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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】車載電気システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/26 20060101AFI20220216BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20220216BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20220216BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B60W10/26 900
B60K6/485 ZHV
B60W20/00
H02J7/14 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017126299
(22)【出願日】2017-06-28
(65)【公開番号】P2019006337
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】小松 優祐
(72)【発明者】
【氏名】守屋 史之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】東地 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 光徳
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-256267(JP,A)
【文献】特開2017-007457(JP,A)
【文献】特開2016-195472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
H02J 7/14
B60K 6/20-6/547
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレーと、
前記リレーを介して並列接続される第一バッテリと第二バッテリと、
前記リレーを介さずに前記第一バッテリと並列接続された第一負荷と、
前記リレーを介さずに前記第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機と、
前記リレーに流れる電流の電流値が閾値以上となったことに応じて前記リレーをオフ状態に切り替えるリレーオフ制御を行うと共に、前記リレーオフ制御の開始から前記リレーがオフとなるまでのオフ所要時間内に前記電流値を下げる制御を行う制御部と、を備える
車載電気システム。
【請求項2】
前記リレーを介さずに前記第二バッテリと並列接続された第二負荷を備え、
前記制御部は、
前記第二負荷の消費電力が小さい場合より大きい場合に前記閾値を大きくし、
前記リレーオフ制御を開始したことを契機に、前記第二負荷の消費電力を下げる制御を行う
請求項1に記載の車載電気システム。
【請求項3】
前記第二負荷が車室温調装置とされた
請求項2に記載の車載電気システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第一負荷の消費電力が大きい場合より小さい場合に前記閾値を大きくし、
前記リレーオフ制御を開始したことを契機に、前記第一負荷の消費電力を上げる制御を行う
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車載電気システム。
【請求項5】
前記リレーに流すことが許容される電流の上限値を最大保証電流値としたときに、
前記閾値の最小値は、
前記オフ所要時間内において前記モータ機能付発電機の要求駆動力が最大傾斜を維持した場合において、前記電流値が前記最大保証電流値を超えない値に設定された
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車載電気システム。
【請求項6】
前記リレーに並列接続され、前記第二バッテリ側から前記第一バッテリ側に電流を流すダイオードを備えた
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の車載電気システム。
【請求項7】
リレーと、
前記リレーを介して並列接続される第一バッテリと第二バッテリと、
前記リレーを介さずに前記第一バッテリと並列接続された第一負荷と、
前記リレーを介さずに前記第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機と、
前記モータ機能付発電機の要求駆動力を示す情報を取得し、前記要求駆動力が所定の閾値以上であれば前記リレーをオフ状態に切り替えるリレーオフ制御を行う制御部と、を備え、
前記閾値は、前記リレーに流れる電流が前記リレーの最大保証電流値に到達すると予測される場合に前記リレーオフ制御が行われるよう設定された
