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特許7025334中空管セグメントを備えたフィルターを有する喫煙物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-15
(45)【発行日】2022-02-24
(54)【発明の名称】中空管セグメントを備えたフィルターを有する喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20220216BHJP
【FI】
A24D3/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018541281
(86)(22)【出願日】2017-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2017054087
(87)【国際公開番号】W WO2017148773
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-12
(31)【優先権主張番号】16157947.9
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ナッピ レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
【審査官】山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-510566(JP,A)
【文献】特表2015-524274(JP,A)
【文献】国際公開第00/000047(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこロッドと、
前記たばこロッドと軸方向に整列したフィルターであって、前記フィルターが、
0.9mm未満の壁厚を有する中空管セグメントと、
前記中空管セグメントの上流の濾過部分であって、前記濾過部分が一つ以上のフィルターセグメントを備え、
前記中空管セグメントが前記フィルターの口側の端でくぼみを画定し、前記濾過部分の下流端から前記フィルターの前記口側の端に延びる非制限的な流路を提供し、
前記中空管セグメントが繊維質の濾過材料から形成され、かつフィルター可塑剤を含み、前記フィルター可塑剤の量が前記繊維質の濾過材料の少なくとも22重量パーセントである、喫煙物品。
【請求項2】
前記中空管セグメントが0.6mm未満の壁厚を有する、請求項1に記載の喫煙物品。
【請求項3】
前記中空管セグメントが少なくとも0.3mmの壁厚を有する、請求項1または2に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記中空管セグメント内の前記繊維質の濾過材料の密度は、少なくとも0.6グラム/立方センチメートルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記中空管セグメント内の前記繊維質の濾過材料の密度が、少なくとも0.8グラム/立方センチメートルである、請求項4に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記中空管セグメントを形成する前記繊維質の濾過材料が酢酸セルロースである、請求項1~5のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記繊維質の濾過材料が、フィラメント当たり3.5デニール~9デニールの繊維を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記繊維質の濾過材料が、25000総デニール~50000総デニールの繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記フィルター可塑剤がトリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート(TEGDA)、酢酸ビニルエチレン、ポリビニルアルコール、デンプンまたはその組み合わせから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
フィルター可塑剤の量が、繊維質の濾過材料の約30重量パーセント未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記中空管セグメントの長さがフィルター全長の少なくとも約25パーセントである、請求項1~10のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項12】
口側端くぼみでの前記フィルターの湿潤硬度が、前記口側端くぼみでの前記フィルターの乾燥硬度の10パーセント以内である、請求項1~11のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項13】
前記口側端くぼみでの前記フィルターの湿潤硬度が、少なくとも90パーセントである、請求項1~12のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項14】
前記フィルターが、濾過部分の周りの位置に提供された穿孔の少なくとも一つの円周列を含む換気帯域を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の喫煙物品。
