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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
F25B1/00 385A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021571496
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2021030887
【審査請求日】2021-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019666
【氏名又は名称】株式会社日本イトミック
(74)【代理人】
【識別番号】100114797
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 竜男
(72)【発明者】
【氏名】緒方 正実
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209214113(CN,U)
【文献】国際公開第2019/156021(WO,A1)
【文献】特開平9-196480(JP,A)
【文献】国際公開第2019/26276(WO,A1)
【文献】米国特許第4646539(US,A)
【文献】特許第3602116(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、ガスクーラと、冷媒熱交換器と、冷媒膨張弁と、蒸発器とが冷媒循環回路を構成するように接続されたヒートポンプ装置であって、
一端が前記冷媒膨張弁の高圧側に接続され、冷媒を貯蔵可能に配置されたバッファタンクと、
一端が前記圧縮機の高圧側に接続され、他端が前記蒸発器の下流側に接続され、前記バッファタンクと熱交換可能に配置された第1の冷媒配管とを含み、
前記第1の冷媒配管が、
前記圧縮機の高圧側と前記バッファタンクとの間に、前記第1の冷媒配管の開閉を制御可能に配置された第1の制御弁と、
前記バッファタンクと前記蒸発器の下流側との間に、冷媒の流量を制御可能に配置された第1の流量調整器とを含む、
ヒートポンプ装置。
【請求項2】
さらに、一端が前記冷媒膨張弁の高圧側に接続され、他端が前記蒸発器の下流側に接続され、前記バッファタンクと熱交換可能に配置された第2の冷媒配管とを含み、
前記第2の冷媒配管が、
前記冷媒膨張弁の高圧側と前記バッファタンクとの間に、前記第2の冷媒配管の開閉を制御可能に配置された第2の制御弁と、
前記冷媒膨張弁の高圧側と前記バッファタンクとの間に、冷媒の流量を制御可能に配置された第2の流量調整器とを含む、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記ヒートポンプ装置が、給湯器、空気調和機、冷房機、暖房機、又は冷凍機である、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記バッファタンクが、冷媒を前記冷媒循環経路に放出し又は前記冷媒循環経路から回収するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記第1の冷媒配管が、前記圧縮機の高圧側から冷媒を導入して前記バッファタンクを熱交換により加熱し、前記バッファタンクと熱交換した後の冷媒を前記蒸発器の下流側へ排出するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記第2の冷媒配管が、前記冷媒膨張弁の高圧側から冷媒を導入して前記バッファタンクを熱交換により冷却し、前記バッファタンクと熱交換した後の冷媒を前記蒸発器の下流側へ排出するように構成された、
請求項2に記載のヒートポンプ装置。
【請求項7】
前記第1の流量調整器が冷媒の流量を制限するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項8】
前記第1の流量調整器がキャピラリーチューブを含む、
請求項7に記載のヒートポンプ装置。
【請求項9】
前記第1の冷媒配管の少なくとも一部が、前記バッファタンクの外壁上又は内部に配置された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項10】
さらに、前記圧縮機に導入される冷媒の過熱度を含む運転情報に基づいて前記第1の制御弁の開閉を制御するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項11】
前記冷媒が、二酸化炭素、メタン、プロパン、フロン、代替フロンのうち少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項12】
