(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】印刷データ生成装置、印刷データ生成方法、および印刷データ生成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220216BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G06F3/12 350
B41J21/00 Z
G06F3/12 351
G06F3/12 306
(21)【出願番号】P 2018029504
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121348
【氏名又は名称】川原 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100114247
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 要
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆子
(72)【発明者】
【氏名】小野川 善彦
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-272782(JP,A)
【文献】特開2010-096978(JP,A)
【文献】特開2016-015627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0082793(US,A1)
【文献】特開2018-001472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 21/00
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データ
を受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成装置であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の後加工のための基準位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向と直交する第2方向における基準位置である第2方向後加工基準位置を特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得部と、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定部と、
前記レイアウト情報取得部により取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定部により設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定するページ配置決定部と、
前記ページ配置決定部により決定された各ページの配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換部と
を備え
、
前記配置規則設定部により設定されるセル内配置規則は、冊子の左右方向の配置規則としてのノド寄せ、小口寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則と、冊子の天地方向の配置規則としての天寄せ、地寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則とを含む、印刷データ生成装置。
【請求項2】
前記レイアウト情報取得部は、前記印刷機で印刷が実行される際にページ領域の四方に設けられる周辺領域のサイズを前記レイアウト情報の一部として取得し、
前記ページ配置決定部は、前記周辺領域のサイズを考慮しつつ、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定する、請求項
1に記載の印刷データ生成装置。
【請求項3】
前記周辺領域はブリード領域および余白領域の少なくとも一方を含み、
前記ページ配置決定部は、前記ブリード領域および前記余白領域の少なくとも一方のサイズを考慮しつつ、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定する、請求項
2に記載の印刷データ生成装置。
【請求項4】
前記レイアウト情報取得部は、作業者による入力操作を受け付けることにより前記レイアウト情報を取得するように構成されており、
前記配置規則設定部は、作業者による入力操作を受け付けることにより前記セル内配置規則を設定するように構成されている、請求項1から
3のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項5】
前記印刷機は連続紙に印刷を行う、請求項1から
4のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項6】
前記印刷機は枚葉紙に印刷を行い、
前記ページ配置決定部は、1つの枚葉紙を前記単位印刷シートとして、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項7】
前記レイアウト情報取得部により取得されたレイアウト情報をテンプレートとして保持するテンプレート保持部を更に備え、
前記ページ配置決定部は、前記テンプレート保持部に保持されたテンプレートと前記配置規則設定部により設定されたセル内配置規則とに基づき、前記
第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定する、請求項1から
6のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項8】
前記第2方向後加工基準位置は、前記後加工としての折り加工のための前記単位印刷シートの前記第2方向における折り位置である、請求項1から
7のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項9】
冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成装置であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の折り加工のための
前記単位印刷シートの折り位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向における折り位置
と当該第1方向に直交する第2方向における折り位置とを特定する
レイアウト情報を取得するレイアウト情報取得部と、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定部と、
前記レイアウト情報取得部により取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定部により設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第1および第2方向における折り位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの前記第1および第2方向における配置位置を決定する
ページ配置決定部と、
前記ページ配置決定部により決定された各ページの前記第1および第2方向における配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換部と
を備える、印刷データ生成装置。
【請求項10】
冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データ
を受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成方法であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の後加工のための基準位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向と直交する第2方向における基準位置である第2方向後加工基準位置を特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得ステップと、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定ステップと、
前記レイアウト情報取得ステップにより取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定ステップにより設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定するページ配置決定ステップと、
前記ページ配置決定ステップにより決定された各ページの配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換ステップと
を備え
、
前記配置規則設定ステップにより設定されるセル内配置規則は、冊子の左右方向の配置規則としてのノド寄せ、小口寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則と、冊子の天地方向の配置規則としての天寄せ、地寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則とを含む、印刷データ生成方法。
【請求項11】
冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成方法であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の折り加工のための前記単位印刷シートの折り位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向における折り位置と当該第1方向に直交する第2方向における折り位置とを特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得ステップと、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定ステップと、