【請求項15】
喫煙物品のためのフィルターであって、前記フィルターが、
0.9mm未満の壁厚を有する中空管セグメントと、
前記中空管セグメントの上流の濾過部分であって、前記濾過部分が一つ以上のフィルターセグメントを備え、
前記中空管セグメントが前記フィルターの口側の端でくぼみを画定し、前記濾過
部分の下流端から前記フィルターの前記口側の端に延びる非制限的な流路を提供し、
前記中空管セグメントが繊維質の濾過材料から形成され、かつフィルター可塑剤を含み、前記フィルター可塑剤の量が前記繊維質の濾過材料の少なくとも22重量パーセントである、喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空管セグメントによって画定された口側端くぼみを有する喫煙物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは通常、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーの円筒形のロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して軸方向に整列された円筒形のフィルターとを備える。円筒形のフィルターは通常、紙プラグラップによって取り囲まれている濾過材料を含む。従来的には、包まれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長および包まれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は不透明の紙材料によって形成されるチッピングラッパーの帯によって結合される。そのフィルターセクションの口側端にくぼみを有する喫煙物品も提案されてきた。
【0003】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当業界において提唱されてきた。加熱式喫煙物品において、エアロゾルはエアロゾル発生基体(たばこなど)を加熱することによって生成される。周知の加熱式喫煙物品には、例えばエアロゾルが電気的加熱によるか、または可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル形成基体への熱の伝達によって生成される喫煙物品が含まれる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、ニコチン含有エアロゾルがたばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン源から、燃焼することなく、また一部の場合には加熱することなく、例えば化学反応によって生成される、喫煙物品も周知である。
【0004】
上述の通り、一部の場合において、喫煙物品はフィルターの口側の端にくぼみを有しうる。こうした口側端くぼみは一般に、フィルターのプラグラップ、チッピングペーパー、またはプラグラップおよびチッピングペーパーの両方を濾過材料の最も下流のセグメントを越えて延長させることによって形成される。ところが、一般的なプラグラップは、特に口側端くぼみの長さが増大した時に、十分な強度を提供しないことがある。従って、こうした口側端くぼみの変形のリスクがある。さらに、フィルターのプラグラップの強度は、喫煙中の水分の吸収によって湿るに従い著しく減少し、それによって変形のリスクがなおもさらに増大する。
【0005】
これまでに、中空の紙または厚紙の管を組み込んで、口側の端のくぼみを画定することが提案されてきた。これは、喫煙前にフィルターの口側の端の剛性を増大させる一方、喫煙中にくぼみを画定する材料が湿るに従い、口側端くぼみの変形のリスクが増大する問題を克服しない。プラグラップの場合と同様、紙の管の強度は、喫煙中に紙の管が水分を吸収するのに伴い著しく低下し、従って紙の管が崩壊する傾向が高まる。
【0006】
従って、耐湿性が向上されて、それ故に喫煙中の変形に対する耐性が向上された口側端くぼみ構造を備える喫煙物品を提供することが望ましい。同時に、既存の機械および方法を著しく変更する必要なく、標準的な高速器具および技法を使用して製造しうるフィルター付き喫煙物品を提供することが望ましい。その上、消費者にとって全般的な喫煙の体験を不快に変化させることなく、こうしたフィルター付き喫煙物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明によると、たばこロッドと、たばこロッドと軸方向に整列したフィルター(フィルターは0.9mm未満の壁厚さを有する中空管セグメントを備える)と、中空管セグメントの上流の濾過部分とを備え、濾過部分が一つ以上のフィルターセグメントを備える、喫煙物品が提供されている。中空管セグメントは、フィルターの口側の端でくぼみを画定し、濾過部分の下流端からフィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供する。中空管セグメントは、繊維質の濾過材料から形成され、かつフィルター可塑剤を含み、ここでフィルター可塑剤の量は、繊維質の濾過材料の少なくとも22重量パーセントである。
【0008】
