(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】空缶用コンベア
(51)【国際特許分類】
B65G 23/04 20060101AFI20220216BHJP
B65G 47/80 20060101ALI20220216BHJP
B65B 3/04 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B65G23/04 A
B65G23/04 C
B65G47/80 A
B65B3/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017247001
(22)【出願日】2017-12-22
【審査請求日】2020-12-22
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512252951
【氏名又は名称】ヒンターコプフ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ドレクスラー
(72)【発明者】
【氏名】ステフェン オスワルド
(72)【発明者】
【氏名】アラン ゴサー
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第04010601(DE,C1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0183970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 23/04
B65G 47/80
B65B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械フレーム(6)を有し、少なくとも1つのコンベアドラム(10)が、回転軸(15)周りを回転可能であるように前記機械フレーム(6)上に支持され、前記コンベアドラム(10)は、前記コンベアドラム(10)の外周面上に支持される複数の缶ホルダを備え、前記各缶ホルダは、前記回転軸(15)に平行に直線的に移動可能であり、且つ、前記コンベアドラムは、少なくとも1つの前記缶ホルダ(40)に直線的な移動を付与するように構成される少なくとも1つのアクチュエータシステム(73)を有する、空缶用のコンベアであって、
前記少なくとも1つのアクチュエータシステム(73)は、前記機械フレーム(6)に対する前記コンベアドラム(10)の回転位置に応じた予め設定可能な態様で、前記少なくとも1つの缶ホルダ(40)の前記直線的な移動を提供するように構成さ
れ、
コンベアチェーン(2)用のスプロケット(41)は、前記コンベアドラム(10)と前記機械フレーム(6)との間に、前記コンベアドラム(10)と同軸状に配置され自由に回転可能であり、複数の偏向ローラ(9)を有する連続して回転するコンベアチェーン(2)は前記機械フレーム(6)上に支持され、2つの偏向ローラ(42、43)は、前記スプロケット(41)に近接して配置され、前記2つの偏向ローラ(42、43)は、前記コンベアチェーン(2)の向きを前記スプロケット(41)の接線方向に変えるように構成され、前記2つの偏向ローラ(42、43)の少なくとも1つは、調整可能な直線的移動ができるように前記機械フレーム(6)上に収容される、
空缶用のコンベア。
【請求項2】
前記アクチュエータシステム(73)は、前記コンベアドラム(10)に収容される複数の、または全ての、前記缶ホルダ(40)の直線的な移動の提供を繰り返すように構成される、
請求項1に記載のコンベア。
【請求項3】
前記アクチュエータシステム(73)は、周面上または前面上に、少なくとも1つの軌道(75、76)を有し、前記少なくとも1つの軌道(75、76)は、前記各缶ホルダ(40)に関連付けられる案内手段(79、80)の取り付けまたは係合を提供するように構成される、
請求項1または請求項2に記載のコンベア。
【請求項4】
前記軌道(75、76)は、第1経路部(81)に沿って直線状に延在するとともに、2つの変曲点(86、87)を有する3つの曲線部(83、84、85)の連続した一つながりのものである第2経路部(82)に沿って延在する、
請求項3に記載のコンベア。
【請求項5】
前記アクチュエータシステム(73)は、前記機械フレーム(6)上に回転可能に収容され、前記アクチュエータシステム(73)は、前記アクチュエータシステム(73)を前記機械フレーム(6)にロックするロック装置(94)、及び、前記機械フレーム(6)に対して前記アクチュエータシステム(73)を調整する駆動装置(93)の少なくとも一つと関連付けられる、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載のコンベア。
【請求項6】
前記コンベアドラム(10)は、前記回転軸(15)と平行に整列された複数のガイドロッド(47、48)を有し、前記缶ホルダ(40)は、直線的に移動し得るように前記複数のガイドロッド(47、48)上に収容され、前記複数のガイドロッド(47、48)は、ドラム軸(51)と共に、環状の内部容積を画定し、前記少なくとも1つのアクチュエータ手段(73)は前記内部容積内に配置される、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載のコンベア。
【請求項7】
前記各缶ホルダ(40)は少なくとも1つのガイドロッド(47、48)と関連付けられ、前記少なくとも1つのガイドロッド(47、48)には流体経路(112、113)が設けられ、前記流体経路(112、113)は、前記缶ホルダ(40)に形成された少なくとも1つの流体孔(121、124)と、前記ガイドロッド(47、48)の端部に配置された供給路(107)とを流体的に連通接続する、
請求項6に記載のコンベア。
【請求項8】
前記缶ホルダ(40)は流体的に制御可能なアクチュエータ(122)を有し、前記アクチュエータ(122)は、前記缶ホルダ(40)上に移動可能に収容されて空缶を押し出す動きを提供するように構成されたアクチュエータ素子を備える、
