特許 7025275 床下暖房装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-02-15

(45)【発行日】2022-02-24

(54)【発明の名称】床下暖房装置

(51)【国際特許分類】

   F24D 19/02 20060101AFI20220216BHJP

【ＦＩ】

F24D19/02 A

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2018080028

(22)【出願日】2018-04-18

(65)【公開番号】P2019190669

(43)【公開日】2019-10-31

【審査請求日】2020-09-15

(73)【特許権者】

【識別番号】000000538

【氏名又は名称】株式会社コロナ

(72)【発明者】

【氏名】菅 崇

(72)【発明者】

【氏名】広野 徳純

【審査官】岩▲崎▼ 則昌

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１７－１８７１８７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００２－１０６８７４（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ２４Ｄ １９／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数の放熱フィンと、該放熱フィンと直交するように放熱フィン内に設けた複数の温水管と、該温水管の端部同士を接続するＵ字管と、前記放熱フィンの両端に設けたエンドプレートと、該エンドプレートに設けた入口管及び出口管とを備えた床下暖房装置本体と、
該床下暖房装置本体を床下に固定する取付金具とを備えた床下暖房装置に於いて、前記取付金具は、床下面に固定される固定部と床下暖房装置本体を取付ける取付部とからなり、前記取付部には床下暖房装置本体を横置きに設置したときに前記Ｕ字管と接する横置き切り欠き部と、床下暖房装置本体を縦置きに設置したときに前記Ｕ字管又は入口管又は出口管と接する縦置き切り欠き部とからなる取付用切り欠き部を形成したことを特徴とする床下暖房装置。

【請求項2】

前記取付用切り欠き部は、前記取付用切り欠き部の上部に形成された幅の広い前記横置き切り欠き部と、該横置き切り欠き部の下方に形成された幅の狭い前記縦置き切り欠き部とからなることを特徴とする請求項１記載の床下暖房装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、床下空間を加熱することにより室内を暖房する床下暖房装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来この種のものでは、部屋の床下に設置する床下暖房装置として、温水管に放熱フィンを多数取り付けたものがあった。（例えば、特許文献１）
そしてこの床下暖房装置を部屋の床下に設置し、部屋の床面に開口を設け、床下放熱器からの熱で床下空間を加熱することにより部屋の床面を暖める一方、床下空間の加熱された空気を開口を介して部屋内部に取り入れて、部屋の室内空気を暖めるようにしたものがあった。（例えば、特許文献２）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】実開昭５９－１１５２１５号公報

【文献】特開２００１－２０１０７５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、この従来のものは、設置場所のスペースが充分取られる場合は、暖房能力が得られやすい横置きに床下暖房装置を設置し、設置場所のスペースが充分取れず横置きに床下暖房装置を設置できない場合は、横置きよりも暖房能力が得られにくいが設置スペースが狭くてよい縦置きに床下暖房装置を設置していた。

【0005】

床下に床下暖房装置を設置するには、コンクリートの床下面にアンカーで固定する固定部と、床下暖房装置を取り付ける取付部とからなる略Ｌ字状の取付金具を使用し、横置きに床下暖房装置を設置する場合は、幅の広い横置き用の取付金具の固定部を床下面にアンカーで固定し、その取付金具の取付部に床下暖房装置を横置きにしてねじ止めで取り付け、又、縦置きに床下暖房装置を設置する場合は、幅の狭い縦置き用の取付金具の固定部を床下面にアンカーで固定し、その取付金具の取付部に床下暖房装置を縦置きにしてねじ止めで取り付けていたため、横置き用の取付金具と縦置き用の取付金具が必要であった。

【0006】

又、横置き用の取付金具と縦置き用の取付金具を同じ取付金具にする場合は、横置きの場合のねじ止め穴の位置を確保するため、幅の広い横置き用の取付金具に、横置きの場合のねじ止め穴と縦置きの場合のねじ止め穴とを設け、横置きの場合は横置きの場合のねじ止め穴で床下暖房装置を取付金具に取り付け、縦置きの場合は縦置きの場合のねじ止め穴 で床下暖房装置を取付金具に取り付けていた。

【0007】

上記のように、横置き用の取付金具と縦置き用の取付金具を同じ取付金具とする場合、横置きの幅の広い取付金具を使用するため、取付金具を設置するスペースは横置きと同じスペースが必要となり、又、床下暖房装置を取付金具に取り付ける時、床下暖房装置と取付金具の穴位置を合わせた状態を保持しつつねじ止めしなくてはならないため、作業性が悪かった。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明は上記課題を解決するために、請求項１では、複数の放熱フィンと、該放熱フィンと直交するように放熱フィン内に設けた複数の温水管と、該温水管の端部同士を接続するＵ字管と、前記放熱フィンの両端に設けたエンドプレートと、該エンドプレートに設けた入口管及び出口管とを備えた床下暖房装置本体と、該床下暖房装置本体を床下に固定する取付金具とを備えた床下暖房装置に於いて、前記取付金具は、床下面に固定される固定部と床下暖房装置本体を取付ける取付部とからなり、前記取付部には床下暖房装置本体を横置きに設置したときに前記Ｕ字管と接する横置き切り欠き部と、床下暖房装置本体を縦置きに設置したときに前記Ｕ字管又は入口管又は出口管と接する縦置き切り欠き部とからなる取付用切り欠き部を形成したものである。

