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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】クレーン情報表示システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20220216BHJP
   B66C 23/90 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B66C13/46 Z
B66C23/90 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021549041
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036270
(87)【国際公開番号】W WO2021060466
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2019176758
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 瑞生
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227281(JP,A)
【文献】特開2014-31223(JP,A)
【文献】特開2019-59593(JP,A)
【文献】特開2019-24151(JP,A)
【文献】特開平8-133677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/46
B66C 23/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを有する端末装置を備え、前記カメラにて、クレーンを撮影してカメラ画像を得るクレーン情報表示システムであって、
前記カメラ画像から、前記クレーンに搭載された情報表示部の表示情報を読み取り、前記クレーンの情報を取得するクレーン情報取得部と、
前記カメラ画像から、前記情報表示部の表示情報を読み取り、前記情報表示部の基準形状と前記情報表示部の前記クレーンにおける搭載位置に係る情報を取得すると共に、前記カメラ画像に映る前記情報表示部の輪郭形状を抽出して、前記情報表示部の前記基準形状、前記情報表示部の前記搭載位置、及び、前記情報表示部の前記輪郭形状の情報に基づいて、前記クレーンの位置と姿勢を算出する位置姿勢算出部と、
前記クレーン情報取得部が取得した前記クレーンの情報を、前記位置姿勢算出部が算出した前記クレーンの位置と姿勢に対応した三次元の画像情報に変換する情報処理部と、
前記情報処理部にて変換処理が施された前記クレーンの情報を前記カメラ画像に重ねて表示する画像表示部と、
を備えるクレーン情報表示システム。
【請求項2】
前記クレーンのアウトリガーの張り出し量を入力する入力部を備え、
前記クレーン情報取得部は、前記情報表示部の表示情報から特定される前記クレーンのアウトリガーの情報と、前記入力部への入力値と、に基づいて、表示対象の前記クレーンの情報として、前記アウトリガーの三次元画像に相当する仮想アウトリガーの画像情報を生成する、
請求項1に記載のクレーン情報表示システム。
【請求項3】
前記クレーンのブームの吊荷荷重と、前記クレーンのブームの長さと、を入力する入力部を備え、
前記クレーン情報取得部は、前記情報表示部の表示情報から特定される前記クレーンの機種の情報と、前記入力部への入力値と、に基づいて、表示対象の前記クレーンの情報として、前記クレーンの作業可能領域を算出する、
請求項1に記載のクレーン情報表示システム。
【請求項4】
前記クレーンの情報は、前記クレーンのテールスイング領域の情報を含む、
請求項1に記載のクレーン情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンの情報を表示するクレーン情報表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、クレーンの稼働状態に関する情報を視覚化して表示画面を携帯端末の表示部に表示させる構成が開示されている。これにより、クレーンの外にいる人間でもクレーンの稼働状態を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-227281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、クレーンの稼働状態に関する情報を、クレーンを上方や側方から描画することにより視覚化して表示する。そのため、特許文献1に記載の構成では、2次元で検討しなければならない、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、作業現場において、クレーンの情報を3次元で検討することができるクレーン情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本開示は、
