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特許7024972救命処置用手袋、その使用方法、救命処置用手袋パッケージ、および救命処置用手袋付きAEDセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】救命処置用手袋、その使用方法、救命処置用手袋パッケージ、および救命処置用手袋付きAEDセット
(51)【国際特許分類】
   A61H 31/00 20060101AFI20220216BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61H31/00
A41D19/015 610Z
A41D19/015 210A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018167843
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2019080910
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2017208696
(32)【優先日】2017-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月1日の渋谷区総合防災訓練における展示
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月4日の東日本旅客鉄道盛岡支社における紹介
(73)【特許権者】
【識別番号】521025533
【氏名又は名称】株式会社QQGLOVE
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】目代 靖子
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0171311(US,A1)
【文献】特開2017-192649(JP,A)
【文献】特開2002-186641(JP,A)
【文献】特表2010-528722(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0296747(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0068904(US,A1)
【文献】米国特許第05542126(US,A)
【文献】意匠登録第1063805(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 31/00
A41D 19/00 - 20/00
A61F 13/00 - 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手袋本体(以下、「本体」という。)一対と、少なくとも一方の該本体の手の甲側に設けられた救命処置手順表示部(以下、「手順表示部」という。)とからなり、該手順表示部には心肺蘇生法の手順が示されており、
該本体は五本指型であり、該手順表示部は複数の指部にそれぞれ設けられた指上表示部を備えて構成されていることを特徴とする、救命処置用手袋。
【請求項2】
少なくとも一方の前記本体の手のひら側付け根には、その箇所が心臓マッサージを施す際の圧迫に用いられる箇所であることを示す圧迫用表示部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の救命処置用手袋。
【請求項3】
少なくとも前記圧迫用表示部には心臓マッサージを施す際に滑りにくくするための構造が用いられていることを特徴とする、請求項2に記載の救命処置用手袋。
【請求項4】
前記指上表示部における表示を図により補足する図示表示部が備えられていることを特徴とする、請求項1、2、3のいずれかに記載の救命処置用手袋。
【請求項5】
前記本体一対は、利き手側に用いる手袋(以下、「利き手側手袋」という。)と他方側に用いる手袋(以下、「反利き手側手袋」という。)からなり、前記指上表示部に記される各手順は、該反利き手側手袋の親指から小指方向に向かって順に配置され、必要な場合にはこれに続けて利き手側手袋の親指から小指方向に向かって、順に配置されていることを特徴とする、請求項1、2、3、4のいずれかに記載の救命処置用手袋。
【請求項6】
前記指上表示部は十の指部全てに設けられていることを特徴とする、請求項に記載の救命処置用手袋。
【請求項7】
前記本体の色としてオレンジ色、青色、または黄色のいずれかが用いられていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の救命処置用手袋。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6、7のいずれかに記載の救命処置用手袋が所定の包装具に包装されてなることを特徴とする、救命処置用手袋パッケージ。
【請求項9】
前記包装具は、開封後に人工呼吸用シートとして使用可能な仕様を備えていることを特徴とする、請求項に記載の救命処置用手袋パッケージ。
【請求項10】
