(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】状態を監視するための能動的なマイクロカプセルを有する機械システム
(51)【国際特許分類】
F16C 19/52 20060101AFI20220216BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20220216BHJP
F16C 33/66 20060101ALI20220216BHJP
G01M 13/04 20190101ALI20220216BHJP
【FI】
F16C19/52
F16C19/06
F16C33/66 Z
G01M13/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015093989
(22)【出願日】2015-05-01
【審査請求日】2018-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-06
(32)【優先日】2014-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508282993
【氏名又は名称】アクティエボラゲット・エスコーエッフ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ベレンズ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ヴァルヌー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・ヴェルブ
【合議体】
【審判長】田村 嘉章
【審判官】中村 大輔
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-155443(JP,A)
【文献】国際公開第2013/035307(WO,A1)
【文献】特開2006-9837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56
F16C 33/30-33/66
G01M 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可動部品(2;3;4)と、潤滑剤(8)と、外殻(91)で構成されたマイクロカプセル(9)とを備える機械システム(1)であって、
前記マイクロカプセル(9)は、前記機械システム(1)の所与の特徴的な物理パラメータの変動の作用を受けて粒子(92)を放出することが可能であり、前記粒子(92)の放出が前記機械システム(1)の外部にある手段によって特定可能であり、
前記機械システム(1)は複数の種類のマイクロカプセル(9)を有し、各種類のマイクロカプセル(9)が、前記機械システム(1)に固有の異なる物理パラメータの変動に対して感応性を有しており、そのため前記異なるパラメータの変動に対して前記粒子(92)を放出可能であり、前記機械システムは、前記粒子(92)の放出を検出するための少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記マイクロカプセル(9)の前記粒子(92)が、潤滑剤の成分の1つ、
前記機械システム(1)の構成要素の材料の1つ、または放出された粒子との化学反応から生じ得る新たな化学種と反応することが可能な化学試薬であることを特徴とする機械システム。
【請求項2】
互いに対して回転可能に可動である第1の輪(2)および第2の輪(3)と、少なくとも1列の転動体(4)と、前記2つの輪(2、3)の間に画定される軸受チャンバ(8)内の潤滑剤と、を備える軸受(1)から成ることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロカプセル(9)が、前記機械システム(1)の前記潤滑剤(8)と混合されることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記マイクロカプセル(9)が、機械システム(1)の内部構成要素の少なくとも一部の表面にある層として堆積されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械システム(1)が、前記機械システム(1)の単一の物理的パラメータの変動に対して感応性を有する種類のマイクロカプセル(9)を有するが、当該マイクロカプセル(9)は、前記パラメータの異なる閾値に対してそれぞれ感応性を有しており、これにより異なる値において前記粒子(92)を放出することが可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
異なる種類の前記マイクロカプセル(9)、すなわちその外殻(91)が異なるパラメータおよび/または異なる閾値に対して感応性を有するマイクロカプセルが、各々異なる種類の粒子(92)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記マイクロカプセル(9)の前記粒子(92)が帯電していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記マイクロカプセル(9)の前記粒子(92)が着色剤であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受などの可動部品を備える、電動車両、内燃機関、電気モータおよびトルク伝達要素などのシステムを必要とする全ての種類の用途に関する機械システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
