(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】飛行体操縦システム及び飛行体操縦システムを用いて飛行体を操縦する方法
(51)【国際特許分類】
B64C 13/20 20060101AFI20220216BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220216BHJP
B64C 27/28 20060101ALI20220216BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220216BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20220216BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220216BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20220216BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20220216BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20220216BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B64C13/20 Z
B64C27/08
B64C27/28
B64C39/02
B64D47/08
G03B15/00 S
G03B15/00 W
G03B17/18 Z
G03B37/00 A
G03B37/00 C
H04N5/222 100
H04N5/232 030
H04N5/232 930
H04N5/232 990
(21)【出願番号】P 2017213312
(22)【出願日】2017-11-03
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170148(WO,A1)
【文献】特開2017-163265(JP,A)
【文献】特開2017-119501(JP,A)
【文献】特開2015-194069(JP,A)
【文献】特開2006-024128(JP,A)
【文献】特開平11-291991(JP,A)
【文献】特開2009-173263(JP,A)
【文献】特開2016-161194(JP,A)
【文献】特開2016-119655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/20
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 47/08
G03B 37/00
G03B 15/00
G03B 17/18
H04N 5/232
H04N 5/222
B64C 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦者によって
第1の送信機で操縦される飛行体、
前記第1の送信機により操作され、該飛行体に搭載され
て第1の映像を取得する映像取得用カメラ、及び該映像取得用カメラで取得された前記第1の映像
の少なくとも一部が表示される第1の表示部と、
撮影者によって前記第1の送信機とは異なる第2の送信機で操作され、前記飛行体に搭載されて前記第1の映像とは異なる第2の映像を取得する記録用カメラ、及び前記第2の映像
の少なくとも一部を記録する記録媒体と、備えた飛行体操縦システムであって、
前記第1の表示部に表示される前記第1の映像の中心と前記飛行体の進行方向とを一致させる飛行体進行方向決定部と、
を備えることを特徴とする飛行体操縦システム。
【請求項2】
前記
第1の表示部に表示される前記第1の映像を取得する方向と、前記記録用カメラが前記第2の映像を取得する方向とは、
互いに異なる前記第1の送信機及び前記第2の送信機により互いに独立して制御可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の飛行体操縦システム。
【請求項3】
前記映像取得用カメラは、全方位の映像を取得可能なカメラであり、前記記録用カメラは、前記映像取得用カメラとは異なる種類のカメラである、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の飛行体操縦システム。
【請求項4】
前記記録用カメラの前記第2の映像を取得する方向にあわせて、前記飛行体の向きが調整される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の飛行体操縦システム。
