(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】CARライブラリおよびscFvの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20220216BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220216BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220216BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20220216BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20220216BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220216BHJP
C40B 40/08 20060101ALN20220216BHJP
【FI】
C07K16/28
C07K19/00
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12P21/02 C
C12P21/08
C40B40/08 ZNA
(21)【出願番号】P 2020214844
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2020531552の分割
【原出願日】2020-02-04
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2019018269
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019094188
(32)【優先日】2019-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019140121
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019184071
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】越智 俊元
(72)【発明者】
【氏名】安川 正貴
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘
(72)【発明者】
【氏名】竹中 克斗
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
CAplus/REGISTRY(STN)
UniProt/GeneSeq
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、
前記重鎖可変領域は、下記
配列番号219のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含み、
前記軽鎖可変領域は、下記
配列番号247のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、CD19に対する抗体またはその抗原結合断片
。
【請求項2】
抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記抗原結合ドメインは、請求項
1に記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、キメラ抗原受容体。
【請求項3】
前記抗原結合断片は、一本鎖抗体である、請求項
2に記載のキメラ抗原受容体。
【請求項4】
前記抗原結合ドメインは、
配列番号278のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む、請求項
2または3に記載のキメラ抗原受容体
。
【請求項5】
請求項
1に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含む、コード遺伝子。
【請求項6】
宿主と、請求項
5に記載のコード遺伝子とを含む、形質転換体。
【請求項7】
請求項
2から4のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体をコードする、核酸。
【請求項8】
請求項
2から4のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体を含む、細胞。
【請求項9】
前記細胞は、T細胞を含む、請求項
8に記載の細胞。
【請求項10】
請求項
7に記載の核酸を細胞に導入する導入工程を含む、細胞の製造方法。
【請求項11】
前記細胞は、T細胞を含む、請求項
10に記載の細胞の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CARライブラリおよびscFvの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がん特異的抗原または標的抗原に結合する一本鎖抗体(scFv:single chain Fv)を発現するT細胞(キメラ抗原受容体発現T細胞、CAR-T細胞)を用いた、がんの治療が試みられている。
【0003】
scFvのスクリーニングは、生体から単離されたB細胞を用いたハイブリドーマを用いた方法、またはファージディスプレイ法により実施される。具体的に、前者は、抗原免疫後に、生体から単離したB細胞を用いてハイブリドーマのライブラリを作成する。そして、標的抗原に結合する抗体を産生するハイブリドーマを選抜し、前記ハイブリドーマが産生する抗体の抗原認識部位の配列を決定することにより実施される。
【0004】
また、後者は、scFvをコードするポリヌクレオチドを含むscFvのライブラリを作成後、各scFvをファージに発現させる。そして、標的抗原に結合するファージを選抜し、前記ファージにおけるポリヌクレオチドを同定することにより実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いずれの方法も標的抗原に結合するscFvを選抜できるが、CAR-T細胞において機能するscFvかは不明である。このため、前記選抜後、標的抗原結合性のscFvをそれぞれT細胞に発現させ、機能するかを検討する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvに使用可能なCD19に対する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリは、第1のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含み、
前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、
前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす;
条件1:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0008】
本発明のscFvの製造方法(以下、「第1のスクリーニング方法」ともいう)は、前記本発明のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第1の発現工程と、
前記第1の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第1の接触工程と、
前記第1の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvに使用可能なCD19に対する抗体またはその抗原結合断片を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図2】
図2は、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図3】
図3は、実施例1におけるA2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例1におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施例1におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図7A】
図7Aは、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図7B】
図7Bは、実施例1におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図8】
図8は、実施例2におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図9】
図9は、実施例2におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図10】
図10は、実施例2におけるA2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を示すグラフである。
【
図11】
図11は、実施例2におけるペプチド濃度が10μg/mLの場合におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施例2におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
【
図13】
図13は、実施例3におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図14】
図14は、実施例4におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図15】
図15は、実施例4におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
【
図16】
図16は、実施例5におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、3M4E5LH CARを発現するT細胞の結果を示し、(B)は、L1-3M4E5H CARを発現するT細胞の結果を示す。
【
図17】
図17は、実施例6におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図18】
図18は、実施例6におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
【
図19】
図19は、実施例6におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
【
図20】
図20は、実施例7におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、3M4E5LH CARを発現するT細胞の結果を示し、(B)は、3M4E5H-L1 CARを発現するT細胞の結果を示す。
【
図21】
図21は、実施例7におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果Cを示す。
【
図22】
図22は、実施例8におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図23】
図23は、実施例8におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
【
図24】
図24は、実施例8におけるサイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
【
図25】
図25は、実施例9におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図26】
図26は、実施例9におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
【
図27】
図27は、実施例10におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図28】
図28は、実施例10におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図29】
図29は、実施例10におけるフローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
【
図30】
図30は、実施例10におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
【
図31】
図31は、実施例10におけるCD19ダイマー陽性細胞の相対割合を示すグラフである。
【
図32】
図32は、実施例10における標的細胞量を変化させた際のCD69発現量の相対値を示すグラフである。
【
図33】
図33は、実施例10におけるサイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。
【
図34】
図34は、実施例11における生体における抗腫瘍活性に関する図である。
【
図35】
図35は、実施例12における構造的親和性の指標値と、機能的親和性の指標値との関係性を示すグラフである。
【
図36】
図36は、実施例13における細胞傷害性を示すグラフであるである。
【
図37】
図37は、実施例14における生体における全生存率に関する図である。
【
図38】
図38は、実施例14における生体における全生存率に関する図である。
【
図39】
図39は、実施例15における細胞の増殖比を示すグラフである。
【
図40】
図40は、実施例15におけるサイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。
【
図41】
図41は、実施例15における細胞傷害活性を示すグラフである。
【
図42】
図42は、実施例15における共培養前後のCD8陽性CAR-T細胞およびCD4陽性CAR-T細胞中のCD45RA/CD62L陽性細胞の分布を示すドットプロットである。
【
図43】
図43は、実施例15における各CAR-T細胞の分裂割合と、共培養前後のCD45RA陽性CD62L陽性CCR7陽性細胞の割合と、CD45RA陰性CD62L陽性CCR7陽性と、CD45RA陽性CD62L陰性PD1陽性細胞の割合とを示すグラフである。
【
図44】
図44は、実施例15における本発明のスクリーニング方法により、
in
vivoでの抗腫瘍効果に優れるscFvを取得できるメカニズムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<CARライブラリ>
本発明は、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvのスクリーニングに用いるCARライブラリ、およびそれを用いたscFvの製造方法を提供する。本発明のCARライブラリは、前述のように、第1のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含み、前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす。本発明のCARライブラリは、下記条件1または条件2を満たすことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明によれば、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvのスクリーニングに用いるCARライブラリ、およびそれを用いたscFvの製造方法を提供できる。
【0012】
条件1:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片(以下、「抗体等」ともいう)における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0013】
本発明のCARライブラリにおいて、前記第1のCARが、前記第1の抗原結合ドメインと、前記第1の膜貫通ドメインと、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域が、前記条件1または条件2を満たすことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。
【0014】
本発明のCARライブラリにおいて、前記第1のCARは、前記第1の抗原結合ドメインと、前記第1の膜貫通ドメインと、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含むタンパク質である。前記第1のCARは、例えば、抗原に結合する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARに類似した構造を有し、前記抗原に結合する細胞外ドメインが、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第1の抗原結合ドメインに変更されている。本発明のCARライブラリにおいて、前記第1のCARは、このように前記CARと類似する構造を有する。このため、前記標的抗原と結合する第1のCARは、例えば、前記発現細胞において、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインを介してシグナルを誘導できる。そして、前記標的抗原と結合する第1のCARは、例えば、その発現細胞を活性化(例えば、増殖、活性化マーカーの発現等)することができる。すなわち、本発明のCARライブラリによれば、例えば、後述の第1のスクリーニング方法を用いて、前記CARライブラリ発現細胞群における前記標的抗原と結合する第1のCARを発現する細胞の割合を上昇させることができる。したがって、本発明のCARライブラリによれば、例えば、ファージディスプレイ法と比較して、より少ない数または種類の核酸で、前記標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。また、前記標的抗原と結合する第1のCARは、例えば、後述の第1のスクリーニング方法において、その発現細胞を活性化することができるため、CAR-T細胞において機能するscFvを含んでいるといえる。したがって、本発明のCARライブラリによれば、例えば、CAR-T細胞において機能しうるscFvをスクリーニングできる。
【0015】
また、本発明のCARライブラリにおいて、前記第1の抗原結合ドメインは、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含む。前記第1のscFvは、例えば、抗原に結合する抗体由来の一本鎖のポリペプチドであり、かつ前記抗原との結合能を保持するscFvと類似する構造を有する。前記scFvは、前記抗原に結合する抗体の重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)の可変領域の断片(Fv)を連結したポリペプチドである。他方、前記第1のscFvは、例えば、後述のように、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のうち一方が、前記標的抗原に結合する抗体等の可変領域であり、他方が、B細胞受容体に由来する可変領域、すなわち、前記標的抗原に結合するかが不明の可変領域である。本発明のCARライブラリは、前記第1のscFvをこのような構成とすることにより、例えば、前記標的抗原に結合する重鎖可変領域または軽鎖可変領域のスクリーニングを実施することができる。このため、本発明のCARライブラリによれば、例えば、前記標的抗原に結合する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を一度にスクリーニングするファージディスプレイ法と比較して、より少ない数または種類の核酸で、前記標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。
【0016】
本発明のCARライブラリにおいて、第1のCARをコードする核酸は、例えば、第1のCARのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味する。前記核酸は、DNAから構成されてもよいし、RNAから構成されてもよいし、両者から構成されてもよい。前記核酸は、天然の核酸から構成されてもよいし、天然の核酸が修飾された修飾核酸から構成されてもよいし、ENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)、LNA(Locked nucleic acid)、PNA(Peptide Nucleic Acid)、モルフォリノ等の人工核酸から構成されてもよいし、これらのうち2種類以上から構成されてもよい。
【0017】
本発明において「ドメイン」は、例えば、ポリペプチドにおいて、立体構造または機能的にまとまった領域を意味する。前記ポリペプチドは、例えば、10アミノ酸以上の長さを有するペプチドがあげられる。
【0018】
前記第1のscFvにおいて、前記標的抗原は、特に制限されず、任意の抗原とできる。前記標的抗原は、例えば、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原、自己免疫疾患に関連する抗原、糖鎖抗原等があげられる。前記腫瘍抗原は、例えば、細胞のがん化により、新たに発現する抗原、発現量が増加する抗原等の抗原性を有する生体分子を意味する。前記腫瘍抗原は、例えば、腫瘍特異的抗原でもよいし、腫瘍関連抗原でもよい。
【0019】
前記腫瘍抗原は、例えば、5T4、α5β1-インテグリン、活性化型インテグリンβ7、707-AP、αフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、ART-4、AURKA(AURORA A)、B7H4、BAGE、β-カテニン、BCMA、Bcr-abl、BTAA、MN/CA IX抗原、CA125、CA19-9、CA72-4、CAMEL、CAP-1、CASP-8、CD4、CD19、CD20、CD22、CD25、CD27、CD30、CD33、CD47、CD52、CD56、CD80、CD96、CD123、CDK4、癌胎児性抗原(CEA)、CLL1、CT、Cyclin A1、Cyp-B、DAM、EGFR、ErbB3、ELF2M、EMMPRIN、EpCam、ETV6-AML1、G250、GAGE(GAGE-1、GAGE-2等)、GD2(Ganglioside G2)、GnT-V、Gp100、HAGE、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、HER2/neu、HLA-A*0201-R170I、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、iCE、インスリン増殖因子(IGF)-1、IGF-2、IGF-1R、IL-2R、IL-5、KIAA0205、K-Ras、LAGE、LDLR/FUT、MAGE(MAGE-3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6等)、MART-1/melan-A、MART-2/Ski、MC1R、mesothelin(MSLN)、ミオシン、MUC1、MUM-1、MUM-2、MUM-3、NA88-A、前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)、プロテイナーゼ-3、PRAME(Melanoma antigen preferentially expressed in tumors)、p53、p190マイナーbcr-abl、Pml/RARα、前立腺腫瘍抗原-1(PCTA-1)、PRAME、前立腺特異的抗原(PSA)、PSM、PSMA、RAGE、RAS、RHAMM(CD168)、RU1、RU2、SAGE、SART-1、SART-3、サイログロブリン、サバイビン、テロメラーゼ逆転写酵素(TERTまたはTRT)、TEL/AML1、TGFβ、TIM3、TPI/m、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、VEGF、WT1、NY-Eso-1、NY-Eso-B等があげられる。
【0020】
前記ウイルス抗原は、例えば、アデノウイルス(adenovirus)等のアデノウイルス科(Adenoviridae);コロナウイルス(coronavirus)等のコロナウイルス科(Coronaviridae);エボラウイルス属(Ebolavirus)等のフィロウイルス科(Filoviridae);C型肝炎ウイルス(HCV:hepatitis C virus)、デングウイルス(Dengue virus)、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus)、西ナイルウイルス(west Nile virus)、黄熱ウイルス(yellow fever virus)等のフラビウイルス科(Flaviviridae);B型肝炎ウイルス(HVB:Hepatitis B Virus)等のヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae);単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1:herpes simplex virus-1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2:herpes simplex virus-2)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella zoster virus)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV:human cytomegalovirus)、EBウイルス(EBV:Epstein-Barr virus)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV:Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus)等のヘルペスウイルス科(Herpesviridae);A型インフルエンザウイルス属(Influenzavirus A)、B型インフルエンザウイルス属(Influenzavirus B)、C型インフルエンザウイルス属(Influenzavirus C)等のオルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae);麻疹ウイルス(measles virus)、ヒトパラインフルエンザウイルス1~4型(Human parainfluenza virus 1~4)、ムンプスウイルス(Mumps virus)、RSウイルス(Respiratory syncytial virus)等のパラミクソウイルス科(Paramyxoviridae);パルボウイルスB19(Parvovirus B19)等のパルボウイルス科(Parvoviridae);エンテロウイルス(enterovirus)、ポリオウイルス(poliovirus)、ヒトライノウイルスA~B(human rhinovirus A~B)、A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus)、コクサッキーウイルス(coxsackievirus)、エコーウイルス(echo virus)等のピコルナウイルス科(Picornaviridae);天然痘ウイルス(variola virus)、ワクチニアウイルス(Vaccinia virus)等のポックスウイルス科(Poxviridae);ヒト免疫不全ウイルス(HIV:human immunodeficiency virus)-1, 2、ヒトTリンパ好性ウイルス(HTLV:human T-lymphocytropic virus)-I,II等のレトロウイルス科(Retroviridae);狂犬病ウイルス(Rabies virus)、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus)等のラブドウイルス科(Rhabdoviridae);風疹ウイルス(Rubella virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)等のトガウイルス科(Togaviridae);等のウイルス由来の抗原があげられる。
【0021】
前記細菌抗原は、例えば、破傷風菌(Clostridium
tetani)等のクロストリジウム属(Clostridium);大腸菌(Escherichia
coli)等のエスケリキア属(Escherichia);ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter
pyloris)等のヘリコバクター属(Helicobacter);レジオネラ・ニューモフィリア(Legionella
pneumophila)等のレジオネラ属(Legionella);リステリア・モノサイトゲネス(Listeria
monocytogenes)等のリステリア属(Listeria);結核菌(Mycobacterium
tuberculosis)、ライ菌(Mycobacterium
leprae)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium
avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーエ(Mycobacterium
intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium
kansasii)、マイコバクテリウム・ゴルドネ(Mycobacterium
gordonae)等のマイコバクテリウム属(Mycobacterium);淋菌(Neisseria
gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria
meningitidis)等のナイセリア属(Neisseria);緑膿菌(Pseudomonas
aeruginosa)等のシュードモナス属(Pseudomonas);チフス菌(Salmonella
enterica serovar Typhi)、パラチフス菌(Salmonella
enterica serovar Paratyphi A)等のサルモネラ属(Salmonella);黄色ブドウ球菌(Staphylococcus
aureus)等のブドウ球菌属(Staphylococcus);肺炎レンサ球菌(Streptococcus
pneumoniae)、化膿レンサ球菌(Streptococcus
pyogenes)等のレンサ球菌属(Streptococcus);等の細菌由来の抗原があげられる。
【0022】
前記寄生虫抗原は、例えば、肝吸虫(Clonorchis
sinensis)、日本住血吸虫(Schistosoma
japonicum)、ヒトカイチュウ(Ascaris
lumbricoides)、ヒト蟯虫(Enterobius
vermicularis)、有鉤嚢虫(Cysticercus
cellulosae)、広節裂頭条虫(Diphyllobothrium
latum)、エキノコックス(Echinococcus)、赤痢アメーバ(Entamoeba
histolytica)、マラリア原虫(Plasmodium)等の寄生虫由来の抗原があげられる。
【0023】
本発明のCARライブラリにおいて、第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含む。前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有する。一般に、抗体分子の重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、3ヶ所の相補性決定領域(CDR:Complemetarity determining region)を有している。CDRは、超可変領域(hypervariable domain)ともいう。CDRは、前記重鎖および軽鎖の可変領域でも、特に一次構造の変異性が高い領域であり、一次構造上において、通常、3ヶ所に分離している。本発明において、重鎖可変領域における3ヶ所のCDRを、重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるアミノ末端(N末端)側から、重鎖CDR1(CDRH1)、重鎖CDR2(CDRH2)、および重鎖CDR3(CDRH3)と表し、軽鎖可変領域における3ヶ所のCDRを、軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるアミノ末端側から、軽鎖CDR1(CDRL1)、軽鎖CDR2(CDRL2)、および軽鎖CDR3(CDRL3)と表す。これらの部位は、立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。
【0024】
前記第1の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第1の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、前記条件1または条件2を満たす。
【0025】
前記条件1では、前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、前記標的抗原に結合する抗体等を用い、前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3について、前記標的抗原への結合をスクリーニングする。前記抗体またはその抗原結合断片の具体例は、例えば、後述の本発明の抗体等における抗体および抗原結合断片の説明を援用できる。
【0026】
前記標的抗原に結合する抗体等は、例えば、前記標的抗原に応じて公知の抗体等を使用できる。具体例として、HLA-A*02:01およびNY-ESO-1157-165の複合体に対する抗体としては、例えば、3M4E5抗体が使用できる。また、ヒトCD19に対する抗体としては、例えば、FMC63抗体が使用できる。前記標的抗原に結合する抗体等は、例えば、後述の本発明の第1のスクリーニング方法により得られたscFvであってもよいし、前記標的抗原を免疫することで得られた抗体でもよい。前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記標的抗原に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0027】
前記第1の重鎖可変領域において、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3以外の領域、すなわち、フレームワーク領域(FR)は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記FRは、一次構造上において、通常、4ヶ所に分離している。本発明において、前記重鎖可変領域における4ヶ所のFRを、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、重鎖FR1(FRH1)、重鎖FR2(FRH2)、重鎖FR3(FRH3)、および重鎖FR4(FRH4)と表す。なお、前記各CDRHと、前記各FRHとは、例えば、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、FRH1、CDRH1、FRH2、CDRH2、FRH3、CDRH3、およびFRH4の順序で配置されている。前記第1の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記標的抗原に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「標的抗原に結合する抗体等」と、前記各FRHの説明における「標的抗原に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0028】
前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0029】
前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、V遺伝子断片およびJ遺伝子断片がVJ遺伝子再構築することで形成されたVJ遺伝子断片によりコードされる。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、V遺伝子断片と、J遺伝子断片とを人工的に組合せて設計した人工VJ遺伝子断片がコードするポリペプチドを含むB細胞受容体であってもよい。また、生体内のB細胞は、例えば、VJ遺伝子再構築後の軽鎖可変領域を発現している。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、単離されたB細胞由来のB細胞受容体であってもよい。この場合、前記第1のB細胞受容体は、例えば、ヒト由来B細胞のB細胞受容体があげられ、好ましくは、ヒト末梢血B細胞由来のB細胞受容体である。本発明のCARライブラリにおいて、前記第1のB細胞受容体は、CARライブラリをより容易に調製できることから、単離されたB細胞由来のB細胞受容体の軽鎖可変領域であることが好ましい。
【0030】
前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0031】
前記第1の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記FRは、一次構造上において、通常、4ヶ所に分離している。本発明において、前記軽鎖可変領域における4ヶ所のFRを、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、軽鎖FR1(FRL1)、軽鎖FR2(FRL2)、軽鎖FR3(FRL3)、および軽鎖FR4(FRL4)と表す。なお、前記各CDRLと、前記各FRLとは、例えば、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、FRL1、CDRL1、FRL2、CDRL2、FRL3、CDRL3、およびFRL4の順序で配置されている。前記第1の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第1のB細胞受容体」と、前記各FRLの説明における「第1のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0032】
前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0033】
つぎに、前記条件2では、前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記標的抗原に結合する抗体等に由来し、前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3について、前記標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0034】
前記第1の重鎖可変領域は、例えば、V遺伝子断片、D遺伝子断片およびJ遺伝子断片がVDJ遺伝子再構築することで形成されたVDJ遺伝子断片によりコードされる。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、V遺伝子断片と、D遺伝子断片と、J遺伝子断片とを人工的に組合せて設計した人工VDJ遺伝子断片がコードするポリペプチドを含むB細胞受容体であってもよい。また、生体内のB細胞は、例えば、VDJ遺伝子再構築後の重鎖可変領域を発現している。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、単離されたB細胞由来のB細胞受容体であってもよい。この場合、前記第1のB細胞受容体は、例えば、ヒト由来B細胞のB細胞受容体があげられ、好ましくは、ヒト末梢血B細胞由来のB細胞受容体である。本発明のCARライブラリにおいて、前記第1のB細胞受容体は、CARライブラリをより容易に調製できることから、単離されたB細胞由来のB細胞受容体の重鎖可変領域であることが好ましい。
【0035】
前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0036】
前記第1の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第1のB細胞受容体」と、前記各FRHの説明における「第1のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0037】
前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0038】
前記第1の軽鎖可変領域において、前記標的抗原に結合する抗体等は、例えば、前記条件1における標的抗原に結合する抗体等の説明を援用できる。前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記標的抗原に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0039】
前記第1の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第1の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記標的抗原に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「標的抗原に結合する抗体等」と、前記各FRLの説明における「標的抗原に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0040】
前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0041】
前記第1のscFvにおいて、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、リンカーペプチド(Fvリンカーペプチド)により連結されている。前記Fvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のscFvの前記標的抗原への結合を阻害しないことが好ましい。前記Fvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記Fvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記Fvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、下記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。
【0042】
Fvリンカーペプチド1(配列番号1)
GSTSGSGKPGSGEGSTKG
Fvリンカーペプチド2(配列番号2)
GGGGSGGGGSGGGGS
【0043】
Fvリンカーペプチド1をコードする塩基配列(配列番号3)
5'-GGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGC-3'
Fvリンカーペプチド2をコードする塩基配列(配列番号4)
5'-GGTGGAGGAGGCTCAGGAGGAGGTGGCTCTGGTGGTGGAGGCTCG-3'
【0044】
前記第1の抗原結合ドメインは、第1のscFvを含むが、前記第1の結合ドメインは、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を含む、scFv以外の構造を有してもよい。具体例として、前記第1の結合ドメインは、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv等としてもよい。
【0045】
前記第1の膜貫通ドメインは、例えば、前記第1のCARが細胞に発現された場合、細胞膜を貫通する領域を占めるドメインである。前記第1の膜貫通ドメインは、例えば、膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインでもよいし、人工的に設計した人工膜貫通ドメインでもよい。前者の場合、前記膜貫通タンパク質は、例えば、T細胞受容体のα、β鎖、CD3ζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8(CD8αまたはCD8β)、CD9、CD16、CD22、CD27、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS、GITR等、またはこれらと同等の機能を有する変異体があげられる。前記同等の機能を有する変異体は、例えば、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、膜貫通ドメインとして機能するポリペプチドである。前記「1個または数個」は、例えば、1~15個、1~10個、1~5個、1または2個である。後者の場合、前記人工膜貫通ドメインは、例えば、ロイシン、イソロイシン、バリン等の疎水性のアミノ酸から主に構成されるポリペプチドである。また、前記人工膜貫通ドメインは、例えば、各両端にフェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリペプチドを有してもよい。前記第1の膜貫通ドメインが前記膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインである場合、前記第1の膜貫通ドメインは、例えば、前記膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインと連続するN末端側またはC末端側の1個または数個のアミノ酸を含んでもよい。前記「1個または数個」は、例えば、前述の例示を援用できる。
【0046】
前記第1の膜貫通ドメインは、例えば、CD28の膜貫通ドメインあげられる。CD28の膜貫通ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_006130で登録されているアミノ酸配列において、153番目から179番目の下記のアミノ酸配列(配列番号5)があげられる。なお、前記NCBIアクセッション番号は、タンパク質の前駆体の全長アミノ酸配列に付与された番号である(以下、同様)。前記CD28の膜貫通ドメインとしては、例えば、前記CD28の膜貫通ドメインに加えて、そのN末端側の細胞外領域およびそのC末端側の細胞内領域を含む膜貫通ユニットを用いてもよい。
【0047】
CD28の膜貫通ドメイン(配列番号5)
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV
【0048】
CD28の膜貫通ドメインをコードする塩基配列(配列番号6)
5'-TTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTG-3'
【0049】
CD28の膜貫通ユニット(配列番号7)
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0050】
CD28の膜貫通ユニットをコードする塩基配列(配列番号8)
5'-ATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCT-3’
【0051】
前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、同一タンパク質内の第1の抗原結合ドメインが前記標的抗原と結合した際に、細胞内にシグナルを伝達可能なドメインである。前記第1のシグナル伝達ドメインは、例えば、T細胞受容体(TCR)複合体および共刺激分子の細胞質のアミノ酸配列、ならびにこれらのアミノ酸配列と同等の機能を有する変異体があげられる。前記同等の機能を有する変異体は、例えば、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞内シグナル伝達ドメインとして機能するポリペプチドである。前記「1個または数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。
【0052】
T細胞は、例えば、TCR複合体を介する細胞内シグナル等の抗原依存的な細胞質シグナルにより活性化される(一次活性化)。そして、この活性化は、例えば、共刺激分子を介する細胞内シグナル等の抗原非特異的な細胞質シグナルにより増強される(二次活性化)。このため、T細胞は、例えば、前記TCR複合体を介して活性化させるドメイン(一次活性化ドメイン)と、抗原非特異的に活性化させるドメイン(二次活性化ドメイン)とを有する。したがって、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、前記一次活性化ドメインおよび前記二次活性化ドメインの少なくとも一方を有し、好ましくは、両者を有する。
【0053】
前記一次活性化ドメインは、例えば、TCR複合体による一次活性化を調整可能である。前記一次活性化を誘導する一次活性化ドメインは、例えば、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインがあげられる。他方、前記一次活性化に対して抑制的に作用する一次活性化ドメインは、例えば、免疫受容体チロシンベース抑制モチーフ(ITIM)を含む細胞内シグナル伝達ドメインがあげられる。
【0054】
前記ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、CD3ζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、CD66d等の細胞内シグナル伝達ドメインまたはこれらと同等の機能を有する変異体があげられる。前記同等の機能を有する変異体は、例えば、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとして機能するポリペプチドである。前記「1個または数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。CD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_932170.1で登録されているアミノ酸配列において、52~164番目のアミノ酸配列または下記配列番号9のアミノ酸配列があげられる。FcεRIγのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_004097.1で登録されているアミノ酸配列において、45~86番目のアミノ酸配列があげられる。FcεRIβのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000130.1で登録されているアミノ酸配列において、201~244番目のアミノ酸配列があげられる。CD3γのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000064.1で登録されているアミノ酸配列において、139~182番目のアミノ酸配列があげられる。CD3δのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000723.1で登録されているアミノ酸配列において、128~171番目のアミノ酸配列があげられる。CD3εのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000724.1で登録されているアミノ酸配列において、153~207番目のアミノ酸配列があげられる。CD5のITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_055022.2で登録されているアミノ酸配列において、402~495番目のアミノ酸配列があげられる。CD22のITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_001762.2で登録されているアミノ酸配列において、707~847番目のアミノ酸配列があげられる。CD79aのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_001774.1で登録されているアミノ酸配列において、166~226番目のアミノ酸配列があげられる。CD79bのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000617.1で登録されているアミノ酸配列において、182~229番目のアミノ酸配列があげられる。CD66dのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_001806.2で登録されているアミノ酸配列において、177~252番目のアミノ酸配列があげられる。
【0055】
CD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号9)
RVKSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0056】
CD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインをコードする塩基配列(配列番号10)
5'-CGAGTGAAGAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0057】
前記二次活性化ドメインは、CD2、CD4、CD5、CD8α、CD8β、CD27、CD28、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD154、GITR、ICOS等の細胞内シグナル伝達ドメインまたはこれらと同等の機能を有する変異体があげられる。前記同等の機能を有する変異体は、例えば、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、細胞内シグナル伝達ドメインとして機能するポリペプチドである。前記「1個または数個」は、例えば、前述の説明を援用できる。具体的には、CD2の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_001758.2で登録されているアミノ酸配列において、236~351番目のアミノ酸配列があげられる。CD4の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000607.1で登録されているアミノ酸配列において、421~458番目のアミノ酸配列があげられる。CD5の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_055022.2で登録されているアミノ酸配列において、402~495番目のアミノ酸配列があげられる。CD8αの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_001759.3で登録されているアミノ酸配列において、207~235番目のアミノ酸配列があげられる。CD8βの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号AAA35664.1で登録されているアミノ酸配列において、196~210番目のアミノ酸配列があげられる。CD27の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号M63928.1で登録されているアミノ酸配列において、213~260番目のアミノ酸配列があげられる。CD28の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_006130.1で登録されているアミノ酸配列において、181~220番目のアミノ酸配列(配列番号11)があげられる。CD134の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_003318.1で登録されているアミノ酸配列において、241~277番目のアミノ酸配列があげられる。CD137の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_001552.2で登録されているアミノ酸配列において、214~255番目のアミノ酸配列があげられる。GITRの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_004186.1で登録されているアミノ酸配列において、193~241番目のアミノ酸配列があげられる。ICOSの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、NCBIアクセッション番号NP_036224.1で登録されているアミノ酸配列において、166~199番目のアミノ酸配列があげられる。
【0058】
CD28の細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号11)
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0059】
CD28の細胞内シグナル伝達ドメインをコードする塩基配列(配列番号12)
5'-CGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCT-3'
【0060】
前記第1のCARは、例えば、1または複数の第1の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。複数の第1の細胞内シグナル伝達ドメインを含む場合、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、同じでもよいし、異なってもよい。前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、前記一次活性化ドメインとして、CD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むことが好ましい。また、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、前記二次活性化ドメインとして、CD27、CD28およびCD137からなる群から選択された少なくとも一つの細胞内シグナル伝達ドメインを含むことが好ましい。具体例として、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、CD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインと、CD27、CD28およびCD137からなる群から選択された少なくとも一つの細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。これにより、本発明のCARライブラリは、例えば、後述の本発明の第1のスクリーニング方法において、ファージディスプレイ法と比較して、さらに少ない数または種類の核酸で、前記標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインと、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む場合、CD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインのC末端側に配置されていることが好ましい。前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ζのITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインと、CD28の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む場合、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、さらに、CD134およびCD137の少なくとも一方の細胞内シグナル伝達ドメインとを含んでもよい。
【0061】
前記第1の抗原結合ドメインおよび前記第1の膜貫通ドメインは、直接または間接的に連結されている。前記間接的な連結の場合、前記第1の抗原結合ドメインおよび前記第1の膜貫通ドメインは、スペーサーペプチドにより連結されていることが好ましい。前記スペーサーペプチドは、例えば、1~300個、1~100個、10~100個、25~50個のアミノ酸から構成される。前記スペーサーペプチドは、例えば、前記第1のCARと前記標的抗原との結合を促進し、且つ前記第1のCARと前記標的抗原が結合した際に、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインによるシグナル伝達を誘導および/または亢進するアミノ酸(例えば、システイン、セリン、スレオニン等)を含むことが好ましい。具体例として、前記スペーサーペプチドは、例えば、CH1領域、L領域等の免疫グロブリンの定常領域、CD4、CD8α、CD8β、またはCD28の部分領域等を利用できる。前記第1のスペーサーペプチドは、人工的に設計したアミノ酸配列でもよい。CD8αの部分領域は、例えば、CD8αのヒンジ領域があげられ、具体例として、NCBIアクセッション番号NP_001759.3で登録されているアミノ酸配列において、118~178番目のアミノ酸配列があげられる。CD8βの部分領域は、例えば、NCBIアクセッション番号AAA35664.1で登録されているアミノ酸配列において、135~195番目のアミノ酸配列があげられる。CD4の部分領域は、例えば、NCBIアクセッション番号NP_000607.1で登録されているアミノ酸配列において、315~396番目のアミノ酸配列があげられる。CD28の部分領域は、例えば、NCBIアクセッション番号NP_006130.1で登録されているアミノ酸配列において、137~152番目のアミノ酸配列(配列番号13)があげられる。前記スペーサーペプチドは、各例示のアミノ酸配列の一部でもよい。
【0062】
CD28の部分領域(細胞外領域)(配列番号13)
IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP
【0063】
CD28の一部をコードする塩基配列(配列番号14)
5'-ATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCT-3'
【0064】
前記第1のCARにおいて、各ドメイン間は、例えば、リンカーペプチド(ドメインリンカーペプチド)により連結されてもよい。前記ドメインリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記ドメインリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。
【0065】
前記第1のCARは、例えば、下記式(1)(配列番号15)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。下記式(1)において、V1およびV2は、それぞれ、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列、または軽鎖可変領域および重鎖可変領域のアミノ酸配列である。下記式(1)において、V1およびV2間のアミノ酸配列が、Fvリンカーペプチドのアミノ酸配列であり、V2よりC末端側のアミノ酸配列が、スペーサーペプチド、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列である。下記式(1)において、Fvリンカーペプチドは、Fvリンカーペプチド1であるが、Fvリンカーペプチド2であってもよい。
[V1]-[GSTSGSGKPGSGEGSTKG]-[V2]-[IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS]-[RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR] ・・・(1)
【0066】
前記第1のCARをコードする核酸は、例えば、下記式(2)(配列番号16)で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドがあげられる。下記式(2)において、N1およびN2は、それぞれ、重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする塩基配列、または軽鎖可変領域および重鎖可変領域をコードする塩基配列である。下記式(2)において、N1およびN2間の塩基配列が、Fvリンカーペプチドをコードする塩基配列であり、N2より3’端側のアミノ酸配列が、スペーサーペプチド、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする塩基配列である。下記式(2)において、Fvリンカーペプチドをコードする塩基配列は、Fvリンカーペプチド1をコードする塩基配列であるが、Fvリンカーペプチド2をコードする塩基配列であってもよい。
5'-[N1]-[GGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGC]-[N2]-[ATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCT]-[CGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA]-3' ・・・(2)
【0067】
本発明のCARライブラリは、例えば、複数種類の核酸を含むことが好ましい。この場合、本発明のCARライブラリは、例えば、複数種類の核酸の混合物である。前記複数種類の核酸は、例えば、その一部または全部が、異なる第1のCARをコードしていることが好ましく、異なる第1の抗原結合ドメインをコードしていることが好ましい。複数種類の核酸が異なる第1の抗原結合ドメインをコードしている場合、前記第1のCARにおける第1の抗原結合ドメイン以外の領域は、例えば、同じまたは異なるアミノ酸配列である。本発明のCARライブラリに含まれる前記核酸の種類は、例えば、1×105~1×107種類、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類であり、好ましくは、約2×106種類(例えば、1×106~3×106種類)である。前記ファージディスプレイ法では、約1×108種類の核酸が、前記標的抗原に結合するscFvのスクリーニングに必要となる。他方、本発明のCARライブラリによれば、例えば、約1×106種類の核酸であっても、前記標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。このため、本発明のCARライブラリによれば、例えば、ファージディスプレイ法と比較して、より少ない数または種類の核酸で、前記標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。前記核酸の種類は、例えば、核酸の不均一性(heterogeneity)ということもできる。前記不均一性は、例えば、制限酵素マッピング、各CDRおよび/または各FRHについてサンガー法等のシークエンス等で測定できる。
【0068】
前記第1のCARは、例えば、N末端にシグナルペプチドを有してもよい。前記シグナルペプチドは、例えば、小胞体への輸送シグナルとなるシグナルペプチドがあげられる。前記第1のCARは、例えば、タグを有してもよい。前記タグは、例えば、ペプチドタグ、プロテインタグ等があげられる。前記タグは、例えば、FLAG(登録商標)タグ、HAタグ、Hisタグ、Mycタグ、V5タグ、切断型のNGFR(nerve growth factor receptor)等があげられる。前記タグペプチドは、例えば、前記第1のCARのN末端およびC末端の少なくとも一方に付加される。前記タグが切断型のNGFRの場合、前記タグは、例えば、前記第1のCARのC末端側に配置される。これにより、本発明のCARライブラリは、例えば、1つの細胞に1種類の第1のCARをコードする核酸が導入されるよう、核酸の導入効率を調整できる。前記第1のCARと前記タグとは、リンカーペプチドにより連結されてもよい。
【0069】
本発明において、前記第1のCARをコードする核酸は、例えば、前記第1のCARのアミノ酸配列に基づき、常法により調製できる。具体例として、前記第1のCARをコードする核酸は、例えば、前述の各ドメインのアミノ酸配列が登録されたデータベースにおいて、前記アミノ酸配列をコードする塩基配列を取得し、前記塩基配列に基づき、分子生物学的手法および/または化学的合成方法により調製できる。前記核酸の塩基配列は、例えば、本発明のCARライブラリを発現させる細胞の由来に応じて、コドン最適化してもよい。
【0070】
前記第1のCARをコードする核酸は、例えば、発現ベクターに導入されてもよい。前記発現ベクターは、例えば、前記第1のCARをコードする核酸を連結用ベクターに連結することで調製できる。前記連結用ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シュードタイプベクター等のレトロウイルスベクター;アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、センダイウイルスベクター、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)ベクター、HSVベクター等のウイルスベクターがあげられる。具体例として、前記連結用ベクターは、例えば、pUC、pCMV、pMX、pELPがあげられる。前記連結用ベクターは、例えば、前記発現ベクターを導入する宿主に応じて、適宜設定することもできる。前記宿主は、特に制限されず、例えば、CHO細胞、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等の哺乳類由来の培養細胞、免疫細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、リンパ球、顆粒球、マクロファージ等があげられる。前記リンパ球は、例えば、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、生体から単離された細胞、多能性幹細胞等の幹細胞から誘導された免疫細胞または免疫細胞由来の培養細胞である。前記T細胞は、T細胞様の細胞でもよい。前記T細胞様の細胞は、例えば、T細胞に由来する培養細胞等があげられ、具体例として、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等があげられる。
【0071】
前記発現ベクターは、例えば、前記第1のCARをコードする核酸の発現および前記第1のCARをコードする核酸がコードする第1のCARの少なくとも一方の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記第1のCARをコードする核酸の発現およびこれがコードする前記第1のCARの少なくとも一方の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記連結ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記連結ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記連結ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。
【0072】
前記発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。
【0073】
<第1のscFvのスクリーニング方法>
本発明の第1のスクリーニング方法は、前記本発明のCARライブラリ(以下、「第1のCARライブラリ」ともいう)を免疫細胞に発現させる第1の発現工程と、前記第1の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第1の接触工程と、前記第1の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む。本発明の第1のスクリーニング方法は、前記第1の発現工程、前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程を含み、前記第1の発現工程において、前記本発明のCARライブラリを用いることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の第1のスクリーニング方法によれば、CAR-T細胞において機能しうるscFvをスクリーニングできる。また、前記標的抗原に結合するscFvの重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各CDRのアミノ酸配列に基づき、例えば、前記標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を作製できる。このため、前記第1のスクリーニング方法は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体またはその抗原結合断片のスクリーニング方法ということもできる。本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、前記本発明のCARライブラリの説明を援用できる。本発明のscFvの製造方法によれば、新たなscFvをスクリーニングすることができる。このため、本発明のscFvの製造方法は、例えば、scFvのスクリーニング方法ということもできる。
【0074】
ファージディスプレイ法等により標的抗原に結合するキメラ抗原受容体(CAR)等を製造する場合、約1×1010種類の抗体ライブラリを作成し、標的抗原に結合する抗体を取得した後に、前記抗体からscFvを含むCAR等を調製する。そして、前記CAR等について免疫細胞等を用いて、その有効性について検討する。他方、本発明の第1のスクリーニング方法では、前記本発明のCARライブラリと、前記免疫細胞とを用いるため、例えば、前記標的抗原に結合するscFvのスクリーニングと、前記scFvの免疫細胞における有効性の検討について同時に実施することができる。このため、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、例えば、標的抗原に結合する抗体を得るために用いられているファージディスプレイ法等と比較して、標的抗原に結合し、かつ免疫細胞等において有効に機能するCARに用いうるscFvを簡便にスクリーニングできる。
【0075】
前記第1の発現工程は、前記本発明のCARライブラリを免疫細胞に発現させる工程である。具体的には、前記第1の発現工程では、例えば、前記免疫細胞に、前記第1のCARライブラリを導入する。そして、前記第1の発現工程では、例えば、前記第1のCARライブラリが導入された免疫細胞を培養することにより、前記免疫細胞に前記第1のCARライブラリを発現させる。前記第1のCARライブラリの導入方法は、特に制限されず、例えば、公知の核酸の細胞への導入方法を利用できる。具体例として、前記第1のCARライブラリの導入方法は、例えば、リポソーム、カチオニックリピッド等の核酸導入試薬を用いる方法;レトロウイルス、レンチウイルス等のウイルスを用いる方法;等があげられる。前記免疫細胞の培養期間は、特に制限されず、例えば、6時間~30日、6~96時間、1~30日である。前記免疫細胞の培養温度は、例えば、28~37℃である。
【0076】
前記第1のCARライブラリは、例えば、前記第1のCARをコードする核酸でもよいし、前記第1のCARをコードする核酸が導入された発現ベクターでもよい。
【0077】
前記免疫細胞は、特に制限されず、例えば、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、生体から単離された免疫細胞、多能性幹細胞等の幹細胞から誘導された免疫細胞または免疫細胞由来の培養細胞があげられる。前記単離された免疫細胞は、例えば、免疫細胞様の培養細胞でもよく、具体例として、T細胞様の培養細胞、NK細胞様の培養細胞、NKT細胞様の培養細胞、B細胞様の培養細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、生体から単離された免疫細胞であり、具体例として、ヒト末梢血由来の免疫細胞があげられる。前記T細胞様の培養細胞は、例えば、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、CAR-T細胞において機能する可能性がより高いscFvをスクリーニングでき、また後述の第1の接触工程において、前記標的抗原と結合する第1のCARを発現する免疫細胞を富化できることから、T細胞またはT細胞様の培養細胞、NK細胞、NKT細胞が好ましい。
【0078】
前記第1の発現工程において、前記免疫細胞の数は、特に制限されず、例えば、1×105~1×108細胞、1×105~1×107細胞、1×105~1×106細胞、1×106~5×106細胞、1×106~3×106細胞である。
【0079】
前記第1の発現工程では、1つの免疫細胞あたり、平均して、1以下の第1のCARが発現するように、前記本発明のCARライブラリを免疫細胞に発現させることが好ましい。これにより、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、前記標的抗原に結合しない非特異的な第1のCARの選抜を抑制できる。前記1つの細胞あたりに発現する第1のCARの数は、例えば、細胞数と、導入する核酸、ウイルス等のベクターとの量比を変更することにより調整できる。具体的には、前記第1の発現工程では、一定数の細胞に対して、導入するベクターの量比を減らすことにより、前記1つの細胞あたりに発現する第1のCARの数を低減できる。他方、前記第1の発現工程では、一定数の細胞に対して、導入するベクターの量比を増やすことにより、前記1つの細胞あたりに発現する第1のCARの数を増加できる。前記第1の発現工程において、前記免疫細胞へのベクターの導入効率は、特に制限されず、例えば、10~60%、10~50%、20~40%、25~35%とできる。
【0080】
つぎに、前記第1の接触工程では、前記第1の発現工程で得られた免疫細胞(候補免疫細胞)と、前記標的抗原とを接触させる。前記候補免疫細胞と前記標的抗原との接触は、例えば、前記候補免疫細胞および前記標的抗原の共存下で培養することにより実施できる。培養期間は、例えば、6時間~30日、6~96時間、1~30日である。培養温度は、例えば、28~37℃である。以下、前記免疫細胞がT細胞の場合、候補免疫細胞は、例えば、候補CAR-Tということもできる。
【0081】
前記候補免疫細胞が発現するCARは、例えば、1種類でもよいし、複数種類でもよいが、前者が好ましい。前記候補免疫細胞は、異なるアミノ酸配列を有するCARを発現する候補免疫細胞、すなわち、異なるCARを発現する2種類以上の候補免疫細胞の混合物であることが好ましい。
【0082】
前記候補免疫細胞と接触させる標的抗原は、例えば、前記標的抗原の単量体、前記標的抗原の複合体、前記標的抗原の発現細胞等があげられ、好ましくは、前記標的抗原の発現細胞である。前記標的抗原の複合体は、例えば、前記標的抗原の多量体(マルチマー)があげられ、具体例として、前記標的抗原の二量体、四量体等があげられる。前記標的抗原の多量体は、例えば、タグを付加した標的抗原を抗体により架橋する方法、ビオチン化された標的抗原をアビジンにより複合体化する方法等により調製できる。前記標的抗原の発現細胞は、例えば、前記標的抗原を内在的に発現する細胞、前記標的抗原をコードする核酸を導入することにより前記標的抗原を発現させた細胞等があげられる。前記標的抗原を発現させる細胞は、例えば、293細胞、293T細胞、K562細胞等の培養細胞があげられる。
【0083】
前記第1の接触工程では、前記標的抗原に加え、免疫細胞を活性化させる分子、いわゆる、共刺激分子をあわせて接触させてもよい。前記共刺激分子は、例えば、CD27、CD40、CD40L、CD80、CD83、CD86、OX40L、4-1BBL、GITRL、ICOS等があげられる。前記共刺激分子は、例えば、前記共刺激分子の単量体、前記共刺激分子の複合体、前記共刺激分子の発現細胞等があげられ、好ましくは、前記共刺激分子の発現細胞である。前記共刺激分子の複合体は、例えば、前記標的抗原の複合体と同様にして調製できる。
【0084】
前記標的抗原として、前記標的抗原の発現細胞を用いる場合、前記標的抗原の発現細胞は、免疫細胞を活性化させる分子、いわゆる、共刺激分子をあわせて発現することが好ましい。前記共刺激分子は、例えば、CD27、CD40、CD40L、CD80、CD83、CD86、OX40L、4-1BBL、GITRL、ICOS等があげられる。前記標的抗原の発現細胞は、1種類の共刺激分子を発現してもよいし、2種類以上の共刺激分子を発現してもよい。前記標的抗原の発現細胞は、例えば、生体における抗原提示細胞と類似した機能を発揮でき、生体内で機能するCARを選抜できることから、CD80、CD83、CD40、および4-1BBLからなる群から選択された少なくとも1つを発現することが好ましい。
【0085】
本発明の第1のスクリーニング方法では、前記第1の接触工程において、候補免疫細胞と、標的抗原とを接触させる。このため、前記標的抗原に特異的なCARを発現する候補免疫細胞は、例えば、前記標的抗原へのCARの親和性(結合性)の程度に応じて、生体内と同様に、前記標的抗原と、持続的または間欠的に免疫シナプス様の構造を形成できる。これにより、前記標的抗原に特異的なCARを発現する候補免疫細胞は、例えば、前記標的抗原へのCARの親和性(結合性)の程度に応じて、CARに由来する生存、活性化および/または増殖シグナルを受け取ることができる。この結果、前記第1の接触工程を経た候補免疫細胞において、前記標的抗原に特異的なCARを発現する候補免疫細胞は、例えば、前記標的抗原へのCARの親和性(結合性)の程度に応じて、生存、活性化マーカーの発現および/または細胞数の増加という表現型を示す。そして、後述の第1の選抜工程では、例えば、このような表現型が発現した候補免疫細胞を評価して、選抜する。このため、第1の選抜工程では、例えば、候補免疫細胞に発現しているCARの親和性に加えて、当該CARが活性化した際に生じる表現型(機能性)に基づき、CARをスクリーニングできる。したがって、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、前記第1の接触工程を備えることにより、生体内または免疫細胞において有効に機能するCARに用いうるscFvを好適にスクリーニングできる。
【0086】
前記第1の接触工程は、複数回実施してもよい。前記複数回は、例えば、1~5回、2~3回であり、好ましくは、2~3回である。前記第1の接触工程を複数回実施する場合、1回目の第1の接触工程の実施後、前記候補免疫細胞を回収し、1回目の第1の接触工程と同様にして2回目の第1の接触工程をする。そして、所望の回数まで同様に回収および接触を繰り返し実施する。前記第1の接触工程を複数回実施することにより、前記第1の接触工程において、例えば、前記標的抗原と結合するCARを発現する候補免疫細胞を増殖および/または富化させることができるため、より効率よく、前記標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。また、前記第1の接触工程を複数回実施することで増殖する候補免疫細胞が発現するCARは、例えば、後述の実施例で示しているように、前記CARを発現する細胞に対して、前記標的抗原を発現している細胞が多い状況(例えば、がん)においても、前記CARを発現する細胞を好適に標的抗原の刺激依存的に増殖させ、かつ前記CARを発現する細胞において標的抗原依存的な細胞傷害活性等の活性化を誘導できる。このため、本発明の第1のスクリーニング方法は、前記第1の接触工程を複数回実施することで、例えば、生体内においてより好適に機能するCARに用いうるscFvを好適にスクリーニングできる。
【0087】
前記第1の接触工程は、候補免疫細胞において、標的抗原を認識するCARを発現する候補免疫細胞を、標的抗原により刺激しているともいえる。このため、第1の接触工程は、例えば、抗原刺激工程ということもできる。
【0088】
前記第1の接触工程において、前記候補免疫細胞の数は、特に制限されず、例えば、1×105~1×108細胞、1×105~1×107細胞、1×105~1×106細胞、1×106~5×106細胞、1×106~3×106細胞である。
【0089】
前記第1の接触工程において、前記標的抗原として、前記標的抗原を発現する細胞を用いる場合、前記第1の接触工程において、前記候補免疫細胞(E)と、前記標的抗原を発現する細胞(T)の細胞比(E:T)は、例えば、2:1~50:1、5:1~40:1、10:1~30:1、または約20:1である。
【0090】
そして、前記第1の選抜工程では、前記第1の接触工程において前記標的抗原と結合したT細胞に発現する第1のCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する。前記標的抗原と前記候補免疫細胞との結合は、例えば、直接または間接的に評価できる。前記標的抗原と前記候補免疫細胞との結合は、例えば、キメラ抗原受容体のscFvとして用いたときに、T細胞の活性化および機能性の発揮を誘導しうるscFvを取得できることから、間接的な評価により実施してもよい。
【0091】
前記直接的な評価方法は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)、フローサイトメトリー等の抗体と抗原との結合検出方法より実施できる。具体例として、前記直接的な評価方法は、例えば、標識化された標的抗原のモノマーまたはマルチマーを用いて実施できる。この場合、前記第1の選抜工程では、例えば、前記標識化された標的抗原と、前記候補免疫細胞とを接触させる。前記候補免疫細胞が前記標的抗原に結合するCARを発現している場合、前記標識化された標的抗原と、前記候補免疫細胞とは複合体を形成する。このため、前記第1の選抜工程では、例えば、前記標識を含む複合体を形成している候補免疫細胞を、前記標的抗原に結合したT細胞と評価できる。
【0092】
具体例として、前記直接的な評価方法では、前記候補免疫細胞と、蛍光標識された標的抗原のマルチマーとを混合し、前記標的抗原に特異的なCARを発現する候補免疫細胞と、前記蛍光標識された標的抗原との複合体を形成させる。つぎに、得られた混合物を、フローサイトメトリーにより解析し、前記蛍光標識された標的抗原との複合体を形成している候補免疫細胞を、前記蛍光標識由来のシグナルに基づき、検出し、評価および選抜する。
【0093】
また、前記間接的な評価方法は、例えば、以下のように実施できる。前記標的抗原と結合するCARを発現するT細胞は、例えば、前記標的抗原との結合により活性化する。このため、前記間接的な評価方法は、例えば、前記候補免疫細胞の活性化を指標に評価する。具体例として、前記候補免疫細胞が前記標的抗原と結合すると、例えば、前記免疫細胞では、前記標的抗原と未結合の候補免疫細胞と比較して、活性化マーカーの発現の上昇、サイトカインおよび/またはケモカインの産生量の増加、増殖等が生じる。具体例として、前記免疫細胞がT細胞、NK細胞、NKT細胞またはB細胞の場合、前記各細胞では、例えば、下記活性化マーカーの発現の上昇、下記サイトカインおよび/またはケモカインの産生量の増加、増殖等が生じる。このため、前記第1の選抜工程では、例えば、いずれか1つ以上の指標に基づき、前記候補免疫細胞が活性化していると判断される場合、前記活性化している免疫細胞を、前記標的抗原に結合した免疫細胞と評価できる。前記サイトカインおよび/またはケモカインの産生量の増加は、例えば、前記サイトカインおよび/またはケモカインの発現が誘導されると、mRNAまたはタンパク質の発現量が増加するレポーターを用いてもよい。前記レポーターは、例えば、蛍光タンパク質があげられる。前記増殖は、例えば、細胞を、Carboxyfluorescein succinimidyl ester(CFSE)等の蛍光細胞染色色素等で染色し、蛍光強度の減衰を指標に評価できる。
・T細胞
活性化マーカー:CD69、CD107a等
サイトカイン・ケモカイン:IFN-γ、IL-12、IL-2、TNFα、MIP-1β等
・NK細胞
活性化マーカー:CD69、CD107a等
サイトカイン・ケモカイン:INF-γ、IL-12等
・NKT細胞
活性化マーカー:CD69、CD107a、CD25等
サイトカイン・ケモカイン:INF-γ、IL-2等
・B細胞
活性化マーカー:CD28、CD69、CD80、CD138、B220等
サイトカイン・ケモカイン:CXCR4等
【0094】
そして、前記標的抗原と結合した候補免疫細胞に発現する第1のCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する。前記第1の候補scFvの選抜は、例えば、前記標的抗原と結合した候補免疫細胞を選抜し、選抜された候補免疫細胞におけるscFvまたはCARをコードする塩基配列を解読することにより実施できる。前記第1の選抜工程では、例えば、さらに、前記第1の候補scFvにおける、重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とを特定してもよい。各CDRの特定は、例えば、ゲノム情報(例えば、IMGTのホームページ<http://www.imgt.org/>)を参照し、公知の方法により実施できる。
【0095】
これにより、前記標的抗原に結合する新たなscFvをスクリーニングできる。また、前記第1のCARライブラリにおける第1のCARが前記条件1を満たす場合、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、前記標的抗原に結合する新たな軽鎖可変領域をスクリーニングできる。前記第1のCARライブラリにおける第1のCARが前記条件2を満たす場合、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、前記標的抗原に結合する新たな重鎖可変領域をスクリーニングできる。
【0096】
本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、前記第1の候補scFvの新たな重鎖可変領域または軽鎖可変領域を、それぞれ、前記第1のCARライブラリにおける標的抗原に結合する抗原等における重鎖可変領域または軽鎖可変領域として、他方の領域のスクリーニングを実施してもよい。この場合、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、さらに、前記第1の候補scFvに基づき、第2のCARライブラリを調製する調製工程を含む。
【0097】
前記第2のCARライブラリは、例えば、第2のCARをコードする核酸を含む。また、前記第2のCARは、例えば、第2の抗原結合ドメインと、第2の膜貫通ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。また、前記第2の抗原結合ドメインは、例えば、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含む。
【0098】
前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、第2のCARのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味する。
【0099】
前記第2のscFvにおいて、前記標的抗原は、前記第1のscFvにおける標的抗原と同じである。前記第2のscFvは、例えば、前記第1のscFvと類似の構造を有する。
【0100】
前記第2のscFvは、例えば、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を含む。前記第2の重鎖可変領域は、例えば、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、下記条件3または条件4を満たす。
【0101】
条件3:
前記第1の発現工程におけるCARライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
条件4:
前記第1の発現工程におけるCARライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0102】
前記条件3は、例えば、前記条件1を満たす第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた第1の候補scFvを用いて、第2のCARライブラリを調製する場合である。前記条件3では、例えば、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記第1の候補scFvを用い、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3について、前記標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0103】
前記第2の重鎖可変領域における第2のB細胞受容体は、例えば、前記条件2の第1の重鎖可変領域の説明において、「第1のB細胞受容体」を「第2のB細胞受容体」に、「第1の重鎖可変領域」を「第2の重鎖可変領域」に読み替えてその説明を援用できる。
【0104】
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0105】
前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第2のB細胞受容体」と、前記各FRHの説明における「第2のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0106】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0107】
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0108】
前記第2の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第1の候補scFv」と、前記各FRLの説明における「第1の候補scFv」とは、同じscFvであることが好ましい。
【0109】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0110】
つぎに、前記条件4は、例えば、前記条件2を満たす第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた第1の候補scFvを用いて、第2のCARライブラリを調製する場合である。前記条件4では、例えば、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、前記第1の候補scFvを用い、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3について、前記標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0111】
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0112】
前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第1の候補scFv」と、前記各FRHの説明における「第1の候補scFv」とは、同じscFvであることが好ましい。
【0113】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0114】
前記第2の軽鎖可変領域における第2のB細胞受容体は、例えば、前記条件1の第1の軽鎖可変領域の説明において、「第1のB細胞受容体」を「第2のB細胞受容体」に、「第1の軽鎖可変領域」を「第2の軽鎖可変領域」に読み替えてその説明を援用できる。
【0115】
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0116】
前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第2のB細胞受容体」と、前記各FRLの説明における「第2のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0117】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0118】
前記第2のscFvにおいて、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前述のリンカーペプチド(Fvリンカーペプチド)により連結されている。前記第2のscFvにおけるFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のscFvにおけるFvリンカーペプチドと同じでもよいし、異なってもよい。
【0119】
前記第2の抗原結合ドメインは、第2のscFvを含むが、前記第2の結合ドメインは、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を含む、scFv以外の構造を有してもよい。具体例として、前記第2の結合ドメインは、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv等としてもよい。
【0120】
前記第2のCARにおいて、前記第2の膜貫通ドメインおよび第2の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、それぞれ、前記第1のCARライブラリにおける前記第1の膜貫通ドメインおよび第1の細胞内シグナル伝達ドメインと、同じでもよいし、異なってもよい。前記第2のCARライブラリにおいて、前記第2の膜貫通ドメインおよび第2の細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、それぞれ、前記本発明のCARライブラリにおける第1の膜貫通ドメインおよび第1の細胞内シグナル伝達ドメインの説明を援用できる。
【0121】
前記第2のCARにおいて、各ドメイン間は、例えば、リンカーペプチド(ドメインリンカーペプチド)により連結されてもよい。前記ドメインリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記ドメインリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。