請求項7に記載のコンベア。
【請求項9】
前記ガイドロッド(47、48)は、ベアリングリング(49、50)の端部に収容され、前記ベアリングリング(49、50)は前記機械フレーム(6)上に固定配置されたドラム軸(51)上で回転可能に支持され、少なくとも1つの前記ベアリングリング(49、50)は、半径方向に並べられた供給路(107)によって貫通され、前記供給路(107)は径方向内側の端部領域の開口部で、少なくとも1つの供給室(126)の内部へ開口する、
請求項7または請求項8に記載のコンベア。
【請求項10】
前記少なくとも1つの供給室(126)は、前記回転軸(15)の周方向の一部分に沿って延在し、且つ、前記ドラム軸(51)上に取り付けられることで、前記少なくとも1つの供給室(126)は旋回運動によって調整可能である、
請求項9に記載のコンベア。
【請求項11】
旋回運動により調整可能な複数の供給室(126)は、前記ドラム軸(51)に取り付けられ、供給路(107)の異なる群に対して異なるレベルの圧力を作用させるように構成される、
請求項10に記載のコンベア。
【請求項12】
前記コンベアドラム(10)は、ホッパ付きコンベアベルトと、充填マンドレル(5)付きコンベアチェーン(2、3、4)と、固定充填シェル付き充填スターと、直線的に移動する充填シェル(28、29)付き充填ドラム(11、12)と、缶グリッパ付きマニピュレータとを含む群のうち、少なくとも2つの搬送手段と関連付けられる、
請求項1~11のうちいずれか一項に記載のコンベア。
【請求項13】
前記コンベアドラムは、少なくとも2つの充填ドラムと関連付けられ、前記少なくとも2つの充填ドラムの前記回転軸(16、17)は、前記コンベアドラム(10)の前記回転軸(15)と平行に整列され、前記充填ドラム(11、12)のうち少なくとも1つは、前記コンベアドラム(10)に対する距離を設定する調整装置と関連付けられる、
請求項12に記載のコンベア。
【請求項14】
前記缶ホルダ(28、29、40)は、前記コンベアドラム(10)及び前記充填ドラム(11、12)上に同じ間隔で配置され、前記コンベアドラム(10)の前記缶ホルダ(40)の数は、前記充填ドラム(11、12)上の前記缶ホルダ(28、29)の数よりも多い、
請求項13に記載のコンベア。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、機械フレームを有する空缶用コンベアに関するものであり、機械フレーム上では、少なくとも1つのコンベアドラムが回転軸周りを回転できるように支持される。コンベアドラムは、コンベアドラムの外周面上に支持される複数の缶ホルダを備え、各缶ホルダは、回転軸と平行に直線的に移動可能である。コンベアドラムは、少なくとも1つの缶ホルダに対して直線的な移動を与えるように構成される少なくとも1つのアクチュエータシステムを有する。
【0002】
本発明の目的は、複数の加工機と連結することができ、且つ、柔軟な作業の仕方を可能にするコンベアを提供することである。
この目的は、請求項1の特徴事項により、上述したタイプのコンベアにつき達成される。少なくとも1つのアクチュエータシステムは、機械フレームに対するコンベアドラムの回転位置に応じて予め設定可能な態様で、少なくとも1つの缶ホルダの直線的な移動を与えるように構成される。
【0003】
この様に、アクチュエータシステムは、機械フレームに対する缶ホルダの軌道の適合を可能とし、さらに、空缶に対してそれぞれ提供された搬送経路に、缶ホルダの直線的な移動を適合させることを可能とする。回転軸周りをコンベアドラムが一回転する間、全ての缶ホルダが同じ軌道を辿るものと任意に規定される。この目的のため、アクチュエータシステムは、軌道の適合のために予め規定された形状を有し機械フレーム上に回転可能に支持されるものとすることができる。或いは、缶ホルダの群、若しくは、個々の缶ホルダは、個々に直線的な移動を行うことができるものと規定され、このことは、例えば、複数の空缶を分離するために用いられる。これにより、例えば、コンベアドラムに供給されるすべての空缶のうち、第1加工手順により、ある比率の空缶を要求に応じて通過させる一方で、残りの空缶を第2加工手順に送る。これは、例えば、個々の缶ホルダ及びそれらに収容される個々の空缶の直線的な移動に対して個別に影響を与えることにより達成できる。例えば、各缶ホルダは、各缶ホルダの直線的な位置に影響を及ぼし得るようにリニアアクチュエータと関連付けられるものと規定してもよく、リニアアクチュエータは、具体的には、適切なバルブユニットによって個別に制御され得る電動リニアアクチュエータまたは空気圧シリンダである。この場合、関連付けられるバルブユニットの空気圧制御または電気的制御により、各缶ホルダの直線的な移動の、機械フレームに対するコンベアドラムの回転位置に対する所望の依存が保証される。
【0004】
本発明の有利な更なる展開は、従属請求項の対象である。
アクチュエータシステムが、コンベアドラム上に収容される複数の、または、全ての、缶ホルダについて繰り返し直線的な移動を提供するように構成されていると好都合である。この場合、缶ホルダに対して個別の直線的な移動を提供する必要がないので、アクチュエータシステムを安価に設計することができる。特に好ましくは、各缶ホルダは、コンベアドラムの一回転の間、同じ直線軌道を辿るものと規定される。これにより、コンベアドラムの回転運動を考慮すると、缶ホルダについて重なり合う回転及び並進の運動が存在し、これは、他の全ての缶ホルダの回転及び並進の運動と同一である。
【0005】
好ましくは、アクチュエータシステムは周面上または前面上に少なくとも1つの軌道を有し、少なくとも1つの軌道は、各缶ホルダに関連付けられる案内手段の取り付けまたは係合を提供するように構成されるものと規定される。このように、アクチュエータシステムは缶ホルダと共に案内機構を形成し、この案内機構により、コンベアドラムの回転位置と各缶ホルダの直線位置との間の、好ましくは強制的な関係が結果として生じる。このように、軌道が単純な筒状の形状を有するアクチュエータシステム内の周方向溝として実現され、且つ、各場合において、缶ホルダがこの溝内で制御ジャーナルと係合するならば、缶ホルダが両軸方向で移動可能であるので、アクチュエータシステムと缶ホルダの間の強制的な結合が保証されるため有利である。
