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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】塗装被覆成形品
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/27 20060101AFI20220216BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B29C45/27
B29C45/16
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020072975
(22)【出願日】2020-04-15
(65)【公開番号】P2021169177
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】505389547
【氏名又は名称】株式会社岐阜多田精機
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】特許業務法人 Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 憲生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 隆晃
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-088531(JP,U)
【文献】特開昭63-239021(JP,A)
【文献】特開2002-172657(JP,A)
【文献】特許第3843833(JP,B2)
【文献】特許第3820332(JP,B2)
【文献】特開2006-256088(JP,A)
【文献】特開2009-220327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内で成形した樹脂成形品の表面を、前記樹脂成形品の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品の製造方法であって、
前記樹脂成形品の表面を被覆する2液混合タイプのポリウレタン樹脂塗料とし、
前記2液混合タイプのポリウレタン樹脂塗料の供給は、製品として使用する前記樹脂成形品の被覆形態の断面積に応じて供給し、
前記樹脂成形品に供給される前記ポリウレタン樹脂塗料の流れ方向に垂直な断面の断面積で前記樹脂成形品の被覆形態の断面積とランナーの断面積とを一定にするか、オーバーフロー部を設けて気泡が巻き込む部位を前記塗装被覆成形品から離したことを特徴とする塗装被覆成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の表面に、前記樹脂成形品を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品に関するもので、特に、金型内で成形した樹脂成形品の表面に樹脂塗料を形成するもので、塗装被覆成形品を観察すれば2色成形、多色成形の技術に近似している。本発明は、樹脂成形品の形成した被膜を薄くすることができる。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、金型内で成形した樹脂成形品の表面と、金型キャビティ面との間に被覆剤を注入し、被覆剤を金型内で硬化させ、樹脂成形品の表面に被覆剤が密着一体化した成形品を得ている。
この型内塗装用金型は、主キャビティの外側全周に該主キャビティの背面の一部を構成する副キャビティと、該副キャビティの反塗装面側外周部内側において該副キャビティ内に進退する可動中子と、該可動中子に対向する位置に高温部を備えている。
【0003】
故に、この型内塗装用金型によれば、可動中子により、金型副キャビティ面に樹脂成形品の副キャビティ部分の外周部付近が押し付けられる。このため、特許文献1によれば、樹脂成形品の副キャビティ部分の外周部付近が金型副キャビティ面に押し付けられた部分より外側には塗膜が漏れ出すことがない。
また、この型内塗装用金型によれば、副キャビティの可動中子に対向する位置に高温部を設けることにより、瞬間的に塗膜を硬化させることができる。これにより、特許文献1の発明では、金型外部への塗膜の漏れを確実に防止できる。
【0004】
加えて、特許文献2乃至特許文献5には、樹脂成形品の表面に被覆剤が密着一体化する成形品を得る方法が開示され、公知である。
【文献】特開2002-172657号公報
【文献】特許第3843833号明細書
【文献】特許第3820332号明細書
【文献】特開2006-256088号公報
【文献】特開2009-220327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1の技術では、副キャビティの反塗装面側の外周部内側にある可動中子により樹脂成形品の副キャビティ部分の塗装面側の外周部内側付近が金型副キャビティ面に押し付けられ、被覆剤(塗膜)が外側に漏れ出すのを防止している。
しかしながら、特許文献1の技術では、樹脂成形品の主キャビティ部の外周全周において副キャビティ部と主キャビティ部の背面の一部とは一体に成形されており、金型を微少開いて被覆剤を注入する際には、樹脂成形品の主キャビティ部は被覆剤注入圧やその後の再型締め動作による金型キャビティ内圧により反塗装面側の金型キャビティ面に押し付けられ、副キャビティ部分は可動中子により塗装面側の金型副キャビティ面へ押し付けられる。
【0006】
そこで、特許文献1の技術では、一体の樹脂成形品である主キャビティ部と副キャビティ部との間で、それぞれが反対方向に押し付けられる。これにより、製品となる主キャビティ部へ無理なストレスが加わり、製品の変形等をまねく懸念があると共に、副キャビティ部に対しても、本来の目的である被覆剤の外部への漏れを防ぐシール圧力に関して、主キャビティ部から及ぶ変形や、被覆剤の注入、再型締め時の内圧の影響を受けるために不確実なものとなる可能性がある。
【0007】
これらの可能性を小さくするために副キャビティ内に薄肉部を設けることも記載されているが、この薄肉部は前記変形や圧力を受けても破損しない強度を備えていなければならないから、その効果は限定的なものとなる。
加えて、この技術では、副キャビティ部と一体となっている主キャビティ部の背面側(反被覆面側金型キャビティ面)に被覆剤を流すことはできないし、製品形状に沿って副キャビティ部をカットする後工程も複雑で高い精度が要求される。
【0008】
例えば、最終製品を別部品の上に重ねて取付ける場合、被覆された製品面と前記別部品とのわずかな取付け隙間から後工程でカットされた非被覆面が見え、外部から見た意匠性において問題となる。このため、取付け方法自体が制約を受けるので、反被覆面側にいくらかでも被覆剤を廻せると、この制約を解消できるとしている。
特許文献2乃至特許文献5等に代表される従来の技術は、押圧部を持たず、シール性能が副キャビティの形状によってのみ決定されるものが殆どで、樹脂の種類や被覆剤の種類が変わって、それぞれの粘度が変わるとその度に形状の寸法検討、試行錯誤をしなければならない。また、形状によるシール性能は部分的に均一でない可能性や量産において形状が経時的に変化する可能性等も含め確実なシール性能とは言えない。
【0009】
例えば、特許文献5は、キャビティと離間して外側全周に位置する補助キャビティにキャビティから必要最小限の断面積を持つ貫通部に溶融樹脂を流通させることによって、パーティング面シール部材を成形する。加えて、補助キャビティ形成溝及び補助キャビティ形成面に対してパーティング面シール部材を圧接させるために、アーム部の傾斜面が、該傾斜面に密着したパーティング面シール部材の押圧面を押圧するものである。
しかし、特許文献1乃至特許文献5の発明は、2色成形を前提とする技術であり、原理的には、金型内で成形した樹脂成形品の被膜表面に樹脂成形品の溶融樹脂の粘度よりも低粘度流体の被覆剤で被覆するものであるが、低粘度流体の被覆剤の流れの影響が被覆に生じ、見栄えよく被覆剤の厚みを薄くする必要があった。それでも、ポリウレタンは非粘性に近いため一般樹脂に比べて気泡を巻き込み易い。故に、空気の巻き込みの影響で、被覆剤の流れが被覆に現れる現象が生じていた。