【請求項5】
操縦者によって
第1の送信機で操縦される飛行体、
前記第1の送信機により操作され、該飛行体に搭載されて第1の映像を取得する映像取得用カメラ、及び該映像取得用カメラで取得された前記第1の映像
の少なくとも一部が表示される第1の表示部と、
撮影者によって前記第1の送信機とは異なる第2の送信機で操縦され、前記飛行体に搭載されて前記第1の映像とは異なる第2の映像を取得する記録用カメラ、及び前記第2の映像
の少なくとも一部を記録する記録媒体と、を備えた飛行体操縦システムを用いた飛行体操縦方法であって、
飛行体進行方向決定部により、前記第1の表示部に表示される前記第1の映像の中心と前記飛行体の進行方向とを一致させる飛行体進行方向決定ステップと、
を備えることを特徴とする飛行体操縦方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体操縦システム及び飛行体操縦システムを用いて飛行体を操縦する方法、特に、操縦者によって送信機で操縦される飛行体、飛行体に搭載されて飛行体からの映像を取得する映像取得用カメラ、及び映像取得用カメラで取得された映像を視認可能な頭部装着表示器を備えた飛行体操縦システム、及びこの飛行体操縦システムを用いて飛行体を操縦する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物を高所から観察したり、上空から地上を空撮したりする場合には、近年、複数のプロペラの回転によって飛行するいわゆるドローンあるいはマルチコプタといった飛行体が用いられることがある。特許文献1には、監視領域を飛行しながら撮影する撮影手段を搭載した飛行体が開示されている。
【0003】
このように、飛行体を用いて監視領域を撮影する場合には、監視領域の状況によっては、操縦者の位置から飛行体を視認することができなくなる場合があり、このような場合には、飛行体が視認できる位置まで操縦者が移動して、飛行体を操縦する必要がある。
【0004】
しかし、監視領域が高所であったり、人が立ち入ることが困難な領域であったりするような場合は、飛行体が視認できる位置まで操縦者が移動することができなくなる場合があり、事実上、飛行体によって監視領域を撮影することができなくなる。
【0005】
このような対策として、飛行体の操縦者が、飛行体に搭載された全天球カメラで取得した映像をヘッドマウントディスプレイで見ながら、飛行体で操縦することが可能な飛行体操縦システムが提案されている。
【0006】
図6は、この種の飛行体操縦システムの概略を説明する図である。図示のように、飛行体操縦システム100は、操縦者Mに操作される送信機101aによって操縦される飛行体101、この飛行体101の上下方向に搭載されて飛行体101の全方位であるXYZ方向を映像として取得可能な2基の全天球カメラ102、全天球カメラ102で取得した映像が映し出されて操縦者Mが装着するヘッドマウントディスプレイ103(以下「HMD103」という。)を主要構成として備える。
【0007】
この飛行体操縦システム100によれば、全天球カメラ102で取得した映像がHMD103に映し出されることから、操縦者Mは、飛行体101を直接的に見ることなく、HMD103に映し出された映像を見ながら操縦することが可能となる(目視外飛行)。
【0008】
例えば、
図7(a)で示すように、HMD103を装着した操縦者MがN方向を向いている場合は、飛行体101の視野領域Aにおいて、全天球カメラ102がN方向を中心とした映像を視野情報a1として取得することから、操縦者Mは、HMD103によって視野情報a1を見ながら、飛行体101を操縦することとなる。
【0009】
一方、
図7(b)で示すように、HMD103を装着した操縦者MがNE方向を向いている場合は、飛行体101の視野領域Aにおいて、全天球カメラ102がNE方向を中心とした映像を視野情報a2として取得することから、操縦者Mは、HMD103によって視野情報a2を見ながら、飛行体101を操縦することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の飛行体操縦システム100によれば、
図7(a)で示すように、操縦者Mが送信機101aによって飛行体101の進行方向を矢線fで示す前進方向に入力すると、飛行体101は矢線Fで示す進行方向に飛行することから、操縦者MがHMD103によって見ている視野情報a1と飛行体101の進行方向Fとが一致する。
【0012】
しかし、