【0006】
本発明の一実施形態においては、軌道は、具体的には180度の周方向領域に渡る第1経路部に沿って直進し、且つ、具体的には180度の周方向領域に渡る第2経路部に沿って2つの変曲点を有する3つの曲線部の連続した一つながりのものとして構成される。この軌道の構成により、缶ホルダは、第1経路部に沿っては直線的な移動を行わない一方、第2経路部に沿っては直線的な反転移動を行う。これは、例えば、コンベアチェーンのピックアップマンドレル上に空缶を置くため、若しくは、コンベアチェーンのピックアップマンドレルから空缶を取り除くために用いられ得る。空缶の低振動の直線的な移動を保証するために、相対する曲率で構成される経路部は連続的に融合し、各場合において、隣接する経路部間の変遷部は変曲点として構成される。
【0007】
本発明の有利な更なる改良においては、アクチュエータシステムは、機械フレーム上に回転可能に収容され、アクチュエータシステムは、アクチュエータシステムを機械フレームに固定するロック装置、及び、機械フレームに対してアクチュエータシステムを調整する駆動装置の少なくとも一つと関連付けられるものと規定される。アクチュエータシステムを機械フレームに対して回転可能なように支持することで、コンベアドラムの回転運動に対する、直線的な移動のための位相位置を所望に設定することが可能となり、空缶用の所望の搬送経路に応じて缶ホルダの移動を所望に適合することが確実となる。ロック装置により位相位置が設定されると、アクチュエータシステムの設定が保証される結果、コンベアドラムのルーチン操作中に、位相位置の望ましくない調整が生じることがない。更に、若しくは、上記の他、位相位置の自動且つ独立した動力による設定が可能なアクチュエータ、具体的には、電動ギアモータとして構成されるアクチュエータ、を設けることもできる。このようにすれば、空缶を搬送中であっても、位相位置の変化を生じさせることができ、その結果、空缶用の搬送経路のダイナミックな適合が可能となる。
【0008】
コンベアドラムは、各場合において、回転軸に平行に整列された複数のガイドロッドを有し、缶ホルダは、直線的に移動し得るように複数のガイドロッド上に収容され、複数のガイドロッドは、ドラム軸と共に環状の内部容積を画定し、少なくとも1つのアクチュエータ手段は内部容積内に配置されるとすれば、有利である。ここで、ガイドロッドは、関連付けられた缶ホルダの滑り移動案内を確実とする。ガイドロッドとドラム軸との間に形成された環状の内部容積内にアクチュエータ手段を配置することで、コンベアドラムのコンパクトな設計が実現できる。
【0009】
本発明の更なる構成では、各缶ホルダは少なくとも1つのガイドロッドと関連付けられ、少なくとも1つのガイドロッドには流体経路が設けられ、流体経路は、缶ホルダに形成された少なくとも1つの流体孔と、ガイドロッドの端部に配置された供給路とを流体的に連通接続するものとして規定される。好ましくは、缶ホルダは、空缶が真空の支援により固着するように構成され、この目的のため、空缶が当接する接触面は少なくとも一つの流体孔を有する。この場合、真空の付与は、缶ホルダと関連付けられる少なくとも1つのガイドロッドを介して行われる。缶ホルダは、ガイドロッド上を滑動する態様で流体密封状に収容され、ガイドロッドには、少なくとも部分的に流体流路、具体的には、径方向交差孔の内部へ開口する流体流路、が備えられ、流体経路の支援により、流体孔との流体的な連通接続が保証される。
【0010】
缶ホルダが、缶ホルダ上で移動可能に収容されて空缶を押し出す動きを提供するように構成されたアクチュエータ素子を備える流体的に制御可能なアクチュエータを有するのであれば有利である。こうすれば、アクチュエータにより、空缶を缶ホルダの接触面から確実に解放できる。この目的のため、アクチュエータ素子の外方向に向く径方向運動が提供され、缶が傾く動作をもたらす。その結果、接触面に対する二次元的な当たりが解消され、接触面上で生じ得る真空の付与は空缶に対してもはや効果がなくなる。
【0011】
本発明の有利な更なる改良においては、ガイドロッドは、各場合において、ベアリングリングの端部に収容され、ベアリングリングは機械フレーム上に固定配置されたドラム軸上に回転可能に支持され、少なくとも1つのベアリングリングは、半径方向に並べられた供給路によって貫通され、供給路は径方向内側の端部領域の開口部で、少なくとも1つの供給室の内部へ開口するものとして規定される。従って、ガイドロッドの固定的な収容とは別に、ベアリングリングの少なくとも1つが、ガイドロッドに流体流を供給し、若しくは、ガイドロッドから流体流を排出するように機能する。よって、例えば、ガイドロッドの流体付与のための柔軟な流体ホースなどの他の接続手段が不要となり、その結果、コンベアドラムのコンパクトな設計が保証される。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの供給室は、回転軸の周方向の一部分に沿って延在し、且つ、ドラム軸上に収容されることで、少なくとも1つの供給室は旋回運動によって調整可能であるものとして規定される。これにより、空缶の搬送要件に応じて、ガイドロッドへの、若しくは、ガイドロッドからの、流体流のための位相位置の設定が可能となる。例えば、供給室を調整することで、空缶吸引用の位相位置の設定、若しくは、缶を押し出す動きのためのアクチュエータ制御用の位相位置の調整の設定を行うことができる。好ましくは、具体的には、旋回運動により調整可能な複数の供給室がドラム軸に取り付けられ、供給路の異なる群に対して異なるレベルの圧力を作用させるように構成される。このようにして、缶ホルダからの流体流の排出及び/または缶ホルダへの流体流の供給のための位相位置の個別の設定が可能となる。
【0013】
