(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H04W 12/06 20210101AFI20220216BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20220216BHJP
H04W 76/20 20180101ALI20220216BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20220216BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220216BHJP
【FI】
H04W12/06
H04W76/15
H04W76/20
H04W84/10 110
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2018073281
(22)【出願日】2018-04-05
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】根田 雅稔
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165241(JP,A)
【文献】特開2015-104017(JP,A)
【文献】特開2018-022507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 -H04B 7/26
H04W 4/00 -H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の通信方式および前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式による通信機能を備える電子装置であって、
前記第1の通信方式または第2の通信方式により機器との無線接続を可能にする接続手段と、
前記接続手段が前記第1の通信方式により一の機器からの接続要求を受付けたときに他の機器と前記第1の通信方式により無線接続中であるか否かを検出する検出手段と、
前記一の機器が優先して無線接続を確立する必要がある機器であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定に基づいて前記接続手段を制御する接続制御手段とを有し、
前記接続制御手段は、一の機器が優先して無線接続される機器であると判定された場合、前記他の機器との前記第1の通信方式による無線接続を解除して、前記第1の通信方式により前記一の機器との無線接続を確立し
て前記一の機器を認証した後に前記第2の通信方式による無線接続に切り替えて、前記第1の通信方式により前記他の機器との無線接続を再開させる、電子装置。
【請求項2】
前記接続制御手段は、前記他の機器との接続状態が所定の接続状態であるときに前記一の機器から接続要求を受けた場合、前記所定の接続状態が終了するまで前記他の機器との接続を解除しない、請求項
1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記電子装置はさらに、過去の機器との接続履歴に関する履歴情報を記憶している記憶手段を含み、
前記判定手段は前記履歴情報に基づき、接続要求を受付けた機器が優先して無線接続される機器であるか否かを判定する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記履歴情報は、第2の通信方式による接続履歴である、請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記履歴情報は、前記電子装置の電源が切断されたときに接続されていた機器を識別する識別情報を含み、
前記判定手段は、電子装置が再起動されたとき前記識別情報に基づき、接続要求を受付けた機器が優先して無線接続される機器であるか判定する、請求項3または4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記判定手段は
、通信方式を切り替えて二重認証を行う必要のある機能を実行する機器
を前記優先して無線接続される機器と判定する、請求項1ないし5いずれか1つ記載の電子装置。
【請求項7】
前記第1の通信方式はBluetooth(登録商標)通信であり、前記第2の通信方式はWi-Fi(登録商標)通信である、請求項1に記載の電子装置。
【請求項8】
前記電子装置はさらに、前記機器から取得したデータを出力する出力手段を含み、
前記出力手段は、前記一の機器から前記第2の通信方式により取得したデータを出力する、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項9】
