(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】無線通信システムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20220216BHJP
G08B 29/16 20060101ALI20220216BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20220216BHJP
H04H 20/59 20080101ALI20220216BHJP
H04H 20/02 20080101ALI20220216BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B29/16
H04M11/04
H04H20/59
H04H20/02
(21)【出願番号】P 2018042567
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 晋二
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164418(JP,A)
【文献】特開平03-171935(JP,A)
【文献】特開平09-162822(JP,A)
【文献】特開平11-154918(JP,A)
【文献】特開2013-236353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00-31/00
H04B 7/24- 7/26
H04H 20/00-20/46
20/51-20/86
20/91-40/27
40/90-60/98
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作卓と、
記憶装置を含む基地局と、
記憶装置を含む複数の中継局と、
スピーカーと電話機を含む
複数の屋外子局と、を具備し、
前記
複数の屋外子局の前記電話機
の内の一つから前記
基地局へ特番ダイヤルを用いた連絡通話が行われると、前記基地局の前記記憶装置に、前記屋外子局の前記電話機からの音声が録音され、
前記基地局の前記記憶装置に録音された前記音声は、
前記複数の中継局を介して前記複数の屋外子局の前記スピーカーから拡声通報され
、
前記複数の屋外子局の前記電話機の内の一つから前記中継局へ特番ダイヤルを用いた連絡通話が行われると、前記連絡通話を受けた前記中継局の前記記憶装置に、前記屋外子局の前記電話機からの音声が録音され、前記中継局の前記記憶装置に録音された前記音声は、前記中継局の信号が受信可能な前記屋外子局の前記スピーカーから拡声通報される、無線通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記連絡通話の終話から一定時間経過後に、前記基地局または前記中継局の前記記憶装置に録音された前記音声は前記屋外子局の前記スピーカーから拡声通報され、
前記連絡通話の終話から前記一定時間経過前に、前記基地局または前記中継局が取消特番による取消し指示を受けると、前記拡声通報を中止する、無線通信システム。
【請求項3】
屋外子局の電話機から
基地局または中継局へ特番ダイヤルを用いた連絡通話を行う工程と、
前記連絡通話を
前記基地局または
前記中継局で受信する工程と、
前記連絡通話が前記基地局への連絡通話であった場合に、
前記連絡通話の受信に基づいて、前記基地局の記憶装
置に、前記屋外子局の前記電話機からの音声を録音する工程と、
前記記憶装置に録音された音声を、
前記基地局から複数の中継局に送信する工程と、
前記複数の中継局が前記基地局から受信した音声を前記複数の屋外子局に送信する工程と、
前記中継局から受信した音声を前記屋外子局のスピーカーから拡声通報する工程と、
前記連絡通話が前記中継局への連絡通話であった場合に、
前記連絡通話の受信に基づいて、前記中継局の記憶装置に、前記屋外子局の前記電話機からの音声を録音する工程と、
前記記憶装置に録音された音声を、前記複数の屋外子局に送信する工程と、
前記中継局から受信した音声を前記屋外子局のスピーカーから拡声通報する工程と、
を含む無線通信システムの通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は無線通信システムに関し、特に、市町村防災無線同報系システム等の防災無線通信システムおよびその通信方法に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
市町村防災無線同報系システム等の防災無線通信システムでは、市役所や消防署などにユーザが操作する1台の操作卓と、無線通信用の電波を出力する1台の基地局と、その傘下の市内に、複数の中継局と、複数の子局と、が設けられて構成される。子局は、複数の屋外拡声子局や複数の戸別受信機などの受信装置で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011―182238号公報