カメラを有する端末装置を備え、前記カメラにて、クレーンを撮影してカメラ画像を得るクレーン情報表示システムであって、
前記カメラ画像から、前記クレーンに搭載された情報表示部の表示情報を読み取り、前記クレーンの情報を取得するクレーン情報取得部と、
前記カメラ画像から、前記情報表示部の表示情報を読み取り、前記情報表示部の基準形状と前記情報表示部の前記クレーンにおける搭載位置に係る情報を取得すると共に、前記カメラ画像に映る前記情報表示部の輪郭形状を抽出して、前記情報表示部の前記基準形状、前記情報表示部の前記搭載位置、及び、前記情報表示部の前記輪郭形状の情報に基づいて、前記クレーンの位置と姿勢を算出する位置姿勢算出部と、
前記クレーン情報取得部が取得した前記クレーンの情報を、前記位置姿勢算出部が算出した前記クレーンの位置と姿勢に対応した三次元の画像情報に変換する情報処理部と、
前記情報処理部にて変換処理が施された前記クレーンの情報を前記カメラ画像に重ねて表示する画像表示部と、
を備えるクレーン情報表示システムである。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本発明のクレーン情報表示システムは、作業現場において、クレーンの情報を3次元で検討することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のクレーン情報表示システムを示す図である。
図2】実施例1のクレーン情報表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】実施例1の画像表示部に表示される画像を示す図である。
図4】実施例1のクレーン情報表示システムの制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明によるクレーン情報表示システムを実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
[クレーン情報表示システムの構成]
図1は、実施例1のクレーン情報表示システムを示す図である。以下、実施例1のクレーン情報表示システムの構成を説明する。
【0012】
図1に示すように、実施例1のクレーン情報表示システム100は、カメラ51を備えたユーザ端末としてのタブレット端末50で、作業者Mが作業現場に置かれたクレーン1を撮影する例について説明する。実施例1のクレーン情報表示システム100は、アウトリガー80が張り出していない状態のクレーン1を、カメラ51で撮影する例について説明する。なお、クレーン1の前後方向を前後方向Dとする。
【0013】
[クレーンの構成]
図1に示すように、クレーン1は、走行体10と、旋回体20と、ブーム30とを備える。
【0014】
走行体10は、車体フレーム11と、アウトリガー80と、道路や作業現場を自走するための走行装置等を備える。
【0015】
アウトリガー80は、走行体10の車体フレーム11のリア側面に取り付けられたリアアウトリガー81と、車体フレーム11のフロント側面に取り付けられたフロントアウトリガー82と、で構成される。アウトリガー80は、走行時には、車体フレーム11に収納される。一方、アウトリガー80は、作業時には、水平方向及び垂直方向に張り出し、車体全体を持ち上げて、姿勢を安定させる。
【0016】
走行体10の車体フレーム11には、情報表示部40(即ち、マーカー)としてのエイプリルタグ(AprilTag)が取り付けられる。情報表示部40は、車体フレーム11の前面に取り付けられた第1情報表示部41と、車体フレーム11の後面に取り付けられた第2情報表示部42と、車体フレーム11の右側面に取り付けられた第3情報表示部43と、車体フレーム11の左側面に取り付けられた第4情報表示部44と、を備える。第1情報表示部41、第2情報表示部42、第3情報表示部43、及び第4情報表示部44は、例えば、それぞれ、その表面に付された文字、符号、記号、又はパターン等によって、別個の表示情報(即ち、コード情報)を保有する。第1情報表示部41、第2情報表示部42、第3情報表示部43、及び第4情報表示部44それぞれの保有する表示情報(即ち、コード情報)は、予め制御部60(後述)等に記憶された解読プログラムを用いて、カメラ51により生成されたカメラ画像から読み取り可能となっている。
