(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】被害調査システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220216BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220216BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20220216BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06F3/0481
G06Q10/10 300
(21)【出願番号】P 2018067789
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】594029207
【氏名又は名称】株式会社東急コミュニティー
(73)【特許権者】
【識別番号】511300145
【氏名又は名称】株式会社穴吹カレッジサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】渡部 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 芙沙子
(72)【発明者】
【氏名】尾本 昭宣
【審査官】塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-026848(JP,A)
【文献】特開2009-107816(JP,A)
【文献】特開2017-138652(JP,A)
【文献】特開2003-271785(JP,A)
【文献】特開2009-282670(JP,A)
【文献】特開2016-224671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物件の所在地情報を含む物件情報を登録可能な管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続される携帯端末装置と、を含む被害調査システムであって、
前記管理サーバ装置において、登録されている物件ごとに、物件の被害調査の進捗管理情報として、第1の進捗度を示す情報、第2の進捗度を示す情報および第3の進捗度を示す情報の何れかを記憶管理する進捗状況管理手段と、
前記携帯端末装置における所定操作により、前記進捗状況管理手段が記憶管理している第1の進捗度を示す情報を第2の進捗度を示す情報に変更する第1の変更手段と、
前記携帯端末装置における所定操作により、前記進捗状況管理手段が記憶管理している第2の進捗度を示す情報を第3の進捗度を示す情報に変更する第2の変更手段と、
前記携帯端末装置において、地図を表示させるとともに、その地図上における、前記管理サーバ装置に登録されている物件の所在地情報に対応した位置に、前記進捗状況管理手段が記憶管理している当該物件の進捗管理情報毎に異なる表示形態の進捗マークを表示する進捗状況表示手段と、
を備え、
前記進捗状況管理手段が記憶する前記進捗管理情報の初期値として、第1の進捗度が設定されており、
前記進捗状況表示手段が表示する前記進捗マークは、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第1の進捗度である場合は、「未対応」である旨を示すマークであり、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第2の進捗度である場合は、「移動中」である旨を示すマークであり、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第3の進捗度である場合は、「調査中」である旨を示すマークである、
ことを特徴とする被害調査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の被害調査システムにおいて、
前記進捗状況管理手段は、登録されている物件ごとに、物件の被害調査の進捗管理情報として、第1の進捗度を示す情報、第2の進捗度を示す情報、第3の進捗度を示す情報および調査結果を示す情報の何れかを記憶管理し、
前記進捗状況表示手段は、前記進捗状況管理手段が記憶管理している当該物件の進捗管理情報が調査結果である場合は、前記携帯端末装置において、地図を表示させるとともに、その地図上における、前記管理サーバ装置に登録されている物件の所在地情報に対応した位置に、調査結果毎に異なる表示形態の調査結果マークを表示する
ことを特徴とする被害調査システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被害調査システムにおいて、
前記管理サーバ装置に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限をユーザID毎に登録する閲覧権限登録手段と、
前記管理サーバ装置の情報提供モードを通常モードから非常モードに切り替えるモード切替手段と、
前記管理サーバ装置の情報提供モードが通常モードのとき、前記閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限し、非常モードのとき、その閲覧制限の一部または全部を解除する解除手段を備える
ことを特徴とする被害調査システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の被害調査システムにおいて、
前記管理サーバ装置に、ユーザIDと担当地域とを対応付けて登録する担当地域登録手段と、
前記管理サーバ装置に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を前記ユーザID毎に登録する第1の閲覧権限登録手段と、