前記レイアウト情報取得ステップにより取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定ステップにより設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第1および第2方向における折り位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの前記第1および第2方向における配置位置を決定するページ配置決定ステップと、
前記ページ配置決定ステップにより決定された各ページの前記第1および第2方向における配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換ステップと
を備える、印刷データ生成方法。
【請求項12】
冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データ
を受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成プログラムであって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の後加工のための基準位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向と直交する第2方向における基準位置である第2方向後加工基準位置を特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得ステップと、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定ステップと、
前記レイアウト情報取得ステップにより取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定ステップにより設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定するページ配置決定ステップと、
前記ページ配置決定ステップにより決定された各ページの配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換ステップと
を、コンピュータのCPUにメモリを利用して実行させ
、
前記配置規則設定ステップにより設定されるセル内配置規則は、冊子の左右方向の配置規則としてのノド寄せ、小口寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則と、冊子の天地方向の配置規則としての天寄せ、地寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則とを含む、印刷データ生成プログラム。
【請求項13】
冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成プログラムであって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の折り加工のための前記単位印刷シートの折り位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向における折り位置と当該第1方向に直交する第2方向における折り位置とを特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得ステップと、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定ステップと、
前記レイアウト情報取得ステップにより取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定ステップにより設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第1および第2方向における折り位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの前記第1および第2方向における配置位置を決定するページ配置決定ステップと、
前記ページ配置決定ステップにより決定された各ページの前記第1および第2方向における配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換ステップと
を、コンピュータのCPUにメモリを利用して実行させる、印刷データ生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブック印刷等のように冊子を作成するための印刷を行う印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製本用の印刷を行う印刷システムでは、入稿データに基づいて印刷データを生成する前に、印刷用紙上における複数のページの配置位置を特定する台割りの設計が行われている。その設計された台割りの情報は、一般に、テンプレート(以下、「台割りテンプレート」という)として保存される。そして、入稿データにラスタライズ処理(RIP処理)が施される際に、入稿データを構成する各ページの印刷用紙上での配置位置が台割りテンプレートに基づいて決定される。これにより、枚葉紙を用いた印刷の際には1枚の印刷用紙に複数のページが印刷され、また、連続紙を用いた印刷の際には当該1枚の印刷用紙に相当する領域に複数のページが印刷される。以上のようにして得られた印刷物に製本加工が施されることにより、冊子が作成される。なお以下では、連続紙を用いた印刷において、当該連続紙としての印刷用紙のうち冊子の作成において1つの折り丁となるべき領域を「単位印刷シート」という。なお、枚葉紙を用いた印刷では、通常、1つの枚葉紙が単位印刷シートに相当するが、1つの枚葉紙に複数の折りを配置する場合もあり、この場合は1つの枚葉紙が複数の単位印刷シートに相当する。
【0003】
ところで、近年、典型的には比較的少部数の冊子をデジタル印刷機で印刷するブック印刷の需要が高まっている。このようなブック印刷において、ページサイズの多少異なる複数の冊子(例えばA5サイズの冊子とA6サイズの冊子)の印刷製本処理が工場内の1つのライン(同一の印刷機および同一の後加工機)で行われることがある。この場合、同一の台割りテンプレートを使用すると、
図18に示すように、ページサイズが異なることによって折り位置が異なる(折り線71-1と71b-1の位置が異なり、折り線71-2と71b-2の位置が異なる)ので、ページサイズの変更に応じて後加工機を調整することが必要となる。そこで、このような後加工機の調整を不要とするために、従来、ページサイズに応じてオフセットの調整された台割りテンプレートを用意しておくこと(以下「従来手法」という)が行われることがあった。
【0004】
なお、本願で開示される印刷データ生成装置に関連して、特開2008-155632号公報には、個別のテンプレートを要することなく複数の画像を印刷用紙に自動的に面付け配置する方法の発明が開示されている。この発明によれば、様々なページサイズのジョブを実行する際にプリプレス作業に要する時間が削減される。また、特開2002-175165号公報には、物理用紙をN等分(Nは1より大きい整数)した領域に対して中央に論理ページが配置されるNページ印刷機能を提供する情報処理装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-155632号公報
【文献】特開2002-175165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来手法を採用した場合、ページサイズが異なる毎にオフセットの調整が必要となるので、複数のページサイズに対応して複数の台割りテンプレートを予め用意しなければならかった。このため、管理コストが高くなり、また、入稿データ毎に当該入稿データのページサイズに対応する台割りテンプレートの選択が必要となることから、作業者による操作の作業量が増大する。
【0007】
なお、特開2008-155632号公報に開示された発明や特開2002-175165号公報に開示された発明においても、ページサイズの異なる複数の冊子の印刷製本処理が1つのラインで行われた場合に後加工機の再調整が必要となる。
【0008】
そこで本発明は、ページサイズの異なる複数の冊子を作成する場合であっても後加工機での再調整を必要としない印刷データを管理コストや操作の作業量の増大を招くことなく生成できる印刷データ生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面は、冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成装置であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の後加工のための基準位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向と直交する第2方向における基準位置である第2方向後加工基準位置を特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得部と、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定部と、
前記レイアウト情報取得部により取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定部により設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定するページ配置決定部と、