【0017】
第1情報表示部41には、クレーン1の機種の情報と、クレーン1における、第1情報表示部41が取り付けられた位置の情報と、第1情報表示部41の形状とサイズと、が記録されている。第2情報表示部42には、クレーン1の機種の情報と、クレーン1における、第2情報表示部42が取り付けられた位置の情報と、第2情報表示部42の形状とサイズと、が記録されている。第3情報表示部43には、クレーン1の機種の情報と、クレーン1における、第3情報表示部43が取り付けられた位置の情報と、第3情報表示部43の形状とサイズと、が記録されている。第4情報表示部44には、クレーン1の機種の情報と、クレーン1における、第4情報表示部44が取り付けられた位置の情報と、第4情報表示部44の形状とサイズと、が記録されている。尚、第1情報表示部41、第2情報表示部42、第3情報表示部43、及び第4情報表示部44に記録された形状とサイズは、例えば、これらを、所定距離離れた正面から撮影した際に得られる形状とサイズである(以下、「基準形状」及び「基準サイズ」と称する)。
【0018】
第1情報表示部41と、第2情報表示部42と、第3情報表示部43と、第4情報表示部44とは、同じ外形(例えば、矩形)で、同じサイズに形成される。尚、第1情報表示部41と、第2情報表示部42と、第3情報表示部43と、第4情報表示部44とは、それぞれが保有する表示情報(即ち、コード情報)から、識別可能となっている。
【0019】
旋回体20は、走行体10の上方に設けられ、走行体10に対して、鉛直軸C1回りに回転可能となっている。旋回体20は、キャビン21を備える。キャビン21は、走行体10の走行を制御するための操作部(例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、及びブレーキペダル等)を有する。また、キャビン21は、旋回体20やブーム30やウインチ等を操作する操作部を有する。キャビン21に搭乗した作業者は、操作部を操作して、旋回体20を旋回させ、ブーム30を起伏及び伸縮させ、ウインチを回転させて作業を行う。
【0020】
ブーム30は、基端側が旋回体20に支持されて、旋回体20に対して起伏可能に取り付けられる。ブーム30は、旋回体20に設けられた起伏シリンダ22によって起伏され、伸縮シリンダ(不図示)によって伸縮される。
【0021】
ブーム30は、基端側の基端ブーム31から先端側の先端ブーム36までの間に、中間ブーム32~35を備える。中間ブーム32~35と先端ブーム36は、順次、基端ブーム31の内部に格納される入れ子式になっている。
【0022】
先端ブーム36の先端に設けられたブームヘッド36aには、シーブ37が配置されている。旋回体20の、ブーム30の基端近くに設けられたウインチには、吊り荷用のワイヤロープ38が巻かれている。ワイヤロープ38は、ウインチからシーブ37までブーム30の軸方向に沿って配置され、シーブ37に掛け回されたワイヤロープ38は、シーブ37から鉛直方向の下方に吊り下げられる。ワイヤロープ38の最下部には、フック39が設けられている。
【0023】
フック39に荷物が吊られ、ウインチに巻かれたワイヤロープ38を繰り出すことで、フック39が降下し、ワイヤロープ38を巻き上げることで、フック39は上昇する。
【0024】
このように構成されたクレーン1は、ウインチによるワイヤロープ38の繰り出し・巻き上げ、ブーム30の起伏及び伸縮、並びに旋回体20の旋回により、フック39に吊られた荷物を所定の位置に移動させる。
【0025】
[タブレット端末の構成]
図1に示すように、タブレット端末50は、カメラ51と、画像表示部52と、入力部53と、を備える。
【0026】
カメラ51で撮影した画像は、画像表示部52に表示される。画像表示部52は、入力部53としてのタッチパネルとしても構成される。
【0027】
[クレーン情報表示システムの機能構成]
図2は、実施例1のクレーン情報表示システム100の機能構成を示すブロック図である。図3は、実施例1の画像表示部に表示される画像を示す図である。以下、実施例1のクレーン情報表示システム100の機能構成を説明する。
【0028】
クレーン情報表示システム100は、情報表示部40をカメラ51で撮影した画像と、入力部53で入力された入力情報とが、制御部60(本実施形態では、タブレット端末50に内蔵された制御部)に入力され、制御部60で制御された情報が、画像表示部52で出力される。
【0029】
カメラ51は、例えば一般的なタブレット端末50に備わるカメラ51とすることができる。カメラ51は、クレーン1や、クレーン1の周辺の現場環境や、情報表示部40を撮影することができる。