【0122】
前記第2のCARは、例えば、前記式(1)(配列番号15)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。前記式(1)において、V1およびV2は、それぞれ、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列、または軽鎖可変領域および重鎖可変領域のアミノ酸配列である。前記第2のCARにおける重鎖可変領域および軽鎖可変領域の順序は、例えば、より簡便に第2のCARライブラリを調製できることから、前記第1のCARにおける重鎖可変領域および軽鎖可変領域の順序と、逆の順序が好ましい。具体例として、前記第1のCARにおいて、N末端から、重鎖可変領域および軽鎖可変領域がこの順序で配置されている場合、第2のCARにおいて、N末端から、軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、例えば、この順序で配置されている。前記第1のCARにおいて、N末端から、軽鎖可変領域および重鎖可変領域がこの順序で配置されている場合、第2のCARにおいて、N末端から、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、例えば、この順序で配置されている。
【0123】
前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、前記式(2)(配列番号16)で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドがあげられる。前記式(2)において、N1およびN2は、それぞれ、重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする塩基配列、または軽鎖可変領域および重鎖可変領域をコードする塩基配列である。
【0124】
前記第2のCARライブラリは、例えば、複数種類の核酸を含むことが好ましい。この場合、前記第2のCARライブラリは、例えば、複数種類の核酸の混合物である。前記複数種類の核酸は、例えば、その一部または全部が、異なる第2のCARをコードしていることが好ましく、異なる第2の抗原結合ドメインをコードしていることが好ましい。複数種類の核酸が異なる第2の抗原結合ドメインをコードしている場合、前記第2のCARにおける第2の抗原結合ドメイン以外の領域は、例えば、同じまたは異なるアミノ酸配列である。前記第2のCARライブラリに含まれる前記核酸の種類は、例えば、1×105~1×107種類、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類であり、好ましくは、約2×106種類(例えば、1×106~3×106種類)である。
【0125】
前記第2のCARは、例えば、N末端にシグナルペプチドを有してもよい。前記第2のCARは、例えば、タグを有してもよい。前記シグナルペプチドおよびタグは、例えば、前記第1のCARにおけるシグナルペプチドおよびタグの説明において、「第1のCAR」を「第2のCAR」に読み替えて、その説明を援用できる。
【0126】
本発明において、前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、前記第2のCARのアミノ酸配列に基づき、常法により調製できる。具体例として、前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、前述の各ドメインのアミノ酸配列が登録されたデータベースにおいて、前記アミノ酸配列をコードする塩基配列を取得し、前記塩基配列に基づき、分子生物学的手法および/または化学的合成方法により調製できる。前記核酸の塩基配列は、例えば、前記第2のCARライブラリを発現させる細胞の由来に応じて、コドン最適化してもよい。
【0127】
前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、発現ベクターに導入されてもよい。前記発現ベクターは、例えば、前記本発明のCARライブラリにおける発現ベクターの説明を援用できる。
【0128】
つぎに、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、前記第1のCARライブラリに代えて、前記調製工程において調製された第2のCARライブラリを用いる以外は、同様にして、発現工程、接触工程、および選抜工程を実施する。具体的には、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、さらに、前記第2のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第2の発現工程と、前記第2の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第2の接触工程と、前記第2の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第2のscFvを、前記標的抗原に結合する第2の候補scFvとして第2の選抜工程とを含む。前記第1の発現工程、第1の接触工程、および第1の選抜工程における免疫細胞と、前記第2の発現工程、第2の接触工程、および第2の選抜工程における免疫細胞とは、同じでもよいし、異なってもよい。前記免疫細胞は、T細胞またはT細胞様の細胞が好ましい。
【0129】
前記第2の発現工程は、例えば、前記第1の発現工程の説明において、「第1の発現工程」を「第2の発現工程」に、「第1のCARライブラリ」を「第2のCARライブラリ」に、「第1のCAR」を「第2のCAR」に読み替えてその説明を援用できる。
【0130】
前記第2の接触工程は、例えば、前記第1の接触工程の説明において、「第1の発現工程」を「第2の発現工程」に、「第1の接触工程」を「第2の接触工程」に読み替えてその説明を援用できる。
【0131】
前記第2の選抜工程は、例えば、前記第1の選抜工程の説明において、「第1の接触工程」を「第2の接触工程」に、「第1の選抜工程」を「第2の選抜工程」に、「第1のscFv」を「第2のscFv」に、「第1の候補scFv」を「第2の候補scFv」に、「第1のCAR」を「第2のCAR」に読み替えてその説明を援用できる。
【0132】
これにより、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、前記標的抗原に結合する新たな重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有するscFvをスクリーニングできる。
【0133】
本発明の第1のスクリーニング方法は、第1の候補scFvまたは第2の候補scFvに基づき、抗体またはその抗原結合断片を設計する設計工程を含んでもよい。前記設計工程は、例えば、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおいて、重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とを、新たな抗体またはその抗原結合断片に移植することにより実施できる。具体的には、前記設計工程は、例えば、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列と、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおける軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列とを、それぞれ、新たな抗体またはその抗原結合断片におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列と、軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列とすることにより実施できる。前記設計工程におけるCDRの移植は、例えば、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおいて、1つのCDRについて実施してもよいし、複数のCDRについて実施してもよいが、全てのCDRについて実施することが好ましい。前記新たな抗体およびその抗原結合断片の種類は、例えば、後述の本発明の抗体またはその抗原結合断片の種類の説明を援用できる。
【0134】
前記設計工程では、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおいて、重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4と、軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4とを、新たな抗体またはその抗原結合断片に移植してもよい。この場合、前記設計工程では、例えば、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列と、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおける軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列とを、それぞれ、新たな抗体またはその抗原結合断片におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列と、軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列とすることにより実施できる。前記設計工程におけるFRの移植は、例えば、前記第1の候補scFvまたは前記第2の候補scFvにおいて、1つのFRについて実施してもよいし、複数のFRについて実施してもよいが、全てのFRについて実施することが好ましい。
【0135】
本発明の第1のスクリーニング方法では、前記第1の発現工程を含むが、本発明はこれに限定されず、前記第1の発現工程を含まなくてもよい。この場合、本発明の第1のスクリーニング方法は、例えば、予め調製された、前記本発明のCARライブラリを発現する免疫細胞(CARライブラリ細胞)を用いて、第1の接触工程から実施できる。
【0136】
<CARライブラリ細胞>
本発明のキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリ細胞は、前記本発明のCARライブラリを発現する細胞を含む。本発明のCARライブラリ細胞は、前記本発明のCARライブラリを発現する細胞を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明のCARライブラリ細胞発現細胞によれば、前記本発明の第1のスクリーニング方法を好適に実施できる。本発明のCARライブラリ細胞は、前記本発明のCARライブラリおよび第1のスクリーニング方法の説明を援用できる。
【0137】
本発明のCARライブラリ細胞の数は、例えば、1×105~1×108細胞、1×105~1×107細胞、1×105~1×106細胞、1×106~5×106細胞、1×106~3×106細胞である。前記CARライブラリ細胞は、例えば、それぞれが、前記本発明のCARライブラリにおける異なるCARを発現することが好ましい。前記CARライブラリ細胞は、例えば、前記本発明のCARライブラリを発現しない細胞、すなわち、CARライブラリが未導入の細胞を含んでもよい。
【0138】
本発明のCARライブラリ細胞が発現するCARの種類は、1×106細胞のCARライブラリ細胞あたり、例えば、1×104~1×107種類、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類、1×105~1×106種類である。
【0139】
本発明のCARライブラリ細胞は、例えば、前記本発明の第1のスクリーニング方法の第1の発現工程と同様にして、製造できる。本発明のCARライブラリ細胞は、例えば、免疫細胞由来の細胞であることが好ましく、T細胞、NK細胞、NKT細胞由来であることが好ましい。
【0140】
<第1の抗体またはその抗原結合断片>
本発明のHLA-A*02:01およびNY-ESO-1157-165の複合体(以下、「A2/NY-ESO-1157」ともいう)に対する抗体またはその抗原結合断片は、前述のように、下記(H)の重鎖可変領域と、下記(L)の軽鎖可変領域とを含む。本発明の抗体等は、下記(H)の重鎖可変領域と、下記(L)の軽鎖可変領域とを含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の抗体等は、A2/NY-ESO-1157に結合する。また、A2/NY-ESO-1157は、例えば、肺がん、悪性黒色腫、滑膜肉腫、骨髄腫等の特定のがん細胞に発現することが知られている。このため、本発明の抗体等は、例えば、A2/NY-ESO-1157発現がん細胞に対する二重特異性抗体、CAR-T細胞のCARの抗原結合ドメイン等として好適に使用できる。前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法等の説明を援用できる。
【0141】
(H)重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである重鎖可変領域
(H1)下記(H1-1)、(H1-2)または(H1-3)のアミノ酸配列
(H1-1)下記表1AのCDRH1のいずれかのアミノ酸配列
(H1-2)(H1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-3)(H1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2)下記(H2-1)、(H2-2)または(H2-3)のアミノ酸配列
(H2-1)下記表1AのCDRH2のいずれかのアミノ酸配列
(H2-2)(H2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-3)(H2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3)下記(H3-1)、(H3-2)または(H3-3)のアミノ酸配列
(H3-1)下記表1AのCDRH3のいずれかのアミノ酸配列
(H3-2)(H3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-3)(H3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0142】
(L)軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである軽鎖可変領域
(L1)下記(L1-1)、(L1-2)または(L1-3)のアミノ酸配列
(L1-1)下記表1BのCDRL1のいずれかのアミノ酸配列
(L1-2)(L1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-3)(L1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2)下記(L2-1)、(L2-2)または(L2-3)のアミノ酸配列
(L2-1)下記表1BのCDRL2のいずれかのアミノ酸配列
(L2-2)(L2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-3)(L2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3)下記(L3-1)、(L3-2)または(L3-3)のアミノ酸配列
(L3-1)下記表1BのCDRL3のいずれかのアミノ酸配列
(L3-2)(L3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-3)(L3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0143】
【0144】
【0145】
本発明において、「HLA-A*02:01」は、例えば、ヒト主要組織適合性抗原(MHC)のA*02:01アリルに由来するクラスI抗原を意味する。HLA-A*02:01は、例えば、ヒトβ2-ミクログロブリンと複合体を形成している。HLA-A*02:01のアミノ酸配列は、例えば、NCBIアクセッション番号HG794376で登録されているアミノ酸配列があげられる。ヒトβ2-ミクログロブリンのアミノ酸配列は、例えば、NCBIアクセッション番号NM_004048.2で登録されているアミノ酸配列があげられる。
【0146】
本発明において、「NY-ESO-1157-165」は、例えば、NY-ESO-1タンパク質のアミノ酸配列において157~165番目のアミノ酸(SLLMWITQC(配列番号206)からなるペプチドを意味する。NY-ESO-1は、例えば、ヒト肺がん、悪性黒色腫、滑膜肉腫、骨髄腫等のがんに発現するがん抗原である。NY-ESO-1タンパク質のアミノ酸配列は、例えば、NCBIアクセッション番号NM_001327.2で登録されているアミノ酸配列があげられる。
【0147】
本発明において、「A2/NY-ESO-1157」は、例えば、HLA-A*02:01とNY-ESO-1157-165とにより形成された複合体を意味し、具体的には、HLA-A*02:01のペプチド結合溝にNY-ESO-1157-165が結合した複合体を意味する。A2/NY-ESO-1157は、HLA-A*02:01とヒトβ2-ミクログロブリンとの複合体のペプチド結合溝にNY-ESO-1157-165が結合した複合体であることが好ましい。
【0148】
本発明の抗体は、例えば、分子構造がイムノグロブリンである、いわゆる「抗体」でもよいし、その抗原結合断片でもよい。本発明の抗体等は、前述の前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域を有していればよい。本発明が抗体の場合、例えば、そのイムノグロブリンクラスおよびアイソタイプは、特に制限されない。前記イムノグロブリンクラスは、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE等があげられる。前記IgGは、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4等があげられる。
【0149】
前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、ヒト(例えば、完全ヒト)抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多特異的抗体等であってもよい。
【0150】
本発明における「抗原結合断片」は、前記抗体の一部分、例えば、部分断片であり、且つ、前記A2/NY-ESO-1157を認識(結合)するものを意味する。前記抗原結合断片は、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、二重特異性抗体およびこれらの重合体等があげられる。前記scFvは、例えば、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域が、リンカーを介して連結している。前記重鎖可変領域、前記リンカー、および前記軽鎖可変領域の順序は、N末端から、前記重鎖可変領域、前記リンカー、および前記軽鎖可変領域の順序でもよいし、N末端から、前記軽鎖可領域領、前記リンカー、および前記重鎖可変領域の順序でもよい。
【0151】
本発明の抗体等は、前述の前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域の他に、例えば、定常領域を有してもよく、前記定常領域は、例えば、ヒト定常領域、またはマウス定常領域である。抗体(イムノグロブリン)の場合、重鎖の定常領域は、例えば、CH1、CH2、およびCH3という領域を含み、軽鎖の定常領域は、例えば、CLという領域を含む。本発明の抗体等が前記定常領域を有する場合、例えば、前記重鎖可変領域は、CH1、CH2、およびCH3の少なくとも1つと結合し、前記軽鎖可変領域は、前記CLと結合しており、前記重鎖可変領域は、例えば、CH1と直接結合している。
【0152】
一般に、抗体分子の重鎖および軽鎖は、それぞれ、3ヶ所の相補性決定領域(CDR:Complemetarity determining region)を有している。CDRは、超可変領域(hypervariable domain)ともいう。CDRは、前記重鎖および軽鎖の可変領域でも、特に一次構造の変異性が高い領域であり、一次構造上において、通常、3ヶ所に分離している。本発明においては、重鎖における3ヶ所のCDRを、重鎖のアミノ酸配列におけるアミノ末端側から、重鎖CDR1(CDRH1)、重鎖CDR2(CDRH2)、および重鎖CDR3(CDRH3)と表し、軽鎖における3ヶ所のCDRを、軽鎖のアミノ酸配列におけるアミノ末端側から、軽鎖CDR1(CDRL1)、軽鎖CDR2(CDRL2)、および軽鎖CDR3(CDRL3)と表す。これらの部位は、立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。
【0153】
前記(H)の重鎖可変領域において、前記CDRH1は、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH1である。前記CDRH2は、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH2である。前記CDRH3は、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH3である。
【0154】
前記(L)の軽鎖可変領域において、前記CDRL1は、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL1である。前記CDRL2は、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL2である。前記CDRL3は、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL3である。
【0155】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、例えば、比較する配列同士を適切にアライメントしたときの同一性の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
【0156】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0157】
前記アミノ酸の置換は、例えば、保存的置換であってもよい(以下、同様)。前記保存的置換は、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1個または数個のアミノ酸を、他のアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体に置換することを意味する。「置換するアミノ酸」と「置換されるアミノ酸」とは、例えば、性質および/または機能が類似していることが好ましい。具体的には、例えば、疎水性および親水性の指標(ハイドロパシー)、極性、電荷等の化学的性質、または、二次構造等の物理的性質等が類似していることが好ましい。前記性質および/または機能が類似するアミノ酸またはアミノ酸誘導体は、例えば、当該技術分野において公知である。具体例として、非極性アミノ酸(疎水性アミノ酸)は、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等があげられ、極性アミノ酸(中性アミノ酸)は、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等があげられ、陽電荷を有するアミノ酸(塩基性アミノ酸)は、アルギニン、ヒスチジン、リジン等があげられ、負電荷を有するアミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸、グルタミン酸等があげられる。
【0158】
前記(H)の重鎖可変領域において、前記(H1-1)、(H2-1)および(H3-1)の組合せは、特に制限されず、例えば、それぞれ、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH1と、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH2と、前記(HA)または(HB)におけるCDRH3との任意の組合せとできる。前記(H1-1)、(H2-1)および(H3-1)の組合せは、好ましくは、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH1、CDRH2およびCDRH3である。
【0159】
前記(L)の軽鎖可変領域において、前記(L1-1)、(L2-1)および(L3-1)の組合せは、特に制限されず、例えば、それぞれ、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL1と、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL2と、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL3との任意の組合せとできる。前記(L1-1)、(L2-1)および(L3-1)の組合せは、好ましくは、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL1、CDRL2およびCDRL3である。
【0160】
前記(H1-1)、(H2-1)および(H3-1)と、前記(L1-1)、(L2-1)および(L3-1)との組合せは、特に制限されず、例えば、それぞれ、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH1、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH2、および前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH3と、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL1、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL2、ならびに前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL3との任意の組合せとできる。前記(H1-1)、(H2-1)および(H3-1)と、前記(L1-1)、(L2-1)および(L3-1)との組合せは、好ましくは、それぞれ、前記(HA)、(HB)または(HC)におけるCDRH1、CDRH2およびCDRH3と、前記(LA)~(LQ)および(LR)におけるいずれか1つのCDRL1、CDRL2およびCDRL3との組合せであり、より好ましくは、下記表2の組合せである。
【0161】
【0162】
以下に、本発明の抗体等について、前記重鎖可変領域または重鎖と前記軽鎖可変領域または軽鎖との組合せについてより具体的に説明する。各組合せにおける重鎖可変領域および重鎖の説明は、互いに援用できる。また、各組合せにおける軽鎖可変領域および軽鎖の説明は、互いに援用できる。また、以下に示すアミノ酸配列および塩基配列において、下線で示すアミノ酸配列および塩基配列は、特に言及しない限り、CDRに対応するアミノ酸配列およびCDRに対応するアミノ酸配列をコードする塩基配列である。
【0163】
本発明の抗体等において、前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域との組合せは、例えば、前述のように、前記(1)~(18)の組合せである。
【0164】
組合せ(1)
組合せ(1)の抗体等は、例えば、抗体H1-3M4E5L群ともいう。前記組合せ(1)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LA)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0165】
(H1-A)下記(H1-A1)、(H1-A2)または(H1-A3)のアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号17(GGSISSNY)のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号17のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号17のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0166】
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号18(VSYSGST)のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号18のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号18のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0167】
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号19(ARESYYYYGMDV)のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号19のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号19のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0168】
(L1-A)下記(L1-A1)、(L1-A2)または(L1-A3)のアミノ酸配列
(L1-A1)配列番号29(SRDVGGYNY)のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号29のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号29のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0169】
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号30(DVI)のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号30のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号30のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0170】
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号31(WSFAGSYYV)のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号31のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号31のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0171】
前記各CDRにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0172】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0173】
前記組合せ(1)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、下記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LA)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0174】
(H-A)下記(H-A1)、(H-A2)または(H-A3)のアミノ酸配列
(H-A1)配列番号20のアミノ酸配列
配列番号20:QVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
(H-A2)配列番号20のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-A3)配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0175】
(L-A)下記(L-A1)、(L-A2)または(L-A3)のアミノ酸配列
(L-A1)配列番号32のアミノ酸配列
配列番号32:QSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVL
(L-A2)配列番号32のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-A3)配列番号32のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0176】
前記(H-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3の(H3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(H-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(H-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号20のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0177】
前記(L-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号32のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号32のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0178】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-A1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-3M4E5L」ともいう。
【0179】
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0180】
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0181】
組合せ(2)
組合せ(2)の抗体等は、例えば、抗体H1-K52群ともいう。前記組合せ(2)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LB)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0182】
(L1-B)下記(L1-B1)、(L1-B2)または(L1-B3)のアミノ酸配列
(L1-B1)配列番号33(QSISSY)のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号33のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号33のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0183】
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号34(AAS)のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号34のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号34のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0184】
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号35(QQYYSTPQT)のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号35のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号35のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0185】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0186】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0187】
前記組合せ(2)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LB)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0188】
(L-B)下記(L-B1)、(L-B2)または(L-B3)のアミノ酸配列
(L-B1)配列番号36のアミノ酸配列
配列番号36:DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYSTPQTFGPGTKVDIK
(L-B2)配列番号36のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-B3)配列番号36のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0189】
前記(L-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号36のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号36のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0190】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-B1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K52」ともいう。
【0191】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0192】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0193】
組合せ(3)
組合せ(3)の抗体等は、例えば、抗体H1-K73群ともいう。前記組合せ(3)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LC)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0194】
(L1-C)下記(L1-C1)、(L1-C2)または(L1-C3)のアミノ酸配列
(L1-C1)配列番号37(QSISSY)のアミノ酸配列
(L1-C2)配列番号37のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-C3)配列番号37のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0195】
(L2-C)下記(L2-C1)、(L2-C2)または(L2-C3)のアミノ酸配列
(L2-C1)配列番号38(AAS)のアミノ酸配列
(L2-C2)配列番号38のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-C3)配列番号38のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0196】
(L3-C)下記(L3-C1)、(L3-C2)または(L3-C3)のアミノ酸配列
(L3-C1)配列番号39(QQYESYRRS)のアミノ酸配列
(L3-C2)配列番号39のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-C3)配列番号39のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0197】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0198】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0199】
前記組合せ(3)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LC)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-C)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0200】
(L-C)下記(L-C1)、(L-C2)または(L-C3)のアミノ酸配列
(L-C1)配列番号40のアミノ酸配列
配列番号40:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKAGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDVATYYCQQYESYRRSFGQGTKVEIK
(L-C2)配列番号40のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-C3)配列番号40のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0201】
前記(L-C1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-C1)、CDRL2の(L2-C1)、およびCDRL3の(L3-C1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-C2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-C1)、CDRL2の(L2-C1)、およびCDRL3の(L3-C1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号40のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-C3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-C1)、CDRL2の(L2-C1)、およびCDRL3の(L3-C1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号40のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0202】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-C1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K73」ともいう。
【0203】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0204】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0205】
組合せ(4)
組合せ(4)の抗体等は、例えば、抗体H1-K121-K124群ともいう。前記組合せ(4)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LD)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-D)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-D)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-D)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0206】
(L1-D)下記(L1-D1)、(L1-D2)または(L1-D3)のアミノ酸配列
(L1-D1)配列番号41(QSISSY)のアミノ酸配列
(L1-D2)配列番号41のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-D3)配列番号41のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0207】
(L2-D)下記(L2-D1)、(L2-D2)または(L2-D3)のアミノ酸配列
(L2-D1)配列番号42(AAS)のアミノ酸配列
(L2-D2)配列番号42のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-D3)配列番号42のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0208】
(L3-D)下記(L3-D1)、(L3-D2)または(L3-D3)のアミノ酸配列
(L3-D1)配列番号43(QQYNSYSRT)のアミノ酸配列
(L3-D2)配列番号43のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-D3)配列番号43のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0209】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0210】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0211】
前記組合せ(4)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LD)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-DA)または(L-DB)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0212】
(L-DA)下記(L-DA1)、(L-DA2)または(L-DA3)のアミノ酸配列
(L-DA1)配列番号44のアミノ酸配列
配列番号44:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIK
(L-DA2)配列番号44のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-DA3)配列番号44のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0213】
(L-DB)下記(L-DB1)、(L-DB2)または(L-DB3)のアミノ酸配列
(L-DB1)配列番号45のアミノ酸配列
配列番号45:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIK
(L-DB2)配列番号45のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-DB3)配列番号45のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0214】
前記(L-DA1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-DA2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号44のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-DA3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号44のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0215】
前記(L-DB1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-DB2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号45のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-DB3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号45のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0216】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-DA1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K121」ともいう。また、本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-DB1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K124」ともいう。
【0217】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0218】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0219】
組合せ(5)
組合せ(5)の抗体等は、例えば、抗体H1-K125群ともいう。前記組合せ(5)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LE)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-E)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-E)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-E)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0220】
(L1-E)下記(L1-E1)、(L1-E2)または(L1-E3)のアミノ酸配列
(L1-E1)配列番号46(QSISSY)のアミノ酸配列
(L1-E2)配列番号46のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-E3)配列番号46のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0221】
(L2-E)下記(L2-E1)、(L2-E2)または(L2-E3)のアミノ酸配列
(L2-E1)配列番号47(AAS)のアミノ酸配列
(L2-E2)配列番号47のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-E3)配列番号47のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0222】
(L3-E)下記(L3-E1)、(L3-E2)または(L3-E3)のアミノ酸配列
(L3-E1)配列番号48(QQYNSYSPCT)のアミノ酸配列
(L3-E2)配列番号48のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-E3)配列番号48のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0223】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0224】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0225】
前記組合せ(5)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LE)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-E)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0226】
(L-E)下記(L-E1)、(L-E2)または(L-E3)のアミノ酸配列
(L-E1)配列番号49のアミノ酸配列
配列番号49:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYSPCTFGPGTKVDIK
(L-E2)配列番号49のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-E3)配列番号49のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0227】
前記(L-E1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-E1)、CDRL2の(L2-E1)、およびCDRL3の(L3-E1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-E2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-E1)、CDRL2の(L2-E1)、およびCDRL3の(L3-E1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号49のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-E3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-E1)、CDRL2の(L2-E1)、およびCDRL3の(L3-E1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号49のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0228】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-E1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K125」ともいう。
【0229】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0230】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0231】
組合せ(6)
組合せ(6)の抗体等は、例えば、抗体H1-K131群ともいう。前記組合せ(6)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LF)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-F)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-F)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-F)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0232】
(L1-F)下記(L1-F1)、(L1-F2)または(L1-F3)のアミノ酸配列
(L1-F1)配列番号50(QDISRY)のアミノ酸配列
(L1-F2)配列番号50のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-F3)配列番号50のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0233】
(L2-F)下記(L2-F1)、(L2-F2)または(L2-F3)のアミノ酸配列
(L2-F1)配列番号51(AAS)のアミノ酸配列
(L2-F2)配列番号51のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-F3)配列番号51のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0234】
(L3-F)下記(L3-F1)、(L3-F2)または(L3-F3)のアミノ酸配列
(L3-F1)配列番号52(QQYDNLIT)のアミノ酸配列
(L3-F2)配列番号52のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-F3)配列番号52のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0235】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0236】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0237】
前記組合せ(6)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LF)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-F)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0238】
(L-F)下記(L-F1)、(L-F2)または(L-F3)のアミノ酸配列
(L-F1)配列番号53のアミノ酸配列
配列番号53:DIQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQDISRYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYDNLITFGQGTRLEIK
(L-F2)配列番号53のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-F3)配列番号53のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0239】
前記(L-F1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-F1)、CDRL2の(L2-F1)、およびCDRL3の(L3-F1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-F2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-F1)、CDRL2の(L2-F1)、およびCDRL3の(L3-F1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号53のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-F3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-F1)、CDRL2の(L2-F1)、およびCDRL3の(L3-F1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号53のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0240】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-F1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K131」ともいう。
【0241】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0242】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0243】
組合せ(7)
組合せ(7)の抗体等は、例えば、抗体H1-K145群ともいう。前記組合せ(7)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LG)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-G)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-G)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-G)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0244】
(L1-G)下記(L1-G1)、(L1-G2)または(L1-G3)のアミノ酸配列
(L1-G1)配列番号54(QDISRY)のアミノ酸配列
(L1-G2)配列番号54のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-G3)配列番号54のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0245】
(L2-G)下記(L2-G1)、(L2-G2)または(L2-G3)のアミノ酸配列
(L2-G1)配列番号55(AAS)のアミノ酸配列
(L2-G2)配列番号55のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-G3)配列番号55のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0246】
(L3-G)下記(L3-G1)、(L3-G2)または(L3-G3)のアミノ酸配列
(L3-G1)配列番号56(QQYNSYSRT)のアミノ酸配列
(L3-G2)配列番号56のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-G3)配列番号56のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0247】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0248】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0249】
前記組合せ(7)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LG)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-G)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0250】
(L-G)下記(L-G1)、(L-G2)または(L-G3)のアミノ酸配列
(L-G1)配列番号57のアミノ酸配列
配列番号57:DIQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQDISRYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIK
(L-G2)配列番号57のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-G3)配列番号57のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0251】
前記(L-G1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-G1)、CDRL2の(L2-G1)、およびCDRL3の(L3-G1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-G2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-G1)、CDRL2の(L2-G1)、およびCDRL3の(L3-G1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号57のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-G3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-G1)、CDRL2の(L2-G1)、およびCDRL3の(L3-G1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号57のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0252】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-G1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K145」ともいう。
【0253】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0254】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0255】
組合せ(8)
組合せ(8)の抗体等は、例えば、抗体H1-K151群ともいう。前記組合せ(8)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LH)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-H)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-H)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-H)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0256】
(L1-H)下記(L1-H1)、(L1-H2)または(L1-H3)のアミノ酸配列
(L1-H1)配列番号58(QSISSY)のアミノ酸配列
(L1-H2)配列番号58のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-H3)配列番号58のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0257】
(L2-H)下記(L2-H1)、(L2-H2)または(L2-H3)のアミノ酸配列
(L2-H1)配列番号59(AAS)のアミノ酸配列
(L2-H2)配列番号59のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-H3)配列番号59のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0258】
(L3-H)下記(L3-H1)、(L3-H2)または(L3-H3)のアミノ酸配列
(L3-H1)配列番号60(QQYDNLIT)のアミノ酸配列
(L3-H2)配列番号60のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-H3)配列番号60のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0259】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0260】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0261】
前記組合せ(8)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LH)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-H)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0262】
(L-H)下記(L-H1)、(L-H2)または(L-H3)のアミノ酸配列
(L-H1)配列番号61のアミノ酸配列
配列番号61:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYDNLITFGQGTRLEIK
(L-H2)配列番号61のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-H3)配列番号61のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0263】
前記(L-H1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-H1)、CDRL2の(L2-H1)、およびCDRL3の(L3-H1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-H2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-H1)、CDRL2の(L2-H1)、およびCDRL3の(L3-H1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号61のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-H3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-H1)、CDRL2の(L2-H1)、およびCDRL3の(L3-H1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号61のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0264】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-H1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K151」ともいう。
【0265】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0266】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0267】
組合せ(9)
組合せ(9)の抗体等は、例えば、抗体H1-K160群ともいう。前記組合せ(9)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LI)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-I)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-I)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-I)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0268】
(L1-I)下記(L1-I1)、(L1-I2)または(L1-I3)のアミノ酸配列
(L1-I1)配列番号62(QSVSSN)のアミノ酸配列
(L1-I2)配列番号62のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-I3)配列番号62のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0269】
(L2-I)下記(L2-I1)、(L2-I2)または(L2-I3)のアミノ酸配列
(L2-I1)配列番号63(GAS)のアミノ酸配列
(L2-I2)配列番号63のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-I3)配列番号63のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0270】
(L3-I)下記(L3-I1)、(L3-I2)または(L3-I3)のアミノ酸配列
(L3-I1)配列番号64(QQYNSYSRT)のアミノ酸配列
(L3-I2)配列番号64のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-I3)配列番号64のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0271】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0272】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0273】
前記組合せ(9)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LI)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-I)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0274】
(L-I)下記(L-I1)、(L-I2)または(L-I3)のアミノ酸配列
(L-I1)配列番号65のアミノ酸配列
配列番号65:EIVLTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISRLEPEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIK
(L-I2)配列番号65のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-I3)配列番号65のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0275】
前記(L-I1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-I1)、CDRL2の(L2-I1)、およびCDRL3の(L3-I1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-I2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-I1)、CDRL2の(L2-I1)、およびCDRL3の(L3-I1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号65のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-I3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-I1)、CDRL2の(L2-I1)、およびCDRL3の(L3-I1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号65のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0276】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-I1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K160」ともいう。
【0277】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0278】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0279】
組合せ(10)
組合せ(10)の抗体等は、例えば、抗体H1-K173群ともいう。前記組合せ(10)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LJ)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-J)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-J)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-J)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0280】
(L1-J)下記(L1-J1)、(L1-J2)または(L1-J3)のアミノ酸配列
(L1-J1)配列番号66(QSISSY)のアミノ酸配列
(L1-J2)配列番号66のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-J3)配列番号66のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0281】
(L2-J)下記(L2-J1)、(L2-J2)または(L2-J3)のアミノ酸配列
(L2-J1)配列番号67(AAS)のアミノ酸配列
(L2-J2)配列番号67のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-J3)配列番号67のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0282】
(L3-J)下記(L3-J1)、(L3-J2)または(L3-J3)のアミノ酸配列
(L3-J1)配列番号68(QQYESYSRT)のアミノ酸配列
(L3-J2)配列番号68のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-J3)配列番号68のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0283】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0284】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0285】
前記組合せ(10)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LJ)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-J)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0286】
(L-J)下記(L-J1)、(L-J2)または(L-J3)のアミノ酸配列
(L-J1)配列番号69のアミノ酸配列
配列番号69:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKAGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDVATYYCQQYESYSRTFGQGTKVEIK
(L-J2)配列番号69のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-J3)配列番号69のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0287】
前記(L-J1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-J1)、CDRL2の(L2-J1)、およびCDRL3の(L3-J1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-J2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-J1)、CDRL2の(L2-J1)、およびCDRL3の(L3-J1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号69のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-J3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-J1)、CDRL2の(L2-J1)、およびCDRL3の(L3-J1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号69のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0288】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-J1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K173」ともいう。
【0289】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0290】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0291】
組合せ(11)
組合せ(11)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L1群ともいう。前記組合せ(11)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、下記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、下記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、下記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LK)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-K)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-K)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-K)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0292】
(H1-B)下記(H1-B1)、(H1-B2)または(H1-B3)のアミノ酸配列
(H1-B1)配列番号21(GFTFSTYQ)のアミノ酸配列
(H1-B2)配列番号21のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-B3)配列番号21のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0293】
(H2-B)下記(H2-B1)、(H2-B2)または(H2-B3)のアミノ酸配列
(H2-B1)配列番号22(IVSSGGST)のアミノ酸配列
(H2-B2)配列番号22のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-B3)配列番号22のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0294】
(H3-B)下記(H3-B1)、(H3-B2)または(H3-B3)のアミノ酸配列
(H3-B1)配列番号23(AGELLPYYGMDV)のアミノ酸配列
(H3-B2)配列番号23のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-B3)配列番号23のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0295】
(L1-K)下記(L1-K1)、(L1-K2)または(L1-K3)のアミノ酸配列
(L1-K1)配列番号70(SSDVGGYDF)のアミノ酸配列
(L1-K2)配列番号70のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-K3)配列番号70のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0296】
(L2-K)下記(L2-K1)、(L2-K2)または(L2-K3)のアミノ酸配列
(L2-K1)配列番号71(DVN)のアミノ酸配列
(L2-K2)配列番号71のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-K3)配列番号71のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0297】
(L3-K)下記(L3-K1)、(L3-K2)または(L3-K3)のアミノ酸配列
(L3-K1)配列番号72(SSYAGSNSV)のアミノ酸配列
(L3-K2)配列番号72のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-K3)配列番号72のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0298】
前記各CDRにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0299】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0300】
前記組合せ(11)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、下記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LK)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-K)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0301】
(H-B)下記(H-B1)、(H-B2)または(H-B3)のアミノ酸配列
(H-B1)配列番号24のアミノ酸配列
配列番号24:EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
(H-B2)配列番号24のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-B3)配列番号24のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0302】
(L-K)下記(L-K1)、(L-K2)または(L-K3)のアミノ酸配列
(L-K1)配列番号73のアミノ酸配列
配列番号73:QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYDFVSWYQQHPGEAPKLLVYDVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEGDYYCSSYAGSNSVFGTGTKVTVL
(L-K2)配列番号73のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-K3)配列番号73のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0303】
前記(H-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3の(H3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(H-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号24のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(H-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-B1)、CDRH2の(H2-B1)、およびCDRH3(H3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号24のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0304】
前記(L-K1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-K1)、CDRL2の(L2-K1)、およびCDRL3の(L3-K1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-K2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-K1)、CDRL2の(L2-K1)、およびCDRL3の(L3-K1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号73のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-K3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-K1)、CDRL2の(L2-K1)、およびCDRL3の(L3-K1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号73のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0305】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-K1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L1」ともいう。
【0306】
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0307】
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0308】
組合せ(12)
組合せ(12)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L66群ともいう。前記組合せ(12)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LL)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-L)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-L)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-L)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0309】
(L1-L)下記(L1-L1)、(L1-L2)または(L1-L3)のアミノ酸配列
(L1-L1)配列番号74(SSDVGGYEF)のアミノ酸配列
(L1-L2)配列番号74のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-L3)配列番号74のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0310】
(L2-L)下記(L2-L1)、(L2-L2)または(L2-L3)のアミノ酸配列
(L2-L1)配列番号75(DVI)のアミノ酸配列
(L2-L2)配列番号75のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-L3)配列番号75のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0311】
(L3-L)下記(L3-L1)、(L3-L2)または(L3-L3)のアミノ酸配列
(L3-L1)配列番号76(SSYTSSSTYV)のアミノ酸配列
(L3-L2)配列番号76のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-L3)配列番号76のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0312】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0313】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0314】
前記組合せ(12)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LL)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-L)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0315】
(L-L)下記(L-L1)、(L-L2)または(L-L3)のアミノ酸配列
(L-L1)配列番号77のアミノ酸配列
配列番号77:QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYEFVSWYQQHPGSAPKLIIYDVIERPFGVSYRFSASKSGNTASLTISGLQGEDEADYFCSSYTSSSTYVFGTGTKVTVL
(L-L2)配列番号77のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-L3)配列番号77のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0316】
前記(L-L1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-L1)、CDRL2の(L2-L1)、およびCDRL3の(L3-L1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-L2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-L1)、CDRL2の(L2-L1)、およびCDRL3の(L3-L1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号77のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-L3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-L1)、CDRL2の(L2-L1)、およびCDRL3の(L3-L1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号77のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0317】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-L1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L66」ともいう。
【0318】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0319】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0320】
組合せ(13)
組合せ(13)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L73群ともいう。前記組合せ(13)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LM)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-M)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-M)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-M)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0321】
(L1-M)下記(L1-M1)、(L1-M2)または(L1-M3)のアミノ酸配列
(L1-M1)配列番号78(GSDVGAYDY)のアミノ酸配列
(L1-M2)配列番号78のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-M3)配列番号78のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0322】
(L2-M)下記(L2-M1)、(L2-M2)または(L2-M3)のアミノ酸配列
(L2-M1)配列番号79(DVS)のアミノ酸配列
(L2-M2)配列番号79のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-M3)配列番号79のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0323】
(L3-M)下記(L3-M1)、(L3-M2)または(L3-M3)のアミノ酸配列
(L3-M1)配列番号80(SSYSGSSTWV)のアミノ酸配列
(L3-M2)配列番号80のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-M3)配列番号80のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0324】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0325】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0326】
前記組合せ(13)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LM)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-M)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0327】
(L-M)下記(L-M1)、(L-M2)または(L-M3)のアミノ酸配列
(L-M1)配列番号81のアミノ酸配列