図7(b)で示すように、操縦者MがNE方向を向いている場合は、操縦者Mが送信機101aによって飛行体101を旋回させて、その進行方向FをN方向からNE方向に変更しない限りは、操縦者MがHMD103によって見ている視野情報a2と飛行体101の進行方向Fとが一致しないこととなる。
【0013】
このとき、操縦者Mは、視野情報a2と飛行体101の進行方向Fとの不一致によって飛行体101の操縦感覚を喪失する場合があることが想定され、操縦感覚の喪失が飛行体101の誤操縦につながる可能性もあることが懸念される。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、飛行体が取得した映像を見ながら飛行体を操縦する際に、飛行体の操縦を適切に補助することができる飛行体操縦システム、及び飛行体操縦システムを用いて飛行体を操縦する方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を達成するための、本発明に係る飛行体操縦システムは、操縦者によって送信機で操縦される飛行体、飛行体に搭載されて飛行体からの映像を取得する映像取得用カメラ、及び映像取得用カメラで取得された映像が表示される表示部とこの表示部を操縦者の頭部に装着する装着部とを有して操縦者が表示部に表示される映像を視認可能な頭部装着表示器を備えた飛行体操縦システムにおいて、操縦者からみた全方位と飛行体からみた全方位とを一致させて、装着者の全方位において頭部装着表示器を装着した操縦者の頭部が向く方向に飛行体の全方位において映像取得用カメラで映像を取得する方向を追従させる映像取得手段と、映像取得手段で追従させる映像取得用カメラで映像を取得する方向と飛行体の進行方向とを一致させる飛行体進行方向決定手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
この飛行体操縦システムによれば、映像取得手段が、操縦者からみた全方位と飛行体からみた全方位とを一致させて、飛行体の全方位において映像取得用カメラで映像を取得する方向を、頭部装着表示器を装着した操縦者の全方位における頭部の動きに追従させることから、操縦者は、飛行体の全方位における映像を任意に取得して頭部装着表示器で見ることができる。
【0017】
しかも、飛行体進行方向決定手段は、映像取得用カメラで映像を取得する方向と飛行体の進行方向とを一致させることから、飛行体の進行方向の映像を、操縦者が頭部装着表示器で見ながら、見ている映像に従って飛行体を操縦することができる。
【0018】
したがって、操縦者が、飛行体の操縦感覚を喪失することがないことから、誤操縦の可能性が低減されて飛行体の安全な操縦が実現される。
【0019】
しかも、この飛行体操縦システムの飛行体進行方向決定手段は、飛行体の進行方向を映像取得用カメラで映像を取得する方向に一致させることを特徴としている。したがって、操縦者が頭部装着表示器で見る方向の映像に従って飛行体が飛行することから、操縦者の操縦フィーリングが向上する。
【0020】
さらに、飛行体操縦システムは、飛行体からの映像を取得して記録媒体に記録する記録用カメラが飛行体に搭載されたことを特徴としている。これによれば、安全な操縦が実現される飛行体からの映像が取得されて記録されることから、映像の精度が向上することを期待し得る。
【0021】
上記課題を達成するための、本発明に係る飛行体を操縦する方法は、操縦者によって送信機で操縦される飛行体、飛行体に搭載されて飛行体からの映像を取得する映像取得用カメラ、及び映像取得用カメラで取得された映像が表示される表示部とこの表示部を操縦者の頭部に装着する装着部とを有して操縦者が表示部に表示される映像を視認可能な頭部装着表示器を備えた飛行体操縦システムを用いて飛行体を操縦する方法において、映像取得手段を用いて、操縦者からみた全方位と飛行体からみた全方位とを一致させて、操縦者の全方位において頭部装着表示器を装着した操縦者の頭部が向く方向に飛行体の全方位において映像取得用カメラで映像を取得する方向を追従させる映像取得方向追従ステップと、映像取得方向追従ステップで追従させる映像取得用カメラで映像を取得する方向と飛行体の進行方向とを飛行体進行方向決定手段によって一致させる飛行体進行方向決定ステップと、を備えることを特徴としている。
【0022】
飛行体を操縦するこの方法によれば、操縦者が、飛行体の操縦感覚を喪失することがないことから、誤操縦の可能性が低減されて飛行体の安全な操縦が実現される。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、操縦者が、飛行体の操縦感覚を喪失することがないことから、誤操縦の可能性が低減されて飛行体の安全な操縦が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態に係る飛行体操縦システムの概略を説明する図である。
