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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】鳥類営巣防止具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20220216BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017233508
(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公開番号】P2019097511
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】500024160
【氏名又は名称】大都工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501244934
【氏名又は名称】株式会社コーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏永
(72)【発明者】
【氏名】岡本 憲介
(72)【発明者】
【氏名】近平 拓夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛司
(72)【発明者】
【氏名】中田 英治
(72)【発明者】
【氏名】井上 太一
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-258837(JP,A)
【文献】特開2014-033607(JP,A)
【文献】特開2013-165650(JP,A)
【文献】登録実用新案第3082644(JP,U)
【文献】実開昭61-043885(JP,U)
【文献】登録実用新案第3113585(JP,U)
【文献】実開平01-041283(JP,U)
【文献】特開2001-204361(JP,A)
【文献】特開2016-158517(JP,A)
【文献】特開2004-166520(JP,A)
【文献】特開平09-248118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方突出状の複数本の針(1)と、該複数本の針(1)の基端部を連結する細長状の基端連結部(2)と、を絶縁性樹脂で一体状に成形した鳥類営巣防止具であって、
上記複数本の針(1)が、上記基端連結部(2)の長手方向(N)に沿って1列のみ列設されており、
隣り合う上記針(1)(1)の上下中間部を相互に連結する中間連結杆部(3)を有し、複数本の上記中間連結杆部(3)は、側面視で千鳥状に配設されていることを特徴とする鳥類営巣防止具。
【請求項2】
上記中間連結杆部(3)は、横断面円形状であって、直径寸法(d)を2mm以上4mm以下に設定した請求項1記載の鳥類営巣防止具。
【請求項3】
上記基端連結部(2)の設置裏面(2b)から上記針(1)の先端(11)までの高さ寸法(H)を、170mm以上230mm以下に設定し、
上記針(1)の先端(11)から上記中間連結杆部(3)までの上下寸法(h)を、80mm以上150mm以下に設定した請求項1又は2記載の鳥類営巣防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥類営巣防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上方突出状の複数本の針を、複数列に配設して、電柱や鉄塔に設置し、鳥類の駐鳥を防止するものがあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-239832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カラス等の鳥類は、巣作りする際に、巣の材料となる小枝等の巣材を上方から落下(投下)させるため、駐鳥を防止するための従来の上記複数列の針を具備する構成では、巣材が針に引っ掛かって、営巣されるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、駐鳥を防止しつつ、営巣を確実に防止可能な鳥類営巣防止具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鳥類営巣防止具は、上方突出状の複数本の針と、該複数本の針の基端部を連結する細長状の基端連結部と、を絶縁性樹脂で一体状に成形した鳥類営巣防止具であって、上記複数本の針が、上記基端連結部の長手方向に沿って1列のみ列設されており、隣り合う上記針の上下中間部を相互に連結する中間連結杆部を有し、複数本の上記中間連結杆部は、側面視で千鳥状に配設されているものである。
