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特許7025061トランスミッタ用自己排水マウントヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】トランスミッタ用自己排水マウントヘッド
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20220216BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20220216BHJP
   G01F 1/36 20060101ALI20220216BHJP
   G01F 15/10 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G01L19/00 A
G01F1/00 G
G01F1/36
G01F15/10
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020517281
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 US2018032066
(87)【国際公開番号】W WO2018222368
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-01-09
(31)【優先権主張番号】15/608,007
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519429347
【氏名又は名称】ディエッターリック スタンダード インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ケニヨン、ナサニエル、カーク
(72)【発明者】
【氏名】シュテーレ、ジョン、ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ビンガム、ブライス、アーサー
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフル、チャド、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ストロム、グレゴリー、ロバート
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/099968(WO,A1)
【文献】特表2015-522808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F15/00-15/18
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体内のトランスミッタプロセス結合ポートと、
前記ヘッド本体のインパルスポートと、
前記インパルスポートに結合されたインパルス通路と、
前記トランスミッタプロセス結合ポートと前記インパルス通路との間に結合されたインパルス排水通路であって、前記インパルス排水通路は、前記インパルス通路に対してある角度で配置され、かつ、前記インパルス排水通路がヘッド設置角度の範囲にわたって前記トランスミッタプロセス結合ポートから排水するように前記インパルス排水通路を配置するヘッド設置角度に対応して配置された前記インパルス排水通路と、
前記ヘッド本体の排水/通気ポートと、
前記排水/通気ポートを密封するように構成され、取り外し可能な排水/通気プラグと、
前記排水/通気ポートと前記インパルス通路との間に結合された排水/通気通路と、
前記トランスミッタプロセス結合ポートと前記排水/通気通路との間に結合された排水/通気排水通路と、
を含む、自己排水式トランスミッタマウントヘッドであって、
前記排水/通気通路は、前記インパルス通路と整列され、
前記排水/通気排水通路は、前記インパルス通路に対してある角度で配置され、かつ、前記排水/通気排水通路が前記ヘッド設置角度の180度反対のヘッド設置角度の第2の範囲にわたって前記トランスミッタプロセス結合ポートから排水するように前記排水/通気排水通路を配置する第2のヘッド設置角度に対応して配置されている、
自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項2】
前記インパルス通路に結合されたイコライザ通路に結合された、本体内のイコライザシートポートと、
イコライザポートに結合されたイコライザ弁と、
を更に含む、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項3】
前記インパルス通路に結合された本体内の遮断弁ポートと、
遮断弁ポートに結合された遮断弁と、
を更に含む、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項4】