前記包装具は、外側に前記救命処置用手袋の使用方法説明表示が、内側に前記人工呼吸用シートの使用方法説明表示が設けられていることを特徴とする、請求項に記載の救命処置用手袋パッケージ。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7のいずれかに記載の救命処置用手袋が自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator 以下、「AED」という。)に付属していることを特徴とする、救命処置用手袋付きAEDセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は救命処置用手袋、その使用方法、救命処置用手袋パッケージ、および救命処置用手袋付きAEDセットに係り、特に、心肺蘇生等の必要な傷病者に遭遇した際に有用な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
突発的に発生する災害や事故等によって意識を失い、また心肺停止の状態になってしまった傷病者に遭遇することがあり得る。このような時、日頃救命処置の訓練を行う等、救命処置に一定の馴染みがある者であれば、比較的適切な対応を行うことが期待できる。しかし、一般的にそのように適切な技術・技能を準備できている者は少なく、かかる遭遇では不適切な対応や、全くの不対応となってしまい、傷病者の生命に関わる事態を招来する可能性が高い。このような危急の場面に際しても的確で冷静な判断を下し、落ち着いた救命処置行動をより多くの者が行えるようになることが望まれる。
【0003】
危急の場面における救命処置に関連しては従来、現在設置が広く行われている自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator AED)の他にも複数の特許出願等がなされている。たとえば後掲特許文献1には、救急救命処置器具等の機能を付加し、かつ携行資材の総量を減らしたインナーケースとして、展開可能なシート状のインナーケース本体にベルトとバックルを取り付け、インナーケース本体をもって患部等を覆い締め付けることで被覆・止血帯とし、また各種器具の固定具とすることができ、さらにベルト部に設けた棒状の巻取り具および巻取り具用スリットにより強力に締上げて緊迫止血帯としても利用できる構造が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、心肺蘇生術の訓練を受けた一般市民が普段から携帯することにより緊急事態が生じた際に容易に要救護者に適確な心肺蘇生術を実施可能とするための音声心肺蘇生指示装置として、名刺サイズの専用ハードカード内に音声指示手段を内蔵させて音声心肺蘇生指示装置が開示されている。そして、装置のスイッチボタンを押して音声指示手段を作動させ、心肺蘇生術の手順を音声で案内してもらい、音声の案内を助けに要救護者に心肺蘇生術を行うことで、非専門家の一般市民であっても心肺蘇生術の適確な実施が可能になる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3171712号公報「救急救命処置・手当具を兼ねるインナーケース」
【文献】特開2007-130120号公報「音声心肺蘇生指示装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1開示技術では、そもそもかかる救命処置用具使用の前提として相応の救命処置の知識・技能を備えていることが要求されるため、不慣れな一般市民が危急の場面で適切に対処することを十分に支援できない。一方、特許文献2開示技術は、音声ガイドにしたがって行えば適切な救命処置を行えるとしているが、意識を失った傷病者との遭遇という危急の場面では気が動転しており、適切に使用できないことが十分推測できる上、そもそもかかる特別な装置を所有・携帯していなくてはならない。
【0007】
救急処置には、それを行う者がその意識、すなわち救命するという使命感・責任感を強く持てるか否かも重要であり、各文献開示技術を含め、そのような意識を持たせられるような技術、しかも導入容易・使用方法も容易な技術は、未だ存在しない。また、老若男女を問わず広く普及可能な救命処置技術が求められる。また、AEDが用いられる場合、その電気ショックにより心室細動していた心臓は静止状態となる。したがってAED使用後は、速やかな胸骨圧迫等による救命処置を施すことによって心臓拍動の回復を促す必要があるため、AED設置箇所やAED使用場面においてこそ、導入容易・使用方法も容易な救急処置技術が必要である。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、特別な装置を所有・携帯することなく導入容易かつ使用方法も簡単であり、意識を失った傷病者との遭遇という危急の場面でも適切に使用することのできる、救命処置技術を提供することである。また本発明の課題は、それによって救急処置行う意識、すなわち救命するという使命感・責任感を促すこと、高めることができ、危急の場面に実際に遭遇した場合でも救急車やAEDが到着するまでに迷うことなく自信を持って適切な処置を施すことができるとともに、AED使用場面においても迷うことなく自信を持って適切な処置を施すことができる、救命処置技術を提供することである。
