側に位置する。ステータ40は、ステータコア41と、インシュレータ42と、コイル43と、を有する。コイル43は、コイル線43aから構成される。すなわち、ステータ40は、コイル線43aを有する。ステータ40は、ステータコア41の外周面41aにおいてハウジング20の内周部21に固定される。
インシュレータ42は、絶縁性を有する材料から構成される。インシュレータ42は、ステータコア41の少なくとも一部を覆う。
【0024】
コイル43は、インシュレータ42を介して、コイル線43aをステータ40に巻き回されることで構成される。コイル43は、モータ1の駆動時において、ステータコア41を励磁する。コイル43を構成するコイル線43aは、バスバー70のコイル線接続部71まで引き出される。
【0025】
バスバー70は、コイル線接続部71と、接続端子77と、コイル線接続部71と接続端子77との間を繋ぐ連結部72と、を有する。すなわち、モータ1は、外部機器9に電気的に接続される接続端子77を有する。なお、本実施形態において、接続端子77とバスバー70とは、互いに連結された一つの部材であるが、接続端子77とバスバー70とは、別部材であってもよい。
【0026】
バスバー70は、導電性の金属板をプレス加工することで成形される。連結部72は、板厚方向が軸方向と一致する。一方で、コイル線接続部71および接続端子77は、板厚方向が軸方向と直交する。コイル線接続部71および接続端子77は、連結部72に対して軸方向に折り曲げて成形される。
【0027】
コイル線接続部71は、コイル線43aと電気的に接続される。コイル線接続部71は、例えば、コイル線43aを挟み込むU字形状を有する。コイル線接続部71と、コイル線43aとは、溶接によって互いに固定され、電気的に接続される。具体的には、コイル線接続部71が、コイル線43aを周方向に挟持した状態で2つの電極で周方向に挟み込み、抵抗溶接することで、コイル線接続部71とコイル線43aとを接続する。なお、コイル線接続部71とコイル線43aとは、アーク溶接等の抵抗溶接以外の溶接、かしめ等の塑性変形、はんだ付け、導電性接着剤による接着等により固定してもよい。
【0028】
接続端子77は、上下方向に沿って延びる。接続端子77は、ベアリングホルダ50に設けられた端子挿通孔51を通過してベアリングホルダ50の上側に突出する。接続端子77は、ベアリングホルダ50の上側において、外部機器9のソケットに挿入されて、外部機器9に電気的に接続される。
【0029】
バスバーホルダ60は、間隙を介してステータ40の上側に位置する。また、バスバーホルダ60は、間隙を介してベアリングホルダ50の下側に位置する。すなわち、バスバーホルダ60は、ステータ40およびベアリングホルダ50と接触せずにステータ40およびベアリングホルダ50の間に位置する。
【0030】
バスバーホルダ60は、円板形状である。図2に示すように、バスバーホルダ60の中央には、シャフト31が通過する中央孔60cが設けられる。また、図3に示すように、バスバーホルダ60には、コイル線43aが挿通される複数のコイル線挿通孔60dが設けられる。コイル線43aは、コイル線挿通孔60dを通ってバスバーホルダ60の上側でバスバー70のコイル線接続部71に接続される。
【0031】
図2に示すように、バスバーホルダ60は、樹脂材料からなる本体部61と、金属材料からなる板状の金属板(金属片)65と、を有する。本体部61は、金属板65の一部を埋め込んでインサート成型により成形される。すなわち、バスバーホルダ60は、インサート成型品である。金属板65は、円板形状を有する。また、本体部61は、金属板65の表面の一部を露出させて金属板65の表面を覆う。
【0032】
金属板65は、本体部61に一部埋め込まれて固定される。なお、本実施形態では、本体部61と金属板65とが、インサート成形によって固定される。しかしながら、本体部61と金属板65とは、互いに固定していれば、嵌め合いなどの他の方法によって互いに固定されていてもよい。金属板65の外径は、ハウジング20の大径部21bの内径と同じか若干小さく、ハウジング20の小径部21cの内径より大きい。
【0033】
図3に示すように、金属板65は、上面65bおよび下面65cを有する。金属板65は、本体部61から露出する露出部66を有する。露出部66は、金属板65の径方向外側を向く外端面65eと外端面65eの近傍における上面65bおよび下面65cの一部とを含む。本実施形態によれば、金属板65が、露出部66を除いて本体部61に覆われる。これにより、コイル線43aとバスバーホルダ60の金属板65との絶縁を確保して安定動作が可能なモータ1を提供できる。
【0034】
露出部66のうち、下面65cの径方向の最も外側の領域には、ハウジング20の支持面22と接触する接触面66aが設けられる。すなわち、バスバーホルダ60には、下側を向く接触面66aが設けられる。
【0035】