車載電気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーと、リレーを介して並列接続される第一バッテリと第二バッテリと、リレーを介さずに第一バッテリと並列接続された第一負荷と、リレーを介さずに第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機とを備えた車載電気システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両においては、補機類を駆動する補機用バッテリを充電するための発電機としてモータ機能付発電機(ISG:Integrated Starter Generator)を備えたものがある。ISGは、エンジントルクを電力に変換する発電機能に加え、電力をエンジンのトルクへと変換してエンジン始動に用いることができる。そのため、エンジン始動用のスタータモータと、エンジントルクを利用して発電を行うオルタネータとの両者の機能をISGに集約することができる。
【0003】
ISGを備えた車両においては、IGSをエンジン始動のみでなく、走行中におけるエンジンのトルクアシストに用いることが可能である。但し、その場合、ISGの電源が補機用バッテリのみであると、トルクアシストに伴う補機用バッテリからの電力持ち出しが大きくなり、補機類の電圧保証を行うことが困難となる。なお、ここでの電圧保証とは、補機類の入力電圧が該補機類に定められた最低動作保証電圧を下回らないようにすることを意味している。
【0004】
そこで、補機用バッテリとは別途に、トルクアシスト用の電源として走行用バッテリを設け、これら補機用バッテリと走行用バッテリとをリレーを介して並列接続し、トルクアシスト時など高負荷となる状況において、リレーをオフとして走行用バッテリと補機用バッテリとを切り離す構成とすることが有効である。
例えば、下記特許文献1には、内燃機関の駆動軸に機械的に連結され、内燃機関をトルクアシストするために作動する電動機と、トルクアシスト実行中に電動機に電力を供給する第1バッテリと、トルクアシスト実行中に電動機以外の電気負荷に電力を供給する第2バッテリと、トルクアシスト非実行時には第1バッテリと第2バッテリを並列接続し、トルクアシスト実行時には並列接続を解除するリレーと、を備えたトルクアシスト制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-256267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トルクアシスト時など高負荷の状況となる際にリレーをオフすると、大電流が流れている状態でリレーがオフされる虞がある。
大電流が流れている状態でリレーがオフされると、リレーが溶着して破損する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は上記した問題点を克服し、モータ機能付発電機による第一バッテリの充電を可能とし、第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能とし、さらに第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を可能としながらリレーの破損防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載電気システムは、リレーと、前記リレーを介して並列接続される第一バッテリと第二バッテリと、前記リレーを介さずに前記第一バッテリと並列接続された第一負荷と、前記リレーを介さずに前記第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機と、前記リレーに流れる電流の電流値が閾値以上となったことに応じて前記リレーをオフ状態に切り替えるリレーオフ制御を行うと共に、前記リレーオフ制御の開始から前記リレーがオフとなるまでのオフ所要時間内に前記電流値を下げる制御を行う制御部と、を備えるものである。
【0009】
上記のリレー、第一バッテリ、第一負荷、第二バッテリ、及びモータ機能付発電機の接続形態により、モータ機能付発電機による第一バッテリの充電を可能とし、第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能とし、さらにリレーのオフにより第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を行うことが可能とされる。さらに、上記の制御部により、大電流が流れている状態でリレーがオフされないようにすることが可能とされる。
【0010】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記リレーを介さずに前記第二バッテリと並列接続された第二負荷を備え、前記制御部は、前記第二負荷の消費電力が小さい場合より大きい場合に前記閾値を大きくし、前記リレーオフ制御を開始したことを契機に、前記第二負荷の消費電力を下げる制御を行う構成とすることが可能である。
【0011】
これにより、第二負荷の電力消費状態に応じて高い閾値を設定可能にしつつ、第二負荷の消費電力が大きい場合にはリレーオフ制御の開始を契機にリレー電流の電流値が下げられ、大電流が流れている状態でリレーがオフされないようにすることが可能とされる。
【0012】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記第二負荷が車室温調装置とされた構成とすることが可能である。
【0013】
車室温調装置は比較的消費電力が大きいため、消費電力を下げた場合にリレー電流の電流値低下に比較的大きく貢献する。
