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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】釣糸通し具及び釣糸通し具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/00 20060101AFI20220216BHJP
   A01K 87/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A01K97/00 Z
A01K87/00 640Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020175219
(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2021073984
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0142374
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0046448
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237385
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 一仁
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3202614(JP,U)
【文献】特開平10-215745(JP,A)
【文献】特開平08-131032(JP,A)
【文献】特開2013-116091(JP,A)
【文献】特開2001-346490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0303521(US,A1)
【文献】米国特許第6691450(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/00 - 97/28
A01K 87/00 - 87/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿に連続的に設けられる複数の釣糸ガイドのガイドリングに釣糸を通すための釣糸通し具において、
前記釣糸通し具は1つの金属線材のみで構成され、全体的に長手方向に沿って延びる形状を有し、
第1端部で繋がる第1挟持部及び第2挟持部を有し、前記第1挟持部と前記第2挟持部は少なくとも一部で接触し、前記釣糸を挟んで支持できるように環状をなす釣糸挟持部と、
前記第1挟持部から延びる第1弾性部及び前記第2挟持部から延びる第2弾性部を有し、前記第1弾性部及び前記第2弾性部が前記長手方向と直角をなす幅方向に最大に離隔された地点である頂点部をそれぞれ有するように全体的に菱形状をなす弾性部と、
前記第1弾性部及び前記第2弾性部から前記長手方向にそれぞれ第2端部まで延びて互いに隣接するように配置される第1先端部及び第2先端部を含む先端部と、を含み、
前記第1先端部及び前記第2先端部は接合部によって互いに接合され
前記接合部は局部的に配列される複数の接合部であり、前記先端部の表面から突出した段差が生じないように形成され、スポット溶接、ロー付けまたはハンダ付けによって形成される、
釣糸通し具。
【請求項2】
前記長手方向に沿った前記頂点部から前記第2端部までの長さは、前記第1端部と前記第2端部との間の全長の60~80%である、請求項1に記載の釣糸通し具。
【請求項3】
前記長手方向に沿った前記第1端部と前記第2端部との間の全長は、連続的に設けられる3つの前記釣糸ガイドの間隔に対応するように75mm~115mmの範囲で決定される、請求項1に記載の釣糸通し具。
【請求項4】
釣竿に連続的に設けられる複数の釣糸ガイドのガイドリングに釣糸を通すように構成され、捩れ部を有し、前記釣糸を挟んで支持する釣糸挟持部と、前記釣糸挟持部から延び、全体的に菱形状をなす弾性部と、前記弾性部から長手方向に延びる先端部とを含む釣糸通し具を製造する方法において、
中間部分と前記中間部分の各端から傾くように延びる第1直線部分及び第2直線部分を有する1つの線材を製作する工程と、
前記線材を折り返すことによって前記釣糸挟持部を形成する工程と、
前記第1直線部分及び前記第2直線部分を移動させることによって前記弾性部を形成する工程と、
前記第1直線部分及び前記第2直線部分を接合することによって前記先端部を形成する工程と、を含み、
前記釣糸挟持部を形成する工程は、
前記中間部分の二等分位置を基準にして前記線材を折り返すことによって前記二等分位置を基準にして前記中間部分に第1中間部分及び第2中間部分を形成する段階と
前記第1中間部分の一部と前記第2中間部分の一部が交差しながら互いに接触し、摩擦して重なるように、前記第1中間部分と前記第2中間部分に潰し加工を行うことによって前記捩れ部を形成する段階を含み、
前記弾性部を形成する工程は、上側に位置した前記第1直線部分が下側に位置した前記第2直線部分に向かって移動し、下側に位置した前記第2直線部分が上側に位置した前記第1直線部分に向かって移動するように、前記第1直線部分の端部と前記第2直線部分の端部を押すことによって前記第1直線部分と前記第2直線部分を合わせる段階を含み、
前記先端部を形成する工程は、前記第1直線部分と前記第2直線部分を連結するように前記第1直線部分と前記第2直線部分を局部的に接合する段階を含む、
釣糸通し具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は釣糸ガイドのガイドリングに釣糸を通すための道具である釣糸通し具及び釣糸通し具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣りを行う時に、釣糸ガイドに備わるガイドリングへリールに巻かれた釣糸を通す。ガイドリング内へ釣糸を通すためには、釣り人は指で釣糸の先端を持ってガイドリングに釣糸を通したり、または、釣糸通し具を用いている。
【0003】
