(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】プログラム、制御装置及び放射線画像撮影システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
A61B6/00 330Z
(21)【出願番号】P 2020136086
(22)【出願日】2020-08-12
(62)【分割の表示】P 2020006460の分割
【原出願日】2014-09-17
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 航
(72)【発明者】
【氏名】生方 兼六
(72)【発明者】
【氏名】手塚 英剛
(72)【発明者】
【氏名】儀同 智紀
(72)【発明者】
【氏名】内田 史景
(72)【発明者】
【氏名】米川 久
(72)【発明者】
【氏名】原 裕孝
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-059534(JP,A)
【文献】特開2011-072775(JP,A)
【文献】特開2011-224339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影台に装填された三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられるコンピューターで実行されるプログラムであって、
複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、
前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態に遷移させないステップ、
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項2】
撮影台に装填された三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられるコンピューターで実行されるプログラムであって、
複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、長尺撮影ができないことを報知するステップ、
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項3】
前記複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合には、二つの放射線画像撮影装置が、前記撮影台に装填されてい
るが、前記二つの放射線画像撮影装置が、前記放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合
が含まれる、
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合には、一つの放射線画像撮影装置のみが、前記撮影台に装填されている場合
が含まれる、
ことを特徴とする請求項1
から請求項
3のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられる制御装置であって、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、
前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態に遷移させない、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項6】
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられる制御装置であって、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、長尺撮影ができないことを報知する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
前記複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合には、二つの放射線画像撮影装置が、前記撮影台に装填されてい
るが、前記二つの放射線画像撮影装置が、前記放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合
が含まれる、
ことを特徴とする請求項
5又は請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合には、一つの放射線画像撮影装置のみが、前記撮影台に装填されている場合
が含まれる、
ことを特徴とする請求項
5から請求項
7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
三つの放射線画像撮影装置と、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、
前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態に遷移させない制御装置と、
を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項10】
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
三つの放射線画像撮影装置と、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、長尺撮影ができないことを報知する制御装置と、
を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、制御装置及び放射線画像撮影システムに係り、特に、いわゆる長尺撮影を行うためのプログラム、制御装置及び放射線画像撮影システムに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の上半身や下半身等の比較的広い範囲を撮影する方法として、放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector)を、撮影される被写体の体軸に沿って位置を変えながら放射線
照射装置から放射線を照射して複数枚の放射線画像を撮影する、いわゆる長尺撮影が知られている。そして、通常、長尺撮影で得られた複数枚の放射線画像が画像処理でつなぎ合わされて1枚の放射線画像とされる。このような長尺撮影を行う放射線画像撮影システムの構成としては、種々の構成が知られているが、その中の1つとして、例えば
図22に示すような放射線画像撮影システムが知られている。
【0003】
すなわち、この場合の放射線画像撮影システムは、放射線照射装置100と放射線画像撮影装置101との間に、図示しない開口を有するコリメーター(collimator)102を配置し、放射線照射装置Sからの放射線の照射方向や照射領域を変えずに、放射線画像撮影装置101の位置を被写体Hの体軸Aに沿って移動させるのにあわせてコリメーター102を被写体Hの体軸方向に移動させて開口の位置等を変える。そして、このようにしてコリメーター102の開口で放射線照射装置Sから照射される放射線の照射野を放射線画像撮影装置101を含む必要な範囲のみに放射が照射されるように制限した状態で、放射線画像撮影装置101が位置を変えるごとに放射線照射装置Sから放射線を照射して、すなわち複数回の放射線照射を行って複数枚の放射線画像を撮影する。そして、図示しないコンソールで複数枚の放射線画像をつなぎ合わせて1枚の長尺撮影の放射線画像を生成するように構成される(例えば特許文献1等参照)。
【0004】
なお、
図22では、放射線画像撮影装置101を上下2箇所の位置に移動させて撮影を行う場合が示されているが、放射線画像撮影装置101を何箇所の位置に移動させるかは使用される放射線画像撮影装置101の大きさや撮影部位等に応じて適宜決められる。また、図示を省略するが、
図22に示したように被写体Hが起立した状態すなわち立位の撮影の場合だけでなく、被写体Hが横臥した状態すなわち臥位で撮影を行う場合にも、同様にして長尺撮影を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図22に示したコリメーター102を用いる放射線画像撮影システムのみならず、少なくとも放射線画像撮影装置101を被写体Hの体軸A方向に移動させながら複数枚の放射線画像を撮影して長尺撮影を行う従来の放射線画像撮影システムの場合、放射線画像撮影装置101が移動する間に被写体Hが動くという問題(すなわちいわゆる体動の問題)が少なからず発生する。そして、複数枚の放射線画像のうち1枚でも体動が発生していると、当該放射線画像のみを再撮影して画像合成処理を行っても適切な長尺画像を得ることは困難であり、複数枚の放射線画像全部を再撮影しなければならなくなり、患者の被曝線量が増大してしまうという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するためには、後述する本発明の放射線画像撮影システムのように(後述する
図1等参照)、複数の放射線画像撮影装置を被写体の体軸(
図1中のA参照)の方向に並べて配置しておき、それらの放射線画像撮影装置に対して放射線照射装置から1回だけ(すなわち1ショットで)放射線を照射して複数枚の放射線画像を撮影するように構成することが効果的である。
【0008】
しかし、予め複数の放射線画像撮影装置が被写体の体軸方向に配置された長尺撮影専用の撮影台を、病院等の施設に新たに導入することは、このような撮影台が高価であることや、1つの放射線画像撮影装置に対して放射線照射装置から放射線を1回照射して行う通常の撮影(以下、単純撮影という。)の撮影頻度に比べて長尺撮影の撮影頻度が高くないことから、費用対効果等の点からも必ずしも容易に実施できることではない。
【0009】
そのため、施設に既に設置されている、複数のCR(Computed Radiography)カセッテを装填する長尺撮影用のブッキー装置を用い、或いは長尺撮影用のブッキー装置を安価に製造し、それに、可搬型(カセッテ型等ともいう。)の放射線画像撮影装置を必要な個数だけ装填して長尺撮影を行うことができるように放射線画像撮影システムを構成することが望ましい。このように構成すれば、放射線科内での主流業務である単純撮影に使用できる可搬型放射線画像撮影装置を用いて長尺撮影も行うことが可能となり、放射線科の放射線画像撮影システム全体のコストパフォーマンスや撮影効率等をより向上させることが可能となる。
【0010】
しかし、このように構成することに伴って、放射線画像撮影システムに種々の不具合が発生する虞れがある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置を用いて長尺撮影を的確に行うための制御装置及び長尺撮影を的確に行うことが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の問題を解決するために、本発明のプログラムは、
撮影台に装填された三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられるコンピューターで実行されるプログラムであって、
複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態に遷移させないステップ、
を有することを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、
撮影台に装填された三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられるコンピューターで実行されるプ
ログラムであって、
複数の放射線画像撮影装置が、前記撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、長尺撮影ができないことを報知するステップ、
を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の制御装置は、
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられる制御装置であって、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態に遷移させない、ことを特徴とする。
また、本発明の制御装置は、
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムで用いられる制御装置であって、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、長尺撮影ができないことを報知する、
ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
三つの放射線画像撮影装置と、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、前記放射線画像撮影装置を撮影可能な状態に遷移させない制御装置と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
三つの放射線画像撮影装置に放射線を照射することにより長尺撮影を行うことが可能な放射線画像撮影システムであって、
三つの放射線画像撮影装置と、
複数の放射線画像撮影装置が、撮影台に、放射線の照射方向とは直交する方向に連続して装填されていない場合に、長尺撮影ができないことを報知する制御装置と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のような方式の制御装置や放射線画像撮影システムによれば、放射線画像撮影装置を用いて長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【
図2】複数の撮影室と単数または複数のコンソールとが対応付けられて構成された放射線画像撮影システムの構成例を表す図である。
【
図3】放射線画像撮影装置がクレードルに挿入され、コネクター同士が接続された状態を表す断面図である。
【
図4】検知手段としてタグリーダーを備える構成例を示す図である。
【
図5】(A)放射線発生装置の曝射スイッチを表す図であり、(B)ボタンを半押しした状態、(C)ボタンを全押しした状態を表す図である。
【
図6】可搬型放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【
図7】可搬型放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【
図8】連携方式で撮影を行う場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【
図9】リークデータに基づいて放射線の照射開始を検出する非連携方式の場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【
図10】
図8に示した処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータの読み出し処理が行われることを表すタイミングチャートである。
【
図12】撮影オーダー情報を表示する選択画面の一例を示す図である。
【
図13】各撮影オーダー情報に対応する各アイコン等を表示する画面の一例を示す図である。
【
図14】撮影室内に存在する放射線画像撮影装置に対応するアイコンが表示された選択画面の一例を示す図である。
【
図15】
図14の選択画面で放射線画像撮影装置が装填されたブッキー装置に対応するアイコンの表示例を示す図である。