前記圧縮機と、前記ガスクーラと、前記冷媒熱交換器と、前記冷媒膨張弁とが、前記冷媒循環回路の高圧空間を構成するように順次接続され、
前記冷媒膨張弁と、前記蒸発器と、前記冷媒熱交換器30と、前記圧縮機10とが、前記冷媒循環回路の低圧空間を構成するように順次接続された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項13】
前記ガスクーラが、熱交換器を介して供給された水を加熱するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項14】
前記冷媒熱交換器が、前記ガスクーラで熱交換した後の冷媒を前記低圧空間の冷媒と熱交換させるように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項15】
前記冷媒熱交換器と前記圧縮機との間に、アキュムレータを含む、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項16】
前記バッファタンクが、前記冷媒循環回路から冷媒を回収し、又は前記冷媒循環回路へ冷媒を放出するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項17】
前記第1の制御弁が電磁弁である、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項18】
前記圧縮機の導入側の冷媒導入温度と前記蒸発器の蒸発温度との差が所定の値より大きい場合に前記第1の制御弁を開放するように構成された、
請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項19】
前記圧縮機の導入側の冷媒導入温度と前記蒸発器の蒸発温度との差が所定の値より小さい場合に前記第2の制御弁を開放するように構成された、
請求項2に記載のヒートポンプ装置。
【請求項20】
圧縮機と、ガスクーラと、冷媒熱交換器と、冷媒膨張弁と、蒸発器とが冷媒循環回路を構成するように接続され、一端が前記冷媒膨張弁の高圧側に接続され、冷媒を貯蔵可能に配置されたバッファタンクと、一端が前記圧縮機の高圧側に接続され、他端が前記蒸発器の下流側に接続され、前記バッファタンクと熱交換可能に配置された第1の冷媒配管と、一端が前記冷媒膨張弁の高圧側に接続され、他端が前記蒸発器の下流側に接続され、前記バッファタンクと熱交換可能に配置された第2の冷媒配管とを含むヒートポンプの制御方法であって、
前記第1の冷媒配管が、前記圧縮機の高圧側と前記バッファタンクとの間に、前記第1の冷媒配管の開閉を制御可能に配置された第1の制御弁を含み、前記第2の冷媒配管が、前記冷媒膨張弁の高圧側と前記バッファタンクとの間に、前記第2の冷媒配管の開閉を制御可能に配置された第2の制御弁を含み、
前記圧縮機の導入側の冷媒導入温度と前記蒸発器の蒸発温度との差が所定の値より小さい場合に前記第2の制御弁を開放することと、
前記圧縮機の導入側の冷媒導入温度と前記蒸発器の蒸発温度との差が所定の値より大きい場合に前記第1の制御弁を開放することとを含む、
ヒートポンプの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ装置、例えば二酸化炭素を冷媒とするヒートポンプ給湯機は、気温、水温及び給湯要求などの運転状況が変動しやすい環境で運転することが多い。このため、冷媒循環回路における高圧空間及び低圧空間の圧力が変動しやすく、正常運転を維持するために冷媒循環回路で循環する冷媒の量を速やかに適正に調整することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3602116号公報
【文献】中国実案第209214113号公報
【0004】
日本特許第3602116号に開示されたヒートポンプ給湯機は、バッファタンクに付設したヒータを予め設定した最低気温及び最高気温で動作させることによりバッファタンクを加熱して、バッファタンク内の冷媒を放出するように構成されている。
【0005】
中国実案第209214113号に開示されたヒートポンプ給湯機は、加熱手段だけではなく、冷却手段も備えた冷媒量調整機構によってバッファタンク内の冷媒を昇温又は降温させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5には、ヒートポンプ装置、例えばヒートポンプ給湯機における冷媒量調整機構の基本構成を示している。図5に示すように、冷媒量調整機構は、バッファタンク21と、加熱部221と、冷却部222とを備えている。バッファタンク21は、二酸化炭素冷媒を貯蔵するための容器本体211を有し、当該容器本体211の内部が冷媒分流配管Tb2を介して高圧側冷媒配管Thと連通するようになっている。