前記電子装置は、移動体に搭載される電子装置である、請求項1ないし8いずれか1つに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載される電子装置に関し、特に、電子装置の無線接続に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどに代表される多機能型の情報端末の利用が増加している。このような情報端末が車内に持ち込まれたとき、情報端末を車両に搭載された電子装置(以下、車載装置という)に接続し、情報端末側で再生された楽曲を車載装置から音声出力したり、ハンズフリー通話等を行うことができる。また、車載装置において情報端末に搭載された機能を利用することが可能になっている。例えば、情報端末が車載装置と連携すると、情報端末の画面に表示されたアイコンの画像データが車載装置に転送され、車載装置にも同様のアイコンが表示される。ユーザーは、車載装置のインターフェース上のアイコンを選択操作することで、情報端末のアプリケーションの起動および操作が可能となる。
【0003】
以上のように、車載装置と情報端末を連携させるためには、USBケーブル等の有線による接続によっても実行できるが、近年では、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信技術を用いた無線接続が普及し始めてきている。このような、車載装置と情報端末との無線接続に関する技術には、ある情報端末と無線接続を行っているときに、他の情報端末から接続要求を受付けると、情報端末ごとの優先順位に基づいて接続中の情報端末との無線接続を切断して要求を受付けた情報端末との無線接続を行い、また、切断した情報端末と無線接続可能な場合には当該情報端末と再接続するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の車載装置と情報端末とを無線接続するときの課題について説明する。情報端末の特定の機能を車載装置で利用する場合に、一度、Bluetooth(登録商標)のような無線通信方式により無線接続を行って認証した後に、別の無線通信方式に切り替えて、その切り替わった通信方式でデータの送受信を行うものがある。このような二重認証方式を取る理由としては、ペアリングなどの機器間の通信に長けている通信方式を用いて短時間で認証を完了させ、実際の機能を実行する際は、大きなデータの送受信に長けた通信方式を利用することで利便性を向上させることができるためである。
【0006】
しかし、最初の認証に必要な通信方式により既に他の機器と接続中の場合、二重認証が必要な機能を利用するために接続要求を車載装置へ送信しても、他の機器と接続中であるために最初の認証が完了せず、その機能を利用することができなかった。また、そのような場合に、ユーザーは手動で接続中の他の機器との無線接続を切断してから情報端末と無線接続を行い、通信方式が切り替わった後に切断した無線接続を再開させる必要があり、非常に煩雑であった。さらに従来の車載装置では、二重認証が必要な情報端末については考慮されておらず、例えば、二重認証が必要な情報端末の優先順位が低かった場合は接続することができないという課題もあった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、無線接続の切り替えの利便性が向上した電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子装置は、少なくとも第1の通信方式および前記第1の通信方式と異なる第2の通信方式による通信機能を備える電子装置であって、前記第1の通信方式または第2の通信方式により機器との無線接続を可能にする接続手段と、前記接続手段が前記第1の通信方式により一の機器からの接続要求を受付けたときに他の機器と前記第1の通信方式により無線接続中であるか否かを検出する検出手段と、前記一の機器が優先して無線接続を確立する必要がある機器であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定に基づいて前記接続手段を制御する接続制御手段とを有し、前記接続制御手段は、一の機器が優先して無線接続される機器であると判定された場合、前記他の機器との前記第1の通信方式による無線接続を解除して、前記第1の通信方式により前記一の機器との無線接続を確立した後に前記第2の通信方式による無線接続に切り替えて、前記第1の通信方式により前記他の機器との無線接続を再開させる。
【0009】