配列番号81:QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTGSDVGAYDYVSWYQHHPGRAPRLIIRDVSVRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYSGSSTWVFGGGTKLTVL
(L-M2)配列番号81のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-M3)配列番号81のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0328】
前記(L-M1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-M1)、CDRL2の(L2-M1)、およびCDRL3の(L3-M1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-M2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-M1)、CDRL2の(L2-M1)、およびCDRL3の(L3-M1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号81のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-M3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-M1)、CDRL2の(L2-M1)、およびCDRL3の(L3-M1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号81のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0329】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-M1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L73」ともいう。
【0330】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0331】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0332】
組合せ(14)
組合せ(14)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L80群ともいう。前記組合せ(14)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LN)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-N)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-N)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-N)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0333】
(L1-N)下記(L1-N1)、(L1-N2)または(L1-N3)のアミノ酸配列
(L1-N1)配列番号82(SSDVGSYNL)のアミノ酸配列
(L1-N2)配列番号82のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-N3)配列番号82のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0334】
(L2-N)下記(L2-N1)、(L2-N2)または(L2-N3)のアミノ酸配列
(L2-N1)配列番号83(DVS)のアミノ酸配列
(L2-N2)配列番号83のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-N3)配列番号83のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0335】
(L3-N)下記(L3-N1)、(L3-N2)または(L3-N3)のアミノ酸配列
(L3-N1)配列番号84(SSYTSSSTFAV)のアミノ酸配列
(L3-N2)配列番号84のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-N3)配列番号84のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0336】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0337】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0338】
前記組合せ(14)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LN)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-N)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0339】
(L-N)下記(L-N1)、(L-N2)または(L-N3)のアミノ酸配列
(L-N1)配列番号85のアミノ酸配列
配列番号85:QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGSYNLVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSYRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTFAVFGGGTQLTVL
(L-N2)配列番号85のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-N3)配列番号85のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0340】
前記(L-N1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-N1)、CDRL2の(L2-N1)、およびCDRL3の(L3-N1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-N2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-N1)、CDRL2の(L2-N1)、およびCDRL3の(L3-N1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号85のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-N3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-N1)、CDRL2の(L2-N1)、およびCDRL3の(L3-N1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号85のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0341】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-N1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L80」ともいう。
【0342】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0343】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0344】
組合せ(15)
組合せ(15)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L88群ともいう。前記組合せ(15)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LO)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-O)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-O)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-O)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0345】
(L1-O)下記(L1-O1)、(L1-O2)または(L1-O3)のアミノ酸配列
(L1-O1)配列番号86(SSDVGGYNY)のアミノ酸配列
(L1-O2)配列番号86のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-O3)配列番号86のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0346】
(L2-O)下記(L2-O1)、(L2-O2)または(L2-O3)のアミノ酸配列
(L2-O1)配列番号87(DVS)のアミノ酸配列
(L2-O2)配列番号87のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-O3)配列番号87のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0347】
(L3-O)下記(L3-O1)、(L3-O2)または(L3-O3)のアミノ酸配列
(L3-O1)配列番号88(CSYAGGYYV)のアミノ酸配列
(L3-O2)配列番号88のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-O3)配列番号88のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0348】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0349】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0350】
前記組合せ(15)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LO)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-O)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0351】
(L-O)下記(L-O1)、(L-O2)または(L-O3)のアミノ酸配列
(L-O1)配列番号89のアミノ酸配列
配列番号89:QSALPQPASVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTVSGLQAEDEADYFCCSYAGGYYVFGTGTKLTVL
(L-O2)配列番号89のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-O3)配列番号89のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0352】
前記(L-O1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-O1)、CDRL2の(L2-O1)、およびCDRL3の(L3-O1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-O2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-O1)、CDRL2の(L2-O1)、およびCDRL3の(L3-O1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号89のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-O3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-O1)、CDRL2の(L2-O1)、およびCDRL3の(L3-O1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号89のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0353】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-O1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L88」ともいう。
【0354】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0355】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0356】
組合せ(16)
組合せ(16)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L102群ともいう。前記組合せ(16)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LP)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-P)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-P)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-P)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0357】
(L1-P)下記(L1-P1)、(L1-P2)または(L1-P3)のアミノ酸配列
(L1-P1)配列番号90(SSDVGGYNY)のアミノ酸配列
(L1-P2)配列番号90のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-P3)配列番号90のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0358】
(L2-P)下記(L2-P1)、(L2-P2)または(L2-P3)のアミノ酸配列
(L2-P1)配列番号91(DVS)のアミノ酸配列
(L2-P2)配列番号91のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-P3)配列番号91のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0359】
(L3-P)下記(L3-P1)、(L3-P2)または(L3-P3)のアミノ酸配列
(L3-P1)配列番号92(SSYAGSGSTPFV)のアミノ酸配列
(L3-P2)配列番号92のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-P3)配列番号92のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0360】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0361】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0362】
前記組合せ(16)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LP)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-P)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0363】
(L-P)下記(L-P1)、(L-P2)または(L-P3)のアミノ酸配列
(L-P1)配列番号93のアミノ酸配列
配列番号93:QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQTEDEADYYCSSYAGSGSTPFVFGTGTKLTVL
(L-P2)配列番号93のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-P3)配列番号93のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0364】
前記(L-P1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-P1)、CDRL2の(L2-P1)、およびCDRL3の(L3-P1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-P2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-P1)、CDRL2の(L2-P1)、およびCDRL3の(L3-P1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号93のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-P3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-P1)、CDRL2の(L2-P1)、およびCDRL3の(L3-P1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号93のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0365】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-P1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L102」ともいう。
【0366】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0367】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0368】
組合せ(17)
組合せ(17)の抗体等は、例えば、抗体3M4E5H-L124群ともいう。前記組合せ(17)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LQ)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-Q)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-Q)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-Q)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0369】
(L1-Q)下記(L1-Q1)、(L1-Q2)または(L1-Q3)のアミノ酸配列
(L1-Q1)配列番号94(SSDVGGYNY)のアミノ酸配列
(L1-Q2)配列番号94のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-Q3)配列番号94のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0370】
(L2-Q)下記(L2-Q1)、(L2-Q2)または(L2-Q3)のアミノ酸配列
(L2-Q1)配列番号95(DVS)のアミノ酸配列
(L2-Q2)配列番号95のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-Q3)配列番号95のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0371】
(L3-Q)下記(L3-Q1)、(L3-Q2)または(L3-Q3)のアミノ酸配列
(L3-Q1)配列番号96(CSYAGRRYV)のアミノ酸配列
(L3-Q2)配列番号96のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-Q3)配列番号96のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0372】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0373】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0374】
前記組合せ(17)において、前記(HB)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LQ)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-Q)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0375】
(L-Q)下記(L-Q1)、(L-Q2)または(L-Q3)のアミノ酸配列
(L-Q1)配列番号97のアミノ酸配列
配列番号97:QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSRVPDRFAGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCCSYAGRRYVFGTGTKLTVL
(L-Q2)配列番号97のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-Q3)配列番号97のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0376】
前記(L-Q1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-Q1)、CDRL2の(L2-Q1)、およびCDRL3の(L3-Q1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-Q2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-Q1)、CDRL2の(L2-Q1)、およびCDRL3の(L3-Q1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号97のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-Q3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-Q1)、CDRL2の(L2-Q1)、およびCDRL3の(L3-Q1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号97のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0377】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-B1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-Q1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体3M4E5H-L124」ともいう。
【0378】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0379】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0380】
組合せ(18)
組合せ(18)の抗体等は、例えば、抗体H73-3M4E5L群ともいう。前記組合せ(18)において、前記(HC)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、下記(H1-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、下記(H2-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、下記(H3-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LA)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、前記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、前記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、前記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0381】
(H1-C)下記(H1-C1)、(H1-C2)または(H1-C3)のアミノ酸配列
(H1-C1)配列番号25(GGSISSYY)のアミノ酸配列
(H1-C2)配列番号25のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-C3)配列番号25のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0382】
(H2-C)下記(H2-C1)、(H2-C2)または(H2-C3)のアミノ酸配列
(H2-C1)配列番号26(INHSGST)のアミノ酸配列
(H2-C2)配列番号26のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-C3)配列番号26のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0383】
(H3-C)下記(H3-C1)、(H3-C2)または(H3-C3)のアミノ酸配列
(H3-C1)配列番号27(ARCPIYYYGMDV)のアミノ酸配列
(H3-C2)配列番号27のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-C3)配列番号27のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0384】
前記各CDRにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0385】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0386】
前記組合せ(18)において、前記(HC)の重鎖可変領域は、例えば、下記(H-C)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LA)の軽鎖可変領域は、例えば、前記(L-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0387】
(H-C)下記(H-C1)、(H-C2)または(H-C3)のアミノ酸配列
(H-C1)配列番号28のアミノ酸配列
配列番号28:QLQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARCPIYYYGMDVWGQGTTVTVSS
(H-C2)配列番号28のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-C3)配列番号28のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0388】
前記(H-C1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-C1)、CDRH2の(H2-C1)、およびCDRH3の(H3-C1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(H-C2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-C1)、CDRH2の(H2-C1)、およびCDRH3(H3-C1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号28のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(H-C3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-C1)、CDRH2の(H2-C1)、およびCDRH3(H3-C1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号28のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0389】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-C1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-A1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H73-3M4E5L」ともいう。
【0390】
前記重鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0391】
前記重鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0392】
本発明において、前記配列番号17~97のアミノ酸配列は、例えば、ヒト由来のアミノ酸配列である。
【0393】
本発明の抗体等とA2/NY-ESO-1157との結合は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)、フローサイトメトリー等の抗体と抗原との結合検出方法より確認できる。
【0394】
本発明の抗体等は、例えば、さらに標識物質を有してもよい。前記標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光物質、色素、同位体、酵素等があげられる。前記蛍光物質は、例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3色素、Cy5色素、FAM色素、ローダミン色素、テキサスレッド色素、JOE、MAX、HEX、TYE等の蛍光団があげられ、前記色素は、例えば、Alexa488、Alexa647等のAlexa色素等があげられる。本発明の抗体等は、医薬用化合物等の低分子化合物により修飾されてもよい。前記低分子化合物は、例えば、チューブリン阻害剤等の抗癌剤があげられる。本発明の抗体等は、例えば、前記低分子化合物に直接または間接的に修飾される。後者の場合、本発明の抗体等は、例えば、リンカーを介して、前記低分子化合物により修飾されている。
【0395】
本発明の抗体等は、例えば、担体、多孔質体等に固定化されてもよい。前記担体は、特に制限されず、例えば、基板、ビーズ、容器等があげられ、前記容器は、例えば、マイクロプレート、チューブ等があげられる。
【0396】
本発明の抗体等の製造方法は、特に制限されず、例えば、前述のアミノ酸配列情報に基づいて、遺伝子工学的に製造することができる。具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。なお、本発明は、この例示には限定されない。
【0397】
まず、本発明の抗体等における、前記各領域、前記重鎖、および/または軽鎖のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むベクターを宿主に導入し、形質転換体を得る。そして、前記形質転換体を培養し、A2/NY-ESO-1157に結合する抗体を含む画分を回収し、得られた回収画分から、前記抗体を単離または精製する。
【0398】
前記ベクターとしては、例えば、前記重鎖可変領域をコードする核酸配列を含むベクター、前記軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含むベクター、前記重鎖をコードする核酸配列を含むベクター、前記軽鎖をコードする核酸配列を含むベクター等があげられる。前記宿主は、特に制限されず、前記ベクターを導入でき、前記ベクター内の前記核酸配列を発現できるものであればよい。前記宿主としては、例えば、HEK細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、SP2/0細胞等の哺乳類細胞等があげられる。前記ベクターを宿主に導入する方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
【0399】
前記形質転換体の培養方法は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて、適宜決定できる。前記抗体を含む画分は、例えば、培養した前記形質転換体を破砕し、液体画分として回収できる。前記抗体の単離または精製は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
【0400】
本発明において、前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体である。前記モノクローナル抗体は、例えば、動物への免疫により得られるモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体(完全ヒト抗体ともいう)等があげられる。
【0401】
前記キメラ抗体は、ヒト以外の動物由来抗体の可変領域と、ヒト抗体の定常領域とを連結した抗体である。前記キメラ抗体は、例えば、以下のようにして作製できる。まず、ヒト以外の動物由来のモノクローナル抗体について、A2/NY-ESO-1157タンパク質と結合する可変領域(V領域)の遺伝子を調製し、前記可変領域の遺伝子と、ヒト抗体の定常領域(C領域)の遺伝子とを連結し、これを、さらに発現ベクターに連結する。そして、前記発現ベクターをトランスフェクトした細胞を培養し、培養液中に分泌される目的のキメラ抗体を回収する。これによりキメラ抗体を調製できる。前記可変領域の遺伝子の由来動物は、特に制限されず、例えば、ラット、マウス等があげられる。前記キメラ抗体の製造方法は、これには制限されず、例えば、特公平3-73280号公報に記載の方法等の、公知の方法を参照して製造できる。
【0402】
前記ヒト化抗体は、前記CDRのみをヒト以外の動物由来とし、他の領域をヒト由来とする抗体である。前記ヒト化抗体は、例えば、以下のようにして製造できる。まず、ヒト以外の動物由来のモノクローナル抗体について、前記CDRの遺伝子を調製し、ヒト抗体の遺伝子、例えば、定常領域に移植(CDRグラフティング)し、これを、さらに発現ベクターに連結する。そして、前記発現ベクターをトランスフェクトした細胞を培養することによって、培養液中に、目的のCDRを移植したヒト化抗体が分泌される。分泌されるヒト化抗体を回収することによって、調製できる。前記CDRの由来動物は、特に制限されず、例えば、ラット、マウス等があげられる。ヒト化抗体の製造方法は、これには限定されず、例えば、特表平4-506458号公報および特開昭62-296890号公報等に記載の方法等の、公知の方法を参照して製造できる。
【0403】
前記ヒト抗体は、全ての領域がヒト由来の抗体である。前記ヒト抗体は、例えば、ヒト以外の動物への、ヒト抗体遺伝子の導入によって作製できる。前記ヒト抗体遺伝子を導入する動物は、例えば、ヒト抗体産生用のトランスジェニック動物が使用できる。前記動物の種類は、特に制限されず、マウス等があげられる。前記ヒト抗体の製造方法は、例えば、Nature Genetics, Vol.7, p.13-21, 1994; Nature Genetics, Vol.15, p.146-156, 1997; 特表平4-504365号公報; 特表平7-509137号公報; WO94/25585号公報; Nature, Vol.368, p.856-859, 1994;および特表平6-500233号公報等に記載の、公知の方法を参照して製造できる。また、前記ヒト抗体は、例えば、ファージディスプレイ法を用いて製造することもでき、例えば、Marks, J. D. et al.: J. Mol. Biol., Vol.222, p.581-597, 1991等に記載の、公知の方法を参照して製造できる。
【0404】
本発明の抗体等は、例えば、抗原を動物に免疫することによっても調製できる。前記抗原は、例えば、A2/NY-ESO-1157タンパク質があげられる。前記抗原は、複数回免疫することが好ましい。前記ペプチド断片は、例えば、抗原決定基(エピトープ)のみからなるペプチド断片でもよいし、前記抗原決定基を含むペプチド断片でもよい
【0405】
前記動物への免疫により得られるモノクローナル抗体は、例えば、『Current Protocols in Molecular Biology』(John Wiley & Sons (1987))、Antibodies: A Laboratory Manual, Ed. Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory(1988))等に記載の方法等の、公知の方法を参照して製造できる。具体的には、例えば、抗原で動物を免疫し、前記免疫動物から採取した抗体産生細胞と、自己抗体産生能を欠く骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)とを融合させ、ハイブリドーマを作製する。続いて、前記ハイブリドーマから抗体産生細胞をスクリーニングして、クローニングによりハイブリドーマの単一クローンを作製する。そして、このハイブリドーマクローンを動物に投与し、得られた腹腔からモノクローナル抗体を精製する。または、前記ハイブリドーマを培養して、その培養液からモノクローナル抗体を精製する。このように、前記ハイブリドーマクローンを作製することで、特異性が均一なモノクローナル抗体を安定に供給できる。
【0406】
前記骨髄腫細胞は、例えば、マウス、ラット、ヒト等の由来であることが好ましい。前記骨髄腫細胞と前記抗体産生細胞とは、例えば、それぞれの由来が同一種でも異種でもよいが、同一種であることが好ましい。
【0407】
本発明の第1の抗体等において、前記(H)の重鎖可変領域および(L)の軽鎖可変領域は、下記(H)の重鎖可変領域および(L)の軽鎖可変領域であってもよい。
【0408】
(H)重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである重鎖可変領域;
(H1)下記(H1-1)、(H1-2)または(H1-3)のアミノ酸配列
(H1-1)下記条件(H1)のCDRH1のいずれかのアミノ酸配列
(H1-2)(H1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-3)(H1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(H2)下記(H2-1)、(H2-2)または(H2-3)のアミノ酸配列
(H2-1)下記条件(H1)のCDRH2のいずれかのアミノ酸配列
(H2-2)(H2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-3)(H2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(H3)下記(H3-1)、(H3-2)または(H3-3)のアミノ酸配列
(H3-1)下記条件(H1)のCDRH3のいずれかのアミノ酸配列
(H3-2)(H3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-3)(H3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
条件(H1)
CDRH1は、GX1X2X3SX4X5X6(配列番号322)であり、
CDRH2は、X7X8X9X10SX11GST(配列番号323)であり、
CDRH3は、AX12X13X14X15X16GMDV(配列番号324)であり、
X1は、GまたはFであり、
X2は、SまたはTであり、
X3は、IまたはFであり、
X4は、SまたはTであり、
X5は、NまたはYであり、
X6は、YまたはQであり、
X7は、存在しないか、Iであり、
X8は、VまたはNであり、
X9は、SまたはHであり、
X10は、存在しないか、Yであり、
X11は、存在しないか、Gであり、
X12は、RまたはGであり、
X13は、EまたはCであり、
X14は、S、L、またはPであり、
X15は、Y、L、またはIであり、
X16は、YまたはPである。
【0409】
(L)軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである軽鎖可変領域;
(L1)下記(L1-1)、(L1-2)または(L1-3)のアミノ酸配列
(L1-1)下記条件(L1)および(L2)のCDRL1のいずれかのアミノ酸配列
(L1-2)(L1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-3)(L1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L2)下記(L2-1)、(L2-2)または(L2-3)のアミノ酸配列
(L2-1)下記条件(L1)および(L2)のCDRL2のいずれかのアミノ酸配列
(L2-2)(L2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-3)(L2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L3)下記(L3-1)、(L3-2)または(L3-3)のアミノ酸配列
(L3-1)下記条件(L1)および(L2)のCDRL3のいずれかのアミノ酸配列
(L3-2)(L3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-3)(L3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
条件(L1)
CDRL1は、QX1X2SX3X4(配列番号313)であり、
CDRL2は、AAS(配列番号34)またはGAS(配列番号63)であり、
CDRL3は、QQYX5X6X7X8X9X10X11(配列番号314)であり、
X1は、SまたはDであり、
X2は、IまたはVであり、
X3は、SまたはRであり、
X4は、YまたはNであり、
X5は、Y、E、N、またはDであり、
X6は、SまたはNであり、
X7は、存在しないか、T、Y、またはSであり、
X8は、P、S、R、またはLであり、
X9は、Q、R、P、またはIであり、
X10は、存在しないか、SまたはCであり、
X11は、存在しないか、Tである;
条件(L2)
CDRL1は、X1X2DVGX3YX4X5(配列番号315)であり、
CDRL2は、DVN(配列番号71)、DVI(配列番号75)、またはDVS(配列番号79)であり、
CDRL3は、X6SX7X8X9X10X11X12X13X14X15V(配列番号316)であり、
X1は、SまたはGであり、
X2は、RまたはSであり、
X3は、G、A、またはSであり、
X4は、N、D、E、またはQであり、
X5は、Y、F、L、またはWであり、
X6は、W、S、またはCであり、
X7は、F、Y、またはWであり、
X8は、存在しないか、AまたはTであり、
X9は、存在しないか、Gであり、
X10は、存在しないか、Sであり、
X11は、GまたはSであり、
X12は、存在しないか、Sであり、
X13は、S、T、またはRであり、
X14は、Y、N、T、F、P、またはRであり、
X15は、Y、S、W、A、またはFである。
【0410】
前記条件(H1)を満たす重鎖可変領域としては、例えば、前記(HA)、(HB)および(HC)の重鎖可変領域があげられる。
【0411】
前記(L)の軽鎖可変領域において、(L1-1)、(L2-1)、および(L3-1)は、条件(L1)および(L2)において同一の条件または異なる条件を満たすが、同一の条件を満たすことが好ましい。
【0412】
条件(L1)において、X7は、存在しないか、T、またはYが好ましい。
【0413】
条件(L2)において、X4は、N、D、またはEが好ましい。X5は、Y、F、またはLが好ましい。X7は、FまたはYが好ましい。
【0414】
前記条件(L1)を満たす軽鎖可変領域としては、例えば、前記(LB)~(LJ)の軽鎖可変領域があげられる。
【0415】
前記条件(L2)を満たす軽鎖可変領域としては、例えば、前記(LA)および(LK)~(LQ)の軽鎖可変領域があげられる。
【0416】
前記(H)の重鎖可変領域および(L)の軽鎖可変領域において、前記(H)の重鎖可変領域のCDRH1がGFTFSTYQ(配列番号21)であり、CDRH2がIVSSGGST(配列番号22)であり、CDRH3がAGELLPYYGMDV(配列番号23)である場合、前記(L)の軽鎖可変領域のCDRL1が、SRDVGGYNY(配列番号29)であり、CDRL2がDVI(配列番号30)であり、CDRL3がWSFAGSYYV(配列番号31)以外のアミノ酸配列であることが好ましい。
【0417】
<第2の抗体またはその抗原結合断片>
本発明のCD19に対する抗体またはその抗原結合断片(以下、「第2の抗体等」ともいう)は、下記(H)の重鎖可変領域と、下記(L)の軽鎖可変領域とを含む。本発明の抗体等は、下記(H)の重鎖可変領域と、下記(L)の軽鎖可変領域とを含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の抗体等は、CD19に結合する。また、CD19は、例えば、正常なB細胞およびB細胞系のリンパ腫等の特定のがん細胞に発現することが知られている。このため、本発明の抗体等は、例えば、CD19発現がん細胞に対する二重特異性抗体、CAR-T細胞のCARの抗原結合ドメイン等として好適に使用できる。前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体またはその抗原結合断片等の説明を援用できる。
【0418】
(H)重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである重鎖可変領域
(H1)下記(H1-1)、(H1-2)または(H1-3)のアミノ酸配列
(H1-1)下記表3AのCDRH1のいずれかのアミノ酸配列
(H1-2)(H1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-3)(H1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2)下記(H2-1)、(H2-2)または(H2-3)のアミノ酸配列
(H2-1)下記表3AのCDRH2のいずれかのアミノ酸配列
(H2-2)(H2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-3)(H2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3)下記(H3-1)、(H3-2)または(H3-3)のアミノ酸配列
(H3-1)下記表3AのCDRH3のいずれかのアミノ酸配列
(H3-2)(H3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-3)(H3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0419】
(L)軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである軽鎖可変領域
(L1)下記(L1-1)、(L1-2)または(L1-3)のアミノ酸配列
(L1-1)下記表3BのCDRL1のいずれかのアミノ酸配列
(L1-2)(L1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-3)(L1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2)下記(L2-1)、(L2-2)または(L2-3)のアミノ酸配列
(L2-1)下記表3BのCDRL2のいずれかのアミノ酸配列
(L2-2)(L2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-3)(L2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3)下記(L3-1)、(L3-2)または(L3-3)のアミノ酸配列
(L3-1)下記表3BのCDRL3のいずれかのアミノ酸配列
(L3-2)(L3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-3)(L3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0420】
【0421】
【0422】
本発明において、「CD19」は、例えば、分子量95kDaのI型膜貫通糖タンパク質である。CD19は、例えば、B細胞の発生、活性化、分化の調整等に関与することがしられており、B細胞に主に発現している。ヒトCD19のアミノ酸配列は、例えば、NCBIアクセッション番号NM_001770.6で登録されているアミノ酸配列があげられる。マウスCD19のアミノ酸配列は、例えば、NCBIアクセッション番号NM_009844.2で登録されているアミノ酸配列があげられる。
【0423】
前記(H)の重鎖可変領域において、前記CDRH1は、前記(HA)におけるCDRH1である。前記CDRH2は、前記(HA)におけるCDRH2である。前記CDRH3は、前記(HA)におけるCDRH3である。
【0424】
前記(L)の軽鎖可変領域において、前記CDRL1は、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL1である。前記CDRL2は、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL2である。前記CDRL3は、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL3である。
【0425】
前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記(LA)~(LL)および(LM)において、同一の条件を満たしてもよいし、異なる条件を満たしてもよいが、同一の条件を満たすことが好ましい。前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3が同一の条件を満たす場合、前記CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記(LA)~(LL)および(LM)のいずれか1つのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を満たす。
【0426】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、例えば、比較する配列同士を適切にアライメントしたときの同一性の程度であり、前記配列間のアミノ酸の正確な一致の出現率(%)を意味する。前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。
【0427】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0428】
前記アミノ酸の置換は、例えば、保存的置換であってもよい(以下、同様)。前記保存的置換は、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1個または数個のアミノ酸を、他のアミノ酸および/またはアミノ酸誘導体に置換することを意味する。「置換するアミノ酸」と「置換されるアミノ酸」とは、例えば、性質および/または機能が類似していることが好ましい。具体的には、例えば、疎水性および親水性の指標(ハイドロパシー)、極性、電荷等の化学的性質、または、二次構造等の物理的性質等が類似していることが好ましい。前記性質および/または機能が類似するアミノ酸またはアミノ酸誘導体は、例えば、当該技術分野において公知である。具体例として、非極性アミノ酸(疎水性アミノ酸)は、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニン等があげられ、極性アミノ酸(中性アミノ酸)は、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システイン等があげられ、陽電荷を有するアミノ酸(塩基性アミノ酸)は、アルギニン、ヒスチジン、リジン等があげられ、負電荷を有するアミノ酸(酸性アミノ酸)は、アスパラギン酸、グルタミン酸等があげられる。
【0429】
前記(L)の軽鎖可変領域において、前記(L1-1)、(L2-1)および(L3-1)の組合せは、特に制限されず、例えば、それぞれ、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL1と、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL2と、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL3との任意の組合せとできる。前記(L1-1)、(L2-1)および(L3-1)の組合せは、好ましくは、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つのCDRL1、CDRL2およびCDRL3である。
【0430】
以下に、本発明の抗体等について、前記重鎖可変領域または重鎖と前記軽鎖可変領域または軽鎖との組合せについてより具体的に説明する。各組合せにおける重鎖可変領域および重鎖の説明は、互いに援用できる。また、各組合せにおける軽鎖可変領域および軽鎖の説明は、互いに援用できる。また、以下に示すアミノ酸配列および塩基配列において、下線で示すアミノ酸配列および塩基配列は、特に言及しない限り、CDRに対応するアミノ酸配列およびCDRに対応するアミノ酸配列をコードする塩基配列である。
【0431】
本発明の抗体等において、前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域との組合せは、例えば、前述のように、前記(HA)と、前記(LA)~(LL)および(LM)におけるいずれか1つの組合せである。
【0432】
(HA)と(LA)と組合せ(組合せ(LA))
組合せ(LA)の抗体等は、例えば、抗体18H-L4群ともいう。前記組合せ(LA)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、下記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、下記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、下記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LA)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0433】
(H1-A)下記(H1-A1)、(H1-A2)または(H1-A3)のアミノ酸配列
(H1-A1)配列番号216(GFTFDDYA)のアミノ酸配列
(H1-A2)配列番号216のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-A3)配列番号216のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0434】
(H2-A)下記(H2-A1)、(H2-A2)または(H2-A3)のアミノ酸配列
(H2-A1)配列番号217(ISWNSGRI)のアミノ酸配列
(H2-A2)配列番号217のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-A3)配列番号217のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0435】
(H3-A)下記(H3-A1)、(H3-A2)または(H3-A3)のアミノ酸配列
(H3-A1)配列番号218(ARDQGYHYYDSAEHAFDI)のアミノ酸配列
(H3-A2)配列番号218のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-A3)配列番号218のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0436】
(L1-A)下記(L1-A1)、(L1-A2)または(L1-A3)のアミノ酸配列
(L1-A1)配列番号220(KLGDKY)のアミノ酸配列
(L1-A2)配列番号220のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-A3)配列番号220のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0437】
(L2-A)下記(L2-A1)、(L2-A2)または(L2-A3)のアミノ酸配列
(L2-A1)配列番号221(QDS)のアミノ酸配列
(L2-A2)配列番号221のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-A3)配列番号221のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0438】
(L3-A)下記(L3-A1)、(L3-A2)または(L3-A3)のアミノ酸配列
(L3-A1)配列番号222(QAWDSSTHVV)のアミノ酸配列
(L3-A2)配列番号222のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-A3)配列番号222のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0439】
前記各CDRにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0440】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0441】
前記組合せ(LA)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、下記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LA)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0442】
(H-A)下記(H-A1)、(H-A2)または(H-A3)のアミノ酸配列
(H-A1)配列番号219のアミノ酸配列
配列番号219:EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
(H-A2)配列番号219のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H-A3)配列番号219のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0443】
(L-A)下記(L-A1)、(L-A2)または(L-A3)のアミノ酸配列
(L-A1)配列番号223のアミノ酸配列
配列番号223:SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYACWYQQKPGQSPVLVIYQDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTHVVFGGGTKLTVL
(L-A2)配列番号223のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-A3)配列番号223のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0444】
前記(H-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3の(H3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(H-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号219のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(H-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRH1の(H1-A1)、CDRH2の(H2-A1)、およびCDRH3(H3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号219のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0445】
前記(L-A1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-A2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号223のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-A3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-A1)、CDRL2の(L2-A1)、およびCDRL3の(L3-A1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号223のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0446】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-A1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L4」ともいう。
【0447】
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0448】
前記重鎖可変領域のポリペプチドおよび前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0449】
(HA)と(LB)との組合せ(組合せ(LB))
組合せ(LB)の抗体等は、例えば、抗体18H-L7群ともいう。前記組合せ(LB)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LB)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-B)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0450】
(L1-B)下記(L1-B1)、(L1-B2)または(L1-B3)のアミノ酸配列
(L1-B1)配列番号224(SSDVGGYNY)のアミノ酸配列
(L1-B2)配列番号224のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-B3)配列番号224のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0451】
(L2-B)下記(L2-B1)、(L2-B2)または(L2-B3)のアミノ酸配列
(L2-B1)配列番号225(DVS)のアミノ酸配列
(L2-B2)配列番号225のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-B3)配列番号225のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0452】
(L3-B)下記(L3-B1)、(L3-B2)または(L3-B3)のアミノ酸配列
(L3-B1)配列番号226(GTWDTSLTAVV)のアミノ酸配列
(L3-B2)配列番号226のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-B3)配列番号226のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0453】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0454】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0455】
前記組合せ(LB)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LB)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-B)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0456】
(L-B)下記(L-B1)、(L-B2)または(L-B3)のアミノ酸配列
(L-B1)配列番号227のアミノ酸配列
配列番号227:QSALTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQTGDEADYYCGTWDTSLTAVVFGGGTELTVL
(L-B2)配列番号227のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-B3)配列番号227のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0457】
前記(L-B1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-B2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号227のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-B3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-B1)、CDRL2の(L2-B1)、およびCDRL3の(L3-B1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号227のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0458】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-B1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L7」ともいう。
【0459】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0460】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0461】
(HA)と(LC)との組合せ(組合せ(LC))
組合せ(LC)の抗体等は、例えば、抗体18H-L9群ともいう。前記組合せ(LC)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LC)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-C)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0462】
(L1-C)下記(L1-C1)、(L1-C2)または(L1-C3)のアミノ酸配列
(L1-C1)配列番号228(WSNIGDDH)のアミノ酸配列
(L1-C2)配列番号228のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-C3)配列番号228のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0463】
(L2-C)下記(L2-C1)、(L2-C2)または(L2-C3)のアミノ酸配列
(L2-C1)配列番号229(DTS)のアミノ酸配列
(L2-C2)配列番号229のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-C3)配列番号229のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0464】
(L3-C)下記(L3-C1)、(L3-C2)または(L3-C3)のアミノ酸配列
(L3-C1)配列番号230(GTWESSLSGVV)のアミノ酸配列
(L3-C2)配列番号230のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-C3)配列番号230のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0465】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0466】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0467】
前記組合せ(LC)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LC)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-C)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0468】
(L-C)下記(L-C1)、(L-C2)または(L-C3)のアミノ酸配列
(L-C1)配列番号231のアミノ酸配列
配列番号231:QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSWSNIGDDHVSWYQQFPGAAPKLLIYDTSKRPSRVADRFSGSKSGASATLAITGLQAGDEADYYCGTWESSLSGVVFGGGTELTVL
(L-C2)配列番号231のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-C3)配列番号231のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0469】
前記(L-C1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-C1)、CDRL2の(L2-C1)、およびCDRL3の(L3-C1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-C2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-C1)、CDRL2の(L2-C1)、およびCDRL3の(L3-C1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号231のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-C3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-C1)、CDRL2の(L2-C1)、およびCDRL3の(L3-C1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号231のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0470】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-C1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L9」ともいう。
【0471】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0472】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0473】
(HA)と(LD)との組合せ(組合せ(LD))
組合せ(LC)の抗体等は、例えば、抗体18H-L13群ともいう。前記組合せ(LD)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LD)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-D)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-D)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-D)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0474】
(L1-D)下記(L1-D1)、(L1-D2)または(L1-D3)のアミノ酸配列
(L1-D1)配列番号232(SSDVGGYDY)のアミノ酸配列
(L1-D2)配列番号232のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-D3)配列番号232のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0475】
(L2-D)下記(L2-D1)、(L2-D2)または(L2-D3)のアミノ酸配列
(L2-D1)配列番号233(DVT)のアミノ酸配列
(L2-D2)配列番号233のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-D3)配列番号233のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0476】
(L3-D)下記(L3-D1)、(L3-D2)または(L3-D3)のアミノ酸配列
(L3-D1)配列番号234(SSYTTSTTWV)のアミノ酸配列
(L3-D2)配列番号234のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-D3)配列番号234のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0477】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0478】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0479】
前記組合せ(LD)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LD)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-D)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0480】
(L-D)下記(L-D1)、(L-D2)または(L-D3)のアミノ酸配列
(L-D1)配列番号235のアミノ酸配列
配列番号235:QSALTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQTGDEADYYCGTWDTSLTAVVFGGGTELTVL
(L-D2)配列番号235のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-D3)配列番号235のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0481】
前記(L-D1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-D2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号235のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-D3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-D1)、CDRL2の(L2-D1)、およびCDRL3の(L3-D1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号235のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0482】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-D1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L13」ともいう。
【0483】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0484】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0485】
(HA)と(LE)との組合せ(組合せ(LE))
組合せ(LE)の抗体等は、例えば、抗体18H-L14群ともいう。前記組合せ(LE)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LE)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-E)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-E)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-E)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0486】
(L1-E)下記(L1-E1)、(L1-E2)または(L1-E3)のアミノ酸配列
(L1-E1)配列番号236(TSDVGTTNY)のアミノ酸配列
(L1-E2)配列番号236のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-E3)配列番号236のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0487】
(L2-E)下記(L2-E1)、(L2-E2)または(L2-E3)のアミノ酸配列
(L2-E1)配列番号237(DVT)のアミノ酸配列
(L2-E2)配列番号237のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-E3)配列番号237のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0488】
(L3-E)下記(L3-E1)、(L3-E2)または(L3-E3)のアミノ酸配列
(L3-E1)配列番号238(SYAGSYTFVV)のアミノ酸配列
(L3-E2)配列番号238のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-E3)配列番号238のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0489】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0490】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0491】
前記組合せ(LE)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LE)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-E)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0492】
(L-E)下記(L-E1)、(L-E2)または(L-E3)のアミノ酸配列
(L-E1)配列番号239のアミノ酸配列
配列番号239:QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTTSDVGTTNYVSWYQQHPGKAPKLLIYDVTNRPSGVPDRFSGSKSANTASLTISGLQAEDEADYYCCSYAGSYTFVVFGGGTELTVL
(L-E2)配列番号239のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-E3)配列番号239のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0493】
前記(L-E1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-E1)、CDRL2の(L2-E1)、およびCDRL3の(L3-E1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-E2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-E1)、CDRL2の(L2-E1)、およびCDRL3の(L3-E1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号239のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-E3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-E1)、CDRL2の(L2-E1)、およびCDRL3の(L3-E1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号239のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0494】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-E1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L14」ともいう。
【0495】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0496】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0497】
(HA)と(LF)との組合せ(組合せ(LF))
組合せ(LF)の抗体等は、例えば、抗体18H-L16群ともいう。前記組合せ(LF)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LF)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-F)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-F)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-F)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0498】
(L1-F)下記(L1-F1)、(L1-F2)または(L1-F3)のアミノ酸配列
(L1-F1)配列番号240(SSDVGVYNY)のアミノ酸配列
(L1-F2)配列番号240のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-F3)配列番号240のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0499】
(L2-F)下記(L2-F1)、(L2-F2)または(L2-F3)のアミノ酸配列
(L2-F1)配列番号241(DVS)のアミノ酸配列
(L2-F2)配列番号241のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-F3)配列番号241のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0500】
(L3-F)下記(L3-F1)、(L3-F2)または(L3-F3)のアミノ酸配列
(L3-F1)配列番号242(AAWDDSLNGVV)のアミノ酸配列
(L3-F2)配列番号242のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-F3)配列番号242のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0501】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0502】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0503】
前記組合せ(LF)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LF)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-F)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0504】
(L-F)下記(L-F1)、(L-F2)または(L-F3)のアミノ酸配列
(L-F1)配列番号243のアミノ酸配列
配列番号243:QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGVYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSANTASLTISGLQAEDEADYYCAAWDDSLNGVVFGGGTQLTVL
(L-F2)配列番号243のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-F3)配列番号243のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0505】
前記(L-F1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-F1)、CDRL2の(L2-F1)、およびCDRL3の(L3-F1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-F2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-F1)、CDRL2の(L2-F1)、およびCDRL3の(L3-F1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号243のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-F3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-F1)、CDRL2の(L2-F1)、およびCDRL3の(L3-F1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号243のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0506】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-F1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L16」ともいう。
【0507】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0508】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0509】
(HA)と(LG)との組合せ(組合せ(LG))
組合せ(LG)の抗体等は、例えば、抗体18H-L17群ともいう。前記組合せ(LG)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LG)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-G)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-G)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-G)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0510】
(L1-G)下記(L1-G1)、(L1-G2)または(L1-G3)のアミノ酸配列
(L1-G1)配列番号244(SSNIGNNY)のアミノ酸配列
(L1-G2)配列番号244のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-G3)配列番号244のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0511】
(L2-G)下記(L2-G1)、(L2-G2)または(L2-G3)のアミノ酸配列
(L2-G1)配列番号245(DNV)のアミノ酸配列
(L2-G2)配列番号245のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-G3)配列番号245のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0512】
(L3-G)下記(L3-G1)、(L3-G2)または(L3-G3)のアミノ酸配列
(L3-G1)配列番号246(AAWDDSLSAI)のアミノ酸配列
(L3-G2)配列番号246のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-G3)配列番号246のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0513】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0514】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0515】
前記組合せ(LG)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LG)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-G)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0516】
(L-G)下記(L-G1)、(L-G2)または(L-G3)のアミノ酸配列
(L-G1)配列番号247のアミノ酸配列
配列番号247:QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGSSSNIGNNYVCWYQHLPGTAPKLLIYDNVKRPSGIPDRFSGSKSGTSASLAISGLRSEDEADYYCAAWDDSLSAIFGGGTELTVL
(L-G2)配列番号247のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-G3)配列番号247のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0517】
前記(L-G1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-G1)、CDRL2の(L2-G1)、およびCDRL3の(L3-G1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-G2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-G1)、CDRL2の(L2-G1)、およびCDRL3の(L3-G1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号247のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-G3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-G1)、CDRL2の(L2-G1)、およびCDRL3の(L3-G1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号247のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0518】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-G1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L17」ともいう。
【0519】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0520】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0521】
(HA)と(LH)との組合せ(組合せ(LH))
組合せ(LH)の抗体等は、例えば、抗体18H-L22群ともいう。前記組合せ(LH)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LH)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-H)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-H)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-H)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0522】
(L1-H)下記(L1-H1)、(L1-H2)または(L1-H3)のアミノ酸配列
(L1-H1)配列番号248(SSDVGGYNY)のアミノ酸配列
(L1-H2)配列番号248のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-H3)配列番号248のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0523】
(L2-H)下記(L2-H1)、(L2-H2)または(L2-H3)のアミノ酸配列
(L2-H1)配列番号249(DVS)のアミノ酸配列
(L2-H2)配列番号249のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-H3)配列番号249のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0524】
(L3-H)下記(L3-H1)、(L3-H2)または(L3-H3)のアミノ酸配列
(L3-H1)配列番号250(HSYDSSLSHV)のアミノ酸配列
(L3-H2)配列番号250のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-H3)配列番号250のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0525】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0526】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0527】
前記組合せ(LH)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LH)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-H)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0528】
(L-H)下記(L-H1)、(L-H2)または(L-H3)のアミノ酸配列
(L-H1)配列番号251のアミノ酸配列
配列番号251:QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQSEDEADYYCHSYDSSLSHVFGTGTKVTVL
(L-H2)配列番号251のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-H3)配列番号251のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0529】
前記(L-H1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-H1)、CDRL2の(L2-H1)、およびCDRL3の(L3-H1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-H2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-H1)、CDRL2の(L2-H1)、およびCDRL3の(L3-H1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号251のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-H3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-H1)、CDRL2の(L2-H1)、およびCDRL3の(L3-H1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号251のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0530】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-H1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-L22」ともいう。