【0009】

また、請求項２では、請求項１において、前記取付用切り欠き部は、前記取付用切り欠き部の上部に形成された幅の広い前記横置き切り欠き部と、該横置き切り欠き部の下方に形成された幅の狭い前記縦置き切り欠き部とからなるものである。

【発明の効果】

【0010】

この発明の請求項１によれば、床下暖房装置本体を床下面に固定する取付金具で床下暖房装置本体を取付ける取付部に、床下暖房装置本体を横置きに設置したときに接する横置き切り欠き部と、床下暖房装置本体を縦置きに設置したときに接する縦置き切り欠き部とからなる取付用切り欠き部を形成したので、横置き用の取付金具と縦置き用の取付金具と共用化することができ、更に横置きでも縦置きでも床下暖房装置本体を仮設置できるので、作業者が床下暖房装置本体を保持しながら設置作業をすることがなく、作業性が向上するものである。

【0011】

??また、請求項２によれば、前記取付用切欠き部は、取付用切欠き部の上部に形成された幅の広い横置き切り欠き部と、該横置き切り欠き部の下方に形成された幅の狭い縦置き切り設欠き部とからなるので、幅広となる横設置では床下暖房装置本体と係合する間隔を広くして横設置での安定性を高め、幅が狭く縦長となる縦設置では床下暖房装置本体と係合する位置を低くして縦設置での安定性を高め、更に床面から縦設置での床下暖房装置本体の上部までの高さを低くすることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】この発明の一実施形態を示す床下暖房装置の正面図。

【図2】同平面図。

【図3】同縦置きした場合の右側面図。

【図4】同縦置きした場合の左側面図。

【図5】同取付金具の斜視図。

【図6】同縦設置した場合の正面図。

【図7】同横設置した場合の正面図。

【図8】同横設置した場合の床下暖房装置と取付金具の斜視図。

【図9】同横設置した場合の床下暖房装置と取付金具の反対側の斜視図。

【図10】同縦設置した場合の床下暖房装置と取付金具の斜視図。

【図11】同縦設置した場合の床下暖房装置と取付金具の反対側の斜視図。

【発明を実施するための形態】

【0013】

次にこの発明に係る床下暖房装置を図面に示す一実施例で説明する。
１は床下暖房装置本体で、暖房ボイラ等の熱源機（図示せず）から温水を循環されることで放熱を行うもので、温水管２の端部が突出するように温水管用孔３が複数形成された矩形状の右エンドプレート４及び左エンドプレート５と、該右エンドプレート４と左エンドプレート５の角部と角部とを繋ぐ断面Ｌ字状の補強板６と、前記右エンドプレート４及び左エンドプレート５と補強板６とにより形成される空間内に複数配設される矩形状の放熱フィン７と、前記右エンドプレート４又は左エンドプレート５の一方に入口管８と出口管９とを備え、前記温水管２は放熱フィン７内に複数設けられ。前記入口管８及び出口管９以外の温水管２の端部は大Ｕ字管１０又は小Ｕ字管１１にて接続されており、前記入口管８より流入した温水は、全温水管２内を通過して出口管９より流出するものである。

【0014】

１２は略Ｌ字状の取付金具で、コンクリートの床下面にアンカー１３で固定する固定部１４と、床下暖房装置本体１を取り付ける取付部１５とからなり、前記固定部１４にはアンカー用孔１６が複数形成されている。

【0015】

前記取付部１５には、略中央上部に取付用切り欠き部１７が形成され、該取付用切り欠き部１７は、取付用切り欠き部１７の上部に形成された幅の広い横置き切り欠き部１８と、該横置き切り欠き部１８の下方に形成された幅の狭い縦置き切り欠き部１９からなり、前記横置き切り欠き部１８の両側に横設置用取付孔２０が形成されると共に、前記縦置き切り欠き部１９の両側に縦設置用取付孔２１が形成され、横設置の場合は取付ねじ２２にて横設置用取付孔２０で取付部１５に床下暖房装置本体１を横設置状態で取付け、縦設置の場合は取付ねじ２２にて縦設置用取付孔２１で取付部１５に床下暖房装置本体１を縦設置状態で取付けるものである。