【0009】
また本発明の課題は、救命処置法の講習会等でも用いやすく、習得しやすく、老若男女を問わず広く普及可能な救命処置技術を提供することである。また本発明の課題は、傷病者の第一発見者が適切な措置をとれる可能性を高めて、傷病者の生存率向上や、脳へのダメージを最小限に抑えることに寄与できる、救命処置用技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は上記課題について検討した結果、心肺蘇生法を施す際の作用部位である両手に装着して用い、しかもその表面には心肺蘇生法の手順が視覚的にわかりやすく表示されている手袋によって解決できることに想到し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0011】
〔1〕 手袋本体(以下、「本体」という。)一対と、少なくとも一方の該本体の手の甲側に設けられた救命処置手順表示部(以下、「手順表示部」という。)とからなり、該手順表示部には心肺蘇生法の手順が示されており、該本体は五本指型であり、該手順表示部は複数の指部にそれぞれ設けられた指上表示部を備えて構成されていることを特徴とする、救命処置用手袋。
〔2〕 少なくとも一方の前記本体の手のひら側付け根には、その箇所が心臓マッサージを施す際の圧迫に用いられる箇所であることを示す圧迫用表示部が設けられていることを特徴とする、〔1〕に記載の救命処置用手袋。
〔3〕 少なくとも前記圧迫用表示部には心臓マッサージを施す際に滑りにくくするための構造が用いられていることを特徴とする、〔2〕に記載の救命処置用手袋。
【0012】
〕 前記指上表示部における表示を図により補足する図示表示部が備えられていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載の救命処置用手袋。
〕 前記本体一対は、利き手側に用いる手袋(以下、単に「利き手側手袋」ともいう。)と他方側に用いる手袋(以下、単に「反利き手側手袋」ともいう。)からなり、前記指上表示部に記される各手順は、該反利き手側手袋の親指から小指方向に向かって順に配置され、必要な場合にはこれに続けて利き手側手袋の親指から小指方向に向かって、順に配置されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕のいずれかに記載の救命処置用手袋。
〕 前記指上表示部は十の指部全てに設けられていることを特徴とする、〔〕に記載の救命処置用手袋。
〕 前記本体の色としてオレンジ色、青色、または黄色のいずれかが用いられていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕のいずれかに記載の救命処置用手袋。
【0013】
〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕のいずれかに記載の救命処置用手袋が所定の包装具に包装されてなることを特徴とする、救命処置用手袋パッケージ。
〕 前記包装具は、開封後に人工呼吸用シートとして使用可能な仕様を備えていることを特徴とする、〔〕に記載の救命処置用手袋パッケージ。
10〕 前記包装具は、外側に前記救命処置用手袋の使用方法説明表示が、内側に前記人工呼吸用シートの使用方法説明表示が設けられていることを特徴とする、〔〕に記載の救命処置用手袋パッケージ。
11〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕のいずれかに記載の救命処置用手袋が自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator 以下、「AED」という。)に付属していることを特徴とする、救命処置用手袋付きAEDセット。
【発明の効果】
【0014】
本発明の救命処置用手袋、その使用方法、救命処置用手袋パッケージ、および救命処置用手袋付きAEDセットは上述のように構成されるため、これらによれば、意識を失った傷病者との遭遇という危急の場面でも適切に使用することのできる、救命処置技術を提供することができる。本発明は手袋およびその使用方法等であり、特別な装置を所有・携帯する必要がなく、導入容易で、使用方法も簡単である。なお、救急処置用意外にも通常の手袋としての機能を果たすことももちろん可能であり、救急処置に付随する各種作業を、より衛生的に行なうことができる。
【0015】
また本発明の救命処置用手袋を所持すること、着用することによって、救急処置行う意識、すなわち救命するという使命感・責任感がより強く促され、意識を高めることができ、危急の場面に実際に遭遇した場合でも救急車やAEDが到着するまでに迷うことなく自信を持って適切な処置を施すことができるとともに、AED使用場面においても迷うことなく自信を持って適切な処置を施すことができる。たとえば防災グッズや救急箱、アウトドア用品の一つとして常備・携帯したり、あるいはまた車両内(ダッシュボードなど)に常備したり、目につく場所に常備することによって、日頃から救命に対する個々の意識を高めることができ、ひいては必要な時、つまり突発的に起こり得る災害時、事故時、その他の生命の危険時に際し、的確で冷静な判断を下し、落ち着いた行動を促すことができ、適切な処置を行えるようにすることができる。