前記管理サーバ装置に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を前記担当地域毎に登録する第2の閲覧権限登録手段と、
前記管理サーバ装置の情報提供モードを通常モードから非常モードに切り替えるモード切替手段と、
前記管理サーバ装置の情報提供モードが通常モードのとき、前記第1の閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限し、非常モードのとき、前記第2の閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限する閲覧制限手段を備える
ことを特徴とする被害調査システム。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の被害調査システムにおいて、
前記進捗状況表示手段は、進捗があった物件の前記進捗管理情報を時系列で列挙するタイムラインを表示する手段を含む
ことを特徴とする被害調査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被害調査システムに関し、特に災害時における建物の被害状況を調査するための被害調査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の場所で建物(以下、物件)を建設、修繕、改修等する会社では、地震、水害、風害等の災害が発生すると、担当者が担当する物件まで出向いて被害の程度を調査し、調査結果を会社の責任者に報告する。
【0003】
上記作業に使用されるシステムとして、特許文献1には、物件の情報(物件の所在地を含む)を登録可能なサーバと、サーバと通信可能な携帯端末装置と、を含むシステムが記載されている。同文献には、携帯端末装置に地図を表示し、地図上の物件の所在地に対応する位置に、調査中である旨を示すマーカ、未対応である旨を示すマーカ、調査完了である旨を示すマーカが異なる色で表示することが記載されている。また、特許文献1には、異なる調査者が同一の物件を重複して調査することを防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、調査の開始を確認できるまでの間、地図に表示される物件には未対応である旨を示すマーカが表示されている。また、特許文献1に記載のシステムは、複数人の担当者が同時に使用している。
【0006】
調査中である旨を示すマーカが、地図上の物件の所在地に対応する位置に表示されていなければ、複数人の担当者が、未対応となっている同じ物件を調査しに行くことがある。
【0007】
この場合、複数人の担当者が物件に到着しても、既に当該物件の調査を行っている人がいる場合、他の人は当該物件の調査を行わずに、他の物件を調査するために再移動することになり、調査作業の効率が良くない。
【0008】
そこで、本発明は、複数人の担当者が同じ物件に向かって移動してしまうことを防止し、物件の調査の効率を上げる被害調査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる被害調査システムは、物件の所在地情報を含む物件情報を登録可能な管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続される携帯端末装置と、を含む被害調査システムであって、前記管理サーバ装置において、登録されている物件ごとに、物件の被害調査の進捗管理情報として、第1の進捗度を示す情報、第2の進捗度を示す情報および第3の進捗度を示す情報の何れかを記憶管理する進捗状況管理手段と、前記携帯端末装置における所定操作により、前記進捗状況管理手段が記憶管理している第1の進捗度を示す情報を第2の進捗度を示す情報に変更する第1の変更手段と、前記携帯端末装置における所定操作により、前記進捗状況管理手段が記憶管理している第2の進捗度を示す情報を第3の進捗度を示す情報に変更する第2の変更手段と、前記携帯端末装置において、地図を表示させるとともに、その地図上における、前記管理サーバ装置に登録されている物件の所在地情報に対応した位置に、前記進捗状況管理手段が記憶管理している当該物件の進捗管理情報毎に異なる表示形態の進捗マークを表示する進捗状況表示手段と、を備え、前記進捗状況管理手段が記憶する前記進捗管理情報の初期値として、第1の進捗度が設定されており、前記進捗状況表示手段が表示する前記進捗マークは、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第1の進捗度である場合は、「未対応」である旨を示すマークであり、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第2の進捗度である場合は、「移動中」である旨を示すマークであり、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第3の進捗度である場合は、「調査中」である旨を示すマークであることを特徴とする。
【0010】
前記構成において、前記進捗状況管理手段は、登録されている物件ごとに、物件の被害調査の進捗管理情報として、第1の進捗度を示す情報、第2の進捗度を示す情報、第3の進捗度を示す情報および調査結果を示す情報の何れかを記憶管理し、前記携帯端末装置における所定操作により、前記進捗状況管理手段が記憶管理している第3の進捗度を示す情報を調査結果を示す情報に変更する第3の変更手段を更に備え、前記進捗状況表示手段は、前記進捗状況管理手段が記憶管理している当該物件の進捗管理情報が調査結果を示す情報である場合は、前記携帯端末装置において、地図を表示させるとともに、その地図上における、前記管理サーバ装置に登録されている物件の所在地情報に対応した位置に、調査結果毎に異なる表示形態の調査結果マークを表示してもよい。
【0011】