【0014】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記制御部は、前記第一負荷の消費電力が大きい場合より小さい場合に前記閾値を大きくし、前記リレーオフ制御を開始したことを契機に、前記第一負荷の消費電力を上げる制御を行う構成とすることが可能である。
【0015】
これにより、第二負荷側の消費電力を下げる場合と同様の作用が得られる。
【0016】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記リレーに流すことが許容される電流の上限値を最大保証電流値としたときに、前記閾値の最小値は、前記オフ所要時間内において前記モータ機能付発電機の要求駆動力が最大傾斜を維持した場合において、前記電流値が前記最大保証電流値を超えない値に設定された構成とすることが可能である。
【0017】
これにより、例えば第二負荷としての機器がオフ状態、又は第一負荷としての機器が消費電力最大状態にある等して、リレーオフ制御開始後の電流値をそれら負荷の消費電力調整によって下げることが不能な状況であっても、リレー電流の電流値が最大保証電流値を超えないようにすることが可能とされる。
【0018】
上記した本発明に係る車載電気システムにおいては、前記リレーに並列接続され、前記第二バッテリ側から前記第一バッテリ側に電流を流すダイオードを備えた構成とすることが可能である。
【0019】
これにより、リレーがオフしていても、ダイオードを介してモータ機能付発電機側から第一バッテリ側の方向のみに電流を流すことが可能とされる。
【0020】
また、本発明に係る別の車載電気システムは、リレーと、前記リレーを介して並列接続される第一バッテリと第二バッテリと、前記リレーを介さずに前記第一バッテリと並列接続された第一負荷と、前記リレーを介さずに前記第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機と、前記モータ機能付発電機の要求駆動力を示す情報を取得し、前記要求駆動力が所定の閾値以上であれば前記リレーをオフ状態に切り替えるリレーオフ制御を行う制御部と、を備え、前記閾値は、前記リレーに流れる電流が前記リレーの最大保証電流値に到達すると予測される場合に前記リレーオフ制御が行われるよう設定されたものである。
【0021】
上記別の車載電気システムにおいても、リレーをオンとした場合にはモータ機能付発電機による第一バッテリの充電が可能とされ、また第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能となり、リレーのオフにより第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を行うことが可能とされる。そして、上記の制御部によって、リレー電流の電流値が大きくなることが予測される場合に対応して、事前にリレーをオフとすることが可能とされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、モータ機能付発電機による第一バッテリの充電を可能とし、第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能とし、さらに第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を可能としながらリレーの破損防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る第一実施形態としての車載電気システムの構成例を示した回路ブロック図である。
図2】第一実施形態としての消費電力調整、及び閾値の調整による作用の説明図である。
図3】第一実施形態のリレーオフ制御手法を実現するために実行すべき処理の手順を示したフローチャートである。
図4】第二実施形態としての車載電気システムの構成例を示した回路ブロック図である。
図5】第三実施形態としての車載電気システムの構成例を示した回路ブロック図である。
図6】第三実施形態としてのリレーオフ制御手法を実現するために実行すべき処理の手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<1.第一実施形態>
図1は、本発明に係る第一実施形態としての車載電気システム1の構成例を示した回路ブロック図である。
本実施形態の車載電気システム1は、車輪の駆動源としてエンジンを備えた車両に備えられている。本例では、該車両は、車速条件を含む所定条件の成立に応じてエンジン停止操作に依らずエンジン停止させるアイドリングストップ機能を有する車両とされている。
【0025】
図示のように車載電気システム1は、例えば車載された各種電装機器としての補機類2と、補機類2の電源として用いられる第一バッテリBthと、モータ機能付発電機としてのISG(Integrated Starter Generator)3と、ISG3の電源として用いられる第二バッテリBtiと、電磁継電器としてのリレーRLと、ISG3に並列接続された特定の電気負荷としての特定負荷4とを備えている。
図示のように第一バッテリBthと第二バッテリBtiはリレーRLを介して並列接続される。補機類2は、リレーRLを介さずに第一バッテリBthと並列接続され、特定負荷4はリレーRLを介さずに第二バッテリBtiと並列接続されている。
第一バッテリBth、第二バッテリBtiとしては例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池等を用いることができ、本例において定格出力電圧は例えば12V程度である。