コンベアドラムは、有利には、ホッパ付きコンベアベルトと、充填マンドレル付きコンベアチェーンと、固定充填シェル付き充填スターと、直線的に移動する充填シェル付き充填ドラムと、缶グリッパ付きマニピュレータとを含む群のうち、少なくとも2つの搬送手段と関連付けられる。ホッパ付きのコンベアベルトにおいては、各空缶が、個別に割り当てられたホッパ内に、具体的には可撓性材料から形成されるホッパ内に、収容され、コンベアベルトの回転運動によりコンベアドラムへ送り出されるか、または、コンベアドラムから排出される。コンベアチェーンにおいては、多数のチェーン要素が設けられ、チェーンリベットにより旋回可能に互いに連結される。チェーンリベットのうち少なくともいくつかは各充填マンドレルと関連付けられ、各充填マンドレルは、各チェーンリベットによって決定される旋回軸に沿って延在する。充填スターにおいては、複数の充填シェルが固定的に配置され、且つ、充填スターの回転軸に対して固定の角度間隔を有する。充填ドラムにおいては、複数の充填シェルが、充填ドラムの回転軸に対して固定的な角度間隔で配置され、加えて、回転軸と平行に直線的に移動可能である。全ての充填シェルは、常に、予め設定された同一の軌道を辿る。缶グリッパ付きマニピュレータは、具体的には産業ロボットに関係し、充填ドラムに対して空缶を個別に充填し、若しくは、充填ドラムから空缶を個別に降ろすことを可能とする。
【0014】
本発明の有利な更なる改良では、コンベアドラムは、少なくとも2つの充填ドラムと関連付けられ、少なくとも2つの充填ドラムの回転軸は、コンベアドラムの回転軸と平行に整列され、充填ドラムのうち少なくとも1つは、コンベアドラムに対する距離を設定する調整装置と関連付けられるものとして規定される。充填ドラムの回転軸とコンベアドラムの回転軸との間の距離を調整することで、コンベアドラムと充填ドラムとの間、若しくは、充填ドラムとコンベアドラムとの間で空缶の移動が発生するか否かに対して影響が及ぼされ得る。その結果、このように、空缶用の搬送経路にも同様に影響が及ぼされる。
【0015】
本発明の更なる構成では、缶ホルダは、各場合において、コンベアドラム及び充填ドラム上に同じ間隔で配置され、コンベアドラムの缶ホルダの数は、充填ドラム上の缶ホルダの数よりも多いものとして規定される。コンベアドラム上の缶ホルダと、充填ドラム用の充填シェルの配置に同じ間隔を用いることで、ギア列の連続的な動作と同じように、コンベアドラムと充填ドラムの連続的な動作が可能となる。このようにして、各時点における各空缶は、充填ドラム及びコンベアドラムの少なくとも一方の上に収容される。コンベアドラム上の缶ホルダの数が、関連付けられた充填ドラム上の充填シェルの数に比べて多いことにより、コンベアドラムが、少なくとも2つの充填ドラム、及び、必要であれば更なる搬送手段をも作動できることが保証され、これによりコンベアドラムは、所望のポイント機能を果たす。
【0016】
好ましくは、コンベアチェーン用のスプロケットは、コンベアドラムと機械フレームとの間に、コンベアドラムと同軸に配置され、自由に回転可能であり、複数の偏向ローラを有し連続して回転するコンベアチェーンは、機械フレーム上に支持され、2つの偏向ローラは、スプロケットに近接して配置される。2つの偏向ローラは、コンベアチェーンの向きをスプロケットの接線方向に変えるように構成され、2つ偏向ローラの少なくとも1つは、調整可能な直線的移動ができるように機械フレーム上に収容されるものとして規定される。少なくともある範囲内でコンベアドラムを囲むコンベアチェーン用の自由回転可能なスプロケットは、機械フレームに対する位相位置が設定可能な調整装置との組み合わせにより、任意で、コンベアチェーンによって供給される空缶の、コンベアドラムの缶ホルダへの固着または非固着を可能とする。こうして、ポイント機能としての意味と同じく、空缶用の搬送経路に対して影響を与えられる。
【0017】
本発明の有利な実施形態は、図面によって以下の通り示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】機械フレームを有するコンベアの斜視正面図であり、機械フレームには、空缶を搬送するためのコンベアドラムと、2つの充填ドラムと、3つのコンベアチェーンとが取り付けられる。
【
図2】構成部品が部分的に取り外されたコンベアドラムの側面図である。
【
図4】内部に形成される流体流路を有するコンベアドラムの断面図である。
【
図6】缶ホルダの真空付与及び過剰圧力付与のための第1位相配置の単に模式的な図である。
【
図7】缶ホルダの真空付与及び過剰圧力付与のための第2位相配置の単に模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されるコンベア1は、空缶(can blank、図示せず)、具体的には、エアロゾール空缶、金属製空チューブ、プラスチック製空チューブ、その他のスリーブ状のワークを搬送するように構成される。更に、コンベア1は、
図1では詳しく図示されていないが、例えば、スクリーン印刷機、デジタル印刷機、オフセット印刷機、乾燥炉、及び洗浄装置を含む群のうちの異なる加工機の間に配置されるように構成され、空缶は、加工機に対して、若しくは、加工機から、搬送されることが意図される。ここではより詳しくは図示されていないが、同様に図示しない加工機への空缶の搬送は、単なる例として、異なるコンベアチェーン2、3、4の支援により行われる。各コンベアチェーン2、3、4は、より詳細には図示しない複数のチェーン要素から構成され、チェーン要素は、より詳細には図示しないチェーンリベットによって、旋回自在に互いに連結されている。例えば、一つおきのチェーンリベットは、充填マンドレルとして機能するピックアップマンドレル5と関連付けられる。ピックアップマンドレル5は、各チェーンリベットの軸(詳細には図示せず)の延長部として延在し、空缶を受け入れるために備えられる。こうして、空缶(図示せず)、具体的には、凹型に形成された底と底の反対側に配置された開口部とを有する、薄型で無地の円筒状の金属製スリーブとして構成される空缶が、開口部によって各ピックアップマンドレル5上に摺動できる。こうして、空缶は、各コンベアチェーン2~4の動きによって、加工機(図示せず)とコンベア1との間を移動させられ得る。
