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  • 特許-押出成形物の切断装置 図1
  • 特許-押出成形物の切断装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】押出成形物の切断装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/16 20060101AFI20220216BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20220216BHJP
   B26D 1/45 20060101ALI20220216BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
B28B11/16
B26D3/00 601Z
B26D1/45
B26D3/00 601A
B29B9/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018046702
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019155764
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 誠
(72)【発明者】
【氏名】林 伸三
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 博己
(72)【発明者】
【氏名】上田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】宮地 敬光
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-047956(JP,A)
【文献】特開昭63-267191(JP,A)
【文献】特開平11-216714(JP,A)
【文献】特開2011-126096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B11/00-19/00
B29B 7/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形物の切断装置であって、
押出成形機の外部で、押出成形機の口金に対して固定されるベース部と、
前記口金に設けられた押出口が伸びる第1方向に直交する第2方向に伸びており、ベース部に回転可能に支持されているシャフトと、を備えており、
シャフトの周囲に、螺旋状の切断刃が設けられている切断装置。
【請求項2】
第1方向及び第2方向に直交する第3方向に、複数のシャフトが並んで配置されている請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
ベース部に、シャフトを駆動するモータが取り付けられている請求項1又は2に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、押出成形物の切断装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
押出成形機を用いて粒状粒子(ペレット)を製造する技術が知られている。この場合、押出成形機の押出口から吐出された押出成形物を、切断装置を用いて所定間隔で切断することが必要である。例えば、特許文献1では、押出成形物が押出される方向に直交する直交方向に往復運動する切断装置(カッター)を利用し、押出成形物を切断している。また、例えば、特許文献2では、押出成形物が押出される方向に沿って伸びるシャフトの端部に板を固定するとともに、板の表面に切断刃を固定した切断装置を利用し、シャフトを回転させることにより押出成形物を切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-193383号公報
【文献】特開2011-126096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の切断装置の場合、押出成形物が押出される方向(押出成形機の口金に設けられた押出口が伸びる方向)から観察すると、切断装置が、口金(押出口)と重複する第1位置と、口金と重複しない第2位置との間を繰り返し移動する。切断装置が第1位置と第2位置の間を移動することにより、押出成形物を切断し、粒状粒子を製造している。すなわち、特許文献1の切断装置を用いて粒状粒子を製造する場合、押出成形物を切断しないときに切断装置が存在する第2位置を確保することが必要である。切断装置が占めるスペースが大きくなり、押出成形機と切断装置を含む粒状粒子製造機のサイズが増大する。
【0005】
