(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】スピーカの最低共振周波数測定装置、スピーカシステム、及びスピーカの最低共振周波数測定方法
(51)【国際特許分類】
H04R 29/00 20060101AFI20220216BHJP
G01R 23/08 20060101ALI20220216BHJP
H04R 3/04 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
H04R29/00 310
G01R23/08
H04R3/04
(21)【出願番号】P 2020569423
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2019048212
(87)【国際公開番号】W WO2020158195
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019012102
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中村 真巳
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-097800(JP,A)
【文献】実開昭58-132500(JP,U)
【文献】特開昭55-138618(JP,A)
【文献】特開昭55-099900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 29/00
G01R 23/08
H04R 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の音声信号を、スピーカへ出力する音声出力部と、
前記スピーカから出力された音声を収音する収音部と、
前記音声出力部に対し、前記音声信号の周波数及び信号出力の有無を制御する信号出力制御部と、
前記信号出力制御部の制御により音声信号の出力が停止された後に、前記収音部で収音された音声の周波数を測定する周波数測定部と、
前記測定された周波数が、前記音声信号の周波数よりも低いとき、前記音声信号の周波数は前記スピーカの最低共振周波数より高いと判定する判定部と、
を備えるスピーカの最低共振周波数測定装置。
【請求項2】
前記信号出力制御部は、前記判定部が、前記音声信号の周波数が前記スピーカの最低共振周波数よりも高いと判定した場合、前記音声信号よりも低い周波数の音声信号を前記スピーカへ出力するよう制御する請求項1に記載のスピーカの最低共振周波数測定装置。
【請求項3】
前記信号出力制御部は、前記音声信号を出力及び停止させたときに前記周波数測定部での測定された周波数と、前記音声信号の周波数との差分に基づいて、次に出力する音声信号の周波数を決定する請求項2に記載のスピーカの最低共振周波数測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のスピーカの最低共振周波数測定装置と、
前記スピーカと、
前記測定されたスピーカの最低共振周波数をカットオフ周波数とするフィルタと、
を備えるスピーカシステム。
【請求項5】
音声出力部が、所定周波数の音声信号をスピーカへと出力した後に出力を停止し、
前記音声信号の出力が停止された後に、収音部で前記スピーカから出力された音声を収音し、
前記収音部で収音された音声の周波数を測定し、
測定した周波数が前記音声信号の周波数よりも低いとき、前記音声信号の周波数は前記スピーカの最低共振周波数より高いと判定する
スピーカの最低共振周波数測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカの最低共振周波数測定装置、スピーカシステム、及びスピーカの最低共振周波数測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スピーカは、ボイスコイルと、振動板と、マグネットとを備えるスピーカユニットと、このスピーカユニットを固定するエンクロージャとで構成される。または、スピーカユニットを車両のドア等に取り付け、ドア内部の空間をエンクロージャとして利用することがある。
【0003】
スピーカは、忠実に再生できる周波数に限界があり、限界を超えた周波数の信号を出力すると音質が低下する。例えば、スピーカの持つ最低共振周波数f0以下の周波数のオーディオ信号を出力すると、ボイスコイルに磁束が発生して振動板が振動しようとするものの、低い周波数に追従することができず、再生音に歪みまたはノイズが発生する。
【0004】
これに鑑み、スピーカ内または外部のアンプに、最低共振周波数f0以下の周波数の信号をカットするフィルタを設けることで、再生音の歪みまたはノイズの発生を防止し、精度よくオーディオ信号を再生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
スピーカの最低共振周波数f0の値は、スピーカユニットの特性、エンクロージャの大きさ、バッフルの有無、設置環境によっても異なる。そのため、スピーカユニットに予めスペックとして最低共振周波数f0の値が規定されていても、そのスペック通りの特性にはならないことがある。スピーカ前段のフィルタのカットオフ周波数をスピーカユニットで規定される最低共振周波数f0に合わせて設定すると、設置環境でのスピーカの最低共振周波数f0以下の周波数がスピーカに入力されてしまう場合がある。すると、スピーカにとって不要な振動を発生させ、上述した再生音の歪みまたはノイズを発生させる原因となる。