釣糸ガイドに釣糸を通すことができる釣糸通し具の一例が日本登録実用新案第3016668号公報に開示されている。前記文献が開示している釣糸通し具は、先端部と、該先端部と一体で二又状に形成され、バネ性を有する後部からなる。該後部の一方の又は釣糸の固定部を有し、前記後部の他方の又は外方へ曲げられた部分を有する。釣糸を釣糸ガイドに通すとき、前記後部はバネ性に抗し、撓んで釣糸ガイドを通過する。釣糸が釣糸ガイドを通過した後、前記後部は復元し、釣糸ガイドを逆方向に通過することを妨げるので、釣糸ストッパーとして機能する。
【0004】
釣竿は、魚信感度の低下、釣竿の持ち重り、錘やルアーの短い飛距離のような欠点を改善する方向に進化している。このような脈絡で、リールから釣竿の先端までの間に装着される釣糸ガイド群の構成を考慮した、例えば、日本登録特許第5474868号公報に開示された釣糸ガイド群が採用されることができる。これによれば、釣竿の先端側に位置するティップセクションに装着される釣糸ガイド群は、小口径で軽く同じ口径を有する釣糸ガイドで構成するのが良いとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本登録実用新案第3016668号公報
【文献】日本登録特許第5474868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
釣種によっては釣竿のティップセクションに装着される釣糸ガイドは極小になる。即ち、ガイドリングの内径が1.3mmにもなる極小の釣糸ガイドがティップセクションに装着されている。このようになると、指で釣糸を通すのが非常に難しく、従来の釣糸通し具がガイドリングを簡単に通過できない難点がある。
【0007】
また、ティップセクションの極小釣糸ガイドの内径は肉眼で捉えるのが難しく、更に前記極小の釣糸ガイドの間隔は非常に狭いので、釣り人は釣糸を釣糸ガイドに一つずつ通すのに煩わしさを感じる。
【0008】
釣糸の極小化に伴い、ティップセクションの極小釣糸ガイドにおいては釣り人が釣糸を通したつもりでも、実際には釣糸を通していない場合が発生し得る。この場合には、釣糸を通し直すために、通す方向とは逆の方向へ釣糸を引き戻すことが容易である必要がある。
【0009】
本開示の実施例は、前記従来技術の問題点に着眼してなされたものである。本開示の一実施例による釣糸通し具は、ティップセクションの釣糸ガイド群に釣糸を通すにおいて、極小釣糸ガイドに釣糸を通すことができて、肉眼に頼ることなく、容易に釣糸を通すことができる形状を提示しようとする。また、本開示の一実施例による釣糸通し具は、釣糸をガイドリングに正方向及び逆方向の両方向でスムーズに通過できるようにする。
【0010】
また、本開示の一実施例による釣糸通し具は、繊細な指の操作での釣糸の通過を必要としないながらも、釣り人が釣糸通し具を用いる方法の好みに合わせ、いかなる使用方法にも対処できる構成を有するようにする。
【0011】
また、本開示は、それぞれの釣り人の指に合わせた良好な把持性を有することができる、従来の方式による問題点のうちの1つ以上を克服した釣糸通し具及び釣糸通し具の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
釣竿に連続的に設けられる複数の釣糸ガイドのガイドリングに釣糸を通す釣糸通し具の実施例が開示される。一実施例において、釣糸通し具は、釣糸挟持部と、弾性部と、先端部を含む。釣糸通し具は1つの金属線材で構成され、全体的に長手方向に沿って延びた形状を有する。釣糸挟持部は、第1端部で繋がる第1挟持部及び第2挟持部を有する。第1挟持部と第2挟持部は少なくとも一部で接触し、釣糸を挟んで支持できるように環状をなす。弾性部は、第1挟持部から延びる第1弾性部及び第2挟持部から延びる第2弾性部を有する。弾性部は、第1弾性部及び第2弾性部が長手方向と直角をなす幅方向に最大に離隔された地点である頂点部をそれぞれ有するように全体的に菱形状をなす。先端部は、第1及び第2弾性部から長手方向にそれぞれ第2端部まで延びて互いに隣接するように配置される第1先端部及び第2先端部を含む。第1及び第2先端部は接合部によって接合される。
【0013】
一実施例によれば、長手方向に沿った頂点部から第2端部までの長さは、第1端部と第2端部との間の全長の60~80%であってもよい。
【0014】
一実施例によれば、長手方向に沿った第1端部と第2端部との間の全長は連続的に設けられる3つの釣糸ガイドの間隔に対応するように75mm~115mmの範囲で決定され得る。
【0015】
一実施例によれば、釣糸挟持部は、第1及び第2挟持部の少なくとも一部が互いに交差し、重なって形成される捩れ部を含む。
【0016】
一実施例によれば、接合部は局部的に配列される複数の接合部であり、先端部の表面から突出した段差が生じないように形成され、スポット溶接、ロー付けまたはハンダ付けによって形成され得る。
【0017】
また、本開示では、釣竿に連続的に設けられる複数の釣糸ガイドのガイドリングに釣糸を通すように構成される釣糸通し具を製造する方法の実施例が開示される。前記釣糸通し具は、捩れ部を有し、釣糸を挟持する釣糸挟持部と、釣糸挟持部から延び、全体的に菱形状をなす弾性部と、弾性部から長手方向に延びる先端部とを含む。
【0018】
一実施例による釣糸通し具を製造する方法は、中間部分と中間部分の各端から傾くように延びる第1及び第2直線部分を有する1つの線材を製作する工程と、線材を折り返すことによって釣糸挟持部を形成する工程と、第1及び第2直線部分を移動させることによって弾性部を形成する工程と、第1及び第2直線部分を接合することによって先端部を形成する工程とを含む。
【0019】
前記釣糸挟持部を形成する工程は、中間部分の二等分位置を基準にして線材を折り返すことによって二等分位置を基準にして中間部分に第1中間部分及び第2中間部分を形成する段階と、第1中間部分の一部と第2中間部分の一部が交差しながら互いに接触し、摩擦して重なるように、第1中間部分と第2中間部分に潰し加工を行うことによって捩れ部を形成する段階を含む。前記弾性部を形成する工程は、上側に位置した第1直線部分が下側に位置した第2直線部分に向かって移動し、下側に位置した第2直線部分が上側に位置した第1直線部分に向かって移動するように、第1直線部分の端部と第2直線部分の端部を押すことによって第1直線部分と第2直線部分を合わせる段階を含む。前記先端部を形成する工程は、第1直線部分と第2直線部分を連結するように第1直線部分と第2直線部分を局部的に接合する段階を含む。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一実施例による釣糸通し具を用いて釣糸が極小釣糸ガイドのガイドリングをスムーズに通るように釣糸の通過を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施例による釣糸通し具を釣竿で用いる一例を示した図面である。