前記ページ配置決定部により決定された各ページの配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換部とを備え、
前記配置規則設定部により設定されるセル内配置規則は、冊子の左右方向の配置規則としてのノド寄せ、小口寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則と、冊子の天地方向の配置規則としての天寄せ、地寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則とを含む。
【0011】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記レイアウト情報取得部は、前記印刷機で印刷が実行される際にページ領域の四方に設けられる周辺領域のサイズを前記レイアウト情報の一部として取得し、
前記ページ配置決定部は、前記周辺領域のサイズを考慮しつつ、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定することを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面において、
前記周辺領域はブリード領域および余白領域の少なくとも一方を含み、
前記ページ配置決定部は、前記ブリード領域および前記余白領域の少なくとも一方のサイズを考慮しつつ、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定することを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の局面は、本発明の第1から第3の局面のいずれかにおいて、
前記レイアウト情報取得部は、作業者による入力操作を受け付けることにより前記レイアウト情報を取得するように構成されており、
前記配置規則設定部は、作業者による入力操作を受け付けることにより前記セル内配置規則を設定するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の局面は、本発明の第1から第4の局面のいずれかにおいて、
前記印刷機は連続紙に印刷を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の第6の局面は、本発明の第1から第4の局面のいずれかにおいて、
前記印刷機は枚葉紙に印刷を行い、
前記ページ配置決定部は、1つの枚葉紙を前記単位印刷シートとして、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定することを特徴とする。
【0016】
本発明の第7の局面は、本発明の第1から第6の局面のいずれかにおいて、
前記レイアウト情報取得部により取得されたレイアウト情報をテンプレートとして保持するテンプレート保持部を更に備え、
前記ページ配置決定部は、前記テンプレート保持部に保持されたテンプレートと前記配置規則設定部により設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定することを特徴とする。
【0017】
本発明の第8の局面は、本発明の第1から第7の局面のいずれかにおいて、
前記第2方向後加工基準位置は、前記後加工としての折り加工のための前記単位印刷シートの前記第2方向における折り位置であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第9の局面は、冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成装置であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の折り加工のための前記単位印刷シートの折り位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向における折り位置と当該第1方向に直交する第2方向における折り位置とを特定するレイアウト情報を取得するレイアウト情報取得部と、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定部と、
前記レイアウト情報取得部により取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定部により設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第1および第2方向における折り位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定するページ配置決定部と、
前記ページ配置決定部により決定された各ページの前記第1および第2方向における配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換部とを備える。
【0019】
本発明の第10の局面は、冊子の作成のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを生成する印刷データ生成方法であって、
冊子の作成において1つの折り丁となるべき印刷用紙の領域である単位印刷シートにつき、各ページ領域の配置位置、および、前記印刷データに基づく印刷後の後加工のための基準位置であって前記印刷用紙の送り方向である第1方向と直交する第2方向における基準位置である第2方向後加工基準位置を特定するレイアウト情報を取得するためのレイアウト情報取得ステップと、
前記各ページ領域における印刷領域の位置を指定するセル内配置規則を設定する配置規則設定ステップと、
前記レイアウト情報取得ステップにより取得されたレイアウト情報と前記配置規則設定ステップにより設定されたセル内配置規則とに基づき、前記第2方向後加工基準位置を固定しつつ、前記入稿データのページサイズに応じて、前記単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置を決定するページ配置決定ステップと、
前記ページ配置決定ステップにより決定された各ページの配置位置に基づき前記入稿データを前記印刷データに変換するデータ変換ステップとを備え、
前記配置規則設定ステップにより設定されるセル内配置規則は、冊子の左右方向の配置規則としてのノド寄せ、小口寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則と、冊子の天地方向の配置規則としての天寄せ、地寄せ、および中心寄せから選択される1つの配置規則とを含む。
【0020】
本発明の他の局面は、本発明の上記局面ならびに後述の実施形態およびその変形例に関する説明から明らかであるので、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の局面によれば、1つの折り丁となるべき単位印刷シートに面付けすべき各ページの配置位置が、取得されたレイアウト情報に基づき、ノド寄せ、小口寄せ、および中心寄せから選択された冊子の左右方向の配置規則と、天寄せ、地寄せ、および中心寄せから選択された冊子の天地方向の配置規則とを含むセル内配置規則に従って、第2方向後加工基準位置を固定しつつ、入稿データのページサイズに応じて決定される。したがって、入稿データのページサイズに関わらず、同一のレイアウト情報を使用することで、第2方向後加工基準位置を固定しつつ、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの配置位置を決定することができる。このため、ページサイズの異なる複数の冊子を印刷するための印刷データを同一のレイアウト情報に基づいて生成することによって、複数の冊子のための後加工の作業を途中で後加工機の再調整を要することなく行うことができる。また、複数のページサイズに対してレイアウト情報を1回だけ取得して保持すれば足りるので、管理コストが低減される。以上のように、ページサイズの異なる複数の冊子を作成する場合であっても後加工機での再調整を必要としない印刷データを管理コストや操作の作業量の増大を招くことなく生成することができる。
【0023】
本発明の第2の局面によれば、取得されたレイアウト情報で特定される周辺領域のサイズを考慮しつつ、第2方向後加工基準位置を入稿データのページサイズに関わらず固定して、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの実際の配置位置を決定することができる。これにより、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0024】
本発明の第3の局面によれば、取得されたレイアウト情報で特定されるブリード領域および余白領域の少なくとも一方のサイズを考慮しつつ、第2方向後加工基準位置を入稿データのページサイズに関わらず固定して、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの実際の配置位置を決定することができる。これにより、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0025】
本発明の第4の局面によれば、作業者による入力操作を受け付けることにより取得されるレイアウト情報およびセル内配置規則に基づき、第2方向後加工基準位置を入稿データのページサイズに関わらず固定して、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの実際の配置位置を決定することができる。これにより、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0026】
本発明の第5の局面によれば、連続紙に印刷を行う印刷機に与えるべき印刷データを生成する場合において、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0027】