なお、第一バッテリBth、第二バッテリBtiの少なくとも一方に鉛蓄電池を用いることも可能である。
本例では、特定負荷4は、車室の温度調整を行う車室温調装置とされている。
【0026】
車載電気システム1においては、上記の電気回路構成により、ISG3による第一バッテリBthの充電が可能とされる(リレーRLがオン時)。また、第一バッテリBthと第二バッテリBtiの双方をISG3の電源として利用することが可能とされる(リレーRLがオン時)。さらに、第一バッテリBthに接続された補機類2の電圧保証が可能とされる(リレーRLがオフ時)。
【0027】
また、車載電気システム1は、リレーRLに並列接続されたダイオードD1を備えている。図示のようにダイオードD1は、アノードが第二バッテリBtiの正極端子に接続され、カソードが第一バッテリBthの正極端子に接続されている。つまりダイオードD1は、第二バッテリBti側から第一バッテリBth側に電流を流す。
【0028】
ISG3は、エンジンの回転軸に連結され、モータ(電動機)として機能させることでエンジンを始動するスタータモータの役を担う。また、ISG3は、エンジンが始動した後はエンジンの回転エネルギーを電気エネルギーとして回収する発電機として機能させることができる。
さらに、ISG3は、モータとして機能させることでエンジンのトルクアシストを行うことができる。
【0029】
また、車載電気システム1は、それぞれが例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを有して構成された走行制御部5、負荷制御部6、及びリレー制御部7と、走行制御部5からの指示に基づきISG3を駆動するISG駆動部8と、上記した各制御部(走行制御部5、負荷制御部6、リレー制御部7)を相互データ通信可能に接続するバス9とを備えている。
走行制御部5、負荷制御部6、リレー制御部7の相互のデータ通信は、例えばCAN(Controller Area Network )等の所定の車内LAN(Local Area Network)規格に従った形式で行われる。
【0030】
走行制御部5は、車両の走行に係る制御を行い、特に本例では、上述したアイドリングストップ機能を実現するための制御や、ISG3によるエンジントルクアシストのための制御を行う。
具体的に、走行制御部5は、アイドリングストップ機能に伴うエンジン再始動時においてISG駆動部8によりISG3をスタータモータとして機能させる。また、走行制御部5は、トルクアシストに係る処理として、不図示のアクセルペダル操作等に基づいてISG3の要求駆動力を計算し、該要求駆動力に応じた駆動力をISG3が発現するように、ISG駆動部8に該要求駆動力に応じた駆動信号を出力させる。
【0031】
負荷制御部6は、特定負荷4として設けられた電装機器の制御を行う。
本例では、特定負荷4としての車室温調装置について、例えば操作入力や不図示のセンサ(例えば外気温センサや車室内温度を検出する内気温センサ)の検出信号等に基づく運転制御を行う。
【0032】
リレー制御部7は、リレーRLのオン/オフに係る制御を行う。
具体的に、本実施形態のリレー制御部7は、図中に電流検出部7a、オフ制御部7b、閾値調整部7c、電力調整指示部7dとして示す各種の機能を有する。
電流検出部7aは、リレーRLに流れる電流の電流値を検出する。ここで以下、リレーRLに流れる電流については「リレー電流Ir」と表記することもある。
本例における電流検出部7aは、リレーRLと第一バッテリBthとの接続点電位と、リレーRLと第二バッテリBtiとの接続点電位との電位差をリレー電流Irの電流値として検出する。
なお、電流検出部7aについては、上記の両電位をデジタルサンプリングするA/D変換器と差分検出回路とで構成する(つまりハードウェアで構成)することができる。或いは、上記両電位の差分値計算についてはソフトウェア処理で実現してもよい。
【0033】
オフ制御部7bは、リレーRLがオンの状態において、電流検出部7aが検出したリレー電流Irの電流値と閾値THrとに基づき、リレーRLをオフとする制御(リレーオフ制御)を行う。具体的には、リレー電流Irの電流値が閾値THr以上となったことに応じてリレーオフ制御を行う。
【0034】
閾値調整部7cは、オフ制御部7bが用いる閾値THrを、特定負荷4の消費電力の大きさに応じて調整する。具体的には、負荷制御部6より特定負荷4の消費電力の大きさに相関する情報(以下「消費電力相関情報」)を取得し、該消費電力相関情報に基づいて閾値THrを調整する。
ここで、消費電力相関情報としては、負荷制御部6が特定負荷4の消費電力を算出している場合には該消費電力を表す情報を用いればよい。或いは、特に本例のように特定負荷4が車室温調装置とされる場合には、出力風量の大きさを表す情報を消費電力相関情報として用いることもできる。消費電力相関情報としては、消費電力の大きさに相関した情報であればよく、消費電力そのものを表す情報に限定されるものではない。
【0035】
閾値調整部7cは、消費電力相関情報に基づく閾値THrの調整として、具体的には、特定負荷4の消費電力が小さい場合より大きい場合に閾値THrを大きくする調整を行う。
【0036】
電力調整指示部7dは、オフ制御部7bがリレーオフ制御を開始したことを契機に、特定負荷4の消費電力を下げるための指示を負荷制御部6に対して行う。
【0037】
