(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】浮遊広告装置
(51)【国際特許分類】
G09F 21/12 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
G09F21/12
(21)【出願番号】P 2021185332
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2021-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519195213
【氏名又は名称】株式会社東広ライフクリエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】100101269
【氏名又は名称】飯塚 道夫
(72)【発明者】
【氏名】福島 新治
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-201393(JP,A)
【文献】特開2003-127995(JP,A)
【文献】特開2018-084955(JP,A)
【文献】登録実用新案第3208050(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0047319(US,A1)
【文献】国際公開第2015/030586(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 21/06 - 21/20
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電力供給線の一端に接続された電動無人飛行体と、
前記電動無人飛行体の動作を制御する制御手段と、
前記電動無人飛行体に吊されると共に降下時における位置決めをする着陸案内部を下端面に有した広告媒体と、
前記広告媒体の外周面とされて広告内容を変更可能としつつ表示し得ると共に屈曲可能に形成される広告表示部と、
地上に配置されて
前記電力供給線の他端に接続された電力源と、
前記広告媒体の降下時に
前記着陸案内部と嵌め合って
前記広告媒体を支持可能な支持部材と、
を含む浮遊広告装置。
【請求項2】
前記広告媒体が下面側を狭くした四角錐台形状とされ、四角錐台形状の各台形表面に
前記広告表示部を有した請求項1に記載の浮遊広告装置。
【請求項3】
前記広告媒体の
前記着陸案内部を上側が狭まるテーパ状の凹形に形成すると共に、
前記支持部材を上側が狭まるテーパ状の凸形に形成した請求項1または請求項2に記載の浮遊広告装置。
【請求項4】
前記広告表示部が薄くて屈曲可能な有機ELディスプレイとされ、
前記電力供給線がこの有機ELディスプレイにも電力を供給し得る請求項1~3のいずれかに記載の浮遊広告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収を容易としつつ、屋内外において長時間安定的かつ低コストで、場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能な遊広告装置に関し、特に自律飛行可能なドローンを用いた浮遊広告装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等の他に種々の広告媒体が従来存在しているが、例えば空気より軽いヘリウムガス等の気体を球状の気球内に充填したアドバルーン(直径2.0~2.3メートル程度の大きさ)も屋外における広告媒体の一種として存在している。しかし、ヘリウムガスは、供給不足に伴う価格高騰の影響もありコスト面での優位性が失われつつある。他に空気より軽いガスとしては水素ガスも存在するが、水素ガスは可燃性を有していることからアドバルーン用として近年一般に用いられていなかった。
他方、屋外における広告媒体としてのアドバルーンは風の影響も受けやすく、概ね45度以上の角度に傾くと運用が困難になるという欠点も有していた。
【0003】
これに対してアドバルーンの先行技術文献として下記特許文献1、2が知られている。この特許文献1には、高所用軽量スピーカ装置をアドバルーンに吊り下げて使用する技術が示されている。また、特許文献2には、頭部分、胴部分、手部分もしくは足部分等のような動かせる部分を備えたアドバルーン本体と、このアドバルーン本体に搭載した動かせる部分を動かすための駆動装置を有したアドバルーンに関する技術が示されている。
【0004】
他方、地上から電力供給するドローン等の電動無人飛行体に繋がる広告媒体を用いた先行技術文献として下記特許文献3が知られている。つまり、この特許文献3では、ヘリウムガスを使わずにドローン等により長時間安定的に広告可能な技術が示されている。
【0005】