本発明の第6の局面によれば、枚葉紙に印刷を行う印刷機に与えるべき印刷データを生成する場合において、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0028】
本発明の第7の局面によれば、取得されたレイアウト情報がテンプレートとしてテンプレート保持部に保持され、入稿データのページサイズに関わらず、同一のテンプレートを使用することで、第2方向後加工基準位置を固定しつつ、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの実際の配置位置を決定することができる。これにより、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0029】
本発明の第8の局面によれば、入稿データのページサイズに関わらず、同一のレイアウト情報を使用することで、第2方向(用紙幅方向)における折り位置を固定しつつ、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの実際の配置位置を決定することができる。これにより、印刷後の単位印刷シートに折り加工が施される場合において、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0030】
本発明の第9の局面によれば、入稿データのページサイズに関わらず、同一のレイアウト情報を使用することで、第1および第2方向(用紙送り方向および用紙幅方向)における折り位置を固定しつつ、当該レイアウト情報が示すレイアウトおよび設定されたセル内配置規則に従って、印刷が実行される際の単位印刷シート上における各ページの第1および第2方向の実際の配置位置を決定することができる。これにより、印刷後の単位印刷シートに対し第1および第2方向における折り位置に基づき折り加工が施される場合すなわち折り加工としてクロス折りが施される場合において、本発明の第1の局面の効果と同様の効果が得られる。
【0031】
本発明の他の局面の効果については、本発明の上記局面の効果ならびに下記実施形態およびその変形例の効果についての説明から明らかであるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷データ生成装置を備える印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】上記第1の実施形態における印刷機であるインクジェット印刷装置の一構成例を示す模式図である。
【
図3】上記第1の実施形態における印刷データ生成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】上記第1の実施形態における印刷データ生成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】上記第1の実施形態における台割り設計画面の基本設計画面の一例を示す図である。
【
図6】上記第1の実施形態における台割り設計画面の詳細設計画面の一例を示す図である。
【
図7】上記第1の実施形態におけるセル内配置規則を設定するための入力操作を説明するための図である。
【
図8】上記第1の実施形態において設定されたセル内配置規則によるページ位置の調整を説明するための図である。
【
図9】上記第1の実施形態における全体面付け情報を模式的に示す図である。
【
図10】上記第1の実施形態における印刷データ生成処理のうち準備処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】上記第1の実施形態における印刷データ生成処理のうち入稿データ処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】上記第1の実施形態において生成される印刷データに基づく印刷後の折り加工を模式的に示す図である。
【
図13】上記第1の実施形態においてA5サイズの冊子のブック印刷とA6サイズの冊子のブック印刷とが工場内の1つのラインで行われる場合の入稿データ処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】上記第1の実施形態において生成される印刷データに基づく印刷出力の結果の一例を示す模式図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る印刷データ生成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】上記第2の実施形態においてA5サイズの冊子のブック印刷とA6サイズの冊子のブック印刷とが工場内の1つのラインで行われる場合の印刷データ生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
【
図18】従来の印刷データ生成方法における問題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお以下では、単位印刷シートやページのサイズに関し、用紙送り方向における長さを「縦サイズ」といい、用紙幅方向における長さを「横サイズ」という。縦サイズは第1方向長に相当し、横サイズは第2方向長に相当する。
【0034】
<1.第1の実施形態>
<1.1 印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷データ生成装置10を備える印刷システムの全体構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷対象のデータの生成・保持あるいは外部から送られる印刷対象のデータの保持を行うクライアントコンピュータ7と、印刷対象のデータを入稿データとして受け取り当該入稿データに対してRIP処理(ラスタライズ処理)などのデータ処理を施すことによって印刷データを生成する印刷データ生成装置10と、印刷データに基づきカラー印刷を実行する印刷機20と、印刷後の印刷用紙の折り加工や断裁等を行う後加工機30とによって構成されている。印刷機20は、印刷機本体220とそのコントローラ210とによって構成されている。クライアントコンピュータ7と印刷データ生成装置10と印刷機20と後加工機30とは、LANなどのネットワーク3によって通信可能に接続されている。なお、本実施形態における印刷機20は、ロール紙などの連続紙を用いた印刷(連帳印刷)を実行することのできるインクジェット印刷装置であるが、本発明において使用される印刷機はこれに限定されない。また、後加工機30は必ずしも、クライアントコンピュータ7、印刷データ生成装置10および印刷機20と通信可能に接続されている必要はない。
【0035】
図2は、本実施形態における印刷機20であるインクジェット印刷装置の一構成例を示す模式図である。上述したように、この印刷機20は、印刷機本体220とコントローラ210とによって構成されている。
【0036】
印刷機本体220は、基材である印刷用紙(例えばロール紙)22を供給する用紙送出部21と、印刷用紙22を印刷機構内部へと搬送するための第1の駆動ローラ23と、印刷機構内部で印刷用紙22を搬送するための複数個の支持ローラ24と、印刷用紙22の表面にインクを吐出して印刷を行う印字部25と、印刷後の印刷用紙22を乾燥させる乾燥部26と、印刷用紙22への印刷の状態を検査する検査部27と、印刷用紙22を印刷機構内部から出力するための第2の駆動ローラ28と、印刷後の印刷用紙22を巻き取る用紙巻取部29とを備えている。このように第1の駆動ローラ23と第2の駆動ローラ28とにより印刷用紙22は用紙送出部21から用紙巻取部29に向けて一定の搬送方向で搬送される。印字部25には、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),およびK(ブラック)のインクをそれぞれ吐出するC用インクジェットヘッド25c,M用インクジェットヘッド25m,Y用インクジェットヘッド25y,およびK用インクジェットヘッド25kが含まれている。
【0037】
なお、印刷用紙22の両面に印刷を行う場合は、
図2に示した印刷機構を公知の反転ユニットを介して2機連結する。この場合、第1の印刷機構が印刷用紙22の表面に印刷を行い、反転ユニットにより印刷用紙22の表裏を反転した後、第2の印刷機構が印刷用紙22の裏面に印刷を行う。
【0038】
コントローラ210は、以上のような構成の印刷機本体220の動作を制御する。コントローラ210に印刷出力の指示コマンドが与えられると、コントローラ210は、印刷用紙22が用紙送出部21から用紙巻取部29へと搬送されるよう、印刷機本体220の動作を制御する。そして、印刷用紙22の搬送過程において、まず印字部25内の各インクジェットヘッド25c,25m,25y,および25kからのインクの吐出による印字が行われ、次に乾燥部26によって印刷用紙22の乾燥が行われ、最後に検査部27によって印刷状態の検査が行われる。
【0039】
なお、ここではカラー印刷を行う印刷機20を例示したが、モノクロ印刷を行う印刷機が採用されている場合にも本発明を適用することができる。また、印字色はCMYKの4色に限定されず、グリーンおよびオレンジ等の特色を含んでいてもよい。また印刷方式はインクジェット印刷に限定されず、トナー方式、液体トナー方式などの印刷方式に置き換えてもよい。
【0040】
<1.2 印刷データ生成装置の構成>
<1.2.1 ハードウェア構成>