また、上記中間連結杆部は、横断面円形状であって、直径寸法を2mm以上4mm以下に設定したものである。
また、上記基端連結部の設置裏面から上記針の先端までの高さ寸法を、170mm以上230mm以下に設定し、上記針の先端から上記中間連結杆部までの上下寸法を、80mm以上150mm以下に設定したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カラス等の鳥類が巣作りする際に、小枝等の棒状の巣材が上方から落下(投下)されても、針に巣材が引っ掛かるのを防止できる。つまり、針によって駐鳥を防止しつつ、営巣を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る鳥類営巣防止具の実施の一形態を示す斜視図である。
図2】拡大斜視図である。
図3】側面図である。
図4】正面図である。
図5】平面図である。
図6】底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る鳥類営巣防止具は、図1乃至図5に示すように、上方突出状の複数本の針1と、複数本の針1の基端部を連結する細長状の基端連結部2と、を絶縁性樹脂で一体成形している。
【0010】
そして、複数本の針1が、基端連結部2の長手方向(前後方向)Nに沿って、1列のみ列設されている。複数本の針1は、幅方向同位置(左右方向同位置)に配設されており、図4のように正面視で1本に(重なって)見える。即ち、平面視一直線上に、複数本の針1が列設されている。
【0011】
さらに、隣り合う針1,1の上下中間部を相互に連結する中間連結杆部3を有している。中間連結杆部3は、隣り合う針1,1を長手方向Nに連結するように、針1と針1の間に1本ずつ設けられている。中間連結杆部3は、全体として長手方向Nに沿って複数本設けている。中間連結杆部3は、側面視で、針1の針軸心に直交状(設置面Gが水平面状の場合において水平状)に設けている。
【0012】
カラス等の鳥類が巣作りする際に、巣の材料となる小枝等の棒状の巣材を上方から落下(投下)させた場合に、中間連結杆部3は、落下してくる巣材が設置面Gや基端連結部2に到達する前に、(先に)接触して、巣材を左右外方へ滑落させて(はじいて)、設置面G上や基端連結部2上に堆積するのを防止する。
【0013】
さらに、隣り合う針1と針1の間に、雪が降ってくる際に、中間連結杆部3によって、雪が左右方向(幅方向)Wに分離した雪の塊となって、左右外方に滑落しやすい。また、針1と針1の間に、一旦、堆積した雪の塊が中間連結杆部3によって、左右方向Wに分割されて、滑落しやすい。このように、中間連結杆部3が存在することによって、雪の塊が大きくなることを防止できる。
また、針列が1列のため、針列を複数列設けた場合と比べて、針1が、雪の滑落を邪魔しない(積雪の成長を助けない)。
【0014】
中間連結杆部3は、横断面円形状であって、直径寸法d(図3参照)を2mm以上4mm以下に設定している。
2mm未満であると、雪の左右方向Wへの(上述の)分離・分割の作用が得られなくなる。さらに、樹脂成型が困難になると共に、製品搬送中や施工中等に変形や破損する虞れがある。4mmを超えると、鳥類が脚で掴みやすくなって、駐鳥される虞れがある。
【0015】
そして、複数本の中間連結杆部3は、側面視で、上下の千鳥状に配設している。長手方向Nに隣り合う一方の中間連結杆部3(3A)の上下位置と、他方の中間連結杆部3(3B)の上下位置とを、相違させている。鳥類の一方の脚が、一方の中間連結杆部3(3A)を掴み、鳥類の他方の脚が、他方の中間連結杆部3(3B)を掴もうとしても、高さ(上下位置)が異なり、姿勢が不安定になるため、鳥類が本能的に嫌がって、駐鳥を防止する。