【0030】
入力部53は、アウトリガー80の水平方向の張り出し量や、吊荷荷重や、ブーム30の長さ等を入力することができる。ブーム30の長さは、先端ブーム36と、中間ブーム32~35とが、基端ブーム31に格納された状態(全縮状態)のブーム30の長さや、先端ブーム36が伸張した状態のブーム30の長さや、先端ブーム36と中間ブーム32~35とが伸張した状態(全伸状態)の長さ等である。
【0031】
制御部60は、記憶部61と、クレーン情報取得部62と、位置姿勢算出部65と、情報処理部66と、を備える。尚、制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及び、ROM(Read Only Memory)等によって構成された周知のマイコンであり、制御部60が有する機能(クレーン情報取得部62、位置姿勢算出部65、及び情報処理部66)は、例えば、CPUが、記憶部61(例えば、HDD)、ROM又はRAMに格納された制御プログラムや各種データを参照することによって実現される。
【0032】
記憶部61は、各種クレーンの性能情報を記憶する。性能情報には、例えば、アウトリガー80の形状に関する情報と、アウトリガー80の張り出し量とブーム30の長さとに応じた水平方向の作業可能領域の情報と高さ方向の作業可能領域の情報や、ブーム30の起伏角度範囲の情報や、負荷率に関する情報や、テールスイング領域に関する情報等を含む。
【0033】
クレーン情報取得部62は、カメラ51で撮影した情報表示部40に基づいて、クレーン1の機種の情報を取得し、取得したクレーン1の機種の性能情報を記憶部61から取得する。すなわち、クレーン情報取得部62は、カメラ51で撮影した情報表示部40を読み込んで(即ち、カメラ画像から、情報表示部40の表示情報を読み取って)、クレーン1の機種を取得し、取得した機種の性能情報を記憶部61から取得する。
【0034】
クレーン情報取得部62は、仮想アウトリガー生成部63と、作業可能領域算出部64と、を備える。
【0035】
仮想アウトリガー生成部63は、記憶部61に記憶されたアウトリガー80の形状に関する情報(即ち、情報表示部40の表示情報から特定されたクレーン1の機種に対応するアウトリガー80の形状)と、入力部53に対して入力されたアウトリガー80の水平方向の張り出し量と、基づいて、クレーン1の情報として、仮想アウトリガーの3次元データ(即ち、アウトリガー80の3次元画像の画像情報)を生成する。
【0036】
作業可能領域算出部64は、情報表示部40の表示情報から特定されたクレーン1の機種の情報を参照すると共に、入力部53に対して入力された吊荷荷重と、ブーム30の長さと、に基づいて、クレーン1の情報として、クレーン1の作業可能領域を算出する。作業可能領域算出部64は、複数の負荷率の作業可能領域を算出することができる。実施例1では、作業可能領域算出部64は、80%の負荷率の作業可能領域と、100%の負荷率の作業可能領域と、を算出する。なお、作業可能領域とは、クレーン1の設置面における、クレーン1の水平方向の作業可能な領域をいう。
【0037】
位置姿勢算出部65は、カメラ51で撮影した情報表示部40に基づいて、クレーン1の位置と姿勢を算出する。
【0038】
具体的には、位置姿勢算出部65は、カメラ51で撮影された情報表示部40を読み込んで(即ち、カメラ51の画像から、情報表示部40の表示情報を読み取って)、クレーン1における、情報表示部40が取り付けられた位置(即ち、情報表示部40の搭載位置)の情報を取得し、クレーン1の向きを算出する。
【0039】
例えば、カメラ51で撮影した情報表示部40が、第1情報表示部41であった場合、第1情報表示部41は、車体フレーム11の前面に取り付けられていることから、カメラ51は、前向きのクレーン1を撮影したことになる。カメラ51で撮影した情報表示部40が、第2情報表示部42であった場合、第2情報表示部42は、車体フレーム11の後面に取り付けられていることから、カメラ51は、後向きのクレーン1を撮影したことになる。カメラ51で撮影した情報表示部40が、第3情報表示部43であった場合、第3情報表示部43は、車体フレーム11の右側面に取り付けられていることから、カメラ51は、右横向きのクレーン1を撮影したことになる。カメラ51で撮影した情報表示部40が、第4情報表示部44であった場合、第4情報表示部44は、車体フレーム11の左側面に取り付けられていることから、カメラ51は、左横向きのクレーン1を撮影したことになる。
【0040】