【0016】
また本発明の救命処置用手袋は、使用方法が簡単で身近なものであることから、救命処置法の講習会等でも用いやすく、心肺蘇生法を予習する際により具体性のある学習を行なうことができ、したがって高い習得率も期待でき、老若男女を問わず実際的な技術として広く普及することができる。また、本発明救命処置用手袋が普及することにより、傷病者の第一発見者が適切な措置をとれる可能性が高まる。心臓疾患、突発的な事故、水難事故等、救急車やAEDが到着するまでに適切な処置を行えるとともに、AED使用場面においても迷うことなく自信を持って適切な処置を施すことができ、傷病者の生存率向上や、脳へのダメージを最小限に抑えることに寄与することができる。
【0017】
なお、特別な色を用いた本発明救命処置用手袋によれば、救急隊員等の専門家が到着した際、本手袋を装着している者が救命処置を実施中であり、かつそこに傷病者が存在することを即座に視認することができ、円滑な事後対応をなさしめることができる。さらに、救急隊員等到着前にも、周囲からの協力を得やすい。このように本発明には、さまざまな利点、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明救命処置用手袋の基本構成を概念的に示す説明図である(手の甲側)。
図2】本発明救命処置用手袋の基本構成を概念的に示す説明図である(手のひら側)。
図3】指上表示部を備える構造の本発明救命処置用手袋の構成を概念的に示す説明図である。
図4】本発明救命処置用手袋の実施例構成を概念的に示す説明図である(手の甲側)。
図5】本発明救命処置用手袋の実施例構成を概念的に示す説明図である(手のひら側)。
図6】本発明救命処置用手袋パッケージの構成を概念的に示す説明図である。
図7】人工呼吸用シートを兼ねる構造の本発明救命処置用手袋パッケージの構成を概念的に示す説明図である。
図8本発明救命処置用手袋の別の実施例構成を概念的に示す説明図である(手の甲側)。
図9本発明救命処置用手袋付きAEDセットの構成を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1、2は、本発明救命処置用手袋の基本構成を概念的に示す説明図であり、前者は手の甲側、後者は手のひら側を示す。これらに図示する通り本発明救命処置用手袋10は、手袋本体(本体)2L、2R一対と、少なくとも一方の本体2L等の手の甲側1L等に設けられた救命処置手順表示部(手順表示部)3L等とからなり、手順表示部3L等には心肺蘇生法の手順が示されていることを、基本的構成とする。手順表示部3L等は、基本的に文章表現によりなされている構成とするが、適宜図面や写真が併用されていてもよい。なお本救命処置用手袋10は、練習用としての使用の有無に関わらず実際の使用を想定したものを主とするが、練習専用のものであっても発明の範囲内に含まれる。
【0020】
手順表示部3L等は、シルクスクリーン、転写シート型その他の印刷によって設けることとしてもよいし、シートとして形成されたものが本体2L等に貼着された形態であっても、その他の方式により設けられたものであってもよい。要するに従来公知の方法によって、本体2L等上に固定されていればよい。なお、このことは、後述する圧迫用表示部、指上表示部、図示表示部等についても同様である。また、手順表示部3L等は、一方の本体2L等にのみ設けられている構成、両本体2L、2Rにそれぞれ手順表示部3L、3Rとして設けられている構成、いずれでもよい。
【0021】
かかる構成の本発明救命処置用手袋10は、意識を失っている傷病者に遭遇した際などの必要な時に使用者がこれを両手に装着し、少なくとも一方の本体2L等に設けられている手順表示部3L等に示された手順に従って、傷病者に対する心肺蘇生法を施す、というように用いる。手順表示部3L等には正しい心肺蘇生法の手順が示されているため、記載の手順通りに実行することで、正しい心臓マッサージを行なうことができる。
【0022】
本発明救命処置用手袋10の具体的な仕様は、特に限定されないが、実際に現場で使用するものとしては、薄手のものが望ましい。その方が、使用者自身の手による傷病者の身体の触覚的知覚をより繊細に得やすく、したがって救命処置効果を得られやすいからである。一方、練習専用の場合はより厚手のものでもよい。また、具体的な素材も特に限定されず、布製、ビニール製、その他適宜のものを用いることができる。他にも、不織布も本手袋10用素材として適しており、また、使用する場面・状況によっては、防水性・耐油性が望ましいこともあるので、防水性の素材や耐油性の素材を用いること、あるいは防水加工、耐油加工が施されていることも、有用である。
【0023】