特許文献2の切断装置の場合、シャフトを回転させることにより押出成形物を切断するので、シャフトの回転軸中心側には切断刃を設けることができない。そのため、特許文献2の切断装置を用いると、押出成形機を押出成形物が押出される方向から観察したときに、少なくともシャフトと重複する位置には押出口を設けることができない。口金のサイズを大きくすることが必要となり、この場合も、押出成形機と切断装置を含む粒状粒子製造機のサイズが増大する。
【0006】
本明細書は、押出成形機とともに用いたときに、押出成形機と切断装置を含む粒状粒子製造機のサイズを小さくすることができる切断装置を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する切断装置は、押出成形物の切断に用いることができる。その切断装置は、押出成形機の口金に固定されるベース部と、口金に設けられた押出口が伸びる第1方向に直交する第2方向に伸びており、ベース部に回転可能に支持されているシャフトを備えていてよい。また、シャフトの周囲に、螺旋状の切断刃が設けられていてよい。なお、本明細書でいう「粒状粒子」は、サイズが1mm~100mmの柱状の固体のことを意味する。柱状の粒状粒子は、一般的に、ペレットと称されることがある。なお、「柱状」とは、完全な円柱又は角柱を意味するものではなく、口金から吐出されたときは柱状であって、切断の過程で形状が崩れたものも含む。
【0008】
上記切断装置は、押出成形機に対して、シャフトが口金の押出口に対向するように取り付けることにより、押出口から吐出された押出成形物を切断刃によって切断することができる。上記切断装置は、第1方向から観察したときに、押出成形機の口金と重複する位置に配置することができる。また、上記切断装置は、シャフトが第1方向に直交する第2方向に伸びている。すなわち、シャフトは、第1方向に沿って伸びていない。そのため、シャフトを避けるように口金に押出口を設ける必要がなく(口金の押出口を設けることができない領域が減り)、押出成形機(口金)のサイズが大きくなることを抑制することができる。上記切断装置を用いることにより、粒状粒子製造装置のサイズを小さくすることができる。
【0009】
上記切断装置では、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に、複数のシャフトが並んで配置されていてよい。一度に製造(切断)できる粒状粒子の量を増大することができ、粒状粒子の生産性を向上させることができる。
【0010】
上記切断装置では、ベース部にシャフトを駆動するモータが取り付けられていてよい。モータの回転数を調整することにより、粒状粒子のサイズを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の切断装置を備えた粒状粒子製造機の概略図を示す。
図2】切断装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2を参照し、切断装置30について説明する。切断装置30は、押出成形機20の口金8に取り付けられ、粒状粒子製造機100の一部を構成している。なお、特に限定されないが、粒状粒子製造機100は、磁器セラミックス製品の原料として用いる粒状粒子(ペレット)を製造する。まず、押出成形機20の構造を簡単に説明する。なお、図中のXYZ座標におけるX軸方向は第1方向の一例であり、Y軸方向は第2方向の一例であり、Z軸方向は第3方向の一例である。
【0013】
図1に示すように、押出成形機20は、原料導入部16と、本体2と、混練部6と、口金8を備えている。原料導入部16は、本体2に接続されている。原料導入部16には、粉体原料と水の混合物が導入される。本体2内には、真空室(図示省略)が設けられている。原料導入部16に導入された混合物は、真空室に導入され、真空室で真空脱気された後、混練部6に供給される。混練部6は、本体2に接続されており、内部空気が除去された混合物を混練する。混練部6内には、スクリュウ12が設けられている。スクリュウ12は、X軸方向に伸びている。スクリュウ12は、本体2に取り付けられたモータ14によって駆動(回転)する。スクリュウ12の回転速度(モータ14の回転数)は、本体2に取り付けられたコントローラ4によって制御される。混練部6に供給された混合物は、スクリュウ12によって混練されながら、口金8側に移動する。口金8は、本体2(原料導入部16)とは反対側で、混練部6の端部に固定されている。なお、混練部6にヒータ(図示省略)を設けたり、スクリュウ12と混合物の摩擦を利用することにより、混合物の温度を上昇させてもよい。なお、混合物(原料)の真空脱気は、必要に応じて行えばよい。
【0014】