【文献】特開2016―063462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作卓は、通常、大規模災害に耐えられる市役所や消防署などの建屋に納められているが、必ずしも市役所や消防署などの建屋が大規模災害に耐えられる保証がされているわけではない。大規模災害で、操作卓が使用不可能な状態になると、屋外拡声子局が無事であっても、防災無線システム全体が機能しなくなる可能性が考えられる。
【0005】
また、操作卓からの拡声通報が不可能な状態になったとき、拡声通報を行う手段として、屋外拡声子局からの自局放送がある。しかし、この方法は、当該屋外拡声子局の周辺地域のみしか、拡声通報の放送が出来ない。
【0006】
本発明の課題は、大規模災害等で操作卓が使用不可能な状態になった場合でも、屋外拡声子局から市内全域に拡声通報を実施可能な無線通信システムおよび通信方法を提供することにある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
すなわち、無線通信システムは、電話機を具備する操作卓と、記憶装置を含む基地局と、中継局と、スピーカーと電話機を含む屋外子局と、を具備する。前記屋外子局の前記電話機から前記操作卓の前記電話機へ特番ダイヤルを用いた連絡通信が行われると、前記基地局の前記記憶装置に、前記屋外子局の前記電話機からの音声が録音される。前記記憶装置に録音された前記音声は、前記屋外子局の前記スピーカーから拡声通報される。
【発明の効果】
【0010】
上記無線通信システムによれば、大規模災害等で操作卓が使用不可能な状態になった場合でも、屋外拡声子局から市内全域に拡声通報を実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に係る無線通信システムの構成例を説明するための図である。
【
図5】屋外拡声子局の構成例を示すブロック図である。
【
図6】実施例に係る無線通信システムの平常時における連絡通話の動作シーケンスを示す図である。
【
図7】実施例に係る無線通信システムの災害発生時における拡声通報の動作シーケンスを示す図である。
【
図8】実施例に係る無線通信システムの災害発生時における拡声通報の取り消しの動作シーケンスを示す図である。
【
図9】変形例に係る無線通信システムの災害発生時における拡声通報の動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例】
【0013】
図1は実施例に係る無線通信システムの構成例を説明するための図である。無線通信システム1は、市町村防災無線同報系システム等の防災無線通信システムの構成例を示している。無線通信システム1は、親局設備10と、中継局設備20と、子局設備30と、を含んで構成される。
【0014】
親局設備10は、操作卓11と、基地局12と、を含む。操作卓11は、例えば、大規模災害に耐えられる市役所や消防署などの建屋に納められている。基地局12は、例えば、操作卓11の納めされている建屋とは異なる場所に設けられた大規模災害に耐えられる建屋、あるいは、山頂等に設けられた大規模災害に耐えられる局舎等に納められる。このようにして、大規模災害時において、基地局12の生存率を向上させる工夫が施される。操作卓11と基地局12との間は、例えば、通信配線ケーブルCA等を用いた有線通信により接続される。なお、操作卓11と基地局12との間は、無線LAN等の無線通信により接続されても良い。
【0015】
操作卓11は、無線送受信装置としての基地局12に対して、子局設備30を起動するための起動信号を含む各種制御信号の送出や、操作員による緊急情報等の音声信号の送出等を行う。
【0016】
基地局12は、操作卓11からの起動信号を含む各種制御信号や緊急情報等の音声信号を受信し、複数の中継局21を含む中継設備20、複数の屋外拡声子局31および複数の戸別受信機32等の子局設備30に対して、起動信号を含む各種制御信号や、緊急情報等の音声信号の無線送信を行う。
【0017】
図1に示されるように、基地局12は無線送受信用のアンテナAT1を備えており、操作卓11から受信した制御信号や音声信号等を、アンテナAT1から中継局21に設けられた基地局通信用のアンテナAT2へ無線で送信する。中継局21は、アンテナAT2から受信した無線信号を、中継局21に設けられた子局通信用のアンテナAT3から無線で送信する。中継局21のアンテナAT3から送信された無線信号は、屋外拡声子局31のアンテナAT4、戸別受信機32のアンテナで受信される。
【0018】
また、屋外拡声子局31からの各種制御信号や音声信号の通信は、屋外拡声子局31のアンテナAT4から無線送信され、中継局21のアンテナAT3、中継局21のアンテナAT2、基地局12のアンテナAT1および通信配線ケーブルCAを経由して、操作卓11で受信される。
【0019】
すなわち、アンテナAT1とアンテナAT2との間、およびアンテナAT3とアンテナAT4との間は、無線送受信によって、相互の通信が可能である。