ある実施態様では、前記接続制御手段は、前記他の機器との接続状態が所定の接続状態であるときに前記一の機器から接続要求を受けた場合、前記所定の接続状態が終了するまで前記他の機器との接続を解除しない。ある実施態様では、前記電子装置はさらに、過去の機器との接続履歴に関する履歴情報を記憶している記憶手段を含み、前記判定手段は前記履歴情報に基づき、接続要求を受付けた機器が優先して無線接続される機器であるか否かを判定する。ある実施態様では、前記履歴情報は、第2の通信方式による接続履歴である。ある実施態様では、前記履歴情報は、前記電子装置の電源が切断されたときに接続されていた機器を識別する識別情報を含み、前記判定手段は、電子装置が再起動されたとき前記識別情報に基づき、接続要求を受付けた機器が優先して無線接続される機器であるか判定する。ある実施態様では、前記判定手段は、前記一の機器が通信方式を切り替えて二重認証を行う必要のある機能を実行する機器であるか否かの判定を行う。ある実施態様では、前記検出手段は、接続要求を受付けた機器による通信方式と同一の通信方式で他の機器と無線接続を行っているか否かを検出する。ある実施態様では、前記第1の通信方式はBluetooth(登録商標)通信であり、前記第2の通信方式はWi-Fi(登録商標)通信である。ある実施態様では、前記電子装置はさらに、前記機器から取得したデータを出力する出力手段を含み、前記出力手段は、前記一の機器から前記第2の通信方式により取得したデータを出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優先的に無線接続すべき一の機器から接続要求があった場合、他の機器との無線接続を解除して当該一の機器との無線接続を確立させるようにしたので、複数の機器による無線接続が競合する場合であっても、一の機器の無線接続を確実に行うことが可能となり、無線接続の切り替えの利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る車載装置および情報端末の典型的な構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施例に係る接続制御プログラムの機能的な構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る接続制御プログラムを実行時の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電子装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態では、車載装置が搭載されている車両の車室内に、無線通信機能を有する情報端末が持ち込まれ、車載装置と情報端末とが無線通信により接続可能な場合を説明する。本発明の実施の形態に係る車載装置は、コンピュータ装置であり、例えば、ナビゲーション機能、オーディオ・ビデオデータを再生する機能、テレビ・ラジオ放送を受信する機能、アプリケーションソフトウェアを実行する機能などを統合的に備えることができる。さらに本発明の実施の形態に係る車載装置は、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップコンピュータ等の情報端末を接続する機能を備え、車載装置は、情報端末に包含される通信機能を利用し、情報端末が有する楽曲データや画像データなどの情報端末の機能を利用するための各種データを取得し、車載装置から出力することができる。
【0013】
本発明の実施の形態に係る情報端末は、例えば、スマートフォン、タブレット型端末等の携帯型の情報端末であることができ、通話機能、ナビゲーション機能、オーディオ・ビデオデータを再生する機能、テレビ・ラジオ放送を受信する機能、アプリケーションソフトウェアを実行する機能などを統合的に備えることができる。また、電子装置と有線および/または無線による接続が可能である。無線接続をする場合には、Bluetooth(登録商標:以下BT接続と称す)やWi-Fi(登録商標:以下WF接続と称す)等を用いることができる。BT接続を用いて接続する場合には、車載装置と情報端末との間で事前にペアリングを行う。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る通信システムの構成例を示す図である。通信システム10は、車載装置30と複数の情報端末(情報端末50Aおよび情報端末50B)とを含む。車載装置30は、接続手段70を介して情報端末50Aおよび/または情報端末50Bとの間で双方向のデータ通信を可能にする。接続手段70は、例えば、BT接続やWF接続等の無線接続である。本実施例の説明では、オーディオプロファイル(AVP)やハンズフリー通話機能を規定するプロファイル(HFP)などの無線モジュールによる通信は、BT接続による無線通信方式を用いてデータの送受信を行うものとする。接続手段70はさらに、WF接続による無線通信方式を用いてデータの送受信を行うことも可能である。また、情報端末はさらに、3G、4G、LTE等の公衆無線回線を介して音声通話またはパケット通信する機能を備えている。
【0015】