図2に示すように本救命処置用手袋10は、少なくとも一方の本体2L等の手のひら側5L等付け根には、その箇所が心臓マッサージを施す際の圧迫に用いられる箇所であることを示す圧迫用表示部4Lが設けられた構成とすることができる。かかる構成により、使用者は、自分の手のどの部分を傷病者の胸部に当てればよいかを明確に理解でき、適切な救命処置法を施すことができる。圧迫用表示部4L等の具体的な形態は特に限定されない。なお、一方の本体2L等のみに圧迫表示部5L等が設けられている構成も排除されないが、両本体2L、2Rにそれぞれ圧迫表示部4L、4Rとして設けられている構成が望ましい。少なくとも、直接傷病者の身体に触れる、つまり手を組んだ際に下側とする本体2L等側には設けられることとする。
【0024】
また、少なくとも圧迫用表示部4L等には、心臓マッサージを施す際に滑りにくくするための構造が用いられている構成とすることができる。これにより、胸部圧迫用に重ねた手による圧迫動作を、滑りが生じることなく安定的に行うことができる。滑りにくくするための構造は、突起構造など滑り止め用の適宜の加工によって設けることができる。なお、滑りにくさは手のひら側5L等全体にあることが望ましく、したがって手のひら側5L全体に滑りにくくするための構造が設けられていることが望ましい。
【0025】
図3は、指上表示部を備える構造の本発明救命処置用手袋の構成を概念的に示す説明図である。図示するように本救命処置用手袋310は、その本体32L、32Rが五本指型であり、手順表示部33L、33Rは複数の指部にそれぞれ設けられた指上表示部36a、36b、・・・等を備えて構成されているものとすることができる。つまり、救命処置として心肺蘇生法を施す際には両手を訓で胸部圧迫処理を行うのだが、その際に下側となる手の甲側31L等は、上側となる手の甲側31R等が重なることによって見えなくなる。
【0026】
その場合でも、本指上表示部36a等によれば、両本体32L、32Rともに救命処置手順の表示が見えるように構成することができる。なお、上側とする本体32L等では、両手を組んだ際に各指部が折り曲げられることで見えなくなる部位が先端よりに生じる。したがって、その側の指上表示部36f等は、手を組んだ状態でも問題なく表示が見えるように設けることが、より望ましい。
【0027】
図では、指上表示部36a等は左右全ての指部に、計十箇所設けられている構成を示すが、これに限らず、一部の指部上のみに設ける構成としても、また一方の本体の適宜数の指部上のみに設ける構成としてもよい。また、本図を含め全ての図面において、五本指型の手袋を示しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、親指を入れる袋体とその他全ての指を入れる袋体からなるミトン型の手袋など、手袋として機能する形態は全て排除されず、本発明の範囲内である。しかしながら、両手を組んで行うという心肺蘇生法の実施を的確に行うためには、五本指型とすることが大いに望ましい。したがって以下も、五本指型を主として説明する。
【0028】
図3に示すように本救命処置用手袋310は、指上表示部36a等における表示をより視覚的に理解しやすい図によって補足するための、図示表示部37L等が備えられた構成とすることができる。本例構成は、指上表示部36a等における文章での手順表示を図により補足するものである。指上表示部36a等は、文字等による、特に一行による文章表現の表示には適しているが、その領域の細長さから、図の表示に適しているとはいえない。
【0029】
図示するように、手の甲の部位に図示表示部37L等を設ければよい。この場合、手を組む順序を考慮して適切な補足図を表示することが望ましい。また、図では両本体32L、32Rにそれぞれ図示表示部37L、37Rが設けられている構成を示すが、いずれか一方のみであってもよい。また、具体的な図示内容は、救命処置手順の補足となるものである限り、任意のものとすることができる。
【0030】
図4、5は、本発明救命処置用手袋の実施例構成を概念的に示す説明図であり、前者は手の甲側、後者は手のひら側を示す。本発明救命処置用手袋の本体一対は、利き手側に用いる手袋(利き手側手袋)と他方側に用いる手袋(反利き手側手袋)から構成されるものとすることができる。図4等に示す実施例では、利き手を右手とした場合の例を示している。すなわち、左手側に反利き手側手袋(本体42L)を、右手側に利き手側手袋(本体42R)を装着し、左手側を傷病者の胸部に当て、利き手である右手側をその上に組んだ状態で、胸部への圧迫を行うことを想定した例である。
【0031】
図示する本実施例のように本発明救命処置用手袋410は、指上表示部46a等に記される各手順は、反利き手側手袋(本体42L)の親指から小指方向に向かって順に配置され、必要な場合にはこれに続けて利き手側手袋(本体42R)の親指から小指方向に向かって、順に配置された構成とすることができる。傷病者の胸部には、先に反利き手側手袋(本体42L)の手、次に利き手側手袋(本体42R)の手であるため、このような配置が自然であり、使用者にとってより理解しやすい。なおこれに限定されず、たとえば各本体42L、42Rにおいて小指から親指方向へ向かって並べられる配置であっても本発明の範囲内である。
【0032】
図に例示されている各指上表示部46a等の内容を、手順通りに記す。
指上表示部46a:「1 呼びかけ・反応の確認」
指上表示部46b:「2 助けを呼ぶ(AEDと救急車の手配)」