冷媒加熱回路221は、加熱冷媒配管T1sと、第1制御弁221aと、冷媒分流配管Tb3とを備えている。加熱冷媒配管T1sは、一端が第1制御弁221aを介して冷媒分流配管Tb3によって圧縮機11の高圧側Hsの高圧冷媒配管Thに接続され、他端が冷媒分流配管Tb3によって冷媒膨張弁14の低圧側Lbの低圧冷却配管Tlに接続されている。第1制御弁221aが開いている場合のみ、圧縮機11の高圧側Hsからの高温の冷媒は、加熱冷媒配管T1sを介して容器本体211と熱交換し、そして冷媒膨張弁14の低圧側Lbへ流れるようになっている。一方、冷媒冷却回路222は、冷却冷媒配管T2sと、第2制御弁222aと、冷媒分流配管Tb4とを備えている。冷却冷媒配管T2sは、一端が第2制御弁222aを介して冷媒分流配管Tb4によって冷媒膨張弁14の低圧側Lbの低圧冷媒配管Tlに接続され、他端が冷媒分流配管Tb4を介して蒸発器15の下流側の低圧冷媒配管Tlに接続されている。第2制御弁222aが開いている場合のみ、冷媒膨張弁14の低圧側Lbからの低温冷媒は、冷却冷媒配管T2sを介して容器本体211と熱交換し、そして蒸発器15の下流側に流れるようになっている。
【0007】
しかしながら、図5に示す冷媒量調整機構において、圧縮機11の高圧側Hsから導入した高温の冷媒が第1制御弁221を経由して吐出した時に圧力が大幅に下がるため、加熱冷媒配管T1sを流れる冷媒の温度が大幅に下がってしまう。そのため、短時間で容器本体211内の温度を上昇させることが難しい。また、蒸発器15の下流側から第2制御弁を経由して冷却冷媒配管T2sに流れる低温の冷媒は、容器本体211と熱交換した後そのまま冷媒熱交換器13の上流側へ流れるため、冷却冷媒配管T2s全体的に圧力差が小さく、冷媒の流量が不安定になり易い。そのため、短時間でバッファタンク内の温度を下げることが難しい。さらに、加熱冷媒配管T1sの下流側の冷媒分流配管Tb3が膨張弁14の冷媒出口と蒸発器15の冷媒入口との間に接続されているが、この空間は、冷媒液と飽和冷媒ガスとが混合の状態で存在し、冷媒が蒸発器15に流れ込み空気と熱交換し冷却される空間であり、加熱冷媒配管T1sから排出される温度の高い(例えば50℃)過熱ガスが入り込むと、冷媒の冷却に悪影響を与えることになる。
【0008】
冷媒の温度の調整範囲がより広く、調整精度がより高く、加熱・冷却制御の応答がより速いバッファタンクを有するヒートポンプ装置が望まれる。
【0009】
バッファタンクが冷媒を速やかに適正に放出又は回収するヒートポンプ装置が望まれる。
【0010】
冷媒循環回路の高圧空間で冷媒を回収又は放出するバッファタンク内の温度を効率よく調整することが可能なヒートポンプが望まれる。
【0011】
また、ヒートポンプ給湯器において、従来、季節による気温の変化に追従し、最適な効率で運転するには、バッファタンク内に存在する冷媒の加熱と冷却によって、最適量を調整すれば良いだけであった。つまり、季節や一日の時間的な気温変動など、高々時間単位の変化に追従すれば十分であった。ところが、近年、貯湯運転(水道水を加熱し65~90℃で貯湯タンクにお湯をためる)だけでなく、床暖房などのための蓄熱タンク(タンク内全体が均一に近く、設定温度は45~55℃に設定されることが多い)の温水を加熱する循環・蓄熱運転も頻繁に行われるようになった。
【0012】
このような場合、1つのシステム内に貯湯タンク及び蓄熱タンクという2種類のタンクが付属し、貯湯運転から蓄熱運転、又は貯湯運転から蓄熱運転に切り替える際に、それぞれのタンクを切替えてヒートポンプ装置を運転する必要がある。その場合、貯湯運転(例えば20℃水道水を90℃に水熱交換器で加熱)で必要な高圧側冷媒量と、循環・加熱運転(例えば55→60℃)でヒートポンプ加熱する場合に必要な冷媒量では、約30%冷媒量を減らす必要がある。このためには、バッファタンクの温度を30℃程度下げ、冷媒を吸収する必要がある。瞬時の運転切替に対応できるよう、極力短時間でバッファタンクの温度を調整できることが望まれる。
【0013】
仮にバッファ温度の低下が遅れた場合、吸収できなかった冷媒は、一旦アキュムレータに吐き出され蓄積されるところ、アキュムレータの蓄積量を超えた冷媒がさらに圧縮機まで流れ込み、冷媒液圧縮と呼ばれる運転状態となることを避ける必要がある。そのために、バッファタンクの冷却(例えばバッファ表面30℃→10℃以下への制御)を、秒又は分単位で行うことが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本技術は、例えば、圧縮機と、ガスクーラと、冷媒熱交換器と、冷媒膨張弁と、蒸発器とが冷媒循環回路を構成するように接続されたヒートポンプ装置であって、一端が冷媒膨張弁の高圧側に接続され、冷媒を貯蔵可能に配置されたバッファタンクと、一端が圧縮機の高圧側に接続され、他端が蒸発器の下流側に接続され、バッファタンクと熱交換可能に配置された第1の冷媒配管とを含み、第1の冷媒配管が、圧縮機の高圧側とバッファタンクとの間に、第1の冷媒配管の開閉を制御可能に配置された第1の制御弁と、バッファタンクと前記蒸発器の下流側との間に、冷媒の流量を制御可能に配置された第1の流量調整器とを含む、ヒートポンプ装置を含む。