混練部6で混練された混合物は、口金8に設けられた押出口10から吐出される。なお、スクリュウ12の回転速度を調整することにより、吐出速度(押出成形物のサイズ)を調整することができる。また、原料導入部16への混合物(原料)の供給量を調整することによっても、吐出速度を調整することができる。押出口10は、X軸方向に伸びている。口金8には複数の押出口10が設けられている。具体的には、押出口10は、Y軸方向に複数設けられているとともにZ軸方向にも複数設けられている。図1には、Z軸方向に並んだ3個の押出口10が示されている。押出口10から吐出された押出成形物は、切断装置30によって所定長さに切断される。具体的には、押出成形物は、連通口32を通って切断スクリュウ36に移動し、切断スクリュウ36によって所定長さに切断される。
【0015】
図2に示すように、切断装置30は、口金8に固定されたベース部44と、ベース部44に回転可能に支持された切断スクリュウ36と、ベース部44に取り付けられたモータ46を備えている。ベース部44は、口金8の表面側(+X軸方向の面)に固定されている。すなわち、切断装置30は、押出成形機20の混練部6とは反対側で、口金8の表面に固定されている。切断装置30は、切断スクリュウ36が口金8の押出口10に対向するように、押出成形機20に固定されている。切断スクリュウ36は、シャフト40と、シャフト40の周面に設けられている螺旋状の切断刃42を備えている。シャフト40は、ベース部44に回転可能に支持されている。シャフト40は、Y軸方向に伸びている。シャフト40のY軸方向両端部がベース部44に支持されており、シャフト40のY軸方向中間部に切断刃42が設けられている。切断装置30では、3個の切断スクリュウ36a,36b及び36cが、Z軸方向に並んで配置されている。各切断スクリュウ36a~36cのY軸方向長さは等しい。各切断スクリュウ36a~36cの-X方向側(口金8)側に、押出口10(図1を参照)が設けられている。各切断スクリュウ36a~36c(シャフト40)は、モータ46によって駆動される。
【0016】
上記したように、混練部6で混練された混合物は、口金8に設けられた押出口10から吐出される。また、シャフト40には、螺旋状の切断刃42が設けられている。そのため、シャフト40の回転に伴い、切断スクリュウ36は、切断刃42が押出口10に対向する状態と、溝部分(切断刃42と切断刃42の隙間部分、すなわち、シャフト40)に対向する状態に変化する。溝部分が押出口10に対向すると、押出口10から吐出された押出成形物は、溝部分を通じて外部(+X軸方向)に移動する。このときに、押出成形物は、シャフト40の回転に伴なって、X軸方向に移動するとともにY軸方向にも移動する。さらにシャフト40が回転し、切断刃42が押出口10に対向すると、押出成形物が切断され、粒状粒子が形成される。なお、粒状粒子のサイズ(X軸方向の長さ)は、シャフト40の回転速度を調整することにより、変化させることができる。
【0017】
上記したように、切断装置30は、押出口10が伸びる方向(X軸方向)とは異なる方向(Y軸方向)に伸びる切断スクリュウ36を備えており、切断スクリュウ36(シャフト40)を回転させることにより、押出成形物を切断する。そのため、粒状粒子製造機100をX軸方向から観察すると、切断装置30は、押出成形機20の口金8と重複する位置に配置される。切断装置30は、例えばX軸方向に直交する方向に往復運動(Y-Z面で往復運動)する切断刃を備えた切断装置と比較して、粒状粒子製造機のサイズを小さくすることができる。また、切断装置30は、シャフト40の回転軸が口金8の表面と対向しないので、例えばX軸方向に伸びるシャフト端部に板を固定し、その板の表面に切断刃を固定した切断装置と比較しても、粒状粒子製造機のサイズを小さくすることができる。
【0018】
なお、上記切断装置30を用いた粒状粒子製造機100は、次のように表現することができる。粒状粒子製造機は、押出成形機と切断装置を備えている。押出成形機は、原料導入部と、原料導入部に連通している混練部と、原料導入部とは反対側で混練部の端部に設けられている口金を備えている。混練部内には、第1方向に回転軸を有するスクリュウが配置されている。口金には、第1方向に伸びる押出口が設けられている。切断装置は、混練部とは反対側で、口金の表面に固定されている。切断装置は、押出成形機の口金に固定されるベース部と、第1方向に直交する第2方向に伸びているとともにベース部に回転可能に支持されているシャフトを備えている。シャフトの周囲には、螺旋状の切断刃が設けられている。以上の特徴を備えた粒状粒子製造機100は、押出成形機20のスクリュウ12の回転速度、及び/又は、切断装置30のシャフト40(切断スクリュウ36)の回転速度を調整することにより粒状粒子のサイズを調整することができる。
【0019】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0020】
8:口金
10:押出口
20:押出成形機
30:切断装置
40:シャフト
42:切断刃
44:ベース部
図1
図2