この一方、インターネット回線等の通信回線を利用するのに伴いデータを活用した広告も近年知られるようになってきた。例えば、広告主や広告代理店が配信システムに画像や文書の広告を入力すると、通信回線を介して繋がる商業施設やビルの外部に設置された大型ディスプレイに広告を表示したり、あるいは駅の構内や電車内に設置されたディスプレイに広告を表示したりするようなものである。ただし、広告にはターゲットとする年齢層や性別層がある場合が多く、いずれの場所においても同様の広告を表示するのではなく、予め調査した時間帯や場所を選んで、広告を表示することが多いことも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3122449号公報
【文献】実用新案登録第3088954号公報
【文献】特開2020-201393公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2によるものでも、従来から用いられていたアドバルーンを使用しているので、屋外においては風の影響も受けやすく、ヘリウムガスの価格高騰の影響もありコスト面での優位性が失われつつあるという欠点を有していた。また、ドローンを利用し、広告媒体をこのドローン等に吊す特許文献3のようなものも近年考えられていたが、これまでのものは、場所や時間に合わせて異なる広告を表示することは困難である他、広告終了時においてうまく広告媒体を回収することが困難だったりしていた。
【0008】
これに対して、屋外において長時間安定的かつ低コストに広告を行えるだけでなく、場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能な広告媒体の必要性が高まっていた。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、回収を容易としつつ、屋外において長時間安定的かつ低コストで、場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能な浮遊広告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決した請求項1記載の発明は、電力を供給する電力供給線の一端に接続された電動無人飛行体と、
前記電動無人飛行体の動作を制御する制御手段と、
前記電動無人飛行体に吊されると共に降下時における位置決めをする着陸案内部を下端面に有した広告媒体と、
前記広告媒体の外周面とされて広告内容を変更可能としつつ表示し得ると共に屈曲可能に形成される広告表示部と、
地上に配置されて前記電力供給線の他端に接続された電力源と、
前記広告媒体の降下時に前記着陸案内部と嵌め合って前記広告媒体を支持可能な支持部材と、
を含む浮遊広告装置である。
【0010】
請求項1の発明のような浮遊広告装置によれば、制御手段により飛行動作が制御される電動無人飛行体に、広告内容を変更可能としつつ表示し得る広告表示部を外周面に屈曲可能に形成した広告媒体が吊されている。また、電力供給線の一端がこの電動無人飛行体に接続されると共に、この電力供給線の他端が地上に配置された電力源に接続されていて、この電力源がこの電動無人飛行体に電力供給線を介して電力を供給する。
【0011】
このため、制御手段により動作が制御されて電動無人飛行体が離陸するのに伴い、内部にヘリウムガス等の気体がなくとも広告媒体が電動無人飛行体に吊されて上昇し、併せて屈曲されていた広告表示部が広がり広告媒体が外部に情報を伝播可能となる。また、電動無人飛行体が地上に配置された電力源から電力を供給する電力供給線に接続されていることから、電力消耗に制限されない電動無人飛行体の飛行が可能となる。さらに、広告媒体の外周面を構成する広告表示部が表示する広告内容を変更可能としつつ表示し得ることで、場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能ともなる。
【0012】
この一方、広告媒体の降下時における位置決めをする着陸案内部を広告媒体の下端面に有すると共に、支持部材を地上側に有していて、この広告媒体の降下時に着陸案内部と支持部材が嵌め合って、広告媒体を支持部材が支持可能となっている。この広告媒体を支持部材が支持して格納する際に、広告媒体の外周面とされた広告表示部が屈曲可能に形成されていることから、広告表示部が屈曲して折り畳まれてコンパクトになった状態で着陸可能となることで広告媒体の回収が容易になる。
【0013】
他方、電動無人飛行体の動作が制御手段により制御されていることから、風が吹いた場合でも電動無人飛行体が一定の位置に留まるように飛行制御可能となる。
以上より、本請求項の浮遊広告装置は、ヘリウムガスの替わりに、地上からの電力供給が可能な電動無人飛行体を用いるので低コストで長時間飛行可能であり、また、電動無人飛行体が制御されて飛行することにより風の影響も受け難くなる結果として、長時間安定的に広告媒体によって広告を行えるだけでなく、場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能なようにもなる。
【0014】