【0015】
本技術によれば、例えば、高圧空間で冷媒を回収又は放出するバッファタンク内の温度を短時間で広い範囲で調整することができるため、冷媒循環回路で循環する冷媒の量を迅速かつ適正に調整することが可能である。つまり、加熱部において、冷媒は、第1制御弁を介して圧縮機の高圧側から導入され、第1抵抗部を介して蒸発器の下流側へ排出されるようになっているため、冷媒排出側の圧力が低くなって、加熱部全体の圧力が高くなる。そのため、高温の冷媒をより安定的に導入することができる。同時に、加熱冷媒配管の下流側に第1抵抗部が接続されていることにより、加熱冷媒配管の上流側の圧力が上昇するので、第1制御弁から吐出する冷媒の圧力の低下が抑制され、そして、加熱冷媒配管を流れる冷媒の温度の降下が抑制される。そのため、バッファタンク内の温度を速やかに上昇させることが可能である。一方、冷却部において、冷媒は、第2制御弁を介して冷媒膨張弁の高圧側から導入され、蒸発器の下流側へ排出されるようになっているため、冷媒導入側(上流側ともいう)の圧力が高くなって、冷却部全体の圧力差が大きくなるので、低温の冷媒をより効率的に導入することができ、同時に、第2抵抗部を流れることにより温度が下がった後の冷媒が冷却冷媒配管に流れるため、バッファタンク内の冷媒を速やかに冷却することが可能である。
【0016】
本技術は、例えば、圧縮機の高圧側と、ガスクーラと、冷媒熱交換器の高圧部と、冷媒膨張弁の高圧側とは、冷媒循環経路の一部となる高圧冷媒配管を介して順次に接続されて冷媒循環回路の高圧空間を構成し、冷媒膨張弁の低圧側と、蒸発器と、冷媒熱交換器の低圧部と、圧縮機の低圧側とは、冷媒循環経路の一部となる低圧冷媒配管を介して順次に接続されて冷媒循環回路の低圧空間を構成し、蒸発器の排出側から圧縮機の導入側までの区間内にアキュムレータが接続され、圧縮機の高圧側と冷媒膨張弁の低圧側との間に冷媒分流回路が設けられ、バッファタンクは、高圧冷媒配管から分岐した冷媒分流配管に接続され、制御部は、圧縮機に導入される冷媒の過熱度を含む運転情報に基づいて第1制御弁、第2制御弁の開閉を制御してもよい。
【0017】
上記構造によれば、例えば、高圧空間の占める割合が小さく、より安全かつ効率の高い循環回路を構成することができるとともに、年間を通じて気温に応じて循環回路で循環する冷媒量をより迅速かつ正確に調整することができる。また、圧縮機に導入される冷媒の過熱度を含む運転情報に基づいて温度調整部を制御する制御部を備えているため、運転状況に応じて冷媒循環回路の高圧空間で循環する冷媒の量を迅速かつ適正に調整することができる。その結果、冷媒循環回路における高圧空間の圧力や低圧空間側の過熱度が適正に維持されるため、ヒートポンプ装置の安全性、安定性及び運転効率を向上させることができる。
【0018】
また、上記ヒートポンプ装置において、例えば、加熱冷媒配管及び冷却冷媒配管は、それぞれ、バッファタンクの外壁上又は容器内部に配置されてもよい。当該構造によれば、例えば、簡単な構造でバッファタンク内の温度を容易に調整することができる。
【0019】
また、上記ヒートポンプ装置において、例えば、第1抵抗部は、キャピラリーチューブであってもよい。当該構成によれば、バッファタンクと熱交換後の冷媒の流通路を狭くすることができる。
【0020】
また、上記ヒートポンプ装置において、例えば、前記第2抵抗部は、キャピラリーチューブであってもよい。当該構成によれば、冷却冷媒配管に導入される前の冷媒の流通路を狭くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本技術の実施例によるヒートポンプ装置の基本構造を示す構成図である。
図2図1のヒートポンプ装置におけるバッファタンクの温度を調整する温度調整部を示す構成図である。
図3図2の温度調整部を制御する制御部の動作を示すブロック図である。
図4図3の制御部で行われる制御を説明するためのフローチャートである。
図5】ヒートポンプ装置の基本構造を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本技術の一実施例によるヒートポンプ装置の基本構造を示す構成図である。図1に示すように、本実施例のヒートポンプ装置1は、圧縮機10と、ガスクーラ20と、冷媒熱交換器30と、冷媒膨張弁40と、蒸発器50とを備えており、これらの圧縮機10、ガスクーラ20、冷媒熱交換器30、冷媒膨張弁40及び蒸発器50は、順次に接続されて冷媒循環回路を構成している。当該冷媒循環回路には、二酸化炭素である冷媒が充填されている。冷媒は、フロン又は代替フロンであってもよく、メタン、プロパン等の自然冷媒であってもよい。また、ヒートポンプ装置1は、給湯器、空気調和機、冷房機、暖房機、又は冷凍機であってもよい。本実施例においては、便宜上、給湯器の例について説明する。