図2図1のA部分の拡大図である。
図3】本開示の一実施例による釣糸通し具を示す斜視図である。
図4a】釣竿のティップセクションで釣糸ガイド間の間隔の1つの例を示す釣竿の側面図である。
図4b】釣竿のティップセクションで釣糸ガイド間の間隔のもう1つの例を示す釣竿の側面図である。
図5】本開示の一実施例による釣糸通し具が釣糸ガイドを通過する一例を示す斜視図である。
図6】本開示の一実施例による釣糸通し具が釣糸ガイドを通過するもう1つの例を示す斜視図である。
図7a】本開示の一実施例による釣糸通し具を釣竿で用いる一例を示す図面であり、一部の釣糸ガイドに釣糸が通過していない状況を示す。
図7b図7aに示す状況から釣糸通し具を引き戻す例を示す図面である。
図7c】釣糸通し具によって釣糸の通過を再び進行する例を示す図面である。
図8a図7cに示す方向とは反対方向に本開示の一実施例による釣糸通し具を釣竿で用いる例を示す図面である。
図8b】本開示の一実施例による釣糸通し具を逆方向に用いる例を示す図面である。
図9】本開示の一実施例による釣糸通し具の厚さ及び長手方向の構成の一例を示す図面である。
図10a】本開示の一実施例による釣糸通し具の長手方向の構成のもう1つの例を示す図面である。
図10b】本開示の一実施例による釣糸通し具の長手方向の構成の更に他の例を示す図面である。
図11】釣竿のティップセクションで釣糸ガイド間の間隔を例示する。
図12a】本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具を示す平面図である。
図12b図12aに示す釣糸通し具の側面図である。
図12c図12aに示す釣糸通し具の背面図である。
図13】本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具を示す斜視図である。
図14a】本開示の一実施例による釣糸通し具の製造工程で線材を加工する例を示す。
図14b】本開示の一実施例による釣糸通し具の製造工程で押し加工の例を示す。
図14c】本開示の一実施例による釣糸通し具の製造工程で併せ加工の例を示す。
図14d】本開示の一実施例による釣糸通し具の製造工程で接合工程の例を示す。
図15a】本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具の製造工程で線材の潰し加工の例を示す。
図15b】本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具の製造工程で併せ加工の例を示す。
図15c】本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具の製造工程で接合工程の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明するための目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が以下に提示される実施例やこれらの実施例に関する具体的な説明に限定されるわけではない。
【0023】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、特に定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示を更に明確に説明するための目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0024】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で特に言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解されるべきである。
【0025】
本開示で記述された単数型の表現は、特に言及しない限り、複数型の意味を含むことができ、これは請求の範囲に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0026】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するわけではない。
【0027】
本開示で、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「結合されて」いると言及された場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結され得るか、結合され得る、または、新たな他の構成要素を媒介として連結され得るか、結合され得ると理解されるべきである。
【0028】
本開示で記載される寸法と数値は、記載された寸法と数値のみに限定されるわけではない。特に特定されない限り、このような寸法と数値は、記載された値及びこれを含む同等の範囲を意味すると理解できる。例えば、本開示に記載された「1.3mm」という寸法は「約1.3mm」を含むと理解できる。
【0029】
本開示で用いられる「上方」、「上」等の方向指示語は、添付の図面で釣糸ガイドのガイドリングが釣竿に対して位置する方向を基準とし、「下方」、「下」等の方向指示語は、その反対方向を意味する。添付の図面に示す釣糸ガイドと釣竿は異なって配向することもでき、前記方向指示語はそれに合わせて解釈されることができる。
【0030】
以下、添付した図面を参照して、本開示の実施例を説明する。添付の図面で、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略されることがある。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そういう構成要素が、ある実施例に含まれないものとは意図されない。
【0031】