【0020】
図2は、操作卓11の構成例を示すブロック図である。
図3は、基地局12の構成例を示すブロック図である。
図4は、中継局21の構成例を示すブロック図である。
図5は、屋外拡声子局31の構成例を示すブロック図である。
【0021】
操作卓11は、
図2に示されるように、入出力部110と、制御部111と、基地局12との有線インターフェース部を構成する通信部112と、電話機113と、を備えている。操作卓11は、操作員が手動により配信情報を作成し放送等を行うためのものである。入出力部110は、操作員が入力するためのキーボード等の入力手段や、LCDディスプレイ等の表示出力手段を備える。制御部111は、入出力部110からの入力情報に基づき配信情報を作成し、また、通信部112に対して、複数の屋外拡声子局31および複数の戸別受信機32等の子局設備30に対して、起動するための起動信号を含む各種制御信号や、配信情報である音声信号の送出等を行う。制御部111は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)と制御部111の動作プログラム等を格納するメモリを備えており、制御部111内のCPUは、この動作プログラムに従って動作する。
【0022】
基地局12は、
図3に示されるように、制御部120と、操作卓11との有線インターフェース部としての通信部121と、記憶装置122と、アンテナAT1を有する無線部123と、を備える。無線部123は、中継局21と間の無線による送受信を行う。制御部120は、基地局12の動作全体を制御する。制御部120は、また、操作卓11で作成した配信情報に基づき配信情報を作成する。制御部120は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)を備えており、制御部120の動作プログラム等は記憶装置122に格納されている。制御部120内のCPUは、この動作プログラムに従って動作する。記憶装置122は、リードオンリメモリROM、ランダムアクセスメモリRAM、または、ROMとRAMとの組み合わせメモリ等を採用することが可能である。
【0023】
中継局21は、
図4に示されるように、制御部210と、アンテナAT2を有する無線部211と、記憶装置212と、アンテナAT3を有する無線部213と、を備える。無線部211は、基地局12との無線インターフェース部であり、無線部213は、複数の屋外拡声子局31および複数の戸別受信機32等の子局設備30と間の無線インターフェース部である。制御部210は、中継局21の動作全体を制御する。制御部210は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)を備えており、制御部210の動作プログラム等は記憶装置212に格納されている。制御部210内のCPUは、この動作プログラムに従って動作する。記憶装置212は、リードオンリメモリROM、ランダムアクセスメモリRAM、または、ROMとRAMとの組み合わせメモリ等を採用することが可能である。
【0024】
子局設備30の屋外拡声子局31は、
図5に示されるように、制御部310と、アンテナAT4を有する無線部311と、スピーカー313を有する拡声部312と、電話機314と、を備えている。制御部310は、屋外拡声子局31の動作全体を制御するとともに、親局設備10から送信された配信情報を音声信号に変換する。無線部311は、中継局21との無線インターフェース部であり、無線送受信を行う。拡声部312は、制御部310から出力される音声信号を増幅(拡声)する。スピーカー313は、拡声された音声信号を音声として出力する。制御部310は、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)と制御部310の動作プログラム等を格納するメモリを備えており、制御部310内のCPUは、この動作プログラムに従って動作する。
【0025】
操作卓11と屋外拡声子局31との間には連絡通話機能が設けられている。この連絡通話機能は、屋外声子局31の電話機314のハンドセットから電話をかけるように操作することで、操作卓11に接続されている電話機113に通信を行うことが出来る。屋外拡声子局31から連絡通話を行ったとき、電波と音声は中継局21、基地局12を中継し、操作卓11の電話機113に届くようになっている。
【0026】
大規模災害で操作卓11が納められた庁舎などが倒壊し、操作卓11からの放送が不可能な状況になったときでも、基地局12の設備が無事であり、基地局12に電源が供給されていれば、屋外拡声子局31の電話機314から操作卓11の電話機113へ連絡通話をかけるように電話をかけることが出来る。このとき、特殊な番号を使用して連絡通話を実施する。
【0027】
連絡通話を受信した基地局12は、操作卓11の電話機113にこの連絡通話を接続せず、基地局12内の記憶装置122に音声を録音する。屋外拡声子局31は、また、電話機314のハンドセットからの操作で、上下チャイムやサイレンを交えながら拡声通報を実施するように、連絡通話を実施する。