【
図16】
図14の選択画面で放射線画像撮影装置に対応するアイコンが選択された場合の表示例を表す図である。
【
図17】
図13の画面上のフォーカス表示されたアイコン上にプレビュー画像や放射線画像が表示されることを表す図である。
【
図18】(A)長尺撮影において放射線画像撮影装置ごとに算出された真の画像データ、および(B)真の画像データを合成して長尺画像データを生成することを説明する図である。
【
図19】放射線画像撮影装置のコネクターにブッキー装置のコネクターが接続された状態を表す図である。
【
図20】(A)長尺撮影用のブッキー装置に3個の放射線画像撮影装置を装填した状態を表す図であり、(B)中央の装填位置に放射線画像撮影装置が装填されていない状態を表す図である。
【
図21】長尺撮影用のブッキー装置に3個の放射線画像撮影装置が(A)中央揃えに装填された状態とその際の照射野、(B)右揃えに装填された状態とその際の照射野を説明する図である。
【
図22】長尺撮影を行う放射線画像撮影システムの従来の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成を示す図である。
【0019】
なお、以下の本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の基本的な構成等の説明においては、
図1に示すように撮影室RaとコンソールCとが1:1に対応付けられている場合について説明するが、
図2に示すように、複数の撮影室Ra(Ra1~Ra3)と単数または複数のコンソールC(C1、C2)とがネットワークN等を介して対応付けられている場合も同様に説明することが可能である。
【0020】
また、
図1には、撮影室Ra内に長尺撮影用のブッキー装置51Aのみが設置されているように記載されているが、単純撮影に使用する立位撮影用のブッキー装置51Bや臥位撮影用のブッキー装置51C(
図2参照)等が撮影室Ra内に設置されていてもよい。すなわち、撮影室Raが1つの場合は、当該撮影室Ra内に長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されていればよく、その他にどのようなモダリティーを撮影室Ra内に設置するかは適宜決められる。また、
図2に示すように撮影室Raが複数の場合は、少なくともいずれかの1つの撮影室Raに長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されていればよく、当該撮影室Raや他の撮影室Raにどのようなモダリティーを撮影室Ra内に設置するかは適宜決められる。全ての撮影室Raに長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されていてもよい。
【0021】
さらに、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、前述したように、CRカセッテやフィルムカセッテを複数個装填可能な1ショット長尺用のブッキー装置であったり、通電や通信機能等を有するブッキー装置であったりするが、それぞれの使用方法については後で詳しく説明する。また、
図1や
図2では、長尺撮影用のブッキー装置51Aとして、撮影室Ra内に立位の長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されている場合が記載されているが、図示を省略するが、撮影室Ra内に臥位の長尺撮影用のブッキー装置を設置することも可能であり、放射線画像撮影システム50が、長尺撮影用のブッキー装置51Aとして臥位の長尺撮影用のブッキー装置のみを備える場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0022】
[放射線画像撮影システムの基本的な構成等について]
図1に示すように、本実施形態では、撮影室Ra(複数の撮影室Raを備える場合には少なくとも1つの撮影室Ra)には、長尺撮影を行うために複数の放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51Aが配置されており、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、そのカセッテホルダー51a内に、複数の放射線画像撮影装置1が被写体Hの体軸A方向に並ぶように装填することができるようになっている。
【0023】
なお、
図1では、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51aに、放射線画像撮影装置1を3個装填する場合が示されているが、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される放射線画像撮影装置1の個数が3個の場合に限定されない。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aや放射線画像撮影装置1の構成等については後で説明する。
【0024】
撮影室Raには、放射線照射装置52が設けられており、
図1に示すように、長尺撮影に用いる放射線照射装置52は、被写体Hを介して、ブッキー装置52Aに装填された複数の放射線画像撮影装置1に同時に(すなわち1回の放射線の照射(いわゆる1ショット)で)放射線を照射することができるようにいわゆる広角照射タイプになっている。なお、長尺撮影用の放射線照射装置52を単純撮影を行う立位撮影用や臥位撮影用の放射線照射装置52と兼用とすることも可能であり、その場合、単純撮影を行う場合は、長尺撮影用の放射線照射装置52から照射される放射線の照射野をコリメーターで制限して照射するように構成することも可能である。
【0025】
また、撮影室Raには、撮影室Ra内の各装置等や撮影室Ra外の各装置等の間の通信等を中継するための中継器54が設けられている。なお、本実施形態では、中継器54には、放射線画像撮影装置1が無線方式で画像データDや信号等の送受信を行うことができるように、アクセスポイント53が設けられている。また、中継器54は、放射線照射装置55やコンソールCと接続されている。そして、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソールC等から放射線照射装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線照射装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0026】
本実施形態では、中継器54には、クレードル55が接続されている。
図3に示すように、撮影室Raに持ち込まれた放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入されて、放射線画像撮影装置1の後述するコネクター27(後述する
図6参照)とクレードル55のコネクター55aとが接続されると、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテID等が中継器54に通知されるようになっている。そして、中継器54は、クレードル55から放射線画像撮影装置1のカセッテIDが送信されてくると、カセッテIDをコンソールCや後述する管理装置S(
図2参照)等に通知するようになっている。
【0027】
なお、クレードル55は、本来、放射線画像撮影装置1等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。また、放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入された時点で、例えばクレードル55やコンソールC等から放射線画像撮影装置1に対して当該撮影室Rに設置されたアクセスポイント53のSSIDを通知するように構成することも可能である。さらに、
図3では、放射線画像撮影装置1を挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。また、クレードル55は撮影室Raと前室Rbのいずれに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線照射装置52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
【0028】
放射線画像撮影装置1の撮影室Raや前室Rbへの進入を検知する検知手段として、本実施形態のようにクレードル55を用いる代わりに、例えば
図4に示すように、例えば前室Rbや撮影室Raの扉付近にタグリーダー60を設けるように構成することも可能である。
【0029】
この場合、予め、放射線画像撮影装置1内に、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の図示しないタグを内蔵させておき、タグに放射線画像撮影装置1のカセッテID等の固有情報を記憶させておく。そして、放射線画像撮影装置1がタグリーダー60の近傍を通過して前室Rbや撮影室Raに持ち込まれたり持ち出されたりする際に、タグリーダー60が放射線画像撮影装置1のタグからカセッテID等の情報を読み取り、そのカセッテIDをコンソールCに通知したり、中継器54を介して管理装置S(
図2参照)に通知したりするように構成することも可能である。
【0030】
図1に示すように、前室(操作室等ともいう。)Rbには、放射線照射装置の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等の操作者が操作して放射線照射装置52に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。操作卓57では、放射線照射装置52に対して管電流や照射時間等を設定することができるようになっているが、本実施形態では、管電流等の設定をコンソールC上でも行うことができるようになっている。
【0031】
図5(A)に示すように、曝射スイッチ56にはボタン56aが設けられており、
図5(B)に示すように、放射線技師等の操作者が曝射スイッチ56のボタン56aに対して1段目の操作(いわゆる半押し操作)を行うと、放射線照射装置52が起動する。そして、
図5(C)に示すように、操作者が曝射スイッチ56のボタン56aに対して2段目の操作(いわゆる全押し操作)を行うと、放射線照射装置52から放射線が照射されるようになっている。なお、この放射線照射装置52からの放射線の照射等については後で説明する。
【0032】
[可搬型放射線画像撮影装置について]
ここで、コンソールCの説明を行う前に、放射線画像撮影システムで用いられる可搬型放射線画像撮影装置1について説明する。なお、以下では、可搬型放射線画像撮影装置を単に放射線画像撮影装置という。
図6は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【0033】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、後述する放射線検出素子7等が筐体2内に収納されて構成されており、筐体2の一方の側面には、電源スイッチ25や切替スイッチ26、前述したコネクター27、インジケーター28等が配置されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の例えば反対側の側面等に、外部と無線通信を行うためのアンテナ29(後述する
図7参照)が設けられている。なお、放射線画像撮影装置1は、外部と無線方式で通信を行う場合にはアンテナ29を用い、外部と有線方式で通信を行う場合にはコネクター27に図示しないケーブルを接続させて通信するようになっている。
【0034】
図7は、放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
図7に示すように、放射線画像撮影装置1には、図示しないセンサー基板上に複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されている。各放射線検出素子7は、照射された放射線の量に応じた電荷を発生させるようになっている。各放射線検出素子7には、バイアス線9が接続されており、バイアス線9は結線10に接続されている。そして、結線10はバイアス電源14に接続されており、バイアス電源14からバイアス線9等を介して各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0035】
各放射線検出素子7には、スイッチ素子として薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8が接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。また、走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aから供給されたオン電圧とオフ電圧がゲートドライバー15bで切り替えられて走査線5の各ラインL1~Lxに印加されるようになっている。そして、各TFT8は、走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態になって、放射線検出素子7内に蓄積された電荷を信号線6に放出させ、また、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態になって、放射線検出素子7と信号線6との導通を遮断して、放射線検出素子7内で発生した電荷を放射線検出素子7内に蓄積させるようになっている。
【0036】
読み出しIC16内には複数の読み出し回路17が設けられており、読み出し回路17にはそれぞれ信号線6が接続されている。そして、画像データDの生成処理の際には、放射線検出素子7から電荷が放出されると、電荷は信号線6を介して読み出し回路17に流れ込み、増幅回路18では流れ込んだ電荷の量に応じた電圧値が出力される。そして、相関二重サンプリング回路(
図7では「CDS」と記載されている。)19は、増幅回路18から出力された電圧値をアナログ値の画像データDとして読み出して下流側に出力する。そして、出力された画像データDはアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の画像データDに順次変換され、記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0037】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続
されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されており、また、アンテナ29やコネクター27を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行う通信部30が接続されている。さらに、制御手段22には、走査駆動手段15や読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各機能部に必要な電力を供給するバッテリー24等が接続されている。
【0038】
なお、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、ブッキー装置51に装填して撮影に用いることも可能であるが、図示を省略するが、ブッキー装置51に装填せずに、いわば単独の状態で、例えば被写体である患者の身体にあてがったり、或いは例えば患者とベッドとの間に挿入する等して撮影に用いることもできるようになっている。
【0039】