前記遮断弁は、自己排水弁である、請求項3に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項5】
前記ヘッド本体は、前記遮断弁が自己排水のために設置されるボンネットシートをさらに備え、
前記ボンネットシートは、フルポート上昇プラグボンネットを備える、
請求項4に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項6】
前記トランスミッタプロセス結合ポートは、第1の差動ポート及び第2の差動ポートを備え、
前記インパルス通路は、一対のインパルス通路を備え、
前記インパルス排水通路は、第1のインパルス排水通路及び第2のインパルス排水通路を備え、
前記インパルスポートは、第1のインパルスポート及び第2のインパルスポートを備え、
前記第1の差動ポートは、第1の前記インパルス通路及び前記第1のインパルス排水通路によって前記第1のインパルスポートに結合され、
前記第2の差動ポートは、前記第2のインパルス排水通路及び第2の前記インパルス通路によって前記第2のインパルスポートに結合され、
前記ヘッド本体は、差圧測定のために構成される、
請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項7】
前記インパルス排水通路は、前記インパルス通路に対して、前記トランスミッタプロセス結合ポートに向かって約135度の角度で傾斜している、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項8】
前記インパルス通路及び前記インパルス排水通路の各々は、少なくとも0.953センチの直径を有する、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項9】
前記ヘッド本体のための冷却要素を更に含む、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項10】
前記冷却要素は、前記ヘッド本体に結合された少なくとも1つのヒートシンクフィンを備える、請求項9に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項11】
前記冷却要素は、前記ヘッド本体を通る少なくとも1つの冷却通路を含み、
前記少なくとも1つの冷却通路は、前記ヘッド本体から熱を除去するために熱伝達流体に結合可能である、
請求項9に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項12】
前記インパルス通路及び前記インパルス排水通路のうちの少なくとも1つは、その長手方向に沿って配置された少なくとも1つの溝を含む、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項13】
前記インパルス通路及び前記インパルス排水通路は、チャンバに結合され、
前記チャンバは、前記トランスミッタプロセス結合ポートに隣接し、
前記インパルス通路は、前記ヘッド本体が前記ヘッド設置角度の範囲内で設置されるとき、前記チャンバ内の最低点で前記チャンバに結合される、
請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項14】
前記インパルス通路及び前記インパルス排水通路は、前記ヘッド設置角度の範囲内の前記ヘッド設置角度において重力下で通路内の水塊の表面張力に打ち勝つのに十分な直径である、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項15】
前記ヘッド本体は、圧力トランスミッタに直接取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項16】
前記ヘッド本体は、インパルスライン及び一次要素と一体的に形成される、請求項1に記載の自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項17】
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体内の一対の差動トランスミッタプロセス結合ポートと、
前記ヘッド本体内の一対のインパルスポートと、
第1のインパルス通路が第1の前記インパルスポートに結合され、第2のインパルス通路が第2の前記インパルスポートに結合された、一対のインパルス通路と、
第1のインパルス排水通路が第1の前記差動トランスミッタプロセス結合ポートと前記第1のインパルス通路との間においてある角度で結合され、第2のインパルス排水通路が第2の前記差動トランスミッタプロセス結合ポートと前記第2のインパルス通路との間においてある角度で結合された、一対のインパルス排水通路と、
前記ヘッド本体内の一対の排水/通気ポートと、
前記排水/通気ポートの各々をシールするように構成された取り外し可能な排水/通気プラグと、