本発明によると、喫煙物品用のフィルターがさらに提供されており、フィルターは0.9mm未満の壁厚さを有する中空管セグメントと、中空管セグメントの上流の濾過部分を備え、濾過部分は一つ以上のフィルターセグメントを備える。中空管セグメントは、フィルターの口側の端でくぼみを画定し、濾過部分の下流端からフィルターの口側の端に延びる非制限的な流路を提供する。中空管セグメントは、繊維質の濾過材料から形成され、かつフィルター可塑剤を含み、ここでフィルター可塑剤の量は、繊維質の濾過材料の少なくとも22重量パーセントである。
【0009】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、消費者がその使用中に喫煙物品を吸う方向に関連して、喫煙物品の要素または要素の部分の相対位置を記述するために使用される。本明細書で記述される喫煙物品は、下流端と反対側の上流端とを備える。使用時に、消費者は喫煙物品の下流端で吸引する。口側の端としても記述される下流端は、遠位端としても記述されうる上流端の下流である。本発明によるフィルターの「下流端」は、組み立てられた喫煙物品のフィルターの口側の端を形成することになるフィルターの端に対応する。
【0010】
「非制限的な流れ」という表現は本明細書全体を通して、中空管セグメントが、煙および空気が貫流するように実質的に一定の断面積を有するチャネルを内部に画定することを示すために使用される。さらに、「非制限的な流路」という表現は本明細書全体を通して、中空管セグメントが、煙および空気の流れの局所的な制限の原因となりうる物体を何も含まないことを示すために使用される。言い換えれば、中空管セグメントは空である。従って、煙および空気が貫流するために利用可能な断面積は、中空管セグメントの全長に沿って実質的に一定であり、中空管セグメントを通した煙および空気の流れは実質的に遮られない。
【0011】
非制限的な中空管セグメントは、喫煙物品の引き出し抵抗(RTD)の増大には実質的には寄与しない。せいぜい、非制限的な中空管セグメントは、喫煙物品のRTDをわずかに増大させるだけである。実際には、非制限的な中空管セグメントは、およそ1mm H2O(約10 Pa)~およそ20mm H2O(約200 Pa)の範囲のRTDを発生させるように適合されうる。非制限的な中空管セグメントは、およそ2mm H2O(約20 Pa)~およそ10mm H2O(約100 Pa)のRTDを発生させるように適合されることが好ましい。
【0012】
本明細書で使用される「引き出し抵抗」という用語は、22℃および101キロパスカル(760トル)で毎秒17.5ミリリットルの速度で試験対象の物体の全長にわたり空気を強制的に通過させるために必要な圧力を意味する。引き出し抵抗は水柱ミリメートル(mm H2O)という単位で表され、ISO 6565:2011に従い測定される。
【0013】
本発明による喫煙物品において、口側端くぼみは、繊維質の濾過材料と、従来的なフィルタートウよりも有意に高いレベルの可塑剤とを組み合わせたものを含む中空管セグメントによって、フィルター内に画定される。これによって、喫煙中にフィルターが湿った時に、口側端くぼみがその剛性を実質的に保持し、それによって口側端くぼみの変形のリスクが最小化されるように向上された耐湿性を備える剛直な口側端くぼみ構造が提供される。
【0014】
喫煙中にその剛直性を実質的に保持する比較的剛直な中空管セグメントの使用はまた、口側端くぼみが変形に対して脆弱であるリスクを大幅に増大させることなく、比較的長い口側端くぼみを備えるフィルターを提供することを可能にする。
【0015】
本発明の喫煙物品において、中空管セグメントは望ましい剛直性および耐湿性を達成できる一方、0.9mm以下の比較的薄い壁厚を提供する。これは有利なことに、中空管セグメントの視覚的影響を最小化し、フィルターを通過する煙の流れに対する中空管セグメントの効果を最小化する。
【0016】
本発明の喫煙物品の中空管セグメントは、可塑剤と組み合わされた繊維質の濾過材料の環状セグメントとして形成される。可塑剤に組み込まれる繊維質の濾過材料は圧縮されて、約0.9mm未満の壁厚、好ましくは約0.8mm未満の壁厚、より好ましくは約0.6mm未満の壁厚を提供する。
【0017】
中空管セグメントの壁厚は少なくとも約0.3mmであることが好ましい。
【0018】
中空管セグメントの「壁厚」は半径方向の壁の厚さに対応する。これは、例えばカリパスを使用して測定されうる。壁厚は中空管セグメントの壁全体の周りで実質的に一定であることが好ましい。ところが、壁厚が実質的に一定ではない場合、壁厚は中空管セグメントの周りの任意の地点で0.9mm未満であることが好ましい。
【0019】
中空管セグメント内の繊維質の濾過材料の密度は、少なくとも約0.6グラム/立方センチメートルであることが好ましく、少なくとも約0.7グラム/立方センチメートルであることがより好ましく、少なくとも約0.8グラム/立方センチメートルであることがより好ましい。本発明の目的で、繊維質の濾過材料の「密度」は、可塑剤が組み込まれている繊維質の濾過材料の密度を意味する。密度は、中空管セグメントの総重量を中空管セグメントの総体積で割ることによって決定でき、ここで総体積は、例えばカリパスを使用して測定した中空管セグメントの適切な測定値を使用して計算できる。必要である場合、適切な寸法は顕微鏡を使用して測定されてもよい。
【0020】
繊維質の濾過材料の密度は、中空管セグメント製造中の繊維質の濾過材料の圧縮によって増加されうる。従来的な繊維質の濾過セグメントと比較して高い密度を提供することは有利なことに、望ましい剛直性および耐湿性を達成しつつ、壁厚をさらに低減することを可能にする。
【0021】