本実施形態によれば、バスバーホルダ60は、金属板65の接触面66aにおいてハウジング20と直接接触して支持される。また、バスバーホルダ60は、ステータ40およびベアリングホルダ50と接触していない。したがって、バスバーホルダ60は、ステータ40およびベアリングホルダ50の寸法精度に依存することなく、ハウジング20に対して位置決めすることができる。このため、バスバーホルダ60に支持される接続端子77の先端の上下方向位置を高精度で位置決めすることが可能となり、外部機器9との電気的な導通を安定させることができる。
加えて、本実施形態によれば、バスバーホルダ60におけるハウジング20との接触面66aが金属材料から構成されるため、接触面66aの寸法精度および平面度を高めることができる。これにより、ハウジング20に対するバスバーホルダ60の上下方向の位置精度を容易に高めることができ、結果として接続端子77の先端の上下方向位置の精度を高めることができる。
【0036】
本実施形態によれば、バスバーホルダ60が金属板65を有することで、バスバーホルダ60が補強されており、バスバーホルダ60の上下方向の耐荷重が高められる。接続端子77を外部機器9に接続する際に、バスバーホルダ60には、接続端子77を介して下側に向かう応力が付与される。本実施形態によれば、接続端子77の挿入時の反力に対し、バスバーホルダ60の耐荷重を十分に高くすることができる。
【0037】
本実施形態によれば、バスバーホルダ60は、ハウジング20と接触する接触面66aを金属板65により構成することで、応力が集中する接触面66aの強度を十分に高めることができる。すなわち、接触面66aの面積を小さくした場合であっても、バスバーホルダ60に十分な強度を与えることができる。これにより、接触面66aと接触するハウジング20の支持面22の面積を小さくすることが可能となり、結果としてハウジングの径方向寸法を小さくできる。
【0038】
図3に示すように、金属板65が本体部61と上下方向に面する部分の面積は、接触面66aが支持面22と上下方向に面する部分の面積より大きい。すなわち、本実施形態によれば、金属板65と樹脂製の本体部61との接触面積は、十分に確保される。したがって、金属板65と本体部61との接触部において応力が分散され、本体部61に過剰な応力が加わることが抑制され、バスバーホルダ60の耐荷重が高められる。
【0039】
露出部66のうち、上面65bに含まれる部分は、接触面66aより径方向外側に位置する。すなわち、金属板65は、接触面66aの上側の面の少なくとも一部が本体部61により覆われる。接続端子77に外力が付与されると、接触面66aは、ハウジング20から反力としての応力を受ける。本実施形態によれば、本体部61の一部が、接触面66aを応力方向の後方から支えることができる。
【0040】
金属板65は、本体部61の一部を介してバスバー70の接続端子77の下側に位置する。すなわち、金属板65は、上下方向から見て接続端子77と重なる。上述したように、接続端子77には、外部機器9に挿入する際に下方向の外力が加わる。本実施形態によれば、金属板65を接続端子77の下側に配置することで、金属板65が挿入時の反力を直接的に受ける。このため、接続端子77の挿入時の反力に対するバスバーホルダ60の耐荷重を高めることができる。
【0041】
金属板65には、上下方向に貫通する貫通孔65aが設けられる。貫通孔65aの内周面は、本体部61の被覆部61cに覆われる。被覆部61cの内周面は、コイル線43aが通過するコイル線挿通孔60dを構成する。被覆部61cは、コイル線43aと金属板65との絶縁を確保する。また、被覆部61cは、インサート成型におけるアンカーの機能を果たす。すなわち、被覆部61cが設けられることによって、金属板65と本体部61とが強固に固定される。
【0042】
バスバーホルダ60の本体部61は、上側を向く上面61aを有する。上面61aは、バスバー70の下面と接触する。バスバーホルダ60は、上面61aにおいてバスバー70を支持する。すなわち、バスバーホルダ60は、バスバー70(特に接続端子77)を下側から支持する。
【0043】
図4は、本体部61によるバスバー70の支持構造を示す断面図である。
本体部61の上面61aには、支持突起64が設けられる。支持突起64は、上面61aから上側に延びる。また、バスバー70の連結部72には、上下方向に貫通する孔72cが設けられる。孔72cには、支持突起64が挿入される。
【0044】
支持突起64は、軸部64bと頭部64aとを有する。軸部64bは、上面61aから上側に延びる。頭部64aは、軸部64bの上端に位置する。また、頭部64aは、バスバー70の上側に位置する。頭部64aの直径は、軸部64bの直径より大きい。頭部64aは、軸部64bの先端を加熱することで成形される。組立作業者等は、頭部64aが成形される前の状態で、軸部64bをバスバー70の孔72cに挿入して、軸部64bの先端を加熱して頭部64aを成形する。また、本実施形態によれば、バスバー70は、加熱の過程でバスバーホルダ60に押し付けられることにより、熱溶着にて固定される。したがって、バスバーホルダ60に対するバスバー70の上下方向の位置決め精度を高めることができる。
【0045】
図3に、二点鎖線で示すように、バスバーホルダ60の本体部61には、上下方向に沿って延びる延伸部162が設けられていてもよい。すなわち、バスバーホルダ60は、延伸部162を有していてもよい。