【0531】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0532】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0533】
(HA)と(LI)との組合せ(組合せ(LI))
組合せ(LI)の抗体等は、例えば、抗体H1-K4群ともいう。前記組合せ(LI)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LI)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-I)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-I)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-I)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0534】
(L1-I)下記(L1-I1)、(L1-I2)または(L1-I3)のアミノ酸配列
(L1-I1)配列番号252(QSVSSN)のアミノ酸配列
(L1-I2)配列番号252のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-I3)配列番号252のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0535】
(L2-I)下記(L2-I1)、(L2-I2)または(L2-I3)のアミノ酸配列
(L2-I1)配列番号253(GAS)のアミノ酸配列
(L2-I2)配列番号253のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-I3)配列番号253のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0536】
(L3-I)下記(L3-I1)、(L3-I2)または(L3-I3)のアミノ酸配列
(L3-I1)配列番号254(QQYNNWPPLYT)のアミノ酸配列
(L3-I2)配列番号254のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-I3)配列番号254のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0537】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0538】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0539】
前記組合せ(LI)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LI)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-I)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0540】
(L-I)下記(L-I1)、(L-I2)または(L-I3)のアミノ酸配列
(L-I1)配列番号255のアミノ酸配列
配列番号255:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPPLYTFGQGTKLEIK
(L-I2)配列番号255のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-I3)配列番号255のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0541】
前記(L-I1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-I1)、CDRL2の(L2-I1)、およびCDRL3の(L3-I1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-I2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-I1)、CDRL2の(L2-I1)、およびCDRL3の(L3-I1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号255のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-I3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-I1)、CDRL2の(L2-I1)、およびCDRL3の(L3-I1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号255のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0542】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-I1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体H1-K4」ともいう。
【0543】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0544】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0545】
(HA)と(LJ)との組合せ(組合せ(LJ))
組合せ(LJ)の抗体等は、例えば、抗体18H-K5群ともいう。前記組合せ(LJ)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LJ)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-J)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-J)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-J)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0546】
(L1-J)下記(L1-J1)、(L1-J2)または(L1-J3)のアミノ酸配列
(L1-J1)配列番号256(QSVSSY)のアミノ酸配列
(L1-J2)配列番号256のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-J3)配列番号256のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0547】
(L2-J)下記(L2-J1)、(L2-J2)または(L2-J3)のアミノ酸配列
(L2-J1)配列番号257(DAS)のアミノ酸配列
(L2-J2)配列番号257のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-J3)配列番号257のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0548】
(L3-J)下記(L3-J1)、(L3-J2)または(L3-J3)のアミノ酸配列
(L3-J1)配列番号258(QQSYSTLLYT)のアミノ酸配列
(L3-J2)配列番号258のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-J3)配列番号258のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0549】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0550】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0551】
前記組合せ(LJ)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LJ)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-J)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0552】
(L-J)下記(L-J1)、(L-J2)または(L-J3)のアミノ酸配列
(L-J1)配列番号259のアミノ酸配列
配列番号259:EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFATYYCQQSYSTLLYTFGQGTKLEIK
(L-J2)配列番号259のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-J3)配列番号259のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0553】
前記(L-J1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-J1)、CDRL2の(L2-J1)、およびCDRL3の(L3-J1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-J2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-J1)、CDRL2の(L2-J1)、およびCDRL3の(L3-J1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号259のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-J3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-J1)、CDRL2の(L2-J1)、およびCDRL3の(L3-J1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号259のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0554】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-J1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-K5」ともいう。
【0555】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0556】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0557】
(HA)と(LK)との組合せ(組合せ(LK))
組合せ(LK)の抗体等は、例えば、抗体18H-K6群ともいう。前記組合せ(LK)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LK)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-K)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-K)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-K)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0558】
(L1-K)下記(L1-K1)、(L1-K2)または(L1-K3)のアミノ酸配列
(L1-K1)配列番号260(QSVSSY)のアミノ酸配列
(L1-K2)配列番号260のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-K3)配列番号260のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0559】
(L2-K)下記(L2-K1)、(L2-K2)または(L2-K3)のアミノ酸配列
(L2-K1)配列番号261(DAS)のアミノ酸配列
(L2-K2)配列番号261のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-K3)配列番号261のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0560】
(L3-K)下記(L3-K1)、(L3-K2)または(L3-K3)のアミノ酸配列
(L3-K1)配列番号262(QQYDSLPLT)のアミノ酸配列
(L3-K2)配列番号262のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-K3)配列番号262のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0561】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0562】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0563】
前記組合せ(LK)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LK)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-K)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0564】
(L-K)下記(L-K1)、(L-K2)または(L-K3)のアミノ酸配列
(L-K1)配列番号263のアミノ酸配列
配列番号263:EIVLTRSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGISARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDIATYYCQQYDSLPLTFGGGTKLEIK
(L-K2)配列番号263のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-K3)配列番号263のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0565】
前記(L-K1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-K1)、CDRL2の(L2-K1)、およびCDRL3の(L3-K1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-K2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-K1)、CDRL2の(L2-K1)、およびCDRL3の(L3-K1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号263のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-K3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-K1)、CDRL2の(L2-K1)、およびCDRL3の(L3-K1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号263のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0566】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-K1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-K6」ともいう。
【0567】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0568】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0569】
(HA)と(LL)との組合せ(組合せ(LL))
組合せ(LL)の抗体等は、例えば、抗体18H-K9群ともいう。前記組合せ(LL)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LL)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-L)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-L)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-L)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0570】
(L1-L)下記(L1-L1)、(L1-L2)または(L1-L3)のアミノ酸配列
(L1-L1)配列番号264(QTISASS)のアミノ酸配列
(L1-L2)配列番号264のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-L3)配列番号264のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0571】
(L2-L)下記(L2-L1)、(L2-L2)または(L2-L3)のアミノ酸配列
(L2-L1)配列番号265(GAS)のアミノ酸配列
(L2-L2)配列番号265のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-L3)配列番号265のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0572】
(L3-L)下記(L3-L1)、(L3-L2)または(L3-L3)のアミノ酸配列
(L3-L1)配列番号266(QQFNEWPLT)のアミノ酸配列
(L3-L2)配列番号266のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-L3)配列番号266のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0573】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0574】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0575】
前記組合せ(LL)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LL)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-L)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0576】
(L-L)下記(L-L1)、(L-L2)または(L-L3)のアミノ酸配列
(L-L1)配列番号267のアミノ酸配列
配列番号267:EIVLTQSPATLSLSPGERATVSCRPSQTISASSVAWYQQKAGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQFNEWPLTFGGGTKVEIK
(L-L2)配列番号267のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-L3)配列番号267のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0577】
前記(L-L1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-L1)、CDRL2の(L2-L1)、およびCDRL3の(L3-L1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-L2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-L1)、CDRL2の(L2-L1)、およびCDRL3の(L3-L1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号267のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-L3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-L1)、CDRL2の(L2-L1)、およびCDRL3の(L3-L1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号267のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0578】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-L1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-K9」ともいう。
【0579】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0580】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0581】
(HA)と(LM)との組合せ(組合せ(LM))
組合せ(LM)の抗体等は、例えば、抗体18H-K10群ともいう。前記組合せ(LM)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、CDRH1が、前記(H1-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH2が、前記(H2-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRH3が、前記(H3-A)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、前記(LM)の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含み、CDRL1が、下記(L1-M)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL2が、下記(L2-M)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、CDRL3が、下記(L3-M)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
【0582】
(L1-M)下記(L1-M1)、(L1-M2)または(L1-M3)のアミノ酸配列
(L1-M1)配列番号268(QSVSSN)のアミノ酸配列
(L1-M2)配列番号268のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-M3)配列番号268のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0583】
(L2-M)下記(L2-M1)、(L2-M2)または(L2-M3)のアミノ酸配列
(L2-M1)配列番号269(GAS)のアミノ酸配列
(L2-M2)配列番号269のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-M3)配列番号269のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0584】
(L3-M)下記(L3-M1)、(L3-M2)または(L3-M3)のアミノ酸配列
(L3-M1)配列番号270(QQYGSSPDIFT)のアミノ酸配列
(L3-M2)配列番号270のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-M3)配列番号270のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0585】
前記各CDRにおいて、「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0586】
前記各CDRにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0587】
前記組合せ(LM)において、前記(HA)の重鎖可変領域は、例えば、前記(H-A)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。また、前記(LM)の軽鎖可変領域は、例えば、下記(L-M)のアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む。
【0588】
(L-M)下記(L-M1)、(L-M2)または(L-M3)のアミノ酸配列
(L-M1)配列番号271のアミノ酸配列
配列番号271:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKLGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPDIFTFGPGTKVDIK
(L-M2)配列番号271のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L-M3)配列番号271のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
【0589】
前記(L-M1)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-M1)、CDRL2の(L2-M1)、およびCDRL3の(L3-M1)のアミノ酸配列を含む配列である。前記(L-M2)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-M1)、CDRL2の(L2-M1)、およびCDRL3の(L3-M1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号271のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。前記(L-M3)のアミノ酸配列は、例えば、CDRL1の(L1-M1)、CDRL2の(L2-M1)、およびCDRL3の(L3-M1)のアミノ酸配列を含み、且つ、配列番号271のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列であってもよい。
【0590】
本発明の抗体は、例えば、前記重鎖可変領域が、前記(H-A1)であり、前記軽鎖可変領域が、前記(L-M1)であり、この組合せの抗体を、以下、「抗体18H-K10」ともいう。
【0591】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0592】
前記軽鎖可変領域のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0593】
本発明において、前記配列番号216~271のアミノ酸配列は、例えば、ヒト由来のアミノ酸配列である。
【0594】
本発明の抗体等とCD19との結合は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)、フローサイトメトリー等の抗体と抗原との結合検出方法より確認できる。
【0595】
本発明の抗体等は、例えば、標識物質により標識されてもよいし、担体、多孔質体等に固定化されてもよい。前記標識および固定化は、前述の説明を援用できる。
【0596】
本発明の抗体等の製造方法は、特に制限されず、例えば、前述のアミノ酸配列情報に基づいて、遺伝子工学的に製造することができる。具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。なお、本発明は、この例示には限定されない。
【0597】
まず、本発明の抗体等における、前記各領域、前記重鎖、および/または軽鎖のアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むベクターを宿主に導入し、形質転換体を得る。そして、前記形質転換体を培養し、CD19に結合する抗体を含む画分を回収し、得られた回収画分から、前記抗体を単離または精製する。
【0598】
前記ベクターおよび前記ベクターが導入された形質転換体の培養方法は、前述の説明を援用できる。
【0599】
本発明において、前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体である。前記モノクローナル抗体は、例えば、動物への免疫により得られるモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体(完全ヒト抗体ともいう)等があげられる。前記キメラ抗体およびヒト化抗体は、前述の説明を援用できる。
【0600】
本発明の抗体等は、例えば、抗原を動物に免疫することによっても調製できる。前記抗原は、例えば、CD19タンパク質があげられる。前記抗原は、複数回免疫することが好ましい。前記ペプチド断片は、例えば、抗原決定基(エピトープ)のみからなるペプチド断片でもよいし、前記抗原決定基を含むペプチド断片でもよい。前記モノクローナル抗体の製造方法は、前述の説明を援用できる。
【0601】
本発明の第2の抗体等において、前記(L)の軽鎖可変領域は、下記(L)の軽鎖可変領域であってもよい。
【0602】
(L)軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである軽鎖可変領域;
(L1)下記(L1-1)、(L1-2)または(L1-3)のアミノ酸配列
(L1-1)下記条件(L1)~(L3)および(L4)のCDRL1のいずれかのアミノ酸配列
(L1-2)(L1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-3)(L1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L2)下記(L2-1)、(L2-2)または(L2-3)のアミノ酸配列
(L2-1)下記条件(L1)~(L3)および(L4)のCDRL2のいずれかのアミノ酸配列
(L2-2)(L2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-3)(L2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
(L3)下記(L3-1)、(L3-2)または(L3-3)のアミノ酸配列
(L3-1)下記条件(L1)~(L3)および(L4)のCDRL3のいずれかのアミノ酸配列
(L3-2)(L3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-3)(L3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列;
条件(L1)
CDRL1は、KLGDKY(配列番号220)であり、
CDRL2は、QDS(配列番号221)であり、
CDRL3は、QAWDSSTHV(配列番号222)である;
条件(L2)
CDRL1は、WSNIGDDH(配列番号228)であり、
CDRL2は、DTS(配列番号229)であり、
CDRL3は、GTWESSLSGVV(配列番号230)である;
条件(L3)
CDRL1は、X1SX2X3GX4X5NY(配列番号317)であり、
CDRL2は、DX6X7(配列番号318)であり、
CDRL3は、X8X9X10X11X12SX13X14X15X16X17(配列番号319)であり、
X1は、SまたはTであり、
X2は、DまたはNであり、
X3は、V、I、L、またはAであり、
X4は、G、T、V、またはNであり、
X5は、存在しないか、Y、T、またはSであり、
X6は、VまたはNであり、
X7は、S、I、またはVであり、
X8は、存在しないか、G、A、またはHであり、
X9は、T、S、またはAであり、
X10は、W、Y、またはFであり、
X11は、AまたはDであり、
X12は、T、G、D、またはSであり、
X13は、LまたはYであり、
X14は、T、N、またはSであり、
X15は、A、F、G、またはHであり、
X15は、VまたはIであり、
X17は、存在しないか、Vである;
条件(L4)
CDRL1は、QX1X2SX3SX4(配列番号320)であり、
CDRL2は、GAS(配列番号253)またはDAS(配列番号257)であり、
CDRL3は、QQX5X6X7X8X9X10X11LX12T(配列番号321)であり、
X1は、S、T、N、またはQであり、
X2は、V、I、L、またはAであり、
X3は、存在しないか、A、I、V、L、またはGであり、
X4は、N、Y、またはSであり、
X5は、存在しないか、Sであり、
X6は、Y、F、またはWであり、
X7は、N、S、D、またはGであり、
X8は、N、T、S、またはEであり、
X9は、W、L、またはSであり、
X10は、存在しないか、Pであり、
X11は、存在しないか、PまたはDであり、
X12は、存在しないか、Y、F、またはWである。
【0603】
前記(L)の軽鎖可変領域において、(L1-1)、(L2-1)、および(L3-1)は、条件(L1)~(L4)において同一の条件または異なる条件を満たすが、同一の条件を満たすことが好ましい。
【0604】
条件(L3)において、X3は、VまたはIが好ましい。X5は、存在しないか、YまたはTが好ましい。X10は、WまたはYが好ましい。
【0605】
条件(L4)において、X1は、SまたはTが好ましい。X2は、VまたはIが好ましい。X6は、YまたはFが好ましい。X12は、存在しないか、YまたはFが好ましい。
【0606】
前記条件(L1)を満たす軽鎖可変領域としては、例えば、前記(LA)の軽鎖可変領域があげられる。
【0607】
前記条件(L2)を満たす軽鎖可変領域としては、例えば、前記(LC)の軽鎖可変領域があげられる。
【0608】
前記条件(L3)を満たす軽鎖可変領域としては、例えば、前記(LB)、(LE)、(LF)、(LG)、および(LH)の軽鎖可変領域があげられる。
【0609】
前記条件(L4)を満たす軽鎖可変領域としては、例えば、前記(LI)、(LJ)、(LK)、(LL)、および(LM)の軽鎖可変領域があげられる。
【0610】
<遺伝子、発現ベクターおよび形質転換体>
本発明のコード遺伝子は、HLA-A*02:01およびNY-ESO-1157-165の複合体に対する抗体もしくはその抗原結合断片またはCD19に対する抗体もしくはその抗原結合断片(以下、あわせて「本発明の抗体またはその抗原結合断片」または「本発明の抗体等」ともいう)のコード遺伝子であり、前記本発明の第1の抗体もしくは抗原結合断片のアミノ酸配列または前記本発明の第2の抗体もしくは抗原結合断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含む。
【0611】
本発明のコード遺伝子を発現させることによって、前述した本発明の抗体等を得ることができる。本発明のコード遺伝子の配列は、特に制限されず、前記本発明の抗体等のアミノ酸配列をコードする配列であればよく、センス配列でもアンチセンス配列でもよい。
【0612】
本発明の発現ベクターは、A2/NY-ESO-1157に対する抗体もしくはその抗原結合断片またはCD19に対する抗体もしくはその抗原結合断片の発現ベクターであり、前記本発明のコード遺伝子を含む。前記発現ベクターにおいて、前記コード遺伝子は、例えば、前記本発明の抗体またはその抗原結合断片を発現可能に、前記連結用ベクターに連結されている。本発明の発現ベクターは、前記本発明の抗体等を発現できればよく、その他の構成は特に制限されない。
【0613】
本発明の発現ベクターは、例えば、前記重鎖可変領域をコードする核酸配列と前記軽鎖可変領域をコードする核酸配列とを含む発現ベクターでもよいし、前記重鎖可変領域をコードする核酸配列を含む発現ベクターと、前記軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む発現ベクターとのセットでもよい。本発明の発現ベクターは、例えば、前記本発明のコード遺伝子を、連結用ベクターに連結することで調製できる。前記連結ベクターは、例えば、前記本発明のCARライブラリにおける発現ベクターの説明を援用できる。前記コード遺伝子を連結する前記連結用ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、pUC、pMX等があげられる。前記連結用ベクターは、例えば、前記発現ベクターを導入する宿主に応じて、適宜設定することもできる。前記宿主は、特に制限されず、例えば、CHO細胞等の哺乳類細胞等があげられる。
【0614】
本発明の形質転換体は、本発明の抗体等を発現する形質転換体であり、宿主と、前記本発明のコード遺伝子を含む。本発明の形質転換体は、前記本発明のコード遺伝子を発現可能に有していればよい。前記形質転換体は、例えば、前記本発明の発現ベクターを有することが好ましい。前記発現ベクターを前記宿主に導入する方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
【0615】
本発明の遺伝子、発現ベクターおよび形質転換体は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、本発明の第2の抗体等の説明を援用できる。
【0616】
<第1のキメラ抗原受容体>
本発明の第1のキメラ抗原受容体(CAR)は、前述のように、抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、前記抗原結合ドメインは、前記本発明の抗体またはその抗原結合断片を含む。本発明の第1のCARは、前記抗原結合ドメインが、前記本発明の第1の抗体等を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の第1のCARは、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクターおよび形質転換体の説明を援用できる。本発明の第1のCARは、例えば、A2/NY-ESO-1157発現がん細胞に対するCAR-T細胞のCARとして好適に使用できる。
【0617】
前記抗原結合ドメインは、例えば、前記本発明の第1の抗体でもよいし、前記本発明の第1の抗体の抗原結合断片でもよい。前記抗原結合断片は、一本鎖抗体(scFv)が好ましい。前記抗原結合ドメインがscFvの場合、前記抗原結合ドメインにおいて、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域は、C末端またはN末端からこの順序で配置される。
【0618】
前記抗原結合ドメインは、具体例として、例えば、下記(BD)のポリペプチドがあげられる。
(BD)下記(BD1)、(BD2)または(BD3)のポリペプチド
(BD1)配列番号98~117のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチド
(BD2)配列番号98~117いずれかのアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチド
(BD3)配列番号98~117のいずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチド
【0619】
前記(BD1)のポリペプチドにおいて、前記配列番号98~117のアミノ酸配列は、例えば、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列である。前記配列番号98~117のアミノ酸配列における重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、例えば、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列を参照できる。前記(BD2)および(BD3)のポリペプチドにおいて、前記配列番号98~117のアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列は、例えば、保存されている。前記配列番号98~117のアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列は、例えば、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
【0620】
H1-3M4E5Lの抗原結合ドメイン(配列番号98)
QVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGQSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVL
【0621】
K52-H1の抗原結合ドメイン(配列番号99)
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYSTPQTFGPGTKVDIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0622】
K73-H1の抗原結合ドメイン(配列番号100)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKAGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDVATYYCQQYESYRRSFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0623】
K121-H1の抗原結合ドメイン(配列番号101)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0624】
K124-H1の抗原結合ドメイン(配列番号102)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0625】
K125-H1の抗原結合ドメイン(配列番号103)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYSPCTFGPGTKVDIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0626】
K131-H1の抗原結合ドメイン(配列番号104)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQDISRYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYDNLITFGQGTRLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0627】
K145-H1の抗原結合ドメイン(配列番号105)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQDISRYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0628】
K151-H1の抗原結合ドメイン(配列番号106)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYDNLITFGQGTRLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0629】
K160-H1の抗原結合ドメイン(配列番号107)
EIVLTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISRLEPEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0630】
K173-H1の抗原結合ドメイン(配列番号108)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKAGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDVATYYCQQYESYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0631】
L1-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号109)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYDFVSWYQQHPGEAPKLLVYDVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEGDYYCSSYAGSNSVFGTGTKVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0632】
3M4E5H-L1の抗原結合ドメイン(配列番号110)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGQSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYDFVSWYQQHPGEAPKLLVYDVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEGDYYCSSYAGSNSVFGTGTKVTVL
【0633】
L66-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号111)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYEFVSWYQQHPGSAPKLIIYDVIERPFGVSYRFSASKSGNTASLTISGLQGEDEADYFCSSYTSSSTYVFGTGTKVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0634】
L73-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号112)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTGSDVGAYDYVSWYQHHPGRAPRLIIRDVSVRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYSGSSTWVFGGGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0635】
L80-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号113)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGSYNLVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSYRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTFAVFGGGTQLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0636】
L88-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号114)
QSALPQPASVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTVSGLQAEDEADYFCCSYAGGYYVFGTGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0637】
L102-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号115)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQTEDEADYYCSSYAGSGSTPFVFGTGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0638】
L124-3M4E5Hの抗原結合ドメイン(配列番号116)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSRVPDRFAGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCCSYAGRRYVFGTGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0639】
H73-3M4E5Lの抗原結合ドメイン(配列番号117)
QLQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARCPIYYYGMDVWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGQSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVL
【0640】
前記(BD1)のポリペプチドにおいて、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列の順序は、逆の順序でもよい。具体例として、前記(BD1)のポリペプチドは、配列番号98~117のアミノ酸配列において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を交換したアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよい。
【0641】
前記(BD2)のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0642】
前記(BD3)のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0643】
前記膜貫通ドメインおよび前記細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、それぞれ、前記本発明のCARライブラリの第1の膜貫通ドメインおよび第1の細胞内シグナル伝達ドメインの説明を援用できる。
【0644】
本発明の第1のCARは、具体例として、例えば、下記(C)のポリペプチドがあげられる。
(C)下記(C1)、(C2)または(C3)のポリペプチド
(C1)配列番号118~137のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチド
(C2)配列番号118~137のいずれかのアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチド
(C3)配列番号118~137のいずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチド
【0645】
H1-3M4E5L CAR(配列番号118)
QVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGQSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVLAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0646】
K52-H1 CAR(配列番号119)
DIQMTQSPSAMSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYYSTPQTFGPGTKVDIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0647】
K73-H1 CAR(配列番号120)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKAGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDVATYYCQQYESYRRSFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0648】
K121-H1 CAR(配列番号121)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0649】
K124-H1 CAR(配列番号122)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0650】
K125-H1 CAR(配列番号123)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNSYSPCTFGPGTKVDIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0651】
K131-H1 CAR(配列番号124)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQDISRYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYDNLITFGQGTRLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0652】
K145-H1 CAR(配列番号125)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVSITCRASQDISRYLNWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0653】
K151-H1 CAR(配列番号126)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTITSLQPDDFATYYCQQYDNLITFGQGTRLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0654】
K160-H1 CAR(配列番号127)
EIVLTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISRLEPEDFATYYCQQYNSYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0655】
K173-H1 CAR(配列番号128)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKAGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISCLQSEDVATYYCQQYESYSRTFGQGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0656】
L1-3M4E5H CAR(配列番号129)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYDFVSWYQQHPGEAPKLLVYDVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEGDYYCSSYAGSNSVFGTGTKVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0657】
3M4E5H-L1 CAR(配列番号130)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSQSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYDFVSWYQQHPGEAPKLLVYDVNNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEGDYYCSSYAGSNSVFGTGTKVTVLAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0658】
L66-3M4E5H CAR(配列番号131)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYEFVSWYQQHPGSAPKLIIYDVIERPFGVSYRFSASKSGNTASLTISGLQGEDEADYFCSSYTSSSTYVFGTGTKVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0659】
L73-3M4E5H CAR(配列番号132)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTGSDVGAYDYVSWYQHHPGRAPRLIIRDVSVRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYSGSSTWVFGGGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0660】
L80-3M4E5H CAR(配列番号133)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGSYNLVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSYRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTSSSTFAVFGGGTQLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0661】
L88-3M4E5H CAR(配列番号134)
QSALPQPASVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTVSGLQAEDEADYFCCSYAGGYYVFGTGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0662】
L102-3M4E5H CAR(配列番号135)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQTEDEADYYCSSYAGSGSTPFVFGTGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0663】
L124-3M4E5H CAR(配列番号136)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSRVPDRFAGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCCSYAGRRYVFGTGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0664】
H73-3M4E5L CAR(配列番号137)
QLQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSYYWSWIRQPPGKGLEWIGEINHSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARCPIYYYGMDVWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGQSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVLAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0665】
前記(C1)のポリペプチドにおいて、前記配列番号118~137のアミノ酸配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列である。前記(C2)および(C3)のポリペプチドにおいて、前記配列番号118~137のアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列は、例えば、保存されている。前記配列番号118~137のアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列を参照できる。
【0666】
前記(C2)のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0667】
前記(C3)のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0668】
本発明の第1のCARの製造方法は、特に制限されず、例えば、前述のアミノ酸配列情報に基づいて、遺伝子工学的に製造することができる。具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。なお、本発明は、この例示には限定されない。
【0669】
まず、本発明の第1のCARをコードする核酸を含む発現ベクターを宿主に導入し、形質転換体を得る。そして、前記形質転換体を培養し、前記第1のCARを発現する形質転換体を得る。
【0670】
前記発現ベクターは、例えば、前記第1のCARをコードする核酸を含むベクター等があげられ、例えば、前述の発現ベクターの説明を援用できる。前記宿主は、特に制限されず、例えば、前述の宿主の説明を援用できる。
【0671】
<第2のキメラ抗原受容体>
本発明の第2のキメラ抗原受容体(CAR)は、前述のように、抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、前記抗原結合ドメインは、前記本発明の抗体またはその抗原結合断片を含む。本発明の第2のCARは、前記抗原結合ドメインが、前記本発明の第2の抗体等を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の第2のCARは、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクターおよび形質転換体の説明を援用できる。本発明の第2のCARは、例えば、CD19発現がん細胞に対するCAR-T細胞のCARとして好適に使用できる。
【0672】
前記抗原結合ドメインは、例えば、前記本発明の第2の抗体でもよいし、前記本発明の第2の抗体の抗原結合断片でもよい。前記抗原結合断片は、一本鎖抗体(scFv)が好ましい。前記抗原結合ドメインがscFvの場合、前記抗原結合ドメインにおいて、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域は、C末端またはN末端からこの順序で配置される。
【0673】
前記抗原結合ドメインは、具体例として、例えば、下記(bd)のポリペプチドがあげられる。
(bd)下記(bd1)、(bd2)または(bd3)のポリペプチド
(bd1)配列番号272~284のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチド
(bd2)配列番号272~284のいずれかのアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、CD19に結合するポリペプチド
(bd3)配列番号272~284のいずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、CD19に結合するポリペプチド
【0674】
前記(bd1)のポリペプチドにおいて、前記配列番号272~284のアミノ酸配列は、例えば、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列である。前記配列番号272~284のアミノ酸配列における重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、例えば、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列を参照できる。前記(bd2)および(bd3)のポリペプチドにおいて、前記配列番号272~284のアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列は、例えば、保存されている。前記配列番号272~284のアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列は、例えば、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
【0675】
L4-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号272)
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYACWYQQKPGQSPVLVIYQDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTHVVFGGGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0676】
L7-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号273)
QSALTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQTGDEADYYCGTWDTSLTAVVFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0677】
L9-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号274)
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSWSNIGDDHVSWYQQFPGAAPKLLIYDTSKRPSRVADRFSGSKSGASATLAITGLQAGDEADYYCGTWESSLSGVVFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0678】
L13-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号275)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGLSSDVGGYDYVSWYQQHPGIAPKLMIYDVTNRPSGVSSRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTTSTTWVFGAGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0679】
L14-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号276)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTTSDVGTTNYVSWYQQHPGKAPKLLIYDVTNRPSGVPDRFSGSKSANTASLTISGLQAEDEADYYCCSYAGSYTFVVFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0680】
L16-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号277)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGVYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSANTASLTISGLQAEDEADYYCAAWDDSLNGVVFGGGTQLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0681】
L17-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号278)
QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGSSSNIGNNYVCWYQHLPGTAPKLLIYDNVKRPSGIPDRFSGSKSGTSASLAISGLRSEDEADYYCAAWDDSLSAIFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0682】
L22-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号279)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQSEDEADYYCHSYDSSLSHVFGTGTKVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0683】
K4-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号280)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPPLYTFGQGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0684】
K5-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号281)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFATYYCQQSYSTLLYTFGQGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0685】
K6-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号282)
EIVLTRSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGISARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDIATYYCQQYDSLPLTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0686】
K9-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号283)
EIVLTQSPATLSLSPGERATVSCRPSQTISASSVAWYQQKAGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQFNEWPLTFGGGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0687】
K10-18Hの抗原結合ドメイン(配列番号284)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKLGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPDIFTFGPGTKVDIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【0688】
前記(bd1)のポリペプチドにおいて、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列の順序は、逆の順序でもよい。具体例として、前記(BD1)のポリペプチドは、配列番号272~284のアミノ酸配列において、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を交換したアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよい。
【0689】
前記(bd2)のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0690】
前記(bd3)のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0691】
前記膜貫通ドメインおよび前記細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、それぞれ、前記本発明のCARライブラリの第1の膜貫通ドメインおよび第1の細胞内シグナル伝達ドメインの説明を援用できる。
【0692】
本発明の第2のCARは、具体例として、例えば、下記(CA)のポリペプチドがあげられる。
(CA)下記(CA1)、(CA2)または(CA3)のポリペプチド
(CA1)配列番号285~297のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチド
(CA2)配列番号285~297のいずれかのアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、CD19に結合するポリペプチド
(CA3)配列番号285~297のいずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、CD19に結合するポリペプチド
【0693】
L4-18H CAR(配列番号285)
SYELTQPPSVSVSPGQTASITCSGDKLGDKYACWYQQKPGQSPVLVIYQDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQAMDEADYYCQAWDSSTHVVFGGGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0694】
L7-18H CAR(配列番号286)
QSALTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQTGDEADYYCGTWDTSLTAVVFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0695】
L9-18H CAR(配列番号287)
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSWSNIGDDHVSWYQQFPGAAPKLLIYDTSKRPSRVADRFSGSKSGASATLAITGLQAGDEADYYCGTWESSLSGVVFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0696】
L13-18H CAR(配列番号288)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGLSSDVGGYDYVSWYQQHPGIAPKLMIYDVTNRPSGVSSRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCSSYTTSTTWVFGAGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0697】
L14-18H CAR(配列番号289)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTTSDVGTTNYVSWYQQHPGKAPKLLIYDVTNRPSGVPDRFSGSKSANTASLTISGLQAEDEADYYCCSYAGSYTFVVFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0698】
L16-18H CAR(配列番号290)
QSALTQPPSASGSPGQSVTISCTGTSSDVGVYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSANTASLTISGLQAEDEADYYCAAWDDSLNGVVFGGGTQLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0699】
L17-18H CAR(配列番号291)
QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGSSSNIGNNYVCWYQHLPGTAPKLLIYDNVKRPSGIPDRFSGSKSGTSASLAISGLRSEDEADYYCAAWDDSLSAIFGGGTELTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0700】
L22-18H CAR(配列番号292)
QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSSDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQSEDEADYYCHSYDSSLSHVFGTGTKVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0701】
K4-18H CAR(配列番号293)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPPLYTFGQGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0702】
K5-18H CAR(配列番号294)
EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFATYYCQQSYSTLLYTFGQGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0703】
K6-18H CAR(配列番号295)
EIVLTRSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGISARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDIATYYCQQYDSLPLTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0704】
K9-18H CAR(配列番号296)
EIVLTQSPATLSLSPGERATVSCRPSQTISASSVAWYQQKAGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQFNEWPLTFGGGTKVEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0705】
K10-18H CAR(配列番号297)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKLGQAPRLLIYGASSRATGIPDRFSGSGSGTDFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYGSSPDIFTFGPGTKVDIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0706】
前記(CA1)のポリペプチドにおいて、前記配列番号285~297のアミノ酸配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列である。前記(CA2)および(CA3)のポリペプチドにおいて、前記配列番号285~297のアミノ酸配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列は、例えば、保存されている。前記配列番号285~297のアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列を参照できる。
【0707】
前記(CA2)のポリペプチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0708】
前記(CA3)のポリペプチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~20個、1~15個、1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0709】
本発明の第2のCARの製造方法は、特に制限されず、例えば、前述のアミノ酸配列情報に基づいて、遺伝子工学的に製造することができる。具体的には、例えば、以下のようにして行うことができる。なお、本発明は、この例示には限定されない。
【0710】
まず、本発明の第2のCARをコードする核酸を含む発現ベクターを宿主に導入し、形質転換体を得る。そして、前記形質転換体を培養し、前記第2のCARを発現する形質転換体を得る。
【0711】
前記発現ベクターは、例えば、前記第2のCARをコードする核酸を含むベクター等があげられ、例えば、前述の発現ベクターの説明を援用できる。前記宿主は、特に制限されず、例えば、前述の宿主の説明を援用できる。
【0712】
<核酸>
本発明の核酸は、前述のように、前記本発明のキメラ抗原受容体をコードする。本発明の核酸は、前記本発明の第1のキメラ抗原受容体または第2のキメラ抗原受容体(以下、あわせて「本発明のキメラ抗原受容体」ともいう)をコードすることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の核酸によれば、例えば、細胞に本発明のCARを発現させることができる。本発明の核酸は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第1の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体第2のキメラ抗原受容体の説明を援用できる。
【0713】
本発明の核酸は、例えば、前記本発明のCARのアミノ酸配列に基づき、常法により調製できる。具体例として、前記本発明のCARをコードする核酸は、例えば、前述の各ドメインのアミノ酸配列が登録されたデータベースにおいて、前記アミノ酸配列をコードする塩基配列を取得し、前記塩基配列に基づき、分子生物学的手法および/または化学的合成方法により調製できる。前記核酸の塩基配列は、例えば、本発明のCARを発現させる細胞の由来に応じて、コドン最適化してもよい。
【0714】
本発明の核酸は、具体例として、例えば、下記(c)のポリヌクレオチドがあげられる。
(c)下記(c1)、(c2)、(c3)、(c4)、(c5)、または(c6)のポリヌクレオチド(核酸)
(c1)配列番号118~137のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c2)配列番号118~137のいずれかのアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c3)配列番号118~137いずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c4)配列番号138~157のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(c5)配列番号138~157のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(c6)配列番号138~157のいずれかの塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、A2/NY-ESO-1157に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
【0715】
前記(c1)~(c3)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記(C1)~(C3)のポリペプチドをコードする核酸であり、前記(C1)~(C3)のポリペプチドの説明を援用できる。
【0716】
前記(c4)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号138~157の塩基配列は、例えば、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。前記(c5)および(c6)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号138~157の塩基配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、例えば、保存されている。前記配列番号138~157の塩基配列における各CDRのアミノ酸配列をコードする塩基配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の第1の抗体等における組合せ(1)~(18)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
【0717】
前記(c5)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0718】
前記(c6)のポリヌクレオチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~280個、1~210個、1~140個、1~70個、1~63個、1~56個、1~49個、1~35個、1~28個、1~21個、1~14個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0719】
H1-3M4E5L CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号138)
5'-CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGAGCGAGCTGACACAGCCTAGATCCGTGTCTGGCAGCCCTGGCCAGAGCGTGACCATCAGCTGTACCGGCACCAGCAGAGATGTGGGCGGCTACAACTACGTGTCCTGGTATCAGCAGCATCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGATCATCCACGACGTGATCGAGCGGAGCAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCAGCAAGAGCGGCAACACCGCCAGCCTGACAATCAGCGGACTGCAGGCCGAGGACGAGGCCGACTACTACTGTTGGAGCTTCGCCGGCAGCTACTACGTGTTCGGCACCGGCACCGATGTGACCGTGCTGGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0720】
K52-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号139)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCTGCCATGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTACTATTGTCAGCAATATTATAGTACTCCTCAAACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0721】
K73-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号140)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAAGCAGGGAAAGCCCCTAAGCTTCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCTGCCTGCAGTCTGAAGATGTTGCAACCTATTACTGCCAACAGTATGAAAGTTATCGAAGGTCGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0722】
K121-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号141)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCTGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATAATAGTTATTCCCGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0723】
K124-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号142)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCATCCAGATTGGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCTGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATAATAGTTATTCCCGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0724】
K125-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号143)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGCTCTATGCTGCATCCAGATTGGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATAATAGTTATTCTCCGTGCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0725】
K131-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号144)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGGGACAGAGTCTCCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGACATTAGCAGGTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGCTCTATGCTGCATCCAGATTGGAAAGTGGGGTCCCATCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCACCAGCCTGCAGCCTGATGACTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATGATAATCTGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGACTGGAGATTAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0726】
K145-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号145)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGGGACAGAGTCTCCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGACATTAGCAGGTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGCTCTATGCTGCATCCAGATTGGAAAGTGGGGTCCCATCCAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCACCAGCCTGCAGCCTGATGACTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATAATAGTTATTCCCGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0727】
K151-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号146)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGGGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCACCAGCCTGCAGCCTGATGACTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATGATAATCTGATCACCTTCGGCCAAGGGACACGACTGGAGATTAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0728】
K160-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号147)
5'-GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAACCTATTACTGCCAACAGTATAATAGTTATTCCCGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0729】
K173-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号148)
5'-GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAAGCAGGGAAAGCCCCTAAGCTTCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCTGCCTGCAGTCTGAAGATGTTGCAACCTATTACTGCCAACAGTATGAAAGTTATTCCCGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0730】
L1-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号149)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTCCCTCCGCGTCCGGGTCTCCTGGACAGTCAGTCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATGACTTTGTCTCCTGGTACCAACAGCACCCAGGCGAAGCCCCCAAACTCCTCGTTTATGATGTCAATAACCGGCCCTCAGGGGTTTCTAATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGGTGACTATTACTGCAGCTCATATGCAGGCAGCAACAGCGTCTTCGGAACTGGGACCAAGGTCACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0731】
3M4E5H-L1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号150)
5'-GAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGTCTGCCCTGACTCAGCCTCCCTCCGCGTCCGGGTCTCCTGGACAGTCAGTCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATGACTTTGTCTCCTGGTACCAACAGCACCCAGGCGAAGCCCCCAAACTCCTCGTTTATGATGTCAATAACCGGCCCTCAGGGGTTTCTAATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGGTGACTATTACTGCAGCTCATATGCAGGCAGCAACAGCGTCTTCGGAACTGGGACCAAGGTCACCGTCCTAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0732】
L66-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号151)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGGACCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATGAATTTGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCAGCGCCCCCAAACTCATTATTTATGACGTAATAGAGCGTCCCTTCGGTGTCTCCTATCGGTTCTCTGCCTCCAAGTCAGGCAACACGGCCTCCCTGACGATCTCTGGGCTCCAGGGTGAAGACGAGGCTGATTACTTCTGCAGCTCATATACAAGCAGCAGCACTTATGTCTTCGGAACTGGGACCAAGGTCACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0733】
L73-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号152)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAACCGGCAGTGACGTTGGTGCTTATGACTATGTCTCCTGGTACCAACATCACCCAGGCAGAGCCCCCAGACTCATCATTCGTGATGTCAGTGTGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGCTCCTCATATTCAGGCAGCAGCACTTGGGTGTTCGGCGGGGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0734】