【0020】
コンベア1の仕事は、コンベア1のコンベアチェーン2~4の1つによって供給される空缶の選択的な提供を、それ以外のコンベアチェーン2~4のうちの1つに移すことであり、コンベア1が、各空缶の搬送路に影響を及ぼすポイントのように動作できるようにすることである。
【0021】
コンベア1は、単に例として、機械フレーム7と、機械フレーム7上に収容される支持板8とによって形成される機械フレーム6を有する。ここで、機械フレーム7は、支持板8を支持するように機能し、且つ、隣接配置された加工機(図示せず)と連結する働きをする。支持板8は、以下により詳しく記載するコンベア1の構成要素、具体的には、コンベアチェーン2、3、4の向きを変え、且つ案内する複数の偏向ローラ9と、コンベアドラム10と、単に例としてコンベアドラム10と関連付けられる上側充填ドラム11と、同様に単に例としてコンベアドラム10と関連付けられる下側充填ドラム12と、を支える。コンベア1による空缶(図示せず)の有利な搬送を保証できるように、例えば、偏向ローラ9のより詳しくは記載も図示もしない回転軸はもちろん、コンベアドラム10の回転軸15と、上側充填ドラム11の回転軸16と、下側充填ドラム12の回転軸17とを、各場合において、互いに平行に配置することが考えられる。更に、回転軸15~17と偏向ローラ9の回転軸(図示せず)は、各場合において、支持板8の最大の面18と直交するように配置されることが考えられる。
【0022】
更に、コンベアチェーン2~4は、各場合において、より詳細には図示されていないが、支持板8の最大の面18から予め設定可能な、具体的には異なる距離を有する、異なるコンベア高さで作動するように規定されてもよく、これにより、とりわけ、個々のコンベアチェーン2~4の間の衝突を回避できる。更に、単に例として、各コンベアチェーン2~4は、各コンベアチェーン2~4に回転運動を伝えるように構成された駆動モータ19、20、21と関連付けられるものとして規定される。
【0023】
例えば、充填ドラム11、12は、各場合において、スプロケット22、23と回転不能に連結されているものとして規定され、それによって、各コンベアチェーン3、4の回転運動と、それぞれに関連付けられる充填ドラム11、12との間の強制的な結合が保証される。
【0024】
各場合において、充填ドラム11、12は、互いに平行に配列された支持管24、25の円形の配列を有し、各支持管24、25には、直線的に移動可能な充填シェル28、29が取り付けられる。
図1では、支持管24、25の配列を図示するために、実際に搭載される場合とは異なり、充填ドラム11、12には、関連付けられる充填シェル28、29が部分的にのみ搭載されている。支持管24、25は、各充填ドラム11、12の内部の中央に配置されたドラム軸(図示せず)と共に、各回転軸16若しくは17と同軸に配置される環状の内部容積を形成する。各内部容積内には、制御スリーブ(図示せず)が配置され、制御スリーブは、少なくとも1つの周方向ガイドカーブ、好ましくは、互いに平行に配置された複数のガイドカーブ、を有する。充填シェル28、29のガイドピン(同様に図示無し)は、ガイドカーブ内に係合し、各充填ドラム11、12の支持管24、25が各制御スリーブ周りを回転すると、各充填シェル28、29の軸方向運動がもたらされる。例えば、充填シェル28、29のこの直線運動を通して、コンベアチェーン3および/または4の1つからの空缶(図示せず)の除去、および/または、各コンベアチェーン3、4上への空缶(図示せず)の位置決めがなされ得る。
【0025】
空缶(詳細には図示せず)を各充填シェル28、29に確実に固着するために、充填シェル28、29は、詳細には図示されていない流体孔を有する凹型に形成された接触面30、31を備える。詳細には図示されていないが、真空は、同様に図示されていない真空接続部から支持管24、25を介して送り込まれ、流体孔を通して各接触面30、31に付与される。これにより、少なくとも充填シェル28、29の円形経路の一部上にて、空缶の固着が保証される。
【0026】
単に例として、充填ドラム11、12のスプロケット22、23は、各場合において、約120度のラップ角をもって各コンベアチェーン3、4によって包み込まれるものと規定される。例えば、各スプロケット22、23のうち各コンベアチェーン3、4によって囲まれる範囲で、空缶が各コンベアチェーン3、4から取り除かれ、隣接するコンベアドラム10へ運ばれるか、若しくは、コンベアドラム10により空缶が各充填ドラム11、12に供給され、空缶(図示せず)が関連付けられるコンベアチェーン3、4上に位置決めされる。
【0027】
コンベア1が空缶(図示せず)のためのポイントとして有利に機能することを保証するために、充填ドラム11、12は、各場合において、コンベアドラム10からの個別に調整された距離を有してもよい。単に例として、コンベアドラム10、並びに、充填ドラム11、12の回転軸15~17は、1本の共通の軸上にあり、充填ドラム11及び/または充填ドラム12の距離の調整が、この共通の軸に沿って行われる。この目的のために、充填ドラム11及び充填ドラム12は、例えば、手動ギア装置や電動ギア装置など、詳細には図示しない調整手段と関連付けられる。充填ドラム11及び/または12とコンベアドラム10との間の距離に影響を与えることより、隣接する充填ドラム11または12への引き渡しが意図されないコンベアドラム10上に収容された空缶(図示せず)が、各充填ドラム11、12の充填シェル28、29と接触しないようにすることができる。一方で、充填ドラム11及び/または12の1つとコンベアドラム10との間で空缶の引き渡しを実行する場合には、真空により充填シェル28または29に固着している空缶(図示せず)がコンベアドラム10に引き渡され、または、コンベアドラム10から取り除かれるように、回転軸15~17の間の距離が選択される。
【0028】