【0028】
基地局12は、屋外拡声子局31からの連絡通話の内容を全て、記憶装置122に録音する。そして、屋外拡声子局31からの連絡通話が終了してから一定時間経過後、基地局12は、記憶装置122に録音された音声の内容を、基地局12の傘下の全ての中継局21を介して、全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32へ自動で配信し、拡声通報を開始させる。基地局12は、通常の拡声通報と同じく放送を実施し、通報中になったところで録音した音声を再生する。再生が終了したところで、自動終話すれば、あたかも操作卓11から拡声通報を実施したかのような操作が可能となる。
【0029】
これにより、大規模災害で操作卓11が納められた庁舎などが倒壊し、操作卓11からの放送が不可能な状況になった場合でも、基地局12が稼働可能な状態であれば、傘下の全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32を含む子局設備30へ拡声通報を行う事か可能である。
【0030】
次に、無線通信システム1の動作シーケンスを説明する。
図6は、実施例に係る無線通信システムの平常時における連絡通話の動作シーケンスを示す図である。
図7は、実施例に係る無線通信システムの災害発生時における拡声通報の動作シーケンスを示す図である。
図8は、実施例に係る無線通信システムの災害発生時における拡声通報の取り消しの動作シーケンスを示す図である。
【0031】
(平常時における連絡通話の動作)
まず、平常時における連絡通話の動作シーケンスを、
図6を用いて説明する。ここでいう平常時とは、操作卓11が納められた庁舎などが倒壊していない様な場合を意味しており、操作卓11および電話機113は、利用可能な状態であるものとする。平常時における連絡通話は、例えば、屋外拡声子局31に設置された電話機314から操作卓11に設置された電話機113へ通話を行うものである。
【0032】
図6に示されるように、まず、屋外拡声子局31に設置された電話機314の受話器を取って、操作卓11の電話機113宛にダイヤルし、連絡通話の呼び出し(601)を行う。これにより、連絡通話開始信号が中継局21を経由して、基地局12へ送信(602)され、その後、基地局12から操作卓11へ送信(603)される。操作卓11は、連絡通話開始信号の受信に応答して、電話機113の呼び出し音(ベル)を鳴動させる(RG鳴動:604)。操作卓11は、また、連絡通話開始信号の受信に基づいて、電話機113を呼び出し中であることを、応答信号として基地局12へ送信(605)する。基地局12は、受信した応答信号を、中継局21を経由して、屋外拡声子局31の電話機314へ送信(606)する。これにより、電話機314の受話器では、電話機113を呼び出し中であるリングバックトーン(RBT)が鳴動(RBT鳴動:607)する。
【0033】
操作卓11の電話機113の受話器が取られると(OFF HK:608)、操作卓11は接続信号を基地局12へ送信(609)する。接続信号は、基地局12から中継局21を介して、電話機314へ送信(610)される。これにより、電話機314の受話器では、リングバックトーンの鳴動が停止(611)されて、電話機314と電話機113との間が回線接続状態とされて、連絡通話が可能な状態となる。そして、電話機314と電話機113との間の音声による通話が行われる(612)。
【0034】
電話機314の受話器が戻される(置かれる)と(ON HK:613)、電話機314と電話機113との間の音声の通話が終了し、電話機314と電話機113との間の回線接続が切断される。切断信号は、電話機314から中継局21を経由して、基地局12へ送信(614)され、その後、基地局12から操作卓11へ送信(615)される。これにより、電話機113では、終話状態である旨のビジートーン(BT)が鳴動(616)する。
【0035】
(災害発生時における拡声通報の動作シーケンス)
次に、災害発生時における拡声通報の動作シーケンスを、
図7を用いて説明する。ここでいう災害発生時とは、操作卓11が納められた庁舎などが倒壊した様な場合を意味しており、操作卓11および電話機113は、利用不可能な状態であるものとする。
図7において、点線で示される部分(操作卓11、電話機113)は、使用不可能なことを示す。
【0036】
まず、屋外拡声子局31に設置された電話機314の受話器を取って、操作卓11の電話機113宛に特番ダイヤルを用いて、連絡通話(特番)の呼び出し(701)を行う。特番ダイヤルは、通常の連絡通話と間違えて押さないように考慮することが望ましい。また、ダイヤルの後半で対象局を指定するようにするのが良い。ダイヤルの後半で対象局を指定する例としては、00000ならば一括、13000ならば屋外拡声子局13000番宛、80010ならばグループ10宛のようにすることが出来る。