図3は、印刷データ生成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、印刷データ生成装置10は、本体11、補助記憶装置12、光ディスクドライブ13、表示部14、キーボード15、およびマウス16などを備えている。本体11は、CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、およびネットワークインタフェース部117を含んでいる。CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、およびネットワークインタフェース部117は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部113には補助記憶装置12が接続されている。第2ディスクインタフェース部114には光ディスクドライブ13が接続されている。表示制御部115には、表示部(表示装置)14が接続されている。入力インタフェース部116には、キーボード15およびマウス16が接続されている。ネットワークインタフェース部117にはネットワーク3が接続されている。補助記憶装置12は磁気ディスク装置などである。光ディスクドライブ13には、DVD(Digital Versatile Disc)またはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク17が挿入される。表示部14は液晶ディスプレイなどである。表示部14は、作業者が所望する情報を表示するために使用される。キーボード15およびマウス16は、この印刷データ生成装置10に対して作業者が指示を入力するために使用される。
【0041】
補助記憶装置12には、入稿データから印刷データを生成する処理(印刷データ生成処理)を実行するための印刷データ生成プログラム18が格納されている。CPU111は、補助記憶装置12に格納された印刷データ生成プログラム18をメモリ112に読み出して実行することにより、印刷データ生成装置10の各種機能を実現する。メモリ112は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含んでいる。メモリ112は、補助記憶装置12に格納された印刷データ生成プログラム18をCPU111が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、印刷データ生成プログラム18は、上記DVD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一過性の記録媒体)に格納されて提供される。すなわち、ユーザは、例えば、印刷データ生成プログラム18の記録媒体としての光ディスク17を購入して光ディスクドライブ13に挿入し、光ディスク17から印刷データ生成プログラム18を読み出して補助記憶装置12にインストールする。また、これに代えて、ネットワーク3を介して送信される印刷データ生成プログラム18をネットワークインタフェース部117で受信して、それを補助記憶装置12にインストールするようにしてもよい。
【0042】
<1.2.2 機能構成>
図4は、本実施形態における印刷データ生成装置10の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、印刷データ生成装置10は、機能的には、台割りテンプレート生成部41と台割りテンプレート保持部42と印刷ジョブデータ生成部43と印刷ジョブデータ保持部44と全体面付け情報生成部45とラスタライズ処理部46とを備えている。
【0043】
台割りテンプレート生成部41は、上述した台割りの設計を行うための操作画面である台割り設計画面を表示部14に表示し、作業者による台割り設計画面での操作(すなわち設計内容)に基づいて台割りテンプレートDtを生成する。本実施形態においては、台割り設計画面は、
図5に示すような基本設計画面5と
図6に示すような詳細設計画面6とによって構成されている。基本設計画面5と詳細設計画面6とは、例えば、画面の端部に設けられたタブ(
図5および
図6では不図示)を選択することによって切り替えられる。なお、単位印刷シートPのシートサイズについては予め別の画面で指定されるものとする。
【0044】
基本設計画面5には、
図5に示すように、最大ページサイズを選択するためのドロップダウンリスト51と、ページの向きを選択するためのドロップダウンリスト52と、各種の詳細な設定を行うためのページ設定ボタン53と、折りカタログを選択するためのドロップダウンリスト54と、単位印刷シートPの表面のレイアウトを示す表面レイアウト表示領域56と、単位印刷シートPの裏面のレイアウトを示す裏面レイアウト表示領域57と、設定内容を確定するためのOKボタン58と、設定内容をキャンセルするためのCANCELボタン59とが含まれている。なお、単位印刷シートPのシートサイズは予め指定されているので、ドロップダウンリスト51で最大ページサイズが選択され且つドロップダウンリスト52でページの向きが選択されると、用紙幅方向に配置されるページの数(以下「用紙幅方向ページ数」という)が決まる。以下では、用紙幅方向ページ数は用紙幅方向に配置される表裏の両面のページ数を意味するものとする。
図5に示す例では用紙幅方向ページ数は6である。また、折りカタログとは、印刷後に折り加工を行う際の折り方のパターンを定義したものである。ドロップダウンリスト54からはプリプレス・プレス・ポストプレスの工程統合管理のための国際標準化団体であるCIP4が定めた規格に準拠した折りカタログを選択することが可能となっている。ドロップダウンリスト54で折りカタログが選択されると、選択された折りカタログで用紙幅方向ページ数が特定されることになる。選択された折りカタログで特定される用紙幅方向ページ数が、ドロップダウンリスト51で選択された最大ページサイズにより決まる用紙幅方向ページ数と一致しない場合には、選択された折りカタログで特定される用紙幅方向ページ数が優先され、当該用紙幅方向ページ数とシートサイズに基づき最大ページサイズが算出される。
【0045】
台割りテンプレートDtを新規に作成するために基本設計画面5が表示された直後には、ページサイズおよびページの向きは選択されてない状態となっており(但し、デフォルト設定がされていてもよい)、かつ、表面レイアウト表示領域56および裏面レイアウト表示領域57の単位印刷シートP内にはページが全く配置されていない状態となっている。この状態において、作業者は、ドロップダウンリスト51から最大ページサイズを選択し、ドロップダウンリスト52からページの向きを選択する。なお、ドロップダウンリスト51から選択可能な各ページサイズの情報は、縦サイズの情報と横サイズの情報とからなる。例えば、ページの向きが縦の場合、ページサイズがA5であるという情報には、縦サイズが210mmであるという情報と横サイズが148mmであるという情報とが含まれている。作業者は、ドロップダウンリスト51から選択することのできるページサイズ以外のページサイズを指定したい場合には、ページ設定ボタン53を押下してページサイズとして縦サイズおよび横サイズを指定することができる。なお、ドロップダウンリスト51から選択される最大ページサイズ(ページ設定ボタン53を押下して指定されるサイズも含む)は、1ページ分の領域として割り当てることを許容する最大の領域を表すサイズである。換言すれば、作成中の台割りテンプレートDtを用いて印刷ジョブデータDjを生成することが認められる入稿データDinの最大ページサイズが、ドロップダウンリスト51から選択される。以上のようにして基本設計画面5でページサイズが指定されることにより、単位印刷シートPに配置されるページの縦サイズおよび横サイズの最大値が定まる。ここで選択されるページサイズは、単位印刷シートPのシートサイズと単位印刷シートPに割り付けるページの数とに基づいて1ページ分の領域として割り当てることを許容する最大の領域を表すサイズであることが望ましいが、必ずしもこれに限られるわけではない。
【0046】
最大ページサイズおよびページの向きの選択後、作業者は、ドロップダウンリスト54から折りカタログを1つ選択し、ドロップダウンリスト54の領域から表面レイアウト表示領域56へのドラッグ・アンド・ドロップの操作を行う。例えば、折りカタログ「F6-1」が選択されると、基本設計画面5は、
図5に示すように、表面レイアウト表示領域56の単位印刷シートP内に3つのページが配置されると共に、裏面レイアウト表示領域57の単位印刷シートP内に3つのページが配置された状態となる。
図5に示す単位印刷シートP内において、実線の矩形はページ領域を示し、点線の矩形はページ領域にブリード領域(塗り足し領域)を加えた領域(以下「ブリード付きページ領域」という)を示している(後述の
図6、
図8、
図9、
図17においても同様)。また、矩形のページ領域内の数字は当該ページの番号を示している。すなわち
図5において、表面レイアウト表示領域56は、単位印刷シートPの表面に5ページ目、4ページ目、1ページ目が(図の左から右へと)順に配置されることを示し、裏面レイアウト表示領域57は、単位印刷シートPの裏面に2ページ目、3ページ目、6ページ目が(図の左から右へと)順に配置されることを示している。また、これら表面レイアウト表示領域56および裏面レイアウト表示領域57の組み合わせにより、1ページ目の裏面が2ページ目であり、4ページ目の裏面が3ページ目であり、5ページ目の裏面が6ページ目であることを示している。なお、ページ領域に付加される周辺領域は「ブリード領域(塗り足し領域)」に限定されず、「余白領域(画像が載らない付加的領域)」であってもよい。本実施形態では、周辺領域としてブリード領域がページ領域の周辺に付加される例をとって説明する。周辺領域としてブリード領域の代わりに、またはブリード領域に加えて余白領域のサイズが指定可能であってもよい。
【0047】
詳細設計画面6には、