また、位置姿勢算出部65は、カメラ51で撮影された情報表示部40の形状(以下、「情報表示部40の輪郭形状」と称する)と、情報表示部40に記録された情報表示部40の基準形状と、に基づいて、クレーン1の姿勢の情報を取得する。即ち、位置姿勢算出部65は、カメラ51の画像から、情報表示部40の表示情報(即ち、コード情報)を読み取って、情報表示部40の基準形状に係る情報を取得すると共に、カメラ51の画像から、公知のパターンマッチング等によって、カメラ51に映る情報表示部40の輪郭形状を抽出する。そして、位置姿勢算出部65は、カメラ51の画像に映る情報表示部40の輪郭形状と、情報表示部40の基準形状と、を比較することで、クレーン1の姿勢の情報を算出する。
【0041】
例えば、カメラ51で撮影した情報表示部40が、第1情報表示部41であり、第1情報表示部41に記録された矩形状である場合(即ち、カメラ51の画像に映る第1情報表示部41の輪郭形状と、第1情報表示部41の表示情報から特定される第1情報表示部41の基準形状とが、共に矩形状である場合)、クレーン1は、カメラ51に対して真正面に向く姿勢にある。カメラ51で撮影した情報表示部40が、第1情報表示部41であり、第1情報表示部41に記録された矩形状ではなく、情報表示部40の左縁が、右縁より長い(高い)台形である場合(即ち、カメラ51の画像に映る第1情報表示部41の輪郭形状が、左縁が右縁より長い台形であり、且つ、第1情報表示部41の表示情報から特定される第1情報表示部41の基準形状が矩形状である場合)、クレーン1は、カメラ51に対して、真正面から若干左側を向いた姿勢にある。カメラ51で撮影した情報表示部40が、第1情報表示部41であり、第1情報表示部41に記録された矩形状ではなく、情報表示部40の右縁が、左縁より長い台形の場合(即ち、カメラ51の画像に映る第1情報表示部41の輪郭形状が、右縁が左縁より長い台形であり、且つ、第1情報表示部41の表示情報から特定される第1情報表示部41の基準形状が矩形状である場合)、クレーン1は、カメラ51に対して、真正面から若干右側を向いた姿勢にある。
【0042】
すなわち、位置姿勢算出部65は、カメラ51で撮影された情報表示部40の形状と、情報表示部40に記録された情報表示部40の形状とを比較し、クレーン1の姿勢の情報を取得する。
【0043】
また、位置姿勢算出部65は、カメラ51で撮影された情報表示部40の輪郭形状のサイズと、情報表示部40に記録された情報表示部40の基準サイズと、に基づいて、クレーン1の位置の情報を取得する。具体的には、位置姿勢算出部65は、情報表示部40に記録された情報表示部40の基準サイズと、カメラ51で撮影された情報表示部40の輪郭形状のサイズとを比較し、カメラ51から情報表示部40までの距離を算出する。
【0044】
情報処理部66は、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1の性能情報と、仮想アウトリガー生成部63が生成した仮想アウトリガーと、作業可能領域算出部64が算出したクレーン1の作業可能領域とを、位置姿勢算出部65が算出したクレーン1の位置と姿勢に対応した情報に処理する。
【0045】
すなわち、情報処理部66は、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1の情報を、位置姿勢算出部65が算出したクレーン1の位置と姿勢に対応した情報に処理する。換言すると、情報処理部66は、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1の情報を、位置姿勢算出部65が算出したクレーン1の位置と姿勢に対応した三次元の画像情報に変換する。情報処理部66は、例えば、カメラ51の撮影位置からクレーン1を見たときに、仮想アウトリガー80Aの三次元画像が、実際にアウトリガー80を張り出した状態を模擬した画像となるように、仮想アウトリガー80Aの三次元画像を、変換する。尚、情報処理部66のかかる画像処理は、公知の座標変換処理等によって、実現される。
【0046】
画像表示部52は、情報処理部66が処理した情報(即ち、情報処理部66にて、表示対象の画像情報に変換されたクレーン1の情報)を、カメラ51の画像に重ねて表示する。具体的には、図3に示すように、画像表示部52は、カメラ51で撮影したクレーン1とその周辺の現場環境の画像に、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1のテールスイング領域73と、仮想アウトリガー生成部63が生成した仮想アウトリガー80Aと、作業可能領域算出部64が算出したクレーン1の作業可能領域71,72とを、重畳して表示する。また、画像表示部52は、入力部53に入力された吊荷荷重を表示する。