可動部品を有する機械システムの耐用寿命は基本的に該可動部品の潤滑に関連する。潤滑が不完全であると一般に、構成要素ひいてはシステムの急速な劣化および故障が生じることになる。機械システムは常に、最初に機械システムの内部に置かれる例えば潤滑油または油などの潤滑剤によって潤滑することができる機械的に接触する面を備える。しかしながら経時的に、潤滑剤の混合は、潤滑剤の経年劣化および構成要素が受ける熱サイクルと相まって、潤滑油を劣化させる。周期的なメンテナンス作業が考慮される場合もあり、これは機械システムの少なくとも1つの構成要素に再度油を塗る作業や、その構成要素の交換を伴う。
【0003】
しかしながら、機械システムの部品またはその潤滑部の異常な劣化や故障が生じる場合、このようなメンテナンス作業を予想しなければならないこともある。よって機械システムの作動中の状態を監視することが必要であり、これは別の呼び方では「状態監視」として知られている。
【0004】
一般的に言えば、機械システムが機械システムおよび/またはその環境の物理的パラメータを測定し監視するセンサを装備し、場合によってはシステム構成要素の異常な劣化や故障に起因して生じる前記パラメータの異常な変動の検知を報告するプロセスが知られている。
【0005】
しかしながらこのような状態監視手段は、機械システムの構成要素の通常の作用に干渉しないことを見越して一体化させる必要がある追加のシステム手段である。状態監視手段によって送信されるデータを伝達、分析および/または視覚化するための手段もまた、これらがセンサの場合は電子機器であることを見越しておく必要がある。これら全ての要素は追加のシステムコストを生じ、そのため状態監視は実施するのが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より詳細には、本発明は、製造および設置するのが簡単であり、部品の数が少なく、有効な状態監視を保証する状態監視手段を備えた機械システムを提案することによって、これらの問題に対処することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それに関連して、本発明は、少なくとも1つの可動部品と、潤滑剤とを備える機械システムに関する。
【0008】
本発明によると、機械システムはまた、外殻を形成するマイクロカプセルを備え、これは機械システムの所与の特徴的な物理的パラメータにおける変化に起因して粒子を放出することが可能であり、その分散は機械システムの外部にある手段によって特定可能である。機械システムは、複数の種類のマイクロカプセルを有し、各々の種類のマイクロカプセルは、機械システムに固有の異なる物理的パラメータの変動に対して敏感であり(つまり該変動に対して感応性を有する)、よって異なるパラメータの変動に対して粒子を放出することが可能である。
【0009】
本発明により、マイクロカプセルの外殻の変動を検出すべき物理的パラメータに適合させることによって、かつ粒子を所望される類の識別に対して適合させることによって、機械システムの状態を所与の物理的パラメータに関連して監視することが可能である。よって前記物理的パラメータの変動の閾値に関連した外殻のパラメータ表示によって、この値における、例えばある故障を知らせる値における粒子の放出が可能になる。
【0010】
これらの放出された粒子は、機械システムの外部にある手段によって特定されるため、予想されるメンテナンス作業を待つ必要がなく、作動中のシステムの故障の出現をリアルタイムで検出することが可能である。
【0011】
またシステムのパラメータの変化を経時的に監視し、これによりシステム作動中の摩耗や効率の程度を評価することにより予測されるメンテナンス作業を早めたり延期したりすることが可能になる。
【0012】
本発明のおかげで、システム内に放出される粒子の種類によって故障の原因を知ることが可能である。
【0013】
マイクロカプセルはシステム内に取り込まれるため、前記システムの内部構成要素を適合させる必要がなく、追加の設置空間も必要としない。マイクロカプセルは、構成要素の作動に影響を与えない。
【0014】
さらに、機械システムに取り込まれるマイクロカプセルの種類は、前記システムを構成する用途、条件、材料、機能および構成要素に従って適合させることができる。
【0015】
その技術的効果は、機械システムが作動している間、複数のパラメータの変化を独立したやり方で並行して監視することである。
【0016】
本発明の有利であるが必須ではない態様によると、このような機械システムは、1つまたは複数の以下の特徴を全ての技術的に許容可能な組合せを考慮して採り入れることができる。
- 機械システムは、互いに対して回転可能に可動である第1の輪および第2の輪と、2つの輪の間の少なくとも1列の転動体と、2つの輪の間に画定された軸受チャンバ内の潤滑剤とを有する軸受である。
- マイクロカプセルは、機械システムの潤滑剤とその中で混合される。
- マイクロカプセルは、機械システムの内部構成要素の少なくとも一部の表面にある層として堆積され、例えば構成要素を酸化から保護する表面処理剤中に沈着する。
- マイクロカプセルは、機械システムの少なくとも1つの内部構成要素を構成する材料の中に取り込まれる。