【0023】
具体的には、圧縮機10の高圧側Hsと、ガスクーラ20と、冷媒熱交換器30の高圧部Htと、冷媒膨張弁40の高圧側Hbとは、冷媒循環経路の一部となる高圧冷媒配管Th(図1に太線で示す)を介して順次に接続されて冷媒循環回路の高圧空間(高圧回路、高圧配管系統ともいう。以下同じ)を構成し、冷媒膨張弁40の低圧側Lbと、蒸発器50と、冷媒熱交換器30の低圧部Ltと、圧縮機10の低圧側Lsとは、冷媒循環経路の一部となる低圧冷媒配管Tl(図1破線で示す)を介して順次に接続されて冷媒循環回路の低圧空間(低圧回路、低圧配管系統ともいう。以下同じ)を構成する。圧縮機10は、低圧側Lsから導入したガス状態の冷媒を圧縮して高圧高温の冷媒を高圧側Hsから排出する。
【0024】
ガスクーラ20は、二重管方式の向流型熱交換器であり、水ポンプ21などによって供給された水を、高圧冷媒配管Thからの高圧高温の冷媒と熱交換させることにより加熱し、昇温され出湯する。
【0025】
冷媒熱交換器30は、ガスクーラ20で水と熱交換した後の冷媒を低圧空間の冷媒と熱交換させるためのものであり、その高圧部Htが高圧冷媒配管Thに接続され、その低圧部Ltが低圧冷媒配管Tlに接続される。なお、冷媒熱交換器30の高圧部Htの下流側に、フィルタの役割を果たすストレーナ32が設けられている。
冷媒膨張弁40は、高圧側Hbから導入した高圧中低温の冷媒を膨張させて、圧力が低下した冷媒を低圧側Lbから排出させる。
【0026】
蒸発器50は、例えば、日本イトミック社熱源機CHP-80Y2のような、送風機51付の空気熱交換器であり、送風機51によって導入された外気と冷媒膨張弁40からの冷媒との熱交換を行わせることにより冷媒を蒸発させて排出するように構成されている。蒸発器50の排出側は、低圧冷媒配管Tlを介して冷媒熱交換器30の低圧部Ltと接続しており、蒸発器50から排出された冷媒は、冷媒熱交換器30の高圧部Htに流れる冷媒と熱交換して、さらに蒸発されるようになっている。
【0027】
また、冷媒熱交換器30の低圧部Ltの下流側と圧縮機10の低圧側Lsとの間に、低圧冷媒配管Tlを介してアキュムレータ31が接続されている。このアキュムレータ31は、蒸発器50からの冷媒が十分に蒸発されておらず、冷媒熱交換器30で加熱されても十分に乾燥できない場合に、液体として圧縮機10に吸い込まれるのを防ぐために設けられた保護装置である。
【0028】
また、圧縮機10の高圧側Hsと冷媒膨張弁40の低圧側Lbとの間に、冷媒分流制御弁42及び流量調整器41が設けられている。流量調整器41はキャピラリーチューブであってよい。当該冷媒分流制御弁42及び流量調整器41は、冷媒分流配管Tb1とともに冷媒分流回路を構成しており、この冷媒分流回路を介して、高圧空間の冷媒が低圧空間に分流される。この冷媒分流回路は、除霜回路として、蒸発器50に霜が付着した場合のみ冷媒分流制御弁42が開き、高圧空間からの高温冷媒を蒸発器50に送って霜を融かすようになっている。
【0029】
上述したヒートポンプ装置1の冷媒循環回路は、閉ループになっているため、充填される冷媒の量が一定で変わることがない。しかしながら、気温によって、蒸発器50での空気熱交換器の蒸発温度が変わるため、低圧空間の冷媒量の密度が気温に応じて変化する。そのため、高圧空間及び低圧空間における冷媒量の分布は、気温によって大きく変化する。高気温時(例えば夏)では、冷媒が蒸発しやすいため、低圧空間で循環する冷媒の密度が上昇する。つまり、低圧空間の冷媒量が増加し、高圧空間の冷媒量が減少する。一般に、高圧空間で循環する冷媒の量が足りなくなると、成績係数(COP)の低下、圧縮機の破損などが発生することが考えられる。これに対して、高気温時にも正常な運転を維持ことができるように、冷媒循環回路に多めに冷媒を充填することも考えられる。しかしながら、冷媒循環回路で循環する冷媒の量が多すぎる場合、低気温時(例えば冬)では、冷媒が蒸発し難くなるため、低圧空間で循環する冷媒の量が減少し、高圧空間で循環する冷媒の量が増加して、高圧空間の圧力が上昇する。一般に、高圧空間の圧力が必要以上に上昇すると、高圧圧力スイッチが動作して運転停止したり、成績係数(COP)が低下したりすることが考えられる。したがって、気温に応じて、冷媒循環回路、特に高圧空間で循環する冷媒の量を適切に調整する必要がある。
【0030】