中空管セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約25パーセントであることが好ましく、フィルター全長の少なくとも約30パーセントであることがより好ましく、フィルター全長の少なくとも約40パーセントであることがより好ましく、フィルター全長の少なくとも約50パーセントであることがより好ましい。上述のように、中空管セグメントの属性の向上および耐湿性の向上によって、比較的長い口側端くぼみをフィルター内に形成することができる。「フィルター全長」という表現は本明細書全体において、フィルターを形成する様々な構成要素の長さの和を意味するため使用される。
【0022】
中空管セグメントの長さは、フィルター全長の約80パーセント未満であることが好ましく、約70パーセント未満であることがより好ましい。従って、中空管セグメントの上流にある濾過部分の長さは、フィルター全長の少なくとも約20パーセントを占める。
【0023】
中空管セグメントの長さは、約30mm未満であることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約20mm未満であることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約15mm未満であることがなおもさらに好ましい。追加的に、または別の方法として、中空管セグメントの長さは少なくとも約8mmである。中空管セグメントの長さは、少なくとも約10mmであることが好ましい。一部の好ましい実施形態において、中空管セグメントの長さは、約8mm~約30mm、より好ましくは約10mm~約20mm、なおもより好ましくは約10mm~約15mm、最も好ましくは約10mmである。これによって、口側端くぼみ、および適切なサイズの非制限的な流路が提供されるだけでなく、中空管セグメントと中空管セグメントを囲みうる任意のラッパーとの十分な重なりが確保され、フィルターセグメントまたはたばこロッドとの、または両方との軸方向の整列が維持される。こうしたラッパーは、プラグラップおよびチッピングペーパー帯を含む。
【0024】
好ましい実施形態において、中空管セグメントは、フィルターの濾過部分の外径に実質的に対応する外径を有する。これは、中空管セグメントを他のフィルターセグメントと組み合わせたり、他のフィルターセグメントで包んだりすることを容易にし、かつ既存の高速結合機械およびプロセスを使用する、フィルターおよび喫煙物品の製造を可能にする。
【0025】
口側端くぼみでのフィルターの硬度は喫煙前に測定した時に、少なくとも約90パーセントであることが好ましく、少なくとも約92パーセントであることがより好ましく、少なくとも約94パーセントであることが最も好ましい。これは口側端くぼみでのフィルターの「乾燥硬度」に対応する。
【0026】
口側端くぼみでのフィルターの湿潤硬度は上述の通り、口側端くぼみでのフィルターの乾燥硬度の約10パーセント以内であることが好ましい。「湿潤硬度」は、フィルターが水中に22℃の温度で5秒間浸された後でのフィルターの硬度に対応する。口側端くぼみでのフィルターの湿潤硬度は、口側端くぼみでの喫煙物品の乾燥硬度の約5パーセント以内であることが最も好ましい。これは、中空管セグメントが水分にさらされた結果、中空管セグメントの硬度が実質的に影響を受けないことを意味する。従って、中空管セグメントは、変形のリスクに著しく影響しないように、喫煙中にその剛直性を実質的に保持できる。
【0027】
口側端くぼみでのフィルターの湿潤硬度は、少なくとも85パーセントであることが好ましく、少なくとも90パーセントであることがより好ましい。口側端くぼみでのフィルターの乾燥硬度と湿潤硬度はどちらも、少なくとも約90パーセントであることが特に好ましい。
【0028】
対照的に、口側端くぼみを画定する紙の管を有する従来技術のフィルターの対応する湿潤硬度は典型的に、乾燥硬度よりも少なくとも40パーセント低くなり、これはフィルターが水にさらされた後の口側端くぼみの剛直性の有意な低下を示す。
【0029】
本明細書の全体で使用される「硬度」という用語は、変形に対する耐性を意味する。硬度は一般に、割合として表現される。図1は、荷重Fをかける前のフィルター101を示し、また荷重Fをかけている時の同一のフィルター103を示す。荷重Fがかけられる前のフィルター101は、直径DSを有する。一定時間中に一定の負荷をかけた後の(ただし、負荷はまだかけられている)フィルター103は、(減少した)直径Ddを有する。押し下げは、d = DS - Ddである。図1を参照して、硬度は以下の式によって計算される。
【数1】
【0030】
式中DSは本来の(押し下げられていない)フィルターの直径であり、Ddは一定時間中に一定の負荷をかけた後の押し下げられた直径である。材料が硬いほど硬度は100%に近づく。
【0031】
フィルターの硬度を決定する試験は、Borgwaldt Hardness Tester H10(Heinr Borgwaldt GmbH(ドイツ)によって製造および市販)の標準操作手順を使用して実施されうる。
【0032】
一定の好ましい実施形態において、中空管セグメントは実質的に円形の断面形状を有する。その他の好ましい実施形態において、中空管セグメントは非円形の断面形状、例えば長円形または楕円形の断面形状を有する。すべての実施形態において、喫煙物品の断面形状は、中空管セグメントを含めた喫煙物品の全長にわたり、実質的に同じであることが好ましい。