【0007】
実施形態は、スピーカの最低共振周波数を精度よく測定し、スピーカの不要な振動を抑制することができる、スピーカの最低共振周波数測定装置、スピーカシステム、及びスピーカの最低共振周波数測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
実施形態の第1の態様によれば、所定周波数の音声信号を、スピーカへ出力する音声出力部と、前記スピーカから出力された音声を収音する収音部と、前記音声出力部に対し、前記音声信号の周波数及び信号出力の有無を制御する信号出力制御部と、前記信号出力制御部の制御により音声信号の出力が停止された後に、前記収音部で収音された音声の周波数を測定する周波数測定部と、前記測定された周波数が、前記音声信号の周波数よりも低いとき、前記音声信号の周波数は前記スピーカの最低共振周波数より高いと判定する判定部とを備えるスピーカの最低共振周波数測定装置が提供される。
【0009】
実施形態の第2の態様によれば、上記のスピーカの最低共振周波数測定装置と、前記スピーカと、前記測定されたスピーカの最低共振周波数をカットオフ周波数とするフィルタとを備えるスピーカシステムが提供される。
【0010】
実施形態の第3の態様によれば、音声出力部が、所定周波数の音声信号をスピーカへと出力した後に出力を停止し、前記音声信号の出力が停止された後に、収音部で前記スピーカから出力された音声を収音し、前記収音部で収音された音声の周波数を測定し、測定した周波数が前記音声信号の周波数よりも低いとき、前記音声信号の周波数は前記スピーカの最低共振周波数より高いと判定するスピーカの最低共振周波数測定方法が提供される。
【0011】
実施形態のスピーカの最低共振周波数測定装置、スピーカシステム、及びスピーカの最低共振周波数測定方法によれば、スピーカの最低共振周波数を精度よく測定し、スピーカの不要な振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置の動作を示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置において、30Hzの正弦波音声信号を出力及び停止させたときの、出力信号の波形及び収音部で収音した音声の波形を示す波形図である。
【
図4】
図4は、一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置において、20Hzの正弦波音声信号を出力及び停止させたときの、出力信号及び収音部で収音した音声の波形を示す波形図である。
【
図5】
図5は、一実施形態によるスピーカシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置の構成>
図1を参照して、一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置(以下、f0測定装置)の構成について説明する。本実施形態によるf0測定装置1は、処理対象であるスピーカ10の最低共振周波数f0を測定するものであり、音声出力部としての正弦波出力部2と、収音部3と、測定部4とを備える。
【0014】
正弦波出力部2は、所定周波数の正弦波の音声信号をスピーカ10へ出力する。正弦波出力部2は、例えば、複数の周波数の正弦波音声信号をROM(Read Only Memory)等の記憶部に保存し、CPU(Central Processing Unit)がコンピュータプログラムを実行することで、指定された周波数の音声信号を出力する。正弦波出力部2は、指定された周波数の音声信号をFPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって生成して出力してもよい。
【0015】
スピーカ10は、マグネット11と、ボイスコイル12と、マグネット11と、図示しないボイスコイルボビンに巻かれたボイスコイル12と、振動板13とを有する。スピーカ10に出力される音声信号に基づいてボイスコイル12に所定量の電流を流すことにより、スピーカ10内の空気が圧縮または膨張して一種の空気バネとなり、この空気バネの振動が特定の周波数で振動板13を共振させ、音声信号に対応する音声を出力する。収音部3は、スピーカ10から出力された音声を収音する。典型的には収音部3はマイクロホンである。
【0016】
測定部4は、信号出力制御部41と、収音情報取得部42と、周波数測定部43と、判定部44と、最低共振周波数測定部としてのf0測定部45とを有する。信号出力制御部41は、正弦波出力部2に対し、スピーカ10に出力させる音声信号の周波数及び信号出力有無を制御する。収音情報取得部42は、収音部3で収音された音声情報を取得する。周波数測定部43は、信号出力制御部41の指示により正弦波出力部2がスピーカ10への各音声信号の出力を停止した後に、収音部3が収音した音声の周波数を測定する。
【0017】
測定部4は、CPUがコンピュータプログラムを実行することによって上述した機能を実現することができる。測定部4は、FPGAまたはASIC等のハードウェアによって上述した機能を実現してもよい。