図6に示すように、単位印刷シートPの幅(横サイズ)を指定するためのテキストボックス61と、単位印刷シートPの高さ(縦サイズ)を指定するためのテキストボックス62と、ページの上下左右に設けられるブリード領域(塗り足し領域)のサイズを指定するためのテキストボックス63U、63D、63L、および63Rと、所定の基準位置(本実施形態においては、当該基準位置は単位印刷シートPの左下座標であると仮定する)からページ配置領域までの距離を特定する「X方向およびY方向のオフセット」を指定するためのテキストボックス64Xおよび64Yと、許容される最大サイズのページ領域(以下「当初セル」または単に「セル」という)内における実際のページの配置に関する規則であるセル内配置規則を設定するためのドロップダウンリストと、単位印刷シートPの表面のレイアウトを示す表面レイアウト表示領域66と、単位印刷シートPの裏面のレイアウトを示す裏面レイアウト表示領域67と、設定内容を確定するためのOKボタン68と、設定内容をキャンセルするためのCANCELボタン69とが含まれている。なお、セル内配置規則を設定するためのドロップダウンリストは、ノド/小口方向(以下「左右方向」ともいう)の配置規則を選択するためのドロップダウンリスト65aおよび天/地方向(以下「天地方向」ともいう)の配置規則を選択するためのドロップダウンリスト65bからなる。このセル内配置規則は、許容される最大サイズの各ページ領域における印刷領域に相当する実際のページの位置を定性的に指定するものであり、これらの詳細は後述する。
【0048】
台割りテンプレートDtを新規に作成するために詳細設計画面6が表示された直後(基本設計画面5から詳細設計画面6に遷移した直後)には、シートサイズは予め指定されたサイズとなっており、ブリード領域のサイズおよびオフセットは指定されていない状態となっており(但し、デフォルト設定がされていても良い)、セル内配置規則も設定されていない状態となっている(但し、デフォルト設定がされていても良い)。表面レイアウト表示領域66の表示状態は直前の表面レイアウト表示領域56の表示状態と同じになっており、裏面レイアウト表示領域67の表示状態は直前の裏面レイアウト表示領域57の表示状態と同じになっている。この状態において、作業者は、ブリード領域のサイズの指定(テキストボックス63U、63D、63L、および63Rへの値の入力)、オフセットの指定(テキストボックス64Xおよび64Yへの値の入力)、ドロップダウンリスト65aからの左右方向(ノド/小口方向)の配置規則の選択、および、ドロップダウンリスト65bからの天地方向(天/地方向)の配置規則の選択を行う。
図7に示すように、左右方向(ノド/小口方向)については、「ノド寄せ」、「小口寄せ」、「中心寄せ」のいずれかを配置規則として選択することができ、天地方向(天/地方向)については、「天寄せ」、「地寄せ」、「中心寄せ」のいずれかを配置規則として選択することができる。なお、左右方向の配置規則としての「ノド寄せ」、「小口寄せ」、「中心寄せ」は、冊子の左右方向に関し、“冊子の綴じ側の余白に接するように配置すること”、“冊子の綴じ側と反対側の切り口(小口)に接するように配置すること”、“冊子の中心部に配置すること”をそれぞれ意味し、天地方向の配置規則としての「天寄せ」、「地寄せ」、「中心寄せ」は、冊子の天地方向に関し、“冊子の上端(天)に接するように配置すること”、“冊子の下端(地)に接するように配置すること”、“冊子の中心部に配置すること”をそれぞれ意味する。
【0049】
なお、上記では、テキストボックス63U、63D、63L、および63Rからブリード領域のサイズが、テキストボックス64Xおよび64Yからブリード領域のオフセットの量がそれぞれ指定された。しかし、余白領域のサイズやオフセットの量を指定するボックスが、これらのボックス63U,63D,63L、63R、64Xおよび64Yに代えて、またはこれらのボックス63U,63D,63L、63R、64Xおよび64Yに加えて、設けられていてもよい。
【0050】
ここで、
図8を参照しつつ、単位印刷シートP上における各ページの配置位置について説明する。上記のようにして生成された台割りテンプレートDtは、単位印刷シートPにおいて
図8(A)に示すようなページ配置を示している。このページ配置は、予め指定されたシートサイズならびに基本設計画面5と詳細設計画面6で選択または指定された折りカタログ等のレイアウト情報(
図5、
図6参照)を使用するという条件の下でページサイズが最大となるページ配置である。このページ配置では、まず、単位印刷シートP上に配置されるページ領域のうち
図8(A)で最も左側に配置されるページの左下座標C1が、詳細設計画面6のテキストボックス64Xおよび64Yで指定されたオフセットに基づいて定められる。
図6に示す例の場合、上記左下座標C1は、基準位置(単位印刷シートPの左下座標)C0からX軸方向に10mmかつY軸方向に20mmだけ離れた位置の座標である。次に、単位印刷シートPの幅(詳細設計画面6のテキストボックス61の値)と上記左下座標C1と単位印刷シートPに配置されるページの数(用紙幅方向ページ数)とブリード領域のサイズ(詳細設計画面6のテキストボックス63U,63D,63L,63Rの値)に基づいて、許容される最大ページサイズのページ領域が配置されるよう、当該単位印刷シートPに配置されるべき各ページ領域(
図8に示す例では5ページ目と4ページ目と1ページ目のそれぞれ)の配置位置が決定されると共に、当該単位印刷シートPを折り丁とするときの折り線71-1,71-2の用紙幅方向における位置(以下「折り位置」という)が決定される。
【0051】
なお、
図6および
図7に示す例では、セル内配置規則としてノド/小口方向につき「ノド寄せ」が、天/地方向につき「地寄せ」がそれぞれ選択されている。この場合、入稿データDinのページサイズ(以下「実ページサイズ」という)が上記最大ページサイズよりも小さいときには、当該単位印刷シートPに面付けすべき各ページの実際の配置位置は、
図8(B)に示すようになる。この実際の配置位置に対応する折り位置は、実ページサイズによっては変更されず、後述の台割りテンプレートDtの示す折り位置と同じである(
図8(A)(B)参照)(詳細は後述)。
【0052】
基本設計画面5のOKボタン58もしくは詳細設計画面6のOKボタン68が押下されると、台割り設計画面(基本設計画面5、詳細設計画面6)での設定内容に基づく台割りテンプレートDtが生成され、当該台割りテンプレートDtは台割りテンプレート保持部42に格納される。すなわち、台割りテンプレート保持部42は、台割りテンプレート生成部41によって生成されたレイアウト情報を台割りテンプレートDtとして保持する。
【0053】
印刷ジョブデータ生成部43は、入稿データDinと当該入稿データDinに対応する台割りテンプレートDtと部数(入稿データDinの印刷部数)の情報Dcとに基づいて、1つの印刷ジョブの実行に必要な一群のデータである印刷ジョブデータDjを生成する。印刷ジョブデータDjは、入稿データDinと、部数の情報Dcを含む各種情報と、印刷機20で印刷が実行される際の単位印刷シートP上における各ページの実際の配置位置を特定する台割り情報とによって構成される。
【0054】
ところで、本実施形態に係る印刷システムでは、従来とは異なり、ページサイズ毎に台割りテンプレートDtを用意することは想定されていない。或る1つのシートサイズの単位印刷シートPに着目すると、典型的には、当該単位印刷シートPにおいて用紙幅方向に配置されるページの数(かず)別すなわち用紙幅方向ページ数別に台割りテンプレートDtが用意される。入稿データDinにラスタライズ処理を施して印刷データDprを生成するためには、台割りテンプレートDtで定められている各ページ領域(最大サイズのページ領域)のどの部分に入稿データDinを構成するページを配置すべきであるのかを特定した情報が必要となる。この情報が、上述した台割り情報である。すなわち、印刷ジョブデータ生成部43は、入稿データDinと当該入稿データDinに対応する台割りテンプレートDtとに基づいて、印刷機20で印刷が実行される際の単位印刷シートP上における各ページの実際の配置位置を決定し、その配置位置の情報を台割り情報として生成する。なお本実施形態では、レイアウト情報としての台割りテンプレートDtに、詳細設計画面(
図6)で選択されたセル内配置規則が設定されているが、台割りテンプレートDtにセル内配置規則が設定されない構成(セル内配置規則の情報が含まれない構成)であってもよい(後述の変形例参照)。
【0055】
ここで、入稿データDinおよび台割りテンプレートDtに基づき実際のページの配置位置がどのように決定されるのかについて説明する。なお、既述のように台割りテンプレートDtは、ページサイズが最大の場合の単位印刷シートPにおける各ページ領域の配置を示しているので、入稿データDinに含まれるページの横サイズは台割りテンプレートDtで指定されている横サイズよりも短いことが多い。この場合、入稿データDinの各ページを、台割りテンプレートが示す複数のページ領域である複数のセルのうち当該ページに対応するセルにおけるどの位置に配置するかを、折り位置(
図8に示す第1および第2折り線71-1,71-2の左右方向における位置)を変更することなく、台割りテンプレートDtに設定されたセル内配置規則に基づき、入稿データDinのページサイズに応じて決定される。
図6および
図7に示す例では、セル内配置規則としてノド/小口方向につき「ノド寄せ」が、天/地方向につき「地寄せ」がそれぞれ選択されている。このため、この例では、1ページ目のブリード付きページ領域と4ページ目のブリード付きページ領域とが、第2折り線71-2で互いに接し、かつ、当該単位印刷シートPにおける最大サイズのブリード付きページ領域の下端と接するように、配置される。また、5ページ目のブリード付きページ領域は、第1折り線71-1に関し4ページ目のブリード付きページ領域と対称となる位置に配置される(すなわち5ページ目のブリード付きページ領域は、それに対応するセルの左端に接するように配置される)。以上のように、実ページサイズ(入稿データDinのページサイズ)が台割りテンプレートDtが示す最大サイズよりも小さい場合には、入稿データDinにおける各ページが、折り位置(第1および第2折り線71-1,71-2の位置)を変更することなく、実ページサイズに基づきセル内配置規則に従って、対応するセル内に配置される。
【0056】
印刷ジョブデータ保持部44は、印刷ジョブデータ生成部43によって生成された印刷ジョブデータDjを保持する。全体面付け情報生成部45は、印刷ジョブデータDjに含まれる入稿データDinと部数の情報Dcと台割り情報(各ページの配置位置の情報)とに基づいて、入稿データDinに含まれる全てのページの面付けレイアウトを示す全体面付け情報Dlyを生成する。全体面付け情報Dlyは、模式的には