この外観不良を改善する案として、断面積や長さは成形品の大きさなどを考慮して決められるランナーの断面積を一定にして速度を一定にすることであり、オーバーフロー部を設けて気泡が巻き込み部位を成形製品部から外すことである。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点を解消すべく、樹脂成形品の表面に形成する前記樹脂成形品を被覆するポリウレタン塗膜であって、前記ポリウレタン塗膜による巻き込みの影響が被覆に生じ難い塗装被覆成形品の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係る塗装被覆成形品は、樹脂成形品の表面に、前記樹脂成形品を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆した塗装被覆成形品である。
また、前記塗装被覆成形品の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗料で、前記塗装被覆成形品の表面を被覆するポリウレタン塗料は、2液混合タイプのポリウレタン塗料とし、前記樹脂塗料は、製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の断面積に対応させて2液混合タイプのポリウレタン塗料を供給して成形したものである。
【0012】
まず、上記塗装被覆成形品において、樹脂成形品の表面に形成する前記樹脂成形品を被覆する溶融樹脂の粘度は、低粘度の樹脂塗料で被覆したとは、樹脂成形品の表面に樹脂成形品を被覆することであり、特に、溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料及び溶融樹脂の粘度と同一の低粘度の樹脂塗料で被覆することでないことを規定したものである。
また、上記塗装被覆成形品の表面に被覆する樹脂塗料は、2液混合タイプのポリウレタン塗料とし、かつ、前記樹脂塗料は、製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の断面積に一致させて2液混合タイプのポリウレタン塗料を供給して成形したものある。
即ち、ポリウレタンは非粘性に近いため一般樹脂に比べて気泡を巻き込み易い。故に、空気の巻き込みの影響で、被覆剤の流れが被覆に現れる現象が生じていた。この対応として、外観不良を改善する案として、成形品とランナーの断面積を一定にして速度を一定にすることであり、また、オーバーフロー部を設けて気泡が巻き込み部位を成形製品部から外すことである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る塗装被覆成形品は、金型内で成形した樹脂成形品の表面を、前記樹脂成形品の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品において、前記塗装被覆成形品の表面を被覆する2液混合タイプのポリウレタン塗料の樹脂塗料とし、前記樹脂塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の断面積に応じてポリウレタン塗料を供給するものである。
即ち、塗装被覆成形品の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗膜とし、ベルヌーイの定理に従って、その流体を、圧力p[Pa]、密度ρ[kg/m3]、速度V[m/s]、高さz[m]、重力加速度 g[m/s2] で現わすと、p+ρV2/2+ρ gz =一定となる。「圧力エネルギp」+「速度エネルギρV2/2」+「位置エネルギρ gz」の和が等しくなる。
このように「圧力エネルギp」、「速度エネルギρV2/2」、「位置エネルギρ gz」の和をConst(一定)にすることは、「位置エネルギρ gz」が殆ど変化しないから、噴射圧力によって決定され「速度エネルギρV2/2」がConst(一定)であれば、概略的な誤差の少ない値となる。
【0014】
したがって、塗装被覆成形品の表面に被覆する樹脂塗料、即ち、塗装被覆成形品の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗料とし、前記樹脂塗料の供給を製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の被覆の断面積と、製品としては廃棄する樹脂成形品の被覆形態の被覆の断面積は、一連の流れとしたときConst(一定)としたものである。
なお、本実施例とは相違するが、金型相互間のインローの精度を1/1000mm~7/1000mmの範囲内とし、少なくとも、インローの精度は1/100mmよりも良くするものとする。これによって、速度V[m/s]はその自乗に影響するから、それをConst(一定)とする両者の誤差は少なくなる。
即ち、ポリウレタンは非粘性に近いため一般樹脂に比べて気泡を巻き込み易い。故に、空気の巻き込みの影響で、被覆剤の流れが被覆に現れる現象が生じていた。この対応として、外観不良を改善する案として、成形品とランナーの断面積を一定にして速度を一定にすることであり、また、オーバーフロー部を設けて気泡が巻き込み部位を成形製品部から外すことである。逆に、例えば、速度V[m/s]をconst(一定)でなくなったときには、それをもって充填終了とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1はポリウレタン塗料の粘度特性を示す粘性特性図である。
図2図2はイソシアネートAとポリオールBとの混合を行った場合の温度と粘性の関係を示す特性表図である。
図3図3は成形品のバリの発生(a)、バリの巻き込み処理(b)を説明する説明図である。
図4図4はインローの原理を説明する説明図で、(a)は上金型の斜視図、(b)は下型の斜視図を分解した状態の説明図である。
図5図5はインローを説明する下金型の事例の説明図である。
図6図6はインローを説明する図5の切断線A-Aの下金型の事例の説明図である。
図7図7はインローを説明する上金型の事例の説明図である。
図8図8はインローを説明する図7の切断線B-Bの上金型の事例の説明図である。
図9図9はインローを説明する上金型及び下型の説明図である。
図10図10はインローを説明する下金型の説明図である。
図11図11はインローを説明する上金型の説明図である。
図12図12は塗装被覆成形品 (サイドモール)で、(a)はその長さ方向を示す平面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
図13図13は本発明の実施の形態の塗装被覆成形品を示す成形品(a)及び断面の面積を取得する概念を示す説明図(b)である。
図14図14は本発明の実施の形態の塗装被覆成形品を製作する樹脂成形品の切断前の樹脂成形品の説明図である。
図15図15は本発明の実施の形態の塗装被覆成形品を製作する樹脂成形品の切断前の樹脂成形品及び塗装被覆成形品の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態]
【0017】
図1及び図2において、ポリウレタン塗料等の樹脂(75℃)の粘度は97(mPa・s)である。因みに、20℃の水の粘度は1.0(mPa・s)であり、一般合成樹脂の260℃の温度の粘度は1.0×105~1.0×106(mPa・s)であるから、ポリウレタン(75℃)の粘度は水の粘度に近似している。また、一般合成樹脂の260℃の温度の粘度は、1.0×105~1.0×106(mPa・s)であり、一般論からしてポリウレタン(75℃)の粘度が一般樹脂の1000~10000倍粘度が低く、水に近い粘度であることがわかる。
これに対して、一般合成樹脂の260℃の温度の粘度は、成形温度が高いばかりか、260℃の温度で粘度は1.0×105(mPa・s)と射出成型の管理が難しい。そこで、本実施の形態では、ポリウレタン(75℃)を使用することとする。
【0018】
因みに、イソシアネートA(Puronate 960/1)とポリオールB(Puroclear 3351 IT)の関係について、2液混合タイプのポリウレタン樹脂(塗料)の粘度特性を例に、説明する。