第1の排水/通気通路が対応する第1の前記排水/通気ポートと前記第1のインパルス通路との間に結合され、第2の排水/通気通路が対応する第2の前記排水/通気ポートと前記第2のインパルス通路との間に結合された、一対の排水/通気通路と、
第1の排水/通気排水通路が、前記第1の排水/通気通路と第1の前記差動トランスミッタプロセス結合ポートとの間においてある角度で結合され、第2の排水/通気排水通路が、前記第2の排水/通気通路と第2の前記差動トランスミッタプロセス結合ポートとの間の角度で結合された、一対の排水/通気排水通路であって、前記排水/通気排水通路の各々は、ヘッド設置角度の180度反対側のヘッド設置角度の第2の範囲にわたってトランスミッタ結合ポートから排水するように前記排水/通気排水通路を配置する第2のヘッド設置角度に対応して配置されている、一対の排水/通気排水通路と、
を含む、自己排水式トランスミッタマウントヘッドであって、
前記排水/通気通路の各々は、対応するインパルス通路と整列しており、
傾斜インパルス排水通路は、前記ヘッド設置角度の範囲にわたって差動トランスミッタプロセス結合ポートから排水するように構成されている、
自己排水式トランスミッタマウントヘッド。
【請求項18】
プロセスフローが停止した場合、前記ヘッド本体内のプロセス流体をトランスミッタプロセス結合ポートから内部に排水できる向きに前記ヘッド本体を取り付ける、
ことを含む、請求項1~請求項17の何れか1項に記載の自己排水トランスミッタマウントヘッドを設置する方法であって、
前記ヘッド本体を取り付けることは、前記ヘッド本体から前記プロセス流体を排水するために前記ヘッド本体内に角度のついた排水通路を配置するために、所定範囲内の方向に取り付ける、ことを更に含む、
自己排水トランスミッタマウントヘッドを設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧力トランスミッタ流量計の接続に関する。より具体的には、本発明は、自己排水ヘッド構成に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気及び腐食性又は危険な流体などのプロセス流体の流量測定は、多くの独特の課題を引き起こす可能性があり、そのうちの1つは、蒸気が冷たい周囲環境で測定される場合に一般的である。蒸気の流れが停止すると、トランスミッタマウントヘッドの差圧ポート内、又はトランスミッタのダイアフラムの近くに表面張力によって捕捉された水が凍結し、トランスミッタ、ヘッド、又は流量計を損傷する可能性がある。
【0003】
多くの差圧流の用途では、プロセス流が停止したときに、プロセス流体がトランスミッタから排水され、プロセス導管に戻ることが望ましい。この要件に伴う最も一般的なシナリオは、流れを遮断することによって、閉じ込められた水が凍結し、膨張し、敏感な計器構成要素に損傷を与えることがある、冷たい周囲環境における水又は蒸気の流れである。これは、腐食性又は他の危険な流体の流れを用いる用途にも望ましい。現在の設計では、プロセス導管の上方にトランスミッタを有する流量計を取り付けることは、プロセス流体がパイプ内に排水されて戻ることを保証しない。インパルス管内の通路及び電流ヘッド及び/又はマニホルド内のポートは、その中の流体の質量が流体の表面張力に打ち勝たないように十分に小さい直径を有し、したがって、プロセスフローが停止した後でも、流体は捕捉されたままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過酷な環境、特に低温(例えば、水を凍結させるのに十分な低温)にさらされる環境において問題を引き起こし得る一般的なプロセス流体は、蒸気である。低温では、蒸気が水に凝縮し、水がヘッド通路内で、また圧力トランスミッタのダイアフラムの近くで凍結することがあり、プロセストランスミッタ及びその構成要素への損傷、プロセス流体通路の閉塞などを含む多くの潜在的な問題を引き起こす。
【0005】
トランスミッタダイヤフラムの近く、又はヘッドもしくは流量計内に捕捉されるプロセス流体のための1つの提案された解決策は、標準ヘッド上のプロセス流体通路の直径を増大させることである。凍結水から引き起こされる損傷を回避する別の試みは、水がトランスミッタから主プロセスラインに排水されて戻ることを可能にする幾何学的形状を有する器具を作り出すことである。このような「真っ直ぐな排水」設計は、排水量を増加させるが、水は小さい内部通路及びクロスドリルヘッドの幾何学的形状のために、計器のヘッドではなく、インパルス管から排水されるだけである。このような設計では、凍結水によって引き起こされるトランスミッタへの損傷は、完全には軽減されない。第1に、従来のイコライザ及び遮断弁は、適切に封止するために小径の通路を使用する。第2に、トランスミッタマウントヘッド内の内部通路の角度のために、プロセス流体は、トランスミッタが直径が増大しても、垂直方向上方に向いている場合にのみ排水される。垂直設置は、多くの配管設備では実現不可能である。
【0006】