【0033】
上述の通り、本発明の喫煙物品の中空管セグメントは、高いレベルのフィルター可塑剤と組み合わせた繊維質の濾過材料から形成される。
【0034】
中空管セグメントを形成するための適切な繊維質の濾過材料は、当業者に周知である。中空管セグメントは、酢酸セルローストウから形成されることが好ましい。
【0035】
中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、フィラメント当たり約3.5デニール(dpf)~約9 dpfの繊維を含むことが好ましく、フィラメント当たり約5デニール(dpf)~約8 dpfの繊維を含むことがより好ましい。
【0036】
中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、約25000総デニール(td)~約50000 tdの繊維を含むことが好ましく、35000総デニール(td)~約50000 tdの繊維を含むことがより好ましい。
【0037】
中空管セグメントに使用する適切な可塑剤は、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)、酢酸エチレンビニル、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその組み合わせを含むがこれに限定されない。
【0038】
本発明によると、中空管セグメントは、繊維質の濾過材料の少なくとも約22重量パーセントに対応する量のフィルター可塑剤を含み、繊維質の濾過材料の少なくとも約23重量パーセントのフィルター可塑剤を含むことがより好ましく、繊維質の濾過材料の少なくとも約24重量パーセントのフィルター可塑剤を含むことがより好ましい。
【0039】
フィルター可塑剤の量は、繊維質の濾過材料の約30重量パーセント未満であることが好ましく、繊維質の濾過材料の約28重量パーセント未満であることがより好ましく、繊維質の濾過材料の約26重量パーセント未満であることが最も好ましい。
【0040】
フィルター可塑剤の量は、繊維質の濾過材料の約22~約30重量パーセントであることが好ましく、繊維質の濾過材料の約23~約28重量パーセントであることがより好ましく、繊維質の濾過材料の約24~約26重量パーセントであることが最も好ましい。
【0041】
フィルター可塑剤は、繊維を環状形態に圧縮する前に、濾過材料の繊維に塗布されることが好ましい。フィルター可塑剤をフィルター繊維に塗布するための適切な装置および方法は、当業者に周知である。
【0042】
本発明による喫煙物品は、濾過部分の周りの位置に提供された穿孔の少なくとも一つの円周列を含む換気帯域を含むことが好ましい。濾過部分の周りの位置にある穿孔の少なくとも一つの円周列を提供することによって、フィルターへの換気空気の導入は、口側端くぼみの構造に影響を及ぼさない。主流煙は、口側端くぼみの上流で希釈されることができ、口側端くぼみを通過する際に空気とさらに混合できる。
【0043】
穿孔の少なくとも一つの円周列は、濾過部分の下流端から少なくとも約5mm上流に位置することが好ましい。より好ましい実施形態において、穿孔の少なくとも一つの円周列は、濾過部分の下流端から少なくとも約8mm上流に位置する。これは有利なことに、消費者が喫煙物品を口にくわえたり指で持ったりする時に換気帯域を塞ぐ可能性を低くする。
【0044】
追加的に、または別の方法として、穿孔の少なくとも一つの円周列は、濾過部分の下流端から約12mm未満上流に位置することが好ましい。穿孔の少なくとも一つの円周列は、濾過部分の下流端から約10mm未満上流に位置することがより好ましい。これによって、穿孔の少なくとも一つの円周列が、たばこロッドに近すぎる場所に位置付けられないようにすることを確実にできる。
【0045】
追加的に、または代替的に、穿孔の少なくとも一つの円周列は、フィルターの口側の端から、フィルター全長の少なくとも約50パーセントの距離に配置される。穿孔の少なくとも一つの円周列は、フィルターの口側の端から、フィルター全長の少なくとも約70パーセントの距離に配置されることが好ましい。
【0046】
一部の好ましい実施形態において、換気帯域は、濾過部分の周りの位置に提供された穿孔の二つの円周列を含む。穿孔の円周列のそれぞれは、8~30個の穿孔を含むことが好ましい。
【0047】
本発明による喫煙物品のフィルターの濾過部分は、中空管セグメントの上流の一つ以上のフィルターセグメントを含む。
【0048】
好ましい実施形態において、濾過部分は中空管セグメントの上流にある第一のフィルターセグメントを備える。第一のフィルターセグメントの長さは、少なくとも約8mmであることが好ましい。一定の好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは、少なくとも約10mmである。別の方法として、または追加的に、第一のフィルターセグメントの長さは、約14mm未満である。好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは約8mm~約14mmであり、約10mm~約14mmであることがより好ましい。一定の好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは約12mmである。
【0049】