空缶を充填ドラム11に有利に送り出すことを保証するために、ねじ付きスピンドル装置33が備えられ、これにより、関連付けられる偏向ローラ9の充填ドラム11に対する直線的移動がもたらされる。その結果、スプロケット11に対するコンベアチェーン3の接線方向の並びが設定され、更には、空缶が充填シェル28と接触する接触面が設定されることが可能となる。
【0029】
コンベアドラム10に備えられ、且つ、以下により詳細に記載される缶ホルダ40は、充填ドラム11、12の充填シェル28及び29の間隔、並びに、コンベアチェーン2~4のピックアップマンドレル5の間隔に対応する間隔で、コンベアドラム10の周方向に配置される。単に例として、コンベアドラム10は、以下により詳細に記載されるスプロケット41と関連付けられ、スプロケット41は、コンベアドラム10に対して回転自在であるように機械フレーム6に支持されるものとして規定される。スプロケット41は、関連付けられるコンベアチェーン2によって単に例として約260度のラップ角で包み込まれ、その目的のため、コンベアチェーン2は、コンベアドラム10に隣接配置された偏向ローラ9群に属する偏向ローラ42、43の支援により向きが変えられる。単に例として、偏向ローラ42、43は共通のキャリッジ44上に回転可能に支持され、共通のキャリッジ44は支持板8の凹部45内に直線的に移動可能に収容される。キャリッジ44は詳細には図示されていない調整装置と関連付けられ、調整装置の支援により、直線軌道46に沿うキャリッジ44の直線的な変位が行われる。この手段により、空缶をコンベアドラム10に供給する間、接触点に対して影響が同じ様に及ぼされ得る。
【0030】
充填ドラム11、12と同様に、コンベアドラム10は、回転軸15に平行に並べられるか、若しくは、環状経路上に配置されるガイドロッド47、48を有する。単に例として、ガイドロッド47、48は、各場合において、缶ホルダ40を直線的に支持するために対で用いられるものとして規定される。
【0031】
図2及び
図3から推測可能なように、ガイドロッド47、48は、各場合において、支持板8から離れたベアリング
リング49と支持板8の方を向くベアリング
リング50との間に延在する。例えば、コンベアドラム10の図示実施形態では、ベアリング
リング50は、ガイドロッド47、48のための機械的保護機能のみを果たすものであるため、ベアリング
リング50は、軸方向の長さはわずかであるものとして規定される。対照的に、ベアリング
リング49は、ガイドロッド47、48の機械的支持に加えて、以下に記載する通り、ガイドロッド47、48に対して位相に応じた流体供給を行うように構成されているので、ベアリング
リング49は、ベアリング
リング50と比較して、軸方向により大きな長さを有する。
【0032】
図2から推測可能なように、コンベアドラム10は、連結要素52により、より詳細には図示しない固定的な態様で、機械フレーム6の支持板8に対して固定されるドラム軸51を有する。単に例としては、ドラム軸51は、支持板8の最大の面18に対して垂直な中心軸53と一直線に並べられる。ドラム軸51を有利に支持するために、単に例としては、ドラム軸51は、連結要素52に隣接して、筒状取付け用フランジ54を有する。これにより、コンベアドラム10に作用する、支持板8に対して傾斜するモーメントの支持が保証される。
【0033】
一例として、取付け用フランジ54は、別体の環状フランジとしてドラム軸51に取り付けられ、好ましくは摩擦、具体的には収縮により、若しくは、物体間の接着、具体的には溶接により、ドラム軸51と連結されるものとして規定される。スプロケット55は、取付け用フランジ54と軸方向に隣接して配置される。
【0034】
スプロケット55はベアリングリング56に固定され、ベアリングリング56は、単に例として、ドラム軸51上の2つの深溝ボールベアリング57、58によって回転可能に支持される。ベアリングリング56はベアリングリング50に強固に結合され、ガイドロッド47、48の端部領域がベアリングリング50に固定される。ベアリングリング56は外周面59で2つの深溝ボールベアリング60、61を支え、更に詳細には説明しないそれらの内輪はベアリング56に固定され、同様に更に詳細には説明しない外輪は、リングフランジ62を支持する。その結果、リングフランジ62は、ベアリングリング56に対して回転可能に支持される。支持板8から離れる側のリングフランジ62の表面には環状チェーンホイールキャリア63が固定される。環状チェーンホイールキャリア63は、その径方向外表面部分において、スプロケット41と、軸方向に突出する支持リング64と、に固着される。一方側の深溝ボールベアリング57、58、60、61により、ドラム軸51に対するベアリングリング50の自由回転が保証され、且つ、ベアリングリング50に対するしてスプロケット41の自由回転も保証される。
【0035】
深溝ボールベアリング57に対して軸方向に隣接するように、ベアリングリング65が、例えば収縮により、ドラム軸51に摩擦固定される。ベアリングリング65は、その外周がスリップリング66によって囲まれる。スリップリング66はベアリングリング65と同軸状に配置され、同様にベアリングリング65と同軸状に配置されたサポートディスク67と回転不能に結合される。ここで、ベアリングリング65とスリップリング66は、選択する材質と寸法の点で、すべり軸受けを形成するように整合される。その結果、ドラム軸51に対するサポートディスク67の回転移動が可能となる。ベアリングリング65から軸方向に離間して、更なるベアリングリング68が、特に収縮により、ドラム軸51に摩擦固定され、スリップリング69と、スリップリング69に結合されたサポートディスク70がベアリングリング68と関連付けられる。この様に、更なるすべり軸受けがドラム軸51上で形成され、ドラム軸51に対するサポートディスク70の回転移動を可能とする。
【0036】