【0037】
連絡通話(特番)の呼び出し(701)は、連絡通話開始(拡声通報特番)信号として中継局21を経由して、基地局12へ送信(702)される。連絡通話開始(拡声通報特番)信号を受信した基地局12は、ダイヤルが特番か否かを判定する。ダイヤルが特番であれば、通常の連絡通話と同じく音声をデコード処理するが、操作卓11の電話機113には接続しない。
【0038】
基地局12は、また、連絡通話開始(拡声通報特番)信号の受信に基づいて、呼び出し中であることを応答として、中継局21を経由して、屋外拡声子局31の電話機314へ送信(703)する。これにより、電話機314の受話器では、呼び出し中であるリングバックトーン(RBT)が鳴動(RBT鳴動:704)する。基地局12は、ダイヤルが特番であるとの判定に基づいて、接続信号を、中継局21を介して、電話機314へ送信(705)する。これにより、電話機314の受話器では、リングバックトーンの鳴動が停止(706)されて、電話機314と基地局12との間が回線接続状態とされて、連絡通話(特番)が可能な状態となる。そして、電話機314と基地局12との間の音声による通話が行われる(707)。
【0039】
基地局12は、ダイヤルが特番であるとの判定に基づいて、電話機314と基地局12との間の音声通話の全てを、基地局12内の記憶装置122に音声データとして録音(708)し、保存する。特番ダイヤルで連絡通話(特番)を行った場合、屋外拡声子局31の電話機314のメニューとして、上下チャイムの指示、及び、サイレンの鳴動の指示を行うことが出来る。上下チャイムの指示とは、拡声通報の最初および拡声通報の最後にチャイム音を屋外拡声子局31のスピーカー313から鳴らすか否かの指示を示している。また、サイレンの鳴動の指示とは、サイレン音をスピーカー313から鳴らすか否かの指示を示している。
【0040】
拡声通報の内容の録音が完了すると、電話機314の受話器が戻され(ON HK:709)、電話機314と基地局12との間の音声の連絡通話(特番)が終話し、電話機314と基地局12との間の回線接続が切断される。切断信号は、電話機314から中継局21を経由して、基地局12へ送信(710)される。
【0041】
基地局12は、電話機314と基地局12との間の回線接続の切断(連絡通話(特番)の終話)から、一定時間経過後、操作卓11からの発呼指示なしに、記憶装置122に録音された音声データの拡声通報を開始する(711)。これにより、記憶装置122に録音された音声データが再生され(712)、基地局12の傘下の全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32を含む子局設備30へ配信されて、拡声通報が行われる(713)。これにより、記憶装置122に録音された音声データの内容が、屋外拡声子局31のスピーカー313や戸別受信機32のスピーカーから通報される。拡声通報が終了すると、基地局12から基地局12の傘下の全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32を含む子局設備30へ終話指示が行われる(714)。
【0042】
ここで、無線区間のスロット数は全6スロット(スロット0-スロット5)であり、この内、音声用に割り当てられているスロット数は4スロットである。拡声通報の実施時には、下り音声チャネルとされる4スロット(スロット1、2、4、5の4スロット)全てを使用して、基地局12内の記憶装置122に録音された音声データを子局(31、32)へ送信する。一方、子局31の電話機314の音声を基地局12の記憶装置122に録音する場合、上り音声チャネルとされる1スロット(スロット4の1スロット)を使用して音声が子局31から基地局12へ伝達される。したがって、録音時と拡声通報時では、スロット4の使用方法が異なるため、録音と拡声通報とは同時には実施することが出来ないことになる。よって、一旦、基地局12の記憶装置122に音声通話(放送内容)の全てを録音し、その後、拡声通報を行うのが良い。
【0043】
(災害発生時における拡声通報の取り消しの動作)
連絡通話(特番)の終話(710)から一定時間経過後に、拡声通報開始(711)を発呼するのは、拡声通報の内容の記憶装置122への録音が失敗した場合を想定し、拡声通報の開始を取り消す猶予が必要なためである。録音に失敗した場合など、拡声通報の放送を取り消す場合、別の特番ダイヤルで連絡通話(取消特番)を行うようにダイヤルする。これにより、直前に記憶装置122に録音された音声データの拡声通報を取り消すことが出来る。
【0044】
災害発生時における拡声通報の取り消しの動作シーケンスを、
図8を用いて説明する。なお、
図8において、
図7に記載されたシーケンスと同様な部分(701-710)の説明は省略する。
【0045】