指上表示部46c:「3 胸・腹を見て呼吸の有無を確認」
指上表示部46d:「4 あご先を挙げて気道を確保」
本例では併せて、気道確保の仕方の図を図示表示部47Lとして示している。
指上表示部46e:「5 ひだり手を胸の真ん中に当てる」
なお、手の重ね方は逆であってもよく、要するに使用者がやりやすい方法でよい。
【0033】
指上表示部46f:「6 みぎ手で指を汲み重ねる」
なお、逆であってもよく、要するに使用者がやりやすい方法でよい。
指上表示部46g:「7 真上からまっすぐ、強く・速く・絶え間なく」
本例では併せて、手の付け根で圧迫することを図示表示部47Rによって示している。
指上表示部46h:「8 15~18秒で30回、5cm沈む程度、圧迫」
これは、1分間に100~120回(5秒に8回以上)とされる圧迫動作をよりわかりやすくしたものである。なお、小児には体の厚さの1/3くらい沈む程度の圧迫がよいとされている。
指上表示部46i:「9 鼻をつまみ、口対口人工呼吸(約1秒)を2回」
なおこれは、「そのことが可能な場合に行う」旨を書き添えてもよい。
指上表示部46j:「10 8と9を繰り返し行う」
【0034】
上述の手順表示部(指上表示部)の記載はあくまでも一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。また、図示表示部47L、47Rと、対応する上記指上表示部46d、46gとの間に、対応を示す表示を加えてもよい。たとえば、指上表示部46d―図示表示部47Lとの間をつなぐ線や帯による表示などである。
【0035】
また、図示するように、手袋の手首部分に基部表示部48L、48Rを設けることとしてもよい。実施例では、各本体42L、42Rの基部表示部48L、48Rとして、「心肺蘇生・救命処置補助手袋『救命グローブ』ひだり(手の甲側)」、「心肺蘇生・救命処置補助手袋『救命グローブ』みぎ(手の甲側)」
みぎ(手のひら側)、ひだり(手のひら側)の表示を設けている。これにより使用者は、本手袋410が特別な用途を持った手袋であることを認識でき、また利き手側用か反利き手側用かの識別を容易に行なうことができる。
【0036】
図5に示す実施例の手のひら側には、圧迫用表示部44L、44Rが設けられるが、本例では「胸部圧迫時、傷病者の胸の真ん中にここを当てる」という表示がなされている。同箇所44L、44Rを胸部に当てるべき旨が使用者に明確にわかるものである限り、かかる文章を併用した表示に限定されない。また、本例のように文章を用いる場合も、本文例に限定されない。なお図では、手のひら側の基部表示部49L、49Rとして、「ひだり(手のひら側)」、「みぎ(手のひら側)」の表示がなされている。
【0037】
実際の製品・商品としてのサイズ・仕様は、任意に設計できる。たとえばサイズとして、大人用(S/M/L)・小児用を設けること、また右利き用・左利き用を設けること、ディスポーザブル手袋(使い捨て)、力の弱い小児や高齢者用として手のひら側により滑りにくい材料を用いたものや、圧迫力を強化できるように手のひら側により重量のある材料を用いたもの、練習用として薄地軍手型など、開発は自在に可能である。
【0038】
本発明救命処置用手袋は、その本体の色を特定したものとすることもできる。その場合、特にオレンジ色、青色、または黄色のいずれかを用いるものとすることができる。オレンジ色は消防士の服の色であり、救急を連想させるため、装着した人の意識が高まり、本発明の使用目的上好ましい。また、暗闇や人混みの中でも目立つ色である。そのため、救命処置中に救急車やAEDが現場に到着した際、救急隊員らは誰が傷病者であるかを迅速に判断できる。しかも、周囲に認知されやすいため、協力を得られやすい。
【0039】
一方、青色には冷静を促す効果があり、手袋使用者が冷静に対応するために有利である。また、青色は肌の色と大きく相違するため、手袋に破れなどが生じた場合に気づきやすいという利点もある。また、黄色は危険を表す色であり、これもオレンジ色と似た効果を得られる。さらに黄色は、黒い文字を記載した場合に視認性が高くて文字が読みやすくなること、血などが付着した場合にもわかりやすいこと、暗い場所でもわかりやすいという利点がある。これらのいずれの色を用いる場合でも、地色としてほぼ単色で用いることがより好ましいと言える。
【0040】
図6は、本発明救命処置用手袋パッケージの構成を概念的に示す説明図である。図示するように、以上説明したいずれかの救命処置用手袋510等が所定の包装具520等に包装されてなる救命処置用手袋パッケージ530等もまた、本発明の範囲内である。図中、(a)は包装具520としてビニール袋を用いた救命処置用手袋パッケージ530、(b)は包装具620としてカプセル(自動販売機での販売を想定)または缶詰(防災グッズや保存食等と一緒に保管されることを想定)を用いた救命処置用手袋パッケージ630を示す。いずれの図に示される例とも救命処置用手袋510等が一組だけ包装された形態であるが、これに限定されず、二組以上が包装された形態であってもよい。
【0041】