イソシアネートAとポリオールBの温度と粘度との関係を図1に示す。70~80℃で粘性が小さくなり、比較的低い60~80℃の範囲で特性が安定していることから、この温度範囲で成形すると、軽負荷で比較的流動性の高いポリウレタン樹脂の成形加工を行うことができる。
しかし、ポリウレタン(75℃)の粘度が一般合成樹脂に比して小さいことは、塗装被覆成形品13を形成する塗装被覆成形品用金型にインロー加工(精度1/100mm以下)21a~21dが形成されていても、その塗装被覆成形品用金型の隙間に図3(a)に示すバリ29が発生し、そのバリ29の除去は、周知のように簡単化できない。また、1回のストロークでバリ29を除去して図3(b)に示すように、全面切除することもできない。この流動性の高いポリウレタン樹脂のバリ29を切断するには、下金型20及び上金型30の金型相互間の間隔が精度1/1000mm~7/1000mmの範囲でないとバリ切りできないことが発明者等によって確認された。
【0019】
例えば、塗装被覆成形品13を成形する金型はインロー加工21a~21dされている。しかし、図4乃至図13に示すように、インロー加工21a~21dの精度が1/100程度であるから、精度1/100mm程度の流動性の高いポリウレタン樹脂のバリ29が発生する確率が高い。
図4はインロー加工の参考説明図で、上金型30に突出した形状の凸部30Xを形成し、また、それと嵌合する下金型20に凹部20Yを形成する。この上金型30の下に凸の凸部30X、及びそれと嵌合する金型凹部20Yは、上金型30及び下金型20の何れも外径に近い位置で位置決めできるように形成するのが望ましい。
図4に示す上金型30に突出した形状の凸部30X、下金型20に突出した形状の凹部20Yを形成する所謂、嵌め合いに対しても所定の射出する成形型が形成されている。
【0020】
前記金型相互間はインロー方式とし、かつ、前記塗装被覆成形品の表面に被覆し、図4に示すように、上金型30及び下金型20を形成した状態の部品同士が噛み合いをインローという。特に部品がしっくりはまる凸部30X、凹部20Yの両部分のことを「インロー」という。これは現場用語である。ここで、塗装被覆成形品用金型のインロー加工の精度を、図4乃至図8に示すように、1/100、1/200、1/300、1/400と小さく仕上げ精度を上げると、論理的にはバリ29の発生が少なくなる。
図4乃至図8は、射出成型に使用される金型のインロー方式を形成したものである。
【0021】
塗装被覆成形品13は、樹脂成形品11及びその上に樹脂塗料による被覆成形部12を保持しており、図13(b)に示すように、ベースを樹脂成形品11とし、その上に樹脂塗料による被覆成形部12を形成している。ベースを樹脂成形品11は、幅方向の断面の面積、即ち、幅の長さ[m]と、その厚み[h]の[幅m・厚h]が特定の値になるように断面積を決めている。図では樹脂成形品11を略凹字状として形成されているが、現実には合成樹脂の流れが乱されないように、角が面取りされている。幅の長さ[m]とその厚み[h]からなる[幅m×厚h]は、ベルヌーイの定理の速度(流速)V[m/s]一定から決定されるものである。
【0022】
例えば、図13(b)に示す塗装被覆成形品13を成形する金型は、インロー加工21a~21dされている。しかし、図4乃至図13に示すように、インロー加工21a~21dの精度が1/100mm程度であるから、流動性の高いポリウレタン樹脂のバリ29が発生する確率が高い。
ここで、塗装被覆成形品用金型のインロー加工の精度を、図4乃至図11に示すように、1/100mm、1/200mm、1/300mm、1/400mmと順次小さくすると、一般論では、バリ29の発生が少なくなる。
【0023】
図4乃至図13に示すように、下金型20の4隅に、インロー加工21a~21d用の4角柱を形成している。図5も同様、インロー加工22a~22dの4角柱は、1/100の精度に形成した。即ち、精度1/100mmのテーパによって、設定値の誤差が最小値になるようにした。図中、ボルト穴2は塗装被覆成形品13を保持しており、ボルト3によって上金型30と下金型20を接続している。
図11に示すインロー加工23a~23dは、インロー加工22a~22dと噛み合う凹部からなり、対となってインロー加工21a~21dを構成している。
【0024】
図4乃至図13に示すように、インロー加工22a~22dの4角柱は、NC旋盤、NC工作機械等のNC加工装置で1/100mmの精度で切削したものである。勿論、本発明を実施する場合には、円柱とテーパによって1/100mmの精度に切削してもよく、本発明は、そのインロー加工方法について限定されるものではない。
なお、インロー加工の加工方法は、例えば、文章では1/100mmの精度と示しているが、これは1/100mmの精度に機械設定したことを意味するものである。故に、インローの加工精度との間は目安に過ぎない。
【0025】
インロー加工21a~21d以外の塗装被覆成形品13の金型、即ち、下金型20及び上金型30は、図13(b)に示すように、ベースを樹脂成形品11とし、その上に樹脂塗料による被覆成形部12を形成している。塗装被覆成形品13は、樹脂成形品11及び被覆成形部12を形成したもので、形成前の被覆成形部12は塗装被覆成形品13が形成されるキャビティとして使用されている。
【0026】
しかし、インロー加工の加工精度を良くしても(数値を小さくしても)、1対の金型の収まりが悪いと、金型全体の精度を下げ、インロー加工の全加工精度を良くすることができない。
そこで、発明者等は1/1000mm~1/100mmをNC旋盤、NC工作機械等のNC加工装置で切削したインロー加工精度を基に、その下金型20と上金型30の収まりを検証した。
【0027】
発明者等はインロー加工として1/1000mm~8/1000mmの四角柱のものを切削し、試験資料として供した。7/1000mm以上では必ずしも安定したインロー加工による効果というものが得られなかったが、1/1000mm~7/1000mmで、インロー加工として精度を上げた効果が得られた。
特に、インロー加工の精度1/1000mm以上になると、安定した収まりによって、ボルト2、ボルト穴3による金型の締め付けも正しく行なわれた。
従来の1/100mmの精度のインロー加工を基に、ポリウレタン樹脂のバリ29を最小とする場合には、厚みが0.2mm以上のポリウレタン塗膜として、金型相互間のインローを1/1000mm~7/1000mmの範囲とした場合にバリ取りが減少した。6/1000mm、7/1000mmにおいては、どれだけ温度による膨張・収縮が生じているのか明確でないが、精度は殆ど温度に依存するものと推定されるので、発明者らによって更に究明中である。
【0028】
即ち、発明者らの実験によれば、インロー加工の精度1/1000mm~7/1000mmの範囲では、2色成形では不可能であった厚みが0.2~0.8mmという1mm以下のポリウレタン塗膜とすることができる。即ち、ポリウレタン塗膜の表面張力が維持されているとき、ポリウレタン塗膜の容積の一部が金型の温度膨張となって減容量側に傾くから、ポリウレタン塗膜の塊が膨らんで、バースト(破裂)に至らないことによると推定される。
特に、厚みが0.8mm以上のポリウレタン塗膜においては、表面張力によってポリウレタン塗膜の体積が丸くなろうとしており、また、毛細管現象による広がりが加わると、厚みが0.2mm以下の範囲の数値よりも大きくならない。この要因には表面張力及び毛細管現象が作用していると推定される。
【0029】
また、ポリウレタン塗膜の厚みが0.1mm以下とすることもできる。このとき、ポリウレタン塗膜を形成する場合は、厚みの巻き込みの「渦」、「むら」が出現し難くなるという環境を整えることができるメリットがあるが、インロー加工及びバリの大きさを考慮する必要が生じる。
しかし、厚みが0.1mm以上、0.2mm以上の範囲のポリウレタン塗膜は、被覆成形部12の毛細管現象及び表面張力のバランスが取れているので、0.2mm厚以上とするのが好ましい。