請求項2の発明は、前記広告媒体が下面側を狭くした四角錐台形状とされ、四角錐台形状の各台形表面に前記広告表示部を有した請求項1に記載の浮遊広告装置である。このように広告媒体が下面側を狭くした四角錐台形状となっていることから、広告媒体が高く上昇した場合でも、広告表示部の視認性が低くなることがない。
【0015】
請求項3の発明は、前記広告媒体の前記着陸案内部を上側が狭まるテーパ状の凹形に形成すると共に、前記支持部材を上側が狭まるテーパ状の凸形に形成した請求項1または請求項2に記載の浮遊広告装置である。このように着陸案内部及び支持部材が形成されていることで、これら凹形の部分と凸形の部分が嵌め合って、広告媒体の降下の際に容易かつ確実に所定の位置に位置決めしつつ広告媒体を回収可能となる。
【0016】
請求項4の発明は、前記広告表示部が薄くて屈曲可能な有機ELディスプレイとされ、前記電力供給線がこの有機ELディスプレイにも電力を供給し得る請求項1~3のいずれかに記載の浮遊広告装置である。このように広告表示部を薄くて屈曲容易な有機ELディスプレイとし、これに伴い電力供給線で電力をこの有機ELディスプレイに供給するようにしたことで、安定的かつ視認性の高い広告を長時間安定的に供給可能となると共に、広告媒体の着陸時に折り畳んでコンパクトにすることが具体的に可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る浮遊広告装置によれば、回収を容易としつつ、屋外において長時間安定的かつ低コストで、場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る浮遊広告装置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る浮遊広告装置の広告を表示した状態における広告媒体を示す斜視図(但し、電力供給線は省略)である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る浮遊広告装置における広告媒体の下降状態を示す斜視図(但し、電力供給線は省略)である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る浮遊広告装置の広告媒体を支持部材が支持して着陸した状態を示す斜視図(但し、電力供給線は省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る浮遊広告装置の第1の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように本実施形態の浮遊広告装置においては、例えば4つのプロペラ12Aをそれぞれ回転する図示しない4つのモータを有すると共に、コントローラ16により飛行が制御されるドローン12が最上部に位置していて、このドローン12の下端側に電力を供給するための電力供給線14の一端が接続されている。
【0020】
電動無人飛行体であるこのドローン12の下側には、外部に広告情報を伝播するための広告媒体18が吊り下げられて位置している。この広告媒体18の本体部分18Aは、下面側を狭くした四角錐台形状に形成されており、この四角錐台形状の各台形表面にそれぞれ広告表示部19を有している。つまり、この広告媒体18は4面の広告表示部19を有するのに伴い、この広告表示部19が広告媒体18の外周面とされて、広告を表示し得ることになる。そして、各広告表示部19は、薄くて屈曲可能に形成された有機ELディスプレイとされていて、電力供給線14がこれらの有機ELディスプレイにも電力を供給し得るように接続されている。
【0021】
さらに、
図2に示すように、四角形のリング状にアルミニウム合金やカーボン等の軽量素材で形成された連結部材18Bが本体部分18Aの上部に設けられていて、ドローン12にこの上部連結部材18Bが4本のワイヤ20により連結されることで、この広告媒体18がドローン12に吊り下げられている。
【0022】
この広告媒体18の内部には、広告を表示するための外部からの映像信号や放送を無線により受信可能な受信機26が
図2に示すように備え付けられており、この受信機26が各広告表示部19を構成する有機ELディスプレイに図示しないもののそれぞれ接続されている。このため、
図1に示すコントローラ16から受信した広告内容や放送内容を各広告表示部19が映像等により広告内容を変更可能としつつ表示可能になっている。
【0023】
この一方、広告媒体18は、降下時におけるこの広告媒体18の位置決めをするためのアルミニウム合金等の金属材料で形成された着陸案内部22を下端面に有していて、この着陸案内部22の中央部分は、上側が狭まるテーパ状の凹形に形成された凹部22Aとされている。これに対応して地上には、広告媒体18の降下時にこの着陸案内部22と嵌め合って広告媒体18を支持可能な鉄等の金属材料で形成された支持部材24が配置されているが、この支持部材24の中央部分は、上側が狭まるテーパ状の凸形に形成された凸部24Aとされている。