また、本実施形態では、前述したように、放射線画像撮影装置1を、施設に既に設置されているCRカセッテを装填するブッキー装置51に装填して撮影に用いることが想定されている。そのため、放射線画像撮影装置1は、CRカセッテが準拠する、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(JISZ4905。対応する国際規格はIEC 60406)に準拠するサイズで形成されているが、本発明は、放射線画像撮影装置1がこのようなサイズに形成されていない場合にも適用される。
【0040】
[放射線画像撮影装置の電力消費モードについて]
また、本実施形態では、後述するように、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードを、少なくとも、走査駆動手段15や読み出し回路17を含む各機能部に電力を供給し、撮影を行うことが可能な撮影可能モード(覚醒モードやwake upモード等ともいう。)と、撮影可能モードよりも消費電力量が少ないが撮影を行うことができない省電力モード(sleepモード等ともいう。)との間で切り替えることができるようになって
いる。
【0041】
そして、本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、例えば撮影が終了した後、所定時間が経過しても次の撮影が行われない場合に電力消費モードを撮影可能モードから省電力モードに切り替える等の自動的な切り替え処理を行うほか、コンソールCから後述する切り替え信号が送信されてきた場合や、放射線技師等の操作者が切替スイッチ26(
図6参照)を操作する等した場合に電力消費モードを撮影可能モードと省電力モードとの間で切り替えるようになっている。
【0042】
[放射線画像撮影装置で行われる処理について]
次に、撮影(単純撮影や長尺撮影を含む。)において放射線画像撮影装置1で行われる処理について説明する。その際、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号の送受信等を行って連携を取りながら撮影を行う場合(以下、この場合の撮影方式を連携方式という。)と、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号の送受信等を行わずに撮影を行う場合(以下、この場合の撮影方式を非連携方式という。)とで、放射線画像撮影装置1で行われる処理が異なる。以下、各方式の場合についてそれぞれ簡単に説明する。
【0043】
[連携方式における処理について]
連携方式の場合、例えば
図8の左側の部分に示すように、放射線画像撮影装置1は、ゲートドライバー15b(
図7参照)から走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加し、各TFT8を順次オン状態にして各放射線検出素子7内に残存する電荷を除去する各放射線検出素子7のリセット処理を行わせる。
【0044】
そして、前述したように、放射線技師等の操作者により曝射スイッチ56(
図1参照)が操作され、曝射スイッチ56に対する2段目の操作すなわち全押し操作がなされると、放射線照射装置52から放射線画像撮影装置1に対して照射開始信号が送信される。そして、放射線画像撮影装置1は、照射開始信号を受信すると、
図8に示すように、走査線5の最終ラインLxまでオン電圧を印加させて各放射線検出素子7のリセット処理を行った時点でリセット処理を終了させる。
【0045】
そして、放射線画像撮影装置1は、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオフ電圧を印加させて各TFT8をオフ状態にさせて、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させ、それと同時に、放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信する。そして、放射線照射装置52は、インターロック解除信号を受信した時点で初めて放射線を照射する。なお、
図8における斜線部分は、放射線照射装置52から放射線が照射されている期間を表す。
【0046】
放射線画像撮影装置1は、電荷蓄積状態に移行した後、予め設定された蓄積時間τが経過すると、
図8の右側の部分に示すように、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加して、上記のようにして各放射線検出素子7から画像データDを読み出して画像データDの生成処理を行うように構成される。
【0047】
[非連携方式における処理について]
一方、非連携方式の場合には、上記のように、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号の送受信等は行われない。そのため、放射線画像撮影装置1が自ら放射線照射装置52から放射線が照射されたことを検出するように構成されることが必要となる。このように放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射を検出する方法としては、例えば特開2009-219538号公報や国際公開第2011/135917号パンフレット、国際公開第2011/152093号パンフレット等に記載された方法を用いることが可能であり、詳しくはそれらの公報等を参照されたい。
【0048】
なお、以下では、非連携方式において放射線画像撮影装置1で行われる処理として、上記の国際公開第2011/135917号パンフレットに記載されているリークデータdleakやそれから算出される値に基づいて放射線の照射開始を検出するように放射線画像撮影装置1が構成されている場合について説明する。また、リークデータdleakとは、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオフ電圧を印加し、オフ状態とされた各TFT8を介して各放射線検出素子7から信号線6にリークする電荷を読み出し回路17で読み出したデータである。そして、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると、読み出されるリークデータdleakの値が増加することを利用して放射線の照射開始を検出することができる。
【0049】
リークデータdleakは、上記のように、各TFT8をオフ状態とした状態で読み出されるデータであり、各TFT8をオフ状態としたままでは各放射線検出素子7内に暗電荷(暗電流等ともいう。)が蓄積され続ける状態になるため、
図9の左側の部分に示すように、リークデータdleakの読み出し処理(
図9のL参照)を行う際には、それと交互にゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加して各放射線検出素子7のリセット処理(
図9のR参照)が行われる。
【0050】
そして、上記のように放射線技師等の操作者が曝射スイッチ56を操作して放射線照射装置52から放射線を照射させると、放射線画像撮影装置1は、ある回のリークデータdleakの読み出し処理で読み出されたリークデータdleak等に基づいて放射線の照射開始を検出する(
図9の「検出」参照)。
【0051】
そして、放射線画像撮影装置1は、このようにして放射線の照射開始を検出すると、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオフ電圧を印加させて電荷蓄積状態に移行させる。そして、電荷蓄積状態に移行した後、予め設定された蓄積時間τが経過すると、
図9の右側の部分に示すように、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加して、上記のようにして各放射線検出素子7から画像データDを読み出して画像データDの生成処理を行うように構成される。
【0052】
なお、
図9では、画像データDの生成処理の際、放射線の照射開始を検出したリークデータdleakの読み出し処理(L)の直前にリセット処理(R)のためにオン電圧を印加した走査線5(
図9の場合は走査線5のラインL4)の次にオン電圧を印加すべき走査線5(
図9の場合は走査線5のラインL5)からオン電圧の印加を開始して画像データDの生成処理を行う場合が示されているが、例えば連携方式(
図8参照)と同様に、走査線5の最初のラインL1からオン電圧を順次印加して画像データDの生成処理を行うように構成することも可能である。
【0053】
[画像データの生成処理後の各処理について]
連携方式の場合も非連携方式の場合も同様に、本実施形態では、上記のようにして画像データDの生成処理を行うと、放射線画像撮影装置1は、読み出した画像データDの中から所定の割合でプレビュー画像用データDpを抽出し、抽出したプレビュー画像用データDpをコンソールCに転送する。なお、コンソールCでは、後述するように、放射線画像撮影装置1から転送されてきたプレビュー画像用データDpに基づいてプレビュー画像が生成され、表示部Ca上にプレビュー画像が表示される。
【0054】
また、放射線画像撮影装置1は、上記のようにしてプレビュー画像用データDpを抽出してコンソールCに転送すると同時に、例えば
図10に示すようにしてオフセットデータOの読み出し処理を開始する。なお、
図10では、
図8に示した連携方式の場合のオフセットデータOの読み出し処理が記載されている。
【0055】
すなわち、放射線画像撮影装置1は、上記のようにして画像データDの生成処理(
図8や
図9参照)やプレビュー画像用データDpの抽出、転送処理を行うと、続いて、
図10の左側の部分に示すように、1フレーム分或いは所定フレーム分の各放射線検出素子7のリセット処理を行った後、電荷蓄積状態に移行する。そして、今度は放射線画像撮影装置1に放射線が照射されない状態で、上記の蓄積時間τと同じ時間に設定された蓄積時間τが経過した時点で、
図10の右側の部分に示すように、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加して、上記の画像データDの生成処理と同様にして各放射線検出素子7からオフセットデータOを読み出す。
【0056】
このように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されないことを除けば、画像データDの生成処理までの処理シーケンスと同じ処理シーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理が行われるように構成される。なお、図示を省略するが、
図9に示した非連携方式の場合も同様に、
図9に示した処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータOの読み出し処理が行われる。また、オフセットデータOの読み出し処理を、撮影前に行うように構成することも可能である。
【0057】
放射線画像撮影装置1は、このようにしてオフセットデータOを読み出すと、本実施形態では、コンソールCからの転送要求があった時点で、上記のプレビュー画像用データDp以外の画像データDや、上記のようにして各放射線検出素子7から読み出したオフセットデータOをコンソールCに転送するように構成されている。なお、オフセットデータOの読み出し処理が終了すると、すぐに自動的に画像データDやオフセットデータOをコンソールCに転送するように構成することも可能である。
【0058】
[コンソールの構成等について]
図1や
図2に示すように、本実施形態では、コンピューター等で構成されたコンソールCが前室Rb(
図1の場合)や撮影室外(
図2の場合)に設けられている。なお、コンソールCは適宜の場所に設置可能である。
【0059】
コンソールCには、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示部Caが設けられており、また、図示しないマウスやキーボード等の入力手段を備えている。また、コンソールCには、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段Cbが接続され、或いは内蔵されている。また、図示を省略するが、コンソールCには、ネットワークN等を介してHIS(Hospital Information System;病院
情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が接続されている。
【0060】
[コンソールと撮影室との対応付けについて]
図1に示したように撮影室RaとコンソールCとが予め1:1に対応付けられている放射線画像撮影システム50では特に問題はないが、
図2に示したように、
図2に示すように、複数の撮影室Ra(Ra1~Ra3)と複数のコンソールCとがネットワークN等を介して対応付けられている場合には、放射線技師等の操作者が例えば撮影室Ra1で撮影した画像データDに対してあるコンソールC上で後述する確定処理等を行おうとしても、画像データDが他のコンソールCに転送される等して処理を確実に行うことができなくなる可能性がある。
【0061】
そこで、
図2に示したように、複数の撮影室Raと複数のコンソールCとが対応付けられている放射線画像撮影システム50においては、撮影前に、放射線技師等の操作者が、1つのコンソールC上で、使用する撮影室Raを指定(或いは宣言)する処理を行うように構成される場合が多い。そして、このようにしてあるコンソールC上で撮影室Raが指定されると、指定された撮影室Raからは、他のコンソールCには画像データD等は転送されず、当該コンソールCにのみ画像データD等が転送されるようになる。このようにして、コンソールCと撮影室Raとの対応付けが行われるように構成される。
【0062】
なお、この場合、例えば、コンソールC1上で、撮影室Ra1を使用する撮影室として指定した場合、撮影室Ra1内に存在していた放射線画像撮影装置1が持ち出されて撮影室Ra2のクレードル55に挿入される等すると、撮影室Ra2はコンソールC1と対応付けられていないため、コンソールC1では当該放射線画像撮影装置1を制御することができなくなる。また、他の撮影室Raや保管庫等から放射線画像撮影装置1が撮影室Ra1に持ち込まれてクレードル55に挿入される等すると、コンソールC1で当該放射線画像撮影装置1を制御することができるようになる。
【0063】
[コンソールでの処理について]
次に、コンソールCにおける撮影時の処理について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0064】
コンソールCは、放射線技師等の操作者による操作が行われると、HISやRISからこれから行う放射線画像撮影に関する撮影オーダー情報を入手する。本実施形態では、撮影オーダー情報は、例えば
図11に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6および撮影条件としての「撮影部位」P7、「撮影方向」P8、「体位」P9等で構成されるようになっている。そして、撮影オーダーを受け付けた順に、各撮影オーダー情報に対して「撮影オーダーID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0065】
コンソールCは、撮影オーダー情報を入手すると、
図12に示すように、表示部Ca上にリスト形式で各撮影オーダー情報の一覧を選択画面H1上に表示する。選択画面H1には、各撮影オーダー情報の一覧を表示するための撮影オーダー情報表示欄h11が設けられており、撮影オーダー情報表示欄h11の左側には、撮影オーダー情報を選択するための選択ボタンh12が設けられている。また、撮影オーダー情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13及び戻るボタンh14が設けられている。