それに対して、本実施例では、冷媒膨張弁40の高圧側Hbにおいて、冷媒循環経路で循環する冷媒の量を調整するためのバッファタンク90が設置されている。当該バッファタンク90は、二酸化炭素冷媒を貯蔵するための容器であって、外壁の全体が断熱材で覆われており、内部の冷媒が外気と熱交換し難くなっている。バッファタンク90の内部は、高圧冷媒配管Thから分岐した冷媒分流配管Tb2に接続され、当該冷媒分流配管Tb2を介して高圧側冷媒配管Thと連通するようになっている。したがって、バッファタンク90は、冷媒分流配管Tb2を介して、高圧冷媒配管Thからの冷媒を回収し、又は冷媒を高圧冷媒配管Thへ放出することが可能になっている。また、高圧冷媒配管Thから分岐した冷媒分流配管Tb2には制御弁や制御手段はなく、冷媒が出入り自由となるようにしてもよい。この場合、バッファタンクの制御は表面温度のみで簡単となる利点がある。
【0031】
バッファタンク90によって冷媒を回収又は放出するために、当該バッファタンク90内の温度を調整する温度調整部100(図3参照)と、運転状況に応じて温度調整部100を制御する制御部120(図3参照)とが設置されている。図2は、バッファタンク90内の温度を調整する温度調整部100の構成を示す構成図である。図2及び図3に示すように、温度調整部100は、バッファタンク90内の温度を上昇させる加熱部101と、バッファタンク90内の温度を降下させる冷却部102とを備えている。
【0032】
加熱部101は、バッファタンク90内の温度を加熱するための加熱冷媒配管T1sと、加熱冷媒配管T1sの上流端に接続されて加熱冷媒配管T1sの開閉を制御する第1制御弁101vと、加熱冷媒配管T1sの下流端に接続された第1抵抗部101rとを備えている。
【0033】
加熱冷媒配管T1sは、断熱材とバッファタンク90の外壁との間でコイル状にバッファタンク90を巻き付くように配置されて、バッファタンク90の外壁と熱交換することにより、バッファタンク90内の温度を上昇させる。この加熱冷媒配管T1sは、上流端が第1制御弁101vを介して、冷媒分流配管Tb1から分岐した冷媒分流配管T1hに接続されて圧縮機10の高圧側Hsから高温の冷媒を導入し、下流端が第1抵抗部101rを介して、蒸発器50の下流側の低圧冷却配管Tlから分岐した冷媒分流配管T1lに接続されて、バッファタンク90と熱交換した後の冷媒を蒸発器50の下流側へ排出するようになっている。
【0034】
第1抵抗部101rは、冷媒の流量を制限可能な流量調整器であってよく、冷媒の流通路が狭くなったキャピラリーチューブであってよい。この第1抵抗部101rが加熱冷媒配管T1sの下流端に接続されているため、加熱冷媒配管T1sの上流端の圧力が高くなる。そのため、第1制御弁101vから吐出する冷媒の圧力が低下して加熱冷媒配管T1sを流れる冷媒の温度が大幅に下がることを避けることができる。
【0035】
冷却部102は、バッファタンク90内の温度を降下させるための冷却冷媒配管T2sと、冷却冷媒配管T2sの開閉を制御する第2制御弁102vと、冷却冷媒配管T2sの上流端に接続された第2抵抗部102rとを備えている。
【0036】
冷却冷媒配管T2sは、断熱材とバッファタンク90外壁との間でコイル状にバッファタンク90を巻き付くように配置されて、バッファタンク90の外壁と熱交換することによりバッファタンク90内の温度を降下させる。この冷却冷媒配管T2sは、上流端が第2抵抗部102rを介して第2制御弁102vに接続され、さらに第2制御弁102vを介して、冷媒膨張弁40の高圧側Hbの高圧冷媒配管Thから分岐した冷媒分流配管T2hに接続されて冷媒を導入し、下流端が蒸発器50の下流側の低圧冷却配管Tlに接続されて、バッファタンク90と熱交換した後の冷媒を蒸発器50の下流側へ排出するようになっている。
【0037】
第2抵抗部102rは、冷媒の流量を制限可能な流量調整器であってよく、冷媒の流通路が狭くなったキャピラリーチューブであってよい。この第2抵抗部102rが加熱冷媒配管T2sの上流端に接続されているため、冷媒膨張弁40の高圧側Hbの高圧冷媒配管Thからの冷媒が、まず第2抵抗部102rを流れて温度が下がってから冷却冷媒配管T2sに流れるため、冷却効果が高くなる。
【0038】
図3は、上述した温度調整部100を制御する制御部120の動作を示すブロック図である。図3に示すように、制御部120は、加熱部101(第1制御弁101v)及び冷却部102(第2制御弁102v)とそれぞれ接続されている。制御部120は、運転状況を反映することができる状態変数に基づいて高圧空間で循環する冷媒の量が不足であるか否かを判断し、冷媒の量が不足であると判断した場合、加熱部101を運転させる(第1制御弁101vを開く)ことによりバッファタンク90を加熱して、冷媒をバッファタンク90から冷媒膨張弁40の高圧側Hbへ排出させ、一方、冷媒の量が過剰であると判断した場合、冷却部102を運転させる(第2制御弁102vを開く)ことによりバッファタンク90を冷却して、冷媒膨張弁40の高圧側Hbから冷媒をバッファタンク90内に回収するように制御を行う。