- マイクロカプセルは、機械システムの少なくとも1つの内部構成要素のポリマーまたは合成部分のオーバーモールディングの中に取り込まれる。
- マイクロカプセルは、1nm(ナノメータ)から10μm(マイクロメータ)の間のサイズである。
- マイクロカプセルの外殻は、粒子が埋め込まれた堅固な外側層で構成される。機械システムの所与の物理的パラメータが変動した結果、外殻が壊れ粒子を放出する。
- マイクロカプセルの外殻は、粒子が取り込まれる空洞を備えた多孔質の要素で構成される。機械システムの所与の物理的パラメータが変動した結果、外殻の構造が、例えば破損、ひび割れ、溶解などによって変形し、粒子を放出する。
- 非限定的な例を挙げると、機械システムの特徴的な物理的パラメータは本質的に機械的であり、例えば部品の運動速度、温度、圧力および振動などである。
- 非限定的な例を挙げると、機械システムの特徴的な物理的パラメータは本質的に化学的であり、例えば、酸性度、粘度および酸化のレベルなどである。
- 機械システムは、機械システムの単独の種類の物理的パラメータに対して敏感なつまり感応可能な特定の種類のマイクロカプセルを有するが、このマイクロカプセルは、前記パラメータの異なる値に対してそれぞれ敏感であり、これにより異なる値において粒子を放出することが可能である。
- マイクロカプセルの外殻は、機械システムの物理的パラメータの変動に対して敏感であり、前記パラメータの変動に対して反応することが可能なポリマー、合成または有機物質から成る。
- 異なる種類のマイクロカプセル、すなわちその外殻が異なるパラメータおよび/または異なる閾値に対して敏感であるマイクロカプセルは各々異なる種類の粒子を有する。
- 機械システムの外部にある特定手段は直接的であり、すなわちマイクロカプセルから機械システムへの粒子の放出の特定は、操作者の感覚の1つによって判別することができる。
- 機械システムの外部にある特定手段は間接的であり、すなわちマイクロカプセルから機械システムへの粒子の放出の特定は、追加のセンサを必要とする。
- マイクロカプセルの粒子は、帯電しており、ひとたび機械システムへと放出されると、システムの電位を少なくとも局所的に変化させる。例えば機械システムの外部にある特定手段は、電位センサで構成することができる。
- マイクロカプセルの粒子は、機械システムの構成要素の1つと反応することが可能な化学試薬である。機械システムの前記要素と、放出された粒子との化学反応に起因して新たな化学種が生じる。例えば機械システムの外部にある特定手段は、前記新たな化学種の1つのセンサで構成することができる。新たな化学種はまた、システムの機械的(温度、圧力など)パラメータや化学的(酸性度、粘度など)パラメータに対して影響を有する場合もあり、これにより機械システムの外部にある特定手段を前記影響されたパラメータのセンサで構成する場合もある。
- マイクロカプセルの粒子は、着色剤である。機械システムの外部にある特定手段は、少なくとも局所的に機械システムの色の変化を見る操作者で成り立っている。
【0017】
本発明は、その原理に従って軸受で構成される機械システムを提示する一実施形態の以下の記載を読むことでより適切に理解され、かつその他の利点もより明らかになると思われ、これらは例えば単独で、かつ添付の非限定的な図面を参照して提示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
中心軸X1を備えた軸受1は、外輪2と、内輪3と、ケージ5によって保持される平行な面内に配列された1列の転動体4(ここでは玉である)と、2つのシール6および7と、をそれぞれ備える。
【0020】
輪2、3は、通常の作動モードにおいて中心軸X1と同軸である。
【0021】
外輪2は、外側の円筒形の面21と、転動体4のために軌道が形成された孔22と、中にシール6が嵌合される溝とを備え、前記シールは、回転式の外輪2と共に固定シールを形成する。
【0022】
内輪3は、転動体4のための軌道が中に形成される外側の円筒形の面31と、シール6および7と共に接触シールを形成するための溝とを備え、前記シールは、非回転式の内輪3と運動シールを形成する。
【0023】
あるいは内輪3が回転式であり外輪2が非回転式である場合、または両方の輪が互いに対して回転することができる場合もある。
【0024】
外輪2は、2つの前方の半径方向の縁部23および24によって軸方向に画定され、内輪3は、2つの前方の半径方向の縁部33および34によって軸方向に画定されることで、前記縁部は軸方向にそれぞれ整列される。
【0025】
内輪3はまた、中を貫通する円筒形の孔32を備える。例えばピンまたは支持体を前記孔32の中に挿入することができる。
【0026】
内輪3の円筒形の外面31、内輪2の孔22およびシール6、7が、軸受チャンバ8を画定し、そこで転動体4が輪2と輪3の間で運動する。軸受チャンバ8は、潤滑剤、例えば潤滑油または油で満たされ、可動部品ここでは転動体4の接触面と、円筒形の外面31に設けられた軌道および内輪2の孔22に設けられた軌道との間の摩擦を軽減させる。
【0027】
本発明によると、軸受チャンバ8内の潤滑剤は、複数のマイクロカプセル9を有する。
【0028】