単に例としてスリーブ状の構造を有する制御体73はアクチュエータシステムと称しても良いが、サポートディスク67、70の対向し合う環状表面71、72の間に配置され、各場合において、サポートディスク67、70と回転不能に連結される。単に例として、制御体73は、その周面または外面74上に、2つの制御溝75、76を有する。2つの制御溝75、76は、互いに平行であり、且つ、缶ホルダ40用の軌道として機能する。制御溝75、76は、制御体73の全外面74に渡って周方向に延在し、
図3の断面図及び
図2の側面図の両方で確認可能である。
図2及び
図3において、明瞭にする目的で、ガイドロッド47、48及び関連付けられる缶ホルダ40のうち図示されていないものがある。
【0037】
図3の断面図から、各場合において、ガイドロッド47、48上で案内される缶ホルダ40は、各制御溝75、76の中で、案内手段として機能する制御ジャーナル79、80と係合することも確認できる。これにより、缶ホルダ40と制御体73との間の強制的な連結が達成される。
図2により詳しく図示されているように、制御溝75、76の適切な経路を用いた強制的な連結があることで、制御体73に対して缶ホルダ40が回転移動するとき、関連付けられる支持ベアリング
リング49、50の制御体73に対する回転移動により、各ガイドロッド47、48に沿う缶ホルダ40の直線的移動が実現される。
【0038】
図5に図示される制御体73上に設けられた制御溝75、76の単に模式的な経路から推測できるように、各制御溝75、76は、例えば、制御体73の周囲の前半部分に渡って、具体的には0度から180度までの間で、延在する直線部81を有し、これは経路部として機能する。各制御溝75、76は、直線部81に隣接し、且つ、制御体73の外面74の周囲の後半部分に渡って、具体的には180度と360度との間で、延在する曲線部82をも有し、曲線部82は、更なる経路部として機能する。ここで、曲線部82は、単に例として、それぞれ湾曲部とも呼称し得る3つの湾曲部83、84、85を有し、各場合において、3つの湾曲部83、84、85は、連続的に融合する。そうすることで、第1変曲点86が湾曲部83と湾曲部84の間に備えられ、且つ、第2変曲点87が湾曲部84と湾曲部85の間に備えられる。湾曲部83と湾曲部84の曲線は互いに異なり、且つ湾曲部84と湾曲部85の曲線も互いに異なるためである。したがって、制御体73周りでの完全な回転運動の間は、各制御溝75、76の直線部81内での係合により、缶ホルダ40は、外面74の外周の前半部分に沿う軸方向の相対移動を行わない。反対に、制御体73の外面74の後半部分を通過するときは、各制御溝75、76内での制御ジャーナル79、80の積極的な係合により、缶ホルダ40は、ガイドロッド47、48に沿って、第1移動方向と、それとは反対の第2移動方向の、一連の直線的な相対移動を行う。
【0039】
例えば、コンベアチェーン2、3、4及び充填ドラム11、12のような、異なる搬送手段の間の調整ポイントとしてコンベアドラム10が機能できるようにするために、ドラム軸51に対する制御体73について、以下に詳細に記載される回転調整が行われる。このため、スリップリング69は、ベアリングリング68を越えて支持板8から離れる側の端部領域88まで軸方向に延在する。この端部領域88において、スリップリング69は、明瞭性のために透過的にのみ図示されるウォームギア92を回転不能に収容する前方円周鍔部89を有する。
【0040】
ウォームギア92は、アクチュエータとして機能するギアモータ93の、回転軸15に対して垂直に並べられたドライブウォーム(図示せず)と作動可能に係合する。ギアモータ93は、詳細には図示されていないが、ドラム軸51にトルクを伝達するように支持される。ギアモータ93の適切な電気制御により、スリップリング69が結合されたウォームギア92と、ドラム軸51に対してサポートディスクを介して移動可能に結合された制御体73の相対回転が生じ得る。この様に、制御体73周りでの回転運動の間に、缶ホルダ40の直線的移動のための位相位置の調整が実現される。ギアモータ93の代わりに、手動調整、具体的には、ハンドホイールやクランクによる手段が提供されても良い。
【0041】
ギアモータ93の支援により、例として、コンベアドラム10の缶ホルダ40が充填ドラム11から空缶を引き取り、充填ドラム12に空缶を引き渡すように、缶ホルダ40の直線的移動の位相位置を調整することができる。
【0042】
或いは、例として、コンベアドラム10の缶ホルダ40がコンベアチェーン2から空缶を取り除き、その空缶を充填ドラム12に引き渡すように、缶ホルダ40の直線移動の位相位置を調整することも可能である。
【0043】
或いは、例として、コンベアドラム10の缶ホルダ40が充填ドラム11から空缶を引き取り、それらの空缶をコンベアチェーン2の上に配置するように、缶ホルダ40の直線移動の位相位置を調整することもできる。
【0044】
或いは、例として、コンベアドラム10の缶ホルダ40がコンベアチェーン2から空缶を取り除き、空缶をコンベアチェーン2の上に再配置するように、缶ホルダ40の直線移動の位相位置を調整することもできる。
【0045】
ドラム軸51に対する制御体73の所望の回転位置決めが達成されると、ブレーキリング95と、ブレーキ板96と、ねじ付きテンションレバー97とを有するブレーキ装置94によって、機械フレーム6に対して制御体73用に設定された旋回位置のロックが達成される。その目的のために、制御体73とドラム軸51との間での調整プロセスの間は、ドラム軸51に対する緩い接続が確立される。ここで、軸方向の力が、ねじ付きテンションレバー97の回転移動により導入され、ブレーキ板96とブレーキリング95を介してスリップリング69に伝達される。
【0046】
更に
図3及び
図4の断面図から推測できるように、支持板8から離れる側の端部領域98上のドラム軸51は、各場合において、径方向に整列される複数の孔99を有し、各場合において、これら複数の孔99は、ドラム軸51内の縦孔100に開口する。縦孔100は、ドラム軸51から軸方向に突出するエンドピース101によって、端部領域98にて密封される。エンドピース101は、ねじ付きテンションレバー97のねじ付きピン105が係合するねじ付き孔104を有する。更に、縦孔100は、支持板8の方向にドラム軸51の連結要素52まで延在し、そこで直角連結孔106の内部に開口する。そこに対して、単に例として、図示しないが、縦孔100内に真空を提供するための吸引装置を接続できる。