なお、0.8mm厚以上は従来の二色成型機で成型できることを含むから、本実施の形態では厚みが0.1~0.8mmの記載のうち、0.1mm厚以上は本実施の形態として新規に可能になった厚みで有り、0.8mm以上は従来の2色成形で可能な値と解釈さされてもよい。
【0030】
本実施の形態の図12のサイドモールのような塗装被覆成形品13の被覆成形部12は、図12(a)及び図12(b)に示すように、他の下金型20及び上金型30内で成形した樹脂成形品11の表面のキャビティとなる部分である。
なお、本実施の形態の説明の被覆成形部12は、樹脂塗料で被覆成形部12を形成したものと、樹脂塗料で被覆成形部12を形成するキャビティを指す場合もある。
【0031】
前記樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆するものである。図12(b)の正面図に示すように、前記樹脂成形品11の一次元の長さ方向の測定点Wに対して、幅方向の測定点が変化していることが判る。ところが、幅(二次元の長さ)の測定点が変化しているのみではなく、図12(a)乃至(c)に示す平面図、正面図、背面図から示されているように、サイドモールは意匠面が曲面となっている。
【0032】
図12(a)乃至図12(c)の成形品及び図13の塗装被覆成形品(サイドモール)13は、例えば、20等分した測定点は、溶融樹脂がW=50、51、52、・・・56、57、58、59、60、・・・・等に順次溶融樹脂が射出される。これは、幅方向の測定点、即ち、幅方向の断面の面積、幅の長さmと、その厚みhが、[幅m・厚h]として現して±30%以内に入るように設定されている。ここで、溶融樹脂Wは[幅m×厚h]が均一となる。
各測定点W=50をV1=V[m/s]とする入力速度、右端側の測定点は、W=50をV2=V[m/s]とする出力速度であり、中央付近の変化点の測定点、測定点W=59ではV3となる。更に、厚みの異なるところは、ヒケ、ボイドが生じないように意識して樹脂成形品11に凹部、凸部を形成している。
【0033】
ベルヌーイの定理から
1+ρ1(V12/2+ρ111 =p2+ρ2(V22/2+ρ222
との式から、被覆成形部12の幅が左端から射出するとなると、途中で3倍の幅に広くなっているから、V2[m/s]と(V/3)2 [m/s]が等しくなるように他の制御が必要である。ここでは、速度VからV/9の制御が必要となることがわかる。
【0034】
なお、測定点Wの等分は10等分または20等分に限定されるものではないし、必ずしも等分にする必要はなく、図面(設計値)の測定点と実施物の測定点とが対応すればよい。ベルヌーイの定理から
1+ρ1(V12/2+ρ111 =p2+ρ2(V22/2+ρ222
が形成され、この式から、図12(b)の幅が中央部付近で3倍になっており、V2[m/s]とその自乗の(V/3)2 [m/s]が等しくなるように制御が必要である。即ち、ここでは、1/9の制御が必要となることが判る。
【0035】
即ち、左端側の断面の速度V1=V[m/s]、右端側の断面の速度V2=V[m/s]、中央付近の速度V3=V/3[m/s]となる。
ベルヌーイの定理で断面の速度V[m/s]を変化しないでConst(一定)とすれば、高さz[m]及び重力加速度 g[m/s2] も変化しないので、流体の圧力p[Pa]及び密度ρ[kg/m3]が変化することになる。
しかし、左端側の断面の速度V1=V[m/s]となる。中央付近の速度V3はV/3[m/s]となるから、エネルギはp2+ρ2(V22/2+ρ222から、V3は(V/3)2とV/9の速度エネルギとなる。
【0036】
速度V[m/s]、高さz[m]、重力加速度 g[m/s2]、流体の圧力p[Pa]、密度ρ[kg/m3]は、塗装被覆成形品13の値から、下金型20及び上金型30のキャビティとしての被覆成形部12によって樹脂成形品11の一次元の長さ方向の測定点Wは、W=50、・・・、70を得る。また、測定点Wは、各断面点のサイドモールの断面を算出し、当該キャビティの被覆成形部12の断面形状を得る。それらのキャビティを基に速度V[m/s]、高さをz[m]、重力加速度 g[m/s2]、流体のp[Pa]、密度ρ[kg/m3]を算出する。
【0037】
即ち、下金型20及び上金型30内で成形した塗装被覆成形品13は、前記樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆し、また、サイドモール等からなる塗装被覆成形品13は、前記樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射する射出口SGを取付け、前記樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射し、しかも、樹脂塗料を噴射したとき、特定の流体を常に定量流して、他の流体を変量として制御している。
このときの流体調整機構90は、ステッピングモータ、サーボモータで横方向の測定点Wの位置の検出ができればよい。符号化または複合化コード盤を具備するモータも使用可能である。
【0038】
上記樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射する射出口SGは、樹脂塗料を噴霧する噴射口を有するもので、本実施の形態では所定の幅を形成できるものである。射出口SGとしては、イオンエアーコンプレッサ、静電除去エアーガン等が使用できる。
また、流体調整機構90は、塗装被覆成形品13に沿って射出口SGを取付け、少なくとも、樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を供給し、射出口SGで射出した樹脂塗料の頭部を移動させながら、一次元または二次元的に移動するものである。
流体調整機構90は、図8の概念図に示すように、下端に一次元または二次元的に移動する射出口SGを取付けたものである。
【0039】
ここで、本実施の形態の流体調整機構90は、射出口SGから樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射するとき、樹脂成形品11の長さ方向の測定点Xに移動し、何れの位置においてもベルヌーイの定理の「速度、高さ、重力加速度、流体の圧力、密度」の「流体特性」の和が同一になるように設定されている。
この時、設計的に測定点X=50、・・・、70の側は、サイドモールの片端部または両端部から空気を抜きながら射出口SGで塗装するのが効率的である。
【0040】
本実施の形態の流体調整機構90は、射出口SGの位置を対応付けるもので、速度V[m/s]、高さz[m]、重力加速度 g[m/s2]、流体の圧力p[Pa]、密度ρ[kg/m3]を算出する。全長の流体抵抗に対するベルヌーイの定理から定量出力する流体の前提を算出する。
そして、塗装被覆成形品13の設計値から、下金型20及び上金型30のキャビティを基に作成された被覆成形部12によって、樹脂成形品11の1次元の長さ方向の測定点X=50、・・・、70を得る。また、サイドモールの各断面を算出し、塗装被覆成形品13のキャビティから変量としての流体を算出する。
【0041】
ここで、塗装被覆成形品13の一次元の長さ方向の測定点Xに対して何等分かに分け、また、二次元の長さ方向の測定点に対しても何等分かに分け、樹脂成形品11の表面の空気の巻き込みを塗装被覆成形品13の一次元の長さ方向の測定点Xに対しても、二次元の測定点の変化を少なくする。勿論、等分する距離は細分化することが望ましいが、この検出位置は、ベルヌーイの定理の入力端と出力端からその間の数値を推定することができる。
【0042】
発明者等の実験では、
1+ρ1(V12/2+ρ111 =p2+ρ2(V22/2+ρ222
が1~3割の誤差を持つときには見栄えが低下しないので、3割以下の誤差に抑えるか、二次元の長さ測定点について、できるだけ変動を少なくするのが望ましい。勿論、1~3割の誤差を持つことを前提に説明したが、厳格に1~3割の誤差ではなく、更に、誤差が介在するものである。
【0043】