即ち、画像表示部52は、ユーザが、クレーン1を現場で実際に稼働した際に、クレーン1の各部位が現場環境にどのような影響を与えるか等を、3次元で検討することができるように、カメラ51の画像に映るクレーン1又はクレーン1の周辺環境に重ね合わせるように、クレーン1の作業可能領域71,72、クレーン1の仮想アウトリガー80A、及び、クレーン1のテールスイング領域73を、3次元画像で表示する。画像表示部52は、例えば、カメラ51の画像に映るクレーン1のアウトリガーの位置に、仮想アウトリガー80Aを表示する。又、画像表示部52は、例えば、カメラ51の画像に映るクレーン1を中心として、その周囲に、クレーン1の作業可能領域71,72を表示する。又、画像表示部52は、例えば、カメラ51の画像に映るクレーン1の旋回台を中心として、その周囲に、クレーン1のテールスイング領域73を表示する。
【0047】
仮想アウトリガー80Aは、仮想フロントアウトリガー82Aと、仮想リアアウトリガー81Aから構成される。クレーン1の作業可能領域は、80%の負荷率の作業可能領域72と、100%の負荷率の作業可能領域71とから構成される。
【0048】
[制御部による処理の流れ]
図4は、実施例1のクレーン情報表示システム100の制御部60による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例1のクレーン情報表示システム100の制御部60による処理の流れを説明する。
【0049】
作業者Mが、タブレット端末50のカメラ51で、作業現場に設置されたクレーン1と、その周辺の現場環境を撮影すると、図4に示すように、クレーン情報取得部62は、カメラ51で撮影した情報表示部40に基づいて、クレーン1の機種の情報を取得する(ステップS101)。
【0050】
次いで、位置姿勢算出部65は、カメラ51で撮影した情報表示部40に基づいて、クレーン1の位置と姿勢を算出する(ステップS102)。
【0051】
次いで、制御部60は、アウトリガー80の張り出し量が入力部53に入力されたか否かを判断する(ステップS103)。アウトリガー80の張り出し量が入力部53に入力されたと判断した場合(ステップS103でYES)、仮想アウトリガー生成部63は、仮想アウトリガー80Aを生成し(ステップS104)、ステップS105に進む。一方、アウトリガー80の張り出し量が入力部53に入力されていない場合(ステップS103でNO)、ステップS105に進む。
【0052】
次いで、制御部60は、吊荷荷重とブーム30の長さが入力部53に入力されたか否かを判断する(ステップS105)。吊荷荷重とブーム30の長さが入力部53に入力されたと判断した場合(ステップS105でYES)、作業可能領域算出部64は、作業可能領域71,72を算出し(ステップS106)、ステップ107に進む。一方、吊荷荷重とブーム30の長さが入力部53に入力されていないと判断した場合(ステップS105でNO)、ステップS107に進む。
【0053】
次いで、情報処理部66は、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1の情報を、位置姿勢算出部65が算出したクレーン1の位置と姿勢に対応した情報に処理する(ステップS107)。すなわち、情報処理部66は、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1の性能情報と、仮想アウトリガー生成部63が生成した仮想アウトリガー80Aと、作業可能領域算出部64が算出したクレーン1の作業可能領域71,72とを、位置姿勢算出部65が算出したクレーン1の位置と姿勢に対応した情報に処理する。
【0054】
次いで、画像表示部52は、カメラ51で撮影したクレーン1とその周辺の現場環境の画像に、クレーン情報取得部62が取得したクレーン1のテールスイング領域73と、仮想アウトリガー生成部63が生成した仮想アウトリガー80Aと、作業可能領域算出部64が算出したクレーン1の作業可能領域71,72とを、重畳して表示して(ステップS108)、処理を終了する。
【0055】
[クレーン情報表示システムの作用]
【0056】
以下、実施例1のクレーン情報表示システム100の作用を説明する。
【0057】
実施例1のクレーン情報表示システム100は、クレーン1に備えられた、クレーン1の情報を表示する情報表示部40をカメラ51で撮影して、クレーン1の情報を取得するクレーン情報取得部62と、カメラ51で撮影した情報表示部40に基づいて、クレーン1の位置と姿勢を算出する位置姿勢算出部65と、クレーン情報取得部62が取得したクレーンの情報を、位置姿勢算出部65が算出したクレーン1の位置と姿勢に対応した情報に処理する情報処理部66と、情報処理部66が処理した情報を、カメラ51で撮影した画像に重ねて表示する画像表示部52と、を備える(図2)。