L80-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号153)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGATGTTGGGAGTTATAACCTTGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAATCGGCCCTCAGGGGTTTCTTATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGCAGCTCATATACAAGCAGCAGCACTTTCGCGGTGTTCGGCGGAGGGACCCAGCTGACCGTCCTCGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0735】
L88-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号154)
5'-CAATCTGCCCTGCCTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCAGTCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGATGTTGGTGGTTATAACTATGTCTCCTGGTACCAACAGCACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAAGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGATCGCTTCTCTGGTTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCGTCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTTCTGCTGTTCGTATGCAGGCGGCTATTATGTCTTCGGAACTGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0736】
L102-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号155)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTCCCTCCGCGTCCGGGTCTCCTGGACAGTCAGTCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATAACTATGTCTCCTGGTACCAACAGCACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAAGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGACTGAGGACGAGGCTGATTACTATTGCAGCTCATATGCAGGCAGCGGCAGCACCCCCTTTGTCTTCGGAACTGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0737】
L124-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号156)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATAACTATGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAATCGGCCCTCAAGGGTCCCTGATCGCTTCGCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAAGACGAGGCTGATTATTACTGCTGCTCATATGCCGGCAGACGTTATGTGTTCGGAACTGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0738】
H73-3M4E5L CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号157)
5'-CAGCTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCACAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTTACTACTGGAGCTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGGAAATCAATCATAGTGGAAGCACCAACTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTGCCCTATCTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGAGCGAGCTGACACAGCCTAGATCCGTGTCTGGCAGCCCTGGCCAGAGCGTGACCATCAGCTGTACCGGCACCAGCAGAGATGTGGGCGGCTACAACTACGTGTCCTGGTATCAGCAGCATCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGATCATCCACGACGTGATCGAGCGGAGCAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCAGCAAGAGCGGCAACACCGCCAGCCTGACAATCAGCGGACTGCAGGCCGAGGACGAGGCCGACTACTACTGTTGGAGCTTCGCCGGCAGCTACTACGTGTTCGGCACCGGCACCGATGTGACCGTGCTGGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0739】
本発明の核酸は、他の具体例として、例えば、下記(ca)のポリヌクレオチドがあげられる。
(ca)下記(ca1)、(ca2)、(ca3)、(ca4)、(ca5)、または(ca6)のポリヌクレオチド(核酸)
(ca1)配列番号272~284のいずれかのアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(ca2)配列番号272~284のいずれかのアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、CD19に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(ca3)配列番号272~284のいずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、CD19に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(ca4)配列番号298~310のいずれかの塩基配列からなるポリヌクレオチド
(ca5)配列番号298~310のいずれかの塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、CD19に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
(ca6)配列番号298~310のいずれかの塩基配列において、1個または数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、CD19に結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
【0740】
前記(ca1)~(ca3)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記(CA1)~(CA3)のポリペプチドをコードする核酸であり、前記(CA1)~(CA3)のポリペプチドの説明を援用できる。
【0741】
前記(ca4)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号298~310の塩基配列は、例えば、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。前記(ca5)および(ca6)のポリヌクレオチドにおいて、前記配列番号298~310の塩基配列のCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3に対応するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドは、例えば、保存されている。前記配列番号298~310の塩基配列における各CDRのアミノ酸配列をコードする塩基配列は、例えば、それぞれ、前記本発明の第2の抗体等における組合せ(LA)~(LM)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むアミノ酸配列における各CDRのアミノ酸配列を参照できる。
【0742】
前記(ca5)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、それぞれ、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0743】
前記(ca6)のポリヌクレオチドにおいて、置換等に関する「1個または数個」は、それぞれ、例えば、1~280個、1~210個、1~140個、1~70個、1~63個、1~56個、1~49個、1~35個、1~28個、1~21個、1~14個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0744】
L4-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号298)
5'-TCCTATGAGCTGACTCAGCCACCCTCAGTGTCCGTGTCTCCAGGACAGACAGCCAGCATCACCTGCTCTGGAGATAAATTGGGGGATAAATATGCTTGCTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCCAGTCCCCTGTGCTGGTCATCTATCAAGATAGCAAGCGGCCCTCAGGGATCCCTGAGCGATTCTCTGGCTCCAACTCTGGGAACACAGCCACTCTGACCATCAGCGGGACCCAGGCTATGGATGAGGCTGACTATTACTGTCAGGCGTGGGACAGCAGCACACATGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0745】
L7-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号299)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTCGCTCAGTGTCCGGGTCTCCTGGACAGTCAGTCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGATGTTGGTGGTTATAACTATGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAATCGGCCCTCAGGGGTTTCTAATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGACTGGGGACGAGGCCGATTATTACTGCGGAACATGGGATACCAGCCTGACTGCTGTGGTATTCGGCGGAGGGACCGAGCTGACCGTCCTCGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0746】
L9-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号300)
5'-CAGTCTGTGTTGACGCAGCCGCCCTCAGTGTCTGCGGCCCCAGGACAGAAGGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCTGGTCCAACATTGGAGATGATCATGTCTCCTGGTACCAGCAGTTCCCAGGAGCAGCCCCCAAACTCCTCATTTATGACACTTCTAAGCGACCCTCACGCGTTGCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCGCGTCAGCCACCCTGGCCATCACTGGACTCCAGGCTGGGGACGAGGCCGACTATTATTGCGGAACATGGGAAAGCAGCCTGAGTGGTGTGGTTTTCGGCGGAGGGACCGAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0747】
L13-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号301)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGACTCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATGACTATGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCATAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCACTAATCGGCCCTCAGGGGTTTCTAGTCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGCAGCTCATATACAACCAGCACGACTTGGGTCTTCGGAGCTGGGACCAAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0748】
L14-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号302)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAACCACCAGTGACGTTGGTACTACTAATTATGTCTCCTGGTACCAGCAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCCTAATTTATGATGTCACTAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGCCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTACTGCTGCTCATATGCAGGCAGCTACACCTTCGTGGTATTCGGCGGAGGGACCGAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0749】
L16-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号303)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTCCCTCCGCGTCCGGGTCTCCTGGACAGTCAGTCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGACGTTGGTGTTTATAACTATGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAAGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGCCAACACGGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGTGCAGCATGGGATGACAGCCTGAATGGTGTGGTATTCGGCGGAGGCACCCAGCTGACCGTCCTCGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0750】
L17-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号304)
5'-CAGTCTGTACTGACTCAACCACCCTCAGCGTCTGGGACCCCCGGGCAGAGGGTCACCATCTCTTGCTCTGGCAGCAGCTCCAACATCGGAAATAATTATGTATGCTGGTACCAACACCTCCCAGGAACGGCCCCCAAACTTCTCATTTATGACAATGTTAAGCGACCCTCAGGGATTCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACGTCAGCCTCCCTGGCCATCAGTGGGCTCCGGTCCGAGGATGAGGCTGATTATTACTGTGCAGCATGGGATGACAGCCTGAGTGCCATATTCGGCGGAGGGACCGAGCTGACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0751】
L22-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号305)
5'-CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATCACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCAGTGACGTTGGTGGTTATAACTATGTCTCCTGGTACCAACAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAGTAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGATCGCTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCAGTGGGCTCCAGTCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCACTCCTATGACAGCAGCCTGAGTCATGTCTTCGGAACTGGGACCAAGGTCACCGTCCTAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0752】
K4-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号306)
5'-GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCTCCCTTGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0753】
K5-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号307)
5'-GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAACTTACTACTGTCAACAGAGTTACAGTACCCTTTTGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0754】
K6-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号308)
5'-GAAATTGTGTTGACACGGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCCTCCAACAGGGCCACTGGTATTTCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAGTATGATAGTCTCCCACTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGGAGATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0755】
K9-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号309)
5'-GAAATAGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCGTCTCCTGTAGGCCCAGTCAGACCATTAGTGCCAGTTCCGTAGCCTGGTATCAGCAGAAAGCTGGCCAGGCTCCACGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAGCAATTTAATGAATGGCCTCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAAATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0756】
K10-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号310)
5'-GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCAGCAAAAACTTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCAGCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGTATGGTAGCTCACCCGATATATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCTGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【0757】
本発明の核酸は、例えば、発現ベクターに導入されてもよい。前記発現ベクターは、例えば、前述の説明を援用できる。
【0758】
本発明の核酸において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、公知の遺伝子工学的手法または合成手法によって製造できる。
【0759】
<細胞>
本発明の細胞は、前述のように、前記本発明のキメラ抗原受容体を含む。本発明の細胞は、前記本発明のキメラ抗原受容体を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の細胞によれば、例えば、がんを治療できる。本発明の細胞は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸等の説明を援用できる。
【0760】
本発明の細胞は、前記本発明のCAR以外のCARを発現してもよい。前記細胞は、T細胞が好ましい。前記T細胞は、例えば、前記T細胞様の細胞でもよい。
【0761】
<細胞の製造方法>
本発明の細胞の製造方法は、前述のように、前記本発明の核酸を細胞に導入する導入工程を含む。本発明の細胞の製造方法は、前記導入工程において、前記本発明の核酸を細胞に導入することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の細胞の製造方法によれば、例えば、がんを治療可能な細胞を製造できる。本発明の細胞の製造方法は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸、細胞等の説明を援用できる。
【0762】
前記細胞は、T細胞またはT細胞様の細胞が好ましい。
【0763】
前記導入工程における核酸の導入方法は、特に制限されず、例えば、前記本発明の第1のスクリーニング方法における第1の発現工程の説明を援用できる。
【0764】
本発明の細胞の製造方法は、例えば、前記導入工程後、前記細胞に前記核酸がコードするキメラ抗原受容体を発現させる発現工程を含んでもよい。前記発現工程は、例えば、前記導入工程後の細胞を培養することにより実施できる。
【0765】
<がん治療薬>
本発明のがん治療薬(以下、「治療薬」ともいう)は、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸を含む。本発明の治療薬は、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸を含むことが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の治療薬によれば、例えば、がんを治療できる。本発明のがん治療薬は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸、細胞、細胞の製造方法等の説明を援用できる。
【0766】
本発明において、治療対象のがんは、特に制限されず、例えば、発現するキメラ抗原受容体の種類等に応じて、適宜決定できる。本発明のがん治療薬がA2/NY-ESO-1157に結合するCARに関連する細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸の場合、前記治療対象のがんは、例えば、悪性黒色腫、肺がん、滑膜肉腫、乳がん、食道がん、卵巣がん、膀胱がん、神経芽腫、骨髄腫等があげられる。本発明のがん治療薬がCD19に結合するCARに関連する細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸の場合、前記治療対象のがんは、例えば、B細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫等があげられる。
【0767】
本発明の治療薬の投与条件は、特に制限されず、例えば、対象となるがんの種類、がんの進行度、患者の年齢等に応じて、投与形態、投与方法、投与時期、投与量等を適宜設定できる。本発明の治療薬の使用方法は、特に制限されず、例えば、前記投与対象に、本発明の治療薬を投与すればよい。
【0768】
前記投与対象は、例えば、細胞、組織または器官があげられる。前記投与対象は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ等の哺乳類等があげられる。前記投与は、例えば、in
vivoでもin
vitroでもよい。
【0769】
前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に応じて適宜決定できる。前記投与方法は、例えば、非経口投与、経口投与等があげられる。前記非経口投与は、例えば、局所投与、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、リンパ管内投与、腫瘍内投与等があげられる。
【0770】
本発明の治療薬の投与形態は、特に制限されず、例えば、注射液(注射剤)、点滴静注液等の液剤等である。
【0771】
本発明の治療薬において、前記細胞の配合量は、特に制限されない。また、前記細胞の投与条件は、特に制限されない。前記投与方法が静脈内投与の場合、前記細胞の投与条件は、例えば、ヒト成人男子に対する1回あたりの投与量(合計)は、例えば、1×108~3×1010細胞であり、好ましくは、1×109~1×1010細胞であり、投与回数は、例えば、1週間~4週間に1回である。本発明の治療薬において、前記細胞の配合量は、例示した投与条件を実現できるような濃度で含まれていることが好ましい。
【0772】
本発明の治療薬において、前記遺伝子、発現ベクター、または核酸の配合量は、特に制限されない。また、前記遺伝子、発現ベクター、または核酸の投与条件は、特に制限されない。前記投与方法が皮下注射または静脈注射等であり、ヒトに全身投与する場合、1回あたりの投与量(合計)は、例えば、5~5000mg、50~500mgであり、投与回数は、例えば、2週間~8週間に1回である。
【0773】
本発明の治療薬は、前記細胞、遺伝子、発現ベクター、および核酸のいずれか1種類のみを含んでもよいし、複数種類を含んでもよい。また、本発明の治療薬は、さらにその他の添加物を含んでもよい。前記添加物の配合量は、本発明の治療薬の機能を妨げるものでなければ、特に制限されない。前記添加物は、特に制限されず、例えば、薬学的に許容された添加物が好ましい。前記添加物の種類は、特に制限されず、例えば、投与対象の種類に応じて適宜選択できる。前記添加物は、例えば、基剤、安定化剤、保存剤等があげられる。
【0774】
<がんの治療方法>
本発明のがんの治療方法は、投与対象に、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸を投与する投与工程を含む。本発明のがんの治療方法は、前記投与工程において、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸を投与することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の治療方法によれば、がんを治療できる。本発明のがんの治療方法は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸、細胞、細胞の製造方法、治療薬等の説明を援用できる。
【0775】
前記投与工程では、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、および核酸のうち、いずれか1種類を投与してもよいし、複数種類を投与してもよい。
【0776】
<抗体等または細胞、遺伝子、発現ベクター、もしくは核酸の使用>
本発明は、がんの治療方法に使用するための、前記本発明の抗体またはその抗原結合断片、または、がんの治療のための、前記本発明の抗体またはその抗原結合断片である。また、本発明は、がんの治療用医薬の製造のための、前記本発明の抗体またはその抗原結合断片の使用である。さらに、本発明は、がんの治療方法に使用するための、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、もしくは核酸、または、がんの治療のための、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、もしくは核酸である。また、本発明は、がんの治療用医薬の製造のための、前記本発明の細胞、遺伝子、発現ベクター、または核酸の使用である。本発明の使用は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸、細胞、細胞の製造方法、治療薬、治療方法等の説明を援用できる。
【0777】
<BsAbライブラリ>
本発明の二重特異性抗体(BsAb)ライブラリは、第1の二重特異性抗体(BsAb)をコードする核酸を含み、前記第1のBsAbは、第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、第1の標的抗原に結合する第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、前記第2の抗原結合ドメインは、第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含み、前記第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含み、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たし、前記第1の標的抗原または前記第2の標的抗原は、免疫細胞活性化受容体である。
【0778】
条件1:
前記第2の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第2の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0779】
本発明のBsAbライブラリにおいて、本発明のBsAbライブラリは、前記第1のBsAbは、第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、前記第1の抗原結合ドメインは、第1の標的抗原に結合する第1のscFvを含み、前記第2の抗原結合ドメインは、第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含み、前記第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含み、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、前記条件1または条件2を満たし、前記第1の標的抗原または前記第2の標的抗原は、免疫細胞活性化受容体であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明のBsAbライブラリは、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸、細胞、細胞の製造方法、治療薬、治療方法等の説明を援用できる。
【0780】
本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1のBsAbは、前記第1の抗原結合ドメインと、前記第2の抗原結合ドメインとを含むタンパク質である。前記第1の抗原結合ドメインと、前記第2の抗原結合ドメインとは、それぞれ、第1の標的抗原に結合する第1の一本鎖抗体(scFv)と、第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvとを含む。前記第2のscFvは、例えば、scFvに類似した構造を有し、前記抗原に結合する細胞外ドメインが、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第2の抗原結合ドメインに変更されている。また、本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1の標的抗原または前記第2の標的抗原が、免疫細胞活性化受容体である。このため、前記第1の標的抗原が前記免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2の標的抗原と結合する第1のBsAbは、例えば、前記第2の標的抗原および前記第1の標的抗原(前記免疫細胞活性化受容体)を発現可能な免疫細胞の共存下で、前記免疫細胞の前記免疫細胞活性化受容体を介してシグナルを誘導でき、その結果、前記免疫細胞を活性化(例えば、増殖、活性化マーカーの発現等)することができる。すなわち、本発明のBsAbライブラリによれば、前記第1の標的抗原が前記免疫細胞活性化受容体の場合、後述の第2のスクリーニング方法を用いて、前記BsAbライブラリから発現されたBsAb群において、前記免疫細胞を活性化させる第1のBsAbを前記第2の標的抗原と結合するBsAbとして選抜できる。このため、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、ハイブリドーマを用いる方法およびファージディスプレイを用いる方法と比較して、より簡便に、第2の標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。また、前記第2の標的抗原と結合する第1のBsAbは、例えば、後述の第2のスクリーニング方法において、前記免疫細胞を活性化させることができるため、前記免疫細胞を活性化可能なBsAbといえる。したがって、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、前記第2の標的抗原を発現する細胞に対して、前記免疫細胞を介した傷害活性等を誘導しうるBsAbをスクリーニングできる。
【0781】
また、前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2の標的抗原と結合する第1のBsAbは、例えば、前記第1の標的抗原および前記第2の標的抗原(前記免疫細胞活性化受容体)を発現可能な免疫細胞の共存下で、前記免疫細胞の免疫細胞活性化受容体を介してシグナルを誘導でき、その結果、免疫細胞を活性化(例えば、増殖、活性化マーカーの発現等)することができる。すなわち、本発明のBsAbライブラリによれば、前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、後述の第2のスクリーニング方法を用いて、前記BsAbライブラリから発現されたBsAb群において、前記免疫細胞を活性化させる第1のBsAbを前記第2の標的抗原と結合するBsAbとして選抜できる。このため、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、ハイブリドーマを用いる方法およびファージディスプレイを用いる方法と比較して、より簡便に、第2の標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。また、前記第2の標的抗原と結合する第1のBsAbは、例えば、後述の第2のスクリーニング方法において、前記免疫細胞を活性化させることができるため、免疫細胞を活性化可能なBsAbといえる。したがって、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、前記第1の標的抗原を発現する細胞に対して、免疫細胞を介した傷害活性等を誘導しうるBsAbをスクリーニングできる。
【0782】
また、本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第2の抗原結合ドメインは、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含む。前記第2のscFvは、例えば、抗原に結合する抗体由来の一本鎖のポリペプチドであり、かつ前記抗原との結合能を保持するscFvと類似する構造を有する。前記scFvは、前記抗原に結合する抗体の重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)の可変領域の断片(Fv)を連結したポリペプチドである。他方、前記第2のscFvは、例えば、後述のように、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のうち一方が、前記第2の標的抗原に結合する抗体等の可変領域であり、他方が、B細胞受容体に由来する可変領域、すなわち、前記第2の標的抗原に結合するかが不明の可変領域である。本発明のBsAbライブラリは、前記第2のscFvをこのような構成とすることにより、例えば、前記第2の標的抗原に結合する重鎖可変領域または軽鎖可変領域のスクリーニングを実施することができる。このため、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、前記第2の標的抗原に結合する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を一度にスクリーニングするファージディスプレイ法と比較して、より少ない数または種類の核酸で、前記第2の標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。
【0783】
本発明のBsAbライブラリにおいて、第1のBsAbをコードする核酸は、例えば、第1のBsAbのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味し、前述の説明を援用できる。
【0784】
本発明において、「BsAb」は、例えば、抗体分子における2つの抗原結合部位が、それぞれ異なる標的抗原に結合する抗体またはその抗原結合断片を意味する。前記異なる標的抗原は、例えば、エピトープが異なることを意味し、異なる抗原のエピトープでもよいし、同じ抗原における異なるエピトープでもよい。前記「BsAb」は、例えば、公知の二重特異性抗体の構造を採用でき、具体例として、二重可変ドメイン抗体(DVD-Ig(商標))、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、タンダブ(tanda)、scFvとダイアボディとの組合せであるフレキシボディ(flexibody)、タンデム(tandem)scFv(例えば、BiTE(登録商標)、Micromet社)、DART(登録商標)(MacroGenics社)、Fcab(商標)またはmAb2(商標)(F-star社)、Fc engineering抗体(Xencor社)またはDuoBody(登録商標)(Genmab社)等の構造が採用でき、ライブラリを容易に構築できることから好ましくは、タンデムscFvである。前記タンデムscFvは、例えば、2つのscFvがリンカーペプチド(Fv間リンカーペプチド)により連結されたタンパク質であり、2つのscFvは、それぞれ、重鎖可変領域および軽鎖可変領域がリンカーペプチド(Fvリンカーペプチド)により連結されている。
【0785】
以下、第1のBsAbについて、第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合と、前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合とについて、それぞれ説明する。
【0786】
(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体
前記免疫細胞活性化受容体は、例えば、前記免疫細胞に発現し、かつ、リガンドとの結合または複数の免疫細胞活性化受容体の架橋により前記免疫細胞活性化受容体が発現する免疫細胞を活性化可能な受容体を意味する。前記免疫細胞活性化受容体は、例えば、前記免疫細胞の種類に応じて適宜決定できる。具体例として、前記免疫細胞がT細胞の場合、前記免疫細胞活性化受容体は、CD3等があげられる。前記CD3は、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD3ηまたは、これらの複合体があげられる。前記免疫細胞がNK細胞の場合、前記免疫細胞活性化受容体は、NK細胞の活性化受容体等があげられる。前記NK細胞の活性化受容体は、例えば、CD94/NKG2C、CD94/NKG2E、NKG2D/NKG2D等があげられる。前記免疫細胞がNKT細胞の場合、前記免疫細胞活性化受容体は、CD3、前記NK細胞の活性化受容体等があげられる。前記免疫細胞がB細胞の場合、前記免疫細胞活性化受容体は、例えば、CD19、CD79α、CD79β等があげられる。
【0787】
前記第1の標的抗原が前記免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2の標的抗原は、特に制限されず、例えば、前記CARライブラリにおける標的抗原の説明を援用できる。
【0788】
本発明のBsAbライブラリにおいて、第1のscFvは、例えば、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含む。前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有する。一般に、抗体分子の重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ、3ヶ所の相補性決定領域(CDR:Complemetarity determining region)を有している。CDRは、超可変領域(hypervariable domain)ともいう。CDRは、前記重鎖および軽鎖の可変領域でも、特に一次構造の変異性が高い領域であり、一次構造上において、通常、3ヶ所に分離している。本発明において、重鎖可変領域における3ヶ所のCDRを、重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるアミノ末端(N末端)側から、重鎖CDR1(CDRH1)、重鎖CDR2(CDRH2)、および重鎖CDR3(CDRH3)と表し、軽鎖可変領域における3ヶ所のCDRを、軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるアミノ末端側から、軽鎖CDR1(CDRL1)、軽鎖CDR2(CDRL2)、および軽鎖CDR3(CDRL3)と表す。これらの部位は、立体構造の上で相互に近接し、結合する抗原に対する特異性を決定している。
【0789】
前記第1の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第1の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。
【0790】
前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とは、CD3等の免疫細胞活性化受容体に結合する抗体またはその抗原結合断片を用いる。前記抗体またはその抗原結合断片の具体例は、例えば、前述の本発明の抗体等における抗体および抗原結合断片の説明を援用できる。
【0791】
前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体の種類に応じて、公知の抗体等を使用できる。具体例として、前記免疫細胞活性化受容体がCD3の場合、CD3εに対する抗体は、例えば、OKT3抗体、UCHT1抗体、L2K抗体、HIT3a抗体、28F11抗体、27H5抗体等があげられる。前記免疫細胞活性化受容体がCD19の場合、CD19に対する抗体は、例えば、FMC63抗体、SJ25C1等があげられる。前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体を免疫することにより得られた抗体でもよい。前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等は、例えば、後述の本発明の第2のスクリーニング方法により得られたscFvであってもよい。前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0792】
前記第1の重鎖可変領域において、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3以外の領域、すなわち、フレームワーク領域(FR)は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記FRは、一次構造上において、通常、4ヶ所に分離している。本発明において、前記重鎖可変領域における4ヶ所のFRを、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、重鎖FR1(FRH1)、重鎖FR2(FRH2)、重鎖FR3(FRH3)、および重鎖FR4(FRH4)と表す。なお、前記各CDRHと、前記各FRHとは、例えば、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、FRH1、CDRH1、FRH2、CDRH2、FRH3、CDRH3、およびFRH4の順序で配置されている。前記第1の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」と、前記各FRHの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0793】
前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0794】
前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0795】
前記第1の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記FRは、一次構造上において、通常、4ヶ所に分離している。本発明において、前記軽鎖可変領域における4ヶ所のFRを、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、軽鎖FR1(FRL1)、軽鎖FR2(FRL2)、軽鎖FR3(FRL3)、および軽鎖FR4(FRL4)と表す。なお、前記各CDRLと、前記各FRLとは、例えば、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列におけるN末端側から、FRL1、CDRL1、FRL2、CDRL2、FRL3、CDRL3、およびFRL4の順序で配置されている。前記第1の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」と、前記各FRLの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0796】
前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0797】
前記第1のscFvにおいて、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、第1のリンカーペプチド(第1のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のscFvの前記免疫細胞活性化受容体への結合を阻害しないことが好ましい。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記第1のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。
【0798】
本発明のBsAbライブラリにおいて、第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含む。前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有し、その構造について、例えば、前記第1のscFvの説明を援用できる。
【0799】
前記第2の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第2の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、前記条件1または条件2を満たす。
【0800】
前記条件1では、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、前記第2の標的抗原に結合する抗体等を用い、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3について、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする。前記抗体またはその抗原結合断片の具体例は、例えば、前述の本発明の抗体等における抗体および抗原結合断片の説明を援用できる。
【0801】
前記第2の標的抗原に結合する抗体等は、例えば、前記第2の標的抗原に応じて公知の抗体等を使用できる。具体例として、HLA-A*02:01およびNY-ESO-1157-165の複合体に対する抗体としては、例えば、3M4E5抗体が使用できる。また、ヒトCD19に対する抗体としては、例えば、FMC63抗体が使用できる。前記第2の標的抗原に結合する抗体等は、例えば、後述の本発明の第2のスクリーニング方法により得られたscFvであってもよいし、前記第2の標的抗原を免疫することで得られた抗体でもよい。前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0802】
前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第2の標的抗原に結合する抗体等」と、前記各FRHの説明における「第2の標的抗原に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0803】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0804】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、V遺伝子断片およびJ遺伝子断片がVJ遺伝子再構築することで形成されたVJ遺伝子断片によりコードされる。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、V遺伝子断片と、J遺伝子断片とを人工的に組合せて設計した人工VJ遺伝子断片がコードするポリペプチドを含むB細胞受容体であってもよい。また、生体内のB細胞は、例えば、VJ遺伝子再構築後の軽鎖可変領域を発現している。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、単離されたB細胞由来のB細胞受容体であってもよい。この場合、前記第1のB細胞受容体は、例えば、ヒト由来B細胞のB細胞受容体があげられ、好ましくは、ヒト末梢血B細胞由来のB細胞受容体である。本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1のB細胞受容体は、BsAbライブラリをより容易に調製できることから、単離されたB細胞由来のB細胞受容体の軽鎖可変領域であることが好ましい。
【0805】
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0806】
前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第1のB細胞受容体」と、前記各FRLの説明における「第1のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0807】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0808】
前記第2のscFvにおいて、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、第2のリンカーペプチド(第2のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第2のscFvの前記第2の標的抗原への結合を阻害しないことが好ましい。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記第2のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のFvリンカーペプチドと同じでもよいし、異なってもよい。
【0809】
つぎに、前記条件2では、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記第2の標的抗原に結合する抗体等に由来し、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3について、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0810】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、V遺伝子断片、D遺伝子断片およびJ遺伝子断片がVDJ遺伝子再構築することで形成されたVDJ遺伝子断片によりコードされる。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、V遺伝子断片と、D遺伝子断片と、J遺伝子断片とを人工的に組合せて設計した人工VDJ遺伝子断片がコードするポリペプチドを含むB細胞受容体であってもよい。また、生体内のB細胞は、例えば、VDJ遺伝子再構築後の重鎖可変領域を発現している。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、単離されたB細胞由来のB細胞受容体であってもよい。この場合、前記第1のB細胞受容体は、例えば、ヒト由来B細胞のB細胞受容体があげられ、好ましくは、ヒト末梢血B細胞由来のB細胞受容体である。本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1のB細胞受容体は、BsAbライブラリをより容易に調製できることから、単離されたB細胞由来のB細胞受容体の重鎖可変領域であることが好ましい。
【0811】
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0812】
前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第1のB細胞受容体」と、前記各FRHの説明における「第1のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0813】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0814】
前記第2の軽鎖可変領域において、前記第2の標的抗原に結合する抗体等は、例えば、前記条件1における第2の標的抗原に結合する抗体等の説明を援用できる。前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0815】
前記第2の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2の標的抗原に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第2の標的抗原に結合する抗体等」と、前記各FRLの説明における「第2の標的抗原に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0816】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0817】
前記第2のscFvにおいて、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、第2のリンカーペプチド(第2のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第2のscFvの前記第2の標的抗原への結合を阻害しないことが好ましい。前記第2のFvリンカーペプチドの説明は、例えば、前記第1のFvリンカーペプチドの説明を援用できる。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のFvリンカーペプチドと、同じでもよいし、異なってもよい。
【0818】
前記第1のscFvおよび前記第2のscFvは、例えば、直接または間接的に連結されている。前記第1のscFvおよび前記第2のscFvの連結は、例えば、前記第1のBsAbの種類に応じて、適宜設計できる。具体例として、前記第1のBsAbがタンデムscFvの場合、前記第1のscFvおよび前記第2のscFvは、リンカーペプチド(Fv間リンカーペプチド)により連結されている。前記Fv間リンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記Fv間リンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記Fv間リンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。
【0819】
(2)第2の標的抗原:免疫細胞活性化受容体
前記第1の標的抗原は、特に制限されず、例えば、前記CARライブラリにおける標的抗原の説明を援用できる。
【0820】
前記第2の標的抗原は、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」における第1の標的抗原の説明を援用できる。
【0821】
本発明のBsAbライブラリにおいて、第1のscFvは、例えば、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含む。前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有し、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」における第1のscFvの説明を援用できる。前記第1の重鎖可変領域は、例えば、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。
【0822】
前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とは、前記第1の標的抗原に結合する抗体またはその抗原結合断片を用いる。前記抗体またはその抗原結合断片の具体例は、例えば、前述の本発明の抗体等における抗体および抗原結合断片の説明を援用できる。
【0823】
前記第1の標的抗原に結合する抗体等は、例えば、前記第1の標的抗原の種類に応じて、公知の第1の標的抗原に結合する抗体等を使用できる。また、前記第1の標的抗原に結合する抗体等は、例えば、前記第1の標的抗原を免疫することにより得られた抗体でもよい。前記第1の標的抗原に結合する抗体等は、例えば、後述の本発明の第2のスクリーニング方法により得られたscFvであってもよい。前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0824】
前記第1の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第1の標的抗原に結合する抗体等」と、前記各FRHの説明における「第1の標的抗原に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0825】
前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記第1の標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の重鎖可変領域は、例えば、前記第1の標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の標的抗原に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0826】
前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0827】
前記第1の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の標的抗原に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第1の標的抗原に結合する抗体等」と、前記各FRLの説明における「第1の標的抗原に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0828】
前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の標的抗原に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0829】
前記第1のscFvにおいて、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、第1のリンカーペプチド(第1のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のscFvの前記第1の標的抗原への結合を阻害しないことが好ましい。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記第1のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。
【0830】
本発明のBsAbライブラリにおいて、第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含む。前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有し、その構造について、例えば、前記(1)における第1のscFvの説明を援用できる。
【0831】
前記第2の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第2の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、前記条件1または条件2を満たす。
【0832】
前記条件1は、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等を用い、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3について、前記免疫細胞活性化受容体への結合をスクリーニングする。前記抗体またはその抗原結合断片の具体例は、例えば、前述の本発明の抗体等における抗体および抗原結合断片の説明を援用できる。
【0833】
前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等は、例えば、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」における免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等の説明を援用できる。前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0834】
前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」と、前記各FRHの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0835】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0836】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、V遺伝子断片およびJ遺伝子断片がVJ遺伝子再構築することで形成されたVJ遺伝子断片によりコードされる。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、V遺伝子断片と、J遺伝子断片とを人工的に組合せて設計した人工VJ遺伝子断片がコードするポリペプチドを含むB細胞受容体であってもよい。また、生体内のB細胞は、例えば、VJ遺伝子再構築後の軽鎖可変領域を発現している。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、単離されたB細胞由来のB細胞受容体であってもよい。この場合、前記第1のB細胞受容体は、例えば、ヒト由来B細胞のB細胞受容体があげられ、好ましくは、ヒト末梢血B細胞由来のB細胞受容体である。本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1のB細胞受容体は、BsAbライブラリをより容易に調製できることから、単離されたB細胞由来のB細胞受容体の軽鎖可変領域であることが好ましい。
【0837】
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0838】
前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第1のB細胞受容体」と、前記各FRLの説明における「第1のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0839】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0840】
前記第1のscFvにおいて、前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、例えば、第1のリンカーペプチド(第1のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のscFvの前記第1の標的抗原への結合を阻害しないことが好ましい。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記第1のFvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記第1のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。
【0841】
つぎに、前記条件2では、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等に由来し、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3について、前記免疫細胞活性化受容体への結合をスクリーニングする。
【0842】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、V遺伝子断片、D遺伝子断片およびJ遺伝子断片がVDJ遺伝子再構築することで形成されたVDJ遺伝子断片によりコードされる。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、V遺伝子断片と、D遺伝子断片と、J遺伝子断片とを人工的に組合せて設計した人工VDJ遺伝子断片がコードするポリペプチドを含むB細胞受容体であってもよい。また、生体内のB細胞は、例えば、VDJ遺伝子再構築後の重鎖可変領域を発現している。このため、前記第1のB細胞受容体は、例えば、単離されたB細胞由来のB細胞受容体であってもよい。この場合、前記第1のB細胞受容体は、例えば、ヒト由来B細胞のB細胞受容体があげられ、好ましくは、ヒト末梢血B細胞由来のB細胞受容体である。本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1のB細胞受容体は、BsAbライブラリをより容易に調製できることから、単離されたB細胞由来のB細胞受容体の重鎖可変領域であることが好ましい。
【0843】
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0844】
前記第2の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第1のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第1のB細胞受容体」と、前記各FRHの説明における「第1のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0845】
前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の重鎖可変領域は、例えば、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0846】
前記第2の軽鎖可変領域において、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等は、例えば、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」における免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等の説明を援用できる。前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0847】
前記第2の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第2の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」と、前記各FRLの説明における「免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等」とは、同じ抗体等であることが好ましい。
【0848】
前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記免疫細胞活性化受容体に結合する抗体等における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0849】
前記第2のscFvにおいて、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、第2のリンカーペプチド(第2のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第2のscFvの前記免疫細胞活性化受容体への結合を阻害しないことが好ましい。前記第2のFvリンカーペプチドの説明は、例えば、前記第1のFvリンカーペプチドの説明を援用できる。前記第2のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のFvリンカーペプチドと、同じでもよいし、異なってもよい。
【0850】
前記第1のscFvおよび前記第2のscFvは、例えば、直接または間接的に連結されてもよいし、前記第3のscFvおよび前記第4のscFvを共存させた場合、両者が会合(結合)するように形成してもよい。前記第1のscFvおよび前記第2のscFvの連結は、例えば、前記第1のBsAbの種類に応じて、適宜設計できる。具体例として、前記第1のBsAbがタンデムscFvの場合、前記第1のscFvおよび前記第2のscFvは、リンカーペプチド(Fv間リンカーペプチド)により連結されている。前記Fv間リンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記Fv間リンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。具体例として、前記Fv間リンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。前記会合は、例えば、アミノ酸側鎖の電荷を利用できる。具体例として、前記会合は、例えば、一方の結合ドメインに正の電荷を有するアミノ酸のドメインを付加し、他方の結合ドメインに負の電荷を有するアミノ酸のドメインを付加することにより、誘導できる。また、前記会合は、例えば、タグ配列とタグ配列を認識するポリペプチドの組合せ等も利用できる。
【0851】
本発明のBsAbライブラリにおいて、前記第1のBsAbにおける前記第1のscFvおよび前記第2のscFvの配置順序は、例えば、N末端側から、前記第1のscFvおよび前記第2のscFvがこの順序で配置されてもよいし、N末端側から、前記第2のscFvおよび前記第1のscFvがこの順序で配置されてもよいが、より簡便に第1のBsAbライブラリを調製できることから、後者が好ましい。
【0852】
前記第1のBsAbは、例えば、下記式(3)(配列番号158)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。下記式(3)において、V1、V2、V3、およびV4は、例えば、下記(V1)~(V8)の組合せがあげられる。前記第2のscFvが前記条件1を満たす場合、V1、V2、V3、およびV4は、下記(V7)または(V8)が好ましい。また、前記第2のscFvが前記条件2を満たす場合、V1、V2、V3、およびV4は、下記(V5)または(V6)が好ましい。下記式(3)において、V1およびV2間のアミノ酸配列が、第1のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列であり、V2およびV3間のアミノ酸配列が、Fv間リンカーペプチドのアミノ酸配列であり、V3およびV4間のアミノ酸配列が、第2のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列である。下記式(3)において、第1のFvリンカーペプチドおよび第2のFvリンカーペプチドは、Fvリンカーペプチド1であるが、それぞれ、独立に、Fvリンカーペプチド2であってもよい。
[V1]-[GSTSGSGKPGSGEGSTKG]-[V2]-[SGSG]-[V3]-[GSTSGSGKPGSGEGSTKG]-[V4] ・・・(3)
【0853】
(V1)V1:VH1、V2:VL1、V3:VH2、V4:VL2
(V2)V1:VL1、V2:VH1、V3:VH2、V4:VL2
(V3)V1:VH1、V2:VL1、V3:VL2、V4:VH2
(V4)V1:VL1、V2:VH1、V3:VL2、V4:VH2
(V5)V1:VH2、V2:VL2、V3:VH1、V5:VL1
(V6)V1:VH2、V2:VL2、V3:VL1、V4:VH1
(V7)V1:VL2、V2:VH2、V3:VH1、V4:VL1
(V8)V1:VL2、V2:VH2、V3:VL1、V4:VH1
VH1:第1の重鎖可変領域
VL1:第1の軽鎖可変領域
VH2:第2の重鎖可変領域
VL2:第2の軽鎖可変領域
【0854】
前記第1のBsAbをコードする核酸は、例えば、下記式(4)(配列番号159)で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドがあげられる。下記式(4)において、N1、N2、N3、およびN4は、例えば、下記(N1)~(N8)の組合せがあげられる。下記(N1)~(N8)は、それぞれ、前記(V1)~(V8)の組合せの第1のBsAbをコードする核酸である。下記式(4)において、N1およびN2間の塩基配列が、第1のFvリンカーペプチドをコードする塩基配列であり、N2およびN3間の塩基配列が、Fv間リンカーペプチドをコードする塩基配列であり、N3およびN4間の塩基配列が、第2のFvリンカーペプチドをコードする塩基配列である。下記式(4)において、第1のFvリンカーペプチドおよび第2のFvリンカーペプチドをコードする塩基配列は、Fvリンカーペプチド1をコードする塩基配列であるが、それぞれ、独立に、Fvリンカーペプチド2をコードする塩基配列であってもよい。
5'-[N1]-[GGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGC]-[N2]-[AGCGGATCTGGC]-[N3]-[GGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGC]-[N4]-3’ ・・・(4)
【0855】
(N1)N1:NH1、N2:NL1、N3:NH2、N4:NL2
(N2)N1:NL1、N2:NH1、N3:NH2、N4:NL2
(N3)N1:NH1、N2:NL1、N3:NL2、N4:NH2
(N4)N1:NL1、N2:NH1、N3:NL2、N4:NH2
(N5)N1:NH2、N2:NL2、N3:NH1、N4:NL1
(N6)N1:NH2、N2:NL2、N3:NL1、N4:NH1
(N7)N1:NL2、N2:NH2、N3:NH1、N4:NL1
(N8)N1:NL2、N2:NH2、N3:NL1、N4:NH1
NH1:第1の重鎖可変領域をコードする塩基配列
NL1:第1の軽鎖可変領域をコードする塩基配列
NH2:第2の重鎖可変領域をコードする塩基配列
NL2:第2の軽鎖可変領域をコードする塩基配列
【0856】
本発明のBsAbライブラリは、例えば、複数種類の核酸を含むことが好ましい。この場合、本発明のBsAbライブラリは、例えば、複数種類の核酸の混合物である。前記複数種類の核酸は、例えば、その一部または全部が、異なる第1のBsAbをコードしていることが好ましく、異なる第2の抗原結合ドメインをコードしていることが好ましい。複数種類の核酸が異なる第2の抗原結合ドメインをコードしている場合、前記第1のBsAbにおける第2の抗原結合ドメイン以外の領域は、例えば、同じまたは異なるアミノ酸配列である。本発明のBsAbライブラリに含まれる前記核酸の種類は、例えば、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類であり、好ましくは、約1×106種類(例えば、8×105~2×106種類)である。前記ファージディスプレイ法では、約1×108種類の核酸が、前記標的抗原に結合するscFvのスクリーニングに必要となる。他方、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、約1×106種類の核酸であっても、前記第2の標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。このため、本発明のBsAbライブラリによれば、例えば、ファージディスプレイ法と比較して、より少ない数または種類の核酸で、前記第2の標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。
【0857】
前記第1のBsAbは、例えば、N末端にシグナルペプチドを有してもよい。前記シグナルペプチドは、例えば、小胞体への輸送シグナルとなるシグナルペプチドがあげられる。前記第1のBsAbは、例えば、タグを有してもよい。前記タグは、例えば、ペプチドタグ、プロテインタグがあげられる。前記タグは、例えば、FLAG(登録商標)タグ、HAタグ、Hisタグ、Mycタグ、V5タグ、切断型のNGFR(nerve growth factor receptor)等があげられる。前記タグペプチドは、例えば、前記第1のBsAbのN末端およびC末端の少なくとも一方に付加される。前記タグが切断型のNGFRの場合、前記タグは、例えば、前記第1のBsAbのC末端側に配置される。これにより、本発明のBsAbライブラリは、例えば、1つの細胞に1種類の第1のBsAbをコードする核酸が導入されるよう、核酸の導入効率を調整できる。前記第1のBsAbと前記タグとは、リンカーペプチドにより連結されてもよい。
【0858】
本発明において、前記第1のBsAbをコードする核酸は、例えば、前記第1のBsAbのアミノ酸配列に基づき、常法により調製できる。具体例として、前記第1のBsAbをコードする核酸は、例えば、前述の各ドメインのアミノ酸配列が登録されたデータベースにおいて、前記アミノ酸配列をコードする塩基配列を取得し、前記塩基配列に基づき、分子生物学的手法および/または化学的合成方法により調製できる。前記核酸の塩基配列は、例えば、本発明のBsAbライブラリを発現させる細胞の由来に応じて、コドン最適化してもよい。
【0859】
前記第1のBsAbをコードする核酸は、例えば、発現ベクターに導入されてもよい。前記発現ベクターは、例えば、前記第1のBsAbをコードする核酸を連結用ベクターに連結することで調製できる。前記連結用ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、オンコレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、シュードタイプベクター等のレトロウイルスベクター;アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、シミアンウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、センダイウイルスベクター、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)ベクター、HSVベクター等のウイルスベクターがあげられる。具体例として、前記連結用ベクターは、例えば、pUC、pCMV、pMX、pELP等があげられる。前記連結用ベクターは、例えば、前記発現ベクターを導入する宿主に応じて、適宜設定することもできる。前記宿主は、特に制限されず、例えば、CHO細胞、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等の哺乳類由来の培養細胞、免疫細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、リンパ球、顆粒球、マクロファージ等があげられる。前記リンパ球は、例えば、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、生体から単離された細胞、多能性幹細胞等の幹細胞から誘導された免疫細胞または免疫細胞由来の培養細胞である。前記T細胞は、T細胞様の細胞でもよい。前記T細胞様の細胞は、例えば、T細胞に由来する培養細胞等があげられ、具体例として、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等があげられる。
【0860】
前記発現ベクターは、例えば、前記第1のBsAbをコードする核酸の発現および前記第1のBsAbをコードする核酸がコードする第1のBsAbの少なくとも一方の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。前記発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記第1のBsAbをコードする核酸の発現およびこれがコードする前記第1のBsAbの少なくとも一方の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記連結ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記連結ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記連結ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。
【0861】
前記発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。
【0862】
<第2のスクリーニング方法>
本発明の第2のscFvのスクリーニング方法(以下、「第2のスクリーニング方法」ともいう)は、前記本発明のBsAbライブラリから第1のBsAbを準備する第1の準備工程と、
前記第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、
前記第1のBsAbと、前記第2の標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させ、
前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、
前記第1のBsAbと、前記第1の標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させる第1の接触工程と、
前記第1の接触工程において、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbの第2のscFvを、前記第2の標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む。
【0863】
本発明の第2のスクリーニング方法は、前記第1の準備工程、前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程を含み、前記第1の準備工程において、前記本発明のBsAbライブラリを用いることが特徴であり、その他の構成および条件は、特に制限されない。本発明の第2のスクリーニング方法によれば、例えば、ハイブリドーマを用いる方法およびファージディスプレイを用いる方法と比較して、より簡便に、第2の標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできる。また、本発明の第2のスクリーニング方法によれば、例えば、前記第1の標的抗原または第2の標的抗原を発現する細胞に対して、T細胞を介した傷害活性等を誘導しうるBsAbをスクリーニングできる。さらに、前記第2の標的抗原に結合するscFvの重鎖可変領域および軽鎖可変領域の各CDRのアミノ酸配列に基づき、例えば、前記標的抗原に結合可能な抗体またはその抗原結合断片を作製できる。このため、前記第2のスクリーニング方法は、例えば、前記標的抗原に結合する抗体またはその抗原結合断片のスクリーニング方法ということもできる。本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、第1の抗体等、第2の抗体等、遺伝子、発現ベクター、形質転換体、第1のキメラ抗原受容体、第2のキメラ抗原受容体、核酸、細胞、細胞の製造方法、治療薬、治療方法、BsAbライブラリ等の説明を援用できる。本発明の第2のスクリーニング方法によれば、例えば、標的抗原に結合する新たなscFvを製造できる。このため、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、scFvの製造方法ということもできる。
【0864】
ファージディスプレイ法等により標的抗原に結合するBsAb等を製造する場合、約1×1010種類の抗体ライブラリを作成し、標的抗原に結合する抗体を取得した後に、前記抗体からscFvを含むBsAb等を調製する。そして、前記BsAb等について免疫細胞等を用いて、その有効性について検討する。他方、本発明の第2のスクリーニング方法では、前記本発明のBsAbライブラリと、前記免疫細胞とを用いるため、例えば、前記標的抗原に結合するscFvのスクリーニングと、前記ライブラリから発現するBsAbの免疫細胞における有効性の検討について同時に実施することができる。このため、本発明の第2のスクリーニング方法によれば、例えば、標的抗原に結合する抗体を得るために用いられているファージディスプレイ法等と比較して、標的抗原に結合し、かつ免疫細胞等において有効に機能するBsAbに用いうるscFvを簡便にスクリーニングできる。
【0865】
前記第1の準備工程は、前記本発明のBsAbライブラリから第1のBsAbを準備する工程である。前記第1のBsAbの準備方法は、特に制限されず、例えば、公知の核酸からタンパク質を合成する方法を利用できる。具体例として、前記第1の準備工程では、例えば、前記本発明のBsAbライブラリ(第1のBsAbライブラリ)を宿主に導入する。そして、前記第1の準備工程では、例えば、前記第1のBsAbライブラリが導入された宿主を培養することにより、前記宿主に前記BsAbを発現させる。前記第1のBsAbライブラリの導入方法は、特に制限されず、例えば、前記宿主の種類に応じて適宜決定できる。前記宿主が細胞の場合、前記導入方法は、例えば、公知の核酸の細胞への導入方法を利用でき、前記本発明の第1のスクリーニング方法の前記第1の発現工程における導入方法の説明を援用できる。前記宿主の培養条件は、特に制限されず、例えば、前記宿主の種類に応じて適宜決定できる。具体例として、前記宿主が細胞の場合、前記細胞の培養期間は、特に制限されず、例えば、24時間~2週間、24~48時間、1~2週間である。前記細胞の培養温度は、例えば、28~37℃である。
【0866】
前記第1のBsAbライブラリは、例えば、前記第1のBsAbをコードする核酸でもよいし、前記第1のBsAbをコードする核酸が導入された発現ベクターでもよい。前記宿主は、例えば、前記本発明のBsAbライブラリの説明を援用できる。前記宿主は、293細胞が好ましい。前記第1のBsAbは、ライブラリを容易に構築できることから、タンデムscFvが好ましい。
【0867】
つぎに、前記第1の接触工程では、前記第1のBsAbと、前記標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させる。具体的には、前記第1のBsAbの第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第1の接触工程では、前記第1のBsAbと、前記第2の標的抗原と、前記免疫細胞とを接触させる。他方、前記第1のBsAbの第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第1の接触工程では、前記第1のBsAbと、前記第1の標的抗原と、前記免疫細胞とを接触させる。前記第1のBsAbと、前記標的抗原と、前記免疫細胞との接触は、例えば、前記第1のBsAbと、前記標的抗原と、前記免疫細胞との共存下で培養することにより実施できる。前記培養期間は、例えば、1~96時間、1~6時間、6~96時間である。前記培養温度は、例えば、28~37℃である。前記免疫細胞と、前記第1のBsAbの分子数の比は、例えば、1×106個の免疫細胞あたり、0.1pmol以上の第1のBsAbとなるように設定されることが好ましい。
【0868】
前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞は、前記免疫細胞活性化受容体を発現している免疫細胞でもよいし、所定の条件で前記免疫細胞活性化受容体の発現する免疫細胞でもよい。前記所定の条件は、例えば、前記免疫細胞の種類に応じて、適宜設定できる。前記免疫細胞は、前記免疫細胞活性化受容体の種類に応じて適宜決定できる。前記免疫細胞活性化受容体がCD3の場合、前記免疫細胞は、例えば、T細胞、NKT細胞等があげられる。前記免疫細胞活性化受容体がNK細胞の活性化受容体の場合、前記免疫細胞は、NK細胞、NKT細胞があげられる。前記免疫細胞活性化受容体がCD19、CD79α、またはCD79βの場合、前記免疫細胞は、B細胞があげられる。前記T細胞、NK細胞、NKT細胞、およびB細胞は、それぞれ、前述のT細胞様の培養細胞、NK細胞様の培養細胞、NKT細胞様の培養細胞、およびB細胞様の培養細胞であってもよい。前記免疫細胞活性化受容体および免疫細胞は、それぞれ、CD3およびT細胞またはT細胞様の培養細胞であることが好ましい。これにより、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、前記第1の標的抗原または第2の標的抗原を発現する細胞に対して、T細胞を介した傷害活性を誘導する可能性が高いBsAbをスクリーニングできる。
【0869】
前記第1のBsAbは、例えば、1種類でもよいし、複数種類でもよい。後者の場合、前記第1の接触工程では、例えば、前記第1のBsAbとして、アミノ酸配列の異なる複数種類の第1のBsAbの混合物を使用する。
【0870】
前記第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第1の接触工程において接触させる第2の標的抗原は、例えば、前記第2の標的抗原の単量体、前記第2の標的抗原の複合体、前記第2の標的抗原の発現細胞等があげられ、好ましくは、前記第2の標的抗原の発現細胞である。前記第2の標的抗原の複合体は、例えば、前記第2の標的抗原の多量体(マルチマー)があげられ、具体例として、前記標的抗原の二量体、四量体等があげられる。前記第2の標的抗原の多量体は、例えば、タグを付加した標的抗原を抗体により架橋する方法、ビオチン化された標的抗原をアビジンにより複合体化する方法等により調製できる。前記第2の標的抗原の発現細胞は、例えば、前記第2の標的抗原を内在的に発現する細胞、前記第2の標的抗原をコードする核酸を導入することにより前記第2の標的抗原を発現させた細胞等があげられる。前記第2の標的抗原を発現させる細胞は、例えば、293細胞、293T細胞、K562細胞等があげられる。前記第2の標的抗原を発現させる細胞は、例えば、前記宿主と同じでもよいし、異なってもよい。
【0871】
前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第1の接触工程において接触させる第1の標的抗原は、例えば、前記第1の標的抗原の単量体、前記第1の標的抗原の複合体、前記第1の標的抗原の発現細胞等があげられ、好ましくは、前記第1の標的抗原の発現細胞である。前記第1の標的抗原の複合体は、例えば、前記第1の標的抗原の多量体(マルチマー)があげられ、具体例として、前記標的抗原の二量体、四量体等があげられる。前記第1の標的抗原の多量体は、例えば、タグを付加した標的抗原を抗体により架橋する方法、ビオチン化された標的抗原をアビジンにより複合体化する方法等により調製できる。前記第1の標的抗原の発現細胞は、例えば、前記第1の標的抗原を内在的に発現する細胞、前記第1の標的抗原をコードする核酸を導入することにより前記第2の標的抗原を発現させた細胞等があげられる。前記第1の標的抗原を発現させる細胞は、例えば、293細胞、293T細胞、K562細胞等の培養細胞等があげられる。前記第1の標的抗原を発現させる細胞は、例えば、前記宿主と同じでもよいし、異なってもよい。
【0872】
そして、前記第1の選抜工程では、前記第1の接触工程において、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbの第2のscFvを、前記第2の標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する。前記第2の標的抗原と前記第1のBsAbとの結合は、例えば、直接または間接的に評価できるが、前記第1の標的抗原または第2の標的抗原を発現する細胞に対して、T細胞を介した傷害活性等を誘導しうるBsAbをスクリーニングできることから間接的な評価が好ましい。
【0873】
前記直接的な評価方法は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)、フローサイトメトリー等の抗体と抗原との結合検出方法より実施できる。具体例として、前記直接的な評価方法は、例えば、標識化された第1の標的抗原または第2の標的抗原のモノマーまたはマルチマーを用いて実施できる。この場合、前記第1の選抜工程では、例えば、前記第1のBsAbと、前記標識化された第1の標的抗原または第2の標的抗原と、前記免疫細胞とを接触させる。前記第1のBsAbが前記2の標的抗原に結合する場合、前記第1のBsAbと、前記標識化された第1の標的抗原または第2の標的抗原と、前記免疫細胞とは複合体を形成する。このため、前記第1の選抜工程では、例えば、前記標識を含む複合体を形成している免疫細胞が存在する場合、前記第1のBsAbは、前記第2の標的抗原に結合していると評価できる。
【0874】
また、前記間接的な評価方法は、例えば、以下のように実施できる。前記第2の標的抗原と結合する第1のBsAbは、例えば、前記免疫細胞の免疫細胞活性化受容体を架橋する。すると、前記免疫細胞活性化受容体を架橋された免疫細胞は、例えば、前記免疫細胞活性化受容体から生じたシグナルにより活性化する。このため、前記間接的な評価方法は、例えば、前記免疫細胞の活性化を指標に評価する。具体例として、前記第1のBsAbが前記第2の標的抗原と結合すると、例えば、前記第2の標的抗原と未結合の第1のBsAbが存在する場合と比較して、前記免疫細胞における活性化マーカーの発現の上昇、サイトカインおよび/またはケモカインの産生量の増加、増殖等が生じる。具体例として、前記免疫細胞がT細胞、NK細胞、NKT細胞またはB細胞の場合、前記各細胞では、例えば、下記活性化マーカーの発現の上昇、下記サイトカインおよび/またはケモカインの産生量の増加、増殖等が生じる。このため、前記第1の選抜工程では、例えば、いずれか1つ以上の指標に基づき、前記免疫細胞が活性化していると判断される場合、前記免疫細胞を活性化させた第1のBsAbを、前記第2の標的抗原に結合していると評価できる。前記サイトカインおよび/またはケモカインの産生量の増加は、例えば、前記サイトカインおよび/またはケモカインの発現が誘導されると、mRNAまたはタンパク質の発現量が増加するレポーターを用いてもよい。前記レポーターは、例えば、蛍光タンパク質があげられる。
・T細胞
活性化マーカー:CD69、CD107a等
サイトカイン・ケモカイン:IFN-γ、IL-12、IL-2、TNFα、MIP-1β等
・NK細胞
活性化マーカー:CD69、CD107a等
サイトカイン・ケモカイン:INF-γ、IL-12等
・NKT細胞
活性化マーカー:CD69、CD107a、CD25等
サイトカイン・ケモカイン:INF-γ、IL-2等
・B細胞