発明者等はベルヌーイの定理を基に金型内で成形した樹脂成形品11の特定の表面を、樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する下金型20及び上金型30内で、成形した他の金型で形成した樹脂成形品11の表面に、樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆した塗装被覆成形品13において、「速度エネルギρV2/2」を互いに近似するようにした。
【0044】
樹脂成形品11の表面に、樹脂成形品11を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料、即ち、ポリウレタン塗膜で被覆する塗装被覆成形品13の表面に被覆する塗膜はポリウレタン塗料とし、前記樹脂塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の断面積と、製品として使用しない樹脂成形品11の被覆形態の被覆の断面積はConst(一定)とすべく各種の実験を行った。
【0045】
発明者等はベルヌーイの定理を基に、左端側の断面の速度V1=V[m/s]、右端側の断面の速度V2=V[m/s]、更に、両者間の速度V0=V[m/s]になることが、好ましいから、金型内で成形した樹脂成形品11の特定の表面を、樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する下金型20及び上金型30内で成形した樹脂成形品11の表面に、樹脂成形品11を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度のポリウレタン塗膜で被覆する塗装被覆成形品13を得ることができ難くなり、ポリウレタン塗膜を形成する場合の厚みの「渦」、「むら」が出現し難く、厚みが0.2mm以上で、0.8mm以下のポリウレタン塗膜を形成することができる。
【0046】
まず、塗装被覆成形品13の表面に被覆するポリウレタン塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品11の成形後に成形する。
樹脂成形品11の具体的構成を説明すると、図12に示すように、まず、樹脂成形品11は射出成型機の図示しないノズルから、図14及び図15に示すランナー91を介してゲート92に樹脂成形品11の樹脂が送給される。樹脂成形品11のスプール93は、樹脂成形品11を形成するためのものであり、樹脂成形品11のスプール93の長さに対して、ゲート92からA-A切断線の領域、切断線F-Fの領域及び流体抵抗を考慮して、スプール93に近似する流体抵抗の値、即ち、ゲート92を中心にスプール端部溝94としたものである。
【0047】
この樹脂成形品11は、最初に樹脂成形品11の樹脂を射出して成形される。
即ち、樹脂成形品11は、射出成型機の図示しないノズルから、ランナー91を介してゲート92に樹脂成形品11の樹脂が送給されたものであり、樹脂成形品11として成形品を形成している。
本実施の形態では、成形品の大きさ等を考慮して断面積や長さが決定されるランナー91を介してゲート92に樹脂成形品11の樹脂が送給されたものであるが、本発明を実施する場合には、ゲートが1つでも、複数でもよいし、ゲート92が必ずしも中心位置にあることを必要とするものではない。スプール93は、例えば、A-A切断線、B-B切断線で確認できるように、両端が堤で囲われた上に開で、ポリウレタン塗料で被覆する塗装被覆成形品13の表面に被覆する全体がコ字状の溝になっている。
【0048】
樹脂成形品11が硬化した後、スプール93等の堤で囲われた上に開のコ字状の溝は、上に開となっている。スプール端部溝94側から樹脂成形品11の表面にポリウレタン樹脂の供給が行われる。
E要部斜視図に示すように、スプール端部溝94に示されているように、スプール端部溝94の端部から、ポリウレタン塗料である樹脂を注入する。C-C切断線、B-B切断線、A-A切断線及びF-F切断線の領域の[幅m×厚h]の開口に倣って、幅の長さ[m]とその厚み[h]からなる[幅m×厚h]は、ベルヌーイの定理から一定となり、即ち、断面積が均一化されるように厚みhが薄くなり、幅mが幅広となるものである。
このときポリウレタン塗料の供給は、F-F切断線の領域に連続する曲率の変曲点となるF-F切断線よりもスプール上部99側は、F-F切断線を超えて充填されている。同様に、A-A切断線の領域に連続する曲率の変曲点96を超えて充填されている。
【0049】
ところが、C-C切断線によって形成されているスプール93等の堤で囲われた上に開のコ字状の溝は、その断面積が均一であるが、A-A切断線とB-B切断線は堤で囲われた上に開のコ字状の溝が順次拡大している。しかし、スプール端部溝94からスプール上部99に対する流体抵抗は、堤で囲われた上に開のコ字状の溝の幅で順次溝幅が変化する形態となっている。
ベルヌーイの定理を基に、溝幅の断面の速度V1=V[m/s]、上端側の断面の速度V2=V[m/s]、更に、両者間の速度V0=V/n[m/s]になる。
【0050】
F-F切断線及びA-A切断線の領域を形成したポリウレタン樹脂によって被覆成形部12が塗装被覆成形品13になる。なお、D要部斜視図の断面変化位置96はポリウレタン樹脂の流れ位置を示すもので両側は、樹脂成形品11の堤として形成したものである。
なお、図14及び図15には、A-A切断線、B-B切断線、C-C切断線、E要部斜視図及びF-F切断線を示している。前述したが、製品として使用しない塗装被覆成形品13とは、図14及び図15のF-F切断線で形成されるポリウレタン塗膜によってそのサイズ等が決定される領域以外の箇所を意味する。図14及び図15のF-F切断線及びA-A切断線の領域は、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態である。
【0051】
図14及び図15のF-F切断線及びA-A切断線の領域は、塗装被覆成形品13として使用する樹脂成形品11の被覆形態である。したがって、塗装被覆成形品13はF-F切断線及びA-A切断線の領域で切断するものである。
図14及び図15のF-F切断線及びA-A切断線で形成されるポリウレタン塗膜によってそのサイズ等が決定される領域を意味する。図14及び図15のF-F切断線及びA-A切断線の領域は、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態である。
【0052】
A-A切断線から図14及び図15の下方においては、ポリウレタン塗膜を形成するのに適した断面を塗装被覆成形品13で形成している。図14及び図15のE要部斜視図に示すように、スプール端部溝94は、ポリウレタン塗膜を形成する場合、厚みに対する「むら」、「渦」が出現し難いように、厚みが0.1~0.8mmの範囲のポリウレタン塗膜を見栄えよく形成することができる。
なお、F-F切断線から上方は、ポリウレタン樹脂がF-F切断線及びA-A切断線の領域に十分樹脂が廻ったことを示すスペースであり、キャビティとしての被覆成形部12によって、塗装被覆成形品13を形成するものである。
【0053】
ポリウレタン樹脂がA-A切断線の領域に連続するスプール93側は、切断して捨てる箇所である。F-F切断線の領域に連続する曲率の変曲点よりもスプール上部99側も捨てる箇所である。また、A-A切断線の領域に連続する曲率の変曲点よりもスプール93の下部側は捨てる箇所の分岐点である。
F-F切断線及びA-A切断線の領域を形成したポリウレタン樹脂によって被覆成形部12が塗装被覆成形品13に化体する。なお、D要部斜視図の断面変化位置96はポリウレタン樹脂の流れ位置を示すもので両側は、樹脂成形品11の堤として形成したものである。
【0054】
図示しないが、射出成型機のノズルからポリウレタン塗膜がランナー91を介して樹脂成形品11のスプール93が形成されている。A-A切断線、B-B切断線は、断面の徐々の変化により、ポリウレタン塗膜の速度VはConst(一定)となり、C-C切断線の上下方向の伸びは、F-F切断線及びG-G切断線に挟まれた領域の成形と、C-C切断線の上下方向の伸びが、ポリウレタン塗膜の供給を均一として供給する速度Vで行うものである。
【0055】
したがって、射出成型機の図示しないノズルから、ランナー91を介して図示しない接続されている樹脂成形品11は、商品として使用するF-F切断線及びA-A切断線に挟まれた領域と、A-A切断線以下の領域及びF-F切断線の上部の領域は略均一である。