【0018】
判定部44は、周波数測定部43での測定処理により得られた周波数が、信号出力制御部41により停止される前に正弦波出力部2がスピーカ10へ出力した音声信号の周波数よりも所定値以上高いときには、該当する音声信号の周波数は最低共振周波数f0以下であると判定する。また、判定部44は、測定処理により得られた周波数が該当する音声信号の周波数よりも低いときには、該当する音声信号の周波数は最低共振周波数f0より高いと判定する。
【0019】
f0測定部45は、音声信号の周波数と周波数測定部43で得られた周波数が同じ場合、当該周波数をスピーカ10の最低共振周波数f0とする。
【0020】
<一実施形態によるスピーカの最低共振周波数測定装置の動作>
次に、
図2のシーケンス図を参照して、f0測定装置1を用いてスピーカ10の最低共振周波数f0を測定するときの動作について説明する。まず、測定部4の信号出力制御部41から、予め設定された周波数(例えば30Hz)の音声信号を所定時間(例えば1秒)出力する指示が正弦波出力部2に送信される(S1)。ここで指示される周波数は、例えばスピーカ10の最低共振周波数f0に近いと予測される値が用いられる。そして、正弦波出力部2により、測定部4から指示された周波数の正弦波音声信号が、スピーカ10に出力される(S2)。スピーカ10に正弦波音声信号が出力されると、当該正弦波音声信号に基づいて所定量の電流がボイスコイル12に流れることによりスピーカ10内の空気に振動が発生して振動板13が共振し、対応する音声が出力される(S3)。
【0021】
正弦波出力部2において正弦波音声信号の出力処理が開始された後、測定部4から指示された時間が経過すると(S4の「YES」)、正弦波音声信号の出力が停止される(S5)。ここで正弦波音声信号の出力が停止されると、スピーカ10内のボイスコイル12に電流が流れなくなる。ここで、電流が流れなくなった後もスピーカ10内の振動板13の共振は惰性により継続し、徐々に減衰していく。そのため、正弦波音声信号を停止させた直後は、信号が出力されていたときと同等レベルの周波数の音声が出力される。このとき、振動板13の共振は、徐々に減衰しながら、スピーカ10の最低共振周波数f0に近付いていく。換言すると、正弦波音声信号の出力が停止された後にスピーカ10から出力される音声は、正弦波音声信号の周波数から最低共振周波数f0に近付くように周波数が変化する。
【0022】
正弦波音声信号を停止させた後にスピーカ10から出力された音声は収音部3で収音され、その音声情報は測定部4に送信される(S6)。測定部4では、収音部3から送信された音声情報が収音情報取得部42で取得され(S7)、周波数測定部43で周波数が測定される(S8)。
【0023】
そして、判定部44において、周波数測定部43での測定処理により得られた周波数が、信号出力制御部41により停止される前に正弦波出力部2からスピーカ10へ出力されていた正弦波音声信号の周波数よりも低いか否かが判定される(S9)。
【0024】
例えば、
図3(a)に示すように、信号出力制御部41の指示により、正弦波出力部2はスピーカ10に30Hzの正弦波音声信号を出力し、所定時間経過後に正弦波音声信号の出力を停止する。このとき、
図3(b)に示すように、収音部3は、正弦波音声信号の出力が停止された後も惰性で出力される音声を収音する。
【0025】
ここで、信号停止の後に周波数測定部43での測定処理により得られる周波数fBが、正弦波出力部2からスピーカ10に出力されていた正弦波音声信号の周波数fAよりも低い、例えば25Hzであったとする。この場合、判定部44は、当該正弦波音声信号の周波数30Hzは最低共振周波数f0より高いと判定する(S10)。換言すると、スピーカ10のf0予測値は、30Hzよりも低いと判定される。なお、
図3(b)においては信号停止直後のスピーカ10の出力の周波数を測定しているが、測定は信号停止直後に限定されない。スピーカ10の出力は徐々に減衰しながら最低共振周波数f0に近付いていくため、測定可能な出力レベルがスピーカ10から出力される期間において、信号停止から時間が長く経過した時点であることが好ましい。
【0026】
次に、f0測定部45によりスピーカ10のf0予測値が30Hzより低いと測定された結果を認識したユーザは、測定部4を操作して、30Hzよりも低い周波数、例えば20Hzの音声信号を出力させる。測定部4は、ユーザの操作に基づいて、20Hzの音声信号を所定時間(例えば1秒)出力する指示を正弦波出力部2に送信する。測定部4、正弦波出力部2、スピーカ10、収音部3は、上述したステップS1~S10と同様の処理を実行する。
【0027】
図3(a)と同様、
図4(a)に示すように、信号出力制御部41の指示により、正弦波出力部2はスピーカ10に20Hzの正弦波音声信号を出力し、所定時間経過後に正弦波音声信号の出力を停止する。
【0028】
図4(b)に示すように、このときに正弦波音声信号の出力が停止された後に周波数測定部43での測定処理により得られる周波数fDが正弦波音声信号の周波数fCである20Hzよりも高い場合、スピーカ10の最低共振周波数f0は20Hzより高いと判定される。これにより、f0測定部45において、スピーカ10のf0予測値が20Hz以上と測定される。そして、f0測定部45においてさらに、上述した処理で測定された2つの予測値により、スピーカ10のf0予測値が、20Hz以上、30Hz未満として測定される。なお、