【
図2】同じく、本実施の形態に係る飛行体操縦システムの構成の概略を説明するブロック図である。
【
図3】同じく、本実施の形態に係る飛行体操縦システムの映像取得手段の作動概略を説明する図である。
【
図4】同じく、本実施の形態に係る飛行体操縦システムの作動概略を説明する図である。
【
図5】同じく、本実施の形態に係る飛行体操縦システムの作動概略を説明する図である。
【
図6】現状の飛行体操縦システムの概略を説明する図である。
【
図7】同じく、現状の飛行体操縦システムの作動概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、
図1~
図5に基づいて、本発明の実施の形態に係る飛行体操縦システムについて説明する。
【0026】
なお、本実施の形態において、飛行体が複数のプロペラの回転によって飛行するドローンである場合を例として説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る飛行体操縦システムの概略を説明する図、
図2は、同じく本実施の形態に係る飛行体操縦システムの構成の概略を説明するブロック図である。
【0028】
図示のように、飛行体操縦システム10は、操縦者M1に操作される送信機27によって操縦されるドローン20、ドローン20の上下方向に搭載されてドローン20の全方位であるXYZ方向を映像として取得可能な2基の映像取得用カメラである全天球カメラ22-1、22-2、全天球カメラ22-1、22-2で取得した映像が映し出されて操縦者M1が装着する頭部装着表示器であるヘッドマウントディスプレイ30(以下「HMD30」という。)を備える。
【0029】
この飛行体操縦システム10は、HMD30と全天球カメラ22-1、22-2とドローン20とを連携させる飛行体操縦プログラム50が格納される多機能型携帯情報端末であるスマートフォン40を備える。
【0030】
さらに、飛行体操縦システム10は、撮影者M2に操作される4kカメラ用送信機28によって操作されるとともに、ドローン20に搭載されてドローン20からの映像を取得して記録媒体であるメモリ26に記録する記録用カメラである4kカメラ25を備える。
【0031】
ドローン20は、本実施の形態では、スマートフォン40に内蔵された後述する送受信インターフェース41からの追従信号s3及び飛行方向決定信号s5、送信機27からの操縦信号s6、及び4kカメラ用送信機28からの操作信号s7に基づいてドローン20の各種の作動を制御するフライトコントローラ21が格納された本体部20A、及び本体部20Aに設けられてモータ24の駆動によって回転する4基のプロペラ20Bを主要構成として備える。
【0032】
本体部20Aに格納されたフライトコントローラ21は、本実施の形態では、全天球カメラ22-1、22-2による映像の取得を制御するとともに、同じく本体部20Aに格納されてモータ24の駆動を制御する制御モジュール23を制御し、かつ4kカメラ25による映像の取得を制御する。
【0033】
全天球カメラ22-1、22-2は、本実施の形態では、フライトコントローラ21を介した追従信号s3に基づいて、ドローン20の全方位であるXYZ方向における任意の方向の映像を取得し、取得した映像を視野情報aとしてフライトコントローラ21に出力する。
【0034】
制御モジュール23は、本実施の形態では、フライトコントローラ21を介した飛行方向決定信号s5、操縦信号s6及び操作信号s7に基づいて、並進運動x、y及びz、並びに回転運動θ1、θ2及びθ3といった6自由度を有するドローン20の空間的配置、速度、及び加速度を調整して、モータ24の駆動を制御する。
【0035】
4kカメラ25は、本実施の形態では、フライトコントローラ21を介した操作信号s7に基づいて、メモリ26に記録される記録用の映像を取得する。
【0036】
HMD30は、本実施の形態では、表示部31及び表示部31を操縦者M1の頭部に装着する装着部32を備える。
【0037】
表示部31は、本実施の形態では、HMD30を装着する操縦者M1の頭部の動きや角度や方向等を操縦者M1の全方位であるXYZ方向において検知するジャイロセンサ31a及び加速度センサ31b、及び全天球カメラ22-1、22-2で取得された映像が表示される表示ディスプレイ31cを備える。
【0038】