図9に示すような情報のうちの冊子1部に相当する各ページのレイアウトを示す情報、すなわち、それによって冊子1部についての印刷用紙上における全ページの配置位置を把握することのできる情報である。なお、
図9には、図示の便宜上、入稿データが12ページのデータであって印刷部数が6部である場合の例が示されている。
【0057】
本実施形態においては、ラスタライス処理部46および全体面付け情報生成部45によって、台割り情報に基づき入稿データDinを印刷データDprに変換するデータ変換部が実現されている。すなわちラスタライズ処理部46は、全体面付け情報生成部45によって生成された全体面付け情報Dlyに基づいて印刷ジョブデータDjに含まれる入稿データDinにラスタライズ処理を施すことにより、印刷対象を表すビットマップ形式のデータである印刷データDprを生成する。この印刷データDprが印刷機20に送られることにより、印刷機20において印刷データDprに基づく印刷出力が実行される。なお、印刷データDprについては、印刷機20に送られる前に必要に応じてデータ形式の変換が施される。
【0058】
本実施形態においては、台割りテンプレート生成部41によってレイアウト情報取得部が実現され、印刷ジョブデータ生成部43によってページ配置決定部が実現されている。なお本実施形態において、表示部14、キーボード15、およびマウス16と、印刷データ生成プログラム18のうち台割り設計画面(
図5、
図6参照)に関連する部分とにより、台割り設計のための作業者による入力操作を受け付ける操作部が台割りテンプレート生成部41の構成要素として実現されている。またこの操作部に、セル内配置規則を指定するための入力操作を受け付けることによりセル内配置規則を設定する配置規則設定部も含まれている(
図6に示すドロップダウンリスト65a,65b参照)。したがって本実施形態では、レイアウト情報取得部だけでなく配置規則設定部412も台割りテンプレート生成部41によって実現されている(
図4参照)。
【0059】
<1.3 処理手順>
次に、本実施形態における印刷データ生成処理の手順について説明する。本実施形態における印刷データ生成処理は、準備処理と入稿データ処理から構成されている。
図10は準備処理の手順を示すフローチャートであり、
図11は入稿データ処理の手順を示すフローチャートである。
【0060】
図10に示すように準備処理では、まず、作業者による台割り設計画面(基本設計画面5、詳細設計画面6)を用いた台割りの設計が行われる(ステップS100)。なお、このステップS100の処理は、印刷データDprを生成する際に毎回行う必要があるわけではない。
図11の後述のステップS120で新たに受け取るべき入稿データDinに対する用紙幅方向ページ数(以下「新規用紙幅方向ページ数」という)が、以前に受け取ったいずれかの入稿データに対する用紙幅方向ページ数(以下「従前用紙幅方向ページ数」という)と同じ場合には、このステップS100の処理は不要である。当該新たに受け取った入稿データDinに対応する台割りテンプレートDtが台割りテンプレート保持部42に既に保持されているからである。
【0061】
次に、印刷対象の入稿データDinに応じて後加工機30の位置調整が行われる(ステップS110)。このステップS110では、印刷対象の入稿データDinに対応する台割りテンプレートDtを用いてテスト用の印刷ジョブデータが生成され、当該テスト用の印刷ジョブデータに基づく印刷出力が行われる。そして、その印刷出力の結果物である印刷済みの印刷用紙を用いて、後加工機30の位置調整(具体的には、折り丁を作成するための折り機による折り位置の調整)が行われる。この位置調整により
図10の準備処理が終了する。なお、後加工機30の位置調整に印刷済みの印刷用紙が用いられる理由は、印刷用紙上の実際の印刷位置を確認しつつ折り機による折り位置を正確に調整する必要があるためである。ただし、新規用紙幅方向ページ数が直前の入稿データに対する用紙幅方向ページ数と同じ場合には、このステップS110の処理は省略してもよい
【0062】
図11の入稿データ処理では、まず、印刷対象のデータの入稿が行われる(ステップS120)。詳しくは、例えばクライアントコンピュータ7に保持されている印刷対象のデータが入稿データDinとして印刷データ生成装置10に与えられる。その際、部数(入稿データDinの印刷部数)の情報Dcも与えられる。なお、入稿データDinは、例えばPDF(Portable Document Format)形式のデータである。
【0063】
次に、入稿データDinに基づく印刷ジョブの実行に必要な印刷ジョブデータDjが生成される(ステップS130)。印刷ジョブデータDjは、ステップS120で印刷データ生成装置10に与えられた入稿データDinおよび部数の情報Dcと、ステップS100で生成され入稿データDinに対応する台割りテンプレートDtとに基づいて生成される。
【0064】
次に、印刷機20で印刷されるべき全ページの面付けレイアウトを示す全体面付け情報Dlyが生成される(ステップS140)。全体面付け情報Dlyは、ステップS130で生成された印刷ジョブデータDjに基づいて(詳しくは、ステップS120で印刷データ生成装置10に与えられた入稿データDinおよび部数の情報Dcと、ステップS130で生成された台割り情報とに基づいて)生成される。
【0065】
次に、ステップS140で生成された全体面付け情報Dlyに基づいて入稿データDinにラスタライズ処理(RIP処理)が施される(ステップS150)。その結果、印刷対象を表すビットマップ形式のデータである印刷データDprが生成される。これにより、
図11の入稿データ処理が終了し、印刷データ生成処理も終了する。
【0066】
なお、上記のような印刷データ生成処理で生成された印刷データDprは印刷機20に送られ、印刷機20で印刷が実行される。その後、印刷済みの印刷用紙が後加工機30に送られ、その後加工機30内の折り機で、
図12に示すように、当該印刷用紙を搬送しつつ折り加工が当該印刷用紙に施される。すなわち、
図12において矢印で示すように、第1折り線71-1の位置で谷折り形態の折り加工を、第2折り線71-2の位置で山折り形態の折り加工をそれぞれ施す。このようにして本実施形態では、第1および第2折り線71-1,71-2に基づくいわゆる“Z折り”を行うが、本発明で前提とされる折り加工は、
図12に示すような“Z折り”に限定されない。
【0067】
本実施形態においては、ステップS100によってレイアウト情報取得ステップおよび配置規則設定ステップが実現され、ステップS130によってページ配置決定ステップが実現され、ステップS140およびステップS150によってデータ変換ステップが実現されている。
【0068】
<1.4 運用例>
次に、
図10および
図13を参照しつつ、A5サイズの冊子のブック印刷とA6サイズの冊子のブック印刷とが工場内の1つのラインで行われる場合の印刷データ生成処理の手順について説明する。
【0069】
本運用例では、A5サイズの冊子のブック印刷とA6サイズの冊子のブック印刷のいずれにおいても用紙幅方向ページ数は6(片面のページ数は3)であるものとする。このため、まず、
図10に示す既述の準備処理により、
図8(A)に示すようなページ配置の台割りテンプレートDtが作成され(ステップS100)、その台割りテンプレートDtが示す第1および第2折り線71-1,71-2に基づき後加工機30の位置調整(折り機による折り位置の調整)が行われる(ステップS110)。
【0070】
上記準備処理で生成された台割りテンプレートDtは台割りテンプレート保持部42に保持されており、本運用例では、この状態で、
図13に示すような入稿データ処理が行われる。この入稿データ処理では、A5サイズの冊子のブック印刷のための印刷データの生成処理とA6サイズの冊子のブック印刷のための印刷データの生成処理とが連続的に行われる。
【0071】
すなわち、本運用例における入稿データ処理では、まず、A5サイズの冊子を印刷するためのデータの入稿が行われる(ステップS220)。その後、上述したステップS130~S150と同様にして、印刷ジョブデータDjの生成(ステップS230)、全体面付け情報Dlyの生成(ステップS240)、およびラスタライズ処理(ステップS250)が行われる。
【0072】
次に、A6サイズの冊子を印刷するためのデータの入稿が行われる(ステップS260)。その後、上述したステップS130~S150と同様にして、印刷ジョブデータDjの生成(ステップS270)、全体面付け情報Dlyの生成(ステップS280)、およびラスタライズ処理(ステップS290)が行われる。
【0073】
以上の処理で生成された印刷データDprは印刷機20に送られて、印刷機20において印刷データDprに基づく印刷出力が実行される。印刷出力の結果は、模式的には例えば
図14に示すようなものとなる。
図14に示すように、各列(用紙幅方向に並ぶ3つのページからなるページ列)について、A5サイズのページが配置された単位印刷シートにおける第1および第2折り線71-2,71-2とA6サイズのページが配置された単位印刷シートにおける第1および第2折り線71-2,71-2とがそれぞれ一致している。換言すれば、A5サイズとA6サイズとで単位印刷シートの折り位置が一致している。したがって、冊子の作成のために印刷後の印刷用紙の折り加工が後加工機30内の折り機で行われる際、A5サイズの冊子の処理とA6サイズの冊子の処理との間に折り機による折り位置の再調整は不要である。
【0074】
<1.5 効果>