包装具としては他に、ポケットティッシュ型(ポケットサイズで取り出しやすい)、キーホルダータイプ(持ち歩きやすい)、本棚収納タイプ(文庫サイズ・縦置き)等、さまざまなパッケージ形態をとることができる。また、包装具表面や包装具内に、救命処置法・心肺蘇生法についての説明の表示や取扱い説明書を設けることとしてもよい。また、付属品として、本救命処置用手袋パッケージの所在を示す表示物を設けてもよい。たとえば「ここにあります」と記載されたシールである。これは、車両のダッシュボード、救急箱、靴箱など、本パッケージを保管する箇所に貼ることで、その所在を示すことができる。
【0042】
図7は、人工呼吸用シートを兼ねる構造の本発明救命処置用手袋パッケージの構成を概念的に示す説明図である。図示するように本救命処置用手袋パッケージ730は、その包装具720が、開封後に人工呼吸用シート728として使用可能な仕様を備えていることを特徴的な構成とする。人工呼吸シート728は逆止弁付きの仕様が望ましい。
【0043】
本救命処置用手袋パッケージ730を開き、救命処置用手袋710を取出し、包装具720を展開すると、包装具720の内側には人工呼吸用の給気口725が設けられており、そのまま人工呼吸用シート728として、救命処置手順の中の人工呼吸に供することができる。
【0044】
また、包装具720には、外側に救命処置用手袋710の使用方法説明表示が、内側に人工呼吸用シート728の使用方法説明表示が設けられた構成としてもよい。包装具720を展開しない段階では救命処置用手袋710の使用方法を確認しながら救命処置用手袋710を用いることができ、人工呼吸の手順が必要な段階では包装具720を展開して、人工呼吸用シート728の使用方法を確認しながら同シート728を用いることができる。
【0045】
以上説明したいずれかの救命処置用手袋を使用する方法であって、これを左右の手にはめ、手順表示部に示された心肺蘇生法の手順に従って使用する救命処置用手袋使用方法を行うことができる。また、図7により説明した救命処置用手袋パッケージを使用する方法であって、包装具720を開封して収容されている救命処置用手袋710を取出し、これを左右の手にはめ、手順表示部に示された心肺蘇生法の手順に従って使用し、必要に応じ包装具720を人工呼吸用シート728として用いる救命処置用手袋パッケージ使用方法を行うことができる。
【0046】
図8は、本発明救命処置用手袋の別の実施例構成を概念的に示す説明図である(手の甲側)。上述の通り本救命処置用手袋は、指上表示部における表示を図により補足する図示表示部を備えた構成とすることができるが、この図示表示部には、伝達したいことを単純な図により表現するピクトグラムや、矢印などの記号を適宜に用いることができる。図では、左右の手袋本体82L、82Rにそれぞれ、胸部圧迫の方法がピクトグラムにより示された図示表示部87L、87Lが設けられている。また手袋本体82Rの当該図示表示部87Rには合わせて矢印記号も用いられている。これらピクトグラムや記号は視認性がよく、これに接した者に対して、伝達内容を感覚的に、直感的に、瞬時に認識させることができる。したがって、緊急事態事態において用いられる本発明救命処置用手袋には大いに有用であり、適切にこれらを用いた構成とすることが望ましい。また図8の例においても、特に強調したい文字・数字等は、赤など緊急性を示す別の色を用いて表わすようにすることもよい。
【0047】
図8の例における指上表示部86a~86jには、次のように表示がなされている。
指上表示部86a:「1 周囲の安全確認」
指上表示部86b:「2 呼びかけ(反応確認)」
指上表示部86c:「3 119番へ通報」
指上表示部86d:「4 AEDの依頼」
指上表示部86e:「5 呼吸の確認」
指上表示部86f:「6 胸骨圧迫開始」
指上表示部86g:「7 垂直に強く(約5cm)」
指上表示部86h:「8 速く(1分間に100~120回)」
指上表示部86i:「9 呼吸が戻るまで続ける」
指上表示部86j:「10 可能なら人工呼吸を」
【0048】
本例では図4で示した例よりも、短く簡潔な言葉で、かつ大きな文字で表示されており、より直感的な理解をしやすい。また、手順内容にも、119番通報やAED依頼を含むなど、図4の例とは相違する点がある。この手順表示部(指上表示部)の記載もあくまでも一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。また、以上述べた実施例は、ひらがな・カタカナ・漢字を主とした日本語表記を用いたものであるが、本発明は用いる言語に限定されない。したがって、英語表記、中国語表記などを自由に用いることができる。
【0049】
また、図6等により説明した救命処置用手袋パッケージを含め、本発明救命処置用手袋をパッケージに収容した形態とする場合、パッケージ上に、救命処置手順を補助する記載を設ける構成とすることもできる。たとえば、下記のような事項の記載である。
(1)人工呼吸を促す記載として
・「可能なら人工呼吸を」
あご先を上げて気道を確保/・口対口で鼻をつまみ息を吹き込む/1回(約1秒)を2回/胸骨圧迫を30回、人工呼吸を2回 を交互に
(2)携帯端末による情報取得を促す記載
・<携帯アプリと連動>
100~120/m(分)の速度が視覚的&音でわかるアプリ