活性化マーカー:CD28、CD69、CD80、CD138、B220等
サイトカイン・ケモカイン:CXCR4等
【0875】
そして、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbの第2のscFvを、前記第2の標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する。前記第1の候補scFvの選抜は、例えば、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbを発現させた宿主を選抜し、選抜された宿主におけるscFvまたはBsAbをコードする塩基配列を解読することにより実施できる。前記第1の選抜工程では、例えば、さらに、前記第1の候補scFvにおける、重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とを特定してもよい。各CDRの特定は、例えば、ゲノム情報を参照し、公知の方法により実施できる。
【0876】
これにより、前記第2の標的抗原に結合する新たなscFvをスクリーニングできる。また、前記第1のBsAbライブラリにおける第1のBsAbが前記条件1を満たす場合、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、前記第2の標的抗原に結合する新たな軽鎖可変領域をスクリーニングできる。前記第1のBsAbライブラリにおける第1のBsAbが前記条件2を満たす場合、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、前記第2の標的抗原に結合する新たな重鎖可変領域をスクリーニングできる。
【0877】
前記第1のBsAbが複数種類のBsAbを含む場合、前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程は、1回でもよいし、複数回でもよいが、複数回実施することが好ましい。前記複数回は、例えば、2~5回、2~4回であり、好ましくは、2~3回である。この場合、前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程を1セットとし、前記セットを複数回実施することが好ましい。前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程を複数回実施する場合、1回目の第1の接触工程および第1の選抜工程の実施後、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbを発現する宿主から、例えば、新たな第1のBsAbを準備する。この場合、新たな第1のBsAbが含むBsAbの種類数は、1つ前の回に第1の接触工程および第1の選抜工程に供したBsAbの種類数より少ないことが好ましい。前記新たな第1のBsAbは、例えば、第1のBsAbを発現する宿主を回収後、希釈する。そして、前記希釈後の宿主を、回収時の細胞密度より低い密度で再播種後、培養し、培養上清を回収することにより、新たな第1のBsAbを調製できる。そして、本発明の第2のスクリーニング方法では、例えば、新たな第1のBsAbを用いて、前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程を実施する。そして、所望の回数まで同様に接触および選抜を繰り返し実施し、例えば、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbを発現する宿主を単クローン化する。これにより、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbをより確実に同定できる。
【0878】
本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、前記第1の候補scFvの新たな重鎖可変領域または軽鎖可変領域を、それぞれ、前記第1のBsAbライブラリの第2のscFvにおける第2の標的抗原に結合する抗原等における重鎖可変領域または軽鎖可変領域として、他方の領域のスクリーニングを実施してもよい。この場合、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、さらに、前記第1の候補scFvに基づき、第2のBsAbライブラリを調製する調製工程を含む。
【0879】
前記第2のCARライブラリは、例えば、第2のBsAbをコードする核酸を含む。また、前記第2のBsAbは、例えば、第3の抗原結合ドメインと、第4の抗原結合ドメインとを含む。前記第3の抗原結合ドメインは、例えば、前記第1の標的抗原に結合する第3のscFvを含む。また、前記第4の抗原結合ドメインは、例えば、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第4のscFvを含む。
【0880】
前記第2のBsAbをコードする核酸は、例えば、第2のBsAbのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味する。
【0881】
本発明の第2のスクリーニング方法において、前記第2のBsAbは、例えば、前記第1のBsAbと同じ構造を有してもよいし、異なる構造を有してもよい。前記第2のBsAbは、ライブラリを容易に構築できることから、タンデムscFvであることが好ましい。
【0882】
前記第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、第2のBsAbにおける前記第1の標的抗原は、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の第1のBsAbにおける前記第1の標的抗原と同じでもよいし、異なってもよい。後者の場合、前記第2のBsAbの第1の標的抗原は、例えば、前記第1のBsAbの第1の標的抗原とは異なるサブユニットまたは複合体である。
【0883】
前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2のBsAbにおける前記第1の標的抗原は、前記本発明のBsAbライブラリの「(2)第2の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の第1のBsAbにおける前記第1の標的抗原と同じであり、その説明を援用できる。
【0884】
前記第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2のBsAbにおける前記第2の標的抗原は、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の第1のBsAbにおける前記第2の標的抗原と同じであり、その説明を援用できる。
【0885】
前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2のBsAbにおける前記第2の標的抗原は、前記本発明のBsAbライブラリの「(2)第2の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の第1のBsAbにおける前記第2の標的抗原と同じでもよいし、異なってもよい。後者の場合、前記第2のBsAbの第2の標的抗原は、例えば、前記第1のBsAbの第1の標的抗原とは異なるサブユニットまたは複合体である。
【0886】
前記第3のscFvは、例えば、前記本発明のBsAbライブラリにおける「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の第1のscFvの説明において、「第1のscFv」を「第3のscFv」に、「第1の重鎖可変領域」を「第3の重鎖可変領域」に、「第1の軽鎖可変領域」を「第3の軽鎖可変領域」に読み替えて、その説明を援用できる。前記第2のBsAbにおける第3のscFvは、前記第1のBsAbにおける第1のscFvと同じでもよいし、異なってもよい。
【0887】
前記第3のscFvにおいて、前記第3の重鎖可変領域および前記第3の軽鎖可変領域は、例えば、第3のリンカーペプチド(第3のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第3のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第3のscFvの前記第2の標的抗原への結合を阻害しないことが好ましい。前記第3のFvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記第3のFvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記第3のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。
【0888】
前記第2のBsAbにおいて、第4のscFvは、第4の重鎖可変領域と、第4の軽鎖可変領域とを含む。前記第4の重鎖可変領域および前記第4の軽鎖可変領域は、抗体分子における重鎖可変領域および軽鎖可変領域と同様の構造を有し、その構造について、例えば、前記第1のscFvの説明を援用できる。
【0889】
前記第4の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第4の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第4の重鎖可変領域および前記第4の軽鎖可変領域は、下記条件3または条件4を満たす。
【0890】
条件3:
前記第1の準備工程におけるBsAbライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第1の候補BsAbにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件4:
前記第1の準備工程におけるBsAbライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第1の候補BsAbにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0891】
前記条件3は、例えば、前記条件1を満たす第1のBsAbライブラリを用いてスクリーニングされた第1の候補scFvを用いて、第2のBsAbライブラリを調製する場合である。前記条件3では、例えば、前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記第1の候補scFvを用い、前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3について、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0892】
前記第4の重鎖可変領域における第2のB細胞受容体は、例えば、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の条件2の第2の重鎖可変領域の説明において、「第1のB細胞受容体」を「第2のB細胞受容体」に、「第2の重鎖可変領域」を、「第4の重鎖可変領域」に読み替えてその説明を援用できる。
【0893】
前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0894】
前記第4の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第2のB細胞受容体」と、前記各FRHの説明における「第2のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0895】
前記第4の重鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第4の重鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体における重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0896】
前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0897】
前記第4の軽鎖可変領域において、FRは、例えば、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のFRを含んでもよい。前記第4の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第1の候補scFv」と、前記各FRLの説明における「第1の候補scFv」とは、同じscFvであることが好ましい。
【0898】
前記第4の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第4の軽鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0899】
つぎに、前記条件4は、例えば、前記条件2を満たす第1のBsAbライブラリを用いてスクリーニングされた第1の候補scFvを用いて、第2のBsAbライブラリを調製する場合である。前記条件4では、例えば、前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、前記第1の候補scFvを用い、前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3について、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0900】
前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0901】
前記第4の重鎖可変領域におけるFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4は、例えば、それぞれ、前記第1の候補scFvのFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvのFRH1、FRH2、FRH3、およびFRH4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRHの説明における「第1の候補scFv」と、前記各FRHの説明における「第1の候補scFv」とは、同じscFvであることが好ましい。
【0902】
前記第4の重鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第4の重鎖可変領域は、例えば、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0903】
前記第4の軽鎖可変領域における第2のB細胞受容体は、例えば、前記本発明のBsAbライブラリの「(1)第1の標的抗原:免疫細胞活性化受容体」の条件1の第2の軽鎖可変領域の説明において、「第1のB細胞受容体」を「第2のB細胞受容体」に、「第2の軽鎖可変領域」を「第4の軽鎖可変領域」に読み替えてその説明を援用できる。
【0904】
前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のCDRH1、CDRL2、およびCDRL3のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0905】
前記第4の軽鎖可変領域におけるFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4は、例えば、それぞれ、前記第2のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体のFRL1、FRL2、FRL3、およびFRL4のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。前記各CDRLの説明における「第2のB細胞受容体」と、前記各FRLの説明における「第2のB細胞受容体」とは、同じB細胞受容体であることが好ましい。
【0906】
前記第4の軽鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における軽鎖可変領域を含んでもよい。この場合、前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、前記第2のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列からなるポリペプチドでもよいし、前記第2のB細胞受容体における軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含むポリペプチドでもよい。
【0907】
前記第4のscFvにおいて、前記第4の重鎖可変領域および前記第4の軽鎖可変領域は、例えば、第4のリンカーペプチド(第4のFvリンカーペプチド)により連結されている。前記第4のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第4のscFvの前記免疫細胞活性化受容体への結合を阻害しないことが好ましい。前記第4のFvリンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記第4のFvリンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。前記第4のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。前記第4のscFvにおける第4のFvリンカーペプチドは、例えば、前記第1のscFvにおける第1のFvリンカーペプチドと同じでもよいし、異なってもよい。
【0908】
前記第3のscFvおよび前記第4のscFvは、例えば、直接または間接的に連結されていてもよいし、前記第3のscFvおよび前記第4のscFvを共存させた場合、両者が会合(結合)するように形成してもよい。前記第3のscFvおよび前記第4のscFvの連結は、例えば、前記第2のBsAbの種類に応じて、適宜設計できる。具体例として、前記第2のBsAbがタンデムscFvの場合、前記第3のscFvおよび前記第4のscFvは、リンカーペプチド(Fv間リンカーペプチド)により連結されている。前記Fv間リンカーペプチドは、例えば、1~40個、1~18個、1~15個、1~7個、1~3個、1個または2個のアミノ酸から構成される。前記Fv間リンカーペプチドは、例えば、グリシンおよびセリン等のアミノ酸から構成されており、具体例として、(GGGGS)nがあげられる。前記nは、例えば、1~6の整数である。具体例として、前記Fv間リンカーペプチドのアミノ酸配列は、例えば、前記配列番号1または2のアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。前記会合は、例えば、アミノ酸側鎖の電荷を利用できる。具体例として、前記会合は、例えば、一方の結合ドメインに正の電荷を有するアミノ酸のドメインを付加し、他方の結合ドメインに負の電荷を有するアミノ酸のドメインを付加することにより、誘導できる。また、前記会合は、例えば、タグ配列とタグ配列を認識するポリペプチドの組合せ等も利用できる。
【0909】
前記第2のBsAbにおいて、前記第3のscFvおよび前記第4のscFvの配置順序は、例えば、N末端側から、前記第3のscFvおよび前記第4のscFvがこの順序で配置されてもよいし、N末端側から、前記第4のscFvおよび前記第3のscFvがこの順序で配置されてもよい。
【0910】
前記第2のBsAbは、例えば、下記式(5)(配列番号160)で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドがあげられる。下記式(5)において、V5、V6、V7、およびV8は、例えば、下記(V9)~(V16)の組合せがあげられる。前記第4のscFvが前記条件3を満たす場合、V5、V6、V7、およびV8は、下記(V13)または(V14)を満たすことが好ましい。前記第4のscFvが前記条件4を満たす場合、V5、V6、V7、およびV8は、下記(V15)または(V16)を満たすことが好ましい。下記式(5)において、V5およびV6間のアミノ酸配列が、第1のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列であり、V6およびV7間のアミノ酸配列が、Fv間リンカーペプチドのアミノ酸配列であり、V7およびV8間のアミノ酸配列が、第2のFvリンカーペプチドのアミノ酸配列である。下記式(4)において、第1のFvリンカーペプチドおよび第2のFvリンカーペプチドは、Fvリンカーペプチド1であるが、それぞれ、独立に、Fvリンカーペプチド2であってもよい。
[V5]-[GSTSGSGKPGSGEGSTKG]-[V6]-[SGSG]-[V7]-[GSTSGSGKPGSGEGSTKG]-[V8] ・・・(5)
【0911】
(V9) V5:VH3、V6:VL3、V7:VH4、V8:VL4
(V10)V5:VL3、V6:VH3、V7:VH4、V8:VL4
(V11)V5:VH3、V6:VL3、V7:VL4、V8:VH4
(V12)V5:VL3、V6:VH3、V7:VL4、V8:VH4
(V13)V5:VH4、V6:VL4、V7:VH3、V8:VL3
(V14)V5:VH4、V6:VL4、V7:VL3、V8:VH3
(V15)V5:VL4、V6:VH4、V7:VH3、V8:VL3
(V16)V5:VL4、V6:VH4、V7:VL3、V8:VH3
VH3:第3の重鎖可変領域
VL3:第3の軽鎖可変領域
VH4:第4の重鎖可変領域
VL4:第4の軽鎖可変領域
【0912】
前記第2のBsAbをコードする核酸は、例えば、下記式(6)(配列番号161)で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドがあげられる。下記式(6)において、N5、N6、N7、およびN8は、例えば、下記(N9)~(N16)の組合せがあげられる。下記(N9)~(N16)は、それぞれ、前記(V9)~(V16)の組合せの第2のBsAbをコードする核酸である。下記式(6)において、N5およびN6間の塩基配列が、第1のFvリンカーペプチドをコードする塩基配列であり、N6およびN7間の塩基配列が、Fv間リンカーペプチドをコードする塩基配列であり、N7およびN8間の塩基配列が、第2のFvリンカーペプチドをコードする塩基配列である。下記式(6)において、第1のFvリンカーペプチドおよび第2のFvリンカーペプチドをコードする塩基配列は、Fvリンカーペプチド1をコードする塩基配列であるが、それぞれ、独立に、Fvリンカーペプチド2をコードする塩基配列であってもよい。
5'-[N5]-[GGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGC]-[N6]-[AGCGGATCTGGC]-[N7]-[GGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGC]-[N8]-3’・・・(6)
【0913】
(N9) N5:NH3、N6:NL3、N7:NH4、N8:NL4
(N10)N5:NL3、N6:NH3、N7:NH4、N8:NL4
(N11)N5:NH3、N6:NL3、N7:NL4、N8:NH4
(N12)N5:NL3、N6:NH3、N7:NL4、N8:NH4
(N13)N5:NH4、N6:NL4、N7:NH3、N8:NL3
(N14)N5:NH4、N6:NL4、N7:NL3、N8:NH3
(N15)N5:NL4、N6:NH4、N7:NH3、N8:NL3
(N16)N5:NL4、N6:NH4、N7:NL3、N8:NH3
NH3:第3の重鎖可変領域をコードする塩基配列
NL3:第3の軽鎖可変領域をコードする塩基配列
NH4:第4の重鎖可変領域をコードする塩基配列
NL4:第4の軽鎖可変領域をコードする塩基配列
【0914】
前記第2のBsAbライブラリは、例えば、複数種類の核酸を含むことが好ましい。この場合、前記第2のBsAbライブラリは、例えば、複数種類の核酸の混合物である。前記複数種類の核酸は、例えば、その一部または全部が、異なる第2のBsAbをコードしていることが好ましく、異なる第4の抗原結合ドメインをコードしていることが好ましい。複数種類の核酸が異なる第4の抗原結合ドメインをコードしている場合、前記第2のBsAbにおける第4の抗原結合ドメイン以外の領域は、例えば、同じまたは異なるアミノ酸配列である。前記2のBsAbライブラリに含まれる前記核酸の種類は、例えば、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類であり、好ましくは、約1×106種類(例えば、8×105~2×106種類)である。
【0915】
前記第2のBsAbは、例えば、N末端にシグナルペプチドを有してもよい。前記第2のBsAbは、例えば、タグを有してもよい。前記シグナルペプチドおよびタグは、例えば、前記第1のBsAbにおけるシグナルペプチドおよびタグの説明において、「第1のBsAb」を「第2のBsAb」に読み替えて、その説明を援用できる。
【0916】
本発明において、前記第2のBsAbをコードする核酸は、例えば、前記第2のBsAbのアミノ酸配列に基づき、常法により調製できる。具体例として、前記第2のBsAbをコードする核酸は、例えば、前述の各ドメインのアミノ酸配列が登録されたデータベースにおいて、前記アミノ酸配列をコードする塩基配列を取得し、前記塩基配列に基づき、分子生物学的手法および/または化学的合成方法により調製できる。前記核酸の塩基配列は、例えば、前記第2のBsAbライブラリを発現させる細胞の由来に応じて、コドン最適化してもよい。
【0917】
前記第2のBsAbをコードする核酸は、例えば、発現ベクターに導入されてもよい。前記発現ベクターは、例えば、前記本発明のBsAbライブラリにおける発現ベクターの説明を援用できる。
【0918】
つぎに、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、前記第1のBsAbライブラリに代えて、前記調製工程において調製された第2のBsAbライブラリを用いる以外は、同様にして、準備工程、接触工程、および選抜工程を実施する。具体的には、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、さらに、前記第2のBsAbライブラリから第2のBsAbを準備する第2の準備工程と、前記第2のBsAbと、前記標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能免疫細胞とを接触させる第2の接触工程と、前記第2の接触工程において、前記第2の標的抗原と結合した第2のBsAbの第4のscFvを、前記第2の標的抗原に結合する第2の候補scFvとして選抜する第2の選抜工程とを含む。また、前記第2のBsAbの第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2の接触工程では、例えば、前記第2のBsAbと、前記第2の標的抗原と、前記免疫細胞とを接触させる。他方、前記第2のBsAbの第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、前記第2の接触工程では、例えば、前記第2のBsAbと、前記第1の標的抗原と、前記免疫細胞とを接触させる。
【0919】
前記第2の準備工程は、例えば、前記第1の準備工程の説明において、「第1の準備工程」を「第2の準備工程」に、「第1のBsAbライブラリ」を「第2のBsAbライブラリ」に、「第1のBsAb」を「第2のBsAb」に読み替えてその説明を援用できる。
【0920】
前記第2の接触工程は、例えば、前記第1の接触工程の説明において、「第1の準備工程」を「第2の準備工程」に、「第1の接触工程」を「第2の接触工程」に読み替えてその説明を援用できる。
【0921】
前記第2の選抜工程は、例えば、前記第1の選抜工程の説明において、「第1の接触工程」を「第2の接触工程」に、「第1の選抜工程」を「第2の選抜工程」に、「第2のscFv」を「第4のscFv」に、「第1の候補scFv」を「第2の候補scFv」に、「第1のBsAb」を「第2のBsAb」に読み替えてその説明を援用できる。
【0922】
これにより、本発明の第2のスクリーニング方法は、例えば、前記第2の標的抗原に結合する新たな重鎖可変領域および軽鎖可変領域を有するscFvをスクリーニングできる。
【0923】
<第3のscFvの製造方法>
本発明のscFvの製造方法は、前述のように、第1のキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリの発現細胞を動物に投与する第1の投与工程と、
前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第1のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する第1の採取工程とを含み、
前記第1のCARライブラリは、第1のCARをコードする核酸を含み、
前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、
前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす。
【0924】
(条件1)
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(条件2)
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0925】
本発明の第3のscFvの製造方法は、第1のCARライブラリ発現細胞を動物に投与する第1の投与工程と、前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第1のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する第1の採取工程を含むことが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の第3のscFvの製造方法は、前記本発明のCARライブラリ、第1のスクリーニング方法、およびCARライブラリ細胞の説明を援用できる。
【0926】
CARライブラリ発現細胞において、前記標的抗原に結合するscFvを有するCARを発現している細胞は、前記動物内において、前記標的抗原依存的に活性化する。そして、活性化されたCARライブラリ発現細胞は、前記動物において、前記標的抗原を発現する部位に移動し、集積する。このため、本発明の製造方法は、前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第1のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取することで、CAR-T細胞において機能しうり、さらに、例えば、局所浸潤にも関与しうるscFvを製造できる。また、前記細胞は、前記標的抗原依存的に活性化するため、前記標的抗原が発現する組織に集積するCARライブラリ発現細胞におけるscFvは、前記標的抗原を認識する可能性が高いといえる。したがって、本発明の製造方法は、例えば、前記標的抗原に結合し、T細胞等の免疫細胞を活性化しうるscFvを製造できるといえる。
【0927】
さらに、本発明の製造方法で用いる第1のCARライブラリにおいて、前記第1のCARは、前記第1の抗原結合ドメインと、前記第1の膜貫通ドメインと、前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含むタンパク質である。前記第1のCARは、例えば、抗原に結合する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARに類似した構造を有し、前記抗原に結合する細胞外ドメインが、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第1の抗原結合ドメインに変更されている。このため、本発明の製造方法によれば、前記標的抗原に結合し、T細胞等の免疫細胞を活性化しうる新たなscFvをスクリーニングできる。
【0928】
本発明の第3のscFvの製造方法において、前記第1のCARライブラリ発現細胞(以下、「第1の発現細胞」ともいう)は、例えば、前記第1のCARをコードする核酸を含む第1のCARライブラリを、細胞に導入することにより調製できる。このため、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第1の投与工程に先立ち、前記第1のCARライブラリを準備する第1の準備工程を含んでもよい。また、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第1の投与工程に先立ち、前記第1のCARライブラリを細胞に導入し、前記第1のCARライブラリ発現細胞を調製する第1の調製工程を含んでもよい。
【0929】
前記第1の準備工程は、前記第1のCARライブラリを準備する。前記第1のCARライブラリは、前述のように、第1のCARをコードする核酸を含む。前記第1のCARをコードする核酸は、例えば、第1のCARのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味する。前記第1のCARライブラリは、前記本発明のCARライブラリにおける第1のCARライブラリと同様であり、その説明を援用できる。
【0930】
前記第1のscFvにおいて、前記標的抗原は、例えば、前記本発明のCARライブラリにおける説明を援用できる。
【0931】
前記第1の調製工程では、前記第1のCARライブラリを細胞に導入し、前記第1のCARライブラリ発現細胞を調製する。具体的には、前記第1の調製工程では、例えば、前記細胞に、前記第1のCARライブラリを導入する。そして、前記第1の調製工程では、例えば、前記第1のCARライブラリが導入された細胞を培養することにより、前記細胞に前記第1のCARライブラリを発現させる。前記第1のCARライブラリの導入方法は、特に制限されず、例えば、公知の核酸の細胞への導入方法を利用できる。具体例として、前記第1のCARライブラリの導入方法は、例えば、リポソーム、カチオニックリピッド等の核酸導入試薬を用いる方法、レトロウイルス、レンチウイルス等のウイルスを用いる方法等があげられる。前記細胞の培養期間は、特に制限されず、例えば、6時間~30日、6~96時間、1~30日である。前記細胞の培養温度は、例えば、28~37℃である。
【0932】
前記第1のCARライブラリは、例えば、前記第1のCARをコードする核酸でもよいし、前記第1のCARをコードする核酸が導入された発現ベクターでもよい。
【0933】
前記細胞は、特に制限されず、例えば、CHO細胞、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等の哺乳類由来の培養細胞、免疫細胞等があげられる。前記免疫細胞は、特に制限されず、例えば、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、生体から単離された免疫細胞、多能性幹細胞等の幹細胞から誘導された免疫細胞または免疫細胞由来の培養細胞があげられる。前記単離された免疫細胞は、例えば、免疫細胞様の培養細胞でもよく、具体例として、T細胞様の培養細胞、NK細胞様の培養細胞、NKT細胞様の培養細胞、B細胞様の培養細胞等があげられる。前記免疫細胞は、例えば、生体から単離された免疫細胞であり、具体例として、ヒト末梢血由来の免疫細胞があげられる。前記T細胞様の培養細胞は、例えば、Jurkat細胞、Jurkat76細胞等があげられる。前記細胞は、例えば、CAR-T細胞において機能する可能性がより高いscFvをスクリーニングできることから、T細胞またはT細胞様の培養細胞が好ましい。
【0934】
つぎに、前記第1の投与工程では、前記第1のCARライブラリ発現細胞を動物に投与する。前記第1の投与工程では、複数種類の第1のCARライブラリ発現細胞を投与することが好ましい。この場合、前記第1のCARライブラリ発現細胞は、例えば、複数種類の発現細胞の混合物である。前記複数種類の発現細胞は、例えば、その一部または全部が、異なる第1のCARをコードしていることが好ましく、異なる第1の抗原結合ドメインをコードしていることが好ましい。複数種類の発現細胞が異なる第1の抗原結合ドメインをコードしている場合、前記第1のCARにおける第1の抗原結合ドメイン以外の領域は、例えば、同じまたは異なるアミノ酸配列である。前記第1のCARライブラリ発現細胞の種類は、例えば、前記第1のCARライブラリ発現細胞に含まれる前記第1のCARの種類ともいえる。前記第1のCARライブラリ発現細胞に含まれる前記第1のCARの種類は、例えば、1×105~1×107種類、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類であり、好ましくは、約2×106種類(例えば、1×106~3×106種類)である。前記第1のCARの種類は、例えば、1×106細胞あたりの種類である。前記第1のCARの種類は、例えば、第1のCARをコードする核酸の不均一性(heterogeneity)ということもできる。前記不均一性は、前述のように、例えば、制限酵素マッピング、各CDRおよび/または各FRHについてサンガー法等のシークエンス等で測定できる。
【0935】
前記第1の発現細胞の投与条件は、特に制限されず、例えば、前記標的抗原の種類および量、ならびに前記動物における標的抗原の発現位置に応じて、投与形態、投与方法、投与時期、投与量等を適宜設定できる。
【0936】
前記動物(投与対象)は、例えば、ヒト、ヒトを除く非ヒト動物があげられる。前記非ヒト動物は、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ等の哺乳類等があげられる。
【0937】
前記動物は、免疫抑制動物であることが好ましい。前記動物がマウスの場合、前記免疫抑制マウスは、ヌードマウス、SCID(Severe combined immunodeficiency)マウス、NOG(NOD/Shi-scid,IL-2RγKO)マウス等があげられる。
【0938】
前記投与方法は、特に制限されず、例えば、投与対象に応じて適宜決定できる。前記投与方法は、例えば、非経口投与、経口投与等があげられる。前記非経口投与は、例えば、局所投与、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、リンパ管内投与、腫瘍内投与等があげられる。前記投与方法は、好ましくは、静脈内投与またはリンパ管内投与である。
【0939】
前記第1の発現細胞の投与条件は、特に制限されない。前記投与方法が静脈内投与の場合、前記第第1の発現細胞の投与条件は、例えば、マウスに対する1回あたりの投与量(合計)は、例えば、1×106~3×1010細胞であり、好ましくは、1×106~1×108細胞、1×106~1×107細胞、または約5×106細胞である。前記第1の発現細胞の投与回数は、例えば、1週間~4週間に1回である。
【0940】
前記動物は、例えば、前記標的抗原を内在性に発現してもよいし、外因性に発現してもよい。後者の場合、前記動物は、例えば、前記標的抗原をコードする核酸または発現ベクターを導入することにより発現させてもよいし、前記標的抗原を発現する細胞を導入することにより発現させてもよい。
【0941】
前記標的抗原を発現する細胞を導入する場合、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第1の投与工程に先立ち、標的抗原を発現する細胞を前記動物に導入し、前記標的抗原を発現する組織を形成させる第1の形成工程を含んでもよい。前記導入される細胞は、例えば、標的抗原を発現する細胞でもよいし、分化後または特定の条件で標的抗原を発現する細胞でもよい。前記特定の条件で標的抗原を発現する細胞は、例えば、ドキシサイクリン等の誘導物質処理により標的抗原の発現が誘導される細胞等があげられる。導入された細胞により形成される組織の種類は、特に制限されず、前記標的抗原に応じて、適宜設定できる。前記組織は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。後者の場合、導入された細胞により、臓器が形成されてもよい。具体例として、前記標的抗原が腫瘍抗原の場合、前記第1の形成工程では、前記標的抗原を発現する腫瘍細胞を前記動物に、前記標的抗原を発現する腫瘍組織を形成させる。本発明において、前記「組織」は、例えば、細胞の集合体を意味する。前記集合体内の細胞の種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【0942】
本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第1の投与工程後、前記標的抗原を前記動物に投与する第1の刺激工程を含む。本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第1の刺激工程を含むことで、前記第1の発現細胞において、標的抗原特異的なCARを発現する細胞をプライミングでき、これにより、標的抗原特異的なCARを発現する細胞をより効率よく前記標的抗原を発現する組織に集積させることができる。前記第1の刺激工程は、例えば、前記第1の投与工程後、後述の第1の採取工程に実施する。
【0943】
前記第1の刺激工程は、例えば、前記標的抗原を用いた動物免疫と同様の方法で実施できる。具体的には、前記第1の刺激工程では、前記標的抗原、前記標的抗原をコードする核酸分子、または前記標的抗原を発現する細胞を前記動物に投与することにより、実施できる。前記標的抗原の投与においては、例えば、免疫賦活剤(アジュバント)を併用してもよい。
【0944】
つぎに、前記第1の採取工程では、前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第1のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する。前記第1の採取工程では、組織に集積した前記第1の発現細胞を回収してもよいし、前記第1の発現細胞が集積した組織を採取し、前記組織から前記第1の発現細胞を回収してもよい。前記組織は、前述のように、1種類でもよい、2種類以上でもよい。後者の場合、前記第1の採取工程では、2種類以上の組織に集積した前記第1の発現細胞を回収することが好ましい。この場合、前記第1の採取工程では、前記第1の発現細胞が集積した2種類以上の組織を採取し、前記2種類以上の組織から前記第1の発現細胞を回収してもよい。前記第1の採取工程において、前記組織を採取する場合、前記組織の一部または全部を採取する。前記第1の採取工程では、前記第1の発現細胞の採取に先立ち、前記組織に前記第1の発現細胞が集積しているかを確認してもよい。前記確認は、例えば、2光子励起顕微鏡等のライブイメージングが可能な顕微鏡を用いて実施できる。また、前記確認を実施する場合、前記第1の発現細胞は、SLR等のルシフェラーゼを発現させることが好ましい。また、前記確認を実施する場合、前記第1の発現細胞は、例えば、前記確認に先立ち、蛍光タンパク質等の標識物質により標識してもよい。
【0945】
前記第1の採取工程は、前記第1の投与工程後、任意の期間後に実施してよい。前記第1の投与工程後、前記第1の採取工程までの期間は、例えば、8時間~1ヶ月、1日~2週間、1日~1週間があげられる。前記第1の刺激工程後に、前記第1の採取工程を実施する場合、前記第1の投与工程後、前記第1の採取工程までの期間は、例えば、前記標的抗原特異的CARを発現する細胞が活性化および集積する迄の時間であり、具体例として、1日~2週間、1日~1週間があげられる。
【0946】
本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第1の採取工程後、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を、前記標的抗原で再刺激する第1の再刺激工程を含むことが好ましい。これにより、前記第1の再刺激工程では、前記標的抗原を発現する組織に集積した第1のCARライブラリ発現細胞において、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を増殖させることができる。このため、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第1の再刺激工程を含むことにより、例えば、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を富化でき、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞における第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列を容易に決定できる。
【0947】
前記第1の再刺激工程において、前記標的抗原による再刺激の方法は、特に制限されず、例えば、前記組織から採取された第1のCARライブラリ発現細胞と、前記標的抗原とを共存させることにより実施できる。前記標的抗原は、例えば、前記共存下において、単体で存在してもよいし、二量体、三量体等の多量体として存在してもよいし、細胞として存在してもよい。前記標的抗原が細胞として存在する場合、前記細胞は、前記標的抗原を発現する細胞である。
【0948】
本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第1の採取工程で採取された第1の発現細胞における第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を決定する第1の配列決定工程を含んでもよい。前記第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、例えば、前記第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を決定することにより実施できる。具体的には、前記第1の配列決定工程では、前記第1の採取工程で採取された第1の発現細胞から核酸を抽出し、前記核酸における前記第1の重鎖可変領域および第1の軽鎖可変領域をコードする塩基配列を増幅し、前記塩基配列を決定することにより実施できる。これにより、本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第1のB細胞受容体由来の第1の重鎖可変領域または第1の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を決定できる。
【0949】
前記第1の配列決定工程では、例えば、さらに、前記第1の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、前記第1の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とを特定してもよい。各CDRの特定は、例えば、ゲノム情報(例えば、IMGTのホームページ<http://www.imgt.org/>)を参照し、公知の方法により実施できる。
【0950】
本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第1の採取工程で採取された第1の発現細胞における第1のB細胞受容体由来の第1の重鎖可変領域または第1の軽鎖可変領域を、それぞれ、前記第1のCARライブラリにおける標的抗原に結合する抗原等における重鎖可変領域または軽鎖可変領域として、他方の領域のスクリーニングを実施してもよい。すなわち、本発明の第3のscFvの製造方法は、第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた第1のscFv(前記第1の採取工程で採取された第1の発現細胞における第1のscFv)において新たに同定された第1の重鎖可変領域または第1の軽鎖可変領域を用いて、他方の領域のスクリーニングを実施してもよい。この場合、本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、さらに、前記第1の採取工程で採取された第1の発現細胞における第1のB細胞受容体由来の第1の重鎖可変領域または第1の軽鎖可変領域に基づき、第2のCARライブラリ発現細胞を調製し、前記第1の投与工程および第1の採取工程と同様の工程を実施してもよい。この場合、本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、第2のCARライブラリの発現細胞を動物に投与する第2の投与工程と、前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第2のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する第2の採取工程とを含む。
【0951】
前記第2のCARライブラリは、例えば、第2のCARをコードする核酸を含む。また、前記第2のCARは、例えば、第2の抗原結合ドメインと、第2の膜貫通ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。また、前記第2の抗原結合ドメインは、例えば、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含む。
【0952】
前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、第2のCARのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味する。
【0953】
前記第2のscFvにおいて、前記標的抗原は、前記第1のscFvにおける標的抗原と同じである。前記第2のscFvは、例えば、前記第1のscFvと類似の構造を有する。
【0954】
前記第2のscFvは、例えば、第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域を含む。前記第2の重鎖可変領域は、例えば、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、例えば、下記条件3または条件4を満たす。
【0955】
(条件3)
前記第1のCARライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞のscFvにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
(条件4)
前記第1のCARライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞のscFvにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
【0956】
本発明の第3のscFvの製造方法において、前記第2のCARライブラリの発現細胞(以下、「第2の発現細胞」ともいう)は、例えば、前記第2のCARをコードする核酸を含む第2のCARライブラリを、細胞に導入することにより調製できる。このため、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第2の投与工程に先立ち、前記第2のCARライブラリを準備する第2の準備工程を含んでもよい。また、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第2の投与工程に先立ち、前記第2のCARライブラリを細胞に導入し、前記第2のCARライブラリ発現細胞を調製する第2の調製工程を含んでもよい。
【0957】
前記第2の準備工程は、前記第2のCARライブラリを準備する。前記第2のCARライブラリは、前述のように、第2のCARをコードする核酸を含む。前記第2のCARをコードする核酸は、例えば、第2のCARのアミノ酸配列をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を意味する。前記第2のCARライブラリは、前記本発明のCARライブラリにおける第2のCARライブラリと同様であり、その説明を援用できる。
【0958】
前述のように、前記第2の重鎖可変領域は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する。前記第2の軽鎖可変領域は、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する。また、前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、前記条件3または条件4を満たす。
【0959】
前記条件3は、例えば、前記条件1を満たす第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた第1の軽鎖可変領域を用いて、第2のCARライブラリを調製する場合である。前記条件3では、例えば、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、前記第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた第1の軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を用い、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3について、前記標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0960】
つぎに、前記条件4は、例えば、前記条件2を満たす第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた重鎖可変領域を用いて、第2のCARライブラリを調製する場合である。前記条件4では、例えば、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、前記第1のCARライブラリを用いてスクリーニングされた重鎖可変領域を用い、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3について、前記標的抗原への結合をスクリーニングする。
【0961】
つぎに、前記第2の調製工程では、前記第2のCARライブラリを細胞に導入し、前記第2のCARライブラリの発現細胞を調製する。具体的には、前記第2の調製工程では、例えば、前記細胞に、前記第2のCARライブラリを導入する。そして、前記第2の調製工程では、例えば、前記第2のCARライブラリが導入された細胞を培養することにより、前記細胞に前記第2のCARライブラリを発現させる。前記第2のCARライブラリの導入方法は、例えば、前記第1のCARライブラリの導入方法の説明を援用できる。
【0962】
前記第2のCARライブラリは、例えば、前記第2のCARをコードする核酸でもよいし、前記第2のCARをコードする核酸が導入された発現ベクターでもよい。
【0963】
前記細胞は、特に制限されず、例えば、前記第1のCARライブラリにおける導入対象の細胞の説明を援用できる。
【0964】
つぎに、前記第2の投与工程では、前記第2のCARライブラリの発現細胞を動物に投与する。前記第2の投与工程では、複数種類の第2のCARライブラリ発現細胞を投与することが好ましい。この場合、前記第2のCARライブラリの発現細胞は、例えば、複数種類の発現細胞の混合物である。前記複数種類の発現細胞は、例えば、その一部または全部が、異なる第2のCARをコードしていることが好ましく、異なる第2の抗原結合ドメインをコードしていることが好ましい。複数種類の発現細胞が異なる第2の抗原結合ドメインをコードしている場合、前記第2のCARにおける第2の抗原結合ドメイン以外の領域は、例えば、同じまたは異なるアミノ酸配列である。前記第2のCARライブラリの発現細胞の種類は、例えば、前記第2のCARライブラリの発現細胞に含まれる前記第2のCARの種類ともいえる。前記第2のCARライブラリの発現細胞に含まれる前記第2のCARの種類は、例えば、1×105~1×107種類、1×105~1×106種類、1×106~5×106種類であり、好ましくは、約2×106種類(例えば、1×106~3×106種類)である。前記第2のCARの種類は、例えば、第2のCARをコードする核酸の不均一性(heterogeneity)ということもできる。前記不均一性は、前述のように、例えば、制限酵素マッピング、各CDRおよび/または各FRHについてサンガー法等のシークエンス等で測定できる。
【0965】
前記第2の発現細胞の投与条件は、特に制限されず、例えば、前記第2の発現細胞の投与条件の説明を援用できる。
【0966】
前記第2の投与工程において、前記動物は、例えば、前記標的抗原を内在性に発現してもよいし、外因性に発現してもよい。後者の場合、前記動物は、例えば、前記標的抗原をコードする核酸または発現ベクターを導入することにより発現させてもよいし、前記標的抗原を発現する細胞を導入することにより発現させてもよい。
【0967】
前記標的抗原を発現する細胞を導入する場合、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第2の投与工程に先立ち、標的抗原を発現する細胞を前記動物に導入し、前記標的抗原を発現する組織を形成させる第2の形成工程を含んでもよい。前記導入される細胞は、例えば、標的抗原を発現する細胞でもよいし、分化後または特定の条件で標的抗原を発現する細胞でもよい。前記特定の条件で標的抗原を発現する細胞は、例えば、ドキシサイクリン等の誘導物質処理により標的抗原の発現が誘導される細胞等があげられる。導入された細胞により形成される組織の種類は、特に制限されず、前記標的抗原に応じて、適宜設定できる。前記組織は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。後者の場合、導入された細胞により、臓器が形成されてもよい。具体例として、前記標的抗原が腫瘍抗原の場合、前記第2の形成工程では、前記標的抗原を発現する腫瘍細胞を前記動物に、前記標的抗原を発現する腫瘍組織を形成させる。
【0968】
本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第2の投与工程後、前記標的抗原を前記動物に投与する第2の刺激工程を含む。本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第2の刺激工程を含むことで、前記第2の発現細胞において、標的抗原特異的なCARを発現する細胞をプライミングでき、これにより、標的抗原特異的なCARを発現する細胞をより効率よく前記標的抗原を発現する組織に集積させることができる。前記第2の刺激工程は、例えば、前記第2の投与工程後、後述の第2の採取工程に実施する。
【0969】
前記第2の刺激工程は、例えば、前記標的抗原を用いた動物免疫と同様の方法で実施できる。具体的には、前記第2の刺激工程では、前記標的抗原、前記標的抗原をコードする核酸分子、または前記標的抗原を発現する細胞を前記動物に投与することにより、実施できる。前記標的抗原の投与においては、例えば、免疫賦活剤(アジュバント)を併用してもよい。
【0970】
つぎに、前記第2の採取工程では、前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第2のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する。前記第2の採取工程では、組織に集積した前記第2の発現細胞を回収してもよいし、前記第2の発現細胞が集積した組織を採取し、前記組織から前記第2の発現細胞を回収してもよい。前記組織は、前述のように、1種類でもよい、2種類以上でもよい。後者の場合、前記第2の採取工程では、2種類以上の組織に集積した前記第2の発現細胞を回収することが好ましい。この場合、前記第2の採取工程では、前記第2の発現細胞が集積した2種類以上の組織を採取し、前記2種類以上の組織から前記第2の発現細胞を回収してもよい。前記第2の採取工程において、前記組織を採取する場合、前記組織の一部または全部を採取する。前記第2の採取工程では、前記第2の発現細胞の採取に先立ち、前記組織に前記第2の発現細胞が集積しているかを確認してもよい。前記確認は、例えば、2光子励起顕微鏡等のライブイメージングか可能な顕微鏡を用いて実施できる。また、前記確認を実施する場合、前記第1の発現細胞は、SLR等のルシフェラーゼを発現させることが好ましい。また、前記確認を実施する場合、前記第1の発現細胞は、例えば、前記確認に先立ち、蛍光タンパク質等の標識物質により標識してもよい。
【0971】
前記第2の採取工程は、前記第2の投与工程後、任意の期間後に実施してよい。前記第2の投与工程後、前記第2の採取工程までの期間は、例えば、8時間~1ヶ月、1日~2週間、1日~1週間があげられる。前記第2の刺激工程後に、前記第2の採取工程を実施する場合、前記第2の投与工程後、前記第2の採取工程までの期間は、例えば、前記標的抗原特異的CARを発現する細胞が活性化および集積する迄の時間であり、具体例として、1日~2週間、1日~1週間があげられる。
【0972】
本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第2の採取工程後、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を、前記標的抗原で再刺激する第2の再刺激工程を含むことが好ましい。これにより、前記第2の再刺激工程では、前記標的抗原を発現する組織に集積した第2のCARライブラリ発現細胞において、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を増殖させることができる。このため、本発明の第3のscFvの製造方法は、前記第2の再刺激工程を含むことにより、例えば、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を富化でき、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞における第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域のアミノ酸配列およびそれをコードする塩基配列を容易に決定できる。
【0973】
前記第2の再刺激工程において、前記標的抗原による再刺激の方法は、特に制限されず、例えば、前記第1の再刺激工程の説明において、「第1のCARライブラリ」を「第2のCARライブラリ」に読み替えて、その説明を援用できる。
【0974】
本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第2の採取工程で採取された第2の発現細胞における第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を決定する第2の配列決定工程を含んでもよい。前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、例えば、前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を決定することにより実施できる。具体的には、前記第2の配列決定工程では、前記第2の採取工程で採取された第2の発現細胞から核酸を抽出し、前記核酸における前記第2の重鎖可変領域および第2の軽鎖可変領域をコードする塩基配列を増幅し、前記塩基配列を決定することにより実施できる。これにより、本発明の第3のscFvの製造方法は、例えば、前記第2のB細胞受容体由来の第2の重鎖可変領域または第2の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を決定できる。
【0975】
前記第2の配列決定工程では、例えば、さらに、前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3と、前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3とを特定してもよい。各CDRの特定は、例えば、ゲノム情報(例えば、IMGTのホームページ<http://www.imgt.org/>)を参照し、公知の方法により実施できる。
【実施例】
【0976】
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
【0977】
[実施例1]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により、A2/NY-ESO-1157に結合するscFvをスクリーニングできることを確認した。
【0978】
(1)3M4E5 CARの調製
3M4E5 CARは、A2/NY-ESO-1157特異的抗体(clone:3M4E5)を用いて調製した。具体的には、3M4E5の免疫グロブリン重鎖由来の重鎖可変領域をコードする核酸(配列番号162)および3M4E5の免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖可変領域をコードする核酸(配列番号163)を、Fvリンカーペプチド(GSTSGSGKPGSGEGSTKG:配列番号1)をコードする核酸(配列番号3)で連結することにより、3M4E5 scFv(をコードする核酸を調製した。3M4E5の重鎖可変領域、Fvリンカーペプチド、および3M4E5の軽鎖可変領域をこの順番で連結したscFvを、3M4E5HL scFvという。また、3M4E5の軽鎖可変領域、Fvリンカーペプチド、および3M4E5の重鎖可変領域をこの順番で連結したscFvを、3M4E5LH scFvという。
【0979】
3M4E5の免疫グロブリン重鎖由来の重鎖可変領域をコードする核酸(配列番号162)
5’-GAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCA-3'
【0980】
3M4E5の免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖可変領域をコードする核酸(配列番号163)
5’-CAGAGCGAGCTGACACAGCCTAGATCCGTGTCTGGCAGCCCTGGCCAGAGCGTGACCATCAGCTGTACCGGCACCAGCAGAGATGTGGGCGGCTACAACTACGTGTCCTGGTATCAGCAGCATCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGATCATCCACGACGTGATCGAGCGGAGCAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCAGCAAGAGCGGCAACACCGCCAGCCTGACAATCAGCGGACTGCAGGCCGAGGACGAGGCCGACTACTACTGTTGGAGCTTCGCCGGCAGCTACTACGTGTTCGGCACCGGCACCGATGTGACCGTGCTG-3'
【0981】
3M4E5HL scFv(配列番号164)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGQSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVL
【0982】
3M4E5HL scFvをコードする核酸(配列番号165)
5’-GAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGAGCGAGCTGACACAGCCTAGATCCGTGTCTGGCAGCCCTGGCCAGAGCGTGACCATCAGCTGTACCGGCACCAGCAGAGATGTGGGCGGCTACAACTACGTGTCCTGGTATCAGCAGCATCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGATCATCCACGACGTGATCGAGCGGAGCAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCAGCAAGAGCGGCAACACCGCCAGCCTGACAATCAGCGGACTGCAGGCCGAGGACGAGGCCGACTACTACTGTTGGAGCTTCGCCGGCAGCTACTACGTGTTCGGCACCGGCACCGATGTGACCGTGCTG-3’
【0983】
3M4E5LH scFv(配列番号166)
QSELTQPRSVSGSPGQSVTISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLIIHDVIERSSGVPDRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCWSFAGSYYVFGTGTDVTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSS
【0984】
3M4E5LH scFvをコードする核酸(配列番号167)
5’-CAGAGCGAGCTGACACAGCCTAGATCCGTGTCTGGCAGCCCTGGCCAGAGCGTGACCATCAGCTGTACCGGCACCAGCAGAGATGTGGGCGGCTACAACTACGTGTCCTGGTATCAGCAGCATCCCGGCAAGGCCCCCAAGCTGATCATCCACGACGTGATCGAGCGGAGCAGCGGCGTGCCCGATAGATTCAGCGGCAGCAAGAGCGGCAACACCGCCAGCCTGACAATCAGCGGACTGCAGGCCGAGGACGAGGCCGACTACTACTGTTGGAGCTTCGCCGGCAGCTACTACGTGTTCGGCACCGGCACCGATGTGACCGTGCTGGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCA-3’
【0985】
つぎに、3M4E5HL scFvおよび3M4E5LH scFvをコードする核酸の3’端に、それぞれ、ヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号168)をコードする核酸(配列番号169)と、ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸とを、5’端側からこの順番に配置されるように連結した。これにより、3M4E5HL scFvを含む3M4E5HL CARをコードする核酸および3M4E5LH scFvを含む3M4E5LH CARをコードする核酸を調製した。なお、ヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸と、ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸とは、GeneArt(商標)(Thermo Fisher Scientific社)人工遺伝子合成サービスを利用し、取得した。また、ヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸の5’端には、NotIの制限酵素サイトを付加したものを使用した。
【0986】
ヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号168)
AAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0987】
ヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸(配列番号169)
5’-GCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCT-3’
【0988】
ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメイン(配列番号170)
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【0989】
ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸(配列番号171)
5’-CGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3’
【0990】
さらに、3M4E5HL CARをコードする核酸および3M4E5LH CARをコードする核酸の3’末端に、切断型のNGFR遺伝子(ΔNGFR)をコードする核酸を、フーリン(furin)切断部位(RAKR:配列番号172)、スペーサー配列(SGSG:配列番号173)およびコドン最適化P2A配列(ATNFSLLKQAGDVEENPGP:配列番号174)をコードする核酸を介して、連結した。これにより、タグ付加3M4E5HL CARをコードする核酸およびタグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を調製した。各核酸は、pMX発現ベクターに導入した。
【0991】
(2)第1のCARライブラリの調製
B細胞精製キット(CD19-positive selection kit、MACS(登録商標)beads、Miltenyi Biotec社製)を用いて、ヒト末梢血単核球から1~3×106細胞のヒト末梢血B細胞を精製した。得られたCD19+B細胞を回収後、cDNA合成キット(SMARTer(商標)RACE cDNA amplification kit、Takara Bio社製)を用いて、RNAを抽出し、さらに、前記RNAからcDNAを合成した。
【0992】
前記cDNAと、5’-RACEプライマー、3’IGHCプライマーおよび3’IGHMプライマーの混合物とを用い、PCRにより、免疫グロブリン重鎖由来の重鎖可変領域および定常領域の一部を含むタンパク質をコードする核酸を増幅した。前記3’IGHCプライマーは、ヒトIgGのCH1領域にハイブリダイズする。また、3’IGHMプライマーは、ヒトIgMのCH1領域にハイブリダイズする。
【0993】
5’-RACEプライマー(配列番号175)
5’-CTAATACGACTCACTATAGGGCAAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT-3’
3’IGHCプライマー(配列番号176)
5’-TGAGTTCCACGACACCGTCAC-3’
3’IGHMプライマー(配列番号177)
5’-TCCAGGACAAAGTGATGGAGTC-3’
【0994】
つぎに、1回目のPCR産物と、改変5’-RACEプライマー、3’IGHJ1プライマー、3’IGHJ2プライマーおよび3’IGHJ3プライマーの混合物とを用い、semi-nested PCRを実施し、重鎖可変領域をコードする核酸を増幅した。これにより、ヒト末梢血B細胞由来の重鎖可変領域をコードする核酸のライブラリを調製した。前記3’IGHJ1プライマー、3’IGHJ2プライマーおよび3’IGHJ3プライマーは、重鎖のJ領域(J遺伝子断片)にハイブリダイズする。
【0995】
改変5’-RACEプライマー(配列番号178)
5’-GTGTGGTGGTACGGGAATTCAAGCAGTGGTATCAACGCAGAGT-3’
3’IGHJ1プライマー(配列番号179)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTGAGGAGACGGTGACCAGGG-3’
3’IGHJ2プライマー(配列番号180)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTGAAGAGACGGTGACCATTGTC-3’
3’IGHJ3プライマー(配列番号181)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTGAGGAGACGGTGACCGTGGTC-3’
【0996】
つぎに、1回目のPCRにおいて、3’IGHCプライマーおよび3’IGHMプライマーに代えて、3’IGKCプライマーおよび3’IGLCプライマーを用い、2回目のsemi-nested PCRにおいて、3’IGHJ1プライマー、3’IGHJ2プライマーおよび3’IGHJ3プライマーに代えて、3’IGKJ1プライマー、3’IGKJ2プライマー、3’IGKJ3プライマー、3’IGKJ4プライマー、3’IGLJ1プライマー、3’IGLJ2プライマー、3’IGLJ4プライマー、3’IGLJ5プライマー、および3’IGLJ7プライマーを用いた以外は、前記重鎖可変領域をコードする核酸の増幅と同様にして、免疫グロブリン軽鎖由来の軽鎖可変領域をコードする核酸を増幅した。これにより、ヒト末梢血B細胞由来の軽鎖可変領域をコードする核酸のライブラリを調製した。3’IGKCプライマーおよび3’IGLCプライマーは、それぞれ、κ鎖およびλ鎖のCH1領域にハイブリダイズする。また、3’IGKJ1プライマー、3’IGKJ2プライマー、3’IGKJ3プライマー、3’IGKJ4プライマー、3’IGLJ1プライマー、3’IGLJ2プライマー、3’IGLJ4プライマー、3’IGLJ5プライマー、および3’IGLJ7プライマーは、それぞれ、軽鎖のJ領域(J遺伝子断片)にハイブリダイズする。
【0997】
3’IGKCプライマー(配列番号182)
5’-AGGGTCAGAGGCCAAAGGATGG-3’
3’IGLCプライマー(配列番号183)
5’-CTTGGAGCTCCTCAGAGGAG-3’
3’IGKJ1プライマー(配列番号184)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTTTGATTTCCACCTTGGTCCC-3’
3’IGKJ2プライマー(配列番号185)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTTTGATCTCCAGCTTGGTCCC-3’
3’IGKJ3プライマー(配列番号186)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTTTGATATCCACTTTGGTCCC-3’
3’IGKJ4プライマー(配列番号187)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTTTAATCTCCAGTCGTGTCCC-3’
3’IGLJ1プライマー(配列番号188)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTAGGACGGTGACCTTGGTCCC-3’
3’IGLJ2プライマー(配列番号189)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTAGGACGGTCAGCTTGGTCCC-3’
3’IGLJ4プライマー(配列番号190)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTAAAATGATCAGCTGGGTTCC-3’
3’IGLJ5プライマー(配列番号191)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCTAGGACGGTCAGCTCGGTCCC-3’
3’IGLJ7プライマー(配列番号192)
5’-CTTGCCAGAGCCGCTTGTAGAGCCGAGGACGGTCAGCTGGGTGCC-3’
【0998】
前記(1)の3M4E5HL scFvをコードする核酸の5’側の重鎖可変領域をコードする核酸を、前記ヒト末梢血B細胞由来の重鎖可変領域の核酸を含むライブラリで置換することにより、hH-3M4E4L scFvライブラリを調製した。そして、3M4E5HL scFvをコードする核酸に代えて、hH-3M4E4L scFvライブラリを用いた以外は、前記(1)と同様にして、タグが付加されたhH-3M4E4L CARライブラリを調製した。タグが付加されたhH-3M4E4L CARライブラリを、pMX発現ベクターに導入し、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを調製した。なお、hH-3M4E4L CARライブラリにおける重鎖可変領域の不均一性(heterogeneity)は、制限酵素マッピングおよび各領域をサンガー法によりシークエンスすることで、約1×106種類であることを確認した。
【0999】
(3)第1のCARライブラリ発現T細胞(第1の候補CAR-T)の調製
Plat-A細胞(国立大学法人東京大学医科学研究所 北村俊雄先生より分与)に、トランスフェクション試薬(TransIT293、Takara Bio社製)を用い、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入し、エコトロピックレトロウイルス(Ecotropic retrovirus)を含む培養上清を調製した。前記Plat-A細胞は、10%ウシ胎児血清(FCS)、1μg/mLピューロマイシン、10μg/mLブラストサイジン含有DMEM培地で維持したものを使用した。つぎに、前記エコトロピックウイルスを含む培養上清を添加することにより、パッケージング細胞であるPG13細胞にhH-3M4E4L CARライブラリを導入し、hH-3M4E4L CARライブラリを含むGaLV-pseudotypedレトロウイルスを調製した。そして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスをヒト末梢血T細胞に感染させることにより、CAR-Tを調製した。PG13細胞の培地の組成は、10%FCS含有DMEM培地とし、培養条件は、37℃、5%CO2とし、湿潤雰囲気下とした。以下、特に言及しない限り細胞の培養条件は同様とした。
【1000】
つぎに、健常者からヒト末梢血単核球を単離した。得られたヒト末梢血単核球を、50ng/mL 抗CD3抗体(clone:OKT3)および100IU/mL ヒトIL-2の存在下、2日間培養した。前記ヒト末梢血単核球の培地の組成は、50μg/mLゲンタマイシン、10%ヒトAB血清(Sigma社製)含有RPMI1640培地とした。前記培養後、GaLV-pseudotypedレトロウイルスの存在下、1000×g、32℃の条件下で1時間遠心することにより、前記レトロウイルスをT細胞に感染させ、hH-3M4E4L CARライブラリをT細胞に導入した。同様のレトロウイルスの感染およびhH-3M4E4L CARライブラリの導入を、更に5回(合計6回)実施した。得られたT細胞について、PE標識anti-human NGFR mAb (clone:ME20.4)で染色後、フローサイトメーター(Gallios flow cytometer、Beckman Coulter社製)を用いて、T細胞上のタグの発現を確認することにより、30%の導入効率で1つのhH-3M4E4L CARが1つのT細胞に発現していることを確認した。フローサイトメーターで得られたデータの解析には、解析ソフト(FlowJo Version 7.6.5 software、TreeStar社製)を用いた(以下、同様)。
【1001】
前記hH-3M4E4 CARライブラリの導入後のT細胞を、前記PE標識anti-human NGFR mAbと反応させた。前記反応後、抗PEマイクロビーズ(Miltenyi Biotec社製)を用いて、hH-3M4E4 CARライブラリが導入されたT細胞を精製し、これを第1の候補CAR-Tとした。
【1002】
(4)標的抗原の発現細胞の調製
レトロウイルスを用いて、HLA-A*02:01をコードする核酸と、CD80、CD83、CD40、および4-1BBLをコードする核酸とを、K562細胞(HLAおよびCD19の発現無し、ATCCより入手)に導入し、抗原提示細胞(APC、K562/A2)とした。
【1003】
HLA-A*02:01をコードする核酸(配列番号193)
5'-ATGGCCGTCATGGCGCCCCGAACCCTCGTCCTGCTACTCTCGGGGGCTCTGGCCCTGACCCAGACCTGGGCGGGCTCTCACTCCATGAGGTATTTCTTCACATCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCGCAGTGGGCTACGTGGACGACACGCAGTTCGTGCGGTTCGACAGCGACGCCGCGAGCCAGAGGATGGAGCCGCGGGCGCCGTGGATAGAGCAGGAGGGTCCGGAGTATTGGGACGGGGAGACACGGAAAGTGAAGGCCCACTCACAGACTCACCGAGTGGACCTGGGGACCCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCGGTTCTCACACCGTCCAGAGGATGTATGGCTGCGACGTGGGGTCGGACTGGCGCTTCCTCCGCGGGTACCACCAGTACGCCTACGACGGCAAGGATTACATCGCCCTGAAAGAGGACCTGCGCTCTTGGACCGCGGCGGACATGGCAGCTCAGACCACCAAGCACAAGTGGGAGGCGGCCCATGTGGCGGAGCAGTTGAGAGCCTACCTGGAGGGCACGTGCGTGGAGTGGCTCCGCAGATACCTGGAGAACGGGAAGGAGACGCTGCAGCGCACGGACGCCCCCAAAACGCATATGACTCACCACGCTGTCTCTGACCATGAAGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGAGCTTCTACCCTGCGGAGATCACACTGACCTGGCAGCGGGATGGGGAGGACCAGACCCAGGACACGGAGCTCGTGGAGACCAGGCCTGCAGGGGATGGAACCTTCCAGAAGTGGGCGGCTGTGGTGGTGCCTTCTGGACAGGAGCAGAGATACACCTGCCATGTGCAGCATGAGGGTTTGCCCAAGCCCCTCACCCTGAGATGGGAGCCGTCTTCCCAGCCCACCATCCCCATCGTGGGCATCATTGCTGGCCTGGTTCTCTTTGGAGCTGTGATCACTGGAGCTGTGGTCGCTGCTGTGATGTGGAGGAGGAAGAGCTCAGATAGAAAAGGAGGGAGCTACTCTCAGGCTGCAAGCAGTGACAGTGCCCAGGGCTCTGATGTGTCTCTCACAGCTTGTAAAGTG-3'
【1004】
CD80をコードする核酸(配列番号194)
5'-ATGGGCCACACACGGAGGCAGGGAACATCACCATCCAAGTGTCCATACCTCAATTTCTTTCAGCTCTTGGTGCTGGCTGGTCTTTCTCACTTCTGTTCAGGTGTTATCCACGTGACCAAGGAAGTGAAAGAAGTGGCAACGCTGTCCTGTGGTCACAATGTTTCTGTTGAAGAGCTGGCACAAACTCGCATCTACTGGCAAAAGGAGAAGAAAATGGTGCTGACTATGATGTCTGGGGACATGAATATATGGCCCGAGTACAAGAACCGGACCATCTTTGATATCACTAATAACCTCTCCATTGTGATCCTGGCTCTGCGCCCATCTGACGAGGGCACATACGAGTGTGTTGTTCTGAAGTATGAAAAAGACGCTTTCAAGCGGGAACACCTGGCTGAAGTGACGTTATCAGTCAAAGCTGACTTCCCTACACCTAGTATATCTGACTTTGAAATTCCAACTTCTAATATTAGAAGGATAATTTGCTCAACCTCTGGAGGTTTTCCAGAGCCTCACCTCTCCTGGTTGGAAAATGGAGAAGAATTAAATGCCATCAACACAACAGTTTCCCAAGATCCTGAAACTGAGCTCTATGCTGTTAGCAGCAAACTGGATTTCAATATGACAACCAACCACAGCTTCATGTGTCTCATCAAGTATGGACATTTAAGAGTGAATCAGACCTTCAACTGGAATACAACCAAGCAAGAGCATTTTCCTGATAACCTGCTCCCATCCTGGGCCATTACCTTAATCTCAGTAAATGGAATTTTTGTGATATGCTGCCTGACCTACTGCTTTGCCCCAAGATGCAGAGAGAGAAGGAGGAATGAGAGATTGAGAAGGGAAAGTGTACGCCCTGTA-3'
【1005】
CD83をコードする核酸(配列番号195)
5'-ATGTCGCGCGGCCTCCAGCTTCTGCTCCTGAGCTGCGCCTACAGCCTGGCTCCCGCGACGCCGGAGGTGAAGGTGGCTTGCTCCGAAGATGTGGACTTGCCCTGCACCGCCCCCTGGGATCCGCAGGTTCCCTACACGGTCTCCTGGGTCAAGTTATTGGAGGGTGGTGAAGAGAGGATGGAGACACCCCAGGAAGACCACCTCAGGGGACAGCACTATCATCAGAAGGGGCAAAATGGTTCTTTCGACGCCCCCAATGAAAGGCCCTATTCCCTGAAGATCCGAAACACTACCAGCTGCAACTCGGGGACATACAGGTGCACTCTGCAGGACCCGGATGGGCAGAGAAACCTAAGTGGCAAGGTGATCTTGAGAGTGACAGGATGCCCTGCACAGCGTAAAGAAGAGACTTTTAAGAAATACAGAGCGGAGATTGTCCTGCTGCTGGCTCTGGTTATTTTCTACTTAACACTCATCATTTTCACTTGTAAGTTTGCACGGCTACAGAGTATCTTCCCAGATTTTTCTAAAGCTGGCATGGAACGAGCTTTTCTCCCAGTTACCTCCCCAAATAAGCATTTAGGGCTAGTGACTCCTCACAAGACAGAACTGGTA-3'
【1006】
CD40をコードする核酸(配列番号196)
5'-ATGGTTCGTCTGCCTCTGCAGTGCGTCCTCTGGGGCTGCTTGCTGACCGCTGTCCATCCAGAACCACCCACTGCATGCAGAGAAAAACAGTACCTAATAAACAGTCAGTGCTGTTCTTTGTGCCAGCCAGGACAGAAACTGGTGAGTGACTGCACAGAGTTCACTGAAACGGAATGCCTTCCTTGCGGTGAAAGCGAATTCCTAGACACCTGGAACAGAGAGACACACTGCCACCAGCACAAATACTGCGACCCCAACCTAGGGCTTCGGGTCCAGCAGAAGGGCACCTCAGAAACAGACACCATCTGCACCTGTGAAGAAGGCTGGCACTGTACGAGTGAGGCCTGTGAGAGCTGTGTCCTGCACCGCTCATGCTCGCCCGGCTTTGGGGTCAAGCAGATTGCTACAGGGGTTTCTGATACCATCTGCGAGCCCTGCCCAGTCGGCTTCTTCTCCAATGTGTCATCTGCTTTCGAAAAATGTCACCCTTGGACAAGCTGTGAGACCAAAGACCTGGTTGTGCAACAGGCAGGCACAAACAAGACTGATGTTGTCTGTGGTCCCCAGGATCGGCTGAGAGCCCTGGTGGTGATCCCCATCATCTTCGGGATCCTGTTTGCCATCCTCTTGGTGCTGGTCTTTATCAAAAAGGTGGCCAAGAAGCCAACCAATAAGGCCCCCCACCCCAAGCAGGAACCCCAGGAGATCAATTTTCCCGACGATCTTCCTGGCTCCAACACTGCTGCTCCAGTGCAGGAGACTTTACATGGATGCCAACCGGTCACCCAGGAGGATGGCAAAGAGAGTCGCATCTCAGTGCAGGAGAGACAG-3'
【1007】
4-1BBLをコードする核酸(配列番号197)
5'-ATGGAATACGCCTCTGACGCTTCACTGGACCCCGAAGCCCCGTGGCCTCCCGCGCCCCGCGCTCGCGCCTGCCGCGTACTGCCTTGGGCCCTGGTCGCGGGGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCTCGCTGCCGCCTGCGCCGTCTTCCTCGCCTGCCCCTGGGCCGTGTCCGGGGCTCGCGCCTCGCCCGGCTCCGCGGCCAGCCCGAGACTCCGCGAGGGTCCCGAGCTTTCGCCCGACGATCCCGCCGGCCTCTTGGACCTGCGGCAGGGCATGTTTGCGCAGCTGGTGGCCCAAAATGTTCTGCTGATCGATGGGCCCCTGAGCTGGTACAGTGACCCAGGCCTGGCAGGCGTGTCCCTGACGGGGGGCCTGAGCTACAAAGAGGACACGAAGGAGCTGGTGGTGGCCAAGGCTGGAGTCTACTATGTCTTCTTTCAACTAGAGCTGCGGCGCGTGGTGGCCGGCGAGGGCTCAGGCTCCGTTTCACTTGCGCTGCACCTGCAGCCACTGCGCTCTGCTGCTGGGGCCGCCGCCCTGGCTTTGACCGTGGACCTGCCACCCGCCTCCTCCGAGGCTCGGAACTCGGCCTTCGGTTTCCAGGGCCGCTTGCTGCACCTGAGTGCCGGCCAGCGCCTGGGCGTCCATCTTCACACTGAGGCCAGGGCACGCCATGCCTGGCAGCTTACCCAGGGCGCCACAGTCTTGGGACTCTTCCGGGTGACCCCCGAAATCCCAGCCGGACTCCCTTCACCGAGGTCGGAA-3'
【1008】
(5)第1のスクリーニング方法(1回目)
前記(3)の第1の候補CAR-Tと、前記(4)で調製したAPCとを用いて、スクリーニングを行なった。具体的には、2×106第1の候補CAR-Tと、1×105APCとを各ウェル(24ウェルプレート)に播種後、7日間共培養した。前記APCは、20Gyでγ線処理後、1~10μg/mLでNY-ESO-1157-165ペプチド(NY-ESO-1157ペプチド、SLLMWITQC:配列番号206)をパルスし、前記パルス後にHLA-A*02:01に結合していないペプチドを除去した細胞を用いた。また、前記第1の候補CAR-TとAPCとの共培養に用いた培地の組成は、50μg/mLゲンタマイシン、10%ヒトAB血清(Sigma社製)、10IU/mL ヒトIL-2(Roche社製)、および10ng/mL ヒトIL-15(PeproTech社製)含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、第1の候補CAR-Tを回収し、同様の条件でAPCとの共培養をさらに2回(合計3回)実施した。これにより、A2/NY-ESO-1157と結合するhH-3M4E4L CARを発現する第1の候補CAR-Tを富化した。
【1009】
つぎに、富化後の第1の候補CAR-Tを回収し、20μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した。前記PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーは、ビオチン化HLA-A2/NY-ESO-1
157の単量体と、PE標識ストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific社製)とを混合することにより調製した。前記染色後、前記T細胞をさらに、PC5標識anti-human CD8a mAb(clone:B9.11)、FITC標識anti-human CD4 mAb(clone:OKT4)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。各抗体の濃度は、約10μg/mLとした。そして、テトラマー染色後の第1の候補CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、A2/NY-ESO-1
157と結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tの存在を確認した(donor 1)。同様の試験を、異なる健常者由来のT細胞を用いて実施した(donor 2)。また、ポジティブコントロールは、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5HL CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、HLA-A*02:01およびHIV Gag
77-85ペプチド(SLYNTVATL:配列番号198)の複合体(A2/HIV-Gag
77)のテトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+、SSC
+、NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図1に示す。
【1010】
図1は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図1において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示す。
図1に示すように、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかったT細胞(コントロール2)では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合するT細胞は存在しなかった。また、3M4E5HL CARを発現するCAR-T(3M4E5-CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、前記第1の候補CAR-T(donor 1および2)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しなかった。このことから、前記第1の候補CAR-Tに、A2/NY-ESO-1
157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tが存在することがわかった。
【1011】
つぎに、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tを選抜し、前記第1の候補CAR-Tが発現するCARを同定した。具体的には、前記(5)と同様にして、前記第1の候補CAR-Tを染色した。つぎに、前記第1の候補CAR-Tからフローサイトメーター(FACSAria(商標)、Becton Dickinson社製)を用いた細胞選別により、NGFR+CD8+A2/NY-ESO-1157テトラマー+画分、またはNGFR+CD4+A2/NY-ESO-1157テトラマー+画分を、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tとして分取した。総RNA抽出試薬(TRIzol(登録商標)、Ambion社製)を用いて、得られた第1の候補CAR-Tから総RNAを抽出した。逆転写酵素(Superscript(登録商標)III、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、前記総RNAからcDNAを合成した。