本実施形態によれば、入稿データDinのページサイズ(横サイズ)が台割りテンプレートDtで指定されているページサイズ(横サイズ)すなわち許容される最大サイズ(横サイズ)よりも小さいときに、印刷が行われる際の単位印刷シートP上における各ページの実際の配置位置が、台割りテンプレートDtで定められている折り線の位置を固定しつつセル内配置規則に従い入稿データDinのページサイズに応じて縮小することによって得られる領域に定められる。したがって、同じ台割りテンプレートDtが用いられている限り、印刷後の単位印刷シートPにおける折り位置(折り線の位置)は同じ位置となる。それ故、ページサイズの異なる複数の冊子を印刷するための印刷データDprを同一の台割りテンプレートDtに基づいて生成することによって、複数の冊子のための後加工としての折り加工の作業を途中で後加工機30の再調整を要することなく行うことが可能となる。また、複数のページサイズに対して1つの台割りテンプレートDtを用意すれば足りるので、管理コストが低減される。以上のように、本実施形態によれば、複数の冊子を作成する場合であっても後加工機での再調整(折り機による折り位置の再調整)を必要としない印刷データを管理コストや操作の作業量の増大を招くことなく生成することができる。
【0075】
<2.第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり台割りテンプレートDtが使用されない。なお、印刷システムの全体構成および印刷データ生成装置10のハートウェア構成については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0076】
<2.1 印刷データ生成装置の機能構成>
図15は、本実施形態における印刷データ生成装置10の機能構成を示すブロック図である。
図15に示すように、印刷データ生成装置10は、機能的には、印刷ジョブデータ生成部83と印刷ジョブデータ保持部84と全体面付け情報生成部85とラスタライズ処理部86とを備えている。印刷ジョブデータ生成部83には、新規生成部832と複製利用部834とが含まれている。
【0077】
印刷ジョブデータ保持部84、全体面付け情報生成部85、およびラスタライズ処理部86は、それぞれ、第1の実施形態における印刷ジョブデータ保持部44、全体面付け情報生成部45、およびラスタライズ処理部46と同様の動作を行う。
【0078】
印刷ジョブデータ生成部83内の新規生成部832は、印刷ジョブデータDjを新規に生成する。詳しくは、新規生成部832は、例えば第1の実施形態における台割り設計画面と同様の画面を表示部14に表示し、作業者による台割り設計の操作を受け付ける。その操作内容と入稿データDinと部数の情報Dcとに基づいて、新規生成部832は第1の実施形態と同様の印刷ジョブデータDjを生成する。なお、本実施形態においては、台割りの設計内容がテンプレートとして保持されることはない。
【0079】
印刷ジョブデータ生成部83内の複製利用部834は、印刷ジョブデータ保持部84に保持されている印刷ジョブデータDjの複製物を作成し、印刷対象を新たな入稿データDinに入れ替えた印刷ジョブデータDjを生成する。この際、上記複製物を構成する入稿データDinのページサイズと新たな入稿データDinのページサイズとが異なれば、第1の実施形態と同様、単位印刷シートPにおける折り位置(折り線の用紙幅方向における位置)を固定しつつセル内配置規則に従い、印刷機20で印刷が実行される際の単位印刷シートP上における各ページの実際の配置位置が決定される(
図8参照)。このように本実施形態においては、作業者は、既存の印刷ジョブデータDjを基にして、折り位置を含む設定情報を維持したまま印刷対象の入稿データDinを入れ替えた新たな印刷ジョブデータDjの作成を行うことができる。
【0080】
<2.2 運用例>
次に、
図16を参照しつつ、A5サイズの冊子のブック印刷とA6サイズの冊子のブック印刷とが工場内の1つのラインで行われる場合の印刷データ生成処理の手順について説明する。
【0081】
この運用例では、まず、最大ページサイズをA5として(
図5に示すような基本設計画面5におけるドロップダウンリスト51で「A5」を選択)、台割りの設計が行われる。この台割りの設計はレイアウト情報の取得に相当する。その後、その設計内容と入稿データDinと部数の情報Dcとに基づいて印刷ジョブデータDjが生成される(ステップS300)。
【0082】
次に、ステップS300で生成された印刷ジョブデータDjを用いてテスト用の印刷ジョブデータが生成され、当該テスト用の印刷ジョブデータに基づく印刷出力の結果物(印刷済みの印刷用紙)用いて後加工機30の位置調整(折り機による折り位置の調整)が行われる(ステップS310)。その後、第1の実施形態におけるステップS140~S150(
図11参照)と同様にして、全体面付け情報Dlyの生成(ステップS320)およびラスタライズ処理(ステップS330)が行われる。
【0083】
次に、ステップS300で生成された印刷ジョブデータDjの複製が行われ、当該印刷ジョブデータDjで特定される折り位置を変えることなく印刷ジョブデータDjに設定されたセル内配置規則に従って印刷対象をページサイズがA6である入稿データDinに入れ替えた印刷ジョブデータDjが生成される(ステップS340)。その後、第1の実施形態におけるステップS140~S150と同様にして、全体面付け情報Dlyの生成(ステップS350)およびラスタライズ処理(ステップS360)が行われる。
【0084】
以上の処理で生成された印刷データDprは印刷機20に送られて、印刷機20において印刷データDprに基づく印刷出力が実行される。第1の実施形態と同様、本実施形態においても、印刷出力の結果は模式的には例えば
図14に示すようなものとなる。したがって、冊子の作成のために印刷用紙の折り加工が後加工機30で行われる際、A5サイズの冊子の処理とA6サイズの冊子の処理との間に後加工機30の再調整(折り機による折り位置の再調整)は不要である。
【0085】
<2.3 効果>
本実施形態によれば、印刷ジョブデータDjを生成する際に台割りテンプレートDtが使用されない場合でも第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
<3.その他の実施形態および変形例など>
上記第1および第2の実施形態では、単位印刷シートPには、用紙幅方向に並ぶ複数ページからなる1つのページ列のみが配置されるが(
図5~
図8参照)、連続紙としての印刷済み印刷用紙が単位印刷シートに断裁された後に折り加工が施されるように後加工機30が構成されている場合や、単位印刷シートとしての枚葉紙に印刷が行われる場合には、単位印刷シートに複数のページ列が配置されていてもよく、この場合においても本発明の適用が可能である。この場合、後加工機30が印刷後の単位印刷シートに対しクロス折り(Cross Folding)を施すように構成される。このような後加工機30が使用される場合、印刷データ生成装置10は、例えば
図17に示すように、単位印刷シートPにおいて、用紙送り方向(印刷用紙の搬送方向)に延びる折り線71-1,71-2だけでなく用紙幅方向に延びる折り線72-1,72-2を設定し、これらの折り線の位置(折り線71-1,71-2の用紙幅方向における位置、および、折り線72-1,72-2の用紙送り方向における位置)を固定しつつ、レイアウト情報としての台割りテンプレートDtで特定されるレイアウトおよびセル内配置規則に従い、入稿データDinにおける各ページの実際の配置位置を決定するように構成すればよい。
【0087】
また、上記第1および第2の実施形態では、印刷後の単位印刷シートPに対する後加工として折り加工を例に挙げて説明しており、後加工基準位置として折り位置がレイアウト情報により特定されるが、この折り位置に代えて又は折り位置と共に他の後加工のための後加工基準位置がレイアウト情報で特定されるように構成されていてもよい。
【0088】
また、上記第1および第2の実施形態では、作業者による台割り設計画面(
図5、
図6)での操作に基づき台割りテンプレートDt等のレイアウト情報が取得され、このレイアウト情報には、単位印刷シートPにおける最大ページサイズの各ページ領域の配置位置や折り位置を示す情報だけでなく、セル内配置規則の設定を示す情報も含まれる。しかし、セル内配置規則の設定については、台割り設計画面における詳細設計画面6での入力操作(
図6に示すドロップダウンリスト65a,65bでの配置規則の選択のための操作)による設定に代えて、台割り設計のための操作部とは別に設けられた
図7に示すような操作画面を有する配置規則指定設定部での入力操作により設定されるようにしてもよい。
【0089】
また、上記第1および第2の実施形態では、作業者による台割り設計画面(
図5、
図6)での操作に基づき台割りテンプレートDt等のレイアウト情報が取得されるが、このレイアアウト情報の一部または全部が予め所定の記憶部に記憶されていて、印刷データ生成装置10は、その記憶部から当該レイアウト情報の一部または全部を読み出して取得するように構成されていてもよい。また、この場合、印刷データ生成装置10は、ネットワーク3を介して当該レイアウト情報の一部または全部を取得するように構成されていてもよい。
【0090】
また、上記第1および第2の実施形態では、ロール紙などの連続紙を用いた印刷を実行することのできるインクジェット印刷装置が使用されているが、本発明に係る印刷データ生成装置により生成される印刷データDprに基づき印刷を行う印刷機は、このような連続紙に印刷を行う印刷機に限定されるものではなく、オフセット印刷機であってもよいし、枚葉紙印刷機であってもよい。
【0091】
なお、以上で説明した実施形態や変形例を適宜に組み合わせた構成も、矛盾を生じず本発明の趣旨に反しない限り本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10…印刷データ生成装置
20…印刷機
30…後加工機(折り機を含む)
41…台割りテンプレート生成部
42…台割りテンプレート保持部
43,83…印刷ジョブデータ生成部
44,84…印刷ジョブデータ保持部
45,85…全体面付け情報生成部
46,86…ラスタライズ処理部
Din…入稿データ
Dc…部数の情報
Dt…台割りテンプレート
Dj…印刷ジョブデータ
Dly…全体面付け情報
Dpr…印刷データ
P…単位印刷シート