切断信号が電話機314から中継局21を経由して、基地局12へ送信(710)されてから、一定時間を経過する前に(一定時間内に)、記憶装置122に録音された音声データの内容に変更、修正または追加すべき事項があった場合、電話機314から基地局12へ特番ダイヤルを用いて連絡通話(取消特番)を行うようにダイヤルする(801)。これにより、連絡通話開始(取消特番)信号が、中継局21を経由して、基地局12へ送信される(802)。
【0046】
連絡通話開始(取消特番)信号は、拡声通報開始(
図7の711)の発呼動作を中止する指示である。基地局12は、ダイヤルが連絡通話開始(取消特番)か否かを判定し、連絡通話開始(取消特番)である場合、拡声通報開始の発呼動作を中止する。基地局12は、また、連絡通話開始(取消特番)信号の受信の応答信号を、電話機314へ送信する(803)。これにより、電話機314の受話器では、呼び出し中であるリングバックトーン(RBT)が鳴動(RBT鳴動:804)する。基地局12は、その後、接続信号を、中継局21を介して、電話機314へ送信(805)する。これにより、電話機314の受話器では、リングバックトーンの鳴動が停止(RBT停止:806)されて、電話機314と基地局12との間が回線接続状態とされる。これにより、拡声通報開始の発呼動作の中止が電話機314へ連絡されたことになる。
【0047】
連絡通話開始(取消特番)が完了すると、電話機314の受話器が戻され(ON HK:807)、電話機314と基地局12との間の連絡通話(取消特番)が終話し、電話機314と基地局12との間の回線接続が切断される。切断信号は、電話機314から中継局21を経由して、基地局12へ送信(808)される。
【0048】
以上の様に、連絡通話開始(取消特番)を設けることにより、不所望な音声データの拡声通報を中止し、再度、
図7に示される動作シーケンスを実施することにより、所望の内容の音声データを記憶装置122に録音することが可能となる。これにより、所望の内容の拡声通報を子局設備30(31、32)から行うことが可能になる。
【0049】
実施例によれば、以下の1または複数の効果が得られる。
【0050】
(1)市町村防災無線通信システムの様な無線通信システム1において、操作卓11が操作不可能な状態になっても、基地局12が機能していれば、屋外拡声子局31がある場所を市の防災司令本部(拠点)として機能させることが出来る。
【0051】
(2)災害により市町村役場が被害を受け放送起動元である操作卓が使用不可となった場合であっても、屋外拡声子局31から市内全域に拡声通報の放送を実施することができる。
【0052】
(3)特番ダイヤルとして連絡通話(特番)を設ける。屋外拡声子局31の電話機314から特番ダイヤルを用いて連絡通話(特番)を基地局12へ送信する。これにより、拡声通報の内容の音声データが、基地局12の記憶装置122へ録音され、録音した音声データが拡声通報として、基地局12の傘下の全ての子局設備30(31、32)へ送付できる。
【0053】
(4)連絡通話を利用するので、新規設備の増設なしに、屋外拡声子局31から拡声通報を行うことが出来る。
【0054】
(5)特番ダイヤルを利用するので、連絡通話(特番)の操作性は、通常の連絡通話とほぼ同様の操作で実施可能である。
【0055】
(6)特番ダイヤルに、連絡通話(取消特番)を設けるので、拡声通報開始の発呼動作を中止することが可能になる。記憶装置122に録音された音声データの内容に変更、修正または追加すべき事項があった場合、直前に記憶装置122に録音した音声データの子局設備30(31、32)からの拡声通報が中止できる。
【0056】
(変形例)
次に変形例について説明する。上記実施例では、基地局12の記憶装置122に屋外拡声子局31からの連絡通話の内容を全て録音するとして説明したが、それに限定されない。中継局21の記憶装置212に屋外拡声子局31からの連絡通話(特番)の内容を全て録音することも可能である。
【0057】
変形例に係る災害発生時における拡声通報の動作シーケンスを、
図9を用いて説明する。ここでいう災害発生時とは、操作卓11が納められた庁舎などが倒壊した様な場合を意味しており、操作卓11および電話機113は、利用不可能な状態であるものとする。さらに、基地局12も利用不可能な状態であるものとする。
図9において、点線で示される部分(操作卓11、電話機113、基地局12)は、使用不可能なことを示す。なお、
図1に示すように、複数の中継局21が設けられる場合は、各々の中継局21で別々に、
図9で示される拡声通報を行うのが好ましい。
【0058】
まず、屋外拡声子局31に設置された電話機314の受話器を取って、操作卓11の電話機113宛に特番ダイヤルを用いて、連絡通話(特番)の呼び出し(901)を行う。特番ダイヤルは、通常の連絡通話と間違えて押さないように考慮することが望ましい。また、ダイヤルの後半で対象局を指定するようにするのが良い。
【0059】
連絡通話(特番)の呼び出し(901)は、連絡通話開始(拡声通報特番)信号として中継局21へ送信(902)される。連絡通話開始(拡声通報特番)信号を受信した中継局21は、ダイヤルが特番か否かを判定する。ダイヤルが特番であれば、通常の連絡通話と同じく音声をデコード処理するが、操作卓11の電話機113には接続しない。