本発明による一定の実施形態において、中空管セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの5mm以内である。より好ましい実施形態において、中空管セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの2mm以内である。別の方法として、または追加的に、本発明による一定の実施形態において、中空管セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さよりも短い。
【0050】
本発明による一定の実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約10パーセントである。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約20パーセントであることが好ましい。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約30パーセントであることがより好ましい。別の方法として、または追加的に、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約80パーセント未満であってもよい。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約60パーセント未満であることが好ましい。第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約40パーセント未満であることがより好ましい。
【0051】
一定の好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約10パーセント~約80パーセントである。より好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約20パーセント~約60パーセントである。なおもさらに好ましい実施形態において、第一のフィルターセグメントの長さは、フィルター全長の約30パーセント~約40パーセントである。
【0052】
本発明の一定の好ましい実施形態において、中空管セグメントと第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さは、フィルター全長の少なくとも約35パーセントである。中空管セグメントと第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さは、フィルター全長の少なくとも約50パーセントであることが好ましい。中空管セグメントと第一のフィルターセグメントを組み合わせた長さは、フィルター全長の少なくとも約70パーセントであることがより好ましい。
【0053】
中空管セグメントおよび濾過部分の一つ以上のフィルターセグメントは、プラグラップの帯で囲まれることが好ましく、これ以降、結合用プラグラップと呼ぶ。結合用プラグラップは不浸透性であることが好ましい。
【0054】
結合用プラグラップは、約120グラム/平方メートル未満の坪量を有することが好ましく、約100グラム/平方メートル未満の坪量を有することが好ましく、約90グラム/平方メートルの坪量を有することがより好ましい。追加的に、または別の方法として、結合用プラグラップは、少なくとも約70グラム/平方メートルの坪量を有することが好ましく、少なくとも約80グラム/平方メートルの坪量を有することが好ましい。結合用プラグラップは約120グラム/平方メートル~約70グラム/平方メートルの坪量を有することができ、約80グラム/平方メートル~約100グラム/平方メートルの坪量を有することが好ましい。プラグラップは、約80グラム/平方メートルの坪量を有することが最も好ましい。結合用プラグラップがこうした比較的大きな坪量を有するように結合用プラグラップを配置することによって、中空管セグメントの上流にあるフィルターのセグメントは、中空管セグメントでフィルターの硬度に匹敵する硬度を示しうる。これは有利なことに、フィルターがその長さに沿って全般的に均一な硬度を有するという認識を消費者に与えることができ、従って中空管セグメントの存在を目立たなくすることができる。
【0055】
結合用プラグラップは、少なくとも約80マイクロメートルの厚さ、より好ましくは少なくとも約100マイクロメートルの厚さを有することが好ましい。結合用プラグラップは、約180マイクロメートル未満の厚さ、より好ましくは約140マイクロメートル未満の厚さを有することが好ましい。結合用プラグラップがこうした比較的大きな厚さを有するように結合用プラグラップを配置することによって、中空管セグメントの上流にあるフィルターのセグメントは、中空管セグメントでフィルターの硬度に匹敵する硬度を示しうる。これは有利なことに、フィルターがその長さに沿って全般的に均一な硬度を有するという認識を消費者に与えることができ、従って中空管セグメントの存在を目立たなくすることができる。
【0056】
結合用プラグラップは、中空管セグメントおよび濾過部分の一つ以上のフィルターセグメントに、例えば接着剤を使用して貼り付けられうる。フィルターが実質的に不通気性の結合用プラグラップを含む場合、フィルターは、結合用プラグラップの一部分を通って提供された穿孔の少なくとも一つの円周列を含むことが好ましい。一例として、プラグラップを通る穿孔は、喫煙物品の製造中にオンラインで形成されうる。結合用プラグラップの一部分を通って提供された穿孔の円周列または複数の円周列は、第一のフィルターセグメントの一部分と実質的に整列された状態にあることが好ましい。