したがって、現在、流量計を凍結損傷から保護するために使用される最も一般的な方法は、熱トレース又は蒸気トレースシステムである。これらの技術の両方とも、設置、操作、及び保守に費用がかかる。例えば、差圧流は、その固有の信頼性、幅広い工業的許容性、及び高温範囲のために、蒸気を測定するための望ましい技術である。全エネルギーの約45%が蒸気を生成するために使用され、全蒸気測定値の約70%以上が差圧流技術を使用する。これらの測定点の多くは、熱トレース又は蒸気トレースを使用して、一次要素ヘッド内に捕捉された凝縮物が凍結し、潜在的に低温の周囲空気温度に起因してトランスミッタを損傷するのを防止する周囲環境にある。インストール中に、単一の流量測定インストールのための各蒸気トレースインストールは、約1500~3000ドルのコストがかかり得る。保守・運用コストが含まれる場合、このコストは著しく高くなる。
【課題が解決するための手段】
【0007】
自己排水トランスミッタマウントヘッドは、ヘッド本体内にトランスミッタプロセス結合ポートを有するヘッド本体と、ヘッド本体内のインパルスポートと、インパルスポートに結合されたインパルス通路と、を含む。インパルス排水通路は、圧力伝達ポートとインパルス通路との間に結合される。インパルス排水通路は、インパルス通路に対してある角度で配置され、かつ、インパルス排水通路がヘッド設置角度の範囲にわたってトランスミッタプロセス結合ポートから排水するインパルス排水通路を配置するヘッド設置角度に対応して配置される。
【0008】
別の自己排水トランスミッタマウントヘッドは、ヘッド本体と、ヘッド本体内の1対の差動トランスミッタプロセス結合ポートと、ヘッド本体内の1対のインパルスポートとを含む。一対のインパルス通路は、それぞれのインパルスポートに結合する。一対のインパルス排水通路は、それぞれの差動トランスミッタプロセス結合ポートとそれぞれのインパルス通路との間に角度をなして結合する。傾斜インパルス排水通路は、ヘッド設置角度の範囲にわたって差動トランスミッタプロセス結合ポートから排水するように構成される。
【0009】
プロセスフローが停止した場合、ヘッド内のプロセス流体をトランスミッタプロセス結合ポートから内部に排水できる向きにヘッドを取り付ける、ことを含む、自己排水トランスミッタマウントヘッドを設置する方法が提供される。ヘッドを取り付けることは、ヘッドからプロセス流体を排水するためにヘッド内に角度のついた排水通路を配置するために、ある範囲内の方向に取り付けることをさらに含む。
【0010】
この概要及び要約書は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明される概念の選択を簡略化された形成で紹介するために提供される。概要及び要約書は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態による自己排水ヘッドの斜視図である。
図2図2は,図1のヘッドを立面図で示し、内部通路は破線で示されている。
図3図3は、本開示の別の実施形態による、取り付けられた圧力可変トランスミッタ及び真っ直ぐな排水管を有する、図1の排水ヘッドの斜視図である。
図4図4は、図3の実施形態の線3-3に沿った断面図である。
図5図5は、本開示の実施形態による自己排水ヘッドのための取り付けの範囲を示す図である。
図6図6は、図1のヘッドのより詳細な図である。
図7図7は、本開示の別の実施形態による自己排水ヘッドの側面正面図である。
図8図8は、本開示の別の実施形態による自己排水ヘッドの側面正面図である。
図9図9は、本開示の別の実施形態による自己排水ヘッドの側面正面図である。
図10図10は、反転位置にある図4のヘッドの図である。
図11図11は、反転位置にある図1のヘッドのより詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、ヘッドと呼ばれる、好ましくはトランスミッタがパイプの上に配置されたときに重力によって水が器具から完全に排水されることを可能にする差圧流量計のための、直接取り付けトランスミッタ接続プラットフォームを提供する。シャットダウン中に水を完全かつ自動的に排水することを可能にするヘッドは、低温環境における高価で高保守性の熱トレースの必要性、及び熱トレースが存在しない場合の凍結損傷の可能性を低減又は排除する。本開示の実施形態は、ヘッドに直接取り付けられたトランスミッタを用いて特定の配向範囲内に取り付けられたときに、トランスミッタ及びヘッドから水を完全に排水する。本発明の1つの利点は、熱又は蒸気トレース測定点の必要性を低減又は排除することによって、総設置流量測定コスト及び保守コストが大幅に低減されることである。
【0013】