ここで、上記のような特定負荷4の消費電力調整、及び閾値THrの調整は、リレーRLのオフ頻度を低減してリレーRLの長寿命化を図るべく行っている。
ISG3を用いたエンジントルクアシスト時など高負荷の状況となる際にリレーRLをオフすると、大電流が流れている状態でリレーRLがオフされ、リレーRLが溶着して破損する虞がある。この点を考慮すると、リレーRLをオフさせる際に用いる閾値THrとしては、十分なマージンをとって低めの値に設定することが考えられる。
しかしながら、閾値THrを低めに設定した場合には、リレーRLが頻繁にオフされ、リレーRLの寿命低下を招く虞がある。
【0038】
図2を参照して、上記した特定負荷4の消費電力調整、及び閾値THrの調整によりリレーRLの長寿命化が図られる点について説明する。
先ずは、図2Aを参照し、閾値THrの最小値の定め方について説明しておく。閾値THrの最小値とは、閾値調整部7cが調整可能な閾値THrの最小値と換言できるものである。
【0039】
図2Aにおいて、図中の「要求駆動力」は、走行制御部5が算出するISG3の要求駆動力の波形を例示しており、「特定負荷出力」は、特定負荷4の出力状態(電力消費状態)を表す。ここでは、要求駆動力については、その傾きαが最大とされた場合を例示している。すなわち、例えばアクセルペダルが急激に踏み込まれた等により、要求駆動力をシステム上最速に立ち上げている場合である。
図2Aでは、特定負荷4としての車室温調装置はオフ状態とされ、その消費電力が略ゼロの状態(略電力非消費状態)であるものとしている。
【0040】
図2Aのリレー電流Irは、要求駆動力の傾きαが最大とされた場合に対応した波形を例示している。この際のリレー電流Irの波形の傾斜角度は、特定負荷4が略電力非消費状態である場合(つまり閾値調整部7cが閾値THrを最小値に調整する場合)には最大角度となる(但し、第一バッテリBth側の電圧変動が無いと仮定した場合)。
【0041】
図中に破線で表す最大保証電流値Lmiは、リレーRLの溶着防止を図る上でリレーRLに流すことが許容される電流の上限値を表している。すなわち、リレー電流Irの電流値が最大保証電流値Lmi以下であれば、リレーRLをオフしてもリレーRLに溶着が生じないことが保証される。
【0042】
前述のように、オフ制御部7bは、リレー電流Irの電流値が閾値THr以上となったことに応じてリレーオフ制御を行うが、リレーオフ制御を開始してから実際にリレーRLがオフ状態に切り替わるまでには或る程度の時間を要する。図中では、このようにリレーオフ制御の開始時点から実際にリレーRLがオフ状態に切り替わるまでに要する時間を「オフ所要時間」と示している。
【0043】
本例では、閾値THrの最小値は次のように設定している。
すなわち、閾値THrの最小値は、オフ所要時間内においてISG3の要求駆動力が最大傾斜を維持した場合であっても、リレー電流Irの電流値が最大保証電流値Lmiを超えない値として設定されている。
これにより、特定負荷4がオフ状態とされていて、以下で詳述する特定負荷4の消費電力制限によりリレー電流Irの電流値を低下させることが不能な場合であっても、リレー電流Irの電流値が最大保証電流値Lmiを超える前にリレーRLがオフ状態に移行することを保証できる。すなわち、特定負荷4の消費電力制限よるリレー電流Irの低減が不能な状況下においても、最大保証電流値Lmiを超える大電流が流れている状態でリレーRLがオフされることの防止を図ることができる。
【0044】
図2Bは、特定負荷4の消費電力調整、及び特定負荷4の消費電力に応じた閾値THrの調整による作用の説明図である。
特定負荷4の消費電力が大きい場合には、閾値調整部7cにより、閾値THrが図2Aに示す最小値よりも大きな値に調整される。図2Bでは、特定負荷4の消費電力が相当に大きく、閾値THrが最大保証電流値Lmiを超える値に調整されている例を示している。
【0045】
電力調整指示部7dは、リレー電流Irの電流値が閾値THr以上となってオフ制御部7bがリレーオフ制御を開始したことを契機に、特定負荷4の消費電力を下げる制御を行う。該制御が行われることで、図示のようにリレーオフ制御開始後、リレー電流Irの電流値が低下していく。そして、このようにリレー電流Irの電流値が低下されることで、リレー電流Irの電流値が最大保証電流値Lmi以下の状態で、オフ所要時間の終了タイミングを迎えることができる。すなわち、リレー電流Irの電流値が最大保証電流値Lmi以下の状態でリレーRLをオフ状態に移行させることができ、これによりリレーRLの破損防止を図ることができる。
【0046】
ここで、本実施形態では、閾値調整部7cにより、閾値THrが図2Aに示す最小値から図2Bに示すように最大保証電流値Lmiを超える程度の大きな値まで調整される。図中では、このような閾値THrの調整範囲を「X」で表している。
本実施形態では、図2Bに示すような特定負荷4の消費電力調整によるリレー電流Irの低減により、閾値THrを図2Aに示す最小値よりも大きな値に設定可能とされている。このように閾値THrを大きくすることが可能な分、リレーRLがオフされる頻度を低減することができ、これにより、リレーRLの長寿命化を図ることができる。
【0047】
図3は、リレー制御部7が上記したオフ制御部7b、閾値調整部7c、電力調整指示部7dとしての機能を実現するために実行すべき処理を示したフローチャートである。
なお、図3に示す各処理は、リレー制御部7のCPUが例えば上述したROM等の所定の記憶装置に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0048】