図1は、本開示の一実施例による釣糸通し具を釣竿(1100)で用いる一例を示す。図2は、図1のA部分の拡大図である。
【0032】
本開示の一実施例による釣糸通し具(100)は、最近の釣竿業界で用いられている釣糸ガイド(1200)の「極小径リング(即ち、径が非常に小さくて釣糸がかろうじて入ることができる大きさの釣糸ガイド)」に対応できるように考案された道具である。図1を参照すると、釣竿(1100)は釣糸ガイド(1200)が装着された範囲で断面径が小さい部分から断面径が大きい部分に3つのセクションに区分され得る。例えば、釣竿(1100)はティップセクション(tip section,1110)、ベリーセクション(belly section,1120)、およびバットセクション(butt section,1130)を有することができる。ティップセクション(1110)はバットセクション(1130)から最も遠い位置(リール(1400)が装着されたリールシート(1300))から最も遠い位置)に位置することができる。
【0033】
図1及び図2を参照すると、釣糸通し具(100)は、釣竿(1100)のティップセクション(1110)に非常に狭い間隔(S)で設けられた釣糸ガイド(1200)へ容易に釣糸を通すことができ、仮に釣糸を一部の釣糸ガイド(1200)へ通すことを忘れても容易に通し直すことができる。また、釣糸通し具(100)は、釣り人が釣糸を通す時に釣糸通し具(100)の把持方法(即ち、把持する方向)がどちら側でも可能な、ユニバーサルデザインで設計され得る。
【0034】
釣竿でティップセクション(1110)の軽量化は、釣竿が持つ本来の性能をより引き出せるので、ティップセクション(1110)において釣糸ガイド(1200)の「極小化」が試みられている。これと関連し、ティップセクション(1110)には、ガイドリング(1210)の径が概ね「小口径(径(D)が非常に小さい)」で、また、同口径のガイドリングを有する多数の釣糸ガイド(1200)が連続して装着されることができる。図2を参照すると、ガイドリング(1210)の径(D)は、例えば1.3mm程度まで極小化されることができる。
【0035】
釣糸ガイド(1200)の極小化に伴い、釣糸(5)の極細化も進み、肉眼で釣糸(5)と釣糸ガイド(1200)を捉えるのが難しくなり得る。従って、釣り人が釣糸ガイド(1200)のガイドリング(1210)の内側へ釣糸を通したと把握しても、実際には釣糸を通していないことに気付かず、釣りを始める状況が発生し得る。この場合、釣糸が絡むことになる問題が発生し得る。
【0036】
本開示の一実施例による釣糸通し具(100)は、極小の釣糸ガイド(1200)へ釣糸(5)を通す道具として、特にティップセクション(1110)において連続した釣糸ガイド(1200)へ釣糸(5)を通すように釣糸(5)を案内する形状を有している。従って、容易に且つ確実に釣糸(5)を釣糸ガイドへ通すことができる。
【0037】
釣糸通し具(100)は、釣糸ガイド(1200)へ釣糸(5)を通す方向とは逆の方向へ釣糸ガイド(1200)に再び引っ掛かることなく引き戻すことができ、仮に一部の釣糸ガイド(1200)へ釣糸(5)を通すことを忘れても、容易に釣糸(5)を引き戻して、釣糸(5)の通過を再開することができるようにする。
【0038】
釣糸通し具(100)は、繊細な指の操作を必要とする釣竿のティップセクション(1110)に固定された釣糸ガイド(1200)に対する釣糸(5)の通過において、釣り人が釣糸通し具(100)をいかなる方法で把持しても機能できるようにしたユニバーサルデザインなので、それぞれの釣り人の好みに合わせた良好な把持性を有することができる。
【0039】
図3は、本開示の一実施例による釣糸通し具(100)を示した斜視図である。以下では、図1図3を参照して説明する。
【0040】
釣糸通し具(100)は、釣竿に連続的に設けられる複数の釣糸ガイド(1200)のガイドリング(1210)の内側へ釣糸(5)を通すための道具である。釣糸通し具(100)は1つの線材で製作することができる。前記線材は、弾性がある金属材料であれば、どのようなものでも用いることができる。弾性がある金属材料の例として、SW-C(硬鋼線)(hard drawn steel wire)、SWP-A/B(ピアノ線 A種/B種)(piano wire type A/type B)またはSUS304-WPB/SUS316-WPB(ステンレス鋼線)(stainless steel wire)があり得るが、これに限定されるわけではない。釣糸通し具は、屋外で海水が釣糸通し具に付着する環境下で用いられることがあるので、好ましくは、耐食性が良好なSUS304-WPB/SUS316-WPBが前記金属材料として用いられることができる。または、前記線材は、金属材料以外に剛性と弾性を有する材料からなることもできる。
【0041】
釣糸通し具(100)は、全体的に長手方向(LD)に沿って第1端部(101)から第2端部(102)まで延びる形状を有することができる。釣糸通し具(100)は、長手方向(LD)に沿って、釣糸挟持部(110)、弾性部(120)、および先端部(130)に区分され得る。長手方向(LD)における釣糸挟持部(110)の末端に第1端部(101)が形成され、長手方向(LD)における先端部(130)の末端に第2端部(102)が形成され得、第1端部(101)と第2端部(102)は長手方向(LD)に離隔され、釣糸通し具(100)の両端を形成することができる。釣糸通し具(100)は、第1端部(101)を基準として曲がって形成され得る。
【0042】
釣糸挟持部(110)は、釣糸を挟持する方式で釣糸を固定する。釣糸挟持部(110)は、第1挟持部(111)及び第2挟持部(112)を有することができる。第1挟持部(111)及び第2挟持部(112)は第1端部(101)で繋がる。釣糸挟持部(110)の第1挟持部(111)及び第2挟持部(112)は、第1端部(101)側に釣糸(5)が引っ掛かるように環状をなすことができる。即ち、釣糸挟持部(110)には、第1及び第2挟持部(111、112)がなす環状からなる環状部(113)が形成されている。第1挟持部(111)及び第2挟持部(112)は少なくとも一部で互いに接触して、第1挟持部(111)と第2挟持部(112)との間に釣糸を挟んで支持(即ち、挟持)することができるように形成され得る。
【0043】