【0060】
中継局21は、また、連絡通話開始(拡声通報特番)信号の受信に基づいて、呼び出し中であることを応答として、屋外拡声子局31の電話機314へ送信(903)する。これにより、電話機314の受話器では、呼び出し中であるリングバックトーン(RBT)が鳴動(RBT鳴動:904)する。中継局21は、ダイヤルが特番であるとの判定に基づいて、接続信号を、電話機314へ送信(905)する。これにより、電話機314の受話器では、リングバックトーンの鳴動が停止(906)されて、電話機314と基地局12との間が回線接続状態とされて、連絡通話(特番)が可能な状態となる。そして、電話機314と中継局21との間の音声による通話が行われる(907)。
【0061】
中継局21は、ダイヤルが特番であるとの判定に基づいて、電話機314と中継局21との間の音声通話の全てを、中継局21内の記憶装置212に音声データとして録音(908)し、保存する。特番ダイヤルで連絡通話(特番)を行った場合、屋外拡声子局31の電話機314のメニューとして、上下チャイムの指示、及び、サイレンの鳴動の指示を行うことが出来る。上下チャイムの指示とは、拡声通報の最初および拡声通報の最後にチャイム音を屋外拡声子局31のスピーカー313から鳴らすか否かの指示を示している。また、サイレンの鳴動の指示とは、サイレン音をスピーカー313から鳴らすか否かの指示を示している。
【0062】
拡声通報の内容の録音が完了すると、電話機314の受話器が戻され(ON HK:909)、電話機314と中継局21との間の音声の連絡通話(特番)が終話し、電話機314と基地局12との間の回線接続が切断される。切断信号は、電話機314から中継局21へ送信(910)される。
【0063】
中継局21は、電話機314と中継局21との間の回線接続の切断(連絡通話(特番)の終話)から、一定時間経過後、操作卓11からの発呼指示なしに、記憶装置212に録音された音声データの拡声通報を開始する(911)。これにより、記憶装置212に録音された音声データが再生され(912)、中継局21の傘下の全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32を含む子局設備30へ配信されて、拡声通報が行われる(913)。これにより、記憶装置122に録音された音声データの内容が、屋外拡声子局31のスピーカー313や戸別受信機32のスピーカーから通報される。拡声通報が終了すると、中継局21から中継局21の傘下の全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32を含む子局設備30へ終話指示が行われる(914)。
【0064】
なお、この場合にも、
図8で説明されたと同様に、連絡通話(特番)の終話(910)から一定時間経過後に、拡声通報開始(911)を発呼するのは、拡声通報の内容の記憶装置212への録音が失敗した場合を想定し、拡声通報の開始を取り消す猶予が必要なためである。録音に失敗した場合など、拡声通報の放送を取り消す場合、一定時間を経過する前に(一定時間内に)、別の特番ダイヤルで連絡通話(取消特番)を行うようにダイヤルする。これにより、直前に記憶装置212に録音された音声データの拡声通報を取り消すことが出来る。
【0065】
変形例によれば、操作卓11および基地局12が利用不可能な状態であっても、中継局21の記憶装置212に拡声通報の音声データを録音し再生することで、中継局21の傘下の全ての屋外拡声子局31や戸別受信機32を含む子局設備30へ配信することが可能となる。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0067】
実施例および変形例では、屋外拡声子局31の電話機314から操作卓11の電話機113へ特番ダイヤルで連絡通話(特番)をダイヤルすると説明したが、これに限定されない。屋外拡声子局31の電話機314から直接、基地局12、または、中継局21へ連絡通話(特番)をダイヤルし、基地局12の記憶装置122または中継局21の記憶装置212へ連絡通話の内容を全て録音することも可能である。
【0068】
図3、
図4では、基地局12および中継局21に電話機が設置されていない構成を示したが、これに限定されない。基地局12および中継局21に電話機を設けても良い。この場合、屋外拡声子局31の電話機314から直接、基地局12の電話機、または、中継局21の電話機へ連絡通話(特番)をダイヤルし、基地局12の記憶装置122または中継局21の記憶装置212へ連絡通話の内容を全て録音することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:無線通信システム
11:操作卓
12:基地局
21:中継局
31:屋外拡声子局
113、314:電話機
122、212:記憶装置
313:スピーカー