図4(b)においては信号停止直後のスピーカ10の出力の周波数を測定しているが、測定は信号停止直後に限定されない。
【0029】
このとき、スピーカ10の最低共振周波数f0以下の音声をスピーカ10に入力しているため、スピーカ10は低い周波数に追従することができず、不要な振動を発生させて、歪みまたはノイズの原因となることがある。このため最低共振周波数f0以下の音声を音声信号として使用することは好ましくない。測定周波数fDが最低共振周波数f0以下とならないよう、音声信号の周波数を徐々に低く、例えば3Hzずつ低く設定していくことが実用上好ましい。
【0030】
上述した実施形態によれば、スピーカ10への音声信号の出力を停止させた後に惰性で発生する音声を用いて、簡易な処理で精度の高いf0予測値を測定することができる。スピーカユニット単体で測定した場合はスピーカユニットの特性としてのf0予測値が測定でき、スピーカ10がエンクロージャ等に装着された状態で測定した場合は、エンクロージャ含めたシステムとしてのf0予測値を測定できる。スピーカ10内に、測定されたf0予測値以下の周波数の信号をカットするフィルタ、つまり、測定されたスピーカ10の最低共振周波数f0をカットオフ周波数とするフィルタを設けることで、再生音の歪みまたはノイズの発生を高い精度で防止した、高性能のスピーカ10を構成することができる。
【0031】
上述したf0予測値以下の周波数の信号をカットするフィルタは、測定されたf0予測値である周波数がカットオフ周波数として自動的に設定される適応フィルタであることが好ましいが、カットオフ周波数を手動で設定する形態であってもよい。また、上述したf0予測値以下の周波数の信号をカットするフィルタの設置個所はスピーカ10内に限定されず、外部のアンプに設けられてもよく、独立した音声処理機器としてスピーカ10の前段に設けられてもよい。
【0032】
特に、車載用のスピーカは、ドアにスピーカボックスが設置され、車両の形状または大きさによって最低共振周波数f0が変わる。車両ごとに上述したf0測定装置1で測定されたf0予測値以下の周波数の信号をカットするフィルタを設けることで、どのような車両に対しても最適な再生環境を提供することができる。
【0033】
また、上述した処理で測定されたf0予測値を認識したユーザが20Hz以上、30Hz未満の正弦波音声信号を用いて上述したステップS1~S10の処理を繰り返すことにより、さらに精度の高いスピーカ10のf0予測値を測定することができる。
【0034】
他の実施形態として、測定部4の信号出力制御部41に、予めスピーカ10のスペックとして取得されている最低共振周波数f0よりも高い周波数及び低い周波数を含む、複数の異なる周波数を設定してもよい。f0測定装置1は、それぞれの周波数の正弦波音声信号を用いてステップS1~S9の処理を順次実行して、その判定結果に基づいて測定部45において、最低共振周波数f0以下であると判定される音声信号の周波数の予測最高値を、スピーカ10のf0予測値として測定するようにしてもよい。
【0035】
このように、複数の周波数の正弦波音声信号を用いたf0予測値の測定処理を、測定部4に自動で実行させることにより、簡易な操作で効率よく、精度の高いf0予測値を測定することができる。
【0036】
また、他の実施形態として、測定部4の信号出力制御部41が、所定の周波数の正弦波音声信号を出力及び停止させたときに周波数測定部43での測定処理により得られる周波数と、当該出力した正弦波音声信号の周波数との差分に基づいて、次に出力させる正弦波音声信号の周波数を決定してもよい。これによって、f0測定装置1は、複数の異なる周波数の正弦波音声信号を用いたf0予測値の測定処理を順次実行するようにしてもよい。
【0037】
具体的には、信号出力制御部41は、判定部44での判定結果により、周波数測定部43の測定処理により得られた周波数が、出力した正弦波音声信号の周波数よりも高い程、次に出力させる正弦波音声信号の周波数を低い値と決定する。f0測定装置1は、決定した周波数の音声信号を正弦波出力部2からスピーカ10へ再度出力させて複数回のf0予測値測定処理を行うことで、効率よく、精度の高いf0予測値を測定することができる。
【0038】
図5に示すように、スピーカシステムは、上述したf0測定装置1と、スピーカ10と、測定したスピーカ10の最低共振周波数f0をカットオフ周波数とするフィルタ5とを備えて構成される。このとき、f0測定装置1は、最低共振周波数f0を測定する際に用いられ、スピーカ10の通常の使用時には取り外しが可能であることが好ましい。上記のように、スピーカ10はフィルタ5を内蔵してもよいし、アンプ7がフィルタ5を内蔵してもよい。
【0039】
図5において、音源6より出力された音声信号はアンプ7によって増幅され、フィルタ5を介してスピーカ10に供給される。フィルタ5によってスピーカ10の最低共振周波数f0以下の周波数の信号がカットされるので、再生音の歪みまたはノイズの発生を高い精度で防止することができる。
【0040】
本願の開示は、2019年1月28日に出願された特願2019-012102号に記載の主題と関連しており、それらの全ての開示内容は引用によりここに援用される。