【0024】
具体的には、
図3に示すように、これら凹部22A及び凸部24Aがほぼ相互に同一長さの直線状にそれぞれ形成された凹形と凸形とされているものの、先端側が細く根元側が広くされるような稜線を有していて、凹部22Aと凸部24Aとが相互に嵌め合うような大きさになっている。
【0025】
他方、
図1に示すように、ドローン12に接続された電力供給線14は広告媒体18内を貫通して地上まで下方に伸びていて、地上に配置された電力源32にこの電力供給線14の他端が接続されている。このため、電力供給線14を介して電力源32からドローン12及び各広告表示部19に常時電力が供給可能となっている。
【0026】
次に、本実施形態の浮遊広告装置の起動時における動作を説明する。
図4に示すように、ドローン12の他に広告媒体18が地上の支持部材24上に位置しているが、無線或いは有線でドローン12を制御することになる制御手段であるコントローラ16を操作し、ドローン12を起動してモータを回転することで、ドローン12を離陸させて上昇させることができる。これに伴ってこのドローン12につり下げられた広告媒体18も上昇するが、屈曲可能な蛇腹状もしくは柔軟素材により広告表示部19が形成されているので、この広告表示部19を含む広告媒体18が屈曲された状態から上下方向に沿って広がり
図1に示す状態になる。
【0027】
この際、コントローラ16により例えばGPS上の緯度経度のポイントを地上に設置された支持部材24の位置に合わせて予め設定することで、この予め定められた一定の位置の上空上にドローン12が静止して常時保持されるように、制御することが可能となる。そして、このような状態で広告表示部19の電源を入れて広告情報の表示を開始する。
【0028】
次に、本実施形態に係る浮遊広告装置の作用を以下に説明する。
本実施形態の浮遊広告装置によれば、コントローラ16により飛行動作が制御されるドローン12に、下面側を狭くした四角錐台形状とした広告媒体18が吊され、この広告媒体18の下端面が降下時における位置決めをするための着陸案内部22とされている。この四角錐台の広告媒体18の外周面とされる各台形表面には、広告を表示し得る薄くて屈曲可能な有機ELディスプレイである広告表示部19が配置されている。
【0029】
この有機ELディスプレイには広告の内容として、例えば
図2に示すように正面の広告表示部19にはコップに注がれたアイスコーヒー等が表示され、右側の広告表示部19には「ADRONE」の文字が表示されている。但し、裏面側の2面の広告表示部19にも、これらと同一あるいは異なる表示が当然にされている。
【0030】
そして、上記のように広告媒体18が下面側を狭くした四角錐台形状となっていることから、広告媒体18が高く上昇した場合でも、有機ELディスプレイの視認性が低くなることがない。さらに、コントローラ16により動作が制御されてドローン12が、予め地上に設置されている支持部材24から離陸するのに伴い、広告媒体18の上側が引き上げられることで、この広告媒体18の屈曲可能な蛇腹構造とされた各広告表示部19が上下方向に自然に広がる。つまり、ヘリウムガス等の気体が内部になくとも広告媒体18がドローン12に吊されて各広告表示部19が平面となりつつ上昇し、広告媒体18が外部に広告情報を伝播可能となる。
【0031】
また、ドローン12に一端を接続した電力供給線14の他端が地上に配置された電力源32に接続されているため、電力源32からの電力が供給されていることから、電力消耗に制限されることなく、長時間の飛行が可能となる。この際、コントローラ16により、予め定められた空間上の位置にドローン12が常時保持されるように制御されることで、風が吹いた場合でも、風の力に抗して一定の位置に留まるようにドローン12が飛行して、自律して位置を保持可能となる。これに伴い、広告媒体18も必要以上に移動したり傾いたりすることなく、安定的な広告が可能となる。
【0032】
さらに、広告表示部19とされる有機ELディスプレイにも電力供給線14が接続されるのに伴い、電力供給線14を介してこの有機ELディスプレイにも電力源32が電力を供給していることで、この有機ELディスプレイに電力が供給されて安定的かつ視認性の高い広告を長時間安定的に供給可能となる。
【0033】
この一方、広告が終了して広告媒体18を降下させる際には、広告表示部19の電源を切り広告の表示を終了すると共に、ドローン12のモータの回転数を制御しつつ低下させて徐々に広告媒体18を下降していくのに伴い、
図3に示すように支持部材24の上に誘導する形で、更に下降する。
【0034】
この下降に際して、広告媒体18の降下時における位置決めをするための着陸案内部22が広告媒体18の下端面に有るが、上側が狭まるテーパ状の凹形とされる凹部22Aがこの着陸案内部22の中央部分に形成されている。また、地上には支持部材24が配置されているが、上側が狭まるテーパ状の凸形とされる凸部24Aがこの支持部材24の中央部分に形成されている。