【0066】
そして、操作者が選択ボタンh12をクリックして撮影オーダー情報を選択し、決定ボタンh13をクリックすると、コンソールCは、表示部Ca上に、例えば
図13に示すような画面H2を表示する。
図13では、
図12に示した撮影オーダー情報の中から患者「A」に関する4つの撮影オーダー情報が選択された場合が示されている。そして、
図13に示した画面H2の例では、画面右側の照射条件の設定用の表示Ia上で各項目の「+」ボタンや「-」ボタンをクリックすることで、放射線照射装置52に対して管電圧や管電流、照射時間等の照射条件を変更して設定することができるようになっている。
【0067】
また、画面H2の左側には、後述するようにフォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダー情報で指定された撮影部位P7(
図11や
図12参照)が、放射線技師等の操作者に一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されている。
【0068】
画面H2の中央部分には、選択された各撮影オーダー情報に対応する各アイコンIが表示される。そして、これから行われる撮影に対応するアイコンI(
図13の場合はアイコンI2)が目立つようにフォーカスして表示されるようになっている。なお、操作者が、フォーカス表示されているアイコンIに対応する撮影オーダー情報とは別の撮影オーダー情報に基づく撮影を行いたい場合には、当該別の撮影オーダー情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して選択することによってアイコンIのフォーカス表示を遷移させることができるようになっている。
【0069】
また、
図13に示した例では、各アイコンIには、それぞれ長尺撮影用のブッキー装置51Aや単純撮影に使用する立位撮影用或いは臥位撮影用のブッキー装置51B、51C等のモダリティーを表す略図や、設定されている管電圧や管電流、照射時間等が表示されるようになっている。
【0070】
なお、撮影オーダー情報で、撮影条件として撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを予め指定するように構成することが可能であり、その場合は、コンソールCは、撮影オーダー情報に指定されている撮影方式すなわち長尺撮影が指定されているか単純撮影が指定されているかに応じて各アイコンIに表示する略図を決定するように構成される。
【0071】
[コンソールによる長尺撮影か単純撮影かの判断について]
また、本実施形態のように、撮影オーダー情報(
図11参照)では、撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを指定しないように構成することも可能である。これは、例えば
図11に示したように、撮影部位P7として「全下肢」が指定されている場合であっても、被写体が成人であれば長尺撮影を行うことが必要になるが、被写体が乳幼児であれば、1個の放射線画像撮影装置1を用いた単純撮影で「全下肢」を撮影することができる。すなわち、撮影オーダー情報上で撮影部位P7として「全下肢」が指定されていても、必ずしも長尺撮影が行われるとは限らないためである。
【0072】
そして、このように、撮影オーダー情報上で長尺撮影か単純撮影かを指定しないように構成する場合は、コンソールCが、撮影オーダー情報に基づいて当該撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを判断するように構成される。そして、その場合、コンソールCは、被写体である患者の年齢P5や撮影部位P7等に基づいて撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを判断するように構成される。
【0073】
しかし、コンソールCの判断と、放射線技師等の操作者の判断とが合致しない場合もあり得る。そのため、例えば、コンソールCが、上記のように撮影オーダー情報に指定された患者の年齢P5や撮影部位P7等に基づいて撮影を長尺撮影で行うと判断した場合に、表示部Ca上にその旨を表示し、図示しない「YES」或いは「NO」のボタンアイコンを表示する等して、操作者の判断を仰ぐように構成することも可能である。
【0074】
[使用する放射線画像撮影装置の選択について]
また、コンソールCは、放射線技師等の操作者の操作により、表示部Ca上に、
図14に例示するような放射線画像撮影装置1の選択画面H3を表示するようになっている。選択画面H3には、撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1に対応するアイコンI(
図14の例ではI-1a、I-1b、I-1c)が表示される。
【0075】
なお、本実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置1が撮影室Raに持ち込まれて、クレードル55に挿入されたりタグリーダー60で放射線画像撮影装置1のタグが読まれたりすると、それらの検知手段から放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDが中継器54を介してコンソールCに送信されてくるため、コンソールCはそれらを記憶手段Cbの所定の記憶領域に記憶させておくことで、撮影室Ra内にどの放射線画像撮影装置1が存在するかを認識して管理することが可能となる。
【0076】
そして、上記のように操作者により画面H2上で所定の操作が行われると、記憶手段Cbの記憶領域から撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み出して、選択画面H3上に、撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIを表示するようになっている。
【0077】
本実施形態では、コンソールCは、放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIを表示する際、例えば
図14に示すように、アイコンIに、当該放射線画像撮影装置1が前述した連携方式と非連携方式のいずれの撮影方式で撮影を行う装置であるかを表示する。連携方式と非連携方式のいずれでも撮影を行うことができる場合には例えば「連携/非連携」等と表示してその旨を通知する。また、アイコンIに、放射線画像撮影装置1のサイズ(14×17インチ等)も表示するようになっている。
【0078】
なお、以下、連携方式で撮影を行うタイプの放射線画像撮影装置1を連携方式用の放射線画像撮影装置1といい、非連携方式で撮影を行うタイプの放射線画像撮影装置1を非連携方式用の放射線画像撮影装置1という。また、上記のように、アイコンIに、撮影方式(連携方式用か非連携方式用か)やサイズだけでなく、例えばその放射線画像撮影装置1の解像度やシンチレーター種等をも表示してもよく、表示する内容は適宜決められる。
【0079】
また、図示を省略するが、このように、放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を、
図14に示したようにアイコンI中に文字等で表示する代わりに、或いはそれとともに、色や模様等で表示するように構成することも可能である。すなわち、例えば、連携方式用の放射線画像撮影装置1は青、非連携方式用の放射線画像撮影装置1は赤で表示し、14×17インチ、14×14インチ、17×17インチ等の各サイズをそれぞれ例えば四角(ベタ塗り)、ストライプ、水玉等の各模様で表示する。
【0080】
このように、放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIに、当該放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を表す色や模様等を表示すると、それらを文字のみで表示する場合に比べて、放射線技師等の操作者が一目で放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を把握することが可能となり、操作者が放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を誤って選択する可能性をより低くすることが可能となる。また、同じ色や模様等を、放射線画像撮影装置1(
図6参照)自体の側面等の所定の位置に表示するように構成することで、放射線技師等の操作者が、放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を色や模様等で把握することが可能となり、放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を誤って使用する可能性をより低くすることも可能となる。
【0081】
また、本実施形態では、コンソールCは、撮影室Ra内に存在するモダリティーに対応するアイコンIも選択画面H3上に表示するようになっている。なお、
図14では、モダリティーとして、撮影室Ra内に長尺撮影用、単純撮影用、および臥位撮影用のブッキー装置51A、51B、51Cが設置されている場合が示されているが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのみが設置されている場合は、長尺撮影用のブッキー装置51Aに対応するアイコンI-51Aのみが表示される。
【0082】
その際、各ブッキー装置51に対応するアイコンIは、放射線画像撮影装置1が装填されていない状態では、
図14に示すように例えば枠線が破線状に表示され、放射線画像撮影装置1が装填されている状態では、例えば
図15に示すように枠線が実線状に表示されるとともに、装填されている放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等が近傍に表示される。
【0083】
そして、本実施形態では、放射線技師等の操作者は、この選択画面H3上で放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIをクリックすることで、これから行う撮影で使用する放射線画像撮影装置1、すなわち
図13に示したようにフォーカス表示されているアイコンI(
図13ではアイコンI2)に対応する撮影で使用する放射線画像撮影装置1を選択することができるようになっている。
【0084】
そして、選択画面H3上で放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択されると、例えば
図16に示すように、選択されたアイコンIが着色される等して他のアイコンIの表示態様とは異なる態様で表示されるようになっており(
図16で斜線を付して示されているアイコンI-1c参照)、このようにして当該アイコンIが選択されたことを表示するようになっている。
【0085】
一方、コンソールCは、前述した放射線画像撮影装置1の電力消費モードを切り替えるように制御することが可能とされている。すなわち、コンソールCは、上記のように選択画面H3上でアイコンIが選択され、放射線画像撮影装置1が選択されると、選択された放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信して、当該放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えさせるようになっている。
【0086】
つまり、本実施形態では、コンソールCは、選択画面H3上で放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択されると、上記のように当該アイコンIの表示態様を、選択されたことを表す表示態様に変えてアイコンIを表示するとともに、選択されたアイコンIに対応する放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信して、当該放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えさせる。
【0087】
その際、本実施形態では、コンソールCは、上記のようにしてこれから行われる撮影に関する撮影オーダー情報に基づいて当該撮影が単純撮影であると判断した場合には、撮影室Ra内に存在する各放射線画像撮影装置1のうち、1つの放射線画像撮影装置1のみを撮影可能モードにするように制御するようになっている。
【0088】
すなわち、これから行われる撮影が単純撮影であると判断した場合に、上記のようにして放射線技師等の操作者により選択画面H3上である放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択されると、上記のように当該放射線画像撮影装置1に切り替え信号を送信して電力消費モードを撮影可能モードに切り替えさせるが、その際、電力消費モードが撮影可能モードになっている他の放射線画像撮影装置1が存在する場合には、当該他の放射線画像撮影装置1には電力消費モードを省電力モードに切り替えることを指示する信号を送信して、当該他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードから省電力モードに切り替えさせるようになっている。
【0089】
また、前述したように、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26(
図6参照)を操作する等した場合にも当該放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えることができる。そして、操作者が放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードに切り替えたということは、その放射線画像撮影装置1を用いて撮影を行うことを意図していると考えられる。
【0090】
そのため、コンソールCは、例えば、放射線技師等の操作者が、例えば撮影室Ra内である放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26を操作する等して電力消費モードを撮影可能モードに切り替えた場合にも、上記の選択画面H3上で当該放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIが選択された場合と同様に処理するようになっている。そして、他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードになっている場合は、上記と同様に当該他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードに切り替えさせる。
【0091】
本実施形態では、コンソールCは、このようにして、これから行われる撮影が単純撮影であると判断した場合には、撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態(すなわち撮影可能モード)への遷移を許容するように構成されている。
【0092】
そして、以上のように構成して、これから行われる撮影が単純撮影である場合に、撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態(撮影可能モード)への遷移を許容し、他の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードとすることで、以下のような有益な効果を得ることが可能となる。
【0093】