【0016】
また、図3に示すように、一方の中間連結杆部3A(の上縁3a)から他方の中間連結杆部3B(の上縁3a)までの上下段差寸法Δhは、15mm以上30mm以下に設定するのが望ましい。15mm未満であると駐鳥される虞れが高まる。30mmを超えると、一方(上位置の)中間連結杆部3Aが、針1の先端11に接近し過ぎて針1による駐鳥防止効果が弱くなる。或いは、他方(下位置の)中間連結杆部3Bが、設置面Gに接近し過ぎて、落下してくる巣材が、下位置の中間連結杆部3Bに当接する前に、設置面Gに当接して、巣材が設置面Gと下位置の中間連結杆部3Bとによって傾斜状に引っ掛かって残存する虞れがある。
【0017】
さらに、基端連結部2の設置裏面2bから針1の先端11までの高さ寸法Hを、170mm以上230mm以下に設定し、針1の先端11から中間連結杆部3(の上縁3a)までの上下寸法hを、80mm以上150mm以下に設定している。
【0018】
高さ寸法Hが170mm未満であると、鳥類に対する威嚇(忌避)効果が弱まる。230mmを超えると製造や搬送や施工の取扱いが困難になって使い勝手が悪くなる。
また、上下寸法hを80mm未満にすると、中間連結杆部3を掴もうとする鳥類に針1の先端11が接触しにくくなって、駐鳥防止効果が弱まる。また、150mmを超えると、設置面Gに接近し過ぎて、落下してくる巣材が、中間連結杆部3に当接する前に、設置面Gに当接して、巣材が設置面Gと中間連結杆部3とによって傾斜状に引っ掛かって残存する虞れがある(巣材が堆積する虞れが高まる)。
【0019】
また、長手方向Nに隣り合う針1と針1の間の間隔寸法Kは、20mm以上40mm以下に設定している。
20mm未満であると、針1同士が接近し過ぎて、威嚇効果が低下すると共に、巣材が引っ掛かる虞れが高くなる。40mmを超えると、針1同士の間隔が開きすぎて、針1と針1の間に鳥類(の頭)が侵入しやすくなって駐鳥される虞れが高くなる。
【0020】
また、針1は、基端(下部)から先端(上部)11に次第に縮径するテーパ状に形成され、頂部が丸山型に形成されている。
また、テーパ状の針1は、基端部から上下中間所定位置までの上下所定領域(部位)は、上下方向に沿った複数本の溝部12が形成されている。溝部12は、平面視(図5参照)で、針軸心廻りに等間隔に4つ配設されている。つまり、針1は、上下所定領域の横断面形状を十字状に形成している。また、上下所定領域よりも上位置の上部領域は、横断面を、円形状に形成している。
【0021】
また、基端連結部2は、電柱や鉄塔等の電力設備(送電設備)において駐鳥や営巣を防止すべき面(駐鳥営巣防止面)Gに、固着される部位であって、平面視で、魚の骨型である。
図1乃至図6に示すように、基端連結部2は、複数本の針1の基端部を連結する一直線状(一本状)の縦杆部21と、縦杆部21から幅方向外方へ(左右外方へ)夫々に突出する横脚杆部22と、長手方向Nに隣り合う横脚杆部22,22の間に配設され縦杆部21から左右外方へ夫々突出する平面視矩形状のブロック型の補強脚部23と、を備えている。
【0022】
左右一対の横脚杆部22,22は、複数本の各針1に夫々対応するように、針1と長手方向Nの位置を対応(一致)させて、突風等による針1の横倒れを防止する。また、長手方向Nに隣り合う横脚杆部22,22の先端部を相互に連結する横脚先端連結部を有していない(省略している)ので、設置面(駐鳥営巣防止面)Gの幅寸法が小さく、横脚杆部22の先端部が、設置面Gから突出した場合であっても、駐鳥される虞れがない。
【0023】
左右一対の補強脚部23,23は、長手方向Nの位置を、針1と針1の間に対応(一致)させている。補強脚部23は、横脚杆部22よりも幅方向寸法(左右突出寸法)を短く設けている。また、横脚杆部22よりも長手方向寸法(前後方向寸法)を大きく設けて、扁平形状とし、駐鳥防止面との接触面積を増加させて倒れや位置ズレを防止している。
【0024】