【0039】
ここでは、第1制御弁101vは、電磁弁であってよく、制御部120からの制御信号に基づいて開閉するようになっている。第1制御弁101vが開いている場合、圧縮機10の高圧側Hsからの高温の冷媒は、加熱冷媒配管T1sに導入されてバッファタンク90と熱交換してから蒸発器50の下流側へ排出されるようになっている。第1制御弁101vが閉じている場合、圧縮機10の高圧側Hsの冷媒が遮断されるようになっている。
【0040】
同様に、第2制御弁102vは、電磁弁であってよく、制御部120からの制御信号に基づいて開閉するようになっている。第2制御弁102vが開いている場合、冷媒膨張弁40の高圧側Hbからの冷媒は、第2抵抗102rを経由して、圧力及び温度が下がってから冷却冷媒配管T2sに流れ、バッファタンク90と熱交換してから蒸発器50の下流側へ排出されるようになっている。第2制御弁102vが閉じている場合、冷媒膨張弁40の高圧側Hbの冷媒が遮断されるようになっている。
【0041】
本実施例において、加熱部101と冷却部102を制御する制御部120は、蒸発器50での空気熱交換器の蒸発温度tjと、圧縮機10の導入側の冷媒導入温度tiとに基づいて、圧縮機10に導入される冷媒の過熱度SHを計算し、算出した過熱度SHにより、高圧空間で循環する冷媒の量が適正か否かを判断する。
【0042】
具体的には、過熱度SHが、圧縮機10の導入側の冷媒導入温度tiと空気熱交換器の蒸発温度tjとの差で計算され、即ち、SH=ti-tjである。過熱度SHが目標範囲(SHl~SHh、例えば、5~15deg℃)以内であれば、冷媒循環回路で循環している冷媒の量が適正と判断される。気温が低くなると、過熱度SHが下がり、過熱度SHが下限値SHl以下になった場合、蒸発器で冷媒が十分に乾燥しておらず、高圧空間で循環している冷媒量が過剰になっていることを示す。このような状況が続くと、一般に、運転効率の低下、圧縮機の破損、劣化などが発生するおそれがある。逆に、気温が高くなると、過熱度SHが上昇し、過熱度SHが上限値SHh以上になった場合、低圧空間の冷媒の温度が高すぎ、循環している冷媒が不足していることを示す。このような状況が続くと、一般に、成績係数(COP)の低下が発生することが考えられる。したがって、過熱度SHが気温などの運転状況を反映する状態変数の1つである。この原理に基づいて、制御部120は、圧縮機10に導入される冷媒の過熱度SHを運転状況が反映される情報として利用することにより、温度調整部100を制御する。
【0043】
図4は、制御部120が行う制御を説明するフローチャートである。図4に示すように、制御部120は、例えば温度センサなどを介して、蒸発器50の空気熱交換器の蒸発温度tj及び圧縮機10の導入側の冷媒導入温度tiを取得して(ステップS1)、圧縮機10に導入される冷媒の過熱度SH(SH=ti-tj)を計算し(ステップS2)、算出した過熱度SHが正常範囲の下限値SHlより小さいか否かを判断し(ステップS3)、過熱度SHが下限値SHlより小さい(SH<SHlである)場合(Y)、冷却信号Icを第制御弁102vへ出力して(S4)、ステップS1に戻り、逆に、過熱度SHが正常範囲の下限値SHlより小さくない(SH<SHlではない)場合(N)、過熱度SHが正常範囲の上限値SHhより大きいか否かを判断し(ステップS5)、過熱度SHが上限値SHhより大きい(SH>SHhである)場合(Y)、加熱信号Ihを第1制御弁101vへ出力して(ステップS6)、ステップS1に戻り、逆に、過熱度SHが正常範囲の上限値SHhより大きくない(SH>SHhではない)場合(N)、ステップS1に戻る操作を繰り返して行う。
【0044】
加熱部101において、第1制御弁101vが、制御部120から制御信号Ihを受信している間に、ずっと開放状態を維持し、加熱冷媒配管T1sに圧縮機10の高圧側Hsの高圧冷媒配管Thから高温の冷媒が流れ込んでバッファタンク90を加熱し、そして、制御部120からの制御信号Ihが中断されると、第1制御弁101vが閉じるようになり、圧縮機10の高圧側Hsの高温冷媒が遮断されてバッファタンク90の加熱が中止するようになっている。
【0045】
バッファタンク90は、加熱冷媒配管T1sによって加熱されると、内部の温度が高くなるにつれて圧力が上昇するため、冷媒が冷媒分流配管Tb2を介して高圧冷媒配管Thに放出される。
【0046】