測定されているプロセス流体が例えば、圧力トランスミッタ、ヘッド、及びインパルス管を含むシステム内の蒸気のような冷たい周囲環境内の蒸気のような凍結にさらされるとき、プロセス導管に完全には排水されないか、又はトランスミッタ、ヘッド、又は流量計を損傷することなく安全に凍結することができるシステム内の点まで排水されないことがある。さらに、パラメータが測定されているプロセス流体が腐食性、腐食性、又は他の危険性がある場合、そのような流体は、メンテナンスが実行される前に、システムのトランスミッタ及びヘッドから完全に排水されることが望ましい。多くの状況において、プロセス変数測定システムを、システムの構成要素の完全な排水を助長する向きに設置することは不可能である。さらに、圧力トランスミッタ、ヘッド、又は流量計内にいくらかの水が残っていても、凍結により損傷が生じる可能性があり、又はいくらかの危険な流体が残っている場合、凍結に加えて他の方法で損傷が生じる可能性がある。本開示の実施形態は、圧力トランスミッタ、ヘッド、及び流量計からのプロセス流体の自己排水を容易にするための通路を含む。
【0014】
典型的なヘッド及びトランスミッタシステムにおいてプロセス流体の流れが停止すると、凝縮蒸気からの水は、例えば幾何学的形状によって、又は重力、表面張力、毛管効果などのうちの1つ又は複数に対するそれらの向きによって、内部通路に捕捉されることが多い。イコライザ及び遮断弁は、典型的には適切なシールを可能にするために小さい直径の通路を使用し、通路内の角度はトランスミッタが垂直上方に向けられている場合にのみ排液を可能にするので、通路の直径を単に大きくするだけではシステムからのプロセス流体の完全な排液を可能にするのに十分ではない。設備は、必ずしも垂直方向に向けることができるわけではなく、したがって、このようなシステムは、大きな直径の通路があっても不完全な排水を受けやすい。
【0015】
図1は、本開示の実施形態による自己排水ヘッド100を示す。図1に示すヘッド100は、一実施形態ではヘッド本体101と、排水/通気プラグ102と、イコライザ弁104と、遮断弁110と、トランスミッタ取付け孔116と、トランスミッタプロセス結合ポート114と、内部排水/通気排水通路103と、インパルス排水通路106とを備える。本開示の実施形態のさらなる要素が、さらなる図に示される。差圧測定のために、2つのインパルス通路と2つのインパルス排水通路とを、2つのインパルスポート(図2)と2つのトランスミッタプロセス結合ポート114との間に結合することができる。静圧測定のために、単一のインパルス通路及びインパルス排水通路を、単一のインパルスポートと単一のトランスミッタプロセス結合ポートとの間に結合することができる。2つの遮断弁及びイコライザ弁が示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くの又はより少ない弁(ゼロを含む)が使用されてもよく、異なる数の内部通路が、様々な他のヘッド構成のために使用されてもよいことを理解されたい。
【0016】
図2は、破線を使用して本体200内のヘッド100の内部通路を示す自己排水ヘッド100の立面図である。図6は、ヘッド100の本体200の拡大図であり、ヘッド100の内部通路も破線を用いて示しているが、分かりやすくするためにヘッド100の外部構成要素は、省略している。図2及び図6の実施形態に示すように、自己排水ヘッドは、排水/通気プラグ102を受け入れるためのポート202と、イコライザ弁104に結合可能で、イコライザ通路207を介してインパルス通路に結合されたイコライザシートポート204と、遮断弁110に結合可能な遮断弁ポート210と、インパルス管及び/又はプロセス測定装置に結合可能なインパルスポート212と、をさらに備える。ポート202は、傾斜した排水/通気排水通路103に通じる排水/通気通路203への開口である。通路103は、トランスミッタプロセスポート114及びインパルス通路208に結合されている。インパルスポート212は、遮断弁ポート210につながるインパルス通路208への開口部であり、次いで、傾斜したインパルス排水通路106につながる開口部である。傾斜インパルス排水通路106は、トランスミッタプロセスポート114に結合されている。
【0017】
一実施形態では、インパルス通路208及び排水/通気通路203は、通路203及び/又は208内の障害物などのクリアランスを可能にするために、組み合わされた通路203及び208がロッドアウトツールで容易に清掃することを可能にするように、直線で結合される。ヘッド100の大きな直径の内径の幾何学的形状及びインパルス管は、ロッドアウト工具で清掃することを容易にする。この実施形態では、ポート202及び212がロッドアウトツールがインパルス及び排水/通気通路208、203の全長を通過し、蓄積物又は破片を除去することを可能にする。排水/通気プラグ102、排水/通気通路203、及び傾斜排水/通気排水通路103が図に示されているが、排水/通気排水通路103及び/又は排水/通気通路203は、本開示の範囲から逸脱することなく省略することができる。一実施形態では、排水/通気排水通路103及びインパルス排水通路106がそれぞれ、排水/通気通路203及びインパルス通路208に対して、トランスミッタプロセスポート114に向かって約135°の角度で傾斜し、本明細書に記載される排水を可能にする。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる角度が、異なる排液配向範囲のために使用され得ることが理解されるべきである。