【1012】
得られたcDNAと、下記フォワードプライマー1およびリバースプライマー1の混合物とを用いて、PCRを実施し、scFvをコードする核酸を増幅した。クローニングキット(Gibson Assembly Master Mix、New England Biolab社製)を用い、得られたscFvをコードする核酸を、scFvをコードする核酸がヒトCD28の部分領域の5’端に連結されるように、pMX/CAR発現ベクターに導入した(pMX/scFv発現ベクター)。pMX/CAR発現ベクターは、pMX発現ベクターにヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸(配列番号169)と、ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸(配列番号171)とを、5’端側からこの順番に配置されるように連結し、導入することにより調製した。そして、得られたpMX/scFv発現ベクターについて、サンガー法によりシークエンスすることで、CARをコードする塩基配列(H1-3M4E5L CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号138)およびH73-3M4E5L CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号157))を同定した。また、前記塩基配列に基づき、scFvのアミノ酸配列(H1-3M4E5L(配列番号98)およびH73-3M4E5L(配列番号117))を同定した。そして、scFvのアミノ酸配列に基づき、前記表1Aに示す新たな重鎖可変領域(HA)および(HC)のCDRH1、CDRH2およびCDRH3を同定した。また、前記pMX/scFv発現ベクターから、H1-3M4E5Lをコードするポリヌクレオチドを含むpMX/H1-3M4E5L発現ベクターおよびH73-3M4E5Lをコードするポリヌクレオチドを含むpMX/H73-3M4E5L発現ベクターを調製した。
【1013】
フォワードプライマー1(配列番号199)
5'-ATCCCAGTGTGGTGGTACGGG-3'
リバースプライマー1(配列番号200)
5'-GGGTACATCACTTCGATTGC-3'
【1014】
(6)第1の候補scFvの解析
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターまたはpMX/H73-3M4E5L発現ベクターを用いた以外は、前記(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、前記GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を添加することにより、Jurkat76細胞にpMX/H1-3M4E5L発現ベクターまたはpMX/H73-3M4E5L発現ベクターを導入し、scFvとしてH1-3M4E5LまたはH73-3M4E5Lを含むCAR(H1-3M4E5L CARまたはH73-3M4E5L CAR)を発現させた。前記CAR発現後のJurkat76細胞を、前記PE標識anti-human NGFR mAbと反応させた。前記反応後、前記抗PEマイクロビーズを用いて、H1-3M4E5L CARおよびH73-3M4E5L CARを発現するJurkat76細胞(H1-3M4E5L CAR-TまたはH73-3M4E5L CAR T)を精製した。H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR Tについて、5μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色後、V450標識 anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後のH1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR Tについて、フローサイトメトリーにより解析した。ポジティブコントロールは、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターまたはpMX/H73-3M4E5L発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターまたはpMX/H73-3M4E5L発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図2に示す。
【1015】
図2は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図2において、横軸は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーまたはA2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した際の平均蛍光強度を示し、縦軸は、側方散乱光(SSC)の平均強度を示す。
図2に示すように、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターまたはpMX/H73-3M4E5L発現ベクターを導入しなかったJurkat76細胞(コントロール2)では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合する細胞は存在しなかった。また、3M4E5HL CAR-T(3M4E5 CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、ほぼ全ての細胞がA2テトラマー
+であり、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、A2テトラマー
-であることから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、ほぼ全ての細胞がA2テトラマー
+であり、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、A2テトラマー
-であった。このことから、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1016】
(7)第1の候補scFvの親和性
つぎに、前記(6)で得られたH1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR Tと、3M4E5LH CARを発現するJurkat76細胞(3M4E5LH CAR-T)について、所定濃度(0.0004194304、0.001048576、0.00262144、0.0065536、0.016384、0.04096、0.1024、0.256、0.64、1.6、4、または10μg/mL)のPE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色後、V450標識 anti-human NGFR mAbで染色した以外は、前記(6)と同様にして、フローサイトメトリーにより解析した。そして、A2/NY-ESO-1
157テトラマーの各濃度における、A2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を算出した。この結果を、
図3に示す。
【1017】
図3は、A2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を示すグラフである。
図3において、横軸は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーの濃度を示し、縦軸は、A2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を示す。
図3に示すように、各CAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーの濃度依存的にA2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合が増加した。また、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR Tは、3M4E5LH CAR-Tと同程度のA2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞を得るのに、A2/NY-ESO-1
157テトラマーをより高濃度にする必要があることから、これらのCAR-TにおけるscFvのA2/NY-ESO-1
157テトラマーに対する親和性は異なることがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合する異なる親和性を有するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1018】
(8)第1の候補scFvの機能
つぎに、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tが、前記標的抗原との結合により、活性化するかを検討した。具体的には、3×10
5細胞のH1-3M4E5L CAR-TまたはH73-3M4E5L CAR-Tと、5×10
4細胞のT2細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)は、所定濃度(0.0005、0.0015、0.004、0.01、0.04、0.122、0.366、1.11、3.33または10μg/mL)でNY-ESO-1
157ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)を用いた。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tを回収し、FITC標識anti-human CD69 mAb(clone:FN50)およびV450標識anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後のH1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、NGFR
+細胞について、CD69の平均蛍光強度を測定した。ポジティブコントロールは、前記(6)で得られた3M4E5HL CAR-Tを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、NY-ESO-1
157ペプチドに代えて、HIV Gag
77-85ペプチドをパルスしたT2細胞(T2 + HIV Gag
77)を用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、各ペプチドの濃度について、コントロール2におけるCD69の平均蛍光強度を基準として、各サンプルのCD69の発現上昇の割合を算出した。これらの結果を
図4および5に示す。
【1019】
図4は、ペプチド濃度が10μg/mLの場合におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図4において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、CD69の発現上昇の割合を示す。
図4に示すように、コントロール2では、CD69の発現上昇は生じなかった。他方、3M4E5HL CAR-T(ポジティブコントロール)は、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、CD69の発現が上昇し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化していることが確認できた。また、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tは、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、CD69の発現が上昇し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化した。さらに、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tは、3M4E5 HL CAR-Tと比較して、T2 + HIV Gag
77刺激時のCD69の発現量の上昇率を基準とした、CD69の発現上昇率が高い。このため、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR-Tは、3M4E5 HL CAR-Tと比較して、A2/NY-ESO-1
157に対する特異性が高いことがわかった。また、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、CAR-T細胞において機能し、かつより特異性の高いscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1020】
つぎに、NY-ESO-1
157ペプチドの段階希釈時のCD69の発現変化の結果を
図5に示す。
図5は、CD69の発現量の変化を示すグラフである。
図5において、横軸は、NY-ESO-1
157ペプチドの濃度を示し、縦軸は、CD69の発現上昇の割合を示す。
図5に示すように、各CAR-Tは、NY-ESO-1
157ペプチドの濃度依存的にCD69の発現が上昇した。また、H1-3M4E5L CAR-TおよびH73-3M4E5L CAR Tは、3M4E5LH CAR-Tと比較して、CD69の発現上昇がシャープであり、A2/NY-ESO-1
157に対する特異性が高いことがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、CAR-T細胞において機能し、かつより特異性の高いscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1021】
(9)第2のCARライブラリの調製
第1のCARライブラリからスクリーニングされた重鎖可変領域(HA)を用いて、第2のCARライブラリを調製した。具体的には、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸が導入されたpMX発現ベクターについて、重鎖可変領域(3M4E5H)をコードする核酸を、重鎖可変領域(HA)をコードする核酸で置換した(3M4E5L-H1発現ベクター)。つぎに、3M4E5L-H1発現ベクターについて、軽鎖可変領域(3M4E5L)をコードする核酸を、前記(2)の軽鎖可変領域をコードする核酸のライブラリで置換した。これにより、第2のCARライブラリを含む発現ベクター(hK-H1 CARライブラリの発現ベクター)を調製した。なお、hK-H1 CARライブラリにおける重鎖可変領域の不均一性(heterogeneity)は、制限酵素マッピングおよび各領域をサンガー法によりシークエンスすることで、約1×106種類であることを確認した。
【1022】
(10)第2のCARライブラリ発現T細胞(第2の候補CAR-T)の調製
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、hK-H1 CARライブラリの発現ベクターを用いた以外は、前記(3)と同様にして、hK-H1 CARライブラリが導入されたT細胞を精製し、これを第2の候補CAR-Tとした。
【1023】
(11)第1のスクリーニング方法(2回目)
つぎに、前記第1の候補CAR-Tに代えて、前記第2の候補CAR-Tを用いた以外は、前記(5)と同様にして、A2/NY-ESO-1
157と結合するCARを発現する第2の候補CAR-Tの存在を確認した(donor 1)。同様の試験を、異なる健常者由来のヒト末梢血B細胞由来の重鎖可変領域の核酸を含むライブラリを用いて実施した(donor 2)。また、ポジティブコントロールは、hK-H1 CARライブラリの発現ベクターに代えて、pMX/3M4E5L-H1発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-3M4E5L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図6に示す。
【1024】
図6は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図6において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示す。
図6に示すように、hK-H1 CARライブラリの発現ベクターを導入しなかったT細胞(コントロール2)では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合するT細胞は存在しなかった。また、3M4E5L-H1 CARを発現するCAR-T(3M4E5L-H1 CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが再確認できた。そして、前記第2の候補CAR-T(donor 1および2)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しなかった。このことから、前記第2の候補CAR-Tに、A2/NY-ESO-1
157に結合するCARを発現する第2の候補CAR-Tが存在することがわかった。
【1025】
つぎに、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第2の候補CAR-Tを選抜し、前記第2の候補CAR-Tが発現するCARを同定した。具体的には、A2/NY-ESO-1157テトラマーを用いて前記第2の候補CAR-Tを染色した。つぎに、前記第2の候補CAR-Tからフローサイトメーターを用いた細胞選別により、NGFR+CD8+A2/NY-ESO-1157テトラマー+画分、またはNGFR+CD4+A2/NY-ESO-1157テトラマー+画分を、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第2の候補CAR-Tとして分取した。A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tに代えて、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第2の候補CAR-Tを用いた以外は、前記(5)と同様にして、scFvを調製し、pMX/CAR発現ベクターに導入した。そして、得られたscFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターについて、サンガー法によりシークエンスすることで、CARをコードする塩基配列(K52-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号139)、K73-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号140)、K121-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号141)、K124-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号142)、K125-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号143)、K131-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号144)、K145-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号145)、K151-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号146)、K160-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号147)、K173-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号148))を同定した。また、前記塩基配列に基づき、scFvのアミノ酸配列(K52-H1(配列番号99)、K73-H1(配列番号100)、K121-H1(配列番号101)、K124-H1(配列番号102)、K125-H1(配列番号103)、K131-H1(配列番号104)、K145-H1(配列番号105)、K151-H1(配列番号106)、K160-H1(配列番号107)、K173-H1(配列番号108))を同定した。そして、scFvのアミノ酸配列に基づき、前記表1B記載の新たな軽鎖可変領域(LB)~(LJ)のCDRH1、CDRH2およびCDRH3を同定した。
【1026】
(12)第2の候補scFvの解析
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターのscFvをコードするポリヌクレオチドに代えて、前記(11)の各scFvをコードするポリヌクレオチドが導入されたpMX/CAR発現ベクターを用いた以外は、前記(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、前記GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を添加することにより、Jurkat76細胞に各scFvをコードするポリヌクレオチドが導入されたpMX/CAR発現ベクターを導入し、scFvとしてK52-H1、K73-H1、K121-H1、K124-H1、K125-H1、K131-H1、K145-H1、K151-H1、K160-H1、またはK173-H1を含むCARを発現させた。前記CAR発現後のJurkat76細胞を、前記PE標識anti-human NGFR mAbと反応させた。前記反応後、前記抗PEマイクロビーズを用いて、各CARを発現するJurkat76細胞を精製した。精製された各CARを発現するJurkat76細胞について、5μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色後、V450標識 anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後の各CARを発現するJurkat76細胞について、フローサイトメトリーにより解析した。また、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターに代えて、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。ポジティブコントロールは、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図7(A)および(B)に示す。
【1027】
図7(A)および(B)は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図7(A)および(B)において、横軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示し、縦軸は、側方散乱光(SSC)の平均強度を示す。
図7(A)および(B)に示すように、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターを導入しなかったJurkat76細胞(コントロール2)では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合する細胞は存在しなかった。また、3M4E5LH CAR-T(3M4E5-CARポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、ほぼ全ての細胞がA2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、H1-3M4E5L、K52-H1、K73-H1、K121-H1、K124-H1、K125-H1、K131-H1、K145-H1、K151-H1、K160-H1、またはK173-H1を含むCARを発現するT細胞は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、ほぼ全てまたは一部の細胞がA2テトラマー
+画分に存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、A2テトラマー
+画分が存在しなかった。このことから、H1-3M4E5L、K52-H1、K73-H1、K121-H1、K124-H1、K125-H1、K131-H1、K145-H1、K151-H1、K160-H1、またはK173-H1を含むCARは、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合する新たな重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むscFvをスクリーニングできることがわかった。また、A2/NY-ESO-1
157テトラマーでの染色の程度が異なるCARを発現するT細胞が存在することから、標的抗原に対して異なる親和性を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1028】
[実施例2]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により、A2/NY-ESO-1157に結合するscFvをスクリーニングできることを確認した。
【1029】
(1)第1のCARライブラリの調製
前記実施例1(1)の3M4E5LH scFvをコードする核酸の5’側の軽鎖可変領域をコードする核酸を、前記ヒト末梢血B細胞由来の軽鎖可変領域の核酸を含むライブラリで置換することにより、hL-3M4E4H scFvライブラリを調製した。そして、3M4E5LH scFvをコードする核酸に代えて、hL-3M4E4H scFvライブラリを用いた以外は、前記実施例1(1)と同様にして、タグが付加されたhL-3M4E4H CARライブラリを調製した。タグが付加されたhL-3M4E4H CARライブラリを、pMX発現ベクターに導入し、hL-3M4E4H CARライブラリの発現ベクターを調製した。なお、hL-3M4E4H CARライブラリの重鎖可変領域の不均一性は、制限酵素マッピングおよび各領域をサンガー法によりシークエンスすることで確認した。
【1030】
(2)第1のCARライブラリ発現T細胞(第1の候補CAR-T)の調製
前記hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、hL-3M4E4H CARライブラリの発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、hL-3M4E4H CARライブラリが導入されたT細胞を精製し、これを第1の候補CAR-Tとした。
【1031】
(3)第1のスクリーニング方法
前記実施例1(3)の第1の候補CAR-Tに代えて、前記実施例2(2)の第1の候補CAR-Tを用いた以外は、前記実施例1(5)と同様にして、A2/NY-ESO-1
157と結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tの存在を確認した(donor 1)。同様の試験を、異なる健常者由来のヒト末梢血B細胞由来の重鎖可変領域の核酸を含むライブラリを用いて実施した(donor 2)。また、ポジティブコントロールは、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hL-3M4E4H CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図8に示す。
【1032】
図8は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図8において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示す。
図8に示すように、hL-3M4E4H CARライブラリの発現ベクターを導入しなかったT細胞(コントロール2)では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合するT細胞は存在しなかった。また、3M4E5LH CARを発現するCAR-T(3M4E5-CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、前記第1の候補CAR-T(donor 1および2)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しなかった。このことから、前記第1の候補CAR-Tに、A2/NY-ESO-1
157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tが存在することがわかった。
【1033】
つぎに、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tを選抜し、前記第1の候補CAR-Tが発現するCARを同定した。具体的には、前記実施例2(3)と同様にして、前記第1の候補CAR-Tを染色した。つぎに、前記第1の候補CAR-Tからフローサイトメーターを用いた細胞選別により、NGFR+CD8+A2/NY-ESO-1157テトラマー+画分、またはNGFR+CD4+A2/NY-ESO-1157テトラマー+画分を、A2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tとして分取した。前記実施例1(5)のA2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tに代えて、新たに分取したA2/NY-ESO-1157に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tを用いた以外は、前記実施例1(5)と同様にして、scFvを調製し、pMX/CAR発現ベクターに導入した。そして、得られたscFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターについて、サンガー法によりシークエンスすることにより、CARをコードする塩基配列(L1-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号149)、L66-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号151)、L73-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号152)、L80-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号153)、L88-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号154)、L102-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号155)、およびL124-3M4E5 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号156))を同定した。また、前記塩基配列に基づき、scFvのアミノ酸配列(L1-3M4E5(配列番号109)、L66-3M4E5(配列番号111)、L73-3M4E5(配列番号112)、L80-3M4E5(配列番号113)、L88-3M4E5(配列番号114)、L102-3M4E5(配列番号115)、およびL124-3M4E5(配列番号116))を同定した。そして、scFvのアミノ酸配列に基づき、前記表1B記載の新たな軽鎖可変領域(LK)~(LQ)のCDRH1、CDRH2およびCDRH3を同定した。
【1034】
(4)第1の候補scFvの解析
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターのscFvをコードするポリヌクレオチドに代えて、前記実施例2(3)の各scFvをコードするポリヌクレオチドが導入されたpMX/CAR発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、前記GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を添加することにより、Jurkat76細胞に各scFvをコードするポリヌクレオチドが導入されたpMX/CAR発現ベクターを導入し、scFvとしてL1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を含むCARを発現させた。前記CAR発現後のJurkat76細胞を、前記PE標識anti-human NGFR mAbと反応させた。前記反応後、前記抗PEマイクロビーズを用いて、各CARを発現するJurkat76細胞を精製した。精製された各CARを発現するJurkat76細胞について、5μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色後、V450標識 anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後の各CARを発現するJurkat76細胞について、フローサイトメトリーにより解析した。ポジティブコントロールは、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図9に示す。
【1035】
図9は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図9において、横軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示し、縦軸は、側方散乱光(SSC)の平均強度を示す。
図9に示すように、各scFvを導入されたpMX/CAR発現ベクターを導入しなかったJurkat76細胞(コントロール2)では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合する細胞は存在しなかった。また、3M4E5LH CAR-T(3M4E5 CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、ほぼ全ての細胞がA2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を含むCARを発現するT細胞は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、ほぼ全てまたは一部の細胞がA2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、A2テトラマー
+画分が存在しなかった。このことから、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を含むCARは、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合する新たな重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むscFvをスクリーニングできることがわかった。また、A2/NY-ESO-1
157テトラマーでの染色の程度が異なるCARを発現するT細胞が存在することから、標的抗原に対して異なる親和性を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1036】
(5)第1の候補scFvの親和性
つぎに、前記実施例2(4)で得られたL1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を含むCARを発現するJurkat76細胞と、3M4E5LH CAR-Tについて、所定濃度(0.0004194304、0.001048576、0.00262144、0.0065536、0.016384、0.04096、0.1024、0.256、0.64、1.6、4、または10μg/mL)のPE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色後、V450標識 anti-human NGFR mAbで染色した以外は、前記(6)と同様にして、フローサイトメトリーにより解析した。そして、A2/NY-ESO-1
157テトラマーの各濃度における、A2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を算出した。この結果を、
図10に示す。
【1037】
図10は、A2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を示すグラフである。
図10において、横軸は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーの濃度を示し、縦軸は、A2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合を示す。
図10に示すように、各CAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーの濃度依存的にA2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞の割合が増加した。また、L1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を含むCARを発現するT細胞は、3M4E5LH CAR-Tと同程度のA2/NY-ESO-1
157テトラマー陽性細胞を得るのに、A2/NY-ESO-1
157テトラマーをより高濃度にする必要があることから、これらのCAR-TにおけるscFvのA2/NY-ESO-1
157テトラマーに対する親和性は異なることがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合する異なる親和性を有するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1038】
(6)第1の候補scFvの機能
つぎに、scFvとしてL1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を発現するCAR-Tが、前記標的抗原との結合により、活性化するかを検討した。具体的には、3×10
5細胞の各CAR-Tと、5×10
4細胞のT2細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)は、所定濃度(0.0005、0.0015、0.004、0.01、0.04、0.122、0.366、1.11、3.33または10μg/mL)でNY-ESO-1
157-165ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)を用いた。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、各CAR-Tを回収し、FITC標識anti-human CD69 mAb(clone:FN50)およびV450標識anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後の各CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、NGFR
+細胞について、CD69の平均蛍光強度を測定した。ポジティブコントロールは、pMX/H1-3M4E5L発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、NY-ESO-1
157-165ペプチドに代えて、HIV Gag
77-85ペプチドをパルスしたT2細胞(T2 + HIV Gag
77)を用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、前記発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるCD69の平均蛍光強度を基準として、各サンプルのCD69の発現上昇の割合を算出した。これらの結果を
図11に示す。
【1039】
図11は、ペプチド濃度が10μg/mLの場合におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図11において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、CD69の発現上昇の割合を示す。
図11に示すように、コントロール2では、CD69の発現上昇は生じなかった。他方、3M4E5LH CAR-T(ポジティブコントロール)は、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、CD69の発現が上昇し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化していることが確認できた。また、scFvとしてL1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L80-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、またはL124-3M4E5を発現するCAR-Tは、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、CD69の発現が上昇し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化した。また、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、CAR-T細胞において機能し、かつより特異性の高いscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1040】
つぎに、NY-ESO-1
157ペプチドの段階希釈時のCD69の発現変化の結果を
図12に示す。
図12は、CD69の発現量の変化を示すグラフである。
図12において、横軸は、NY-ESO-1
157ペプチドの濃度を示し、縦軸は、CD69の発現上昇の割合を示す。
図12に示すように、各CAR-Tは、NY-ESO-1
157ペプチドの濃度依存的にCD69の発現が上昇した。また、scFvとして、L1-3M4E5またはL102-3M4E5を発現するCAR-Tは、3M4E5LH CAR-Tと比較して、CD69の発現上昇がシャープであり、A2/NY-ESO-1
157に対する特異性が高いことがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、CAR-T細胞において機能し、かつより特異性の高いscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1041】
[実施例3]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により、CD19に結合するscFvをスクリーニングできることを確認した。
【1042】
(1)FMC63 CARの調製
前記A2/NY-ESO-1157特異的抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に代えて、ヒトCD19特異的抗体(clone:FMC63)の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を用いた以外は、前記実施例1(1)と同様にして、FMC63HL scFvまたはFMC63LH scFvをコードする核酸を調製し、3’末端にタグを付加したタグ付加FMC63HL CARおよびタグ付加FMC63LH CARをコードする核酸を取得した。各核酸は、pMX発現ベクターに導入した。
【1043】
FMC63HL scFv(配列番号201)
EVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSGSTSGSGKPGSGEGSTKGDIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEIT
【1044】
FMC63HL scFvをコードする核酸(配列番号202)
5'-GAAGTGAAACTGCAAGAGTCTGGCCCTGGACTGGTGGCCCCATCTCAGTCTCTGAGCGTGACCTGTACAGTCAGCGGAGTGTCCCTGCCTGATTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCTCCTCGGAAAGGCCTGGAATGGCTGGGAGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTATTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCTATGGACTATTGGGGCCAGGGCACCAGCGTTACAGTGTCCTCGGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGATATCCAGATGACCCAGACAACAAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGATAGAGTGACCATCAGCTGTAGAGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCAGACTGCACAGCGGCGTGCCAAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCTCTGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAAGAGGATATCGCTACCTACTTCTGCCAGCAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACA-3'
【1045】
FMC63LH scFv(配列番号203)
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSS
【1046】
FMC63LH scFvをコードする核酸(配列番号204)
5'-GATATCCAGATGACCCAGACAACAAGCAGCCTGAGCGCCAGCCTGGGCGATAGAGTGACCATCAGCTGTAGAGCCAGCCAGGACATCAGCAAGTACCTGAACTGGTATCAGCAGAAACCCGACGGCACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACCAGCAGACTGCACAGCGGCGTGCCAAGCAGATTTTCTGGCAGCGGCTCTGGCACCGACTACAGCCTGACCATCTCCAACCTGGAACAAGAGGATATCGCTACCTACTTCTGCCAGCAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTTGGCGGAGGCACCAAGCTGGAAATCACAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGAAACTGCAAGAGTCTGGCCCTGGACTGGTGGCCCCATCTCAGTCTCTGAGCGTGACCTGTACAGTCAGCGGAGTGTCCCTGCCTGATTACGGCGTGTCCTGGATCAGACAGCCTCCTCGGAAAGGCCTGGAATGGCTGGGAGTGATCTGGGGCAGCGAGACAACCTACTACAACAGCGCCCTGAAGTCCCGGCTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAGGTGTTCCTGAAGATGAACAGCCTGCAGACCGACGACACCGCCATCTACTATTGCGCCAAGCACTACTACTACGGCGGCAGCTACGCTATGGACTATTGGGGCCAGGGCACCAGCGTTACAGTGTCCTCG-3'
【1047】
(2)第1のCARライブラリの調製
前記実施例3(1)のFMC63HL scFvをコードする核酸の5’側の重鎖可変領域をコードする核酸を、前記ヒト末梢血B細胞由来の重鎖可変領域の核酸を含むライブラリで置換することにより、hH-FMC63L scFvライブラリを調製した。そして、3M4E5LH scFvをコードする核酸に代えて、hH-FMC63L scFvライブラリを用いた以外は、前記実施例1(1)と同様にして、タグが付加されたhH-FMC63L CARライブラリを調製した。タグが付加されたhH-FMC63L CARライブラリを、pMX発現ベクターに導入し、hH-FMC63L CARライブラリの発現ベクターを調製した。なお、hH-FMC63L CARライブラリの重鎖可変領域の不均一性は、制限酵素マッピングおよび各領域をサンガー法によりシークエンスすることで、約1×106種類であることを確認した。
【1048】
(3)第1のCARライブラリ発現T細胞(第1の候補CAR-T)の調製
前記hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、hH-FMC63L CARライブラリの発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、hH-FMC63L CARライブラリが導入されたT細胞を精製し、これを第1の候補CAR-Tとした。
【1049】
(4)標的抗原の発現細胞の調製
レトロウイルスを用いて、ヒトCD19をコードする核酸を、K562細胞に導入し、抗原提示細胞(APC-CD19)とした。
【1050】
ヒトCD19をコードする核酸(配列番号205)
5'-ATGCCACCTCCTCGCCTCCTCTTCTTCCTCCTCTTCCTCACCCCCATGGAAGTCAGGCCCGAGGAACCTCTAGTGGTGAAGGTGGAAGAGGGAGATAACGCTGTGCTGCAGTGCCTCAAGGGGACCTCAGATGGCCCCACTCAGCAGCTGACCTGGTCTCGGGAGTCCCCGCTTAAACCCTTCTTAAAACTCAGCCTGGGGCTGCCAGGCCTGGGAATCCACATGAGGCCCCTGGCCATCTGGCTTTTCATCTTCAACGTCTCTCAACAGATGGGGGGCTTCTACCTGTGCCAGCCGGGGCCCCCCTCTGAGAAGGCCTGGCAGCCTGGCTGGACAGTCAATGTGGAGGGCAGCGGGGAGCTGTTCCGGTGGAATGTTTCGGACCTAGGTGGCCTGGGCTGTGGCCTGAAGAACAGGTCCTCAGAGGGCCCCAGCTCCCCTTCCGGGAAGCTCATGAGCCCCAAGCTGTATGTGTGGGCCAAAGACCGCCCTGAGATCTGGGAGGGAGAGCCTCCGTGTCTCCCACCGAGGGACAGCCTGAACCAGAGCCTCAGCCAGGACCTCACCATGGCCCCTGGCTCCACACTCTGGCTGTCCTGTGGGGTACCCCCTGACTCTGTGTCCAGGGGCCCCCTCTCCTGGACCCATGTGCACCCCAAGGGGCCTAAGTCATTGCTGAGCCTAGAGCTGAAGGACGATCGCCCGGCCAGAGATATGTGGGTAATGGAGACGGGTCTGTTGTTGCCCCGGGCCACAGCTCAAGACGCTGGAAAGTATTATTGTCACCGTGGCAACCTGACCATGTCATTCCACCTGGAGATCACTGCTCGGCCAGTACTATGGCACTGGCTGCTGAGGACTGGTGGCTGGAAGGTCTCAGCTGTGACTTTGGCTTATCTGATCTTCTGCCTGTGTTCCCTTGTGGGCATTCTTCATCTTCAAAGAGCCCTGGTCCTGAGGAGGAAAAGAAAGCGAATGACTGACCCCACCAGGAGATTCTTCAAAGTGACGCCTCCCCCAGGAAGCGGGCCCCAGAACCAGTACGGGAACGTGCTGTCTCTCCCCACACCCACCTCAGGCCTCGGACGCGCCCAGCGTTGGGCCGCAGGCCTGGGGGGCACTGCCCCGTCTTATGGAAACCCGAGCAGCGACGTCCAGGCGGATGGAGCCTTGGGGTCCCGGAGCCCGCCGGGAGTGGGCCCAGAAGAAGAGGAAGGGGAGGGCTATGAGGAACCTGACAGTGAGGAGGACTCCGAGTTCTATGAGAACGACTCCAACCTTGGGCAGGACCAGCTCTCCCAGGATGGCAGCGGCTACGAGAACCCTGAGGATGAGCCCCTGGGTCCTGAGGATGAAGACTCCTTCTCCAACGCTGAGTCTTATGAGAACGAGGATGAAGAGCTGACCCAGCCGGTCGCCAGGACAATGGACTTCCTGAGCCCTCATGGGTCAGCCTGGGACCCCAGCCGGGAAGCAACCTCCCTGGGGTCCCAGTCCTATGAGGATATGAGAGGAATCCTGTATGCAGCCCCCCAGCTCCGCTCCATTCGGGGCCAGCCTGGACCCAATCATGAGGAAGATGCAGACTCTTATGAGAACATGGATAATCCCGATGGGCCAGACCCAGCCTGGGGAGGAGGGGGCCGCATGGGCACCTGGAGCACCAGG-3'
【1051】
(5)第1のスクリーニング方法
前記実施例3(3)の第1の候補CAR-Tと、前記実施例3(4)で調製したAPC-CD19とを用いて、スクリーニングを行なった。具体的には、2×106第1の候補CAR-Tと、1×105APC-CD19とを各ウェル(24ウェルプレート)に播種後、7日間共培養した。前記APC-CD19は、20Gyでγ線処理した細胞を用いた。また、前記第1の候補CAR-TとAPC-CD19との共培養に用いた培地の組成は、50μg/mLゲンタマイシン、10%ヒトAB血清(Sigma社製)、10IU/mL ヒトIL-2(Roche社製)、および10ng/mL ヒトIL-15(PeproTech社製)含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、第1の候補CAR-Tを回収し、同様の条件でAPC-C19との共培養をさらに2回(合計3回)実施した。これにより、ヒトCD19と結合するhH-FMC63L CARを発現する第1の候補CAR-Tを富化した。
【1052】
つぎに、富化後の第1の候補CAR-Tを回収し、20μg/mL PE標識CD19ダイマーで染色した。前記PE標識CD19ダイマーは、ヒトCD19の細胞外ドメインのC末端にSGSGリンカーを介してヒスタグを付加した溶解型CD19を用いて調製した。具体的には、前記PE標識CD19ダイマーは、前記溶解型CD19と、PE標識anti-His mAb(clone:GG11-8F3.5.1)とを、モル数が2:1となるように混合することにより調製した。前記染色後、前記T細胞を、さらにPC5標識anti-human CD8a mAb(clone:B9.11)、FITC標識anti-human CD4 mAb(clone:OKT4)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。そして、ダイマー染色後の第1の候補CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、CD19と結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tの存在を確認した。また、ポジティブコントロールは、hH-FMC63L CARライブラリの発現ベクターに代えて、タグ付加FMC63HL CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。なお、タグ付加FMC63LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた場合も、タグ付加FMC63HL CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた場合と同様の結果を得ている。また、コントロール1は、CD19ダイマーで染色しなかった以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-FMC63L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図13に示す。
【1053】
図13は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図13において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、CD19ダイマーの平均蛍光強度を示す。
図13に示すように、hH-FMC63 CARライブラリの発現ベクターを導入しなかったT細胞(コントロール2)では、CD19ダイマーに結合するT細胞は存在しなかった。また、FMC63 CARを発現するCAR-T(FMC63-CAR、ポジティブコントロール)は、CD19ダイマーで染色した場合、CD8
+CD19ダイマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、CD19ダイマーで染色しなかった場合、CD8
+CD19ダイマー
+画分が存在しないことから、CD19ダイマーに結合することが確認できた。そして、前記第1の候補CAR-Tは、CD19ダイマーで染色した場合、CD8
+CD19ダイマー
+画分が存在し、CD19ダイマーで染色しなかった場合、CD8
+CD19ダイマー
+画分が存在しなかった。このことから、前記第1の候補CAR-Tに、CD19ダイマーに結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tが存在することがわかった。これらの結果から、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできることがわかった。なお、データは示していないが、CD8
+CD19ダイマー
+画分の細胞は、CD69の発現が、CD19ダイマー
-画分の細胞と比較して上昇しており、CD8
+CD19ダイマー
+画分の細胞に発現するCARがT細胞の活性化機能を有することが確認された。
【1054】
[実施例4]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARが、標的抗原に対して高い特異性を有することを確認した。
【1055】
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、scFv(抗原結合ドメイン)としてL1-3M4E5HまたはH73-3M4E5Lをコードするポリヌクレオチドが導入されたpMX/CAR発現ベクター(それぞれ、L1-3M4E5H発現ベクターおよびH73-3M4E5L発現ベクター)を用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、得られたGaLV-pseudotypedレトロウイルスを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、前記レトロウイルスをT細胞に感染させ、L1-3M4E5H発現ベクターまたはH73-3M4E5L発現ベクターをT細胞に導入した。同様のレトロウイルスの感染およびL1-3M4E5H発現ベクターまたはH73-3M4E5L発現ベクターの導入を、更に5回(合計6回)実施した。得られたT細胞について、20μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した。前記染色後、前記T細胞をさらに、PC5標識anti-human CD8a mAb(clone:B9.11)、FITC標識anti-human CD4 mAb(clone:OKT4)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。各抗体の濃度は、約10μg/mLとした。そして、テトラマー染色後のT細胞について、前記フローサイトメーターを用いて、A2/NY-ESO-1
157と結合するCARを発現するT細胞の存在を確認した。また、ポジティブコントロールは、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5HL CARまたはタグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図14に示す。
【1056】
図14は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図14において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示す。
図14に示すように、コントロール2では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合するT細胞は存在しなかった。また、3M4E5HL CARまたは3M4E5LH CARを発現するCAR-T(3M4E5HL CAR または3M4E5LH CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、L1-3M4E5H CAR-TまたはH73-3M4E5L CAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しなかった。
【1057】
つぎに、前記レトロウイルス感染後の各T細胞が、前記標的抗原との結合により、活性化し、サイトカインを産生するかを検討した。具体的には、前記6回のレトロウイルス感染後のT細胞(CAR-T)について、3×10
5細胞のT細胞と、5×10
4細胞のT2細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)は、10μg/mLでNY-ESO-1
157ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)を用いた。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、T細胞を回収し、パラホルムアルデヒドで固定後、透過処理を行ない、APC標識anti-human IL-2 mAb(clone:MQ1-17H12)、PE標識anti-human TNFα mAb(clone:Mab11)、PC7標識anti-human IFN-γ mAb(clone:B27)、FITC標識anti-human CD4 mAb (clone:OKT4)、PC5標識anti-human CD8a mAb (clone:B9.11)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。前記染色後のCAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、CAR-T(NGFR陽性画分)におけるCD8陽性細胞またはCD4陽性細胞のTNF-α、IFN-γ、およびIL-2産生量を測定した。ポジティブコントロールは、scFvとして3M4E5HLまたは3M4E5LHをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、NY-ESO-1
157ペプチドに代えて、A2/HIV-Gag
77ペプチドを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるサイトカインの産生量を基準として、各サンプルのサイトカインの産生増加の割合を算出した。これらの結果を
図15に示す。
【1058】
図15は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図15において、横軸は、サンプル(CAR)の種類を示し、縦軸は、サイトカインの産生増加の割合を示す。
図15に示すように、コントロール2では、サイトカインの産生増加は生じなかった。他方、3M4E5LH CAR-Tまたは3M4E5HL CAR-T(ポジティブコントロール)は、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生量が増加し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化していることが確認できた。また、3M4E5HL CAR-Tまたは3M4E5LH CAR-Tを、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生が増加し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化し、サイトカインを産生していた。さらに、3M4E5HL CAR-Tまたは3M4E5LH CAR-Tは、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合におけるサイトカインの産生がコントロール2と同等以下であり、ポジティブコントロールより低かった。以上のことから、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARが、標的抗原に対して高い特異性を有することがわかった。
【1059】
[実施例5]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARが、スクリーニングに用いた標的抗原に結合する抗体と異なる抗原認識性を示すことを確認した。
【1060】
前記実施例4と同様にして、L1-3M4E5H CARを発現するCD8陽性T細胞およびCD4陽性T細胞を作製した。つぎに、3×10
5細胞のT細胞と、5×10
4細胞のT2細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)は、10μg/mLでNY-ESO-1
157ペプチドまたはNY-ESO-1
157ペプチドの変異ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)を用いた。前記変異ペプチドは、NY-ESO-1
157ペプチドのアミノ酸配列において、各アミノ酸を1つずつアラニンに置換したペプチドである。前記共培養後、培養上清を回収し、前記実施例4と同様にして、CAR-TにおけるIFN-γの濃度を測定した。コントロールは、3M4E5LH CARを発現するCD8陽性T細胞またはCD4陽性T細胞を用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157ペプチドに代えて、A2/HIV-Gag
77ペプチドを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、発現ベクターを導入しなかったCD8陽性T細胞またはCD4陽性T細胞を用いた以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるサイトカインの産生量を基準として、各サンプルのサイトカインの産生増加の割合を算出した。これらの結果を
図16に示す。
【1061】
図16は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、3M4E5LH CARを発現するT細胞の結果を示し、(B)は、L1-3M4E5H CARを発現するT細胞の結果を示す。
図16(A)および(B)において、横軸は、ペプチドの種類を示し、縦軸は、サイトカイン産生量の変化を示す。
図16(A)に示すように、3M4E5LH CARは、NY-ESO-1
157ペプチドの160~162番のアミノ酸を認識するのに対して、(B)に示すように、L1-3M4E5H CARは、NY-ESO-1
157ペプチドの158および160~162番のアミノ酸を認識していた。これらの結果から、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARが、スクリーニングに用いた標的抗原に結合する抗体と異なる抗原認識性を示すことがわかった。
【1062】
[実施例6]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARについて、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域との順序を交換しても、抗原認識性を維持することを確認した。
【1063】
前記L1-3M4E5H発現ベクターにおいて、重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドと、軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドの順序を逆にすることにより、3M4E5H-L1発現ベクターを作製した。
【1064】
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、3M4E5H-L1発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、得られたGaLV-pseudotypedレトロウイルスを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、前記レトロウイルスをT細胞に感染させ、3M4E5H-L1発現ベクターをT細胞に導入した。同様のレトロウイルスの感染および3M4E5H-L1発現ベクターの導入を、更に5回(合計6回)実施した。得られたT細胞について、20μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した。前記染色後、前記T細胞をさらに、PC5標識anti-human CD8a mAb(clone:B9.11)、FITC標識anti-human CD4 mAb(clone:OKT4)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。各抗体の濃度は、約10μg/mLとした。そして、テトラマー染色後のT細胞について、前記フローサイトメーターを用いて、A2/NY-ESO-1
157と結合するCARを発現するT細胞の存在を確認した。また、ポジティブコントロールは、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、タグ付加3M4E5LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+、SSC
+、NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図17に示す。
【1065】
図17は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図17において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示す。
図17に示すように、コントロール2では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合するT細胞は存在しなかった。また、3M4E5LH CARを発現するCAR-T(3M4E5LH CAR、ポジティブコントロール)は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しないことから、A2/NY-ESO-1
157に結合し、A2/HIV-Gag
77に結合しないことが確認できた。そして、3M4E5H-L1を発現するCAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しなかった。
【1066】
つぎに、前記レトロウイルス感染後の各T細胞が、前記標的抗原との結合により、活性化し、サイトカインを産生するかを検討した。具体的には、前記6回のレトロウイルス感染後のT細胞(CAR-T)について、3×10
5細胞のT細胞と、5×10
4細胞のT2細胞または前記実施例1(4)で調製したAPCとを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)およびAPCは、10μg/mLでNY-ESO-1
157ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)またはAPC(K562/A2/NY-ESO-1)を用いた。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、T細胞を回収し、パラホルムアルデヒドで固定後、透過処理を行ない、APC標識anti-human IL-2 mAb(clone:MQ1-17H12)、PE標識anti-human TNFα mAb(clone:Mab11)、PC7標識anti-human IFN-γ抗体(clone:B27)、FITC標識anti-human CD4 mAb (clone:OKT4)、PC5標識anti-human CD8a mAb (clone:B9.11)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。前記染色後のCAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、CAR-T(NGFR陽性画分)におけるCD8陽性細胞またはCD4陽性細胞のTNF-α、IFN-γ、およびIL-2産生量を測定した。ポジティブコントロールは、scFvとして3M4E5LHをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、前記T2細胞において、コントロール1は、NY-ESO-1
157ペプチドに代えて、HIV-Gag
77ペプチドを用いた以外は、同様にして実施した。前記APC(K562/A2/NY-ESO-1)において、コントロール1は、NY-ESO-1を遺伝子導入していないK562/A2を用いた以外は、同様に実施した。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるサイトカインの産生量を基準として、各サンプルのサイトカインの産生増加の割合を算出した。これらの結果を
図18および19に示す。
【1067】
T2細胞を用いた結果を
図18に示す。
図18は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図18において、横軸は、サンプル(CAR)の種類を示し、縦軸は、サイトカインの産生増加の割合を示す。
図18に示すように、コントロール2では、サイトカインの産生増加は生じなかった。他方、3M4E5LH CAR-T(ポジティブコントロール)は、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生量が増加し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化していることが確認できた。また、3M4E5H-L1 CAR-Tを、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生が増加し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化し、サイトカインを産生していた。さらに、3M4E5H-L1 CAR-Tは、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合におけるサイトカインの産生がコントロール2と同等以下であり、ポジティブコントロールより低かった。
【1068】
APCを用いた結果を
図19に示す。
図19は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図19において、横軸は、サンプル(CAR)の種類を示し、縦軸は、サイトカインの産生増加の割合を示す。
図19に示すように、コントロール2では、サイトカインの産生増加は生じなかった。他方、3M4E5LH CAR-T(ポジティブコントロール)は、K562/A2/NY-ESO-1で刺激すると、K562/A2で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生量が増加し、K562/A2/NY-ESO-1に結合して活性化していることが確認できた。また、3M4E5H-L1 CAR-Tを、K562/A2/NY-ESO-1で刺激すると、K562/A2で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生が増加し、K562/A2/NY-ESO-1に結合して活性化し、サイトカインを産生していた。さらに、3M4E5H-L1 CAR-Tは、K562/A2で刺激した場合におけるサイトカインの産生がコントロール2と同等であり、ポジティブコントロールより低かった。以上のことから、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARについて、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域との順序を交換しても、抗原認識性を維持できることがわかった。
【1069】
[実施例7]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARが、スクリーニングに用いた標的抗原に結合する抗体と異なる抗原認識性を示すことおよびCARにおけるscFvの交差反応性を制御しながらスクリーニングできることを確認した。
【1070】
(1)抗原認識性
前記実施例6と同様にして、3M4E5H-L1 CARを発現するCD8陽性T細胞およびCD4陽性T細胞を作製した。つぎに、3×10
5細胞のT細胞と、5×10
4細胞のT2細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)は、10μg/mLでNY-ESO-1
157ペプチドまたはNY-ESO-1
157ペプチドの変異ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)を用いた。前記変異ペプチドは、NY-ESO-1
157ペプチドのアミノ酸配列において、各アミノ酸を1つずつアラニンに置換したペプチドである。前記共培養後、培養上清を回収し、前記実施例4と同様にして、CAR-TにおけるIL-2の産生量を測定した。コントロールは、3M4E5LH CARを発現するCD8陽性T細胞またはCD4陽性T細胞を用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157ペプチドに代えて、A2/HIV-Gag
77ペプチドを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、発現ベクターを導入しなかったCD8陽性T細胞またはCD4陽性T細胞を用いた以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるサイトカインの産生量を基準として、各サンプルのサイトカインの産生増加の割合を算出した。これらの結果を
図20に示す。
【1071】
図20は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、3M4E5LH CARを発現するT細胞の結果を示し、(B)は、3M4E5H-L1 CARを発現するT細胞の結果を示す。
図20(A)および(B)において、横軸は、ペプチドの種類を示し、縦軸は、サイトカイン産生量の変化を示す。
図20(A)に示すように、3M4E5LH CARは、主にNY-ESO-1
157ペプチドの160~162番のアミノ酸を認識するのに対して、(B)に示すように、3M4E5H-L1 CARは、NY-ESO-1
157ペプチドの158、160~162、および164番のアミノ酸を認識していた。これらの結果から、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARが、スクリーニングに用いた標的抗原に結合する抗体と異なる抗原認識性を示すことがわかった。
【1072】
(2)交差反応性
前記実施例7(1)で示したように、3M4E5LH CARは、NY-ESO-1157ペプチドの160~162番のアミノ酸を認識するのに対して、3M4E5H-L1 CARは、NY-ESO-1157ペプチドの158および160~162番、164番目のアミノ酸を認識する。3M4E5LH CARおよび3M4E5H-L1 CARの他のペプチドに対する交差反応性を検討するため、HLA-A*02:01に結合し、かつ3M4E5LH CARおよび3M4E5H-L1 CARと交差反応しうるペプチドを含むヒトタンパク質について、アルゴリズム(netMHC4.0、http://www.cbs.dtu.dk/services/NetMHC/)を用いて予測した。タンパク質のデータベースとしては、uniprotKB/swissprotを用いた。また、得られたタンパク質におけるペプチドにおいて、NY-ESO-1157ペプチドと相同性が高い相同ペプチド(homologous peptide)を、アルゴリズム(ScanProsit、https://prosite.expasy.org/scanprosite/)を用いて絞り込んだ。その結果、交差反応しうるペプチド(配列番号207:GLRMWIKQV)を含む、Lysophospholipase-like protein 1(LYPLAL1)タンパク質がヒットした。そこで、K562細胞に、LYPLAL1タンパク質を発現させ、3M4E5LH CARおよび3M4E5H-L1 CARの交差反応性を検討した。
【1073】
レトロウイルスを用いて、HLA-A*02:01をコードする核酸と、ΔNGFRを前記フーリン切断部位、前記スペーサー配列および前記コドン最適化P2A配列を介して付加したLYPLAL1(配列番号208)またはNY-ESO-1(配列番号209)をコードする核酸とをK562細胞(HLAおよびCD19の発現無し)に導入し、抗原提示細胞(K562/A2/NY-ESO-1またはK562/A2/LYPLAL1)とした。また、ΔNGFRを付加したNY-ESO-1またはLYPLAL1をコードする核酸を導入しなかった以外は同様にして、抗原提示細胞(K562/A2)を調製した。前記実施例6と同様にして、3M4E5LH CAR-Tと3M4E5H-L1 CAR-Tを調製し、3×10
5細胞のCAR-T細胞と、5×10
4細胞の抗原提示細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、CAR-Tを回収し、パラホルムアルデヒドで固定後、透過処理を行ない、APC標識anti-human IL-2 mAb(clone:MQ1-17H12)、PE標識anti-human TNFα mAb(clone:Mab11)、PC7標識anti-human IFN-γ抗体(clone:B27)、FITC標識anti-human CD4 mAb (clone:OKT4)、PC5標識anti-human CD8a mAb (clone:B9.11)およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。前記染色後のCAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、CAR-T(NGFR陽性画分)におけるCD8陽性細胞またはCD4陽性細胞のTNF-α、IFN-γ、およびIL-2の産生量を測定した。前記APCにおいて、コントロール1は、NY-ESO-1を遺伝子導入していないK562/A2を用いた。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるサイトカインの産生量を基準として、各サンプルのサイトカインの産生増加の割合を算出した。これらの結果を
図21に示す。
【1074】
LYPLAL1をコードする核酸分子(配列番号208)
5'-ATGGCGGCTGCATCTGGAAGCGTGCTGCAGAGATGTATCGTGTCCCCAGCCGGCAGACATAGCGCCAGCCTGATTTTTCTGCACGGCAGCGGCGATTCTGGCCAGGGACTGAGAATGTGGATCAAACAGGTGCTGAACCAGGACCTGACCTTCCAGCACATCAAGATCATCTACCCCACCGCTCCACCTCGGAGCTACACACCTATGAAGGGCGGCATCAGCAACGTTTGGTTCGACCGGTTCAAGATCACCAACGACTGCCCCGAGCACCTGGAATCCATCGACGTGATGTGTCAGGTGCTCACCGACCTGATCGACGAGGAAGTGAAGTCCGGCATCAAGAAGAACAGAATCCTGATCGGCGGCTTCAGCATGGGCGGCTGTATGGCCATTCACCTGGCCTACAGAAACCACCAGGATGTGGCTGGCGTGTTCGCCCTGAGCAGCTTTCTGAACAAAGCCAGCGCCGTGTATCAGGCCCTGCAGAAATCTAACGGCGTGCTGCCTGAGCTGTTCCAGTGTCATGGCACAGCCGATGAGCTGGTGCTGCACTCTTGGGCCGAAGAGACAAATAGCATGCTGAAAAGCCTGGGCGTGACCACCAAGTTCCACAGCTTCCCCAACGTGTACCACGAGCTGAGCAAGACCGAGCTGGACATCCTGAAACTGTGGATTCTGACCAAGCTGCCCGGCGAGATGGAAAAGCAGAAG-3'
【1075】
NY-ESO-1をコードする核酸分子(配列番号209)
5'-ATGCAGGCCGAAGGCCGGGGCACAGGGGGTTCGACGGGCGATGCTGATGGCCCAGGAGGCCCTGGCATTCCTGATGGCCCAGGGGGCAATGCTGGCGGCCCAGGAGAGGCGGGTGCCACGGGCGGCAGAGGTCCCCGGGGCGCAGGGGCAGCAAGGGCCTCGGGGCCGGGAGGAGGCGCCCCGCGGGGTCCGCATGGCGGCGCGGCTTCAGGGCTGAATGGATGCTGCAGATGCGGGGCCAGGGGGCCGGAGAGCCGCCTGCTTGAGTTCTACCTCGCCATGCCTTTCGCGACACCCATGGAAGCAGAGCTGGCCCGCAGGAGCCTGGCCCAGGATGCCCCACCGCTTCCCGTGCCAGGGGTGCTTCTGAAGGAGTTCACTGTGTCCGGCAACATACTGACTATCCGACTGACTGCTGCAGACCACCGCCAACTGCAGCTCTCCATCAGCTCCTGTCTCCAGCAGCTTTCCCTGTTGATGTGGATCACGCAGTGCTTTCTGCCCGTGTTTTTGGCTCAGCCTCCCTCAGGGCAGAGGCGC-3'
【1076】
図21は、サイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。
図21において、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図21において、各グラフの横軸は、サンプル(CAR)の種類を示し、縦軸は、TNF-α、IFN-γ、またはIL-2陽性細胞の割合を示す。
図21(A)および(B)に示すように、コントロール1(Control)では、サイトカインの産生増加は生じなかった。他方、ポジティブコントロール(K562/A2/NY-ESO-1)では、3M4E5H-L1 CARまたは3M4E5LH CARを発現するT細胞は、TNF-α、IFN-γ、およびIL-2を産生した。また、
図21(A)および(B)に示すように、LYPLAL1を提示する抗原提示細胞(K562/A2/LYPLAL1)と共培養した場合、3M4E5LH CARおよび3M4E5H-L1 CARを発現するT細胞におけるサイトカイン産生細胞の割合は、バックグラウンドであるコントロール2(K562/A2)と同程度であり、交差反応性を示さなかった。これらの結果から、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により、CARが含むscFvの交差反応性を制御できることがわかった。
【1077】
[実施例8]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARについて、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域との順序を交換することで、抗原特異性が変化することを確認した。
【1078】
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、3M4E5H-L1発現ベクターまたはL1-3M4E5H発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、得られたGaLV-pseudotypedレトロウイルスを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、前記レトロウイルスをT細胞に感染させ、3M4E5H-L1発現ベクターまたはL1-3M4E5H発現ベクターをT細胞に導入した。同様のレトロウイルスの感染および3M4E5H-L1発現ベクターまたはL1-3M4E5H発現ベクターの導入を、更に5回(合計6回)実施した。得られたT細胞について、20μg/mL PE標識A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した。前記染色後、前記T細胞をさらに、PC5標識anti-human CD8a mAb(clone:B9.11)、FITC標識anti-human CD4 mAb(clone:OKT4)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。各抗体の濃度は、約10μg/mLとした。そして、テトラマー染色後のT細胞について、前記フローサイトメーターを用いて、A2/NY-ESO-1
157と結合するCARを発現するT細胞の存在を確認した。また、コントロール1は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーに代えて、A2/HIV-Gag
77テトラマーを用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+、SSC
+、NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図22に示す。
【1079】
図22は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図22において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、A2テトラマーの平均蛍光強度を示す。
図22に示すように、コントロール2では、A2/NY-ESO-1
157またはA2/HIV-Gag
77に結合するT細胞は存在しなかった。また、L1-3M4E5Hまたは3M4E5H-L1を発現するCAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在し、A2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した場合、CD8
+A2テトラマー
+画分が存在しなかった。さらに、L1-3M4E5Hまたは3M4E5H-L1を発現するCAR-Tについて、CD8
-またはCD8
+のA2テトラマー
+画分を比較すると、CD8
-A2テトラマー
+画分およびCD8
+A2テトラマー
+画分のいずれにおいても3M4E5H-L1 CAR-Tは、L1-3M4E5H CAR-Tと比較して、A2/NY-ESO-1
157に強く結合しており、抗原特異性が異なった。
【1080】
つぎに、前記レトロウイルス感染後の各T細胞が、前記標的抗原との結合により、活性化し、サイトカインを産生するかを検討した。具体的には、前記6回のレトロウイルス感染後のT細胞(CAR-T)について、3×10
5細胞のT細胞と、5×10
4細胞のT2細胞または前記実施例1(4)で調製したAPCとを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記T2細胞(HLA-A*02:01発現細胞)およびAPCは、10μg/mLでNY-ESO-1
157ペプチドをパルスした細胞(T2 + NY-ESO-1
157)またはAPC(K562/A2/NY-ESO-1)を用いた。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、T細胞を回収し、パラホルムアルデヒドで固定後、透過処理を行ない、APC標識anti-human IL-2 mAb(clone:MQ1-17H12)、PE標識anti-human TNFα mAb(clone:Mab11)、PC7標識anti-human IFN-γ抗体(clone:B27)、FITC標識anti-human CD4 mAb (clone:OKT4)、PC5標識anti-human CD8a mAb (clone:B9.11)およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。前記染色後のCAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、CAR-T(NGFR陽性画分)におけるCD8陽性細胞またはCD4陽性細胞のTNF-α、IFN-γ、およびIL-2の産生量を測定した。また、前記T2細胞において、コントロール1は、NY-ESO-1
157ペプチドに代えて、HIV-Gag
77ペプチドを用いた以外は、同様にして実施した。前記APC (K562/A2/NY-ESO-1)において、コントロール1は、NY-ESO-1を遺伝子導入していないK562/A2を用いた。コントロール2は、hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、コントロール2におけるサイトカインの産生量を基準として、各サンプルのサイトカインの産生増加の割合を算出した。これらの結果を
図23および24に示す。
【1081】
T2細胞を用いた結果を
図23に示す。
図23は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図23において、横軸は、サンプル(CAR)の種類を示し、縦軸は、サイトカインの産生増加の割合を示す。
図23に示すように、コントロール2では、サイトカインの産生増加は生じなかった。他方、L1-3M4E5H CAR-Tまたは3M4E5H-L1 CAR-Tは、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、T2 + HIV Gag
77で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生量が増加し、A2/NY-ESO-1
157に結合して活性化していることが確認できた。また、T2 + NY-ESO-1
157で刺激すると、3M4E5H-L1 CAR-Tは、L1-3M4E5H CAR-Tと比較して、多量のサイトカインを産生した。
【1082】
APCを用いた結果を
図24に示す。
図24は、サイトカイン産生量の変化を示すグラフであり、(A)は、CD8陽性T細胞の結果を示し、(B)は、CD4陽性T細胞の結果を示す。
図24において、横軸は、サンプル(CAR)の種類を示し、縦軸は、サイトカインの産生増加の割合を示す。
図24に示すように、コントロール2では、サイトカインの産生増加は生じなかった。他方、L1-3M4E5H CAR-Tまたは3M4E5H-L1 CAR-Tは、K562/A2/NY-ESO-1で刺激すると、K562/A2で刺激した場合と比較して、サイトカインの産生量が増加し、K562/A2/NY-ESO-1に結合して活性化していることが確認できた。また、K562/A2/NY-ESO-1で刺激すると、3M4E5H-L1 CAR-Tは、L1-3M4E5H CAR-Tと比較して、多量のサイトカインを産生した。本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARについて、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域との順序を交換することで、抗原特異性が変化することがわかった。また、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたCARについて、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の順序を交換することにより、標的抗原に対する特異性を向上できる可能性があることがわかった。
【1083】
[実施例9]
本発明の第1のスクリーニング方法により、標的抗原における認識部位が異なるscFvをスクリーニングできることを確認した。
【1084】
まず、前記実施例1(9)~(12)および前記実施例2(1)~(3)と同様にして、第2の候補CAR-Tが発現するCARおよび第1の候補CAR-Tが発現するCARを同定し、新たなCAR(L52-3M4E5H CARおよびK156-H1 CAR)を取得した。下記アミノ酸配列および塩基配列において、下線で示す配列が、L52またはL156のCDRL1、CDRL2、およびCDR3Lのアミノ酸配列もしくは塩基配列である。
【1085】
L52-3M4E5H CAR(配列番号210)
QSVLTQPPSVSGAPGQRVTISCTGSSSNLGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGSTTRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGVFGGGTQLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSTYQMSWVRQAPGKGLEWVSGIVSSGGSTAYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAGELLPYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【1086】