次に、
図2は、本発明の実施例に係る車載装置および情報端末の典型的な構成を示すブロック図である。まず、車載装置30は、入力部31、表示部32、音声出力部33、通信接続部34、記憶部35、マルチメディア部36、制御部37を含んで構成される。入力部31は、利用者からの指示を入力する。入力部31は、タッチパネルや入力キーデバイス、音声入力等を含む。表示部32は、各種メディアの再生情報やナビゲーション情報など実行されるアプリケーションに係る各種情報を表示する。音声出力部33は、表示部32と同様に各種情報を音声により出力する。
【0016】
通信接続部34は、情報端末50と有線または無線による接続を行う。1つの実施態様では、通信接続部34は、例えば、AVPやHFPのようなBT接続を行うための通信モジュールと、WF接続のための通信モジュールを含んでおり、制御部37からの制御信号に基づいてBT接続とWF接続とを切り替えることができる。本実施例では、先にBT接続により無線接続を確立させて情報端末50を認証し、その後、WF接続に切り替える場合を想定する。このBT接続からWF接続への切り替えは、自動で行うものであってもよいし、例えば、BT接続による認証が完了したことを通知して、情報端末にWF接続をするように誘導するものでもよい。また、通信接続部34は、自動接続機能を有していることが好ましく、予めペアリング等によって登録された情報端末50が所定範囲内に検知された場合に、検知された情報端末50とのBT接続を自動的に行う。
【0017】
また、BT接続においては、例えば、車載装置30がHFPのプロファイルのみ備えていた場合は、情報端末50と1対1の無線接続を行うことになり、他の情報端末50とは接続できないが、複数のプロファイルに対応している場合には複数の情報端末50とBT接続を確立することができる。ここで、本発明が適応されるケースは、特定の機能を有する情報端末50を利用したいときに、該当するプロファイルにより既に接続が行われていることであり、車載装置30が備えるプロファイルの数には限定されない。
【0018】
記憶部35は、車載装置30が実行するアプリケーションソフトウェアやプログラム、道路地図データ、楽曲や映像等のコンテンツデータなどを記憶することができる。さらに、記憶部35は、ペアリングを行った情報端末50をそれぞれ識別して記憶しており、これは、情報端末50の自動接続の際に用いられる。また、記憶部35は、接続履歴情報として、過去に利用した情報端末50の識別情報と共に、その情報端末50を以前接続した際にどのアプリケーションを動かしていて、どのような通信モジュールによる接続を行っているのかを記憶することができる。1つの好ましい例では、無線接続が切断されるたびに履歴情報が更新される。例えば、ユーザーにより情報端末50のBT接続を手動でオフにしたり、情報端末の電源を切った場合やACCをオフにして車載装置自体の電源が切れる場合などである。
【0019】
マルチメディア部36は、CD、DVD、ブルーレイディスク、メモリ媒体などに記録されたオーディオデータやビデオデータおよびテレビ放送やラジオ放送を受信して、表示部32や音声出力部33を介して出力される。また、マルチメディア部36は、接続された情報端末50に再生要求を行い、情報端末50から再生されたメディアデータを受信し、表示部32や音声出力部33から出力する。制御部37は、マイクロコントローラまたは中央プロセッサ等を含み、記憶部35に記憶された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行する。本実施形態に係る制御プログラムには、接続制御プログラム100が含まれる。
【0020】
次に、情報端末50は、ユーザーからの入力を受け取る入力部51、ディスプレイに種々の画像や情報を表示する表示部52、音声を出力する音声出力部53、BT接続やWF接続により車載装置30との接続を実現する通信接続部54、情報端末50が保有するアプリケーションや各種プログラム等を格納する記憶部55、外部のネットワークとのデータ通信、および公衆無線回路網を介しての電話機との通話やインターネットへの接続等を可能にする通信部56、情報端末50の各種制御および記憶に格納されているプログラムを実行する制御部57を含んで構成される。
【0021】
記憶部55は、種々のアプリケーションやプログラムが格納されており、例えば、オーディオデータやビデオデータを再生するアプリケーション、ゲームを実行するアプリケーション、音声通話を行うためのプログラム、通信部56を介してインターネット上の情報をブラウズするためのプログラムなどが格納されている。さらに、BT接続を介して車載装置30から送信されたコマンド信号を解読し、当該コマンド信号によりアプリケーションを実行する拡張プログラムが含まれる。また、その情報端末50が対応するBT接続における1つまたは複数のプロファイルが格納されており、車載装置30と情報端末50は、それらが共通して持っているプロファイルによりペアリング可能である。