【0018】
分離弁ポート210は、一実施形態では、プロセス流体をヘッド100から排水することができるように十分に大きく、一実施形態では分離弁内径を自己排水することができるボンネットシート211を備える。ボンネットシート211は、一実施形態では、一次遮断のために完全なポート上昇プラグボンネットを保持し、内径遮断弁110が一実施形態では、通路103、106、203、及び208と同じ直径で、自己排水することができるように十分に大きい。
【0019】
差動接続部114に隣接して、通路103、106、203、208は、ダイヤフラムクリアランスチャンバ220で合流する。一実施形態では、このチャンバ220は、インパルス通路208がチャンバ220の最低点にあるヘッド100内の点でチャンバ220を遮り、圧力トランスミッタのダイアフラムからの排水をさらに容易にする。
【0020】
円形直径の通路が図に示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、他の形状の通路を使用することができることを理解されたい。例えば、角度のついた円形直径の通路の代わりに、角度のついたスロットを用いてもよい。さらに、溝は、プロセス流体からの張力をさらに減少させ、より小さい直径の通路を通る排水を促進するために、ヘッド実施形態の1つ以上の通路に組み込まれてもよい。
【0021】
図3は、オリフィスプレートとして示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく別のタイプの主要要素であり得る、圧力トランスミッタ302及び主要要素304に接続されたヘッド100の斜視図を示す。一実施形態における圧力トランスミッタはマウントホール116においてヘッド100に接続し、トランスミッタプロセスポート114においてプロセスに結合する差圧モニタ及びトランスミッタである。一次要素304は、プロセス接続部306、一実施形態ではインパルス管を介してヘッド100のインパルスポート212に接続され、プロセス流体をヘッド100に結合し、最終的に、差圧などのプロセス変数を測定するためのプロセストランスミッタ302に結合するが、これに限定されない。また、本明細書に開示される様々なヘッドの実施形態は、静圧測定及び結合された静圧トランスミッタに適用されてもよい。図3にも示されているように、ヘッド100の幾何学的形状は、好ましくは圧力トランスミッタ302又はマニホルドをヘッド100に直接取り付けることを可能にする。
【0022】
ヘッド100は、本明細書に記載されるように、圧力トランスミッタ、ヘッド、及び流量計の自己排水を容易にするための内部通路及び設計を有する。具体的には、一実施形態では、ヘッド通路103及び106が動作方向でシステムからプロセス流体を排水することができるように、トランスミッタ差動接続部及びトランスミッタ通路に対して角度をなして、また内部通路203及び208に対して角度をなして配置及び構成される(図2図6、及び図11参照)。
【0023】
図4は、図3の実施形態の断面図であり、圧力トランスミッタ302及び主要素304に取り付けられた自己排水ヘッド100を含む。この組み合わせは、圧力トランスミッタが実質的に水平であり、ヘッド100及び一次要素304からのインパルス管が実質的に垂直で蒸気オントップ取付け配向で示されている。インパルス排水通路106の角度は、トランスミッタ302内の流体400がトランスミッタから離れて、傾斜したインパルス排水通路106を下って、インパルス通路208を通ってプロセス導管へ、開口310を通って、プロセスフロー導管内に使用時に配置される一次要素304へと流れることを可能にする。傾斜したインパルス排水通路106は、蓄積された流体が表面張力及び毛細管効果に打ち勝って、流体が凍結した場合にシステムに損傷を与えないか、又は危険な流体の腐食又は他の特性に起因してシステムに損傷を与えない場所まで、トランスミッタ302からヘッド100を通って排水されることを可能にするのに適した直径である。
【0024】
トランスミッタ302及びインパルス通路208に対するインパルス排水通路106の傾斜した性質は図5に示すように、頂部の向きに広範囲の角度のある蒸気内にヘッド100を設置することを可能にする。図5は、矢印500に沿った設置方向の範囲を示し、ヘッド100は設置されてもよく、プロセスフローが停止したときに、トランスミッタ302及びヘッド100からプロセス流体の排水を依然として可能にする。矢印500に沿った、図5の左向きから図5の右向きへの向きでは、流体がヘッド100内の通路の角度及びサイズのために、トランスミッタダイヤフラムから離れてヘッド100から排水される。図示された通路の配置を有するヘッド100は、135°の取り付け動作範囲内でのプロセス流体の排水を容易にする。