【0046】
延伸部162は、本体部61の径方向外端に位置し周方向に沿って円環状に延びる。延伸部162は、金属板65の上側に位置する。延伸部162は、ハウジング20の内周部21と径方向に対向する。延伸部162は、ハウジング20の内周部21と面接触する。この構成によれば、延伸部162が、ハウジング20の内周部21に接触することで、ハウジング20に対しバスバーホルダ60を径方向に位置決めできる。また、延伸部162が、上下方向に延び、延伸部162と内周部21との接触面が上下方向に延びることで、ハウジング20の中心軸に対しバスバーホルダ60の中心軸が傾くことを抑制できる。
【0047】
なお、本実施形態では、延伸部162と内周部21とが面接触する場合を例示したが、延伸部162と内周部21とが周方向に沿う3点以上で接触すれば径方向の位置決めが可能となる。なお、本実施形態に示すように、延伸部162と内周部21とが、面接触する場合は、接触点が無数に存在すると解することができる。
【0048】
本実施形態では、延伸部162が周方向に沿って円環状に延びる場合を例示したが、延伸部は周方向に沿って並ぶリブであってもよい。また、本実施形態では、延伸部162が金属板65の上側に位置する場合を例示したが、金属板65の下側に位置していてもよい。さらに、本実施形態では、延伸部162が本体部61の一部である場合を例示したが、延伸部162は、金属板65の一部であってもよい。
【0049】
(変形例)
次に、本実施形態のモータ1に採用可能な変形例の構成について説明する。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図3に二点鎖線で示すように、本変形例のモータは、一対(2枚)の基板107、108と、基板107、108同士を繋ぐ圧入端子106と、を有する。一対の基板107、108は、バスバーホルダ60の上側に位置する。一対の基板107、108とは、上下方向に間隙を介して対向する。また、一対の基板107、108のうち、下側に位置する一方の基板108は、バスバーホルダ60に支持される。一対の基板107、108には、それぞれ開口部107a、108aが設けられる。一対の基板107、108の開口部107a、108aには、圧入端子106が圧入により挿入される。これにより、一対の基板107、108は、互いに電気的に接続される。
【0051】
本変形例によれば、一対の基板107、108を繋ぐ圧入端子106の圧入に係る応力をバスバーホルダ60が受ける。バスバーホルダ60は、金属板65を有するため、圧入に係る応力に対して、十分に耐荷重が高められている。したがって、圧入端子106を用いる場合であっても、バスバーホルダ60の厚くする必要がなく、結果的に上下方向に沿うモータ1の寸法を小さくできる。
【0052】
<<電動パワーステアリング装置>>
次に、本実施形態のモータ1を搭載する装置の実施形態について説明する。ここでは、モータ1を電動パワーステアリング装置に搭載した例について説明する。図5は、一実施形態の電動パワーステアリング装置2を示す模式図である。
【0053】
電動パワーステアリング装置2は、自動車の車輪の操舵機構に搭載される。本実施形態の電動パワーステアリング装置2は、モータ1の動力により操舵力を直接的に軽減するラック式のパワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置2は、モータ1と、操舵軸914と、車軸913と、を備える。
【0054】
操舵軸914は、ステアリング911からの入力を、車輪912を有する車軸913に伝える。モータ1の動力は、図示略のボールねじを介して、車軸913に伝えられる。ラック式のパワーステアリング装置2に採用されるモータ1は、車軸913に取り付けられ外部に露出しるため、防水構造を必要とする。
【0055】
本実施形態の電動パワーステアリング装置2は、上述のモータ1を備えるため、モータ1の効果を享受する電動パワーステアリング装置2が得られる。なお、ここでは、本実施形態のモータ1の使用方法の一例としてパワーステアリング装置2を挙げたが、モータ1の使用方法は限定されない。
【0056】
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0057】
例えば、上述の本実施形態では、板状の金属板65を用いる場合を説明したが、金属板65と同等の機能を奏するものであればよく、金属板65に代えてブロック状の金属片を用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…モータ、9…外部機器、20…ハウジング、21…内周部、22…支持面、30…ロータ、40…ステータ、43…コイル、43a…コイル線、60…バスバーホルダ、61…本体部、65…金属板(金属片)、66a…接触面、70…バスバー、77…接続端子、106…圧入端子、107、108…基板、107a、108a…開口部、162…延伸部、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5