前記構成において、前記管理サーバ装置に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限をユーザID毎に登録する閲覧権限登録手段と、前記管理サーバ装置の情報提供モードを通常モードから非常モードに切り替えるモード切替手段と、前記管理サーバ装置の情報提供モードが通常モードのとき、前記閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限し、非常モードのとき、その閲覧制限の一部または全部を解除する解除手段を備えてもよい。
【0012】
前記構成において、前記管理サーバ装置に、ユーザIDと担当地域とを対応付けて登録する担当地域登録手段と、前記管理サーバ装置に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を前記ユーザID毎に登録する第1の閲覧権限登録手段と、前記管理サーバ装置に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を前記担当地域毎に登録する第2の閲覧権限登録手段と、前記管理サーバ装置の情報提供モードを通常モードから非常モードに切り替えるモード切替手段と、前記管理サーバ装置の情報提供モードが通常モードのとき、前記第1の閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限し、非常モードのとき、前記第2の閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限する閲覧制限手段を備えてもよい。
【0013】
前記構成において、前記進捗状況表示手段は、進捗があった物件の前記進捗管理情報を時系列で列挙するタイムラインを表示する手段をさらに含んだものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数人の担当者が同じ物件に向かって移動してしまうことを防止し、物件の調査の効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】被害調査システムのシステム構成例を示す図である。
【
図2】被害調査システムにおいて被害調査の進捗フロー及び進捗マークとの一例を示す図である。
【
図3】管理サーバ装置又は携帯端末装置において防災マップを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図4】管理サーバ装置又は携帯端末装置において通常モード時のトピックスを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図5】管理サーバ装置又は携帯端末装置において災害対策の登録を行う登録画面の一例を示す図である。
【
図6】携帯端末装置において通常モード時のトピックスを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図7】管理サーバ装置又は携帯端末装置において非常モード時のトピックスを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図8】管理サーバ装置又は携帯端末装置において非常モード時のトピックスの項目の詳細内容を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図9】管理サーバ装置又は携帯端末装置において防災マップを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図10】管理サーバ装置又は携帯端末装置において「通常モード」時の災害対策一覧を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図10A】管理サーバ装置又は携帯端末装置において「非常モード」時の災害対策一覧を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図11】携帯端末装置において非常モード時のトピックスを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図12】携帯端末装置において非常モード時のトピックスの項目の詳細内容を表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図13】携帯端末装置において非常モード時の防止マップを表示した表示画面の一例を示す図である。
【
図14】被害調査システムにおいて被害調査の進捗フロー、進捗マーク及び住家被害調査結果のマークの一例を示す図である。
【
図15】タイムラインにおいてフィルタ選択を展開した表示画面の一例を示す図である。
【
図16】タイムラインにおいて新規投稿の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る被害調査システムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る被害調査システム1は、データセンタ等に設置された管理サーバ装置2と、この管理サーバ装置2にインターネット等のネットワーク3を介して接続される携帯端末装置4とを含む構成とされている。
図1に示す例では、各構造物(以下、物件という)を担当する複数人の担当者が、それぞれ携帯端末装置4を所有する。管理者は、管理サーバ装置2を用いて全ての物件を管理する。
【0018】
管理サーバ装置2は、例えば、コンピュータに所定のプログラムが組み込まれたものからなり、そのプログラムの実行により後述するサービス(各種手段等)を提供するサーバとして機能する。
【0019】