【0035】
このように着陸案内部22及び支持部材24が形成されていることで、この広告媒体18の降下時に着陸案内部22と支持部材24が嵌め合って、容易に所定の位置に位置決め可能となるのに伴い、広告媒体18を支持部材24が確実に支持可能となっている。そして、この広告媒体18を支持部材24が支持する際に、広告媒体18の外周面とされた広告表示部19が屈曲可能に形成されていることから、
図4に示すように広告表示部19が屈曲して折り畳まれてコンパクトになった状態で着陸可能となって広告媒体18の回収が容易になる。
【0036】
以上より、本実施形態の浮遊広告装置は、ヘリウムガスの替わりに、地上の電力源32からの電力供給が可能なドローン12を用いるので低コストで長時間飛行可能であり、また、ドローン12がコントローラ16により制御されて飛行することにより風の影響も受け難くなる結果として、長時間安定的に広告媒体18より広告を行えるだけでなく、広告表示部19により場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能なようにもなる。
【0037】
なお、上記実施形態では、コントローラ16からの受信用として受信機26を採用したが、外部のインターネット回線等の通信回線の端末とされる送信機から有線や無線で送信された広告内容を受信機26が受信するようにしても良い。また、受信機26の替わりに、必要量のバッテリー及びメモリ等を搭載して広告内容を記憶しておいたコンピュータ等を採用しても良い。
【0038】
さらに、上記実施形態では、広告媒体18の本体部分18Aが、正四角錐台とされる四角錐台形状に形成されているが、正四角錐台で無くとも良く四角錐台以外の三角錐台形状や五角錐台形状及び、二面形状や半球形状としても良い。また、広告表示部19として有機ELディスプレイだけでなく、周知なディスプレイを採用しても良い。
【0039】
なお、有機ELディスプレイとしては、日本放送協会のNHK放送技術研究所により近年開発された薄くて軽いフレキシブル有機ELディスプレイを採用することができる。このフレキシブル有機ELディスプレイは30インチで4Kとされているが、厚さ0.5mmであり重さが100グラムで、曲げたり丸めたりして収納可能なものである。
【0040】
この一方、上記実施形態では、着陸案内部22にテーパ状の凹形に形成した凹部22Aを設け、支持部材24にテーパ状の凸形に形成した凸部24Aを設けたが、凹部と凸部をこれらの逆に配置しても良い。これとは別に、ロープの一端を広告媒体18に取り付けると共に、アンカーを地上に設置してロープの他端をこのアンカーに取り付けることで、ドローン12の制御不良が生じたような場合でも問題なく回収が可能になる。さらに、ドローン12からワイヤ20を取り外す等によりドローン12と広告媒体18を分離可能な構造とすれば、浮遊広告装置の非運用時において、屈曲可能な蛇腹構造とされて折り畳まれた広告媒体18の運搬の簡便性が高まると共に躯体保護が容易となる。
【0041】
他方、電力源32は、それ自体を大型のバッテリーとしても良く、外部の電線から電力の供給を受けたり、エンジン等により発電機を駆動して電力を発生したりするようなものでも良い。さらに、上記実施形態では制御手段をコントローラとしたが、コンピュータ等を制御手段として用いても良く、制御方式としては、予めプログラムやデータを入力するようなものでも良いが、無線や有線でドローン12を直接操縦するようなものでも良い。
【0042】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、屋内外におけるアドバルーンとしての広告媒体だけでなく、有機ELディスプレイによる発光により、夜間のランドマーク替わりにしたりすることが可能となる他、各種産業分野に適用可能となる。
【符号の説明】
【0044】
12 ドローン(電動無人飛行体)
14 電力供給線
16 コントローラ(制御手段)
18 広告媒体
19 広告表示部(有機ELディスプレイ)
22 着陸案内部
22A 凹部
24 支持部材
24A 凸部
26 受信機
32 電力源
【要約】
【課題】 回収を容易としつつ、屋内外において長時間安定的かつ低コストで場所や時間に合わせて異なる広告を表示可能な浮遊広告装置を得る。
【解決手段】 コントローラ16により飛行が制御されるドローン12が最上部に位置し、ドローン12の下端側に電力を供給するための電力供給線14の一端が接続される。ドローン12の下側に下面側を狭くした四角錐台形状とされた広告媒体18が吊り下げられ、この広告媒体18の外周面が薄くて屈曲可能に形成される広告表示部19とされる。電力供給線14は、広告媒体18内を貫通して広告表示部19にも電力を供給し地上まで伸び、地上に配置された電力源32に他端が接続される。広告媒体18の下端面にある着陸案内部22と嵌め合って広告媒体18を支持可能な支持部材24が、降下時における位置決めをすると共に、広告媒体18を支持する。
【選択図】
図1