ジャイロセンサ31a及び加速度センサ31bで検知された操縦者M1のXYZ方向における頭部の動きや角度や方向等はそれぞれ、制御信号s1及び制御信号s2として、スマートフォン40の送受信インターフェース41に送信される。
【0039】
一方、表示ディスプレイ31cには、全天球カメラ22-1、22-2で取得された映像が視野情報aとして、フライトコントローラ21及び送受信インターフェース41を介して送信される。
【0040】
スマートフォン40には、本実施の形態では、送受信インターフェース41が内蔵されるとともに、飛行体操縦プログラム50が格納されている。
【0041】
送受信インターフェース41は、ジャイロセンサ31a及び加速度センサ31bからの制御信号s1、s2を受信して飛行体操縦プログラム50に送信するとともに、飛行体操縦プログラム50から入力される追従信号s3及び飛行方向決定信号s5をフライトコントローラ21に送信し、かつフライトコントローラ21から視野情報aを受信して表示ディスプレイ31cに送信する。
【0042】
飛行体操縦プログラム50は、本実施の形態では、映像取得手段51及び飛行体進行方向決定手段であるドローン進行方向決定手段52を備える。
【0043】
映像取得手段51は、送受信インターフェース41を介してジャイロセンサ31a及び加速度センサ31bからの制御信号s1、s2を受信し、この制御信号s1、s2に基づいて、HMD30を装着した操縦者M1のXYZ方向における頭部の動きや角度や方向等を把握する。
【0044】
さらに、映像取得手段51は、このように把握した操縦者M1の頭部の動きや角度や方向等に基づいて、操縦者M1からみたXYZ方向とドローン20からみたXYZ方向とを一致させて、ドローン20のXYZ方向の任意の映像を取得するように全天球カメラ22-1、22-2に指示する追従信号s3を生成する。
【0045】
例えば、
図3で示すように、HMD30を装着した操縦者M1がN方向を向いている場合は、制御信号s1、s2に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2で映像を取得する方向がドローン20の視野領域AにおけるN方向となるように、追従信号s3を生成する。
【0046】
この追従信号s3に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2によって、ドローン20の視野領域AにおけるN方向を中心とした映像が視野情報a1として取得される。
【0047】
一方、HMD30を装着した操縦者M1がN方向からNE方向に向きを変えた場合は、制御信号s1、s2に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2で映像を取得する方向がドローン20の視野領域AにおけるNE方向となるように、追従信号s3を生成する。
【0048】
この追従信号s3に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2によって、ドローン20の視野領域AにおけるN方向を中心とした視野情報a1から、NE方向を中心とした視野情報a2が取得される。
【0049】
さらに、映像取得手段51は、追従信号s3を飛行方向指示信号s4として、ドローン進行方向決定手段52に出力する。
【0050】
ドローン進行方向決定手段52は、本実施の形態では、飛行方向指示信号s4に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2で映像を取得する方向とドローン20の進行方向とを一致させるものである。
【0051】
具体的には、映像取得手段51から出力された飛行方向指示信号s4に基づいて、ドローン20の進行方向を、視野情報aとしての映像を全天球カメラ22-1、22-2で取得する方向に一致させる飛行方向決定信号s5を生成し、この飛行方向決定信号s5を、送受信インターフェース41及びフライトコントローラ21を介して制御モジュール23に送信する。
【0052】
次に、
図4及び
図5に基づいて、飛行体操縦システム10の作動概略を説明する。
【0053】
図4(a)で示すように、例えば、HMD30を装着した操縦者M1がN方向を向いている場合は、制御信号s1、s2に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2で映像を取得する方向がドローン20の視野領域AにおけるN方向となるように、追従信号s3を生成する。
【0054】