図3Aは、オフ制御部7bとしての機能を実現するための処理を示している。なお、図3A、及び後述する図3Bの処理は、リレー制御部7が所定の処理周期により繰り返し実行する。
図3Aにおいて、リレー制御部7はステップS101の電流値取得処理として、電流検出部7aが検出したリレー電流Irの電流値を取得し、ステップS102で該取得した電流値が閾値THr以上か否かを判定する。
電流値が閾値THr以上でなければ、リレー制御部7は図3Aに示す処理を終え、電流値が閾値THr以上であればステップS103でリレーオフ制御を行い、図3Aに示す処理を終える。
【0049】
図3Bは、閾値調整部7cとしての機能を実現するための処理を示している。
リレー制御部7はステップS201で、負荷制御部6から消費電力相関情報を取得する処理を行い、ステップS202で消費電力に応じた閾値THrに更新する処理を行う。すなわち、閾値THrの候補値として、消費電力相関情報から求まる特定負荷4の消費電力の大きさに応じた値を求め、該候補値によって現在の閾値THrを更新する。このとき、リレー制御部7は、例えば特定負荷4の消費電力と閾値THrとの対応関係を示す関数やテーブル情報に基づいて上記の候補値を求める。これら関数やテーブルは、本実施形態では、特定負荷4の消費電力が小さい場合よりも大きい場合に大きな候補値が求まるように設定されている。すなわち、閾値THrは、該消費電力が小さい場合よりも大きい場合に大きな値に更新される。
リレー制御部7はステップS202の更新処理を行ったことに応じて図3Bに示す処理を終える。
【0050】
図3Cは、電力調整指示部7dとしての機能を実現するための処理を示している。
図3Cにおいてリレー制御部7は、ステップS301でリレーオフ制御が開始されるまで待機し、リレーオフ制御が開始された場合は、ステップS302でタイムカウントを開始した上で、ステップS303で電力調整指示処理を行う。すなわち、負荷制御部6に対して特定負荷4の消費電力を下げるように指示を行う。
【0051】
このような電力調整指示に応じ、負荷制御部6は、特定負荷4としての車室温調装置がオン状態であれば、例えば出力風量を下げさせる等の所定制御により、特定負荷4の消費電力を低下させる。なお、特定負荷4の消費電力を下げる制御には、特定負荷4をオフとする(消費電力をゼロにする)制御を含み得る。
【0052】
ステップS303の指示処理を実行したことに応じ、リレー制御部7はステップS304で所定時間の経過を待機し、所定時間が経過したことに応じ、ステップS305でタイムカウントをリセットした上で、ステップS306で解除指示処理を行う。すなわち、特定負荷4の消費電力調整状態(本実施形態では消費電力制限状態)を解除するための指示を負荷制御部6に対して行う。
これにより、特定負荷4の動作状態を、ステップS303の調整指示実行前の状態に復帰させることができる。
【0053】
リレー制御部7はステップS306の指示処理を実行したことに応じて図3Cに示す処理を終える。
【0054】
<2.第二実施形態>
図4は、第二実施形態としての車載電気システム1Aの構成例を示した回路ブロック図である。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
リレー電流Irの電流値を下げる作用は、補機類2の消費電力を上げることによっても実現できる。
第二実施形態の車載電気システム1Aにおいては、補機類2の制御を行う補機類制御部10が設けられ、リレー制御部7が補機類制御部10に補機類2の消費電力を上げる指示を行う。本例では、補機類制御部10は、ROM、RAM、CPUを有するマイクロコンピュータを備えて構成され、バス9を介して少なくともリレー制御部7との間で相互にデータ通信を行うことが可能とされている。
【0056】
車載電気システム1Aが備えるリレー制御部7は、閾値調整部7cに代えて閾値調整部7cAを、電力調整指示部7dに代えて電力調整指示部7dAを有している。
閾値調整部7cAは、補機類制御部10から取得した消費電力相関情報に基づいて、補機類2の消費電力が大きい場合よりも小さい場合に閾値THrを大きくするように、閾値THrの調整を行う。
また、電力調整指示部7dAは、オフ制御部7bがリレーオフ制御を開始したことを契機に、補機類2の消費電力を上げるように補機類制御部10に指示を行う。
【0057】
この場合のリレー制御部7は、閾値調整部7cA、電力調整指示部7bの機能を実現するための処理として、先の図3B図3Cに示したものと同様の処理を行う。但しこの場合、図3BにおけるステップS201で取得するは補機類2についての消費電力相関情報であり、ステップS202の処理では、上述した閾値THrの候補値として、補機類2の消費電力が大きい場合よりも小さい場合に大きな値が求まるようにする。
また、図3Cの処理では、ステップS303、S306での指示対象は補機類制御部10とされ、ステップS303の処理では補機類2の消費電力を上げる指示を行う。
【0058】
上記のような第二実施形態の車載電気システム1Aによっても、車載電気システム1と同様に、リレーRLのオフ所要時間内においてリレー電流Irの電流値を下げる制御が実現される。そして、このようなオフ所要時間内での電流値調整と補機類2の消費電力に応じた閾値THrの調整とにより、第一実施形態の場合と同様にリレーRLがオフされる頻度を低減しながら大電流が流れている状態でのリレーRLのオフ防止を図ることができる。