(2)の場合は、あらかじめ所定のアプリケーションソフトをインストールしておくことを推奨したり、情報取得の便宜のためにクイックレスポンス(Quick Responce)コード等を記載しておく構成としてもよい。
【0050】
さらにまた、本発明の最も根本的な特徴としての「少なくとも一方の本体の手の甲側に設けることとする手順表示部(救命処置手順表示部)」は、必ずしも日本語や英語などによる所定の言語を用いた表記とする必要はない。手順の全てが、ピクトグラムなどの図、記号、数字といった非言語表示、あるいはこれに加えて「AED」、「L(左の意味)」、「R(右の意味)」といったごく単純な文字表記の、適宜の組合せによってなされる構成であってもよい。このような非言語表示やごく単純な文字表記は、言語の壁を越えて直感的に理解され得る長所があるため、かかる手順表示部とすることで、本手袋をユニバーサルデザインとすることができる。
【0051】
図9は、本発明救命処置用手袋付きAEDセットの構成を概念的に示す説明図である。図示するように本救命処置用手袋付きAEDセット990は、以上説明したいずれかの救命処置用手袋910が自動体外式除細動器(AED)950に付属している構成である。上述したようにAEDが用いられると、その電気ショックにより心臓は静止状態となるため、速やかな救命処置が求められる。したがって、AED設置箇所やAED使用場面には、導入容易・使用方法容易な救急処置技術としての本発明救命処置用手袋910がすぐに使える状態で存在することが、極めて望ましい。
【0052】
本セット990では、AED950に救命処置用手袋910が付属しているため、かかる要請に即応することができる。これにより、危急の場面に遭遇した場合でも、AED950を使用しつつ、日常は行なうことのない、通常は全く慣れていない動作であるところの胸部圧迫等の適切な救命処置を、迷うことなく自信を持って行なうことができる。
【0053】
本セット990において救命処置用手袋910がAED950に付属している具体的な形態は、特に限定されない。AED設置箇所における同時設置、可搬式のAEDにおける同梱など、要するにAED950のすぐ傍に救命処置用手袋910が備えられている状態であればよい。
【0054】
一部繰り返しになるが、本発明救命処置用手袋やそのパッケージの取扱い等について記す。
<保管・設置場所>
防災グッズや救急箱などに常備する。また、家庭、学校、職場、公共施設、商業施設、建築工事現場、その他の工事現場、車両、船舶、その他の移動手段、水難事故の危険性がある屋内外のプール・水浴場・湖沼などに常備するとよい。
【0055】
<講習会用の使用>
救命処置法(心肺蘇生法)を予習する際に、本発明手袋等を用いる。小中学校、高校、イベントなどで心肺蘇生法について講習を行なう際に活用する、あるいは配布する。本発明手袋等を用いれば、使用法がわかりやすい上、より救命への学習意識を高めることができ、かつ記憶に残りやすく、具体性のある、学習効果の高い講習を行なうことができる。AED使用法の講習会における講習、使用も、大いに推奨される。
【0056】
また、講習後は自宅に持ち帰ることで、救急箱や防災袋、目に触れる場所などに常備することができ、日常的に備えておくことができる。また、自動車教習所での講習として本発明手袋等の使用法講習を設け、配布することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の救命処置用手袋、その使用方法、救命処置用手袋パッケージ、および救命処置用手袋付きAEDセットによれば、意識を失った傷病者との遭遇という危急の場面でも適切に使用することのできる、救命処置技術を提供することができる。本発明は手袋およびその使用方法等であり、特別な装置を所有・携帯する必要がなく、導入容易で、使用方法も簡単である。したがって、防災・救急医療産業分野、衣類製造分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0058】
1L、1R、31L、31R、41L、41R、81L、81R…手の甲側
2L、2R、32L、32R、42L、42R、82L、82R…手袋本体(本体)
3L、3R、33L、33R、83L、83R…救命処置手順表示部(手順表示部)
4L、4R、44L、44R…圧迫用表示部
5L、5R、45L、45R…手のひら側
10、310、410、510、610、710、810、910…救命処置用手袋
36a、36b、36c、36d、36e、36f、36g、36h、36i、36j、46a、46b、46c、46d、46e、46f、46g、46h、46i、46j、86a、86b、86c、86d、86e、86f、86g、86h、86i、86j…指上表示部
37L、37R、47L、47R、87L、87R…図示表示部
48L、48R、49L、49R、88L、88R…基部表示部
520、620、720…包装具
530、630、730…救命処置用手袋パッケージ
725…給気口
728…人工呼吸用シート
950…自動体外式除細動器(AED)
990…救命処置用手袋付きAEDセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9