釣糸を釣糸通し具(100)に固定する時、釣糸は弾性部(120)を貫通し、釣糸挟持部(110)に、即ち、第1挟持部(111)と第2挟持部(112)との間に挿入される。第1端部(101)で互いに反対方向に曲がった第1挟持部(111)と第2挟持部(112)が互いに向かって弾性力を印加する。従って、第1挟持部(111)と第2挟持部(112)との間に挟まれた釣糸が第1挟持部(111)と第2挟持部(112)に固定され、釣糸通し具(100)の移動時に釣糸挟持部(110)とともに移動する。
【0044】
弾性部(120)は、第1挟持部(111)から延びる第1弾性部(121)及び第2挟持部(112)から延びる第2弾性部(123)を有することができる。第1弾性部(121)及び第2弾性部(123)はそれぞれ、長手方向(LD)と直角をなす幅方向(WD)に最大に離隔された地点である第1及び第2頂点部(122、124)を有することができる。弾性部(120)は全体的に菱形状をなすことができる。第1頂点部(122)は第1弾性部(121)内で所定位置に位置し、第2頂点部(124)は第2弾性部(123)内で所定位置に位置する。弾性部(120)の菱形状において、第1頂点部(122)の両側に位置する第1弾性部(121)の部分は、弾性部(120)の菱形状の中心に向かって凸に湾曲した形状を取れる。また、第2頂点部(124)の両側に位置する第2弾性部(123)の部分は、弾性部(120)の菱形状の中心に向かって凸に湾曲した形状を取れる。
【0045】
弾性部(120)は、釣り人が釣糸通し具(100)を把持する時、弾性変形することができる。例えば、釣り人が第1及び第2頂点部(122、124)を幅方向(WD)の内側に押すことになれば、弾性部(120)が弾性変形をしながら釣糸通し具(100)の全長が伸びることができ、弾性部(120)の菱形状は幅方向(WD)に縮小することができる。反対に、釣り人が弾性部(120)を押す力を除去することになれば、弾性部(120)は初期状態の菱形状に再び戻る。
【0046】
先端部(130)は長手方向(LD)に沿って延びる形状を有することができる。先端部(130)は、例えば、複数の釣糸ガイド(1200)を貫通できる長さを有することができる。先端部(130)は、第1及び第2弾性部(121,123)から長手方向(LD)にそれぞれ第2端部(102)まで延び、互いに隣接するように配置される第1先端部(131)及び第2先端部(132)を含むことができる。また、第1及び第2先端部(131,132)は、先端部(130)の表面から突出した段差が生じないように局部的または非連続的に配列される1つ以上の接合部(140)によって接合され得る。接合部(140)はスポット溶接またはハンダ付けによって形成され得る。
【0047】
図4a及び図4bは、釣竿のティップセクション(1110)で釣糸ガイド(1200)間の間隔の例を示す。図4a及び図4bに示す間隔は、1つの例示的な間隔として説明できる。
【0048】
釣糸通し具(100)がスムーズに釣糸(5)の通過を可能にするためには、釣糸通し具(100)は、2つ以上の釣糸ガイド(1200)を一度に貫通しながら3番目の釣糸ガイドにほぼ近接できる長さを有することが望ましい。万一、釣糸通し具(100)が2つの釣糸ガイド(1200)間の間隔程の長さだけを有する場合には、釣糸通し具(100)を長手方向(LD)に沿って移動させる時に幅方向(WD)への動きによって3番目の釣糸ガイドへの釣糸(5)の通過の安定性が低くなることがある。従って、図4a及び図4bに示す釣糸ガイド(1200)間の間隔を参考にして、釣糸通し具(100)の長さを連続した3つの釣糸ガイド(1200)の間隔に対応するように釣糸通し具を設計することができる。
【0049】
図5図6は、本開示の一実施例による釣糸通し具(100)が釣糸ガイド(1200)を通過する一例を示す斜視図である。
【0050】
釣糸挟持部(110)は釣糸(5)を挟んで支持することができる。釣糸挟持部(110)をなす第1挟持部(111)と第2挟持部(112)との間へ釣糸(5)が挿入されて挟まれた状態で、釣糸通し具(100)が長手方向(LD)に沿って移動する場合に、釣糸(5)が第1端部(101)に引っ掛かることになり、釣糸挟持部(110)により挟持がなされ、釣糸(5)は釣糸通し具(100)とともに移動され得る。従って、釣糸(5)を釣糸挟持部(110)に固定させるために釣糸(5)に結び目をつくって縛る作業をしなくても、釣糸(5)は釣糸挟持部(110)により釣糸通し具(100)に堅固に固定されることができる。
【0051】
図5を参照すると、釣糸通し具(100)は1つの金属線材で形成され得る。前記1つの金属線材の両端は先端部(130)で併せて第2端部(102)をなす。先端部(130)は先端部(130)の表面から突出する段差が生じないように接合部(140)により接合される。接合部(140)は先端部(130)の厚さ方向に突出した部分を形成しない。従って、釣糸通し具(100)をガイドリング(1210)の内側へ通す時に、釣糸通し具(100)がガイドリング(1210)に引っ掛かる部位が形成されなくなるので、釣糸(5)がスムーズにガイドリング(1210)を通過することができる。
【0052】
図5及び図6を参照すると、釣糸通し具(100)が釣糸ガイド(1200)を通過しながら釣糸(5)をガイドリング(1210)の内側へ通す。この時、弾性部(120)は、湾曲している第1及び第2弾性部の外面で釣糸ガイド(1200)のガイドリングと接触する。釣糸通し具(100)を移動させる力に対する反力がガイドリングから弾性部(120)に加えられる。弾性部(120)は前記反力によって菱形状を狭める方向に弾性変形され、ガイドリングを通過する途中で弾性部(120)の内部には間隙がほぼ存在しなくなり得る。弾性部(120)の第1及び第2弾性部が湾曲しているので、ガイドリングの前記反力が弾性部(120)をスムーズに変形させることができる。弾性部(120)がガイドリングを通過する途中で、弾性部(120)の第1及び第2弾性部は互いに重なるように弾性変形され得る。
【0053】