【0057】
結合用プラグラップを含むフィルターは、実質的に不浸透性のチッピングペーパー紙の帯によって、たばこロッドに取り付けられることが好ましい。チッピングラッパーは、約70グラム/立方メートル未満の坪量を有する紙を含んでもよく、約50グラム/立方メートル未満の坪量を有する紙を含むことが好ましい。チッピングラッパーは、約20グラム/立方メートルを超える坪量を有することが好ましい。
【0058】
チッピングペーパーの帯は、フィルター全長の上およびたばこロッドの一部分の上に延びうる。従って、チッピングペーパーの帯は、第一のフィルターセグメントの周りの位置に提供された換気穿孔の上に重なりうる。こうした実施形態において、換気穿孔はチッピングペーパーの帯を通って延びることが好ましい。
【0059】
上述の通り、濾過部分の一つ以上のフィルターセグメントは、追加のフィルターセグメントを、第一のフィルターセグメントとともに備えうる。例えば、一つの実施形態において、喫煙物品は、第一のフィルターセグメントとたばこロッドの間に濾過材料のロッド端セグメントをさらに含む。フィルターは、第一の端セグメントとロッド端セグメントの間に一つ以上の追加のフィルターセグメントを含みうる。ところが、好ましい実施形態において、濾過材料のロッド端セグメントは第一のフィルターセクションに隣接する。より好ましい実施形態において、濾過材料のロッド端セグメントは第一のフィルターセグメントおよびたばこロッドの両方に隣接する。
【0060】
濾過材料のロッド端セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの約5mm以内であることが好ましい。濾過材料のロッド端セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さの約1mm以内であることがより好ましい。一部の特定の好ましい実施形態において、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、第一のフィルターセグメントの長さと実質的に同一である。
【0061】
一定の好ましい実施形態において、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約20パーセントである。濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の少なくとも約30パーセントであることがより好ましい。
【0062】
別の方法として、または追加的に、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約80パーセント未満である。濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約50パーセント未満であることが好ましい。
【0063】
一定の好ましい実施形態において、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約20パーセント~約80パーセントである。より好ましい実施形態において、濾過材料のロッド端セグメントの長さは、フィルター全長の約30パーセント~約50パーセントである。
【0064】
喫煙物品のそれぞれのフィルターセグメント内の濾過材料は、酢酸セルローストウまたは紙など、繊維質の濾過材料のプラグであることが好ましい。分離したファイバー上にフィルター可塑剤を吹き付けることによって、従来的な方法で繊維質の濾過材料にフィルター可塑剤を塗布しうるが、何らかの追加の材料を濾過材料に塗布する前に行うことが好ましい。別の方法として、または追加的に、本発明による喫煙物品は、一つ以上の添加剤を含む一つ以上のセグメントを含みうる。これらの添加剤は、風味剤および炭素粒子を含みうるが、これに限定されない。
【0065】
ロッド端セグメントは炭素粒子を含むことが好ましい。炭素は活性炭であることが好ましい。好ましい実施形態において、ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が少なくとも約1ミリグラムである。ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が少なくとも約5ミリグラムであることがより好ましい。ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約15ミリグラムの炭素を超えてはならず、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が10ミリグラム以下であることが好ましい。
【0066】
ロッド端セグメント内の炭素粒子の密度は、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約1ミリグラム~約15ミリグラムであってもよく、濾過材料1ミリメートル当たりの炭素が約5ミリグラム~約10ミリグラムであることが好ましい。
【0067】