携帯端末装置4は、携帯して所持が可能な装置である。携帯端末装置4として、例えば、携帯型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等が挙げられる。携帯端末装置4にはウェブブラウザが組み込まれており、ウェブブラウザを通じて管理サーバ装置2が提供するサービスを受ける。なお、ウェブブラウザの代わりに所定の専用ソフトウェアを携帯端末装置4にインストールしておき、その専用ソフトウェアの実行により管理サーバ装置2が提供するサービスを受けるようにした携帯端末装置4であってもよい。
【0020】
本発明の実施の形態に係る被害調査システム1は、災害(例えば地震、水害、風害等)の発生時における物件の被害状況を調査するためのシステムである。被害調査システム1を用いることにより、物件を登録している担当者は、携帯端末装置4を用いることで効率良く物件の調査を行うことができる。また、管理者は、管理サーバ装置2(又は管理者のIDで管理サーバ装置2にログインした携帯端末装置4)を用いることで、効率良く調査対象となる全物件の管理を行うことができる。以下に、被害調査システム1を用いて効率良く物件の調査及び報告行うために被害調査システム1において実行される各種機能(手段)について説明する。
【0021】
管理サーバ装置2は、管理対象となる各物件を登録する登録手段と、各物件の調査の進捗状況を管理する進捗状況管理手段と、各物件の調査の進捗状況を表示する進捗状況表示手段と、携帯端末装置4に各種情報の送信及び受信を行う外部連携手段と、を備えている。
【0022】
登録手段は、各物件の情報を登録する。ここでいう物件の情報として、物件の建設情報、名称、住所、緯度経度、連絡先、担当者等が挙げられる。
【0023】
進捗状況管理手段は、登録されている物件ごとに、物件の被害調査の進捗管理情報を記憶管理している。
【0024】
進捗管理情報には、第1の進捗度を示す情報、第2の進捗度を示す情報、第3の進捗度を示す情報、第4の進捗度を示す情報が含まれている。進捗管理情報の初期値として、第1の進捗度が設定されている。
【0025】
進捗管理情報は、被害調査を、時系列に沿った被害調査の進捗項目により、定義している。進捗項目は、調査を行っていない第1の進捗度を示す「未対応」、調査を行うために物件の所在地に担当者が向かっている第2の進捗度を示す「移動中」、担当者が物件の調査を行っている第3の進捗度を示す「調査中」、担当者が物件の調査を終了した第4の進捗度を示す「調査結果」が含まれる。進捗順は、「未対応」、「移動中」、「調査中」、「調査結果」の順となる。なお、本実施形態では第1~第4の4種類の進捗度を挙げているが、被害調査システムのユーザの事情に合わせて、更に進捗度の種類を増やすことも可能である。
【0026】
進捗状況管理手段では、進捗状況を変更する変更手段を備えている。本実施形態では、変更手段として、後述する第1の変更手段、第2の変更手段および第3の変更手段がある。
【0027】
第1の変更手段は、携帯端末装置4における所定操作(下記参照)により、進捗状況管理手段が記憶管理している第1の進捗度を示す情報を第2の進捗度を示す情報に変更する。第1の変更手段による情報の変更は、本実施形態に係る被害調査システム1で定義する時系列に沿った進捗順(上記参照)に基づく変更であり、
図2に示すように、当該変更を進捗マーク(下記参照)の変更表示により進捗状況を可視化する。
【0028】
第2の変更手段は、携帯端末装置4における所定操作(下記参照)により、進捗状況管理手段が記憶管理している第2の進捗度を示す情報を第3の進捗度を示す情報に変更する。第2の変更手段による情報の変更は、本実施形態に係る被害調査システム1で定義する時系列に沿った進捗順(上記参照)に基づく変更であり、
図2に示すように、当該変更を進捗マーク(下記参照)の変更表示により進捗状況を可視化する。
【0029】
第3の変更手段は、携帯端末装置4における所定操作(下記参照)により、進捗状況管理手段が記憶管理している第3の進捗度を示す情報を第4の進捗度を示す情報に変更する。第3の変更手段による情報の変更は、本実施形態に係る被害調査システム1で定義する時系列に沿った進捗順(上記参照)に基づく変更であり、
図2に示すように、当該変更を進捗マーク(下記参照)の変更表示により進捗状況を可視化する。
【0030】
進捗状況表示手段は、
図3に示すように、表示画面に地図を表示させるとともに、その地図上の物件の所在地に対応する位置に物件の進捗マークを表示する。
【0031】
進捗マークは、地図上における、登録手段に登録されている物件の所在地情報に対応した位置に、進捗状況管理手段が記憶管理している当該物件の進捗管理情報毎に異なる表示形態で表示されるマークであり、複数の進捗状況を示すマークである。管理サーバ装置2は、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第1の進捗度である場合は、進捗マークを「未対応」である旨を示すマークとし、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第2の進捗度である場合は、進捗マークを「移動中」である旨を示すマークとし、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第3の進捗度である場合は、進捗マークを「調査中」である旨を示すマークとする。また、管理サーバ装置2は、当該物件の被害調査の進捗管理情報が第4の進捗度である場合は、進捗マークを「調査結果」である旨を示すマークとする。
【0032】
但し、「調査結果」である旨を示すマークは、調査の種類および調査の結果毎にマークの形態(形状、模様、色、大きさ等)が異なっている。本実施形態に係る被害調査システム1では、調査の種類として、住家被害調査、足場点検、悪天候事前対策、悪天候対策等がある。