よって、樹脂成形品11のポリウレタン塗膜の量が変化しても、スプール端部溝94で調整可能領域であれば、ポリウレタン樹脂のバリ29が発生し難いから、バリ29を切断しなくてもよい。
【0056】
樹脂成形品11の表面には、樹脂成形品11を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度のポリウレタン塗膜で被覆する塗装被覆成形品13であって、塗装被覆成形品13の表面に被覆するポリウレタン塗膜の供給は、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の断面積と、商品として使用するF-F切断線及びA-A切断線に挟まれた領域と、製品外のG-G切断線以下の領域及びF-F切断線の上部の領域は3割以下の範囲内誤差は許容される範囲内である。
【0057】
これによって、商品として使用するF-F切断線及びA-A切断線に挟まれた領域は、A-A切断線とB-B切断線の中間にノズルが配設されることを前提とし、ポリウレタン塗膜が上昇し、幅を徐々に広くするとともに、F-F切断線及びA-A切断線に挟まれた領域を厚みが0.2~0.8mm以上の範囲のポリウレタン塗膜を形成する。
更に、F-F切断線及びA-A切断線に挟まれた領域を厚みが0.2~0.8mmの範囲で、F-F切断線及びA-A切断線の領域に供給されたポリウレタン塗料は多少使用樹脂の総和が変化しても、即ち、樹脂成形品11のポリウレタン塗料の量が変化しても、スプール端部溝94で調整可能領域であれば、ポリウレタン樹脂のバリ29が発生しないから、バリ29を切断しなくてもよい。インロー加工も1/100mm程度以上であればよい。
【0058】
本実施の形態は、下金型20及び上金型30内で樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する下金型20及び上金型30内で成形した樹脂成形品11の表面を、前記樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆した塗装被覆成形品13であって、樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射する射出口SGを取付け、樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射し、射出口SGから樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射するとき、流体を常に均一として制御する流体調整機構90を具備する。
【0059】
上記樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射する射出口SGは、樹脂塗料の噴射口を有するもので、本実施の形態では所定の幅を形成できるものである。
また、流体調整機構90は、射出口SGを取付け、少なくとも、樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射し、ポリウレタン塗料樹脂が一次元または二次元的平面または曲面を移動する。そして、射出口SGから樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射するとき、流体調整機構90の流体は何れの位置においても常に均一となる。
【0060】
この実施の形態の塗装被覆成形品13は、前記樹脂成形品11の表面に沿って噴射する樹脂塗料は、ポリウレタン塗料としたものである。
ここで、前記樹脂成形品11の表面に沿って噴射する樹脂塗料は、ポリウレタン塗料としたものであるから、前記樹脂成形品11の表面に沿って噴射するとは、一次元または二次元平面または曲面とするものである。特に、ベルヌーイの定理の前提は、流体は摩擦の少ない非粘性流体であることから、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做すことができる。
【0061】
上記樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射する射出口SGは、樹脂塗料を噴霧する噴射口を有するもので、本実施の形態では所定の幅を形成できるものである。
また、流体調整機構90は、射出口SGを取付け、少なくとも、樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を射出し、一次元または二次元的平面または曲面に樹脂を形成する。
そして、流体調整機構90は、射出口SGから樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射するとき、前記流体調整機構90の流体は流体調整機構90の何れの位置においても常に均一となるように制御するものである。
【0062】
更に、この実施の形態の塗装被覆成形品13は、前記樹脂成形品11の表面に沿って噴射する樹脂塗料は、ポリウレタン塗料としたものであるから、樹脂成形品11の表面に沿って噴射するとは、一次元または二次元平面または曲面とするものである。特に、ベルヌーイの定理でいう「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」の前提は、流体は摩擦の少ない非粘性流体であり、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做すことができる程度の粘性である。
【0063】
塗装被覆成形品13は、インロー加工により、射出口SGで噴射する樹脂塗料及び空気の通過が特定された金型を通過するものであるから、金型をインロー加工とすることにより密着性を出し、射出口SGで噴射する樹脂塗料及び空気の通過が特定された金型のキャビティを通過するから、そこを通過する時間変化のない定常流は、摩擦の少ない非粘性流体となる。
【0064】
他の金型内で成形した樹脂成形品11の表面を、樹脂成形品11の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆成形部12を被覆する塗装被覆成形品13であって、前記塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料は、ポリウレタン塗膜とし、かつ、金型相互間のインローを5/1000mm以下とし、更に、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」の和が等しくなるように流体を設定するものである。
【0065】
下金型20及び上金型30内で成形した樹脂成形品11の表面の被覆成形部12を、樹脂成形品11の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13であって、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料は、厚みが0.1~0.8mmのポリウレタン塗料とし、かつ、金型相互間のインローを1/1000mm~7/1000mmの範囲とし、更に、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」の和が等しくなるように「流体特性(圧力エネルギ、速度エネルギ、位置エネルギ)」を設定するものである。
【0066】
他の金型で成形した樹脂成形品11の表面を、樹脂成形品11の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13であって、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料は、ポリウレタン塗膜とし、かつ、金型相互間のインローを精度1/1000mm~7/1000mmの範囲とし、更に、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」の和が等しくなるように流体を制御するものである。
【0067】