なお、基端連結部2を、電柱や鉄塔の腕金の上面等の設置面Gに固定(固着)する手段は、基端連結部2(縦杆部21や横脚杆部22)を下方から抱き込み状に保持する金具(取付具)を介してネジ止めする固定や、コの字状のクランプ金具(取付具)による固定、粘着テープ、接着剤、樹脂製の結束バンド(取付具)等による固定等自由である。
【0025】
また、基端連結部2は、長手方向中間部に、横脚杆部22よりも上位置で左右外方へ突出する前後一対の横柱部25d,25dを有する(平均台が前後に並んだような形状の)被把持部25を備えている(図1図4図5参照)。
被把持部25は、腕金等の電力設備に設置する際に、鋏状挟持機構を有する遠隔棒(やっとこ形状の長尺作業具)等の高所設置作業具に、把持される部位である。
そして、中間連結杆部3は、被把持部25が遠隔棒等の高所設置作業具で把持された場合に、全体形状が円弧山型状に撓むのを防止できる。つまり、中間連結杆部3によって針1と針1の間が開くような変形を防止でき、形状や姿勢が安定して、遠隔棒等の高所設置作業具を用いた高所への設置が容易となる。
【0026】
なお、本発明は、設計変更可能であって、隣り合う針1と針1の間に、中間連結杆部3を、複数本、ラダー状(梯子状)に設けても良い。
長手方向Nに沿って配設された複数本の中間連結杆部3を、側面視で、上下略同位置(一直線上)に配設するも良い。針1及び基端連結部(ベース部)2の材質は、絶縁材料であり、例えば、ポリプロピレンが望ましい。また、図例においては、複数本の針1の高さ寸法Hは、全て同じであるが、各針1の高さ寸法Hを相違させるも良い。
【0027】
以上のように、本発明の鳥類営巣防止具は、上方突出状の複数本の針1と、該複数本の針1の基端部を連結する細長状の基端連結部2と、を絶縁性樹脂で一体状に成形した鳥類営巣防止具であって、上記複数本の針1が、上記基端連結部2の長手方向Nに沿って1列
のみ列設されているので、カラス等の鳥類が巣作りする際に、小枝等の棒状巣材を上方から落下(投下)させても、針1に巣材が引っ掛かりにくく、確実に営巣を防止できる。つまり、針1によって駐鳥を防止しつつ、営巣も確実に防止できる。鳥類が駐鳥する虞れのある駐鳥スペースを無くして、確実に駐鳥を防止できる。また、針列を複数列設けた場合と比べて、針1が積雪の大型化(成長)を助けることがない。つまり、寒冷地(豪雪地帯)の駐鳥営巣防止に最適である。
【0028】
また、隣り合う上記針1,1の上下中間部を相互に連結する中間連結杆部3を有するので、落下してくる巣材が、設置面(駐鳥営巣防止面)Gや基端連結部2に到達する前に、中間連結杆部3に接触するため、巣材が左右外方へ滑落したり、巣材がはじかれて、設置面G上や基端連結部2上に堆積するのを防止できる。また、雪の塊が大きくなることを防止できる(積雪の成長を防止できる)。
【0029】
また、複数本の上記中間連結杆部3は、側面視で千鳥状に配設されているので、鳥類の一方の脚が、一方の中間連結杆部3Aを掴み、鳥類の他方の脚が、他方の中間連結杆部3Bを掴もうとしても、高さ(上下位置)が異なり、姿勢が不安定になるため、鳥類が本能的に嫌がって、中間連結杆部3への駐鳥を防止できる。
【0030】
また、上記中間連結杆部3は、横断面円形状であって、直径寸法dを2mm以上4mm以下に設定したので、中間連結杆部3を鳥類が掴みにくくなって駐鳥を防止できると共に、十分な強度が得られて、製品搬送中や施工中等に変形や破損するのを防止できる。また、樹脂金型の製造も容易である。
【0031】
また、上記基端連結部2の設置裏面2bから上記針1の先端11までの高さ寸法Hを、170mm以上230mm以下に設定し、上記針1の先端11から上記中間連結杆部3までの上下寸法hを、80mm以上150mm以下に設定したので、針1による鳥類への威嚇(忌避)効果を保持しながらも、中間連結杆部3への駐鳥を防止できる。また、針1が長過ぎず、製造や取扱いが容易で使い勝手が良い。中間連結杆部3を掴もうとする鳥類の腹部に針1の先端11が接触して駐鳥防止効果を向上できる。また、巣材が、設置面Gと中間連結杆部3とに引っ掛かるのを防止できる。
【符号の説明】
【0032】
1 針
11 先端
2 基端連結部
2b 設置裏面
3 中間連結杆部
d 直径寸法
H 高さ寸法
h 上下寸法
N 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6