図6を参照すると、釣糸通し具(100)の弾性部(120)は、釣り人が釣糸(5)をガイドリング(1210)に通す途中で指を離しても、弾性部(120)の弾性復元力によって、その所の釣糸ガイド(1200)の間で釣糸通し具を留めることができる。また、弾性部(120)は釣糸ガイド(1200)に備わるガイドリング(1210)内から外側に(即ち、幅方向(WD)に)拡がろうとするバネ性(即ち、弾性部(120)の弾性復元力)を有するので、先端部(130)の第2端部(102)がすぐ次の位置のガイドリング(1210)の略中心に向かうように整列することができる。即ち、同一又はほぼ同一のサイズの複数の釣糸ガイド(1200)が装着された釣竿のティップセクション(1110)で、釣糸通し具(100)が2つ以上の釣糸ガイド(1200)を通していれば、釣糸通し具(100)の先端部(130)はすぐ次の3番目の釣糸ガイド(1200)のガイドリング(1210)の略中心に向かうように整列する。従って、釣り人が肉眼でいちいち釣糸通し具(100)の先端部(130)がガイドリング(1210)の中心に向かうように合わせる過程を経なくても、釣糸(5)をガイドリング(1210)に連続して容易に通すことができる。
【0054】
図7a~図7cは、本開示の一実施例による釣糸通し具(100)を釣竿(1100)で用いる例を示す図面である。
【0055】
図7aは、一部の釣糸ガイド(1200)に釣糸(5)の通過が欠落した状況を示す。即ち、釣り人が釣糸通し具(100)を用いて釣糸(5)を釣糸ガイドに通す時に一部の釣糸ガイドを通り過ぎて次の釣糸ガイドに釣糸を通すことがありえる。図7bは、釣糸通し具(100)を引き戻す例を示す。図7aに示す状況が発生する場合、図7bに示すように釣糸通し具(100)を本来の進行方向の反対方向に移動させる。図7cは、図7bに示すように釣糸通し具(100)を引き戻した後に、再び釣糸(5)の通過を進行させる状況を示す。
【0056】
釣糸通し具(100)は、1つの金属線材で形成され、その一端部は先端部(130)で併せて接合されている。また、釣糸通し具(100)は、釣糸挟持部(110)と先端部(130)でそれぞれの表面から外側に凸に突出する段差が形成されないように構成される。従って、釣糸通し具(100)を正方向(即ち、第2端部(102)を釣竿のティップ側へ向かうようにする方向)や逆方向(即ち、第1端部(101)を釣竿のティップ側へ向かうようにする方向)の両方向に釣糸ガイド(1200)へ通したり、または、反対方向に引き戻す時にも、釣糸通し具(100)は釣糸ガイド(1200)に引っ掛かることなく釣糸ガイド(1200)をスムーズに通過することができる。
【0057】
図8a及び図8bは、図7cに示す正方向とは反対の逆方向に本開示の一実施例による釣糸通し具(100)を釣竿(1100)で用いる例を示す図面である。
【0058】
釣糸通し具(100)は、釣り人が釣糸通し具(100)を把持する方法の好みによって、釣糸挟持部(110)を釣糸(5)の通過方向へ向かうようにして用いることを可能にするユニバーサルデザインで形成される。従って、釣糸通し具(100)はそれぞれの釣り人の好みに合わせた良好な把持性を有することができる。
【0059】
図8aは、釣糸挟持部(110)の第1端部(101)を釣糸(5)の通過方向の指向点(即ち、釣竿のティップ)として配置する例を示す。全長(OL)は釣糸通し具(100)の長手方向(LD)に沿う全体の長さであり、第1端部(101)と第2端部(102)との間の長さと定義されることができる。長さ(L1)は頂点部(122,124)から第2端部(102)までの長さと定義されることができる。長さ(L2)は頂点部(122,124)から第1端部(101)までの長さと定義されることができる。
【0060】
釣り人が弾性部(120)を把持すれば、弾性部(120)は菱形状を有しているので、把持が安定的になされる利点があり得る。また、先端部(130)側での長さ(L1)より釣糸挟持部(110)側での長さ(L2)を短くすれば、図8aに示すように釣糸通し具(100)を逆方向に用いる場合が、図7cに示す正方向に用いる場合に比べて釣糸通し具(100)を釣糸ガイド(1200)に向かって照準することが更に容易なこともある。
【0061】
釣糸挟持部(110)を釣糸(5)の通過方向に向かうようにしても、釣糸挟持部(110)の表面から突出する段差がないので、釣糸挟持部(110)が釣糸ガイド(1200)を通過しながら引っ掛かることが発生しない。
【0062】
図8bを参照すると、釣糸挟持部(110)を釣糸(5)の通過方向に向かうようにしても(即ち、釣糸通し具(100)を逆方向に用いる場合)、先端部(130)が釣糸(5)の通過方向に向かうようにする場合(即ち、釣糸通し具(100)を正方向に用いる場合)と同様に、釣糸挟持部(110)の第1端部(101)は釣糸ガイド(1200)のガイドリングの中心に向かうように簡単に整列(照準)できる。
【0063】
図9図10a及び図10bは、本開示の一実施例による釣糸通し具(100)の厚さ及び長さの構成の例を示す。図11は、釣竿のティップセクション(1110)で釣糸ガイド(1200)間の間隔を例示する。
【0064】
釣糸通し具(100)は、1つの金属線材で形成され、前記金属線材は釣糸挟持部(110)の折り返し位置(即ち、第1端部(101))で折り返される。前記金属線材の両端部は先端部(130)で併せて接合される。釣糸挟持部(110)の少なくとも一部と先端部(130)は屈曲なく直線状からなる。釣糸挟持部(110)と先端部(130)との間の弾性部(120)はバネ性を有することができる。
【0065】
釣糸通し具(100)は極小化された釣糸ガイド(1200)のガイドリングの内側を通過する必要があり、一方、弾性を必要とするという点に鑑みて、前記金属線材は0.2mm~0.6mmの径(d)を有することができる。
【0066】
接合部(140)を形成するために先端部(130)をスポット溶接で接合すれば、先端部(130)の表面から突出する段差が生じないため、前記スポット溶接は接合方法として望ましい。接合個所の個数(即ち、接合部(140)の個数)は3~6個であれば、十分な接合力を得ることができるが、接合個所の個数がこれには限定されない。他の接合方法としてはハンダ付けで先端部(130)を接合することも可能である。
【0067】
図9図10a及び図10bを参照すると、弾性部(120)の頂点部(122124)から先端部(130)側の第2端部(102)までの長さはL1で参照することができ、前記頂点部(122,124)から釣糸挟持部(110)側の第1端部(101)までの長さはL2で参照することができる。