本実施の形態の塗装被覆成形品13は、樹脂成形品11の表面に沿って噴射する樹脂塗料をポリウレタン塗料としたものであり、一次元または二次元平面または曲面を樹脂成形品11の表面に沿って噴射するものである。特に、ベルヌーイの定理による「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」=Const(一定)の前提は、摩擦の少ない非粘性流体であることから、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做しても問題は確認されなかった。
【0068】
本実施の形態の樹脂成形品11の表面に、前記樹脂成形品13を被覆する溶融樹脂11の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13は、前記塗装被覆成形品13の表面を被覆する2液混合タイプのポリウレタン塗料の樹脂塗料とし、前記樹脂塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の断面積に一致させて2液混合タイプのポリウレタン塗料を供給して成形したものである。
【0069】
本実施の形態の塗装被覆成形品は、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗膜とし、また、前記樹脂塗料の供給を製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の被覆の断面積と、製品として使用しない樹脂成形品の被覆形態の被覆の長さ方向の断面積はConst(一定)としたものである。
ベルヌーイの定理によれば、その流体を、圧力p[Pa]、密度ρ[kg/m3]、速度V[m/s]、高さz[m]、重力加速度 g[m/s2] で現わすと、p+ρV2/2+ρ gz =一定となる。「圧力エネルギp」+「速度エネルギρV2/2」+「位置エネルギρ gz」の和が等しくなる。
このように「圧力エネルギp」、「速度エネルギρV2/2」、「位置エネルギρ gz」の和をConst(一定)にすることは、「位置エネルギρ gz」が殆ど変化しないから、噴射圧力によって決定され「速度エネルギρV2/2」がConst(一定)であれば、概略的な誤差の少ない値となる。
【0070】
したがって、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料、即ち、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗料とし、前記樹脂塗料の供給を製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の被覆の断面積と、製品としては廃棄する樹脂成形品11の被覆形態の被覆の断面積は、一連の流れとしたときConst(一定)としたものである。
なお、本実施例とは相違するが、金型相互間のインローの精度を1/1000mm~7/1000mmの範囲内とし、少なくとも、インローの精度は1/100mmよりも良くするもので、これによって、速度V[m/s]はその自乗に影響するから、それをConst(一定)とする両者の誤差は少なくなる。
【0071】
下金型20及び上金型30内の樹脂成形品11の表面を、樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13において、樹脂成形品11の表面に噴射する樹脂塗料は、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」、「速度エネルギ」、「位置エネルギ」からなる「流体特性」を常に均一になるように樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿ってポリウレタン塗料を噴射し、射出口SGの出力を制御する。樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射する射出口SGを取付け、樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射し、射出口SGから樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射するとき、流体調整機構90を制御する流体を常に均一として制御する流体調整機構90とを具備し、下金型20及び上金型30内で成形した樹脂成形品11の表面を、樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆するものである。
【0072】
樹脂成形品11の表面に沿って噴射するポリウレタン塗料は、一次元または二次元平面または曲面とするものである。特に、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」の流体は、流体として摩擦の少ない非粘性流体であることから、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做している。
即ち、2つの流体の流れの断面を通過する圧縮性流体のエネルギは、ベルヌーイの定理を流体のp[Pa]、密度をρ[kg/m3]、速度V[m/s]、高さz[m]、重力加速度 g[m/s2] で現わすとすれば、
p+ρV2/2+ρ gz = Const(一定) であり、
「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」=Const(一定)から、2つの流れ方向に垂直な断面は、そこを通過する時間変化のない定常流、流体は摩擦の少ない非粘性流体である。ここで、2つの流れに対して垂直な断面を通過する流体は、その速度Vの自乗に影響することになる。したがって、速度V[m/s]をConst(一定)にすれば、密度ρ[kg/m3]が変化しないので、前記射出口SGの樹脂塗料の噴霧雰囲気を均一化でき、仕上がり面が均一化できる。
【0073】
下金型20及び上金型30内の樹脂成形品11の表面を、樹脂成形品11の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13であって、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料は、厚みが0.2mm以上のポリウレタン塗膜とし、かつ、金型相互間のインローを設け、ベルヌーイの定理による「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」=Const(一定)の前提は、摩擦の少ない非粘性流体であることから、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做しても問題は確認されなかった。
【0074】
本実施の形態の塗装被覆成形品13は、流体調整機構90の流体を常に均一になるように樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿ってポリウレタン塗料を噴射し、射出口SGの出力を制御する。樹脂成形品11の表面に樹脂塗料を噴射し、樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射し、射出口SGから樹脂成形品11の長さ方向の表面に沿って樹脂塗料を噴射するとき、特定の流体を常に均一として制御する流体調整機構90とを具備し、他の金型内で成形した樹脂成形品11の表面を、樹脂成形品11における溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆するものである。
【0075】
ここでは、樹脂成形品11と塗装被覆成形品13が別ルートで形成されるから、速度V[m/s]をconst(一定)でなくなったときには、樹脂塗料の噴霧雰囲気を均一化、仕上がり面が均一化でき、それをもって個々に充填終了とすることができる。樹脂成形品11のデータを使用して塗装被覆成形品13の仕上がり制御を停止できる。
樹脂成形品11の表面に沿って噴射するポリウレタン塗料が、樹脂成形品11の表面に沿って噴射する対象は、一次元または二次元平面または曲面とするものである。特に、ベルヌーイの定理のエネルギの前提は、流体は摩擦の少ない非粘性流体であることから、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做すことができる。