図示されない一実施形態によると、マイクロカプセル9は、軸受1の軸受チャンバ8内の特定の要素の少なくとも一部の表面、例えば内輪3の円筒形の外面31、内輪2の孔22、シール6、7の内面、ケージ5の外面および/または転動体4の外面上にある層に堆積されてもよい。あるいはマイクロカプセルは、軸受1の少なくとも1つの要素を構成する材料、例えば内輪3、外輪2、ケージ5および/またはシール6、7の中に取り込まれる場合もある。このような一体化は、オーバーモールディングによって行なうことができる。
【0029】
図2に示されるように、マイクロカプセルは、プラスチック、ポリマーまたは有機物質から成る堅固な外側層で構成された外殻91を備え、1nmから1μmのサイズである。外殻91は、少なくとも1つの、但しより一般的には複数の粒子92を中に含む。
【0030】
マイクロカプセル9の外殻91は、軸受1の物理的変動に対して敏感であるつまり感応性を有しており、前記パラメータの変動に対して反応することが可能である。非限定的な例によると、このパラメータは機械的なもの、例えば輪2および輪3の回転の相対速度、温度、圧力、振動であってよく、あるいは化学的なもの、非限定的な例によると軸受1の要素を構成する材料または軸受チャンバ8における潤滑剤の湿度、酸性度、粘度および酸化のレベルであってよい。監視すべきパラメータの選択は、用途、環境、制約条件、および軸受1の特定されるリスクの種類によって決められる。複数の種類のマイクロカプセルを有し、各々の種類が異なるパラメータに対して敏感な軸受1を提供することも可能である。
【0031】
マイクロカプセルの外殻91を構成する材料の選択および寸法は、軸受のパラメータの閾値に応じて、前記パラメータがこの閾値を超えた場合に外殻91が壊れるように規定される。粒子92はこのとき、軸受1の軸受チャンバ8内で潤滑剤の中へと放出される。複数の種類のマイクロカプセルを有し、全てが同一のパラメータに対して、但し異なる閾値に対して敏感である軸受1を提供することも可能である。よって異なる種類のマイクロカプセルを各々のパラメータに関して異なる閾値と組み合わせることが可能である。
【0032】
マイクロカプセル9によって放出される粒子92は、利用可能なおよび/または所望される特定手段に応じて異なる種類であってよい。
【0033】
一実施形態によると、粒子92は、潤滑剤の成分の1つ、軸受1の構成要素の材料の1つ、または放出された粒子との化学反応から生じ得る新たな化学種と反応することが可能な化学試薬であってよい。このようなケースでは、粒子の有無を特定するための手段は、前記新たな化学種の1つのセンサから構成されてもよい。
【0034】
新たな化学種はまた、軸受の機械的(温度、圧力など)または化学的(酸性度、粘度など)パラメータに対して影響を有する場合があり、そのため特定手段は前記影響されるパラメータのセンサで構成することができる。
【0035】
別の実施形態によると、マイクロカプセル9の粒子92は着色剤であってよい。特定手段はよって、少なくとも局所的に潤滑剤および/または軸受の色の変化を観察する操作者で成り立っている。
【0036】
異なる着色剤で構成される粒子92を軸受1が有する場合、前記種々のパラメータの物理的な値および/または閾値に対して敏感な外殻91において、1つまたは複数種の着色剤を放出することによって、少なくとも局所的に潤滑剤および/または軸受の色のみを利用して、パラメータおよび/または前記パラメータの変動のレベルを判定することが可能になる。したがって特定は、予め確立された色のチャートを利用して行なうことができる。
【0037】
上記を例示するための一例において、軸受チャンバ8内の潤滑剤は、その外殻91が軸受1の温度の変動に対して敏感である第1の種類のマイクロカプセル9と、その外殻91が前記軸受1の潤滑剤の酸性度の変動に対して敏感である第2の種類のマイクロカプセル9とを有する場合がある。第1の種類のマイクロカプセル9は、黄色の薬剤である粒子92を含み、第2の種類は、青色の薬剤である粒子92を含む場合がある。
【0038】
温度のみが所定の閾値を超えて上昇する場合、温度に敏感なマイクロカプセル9の外殻91は、黄色の粒子92を放出する。外部の操作者はこれにより色の変化を直接観察することができる。同様に潤滑剤の酸性度のみが閾値を超えて上昇した場合、操作者は色が青に変化するのを観察する。
【0039】
しかしながら、温度と酸性度の両方に関して閾値を超えた場合、黄色と青の粒子92が軸受1内に放出され、主に緑色を提示する。操作者はこのとき、色の変化に気付き、また両方のパラメータの閾値を超えたという事実にも気付くことができる。
【0040】
同様の例を単独のパラメータに関して記載することができるが、外殻91は異なる閾値に対して敏感であり、前記外殻は各々異なる色の粒子92を含んでいる。
【0041】
複数のパラメータおよび/または閾値の場合、特定は予め確立された色のチャートによって分析されてよい。
【0042】
化学反応試薬で構成される粒子92を中に含むマイクロカプセル9に関して同様の例を記載することができ、これにより特定は、較正によって予め確立された組成グリッドを利用して行なうことができる。
【0043】
上記で考察した本実施形態および変形形態の技術的特徴は組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1 軸受
2 外輪
3 内輪
4 転動体
5 ケージ
6、7 シール
8 軸受チャンバ
9 マイクロカプセル
21 外輪の円筒形の面
22 孔
23、24 縁部
31 内輪の円筒形の面
32 孔
33、34 縁部
91 外殻
92 粒子
X1 中心軸