【0022】
本実施形態では、車載装置30における制御部37は、情報端末50から通信接続部34を介して接続要求を受けた際に接続制御プログラム100を実行する。
図3は、本実施例に係る接続制御プログラム100の機能的な構成例を示す図である。接続制御プログラム100は、接続要求受信部110、接続状態検出部120、優先接続端末決定部130、BT接続制御部140、接続方式変更部150を備えている。
【0023】
まず、接続要求受信部110は、情報端末からの接続要求を通信接続部34を介して取得する。ユーザー側で車載装置との接続を行う操作が成されたことを検出して接続要求として受信する。例えば、ユーザーが情報端末を操作してBT接続をONにしたことに応答して車載装置側で接続要求があったとして受信を行う。または、車載装置側で自動接続機能を有している場合には、起動時に近くの接続可能な情報端末を検知したことを接続要求として扱うようにしてもよい。
【0024】
接続状態検出部120は、接続要求受信部110による接続要求を検出したことに応答して、その時点で他に無線接続を行っている機器が存在するかを検出する。一例としては、通信接続部34を介して、どんな機器と接続中で、どんなアプリケーションを実行しているかなどの情報と共に検出する。これにより、他の機器との無線接続をすぐに切断して問題ないかなどの判定を行うことができるようになる。
【0025】
優先接続端末決定部130は、接続要求のあった情報端末が所定条件を満たした場合に、優先して接続する必要のある情報端末であると決定する。なお、このような情報端末を優先接続端末と称す。所定条件とは、通信方式の変更による二重認証が必要な特定の機能を実行する情報端末であるかであり、本実施例では、BT接続からWF接続に通信方式の切り替えが必要な情報端末であるか否かを判定する。ある実施態様では、記憶部35に記憶されている過去の情報端末との接続履歴情報(WF接続)を用いて判定する。例えば、今回接続要求のあった情報端末の識別情報に基づいて、過去にどのように利用されていたのかを検出する。そして、当該情報端末が所定条件を満たす利用が過去にされていた場合に、当該情報端末を優先接続端末として決定する。
【0026】
接続履歴情報は、例えば、情報端末識別情報、使用情報、および最後に接続された接続日時などである。なお、接続履歴情報にない情報端末が新たに接続された場合には、接続履歴情報のレコードが増え、過去に接続したことがある情報端末が再度接続された場合には、使用情報や接続日時が上書きされるようなものであってもよい。
【0027】
また、ある実施態様では、接続履歴情報における接続日時の情報を用いて、車載装置の電源をOFFする前の接続利用履歴のみから優先接続端末を決定するようにしてもよい。こうすることで、例えば、一時的に車載装置の電源を落としてすぐに起動するような場合に、最近の履歴のみを対象にすることで処理の負担が軽減し、処理速度を向上することができる。
【0028】
BT接続制御部140は、無線接続を行っている他の機器とのBT接続を解除して、優先接続端末とのBT接続を確立するよう通信接続部34を制御する。次に、接続方式変更部150は、優先して接続を行った情報端末の認証が完了したときに、当該情報端末との無線通信方式をWF接続に切り替えるように通信接続部34を制御する。なお、接続方式変更部150の機能は、BT接続制御部140が有するものであってもよい。また、本実施例では、BT接続からWF接続への切り替えを行っているが、実施態様によっては他の無線通信方式に変更するものであってもよい。
【0029】
そして、接続方式変更部150により通信方式が切り替わったことに応答して、BT接続制御部140は、先程BT接続を解除した他の機器とのBT接続による通信を再開する。ある実施態様では、接続を解除する際に、機器の識別情報を一時的に記憶部35にて記憶しておき、BT接続が可能になった段階で自動的に接続を再開させる。
【0030】
次に、本発明の実施例に係る接続制御プログラム100を実行した時の動作について、
図4のフローチャートと
図5および
図6に示す具体例を参照して説明する。まず、車載装置30は、接続要求受信部110より通信接続部34を介して情報端末からの接続要求の有無を検出する(S101)。本実施例では、
図5(a)の情報端末50Bのように情報端末側でBT接続をオンにする操作が行われた際に接続要求を受付ける。そして、接続要求があったことに応答して、接続状態検出部120より車載装置30が他の機器と既にBT接続による無線接続を行っているかを検出する(S103)。ここで、他の機器とBT接続を行っていない場合には、従来通りの接続処理を行い、処理を終了する(S105)。