【0025】
さらに、図10図11に示すように、ヘッド100が反対方向に、例えばプロセス導管の下にインパルス管に溶接されている場合、鏡映された135°の取付け範囲が利用可能である。この設置方向では、排水/通気プラグ102が排水/通気排水通路103及び排水/通気通路203を介してトランスミッタ302からプロセス流体を排水することを可能にするために除去されてもよい。このような取付け方向の範囲では、通路103及び203が通路106及び208と同様に作用するように角度が付けられ、大きさが決められている。
【0026】
一実施形態では、イコライザ弁104及びイコライザシートポート204がイコライザ弁の適切なシールを可能にするために、標準的な比較的小さい直径のものである。プロセス流体がイコライザライン内に捕捉されるべきであるが、全てのプロセス流体が依然としてダイヤフラム領域から排水されるので、これはトランスミッタダイヤフラムに影響を及ぼさないことに留意されたい。
【0027】
一実施形態では、通路103、106、203、及び208は、プロセスフローシャットダウン後に排液のためにプロセス流体が蓄積するときに表面張力に打ち勝つことを可能にする直径以上の大きさである。一実施形態では通路103、106、203、及び208の直径は少なくとも0.375インチであるが、本開示の範囲から逸脱することなく、0.375インチより大きいか又は小さいものを含む他の排水直径を使用してもよいことを理解されたい。
【0028】
本開示の代替実施形態を図7図9に示す。図7は、本開示の別の実施形態によるヘッド700の正面図及び側面図を示す。ヘッド700は、遮断弁710及び均等化弁704を組み込み、各弁は、ヘッド700に組み込まれたボンネットを有する。マウント700は、トランスミッタマウント穴716及び差動接続714を含み、インパルス管306を有するプロセス導管に接続する。2つの遮断弁及びイコライザ弁が示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くの又はより少ない弁及び内部通路が、様々な他のヘッド構成のために使用されてもよいことを理解されたい。
【0029】
図8は、本開示の別の実施形態によるヘッド800の正面図及び側面図を示す。ヘッド800は、ヘッド800内にイコライザ弁804と、インパルス管306内に組み込まれた遮断弁810とを含んでいる。マウント800は、トランスミッタマウント穴816及び差動接続部814を含み、インパルス管306を有するプロセス導管に接続する。2つの遮断弁及びイコライザ弁が示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くの又はより少ない弁及び内部通路が、様々な他のヘッド構成のために使用されてもよいことを理解されたい。
【0030】
図9は、本開示の別の実施形態によるヘッド900の側面図を示す。ヘッド900は、ヘッド本体又はインパルス管306に弁を使用しない。その代わりに、ヘッド900は、イコライザ弁904及び遮断弁910を組み込んだマニホルド902に取り付けられている。マニホールドは、ヘッド900に直接取り付け可能である。
【0031】
ヘッド700、800、900の各々はヘッド100内に上述したような内部通路を組み込んでおり、従って、ヘッド100の範囲まで自己排水する。さらに、ヘッド100、700、800、及び900は一対の差動ポート及び単一圧力タップを示しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、二重圧力タップを冗長性のために使用することができる。
【0032】
本開示の実施形態は、ISO5167-2タップ間隔要件を満たすためのインパルス管のためのより大きな空間を可能にするために、スプール部を備えることができる。インパルス管は周囲空気への熱伝達を増大させる(例えば、冷却する)ために、延長された長さであってもよい。
【0033】
さらに、本開示の実施形態は、蒸気用途に頻繁に採用され得るので、ヘッドへの任意のヒートシンクの追加は、プロセス流体から周囲空気への熱の伝達を補助するために使用され得る。ヒートシンクの幾何学的形状は、例えば、フィンの特徴部を設けることによって、ヘッド及び/又はインパルス管の表面積を増大させるように選択することができる。極めて高温のプロセス温度を有する実施形態では、様々な実施形態のヘッドが冷却ジャケットを組み込むことができ、この冷却ジャケット内で、熱伝達流体がヘッドを通ってポンプ輸送されて、構成要素から熱を除去する。
【0034】
本発明は、好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者であれば、様々な変更が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形状及び細部になされてもよいことは認識できる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11