L52-3M4E5H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号211)
5'-CAGTCTGTGCTGACGCAGCCGCCCTCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACCTCGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAGCACCACTCGGCCCTCAGGGATTCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACGTCAGCCACCCTGGGCATCACCGGACTCCAGACTGGGGACGAGGCCGATTATTACTGCGGAACATGGGATAGCAGCCTGAGTGCTGGGGTGTTCGGCGGAGGCACCCAGCTGACCGTCCTCGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTGCTGGAATCTGGCGGCGGACTGGTGCAGCCTGGCGGATCTCTGAGACTGAGCTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCAGCACCTACCAGATGAGCTGGGTGCGCCAGGCCCCTGGCAAAGGACTGGAATGGGTGTCCGGCATCGTGTCCAGCGGCGGCTCTACAGCCTACGCCGATAGCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCAGCCGGGACAACAGCAAGAACACCCTGTACCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTATTGTGCCGGGGAGCTGCTGCCCTACTACGGCATGGATGTGTGGGGCCAGGGCACCACCGTGACAGTGTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【1087】
K156-H1 CAR(配列番号212)
EIVLTQSPATLSVSPGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKPGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISRLEPEDFAVYYCQQYNNWPPKFTFGPGTKVDIRGSTSGSGKPGSGEGSTKGQVQLQESGPGLVKPSDTLSLTCLVSGGSISSNYWSWIRQAPGKGLEWIGHVSYSGSTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARESYYYYGMDVWGQGTTVTVSSAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR
【1088】
K156-H1 CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号213)
5'-GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCTCCGAAATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAGAGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCCAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGATACCCTGTCCCTCACCTGTCTTGTCTCTGGTGGCTCCATCAGTAGTAATTACTGGAGCTGGATCCGGCAGGCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGACATGTCTCCTACAGTGGGAGCACCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGTTACCATATCAGTAGACACGTCTAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACTGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTCCTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCAATCGAAGTGATGTACCCCCCTCCCTACCTGGACAACGAGAAGTCCAACGGCACCATTATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCAGCCCTCTGTTCCCTGGCCCTAGCAAGCCTTTCTGGGTGCTGGTGGTCGTGGGCGGAGTGCTGGCCTGTTATAGCCTGCTCGTGACCGTGGCCTTCATCATCTTTTGGGTGCGCAGCAAGCGGAGCCGGCTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCCAGACGGCCCGGACCCACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCCCCTCCCAGAGACTTCGCCGCCTACAGATCTCGAGTGAAGTTCAGCAGAAGCGCCGACGCCCCTGCCTATCAGCAGGGCCAGAACCAGCTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAAGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGCAGGGACCCTGAGATGGGCGGCAAGCCCAGAAGAAAGAACCCCCAGGAAGGCCTGTATAACGAACTGCAGAAAGACAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAGCGGAGAAGAGGCAAGGGCCACGATGGCCTGTACCAGGGCCTGAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCCCTGCACATGCAGGCCCTGCCCCCCAGA-3'
【1089】
hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターのscFvをコードするポリヌクレオチドに代えて、L52-3M4E5H CARまたはK156-H1 CARをコードするポリヌクレオチドが導入されたCAR発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(6)および(8)と同様にして、A2/NY-ESO-1
157テトラマーおよびA2/HIV-Gag
77テトラマーに対する結合性およびCD69の発現上昇の割合をフローサイトメトリーにより解析した。CD69の発現上昇の割合の解析において、コントロール1は、CAR-Tを添加しなかった以外は同様にして実施した。また、コントロール2は、NY-ESO-1
157ペプチドまたはHIV Gag
77-85ペプチドをパルスしなかった以外は同様にして実施した。これらの結果を
図25および26に示す。
【1090】
図25は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図25において、横軸は、A2/NY-ESO-1
157テトラマーまたはA2/HIV-Gag
77テトラマーで染色した際の平均蛍光強度を示し、縦軸は、側方散乱光(SSC)の平均強度を示す。
図25に示すように、L52-3M4E5H CAR-TおよびK156-H1 CAR-Tは、A2/NY-ESO-1
157テトラマーで染色される画分を有し、かつA2/HIV-Gag
77テトラマーで染色される画分を有した。すなわち、L52-3M4E5H CARおよびK156-H1 CARは、A2/NY-ESO-1
157およびA2/HIV-Gag
77と結合した。これは、L52-3M4E5H CARおよびK156-H1 CARのscFvが、L1-3M4E5H CARのscFv等と比較して、ペプチドおよびHLA分子の複合体において、HLA分子寄りの部位を認識して結合しているためであると推定される。
【1091】
図26は、ペプチド濃度が10μg/mLの場合におけるCD69の発現量の変化を示すグラフである。
図26において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、CD69の発現上昇の割合を示す。
図26に示すように、コントロール1では、CD69の発現上昇は生じなかった。他方、L52-3M4E5H CAR-TおよびK156-H1 CAR-Tは、ペプチドをパルスしていない抗原提示細胞(コントロール2、T2)、およびA2/NY-ESO-1
157(T2+NY-ESO-1
157)またはA2/HIV-Gag
77(T2+HIV Gag
57)でパルスした抗原提示細胞で刺激すると、CD69の発現が上昇した。コントロール2においてもCD69の発現が生じていることから、L52-3M4E5H CARおよびK156-H1 CARのscFvが、L1-3M4E5H CARのscFv等と比較して、ペプチドおよびHLA分子の複合体において、HLA分子寄りの部位を認識して結合していることが裏付けられた。
【1092】
以上のことから、本発明の第1のスクリーニング方法により、標的抗原における認識部位が異なるscFvをスクリーニングできることがわかった、すなわち、標的抗原における異なる部位に対する結合性を有するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1093】
[実施例10]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により、CD19に結合するscFvをスクリーニングできることを確認した。
【1094】
(1)clone18 CARの調製
ヒトCD19特異的抗体であるFMC63の重鎖可変領域および軽鎖可変領域に代えて、ヒトCD19特異的抗体(clone18(国際公開第2016/033570号参照))の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を用いた以外は、前記実施例3(1)と同様にして、clone18 scFvまたはclone18 scFvをコードする核酸を調製した。各核酸は、pMX発現ベクターに導入した。なお、各scFvにおける重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を下線で示す。
【1095】
clone18LH scFv(配列番号214)
QSALTQPRSVSGFPGQSVTISCTGTTSDDVSWYQQHPGKAPQLMLYDVSKRPSGVPHRFSGSRSGRAASLIISGLQTEDEADYFCCSYAGRYNSVLFGGGTKLTVLGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAKNSLFLQMNSLRAEDTAVYYCARDQGYHYYDSAEHAFDIWGQGTVVTVSS
【1096】
clone18LH scFvをコードする核酸(配列番号215)
5'-CAATCTGCTCTGACACAGCCTAGAAGCGTGTCCGGCTTTCCTGGCCAGAGCGTGACCATCAGCTGTACCGGCACCACCTCCGATGACGTGTCCTGGTATCAGCAGCATCCTGGCAAAGCCCCTCAGCTGATGCTGTACGACGTGTCCAAAAGACCTAGCGGCGTGCCCCACAGATTCAGCGGATCTAGAAGTGGCAGAGCCGCCAGCCTGATCATCTCTGGACTGCAGACAGAGGACGAGGCCGACTACTTCTGCTGTAGCTACGCCGGCAGATACAACAGCGTGCTGTTTGGCGGCGGAACAAAGCTGACAGTGCTGGGCTCTACAAGCGGCTCTGGCAAGCCTGGATCTGGCGAGGGAAGCACCAAGGGCGAAGTGCAGCTTGTGGAATCTGGCGGAGGACTGGTGCAGCCTGGAAGAAGCCTGAGACTGTCTTGTGCCGCCAGCGGCTTCACCTTCGACGATTATGCCATGCACTGGGTCCGACAGGCCCCTGGAAAAGGCCTTGAATGGGTGTCCGGCATCTCTTGGAACAGCGGCAGAATCGGCTACGCCGACTCTGTGAAGGGCAGATTCACCATCAGCCGGGACAACGCCAAGAACAGCCTGTTCCTGCAGATGAACTCCCTGAGAGCCGAGGACACCGCCGTGTACTACTGTGCCAGAGATCAGGGCTACCACTACTACGACTCTGCCGAGCACGCCTTCGATATCTGGGGCCAGGGAACAGTGGTCACCGTTAGTTCT-3'
【1097】
(2)第1のCARライブラリの調製
前記実施例10(1)のclone18LH scFvをコードする核酸の5’側の軽鎖可変領域をコードする核酸を、前記ヒト末梢血B細胞由来の軽鎖可変領域の核酸を含むライブラリで置換することにより、hK-clone18H scFvライブラリおよびhL-clone18H scFvライブラリを調製した。そして、3M4E5LH scFvをコードする核酸に代えて、hK-clone18H scFvライブラリおよびhL-clone18H scFvライブラリを用いた以外は、前記実施例1(2)と同様にして、hK-clone18H scFvライブラリおよびhL-clone18H scFvライブラリを調製した。つぎに、hK-clone18H scFvライブラリおよびhL-clone18H scFvライブラリを、実施例1(1)のヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸と、ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸とが、各ライブラリの3’端側にこの順番で配置されるようにpMX発現ベクターに導入し、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリの発現ベクターを調製した。なお、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARの軽鎖可変領域の不均一性は、制限酵素マッピングおよび各領域をサンガー法によりシークエンスすることで、約1×106種類であることを確認した。
【1098】
(3)第1のCARライブラリ発現T細胞(第1の候補CAR-T)の調製
前記hH-3M4E4L CARライブラリの発現ベクターに代えて、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリの発現ベクターを用いた以外は、前記実施例1(3)と同様にして、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリが導入されたT細胞を精製し、これを第1の候補CAR-Tとした。
【1099】
(4)標的抗原の発現細胞の調製
前記実施例3(4)と同様にして、レトロウイルスを用いて、ヒトCD19をコードする核酸を、K562細胞に導入し、抗原提示細胞(APC-CD19)とした。
【1100】
(5)第1のスクリーニング方法
前記実施例10(3)の第1の候補CAR-Tと、前記実施例10(4)で調製したAPC-CD19とを用いた以外は、前記実施例3(5)と同様にして、ヒトCD19と結合するhK-clone18H CARまたはhL-clone18H CARを発現する第1の候補CAR-Tを富化した。
【1101】
つぎに、富化後の第1の候補CAR-Tを回収し、40μg/mL PE標識CD19ダイマーで染色した。前記PE標識CD19ダイマーは、ヒトCD19の細胞外ドメインのC末端にSGSGリンカーを介してヒスタグを付加した溶解型CD19を用いて調製した。具体的には、前記PE標識CD19ダイマーは、前記溶解型CD19と、PE標識anti-His mAb(clone:GG11-8F3.5.1)とを、モル数が2:1となるように混合することにより調製した。前記染色後、前記T細胞を、さらにPC5標識anti-human CD8a mAb(clone:B9.11)、FITC標識anti-human CD4 mAb(clone:OKT4)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。そして、ダイマー染色後の第1の候補CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、CD19と結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tの存在を確認した。また、ポジティブコントロールは、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリの発現ベクターに代えて、clone18LH CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、CD19ダイマーで染色しなかった以外は、同様にして実施した。コントロール2は、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18Hライブラリの発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。同様の試験を、異なる健常者由来の末梢血B細胞由来の軽鎖可変領域の核酸を含むライブラリを用いて実施した(donor 2)。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図27に示す。
【1102】
図27は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図27において、横軸は、CD8aの平均蛍光強度を示し、縦軸は、CD19ダイマーの平均蛍光強度を示す。
図27に示すように、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリの発現ベクターを導入しなかったT細胞(コントロール2)では、CD19ダイマーに結合するT細胞は存在しなかった。また、clone18LH CARを発現するCAR-T(clone18LH、ポジティブコントロール)は、CD19ダイマーで染色した場合、CD19ダイマー
+画分(各ドットプロットの右上画分)が存在し、CD19ダイマーで染色しなかった場合、CD19ダイマー
+画分が存在しないことから、CD19ダイマーに結合することが確認できた。そして、前記第1の候補CAR-Tは、hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリの発現ベクターを導入したいずれの集団においても、CD19ダイマーで染色した場合、CD19ダイマー
+画分が存在し、CD19ダイマーで染色しなかった場合、CD19ダイマー
+画分が存在しなかった。このことから、前記第1の候補CAR-Tに、CD19ダイマーに結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tが存在することがわかった。これらの結果から、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、異なる抗体を用いても、標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1103】
つぎに、CD19に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tを選抜し、前記第1の候補CAR-Tが発現するCARを同定した。具体的には、前記実施例10(5)と同様にして、前記第1の候補CAR-Tを染色した。つぎに、前記第1の候補CAR-Tからフローサイトメーター(FACSAria(商標)、Becton Dickinson社製)を用いた細胞選別により、NGFR+CD8+CD19ダイマー+画分、またはNGFR+CD4+CD19ダイマー+画分を、CD19に結合するCARを発現する第1の候補CAR-Tとして分取した。総RNA抽出試薬(TRIzol(登録商標)、Ambion社製)を用いて、得られた第1の候補CAR-Tから総RNAを抽出した。逆転写酵素(Superscript(登録商標)III、Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、前記総RNAからcDNAを合成した。
【1104】
得られたcDNAと、前記フォワードプライマー1(配列番号199)および前記リバースプライマー1(配列番号200)の混合物とを用いて、PCRを実施し、scFvをコードする核酸を増幅した。クローニングキット(Gibson Assembly Master Mix、New England Biolab社製)を用い、得られたscFvをコードする核酸を、scFvをコードする核酸がヒトCD28の部分領域の5’端に連結されるように、pMX/CAR発現ベクターに導入した(pMX/scFv発現ベクター)。pMX/CAR発現ベクターは、pMX発現ベクターにヒトCD28の部分領域、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸(配列番号169)と、ヒトCD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインをコードする核酸(配列番号171)とを、5’端側からこの順番に配置されるように連結し、導入することにより調製した。そして、得られたpMX/scFv発現ベクターについて、サンガー法によりシークエンスすることで、CARをコードする塩基配列(L4-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号298)、L7-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号299)、L9-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号300)、L13-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号301)、L14-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号302)、L16-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号303)、L17-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号304)、L22-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号305)、K4-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号306)、K5-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号307)、K6-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号308)、K9-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号309)、K10-18H CARをコードするポリヌクレオチド(配列番号310))を同定した。また、前記塩基配列に基づき、scFvのアミノ酸配列(L4-18H(配列番号272)、L7-18H(配列番号273)、L9-18H(配列番号274)、L13-18H(配列番号275)、L14-18H(配列番号276)、L16-18H(配列番号277)、L17-18H(配列番号278)、L22-18H(配列番号279)、K4-18H(配列番号280)、K5-18H(配列番号281)、K6-18H(配列番号282)、K9-18H(配列番号283)、K10-18H(配列番号284))を同定した。そして、scFvのアミノ酸配列に基づき、前記表3Bに示す新たな軽鎖可変領域(LA)~(LM)のCDRL1、CDRL2およびCDRL3を同定した。また、前記pMX/scFv発現ベクターから、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター(pMX/L4-18H発現ベクター、pMX/L7-18H発現ベクター、pMX/L9-18H発現ベクター、pMX/L13-18H発現ベクター、pMX/L14-18H発現ベクター、pMX/L16-18H発現ベクター、pMX/L17-18H発現ベクター、pMX/L22-18H発現ベクター、pMX/K4-18H発現ベクター、pMX/K5-18H発現ベクター、pMX/K6-18H発現ベクター、pMX/K9-18H発現ベクター、pMX/K10-18H発現ベクター)を調製した。
【1105】
(6)第1の候補scFvの解析
hK-clone18H CARライブラリおよびhL-clone18H CARライブラリの発現ベクターに代えて、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いた以外は、前記実施例10(3)と同様にして、GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を調製した。つぎに、前記GaLV-pseudotypedレトロウイルスを含む培養上清を添加することにより、Jurkat76細胞に各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを導入し、scFvとしてL4-18H、L7-18H、L9-18H、L13-18H、L14-18H、L16-18H、L17-18H、L22-18H、K4-18H、K5-18H、K6-18H、K9-18H、またはK10-18Hを含む各CAR(L4-18H CAR、L7-18H CAR、L9-18H CAR、L13-18H CAR、L14-18H CAR、L16-18H CAR、L17-18H CAR、L22-18H CAR、K4-18H CAR、K5-18H CAR、K6-18H CAR、K9-18H CAR、またはK10-18H CAR)を発現させた。前記CAR発現後のJurkat76細胞を、前記PE標識anti-human NGFR mAbと反応させた。前記反応後、前記抗PEマイクロビーズを用いて、各CARを発現するJurkat76細胞(L4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L9-18H CAR-T、L13-18H CAR-T、L14-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、L22-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、K9-18H CAR-T、またはK10-18H CAR-T)を精製した。各CARを発現するJurkat76細胞について、前記実施例10(5)と同様にして染色した。前記染色後の各CARを発現するJurkat76細胞について、フローサイトメトリーにより解析した。ポジティブコントロールは、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターに代えて、タグ付加clone18LH CARまたはclone18HL CARをコードする核酸を含む発現ベクターを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、CD19ダイマーで染色しなかった以外は同様にして実施した。コントロール2は、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。FSC
+SSC
+NGFR
+細胞にゲートをかけた結果を
図28および29に示す。
【1106】
図28および29は、フローサイトメトリーの結果を示すドットプロットである。
図28および29において、横軸は、CD19ダイマーで染色した際の平均蛍光強度を示し、縦軸は、側方散乱光(SSC)の平均強度を示す。
図28および29に示すように、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを導入しなかったJurkat76細胞(コントロール2)では、CD19に結合する細胞は存在しなかった。また、clone18LH CAR-Tおよびclone18HL CAR-T(clone18LH CARまたはclone18HL CAR、ポジティブコントロール)は、CD19ダイマーで染色した場合、ほぼ全ての細胞がCD19ダイマー
+であり、CD19ダイマーで染色しない場合、CD19ダイマー
-であることから、CD19に結合していることが確認できた。そして、L4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L9-18H CAR-T、L13-18H CAR-T、L14-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、L22-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、K9-18H CAR-T、またはK10-18H CAR-Tは、CD19ダイマーで染色した場合、CD19ダイマー
+であり、CD19ダイマーで染色しない場合、CD19ダイマー
-であった。このことから、L4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L9-18H CAR-T、L13-18H CAR-T、L14-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、L22-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、K9-18H CAR-T、またはK10-18H CAR-Tは、CD19ダイマーに結合することがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1107】
(7)第1の候補scFvの機能
つぎに、前記実施例10(6)で得られた各CAR-Tが、前記標的抗原との結合により、活性化するかを検討した。具体的には、2×10
5細胞の各CAR-Tと、5×10
4細胞の抗原提示細胞(APC-CD19またはRaji細胞)とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記抗原提示細胞(APC-CD19)は、前記実施例10(4)と同様にして調製した。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記共培養後、各CAR-Tを回収し、FITC標識anti-human CD69 mAb(clone:FN50)およびV450標識anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後の各CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、NGFR
+細胞について、CD69の平均蛍光強度を測定した。ポジティブコントロールは、前記実施例10(6)で得られたclone18LH CAR-Tおよびclone18HL CAR-Tを用いた以外は、同様に実施した。また、コントロール1は、CD19をコードする核酸を導入していないK562細胞を用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。そして、共培養前のCD69の平均蛍光強度を基準として、各サンプルのCD69の発現上昇の割合を算出した。これらの結果を
図30に示す。
【1108】
図30は、CD69の発現量の変化を示すグラフである。
図30において、横軸は、サンプルの種類を示し、縦軸は、CD69の発現上昇の割合を示す。
図30に示すように、コントロール2では、CD69の発現上昇はほとんど生じなかった。他方、clon19LH CAR-Tおよびclon19HL CAR-T(ポジティブコントロール)は、APC-CD19(K562/CD19)またはRaji細胞(Raji)で刺激すると、コントロール1(K562)で刺激した場合と比較して、CD69の発現が上昇し、CD19に結合して活性化していることが確認できた。また、L4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L9-18H CAR-T、L13-18H CAR-T、L14-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、L22-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、K9-18H CAR-T、またはK10-18H CAR-Tは、APC-CD19(K562/CD19)またはRaji細胞(Raji)で刺激すると、コントロール1(K562)で刺激した場合と比較して、CD69の発現が上昇し、CD19に結合して活性化した。また、各CAR-TのCD69の発現上昇率は、大きく異なることから、CD19に対する特異性が異なるscFvがスクリーニングできていることがわかった。
【1109】
(8)第1の候補scFvの親和性
つぎに、前記実施例10(6)で得られたL4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、およびK9-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tが、前記標的抗原との親和性の違いを検討した。各CAR-Tについて、所定濃度(1.25、2.5、5、10、20、または40μg/mL)のPE標識CD19ダイマーで染色後、V450標識 anti-human NGFR mAbで染色した以外は、前記実施例10(6)と同様にして、フローサイトメトリーにより解析した。そして、CD19ダイマーの各濃度における、CD19ダイマー陽性細胞の割合を算出後、40μg/mLのCD19ダイマーで染色した際のCD19ダイマー陽性細胞の割合を基準として、各CD19ダイマーで染色した際のCD19ダイマー陽性細胞の相対割合を算出した。この結果を、
図31に示す。
【1110】
図31は、CD19ダイマー陽性細胞の相対割合を示すグラフである。
図31において、横軸は、CD19ダイマーの濃度を示し、縦軸は、CD19ダイマー陽性細胞の相対割合を示す。
図31に示すように、各CAR-Tは、CD19ダイマーの濃度依存的にCD69陽性細胞の割合が増加した。また、各CAR-Tは、様々な染色強度を示すことから、これらのCAR-TにおけるscFvのCD19ダイマーに対する親和性は異なることがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合する異なる親和性を有するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1111】
(9)第1の候補scFvの応答性
つぎに、前記(6)で得られたL4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、およびK9-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tが、前記標的抗原を発現する細胞に対する応答性の違いを検討した。具体的には、2×10
5細胞の各CAR-Tと、5×10
4細胞の抗原提示細胞(APC-CD19)とK562細胞との混合細胞とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記混合細胞におけるAPC-CD19(A)とK562(K)との比率(A:K)は、所定比率(0:100、6.25:93.75、12.5:87.5、50:50、100:0)とした。前記共培養後、各CAR-Tを回収し、FITC標識anti-human CD69 mAb(clone:FN50)およびV450標識anti-human NGFR mAbで染色した。前記染色後の各CAR-Tについて、前記フローサイトメーターを用いて、NGFR
+細胞について、CD69陽性細胞の割合を測定した。比率(A:K)=100:0におけるCD69陽性細胞の割合を基準として、各比率(A:K)で培養した際のCD69陽性細胞の相対割合(% Maximal responses)を算出した。また、これらの結果を
図32に示す。
【1112】
図32は、CD69陽性細胞の相対割合を示すグラフである。
図32において、横軸は、比率(A:K)を示し、縦軸は、CD69陽性細胞の相対割合(% Maximal responses)を示す。
図32に示すように、各CAR-Tは、APC-CD19(A)の比率に比例してCD69陽性細胞の割合が増加した。また、各CAR-Tは、APC-CD19に対して様々に反応性を示すことから、これらのCAR-TにおけるscFvの標的細胞に対する親和性は異なることがわかった。すなわち、本発明の第1のスクリーニング方法によれば、標的抗原に結合する異なる親和性を有するscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1113】
(10)第1の候補scFvの機能
つぎに、前記(6)で得られたL4-18H CAR-T、L7-18H CAR-T、L16-18H CAR-T、L17-18H CAR-T、K4-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、K6-18H CAR-T、およびK9-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tが、前記標的抗原との結合により、サイトカイン産生するかを検討した。具体的には、3×10
5細胞の各CAR-Tと、5×10
4細胞の抗原提示細胞(APC-CD19またはRaji細胞)とを各ウェル(96ウェルプレート)に播種後、5時間共培養した。前記抗原提示細胞(APC-CD19)は、前記実施例10(4)と同様にして調製した。また、前記共培養の培養液は、10%FCS含有RPMI1640培地とした。前記培養後、5μmol/LとなるようにBFAを添加し、さらに5時間培養した。そして、培養後の細胞を、1%PFAで固定後、細胞膜の透過処理を行った。さらに、APC標識anti-human IL-2 mAb(clone:MQ1-17H12)、PE標識anti-human TNFα mAb(clone:Mab11)、PC7標識anti-human IFN-γ mAb(clone:B27)、FITC標識anti-human CD4 mAb (clone:OKT4)、PC5標識anti-human CD8a mAb (clone:B9.11)、およびV450標識anti-human NGFR mAb(clone:C40-1457)で染色した。前記染色後の細胞について、前記フローサイトメーターで測定した。そして、サイトカイン発現の割合を算出した。ポジティブコントロールは、前記実施例10(6)で得られたclone18LH CAR-Tを用いた以外は、同様に実施した。コントロール1は、CD19をコードする核酸を導入していないK562細胞を用いた以外は、同様にして実施した。コントロール2は、各CARをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを導入しなかった以外は、同様にして実施した。これらの結果を
図33に示す。
【1114】
図33は、サイトカイン産生細胞の割合を示すグラフである。
図33において、横軸は、CAR-Tの種類を示し、縦軸は、各サイトカインの産生細胞の割合を示す。また、
図33において、上段は、CD8陽性CAR-Tの結果を示し、下段は、CD4陽性CAR-Tの結果を示す。
図33に示すように、標的抗原であるCD19を発現するAPC-CD19またはRaji細胞が存在する場合、標的抗原を発現しないコントロール1(K562)またはコントロール2と比較して、各CAR-TのTNF-α、IFN-γおよびIL-2の産生細胞の割合の上昇が生じ、各CAR-Tが活性化していることがわかった。これらの結果から、本発明のスクリーニング方法によれば、CD19に結合し、かつCAR-Tにおいてエフェクター機能を誘導可能なscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1115】
[実施例11]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARが、in
vivoで抗腫瘍効果を発揮することを確認した。
【1116】
前記実施例10と同様にして、L17-18H CAR-T、K5-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tとを調製した。
【1117】
SLRを発現するRaji細胞(Raji/SLR細胞)は、K562細胞に代えて、Raji細胞を用い、ヒトCD19をコードするポリヌクレオチドに代えて、SLRをコードするポリヌクレオチドを用いた以外は、前記実施例1(4)と同様にして、調製した。なお、SLRは細胞内タンパク質であるため、SLRをコードするポリヌクレオチドには、切断型のNGFR遺伝子(ΔNGFR)をコードする核酸を、フーリン(furin)切断部位(RAKR:配列番号172)、スペーサー配列(SGSG:配列番号173)およびコドン最適化P2A配列(ATNFSLLKQAGDVEENPGP:配列番号174)をコードするポリヌクレオチドを介して、連結した。
【1118】
SLRタンパク質(SLR/furin-sgsg-p2a/dNGFR、配列番号311)
MEEENIVNGDRPRDLVFPGTAGLQLYQSLYKYSYITDGIIDAHTNEVISYAQIFETSCRLAVSLEKYGLDHNNVVAICSENNIHFFGPLIAALYQGIPMATSNDMYTEREMIGHLNISKPCLMFCSKKSLPFILKVQKHLDFLKKVIVIDSMYDINGVECVFSFVSRYTDHAFDPVKFNPKEFDPLERTALIMTSSGTTGLPKGVVISHRSITIRFVHSSDPIYGTRIAPDTSILAIAPFHHAFGLFTALAYFPVGLKIVMVKKFEGEFFLKTIQNYKIASIVVPPPIMVYLAKSPLVDEYNLSSLTEIACGGSPLGRDIADKVAKRLKVHGILQGYGLTETCSALILSPNDRELKKGAIGTPMPYVQVKVIDINTGKALGPREKGEICFKSQMLMKGYHNNPQATRDALDKDGWLHTGDLGYYDEDRFIYVVDRLKELIKYKGYQVAPAELENLLLQHPNISDAGVIGIPDEFAGQLPSACVVLEPGKTMTEKEVQDYIAELVTTTKHLRGGVVFIDSIPKGPTGKLMRNELRAIFAREQAKSKLRAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGPMDGPRLLLLLLLGVSLGGAKEACPTGLYTHSGECCKACNLGEGVAQPCGANQTVCEPCLDSVTFSDVVSATEPCKPCTECVGLQSMSAPCVEADDAVCRCAYGYYQDETTGRCEACRVCEAGSGLVFSCQDKQNTVCEECPDGTYSDEANHVDPCLPCTVCEDTERQLRECTRWADAECEEIPGRWITRSTPPEGSDSTAPSTQEPEAPPEQDLIASTVAGVVTTVMGSSQPVVTRGTTDNLIPVYCSILAAVVVGLVAYIAFKRWNS
【1119】
SLRをコードするポリヌクレオチド(配列番号312)
5'-ATGGAAGAAGAGAACATCGTGAATGGCGATCGCCCTCGGGATCTGGTGTTCCCTGGCACAGCCGGCCTGCAGCTGTATCAGTCCCTGTATAAATACTCTTACATCACCGACGGAATCATCGACGCCCACACCAACGAGGTGATCTCCTATGCCCAGATTTTCGAAACAAGTTGCCGCCTGGCCGTGAGCCTGGAGAAGTATGGCCTGGATCACAACAACGTGGTGGCCATTTGCAGCGAGAACAACATCCACTTCTTCGGCCCTCTGATCGCTGCCCTATACCAGGGGATTCCAATGGCCACATCCAACGATATGTACACCGAGAGGGAGATGATCGGCCACCTGAACATCTCCAAGCCATGTCTGATGTTCTGTTCCAAGAAGTCCCTGCCATTCATCCTGAAGGTGCAGAAGCACCTGGACTTTCTCAAGAAGGTGATCGTGATCGACAGCATGTACGACATCAACGGCGTGGAGTGCGTGTTCAGTTTCGTGTCCCGGTACACCGATCATGCGTTCGATCCAGTGAAGTTCAACCCTAAAGAGTTTGATCCCCTGGAGAGAACCGCGCTGATCATGACATCCTCTGGAACAACCGGCCTGCCTAAGGGCGTGGTGATCAGCCACAGGAGCATCACCATCAGATTCGTCCACAGCAGCGATCCCATCTACGGCACCCGCATCGCCCCAGATACATCCATCCTGGCCATCGCCCCTTTCCACCACGCCTTCGGACTGTTTACCGCCCTGGCTTACTTTCCAGTGGGCCTGAAGATCGTGATGGTGAAAAAGTTTGAGGGCGAGTTCTTCCTGAAGACCATCCAGAACTACAAGATCGCTTCTATCGTGGTGCCTCCTCCAATCATGGTGTATCTGGCCAAGAGCCCTCTGGTGGATGAGTACAATCTGTCCAGCCTGACAGAGATCGCCTGTGGCGGCTCCCCTCTGGGCAGAGACATCGCCGACAAGGTGGCCAAGAGACTGAAGGTCCACGGCATCCTGCAGGGCTATGGCCTGACCGAGACCTGTAGCGCCCTGATCCTGAGCCCCAACGATAGAGAGCTGAAGAAGGGCGCCATCGGCACCCCTATGCCCTATGTCCAGGTGAAGGTGATTGACATCAACACCGGCAAAGCCCTGGGACCAAGAGAGAAGGGCGAGATTTGCTTCAAGAGCCAGATGCTGATGAAGGGCTACCACAACAACCCACAGGCCACCAGGGATGCCCTGGACAAGGACGGGTGGCTGCACACCGGCGATCTGGGCTACTACGACGAGGACAGATTCATCTATGTGGTGGATCGGCTGAAAGAACTCATCAAGTACAAGGGCTACCAGGTGGCCCCTGCCGAGCTGGAGAACTTGCTTCTGCAGCACCCTAACATCTCTGATGCCGGCGTCATCGGCATCCCAGACGAGTTTGCCGGCCAGCTGCCTTCCGCCTGTGTCGTGCTGGAGCCTGGCAAGACCATGACCGAGAAGGAGGTGCAGGATTATATCGCCGAGCTGGTGACCACCACCAAGCACCTGCGGGGCGGCGTGGTGTTCATCGACAGCATTCCGAAAGGCCCAACAGGCAAGCTGATGAGAAACGAGCTGAGGGCCATCTTTGCCCGCGAGCAGGCCAAGTCCAAGCTGAGGGCCAAGCGGTCCGGATCCGGAGCCACCAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCCGGCGACGTGGAGGAGAACCCCGGCCCCATGGACGGGCCGCGCCTGCTGCTGTTGCTGCTTCTGGGGGTGTCCCTTGGAGGTGCCAAGGAGGCATGCCCCACAGGCCTGTACACACACAGCGGTGAGTGCTGCAAAGCCTGCAACCTGGGCGAGGGTGTGGCCCAGCCTTGTGGAGCCAACCAGACCGTGTGTGAGCCCTGCCTGGACAGCGTGACGTTCTCCGACGTGGTGAGCGCGACCGAGCCGTGCAAGCCGTGCACCGAGTGCGTGGGGCTCCAGAGCATGTCGGCGCCATGCGTGGAGGCCGACGACGCCGTGTGCCGCTGCGCCTACGGCTACTACCAGGATGAGACGACTGGGCGCTGCGAGGCGTGCCGCGTGTGCGAGGCGGGCTCGGGCCTCGTGTTCTCCTGCCAGGACAAGCAGAACACCGTGTGCGAGGAGTGCCCCGACGGCACGTATTCCGACGAGGCCAACCACGTGGACCCGTGCCTGCCCTGCACCGTGTGCGAGGACACCGAGCGCCAGCTCCGCGAGTGCACACGCTGGGCCGACGCCGAGTGCGAGGAGATCCCTGGCCGTTGGATTACACGGTCCACACCCCCAGAGGGCTCGGACAGCACAGCCCCCAGCACCCAGGAGCCTGAGGCACCTCCAGAACAAGACCTCATAGCCAGCACGGTGGCAGGTGTGGTGACCACAGTGATGGGCAGCTCCCAGCCCGTGGTGACCCGAGGCACCACCGACAACCTCATCCCTGTCTATTGCTCCATCCTGGCTGCTGTGGTTGTGGGTCTTGTGGCCTACATAGCCTTCAAGAGGTGGAACAGCTGA-3'
【1120】
5週齢のNOGマウス(NOD/Shi-scid,IL-2RγKO・Jicマウス、In-Vivo Science社から購入)に1.5Gyのγ線を照射した。つぎに、
図34(A)に示すように、前記NOGマウスに、5×10
5個のRaji/SLR細胞を静脈投与し、移植した。前記移植後を0日目として、5日目に、2×10
6個の各CAR-Tを静脈投与した。そして、前記移植後6、9、13、および17日目における腫瘍の大きさをイメージアナライザー(AEQUORIA-2D/8600 bioluminescence imaging assays、Hamamatsu Photonics社製)により測定した。コントロールは、前記CARを導入していないT細胞を投与した以外は、同様にして測定した。なお、各群3匹で実施した。これらの結果を
図34に示す。
【1121】
図34は、生体における抗腫瘍活性に関する図である。
図34において、(A)は、プロトコルを示し、(B)は、イメージアナライザーで測定された写真であり、(C)は、腫瘍の大きさを示すグラフである。
図34(B)において、白線で囲った領域は、腫瘍が存在する領域である。
図34(B)および(C)に示すように、前記CAR-T投与群は、コントロールと比較して、腫瘍の大きさが縮小した。また、前記L17-18H CAR-TまたはK5-18H CAR-T投与群は、前記clone18LH CAR-T投与群と比較して、腫瘍が有意に縮小した。これらの結果から、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARが、
in
vivoで抗腫瘍効果を発揮することがわかった。また、本発明のスクリーニング方法によれば、鋳型とするscFvと比較して、
in
vivoにおいて、優れたエフェクター機能を誘導可能なscFvをスクリーニングできることがわかった。
【1122】
[実施例12]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法の第1の選抜工程および第2の選抜工程において、間接的な評価方法に基づく選抜、すなわち、標的抗原とCARとの結合により生じる候補免疫細胞の活性化指標の評価に基づく選抜により、CA-T細胞を機能的に活性化しうるscFvを含むCARをスクリーニング出来ることを確認した。
【1123】
L1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、L124-3M4E5、H73-3M4E5、H1-3M4E5、または3M4E5LH CAR-Tについて、実施例2(5)および(7)の結果から、テトラマー陽性細胞の割合が、陽性細胞の最大割合の半分となるテトラマー濃度(EC50)を構造的親和性の指標値として算出した。前記構造的親和性は、標的抗原に対するCAR(scFv)の特異性ということもできる。また、L1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、L124-3M4E5、H73-3M4E5、H1-3M4E5、または3M4E5LH CAR-Tについて、実施例2(6)および(8)の結果から、CD69の発現上昇率が、CD69の最大発現上昇率の半分となるテトラマー濃度(EC)を機能的親和性の指標値として算出した。前記機能的親和性は、標的抗原に結合した際にCARがT細胞を活性化させる能力を意味する。そして、L1-3M4E5、L66-3M4E5、L73-3M4E5、L88-3M4E5、L102-3M4E5、L124-3M4E5、H73-3M4E5、H1-3M4E5、または3M4E5LH CAR-Tについて、構造的親和性の指標値と、機能的親和性の指標値との相関性を検討した。この結果を
図35に示す。
【1124】
図35は、構造的親和性の指標値と、機能的親和性の指標値との関係性を示すグラフである。
図35において、横軸は、構造的親和性の指標値(Structural avidity)を示し、縦軸は、機能的親和性の指標値(Functional avidity)を示す。
図35に示すように、構造的親和性の指標値および機能的親和性の指標値が高い領域では、正の相関性が見られるものの、構造的親和性の指標値が低くなると、構造的親和性の指標値と機能的親和性の指標値との相関性は見られなくなった。これらの結果から、標的抗原とCARとの結合により生じる候補免疫細胞の活性化指標の評価に基づき、候補scFvを選抜することで、標的抗原とCARとの結合により、候補scFvを選抜する場合と比較して、CAR-T細胞を機能的に活性化しうるscFvを含むCARをスクリーニング出来ることがわかった。
【1125】
[実施例13]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARが、in
vitroで細胞傷害活性を発揮することを確認した。
【1126】
前記実施例10と同様にして、L17-18H CAR-T、K5-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tとを調製した。
【1127】
つぎに、5.0×10
3個の標的細胞であるAPC-CD19(K562/CD19)またはRaji細胞(Raji)について、クロム51(
51Cr)存在下で、1.5時間培養することにより、クロム51でラベルした。つぎに、前記L17-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、またはclone18LH CAR-T(E)と、前記クロム51でラベルしたターゲット細胞(T)について、E:Tが、20:1、10:1、5:1または2.5:1となるように、前記標的細胞を培養しているウェルに、各CAR-T細胞を添加した。そして、5~6時間培養後、上清を回収し、1分間あたりの放射線の計数率(CPM:count per minute)を、AccuFLEXg7010(HITACHI社製)を用いて測定した。また、コントロール1は、CAR-T細胞に代えて、NGFRの発現ベクターを導入したT細胞を用いた以外は同様にして、コントロール2は、前記標的細胞として、K562細胞を用いた以外は同様にして測定した。そして、下記式(1)に基づき、細胞傷害性(特異的融解の割合)を測定した。これらの結果を、
図36に示す。
K=(L
E-L
S)/(L
Max-L
S)×100(%) ・・・(1)
K:細胞傷害性
L
E:CPMの測定値
L
S:ターゲット細胞のみの場合のCPMの測定値
L
Max:ターゲット細胞のみのウェルに0.2%Triton-X含有PBSを添加した場合のCPMの測定値
【1128】
図36は、細胞傷害性を示すグラフである。
図36において、横軸はE/T比を示し、縦軸は、細胞傷害性を示す。
図36に示すように、標的抗原であるCD19を発現しないK562を標的細胞として用いた場合(コントロール2)、特異的な細胞傷害は生じず、各群における細胞傷害性は同等であった。また、CD19特異的なCARを発現してないT細胞を用いた場合(コントロール1)、いずれの標的細胞に対しても特異的な細胞傷害は生じなかった。他方、標的抗原であるCD19を発現するK562およびRaji細胞をターゲット細胞として用いた場合、L17-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、またはclone18LH CAR-T添加群では、エフェクターの量比依存的に細胞傷害性が増大した。また、L17-18H CAR-T、K5-18H CAR-T、およびclone18LH CAR-T添加群において、細胞傷害性に大きな違いはなかった。これらの結果から、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARが、
in
vitroで細胞傷害活性を発揮し、かつL17-18H CAR-TおよびK5-18H CAR-Tは、clone18LH CAR-Tと同等の細胞傷害活性を示すことがわかった。
【1129】
[実施例14]
本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARが、in
vivoで抗腫瘍効果を発揮することを確認した。
【1130】
前記実施例10と同様にして、L17-18H CAR-T、K5-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tとを調製した。つぎに、実施例11と同様にして、SLRを発現するRaji細胞を調製した。
【1131】
5週齢のNOGマウス(NOD/Shi-scid,IL-2RγKO・Jicマウス、In-Vivo Science社から購入)に1.5Gyのγ線を照射した。つぎに、
図37(A)および
図38(A)に示すように、前記NOGマウスに、5×10
5個のRaji/SLR細胞を静脈投与し、移植した。前記移植後を0日目として、5日目または7日目に、2×10
6個の各CAR-Tを静脈投与した。前記移植後、経時的に腫瘍の大きさを前記イメージアナライザーにより測定し、かつマウスの生存率を測定した。なお、各群5匹で実施した。コントロールは、CAR-T細胞に代えて、NGFRの発現ベクターを導入したT細胞を用いた以外は同様にして実施した。これらの結果を
図37および
図38に示す。
【1132】
図37および
図38は、生体における全生存率に関する図である。
図37および
図38において、(A)は、プロトコルを示し、(B)は、全生存率を示すKaplan-Meier曲線である。
図37(B)に示すように、腫瘍が小さい時期、すなわち、初期がんの状態においては、L17-18H CAR-TまたはK5-18H CAR-Tの投与群と、clone18LH CAR-Tの投与群との間で、全生存率に大きな違いはなく、抗腫瘍効果はほぼ同等であった。また、図には示していないが、イメージアナライザーによる画像分析においても同様の結果が得られた。他方、
図38(B)に示すように、腫瘍が十分に浸潤している時期、すなわち、腫瘍が進行している状態においては、clone18LH CAR-Tの投与群と比較して、L17-18H CAR-TまたはK5-18H CAR-Tの投与群では、全生存率が大きく向上し、L17-18H CAR-T投与群では、100%の生存率であった。また、図には示していないが、イメージアナライザーによる画像分析においても同様の結果が得られた。
【1133】
これらの結果から、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARが、in
vivoで抗腫瘍効果を発揮することがわかった。また、本発明のCARライブラリを用いた本発明のスクリーニング方法により得られたscFvを含むCARは、in
vivoにおいて、進行している腫瘍モデルにおいても十分な治療効果を奏することがわかった。
【1134】
[実施例15]
本発明のスクリーニング方法により、in
vivoでの抗腫瘍効果に優れるscFvを取得できるメカニズムを検討した。
【1135】
(1)細胞増殖能の比較
前記実施例10と同様にして、L17-18H CAR-Tと、clone18LH CAR-Tとを調製した。つぎに、20Gyでγ線照射したAPC-CD19(K562/CD19)またはRaji細胞(Raji)(T)と、L17-18H CAR-Tまたはclone18LH CAR-T(E)とについて、E:Tが、1:1または10:1となるように、前記CAR-T細胞を培養しているウェルに、標的細胞を添加した。前記標的細胞添加時を基準として、5日間培養した。前記培養では、10U/mLのIL-2および10ng/mLのIL-15を培地に添加した。さらに、培養5日目において、培養開始時と同じ条件で、各CAR-T細胞を再刺激した。そして、培養開始時から所定時(0、3、5、7または10日)における細胞数をカウントし、培養開始時の細胞数を1とした際の細胞数比を増殖比として算出した。これらの結果を
図39に示す。
【1136】
図39は、細胞の増殖比を示すグラフである。
図39において、横軸は、培養開始時からの時間を示し、縦軸は、増殖比を示す。
図39に示すように、いずれのE:T比においても、本発明のスクリーニング方法で得られるCARは、T細胞の増殖誘導能が高かった。また、E:T=1:1においても、L17-18H CAR-Tは、clone18LH CAR-Tと比較して、優れた増殖比を示すことから、L17-18H CAR-Tは、標的抗原が多い環境、例えば、腫瘍が進行し、腫瘍細胞が多い状況においても増殖性に優れていることがわかった。
【1137】
(2)サイトカイン産生能の比較
前記実施例15(1)の培養10日目のL17-18H CAR-Tおよびclone18LH CAR-Tのサイトカイン産生能について検討した。具体的には、3.0×10
5細胞のCAR-T細胞と、5.0×10
4個の標的細胞(K562細胞、Raji細胞、APC-CD19(K562/CD19)とを共培養した。2時間培養後、5μg/mLとなるように、Brefeldin A(BFA)を添加し、さらに、14~18時間培養した。そして、CAR-T細胞を回収後、1%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定後、細胞膜の透過処理を行い、PE標識抗ヒトTNF-α抗体(clone MAb11)、APC標識抗ヒトIL-2抗体(clone MQ1-17H12)およびPC7標識抗ヒトIFN-γ抗体(clone B27)と、PC5標識抗ヒトCD8抗体(clone B9.11)、FITC標識抗CD4抗体(clone OKT4)およびV450標識anti-human NGFR(clone:C40-1457)で染色した。前記染色後のCAR-T細胞について、前記フローサイトメーターで測定し、各サイトカインを産生している細胞の割合を算出した。これらの結果を
図40に示す。
【1138】
図40は、サイトカイン産生能を示すグラフである。
図40において、横軸は、CAR-T細胞の種類を示し、縦軸は、サイトカイン産生細胞の割合を示し、図の上部は、10日目までの培養条件を示す。
図40に示すように、L17-18H CAR-Tは、clone18LH CAR-Tと比較して、いずれのサイトカインについても、サイトカイン産生細胞の割合がやや低かった、すなわち、サイトカイン産生能がやや弱いことがわかった。
【1139】
(3)細胞傷害活性の比較
前記実施例15(1)の培養10日目のL17-18H CAR-Tおよびclone18LH CAR-Tの細胞傷害活性について検討した。つぎに、5.0×103個の標的細胞であるAPC-CD19(K562/CD19)またはRaji細胞(Raji)およびK562細胞について、クロム51(51Cr)存在下で、1.5時間培養することにより、クロム51でラベルした。
【1140】
つぎに、前記L17-18H CAR-Tまたはclone18LH CAR-T(E)と、前記クロム51でラベルしたターゲット細胞(T)について、E:Tが、10:1、5:1または2.5:1となるように、前記標的細胞を培養しているウェルに、各CAR-T細胞を添加した。そして、5~6時間培養後、上清を回収し、1分間あたりの放射線の計数率(CPM:count per minute)を、AccuFLEXg7010を用いて測定した。そして、前記式(1)に基づき、細胞傷害性(特異的融解の割合)を測定した。これらの結果を、
図41に示す。
【1141】
図41は、細胞傷害活性を示すグラフである。
図41において、横軸は、E:T比を示し、縦軸は、細胞傷害活性を示し、図の上部は、10日目までの培養条件を示す。
図41に示すように、L17-18H CAR-Tは、clone18LH CAR-Tと同等の細胞傷害活性を示すことが分かった。
【1142】
(4)T細胞の疲弊の比較
4人の異なるドナー(ヒト)由来のT細胞を用いた以外は、前記実施例10と同様にして、L17-18H CAR-Tおよびclone18LH CAR-Tを調製した。得られたCAR-T細胞について、0.5μmol/L CFSEを含むPBS内で、15分間37℃でインキュベートし、CAR-T細胞をCFSEで標識した。つぎに、20Gyでγ線照射したRaji細胞(Raji)(T)と、L17-18H CAR-Tまたはclone18LH CAR-T(E)とについて、E:Tが、1:1または5:1となるように、それぞれをウェルに添加した。前記標的細胞添加時を基準として、3日間培養した。
【1143】
前記培養後、CAR-T細胞を回収し、PE標識抗PD-1抗体(clone EH12.2H7)、APC標識CD45RA抗体(clone HI100)、PC7標識CCR7抗体(clone G043H7)、BV421標識CD62L抗体(clone DREG-56)、PC5標識CD8抗体(clone B9.11)、APC-Cy7標識CD4抗体(clone RPA-T4)で染色後、フローサイトメーターで蛍光強度を測定した。得られたCFSEの蛍光強度のMFIから、下記式(2)に基づき、分裂したCAR-T細胞の割合を算出した。また、共培養前後のCD8陽性CAR-T細胞およびCD4陽性CAR-T細胞中のCD45RA/CD62L陽性細胞の分布を、
図42に示す。さらに、各CAR-T細胞の分裂割合と、共培養前後のCD45RA陽性CD62L陽性CCR7陽性細胞の割合と、CD45RA陰性CD62L陽性CCR7陽性と、CD45RA陽性CD62L陰性PD1陽性細胞の割合とを、
図43に示す。
Proliferation(%)=(control MFI-sample MFI)/control MFI×100 ・・・(2)
control MFI:K562細胞株とE:T=1:1の条件で共培養したCAR-T細胞のMFI
sample MFI:各CAR-T細胞のMFI
【1144】
図42は、共培養前後のCD8陽性CAR-T細胞およびCD4陽性CAR-T細胞中のCD45RA/CD62L陽性細胞の分布を示すドットプロットである。また、
図43は、各CAR-T細胞の分裂割合と、共培養前後のCD45RA陽性CD62L陽性CCR7陽性細胞の割合と、CD45RA陰性CD62L陽性CCR7陽性と、CD45RA陽性CD62L陰性PD1陽性細胞の割合とを示すグラフである。
図42および
図43に示すように、共培養前のL17-18H CAR-Tおよびclone18LH CAR-Tの形質は概ね同じであった。他方で、
in
vivo環境を模倣していると考えられる腫瘍が多い環境下(Raji/CAR-T E/T 1:1)で刺激した場合、L17-18H CAR-Tは、clone18LH CAR-Tと比較して、再現性をもって優れた増幅性を示した。さらに、同様の環境下において、L17-18H CAR-Tは、clone18LH CAR-Tと比較して、CD45RA
+CD62L
+CCR7
+の若いT細胞形質が保持されやすいこと、CD45RA
-CD62L
+CCR7
+のセントラルメモリーT細胞の割合が増加すること、同時にCD45RA
+CD62L
-PD1
+の疲弊したT細胞の割合が低下することが明らかとなった。
【1145】
以上のことから、本発明の第1のスクリーニング方法では、以下のようなメカニズムで、
in
vivoでの抗腫瘍効果に優れるscFvを取得できると推定された。なお、前記推定により、本発明は何ら制限されない。本発明のスクリーニング方法では、
図44に示すように、CARライブラリを導入したT細胞等の免疫細胞(CARライブラリ細胞)について、第1の接触工程または第2の接触工程において、標的抗原と接触させる。これにより、前記CARライブラリ細胞において、標的抗原に特異的なCARを発現する細胞が増殖する。ただし、前記第1の接触工程および第2の接触工程において、個々のscFvのアミノ酸配列の異なるCARライブラリ細胞からみると、E/T ratioは極めて低い状況となる(
図44 Step1)。この結果、L17-18H CAR-Tのような低いE/T ratioにおいても増幅しやすい特徴を持つCARライブラリ細胞が、前記第1の接触工程および第2の接触工程において、最終的に濃縮されることになる(
図44 Step2)。そして、このような特徴を持つCARライブラリ細胞が富化された状態で、前記第1の選抜工程および第2の選抜工程を実施するため、相対的に、低いE/T ratioにおいても増幅しやすく、かつ増殖し続けても疲弊しにくい特徴を持つCARライブラリ細胞由来のscFvが選抜されることになる(
図44 Step3)。他方、L17-18H CAR-Tに示されるように、低いE/T ratioにおいて増幅可能なCARライブラリ細胞は、通常の細胞傷害活性を示す。したがって、本発明のスクリーニング方法によれば、優れた増殖能を示し、かつ細胞傷害活性を示すscFvを備えるCARライブラリ細胞が選抜されるため、
in
vivoにおいても高い抗腫瘍活性を付与可能なscFvを備えるCARをスクリーニングできると推定された。なお、上記メカニズムは、CARの基本骨格を変えても同様に生じるため、CD28およびCD3ζ以外の細胞内ドメイン等を有するCARを用いてスクリーニングを行なっても、同様に
in
vivoでの抗腫瘍効果に優れるscFvを取得できると推定される。
【1146】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【1147】
この出願は、2019年2月4日に出願された日本出願特願2019-018269、2019年5月18日に出願された日本出願特願2019-094188、2019年7月30日に出願された日本出願特願2019-140121、および2019年10月4日に出願された日本出願特願2019-184071を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【1148】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
第1のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含み、
前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、
前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす、CARライブラリ;
条件1:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(付記2)
前記第1の細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、付記1記載のCARライブラリ。
(付記3)
前記第1の膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通ドメインを含む、付記1または2記載のCARライブラリ。
(付記4)
前記第1のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、付記1から3のいずれかに記載のCARライブラリ。
(付記5)
付記1から4のいずれかに記載のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第1の発現工程と、
前記第1の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第1の接触工程と、
前記第1の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第1のscFvを、前記標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む、scFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記6)
前記第1の候補scFvに基づき、第2のCARライブラリを調製する調製工程を含み、
前記第2のCARライブラリは、第2のCARをコードする核酸を含み、
前記第2のCARは、第2の抗原結合ドメインと、第2の膜貫通ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第2の抗原結合ドメインは、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含み、
前記第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含み、
前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、下記条件3または条件4を満たし、
さらに、前記第2のCARライブラリを免疫細胞に発現させる第2の発現工程と、
前記第2の発現工程で得られた免疫細胞と、前記標的抗原とを接触させる第2の接触工程と、
前記第2の接触工程において前記標的抗原と結合した免疫細胞に発現するCARの第2のscFvを、前記標的抗原に結合する第2の候補scFvとして第2の選抜工程とを含む、付記5記載の製造方法(スクリーニング方法);
条件3:
前記第1の発現工程におけるCARライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第1の候補scFvにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件4:
前記第1の発現工程におけるCARライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第1の候補scFvにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(付記7)
前記第2の接触工程を複数回実施する、付記6記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記8)
前記第2の選抜工程において、前記標的抗原のモノマーまたはマルチマーを用いて、前記標的抗原に結合する免疫細胞を検出し、
検出された免疫細胞に発現するscFvを、前記第2の候補scFvとして選抜する、付記6または7記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記9)
前記第2のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、付記6から8のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記10)
前記第1の接触工程を複数回実施する、付記5から9のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記11)
前記第1の選抜工程において、前記標的抗原のモノマーまたはマルチマーを用いて、前記標的抗原に結合する免疫細胞を検出し、
検出された免疫細胞に発現するscFvを、前記第1の候補scFvとして選抜する、付記5から10のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記12)
前記免疫細胞は、T細胞である、付記5から11のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記13)
下記(H)の重鎖可変領域と、下記(L)の軽鎖可変領域とを含む、HLA-A*02:01およびNY-ESO-1157-165の複合体に対する抗体またはその抗原結合断片。
(H)重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである重鎖可変領域
(H1)下記(H1-1)、(H1-2)または(H1-3)のアミノ酸配列
(H1-1)前記表1AのCDRH1のいずれかのアミノ酸配列
(H1-2)(H1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-3)(H1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2)下記(H2-1)、(H2-2)または(H2-3)のアミノ酸配列
(H2-1)前記表1AのCDRH2のいずれかのアミノ酸配列
(H2-2)(H2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-3)(H2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3)下記(H3-1)、(H3-2)または(H3-3)のアミノ酸配列
(H3-1)前記表1AのCDRH3のいずれかのアミノ酸配列
(H3-2)(H3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-3)(H3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L)軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである軽鎖可変領域
(L1)下記(L1-1)、(L1-2)または(L1-3)のアミノ酸配列
(L1-1)前記表1BのCDRL1のいずれかのアミノ酸配列
(L1-2)(L1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-3)(L1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2)下記(L2-1)、(L2-2)または(L2-3)のアミノ酸配列
(L2-1)前記表1BのCDRL2のいずれかのアミノ酸配列
(L2-2)(L2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-3)(L2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3)下記(L3-1)、(L3-2)または(L3-3)のアミノ酸配列
(L3-1)前記表1BのCDRL3のいずれかのアミノ酸配列
(L3-2)(L3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-3)(L3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(付記14)
前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域の組合せが、前記表2のいずれかの組合せである、付記13記載の抗体またはその抗原結合断片。
(付記15)
抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記抗原結合ドメインは、付記13または14記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、キメラ抗原受容体。
(付記16)
前記抗原結合断片は、一本鎖抗体である、付記15記載のキメラ抗原受容体。
(付記17)
付記15または16記載のキメラ抗原受容体をコードする、核酸。
(付記18)
付記15または16記載のキメラ抗原受容体を含む、細胞。
(付記19)
前記細胞は、T細胞を含む、付記18記載の細胞。
(付記20)
付記17記載の核酸を細胞に導入する導入工程を含む、細胞の製造方法。
(付記21)
前記細胞は、T細胞を含む、付記20記載の細胞の製造方法。
(付記22)
第1の二重特異性抗体(BsAb)をコードする核酸を含み、
前記第1のBsAbは、第1の抗原結合ドメインと、第2の抗原結合ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、第1の標的抗原に結合する第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第2の抗原結合ドメインは、第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含み、
前記第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含み、
前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たし、
前記第1の標的抗原または前記第2の標的抗原は、免疫細胞活性化受容体である、BsAbライブラリ;
条件1:
前記第2の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件2:
前記第2の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第2の標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(付記23)
前記第1のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、付記22記載のBsAbライブラリ。
(付記24)
前記免疫細胞活性化受容体は、CD3である、付記22または23記載のBsAbライブラリ。
(付記25)
付記22から24のいずれかに記載のBsAbライブラリから第1のBsAbを準備する第1の準備工程と、
前記第1の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、
前記第1のBsAbと、前記第2の標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させ、
前記第2の標的抗原が免疫細胞活性化受容体の場合、
前記第1のBsAbと、前記第1の標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させる第1の接触工程と、
前記第1の接触工程において、前記第2の標的抗原と結合した第1のBsAbの第2のscFvを、前記第2の標的抗原に結合する第1の候補scFvとして選抜する第1の選抜工程とを含む、scFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記26)
前記第1の候補scFvに基づき、第2のBsAbライブラリを調製する調製工程を含み、
前記第2のBsAbライブラリは、前記第2のBsAbをコードする核酸を含み、
前記第2のBsAbは、第3の抗原結合ドメインと、第4の抗原結合ドメインとを含み、
前記第3の抗原結合ドメインは、前記第1の標的抗原に結合する第3のscFvを含み、
前記第4の抗原結合ドメインは、前記第2の標的抗原への結合をスクリーニングする第4のscFvを含み、
前記第4のscFvは、第4の重鎖可変領域と、第4の軽鎖可変領域とを含み、
前記第4の重鎖可変領域および前記第4の軽鎖可変領域は、下記条件3または条件4を満たし、
さらに、前記第2のBsAbライブラリから第2のBsAbを準備する第2の準備工程と、
前記第1の標的抗原が前記免疫細胞活性化受容体の場合、
前記第2のBsAbと、前記第2の標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させ、
前記第2の標的抗原が前記免疫細胞活性化受容体の場合、
前記第2のBsAbと、前記第1の標的抗原と、前記免疫細胞活性化受容体を発現可能な免疫細胞とを接触させる第2の接触工程と、
前記第2の接触工程において、前記第2の標的抗原と結合した第2のBsAbの第4のscFvを、前記第2の標的抗原に結合する第2の候補scFvとして選抜する第2の選抜工程とを含む、付記25記載のscFv製造方法(スクリーニング方法);
条件3:
前記第1の準備工程におけるBsAbライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記第1の候補BsAbにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
条件4:
前記第1の準備工程におけるBsAbライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第4の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記第1の候補BsAbにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第4の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(付記27)
前記第2の接触工程および前記第2の選抜工程を1セットとし、前記セットを複数回実施する、付記26記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記28)
前記第2の選抜工程において、前記免疫細胞の活性化分子の発現を検出し、
前記免疫細胞の活性化分子を誘導した第2のBsAbを、前記第2の候補BsAbとして選抜する、付記26または27記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記29)
前記第2のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、付記25から28のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記30)
前記第1の接触工程および前記第1の選抜工程を1セットし、前記セットを複数回実施する、付記25から29のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記31)
前記第1の選抜工程において、前記免疫細胞の活性化分子の発現を検出し、
前記免疫細胞の活性化分子を誘導した第1のBsAbを、前記第1の候補BsAbとして選抜する、付記25から30のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記32)
前記免疫細胞活性化受容体は、CD3である、付記25から31のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記33)
前記免疫細胞は、T細胞である、付記25から32のいずれかに記載のscFvの製造方法(スクリーニング方法)。
(付記34)
下記(H)の重鎖可変領域と、下記(L)の軽鎖可変領域とを含む、CD19に対する抗体またはその抗原結合断片。
(H)重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
CDRH1が、下記(H1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH2が、下記(H2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRH3が、下記(H3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである重鎖可変領域
(H1)下記(H1-1)、(H1-2)または(H1-3)のアミノ酸配列
(H1-1)前記表3AのCDRH1のいずれかのアミノ酸配列
(H1-2)(H1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H1-3)(H1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H2)下記(H2-1)、(H2-2)または(H2-3)のアミノ酸配列
(H2-1)前記表3AのCDRH2のいずれかのアミノ酸配列
(H2-2)(H2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H2-3)(H2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(H3)下記(H3-1)、(H3-2)または(H3-3)のアミノ酸配列
(H3-1)前記表3AのCDRH3のいずれかのアミノ酸配列
(H3-2)(H3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(H3-3)(H3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L)軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3を含み、
CDRL1が、下記(L1)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL2が、下記(L2)のアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、
CDRL3が、下記(L3)のアミノ酸配列を含むポリペプチドである軽鎖可変領域
(L1)下記(L1-1)、(L1-2)または(L1-3)のアミノ酸配列
(L1-1)前記表3BのCDRL1のいずれかのアミノ酸配列
(L1-2)(L1-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L1-3)(L1-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L2)下記(L2-1)、(L2-2)または(L2-3)のアミノ酸配列
(L2-1)前記表3BのCDRL2のいずれかのアミノ酸配列
(L2-2)(L2-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L2-3)(L2-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(L3)下記(L3-1)、(L3-2)または(L3-3)のアミノ酸配列
(L3-1)前記表3BのCDRL3のいずれかのアミノ酸配列
(L3-2)(L3-1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
(L3-3)(L3-1)のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
(付記35)
前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域の組合せが、前記表2のいずれかの組合せである、付記34記載の抗体またはその抗原結合断片。
(付記36)
抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記抗原結合ドメインは、付記34または35記載の抗体またはその抗原結合断片を含む、キメラ抗原受容体。
(付記37)
前記抗原結合断片は、一本鎖抗体である、付記36記載のキメラ抗原受容体。
(付記38)
付記36または37記載のキメラ抗原受容体をコードする、核酸。
(付記39)
付記36または37記載のキメラ抗原受容体を含む、細胞。
(付記40)
前記細胞は、T細胞を含む、付記39記載の細胞。
(付記41)
付記38記載の核酸を細胞に導入する導入工程を含む、細胞の製造方法。
(付記42)
前記細胞は、T細胞を含む、付記41記載の細胞の製造方法。
(付記43)
第1のキメラ抗原受容体(CAR)ライブラリの発現細胞を動物に投与する第1の投与工程と、
前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第1のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する第1の採取工程とを含み、
前記第1のCARライブラリは、第1のCARをコードする核酸を含み、
前記第1のCARは、第1の抗原結合ドメインと、第1の膜貫通ドメインと、第1の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第1の抗原結合ドメインは、標的抗原への結合をスクリーニングする第1の一本鎖抗体(scFv)を含み、
前記第1のscFvは、第1の重鎖可変領域と、第1の軽鎖可変領域とを含み、
前記第1の重鎖可変領域および前記第1の軽鎖可変領域は、下記条件1または条件2を満たす、scFvの製造方法:
(条件1)
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
(条件2)
前記第1の重鎖可変領域における重鎖相補性決定領域(CDRH)1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第1のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第1の軽鎖可変領域における軽鎖相補性決定領域(CDRL)1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原に結合する抗体もしくはその抗原結合断片における軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(付記44)
前記第1の投与工程において、複数種類の第1のCARライブラリ発現細胞を投与する、付記43記載の製造方法。
(付記45)
前記第1の投与工程後、前記標的抗原を前記動物に投与する第1の刺激工程を含む、付記43または44記載の製造方法。
(付記46)
前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を、前記標的抗原で再刺激する第1の再刺激工程を含む、付記43から45のいずれかに記載の製造方法。
(付記47)
前記第1の投与工程に先立ち、標的抗原を発現する細胞を前記動物に導入し、前記標的抗原を発現する組織を形成させる第1の形成工程を含む、付記43から46のいずれかに記載の製造方法。
(付記48)
発現する組織に集積した前記第1のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する、付記43から47のいずれかに記載の製造方法。
(付記49)
前記第1のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、付記43から48のいずれかに記載の製造方法。
(付記50)
第2のCARライブラリの発現細胞を動物に投与する第2の投与工程と、
前記動物において、標的抗原を発現する組織に集積した前記第2のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する第2の採取工程とを含み、
前記第2のCARライブラリは、第2のCARをコードする核酸を含み、
前記第2のCARは、第2の抗原結合ドメインと、第2の膜貫通ドメインと、第2の細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
前記第2の抗原結合ドメインは、前記標的抗原への結合をスクリーニングする第2のscFvを含み、
前記第2のscFvは、第2の重鎖可変領域と、第2の軽鎖可変領域とを含み、
前記第2の重鎖可変領域および前記第2の軽鎖可変領域は、下記条件3または条件4を満たす、付記43から49のいずれかに記載の製造方法:
(条件3)
前記第1のCARライブラリが前記条件1を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞のscFvにおける軽鎖可変領域のCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む;
(条件4)
前記第1のCARライブラリが前記条件2を満たす場合、
前記第2の重鎖可変領域におけるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、それぞれ、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞のscFvにおける重鎖可変領域のCDRH1、CDRH2、およびCDRH3を含み、
前記第2の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ、第2のB細胞受容体の軽鎖可変領域におけるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3を含む。
(付記51)
前記第2の投与工程において、複数種類の第2のCARライブラリ発現細胞を投与する、付記50記載の製造方法。
(付記52)
前記第2の投与工程後、前記標的抗原を前記動物に投与する第2の刺激工程を含む、付記50または51記載の製造方法。
(付記53)
前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞を、前記標的抗原で再刺激する第1の再刺激工程を含む、付記50から52のいずれかに記載の製造方法。
(付記54)
前記第2の投与工程に先立ち、標的抗原を発現する細胞を前記動物に導入し、前記標的抗原を発現する組織を形成させる第2の形成工程を含む、付記50から53のいずれかに記載の製造方法。
(付記55)
前記第2の採取工程において、前記標的抗原を発現する組織を採取し、前記標的抗原を発現する組織に集積した前記第2のCARライブラリ発現細胞を、前記標的抗原特異的なCARを発現する細胞として採取する、付記50から54のいずれかに記載の製造方法。
(付記56)
前記第2のB細胞受容体は、ヒト由来B細胞のB細胞受容体である、付記50から55のいずれかに記載の製造方法。
(付記57)
前記発現細胞は、T細胞である、付記43から56のいずれかに記載の製造方法。
(付記58)
前記標的抗原は、腫瘍抗原である、付記43から57のいずれかに記載の製造方法。
(付記59)
前記動物は、非ヒト動物である、付記43から58のいずれかに記載の製造方法。
(付記60)
前記動物は、免疫抑制動物である、付記43から59のいずれかに記載の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【1149】
以上説明したように、本発明によれば、CAR-T細胞において機能しうるscFvのスクリーニングに用いるCARライブラリ、およびそれを用いたscFvのスクリーニング方法を提供できる。このため、本発明は、医薬分野等において、極めて有用といえる。
【配列表】