【0059】
なお、上記では補機類2が補機類制御部10によって制御される例としたが、補機類2の種類によっては、補機類2がコンピュータを内蔵している場合もあり得る。その場合、電力調整指示部7dAが該コンピュータに対して電力調整指示を行う構成とすることもできる。
【0060】
ここで、第二実施形態において、消費電力の調整対象とする補機類2の例としては、例えばエンジンのラジエータファン、或いはトランスミッションの作動油吐出源等として用いられるEOP(Electric Oil Pump)等を挙げることができる。
【0061】
また、上記した補機類2の消費電力調整と第一実施形態で説明した特定負荷4の消費電力調整の双方により、リレー電流Irを低減させることもできる。すなわち、リレーRLのオフ制御開始を契機に、特定負荷4の消費電力を下げ、且つ補機類2の消費電力を上げる制御を行うものである。
この場合、閾値THrは、特定負荷4の消費電力が小さく補機類2の消費電力が大きい場合よりも、特定負荷4の消費電力が大きく補機類2の消費電力が小さい場合に大きな値とするように調整すればよい。
【0062】
<3.第三実施形態>
図5は、第三実施形態としての車載電気システム1Bの構成例を示した回路ブロック図である。
第一実施形態の車載電気システム1との差異点は、リレー制御部7に代えてリレー制御部7Bが設けられた点である。
リレー制御部7Bは、電流検出部7a、閾値調整部7c、及び電力調整指示部7dが省略されると共に、オフ制御部7bに代えてオフ制御部7bBが設けられた点がリレー制御部7と異なる。
【0063】
ここで、走行制御部5が算出するISG3の要求駆動力が上昇した場合、所定レートによるなまし時間後に該要求駆動力の上昇がISG3の駆動信号に反映される。すなわち、要求駆動力の上昇とリレー電流Irの電流値の上昇との間には、所要のタイムラグが生じる。従って、要求駆動力の上昇を検知することで、リレー電流Irの電流値上昇をいわば先読みすることができる。
この点に鑑み第三実施形態では、オフ制御部7bBが、ISG3の要求駆動力の大きさに基づきリレーオフ制御を行う。
【0064】
図6は、第三実施形態としてのリレーオフ制御手法を実現するための処理を示したフローチャートである。
図6に示す処理は、リレー制御部7BにおけるCPUがROM等の所定の記憶装置に記憶されたプログラムに従って実行するものであり、所定の処理周期により繰り返し行われる。
【0065】
図6において、リレー制御部7BはステップS401で、ISG3の要求駆動力を取得するための処理を行う。すなわち、走行制御部5に対しISG3の要求駆動力の送信要求を行い、該要求駆動力を取得する。
【0066】
続くステップS402でリレー制御部7Bは、取得した要求駆動力が所定の閾値THd以上であるか否かを判定し、該要求駆動力が閾値THd以上でなければ図6に示す処理を終え、該要求駆動力が閾値THd以上であれば、ステップS403でリレーオフ制御を行って図6に示す処理を終える。
【0067】
上記の処理により、要求駆動力の大きさからリレー電流Irの電流値が例えば最大保証電流値Lmiに達する程度に大きくなることが予測される場合に対応して、事前にリレーRLをオフとすることが可能とされる。
従って、大電流が流れている状態でリレーRLがオフされてしまうことの防止を図ることができる。
【0068】
<4.実施形態のまとめ>
上記で説明したように実施形態の車載電気システム(同1又は1A)は、リレー(RL)と、リレーを介して並列接続される第一バッテリ(Bth)と第二バッテリ(Bti)と、リレーを介さずに第一バッテリと並列接続された第一負荷(補機類2)と、リレーを介さずに第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機(ISG3)と、リレーに流れる電流の電流値が閾値以上となったことに応じてリレーをオフ状態に切り替えるリレーオフ制御を行うと共に、リレーオフ制御の開始からリレーがオフとなるまでのオフ所要時間内に電流値を下げる制御を行う制御部(リレー制御部7又は7A)と、を備えている。
【0069】
上記のリレー、第一バッテリ、第一負荷、第二バッテリ、及びモータ機能付発電機の接続形態により、リレーをオンとした場合にはモータ機能付発電機により第一バッテリの充電が可能とされ、また第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能となる。さらに、リレーのオフにより第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を行うことが可能とされる。そして、上記の制御部によって、大電流が流れている状態でリレーがオフされないようにすることが可能とされる。
従って、上記した車載電気システムによれば、モータ機能付発電機による第一バッテリの充電を可能とし、第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能とし、さらに第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を可能としながらリレーの破損防止を図ることができる。
【0070】
また、実施形態の車載電気システム(1)においては、リレーを介さずに第二バッテリと並列接続された第二負荷(特定負荷4)を備え、制御部は、第二負荷の消費電力が小さい場合より大きい場合に閾値を大きくし、リレーオフ制御を開始したことを契機に、第二負荷の消費電力を下げる制御を行っている。