【0058】
これにより、クレーン1とその周囲を撮影した画像上に、クレーン1の情報を重ね合わせて表示することができる。そのため、作業現場において、クレーン1と、その周辺の現場環境と、クレーン1の情報と、をリアルタイムに3次元の画像で確認することができる。その結果、クレーン1の作業計画を作業現場においてリアルタイムに検討することができる。
【0059】
実施例1のクレーン情報表示システム100は、クレーン1のアウトリガー80の張り出し量を入力する入力部53を備え、クレーン情報取得部62は、入力部53への入力値に基づいて、立体の仮想アウトリガー80Aを生成する仮想アウトリガー生成部63を備える(図2)。
【0060】
これにより、クレーン1とその周囲を撮影した画像上に、入力値に対応した張り出し量の仮想アウトリガー80Aを重ね合わせて表示することができる。そのため、作業現場において、アウトリガー80の張り出し量をリアルタイムに3次元の画像上で確認することができる。
【0061】
実施例1のクレーン情報表示システム100は、吊荷荷重と、クレーン1のブーム30の長さと、を入力する入力部53を備え、クレーン情報取得部62は、入力部53への入力値に基づいて、クレーン1の作業可能領域71,72を算出する作業可能領域算出部64を備える(図2)。
【0062】
これにより、クレーン1とその周囲を撮影した画像上に、ブーム30の長さに基づいて、所定の吊荷荷重に対する作業可能領域71,72を重ね合わせて表示することができる。そのため、作業現場において、作業可能領域71,72をリアルタイムに3次元の画像で確認することができる。
【0063】
実施例1のクレーン情報表示システム100において、クレーン1の情報は、クレーン1のテールスイング領域73が含まれる(図3)。
【0064】
これにより、クレーン1とその周囲を撮影した画像上に、テールスイング領域73を重ね合わせて表示することができる。そのため、作業現場においいて、テールスイング領域73をリアルタイムに3次元の画像で確認することができる。
【0065】
以上、本発明のクレーン情報表示システムを実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0066】
実施例1では、情報表示部40をエイプリルタグとする例を示した。しかし、情報表示部は、この態様に限定されず、例えばQRコード(登録商標)等の2次元コードとしてもよい。また、情報表示部をクレーン自体として、深層学習を使用した画像認識によって、クレーンの情報を取得してもよい。
【0067】
実施例1では、情報表示部40としてのエイプリルタグを、クレーン1の車体フレーム11の前面と、後面と、右側面と、左側面とに、それぞれ1つ取り付ける例を示した。しかし、情報表示部40は、クレーン1の車体フレーム11の前面と、後面と、右側面と、左側面とに、それぞれ2つ以上取り付けてもよい。
【0068】
実施例1では、80%の負荷率の作業可能領域72と、100%の負荷率の作業可能領域71を画像表示部52に表示する例を示した。しかし、画像表示部には、1つの作業可能領域を表示しても良いし、3つ以上の作業可能領域を表示してもよい。また、作業可能領域の負荷率は、80%や100%に限定されるものではない。
【0069】
実施例1では、ユーザ端末を、カメラ51と入力部53と画像表示部52を備えるタブレット端末50とする例を示した。しかし、ユーザ端末は、スマートフォンであってもよい。また、ユーザ端末は、カメラと画像表示部が別体のものであってもよい。
【0070】
実施例1では、クレーン1の性能情報を記憶部61に記憶する例を示した。しかし、クレーンの性能情報は、情報表示部に記憶させてもよい。
【0071】
2019年9月27日出願の特願2019-176758の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【符号の説明】
【0072】
1 クレーン
40 情報表示部
50 タブレット端末
51 カメラ
52 画像表示部
53 入力部
80 アウトリガー
80A 仮想アウトリガー
60 制御部
61 記憶部
62 クレーン情報取得部
63 仮想アウトリガー生成部
64 作業可能領域算出部
65 位置姿勢算出部
66 情報処理部
71 作業可能領域
72 作業可能領域
73 テールスイング領域
100 クレーン情報表示システム
図1
図2
図3
図4