図2に示すように、住家被害調査では、「無被害」、「一部損壊」、「半壊」、「大規模半壊」、「全壊」の5種類の形態のマークがある。足場点検では、「問題あり」、「問題あり(承認済)」、「問題なし」、「問題なし(承認済)」の4種類の形態のマークがある。悪天候事前対策チェックや悪天候対策チェックでは、「対策中」、「完了」、「完了(承認済)」の3種類のマークがある。
【0033】
また、管理サーバ装置2の表示画面や管理サーバ装置2にログインした携帯端末装置4の表示画面には、
図3に示すように、進捗があった物件の進捗管理情報(「移動中」「調査中」「無被害」等)や、災害に関する「報連相」の情報を時系列で列挙するタイムライン(
図3においては「タイムラインボード」と表示されている。)を表示することができる。このタイムラインの各行には、進捗管理情報(「移動中」「調査中」「無被害」等)のほか、イベント発生時刻、情報発信者の識別情報、対象物件情報が含まれる。このため、タイムラインを見ることで、進捗があった物件について、少なくとも「いつ」、「だれが」、「なにを」の各項目を可視化させることができる。本明細書において「報連相」とは、災害に関連した情報の報告事項と連絡事項と相談事項のうちの少なくとも1つ以上の事項の情報である。
【0034】
管理サーバ装置2の外部連携手段は、携帯端末装置4に物件の情報を送信したり、携帯端末装置4において入力された物件に関する進捗管理情報を受信する。
【0035】
携帯端末装置4は、各物件に関する進捗管理情報を入力する入力手段と、各物件の調査の進捗状況を表示する進捗状況表示手段と、管理サーバ装置2に各種情報の送信及び受信を行う外部連携手段とを備えている。
【0036】
携帯端末装置4の入力手段は、物件の被害調査の進捗管理情報を入力するものである。ここでいう進捗管理情報には、第1の進捗度を示す情報、第2の進捗度を示す情報、第3の進捗度を示す情報、第4の進捗度を示す情報が含まれている。
【0037】
進捗状況表示手段は、表示画面に地図を表示させるとともに、その地図上の物件の所在地に対応する位置に物件の進捗マークを表示する。進捗マークは、管理サーバ装置2の進捗状況管理手段が記憶管理している進捗管理情報に基づくマークである。また、表示画面には、進捗があった物件の進捗管理情報や、災害に関する「報連相」の情報を時系列で列挙するタイムラインを表示することができる。タイムラインを表示することにより、進捗マークでの進捗状況の確認だけではなく、さらに各物件の詳細な進捗を把握することができる。また、各物件に対して管理サーバ装置2と複数の携帯端末装置4とを用いて、管理者と複数人の担当者とが密に連携を図ることができ、効率良く物件の被害調査を行うことができる。
【0038】
携帯端末装置4の外部連携手段は、各物件に関する進捗管理情報をタッチパネルの表示画面を触れることで入力し、入力した進捗管理情報を管理サーバ装置2に送信する。
【0039】
本実施形態に係る被害調査システム1は、平時では物件の管理を行う物件管理システムであり、災害時に、被害調査を行うためのシステムに遷移する。そのため、管理サーバ装置2は、災害時に、携帯端末装置4等のクライアント装置に対する物件の情報提供モードを「通常モード」から「非常モード」に切り替えるモード切替手段を備えている。すなわち、管理サーバ装置2の情報提供モードとして、平時の「通常モード」と、災害時の「非常モード」の2つのシステムモードが存在する。本実施形態に係る被害調査システム1は、災害時の非常モード時に起動するシステムである。なお、本明細書において、災害時には、災害を予測した災害前の段階も含まれる。
【0040】
前記モード切替手段によれば、管理者のIDでログインした管理サーバ装置2又は携帯端末装置4(以下単に「管理サーバ装置2」ともいう。)において、所定操作をすることにより、「通常モード」から「非常モード」に切り替えることができる。本実施形態では、管理者が、管理サーバ装置2において、先ず、
図4に示すように、メニュートップ画面10を表示させ、この画面10に設けられた「災害対策」メニュー11を選択操作することで、
図10に示す災害対策一覧15が表示される。そして、この画面15に設けられた「新規登録」ボタン21を押すと、
図5に示す別の表示画面である災害対策の登録画面12に遷移する。この登録画面12において、「非常モード」を起動するために必要な各項目を選択操作により指定し、保存ボタン14を押すことで「通常モード」から「非常モード」に切り替わる。「非常モード」を起動するために必要な各項目には、例えば、「発令日」、「件名」、「調査対象(場所)の指定」、「調査委任先(人)の指定」、「調査用シート」等が含まれる。なお、調査用シートには、例えば、住家被害調査チェックシート、足場点検チェックシート、悪天候事前対策チェックシート等がある。なお、上記した災害対策一覧15(
図10参照)では、現在発令している災害対策と、過去に発令した災害対策を確認することができる。また、災害対策が発令中の場合、
図10Aに示すように、メニューの上に災害対策が発令中である旨を示す表示として例えば「災害対策発令中(緊急)」という項目22が表示される。
【0041】
なお、本実施形態では、管理者が管理サーバ装置2に対して所定操作を行うことにより、情報提供モードを切り替えるが、管理サーバ装置2において所定のイベントが発生した場合に、自動的に「通常モード」から「非常モード」に切り替わるようにしてもよい。例えば、気象庁から定期的に気象特別警報報知の情報を入手し、入手した気象特別警報報知の情報に対して閾値を設定して、閾値を超えた場合に前記所定のイベントが発生したものとし、「通常モード」を「非常モード」に切り替わるようにすることが可能である。例えば、地震に関しては、震度5もしくは6を閾値とすることができる。また、大雨、大雪、暴風等に関しては、各自治体が設定している基準を閾値とすることができる。
【0042】
また、管理サーバ装置2は、担当者が担当する地域を登録する担当地域登録手段と、担当者が閲覧可能な物件の閲覧権限を登録する閲覧権限登録手段と、担当者が閲覧できる物件の制限を解除する解除手段とを備えてもよい。