【0071】
これにより、第二負荷の電力消費状態に応じて高い閾値を設定可能にしつつ、第二負荷の消費電力が大きい場合にはリレーオフ制御の開始を契機にリレー電流の電流値が下げられ、大電流が流れている状態でリレーがオフされないようにすることが可能とされる。
リレーをオフする閾値として高い閾値を設定可能とされることで、リレーがオン/オフ頻度の低減を図ることができる。従って、上記構成によれば、リレーの長寿命化を図りつつ、大電流が流れている状態でリレーがオフされることに伴うリレーの破損防止を図ることができる。
【0072】
さらに、実施形態の車載電気システムにおいては、第二負荷が車室温調装置とされている。
【0073】
車室温調装置は比較的消費電力が大きいため、消費電力を下げた場合にリレー電流の電流値低下に比較的大きく寄与する。
従って、閾値の上限値を高めることができ、リレーのオフ頻度の低減、つまりはリレーの長寿命化を図ることができる。
【0074】
さらにまた、実施形態の車載電気システム(1A)においては、制御部は、第一負荷の消費電力が大きい場合より小さい場合に閾値を大きくし、リレーオフ制御を開始したことを契機に、第一負荷の消費電力を上げる制御を行っている。
【0075】
これにより、第二負荷側の消費電力を下げる場合と同様の作用が得られる。
従って、リレーがオフされる頻度の低減によりリレーの長寿命化を図ることができると共に、大電流が流れている状態でリレーがオフされることに伴うリレーの破損防止を図ることができる。
【0076】
また、実施形態の車載電気システムにおいては、リレーに流すことが許容される電流の上限値を最大保証電流値としたときに、閾値の最小値は、オフ所要時間内においてモータ機能付発電機の要求駆動力が最大傾斜を維持した場合において、電流値が最大保証電流値を超えない値に設定されている。
【0077】
これにより、例えば第二負荷としての機器がオフ状態、又は第一負荷としての機器が消費電力最大状態にある等して、リレーオフ制御開始後の電流値をそれら負荷の消費電力調整によって下げることが不能な状況であっても、リレー電流の電流値が最大保証電流値を超えないようにすることが可能とされる。
従って、負荷の消費電力調整によってリレーオフ制御開始後の電流値を下げることが不能な状況であっても、大電流が流れている状態でリレーがオフされることに伴うリレーの破損防止を図ることができる。
【0078】
さらに、実施形態の車載電気システムにおいては、リレーに並列接続され、第二バッテリ側から第一バッテリ側に電流を流すダイオードを備えている。
【0079】
これにより、リレーがオフしていても、ダイオードを介してモータ機能付発電機側から第一バッテリ側の方向のみに電流を流すことが可能とされる。
従って、リレーがオフの状態においてもモータ機能付発電機による回生電力や第二バッテリの充電電力を第一バッテリ側に供給することができ、第一バッテリの非充電時間を短くでき、第一負荷の電圧保証効果を高めることができる。
【0080】
また、実施形態の別の車載電気システム(1B)は、リレー(RL)と、リレーを介して並列接続される第一バッテリ(Bth)と第二バッテリ(Bti)と、リレーを介さずに第一バッテリと並列接続された第一負荷(補機類2)と、リレーを介さずに第二バッテリと並列接続されたモータ機能付発電機(ISG3)と、モータ機能付発電機の要求駆動力を示す情報を取得し、要求駆動力の大きさに基づきリレーをオフ状態に切り替えるリレーオフ制御を行う制御部(リレー制御部7B)と、を備えている。
【0081】
上記別の車載電気システムにおいても、リレーをオンとした場合にはモータ機能付発電機による第一バッテリの充電が可能とされ、また第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能となり、リレーのオフにより第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を行うことが可能とされる。そして、上記の制御部によって、リレー電流の電流値が大きくなることが予測される場合に対応して、事前にリレーをオフとすることが可能とされる。
従って、上記別の車載電気システムによっても、モータ機能付発電機による第一バッテリの充電を可能とし、第一バッテリと第二バッテリの双方をモータ機能付発電機の電源として利用可能とし、さらに第一バッテリに接続された第一負荷の電圧保証を可能としながらリレーの破損防止を図ることができる。
【0082】
なお、本発明は上記で説明した具体例に限定されず、多様な変形例が考えられるものである。
例えば、上記では、本発明がアイドリングストップ機能を有する車両に適用される例を挙げたが、アイドリングストップ機能を有さない車両にも本発明は好適に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1、1A、1B 車載電気システム、2 補機類(第一負荷)、3 ISG(モータ機能付発電機)、Bth 第一バッテリ、Bti 第二バッテリ、RL リレー、4 特定負荷(第二負荷)、6 負荷制御部、7、7B、 リレー制御部、7a 電流検出部、7b、7bB オフ制御部、7c、7cA 閾値調整部、7d、7dA 電力調整指示部、10 補機類制御部、D1 ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6