すなわち、他の連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードになっていると、撮影時に照射開始信号を送信してきた放射線照射装置52に対して、撮影に使用しない当該他の放射線画像撮影装置1がインターロック解除信号を返してしまい、撮影に使用する放射線画像撮影装置1がまだ電荷蓄積状態に移行していないにもかかわらず放射線照射装置52から放射線が照射されてしまうような事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0094】
また、他の非連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードになっていると、放射線照射装置52からの放射線の照射が開始された時点で当該他の放射線画像撮影装置1が放射線の照射開始を検出してしまい、電荷蓄積状態に移行した後、画像データDの生成処理を行って、プレビュー画像用データDpや画像データD等をコンソールCに転送してしまうため、撮影後、撮影に使用した放射線画像撮影装置1と撮影に使用しない放射線画像撮影装置1の複数の放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用データDpや画像データD等がコンソールCに転送されてしまうような事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0095】
そのため、上記のように構成することで、単純撮影を行う場合に、上記のような混乱が生じることを的確に防止して、単純撮影を的確に行うことが可能となる。また、連携方式用の放射線画像撮影装置1の場合も、非連携方式用の放射線画像撮影装置1の場合も、撮影に使用しない放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードに切り替えることで、放射線画像撮影装置1で電力が無駄に消費されてしまうことを的確に防止することが可能となるといったメリットもある。
【0096】
一方、これから行われる撮影が長尺撮影である場合には、長尺撮影に用いる複数の放射線画像撮影装置1の電力消費モードが同時に撮影可能モードになっていることが必要になる。そのため、コンソールCは、これから行われる撮影が長尺撮影であると判断した場合には、選択画面H3上で、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1に対応する各アイコンIを選択することを可能とし、複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態(すなわち撮影可能モード)への遷移を許容するようになっている。
【0097】
このように構成することで、これから行われる撮影が長尺撮影である場合には、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態(撮影可能モード)への遷移を許容して、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0098】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、コンソールCが、撮影オーダー情報に基づいて、撮影が長尺撮影であると判断した場合には、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態(すなわち撮影可能モード)への遷移を許容し、撮影が長尺撮影ではない(すなわち単純撮影である)と判断した場合には、撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態への遷移を許容するように構成することで、これから行われる撮影が単純撮影の場合も長尺撮影の場合も、それぞれの撮影を的確に行うことが可能となる。
【0099】
なお、
図2に示したように、放射線画像撮影システム50が、複数の撮影室Ra(Ra1~Ra3)と単数または複数のコンソールCとが対応付けられて構成されている場合も、同様に、コンソールCが、撮影オーダー情報に基づいて、撮影が長尺撮影であると判断した場合には、上記のようにしてコンソールCと対応付けられた撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態への遷移を許容し、撮影が長尺撮影ではないと判断した場合には、対応付けられた撮影室Ra内に存在する一の放射線画像撮影装置1のみの撮影可能な状態への遷移を許容するように構成することで、これから行われる撮影が単純撮影の場合も長尺撮影の場合も、それぞれの撮影を的確に行うことが可能となる。
【0100】
また、これから行われる撮影が単純撮影である場合も長尺撮影である場合も同様であるが、使用する放射線画像撮影装置1が選択されたにもかかわらず、適切なブッキー装置51に装填されていない場合に、コンソールCや、撮影室Ra内に設けた図示しない警報装置等からビープ音を発声させる等して、放射線画像撮影装置1がブッキー装置51に装填されていない旨を放射線技師等の操作者に警告する等の必要な措置が適宜取られる。
【0101】
さらに、上記では、放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態として、放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードである状態である場合を例示して説明したが、この他にも、例えば、電源がオフの状態の放射線画像撮影装置1の電源をオンすることで放射線画像撮影装置1を撮影可能な状態にするように構成することも可能であり、放射線画像撮影装置1の撮影可能な状態は、放射線画像撮影装置1の電力消費モードが撮影可能モードである状態である場合に限定されない。
【0102】
[コンソールにおけるその後の処理について]
前述したように、撮影が連携方式で行われる場合も非連携方式で行われる場合も、撮影が終了すると、放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用データDpがコンソールCに転送されてくる。そのため、コンソールCは、転送されてきたプレビュー画像用データDpに対して所定の画像処理を施してプレビュー画像p_preを生成し、例えば
図17に示すように、画面H2上でフォーカス表示されているアイコンI、すなわち当該撮影に関する撮影オーダー情報に対応するアイコンI(
図13のアイコンI2参照)の位置に、プレビュー画像p_preを表示する。なお、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大表示してもよい。
【0103】
なお、単純撮影の場合も長尺撮影の場合も同様であるが、前述したように、放射線画像撮影装置1がJIS規格サイズに準拠するサイズで形成されている場合、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填する際の放射線画像撮影装置1の上下や左右の向きが正しい向きではなく、逆になっている(すなわち180°回転してしまっている)可能性がある。そのため、各放射線画像撮影装置1から読み取られた画像をそのまま表示すると、プレビュー画像p_preや後述する放射線画像pが正しくない向きで表示されてしまう虞れがある。そのため、そのような場合には、特許3731400号公報や特開2000-157519号公報に記載されている被写体部位認識処理や表示回転処理を用いて、各画像を正しい向き(すなわち読影に相応しい向き)に表示したり、合成された長尺画像を正しい向きに表示することが可能である。
【0104】
そして、プレビュー画像p_preを見た放射線技師等の操作者が、再撮影が必要であると判断して例えば当該アイコンIの「NG」ボタンアイコンをクリックする等した場合には、コンソールCは、当該プレビュー画像p_pre等の情報を破棄するとともに、放射線画像撮影装置1に再撮影を行う旨を指示する。そして、当該指示を受けた放射線画像撮影装置1は、その時点で行っているオフセットデータOの読み出し処理等を停止し、各放射線検出素子7のリセット処理を再開する等して再撮影に向けた準備を行う。
【0105】
また、プレビュー画像p_preを見た放射線技師等の操作者が、当該アイコンIの「OK」ボタンアイコンをクリックした場合や、コンソールCがプレビュー画像p_preを表示してから所定時間の間に「NG」ボタンアイコンがクリックされない場合には、操作者によりプレビュー画像p_preが承認され、再撮影は不要と判断されたものと判断して、当該放射線画像撮影装置1に対して転送要求を行う。
【0106】
放射線画像撮影装置1は、転送要求を受けると、プレビュー画像用データDp以外の画像データDやオフセットデータOをコンソールCに転送する。そして、コンソールCは、上記のように放射線画像撮影装置1から画像データDやオフセットデータO等が転送されてくると、下記(1)式に従って各放射線検出素子7ごとに画像データDからオフセットデータOを減算して真の画像データD*を算出する。
D*=D-O …(1)
【0107】
そして、算出した真の画像データD*に対してゲイン補正や欠陥画素補正、撮影部位に応じた階調処理等の画像処理を行って放射線画像を生成し、生成した放射線画像pをプレビュー画像p_pre上に上書き表示する。
【0108】
そして、放射線画像pを見た操作者により、必要に応じて画像の微調整等が行われた後、アイコンIの「OK」ボタンアイコンがクリックされる等して確定処理が行われると、コンソールCは、生成した放射線画像pのデータ等を当該撮影に関する撮影オーダー情報に対応付けて確定させ、確定した撮影オーダー情報および放射線画像p等を、必要に応じてPACS等の外部システムに送信するように構成される。
【0109】
一方、長尺撮影の場合には、例えば
図1に示した3個の放射線画像撮影装置1から画像データDとオフセットデータOとがそれぞれコンソールCに転送されてくる。そこで、コンソールCは、上記の単純撮影の場合と同様にして、各放射線画像撮影装置1から転送されてきた画像データDとオフセットデータOに基づいて、
図18(A)に示すように真の画像データD*(すなわち図中のD*1~D*3)をそれぞれ算出する。なお、以下、真の画像データD*を単に画像データD*という。
【0110】
そして、コンソールCは、各画像データD*1~D*3の端部同士の位置合わせを行い、複数の画像データD*1~D*3を合成して、1枚の長尺画像データD*longを生成するように構成される。その際、前述したように(
図1参照)、本実施形態では、放射線照射装置52から1回だけ放射線を照射して(すなわち1ショットで)撮影を行うことができるため、被写体Hの体動の問題が生じることがない。そのため、各画像データD*1~D*3を的確に合成して長尺画像データD*longを生成することが可能となる。
【0111】
なお、各画像データD*1~D*3の位置合わせや合成処理等については、例えば特開2013-154146号公報等に記載された公知の方法を用いることが可能である。また、長尺撮影においても、画像データD等が転送されてくる前に、各放射線画像撮影装置1からそれぞれプレビュー画像用データDpがコンソールCに転送されてくる。そのため、コンソールCは、各放射線画像撮影装置1から転送されてきたプレビュー画像用データDpに対して所定の画像処理を施して各プレビュー画像p_preを生成し、それらを合成したプレビュー画像p_preを画面H2上に表示する。
【0112】
また、複数の放射線画像撮影装置1からプレビュー画像用データDpや画像データD等がほぼ同時に無線通信で転送されると、無線通信がそれぞれ干渉を生じる可能性があるため、例えば、各放射線画像撮影装置1からコンソールCに異なるチャンネルを介してデータの転送を行うように構成することが可能である。
【0113】
さらに、上記と同様に、複数の放射線画像撮影装置1が長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される際に正しい向きに装填されていないと、各画像データD*1~D*3の端部同士の位置合わせや合成処理を短時間で適切に行うことができない。そのため、このような場合には、長尺撮影においても、通常、放射線照射装置52から放射線が被写体Hに照射野が絞られた状態で照射されることを利用して位置合わせや合成処理を行うことが可能である。
【0114】
具体的には、このように照射野が絞られた状態で放射線が照射されるため、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された例えば3個の放射線画像撮影装置1(
図1参照)のうち、下端に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*1の下端部分(
図18(A)参照)には放射線が照射されず、被写体Hが撮影されていない場合が多い。また、上端に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*3の上端部分にも放射線が照射されず、被写体Hが撮影されていない場合が多い。それに対し、中央に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*2では、上端部分にも下端部分にも放射線が到達しており、被写体Hが撮影されている。
【0115】
そのため、例えば、コンソールCは、生成した3枚の画像データD*1~D*3についてそれぞれ上端部分と下端部分の画像データのプロファイル(すなわちエッジの有無等)を見て、上端部分と下端部分にいずれも被写体Hが撮影されてできる濃淡がある画像データD*2を、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された3個の放射線画像撮影装置1のうちの中央に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データであると判別する。
【0116】
そして、例えば、各画像データD*1~D*3の端部部分のパターンマッチングを行う等して、中央に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*2を基準として、下側に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*1と上側に配置された放射線画像撮影装置1で生成された画像データD*3とを判別して、位置合わせや合成処理を行うように構成することができる。なお、この場合も、合成して生成された長尺画像データD*longが、全体的に上下が反転してしまっている可能性があるが、この場合は、例えば、合成して生成された1枚の長尺画像データD*longに対して、上記の表示回転処理等を適用して正しい向きに表示することが可能である。
【0117】
なお、長尺撮影を行う際に、複数の放射線画像撮影装置1で、前述した蓄積時間τ(
図8や
図9等参照)が異なる時間に設定されていると、撮影後、各放射線画像撮影装置1から異なるタイミングでプレビュー画像用データDpや画像データD等が転送されてくる状態になり、コンソールCでの処理が行い難くなる。
【0118】
そのため、例えば、コンソールCから、長尺撮影に用いられる複数の放射線画像撮影装置1に対して、特定の蓄積時間τの情報を送信し、少なくとも長尺撮影を行う間は、この特定の蓄積時間τに基づいて各放射線画像撮影装置1で処理を行うように制御するように構成することが可能である。或いは、省電力モードにある他の放射線画像撮影装置1も含めて、コンソールCから全ての放射線画像撮影装置1に対して、特定の蓄積時間τの情報を送信して、少なくとも長尺撮影を行う間、この特定の蓄積時間τを全ての放射線画像撮影装置1に設定するように構成することも可能である。なお、これらの場合、長尺撮影後、各放射線画像撮影装置1の蓄積時間τは、元の蓄積時間τに戻される。