【0076】
即ち、2つの流体の流れの方向に対して垂直な断面を通過する圧縮性流体のエネルギは、ベルヌーイの定理のp[Pa]、密度ρ[kg/m3]、速度V[m/s]、高さz[m]、重力加速度 g[m/s2] で現わすとすれば、
p+ρV2/2+ρ gz = Const(一定) であり、
「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」=Const(一定)から、2つの流れに対して垂直な断面は、そこを通過する時間変化のない定常流、流体は摩擦の少ない非粘性流体である。
ここで、2つの断面を通過する流体は、その速度V[m/s]の自乗に影響することになる。したがって、速度V[m/s]をConst(一定)にすれば、密度ρ[kg/m3]が変化しないので、射出口SGの樹脂塗料の噴霧雰囲気を均一化でき、仕上がり面が均一化できる。
【0077】
この塗装被覆成形品13の表面に沿って射出口SGで噴射する塗装は、ポリウレタン塗料としたものである。ここで、樹脂成形品11の表面に沿って噴射するとは、一次元または二次元、即ち、平面または曲面とするものである。特に、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」との前提は、流体は摩擦の少ない非粘性流体であることから、ポリウレタン塗料は非粘性流体と見做すことができる。
ポリウレタン塗料として1.0×102のものを使用すれば、下金型20及び上金型30の相互間のインローを5/1000mm以下で被膜形成は、厚みが0.2~0.8mmとした厚みに実施できる。更に歩留まりを考慮すれば、かつ、安全性を考慮すれば、厚みが0.1~0.8mmとすれば、高効率で塗装被覆成形品13が得られる。
塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料は、厚みが0.2~0.8mmのポリウレタン塗料とし、かつ、金型相互間のインローを5/1000以下とし、更に、ベルヌーイの定理の「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」の和が等しくなるように制御するものである。
【0078】
下金型20及び上金型30内に収納して成形する事例で説明したが、中子にも同様に使用できる。また、ベルヌーイの定理に従って、「圧力エネルギ」+「速度エネルギ」+「位置エネルギ」と区別しているが、本実施の形態の場合には、コントロールが容易な項目を制御すればよい。特に、この成形により、ポリウレタンの単色成形または塗装と同様に成形したものとして同一の質感が出せる。樹脂成形品11は下金型20及び上金型30内で形もよいし、下金型20及び上金型30内で全体を移動しないようにしてもよい。
この成形により、ポリウレタン樹脂の単色成形または2色成形したものと同一の質感が出せる。したがって、多層化が可能であり、また、多層化による違和感がない。
【0079】
樹脂成形品11の表面に、前記樹脂成形品11を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13において、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗膜とし、更に、樹脂塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の断面積と、製品として使用しない被覆形態の被覆の断面積は、Const(一定)としたものである。特に、ポリウレタン塗膜の厚みが0.1~0.8mmと薄くても、バリが多く発生し難いものである。
【0080】
特に、被覆形態の製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の断面積と等しい面積または3割以内の近似した面積を形成し、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の断面積に一致または近似させるように成形するものである。
単一の金型に対して、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態を射出しながら、同量または製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の3割以内の、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態に使用する樹脂と同一樹脂を供給する。
【0081】
製品として使用する塗装被覆成形品には、前記塗装被覆成形品の表面に樹脂を被覆し、前記樹脂成形品11を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度で被覆し、前記ポリウレタン塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品11の被覆形態の断面積と、製品として使用しない被覆形態の被覆の断面積とを一致させるものであるから、ベルヌーイの定理の速度V[m/s]をConst(一定)化できるから、その速度V[m/s]の自乗に影響しない。
しかし、速度V[m/s]をconst(一定)でなくなったときには、密度ρ[kg/m3]は変化できないので、これをもって制御を終了し、充填終了とすることができる。
樹脂塗料の噴霧雰囲気を均一化できないとき、仕上がり面が均一化できないとき、それをもって充填制御を終了できる。
また、樹脂成形品11を被覆する溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13において、塗装被覆成形品13の表面に被覆する樹脂塗料はポリウレタン塗膜とし、更に、樹脂塗料の供給は、製品として使用する樹脂成形品の被覆形態の断面積と、製品として使用しない被覆形態の被覆の断面積は、Const(一定)としたものであるから、充填制御を停止し、特に、ポリウレタン塗膜の厚みが0.1~0.8mmと薄くても、バリが多く発生し難いものとなる。
【0082】
本実施の形態の塗装被覆成形品は、下金型20及び上金型30内で成形した樹脂成形品11の表面を、前記樹脂成形品11の溶融樹脂の粘度よりも低粘度の樹脂塗料で被覆する塗装被覆成形品13であって、前記塗装被覆成形品13の表面を被覆する2液混合タイプとしてポリウレタン塗料を樹脂塗料としている。前記2液混合タイプのポリウレタン塗料の樹脂塗料の供給は、成型品に合った大きさとして供給し、使用する前記樹脂成形品11の被覆形態の断面積としてスプール上部99までの樹脂経路のランナー91の断面積を一定にして樹脂の移動(充填)速度を一定にするか、またはオーバーフロー部99Aを設けて気泡が巻き込んだ部位を成形製品部の領域から切り離す発明である。
【0083】
このように、ポリウレタンは非粘性に近いため一般樹脂に比べて気泡を巻き込み易い。故に、空気の巻き込みの影響で、被覆材の流れが被覆に現れる現象が生じていた。そこで、外観不良を改善する案として、充填樹脂の単一の移動面積を一定にして流動特性を同一とし、速度を一定にするか、オーバーフロー部99Aを設けて所定量オーバーフローした位置で気泡が巻き込まれない位置で成形製品部から離し、即ち、F-F切断線及びA-A切断線に挟まれた領域としないことで、それまで使用していた、例えば、速度V[m/s]が一定でなくなったとき、それをもって充填が完了したとすることができる。
なお、オーバーフロー部99A(図14及び図15の斜線位置)は、スプール上部99の上部に位置し、空気の巻き込みの影響で、被覆材の流れが被覆に現れ、外観不良をさせない位置とする。
【符号の説明】
【0084】
SG 射出口
11 樹脂成形品
12 被覆成形部(塗装被覆成形品の金型のキャビティ)
13 塗装被覆成形品
20 下金型
30 上金型
21a~21d インロー加工
22a~22d インロー加工
23a~23d インロー加工
90 流体調整機構
91 ランナー
92 ゲート
93 スプール
94 スプール端部溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15