冷却部102において、第2制御弁102vが制御部120から制御信号Icを受信している間に、ずっと開放状態を維持し、冷媒膨張弁40の高圧側Hbの高圧冷媒配管Thからの冷媒が第2抵抗102rを経由して低温になってから冷却冷媒配管T2sに流れ込んでバッファタンク90を冷却し、そして、制御部120からの制御信号Icが中断されると、第2制御弁102vが閉じるようになり、冷媒膨張弁40の高圧側Hbからの冷媒が遮断されることによりバッファタンク90の冷却が中止するようになっている。
【0047】
バッファタンク90は、冷却冷媒配管T2sによって冷却されると、内部の温度が低くなるにつれて圧力が下がるため、冷媒膨張弁40の高圧側Hbの高圧冷媒配管Thから冷媒を吸い込むようになっている。
【0048】
このように、バッファタンク90は、運転状況に応じて、高圧空間において、冷媒循環経路に冷媒を放出したり、冷媒循環経路から冷媒を回収したりすることによって、冷媒循環回路、特に高圧空間で循環する冷媒の量を適正に保つようになっている。
【0049】
本実施例において、上述したように、加熱部101は、第1制御弁101vを介して圧縮機10の高圧側Hsから高温の冷媒を導入し、熱交換後の冷媒を蒸発器50の下流側へ排出するようになっているため、加熱部101の冷媒導入側と冷媒排出側との圧力差が大きくなるため、高温の冷媒をより効率的に導入することができる。さらに、加熱冷媒配管T1sの下流側に冷媒の流通路が狭くなった第1抵抗部101rが接続されているため、加熱冷媒配管T1sの上流端の圧力が高くなり、第1制御弁101vから吐出する冷媒の圧力の低下が抑制されて、加熱冷媒配管T1sに流れる冷媒の温度が大幅に下がることを避けることができる。その結果、バッファタンク90を短時間で所定の温度まで加熱することが可能である。一方、冷却部102は、第2制御弁102vを介して冷媒を冷媒膨張弁40の高圧側Hbから導入し、熱交換後の冷媒を蒸発器50の下流側へ排出するようになっているため、冷却部102の冷媒導入側と冷媒排出側との圧力差が大きくなるため、低温の冷媒をより効率的に導入することができる。しかも、冷却冷媒配管T2sの上流端に冷媒の流通路が狭くなった第2抵抗部が接続されているので、冷媒はまず第2抵抗部を流れて温度が下がってから冷却冷媒配管T2sに流れる。したがって、低温の冷媒を冷却冷媒配管T2sに導入することができる。そのため、バッファタンク90を短時間で所定の温度まで冷却することが可能である。
【0050】
したがって、本実施例のヒートポンプ装置1によれば、運転状況に応じて、高圧空間で冷媒を回収又は放出するバッファタンク90を短時間で昇温又は降温することができるため、冷媒循環回路で循環する冷媒の量を迅速かつ正確に調整することが可能である。その結果、ヒートポンプ装置1の運転安定性、安全性及び運転効率を向上させることができる。
【0051】
本技術は、上述した実施例には限定されず、適宜変更が可能である。
【0052】
例えば、上述した実施例では、制御部120は、圧縮機10に導入される冷媒の過熱度SHを、運転状況を反映する情報とし、当該過熱度SHに基づいて温度調整部100を制御しているが、本技術はこれに限定されず、制御部120は、運転状況を反映することができる他の情報(例えば、冷媒の温度、圧力など)に基づいて温度調整部100を制御することもできる。
【0053】
また、上述した実施例において、加熱冷媒配管T1s及び冷却冷媒配管T2sをそれぞれ、バッファタンク90の外壁を覆う断熱材とバッファタンク90の外壁との間に配置しているが、これに限らず、加熱冷媒配管T1s及び/又は冷却冷媒配管T2sをバッファタンク90の内部に配置してもよい。
【0054】
本発明は、その主旨又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本技術は、例えば、冷媒循環回路の高圧空間で冷媒を回収又は放出するバッファタンク内の温度を効率よく調整することが可能なヒートポンプ装置を提供する。
【符号の説明】
【0056】
1 ヒートポンプ装置
10 圧縮機
20 ガスクーラ
30 冷媒熱交換器
40 冷媒膨張弁
50 蒸発器

【要約】
冷媒循環回路の高圧空間で冷媒を回収又は放出するバッファタンク内の温度を効率よく調整することが可能なヒートポンプ装置を提供する
本技術は、例えば、圧縮機と、ガスクーラと、冷媒熱交換器と、冷媒膨張弁と、蒸発器とが冷媒循環回路を構成するように接続されたヒートポンプ装置であって、一端が冷媒膨張弁の高圧側に接続され、冷媒を貯蔵可能に配置されたバッファタンクと、一端が圧縮機の高圧側に接続され、他端が蒸発器の低圧側に接続され、バッファタンクと熱交換可能に配置された第1の冷媒配管とを含み、第1の冷媒配管が、圧縮機の高圧側とバッファタンクとの間に、第1の冷媒配管の開閉を制御可能に配置された第1の制御弁と、バッファタンクと前記蒸発器の低圧側との間に、冷媒の流量を制御可能に配置された第1の流量調整器とを含む、ヒートポンプ装置を含む。


図1
図2
図3
図4
図5