【0119】
そして、長尺撮影の場合も、単純撮影の場合と同様に、コンソールCが生成して表示した長尺撮影の放射線画像pを見た操作者により、必要に応じて画像の微調整等が行われた後、アイコンIの「OK」ボタンアイコンがクリックされる等して確定処理が行われると、コンソールCは、生成した長尺撮影の放射線画像pのデータ等を当該撮影に関する撮影オーダー情報に対応付けて確定させ、確定した撮影オーダー情報および長尺撮影の放射線画像p等を、必要に応じてPACS等の外部システムに送信するように構成される。
【0120】
[具体的なケースについて]
次に、上記の放射線画像撮影システム50を適用する際に生じ得る具体的なケースについて説明する。
【0121】
[放射線照射装置がインターロック制御を受ける場合について]
前述したように、放射線照射装置52がインターロック制御を受ける場合、すなわち、曝射スイッチ56が全押し操作されると(
図5(C)参照)、放射線画像撮影装置1に対して照射開始信号を送信し、放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号を受信した時点で初めて放射線を照射するタイプの放射線照射装置52である場合について説明する。
【0122】
連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影を行う場合には、上記のように、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号(照射開始信号やインターロック解除信号等)のやり取りを行って放射線画像撮影を行うことができる。
【0123】
また、複数の連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて長尺撮影を行う場合には、放射線照射装置52からの照射開始信号に対して、複数の放射線画像撮影装置1がそれぞれ独自にインターロック解除信号を送信すると、放射線照射装置52は最初のインターロック解除信号を受信した時点で放射線を照射してしまい、まだ電荷蓄積状態に移行していない放射線画像撮影装置1に放射線が照射されてしまう虞れがある。
【0124】
そのため、このような場合は、全ての放射線画像撮影装置1からインターロック解除信号が送信されてきた時点で放射線を照射するように放射線照射装置52を構成することが可能である。しかし、この場合、放射線照射装置52のプログラムの書き換え等が必要になる。そのため、例えば、放射線照射装置52と各放射線画像撮影装置1との間の信号のやり取りを、中継器54(
図1や
図2参照)やコンソールCを中継して行うように構成し、中継器54やコンソールCが、全ての放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号が出揃うまで放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信せず、全ての放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号が出揃った時点で放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信するように構成することが可能である。
【0125】
一方、非連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影や長尺撮影を行う場合、非連携方式では、上記のように放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52との間で信号(照射開始信号やインターロック解除信号等)のやり取りを行わないため、放射線照射装置52が照射開始信号を送信しても、放射線画像撮影装置1からはいつまで経ってもインターロック解除信号が送信されず、放射線照射装置52は放射線を照射することができない。
【0126】
そのため、このような場合は、放射線照射装置52と、コンソールCや中継器54とを結び、放射線照射装置52から照射開始信号が送信されると、コンソールCや中継器54からインターロック解除信号に相当するダミーの信号を送信して、放射線照射装置52から放射線を照射させるように構成することができる。そして、放射線照射装置52から放射線が照射されると、放射線画像撮影装置1は自ら放射線の照射開始を検出して電荷蓄積状態に移行して的確に撮影を行うことができる。
【0127】
なお、長尺撮影を行う際、長尺撮影用のブッキー装置51Aに、連携方式用の放射線画像撮影装置1と非連携方式用の放射線画像撮影装置1とが混在する状態で装填された場合には、例えば、コンソールCが、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている連携方式用の放射線画像撮影装置1を把握し、放射線照射装置52と放射線画像撮影装置1との間の信号等のやり取りを中継するように構成する。そして、コンソールCが、放射線照射装置52から送信された照射開始信号を連携方式の放射線画像撮影装置1に送信し、それらの放射線画像撮影装置1からのインターロック解除信号が出揃った時点で、放射線照射装置52にインターロック解除信号を送信するように構成することで、上記のような場合でも長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0128】
[放射線照射装置がインターロック制御を受けない場合について]
しかし、放射線照射装置52の中には、上記のようなインターロック制御を受けず、曝射スイッチ56が全押し操作されると(
図5(C)参照)、すぐに放射線を照射するタイプの放射線照射装置52もある。そして、このような放射線照射装置52が設置されている撮影室Raで、連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影や長尺撮影を行うと、放射線照射装置52から照射開始信号が送信されないまま放射線が照射される。
【0129】
そのため、放射線画像撮影装置1が、撮影前の各放射線検出素子7のリセット処理を行っている最中に放射線が照射される状態になり、撮影を的確に行うことができない。このように、放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置である場合には、撮影に連携方式用の放射線画像撮影装置1を使用することはできない。
【0130】
そこで、撮影室Raに設置されている放射線照射装置52がインターロック制御を受けない装置である場合に、撮影に使用する放射線画像撮影装置1として連携方式用の放射線画像撮影装置1が選択された場合には、コンソールCが、或いはコンソールCから指示を受けた撮影室Ra内の警報装置が、選択された放射線画像撮影装置1は撮影に使用することができない旨を、音や表示等により、放射線技師等の操作者に警告するように構成することが可能である。
【0131】
[ブッキー装置の構成等について]
また、以上の説明においては、例えばブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1が連携方式用であるか非連携方式用であるかやそのサイズ等を、コンソールCが認識することができることを前提として説明した(例えば
図15等参照)。
【0132】
そして、これは、ブッキー装置51に放射線画像撮影装置1を装填する際に、例えば
図19に示すように、放射線画像撮影装置1のコネクター27(
図6参照)とブッキー装置51のコネクター51bとを接続した時点で、ケーブル51cを介してブッキー装置51からコンソールCに、装填された放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDと、当該ブッキー装置51の識別情報(以下、ブッキーIDという。)を送信する。そして、コンソールCは、病院等の施設内に存在する放射線画像撮影装置1の識別情報と、撮影方式(連携方式用か非連携方式用か)やサイズ等とを対応付けたリストを有しておき、ブッキー装置51からカセッテIDやブッキーID等が送信されてくると、そのリストを参照するように構成することで、どのブッキー装置51にどの放射線画像撮影装置1が装填されたかをコンソールCが認識することができる。
【0133】
また、ブッキー装置51に、前述したRFIDタグを読み取るタグリーダーを取り付けたり、或いは、バーコードリーダーを取り付けておき放射線画像撮影装置1が装填される際に装置に貼付されたバーコードをバーコードリーダーで読むようにして、タグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段で放射線画像撮影装置1のカセッテID等を読み取るように構成することも可能である。
【0134】
[コネクターを備えないブッキー装置を用いて長尺撮影を行う場合について]
ところで、ブッキー装置51の中には、従来のスクリーンフィルムを内蔵するカセッテや輝尽性蛍光体シート等を内蔵するCRカセッテ等を装填するように構成されたブッキー装置51もある。そして、このようなブッキー装置51には、上記のようなコネクター51bが設けられていない場合も少なくない。
【0135】
そのため、このようなブッキー装置51を用いて撮影を行う場合は、放射線画像撮影装置1がコネクター27(
図6参照)を介した有線通信で放射線照射装置52と信号のやり取りを行えないため、撮影を連携方式で行うことが必ずしも容易ではない。そのため、このようにコネクター51bを備えないブッキー装置51を用いて撮影を行う場合には、非連携方式用の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填して撮影を行うように構成することが好ましい。
【0136】
一方、上記のように、本実施形態では、コンソールCは、上記のように被写体である患者の年齢P5や撮影部位P7等(
図11や
図12参照)に基づいて撮影を長尺撮影で行うか単純撮影で行うかを判断し、これから行われる撮影が長尺撮影であると判断すると、撮影室Ra内に存在する複数の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えたり、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26(
図6参照)を操作して放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードに切り替えることを許容する。
【0137】
しかし、長尺撮影の場合、放射線技師等の操作者は、上記のようにコネクター51bを備えない長尺撮影用のブッキー装置51Aに例えば3個の非連携方式用の放射線画像撮影装置1を装填しなければならず、装填すべき非連携方式用の放射線画像撮影装置1を取り違える可能性がある。そして、その場合、電力消費モードが省電力モードのままの放射線画像撮影装置1を誤って装填してしまうと、その放射線画像撮影装置1では放射線の照射開始を検出できず、その放射線画像撮影装置1の部分の画像データDが得られないため、結局、再撮影を行わなければならなくなる。
【0138】
そこで、このような事態が生じることを防止するため、例えば、上記のようにコネクター51bを備えない長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1を装填して長尺撮影を行う場合、コンソールCは、撮影室Ra内に存在する全ての非連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替えるように構成することが可能である。また、上記の場合に、放射線技師等の操作者が撮影室Ra内の非連携方式用の放射線画像撮影装置1の切替スイッチ26を操作して電力消費モードを撮影可能モードに切り替えることを許容するようにコンソールCを構成することが可能である。
【0139】
このように構成して、撮影室Ra内の全ての非連携方式用の放射線画像撮影装置1の電力消費モードを撮影可能モードに切り替えるように構成すれば、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填され、放射線が照射された非連携方式用の放射線画像撮影装置1は、放射線の照射開始を検出して電荷蓄積状態に移行した後、画像データDを的確に生成してプレビュー画像用データDpや画像データD等をコンソールCに転送してくる。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されていない非連携方式用の放射線画像撮影装置1には放射線が照射されないため、画像データDの生成処理も転送処理も行わない。
【0140】
そのため、上記のように構成すれば、仮に長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填する非連携方式用の放射線画像撮影装置1を操作者が取り違えて装填しても、長尺撮影で放射線が照射された例えば3個の非連携方式用の放射線画像撮影装置1のみからコンソールCに画像データD等が転送されてくる状態になる。そのため、コンソールCは、これらの放射線画像撮影装置1から転送されてきた画像データD等に基づいて複数の画像データD*1~D*3を合成して1枚の長尺画像データD*longを的確に生成することが可能となり(
図18(A)、(B)参照)、長尺撮影を的確に行うことが可能となるため、上記のように再撮影を行わなければならなくなるような事態が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0141】
なお、この場合も、コネクター51bを備えない長尺撮影用のブッキー装置51AにRFIDタグを読み取るタグリーダーや、バーコードを読み取るバーコードリーダーを取り付けて、タグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段で装填された放射線画像撮影装置1のカセッテID等を読み取り、装填された放射線画像撮影装置1がコンソールC上で選択された放射線画像撮影装置1と異なる場合に音声や表示等で警告する等の構成を設けることが可能であることは言うまでもない。
【0142】
[コネクターを備えるブッキー装置を用いて長尺撮影を行う場合について]
一方、コネクター51bを備える長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1を装填して長尺撮影を行う場合は、
図19に示したように、ブッキー装置51のコネクター51bと放射線画像撮影装置1のコネクター27とを接続し、ケーブル51cを介して放射線画像撮影装置1と放射線照射装置52とが信号のやり取りを行うことが可能となるため、撮影を連携方式で行うことができる。そのため、この場合は、コネクター51bを備える長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填する放射線画像撮影装置1として、連携方式用の放射線画像撮影装置1を用いることができる。
【0143】
また、長尺撮影用のブッキー装置51Aがコネクター51bを備える場合であっても、上記と同様に、ブッキー装置51Aに複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1を装填して撮影を行うことも可能である。この場合、複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1は、それぞれコネクター27がブッキー装置51Aのコネクター51bと接続された状態で装填され、ケーブル51c(
図19参照)を介した放射線照射装置52と信号のやり取りは行わないが、ケーブル51cを介して外部から電力の供給を受けることが可能となる。