【0016】

次に床下暖房装置本体１の配管を前記右エンドプレート４及び左エンドプレート５を、縦長の状態、つまり縦置きした状態で説明すると、図３及び図４に示すように、上から下に向かって４つの温水管用孔３が二列形成され、図３の右エンドプレート４では、左側の最上部の温水管用孔３から突出した温水管２の端部に入口管８が設けられ、その列の最下部の温水管用孔３から突出した温水管２の端部に出口管９が設けられ、その列の真ん中の２つの温水管用孔３から突出した温水管２の端部と端部は、大Ｕ字管１０を縦にして接続されている。

【0017】

又、図３の右エンドプレート４のもう一方の温水管用孔３の列は、最上部の温水管用孔３から突出した温水管２の端部と、その下の温水管用孔３から突出した温水管２の端部とが大Ｕ字管１０を縦にして接続され、更に上から三番目の温水管用孔３から突出した温水管２の端部と、最下部の温水管用孔３から突出した温水管２の端部とが大Ｕ字管１０を縦にして接続されている。

【0018】

次に図４の左エンドプレート５では、最上部の左右の温水管用孔３から突出した温水管２の端部と端部とが小Ｕ字管１１を横にして接続され、同じく上から二番目の左右の温水管用孔３から突出した温水管２の端部と端部とが大Ｕ字管１０を横にして接続され、同じく上から三番目の左右の温水管用孔３から突出した温水管２の端部と端部とが大Ｕ字管１０を横にして接続され、そして最下部の左右の温水管用孔３から突出した温水管２の端部と端部とが小Ｕ字管１１を横にして接続されている。

【0019】

そして図３及び図４により温水の流れを説明すると、入口管８より流入した温水は温水管２を通過して反対側のａに到達し、横に接続されている小Ｕ字管１１を通過してｂから反対側のＢに到達する。
そして、縦にして接続されている大Ｕ字管１０を通過してＣから反対側のｃに到達し、横に接続されている大Ｕ字管１０を通過してｄから反対側のＤに到達する。

【0020】

そして縦にして接続されている大Ｕ字管１０を通過してＥから反対側のｅに到達し、横に接続されている大Ｕ字管１０を通過してｆから反対側のＦに到達に到達する。
そして、縦にして接続されている大Ｕ字管１０を通過してＧから反対側のｇに到達し、横に接続されている小Ｕ字管１１を通過してｈから反対側の出口管９に到達し、出口管９より流出するものである。

【0021】

?次に床下暖房装置本体１を床下面に取り付ける手順を説明する。
??まず、床下面に２つの取付金具１２を取付部１５を向かい合わせにして床下暖房装置本体１の長さ分の距離離し、固定部１４をアンカー１３で床下面に固定する。
??そして床下暖房装置本体１を横置きに設置する場合は、入口管８と出口管９が設けられている右エンドプレート４側は、図８のように入口管８と出口管９を下側にして、入口管８と出口管９の間に横方向に位置する大Ｕ字管１０が取付用切り欠き部１７の横置き切り欠き部１８に係合する。
??つまり横置き切り欠き部１８は大Ｕ字管１０を横方向にしたときの寸法と略同じ寸法に形成されている。

【0022】

??又、右エンドプレート４の反対側である左エンドプレート５側は、図９のように床下暖房装置本体１を横置きに設置した場合、縦方向に位置する４つのＵ字管のうち、内側の２つの大Ｕ字管１０が取付用切欠き部１７の横置き切り欠き部１８に係合する。
??つまり左エンドプレート５側４つのＵ字管のうち、床下暖房装置本体１を横置きに設置した場合に横置き切り欠き部１８に係合する内側の２つの大Ｕ字管１０の距離は、大Ｕ字管１０を横方向にしたときの寸法と略同じ寸法に形成されている。

【0023】

これで取付部１５の横設置用取付孔２０と、床下暖房装置本体１の取付用ねじ孔（図示せず）の位置が合った状態での仮設置状態となるので、作業者は取付ねじ２２にて取付部１５に床下暖房装置本体１を横設置状態で取付けるものである。

【0024】

?又、床下暖房装置本体１を縦置きに設置する場合は、入口管８と出口管９が設けられている右エンドプレート４側は、図１０のように出口管９を下側にして取付金具１２に係合させようすると、出口管９と、床下暖房装置本体１を縦置きにしたときに出口管９の横に位置する縦方向状態の大Ｕ字管１０が、取付用切り欠き部１７の縦置き切り欠き部１９に係合する。
??つまり縦置き切り欠き部１９は、大Ｕ字管１０を横方向にしたときの寸法より小さい寸法である小Ｕ字管１１を横方向にしたときの寸法に形成されており、又、床下暖房装置本体１を縦置きにしたときの入口管８と入口管８との横に位置する縦方向状態の大Ｕ字管１０との距離、及び床下暖房装置本体１を縦置きにしたときの出口管９と出口管９の横に位置する縦方向状態の大Ｕ字管１０との距離は、大Ｕ字管１０を横方向にしたときの寸法より小さい寸法である小Ｕ字管１１を横方向にしたときの寸法と略同じ寸法に形成されているものである。