【0047】
孔99からは、星形に配置され、且つ、供給路として機能する放射状流路107が、スリップリング69と、外周面でスリップリング69を取り囲むベアリングリング108と、ベアリングリング108周りの支持リング109と、封止リング110とを通って、ベアリングリング49の内部へと伸びる。ベアリングリング49では、放射状線路107が軸経路111の内部に開口し、結果、流体流路として機能するガイドロッド47の縦孔112と流体的に連通結合する。
【0048】
図4の断面図から推測できるように、支持リング109は、部分的にのみ、放射状流路107によって貫通される。支持リング109内に形成された放射状流路107は、支持リング109の外周に形成される部分環状の制御溝126の内部に開口する。制御溝126は、供給室とも称することができ、そこから、封止リング110内の放射状流路107まで連通接続部が存在する。封止リング110は、その不図示のオリフィスと共に、制御溝126と境界を接している。したがって、制御溝126の延伸と相対的位置とは、封止リング110とベアリング
リング49の内部の放射状流路107、更には、ガイドロッド47の縦孔112への流体の供給に影響を及ぼす。支持リング109は、より詳細には図示されていない態様で、ドラム軸51に対して旋回することで調整され且つロックされることが可能であるので、ガイドロッド47への流体供給の位相位置に対する影響が保証される。同じまたは類似の方法により、流体経路として機能するガイドロッド48の縦孔113への流体供給が実行され得る。このように、好ましくは、ガイドロッド47の流体供給用の位相位置及びガイドロッド48の流体供給用の位相位置の両方を、少なくとも予め設定可能な位相位置範囲内で設定できる。
【0049】
そのため、コンベアドラム10の所定の回転位置にて、ベアリングリング49、50が、それらの上に配置されたガイドロッド47、48と共に回転移動する間、例として、ガイドロッド47のある群だけが縦孔100と流体連通し、その結果、ガイドロッド47上で搬送される各缶ホルダ40への真空の付与が、制御体73周りでの回転中の予め設定可能な周方向範囲内だけで生じる。
【0050】
単に例として、ガイドロッド47のみがもっぱら真空の付与を受ける一方、ガイドロッド48のみがもっぱら過剰圧力の付与を受けるものとして規定される。このように、制御体73に対する回転位置に応じて缶ホルダ40の好適な設計を任意に行うことにより、缶ホルダへの真空または過剰圧力の供給を保証できる。
【0051】
そのために、
図2に示されるガイドロッド47、48は、径方向孔114、115をそれぞれ有し、径方向孔114、115を介して、各縦孔112、113との流体的な連通接続が構築される。缶ホルダ40もまた、ガイドロッド47、48上に収容される、摺動式であり且つ流体的に封止するシールキャリア116を有する。制御体73の方を向くシールキャリア116の内面117に制御ジャーナル79、80が取り付けられ、制御体73から離れる側の外面118上に、キャリアシェル119が設けられている。キャリアシェル119は、単純な筒状断面形状の凹部120を有し、その凹部120に空缶(より詳細には図示せず)を配置可能である。キャリアシェル119の外形により、キャリアシェル119に対して空缶が部分的に二次元的に当てられることが保証される。キャリアシェル119には、単に例として、流体孔として機能する複数の吸引孔121が軸方向に組み込まれる。複数の吸引孔121は、ガイドロッド47の縦孔112と流体的に連通接続され、制御体73に対する各缶ホルダ40の角度位置に応じて、放射状流路107及び縦孔100と連通する。これにより、位相に応じた吸引孔121への真空の付与が保証される。
【0052】
キャリアシェル119はまた、流体的に作動可能なアクチュエータ122を有する。アクチュエータ122は、短いストロークでの径方向における直線的な移動を行う様に構成され、アクチュエータ素子125の下方に圧力室124として構成された流体孔とガイドロッド48内の径方向孔115との間が流体的に連通接続されるとすぐに、矢印123により示すように、この直線的な移動を提供できる。ここで、ガイドロッド48の縦孔113は、より詳細には図示されない態様にて、圧縮空気供給源と流体的に結合される。その結果、アクチュエータ122は、キャリアシェル119内に収容された空缶(図示せず)を吐出する動きを実現できる。例えば、アクチュエータ素子125は、より詳細には図示されていないばね手段によって、引っ込んだ休止位置に保持され、圧力が付与されたときのみ、径外側方向へ直線的な移動を実施するものと規定される。これにより、空缶の取り外し工程が達成される。
【0053】
図6及び
図7は、アクチュエータ122の作動の目的を達成するための、吸引位相127、129及び吹き出し位相128、130の位相位置についての異なる設定を示すものであり、供給室とも称される制御溝126の支援により設定可能である。
【0054】
図6にて、吸引位相127は、
図1の充填ドラム11によって搬送された空缶がコンベアドラム10の缶ホルダ40上に吸引され、吸引位相127の終わりにある空缶が、アクチュエータ122が作動する吹き出し位相128によって、充填ドラム12に送り出されるように、設計される。
【0055】
図7にて、吸引位相129は、
図1の充填ドラム11によって搬送された空缶がコンベアドラム10の缶ホルダ40上に吸引され、吸引位相129の終わりにある空缶が、アクチュエータ122が作動する吹き出し位相130によって、コンベアチェーン2に送り出されるように、設計される。
【0056】
各場合において、吸引位相127、129及び吹き出し位相128、130の調整は、缶ホルダ40の直線的な移動のための位相位置を調整するための制御体73の回転位置の調整を伴う。