【0144】
なお、長尺撮影用のブッキー装置51Aがコネクター51bを備える場合であっても、上記のように放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置である場合には、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填される放射線画像撮影装置1は非連携方式用の放射線画像撮影装置でなければならないことは前述した通りである。
【0145】
[コンソールによる長尺撮影の可、不可の判断等について]
一方、上記のように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1を装填する際にブッキー装置51Aのコネクター51bを放射線画像撮影装置1のコネクター27に接続して放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDをコンソールCに送信したり、或いは、前述したタグリーダーやバーコードリーダーで装填された放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み取ってコンソールCに送信することで、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aのどの装填位置にどの放射線画像撮影装置1が装填されたかを判断することが可能となり、その状態で長尺撮影を行うことができるか否かを判断することができるようになる。
【0146】
すなわち、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aのコネクター51bやタグリーダー、バーコードリーダー等の読取手段で読み取った、装填された放射線画像撮影装置1のカセッテIDに基づいて長尺撮影が可能であるか否かを判断することが可能となる。
【0147】
なお、以下では、読取手段がブッキー装置51Aのコネクター51bである場合について説明するが、ブッキー装置51Aの各装填位置にタグリーダーやバーコードリーダー等の読取手段を設けても、コネクター51bの場合と全く同様に機能させることが可能である。また、以下では、例えば
図20(A)等に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに放射線画像撮影装置1を3個まで装填することができる場合について説明するが、放射線画像撮影装置1を2個装填することができるように構成されている場合や4個以上装填することができるように構成されている場合も同様に説明することができる。
【0148】
具体的には、例えば
図20(A)の略図に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに例えば3つの装填位置α、β、γが設けられており、それぞれに1個ずつ計3個の放射線画像撮影装置1を装填することが可能であるとする。この場合は、ブッキー装置51Aの各装填位置α、β、γにそれぞれコネクター51bα、51bβ、51bγが設けられており、コネクター51bα、51bβ、51bγは、放射線画像撮影装置1が装填されるとそのコネクター27(
図20(A)等では図示省略)にそれぞれ接続される。
【0149】
そして、長尺撮影用のブッキー装置51Aは、装填される放射線画像撮影装置1のコネクター27と、各装填位置α、β、γのコネクター51bα、51bβ、51bγのいずれかが接続されると、放射線画像撮影装置1のカセッテIDを読み取り、読み取ったカセッテIDを、放射線画像撮影装置1に接続されたコネクター51bの識別情報(以下、コネクターIDという。)とともにコンソールCに送信する。
【0150】
コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aから送信されてきたカセッテIDとコネクターIDとを対応付けて記憶手段Cbに保存して管理するとともに、長尺撮影用のブッキー装置51Aのどの装填位置α、β、γにどの放射線画像撮影装置1が装填されたかを認識する。
【0151】
そして、例えば
図20(A)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aの各装填位置α、β、γに放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されていれば、長尺撮影を行うことができる。そして、コンソールCが長尺撮影が可能であると判断した場合には、その長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置の電力消費モードを省電力モードから撮影可能モードに切り替える等して撮影可能な状態に遷移させるように構成される。
【0152】
このように構成すれば、長尺撮影が可能な状況では、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1が的確に撮影可能な状態に遷移されるため、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0153】
また、コンソールCは、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aの装填位置α、β、γのいずれかに1個の放射線画像撮影装置1のみが装填されている場合には、長尺撮影が可能ではない(すなわち長尺撮影を行うことができない)と判断するように構成される。
【0154】
さらに、例えば
図20(B)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の放射線画像撮影装置1が装填されているが、複数の放射線画像撮影装置1が装填されている装填位置が連続していない場合、すなわち装填位置α、γには放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されているが、その間の装填位置βには放射線画像撮影装置1が装填されていないような場合には、長尺撮影を行うことができない。
【0155】
そのため、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1の装填位置α、β、γが連続していない場合にも長尺撮影が可能ではないと判断するように構成される。
【0156】
そして、コンソールCは、長尺撮影用のブッキー装置51Aが使用されている(すなわち放射線画像撮影装置1が装填されている)にもかかわらず、長尺撮影が可能ではないと判断した場合には、長尺撮影ができない旨を、例えばコンソールCの表示部Ca上に表示したり音声を発したり、或いは撮影室Ra内に設けた音声や表示等による報知手段を介して放射線技師等の操作者に報知するように構成される。
【0157】
このように構成すれば、長尺撮影が可能ではない状況で、放射線技師等の操作者が放射線照射装置52から放射線を照射させる前に、現在の状況では長尺撮影を行うことができないことを的確に報知することが可能となり、長尺撮影ができない状況で放射線を照射させてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0158】
なお、図示を省略するが、例えば
図20(B)に示した状態から、装填位置αの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直したり、装填位置γの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直せば、長尺撮影用のブッキー装置51A内において複数の放射線画像撮影装置1の装填位置が連続した状態になる。そして、このように複数の放射線画像撮影装置1の装填位置が連続していればコンソールCが長尺撮影可能であると判断するように構成することが可能である。
【0159】
また、図示を省略するが、上記のように、長尺撮影が行われるにもかかわらず、長尺撮影用のブッキー装置51Aに1個の放射線画像撮影装置1しか装填されていなかったり、或いは複数の放射線画像撮影装置1の装填位置α、β、γが連続していない状態(
図20(B)参照)を、コンソールCの表示部Ca上に拡大表示して放射線技師等の操作者の注意を喚起するように構成することも可能である。
【0160】
さらに、
図20(B)に示した状態から装填位置αの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直したり装填位置γの放射線画像撮影装置1を装填位置βに装填し直した状態をコンソールCの表示部Ca上に表示し、2個の放射線画像撮影装置1で長尺撮影を行うことができるか否か等を操作者に判断させるように構成することも可能である。
【0161】
また、例えば
図20(A)に示したように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに3個の放射線画像撮影装置1が装填された場合であっても、例えば、前述したように、放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置である場合に、連携方式用の放射線画像撮影装置1が装填されていると撮影を行うことができない。そのため、このような場合に、送信されてきたカセッテIDに基づいて装填されている放射線画像撮影装置1が連携方式用の放射線画像撮影装置1であることが判明した場合には、コンソールCは、長尺撮影が可能ではないと判断するように構成される。そして、この場合は、例えば、コンソールCが、非連携方式用の放射線画像撮影装置1に装填し直すように報知するように構成することが好ましい。
【0162】
[装填されている複数の放射線画像撮影装置のサイズや配置について]
一方、
図21(A)に示すように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっている場合があり得る。なお、
図21(A)では装填位置α、γに例えば14×17インチ、装填位置βに14×14インチのサイズの放射線画像撮影装置1がそれぞれ装填されている場合が示されている。
【0163】
そして、このように、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっている場合、照射される放射線が、最も横幅が狭い放射線画像撮影装置1(
図21(A)の場合は装填位置βの14×14インチの放射線画像撮影装置1)の左右にはみ出さないようにするために、例えば同図に1点鎖線で示すように照射野を絞って放射線を照射することが必要になる。
【0164】
そこで、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aから送信されてきた各放射線画像撮影装置1のカセッテIDに基づいて、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっていると判断される場合には、コンソールCが、表示部Ca上に表示したり音声を発する等して、放射線技師等の操作者に照射する放射線の照射野の設定に注意することを報知するように構成することが可能である。
【0165】
また、上記のように長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている複数の放射線画像撮影装置1のサイズが異なっている場合、
図21(A)、(B)に示すように、例えば複数の放射線画像撮影装置1の中央の位置を揃えるか(
図21(A)の場合)、ブッキー装置51Aに向かって右側に揃えるか(
図21(B)の場合)、或いは向かって左側に揃えるか(図示省略)によって、照射すべき放射線の照射野の左右方向の位置が変わる。
【0166】
そのため、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51A内に各装填位置α、β、γにそれぞれ装填された各放射線画像撮影装置1の左右方向の位置を検出する検出手段を設け、検出手段が検出した各放射線画像撮影装置1の左右方向の位置を、コンソールCの表示部Ca上に表示するように構成することが可能である。或いは、単に中央揃え、右揃え、左揃えのいずれであるかを表示するように構成することも可能である。また、各放射線画像撮影装置1の位置の表示や中央揃え等の表示を、コンソールCの表示部Ca上で行う代わりに、或いはそれとともに、長尺撮影用のブッキー装置51Aに表示手段を設けてそれに表示させるように構成することも可能である。
【0167】
このように構成すれば、放射線技師等の操作者は、その表示を見て、長尺撮影用のブッキー装置51Aに照射する放射線の照射野の位置をそれに合わせるように調整することが可能となり、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。また、コンソールCが、各放射線画像撮影装置1の位置や中央揃え等の情報を認識した上で、前述した長尺撮影における各画像データD*1~D*3の合成処理や長尺画像データD*longの生成処理(
図18(A)、(B)参照)を行うことが可能となり、この点においても長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0168】
[非連携方式用の放射線画像撮影装置同士の同期について]
一方、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填した各放射線画像撮影装置1に、放射線照射装置52から1ショットで放射線を照射して長尺撮影を行う場合、各放射線画像撮影装置1に照射される放射線量には差異がある。中央の装填位置β(
図20(A)等参照)に装填された放射線画像撮影装置1に対し、上下の装填位置α、γに装填された放射線画像撮影装置1は、照射される放射線の照射野が絞られているため、到達する放射線の線量が少なくなる。そのため、照射開始の判断性能が劣ることが想定される。
【0169】
そして、このような場合に、長尺撮影用のブッキー装置51Aに非連携方式の放射線画像撮影装置1が装填されていると、例えば、到達する放射線の線量が多い、装填位置βに装填された放射線画像撮影装置1では放射線の照射が開始されると速やかにそれを検出することができるが、装填位置α、γに装填された放射線画像撮影装置1では放射線の照射開始の検出タイミングが遅れるという事態が生じる可能性がある。そして、各放射線画像撮影装置1で放射線の照射開始の検出タイミングがずれると、各放射線画像撮影装置1からコンソールCに画像データD等を転送するタイミングが各放射線画像撮影装置1ごとに異なるタイミングになり、コンソールCでの処理が行い難くなる。
【0170】
そこで、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aに複数の非連携方式用の放射線画像撮影装置1が装填された場合、各放射線画像撮影装置1は、放射線の照射開始を検出すると、上記のようにその時点で検出処理を停止して電荷蓄積状態に移行するとともに(
図9参照)、コンソールCにその旨を表す信号を送信するように構成する。そして、コンソールCは、最初の放射線の照射開始を検出した放射線画像撮影装置1からその信号を受信すると、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填されている他の放射線画像撮影装置1に移行信号を送信する。そして、他の放射線画像撮影装置1は、コンソールCから移行信号を受信すると、自らは放射線の照射開始を検出していなくても、その時点で検出処理を停止して電荷蓄積状態に移行するように構成する。
【0171】