【0043】
担当地域登録手段は、管理サーバ装置2に、担当者のユーザIDと、担当する担当地域とを対応付けて登録する。
【0044】
閲覧権限登録手段は、管理サーバ装置2に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を担当者のユーザID毎に登録するものである。
【0045】
解除手段は、
図5に示す災害対策の登録画面12の「物件アクセス制限」欄13において設定された、非常モード時の閲覧制限(物件アクセス制限)に従って、「通常モード」から「非常モード」に切り替わった際に、各担当者が閲覧できる物件の制限を解除する。すなわち、被害調査システム1では、管理サーバ装置2の情報提供モードが「通常モード」のとき、閲覧権限登録手段により登録された通常モード時の閲覧権限(物件アクセス制限)にしたがって、物件情報の閲覧を制限するが、情報提供モードが「非常モード」のときには、解除手段によりその閲覧制限の一部または全部が解除される。例えば、管理サーバ装置2において、予め設定した調査対象(場所)内に限り全ての物件への閲覧(アクセス)を許可できるようにしたり、登録されている全ての物件への閲覧を許可できるように選択できる。
【0046】
上記の解除手段によれば、通常モードに比べて、非常モード時では、担当者は、自分が担当者として登録されている物件以外の物件にも駆けつけて調査することができる。例えば、各担当者は、自分が担当してない物件であっても、自分の近くにある物件に駆けつけることで、物件を管理する会社全体として、各物件の被害調査を効率良く行うことができる。
【0047】
また、前記閲覧権限登録手段は、第1の閲覧制限登録手段と第2の閲覧制限登録手段とを含み、担当者の閲覧制限を行う閲覧制限手段を備えるものであってもよい。ここで、第1の閲覧権限登録手段は、管理サーバ装置2に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を、担当者のユーザID毎に登録するものである。また、第2の閲覧権限登録手段は、管理サーバ装置2に登録された各物件の物件情報に対する閲覧権限を、担当者が登録されている担当地域毎(例えば担当者が所属する支店、事業所、営業所等毎)に登録するものである。そして、管理サーバ2は、情報提供モードが「通常モード」のとき、第1の閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限し、「非常モード」のとき、第2の閲覧権限登録手段により登録された閲覧権限にしたがって、物件情報の閲覧を制限する。
【0048】
この閲覧制限手段でも、通常モードに比べて、非常モード時には、担当者は、自分が担当者として登録されている物件以外の物件にも駆けつけて調査することができる。例えば、各担当者は、自分が担当してない物件であっても、自分が登録されている担当地域にある物件(自分が所属する支店、事業所、営業所等が管理する物件)に駆けつけることで、物件を管理する担当地域毎に、各物件の被害調査を効率良く行うことができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る被害調査システム1を使用して災害対策を行う場合の実施例について説明する。
管理サーバ装置2の情報提供モードが、「通常モード」である時、管理者が管理サーバ装置2にメニュートップ画面10を表示すると、メニュートップ画面10に表示されるメニューの項目は、
図4に示すように、「トップ」、「物件」、「検査実施予定」、「トピックス」、「統計」、「文書管理」、「マップ」、「災害対策」、「マスメンテナンス」、「ヘルプ」となる。
【0050】
また、管理サーバ装置2の情報提供モードが、「通常モード」である時、各担当者が所持する携帯端末装置4の表示画面でのメニューアイコンは、
図6に示すように、「担当物件一覧」、「マップ」、「検査一覧」の3つになっている。なお、
図6に示す携帯端末装置4の表示画面では、分類分け用ボタンとして「トピ」、「運用」、「通知」、「気象」が表示されている。何れかのボタンが選択されると、その分類に属する情報が下部に表示される。
【0051】
「通常モード」において、災害が起こった際、管理者は、管理サーバ装置2において、上述した手順に従って、
図5に示す災害対策の登録画面12を表示させる。管理者は、災害の状況を確認して災害対策の登録画面12に必要項目を入力する。ここでは、管理者は、件名「2017/10/30 関西地区地震災害対策」、モード「緊急」、調査対象の指定「本部選択 首都圏リフォーム事業部」 「部署選択 工事管理部 工事管理Aチーム,工事管理Cチーム」、調査依頼先の指定「本部選択 首都圏リフォーム事業部」 「部署選択 大阪センター,神戸センター,京都センター」、部門内(本部内全ての物件へのアクセスを許可)、調査用シート「住家被害調査チェックシート,足場点検チェックシート」、状態「発令中」を、選択または入力し、「保存」ボタン14を押して、災害対策の登録を行う。この登録を行うと、管理サーバ装置2の情報提供モードが「通常モード」から「非常モード」に切り替わる。なお、管理者が保存ボタン14を押した後に、登録内容を確認する工程を追加してもよい。管理者による災害対策の登録が完了すると、トピックスに本登録が転用され、トピックスに表記される。また、
図7および
図10Aに示すように、管理サーバ装置2の表示画面のメニューに、「防災マップ」メニュー16が追加表示される。
【0052】
なお、本実施の形態では、管理者による災害対策の登録を説明しているが、管理サーバ装置2において、前記した所定のイベントが発生した場合に、予め設定した条件(気象庁から定期的に入手する気象特別警報報知の情報など)に基づき、自動的に情報提供モードを「通常モード」から「非常モード」に自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0053】