【0068】
図9図10a及び図10bに示すように、釣糸通し具(100)は、長さ(L2)と長さ(L1)との差が生じるように、即ち、長さ(L2)が長さ(L1)より短くなるように形成され得る。または、反対の場合として、長さ(L1)が長さ(L2)より短いことも可能である。一部の釣り人は、釣糸通し具(100)を把持した地点から釣糸(5)の通過方向の先端までの距離が短い方が釣糸の通過経路を照準しやすいと考えることがある。長さ(L2)を長さ(L1)との差が生じるように設定することによって、釣り人の好みによる多様な使用方法を可能とすることができる。
【0069】
長さ(L1)は釣糸通し具(100)の全長(OL)の60%~80%になり得る。このように長さ(L1)を設定すると、長さ(L1)と長さ(L2)との差が明確になるので、釣り人が肉眼で自身の好みに合う便利な使用方法を判断することが容易である。即ち、釣り人は自身の好みに合う方向を設定して更に便利に釣糸の通過を実施することができる。図10aは、長さ(L1)が全長(OL)の80%である例を示し、図10bは、長さ(L1)が全長(OL)の60%である例を示す。図10aと図10bに示す弾性部(120)は、対称の形状ではなく、頂点部を基準にしてどちらか一方が他方より長い形状を取れる。
【0070】
図11を参照すると、釣糸通し具が用いられるティップセクション(1110)に連続で装着された3つの釣糸ガイド(1200)間の距離は約115mm(60mm+55mm=115mm)になり得る。従って、釣糸通し具(100)の全長(OL)が約115mmであれば、ティップセクション(1110)において2個以上の釣糸ガイド(1200)に釣糸通し具を通過させながら3番目の釣糸ガイドにほぼ近接させることができるので、容易に釣糸(5)の通過を実施することができる。また、釣糸通し具(100)の全長(OL)が約75mm(40mm+35mm=75mm)以上であれば、ティップセクション(1110)で釣竿のティップ側に近い位置に行くほど釣糸ガイド(1200)間の間隔がより狭い範囲にある場合にも、釣り人は毎回釣糸ガイド(1200)のガイドリングに先端部(130)の第2端部(102)を照準する煩わしさを避けることができる。
【0071】
図12a~図12cと図13は、本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具(200)を示す。以下で、前述した実施例で説明された内容と重複する内容は省略する。
【0072】
もう一つの実施例による釣糸通し具(200)は、釣糸挟持部(210)、弾性部(220)、先端部(230)、および先端部(230)を接合させる接合部(240)を含むことができる。釣糸挟持部(210)は第1挟持部(211)及び第2挟持部(212)を有することができる。
【0073】
釣糸挟持部(210)は第1及び第2挟持部(211,212)の一部が互いに交差し、重なって形成される捩れ部(250)を有することができる。図12a~図12cと図13を参照すると、捩れ部(250)は、釣糸挟持部(210)で第1及び第2挟持部(211,212)がなす環状からなる環状部(213)に隣接することができる。釣糸挟持部(210)の捩れ部(250)は、釣糸挟持部(210)を構成する金属線材が捩れることによって形成される。釣糸挟持部(210)の捩れ部(250)は、第1挟持部(211)の少なくとも一部と、第2挟持部(212)の少なくとも一部が互いに交差しながら接触し、互いに摩擦して重なるように(即ち、釣糸挟持部をなす金属線材同士で押さえられて接触する部分が生じるように)形成され得る。
【0074】
捩れ部(250)で、第1及び第2挟持部(211,212)の少なくとも一部が互いに交差しながら接触し、互いに摩擦して重なるように形成されると、釣糸(5)を釣糸挟持部(210)に挿入する時に、捩れ部(250)は釣糸挟持部(210)の範囲の中で釣糸(5)に摩擦抵抗が最も多く生じるようにすることができる。釣り人が釣糸(5)を釣糸挟持部(210)に固定させる時、釣糸(5)を持つ指先には、捩れ部(250)で力が強く入ることになり得る(図13での実線の釣糸参照)。釣糸(5)が捩れ部(250)を通り過ぎた後には、摩擦抵抗が減る。従って、指に力が抜けることになり、釣り人はスムーズに釣糸挟持部(210)内に釣糸(5)が移動するという感覚を感じることができる(図13での一点鎖線の釣糸参照)。言い換えれば、釣糸(5)が捩れ部(250)を通じて釣糸挟持部(210)の前記環状まで挿入される時、捩れ部(250)が釣糸の挿入に抵抗感を与えることができ、釣糸は一種のスナップ(snap)の感覚で釣糸挟持部(210)に固定されることができる。従って、釣り人は肉眼の確認なく指先の触感だけで釣糸(5)が釣糸挟持部(210)で固定されることを認識でき、釣糸(5)を釣糸挟持部(210)に固定することに成功したということが分かるので、釣り人に安心感を与えることができる。
【0075】
図14a~図14dは、本開示の一実施例による釣糸通し具(100)の製造工程を例示する。釣糸通し具(100)は、図14a~図14dに示す手順と、各手順に示す製造工程によって製造され得る。
【0076】
図14aを参照すると、まず、中間部分(11)と中間部分(11)の各端から傾くように延びる第1直線部分(12)及び第2直線部分(13)を有する線材(10)を製作することができる。次に、中間部分(11)の二等分位置(14)を基準にして線材(10)を折り返して、中間部分(11)に第1中間部分(11a)及び第2中間部分(11b)を形成することができる。線材(10)の全長を二等分する二等分位置(14)で、線材(10)を折り返すことができる。
【0077】
図14bを参照すると、第1中間部分(11a)及び第2中間部分(11b)が互いに密着するように第1中間部分(11a)及び第2中間部分(11b)に押し加工を実施することができる。第1中間部分(11a)及び第2中間部分(11b)の間に間隙がないように押し加工をすれば、密着した第1中間部分(11a)と第2中間部分(11b)は図3に示す釣糸挟持部(110)を形成することができる。
【0078】