この追従信号s3に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2によって、ドローン20の視野領域AにおけるN方向を中心とした映像が視野情報a1として取得される。
【0055】
このとき、飛行体操縦プログラム50の映像取得手段51は、追従信号s3を飛行方向指示信号s4として、ドローン進行方向決定手段52に出力する。ドローン進行方向決定手段52は、飛行方向指示信号s4に基づいて、ドローン20の進行方向を視野情報a1と一致させてN方向とする飛行方向決定信号s5を生成して、制御モジュール23に送信する。
【0056】
この場合において、操縦者M1が送信機27によってドローン20の進行方向を矢線fで示す前進方向に入力すると、送信機27からの操縦信号s6がフライトコントローラ21を介して制御モジュール23に送信され、ドローン20は、視野情報a1と一致する矢線Fで示す進行方向であるN方向に飛行する。
【0057】
一方、
図4(b)で示すように、例えば、HMD30を装着した操縦者M1がN方向からNE方向に向きを変えた場合は、制御信号s1、s2に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2で映像を取得する方向がドローン20の視野領域AにおけるNE方向となるように、追従信号s3を生成する。
【0058】
この追従信号s3に基づいて、全天球カメラ22-1、22-2によって、ドローン20の視野領域AにおけるNE方向を中心とした映像が視野情報a2として取得される。
【0059】
このとき、飛行体操縦プログラム50の映像取得手段51は、追従信号s3を飛行方向指示信号s4として、ドローン進行方向決定手段52に出力する。ドローン進行方向決定手段52は、飛行方向指示信号s4に基づいて、ドローン20の進行方向を視野情報a2と一致させてNE方向とする飛行方向決定信号s5を生成して、制御モジュール23に送信する。
【0060】
この場合において、操縦者M1が送信機27によってドローン20の進行方向を矢線fで示す前進方向に入力すると、送信機27からの操縦信号s6がフライトコントローラ21を介して制御モジュール23に送信され、ドローン20は、視野情報a2と一致する進行方向FであるNE方向に飛行する。
【0061】
図5は、操縦者M1によってドローン20が操縦され、撮影者M2によってドローン20に搭載された4kカメラ25が操作される場合の飛行体操縦システム10の作動概略を説明する図である。
【0062】
図5(a)で示すように、HMD30を装着した操縦者M1がN方向を向いている場合は、全天球カメラ22-1、22-2によって、ドローン20の視野領域AにおけるN方向を中心とした映像が視野情報a1として取得される。
【0063】
このとき、ドローン20の進行方向は、ドローン進行方向決定手段52によって、視野情報a1と一致するN方向に設定されることから、操縦者M1が送信機27によってドローン20の進行方向を前進方向fに入力すると、ドローン20は、視野情報a1と一致する進行方向FであるN方向に飛行する。
【0064】
一方、撮影者M2が、4kカメラ用送信機28によって、4kカメラ25で映像を取得する方向がN方向となるように操作すると、操作信号s7がフライトコントローラ21を介して制御モジュール23に送信されて、4kカメラ25がN方向の映像を取得可能となるようにドローン20の向きが調整される。
【0065】
同様に、操作信号s7がフライトコントローラ21を介して4kカメラ25に送信されて、この4kカメラ25によってN方向の映像が取得されて、取得された映像がメモリ26に記録される。
【0066】
すなわち、操縦者M1がHMD30で見ているN方向を中心とした視野情報a1と一致する方向を進行方向Fとしてドローン20が飛行するとともに、撮影者M2が操作する4kカメラ25によって、ドローン20の進行方向Fであって操縦者M1がHMD30で見ているN方向の視野情報a1が記録用の映像として取得される。
【0067】
図5(b)で示すように、HMD30を装着した操縦者M1がN方向を向いており、全天球カメラ22-1、22-2によってN方向の映像が視野情報a1として取得される場合であって、ドローン20が視野情報a1と一致する進行方向FであるN方向に飛行する場合において、撮影者M2が、4kカメラ用送信機28によって、4kカメラ25で映像を取得する方向がE方向となるように操作する。
【0068】
このように操作すると、操作信号s7がフライトコントローラ21を介して制御モジュール23に送信されて、4kカメラ25がE方向の映像を取得可能となるようにドローン20の向きが調整される。
【0069】