上述した災害対策の登録を終えると、
図7に示すように、管理サーバ装置2の表示画面では、トピックス欄に、登録した災害対策の項目17が追加される。そして、追加された災害対策の項目17を選択操作すると、
図8に示すように、詳細情報が表示されるとともに、防災マップのアイコン18が表示される。管理者は詳細情報を確認するとともに、防災マップのアイコン18を選択して実際に被害調査が必要な調査対象の物件を、
図9に示すように地図上に表示する。なお、
図9に示す時計マーク19は、下記するタイムラインの表示の有無を選択するためのものである。
図9に示す雲マーク20は、雨雲など気象データの表示の有無を選択するためのものである。
【0054】
また、「通常モード」から、「非常モード」に切り替わると、担当者が所持する携帯端末装置4の表示画面が、
図6に示す画面から、
図11に示す画面に変更される。ここでの変更点は、ヘッダーにおいてトップメニューの下に災害対策が発令中である旨の表示として「災害対策発令中(緊急)」という項目23が表示される。また、メニューアイコンが、「担当物件一覧」、「マップ」、「検査一覧」の3つから、「担当物件一覧」、「防災マップ」、「マップ」、「検査一覧」の4つに変更される。また、携帯端末装置4の表示画面の背景部24が、「通常モード」時とは異なる色に変更される。例えば、通常モード時には「無色」である背景24が「非常モード」時は「黄色」となる。このように、「通常モード」から「非常モード」に切り替わると、「災害対策発令中(緊急)」という項目23の表示と、「防災マップ」メニューアイコン25の追加と、表示画面の背景色の変更とが行われるので、担当者に災害時の非常モードに遷移したことを一目で気付かせることができる。
【0055】
携帯端末装置4では、「トピ」ボタンが選択されている場合、災害対策に関する項目27が表示される。担当者は当該項目27を選択操作すると、
図12に示すように、災害対策の対応として行うべき調査の項目(例えば各種チェックシート)28,29が表示される。そして、担当者が調査対象となる物件を検索するために、表示画面の左下に表示されている防災マップのアイコン30を選択操作すると、携帯端末装置4の表示画面に、
図13に示すような防災マップ32が表示される。この防災マップ32においては、地図上に表示された進捗マーク6にて物件の位置および調査の進捗状況を確認することができる。なお、防災マップ32は、当該携帯端末装置4の現在位置(携帯端末装置4のGPS機能により取得できる現在位置)を中心として表示されるようになっている。このため、担当者は何れの物件が自分の位置から最も近いのかを容易に把握することができる。
【0056】
次に、担当者は、携帯端末装置4の表示画面に表示されている物件のうち、「未対応」の物件を表示している進捗マーク6を確認し、担当者の現在位置から距離が近い物件や、すぐに行ける物件の調査を行う。この際、担当者は、自分が調査に行くことを他の担当者や管理者に伝えるために、「未対応」の物件を示す進捗マーク6をタップ操作等により選択した上で当該物件に向けて移動を開始する。
【0057】
なお、上記では、防災マップ32を表示させるために、トピックスの画面から遷移させて防災マップ32を表示するようにしたが、
図14に示すようにトップメニュー画面33から「防災マップ」メニューアイコン25を選択操作し、防災マップ32を画面に表示するようにしてもよい。
【0058】
防災マップ32を表示した後、「未対応」の物件を示す進捗マーク6を選択操作すると、
図14に示すように、「Aマンション 移動開始/調査開始(シート選択へ)」がポップアップ35として表示される。ここで、担当者はAマンションに現在居ないため、Aマンションへ移動するために、「移動開始」を選択操作する。この進捗変更の情報は、管理サーバ装置2に送信され、物件の進捗管理情報が更新され、地図上の進捗マークが「未対応」を示す進捗マーク6から「移動中」を示す進捗マーク7に変更される。また、進捗変更の情報はタイムラインにもシェアされ、
図3に示すようにタイムライン(「タイムラインボード」)に表記される。
図3に示す地図およびタイムラインの表示は、管理サーバ装置2の表示画面であるが、同様の内容が携帯端末装置4の表示画面にも表示される。なお、
図2を参照して、「移動中」を示す進捗マーク7を選択して、「Aマンション 移動中止/調査開始(シート選択へ)」の「移動中止」を選択すると、「移動中」を示す進捗マーク7は、「未対応」を示す進捗マーク6に戻る。以下、同様である。
【0059】
なお、
図3に示すように、防災マップ32には、進捗マークの種別を示す凡例31が表示される。担当者等は、凡例31と進捗マークの形態を照らし合わせることで、その進捗マークが「未対応」を示す進捗マーク6、「移動中」を示す進捗マーク7、「調査中」を示す進捗マーク8等の何れであるかを判別する。
【0060】
担当者がAマンションに到着した後、携帯端末装置4の表示画面に表示されているAマンションの所在地に対応する位置に表示されている進捗マーク7を選択操作すると、
図2に示すように、「Aマンション 移動中止/調査開始(シート選択へ)」がポップアップ36として表示される(
図14においては、ポップアップ36の図示を省略している。)。ここで、担当者が「調査開始(シート選択へ)」を選択操作すると、この進捗変更の情報が、管理サーバ装置2に送信され、物件の進捗管理情報が更新され、地図上の進捗マークが「移動中」を示す進捗マーク7から「調査中」を示す進捗マーク8に変更される。また、進捗変更の情報はタイムラインにもシェアされ、
図3に示すようにタイムラインに表記される。なお、