このように構成することで、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された複数の非連携方式の放射線画像撮影装置1が電荷蓄積状態に移行し、画像データDの生成処理等のその後の各処理を行うタイミングを揃えることが可能となり、コンソールCでプレビュー画像p_preの表示処理や長尺画像データD*longの生成処理等を行い易くなる。また、このように構成すれば、各放射線画像撮影装置1から異なるタイミングで放射線の照射開始を検出してその後の処理を行う場合に比べて長尺撮影全体に要する時間をより短くすることが可能となり、被写体である患者にかかる負担をより軽減することが可能となる。
【0172】
[撮影室が複数設けられている場合の放射線画像撮影装置の所在管理等について]
ところで、本発明の目的である、放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影と長尺撮影のいずれの撮影も的確に行うことを実現し、また、撮影を効率良く行うことを実現するためには、撮影に用いる放射線画像撮影装置1の取り違え等が発生したり、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1を探すような事態が生じたりすることがないように構成することが必要となる。
【0173】
そして、このような事態は、特に、放射線画像撮影システム50が、複数の撮影室Ra(Ra1~Ra3)と単数または複数のコンソールC(C1、C2)とが対応付けられて構成されている場合(
図2参照)において生じ易い。そこで、上記のような事態が生じないようにするために、例えば、
図2に示したように、放射線画像撮影システム50に管理装置Sを設けるように構成することが可能である。
【0174】
具体的には、前述したように、放射線画像撮影装置1が撮影室Raに持ち込まれてクレードル55(
図2や
図3参照)に挿入されたり、或いはタグリーダー60(
図4参照)で放射線画像撮影装置1のタグが読み取られる等して、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテIDが読み出されると、中継器54を介してカセッテIDをコンソールCとともに管理装置Sにも送信して通知する。その際、例えばカセッテIDに中継器の識別情報(以下、中継器IDという。)を付帯させて通知する。
【0175】
そして、管理装置Sは、カセッテIDに付帯されている中継器IDに基づいてどの撮影室Raから送信されてきたかを判断し、当該カセッテIDを有する放射線画像撮影装置1が中継器IDに対応する撮影室Ra内に存在することを認識するとともに、その情報を記憶手段Cbに保存する等して管理するように構成することが可能である。なお、中継器IDの代わりに、或いはそれとともに、クレードル55の識別情報やタグリーダー60の識別情報を読み取ったカセッテIDに付帯させて管理装置Sに送信するように構成することも可能であり、カセッテIDがどの撮影室Raから送信されてきたものであるかを確実に識別することができる情報であれば、カセッテIDに付帯させる情報はどのような情報であってもよい。
【0176】
また、管理装置Sは、コンソールCからの要求に応じて、各撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の情報を当該コンソールCに送信し、コンソールCは、例えば特開2012-105787号公報や特開2013-126604号公報等に記載されているように、各撮影室Raごとに存在する放射線画像撮影装置1を例えば一覧表の形で表示部Ca上に表示するように構成することが可能である。
【0177】
このように構成することで、放射線技師等の操作者は、その一覧表を見て、どの放射線画像撮影装置1がどの撮影室Ra内に存在するかを認識することができる。その際、前述したように、各放射線画像撮影装置1の情報の近傍に、例えば、当該放射線画像撮影装置1が、連携方式用の放射線画像撮影装置1は青、非連携方式用の放射線画像撮影装置1は赤で表示し、14×17インチ、14×14インチ、17×17インチ等の各サイズをそれぞれ例えば四角(ベタ塗り)、ストライプ、水玉等の各模様を表示するように構成すれば、放射線技師等の操作者が一目で放射線画像撮影装置1の撮影方式やサイズ等を把握することが可能となり、好ましい。
【0178】
一方、長尺撮影をさらに的確に行うことを実現するために、例えば、以下のように構成することが可能である。なお、複数の撮影室Raのうち、いずれかの撮影室Ra或いは全ての撮影室Raに、長尺撮影用のブッキー装置51Aが設置されているものとする。
【0179】
そして、上記のようにして撮影オーダー情報に基づいてコンソールCがこれから行われる撮影が長尺撮影であると判断し、コンソールCから管理装置Sにどの撮影室Raで長尺撮影が可能かの回答を求める要求信号を送信すると、管理装置Sは、それに応じて、各撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の情報や、撮影室Ra内に長尺撮影用のブッキー装置51Aがあるか否かの情報に基づいて、いずれの撮影室Raで長尺撮影を行うことが可能であるかを判断し、長尺撮影が可能な撮影室RaをコンソールCに通知する。そして、コンソールCは、管理装置Sから通知された撮影室Raの情報を、例えば表示部Ca上に表示する等して放射線技師等の操作者に報知するように構成することが可能である。
【0180】
具体的に言えば、上記のように、放射線照射装置52がインターロック制御を受けるタイプであったり受けないタイプであったりすることで、長尺撮影に使用することができる放射線画像撮影装置1の種類(すなわち連携方式用か非連携方式用か)等が制限される場合がある。また、長尺撮影用のブッキー装置51Aにコネクター51bが設けられているか否か等によっても、長尺撮影に使用することができる放射線画像撮影装置1の種類等を考慮しなければならない場合がある。
【0181】
そして、長尺撮影用のブッキー装置51Aが設けられている撮影室Ra内に、上記のようにその長尺撮影用のブッキー装置51Aや放射線照射装置52を用いた長尺撮影に使用することができる複数の放射線画像撮影装置1が存在すれば、当該撮影室Raで長尺撮影を行うことができるが、そのような複数の放射線画像撮影装置1が存在しない場合には、当該撮影室Raではすぐには長尺撮影を行うことができない。
【0182】
そのため、上記のように各撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の情報や長尺撮影用のブッキー装置51A等の情報に基づいて、管理装置Sがいずれの撮影室Raで長尺撮影を行うことが可能かを判断し、長尺撮影が可能な撮影室Raを、コンソールCを介して放射線技師等の操作者に通知することで、操作者は、通知された撮影室Raで長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0183】
また、管理装置Sが、いずれの撮影室Raにおいても長尺撮影を行うことが可能ではないと判断した場合には、例えば、長尺撮影に使用可能な放射線画像撮影装置1がどの撮影室Ra内に存在するかの情報をコンソールCに通知し、コンソールCは、管理装置Sから通知された上記の情報を、例えば上記のように一覧表等の形で表示部Ca上に表示する等して報知するように構成することが可能である。
【0184】
このように構成すれば、放射線技師等の操作者は、その報知に基づいて、必要な放射線画像撮影装置1を各撮影室Raに行って的確かつ速やかに集めることが可能となり、長尺撮影用のブッキー装置51Aが設けられている撮影室Raにそれらを持ち込んで長尺撮影用のブッキー装置51Aにそれらを装填して、長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0185】
[変形例について]
[変形例1]
なお、前述したように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50のコンソールCの表示部Caには、撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1をアイコンIで表示する選択画面H3(
図14~
図16参照)が表示される。しかし、その際、これから行われる撮影(すなわち画面H2(
図13参照)上でフォーカス表示されているアイコンI(
図13の場合はアイコンI2)に対応する撮影)に用いることができない放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIは、選択画面H3上で選択することができないようにするために、例えば、これから行われる撮影に用いることができない放射線画像撮影装置1に対応するアイコンIを、当該放射線画像撮影装置1が撮影室Ra内に存在する場合であっても、そもそも選択画面H3上に表示しないように構成することも可能である。
【0186】
このように構成すれば、撮影に使用することができない放射線画像撮影装置1を、放射線技師等の操作者が誤って選択画面H3上で選択してしまうことを的確に防止することが可能となり、単純撮影や長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0187】
[変形例2]
また、前述したように、放射線画像撮影装置1の中には、連携方式と非連携方式のいずれでも撮影を行うことができる装置がある。そして、このような放射線画像撮影装置1を用いる場合には、例えば上記のように放射線照射装置52がインターロック制御を受けないタイプの装置であり、撮影に非連携方式用の放射線画像撮影装置1を使用しなければならない場合には、コンソールCから放射線画像撮影装置1に信号を送信して、放射線画像撮影装置1の撮影方式を非連携方式に切り替えるように構成することも可能である。
【0188】
すなわち、撮影室Raに設けられている放射線照射装置52のタイプ(すなわち例えばインターロック制御を受けるか否か等)やブッキー装置51のタイプ(すなわちコネクター51bが設けられているか否か等)等に応じて、コンソールCが、当該撮影室Ra内に存在する放射線画像撮影装置1の撮影方式を、連携方式或いは非連携方式の、当該撮影室Raの状況に応じた撮影方式に切り替えるように構成することが可能である。
【0189】
このように構成すれば、撮影室Raの状況、すなわち上記のような放射線照射装置52やブッキー装置51のタイプ等に応じて、放射線画像撮影装置1の撮影方式を連携方式と非連携方式との間で適切に切り替えて撮影を行うことが可能となり、単純撮影や長尺撮影を的確に行うことが可能となる。
【0190】
[変形例3]
一方、上記の実施形態や変形例では、主に、長尺撮影用のブッキー装置51Aを用いる際、そのカセッテホルダー51a(
図1等参照)内に複数の放射線画像撮影装置1を装填して長尺撮影を行う場合について説明したが、この他にも、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填した放射線画像撮影装置1を用いて単純撮影を行うことができるように構成することも可能である。
【0191】
具体的には、図示を省略するが、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内に、装填された放射線画像撮影装置1を移動させるための移動装置を設
けておき、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内に装填した放射線画像撮影装置1を、カセッテホルダー51a内で、被写体Hの体軸A方向(
図1参照)の任意の位置に移動させることができるように構成することが可能である。
【0192】
この場合、長尺撮影用のブッキー装置51Aが立位撮影用であれば、装填された放射線画像撮影装置1がカセッテホルダー51a内を上下方向に移動することができるように構成され、また、長尺撮影用のブッキー装置51Aが臥位撮影用であれば、装填された放射線画像撮影装置1がカセッテホルダー51a内を水平方向に移動することができるように構成される。
【0193】
そして、このように構成すれば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させることで、被写体Hの撮影部位に放射線画像撮影装置1を配置することが可能となる。そのため、被写体Hの撮影部位に応じて被写体Hの体位を移動させたりカセッテホルダー51aの位置を変えたりする必要がなくなり、放射線技師等の操作者にとって使い勝手がよいものとなる。
【0194】
なお、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内に複数の放射線画像撮影装置1を装填した状態で上記のようにカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させて単純撮影を行う場合には、撮影に使用しない放射線画像撮影装置1をカセッテホルダー51a内で例えば被写体Hから離れる方向に退避させることができるように構成することが好ましい。このように構成すれば、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で、撮影に使用しない放射線画像撮影装置1によって邪魔されない状態で、撮影に使用する放射線画像撮影装置1を的確に移動させて撮影を行うことが可能となる。
【0195】
また、上記の実施形態では、
図1等に示したように、放射線照射装置52として、長尺撮影用のブッキー装置51Aに装填された複数の放射線画像撮影装置1に同時に(すなわち1ショットで)放射線を照射することができる、いわゆる広角照射タイプの放射線照射装置が用いられている。そのため、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させて単純撮影を行う場合も、放射線照射装置52の位置や照射方向を必ずしも変える必要はない(なお、その場合も、被写体Hの被曝線量が増えないようにするために、放射線の照射野は必要な範囲に絞られる。)。
【0196】
しかし、単純撮影の場合には、カセッテホルダー51a内での放射線画像撮影装置1の移動に同期するように放射線照射装置52を移動させて放射線を照射するように構成することが好ましい。
【0197】
すなわち、例えば、長尺撮影用のブッキー装置51Aが立位撮影用であり、仮に放射線画像撮影装置1をカセッテホルダー51a内の上端の位置に移動させた場合、広角照射タイプの放射線照射装置52であれば、放射線照射装置52の位置(高さ)や照射方向を変えなくても、カセッテホルダー51a内の上端の位置の放射線画像撮影装置1に放射線を照射することが可能である。しかし、この場合、放射線画像撮影装置1に下側から放射線を照射して撮影を行った状態になり、生成された放射線画像pを見た読影医が違和感を感じる画像になる虞れがある。
【0198】
そのため、上記のように、長尺撮影用のブッキー装置51Aのカセッテホルダー51a内で放射線画像撮影装置1を移動させて単純撮影を行う場合には、カセッテホルダー51a内での放射線画像撮影装置1の移動に同期させて、放射線照射装置52の位置(高さ)が放射線画像撮影装置1と同じ位置(高さ)になるように放射線照射装置52を移動させて撮影を行うように構成することが好ましい。
【0199】
なお、本発明が上記の実施形態や変形例等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0200】
1 放射線画像撮影装置(可搬型放射線画像撮影装置)
27 コネクター
50 放射線画像撮影システム
51、51A 長尺撮影用のブッキー装置
51b コネクター(読取手段)
52 放射線照射装置
55 クレードル(検知手段)
60 タグリーダー(検知手段、読取手段)
C コンソール
D 画像データ
p 放射線画像
Ra、Ra1~Ra3 撮影室
S 管理装置
α、β、γ 装填位置