同様に、操作信号s7がフライトコントローラ21を介して4kカメラ25に送信されて、この4kカメラ25によってE方向の映像が取得されて、取得された映像がメモリ26に記録される。
【0070】
すなわち、操縦者M1がHMD30で見ているN方向を中心とした視野情報a1と一致する方向を進行方向Fとしてドローン20が飛行するとともに、撮影者M2の操作によってドローン20の向きが調整されてE方向の映像が取得可能となった4kカメラ25によって、記録用のE方向の映像が取得される。
【0071】
一方、
図5(c)で示すように、HMD30を装着した操縦者M1がN方向からE方向に向きを変えた場合は、全天球カメラ22-1、22-2によって、ドローン20の視野領域AにおけるE方向を中心とした映像が視野情報a3として取得される。
【0072】
このとき、ドローン20の進行方向は、ドローン進行方向決定手段52によって、視野情報a3と一致するE方向に設定されることから、操縦者M1が送信機27によってドローン20の進行方向を前進方向fに入力すると、ドローン20は、視野情報a3と一致する進行方向FであるE方向に飛行する。
【0073】
一方、撮影者M2が、4kカメラ用送信機28によって、4kカメラ25で映像を取得する方向がS方向となるように操作すると、操作信号s7がフライトコントローラ21を介して制御モジュール23に送信されて、4kカメラ25がS方向の映像を取得することが可能となるようにドローン20の向きが調整される。
【0074】
同様に、操作信号s7がフライトコントローラ21を介して4kカメラ25に送信されて、この4kカメラ25によってS方向の映像が取得されて、取得された映像がメモリ26に記録される。
【0075】
すなわち、操縦者M1がHMD30で見ているE方向を中心とした視野情報a3と一致する方向を進行方向Fとしてドローン20が飛行するとともに、撮影者M2の操作によってドローン20の向きが調整されてS方向の映像が取得可能となった4kカメラ25によって、記録用のS方向の映像が取得される。
【0076】
このように、本実施の形態の飛行体操縦システム10は、映像取得手段51が、操縦者M1からみたXYZ方向とドローン20からみたXYZ方向とを一致させて、ドローン20のXYZ方向における視野情報aとしての映像を全天球カメラ22-1、22-2で取得する方向を、HMD30を装着した操縦者M1のXYZ方向における頭部の動きに追従させることから、操縦者M1は、ドローン20のXYZ方向における映像を任意に取得してHMD30で見ることができる。
【0077】
このとき、ドローン進行方向決定手段52は、全天球カメラ22-1、22-2で視野情報aを取得する方向とドローン20の進行方向Fとを一致させることから、ドローン20の進行方向Fの映像を、操縦者M1がHMD30によって視野情報aとして見ながら、見ている視野情報aに従ってドローン20を操縦することができる。
【0078】
したがって、操縦者M1が、ドローン20の操縦感覚を喪失することがないことから、誤操縦の可能性が低減されてドローン20の安全な操縦が実現される。
【0079】
特に、本実施の形態では、ドローン20の進行方向Fを、全天球カメラ22-1、22-2で視野情報aを取得する方向に一致させることから、操縦者M1がHMD30で見る方向の視野情報aに従ってドローン20が飛行する。したがって、操縦者M1の操縦フィーリングが向上する。
【0080】
しかも、本実施の形態では、ドローン20からの映像を取得してメモリ26に記録する4kカメラ25がドローン20に搭載されているところ、安全な操縦が実現されるドローン20からの映像が取得されて記録されることから、映像の精度が向上することも期待し得る。
【0081】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、飛行体操縦プログラム50がスマートフォン40に格納された場合を説明したが、例えば、飛行体操縦プログラム50はドローン20に格納されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 飛行体操縦システム
20 ドローン(飛行体)
21 フライトコントローラ
22-1、22-2 全天球カメラ(映像取得用カメラ)
23 制御モジュール
25 4kカメラ(記録用カメラ)
26 メモリ(記録媒体)
30 HMD(頭部装着表示器)
31 表示部
31a ジャイロセンサ
31b 加速度センサ
32 装着部
40 スマートフォン
41 送受信インターフェース
50 飛行体操縦プログラム
51 映像取得手段
52 ドローン進行方向決定手段(飛行体進行方向決定手段)