図2を参照して、「調査中」を示す進捗マーク8を選択操作して、「Aマンション 調査中止/調査開始(シート選択へ)」の「調査中止」を選択操作すると、「調査中」を示す進捗マーク8は、「未対応」を示す進捗マーク6に戻る。また、
図2を参照して、「未対応」を示す進捗マーク6を選択操作し、「Aマンション 移動開始/調査開始(シート選択へ)」において「調査開始(シート選択へ)」を選択すると、進捗マークが「未対応」を示す進捗マークから「調査中」を示す進捗マークに変わる。これは、担当者が既に物件の所在地にいて、移動する必要がない場合を想定している。
【0061】
また、担当者が「調査開始(シート選択へ)」を選択操作すると、住家被害調査チェックシート等の調査用シートが携帯端末装置4に表示される。担当者は、物件の被害調査を行い、表示された調査用シートに調査内容を入力する。ここでの調査内容の入力方法は特に限定されず、例えば、予め設定された複数の項目に対してチェックマークを入力する方法、特定の項目に対して現場で測定して得られた数値を入力する方法、質問項目に対する複数回答から選択する方法などがある。
【0062】
担当者が物件の被害調査を携帯端末装置4に表示された調査用シートに入力した後、その入力情報が所定操作により管理サーバ装置2に送信される。そうすると、管理サーバ装置2における物件の進捗管理情報が更新され、地図上の進捗マークが「調査中」を示す進捗マーク8から「調査結果」を示す進捗マーク9(調査結果マーク9)に変更される。例えば、担当者が調査用シートとして「住家被害調査チェックシート」に調査内容を入力し、その入力情報が管理サーバ装置2に送信された場合は、「調査結果」を示す進捗マーク9として、「全壊」を示すマーク9A、「大規模半壊」を示すマーク9B、「半壊」を示すマーク9C、「一部損壊」を示すマーク9D、「無被害」を示すマーク9Eの何れかに変更される。なお、管理サーバ装置2には、各調査用シートに対する全ての入力パターンに対応した調査結果が予め登録されており、管理サーバ装置2は、携帯端末装置4から調査用シートを受信すると、予め登録された入力パターンに対応する調査結果を選択する。
【0063】
担当者がAマンションの被害調査を終えると、次に向かうべき物件の有無を確認するために、携帯端末装置4の表示画面に防災マップ32を表示し、引き続き他の物件の被害調査を行う。各担当者が以上のようにして被害調査を行い、全ての物件の被害調査が完了し、管理者はそのことを防災マップ32上で確認すると、災害対策の発令を解除して、災害対策を終える。
【0064】
また、本実施形態に係る被害調査システム1は、
図3に示すように、防災マップ上に、進捗があった物件の進捗管理情報を時系列で列挙するタイムラインを表示する手段を備えている。タイムラインは、管理サーバ装置2や携帯端末装置4の表示画面に表示され、進捗管理情報を時系列で列挙するほか、災害に関する掲示板的な情報として「報連相」の情報も表示する。また、タイムラインは、地図上の右上に表示される時計マーク19を選択操作することで、防災マップ32上に表示させたり、防災マップ32上から消去することができる。タイムラインを構成する各種情報(進捗管理情報、時刻情報、物件情報、「報連相」の情報等)は、防災マップ32を構成する各種情報と同様に、管理サーバ装置2において記憶管理されている。
【0065】
なお、タイムラインを表示するシート37の左上に、進捗管理情報や「報連相」の情報などの表示形態についてフィルタリングできるフィルタアイコン38がある。フィルタアイコン38を選択すると、
図15に示すように、フィルタの各項目がフィルタ欄39に表示される。フィルタの各項目のいずれかを選択することで、タイムラインへ表示する情報をフィルタリングすることができる。
【0066】
図3に示すように、タイムラインの右上に、タイムラインへの「報連相」の情報の新規投稿を行うことができる新規投稿アイコン40がある。新規投稿アイコン40を選択すると、
図16に示すように、新規投稿の投稿画面41が表示される。投稿画面41の各項目に必要な情報を入力し、投稿ボタン42を選択することで、「報連相」の情報を投稿することができる。また、
図16に示す新規投稿の投稿画面41において、投稿先物件を「すべて」に指定して(つまり、チェックボックス43にチェックを入れて)、投稿ボタン42を選択することで、全ての担当者、管理者に対して、一斉に新規投稿(通知)を行うことができる。また、タイムラインに投稿された情報に対して、当該タイムラインを表示している携帯端末装置4等において所定操作を行うことにより返信することもできるようになっている。
【0067】
なお、
図3に示す、タイムラインを表示するシート37を上下2分割して、上段に、指示系統に関する「報連相」等の情報を列挙し、下段に、「移動中」「調査中」等の調査の進捗等に関する情報を列挙するようにしてもよい。
【0068】
以上に説明した、本実施形態に係る被害調査システム1によれば、防災マップ32において、「移動中」を示す進捗マーク7が表示されることから、複数人の担当者が同じ物件に向かって移動してしまうことを防止することができ、物件の被害調査の効率を向上させることができる。よって、本実施形態に係る被害調査システム1によれば、従来例に係るシステムの課題を解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、物件情報を登録可能な管理サーバ装置と、管理サーバ装置にネットワークを介して接続される携帯端末装置と、を含む被害調査システムに適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 被害調査システム
2 管理サーバ装置
3 ネットワーク
4 携帯端末装置
6 進捗マーク(「未対応」である旨を示すマーク)
7 進捗マーク(「移動中」である旨を示すマーク)
8 進捗マーク(「調査中」である旨を示すマーク)
9 調査結果を示す進捗マーク(調査結果マーク)
32 防災マップ(地図)