図14cを参照すると、上側に位置した第1直線部分(12)が下側に位置した第2直線部分(13)に向かって移動し、下側に位置した第2直線部分(13)が上側に位置した第1直線部分(12)に向かって移動するように、第1直線部分(12)の端部と第2直線部分(13)の端部を図14cに示す矢印方向に押して第1直線部分(12)と第2直線部分(13)を合わせる。このような併せ加工の途中で、第1中間部分(11a)の第1直線部分(12)に隣接した一部と、第2中間部分(11b)の第2直線部分(13)に隣接した一部は略三角形状に開く。このような併せ加工が完了すると、第1中間部分(11a)の一部、第2中間部分(11b)の一部、第1直線部分(12)の一部及び第2直線部分(13)の一部が、図3に示す菱形状を有する弾性部(120)を形成する。また、弾性部(120)にならない、第1直線部分(12)の残りの部分及び第2直線部分(13)の残りの部分は、併せ加工によって突き合わせられ、図3に示す先端部(130)をなす第1先端部(131)と第2先端部(132)を形成する。
【0079】
図14dを参照すると、第1先端部(131)と第2先端部(132)を各々形成する第1直線部分(12)と第2直線部分(13)を連結するように、第1直線部分(12)と第2直線部分(13)を接合することができる。即ち、第1先端部(131)と第2先端部(132)の突き合わせられた面を接合することができる。前記接合はスポット溶接、ロー付け(brazing)またはハンダ付け(soldering)によって行うことができる。接合個所は局部的に3~6個所であれば望ましいが、これには限定されない。
【0080】
弾性部(120)がバネ性を有するように1つの金属線材で釣糸通し具(100)を製造するには、前記図14a~図14dに示す製造方法が、工程の数が少なくて経済的であるので、合理的方法になり得る。
【0081】
図15a~図15cは、本開示のもう一つの実施例による釣糸通し具(200)の製造工程を例示する。もう一つの実施例による釣糸通し具(200)は、図15a~図15cに示す手順と、各手順に示す製造工程によって製造され得る。また、図15aに示す工程が始まる前に、図14a及び図14bと同一の工程が先に線材(20)に行われる。以下では、図14a及び図14bで説明した製造工程と重複する説明は省略する。
【0082】
図15aを参照すると、図13に示す釣糸挟持部の捩れ部(250)を形成するために、第1中間部分(21a)の一部と第2中間部分(21b)の一部が交差しながら互いに接触して摩擦し、重なるように、図15aに矢印方向に示す潰し加工を第1中間部分(21a)と第2中間部分(21b)に行う。図15aで説明する潰し加工は、図14bで説明する押し加工をする時に、所定の位置(即ち、図13に示す捩れ部)で金属線材が接触する地点が発生するように行う加工と定義されることができる。
【0083】
図15bを参照すると、図14cを参照して説明した併せ加工が行われる。上側に位置した第1直線部分(22)が下側に位置した第2直線部分(23)に向かって移動し、下側に位置した第2直線部分(23)が上側に位置した第1直線部分(22)に向かって移動するように、第1直線部分(22)の端部と第2直線部分(23)の端部を図15bに示す矢印方向に押して第1直線部分(22)と第2直線部分(23)を合わせる。このような併せ加工の途中で、第1中間部分(21a)の第1直線部分(22)に隣接した一部と、第2中間部分(21b)の第2直線部分(23)に隣接した一部は略三角形状に開く。また、第1直線部分(22)及び第2直線部分(23)の各端部は捩れて合わせられる(図15bの右側に示す矢印の方向参照)。これによって、第1中間部分(21a)の一部、第2中間部分(21b)の一部、第1直線部分(22)の一部及び第2直線部分(23)の一部が、図13に示す菱形状を有する弾性部(220)を形成する。また、弾性部(220)にならない、第1直線部分(22)の残りの部分及び第2直線部分(23)の残りの部分は、併せ加工によって突き合わせられ、図13に示す先端部(230)をなす第1先端部(231)と第2先端部(232)を形成する。
【0084】
図15cを参照すると、第1先端部(231)と第2先端部(232)を各々形成する第1直線部分(22)と第2直線部分(23)を連結するように、第1直線部分(22)と第2直線部分(23)を局部的に接合することができる。即ち、第1先端部(231)及び第2先端部(232)を連結するように第1先端部(231)及び第2先端部(232)を局部的に接合することができる。
【0085】
捩れ部(250)は、金属線材が互いに摩擦して重なる部分になるので、釣り人はこの位置で釣糸(5)を釣糸挟持部(210)に挿入することができる。このように金属線材同士で互いに摩擦して重なるようにして捩れ部(250)を形成すると、押し加工後にスプリングバック現象によって釣糸挟持部(210)の金属線材の間に間隙が生じる不良を低減させることができ、生産性を向上させることができる。
【0086】
以上、一部の実施例と添付の図面に示された例によって本開示の技術的思想が説明されたが、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされるという点を知るべきである。また、そのような置換、変形及び変更は添付の請求の範囲内に属すると考えられなければならない。
【符号の説明】
【0087】
5 釣糸、100 釣糸通し具、101 第1端部、102 第2端部、110 釣糸挟持部、111 第1挟持部、112 第2挟持部、120 弾性部、121 第1弾性部、122 第1頂点部、123 第2弾性部、124 第2頂点部、130 先端部、131 第1先端部、132 第2先端部、140 接合部、200 釣糸通し具、201 第1端部、202 第2端部、210 釣糸挟持部、211 第1挟持部、212 第2挟持部、220 弾性部、221 第1弾性部、222 第1頂点部、223 第2弾性部、224 第2頂点部、230 先端部、231 第1先端部、232 第2先端部、240 接合部、250 捩れ部、1100 釣竿、LD 長手方向、WD 幅方向、OL 全長、L1,L2 長さ。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図12c
図13
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
図15c