一部の実施形態において、風味剤またはその他の添加物を要求に応じて放出(通常は物品を喫煙する直前に消費者によって手動で放出)するための手段を備えるフィルターを提供することが望ましい場合がある。従って、フィルターは、例えば外側シェル、および添加物を含む内部コアが含まれる一つ以上の壊れやすいカプセルなど、風味剤を含有する材料を含む、少なくとも一つのフィルターセグメントを備えうる。少なくとも一つのフィルターセグメントは、繊維質の濾過材料内に散在する一つ以上の壊れやすいカプセルを含むことが好ましい。少なくとも一つのフィルターセグメントは、第一のフィルターセグメント、またはフィルター内に組み込まれうる追加のフィルターセグメント、またはその組み合わせとしうる。
【0068】
風味剤を含有する材料を含む実施形態において、少なくとも一つの風味含有フィルターセグメントは、風味添加物に対して実質的に不浸透性であるプラグラップによって囲まれることが好ましい。これは有利なことに、消費者の指との望ましくない接触が起こったり、喫煙物品の外観を変色させたりしうる、喫煙物品の外側へのプラグラップを通した添加物の移動を抑制する。
【0069】
たばこロッドは、任意の適切な形態において、任意の適切なタイプまたは複数のタイプのたばこ材料もしくはたばこ代用品を含んでもよい。
【0070】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、上述の通り、硬度の定義を図示したものである。
図2図2は、本発明による喫煙物品を示す。
図3図3は、包まれていない状態にある図2の喫煙物品である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図2および3は、本発明による喫煙物品10を図示する。喫煙物品10は、一方の端で、軸方向に整列させたフィルター14に取り付けられたたばこカットフィラーの包まれたロッド12を含む。チッピングペーパー16の帯は、フィルター14とたばこの包まれたロッド12の一部分を囲んで、喫煙物品10の二つの部分をひとまとめにする。
【0073】
図3に示す通り、フィルター14は、中空管セグメント24と、風味を含んでも含まなくてもよい第一のフィルターセグメント20と、ロッド端フィルターセグメント18とを備える。中空管セグメント22の上流端は、第一のフィルターセグメント20の下流端に隣接する。第一のフィルターセグメント20の上流端は、ロッド端フィルターセグメント18の下流端に隣接する。ロッド端フィルターセグメント18の上流端はたばこロッド12に隣接する。中空管セグメントは10mm長である。第一のフィルターセグメントは12mm長である。ロッド端フィルターセグメントは12mm長である。フィルター全長は34mmである。
【0074】
中空管セグメント22およびフィルターセグメント20および18は、三つのセグメントを接続してフィルター14を形成する結合用プラグラップ24の帯によって囲まれる。セグメント18、20、22の一つ以上は追加的に、個別のプラグラップで包まれてもよい。
【0075】
第一のフィルターセグメント20およびロッド端フィルターセグメント18は、酢酸セルローストウなど、適切な濾過材料で形成される。その上、第一のフィルターセグメント20は適切な風味剤を備えてもよく、これは第一のフィルターセグメント20内に含まれた一つ以上の壊れやすいカプセルの形態で提供されうる。この場合、一つ以上の壊れやすいカプセルは、消費者によって望ましい時に、第一のフィルターセグメント20を消費者の指の間で圧迫することによって破裂させられる。ロッド端フィルターセグメント18は、炭素含有の吸着材料などの吸着材料を含む。
【0076】
中空管セグメント22は、フィルター14内の口側端くぼみ26を画定し、第一のフィルターセグメント20の下流端とフィルター14の口側の端の間に延びる非制限的な流路を提供する。より詳細には、中空管セグメント22は、煙および空気が貫流するための実質的に一定の断面積を有する流路を内部に画定する。さらに、中空管セグメント22は、煙および空気の流れを局所的に制限する原因となるように適合された物体は何も含まない。従って、煙および空気が貫流するために利用可能な断面積は、中空管セグメント22の全長に沿って実質的に一定であり、中空管セグメント22を通した煙および空気の流れは遮られない。
【0077】
中空管セグメント22は、酢酸セルローストウとトリアセチン可塑剤から形成した環状セグメントである。酢酸セルローストウ内のトリアセチンの量は、22~26重量パーセントの酢酸セルローストウに対応する。中空管セグメントは、0.6mmの壁厚と、およそ1グラム/立方センチメートルの密度とを有する。
【0078】
フィルター14は、上述の硬度試験手順に従い測定した時に、口側の端でおよそ96パーセントの乾燥硬度、およびおよそ92パーセントの湿潤硬度を有する。これらの硬度測定値は、フィルターが湿っている時に、中空管セグメントの剛直性が実質的に保持されるように、中空管セグメント22が非常に高い耐湿性を有することを示す。従って、口側端くぼみ24の変形に対する耐性は、喫煙物品10の喫煙中に実質的に保持される。
【0079】
喫煙物品10は、第一のフィルターセグメント20に沿った場所に換気帯域28をさらに含む。より詳細には、換気帯域28は、第一のフィルターセグメント20を通って延びる穿孔の1列を含む。穿孔の列は、第一のフィルターセグメントの下流端の上流10mmに位置する。穿孔の列はまた、結合用プラグラップ24の帯を通って延び、またチッピングペーパー16の帯を通って延びる。結合用プラグラップ24の帯を通って延び、またチッピングペーパー16の帯を通って延びる穿孔の列は、第一のフィルターセグメント20の壁を通って延びるものと実質的に整列する。
図1
図2
図3