【0025】

??又、右エンドプレート４の反対側である左エンドプレート５側は、図１１のように床下暖房装置本体１を縦置きに設置した場合、最下部で横方向に位置する小Ｕ字管１１が取付用切欠き部１７の縦置き切り欠き部１９に係合する。

【0026】

これで取付部１５の縦設置用取付孔２１と、床下暖房装置本体１の取付用ねじ孔（図示せず）の位置が合った状態での仮設置状態となるので、作業者は取付ねじ２２にて取付部１５に床下暖房装置本体１を縦設置状態で取付けるものである。

【0027】

このように、固定部１４をアンカー１３で床下面に固定された一対の取付金具１１に床下暖房装置本体１を横置きに設置した場合、床下暖房装置本体１の入口管８と出口管９が設けられている一端側は、入口管８と出口管９の間の略中央に横向きに位置する大Ｕ字管１０が取付用切欠き部１７の横置き切り欠き部１８に係合し、床下暖房装置本体１の他端側は、中央寄りに縦横向きに位置する四本の大Ｕ字管１０のうち、中央寄りに位置する二本の大Ｕ字管１０が取付用切り欠き部１７の横置き切り欠き部１８に係合し、それにより取付部１５の横設置用取付孔２０と、床下暖房装置本体１の取付用ねじ孔（図示せず）の位置が合った状態での仮設置状態となるので、作業者は床下暖房装置本体１を保持する必要がない状態で、取付ねじ２２を横設置用取付孔２０にねじ込んで取付部１５に床下暖房装置本体１を取り付けられるものである。

【0028】

?又、床下暖房装置本体１を縦置きに設置する場合は、床下暖房装置本体１の入口管８と出口管９が設けられている一端側は、出口管９と、床下暖房装置本体１を縦置きにしたときに出口管９の横に位置する縦方向状態の大Ｕ字管１０又は、入口管８と、床下暖房装置本体１を縦置きにしたときに入口管８の横に位置する縦方向状態の大Ｕ字管１０が、取付用切り欠き部１７の縦置き切り欠き部１９に係合し、床下暖房装置本体１の他端側は、４つのＵ字管のうち外側２つが小Ｕ字管１１なので、入口管８と出口管９のどちらかを下側にしても最下部で横方向に位置する小Ｕ字管１１が取付用切り欠き部１７の縦置き切り欠き部１９に係合し、それにより取付部１５の縦設置用取付孔２１と、床下暖房装置本体１の取付用ねじ孔（図示せず）の位置が合った状態での仮設置状態となるので、作業者は入口管８と出口管９のどちらかでも必要に応じて下側にして仮設置することができ、床下暖房装置本体１を保持する必要がない仮設置状態で、更に取付ねじ２２を縦設置用取付孔２１にねじ込んで取付部１５に床下暖房装置本体１を取り付けられ、又、床下暖房装置本体１を横設置でも縦設置でも同じ取付金具１２で設置できるものである。

【0029】

以上のように、床下暖房装置を床下面に固定する取付金具で床下暖房装置を取付ける取付部に、床下暖房装置を横置きに設置したときに接する横置き切り欠き部と、床下暖房装置を縦置きに設置したときに接する縦置き切り欠き部とからなる取付用切り欠き部を形成したので、横置き用の取付金具と縦置き用の取付金具と共用化することができ、更に横置きでも縦置きでも床下暖房装置を仮設置できるので、作業者が床下暖房装置を保持しながら設置作業をすることがなく、作業性が向上するものである。

【0030】

?また、前記取付用切り欠き部１７は、取付用切り欠き部１７の上部に形成された幅の広い横置き切り欠き部１８と、該横置き切り欠き部１８の下方に形成された幅の狭い縦置き切り欠き部１９とからなるので、幅広となる横設置では床下暖房装置本体１と係合する間隔を広くして横設置での安定性を高め、幅が狭く縦長となる縦設置では床下暖房装置本体１と係合する位置を低くして縦設置での安定性を高め、更に床面から縦設置での床下暖房装置本体１の上部までの高さを低くすることができるものである。

【符号の説明】

【0031】

２ 温水管
４，５ エンドプレート
７ 放熱フィン
８ 入口管
９ 出口管
１０、１１ Ｕ字管
１２ 取付金具
１４ 固定部
１５ 取付部
１７ 取付用切り欠き部
１８ 横置き切り欠き部
１９ 縦置き切り欠き部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】