図5(a)のように、他の機器である情報端末50Aと既にBT接続を行っていた場合は、次のステップへ進む。
【0031】
次に、接続要求のあった情報端末が優先接続端末であるかを判定する。まず、記憶部35から接続履歴情報を取得する(S107)。取得した接続履歴情報から接続要求のあった情報端末の識別情報に基づいて、その情報端末が過去にどのように使われていたのか探索し、所定条件に該当するかの判定を行う(S109)。当該情報端末が所定条件を満たす情報端末と判定された場合は、優先情報端末として決定する(S111)。ここで、当該情報端末が所定条件を満たさない情報端末と判定された場合は、処理を終了する。
【0032】
次に、優先接続端末とのBT接続を行うために、BT接続制御部140より通信接続部34を制御して、接続中の他の機器とのBT接続を一時切断する(S113)。本実施例では、この際に記憶部35にて、接続を切断した機器の識別情報を記憶する。そして、BT接続制御部140より通信接続部34を制御して、優先接続端末とのBT接続を確立させる(S115)。これにより、
図5(b)のように、優先接続端末である情報端末50BとのみBT接続を行う。また、情報端末50Bとの接続が完了した際に、車載装置30は情報端末50Bの認証を行う。
【0033】
次に、車載装置30による情報端末50Bの認証が完了したことに応答して、接続変更部150により通信接続部34を制御して、優先接続端末との接続方式をWF接続に切り替える(S117)。これにより、
図5(c)のように、情報端末50Aとの接続は切断されたままで、情報端末50BとWF接続による無線接続を行っている状態になる。
【0034】
そして、通信方式が切り替わったことに応答して、BT接続制御部140より通信接続部34を制御して、先程切断された機器を記憶部35より検出し、BT接続による無線接続を再開させる(S119)。これにより、
図5(d)のように、情報端末50AとはBT接続を行い、情報端末50BとはWF接続を同時に行っている状態となる。その後、処理を終了する。
【0035】
以上に説明したように本実施形態によれば、二重認証が必要な情報端末との接続の際に、既に他の機器と無線接続中であった場合において、他の機器との接続を切断して二重認証が必要な情報端末との接続を優先して接続させ、通信方式が切り替わったときに切断した他の機器との接続を再開させることで、二重認証が必要な情報端末を確実に接続できるようになり、また、他の機器との接続も継続して行うことができるようになる。
【0036】
次に、本実施例の変形例について説明する。変形例として、接続状態検出部120により他の機器と接続が行われていた場合に、BT接続制御部140は、当該他の機器が現在どのように使われているのかを検出し、その検出結果から他の機器との接続を切断可能であるか否かを判定する。その判定を行うための基準としては、例えば、情報端末から電話番号や施設情報などの情報を送信しているだけの場合や、ハンズフリーなどの利用を行っておらず待機状態にある場合などは切断可能と判定し、ハンズフリーにより通話中のときは切断不可として利用が待機状態に遷移するまで切断を行わないようにするなど、予め適宜設定しておくことが好ましい。また、音楽再生中のような継続して利用されるような機能は、曲の終了を検出できれば、そのタイミングまで待機して切断を行うなどしてもよい。または、一時的に接続切断する警告を理由と共に画面や音声等で出力して、ユーザーからの承認を得るようにしてもよい。
【0037】
BT接続制御部140は、切断可能と判定した場合に、上記実施例と同様の処理を行うようにする。これにより、電話中や音楽などを視聴しているときに急に接続が切断されてしまうという事態を無くすことができるようになる。
【0038】
また、本実施例では、BT接続の設定がオンになった情報端末を検出して、自動で上述の処理を行って無線接続を確立させるが、ある実施形態によっては、接続を確立させる前にユーザーにその機能を実行するかの選択画面を表示部32に表示し、そ画面から選択させるようにしてもよい。これにより、普段はその情報端末で二重認証が必要な機能を接続により利用しているが、別の機能(例えば音楽再生など)を実行したいときになどに、自動的に二重認証が必要な機能を利用するために接続を確立させてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
上記実施例では、BT接続からWF接続に切り替えるものを例示したが、本発明は、他の通信方式が切り替わるものにも適応可能である。よって、通信方式自体は実施形態に応じて変更可能である。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 通信システム
30 車載装置
50A、50B 情報端末
70 接続手段